以下,本実施形態にかかる遊技機について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,パチンコ遊技機に本発明を適用したものである。なお,以下の説明において,パチンコ遊技機の各部の左右方向は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させる。また,パチンコ遊技機の各部の前側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく側とし,パチンコ遊技機の各部の後側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に遠のく側とする。
1.パチンコ遊技機1の構造
本形態のパチンコ遊技機1は,図1に示すように,遊技機枠50と,遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2と,を備えている。また,遊技機枠50は,前方側から順に,前面枠51,内枠(不図示),外枠(不図示)によって構成される。
さらに,パチンコ遊技機1の遊技機枠50は,演出ボタン63と,ハンドル60と,打球供給皿61と,余剰球受皿62と,を備えている。演出ボタン63は,パチンコ遊技機1の前側,具体的には打球供給皿61の上側前方に設けられる。そのため,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,演出ボタン63を容易に操作できる。
ハンドル60は,前面枠51中の右下側に設けられる。そのため,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,ハンドル60を容易に操作できる。ハンドル60は,遊技者によって操作され,回転角度に応じた遊技球の発射強度を,パチンコ遊技機1に入力する。打球供給皿61は,前面枠51の中央下側に位置し,遊技球を貯留する。余剰球受皿62は,打球供給皿61よりも下方に位置し,打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する。
また,パチンコ遊技機1は,前面枠51に,ガラス板55,装飾用の枠ランプ66,およびスピーカ67を備えている。このうちガラス板55は,前面枠51の略中央部に取り付けられる。遊技者は,この透明なガラス板55を通してパチンコ遊技機1の前方から,遊技盤2の前面を視認可能になっている。
枠ランプ66は,前面枠51の左側と右側とにそれぞれ設けられ,各種の演出の必要に応じて個別にあるいは同時に点灯する。スピーカ67は,前面枠51の左側と右側とにそれぞれ設けられ,音声,楽曲,効果音,報知音,等の各種の音を必要に応じて出力する。例えば,パチンコ遊技機1は,遊技制御中に演出に合わせて枠ランプ66を点灯し,スピーカ67から音声,楽曲,効果音等を出力する。また,遊技中にパチンコ遊技機1に異常が生じた場合に,パチンコ遊技機1は,その異常を報知するために,例えば,枠ランプ66を点灯し,スピーカ67からサイレン音を出力する。
次に,パチンコ遊技機1の遊技盤2について説明する。パチンコ遊技機1は,遊技盤2に,レール部材4と,遊技球を転動させる複数の遊技くぎと,が設けられている。また,遊技盤2には,レール部材4に一部が囲まれ,遊技球が転動可能な遊技領域3が形成されている。レール部材4は,遊技領域3の下方から発射された遊技球を,遊技領域3の上方に向けてガイドする。
さらに,パチンコ遊技機1は,遊技領域3の中央付近に,画像を表示可能な画像表示装置7を備えている。遊技者は,パチンコ遊技機1の前方から,画像表示装置7に表示される様々な演出画像,予告画像,メッセージ,デモンストレーション画面等を視認できる。画像表示装置7の詳細な説明は後述する。
また,パチンコ遊技機1は,遊技領域3における画像表示装置7の下方に位置し,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20が組み付けられた固定入賞装置19を備えている。第1始動口20への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第1特別図柄の抽選の契機となる。第1始動口20は,第1始動入賞口や固定入球口ともいう。第1特別図柄の抽選は,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。
また,パチンコ遊技機1は,画像表示装置7の前方に,センター装飾体10を備え,さらにセンター装飾体10の前方に,文字や図形の意匠を施した装飾部材13を備え,さらに画像表示装置7を挟んでセンター装飾体10の下方に,ステージ部11を備えている。ステージ部11は,遊技球を,第1始動口20へと誘導する。また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の左下方に,ワープ部12を備えている。ワープ部12は,遊技球をステージ部11へと誘導する。
また,パチンコ遊技機1は,第1始動口20の下方に,普通可変入賞装置22を備えている。以下,普通可変入賞装置22を,「電チュー22」とする。電チュー22は,第2始動口21を備えている。第2始動口21への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第2特別図柄の抽選の契機となる。第2始動口21は,第2始動入賞口や可変入球口ともいう。第2特別図柄の抽選も,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。電チュー22は,前後に進退可能な可動部材23を備え,可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉する。
第2始動口21は,可動部材23が開いた位置(前方の位置)にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になる。一方,可動部材23が閉じた位置(後方の位置)にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。つまり,第2始動口21は,可動部材23の位置によって遊技球の入り易さが異なる。この点,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20と異なる。なお,可動部材23が閉状態では開状態よりも第2始動口21に遊技球が入球困難であればよく,可動部材23が閉状態で完全に入球不可能になる構成でなくてもよい。パチンコ遊技機1では,固定入賞装置19と電チュー22とはユニット化されており,1つの構造体として遊技盤2に対して着脱可能になっている。この構造体を始動入賞ユニットSUとする。始動入賞ユニットSUの詳細は後述する。
また,パチンコ遊技機1は,第1始動口20の右側の遊技領域3に,第1大入賞口30を有する第1大入賞装置31を備えている。さらに第1大入賞装置31は,前後に進退可能な開閉部材32を備え,開閉部材32の作動により,第1大入賞口30を開閉する。第1大入賞口30は,開閉部材32が開いた位置(後方の位置)にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材32が閉じた位置(前方の位置)にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材32が閉状態とは,開状態よりも第1大入賞口30に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材32が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。また,第1大入賞装置31の内部には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1大入賞口30を通過した際に出力値が変化する信号を出力する第1大入賞口センサ30aが設けられている。
また,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30よりも上方の遊技領域3に,第2大入賞口35を有する第2大入賞装置36を備えている。さらに第2大入賞装置36は,回動可能な開閉部材37を備え,開閉部材37の作動により,第2大入賞口35を開閉する。第2大入賞口35は,開閉部材37が開いた状態(右側の位置)である開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材37が閉じた位置(左側の位置)にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材37が閉状態とは,開状態よりも第2大入賞口35に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材37が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。
より詳細には,図2に示すように,第2大入賞装置36の内部には,第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な領域である特定領域39および非特定領域70が形成されている。また,第2大入賞装置36の内部には,遊技球の転動方向の特定領域39および非特定領域70よりも上流に,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過した際に出力値が変化する信号を出力する第2大入賞口センサ35aが設けられている。また,特定領域39内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する特定領域センサ39aが設けられ,非特定領域70内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する非特定領域センサ70aが設けられている。
また,第2大入賞装置36は,第2大入賞口35を通過した遊技球を,特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と,振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。振分部材71は,遊技盤2に対して左右方向に回動可能に取り付けられ,遊技球の特定領域39への転動と非特定領域70への転動とを切り替える。
具体的には,図2に示すように,振分部材71が遊技球の特定領域39への転動を許容する位置にある状態(振分部材71の二点鎖線の状態)では,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,特定領域39を通過することが可能になる。一方,振分部材71が特定領域39の入口を塞ぐことで遊技球の特定領域39への転動を規制した状態(振分部材71の破線の状態)では,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,振分部材71によってガイドされ,非特定領域70を通過する。
パチンコ遊技機1では,特定領域39への遊技球の通過が,後述の大当たり遊技を実行する契機となっている。これに対し,非特定領域70への遊技球の通過は,大当たり遊技を実行する契機とならない。つまり,パチンコ遊技機1は,特定領域39への遊技球の通過の有無によっても大当たりの当否を判定している。特定領域39は,V領域ともいう。
図1の説明に戻り,パチンコ遊技機1には,センター装飾体10の左下方であって電チュー22の上方の遊技領域3に,遊技球が通過可能な第1ゲート28が設けられ,センター装飾体10の右下方であって電チュー22の上方の遊技領域3に,遊技球が通過可能な第2ゲート29が設けられている。第1ゲート28および第2ゲート29への遊技球の通過は,電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄の抽選の契機となる。普通図柄の抽選の詳細についても後述する。
また,パチンコ遊技機1は,さらに遊技領域3内に,1ないし複数の普通入賞口27や,いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口6を有している。
このように各種の入賞口等が配置されている遊技領域3には,左右方向の中央より左側に位置する左遊技領域3Aと,右側に位置する右遊技領域3Bと,がある。左遊技領域3Aを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「左打ち」という。一方,右遊技領域3Bを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「右打ち」という。本形態では,左打ちにて遊技した場合に遊技球が流下し得る流路を第1流路R1とし,右打ちにて遊技した場合に遊技球が流下し得る流路を第2流路R2とする。
パチンコ遊技機1では,第1流路R1上に,第1ゲート28と,第1始動口20と,第2始動口21と,アウト口6と,が配置される。遊技者は,第1流路R1を遊技球が流下するように打ち込むことで,第1ゲート28の通過や,第1始動口20への入賞を狙うことになる。なお,パチンコ遊技機1では,第1流路R1を流下した遊技球が第2始動口21へ入賞する可能性は極めて低い。この点については後述する。
一方,パチンコ遊技機1では,第2流路R2上に,第2ゲート29と,第2大入賞口35と,第1大入賞口30と,第2始動口21と,アウト口6と,が配置される。遊技者は,第2流路R2を遊技球が流下するように打ち込むことで,第2ゲート29の通過や,第2大入賞口35,第1大入賞口30,および第2始動口21への入賞を狙うことになる。さらには,遊技球を第2大入賞口35を通過させたことによる特定領域39の通過を狙うことになる。
ここで,始動入賞ユニットSUおよびその周辺の構成について,図1および図3を参照しつつ説明する。パチンコ遊技機1では,始動入賞ユニットSUにおける第1始動口20と第2始動口21との間に,第1流路R1を流下した遊技球が第2始動口21へ入賞することを抑制するための入球抑制部ECが設けられている。入球抑制部ECは,第1始動口20と第2始動口21とを隔てるように,遊技盤2の前面2aに対してほぼ垂直に配置された壁部である。
入球抑制部ECの左右方向の幅寸法(横幅)は,図3に示すように,第1始動口20の横幅および第2始動口21の横幅よりも長く,入球抑制部ECの上面ECaは,右から左にかけて下方に傾斜している。よって,入球抑制部ECの上面ECaは,第1始動口20の右側を流下する遊技球B1を,第1始動口20の左下方に誘導する誘導面として機能する。入球抑制部ECの上面ECaに誘導された遊技球は,入球抑制部ECの近傍に配されたアウト口6(図1参照)へ入球する。また,第1始動口20の左側を流下する遊技球B2も,入球抑制部ECの上面ECaに至ると,その上面ECaを転動してアウト口6へ入球する。このように本パチンコ遊技機1は,第1流路R1を流下した遊技球が基本的には第2始動口21へ入球することがないようになっている。なお,入球抑制部ECは,第1流路R1を流下した遊技球が第2始動口21へ入球しないように誘導する第1の誘導路GP1を形成していると言える。
また,上述のように構成されたパチンコ遊技機1であっても,極稀に,第1流路R1を流下する遊技球が入球抑制部ECの右端部よりも右方に跳ね,始動入賞ユニットSUと,第1大入賞装置31を備えたユニット部品DUとの間の通路TPを流下することがある。この通路TPを流下する遊技球B3については,第2始動口21へ入賞する可能性が生じる。第2流路R2を流下する遊技球B4が,第1大入賞装置31の開閉部材32の上面を転動してユニット部品DUの出口部DUaから排出された場合と,同じ個所に至ることになるからである。つまり本形態では,始動入賞ユニットSUに入球抑制部ECを設けているものの,第1流路R1を流下する遊技球が第2始動口21へ入賞する可能性を完全になくしているわけではない。
なお,開閉部材32の上面は,例えばゴムのような弾性力の高い部材を利用した面であり,摩擦係数が高い。また,ユニット部品DUには,遊技球B4の通路上に,遊技球B4の転動速度を遅くするための突起部TRが設けられる。そのため,遊技球B4が開閉部材32の上面をゆっくりと転動する。
