JP6471983B2 - 呼気試料中イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13c/12c)を分析する方法、および血糖値のモニタリング方法 - Google Patents

呼気試料中イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13c/12c)を分析する方法、および血糖値のモニタリング方法 Download PDF

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Description

本発明は、呼気試料中のイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析する方法、および血糖値のモニタリング方法に関する。
人間の呼気中には何千もの揮発性有機化合物(VOCs)が見つかっている。その中でもアセトンやイソプレン等のVOCsは、特定の疾患の指標となる可能性があるため、臨床目的で多くの注目を集めている。
呼気中イソプレンはコレステロールの生合成プロセスで生産されることが知られている。コレステロールは、アセチル-CoAからメバロン酸を経て作られるが、この合成反応においてHMG-CoAレダクターゼという酵素が働いている。この反応は抗コレステロール剤によって抑制される。このスタチン系製剤を投与するとイソプレン濃度が低下するため、コレステロールとイソプレンには関係があると言える。したがって、イソプレンはコレステロール動態指標として有用であると考えられている。しかし、現段階で可能となっている呼気中イソプレン濃度測定では、明確な臨床的意義は示されていない。また、イソプレンの原料となるアセチル-CoAは、糖質・脂質の代謝にとって重要なケトン体の代謝経路により生じるため、イソプレンは糖尿病などの疾病の診断や、ダイエット管理などの糖質・脂質の代謝状態のモニタリングなどでの利用も望まれている。
現在、糖尿病などの代謝疾患の診断に利用されている分析法及び測定法には血液、尿、皮膚ガス、呼気等の試料が用いられている。
上述したように、従来のコレステロールや血糖値を含む脂質代謝状態を調べる方法として血液検査で採取される血液試料は、患者の痛みを伴う侵襲的手法により採取されるため、検査のための血液採取を頻繁に行うことができない。また、危険が伴うため医療従事者実施が必須であり、被験者のストレス大きい、医療従事者の負担が大きいなどの問題があった。
尿試料は、呼気試料と同様患者の痛みを伴わない非侵襲的手段で試料を採取することができるが、尿中のイソプレンはある程度の時間をかけて蓄積されるため、その炭素同位体比などの測定値は、蓄積される時間をかけて平均化された値を示すことになる。そのため、大局的な傾向をモニタリングするのには適しているが、俊敏な時間変化をモニタリングする目的には適していない。また、尿試料はプライバシーの問題や、精神的な抵抗感があるため、医療機関などによる検査などの特別な場合を除くと、被験者から提供を受けることが難しく、応用分野を広げることが困難であるという問題もある。
皮膚ガスも、呼気と同様に非侵襲的で生体の代謝状態の逐次的な時間変化を俊敏にモニタリングすることに適するという利点を有するが、量が少なく採取するのが難しいという問題がある。
呼気などを非侵襲的に採取できるものを試料として、コレステロールや血糖値を含む脂質代謝状態を調べる方法が確立できれば、簡便な日常的検査を可能にする脂質代謝状態のモニタリング法として有望である。
本発明の課題を解決するための手段の一例は、呼気試料中に含まれるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析する方法であって、呼気試料中に含まれるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を測定する工程を含むことを特徴とする分析方法である。
本発明の課題を解決するための手段の別の例は、呼気試料中に含まれるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析する方法であって、(a)呼気試料中に含まれるイソプレンを、呼気試料から濃縮抽出する工程と、(b)濃縮抽出されたイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を測定する工程を含むことを特徴とする分析方法である。
本発明の課題を解決するための手段の別の例は、呼気試料中に含まれるイソプレンを濃縮抽出する手段が、マイクロ固相抽出(SPME)法であることを特徴とする。すなわち、呼気試料中に含まれるイソプレンを濃縮抽出する手段が、マイクロ固相抽出(SPME)法であることが好ましい。
また、イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析する方法が、ガスクロマトグラフィー−燃焼−同位体比質量分析法(GC−C−IRMS)であることが好ましい。
