本発明を実施するための形態(実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組合せることが可能である。
図1は、本実施形態に係る光学式エンコーダユニットの断面模式図である。図2は、光学スケール及び光学センサユニットの配置の一例を説明する説明図である。図3は、本実施形態に係る光学式エンコーダのブロック図である。図4は、本実施形態に係る光学スケールのパターンの一例を示す説明図である。光学式エンコーダユニット31は、モータ等の回転機械に連結されたシャフト12を有するロータ10と、ステータ20と、信号パターンを読み取り可能な光学センサユニット35とを有している。
ロータ10は、図2に示す円板形状(又は多角形形状)の部材である光学スケール11を有している。光学スケール11は例えば、シリコン、ガラス、高分子材料などで形成されている。光学スケール11は円輪状もしくは中空であってもよい。図4に示す光学スケール11は、信号トラックT1を一方の板面に有している。また、ロータ10には、光学スケール11の取り付けられた板面に対し他方の板面にシャフト12が取り付けられている。光学スケール11は、傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転中心Zr(図1)と直交する平面に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
図1に示すように、ステータ20は、筒状のカバー21と、センサ基板23とを備えている。筒状のカバー21は、ロータ10とは独立にセンサ基板23の側面を覆うように固定され、ロータ10がステータ20に対して相対回転できる。カバー21は、軸受26a,26bと、シャフト12と、シャフト12の端部に取り付けられた光学スケール11と、光学センサユニット35とを囲む、遮光性の部材でできている。このため、カバー21の内部は、外来の光ノイズを抑制できる。カバー21は、筒状であれば、円筒であってもよいし、外径が三角、四角、六角、八角などの角筒であってもよい。
カバー21は、軸受26a,26bを介してシャフト12を回転可能に支持する。カバー21の内周が軸受26a,26bの外輪に固定されており、シャフト12の外周が軸受26a,26bの内輪に固定されている。シャフト12がモータ等回転機械からの回転により回転すると、シャフト12に連動して光学スケール11が回転中心Zrを軸中心として回転する。光学センサユニット35は、センサ基板23に固定されている。ロータ10が回転すると、光学スケール11の信号トラックT1(図4)が光学センサユニット35に対して相対的に移動する。
図1に示すように、光学式エンコーダユニット31は、フレキシブル基板23FPに固定されたコネクタCNTを有している。コネクタCNTは、入出力端子であり、フレキシブル基板23FPの表面又は内部に設けられた導電体の配線25に電力を供給し、光学センサユニット35からの検出信号を、プリアンプAMPを介して外部に出力することができる。
プリアンプAMPは、パッケージ品のアンプ上に直接に光学センサユニット35を積層している。プリアンプAMPがカバー21内部に内蔵されるので、耐久性を高めることができる。プリアンプAMPは、ベアチップ上に受光素子と増幅回路とを搭載してもよい。また、プリアンプAMPは、受光素子と増幅回路とを半導体プロセスで一体的に形成してもよい。
センサ基板23の表面及び内部には、配線25に接続される配線及び回路が配線されており、配線25と直接又は配線25に接続される配線及び回路を介して、カバー21の内側に沿って設けられた配線24の一端が電気的に接続されている。このため、センサ基板23及びフレキシブル基板23FPの表面又は内部に設けられた導電体の配線25と、カバー21の内側に沿って設けられた配線24とは、コネクタCNT、プリアンプAMP、光学センサユニット35及び光源41を適宜接続している。
なお、光学式エンコーダユニット31は、フレキシブル基板23FPを保護するため、蓋部材29を裏面側より取り付けてもよい。蓋部材29は、遮光性の絶縁体であるとより好ましい。
上述したロータ10のシャフト12が回転すると、図2に示すように、光学スケール11が、例えばR方向に光学センサユニット35に対して相対的に移動する。光学スケール11は、面内における偏光子の偏光方向Pmが所定の方向を向いており、かつ偏光方向Pmが回転により変化する。光学センサユニット35は、光源41の光源光71が光学スケール11を透過して入射する入射光(透過光)73を受光して、図4に示す光学スケール11の信号トラックT1を読み取ることができる。
本実施形態に係る光学式エンコーダユニット31は、光源41を光源基板42の表面に固定している。光源基板42は、シャフト12が貫通する孔部42Hが開けられており、センサ基板23と光源基板42とが光学スケール11を挟んで、対向するように配置されている。また、光源41は、例えば発光ダイオード、半導体レーザ光源である。
光学式エンコーダ2は、上述した光学式エンコーダユニット31と、演算装置3と、を備えており、図3に示すように、光学式エンコーダユニット31と、演算装置3とが接続されている。演算装置3は、例えばモータ等の回転機械の制御部5と接続されている。
光学式エンコーダユニット31は、光学スケール11に光源光71が透過して入射する入射光73を光学センサユニット35で検出する。演算装置3は、光学センサユニット35の検出信号から光学式エンコーダユニット31のロータ10と光学センサユニット35との相対位置を演算し、相対位置の情報を制御信号として、モータ等の回転機械の制御部5へ出力する。