始動入賞ユニットSUでは,入球抑制部ECの下方に,右側に開口した開口部SUaが設けられている。開口部SUaは,第2始動口21へ遊技球を誘導する第2の誘導路GP2の入口となっている。遊技球B3あるいは遊技球B4がこの開口部SUaに入球した場合,第2の誘導路GP2を通って第2始動口21へ誘導される。このときに可動部材23が前方に進出していれば,つまり第2始動口21が開放されていれば,遊技球B3あるいは遊技球B4は第2始動口21に入球する。なお,第2始動口21が閉塞されていればアウト口6(図1参照)に入球する。
また,始動入賞ユニットSUでは,開口部SUaの下方に,普通入賞口27が設けられている。よって,遊技球B3あるいは遊技球B4は,開口部SUaに入球しなかった場合,普通入賞口27に入賞する可能性がある。このようにパチンコ遊技機1では,始動入賞ユニットSUに普通入賞口27が設けられているため,第2始動口21への入賞に対する賞球の数を少なくしても,普通入賞口27への入賞に基づく賞球によって,後述する時短状態におけるベースが低くなり過ぎるのを防ぐことが可能となっている。なお,遊技球B3あるいは遊技球B4が始動入賞ユニットSUの開口部SUaにも普通入賞口27にも入球しなかった場合,アウト口6(図1参照)へ入球することとなる。
このようにパチンコ遊技機1の第1流路R1と第2流路R2とは,それぞれの下流部で合流している。第1流路R1と第2流路R2とに共通している流路を合流部GRと称する。パチンコ遊技機1ではこの合流部GRに,第2始動口21(電チュー22),普通入賞口27,およびアウト口6が配されていることとなる。
また,パチンコ遊技機1は,遊技盤2の右下方に,表示器類40を備えている。表示器類40には,図4に示すように,第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器41aと,第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器41bと,普通図柄を変動表示する普通図柄表示器42と,が含まれる。また,表示器類40には,第1特別図柄表示器41aの作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと,第2特別図柄表示器41bの作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと,が含まれる。この他,表示器類40には,例えば,パチンコ遊技機1が特定の遊技状態か否かを表示する表示器や,大当たりの種類を表示する表示器が含まれていてもよい。
第1特別図柄の変動表示は,第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる。第2特別図柄の変動表示は,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる。なお,以下の説明では,第1特別図柄および第2特別図柄を総称する場合,特別図柄という。また,第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称する場合,特別図柄表示器41という。また,第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称する場合,特図保留表示器43という。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への入賞を契機に,特別図柄の抽選(大当たりの抽選ともいう)が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,特別図柄を変動表示(可変表示ともいう)させた後,抽選結果に対応する特別図柄である停止図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による特別図柄の抽選の結果を報知する。停止図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の特別図柄の中から選択された1つの特別図柄である。すなわち,大当たりに当選した場合,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に大当たりに対応する図柄(大当たり図柄)を停止表示させ,第1大入賞口30を所定の開放パターンに従って開放させる大当たり遊技の制御を行う。また,小当たりに当選した場合,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に小当たりに対応する図柄(小当たり図柄)を停止表示させ,第2大入賞口35を所定の開放パターンに従って開放させる小当たり遊技の制御を行う。大当たり遊技および小当たり遊技における各大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
具体的に特別図柄表示器41は,図4に示すように,8個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する。特別図柄表示器41は,大当たりの当選に対応する特別図柄の表示として,例えば「○○●●○○●●」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から1,2,5,6番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄表示器41は,小当たりの当選に対応する特別図柄の表示として,例えば「●●●●○○●●」といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から5,6番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄表示器41は,ハズレの場合の特別図柄の表示として,例えば「●●●●●●●○」といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から8番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄が停止表示される前には所定の変動表示時間にわたって特別図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば左から右へ点灯箇所が流れるように各LEDを点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると,その入賞に対して大当たりの抽選用の乱数である大当たり乱数を取得し,自身のメモリの特定の記憶領域に記憶する。詳細には,第1始動口20への入賞であった場合には,取得した大当たり乱数等を第1始動口20用の記憶領域(後述する図5に示す第1特図保留記憶部85a)に記憶し,第2始動口21への入賞であった場合には,取得した大当たり乱数等を第2始動口21用の記憶領域(後述する図5に示す第2特図保留記憶部85b)に記憶する。各々の記憶領域に記憶可能な大当たり乱数の数には上限があり,パチンコ遊技機1では第1特図保留記憶部85aが「4」,第2特図保留記憶部85bが「1」,をそれぞれ上限としている。
記憶された大当たり乱数は,その値に基づく特別図柄の表示が可能となる消化条件を満たしたことによって消化される。大当たり乱数の消化とは,パチンコ遊技機1がその大当たり乱数の値が大当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を開始することであり,停止図柄を停止表示させることで完了する。従って,パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の表示がその入賞後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく特別図柄の変動表示中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合であっても,上限数までその入賞に対する大当たりの抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,特図保留という。さらに第1特図保留記憶部85aに記憶された大当たり乱数に対する特図保留を,第1特図保留とし,第2特図保留記憶部85bに記憶された大当たり乱数に対する特図保留を,第2特図保留とする。
なお,第1特図保留記憶部85aに記憶された第1特図保留に対する消化条件には,その第1特図保留よりも先に第1特図保留記憶部85aに記憶された第1特図保留が無いこと,すなわち先に記憶された第1特図保留が全て消化されたことが含まれる。また,第2特図保留記憶部85bに記憶された第2特図保留に対する消化条件には,その第2特図保留よりも先に第2特図保留記憶部85bに記憶された第2特図保留が無いこと,すなわち先に記憶された第2特図保留が全て消化されたことが含まれる。また,パチンコ遊技機1では,第2特図保留の消化が第1特図保留の消化よりも優先される。そのため,第1特図保留に対する消化条件には,第2特図保留が無いことも含まれる。
パチンコ遊技機1は,前述のような特図保留の数を,特図保留表示器43に表示する。具体的には,特図保留表示器43は,図4に示すように,第1特図保留表示器43aが4個のLEDで構成されており,第2特図保留表示器43bが1個のLEDで構成されている。パチンコ遊技機1は,特図保留表示器43に各特図保留の数だけLEDを点灯させることで特図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1では,第1ゲート28または第2ゲート29への遊技球の通過を契機に,普通図柄抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,普通図柄表示器42に,普通図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の普通図柄の中から選択された1つの普通図柄である。なお,普通図柄抽選の抽選結果に応じて,パチンコ遊技機1は,第2始動口21を開放させる,すなわち可動部材23を作動させる補助遊技の制御を行う。補助遊技における第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的に普通図柄表示器42は,図4に示すように,2個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示する。普通図柄表示器42は,普通当たりの抽選に当選に対応する特定普通図柄の表示として,例えば「○○」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた普通当たりの図柄に従って,両LEDを点灯させる。また,普通図柄表示器42は,ハズレの場合の普通図柄の表示として,例えば「●○」といったように,あらかじめ決められた普通図柄に従って,一方のLEDを点灯させる。なお,普通図柄が停止表示される前には所定の変動表示時間にわたって普通図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば両LEDを交互に点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,第1ゲート28または第2ゲート29への遊技球の通過があった場合,普通図柄乱数を取得し,普通図柄の変動表示を開始する。一方,第1ゲート28または第2ゲート29への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過後にすぐに行えない場合,すなわち普通図柄の変動表示の実行中や補助遊技の実行中に第1ゲート28または第2ゲート29への通過があった場合には,その通過に基づく普通図柄乱数の取得を行わない構成である。すなわち,普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)を記憶しない構成である。なお,パチンコ遊技機1は,普図保留をRAM84(図5参照)内の所定の記憶領域に所定の上限数(例えば「4」)まで記憶可能な構成としてもよい。この場合,RAM84に記憶された普図保留は,その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは,その普図保留に対応する普通図柄乱数を判定して,その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を開始することをいう。この場合,普図保留の記憶数を表示する普図保留表示器を設けるとよい。
図1の説明に戻り,パチンコ遊技機1は,画像表示装置7の表示画面7aに,表示器類40が表示する第1特別図柄ないし第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄8L,8C,8Rの表示を行う演出図柄表示領域を含む。なお,演出図柄8L,8C,8Rの表示内容を変更しながら表示する演出を演出図柄変動演出という。
演出図柄表示領域は,例えば,「左」「中」「右」の3つの図柄表示領域からなる。左の図柄表示領域には,左の演出図柄8Lが表示され,中の図柄表示領域には,中の演出図柄8Cが表示され,右の図柄表示領域には,右の演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ,例えば,「1」〜「9」までの数字を表した複数の演出図柄からなる。また,演出図柄には,アルファベットや特別なキャラクタ等,数字以外を表した図柄を含めてもよい。画像表示装置7は,左,中,右の演出図柄の組合せによって,特別図柄表示器41にて表示される特別図柄の変動表示の内容,すなわちパチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果を,遊技者に分かり易く表示する。
例えば,画像表示装置7は,大当たりの抽選にて「大当たり」に当選していた場合,「777」等の同じ数字の組み合わせであるゾロ目で演出図柄を表示する。また,「ハズレ」であった場合には,少なくとも1つの数字が他の数字と異なる組み合わせであるバラケ目で演出図柄を表示する。これにより,遊技者は,遊技の進行状況の把握が容易になる。つまり,遊技者は,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を,表示器類40にて表示される特別図柄によって把握できる他,画像表示装置7に表示される演出図柄の組み合わせによっても把握できる。なお,図柄表示領域の位置は,固定的なものであっても可変的なものであってもよい。また,画像表示装置7は,演出図柄の変動表示に際し,例えば,演出図柄を上下方向にスクロールさせてもよいし,左右方向にスクロールさせてもよい。また,演出図柄を回転させてもよい。
なお,画像表示装置7は,前述のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか,例えば,大当たりの抽選結果を予告する予告演出に用いる画像,大当たり遊技や補助遊技の実行に用いられる画像,客待ち用のデモンストレーション画像,各種の設定内容の表示に用いる画像,を表示画面7aに表示する。なお,演出図柄変動演出では,演出図柄等の演出図柄のほか,背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の画像も表示してよい。
また,画像表示装置7の表示画面7aには,第1特図保留の記憶数に応じて,演出保留画像を表示する第1演出保留表示領域9Aと,第2特図保留の記憶数に応じて,演出保留画像を表示する第2演出保留表示領域9Bと,が含まれる。画像表示装置7は,演出保留画像の表示により,表示器類40にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留の記憶数を,遊技者に分かり易く表示する。つまり,遊技者は,特図保留の数を,表示器類40の特図保留表示器43によって把握できる他,画像表示装置7の第1演出保留表示領域9Aおよび第2演出保留表示領域9Bに表示される演出保留画像の数によっても把握できる。
2.パチンコ遊技機1の電気的構成
続いて,パチンコ遊技機1における電気的な構成を,図5および図6を参照しつつ説明する。パチンコ遊技機1は,主制御基板80と,サブ制御基板90と,画像制御基板100と,払出制御基板110と,を備えている。主制御基板80は,遊技盤2に取り付けられ,特別図柄や普通図柄の抽選,遊技状態の移行等,主として遊技利益に関する制御を行う。サブ制御基板90は,遊技盤2に取り付けられ,画像表示装置7の表示,各種のランプの点灯,音声出力等,主として遊技の進行に伴って実行される演出に関する制御を行う。画像制御基板100は,画像表示装置7に表示される画像やスピーカ67から出力される音声に関する制御を行う。払出制御基板110は,遊技球の払い出しに関する制御を行う。