また、呼気試料中に含まれるイソプレンを濃縮抽出する際に呼気試料採取容器を用い、前記呼気試料採取容器が、呼気を吹き入れるための注入口と、吹き入れられた前記呼気を呼気試料として貯蔵するための貯蔵部と、貯蔵された前記呼気試料を排出するための排出口とを具備し、前記注入口を開閉するための注入口開閉弁と、前記排出口を開閉するための排出口開閉弁とを更に具備することが好ましい。
この場合、前記呼気試料採取容器が、前記呼気試料から揮発したイソプレンを固相マイクロ抽出(SPME)するための抽出口を具備することが好ましい。
また、前記呼気試料採取容器が、前記呼気試料から揮発したイソプレンを抽出するための抽出口を具備し、前記抽出口が、樹脂から成るセプタムにより封止されていることが好ましい。
また、前記貯蔵部の内部に乾燥剤を具備することが好ましい。
本発明の課題を解決するための手段の更に別の例は、前記記載の方法を含み、前記同位体比の変化をモニタリングして血糖値の変化に関連付ける工程を更に含むことを特徴とする、血糖値のモニタリング方法である。なお、本発明の課題を解決するための手段の更に別の例は、前記記載の方法を含み、血糖値の変化を、前記同位体比の変化と正の相関係数で対応させることにより、前記同位体比の変化によって血糖値の変化を間接的にモニタリングすることを特徴とする、血糖値のモニタリング方法であってもよい。
本発明の方法は、呼気試料を用いる分析方法であるため、非侵襲的手段で試料を採取することができ、頻繁に検査を実施することが可能となる。また、特別な施設内での前準備及び経時的な観測を必要とせず、任意の時間に簡便な試料採取が可能である。このため、被験者自身で試料の採取を行うことが可能であり、非常に簡便かつ経済的な分析方法となる。
本発明の方法は、呼気試料を用いる分析方法であるため、皮膚ガスと比べて大量の試料を採取することが容易であり、また、採取方法も簡単であるため、被験者自身で容易に試料の採取ができるという利点がある。
特に、呼気中イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析することができ、コレステロールや血糖値の動態指標として有用である。呼気中のイソプレンは生体の状態に即して俊敏に変化するので、生体の代謝状態の逐次的な時間変化を俊敏にモニタリングすることに適するという利点がある。
本発明の更に別の方法は、血糖値のモニタリング方法であり、呼気分析により血糖値をモニタリングすることができるため、被験者にかかる負担が小さくメリットが大きい。
生体内でのコレステロールの生合成プロセスを説明するための説明図である。 生体中のケトン体の代謝経路を説明するための説明図である。 呼気試料採取容器の一例を示す概略部分縦断面図である。 (a)はSPME機器の概略図であり、(b)は(a)のニードル部の拡大図であり、(c)は、呼気試料中のイソプレンを、ニードル部のファイバー表面に吸着する様子を示す図である。 図4の呼気試料採取容器を用いて採取し貯蔵された呼気試料から、SPME法によりイソプレンを濃縮抽出する様子を説明する概念図である。 SPME法の暴露時間の変化に対する、イソプレンの濃度と天然の炭素同位体比の関係を示す図である。 (a)〜(c)は、封緘燃焼法を用いてイソプレンの天然の安定炭素同位体比の真値を求める手順を示す図である。 健常な被験者の呼気試料を採取し、その呼気試料中のイソプレン濃度、及びイソプレンの天然の安定炭素同位体比を観測した結果を表す図である。 被験者aの呼気を7時から22時の間で3時間ごとに4日間採取し、呼気中のイソプレン濃度、イソプレンの炭素同位体比、および血糖値測定を行った結果を示す図である。(a)はイソプレン濃度とイソプレンの炭素同位体比の時間変化を示した図である。(b)は血糖値とイソプレンの炭素同位体比の時間変化を示した図である。(c)は血糖値とイソプレン濃度の時間変化を示した図である。 被験者bの呼気を7時から22時の間で3時間ごとに4日間採取し、呼気中のイソプレン濃度、イソプレンの炭素同位体比、および血糖値測定を行った結果を示す図である。(a)はイソプレン濃度とイソプレンの炭素同位体比の時間変化を示した図である。(b)は血糖値とイソプレンの炭素同位体比の時間変化を示した図である。(c)は血糖値とイソプレン濃度の時間変化を示した図である。 被験者aの被験者bの血糖値と、呼気中のイソプレン濃度、イソプレンの炭素同位体比の関係を示す図である。(a)被験者aの血糖値と呼気中のイソプレンの炭素同位体比の関係を示す図である。(b)被験者aの血糖値と呼気中のイソプレン濃度の関係を示す図である。(c)被験者bの血糖値と呼気中のイソプレンの炭素同位体比の関係を示す図である。(d)被験者dの血糖値と呼気中のイソプレン濃度の関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態の一例を説明する。
<原理>