演算装置3は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、入力インターフェース4aと、出力インターフェース4bと、CPU(Central Processing Unit)4cと、ROM(Read Only Memory)4dと、RAM(Random Access Memory)4eと、内部記憶装置4fと、を含んでいる。入力インターフェース4a、出力インターフェース4b、CPU4c、ROM4d、RAM4e及び内部記憶装置4fは、内部バスで接続されている。なお、演算装置3は、専用の処理回路で構成してもよい。
入力インターフェース4aは、光学式エンコーダユニット31の光学センサユニット35からの入力信号を受け取り、CPU4cに出力する。出力インターフェース4bは、CPU4cから制御信号を受け取り、制御部5に出力する。
ROM4dには、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置4fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU4cは、RAM4eをワークエリアとして使用しながらROM4dや内部記憶装置4fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
記憶手段である内部記憶装置4fには、光学スケール11における偏光軸と光学センサユニット35のセンサの出力とを対応付けたデータベースが記憶されている。又は、内部記憶装置4fには、図2に示す距離Lの値と、光学スケール11の位置情報とを対応付けたデータベースが記憶されている。
図4に示す信号トラックT1は、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線(ワイヤー)gの配列が図1に示す光学スケール11に形成されている。光学スケール11は、信号トラックT1として、隣り合う金属細線gを平行に直線的に配置している。このため、光学スケール11は、光源光71が照射される位置によらず同じ偏光軸となり、面内における偏光子の偏光方向が一方向を向いている。
また、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線gを有する光学スケール11は、光誘起の偏光板に比較して、光学スケール11は耐熱性を高めることができる。また、光学スケール11は、局所的にも、交差するような部分のないラインパターンとなっているため、精度が高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。また、光学スケール11は、一括した露光又はナノインプリント技術により安定して製造することもできるため、精度が高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。なお、光学スケール11は、光誘起の偏光板としてもよい。
複数の金属細線gは、交差せず配置されている。隣り合う金属細線gの間は、光源光71の全部又は一部が透過可能な透過領域dである。金属細線gの幅及び隣り合う金属細線gの間隔、つまり金属細線gの幅及び透過領域dの幅は、光源41の光源光71の波長より十分小さくする場合、光学スケール11は、光源光71の入射光73を偏光分離することができる。このため、光学スケール11は、面内における偏光方向(偏光軸)Pmが一様な偏光子を有している。光学スケール11は、回転する周方向において、光学センサユニット35へ入射する入射光の偏光軸が光学スケール11の回転に応じて変化する。本実施形態において、偏光軸の変化は、光学スケール11の1回転に対して2回の増減を繰り返すことになる。
光学スケール11は、偏光方向の異なるセグメントを細かくする必要がない。そして、光学スケール11は、一様な偏光軸Pmを有しているため、偏光軸Pmの異なる領域の境界がなく、この境界による入射光73の偏光状態の乱れを抑制できる。本実施形態の光学式エンコーダ2は、誤検出又はノイズを生じさせる可能性を低減することができる。
図5は、本実施形態に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。図6は、本実施形態に係る光学センサの第1受光部の一例を説明するための説明図である。図7は、本実施形態に係る光学センサの第3受光部の一例を説明するための説明図である。図2及び図5に示すように、光学センサユニット35は、それぞれ偏光方向の異なる第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を有する複合偏光層(四面割付偏光層ともいう)30と、この複合偏光層30の第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4にて異なる偏光方向に分離された光をそれぞれ受光する第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4とを備える。複合偏光層30は、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を備えて単一の板体として一体に形成されている。