また,パチンコ遊技機1は,電源基板150を備えている。電源基板150は,主制御基板80,サブ制御基板90,画像制御基板100,および払出制御基板110に対する電力の供給制御を行い,これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。
電源基板150には,バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は,パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合,すなわち主電源がオフであったり停電が生じた場合に,後述する主制御基板80のRAM84等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。従って,主制御基板80のRAM84等に記憶されている情報は,パチンコ遊技機1に外部から電力が供給されていない場合も,バックアップ電源回路151から電力を供給できる間,一時的に保持される。なお,各制御基板に対する専用のバックアップ電源回路をそれぞれ設けてもよい。また,電源基板150には,電源スイッチ155が接続されている。この電源スイッチ155の操作により,主電源のオンオフが切り替えられる。
また,電源基板150には,RAMクリアスイッチ156が接続されている。RAMクリアスイッチ156は,電源基板150に付設され,パチンコ遊技機1の後面に配置される。すなわち,RAMクリアスイッチ156は,通常,パチンコ遊技機1の前面側にいる遊技者から視認できず,遊技者が操作できない位置にある。そのため,RAMクリアスイッチ156は,通常,ホールのスタッフによって操作される。パチンコ遊技機1は,RAMクリアスイッチ156が押下された状態で起動されると,主制御基板80のRAM84およびサブ制御基板90のRAM94を初期化する。これにより,RAM84およびRAM94に記憶されている情報が失われる。
主制御基板80には,図5に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン81が実装されている。以下,遊技制御用ワンチップマイコン81を,遊技制御用マイコン81とする。遊技制御用マイコン81には,遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83,ワークメモリとして使用されるRAM84,ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82,が含まれる。遊技制御用マイコン81は,I/Oポートによって構成される入出力回路87を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路87は,遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また,ROM83は,外付けであってもよい。
RAM84には,大当たりの抽選に関する乱数を記憶する特図保留記憶部85と,普通図柄の抽選に関する乱数を記憶する普図保留記憶部86と,が設けられる。また,特図保留記憶部85には,第1始動口20を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第1特図保留記憶部85aと,第2始動口21を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第2特図保留記憶部85bとが設けられる。
詳細には,第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,第1特図保留の上限数が4であることから,第1特図保留記憶部85aには4つの記憶領域が設けられる。一方,第2特図保留の上限数が1であることから,第2特図保留記憶部85bには1つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,取得した乱数を記憶する小領域が設けられる。具体的にパチンコ遊技機1では,遊技球が始動口に入賞することに起因して,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の4つの乱数を取得する。そのため,各小領域には,それら4つの乱数が記憶される。各乱数の詳細については後述する。
主制御基板80には,中継基板88を介して各種センサやソレノイドが電気的に接続されている。そのため,主制御基板80には各センサからの信号が入力され,各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にセンサ類としては,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,第1ゲートセンサ28a,第2ゲートセンサ29a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,特定領域センサ39a,非特定領域センサ70a,および普通入賞口センサ27a,がある。
第1始動口センサ20aは,第1始動口20の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1始動口20を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2始動口センサ21aは,第2始動口21の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2始動口21を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第1ゲートセンサ28aは,第1ゲート28の直下の通過領域内に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する。第2ゲートセンサ29aは,第2ゲート29の直下の通過領域内に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する。
第1大入賞口センサ30aは,第1大入賞口30の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1大入賞口30を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2大入賞口センサ35aは,第2大入賞口35の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
特定領域センサ39aは,特定領域39内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。非特定領域センサ70aは,非特定領域70内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
普通入賞口センサ27aは,各普通入賞口27の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が各普通入賞口27を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
また,ソレノイド類としては,電チューソレノイド24,第1大入賞口ソレノイド33,第2大入賞口ソレノイド38,および振分部材ソレノイド73,がある。電チューソレノイド24は,電チュー22の可動部材23を駆動する。第1大入賞口ソレノイド33は,第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動する。第2大入賞口ソレノイド38は,第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動する。振分部材ソレノイド73は,第2大入賞装置36の振分部材71を駆動する。
また,主制御基板80には,第1特別図柄表示器41a,第2特別図柄表示器41b,普通図柄表示器42,第1特図保留表示器43a,および第2特図保留表示器43b,が電気的に接続されている。すなわち,これらの表示器類40の表示制御は,遊技制御用マイコン81によって行われる。
また,主制御基板80には,払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに,払い出し監視のために払出制御基板110から各種信号を受信する。具体的に払出制御基板110には,賞球払出装置120,貸球払出装置130,およびカードユニット135,が電気的に接続されている。カードユニット135は,パチンコ遊技機1に隣接して設置され,挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にする装置である。また,払出制御基板110には,発射制御基板111を介して,発射装置112が電気的に接続されている。
払出制御基板110は,遊技制御用マイコン81からの信号や,パチンコ遊技機1に電気的に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて,賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球払出装置120に賞球の払い出しを行わせたり,貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球払出装置130に貸球の払い出しを行わせる。払い出される賞球は,その計数のための賞球センサ122からの信号によって制御される。払い出される貸球は,その計数のための球貸センサ132からの信号によって制御される。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20への入賞による払い出しの賞球数は3球であり,第2始動口21への入賞による払い出しの賞球数は2球である。また,第1大入賞口30または第2大入賞口35への入賞による払い出しの賞球数は13球であり,普通入賞口27への入賞による払い出しの賞球数は3球である。これらの賞球数は,一例であり,適宜選択すればよい。
発射装置112は,発射モータ113と,タッチスイッチ114と,発射ボリューム115と,発射停止スイッチ116と,を備える。遊技者によるハンドル60の操作があった場合,タッチスイッチ114からハンドル60への接触があった旨の信号が発射制御基板111に出力され,さらに発射ボリューム115からハンドル60の回転量に応じた信号が発射制御基板111に出力される。発射制御基板111は,発射モータ113を駆動し,発射装置112から入力された各種の信号に基づいて,適切な強さで遊技球が発射されるよう,発射装置112を制御する。なお,パチンコ遊技機1では,例えば0.6秒で1発の遊技球が発射されるように制御される。
また,主制御基板80は,サブ制御基板90に対して,各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との通信は,主制御基板80からサブ制御基板90へのコマンドの送信のみが可能な単方向通信となっている。すなわち,主制御基板80とサブ制御基板90との間には,通信方向規制手段として,例えばダイオードを用いた単方向制御回路が介在している。
また,主制御基板80には,外部端子板190が接続されている。外部端子板190は,遊技制御用マイコン81から受信した信号に基づく各種の信号を,データ表示器910やホールコンピュータ900といったパチンコ遊技機1の外部に配された外部装置に対して出力する。具体的に外部端子板190には,外部出力用の複数のチャネル(CN)が設けられている。そして,各チャネル(CN)に対応するコネクタと,データ表示器910側のコネクタとはケーブルによって接続される。各コネクタからは,それぞれ一つの信号が外部に出力される。外部端子板190では,例えば,大当たりが当選したことを示す大当たりカウント信号,パチンコ遊技機1の遊技状態を示す信号,遊技機枠50が開放されていることを示す枠開放信号,所定数(例えば10球)の賞球がなされたことを示す信号,想定外の入賞があったことを示すセキュリティ信号,がそれぞれ別のチャネルから出力される。
サブ制御基板90には,図6に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91が実装されている。以下,演出制御用ワンチップマイコン91を,演出制御用マイコン91とする。演出制御用マイコン91には,遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93,ワークメモリとして使用されるRAM94,ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92,が含まれる。演出制御用マイコン91は,I/Oポートによって構成される入出力回路97を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路97は,演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また,ROM93は,外付けであってもよい。
RAM94には,保留抽選情報を記憶する特図保留コマンド記憶部95が設けられる。保留抽選情報には,主制御基板80の特図保留記憶部85に記憶される各乱数に基づく情報が含まれ,具体的には1回の始動口への入賞によって主制御基板80から出力される始動入賞コマンドが含まれる。特図保留コマンド記憶部95はさらに,第1特図保留に基づく第1始動入賞コマンドを記憶する第1特図保留コマンド記憶部95aと,第2特図保留に基づく第2始動入賞コマンドを記憶する第2特図保留コマンド記憶部95bと,が設けられる。
詳細には,第1特図保留コマンド記憶部95aおよび第2特図保留コマンド記憶部95bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,第1特図保留の上限数が4であることから,第1特図保留コマンド記憶部95aには4つの記憶領域が設けられる。一方,第2特図保留の上限数が1であることから,第2特図保留コマンド記憶部95bには1つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,2つの小領域が設けられている。具体的にパチンコ遊技機1では,始動口の入賞に基づいて特定される始動入賞コマンドと,演出保留画像の表示態様を示すデータと,を各小領域に記憶する。
また,サブ制御基板90には,画像制御基板100,盤可動部中継基板108,ランプ中継基板107,演出ボタン検出スイッチ63a,および演出ボタン振動モータ64,が電気的に接続されている。そのため,サブ制御基板90には各スイッチに基づく信号が入力され,各基板やモータにはサブ制御基板90から信号が出力される。
画像制御基板100には,画像表示装置7およびスピーカ67が電気的に接続されている。そして,画像制御基板100には,プログラムに従って画像表示装置7およびスピーカ67の出力を制御する画像制御用ワンチップマイコン101が実装されている。以下,画像制御用ワンチップマイコン101を,画像制御用マイコン101とする。画像制御用マイコン101には,演出の進行に伴って表示画像を制御するためのプログラムや,画像表示装置7に表示される静止画や動画,より具体的にはキャラクタ,アイテム,図形,文字,数字,記号,背景画像,などの画像データや,スピーカ67を介して出力される音声,楽曲,効果音,などの音声データを記憶したROM103,ワークメモリとして使用されるRAM104,ROM103に記憶されたプログラムを実行するCPU102,が含まれる。画像制御用マイコン101は,I/Oポートによって構成される入出力回路105を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路105は,画像制御用マイコン101に内蔵されていてもよい。また,ROM103は,外付けであってもよい。
サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,画像制御基板100の画像制御用マイコン101に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御用マイコン101のCPU102は,演出制御用マイコン91からのコマンドに基づいて,ROM103から画像データや音声データを読み出す。そして,読み出した画像データを画像表示装置7に表示させ,読み出した音声データに基づいて音声をスピーカ67から出力させる。