呼気中イソプレンの臨床的意義を示すには同位体比測定が有用であると考えられる。コレステロールの生合成プロセス(図1)の律速段階はHMG-CoAレダクターゼが関与する反応である。コレステロールはこの反応をフィードバック阻害する。つまり、外因性のコレステロール(飲食物等に含まれているコレステロール)によってHMG-CoAレダクターゼの活性を調節し、反応速度を変化させているということである。コレステロールの生合成プロセス(図1)を見てみると、イソプレンはHMG-CoAレダクターゼが関与する反応の後に生成する。よって、このプロセスで生産されるイソプレンの同位体比は速度論的効果によって変化すると言える。したがって、呼気中イソプレン同位体比の変動を測定することは、コレステロール動態指標となり得る。呼気をコレステロール動態指標として用いることができるようになると、非侵襲的な健康診断や薬剤および機能性食品の効果判定として応用できる。呼気分析による健康診断が可能となれば、現在行われている血液検査の問題点(危険が伴うため医療従事者実施が必須、被験者のストレス大(細菌感染、不快感)、医療従事者の負担大)が解決できる。
まず、呼気などの生体試料に含まれるイソプレンについて説明する。生体試料に含まれるイソプレンは、図1に示すような生合成プロセスにより生じる。コレステロールはこの反応をフィードバック阻害する。外因性コレステロール、即ち、飲食物等の摂取により体内のコレステロールが増加するとHMG-CoAレダクターゼの活性が抑制され、イソプレンの生成量は減少する。抗コレステロール剤などの薬剤の服用によりHMG-CoAレダクターゼの活性を抑制した場合も同様である。
イソプレンはHMG-CoAレダクターゼが関与する反応の後に生成するので、イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)は速度論的効果によって変化すると考えられる。即ち、外因性コレステロールや抗コレステロール剤などの薬剤の摂取によりHMG-CoAレダクターゼの活性が抑制されると、速度論的効果がより高まり、生成されるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)は減少すると考えられる。
一方、イソプレンの原料となるアセチル-CoAは図2に示すようなケトン体の代謝経路により生じる。即ち、アセチル-CoAはグルコース及び脂肪酸から合成される。同一生体内のグルコースと脂肪酸の天然の安定炭素同位体比(13C/12C)は明確に異なることが知られている。ここで、絶食状態又は糖尿病などの糖質利用障害が起きた場合を考えると、血中から細胞内へのグルコースの取り込みが低下し、ケトン体の代謝経路において脂肪酸の割合がグルコースよりも多くなる。これは、アセチル-CoAの起源がグルコースから脂肪酸へ傾くことを意味する。
同一生体内のグルコースと脂肪酸の天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を比べると、グルコースよりも脂肪酸の天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の方が小さいことが知られている。従って、絶食によって、又は、糖尿病のような糖質利用障害の疾患によって、アセチル-CoAの起源がグルコースから脂肪酸へと変化した場合、グルコースと脂肪酸の割合に従い、アセチル-CoAの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)は減少する方向に変化すると考えられるので、それを原料として合成されるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の変化にも影響を与えると考えられる。
従って、イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析することは、生体内での脂質の利用が亢進しているかどうかをモニタリングすることに応用できる可能性がある。即ち、糖尿病などの疾病の診断や、ダイエット管理などの糖質・脂質の代謝状態のモニタリングに利用できる可能性がある。
本明細書において、「天然の安定炭素同位体比」とは、13C標識化合物のような標識剤を導入することなく、天然の材料によって生体内に取り込まれた物質によって生体内で産生される化合物の安定炭素同位体比(13C/12C)をいう。
<分析方法>
本発明を実施するための形態の一例は、呼気試料中に含まれるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析する方法であって、呼気試料中に含まれるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を測定する工程を含むことを特徴とする分析方法である。
イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の測定は、採取した試料から直接行うことができる。直接にイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を測定するには、例えば、まず、採取した試料を、ガスクロマトグラフィー(GC)にインジェクションする。GCにより試料中から抽出されたイソプレン中の炭素は、燃焼炉でCO2に変換され、質量分析計に導入されて13C/12Cの含有量が計測される。具体的には、例えばガスクロマトグラフィー−燃焼−同位体比質量分析法(GC−C−IRMS)などの測定手段で天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を測定することができる。