複合偏光層30は、図5に示すように、全体形状が矩形(正方形)の板状に形成され、一対の対角線30A,30Aによって区分けされた領域に第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4が配置されている。本実施形態では、複合偏光層30は、第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4における隣接する2つの側面部51B〜54Bを連結して板体として形成されている。具体的には、第1偏光層PP1は、直角に形成された角部51Aと、この角部51Aを挟む側面部51B,51Bとを備えた直角二等辺三角形状に形成されている。同様に、第2偏光層PP2は、直角の角部52Aと、この角部52Aを挟む側面部52B,52Bとを備え、第3偏光層PP3は、直角の角部53Aと、この角部53Aを挟む側面部53B,53Bとを備え、第4偏光層PP4は、直角の角部54Aと、この角部54Aを挟む側面部54B,54Bとを備えて、それぞれ直角二等辺三角形状に形成されている。そして、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4は、それぞれ角部51A〜54Aを突き合わせると共に、隣り合った側面部51B〜54B同士を連結させて一体化されている。
この構成によれば、偏光方向の異なる第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を相互に連結して複合偏光層30を形成したため、各偏光層の偏光方向の相対的なズレの発生を防止でき、光学式エンコーダユニット31が検出する位置や角度の検出精度の向上を実現できる。さらに、本実施形態によれば、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を、それぞれ直角二等辺三角形に形成し、各偏光層PP1〜PP4における隣り合った側面部51B〜54B同士を連結させて一体化されているため、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を容易、かつ、正確に連結することができる。
図2に示すように、光源41から照射される光源光71は、光学スケール11を透過して、入射光73として、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4をそれぞれ透過し、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4に入射する。本実施形態では、各偏光層PP1〜PP4における隣り合った側面部51B〜54Bを突き合わせることで形成される対角線30A,30Aの交点が複合偏光層30の中心S0となり、この中心S0を挟んで、第1偏光層PP1と第3偏光層PP3とが対角に配置され、第2偏光層PP2と第4偏光層PP4とが対角に配置されている。また、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、それぞれ、対応する第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4に、平面視で中心S0から等距離に配置されている。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
また、第1受光部PD1が中心S0を介して第3受光部PD3と点対称の位置に配置され、第2受光部PD2が中心S0を介して第4受光部PD4と点対称の位置に配置されている。本実施形態では、第1受光部PD1、中心S0及び第3受光部PD3を通過する複合偏光層30上の仮想軸をX軸とし、第2受光部PD2、中心S0及び第4受光部PD4を通過する複合偏光層30上の仮想軸をY軸とする。図5において、X軸はY軸と複合偏光層30の表面上で直交している。また、図2に示すように、光源41の出射面と、中心S0との距離をLとする。X軸とY軸とによるXY平面は、光源41の出射面と中心S0とを結ぶZ軸と直交している。
図2に示すように、Z軸方向から平面視でみると、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれが光源41の周囲に配置されている。第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれから中心S0までの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
図6に示すように、第1受光部PD1は、シリコン基板34と、受光部37とを備え、受光部37側に第1偏光層PP1が配置される。また、図7に示すように、第3受光部PD3は、シリコン基板34と、受光部37とを備え、受光部37側に第3偏光層PP3が配置される。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層PP1及び第3偏光層PP3は、光誘起の偏光層、又は金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層PP1は、図2に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第1の偏光方向に分離し、第3偏光層PP3は、上記入射光を第3の偏光方向に分離する。これら第1の偏光方向(偏光軸)と、第3の偏光方向(偏光軸)とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