なお,音声を出力する構成として,サブ制御基板90およびスピーカ67と電気的に接続される音声制御基板を備え,演出制御用マイコン91が,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,その音声制御基板を介して,スピーカ67に音声,楽曲,効果音等を出力させる構成でもよい。この場合,音声データは,サブ制御基板90のROM93に記憶すればよい。
また,サブ制御基板90には,遊技盤2に取り付けられた盤可動部中継基板108を介して,盤可動体15が電気的に接続される。演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,盤可動部中継基板108を介して電気的に接続された盤可動体15の動作制御を行う。盤可動体15は,遊技盤2に取り付けられた可動式のいわゆるギミックである。盤可動体15は,1つであっても複数であってもよい。演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,盤可動体15の動作態様を決める動作パターンデータを作成し,動作パターンデータに基づいて盤可動体15の動作制御を行う。
また,サブ制御基板90には,遊技機枠50に取り付けられたランプ中継基板107を介して,枠ランプ66および盤ランプ5が電気的に接続される。演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,ランプ中継基板107を介して,枠ランプ66および盤ランプ5の点灯制御を行う。演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,各ランプの点灯態様を決める点灯パターンデータを作成し,点灯パターンデータに基づいて各ランプの点灯制御を行う。
演出ボタン検出スイッチ63aは,演出ボタン63に対応する検出スイッチである。そのため,演出ボタン63が押下されると,演出ボタン検出スイッチ63aからサブ制御基板90に対して,演出ボタン63に関する信号が出力される。演出ボタン検出スイッチ63aから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,演出ボタン63が押下されたか否かを判断できる。
演出ボタン振動モータ64は,演出ボタン63内に収容され,演出ボタン63の外装体を振動させる部材である。なお,演出ボタン振動モータ64は,演出ボタン63の外装体を振動させず,演出ボタン63に収容される構造物のみを振動させてもよい。演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,演出ボタン振動モータ64の振動態様を決める振動パターンデータを作成し,振動パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ64の動作制御を行う。
3.パチンコ遊技機1の遊技状態
続いて,パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1には,遊技状態として,通常遊技状態(非時短状態ともいう)と,時短状態(特典遊技状態に相当)とがある。パチンコ遊技機1では,時短状態の場合,普通当たりの抽選に基づく普通図柄表示器42の変動時間短縮機能と,電チュー22の開放時間延長機能と,が作動する。
パチンコ遊技機1は,第1ゲート28または第2ゲート29への遊技球の通過に応じて,普通図柄乱数および普通図柄種別乱数を取得する。普通当たりの抽選は,取得した普通図柄乱数に基づいて行われる。パチンコ遊技機1では,普通当たりの抽選(普通図柄抽選)の結果として,「普通当たり」と「ハズレ」がある。普通当たり乱数は,0〜255までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図7(A)に示すように,例えば,普通図柄乱数が1〜255の範囲内の値であれば,普通当たりに当選したと判断し,0であればハズレと判断する。すなわち,普通当たりの抽選では,ほとんどの場合に普通当たりに当選する。
また,パチンコ遊技機1では,普通図柄の種別が複数ある。そのため,パチンコ遊技機1では,普通当たりに当選した場合,普通図柄の種別の抽選も行う。普通図柄の種別の抽選は,普通図柄種別乱数に基づいて行われる。普通図柄種別乱数は,0〜99までの範囲内の値となる。本形態では,図7(B)に示すように,普通当たりの抽選で当選可能な普通図柄(普通図柄表示器42に停止表示される普通図柄)の種別には3種類ある。具体的に本形態の普通当たりの抽選では,普通図柄種別乱数が0〜32の範囲内の値であれば,長開放図柄に当選したと判断し,33〜99の範囲内の値であれば,短開放図柄Aに当選したと判断し,それ以外の値であれば短開放図柄Bに当選したと判断する。
普通図柄表示器42の変動時間短縮機能とは,普通当たりの抽選における普通図柄の平均変動表示時間が非時短状態のときよりも短くなる機能である。具体的に,パチンコ遊技機1では,図7(A)に示すように,時短状態においても非時短状態においても普通当たりの当選確率は変わらないが,図7(C)に示すように,非時短状態においては,長開放図柄に当選した場合には変動表示時間が30秒に設定され,短開放図柄Aに当選した場合には変動表示時間が25秒に設定され,短開放図柄Bに当選した場合あるいはハズレである場合には変動表示時間が1秒に設定される。これに対して,時短状態においては,いずれの図柄である場合も変動表示時間が1秒に設定される。
電チュー22の開放時間延長機能とは,補助遊技における電チュー22の平均開放時間が非時短状態の場合と比較して長くなる機能である。具体的には図8に示すように,非時短状態においては,長開放図柄に当選した場合には開放時間が5秒に設定されるものの,短開放図柄A及び短開放図柄Bに当選した場合には開放時間が0.02秒と極めて短い時間に設定される。長開放図柄に当選する確率は普通図柄抽選での当たり時のおよそ1/2000(図7(B)参照)と低めであるため,非時短状態における平均開放時間は0.02秒〜0.03秒程度となる。これに対して,時短状態においては,長開放図柄,短開放図柄A,および短開放図柄Bのいずれの普通当たり図柄に当選した場合であっても,開放時間が3秒に設定される。
パチンコ遊技機1は,普通図柄表示器42の変動時間短縮機能,および電チュー22の開放時間延長機能が作動している状況の場合,これらの機能が作動していない場合に比して,電チュー22が頻繁に開放され,第2始動口21へ遊技球が入賞し易くなる。その結果,発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って,これらの機能が作動している状態(つまり時短状態)を「高ベース状態」ともいい,作動していない状態(つまり非時短状態)を「低ベース状態」ともいう。高ベース状態では,手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお,高ベース状態とは,いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。そのため,高ベース状態を電サポ制御状態ともいう。また低ベース状態を非電サポ制御状態ともいう。
なお,パチンコ遊技機1は,時短状態(高ベース状態)の場合,普通図柄表示器42の確率変動機能が作動するようにしてもよい。すなわち,非時短状態(低ベース状態)における普通当たりの当選確率を相対的に低くし,時短状態における普通当たりの確率を相対的に高くしてもよい。また,時短状態の場合,電チュー22の開放回数増加機能が作動するようにしてもよい。すなわち,パチンコ遊技機1は,非時短状態での補助遊技における電チュー22の開放回数を相対的に少なくし,時短状態での補助遊技における電チュー22の開放回数を相対的に多くしてもよい。
パチンコ遊技機1は,時短状態(高ベース状態)の場合,上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち,普通図柄表示器42の変動時間短縮機能,電チュー22の開放時間延長機能,普通図柄表示器42の確率変動機能,および電チュー22の開放回数増加機能のうち,一つ以上の機能の作動によって,その機能が作動していないときよりも第2始動口21に遊技球が入賞し易くなっていればよい。
パチンコ遊技機1では,大当たり遊技後の遊技状態は,後述する「特図1_小当たり図柄a」に基づくイレギュラーなケース以外,時短状態(高ベース状態)に制御される。パチンコ遊技機1は,時短状態を,当選した特別図柄の種別(大当たりの種別)および当選時の遊技状態に応じて設定される上限実行回数(時短回数)の特別図柄の変動表示が実行されるか,もしくは大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。すなわち,時短状態の終了条件には,特別図柄の変動表示回数が上限実行回数に到達したことと,大当たりに当選して大当たり遊技が開始されたことと,が含まれる。
パチンコ遊技機1が時短状態の場合,遊技者は右打ちにより右遊技領域3B(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により非時短状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており,第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため,遊技者は,普通当たりの抽選の契機となる第2ゲート29へ遊技球を通過させつつ,第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも,多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお,本パチンコ遊技機1では,大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して,パチンコ遊技機1が非時短状態の場合,遊技者は左打ちにより左遊技領域3A(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため,時短状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており,第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため,遊技者は,第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも,多数の始動入賞を得ることができる。なお,電源投入後のパチンコ遊技機1の遊技状態は,非時短状態である。また,大当たり遊技の実行中の状態を大当たり遊技状態といい,小当たり遊技の実行中の状態を小当たり遊技状態といい,これらの状態を総称して特別遊技状態という。
4.パチンコ遊技機1の大当たり
続いて,パチンコ遊技機1における大当たりについて説明する。パチンコ遊技機1では,前述したように第1始動口20あるいは第2始動口21への遊技球の入賞を契機に,大当たりの抽選を行う。第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第1特別図柄表示器41aに表示され,第1特別図柄(特図1)の抽選ともいう。また,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第2特別図柄表示器41bに表示され,第2特別図柄(特図2)の抽選ともいう。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に応じて,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の各種の乱数を取得する。大当たりの抽選は,取得した大当たり乱数に基づいて行われる。
パチンコ遊技機1では,大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として,「大当たり」,「小当たり」,「ハズレ」がある。大当たり乱数は,0〜65535までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図9に示すように,第1始動口20への入賞に基づく大当たりの抽選(特図1の抽選)では,例えば,大当たり乱数が65320〜65535の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断し,大当たり乱数が0〜650の範囲内の値であれば,小当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。一方,第2始動口21への入賞に基づく大当たりの抽選(特図2の抽選)では,例えば,大当たり乱数が65320〜65535の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断し,大当たり乱数が0〜10500の範囲内の値であれば,小当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。つまり,パチンコ遊技機1は,特図1の抽選であっても特図2の抽選であっても大当たりの当選確率は変わらないが,小当たりの当選確率が特図1よりも特図2の方が高い。パチンコ遊技機1は,「大当たり」の場合,特別図柄表示器41に「大当たり図柄」を停止表示させる。「小当たり」の場合,特別図柄表示器41に「小当たり図柄」を停止表示させる。「ハズレ」の場合,特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」を停止表示させる。
特別図柄抽選にて大当たりに当選すると,パチンコ遊技機1は,停止表示された大当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技(第2特別遊技)」を実行する。また,小当たりに当選すると,パチンコ遊技機1は,停止表示された小当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる「小当たり遊技(第1特別遊技)」を実行する。そして,小当たり遊技の実行中に第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が進入すると,パチンコ遊技機1は,当選している小当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技(第2特別遊技)」を実行する。なお,特別図柄抽選の結果が大当たり当選であることに基づいて実行される大当たり遊技を1種大当たり遊技と称する。また,特定領域39への通過に基づいて実行される大当たり遊技を2種大当たり遊技と称する。また,大当たり遊技と小当たり遊技とを総称して特別遊技と称する。
大当たり遊技は,本形態では,複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と,初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と,最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)と,を含んでいる。各ラウンド遊技は,OPの終了または前のラウンド遊技の終了によって開始され,次のラウンド遊技の開始またはEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は,その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
小当たり遊技は,本形態では,第2大入賞口35を開放する小当たり開放遊技と,小当たり開放遊技が開始される前のオープニング(開放前インターバル)と,小当たり開放遊技が終了した後のエンディング(閉鎖後インターバル)とを含んでいる。
パチンコ遊技機1では,大当たり図柄の種別が複数ある。そのため,パチンコ遊技機1では,大当たりに当選した場合,大当たり図柄の種別の抽選も行う。大当たり図柄の種別の抽選は,大当たり種別乱数に基づいて行われる。大当たり種別乱数は,0〜99までの範囲内の値となる。本形態では,図10に示すように,第1特別図柄(特図1)の抽選で当選可能な大当たり図柄(第1特別図柄表示器41aに停止表示される大当たり図柄)の種別には4種類ある。また,図11に示すように,第2特別図柄(特図2)の抽選で当選可能な大当たり図柄(第2特別図柄表示器41bに停止表示される大当たり図柄)の種別には5種類ある。