本発明を実施するための形態の別の例は、呼気試料中に含まれるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析する方法であって、(a)呼気試料中に含まれるイソプレンを、呼気試料から濃縮抽出する工程と、(b)濃縮抽出されたイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を測定する工程を含むことを特徴とする分析方法である。すなわち、生体試料から、別途イソプレンを濃縮抽出してからイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の測定を行ってもよい。
<モニタリング方法>
血糖値のモニタリングは、同位体比の変化をモニタリングして血糖値の変化に関連付けることにより行うことができる。例えば、血糖値の変化を、同位体比の変化と正の相関係数で対応させることで、同位体比の変化によって血糖値の変化を間接的にモニタリングすることにより行う。
モニタリングは、下記実施例に示すように、被験者の呼気を例えば7時から22時の間で3時間ごとに4日間採取することにより行うことができるが、これに限定されない。なお、本願において「相関関係がある(相関性がある)」とは、寄与率R2(相関係数Rの2乗)が0.1以上、好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上である場合を言うものとする。
<呼気試料採取容器>
呼気試料は、図3に示すような呼気試料採取容器を用いて採取することができる。図3の呼気試料採取容器9は、呼気を吹き入れるための注入口1と、吹き入れられた呼気を呼気試料として貯蔵するための貯蔵部5と、貯蔵された呼気試料を排出するための排出口3とを具備し、注入口1を開閉するための注入口開閉弁2と、排出口3を開閉するための排出口開閉弁4とを更に具備するものである。なお、本発明は、一般的なサンプリングバッグを使って、呼気を採取する場合も含むものである。
弁2、4を除く容器9全体は、例えばガラスを材料として作製することができるが、気密性を有する他の材料を用いることもできる。
注入口1は、人が口にくわえて呼気を吹き込むのに適した構造を有していればよい。特に、注入口1の内径は、吹き始めの呼気、中間部の呼気、吹き終わりの呼気などを適切に選択するために、例えば1〜8mmが好ましい。
排出口3の構造は、吹き入れられた呼気により、貯蔵部5内にある空気が適切に排出できる構造であればよい。排出口3の内径は、例えば1〜8mmが好ましい。
貯蔵部5は、吹き入れられた呼気を呼気試料として貯蔵するためのものである。貯蔵部5の容量は、例えば吹き始めの呼気、中間部の呼気、吹き終わりの呼気などを適切に選択して貯蔵できる程度の容量である10〜1000mL、例えば100mLであるのが好ましい。10mL以上とすると呼気成分の均質化が得られるため好ましく、1000mL以下とするとき始めの呼気、中間部の呼気、吹き終わりの呼気の選択性が高まるため好ましい。貯蔵部5は、好適には、後述する抽出口6を介してSPME機器10のニードル部12のファイバーが露出した状態で維持できる形状を有する。図1に示された例においては、貯蔵部5の内部の上面から下面までの距離は、例えば3〜20cmである。
注入口開閉弁2は、注入口1を独立に開閉できる弁であり、排出口開閉弁4は、排出口3を独立に開閉できる弁である。注入口開閉弁2および排出口開閉弁4の構造は、図示されたものに限定されない。
<呼気の採取>
呼気の採取は、下記のような手法で行うことができる。
通常は、注入口開閉弁2および排出口開閉弁4を開き、注入口1を口にくわえて呼気を吹き込む。呼気を吹き込み、内部に入っていた空気が呼気に置換された後、排出口開閉弁4を先に閉じ、次いで注入口開閉弁2を閉じることにより、呼気を採取することができる。
ここで、一般的なサンプリングバッグを使って、例えば中間部の呼気を採取する場合、息を吐き、いったん息を止めて、サンプリングバッグに注入するという過程で採取する必要があるが、いったん息を止めることが、成分変動に影響を与える可能性があるという問題がある。更に、呼気は、一息のなかでも、吹き始め、中間部、吹き終わりなどで成分等が微妙に変動する可能性もある。
特に、吹き始めの呼気を採取する場合は、まず注入口開閉弁2および排出口開閉弁4を開き、注入口1を口にくわえて呼気を吹き込む。吹き始めの呼気の量に相当する所定量の空気(呼気)が排出口3から排出された後すぐに、あるいは吹き始めの呼気が貯蔵部5に貯蔵されたと被験者が認識した段階で、排出口開閉弁4を先に閉じ、次いで注入口開閉弁2を閉じることにより、拭き始めの呼気を採取することができる。
同様に、特に、中間部の呼気を採取する場合は、まず注入口開閉弁2および排出口開閉弁4を開き、注入口1を口にくわえて呼気を吹き込む。中間部の量に相当する所定量の空気(呼気)が排出口3から排出された後、あるいは中間部の呼気が貯蔵部5に貯蔵されたと被験者が認識した段階で、排出口開閉弁4を先に閉じ、次いで注入口開閉弁2を閉じることにより、中間部の呼気を採取することができる。