同様に、図6及び図7を用いて説明すると、第2受光部PD2は、シリコン基板34と、受光部37とを備え、受光部37側に第2偏光層PP2が配置される。また、第4受光部PD4は、シリコン基板34と、受光部37とを備え、受光部37側に第4偏光層PP4が配置される。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第2偏光層PP2及び第4偏光層PP4は、光誘起の偏光層、又は金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第2偏光層PP2は、図2に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第2の偏光方向に分離し、第4偏光層PP4は、上記入射光を第4の偏光方向に分離する。これら第2の偏光方向(偏光軸)と、第4の偏光方向(偏光軸)とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、入射光73をそれぞれ異なる偏光方向に分離する第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を介して受光する。このため、第1偏光層PP1が分離する第1の偏光方向(偏光軸)と、第2偏光層PP2が分離する第2の偏光方向(偏光軸)とは、相対的に45°異なることが好ましい。また、第2偏光層PP2が分離する第2の偏光方向(偏光軸)と、第3偏光層PP3が分離する第3の偏光方向(偏光軸)とは、相対的に45°異なることが好ましい。また、第3偏光層PP3が分離する第3の偏光方向(偏光軸)と、第4偏光層PP4が分離する第4の偏光方向(偏光軸)とは、相対的に45°異なることが好ましい。また、第4偏光層PP4が分離する第4の偏光方向(偏光軸)と、第1偏光層PP1が分離する第1の偏光方向(偏光軸)とは、相対的に45°異なることが好ましい。このように、本実施形態では、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4は、それぞれ入射光73を45°ずつ異なる第1〜第4の偏光方向に分離するため、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
図8、図9及び図10は、本実施形態に係る光学スケール11による偏光成分の分離を説明するための説明図である。図8に示すように、光学スケール11の信号トラックT1により偏光方向Pmに偏光された入射光が入射する。図8において、センシング範囲には、異物D1及び異物D2がある。入射光の偏光方向Pmは、一方の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、他方の偏光方向の成分の光強度PI(+)と、で表現することができる。これら一方の偏光方向と他方の偏光方向とは、上述した第1の偏光方向及び第3の偏光方向、または、第2の偏光方向及び第4の偏光方向のように、90°異なる方向であることが好ましく、基準方向に対して例えば+45°成分と−45°成分のようになっている。図8、図9及び図10において、ワイヤーグリッドの軸方向は、紙面に対して平行に示されているが、紙面に対して同一の角度で傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転軸に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
第1受光部PD1は、図9に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層PP1を介して検知するため、一方の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第3受光部PD3は、図10に示すように、入射光を第3の偏光方向に分離する第3偏光層PP3を介して検知するため、他方の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。同様に、第2受光部PD2は、図9に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層PP2を介して検知するため、一方の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第4受光部PD4は、図10に示すように、入射光を第4の偏光方向に分離する第4偏光層PP4を介して検知するため、他方の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。
図11は、本実施形態に係る光学式エンコーダ2の機能ブロック図である。図12は、本実施形態に係る光学スケール11の回転角度と各受光部の偏光成分の光強度変化を説明するための説明図である。図11に示すように、光源41は、基準信号に基づいた発光を行い、光学スケール11に光源光71を照射する。透過光である入射光73は、受光部である光学センサユニット35に受光される。図11に示すように、プリアンプAMPで増幅された受光信号は、差動演算回路DSで差動演算処理を行う。
差動演算回路DSは、光学センサユニット35の検出信号である、一方の偏光方向の成分(第1分離光)の光強度PI(−)と、他方の偏光方向の成分(第2分離光)の光強度PI(+)とを取得する。この光強度PI(−)と、光強度PI(+)とに対応する、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれの出力は、例えば、図12のように、光学スケール11の回転に応じて、位相がずれた光強度I1、I2、I3及びI4である。