具体的には特図1の抽選では,当選時の状態が非時短状態であれば,振分率20%で「特図1_大当たり図柄A_99」に当選し,振分率30%で「特図1_大当たり図柄B_99」に当選し,振分率50%で「特図1_大当たり図柄C_1」に当選する。一方,当選時の状態が時短状態であれば,振分率20%で「特図1_大当たり図柄A_99」に当選し,振分率30%で「特図1_大当たり図柄B_99」に当選し,振分率50%で「特図1_大当たり図柄C_2」に当選する。また,特図2の抽選では,当選時の状態が非時短状態であれば,振分率40%で「特図2_大当たり図柄D_2」に当選し,振分率15%で「特図2_大当たり図柄E_5」に当選し,振分率15%で「特図2_大当たり図柄F_5」に当選し,振分率30%で「特図2_大当たり図柄G_99」に当選する。一方,当選時の状態が時短状態であれば,振分率40%で「特図2_大当たり図柄D_2」に当選し,振分率15%で「特図2_大当たり図柄E_2」に当選し,振分率15%で「特図2_大当たり図柄F_5」に当選し,振分率30%で「特図2_大当たり図柄G_99」に当選する。
特別図柄抽選の結果,大当たりに当選すると(つまり1種大当たりに当選すると),パチンコ遊技機1は,当選した大当たり図柄の種別に応じて,第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(1種大当たり遊技)を実行する。本形態では,図10および図11に示したように,各大当たり図柄は,全て15R(ラウンド)大当たりであり,1Rあたりの第1大入賞口30の開放回数は1回であり,その最大開放時間は29.5秒である。各図柄に当選した場合の,大当たり遊技後の遊技状態は,「時短状態」(高ベース状態)である。但し,当選した大当たり図柄の種別に応じて,設定される時短回数が異なる。時短回数とは,時短状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数である。
設定される時短回数の詳細は,図13の表に示す通りである。時短回数には,特図1(第1特別図柄)の変動表示の回数だけを対象とする時短回数(第1時短回数)と,特図2(第2特別図柄)の変動表示の回数だけを対象とする時短回数(第2時短回数)と,特図1の変動表示の回数と特図2の変動表示の回数との合計回数を対象とする時短回数(合計時短回数)と,がある。時短状態に制御される場合には,これらの3種類の時短回数(第1時短回数,第2時短回数,合計時短回数)のすべてが設定される。そして,パチンコ遊技機1は,時短状態における特別図柄の変動表示の回数が,3種類の時短回数のうちのいずれかを満たすこととなった場合に,時短状態を終了させる。
なお,時短状態は,遊技者が右打ちで遊技を行う遊技状態であり,第2始動口21への入賞に基づく特図2の変動表示ばかりが実行され,第1始動口20への入賞に基づく特図1の変動表示は基本的には実行されない予定の遊技状態である。従って,上記の3種類の時短回数のうち,時短状態の終了契機となり易いのは,第2時短回数である。第1時短回数や合計時短回数は,イレギュラーなケースとして時短状態において特図1の変動表示が実行されてしまった場合でも,規定回数分の特図2の変動表示を保障するために設定されるものである。このため,第1時短回数及び合計時短回数は,基本的には第2時短回数よりも大きい値に設定される。
また,第1時短回数および合計時短回数が第2時短回数と同じ値に設定される場合もある。第2時短回数が「99」回に設定される場合と,第2時短回数が「1」回に設定される場合とである。第2時短回数が「99」回に設定される場合には,これよりも大きい値を第1時短回数及び合計時短回数として設定する必要がないため,第1時短回数及び合計時短回数が「99」回に設定される。なお,第2時短回数が「99」回であれば,遊技者が正しく遊技を行っている限り,時短状態に制御されている間に次の大当たり(2種大当たりまたは1種大当たり)に当選する可能性が極めて高い。
また,第2時短回数が「1」回に設定される場合は,時短状態において特図1または特図2のいずれかを1回だけ変動表示させ,その変動中に特図2の保留を1つ貯めさせることが目的であるため(すなわち特図2の保留を1つ貯めさせる遊技期間を確保することが目的であるため),第1時短回数,第2時短回数,および合計時短回数のすべてを「1」回に設定している。なお,時短回数が「1」回に設定される場合,大当たり遊技の開始時に特図1の保留が残っていることも多いため,その特図1の保留に基づく特図1の変動表示によって,時短状態が終了することが多い。
非時短状態における特図1の抽選に基づく大当たり当選によって,第2時短回数99回の時短状態に制御される割合は50%であり,第2時短回数1回の時短状態に制御される割合は50%である。つまり,パチンコ遊技機1は,所謂初当たり(通常遊技状態における大当たり(時短状態の終了直後に特図2の保留に基づいて当選する大当たりを除く))の50%で,所謂連荘(高ベース状態で次の大当たりに当選すること)がほぼ確定する。なお,時短状態において特図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には,50%の割合で,第2時短回数が2回に設定される。この2回という値は,時短状態における特図2の抽選に基づいて大当たり(2種大当たりも含む)に当選した場合の時短回数の最低値である。つまり,パチンコ遊技機1では,時短状態において特図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合,時短回数に関して遊技者が不利になり過ぎないようにしている。
また,時短状態における特図2の抽選に基づく大当たり当選時には,55%の割合で第2時短回数が「2」回に設定され,15%の割合で第2時短回数が「5」回に設定され,30%の割合で第2時短回数が「99」回に設定される。これに対して,非時短状態における特図2の抽選に基づく大当たり当選時には,40%の割合で第2時短回数が「2」回に設定され,30%の割合で第2時短回数が「5」回に設定され,30%の割合で第2時短回数が「99」回に設定される。このように,特図2の抽選に基づく大当たり当選時の時短回数の振分は,時短状態での当選よりも,非時短状態での当選の方が,遊技者にとって有利となっている。このようにしているのは,時短状態が終了して通常遊技状態に戻ったときに,時短状態中に生じさせた特図2の保留に基づいて特図2の変動表示が実行されるところ,この特図2の変動表示に基づいて大当たりに当選した場合の特別感を出すためである。
また,特別図柄抽選の結果,小当たりに当選すると,パチンコ遊技機1は,第2大入賞口35を1回開放させる小当たり遊技を実行する。小当たり遊技によって開放された第2大入賞口35へ遊技球が入賞し,その遊技球が第2大入賞装置36内の特定領域39を通過した場合,大当たり当選となり,パチンコ遊技機1は,続けて第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(2種大当たり遊技)を実行する。この大当たり遊技(特定領域39への通過を契機とする大当たり遊技)が実行された場合,小当たり遊技としての第2大入賞口35の開放が1R目に相当することになる。なお,小当たり遊技において特定領域39への遊技球の通過がなければ,パチンコ遊技機1は,大当たり遊技を実行しない。また,大当たり遊技の1ラウンド中,または小当たり遊技中に,複数回大入賞口を開放させることがあってもよい。
パチンコ遊技機1では,小当たり図柄の種別も複数ある。そのため,パチンコ遊技機1では,小当たりに当選した場合,小当たり図柄の種別の抽選も行う。小当たり図柄の種別の抽選も,大当たり種別乱数に基づいて行われる。本形態では,図10に示すように,特図1の抽選で当選可能な小当たり図柄(第1特別図柄表示器41aに停止表示される小当たり図柄)の種別は1種類である。また,図12に示すように,特図2の抽選で当選可能な小当たり図柄(第2特別図柄表示器41bに停止表示される小当たり図柄)の種別は7種類である。
具体的には特図1の抽選では,「特図1_小当たり図柄a_0」に当選する可能性がある。また,特図2の抽選では,当選時の状態が非時短状態であれば,振分率30%で「特図2_小当たり図柄b_2」に当選し,振分率20%で「特図2_小当たり図柄c_3」に当選し,振分率20%で「特図2_小当たり図柄d_99」に当選し,振分率20%で「特図2_小当たり図柄e_99」に当選し,振分率10%で「特図2_小当たり図柄f_99」に当選する。一方,当選時の状態が時短状態であれば,振分率30%で「特図2_小当たり図柄b_2」に当選し,振分率20%で「特図2_小当たり図柄c_3」に当選し,振分率20%で「特図2_小当たり図柄d_4」に当選し,振分率20%で「特図2_小当たり図柄e_5」に当選し,振分率10%で「特図2_小当たり図柄f_99」に当選する。
特図1の抽選に基づく小当たり(特図1_小当たり図柄a_0(以下,「小当たり図柄a」と表記する)))は,特定領域39への通過(V通過ともいう)が実質的に不可能な小当たりである。これに対して,特図2の抽選に基づく小当たり(特図2_小当たり図柄b_2,特図2_小当たり図柄c_3,特図2_小当たり図柄d_99,特図2_小当たり図柄d_4,特図2_小当たり図柄e_99,特図2_小当たり図柄e_5,および特図2_小当たり図柄f_99(以下,「小当たり図柄b」〜「小当たり図柄f」と表記する))は,V通過が必ず可能な小当たりである。つまり,パチンコ遊技機1は,特図1の抽選に基づく小当たり当選から大当たり遊技が実行されることは,イレギュラーなケースを除いてない。小当たり遊技の実行中にV通過可能か否かは,振分部材71の作動パターンおよび開閉部材37の開放パターンによって決まる。
パチンコ遊技機1は,各種別の小当たり図柄に基づく小当たり遊技において,第2大入賞口35の1.6秒開放を1回行う。但し,各小当たり遊技におけるオープニングの時間は,小当たり図柄の種別に応じて異なる。具体的には,図10に示すように,「小当たり図柄a」ではおよそ4.6秒であり,図12に示すように,「小当たり図柄b」〜「小当たり図柄f」では0.008秒である。このように小当たり図柄の種別に応じて小当たり遊技のオープニングの時間が異なっているのは,このオープニングの開始から一定の動作で動いている振分部材71に対する第2大入賞口35の開放タイミングを変えるためである。これにより,小当たり遊技の実行中にV通過が可能な通過用開放パターンと,小当たり遊技の実行中にV通過が不可能(実質的を含む)な非通過用開放パターンとをつくり出している。通過用開放パターンおよび非通過用開放パターンの詳細については後述する。
また,パチンコ遊技機1は,特定領域39への遊技球の通過に基づいて実行される大当たり遊技(2種大当たり遊技)において,小当たり図柄の種別に応じて定められている開放パターンで第1大入賞口30を開放する。具体的には,「小当たり図柄a」の当選に基づく2種大当たり遊技では,2R目から6R目までは1Rあたり1回,最大開放時間を29.5秒として第1大入賞口30を開放し,6R目から16R目までは1Rあたり1回,最大開放時間を0.1秒として第1大入賞口30を開放する。つまり,実質的に5Rの2種大当たり遊技を実行する。そして,パチンコ遊技機1は,この2種大当たり遊技の実行後の遊技状態を,非時短状態と時短状態とのいずれで当選した場合でも「非時短状態」(低ベース状態)にする。但し,「小当たり図柄a」は,V通過が実質的に不可能な小当たりであるため,このような2種大当たり遊技が実行されることはイレギュラーなケースを除いてない。
一方,パチンコ遊技機1は,「小当たり図柄b」〜「小当たり図柄f」の当選に基づく2種大当たり遊技では,2R目から16R目まで1Rあたり1回,最大開放時間を29.5秒として第1大入賞口30を開放する。つまり,実質的に15Rの2種大当たり遊技を実行する。そして,パチンコ遊技機1は,この2種大当たり遊技の実行後の遊技状態を,非時短状態と時短状態とのいずれで当選した場合でも「時短状態」(高ベース状態)にする。
また,2種大当たり遊技後の,時短状態における時短回数(変動表示の回数)は,当選した小当たり図柄の種別と,当選時の遊技状態とに応じて異なる。具体的には,時短状態では,特図2_小当たり図柄b_2(振分率30%)に当選した場合には第2時短回数は2回に設定され,特図2_小当たり図柄c_3(振分率20%)に当選した場合には第2時短回数は3回に設定され,特図2_小当たり図柄d_4(振分率20%)に当選した場合には第2時短回数は4回に設定され,特図2_小当たり図柄e_5(振分率20%)に当選した場合には第2時短回数は5回に設定され,特図2_小当たり図柄f_99(振分率10%)に当選した場合には第2時短回数は99回に設定される。
これに対して,非時短状態(低ベース状態)では,特図2_小当たり図柄b_2(振分率30%)に当選した場合には第2時短回数は2回に設定され,特図2_小当たり図柄c_3(振分率20%)に当選した場合には第2時短回数は3回に設定され,特図2_小当たり図柄d_99,特図2_小当たり図柄e_99,および特図2_小当たり図柄f_99(合計の振分率50%)に当選した場合,第2時短回数は99回に設定される。このように特図2の抽選における小当たり当選を経て2種大当たりに当選した場合の時短回数の振分は,時短状態での当選よりも,非時短状態での当選の方が,遊技者にとって有利となっている。つまり,特図2の抽選では,非時短状態の方が時短状態よりも遊技者に有利な結果になり易い。このようにしているのは,時短状態が終了して通常遊技状態に戻ったときに,1つだけ残っている特図2の保留に基づいて小当たりに当選する場合の特別感を出すためである。つまり,このように時短状態中の時短回数の振分よりも非時短状態中の時短回数の振分を有利にすることで,後述する「泣きの1回」に対する興趣を向上させている。「泣きの1回」とは,時短状態が終了して通常遊技状態に戻ったときの,1つだけある特図2の保留に基づく抽選のことである。
また,大当たり当選時または小当たり当選時の変動演出における,演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせは,図13に示す通りである。パチンコ遊技機1は,特図1の抽選に基づく大当たり当選時,および特図2の抽選に基づく大当たり当選時,第2時短回数が99回に設定されるケースであれば,基本的には演出図柄8L,8C,8Rを「3」または「7」のゾロ目で停止表示し,第2時短回数が99回以外の回数に設定されるケースであれば,演出図柄8L,8C,8Rを「3」および「7」以外の図柄(「1」,「2」,「4」,「5」,「6」,「8」,または「9」)のゾロ目で停止表示する。但し,第2時短回数が99回に設定される場合であっても,非時短状態において「特図1_大当たり図柄B」に当選した場合,演出図柄8L,8C,8Rを「3」および「7」以外の図柄のゾロ目で停止表示する。これにより,初当たり時の演出図柄8L,8C,8Rが「3」または「7」のゾロ目で停止表示されない場合でも,第2時短回数が99回に設定される可能性が残るため,この場合の遊技興趣を向上させることが可能である。
また,パチンコ遊技機1は,特図1の抽選に基づく小当たり当選時,演出図柄8L,8C,8Rを,ハズレのときと同様,バラケ目(例えば「1・4・5」等)で停止表示する。特図1の抽選に基づく小当たりは,V通過が不可能な小当たりだからである。
また,パチンコ遊技機1は,特図2の抽選に基づく小当たり当選時,2種大当たり遊技後に第2時短回数が99回に設定されるケースであれば,演出図柄8L,8C,8Rを「3」または「7」のゾロ目で停止表示し,2種大当たり遊技後に第2時短回数が99回以外の回数に設定されるケースであれば,演出図柄8L,8C,8Rを「3」および「7」以外の図柄のゾロ目で停止表示する。このようにパチンコ遊技機1では,変動演出において演出図柄8L,8C,8Rが「3」または「7」のゾロ目で停止表示されることは,第2時短回数が99回に設定されること,言い換えれば大当たりが連荘する予定であることを遊技者に報知していることとなる。
なお,パチンコ遊技機1では,前述したように,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づいて取得される乱数として,大当たり乱数,大当たり種別乱数の他に,リーチ乱数および変動パターン乱数がある。