同様に、特に、吹き終わりの呼気を採取する場合は、まず注入口開閉弁2および排出口開閉弁4を開き、注入口1を口にくわえて呼気を吹き込む。吹き終わりの量に相当する所定量の空気(呼気)が排出口3から排出された後、あるいは吹き終わりの呼気が貯蔵部5に貯蔵されたと被験者が認識した段階で、排出口開閉弁4を先に閉じ、次いで注入口開閉弁2を閉じることにより、吹き終わりの呼気を採取することができる。
上記呼気試料採取容器は、注入口1と排出口3、及び独立に開閉できる注入口開閉弁2および排出口開閉弁4を備えるため、途中で息を止めることなく、排出口開閉弁4を閉めるタイミングを調整することにより、一息の中の任意の部分の呼気を採取できるという利点があり、一息の中での微妙な変動などを調べることなどへの応用にも適しているという利点がある。
容器9内には乾燥剤8が具備されている。呼気中に多量の水分が含まれている場合、通常の容器9を用いて呼気を採取すると、イソプレンが呼気中の水分に溶け込み測定の正確度を低下させることがある。乾燥剤8は、呼気中の水分を吸収し、イソプレンが水分に溶け込み測定の正確度を低下させるという問題を除去するためのものである。容器9内に乾燥剤8を具備すれば、呼気中の水分は乾燥剤8に吸収されるため、イソプレンが呼気中の水分に溶け込み測定の正確度を低下させることを回避することができる。後述の実施例では乾燥剤として硫酸ナトリウムを用いたが、他の乾燥剤を用いることもできる。
<SPME法>
試料からイソプレンを濃縮抽出する手段は、イソプレンが揮発性物質であることから、生体試料からイソプレンが消散せず、イソプレンの的確な濃縮抽出が可能なものであれば特に限定されないが、例えば、SPME法(固相マイクロ抽出法)を挙げることができる。呼気のような気体試料の場合には、SPME法により濃縮を行うことができる。
SPME法は、後に詳述するように、測定対象物(イソプレン)を吸着するための吸着材を備えたSPME機器(固相マイクロ抽出機器)のファイバーに目的の成分を吸着させて濃縮を行う方法である。呼気試料のような気体試料の場合には、SPME法を適用し、気体試料にSPME機器のファイバーを接触させて濃縮を行うことができる。測定対象物であるイソプレンを濃縮することで、測定の感度を更に高めることができる。SPME法は、目的成分の濃縮を自動的に行えるので、極微量成分を濃縮して抽出することも可能である点で非常に優れている。また、SPME法は簡便かつ迅速な操作が可能である点においても非常に優れている。
図4は、上記呼気試料採取容器に好適に用いられるSPME機器等を示す説明図である。図4において、(a)はSPME機器の概略側面図であり、(b)は(a)のSPME機器のニードル部の拡大図であり、(c)は、呼気試料中のイソプレンを、ニードル部に吸着する様子を示す図である。
SPME機器の本体構成と抽出原理を図4に示す。図4(a)及び図4(b)に示したように、SPME機器10の本体構成は、ホルダー部11と取り換え可能なニードル部12に分かれており、ニードル部12のファイバー表面には吸着材がコーティングされている。コーティング剤は、イソプレンを選択的に抽出することの出来るものであればいずれのものも使用できる。例えば、Carboxen(商標)/PDMSを挙げることができる。未使用時、ファイバーはホルダー部11内に格納されており、濃縮抽出時にファイバーを暴露させることで、目的成分を吸着させる(図4(c))。
図3に示された例においては、貯蔵された呼気試料からイソプレンを固相マイクロ抽出(SPME)するための抽出口6が設けられている。抽出口6は、容器9の上部に設けるのが好ましいが、側部等に設けてもよい。後述する乾燥剤8が貯蔵部5内の下面に設けられている場合は、乾燥剤8を避けるように設けるとよい。
図3において、抽出口6は弾力性のある樹脂から成るセプタム7により封止されている。セプタム7は、呼気試料の抽出時に後述のSPME機器10のニードル部12のファイバーを貫通させることができ、抽出完了後にファイバーを抜き取ると開けられた貫通穴が樹脂の弾力性により再び封止されるようになっている。抽出口6を弾力性のある樹脂からなるセプタムで封止すれば、抽出時はファイバーを貫通させ容器9内部に挿入し、イソプレンを抽出することができ、抽出完了後にファイバーを抜き取ると、ファイバーによって開けられた貫通穴は、樹脂の弾力性により再び封止されるため、抽出後の呼気試料は漏れることなく、しばらくの間保管することができる。
呼気試料採取容器9を用いて採取され貯蔵された呼気試料からイソプレンをSPME法により濃縮抽出する際には、呼気試料採取容器9の抽出口6を封止しているセプタム7に、SPME機器10のニードル部12のファイバーを突き刺すことができる。ファイバー表面を呼気試料中で暴露させ、イソプレンを選択的に吸着させる(図5)。抽出が完了したら、ファイバーを引出しホルダー部11内に格納し、抽出口から引き抜くことができる。