差動演算回路DSは、式(1)及び式(2)に従って、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vc及びVsを演算する。
Vc=(I1−I3)/(I1+I3)…(1)
Vs=(I2−I4)/(I2+I4)…(2)
このように、差動演算回路DSは、光強度I1及び光強度I3に基づいて、光強度の和[I1+I3]と、光強度の差[I1−I3]を演算し、光強度の差[I1−I3]を光強度の和[I1+I3]で除した差動信号Vcを演算する。また、差動演算回路DSは、光強度I2及び光強度I4に基づいて、光強度の和[I2+I4]と、光強度の差[I2−I4]を演算し、光強度の差[I2−I4]を光強度の和[I2+I4]で除した差動信号Vsを演算する。式(1)及び式(2)により演算した差動信号Vc及びVsには、光源光71の光強度の影響を受けるパラメータが含まれておらず、光学式エンコーダユニット31の出力は、光学センサユニット35と光学スケール11との距離、光源41の光強度のばらつき等の影響を低減することができる。そして、式(1)に示すように、差動信号Vcは、光学スケール11の回転角度となる光学スケール11の偏光軸の回転角度(以下、偏光角という)βの関数となる。ただし、光源の光量を一定に制御するオートパワーコントロール(APC)を備えている場合は、上述の除算は不要である。
図11に示すように、差動信号Vc及びVsは、フィルター回路NRに入力され、ノイズ除去される。次に、逓倍回路APでは、差動信号Vc及びVsから図13に示すリサージュパターンを演算し、初期位置から回転したロータ10の回転角度の絶対角度を特定することができる。差動信号Vc及びVsは、λ/4位相がずれた差動信号であるので、差動信号Vcのコサインカーブを横軸へ、差動信号Vsのサインカーブを縦軸にとったリサージュパターンを演算し、回転角度に応じて、リサージュ角が定まることになる。例えば、図13に示すリサージュパターンは、ロータ10が1回転すると2周する。演算装置3は、光学スケール11の回転位置が0°以上180°未満の範囲にあるか、180°以上360°未満の範囲にあるかを記憶する機能を有する。このように、光学式エンコーダ2は、光学スケール11の回転位置が0°以上180°未満の範囲にあるか、180°以上360°未満の範囲にあるかを記憶装置に記憶し、起動時に読み出す演算手段を有し、光学スケール11と光学センサユニット35との絶対的な移動量を演算する。これにより、光学式エンコーダ2は、ロータ10の絶対位置が演算できるアブソリュートエンコーダとすることができる。図11に示す構成以外にも、光学式エンコーダユニット31は、光学センサユニット35とプリアンプAMPまでを含んだ構成としてもよい。
上述したように、光学センサユニット35は、偏光方向の異なる第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を有する複合偏光層30と、この複合偏光層30の第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4にて異なる偏光方向に分離された光をそれぞれ受光する第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4とを備えて構成されている。この構成において、各受光部PD1〜PD4で受光した入射光に基づいて、ロータ10の絶対位置を正確に演算するためには、複合偏光層30において各偏光方向に正確に分離する必要がある。このため、複合偏光層30が有する第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を正確に配列することが重要である。次に、複合偏光層30の製造方法について説明する。図14は、本実施形態に係る複合偏光層を製造する手順を示すフローチャートであり、図15は、複合偏光層を製造する手順を示す説明図である。
まず、偏光方向の異なる4種類の偏光板A(第1偏光板;第1偏光層PP1に相当)、偏光板B(第2偏光板;第2偏光層PP2に相当)、偏光板C(第3偏光板;第3偏光層PP3に相当)、及び、偏光板D(第4偏光板;第4偏光層PP4に相当)を作成する(ステップS1)。この場合、後に短冊状に切断する方向に沿った方向を基準方向P(図15参照)とし、この基準方向Pに対して、例えば、偏光板Aの偏光方向は45°、偏光板Bの偏光方向は90°、偏光板Cの偏光方向は135°、偏光板Dの偏光方向は0°(180°)となるように各偏光板A〜Dを作成する。
続いて、偏光板A、偏光板Bを短冊状に切断して、偏光板A短冊(第1偏光短冊)61、偏光板B短冊(第2偏光短冊)62を製作する(ステップS2)。この場合、偏光板A、偏光板Bは、図15(a)に示すように、上記した基準方向Pに沿って切断される。切断には、例えば、ダイシングソーを使用することが好ましい。また、偏光板A短冊61、偏光板B短冊62は、いずれも短手方向の幅が幅Wとなるように切断される。続いて、図15(b)に示すように、偏光板A短冊61と偏光板B短冊62とを交互に配列する。この場合、各短冊61、62の長辺同士が当接するように配列する。そして、交互に配列した偏光板A短冊61、偏光板B短冊62に仮止テープを貼り付けて仮固定する(ステップS3)。この仮止テープは、偏光層に傷や汚れをつけずに、後工程で剥がせるものであり、例えば、カプトンテープが好ましい。また、仮止テープの代わりに、仮止め用接着剤を塗布したガラス板を用いてもよい。