リーチ乱数は,大当たりの当否判定の結果がハズレである場合に,その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは,複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって,変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお,リーチ状態において停止表示されている演出図柄は,表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり,拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。すなわち,演出図柄が完全に停止していなくてもよい。このリーチ乱数は,0〜255までの範囲の値となる。
そして,パチンコ遊技機1では,図14に示すように,非時短状態では,リーチ乱数が0〜27の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。また,時短状態では,リーチ乱数が0〜11の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。
また,変動パターン乱数は,変動表示時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)およびその後の確定時間(表示結果の導出表示時から停止表示を維持する時間)を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は,0〜99までの範囲の値となる。図15は,変動パターン乱数と変動パターンとの関係を示すテーブルである。本形態では,変動パターンによって,変動表示時間および確定時間が決められる。さらに,決められた変動表示時間および確定時間内に収まるように,疑似連続変動演出(疑似連演出ともいう)の実行可否や,疑似連演出を行う場合の再変動表示の実行回数や,リーチ演出を行う場合の態様が決められる。
また,パチンコ遊技機1は,時短状態での特定の変動表示の確定時間を延長する延長機能を有している。どの変動表示の確定時間を延長するかは,当選した特別図柄の種類によって決まる。具体的には,当選した特別図柄の種類ごとに延長有効回数が設定されており,図13に示すように,延長有効回数は第2時短回数と同じ回数となる。そして,時短状態に移行してからの変動表示の回数が延長有効回数以上の場合では,延長機能が有効になり,確定時間が延長される。例えば,「特図2_小当たり図柄b_2」に当選した場合,時短状態に移行してから2回目以降の変動表示では,確定時間が延長される。また,「特図2_小当たり図柄c_3」に当選した場合,時短状態に移行してから3回目以降の変動表示では,確定時間が延長される。また,「特図2_小当たり図柄d_99」に当選した場合,時短状態に移行してから99回目以降の変動表示では,確定時間が延長される。なお,非時短状態に移行した後の変動表示からは,延長機能は無効になる。
このようにパチンコ遊技機1は,第2時短回数に設定される数値と同じ回数以降の変動表示において確定時間が延長されるため,少なくとも非時短状態に移行する直前の変動表示である最終変動表示では,確定時間が延長される。つまり,時短状態に移行した後の変動回数が,第2時短回数以上(最終変動を含む)における変動表示後の確定時間は,第2時短回数未満における変動表示後の確定時間よりも長い。本形態では,確定時間を3秒延長する。この3秒は,時短状態における電チュー22の1パターン分の変位可能時間(本形態では,1パターンにつき1回の開放であるため,1回分の電チュー22の開放時間と同等)と同等である(図8参照)。
パチンコ遊技機1では,確定時間の延長機能が有効になっている場合,延長機能が有効になっていない場合の確定時間(図15参照)に3秒追加した時間が,確定時間となる。例えば,延長機能が有効になっていない場合に特図2の抽選において大当たりないし小当たりに当選していた場合の確定時間は0.5秒であるが,延長機能が有効になっている場合の確定時間は3.5秒になる。また,延長機能が有効になっていない場合に特図2の抽選においてハズレであった場合の確定時間は0.3秒であるが,延長機能が有効になっている場合の確定時間は3.3秒になる。
5.パチンコ遊技機1の遊技の流れ
続いて,本形態のパチンコ遊技機1における遊技の進行の流れについて,図16に基づいて説明する。先ず,通常遊技状態において,遊技者は左打ちにて遊技を進行する。これにより,第1始動口20へ入球させ,特図1の抽選に基づく大当たり当選を狙う。これが図16に示す通常ゲームである。
通常ゲーム中,パチンコ遊技機1では,第1ゲート28への通過が生じる(図1参照)。これによりパチンコ遊技機1では,普通図柄抽選が実行され,長開放図柄(図7(B)参照)に当選する場合がある。この場合,パチンコ遊技機1は,電チュー22を5秒にわたって開放状態にする(図8に示す長開放図柄)。従って,遊技者が右打ちすることにより,電チュー22(第2始動口21)に遊技球が入賞し,第2特図保留(特図2の保留)を生じさせることができる。
パチンコ遊技機1では,特図2の保留が生じれば,特図1の変動表示が終了していることを条件に,特図2の変動表示が開始される。つまり,特図2の抽選が実行される。これにより,小当たり当選を狙うことができる。パチンコ遊技機1は,小当たりに当選すれば,遊技者が正しく遊技している限り必ず第2大入賞装置36内の特定領域39へ遊技球を通過させ得るように構成される。つまり,2種大当たりに当選することが可能である。特図2の抽選に基づく小当たり確率は,およそ1/6である(図9参照)。これは,大当たり当選確率(およそ1/300)に比べて,非常に高い。言い換えれば,特図2の抽選は,特図1の抽選に比べて,大当たり遊技を実行させることができる確率(大当たり獲得確率という)が非常に高い。この特図2の抽選に基づく大当たり獲得確率の高いゲームが,図16に示すハイチャンスゲームである。
ハイチャンスゲームにおいて小当たりに当選し,2種大当たり遊技が実行された場合,2種大当たり遊技後の遊技状態は,50%の割合で時短回数99回の時短状態に制御され,残りの50%の割合で時短回数2回〜5回の時短状態に制御される(図12参照)。ちなみに,ハイチャンスゲームにおいて1種大当たり(直撃大当たり)に当選した場合には,30%の割合で時短回数99回の時短状態に制御され,残りの70%の割合で時短回数2回または5回の時短状態に制御される(図11参照)。また,ハイチャンスゲームにおいて小当たりにも1種大当たりにも当選できなかった場合には,通常ゲームに戻る。
一方,通常ゲームにおいて特図1の抽選にて大当たりに当選した場合,大当たり遊技後の遊技状態は,50%の割合で時短回数99回の時短状態に制御され,残りの50%の割合で時短回数1回の時短状態(泣きの1回モード)に制御される(図10参照)。
時短回数99回の時短状態に制御された場合,実質的に次回の大当たりが確定する。つまり本パチンコ遊技機1は,特図2の抽選においておよそ1/6で小当たりに当選することから,99回あれば特図2の抽選で小当たりに当選する可能性が極めて高い。そのため,基本的には初当たりの50%で,所謂大当たりの連荘が確定する仕様となっている。ただし,ハイチャンスゲームにおける特図2の抽選に基づく直撃大当たりが初当たりとなった場合,大当たりの連荘が確定する割合は30%である(図11参照)。
時短回数99回の時短状態に制御された場合,または時短回数2回〜5回の時短状態に制御された場合,遊技者は特図2の抽選に基づく小当たり当選を狙う。時短状態中に小当たりに当選し,2種大当たり遊技が実行された場合,2種大当たり遊技後の遊技状態は,10%の割合で時短回数99回の時短状態に制御され,残りの90%の割合で時短回数2回〜5回の時短状態に制御される(図12参照)。
ちなみに時短状態中に特図2の抽選に基づいて1種大当たりに当選した場合,通常遊技状態(非時短状態)中に特図2の抽選に基づいて1種大当たりに当選した場合よりも,時短回数が2回に設定される割合が高くなっている(図11参照)。また,時短状態中に特図1の抽選に基づいて1種大当たりに当選した場合は,時短回数が1回に設定されることはなく,最低でも2回に設定される(図10参照)。
大当たり(2種大当たり又は1種大当たり)に当選することなく,時短状態が終了した場合,特図2の保留があれば,泣きの1回モードに制御される。また,通常ゲームにおいて特図1の抽選にて大当たりに当選した場合にも,50%の割合で時短回数1回の時短状態(泣きの1回モード)に制御される。時短回数1回の時短状態に制御された場合には,時短状態に制御されている間に,特図2の保留を1つ貯めることができる。よって,時短状態終了後にその特図2の保留に基づいて,小当たり当選経由の大当たり(2種大当たり)を狙うことができる。
時短状態終了後に特図2の保留に基づいて2種大当たりに当選した場合,50%の割合で時短回数99回の時短状態に制御され,残りの50%の割合で時短回数2回〜5回の時短状態に制御される(図12参照)。つまりパチンコ遊技機1では,時短状態において2種大当たりに当選するよりも,通常遊技状態(非時短状態)において2種大当たりに当選した方が,時短回数の振分が有利であり,大当たりの連荘が確定する割合が高くなっている。これにより,泣きの1回(時短状態終了後の特図2の保留に基づく抽選)に対する関心を高め,遊技興趣を向上させている。なお,泣きの1回モードにおいて特図2の保留に基づいて大当たりに当選しなかった場合,通常ゲームに戻る。
なお,泣きの1回では,泣きの1回用の演出を行う。前述したように泣きの1回(非時短状態での特図2の保留に基づく抽選)は,時短状態での特図2の保留に基づく抽選よりも,2種大当たりに当選した場合に遊技者に有利になる。そのため,時短状態での変動表示時の演出と異なる専用の演出を行って,泣きの1回が特別な抽選になるように演出する。専用演出は,時短状態での変動表示時の演出と異なるパターンの演出であればよく,例えば,背景を変える,登場キャラクタのセリフや動作を変える,時短終了後の特別な1回のみの抽選であることを告知するテロップを表示する,が該当する。泣きの1回用の演出は,特別な演出の一例である。
6.確定時間の延長機能の詳細
続いて,本形態のパチンコ遊技機1における確定時間の延長機能について,図17のタイムチャートを参照しつつ説明する。図17は,最終変動表示(時短状態の回数終了条件を満たすことになる変動表示),最終変動表示の1つ前の変動表示,最終変動表示直後の変動表示(泣きの1回の変動表示)の,特別図柄表示器41の動作,遊技状態,電チュー22の動作,をそれぞれ示している。なお,各変動表示は,特図2の抽選であって結果がハズレであった場合の変動表示を示している。
さらに,図17では,時短状態中,全ての変動表示が特図2の変動表示であった場合の特別図柄表示器41の動作(つまり,第2特別図柄表示器41bの動作)を示している。時短状態において全て特図2の変動表示が行われていることから,最終変動表示の1つ前の変動表示では,時短状態での変動表示回数が延長有効回数に達していない。そのため,確定時間の延長機能が無効のままである。一方,最終変動表示では,時短状態での変動表示回数が延長有効回数に達する。そのため,確定時間の延長機能が有効になる。
本形態では,時短状態における変動表示時間は,図15に示したように,特図2の抽選結果にかかわらず36秒である。そして,変動表示後の確定時間は,最終変動表示の1つ前では,0.3秒となる(大当たりないし小当たりに当選していた場合には0.5秒)。一方,最終変動表示では,確定時間の延長機能が有効であることから,3秒延長した3.3秒となる(大当たりないし小当たりに当選していた場合には3.5秒)。
また,最終変動表示の開始後,その確定時間が終了する前に,さらに特図2の保留が生じた場合,その確定時間の終了後に,その特図2の保留に基づく変動表示が開始される。この変動表示が,泣きの1回の変動表示となる。泣きの1回の変動表示では,非時短状態での変動表示となり,その変動表示時間は,図15に示したように,特図2の抽選結果にかかわらず40秒である。そして,変動表示後の確定時間は,0.5秒となる(小当たりに当選していた場合には15秒)。
本形態では,図17に示したように,最終変動表示の終了時(最終変動表示後の確定時間の開始時)に,遊技状態が時短状態から非時短状態に切り替える。つまり,最終変動表示の実行中は,時短状態であるが,最終変動表示後の確定時間は,非時短状態になる。時短状態であれば,図8に示したように,普通図柄の抽選において長開放図柄に当選しても短開放図柄Aに当選しても短開放図柄Bに当選しても,電チュー22の変位可能時間が3秒になる。普通図柄の抽選では,図7(A)に示したように高確率で普通当たりに当選することから,時短状態では,電チュー22が開放され易く,遊技球を第2始動口21に入賞させ易い。つまり,変動表示中,特図2の保留を生じさせ易い。本形態では,特図2の保留の上限値が1であることから,変動表示中,特図2の保留が1つ生じ易く,2つ以上の保留は生じない。
一方,非時短状態であれば,図8に示したように,普通図柄の抽選において当選した普通図柄の種類に応じて電チュー22の開放時間が異なる。普通図柄の抽選では,図7(B)に示したように高確率で短開放図柄Bに当選する。短開放図柄Bでは,電チュー22の開放時間が0.02秒と極めて短く(図17ではこの0.02秒の開放時間分を省略している),遊技球を第2始動口21に入賞させることが困難である。短開放図柄Aに当選した場合であっても,短開放図柄Bと同様に,遊技球を第2始動口21に入賞させることが困難である。つまり,非時短状態では,当選確率が低い長開放図柄に当選しない限り,遊技球を第2始動口21に入賞させることは困難である。
本形態では,最終変動表示中は時短状態であり,電チュー22が開放され易い。しかしながら,電チュー22の開放時間は3秒であり,確定時間が3.3秒であることから,延長後の確定時間は,電チュー22の開放時間よりも長い。そのため,図17に示すように電チュー22が最終変動表示の終了直前に開放されたとしても,確定時間内に電チュー22の開放時間が終了する。そして,前述したように確定時間中は非時短状態であり,電チュー22が開放され難い。そのため,電チュー22が確定時間中に再度開放状態になる可能性は低く,泣きの1回の変動表示の開始時に電チュー22が開放されている可能性は低い。そのため,泣きの1回の変動表示中に,特図2の保留が生じる可能性は低い。つまり,イレギュラーな抽選が生じ難い。
なお,本形態では,延長時間が3秒の固定値であるが,3秒に限るものではない。例えば,3秒よりも大きい値であってもよい。延長時間が長いほどイレギュラーな抽選を抑制し得るが,遊技の進行が遅延する。そのため,延長時間は,電チュー22の変位可能時間と同程度が好ましい。また,3秒よりも小さい値であっても,少なからず確定時間を延長することで,延長しない場合よりも,泣きの1回の変動表示の開始時に電チュー22が開放されている可能性は低くなる。また,仮に開放されていたとしても開放されている期間が短くなる。そのため,延長しない場合と比較して,特図2の保留が生じ難く,延長時間を電チュー22の変位可能時間よりも短い時間としても,イレギュラーな抽選を抑制する効果は生じ得る。
また,本形態では,延長する時間を固定値(3秒)としているが,可変値であってもよい。すなわち,当選した特別図柄の種類に応じて,延長時間の長さを変えてもよい。この場合であっても,延長後の確定時間の長さが,1回分の普通当たりにおける電チュー22の変位可能時間(本形態では3秒)以上の長さに設定するとよい。
前述の例では,時短状態中,全ての特別図柄の変動表示が特図2の変動表示であった場合(すなわち時短状態中の変動表示回数が延長有効回数と同じであり,確定時間が延長される回数が最終変動表示の1回のみ)であったが,例えば,時短状態中に特図1の変動表示があった場合,特図1の変動表示の回数分,確定時間が延長されるケースが多くなる。ただし,時短状態中に特図1の変動表示があったとしても,遊技状態が切り替わる最終変動表示のみを確定時間の延長対象としてもよい。この場合,延長対象となる変動表示を,特別図柄の種類に対応付けて決めるのではなく,例えば最終変動表示用の変動パターンを用意し,その最終変動表示の場合に確定時間を電チュー22の1パターン分の変位可能時間以上の長さに設定するとよい。
また,本形態では,最終変動表示の終了時(最終変動表示後の確定時間の開始時)に,遊技状態を時短状態から非時短状態に切り替えているが,遊技状態の切り替えタイミングは,変動表示の終了時から確定時間が経過する前までのタイミングであればよい。少なからず確定時間の終了よりも前に,遊技状態を時短状態から非時短状態に切り替えることで,確定時間の終了時に遊技状態を時短状態から非時短状態に切り替える場合と比較して,泣きの1回の変動表示の開始時に電チュー22が開放されている可能性は低くなる。ただし,本形態のように最終変動表示の終了時(最終変動表示後の確定時間の開始時)に,遊技状態を時短状態から非時短状態に切り替える方が,泣きの1回の変動表示の開始時に電チュー22が開放されている可能性を低くできる。