抽出口は弾力性のある樹脂からなるセプタムで封止されているため、抽出時はファイバーを貫通させ容器内部に挿入し、イソプレンを抽出することができる。また、抽出完了後はファイバーを抜き取ると、ファイバーによって開けられた貫通穴は、樹脂の弾力性により再び封止されるため、抽出後の呼気試料は漏れることなく、しばらくの間保管することができる。
固相マイクロ抽出においては、条件により、天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の測定値が真値からずれることがわかっているが、これは補正することが可能である。例えば、あらかじめ、天然の安定炭素同位体比(13C/12C)が既知の数種類のイソプレン試薬を用いて標準試料を作成し、安定した計測結果が得られる条件の決定と、真値からのずれの正確な見積もり(検量線の作成)を行い、その結果を基に測定値を補正することができる。
イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の測定は、例えば、マイクロ固相抽出と、ガスクロマトグラフィー−燃焼−同位体比質量分析法を併用すること(SPME−GC−C−IRMS法)で行うこともできる。この方法は、メタノール、エタノール、アセトアルデヒド等の天然の安定炭素同位体比の測定について有効であることが報告されているものであるが(非特許文献1、2)、今回、本発明のイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の分析についても適用可能であることを確認した。
[実施例1]
以下に、本発明の方法を具体例により更に詳細に説明する。以下の例では、健常な被験者の呼気中のイソプレンの濃度と天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を1時間毎に測定し、食事前の空腹時は、イソプレンの原料であるアセチル-CoAの起源がグルコースから脂肪酸へ傾くため、安定炭素同位体比(13C/12C)が減少するが、食事により糖分が体内に供給されると、アセチル-CoAの起源が脂肪酸からグルコースへ傾くため、安定炭素同位体比(13C/12C)が上昇するという、仮説を実証するものである。実際の実験手順は以下の通りである。
(イ)呼気試料の準備
図3に示すような呼気試料採取容器を準備した。容器の容量は、目的に応じて最適の容量のものを使えばよいが、本実施例では100mLのものを用いた。また、乾燥剤には、硫酸ナトリウム1gを用いた。
この呼気試料採取容器の注入口開閉弁および排出口開閉弁を開き、注入口を口にくわえて呼気を吹き込んだ。数秒程度呼気を吹き込んで呼気の中間部を貯蔵部内に吹き込み、内部に入っていた空気が呼気に置換された後、排出口開閉弁を先に閉じ、次いで注入口開閉弁を閉じることにより呼気を採取した。
(ロ)SPME法によるイソプレン抽出
呼気試料からイソプレンを抽出する方法として、SPME法を用いた。SPME機器のファイバー部のファイバー表面に吸着材をコーティングした(図4(a)、(b))。本実施例ではコーティング剤として、イソプレンを選択的に抽出することの出来るCarboxen(商標)/PDMSを使用した。未使用時、ファイバー部分はホルダー内に格納されており、抽出時にファイバーを暴露させることで、目的成分を吸着させた(図4(c))。
前記、呼気試料採取容器を用いて採取した呼気試料から、イソプレンをSPME法により濃縮抽出する方法は、以下の手順で行った。
呼気試料採取容器の抽出口を封止しているセプタムに、前記ファイバーを突き刺し、ファイバー表面を呼気試料中で暴露させ、イソプレンを選択的に吸着させた(図5)。抽出が完了したら、ファイバーを引出しホルダー内に格納し、抽出口から引き抜いた。これでファイバー表面にイソプレンが吸着し濃縮抽出することができた。
ここで、ファイバー部のファイバー表面を呼気試料中に暴露しイソプレンを吸着させる暴露時間を何分にするかは重要である。暴露時間の決定の際に重要な点は、多少の暴露時間に差があっても結果に影響を与えないことである。従って、選択すべき時間は変化の激しい過渡状態の時間範囲ではなく定常状態の時間範囲が望ましい。図6に、暴露時間を決定するために、あらかじめ標準試料を用いて測定した、暴露時間とイソプレン濃度、及びイソプレンの天然の安定炭素同位体比の関係を示した。暴露時間を50分以上にすれば濃度、安定炭素同位体比がともに安定することがわかる。効率の観点からは暴露時間は当然短い方が良い。できるだけ短時間で、かつ安定した結果を得られることを考慮し、今回、暴露時間は60分とした。
(ハ)ガスクロマトグラフィー−燃焼−同位体比質量分析法(GC−C−IRMS)によるイソプレン濃度、及び天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の測定
イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)は、ガスクロマトグラフィー−燃焼−同位体比質量分析計(GC−C−IRMS)を用いて測定した。イソプレン濃度の測定は同じGC−C−IRMSのGCを用いて測定した。
(ニ)イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)検量線