続いて、図15(c)に示すように、仮止めした偏光板A短冊61及び偏光板B短冊62を、各短冊を配列した方向、すなわち、基準方向Pに直交する方向Qに沿って切断し(ステップS4)、AB混合短冊(第1第2混合偏光短冊)63を形成する(ステップS5)。この場合、AB混合短冊63は、例えば、ダイシングソーを用いて、短手方向の幅が幅Wとなるように切断される。
次に、偏光板C、偏光板Dを短冊状に切断して、偏光板C短冊(第3偏光短冊)64、偏光板D短冊(第4偏光短冊)65を形成する(ステップS6)。この場合、偏光板C、偏光板Dは、図15(d)に示すように、上記した基準方向Pに沿って切断される。また、偏光板C短冊64、偏光板D短冊65は、例えば、ダイシングソーを用いて、いずれも短手方向の幅が幅Wとなるように切断される。その後は、偏光板A、Bの場合と同様に、図15(e)に示すように、偏光板C短冊64と偏光板D短冊65とを交互に配列し、交互に配列した偏光板C短冊64、偏光板D短冊65に仮止テープを貼り付けて仮固定する(ステップS7)。続いて、図15(f)に示すように、仮止めした偏光板C短冊64及び偏光板D短冊65を、各短冊を配列した方向である方向Qに沿って切断し(ステップS8)、CD混合短冊(第3第4混合偏光短冊)66を形成する(ステップS9)。この場合、CD混合短冊66は、例えば、ダイシングソーを用いて、短手方向の幅が幅Wとなるように切断される。
続いて、図15(g)に示すように、ステップS5で形成したAB混合短冊63と、ステップS9で形成したCD混合短冊66とを交互に配列する(ステップS10)。この場合、図18に示すように、AB混合短冊63が有する偏光板A部分に、CD混合短冊66が有する偏光板D部分が接するように配置する。この点にのみ注意して配置することにより、偏光板A部分の対角に偏光方向が90°異なる偏光板C部分を配置することができ、偏光板の配置ミスを抑制することができる。
続いて、交互に配列されたAB混合短冊63とCD混合短冊66とを整列する。本実施形態では、図16に示すアライメント装置(製造装置)80が使用される。アライメント装置80は、ベース板81上に配置されたXYZ軸ステージ82と、θ軸ステージ(ステージ)83とを備え、このθ軸ステージ83上には、AB混合短冊63とCD混合短冊66とが交互に配列される。ここで、AB混合短冊63及びCD混合短冊66は、それぞれθ軸ステージ83上に載せられ、このθ軸ステージ83上で交互に配列されても良いし、また、θ軸ステージ83とは別の場所で、予め交互に配列されたAB混合短冊63及びCD混合短冊66をそのままθ軸ステージ83上に載せても良い。
XYZ軸ステージ82は、対象物(θ軸ステージ83上に配列された各短冊)を所定方向に押圧する押し子84を備え、この押し子84を自在に移動させることができる。θ軸ステージ83は、円板状のステージをθ方向に回転可能に構成され、このステージの載置面83Aには、配列されたAB混合短冊63及びCD混合短冊66の位置を規制するL字形のアタッチメント(規制部)85が設けられている。このアタッチメント85は、図17に示すように、ステージの載置面83Aに固定され、該アタッチメント85の内側面85A,85BにAB混合短冊63及びCD混合短冊66が押し付けられる。本実施形態では、交互に配列されたAB混合短冊63とCD混合短冊66とを、θ軸ステージ83の載置面83A上に載せるとともに、アタッチメント85の内側面85Aに向けて押し子84を移動させる。この押し子84は、AB混合短冊63及びCD混合短冊66をアタッチメント85の内側面85Aに機械的に押し付けることで、図18に示すように、幅W四方に切断された各偏光層(各偏光板の小片)は碁盤目状に整列される。この場合、各短冊を仮止めしていたテープを取り外しておくことが好ましい。続いて、θ軸ステージ83を90°回転させた状態で、今度は、押し子84をアタッチメント85の内側面85Bに向けて移動させる。この押し子84は、AB混合短冊63及びCD混合短冊66をアタッチメント85の内側面85Bに機械的に押し付けることができる。このように、θ軸ステージ83を90°回転させることにより、押し子84をアタッチメント85に2回押し付ける作業で簡単に偏光層の整列を行うことができる。
さて、押し子84をアタッチメント85に向けて移動させることで、AB混合短冊63及びCD混合短冊66を整列させる構成では、これらAB混合短冊63及びCD混合短冊66が有する各偏光層(各偏光板の小片)の大きさが小さいため、押し子84の荷重のかけ過ぎにより、配列された偏光層が浮き上がってバラバラになってしまうことが想定される。一旦、配列された偏光層がバラバラに分散してしまうと、各偏光層の表面に傷が生じる可能性が高くなり、最終完成品である複合偏光層(四面割付偏光層)30の歩留まりが低下することとなる。本実施形態では、図17に示すように、θ軸ステージ83は、AB混合短冊63及びCD混合短冊66を、θ軸ステージ83の載置面83Aに吸着するポーラスチャック(吸着部)86を備える。ポーラスチャック86は、ポーラス(多孔質体)が形成された中空のケース体であり、図16に示すように、載置面83Aにポーラス(多孔質体)は露出するようにθ軸ステージ83に配置される。ポーラスチャック86はノズル87を介して、例えば、不図示の真空ポンプに接続され、この真空ポンプの運転により、ポーラス(多孔質体)を通じて、AB混合短冊63及びCD混合短冊66に対して負圧がかかるようになっている。このため、載置面83Aに配列されたAB混合短冊63及びCD混合短冊66は、載置面83Aに吸着される。ポーラスチャック86の材料は、セラミックポーラスやメタルポーラスを用いることができ、本実施形態では、多孔質性シリコン(シリコンポーラス)が用いられている。なお、AB混合短冊63及びCD混合短冊66を載置面83Aに吸着できる構成であれば、ポーラスチャック86を用いなくてもよく、吸着部として、例えば、載置面83Aに多数の真空引き用の孔を設けた構成としても良い。