また,本形態では,電チュー22の開放パターンとして,1回分の普通当たりについて,開放回数が1回であり,その1回分の開放時間がそのまま,電チュー22の変位可能時間となるが,1回の普通当たりについて,開放回数を複数回とする開放パターンとしてもよい。この場合,電チュー22の変位可能時間は,最初の開放時間の開始から最後の開放時間の終了までの時間となる。つまり,電チュー22の変位可能時間は,1パターン分の電チュー22の開放に必要な時間となる。
7.遊技制御用マイコン81の動作
続いて,パチンコ遊技機1の主制御基板80における遊技制御用マイコン81の動作について説明する。遊技制御用マイコン81が実行する具体的な処理としては,メイン側起動処理がある。なお,遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM84に設けられる。
[メイン側起動処理]
遊技制御用マイコン81が実行するメイン側起動処理について,図18のフローチャートを参照しつつ説明する。遊技制御用マイコン81は,パチンコ遊技機1の主電源がオフからオンになったことを契機に,すなわち電源スイッチ155がオンになり,電源基板150を介して外部からの電力供給が開始されたことを契機に,ROM83からメイン側起動処理のプログラムを読み出して実行する。
メイン側起動処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,初期動作を行う(S001)。具体的にS001では,遊技制御用マイコン81は,RAM84へのアクセスを許可する。また,RAMクリアスイッチ156が押下されている場合や正常に主電源がオフされていなかった場合に,RAM84の初期化を行う。これにより,各種のフラグやステータスが初期値となり,RAM84に記憶されていた各種の情報が失われる。また,サブ制御基板90側のRAM94等を初期化するためのRAM初期化コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。この他,S001では,例えば,スタックの設定,定数設定,割り込み時間の設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定を行う。S001の初期動作は,電源投入後に一度だけ実行され,それ以後は実行されない。
S001の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを禁止する(S002)。次いで,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S003)。具体的にS003では,遊技制御用マイコン81は,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,普通当たり乱数,の各種の乱数の値を更新する。乱数の更新方法としては,例えば,1回の更新に際して値を所定数加算する。所定数は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。乱数の値は,上限値に達すると0に戻る。また,乱数の初期値は,0であっても0以外の値であってもよい,また,乱数の初期値は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。また,各乱数は,カウンタIC等からなる公知の乱数発生回路を利用して生成してもよい。その場合,S003は省略してもよい。また,乱数発生回路は,遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。
S003の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを許可する(S004)。以降,S002〜S004を繰り返す。割り込みが許可されている間は,メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能になる。メイン側タイマ割り込み処理は,例えば,4ms周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして,メイン側タイマ割り込み処理が実行された場合には,メイン側タイマ割り込み処理が終了してから,次のメイン側タイマ割り込み処理が開始されるまでの間に,S002〜S004の処理が繰り返される。なお,割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合には,メイン側タイマ割り込み処理の実行を直ぐには開始せず,割り込み許可状態となるのを待って開始する。
[メイン側タイマ割り込み処理]
次に,S005のメイン側タイマ割り込み処理について,図19のフローチャートを参照しつつ説明する。メイン側タイマ割り込み処理は,4ms周期の割り込みパルスが入力される度に,遊技制御用マイコン81によって実行される。
メイン側タイマ割り込み処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,RAM84の出力バッファにセットされたコマンドを,サブ制御基板90や払出制御基板110等,パチンコ遊技機1内の主制御基板80以外のデバイスに出力する(S101)。RAM84の出力バッファには,後述する各種の処理によって適宜コマンドがセットされる。
S101の後,遊技制御用マイコン81は,入力情報を記憶する(S102)。具体的にS102では,遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,普通入賞口センサ27a等の,各種のセンサから出力された信号を読み込む。そして,それらの信号に基づいて入賞の有無を判断し,入賞口の種類に応じた賞球の払い出しを指示する払い出しコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。
S102の後,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S103)。S103の処理は,S003と同様である。すなわち,遊技制御用マイコン81は,メイン側タイマ割り込み処理の実行期間中と,それ以外の期間との両方で,各種の乱数の値を更新する。なお,乱数の値の更新を,いずれか一方の期間のみで行ってもよい。
S103の後,遊技制御用マイコン81は,各種のセンサから出力された信号に基づいて,始動口等の所定の領域への遊技球の通過を検出するセンサ検出処理を実行する(S111)。S111の詳細は後述する。
S111の後,遊技制御用マイコン81は,普通図柄に関する動作である普通動作処理を実行する(S121)。具体的にS121では,遊技制御用マイコン81は,普通当たりの抽選条件を満たしている場合に,普図保留記憶部86に記憶されている普通当たり乱数を用いて普通当たりに当選したか否かを判定する。そして,判定結果に応じた普図停止図柄データおよび遊技状態に応じた変動パターンを決定し,普通図柄表示器42に普通図柄の表示を行わせる。さらに普通当たりに当選した場合には,遊技状態に応じた電チュー22の開放パターンを決定し,電チュー22を作動させる。S121の詳細は後述する。
S121の普通動作処理の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄に関する動作である特別動作処理を実行する(S131)。具体的にS131では,遊技制御用マイコン81は,大当たりの抽選条件を満たしている場合に,特図保留記憶部85に記憶されている大当たり乱数を用いて大当たりに当選したか否かを判定する。そして,判定結果に応じた特別図柄および遊技状態に応じた変動パターンを決定し,特別図柄表示器41に特別図柄の表示を行わせる。さらに大当たりに当選した場合には,大当たり遊技を実行する。なお,S121とS131とは逆順であってもよい。S131の詳細は後述する。
S131の後,遊技制御用マイコン81は,振分部材ソレノイド73を制御して振分部材71を作動させる振分処理を実行する(S141)。S141の詳細は後述する。S141の後,遊技制御用マイコン81は,普図保留数,第1特図保留数,第2特図保留数,の各保留数に基づいて,特図保留表示器43および普図保留表示器44の表示を更新させる(S161)。
S161の後,遊技制御用マイコン81は,RAM84の外部出力バッファにセットされたコマンドに基づいて,外部端子板190を介して各種の信号を出力する(S171)。例えば,大当たりの抽選にて大当たりに当選した場合,遊技制御用マイコン81は,大当たり信号を外部装置に出力する。
S171の後,遊技制御用マイコン81は,主電源を正常にオフさせるための電源断監視処理を実行する(S181)。具体的にS181では,遊技制御用マイコン81は,例えば,電源スイッチ155がオフになったことを検知した場合に,正常に主電源がオフされたことを示す情報をRAM84に記憶する。そして,RAM84へのアクセスを制限する。S181の後,メイン側タイマ割り込み処理を終了する。
その後,遊技制御用マイコン81は,次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまではメイン側起動処理のS002〜S004の処理を繰り返し,割り込みパルスが入力されると,再び,メイン側タイマ割り込み処理を実行する。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理のS101では,前回のメイン側タイマ割り込み処理にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンドが出力される。
[センサ検出処理]
次に,図19のS111のセンサ検出処理について,図20のフローチャートを参照しつつ説明する。
センサ検出処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,第1ゲートセンサ28aおよび第2ゲートセンサ29aから出力された信号に基づいて,遊技球が第1ゲート28ないし第2ゲート29を通過したか否かを判断する(S201)。
遊技球が第1ゲート28ないし第2ゲート29を通過していた場合(S201:YES),遊技制御用マイコン81は,普通動作ステータスの値が1か否かを判断する(S202)。普通動作ステータスは,後述する普通動作処理によって設定される。普通動作ステータスが1であるとは,普通図柄の変動表示の実行中でも補助遊技の実行中でもないことを意味する。
普通動作ステータスの値が1であれば(S202:YES),遊技制御用マイコン81は,普通当たり乱数および普通当たり種別乱数の値をそれぞれ取得する(S204)。遊技制御用マイコン81は,取得した普通当たり乱数および普通当たり種別乱数の値を,普図保留記憶部86に記憶する。
S204の後,あるいは普通動作ステータスの値が1でなければ(S202:NO),あるいは遊技球が第1ゲート28ないし第2ゲート29を通過していない場合(S201:NO),遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20aから出力された信号に基づいて,遊技球が第1始動口20を通過したか否かを判断する(S211)。遊技球が第1始動口20を通過していた場合(S211:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S212)。
第1特図保留の数が4個未満であれば(S212:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留数に1を加算し(S213),さらに大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の大当たりに関する各乱数の値を取得し,取得した各乱数の値を,第1特図保留記憶部85aに記憶する(S214)。
S214の後,遊技制御用マイコン81は,S214にて取得した各乱数の値に基づいて第1始動入賞コマンドを特定し,その第1始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S215)。第1始動入賞コマンド判定テーブルの各乱数の振り分けは,図9,図10,図14,図15に示した各テーブルの振り分けと対応している。そのため,第1始動入賞コマンドには,大当たりの当否,大当たりの種類,リーチの有無,変動表示時間,さらにはSPリーチを行うか否か,SPリーチの種類,の各情報が含まれる。始動入賞コマンドは,いわゆる先読み演出を行うために用いられる。先読み演出とは,始動入賞に基づく大当たりの当否判定よりも前にその始動入賞に対する当選期待度を示唆する演出である。
なお,出力バッファにセットされた第1始動入賞コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図19参照)のS101にてサブ制御基板90に送信される。つまり,S214にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前であっても,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
S215の後,あるいは第1特図保留の数が4個以上の場合(S212:NO),あるいは遊技球が第1始動口20を通過していない場合(S211:NO),遊技制御用マイコン81は,第2始動口センサ21aから出力された信号に基づいて,遊技球が第2始動口21を通過したか否かを判断する(S221)。遊技球が第2始動口21を通過していた場合(S221:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S222)。
第2特図保留の数が4個未満であれば(S222:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留数に1を加算し(S223),さらにS214と同様に,大当たりに関する各乱数の値を取得し,取得した各乱数の値を,第2特図保留記憶部85bに記憶する(S224)。
S224の後,遊技制御用マイコン81は,S224にて取得した各乱数の値に基づいて第2始動入賞コマンドを特定し,その第2始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S225)。第2始動入賞コマンド判定テーブルの各乱数の振り分けは,図9,図11,図12,図14,図15に示した各テーブルの振り分けと対応している。そのため,S215と同様に,S224にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前に,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。
S225の後,あるいは第2特図保留の数が4個以上の場合(S222:NO),あるいは遊技球が第2始動口21を通過していない場合(S221:NO),遊技制御用マイコン81は,特定領域センサ39aから出力された信号に基づいて,遊技球が特定領域39を通過したか否かを判断する(S251)。
遊技球が特定領域39を通過していた場合(S251:YES),遊技制御用マイコン81は,特定領域39への遊技球の通過が許可されるV有効期間であるか否かを判断する(S252)。V有効期間は,後述する振分処理によって設定される。V有効期間であれば(S252:YES),遊技制御用マイコン81は,Vフラグをオンとし(S253),さらにV通過コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S254)。Vフラグは,特定領域39への遊技球の通過の判断に用いられる。なお,出力バッファにセットされたV通過コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図19参照)のS101にてサブ制御基板90に送信される。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。S254の後,あるいはV有効期間でない場合(S252:NO),あるいは遊技球が特定領域39を通過していない場合には(S251:NO),センサ検出処理を終了する。