本実施例ではSPME法により、呼気試料からイソプレンを抽出している。この方法におけるイソプレンは、ファイバーへの吸着を経てGCに打ち込まれて測定されるため、その間での同位体分別が起こり、測定で得られる天然の安定炭素同位体比は真値とは異なる可能性が考えられる。そこで、封緘燃焼法を用いてイソプレンの天然の安定炭素同位体比の真値を求めた。SPME法と封緘燃焼法のそれぞれで得られた天然の安定炭素同位体比を用いて作成した検量線から、SPME法で得られる天然の安定炭素同位体比の補正を行った。
封緘燃焼法の手順を、図7を参照して説明する。あらかじめ真空状態にしておいた石英管を準備した(図7(a))。この石英管中にイソプレンを注入し、液体窒素で冷却して石英管内にイソプレンをトラップして、密封した(図7(b))。次いで、この石英管内でイソプレンを燃焼し、石英管内のイソプレンを完全にCO2に変換した(図7(c))。こうして得られたCO2の天然の安定炭素同位体比を測定することで燃焼前のイソプレンの天然の安定炭素同位体比の真値を算出した。本実施例では燃焼条件は850℃、2時間とした。なお、図7中の酸化銅は、酸素供給用である。
検量線の作成は以下の通りに行った。まず、SPME法により市販のイソプレン試薬数種の天然の安定炭素同位体比を測定した。次に、それらの試薬について封緘燃焼法により天然の安定炭素同位体比を測定し、天然の安定炭素同位体比の真値をとした。両方法の測定結果から天然の安定炭素同位体比の検量線を作成した。
上記の方法により測定した、呼気中のイソプレン濃度、及びイソプレン中の天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の変化を図8に示す。ここで天然の安定炭素同位体比は、δ値を用いて表記した。δ13C値は下式(1)で定義されるパラメータであり、試料の13C/12Cが、標準試料の13C/12Cの値と比べてどれだけ多いか、又は少ないかを千分率で表したものである。
δ13C値(‰)={(13C/12C)試料/(13C/12C)標準−1}×1000 (1)
ここでは、13C/12Cの標準試料として国際標準であるPeeDee層のヤイシ類の化石(PDB)を基にしたVPDB(Vienna Pee Dee Belemnite)を用いた。
図8から、イソプレンのδ13C値は昼食後の15:30に極大になっていることがわかる。これは、昼食により体内に糖質が供給されたため、イソプレンの原料であるアセチル-CoAの起源が脂肪酸からグルコースへと傾いたためと考えられる。
また、イソプレン濃度とイソプレンのδ13C値は負の相関があることがわかる。これは、HMG-CoAレダクターゼが関与するイソプレンの合成量が少ない時ほど速度論的効果が高まる、即ち、δ13C値は減少するからと考えられる。
以上、呼気試料中に含まれるイソプレンの13C/12Cを測定する実施例について詳細に説明したが、ガスクロマトグラフィー法によって分離抽出可能な成分であれば、本発明の呼気試料採取容器および分析方法によって、呼気試料中に含まれるアセトンなど任意の揮発性有機化合物の13C/12Cを測定することが可能である。
[実施例2]
次に、呼気中のイソプレン濃度、及びイソプレン中の天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の変化と、血糖値の変化の相関性を調べるため、二人の被験者aおよびbの呼気分析、及び血糖値測定を行った。被験者の呼気を7時から22時の間で3時間ごとに4日間採取し、呼気分析を行った。呼気分析と同時に血糖値測定も行った。1〜3日目までは一日3食を8、12、18時にとった。3日目の18時から4日目の18時までの24時間は絶食を行った。また、呼気の採取方法、呼気中のイソプレン濃度、及びイソプレン中の天然の安定炭素同位体比(13C/12C)の分析方法は前述の方法と同じ方法で行った。被験者aの結果を図9に、被験者bの結果を図10に示す。また、図9、10のデータから血糖値とイソプレン濃度、および炭素同位体比の関係をプロットしたものを図11に示す。
図9(c)、図10(c)から、血糖値とイソプレン濃度の変動には、共通した特徴がないことがわかる。これらのデータの血糖値をx軸に、イソプレン濃度をy軸にプロットし、線形近似を加えたグラフを、それぞれ図11(b)、図11(d)に示す。
血糖値とイソプレン濃度の近似直線は、被験者a(図11(b))の場合、
y = -1.04x + 385, R2 = 0.089
被験者b(図11(d))の場合、
y = -0.375x + 276, R2 = 0.082
となり、血糖値とイソプレン濃度には相関性がないことがわかる。
一方、図9(b)、図10(b)から、血糖値が上昇するときイソプレンの炭素同位体比も上昇し、血糖値が下降するときはイソプレンの炭素同位体比も下降しており、血糖値の増減とイソプレンの炭素同位体比の増減は一致していることがわかる。図9(b)、図10(b)のデータから、血糖値をx軸に、イソプレンの炭素同位体比をy軸にプロットし、線形近似を加えたグラフを、それぞれ図11(a)、図11(c)に示す。