また、本実施形態では、図17に示すように、AB混合短冊63及びCD混合短冊66の浮き上がりを防止するために、AB混合短冊63及びCD混合短冊66の上に、浮き上がり防止板88が配置されている。浮き上がり防止板88は、ポーラスチャック86の吸着を補助するものであり、AB混合短冊63及びCD混合短冊66を上から押さえることで浮き上がりを防止する。この浮き上がり防止板88は、AB混合短冊63及びCD混合短冊66の状態を目視で確認できるように、ガラスや透明樹脂プレート等のような透明な板体で形成されることが好ましい。なお、浮き上がり防止板88を配置せずに、ポーラスチャック86のみでAB混合短冊63及びCD混合短冊66を載置面83Aに吸着しても良い。
また、アライメント装置80は、整列されたAB混合短冊63及びCD混合短冊66を一体に固定する固定部90を備える。具体的には、アライメント装置80は、図16に示すように、固定部90として、AB混合短冊63及びCD混合短冊66の上面に配置されるUV(Ultra Violet)硬化性の接着剤91付のカバーガラス92と、AB混合短冊63及びCD混合短冊66に向けて紫外線を照射する紫外線照射ランプ93とを備える。
再び製造手順に戻る。続いて、整列されたAB混合短冊63とCD混合短冊66とを一体に固定する。本実施形態では、浮き上がり防止板88を取り除いた後に、AB混合短冊63及びCD混合短冊66の上面に接着剤91付きのカバーガラス92を載せる(ステップS11)。接着剤は、例えば、UV(Ultra Violet)硬化性のものが好ましい。そして、カバーガラス92を通じて、紫外線照射ランプ93を用いて、紫外線を照射することにより、接着剤を硬化させる(ステップS12)。これにより、図18に示すように、幅Wの正方形に切断された偏光板A〜Dが碁盤目状に配列されたABCD混合偏光板(第1第2第3第4混合偏光板)67が形成される。この構成では、接着剤91の取り扱い、及び、硬化作業(一体化作業)を容易に行うことができ、載置面83A上に整列されたAB混合短冊63及びCD混合短冊66を簡単、かつ、精度良く一体に固定することができる。
続いて、ABCD混合偏光板67から偏光板A〜Dをそれぞれ含む領域68を切り出す(ステップS13)。この領域68は、偏光板A〜D(第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4)を備えて一体化されたものであるので、このまま複合偏光層として使用することもできる。一方で、領域68は、短冊を切断した際の幅Wの2倍の幅を有するため、実際の使用には大きすぎるおそれがある。このため、本実施形態では、図19に示すように、各偏光板A〜Dをそれぞれ対角線68A、68B、68C、68Dに沿って切断することにより、図20に示す複合偏光層(四面割付偏光層)30が取り出される(ステップS14)。この切断作業により、複合偏光層30は面積が1/2に縮小される。
この複合偏光層30は、第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4がそれぞれ幅W1(√2W)の幅を有するため、各第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4は、それぞれ第1受光部PD1〜第4受光部PD4を配置するに十分な領域を確保することができる。本実施形態の製造方法では、幅2Wで形成した領域68の四隅を切断して、幅W1(√2W)の正方形にしている。この構成では、幅Wに切断した短冊を組み合わせて領域68を形成するため、組み合わせる作業を比較的容易にできる。また、領域68の四隅は、切断されて不要となるため、この切断作業を精密に行う必要はない。これに対して、例えば、偏光板A〜Dを碁盤目状に配置した構成のまま、幅W1の複合偏光層を形成しようとすると、各短冊の幅を1/2×W1に設定する必要があり、製造工程がより細かい作業となってしまう。従って、本実施形態に製造方法では、偏光層の偏光方向の相対的なズレの発生を防止できる複合偏光層30を簡易に製造でき、生産性の向上を図ることができる。
以上、説明したように、本実施形態の光学式エンコーダユニット31は、光源41と、偏光方向が回転により変化する光学スケール11と、光源41の光源光が光学スケール11を介して入射する入射光73を受光する光学センサユニット35とを備え、光学センサユニット35は、入射光73をそれぞれ異なる4つの偏光方向に分離する第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を有し、第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4における隣接する2つの側面部51B〜54Bが互いに接して板状に一体化された複合偏光層30を備えるため、第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4の偏光方向の相対的なズレの発生を防止でき、光学式エンコーダユニット31の精度向上を実現できる。
また、本実施形態によれば、第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4は、入射光73を45°ずつ異なる偏光方向に分離するため、分離した入射光73を光学センサユニット35が受光した際に、受光した入射光73に基づいて偏光角度の演算を容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4は、それぞれ2つの側面部51B〜54Bで挟まれた角部51A〜54Aが直角に形成されているため、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を組み合わせて一体化された複合偏光層30を簡単に形成することができる。
また、本実施形態によれば、複合偏光層30は、対角上に配置される第1偏光層PP1と第3偏光層PP3、及び、第2偏光層PP2と第4偏光層PP4とが、それぞれ入射光73を相対的に90°異なる偏光方向に分離するため、この分離した入射光73を光学センサユニット35が受光した際に、受光した入射光73に基づいて偏光角度の演算を容易に行うことができる。
また、複合偏光層30は、第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4を、それぞれ2つの側面部51B〜54B同士を結ぶ対角線(直線)68A〜68Bに沿って切断し、全体を矩形状に形成されたため、第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4にそれぞれ、光学センサユニット35の第1受光部PD1〜第4受光部PD4を配置する領域を確保しつつ、複合偏光層30の小型化を図ることができる。
また、本実施形態の複合偏光層30の製造方法によれば、偏光方向が45°ずつ異なる偏光板A、偏光板B、偏光板C及び偏光板Dをそれぞれ短冊状に切断し、偏光板A短冊61、偏光板B短冊62、偏光板C短冊64、及び偏光板D短冊65を形成するステップと、偏光板A短冊61及び偏光板B短冊62を交互に配列して固定すると共に、これら偏光板A短冊61及び偏光板B短冊62を配列した方向Qに沿って切断し、AB混合短冊63を形成するステップと、偏光板C短冊64及び偏光板D短冊65を交互に配列して固定すると共に、これら偏光板C短冊64及び偏光板D短冊65を配列した方向Qに沿って切断し、CD混合短冊66を形成するステップと、AB混合短冊63及びCD混合短冊66を交互に配列して固定し、ABCD混合偏光板67を形成するステップと、ABCD混合偏光板67から偏光板A、偏光板B、偏光板C及び偏光板Dの一部をそれぞれ含む領域68を切り出すステップと、を備えるため、偏光方向の相対的なズレの発生を防止し、精度向上を実現する複合偏光層30を簡易に製造でき、生産性の向上を図ることができる。
また、本実施形態のアライメント装置80は、偏光板A及び偏光板Bを交互に配列して短冊状に形成されたAB混合短冊63と偏光板C及び偏光板Dを交互に配列して短冊状に形成されたCD混合短冊66とが交互に配列されるθ軸ステージ83と、θ軸ステージ83に固定されて、該θ軸ステージ83の載置面83A上に配列されたAB混合短冊63及びCD混合短冊66の位置を規制するアタッチメント85と、AB混合短冊63及びCD混合短冊66を、アタッチメント85の内側面85A,85Bにそれぞれ押し付けて該AB混合短冊63及びCD混合短冊66を整列させる押し子84と、整列されたAB混合短冊63及びCD混合短冊66を一体に固定する固定部90とを備えるため、AB混合短冊63及びCD混合短冊66の整列及び固定をθ軸ステージ83で一貫して行うことができる。このため、固定されたABCD混合偏光板67の各偏光板A〜Dの偏光方向の相対的なズレの発生を防止し、精度向上を実現する複合偏光層30を簡易に製造でき、生産性の向上を図ることができる。
また、本実施形態によれば、θ軸ステージ83は、AB混合短冊63及びCD混合短冊66を、θ軸ステージ83の載置面83Aに吸着するポーラスチャック86を備えるため、AB混合短冊63及びCD混合短冊66を押し子84で押圧して整列する際に、これらAB混合短冊63及びCD混合短冊66が有する各偏光層(各偏光板の小片)が載置面83Aから浮き上がることを防止でき、AB混合短冊63及びCD混合短冊66を精度良く組み合わせることができる。
また、本実施形態によれば、固定部90は、AB混合短冊63及びCD混合短冊66の上面に配置される紫外線硬化式の接着剤91付のカバーガラス92と、AB混合短冊63及びCD混合短冊66の上面に向けて紫外線を照射する紫外線照射ランプ93とを備えるため、接着剤91の取り扱い、及び、硬化作業(一体化作業)を容易に行うことができ、載置面83A上に整列されたAB混合短冊63及びCD混合短冊66を簡単、かつ、精度良く一体に固定することができる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、複合偏光層30は開口を設けていない構成として説明したが、例えば、複合偏光層30にエッチングを施し、中央に穴を開けた構造として、光学式エンコーダのシャフトを通す効果を持たせても良い。また、第1偏光層PP1〜第4偏光層PP4の形状や配置関係は、光学式エンコーダの受光部の配置によって変化させても良い。