血糖値とイソプレンの炭素同位体比の近似直線は、被験者a(図11(a))の場合、
y = 0.0345x - 31.87, R2 = 0.426
被験者b(図11(c))の場合、
y = 0.0345x - 33.00, R2 = 0.189
となり、血糖値とイソプレンの炭素同位体比には正の相関性があることがわかる。従って、呼気中イソプレンの炭素同位体比を調べることにより、血糖値を間接的にモニターすることが可能となる。
これらの結果から、イソプレンの炭素同位体比は血糖値の上昇や下降を示していると考えられる。生体内のイソプレンは肝臓でアセチル-CoAから生産される。アセチル-CoAはグルコースおよび脂肪酸を原料としている。脂肪酸のδ13C値は6‰だけグルコースより低いと報告されている。したがって、血糖値が上昇しアセチル-CoA生産におけるグルコースの反応寄与率が上がると、イソプレンのδ13C値も上昇すると考えられる。本実験で、イソプレンの炭素同位体比が上昇するとき血糖値も同時に上昇している結果となったのは以上のようなメカニズムに基づくものと考えられる。
以上から、イソプレン炭素同位体比はアセチル-CoA生産におけるグルコース及び脂肪酸の炭素同位体比と反応寄与率を反映していると考えられる。イソプレン動態を用いてグルコース代謝を知ることができれば、糖代謝に障害が生じる糖尿病のような病気の診断や、ダイエット管理などに応用できる可能性がある。
血糖値を測定するには、血液を採取する必要があり被験者にかかる負担が大きい。呼気分析により血糖値をモニターすることができれば、被験者にかかる負担が小さくメリットが大きい。本発明は、呼気中のイソプレン濃度からは血糖値をモニターすることは難しいが、呼気中イソプレンの炭素同位体比を測定することにより、血糖値をモニターすることが可能であることを示すものであり、被験者の負担低減等、多くのメリットを有するものである。
本発明の方法は、高脂質血症などの代謝異常にかかわる病気の診断や経過観測に利用できる可能性のあるものである。
1 注入口
2 注入口開閉弁
3 排出口
4 排出口開閉弁
5 貯蔵部
6 抽出口
7 セプタム
8 乾燥剤
9 呼気試料採取容器
10 SPME機器
11 ホルダー部
12 ニードル部

Claims (9)

  1. 呼気試料中に含まれるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析する方法であって、呼気試料中に含まれるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を測定する工程を含むことを特徴とする分析方法。
  2. 呼気試料中に含まれるイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析する方法であって、
    (a)呼気試料中に含まれるイソプレンを、呼気試料から濃縮抽出する工程と、
    (b)濃縮抽出されたイソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を測定する工程を含むことを特徴とする分析方法。
  3. 呼気試料中に含まれるイソプレンを濃縮抽出する手段が、マイクロ固相抽出(SPME)法であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. イソプレンの天然の安定炭素同位体比(13C/12C)を分析する方法が、ガスクロマトグラフィー−燃焼−同位体比質量分析法(GC−C−IRMS)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 呼気試料中に含まれるイソプレンを濃縮抽出する際に呼気試料採取容器を用い、前記呼気試料採取容器が、
    呼気を吹き入れるための注入口と、吹き入れられた前記呼気を呼気試料として貯蔵するための貯蔵部と、貯蔵された前記呼気試料を排出するための排出口とを具備し、
    前記注入口を開閉するための注入口開閉弁と、前記排出口を開閉するための排出口開閉弁とを更に具備することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記呼気試料採取容器が、前記呼気試料から揮発したイソプレンを固相マイクロ抽出(SPME)するための抽出口を具備することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 前記呼気試料採取容器が、前記呼気試料から揮発したイソプレンを抽出するための抽出口を具備し、前記抽出口が、樹脂から成るセプタムにより封止されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記貯蔵部の内部に乾燥剤を具備することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法を含み、前記同位体比の変化をモニタリングして血糖値の変化に関連付ける工程を更に含むことを特徴とする、血糖値のモニタリング方法。
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