[普通動作処理]
次に,図19のS121の普通動作処理について,図21のフローチャートを参照しつつ説明する。
普通動作処理では,普通図柄表示器42および電チュー22に関する処理を4つの段階に分け,それらの各段階に「普通動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして,遊技制御用マイコン81は,普通動作ステータスが1か否か(S301),2か否か(S311),3か否か(S321),をそれぞれ判断し,現時点でどのステータスに該当するかを判断する。普通動作ステータスの初期値は1である。
そして,遊技制御用マイコン81は,普通動作ステータスが1であれば(S301:YES),普通図柄待機処理を実行する(S302)。普通動作ステータスが2であれば(S311:YES),普通図柄変動中処理を実行する(S312)。普通動作ステータスが3であれば(S321:YES),普通図柄確定処理を実行する(S322)。一方,普通動作ステータスが4であれば(S321:NO),補助遊技処理を実行する(S332)。以下,普通動作処理にて実行される各処理について説明する。
[普通図柄待機処理]
図22は,図21のS302の普通図柄待機処理の手順を示している。普通図柄待機処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,普図保留記憶部86に普通当たりに関する各乱数が記憶されているか否かを判断する(S401)。普通当たりに関する各乱数が記憶されていなければ(S401:NO),普通図柄待機処理を終了する。
普通当たりに関する各乱数が記憶されている場合(S401:YES),遊技制御用マイコン81は,普通当たりに当選したか否かを判定する(S411)。具体的にS411では,遊技制御用マイコン81は,普図保留記憶部86に記憶されている普通当たりに関する各乱数の値を読み出し,図7(A)に示した普通当たりの当選判定テーブルを用いて,読み出した普通当たり乱数に基づいて,普通当たり,ハズレの判定を行う。また,普通当たりに当選した場合,遊技制御用マイコン81は,図7(B)に示した普通当たりの種類判定テーブルを用いて,読み出した普通当たり種別乱数に基づいて,普通当たりの種類の判定を行う。なお,本形態では,普通当たりの種類判定において殆どの場合,短開放図柄Bが選択されるが,1/2000程度の確率で長開放図柄が選択され,1/1000程度の確率で短開放図柄Aが選択される。
S411の後,遊技制御用マイコン81は,普通当たりの種類に基づいて,普通図柄の変動パターンを決定する(S412)。具体的にS412では,遊技制御用マイコン81は,図7(C)に示した普通図柄の変動パターン選択テーブルを用いて,遊技状態に応じた変動パターンを決定する。なお,遊技状態が非時短状態における長開放図柄および短開放図柄Aの当選時の変動表示時間が比較的長いのは,普通図柄の変動表示中に,後述する特殊演出(長開放図柄に当選したか否かを報知する演出)を実行するためである。また,遊技状態が時短状態の場合は,普通図柄抽選の結果がいずれの結果であっても,変動表示時間は1秒の変動パターンが選択される。
S412の後,遊技制御用マイコン81は,普通当たりの判定結果に応じて,普通図柄の停止図柄を決定する(S413)。S413の後,遊技制御用マイコン81は,普図保留記憶部86に記憶される普通当たりに関する各乱数を消去する(S414)。これにより,普図保留が保留される。
S414の後,遊技制御用マイコン81は,S412にて決定した変動パターンに従って,普通図柄表示器42に普通図柄の変動表示を開始させる(S415)。このとき遊技制御用マイコン81は,普通図柄の変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。変動開始コマンドには,停止図柄データの情報や変動パターンの情報が含まれる。変動開始コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動開始コマンドに応じた演出が実行される。S415の後,遊技制御用マイコン81は,普通動作ステータスを2に変更し(S417),普通図柄待機処理を終了する。
[普通図柄変動中処理]
図23は,図21のS312の普通図柄変動中処理の手順を示している。普通図柄変動中処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,普通図柄の変動表示時間が経過したか否かを判断する(S501)。普通図柄の変動表示時間は,前述した普通図柄待機処理のS412によって決定された変動パターンによって決められる。普通図柄の変動表示時間が経過していない場合(S501:NO),普通図柄変動中処理を終了する。すなわち,普通図柄の変動表示が継続される。
一方,普通図柄の変動表示時間が経過した場合(S501:YES),遊技制御用マイコン81は,普通図柄の変動停止コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S502)。変動停止コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動停止コマンドに応じた演出が実行される。S502の後,遊技制御用マイコン81は,普通動作ステータスを3に変更する(S503)。
S503の後,遊技制御用マイコン81は,普通図柄表示器42に普通図柄の変動表示を,S413にて決定された停止図柄で停止させる(S504)。そして,遊技制御用マイコン81は,普通図柄を一定時間にわたって停止表示させるための確定時間をセットし(S505),普通図柄変動中処理を終了する。
[普通図柄確定処理]
図24は,図21のS322の普通図柄確定処理の手順を示している。普通図柄確定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,前述した普通図柄変動中処理のS505でセットされた確定時間が経過したか否かを判断する(S601)。確定時間が経過していなければ(S601:NO),普通図柄確定処理を終了する。
確定時間が経過していれば(S601:YES),遊技制御用マイコン81は,普通当たりに当選したか否かを判断する(S611)。普通当たりに当選していれば(S611:YES),遊技制御用マイコン81は,普通動作ステータスを4に変更する(S612)。
また,普通当たりに当選していれば(S611:YES),遊技制御用マイコン81は,補助遊技のパターン,すなわち電チュー22の開放パターンを選択する(S613)。具体的にS613では,遊技制御用マイコン81は,図8に示した電チュー22の開放パターン選択テーブルを用いて,遊技状態および普通当たりの種類に応じた開放パターンを決定する。例えば,遊技状態が時短状態であれば,0.01秒の開放前インターバルを経て,3秒の開放時間で電チュー22を1回開放し,その後,0.01秒の開放後インターバルがある開放パターンが選択される。一方,遊技状態が非時短状態であって長開放図柄に当選している場合には,7秒の開放前インターバルを経て,5秒の開放時間で電チュー22を1回開放し,その後,0.01秒の開放後インターバルがある開放パターンが選択される。7秒の開放前インターバルを設けているのは,この期間に,後述する電チュー打込報知演出(電チュー22を狙って遊技球を打ち込む旨を報知する演出)を実行するためである。また,遊技状態が非時短状態であって短開放図柄Aないし短開放図柄Bに当選している場合には,0.01秒の開放前インターバルを経て,0.02秒の開放時間で電チュー22を1回開放し,その後,0.01秒の開放後インターバルがある開放パターンが選択される。この開放パターンは,開放時間が0.02秒と極めて短いため,電チュー22への入賞は生じ難い。つまりこの開放パターンは,電チュー22への入賞が困難な開放パターンである。
なお,時短状態での開放パターンを,第1補助遊技開放パターンと称する。また,非時短状態でかつ長開放図柄に当選していた場合の開放パターンを,第2補助遊技開放パターンと称する。また,非時短状態でかつ短開放図柄Aないし短開放図柄Bに当選していた場合の開放パターンを,第3補助遊技開放パターンと称することとする。また,第1補助遊技開放パターンおよび第2補助遊技開放パターンを,入球用開放パターンと称する。また,第3補助遊技開放パターンを非入球用開放パターンと称する。第2補助遊技開放パターンは,第1補助遊技開放パターンよりも開放時間が2秒長いが,第1補助遊技開放パターンと同じように遊技者は楽に電チュー22への入賞を生じさせることが可能である。よって,第2補助遊技開放パターンは,第1補助遊技開放パターンと同等の入賞し易さの開放パターンといえる。
S613の後,遊技制御用マイコン81は,補助遊技中の第2始動口21の開放回数をカウントする電チューカウンタの値を,選択された開放パターンに応じた値に設定する(S614)。本形態では,いずれの開放パターンがセットされた場合も電チュー22が1回のみ開放されるため,電チューカウンタの値は「1」に設定される。
S614の後,遊技制御用マイコン81は,補助遊技を開始する(S615)。S615では,遊技制御用マイコン81は,補助遊技を開始するべく,補助遊技の開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされた補助遊技の開始コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,補助遊技が開始されることになる。
一方,普通当たりに当選していなければ(S611:NO),普通当たりの抽選結果がハズレであり,普通当たり遊技を実行しないことから,遊技制御用マイコン81は,普通動作ステータスを1に変更する(S621)。S621あるいはS615の後,普通図柄確定処理を終了する。
[補助遊技処理]
図25は,図21のS332の補助遊技処理の手順を示している。補助遊技処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,補助遊技終了フラグがオンか否かを判断する(S701)。補助遊技終了フラグは,補助遊技における電チュー22の開放が終了したことを示すフラグである。
補助遊技終了フラグがオンでなければ(S701:NO),遊技制御用マイコン81は,S615にて開始した補助遊技を継続することから,遊技制御用マイコン81は,第2始動口21が開放中か否か(すなわち,電チュー22の開放中か否か)を判定する(S711)。第2始動口21が開放中でなければ(S711:NO),第2始動口21を開放させる時間に至ったか否か,すなわち補助遊技のオープニング(開放前インターバル)の時間が経過して第2始動口21の開放を開始する時間に至ったか否かを判断する(S712)。
第2始動口21を開放させる時間に至っていれば(S712:YES),遊技制御用マイコン81は,選択されている開放パターンに従って第2始動口21を開放させる(S713)。S713の後,あるいは第2始動口21を開放させる時間に至っていなければ(S712:NO),補助遊技処理を終了する。
一方,第2始動口21の開放中であれば(S711:YES),遊技制御用マイコン81は,補助遊技における第2始動口21への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では2個)に達しているか否かを判定する(S721)。規定入賞個数に達していなければ(S721:NO),第2始動口21を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第2始動口21を開放してから所定の開放時間(図8参照)が経過したか否か)を判断する(S722)。そして,第2始動口21の開放時間が経過していなければ(S722:NO),補助遊技処理を終了する。
これに対して,規定入賞個数に達している場合(S721:YES),あるいは第2始動口21の開放時間が経過した場合(S722:YES),すなわち2つの電チュー開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合,遊技制御用マイコン81は,第2始動口21を閉塞する(S723)。そして,電チューカウンタの値を1つ減算する(S724)。
S724の後,遊技制御用マイコン81は,電チューカウンタの値が0であるか否かを判断する(S725)。電チューカウンタの値が0でなければ(S725:NO),次の開放を開始するためにそのまま補助遊技処理を終了する。なお本形態では,いずれの開放パターンにおいても電チュー22の開放回数は1回であるため,S725でNOと判断されることはない。電チューカウンタの値が0であれば(S725:YES),補助遊技を終了させる(S726)。S726では,遊技制御用マイコン81は,補助遊技を終了させるべく,補助遊技の終了コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされた補助遊技の終了コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,補助遊技が終了することになる。また,遊技制御用マイコン81は,補助遊技終了フラグをオンにして(S727),補助遊技処理を終了する。
また,補助遊技終了フラグがオンであれば(S701:YES),遊技制御用マイコン81は,補助遊技における第2始動口21の開放が全て終了しているので,補助遊技のエンディング(閉鎖後インターバル)の時間(図8参照)が経過したか否かを判断する(S731)。そして,閉鎖後インターバルの時間が経過していなければ(S731:NO),補助遊技処理を終了する。一方,閉鎖後インターバルの時間が経過していれば(S731:YES),普通動作ステータスを1とし(S732),補助遊技終了フラグをオフにし(S733),補助遊技処理を終了する。
なお,本形態では,第2始動口21(電チュー22)の開放時間が5秒に設定される長開放図柄の開放パターンまたは開放時間が3秒に設定される時短状態での開放パターンで電チュー22が開放された場合には,右打ちをすることにより遊技球を電チュー22に入賞させることができる。しかし,電チュー22の開放時間が0.02秒に設定される短開放図柄の開放パターンで電チュー22が開放された場合,開放時間が極めて短いため,右打ちしても遊技球を電チュー22に入賞させることは極めて困難である。
[特別動作処理]
次に,図19のS131の特別動作処理について,図26のフローチャートを参照しつつ説明する。
特別動作処理では,特別図柄表示器41,第1大入賞装置31,および第2大入賞装置36に関する処理を4つの段階に分け,それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4,5」を割り当てている。そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1か否か(S901),2か否か(S911),3か否か(S921),4か否か(S931),をそれぞれ判断し,現時点でどのステータスに該当するかを判断する。特別動作ステータスの初期値は1である。
そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1であれば(S901:YES),特別図柄待機処理を実行する(S902)。特別動作ステータスが2であれば(S911:YES),特別図柄変動中処理を実行する(S912)。特別動作ステータスが3であれば(S921:YES),特別図柄確定処理を実行する(S922)。特別動作ステータスが4であれば(S931:YES),大当たり遊技処理を実行する(S932)。特別動作ステータスが5であれば(S931:NO),小当たり遊技処理を実行する(S942)。以下,特別動作処理にて実行される各処理について説明する。
[特別図柄待機処理]
図27は,図26のS902の特別図柄待機処理の手順を示している。特別図柄待機処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,第2特図保留の数が0であるか否かを判断する(S1001)。第2特図保留の数が0であれば(S1001:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数が0であるか否かを判断する(S1020)。つまり,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留に関する処理を,第1特図保留に関する処理よりも優先する。
第1特図保留の数も0であれば(S1020:YES),遊技制御用マイコン81は,客待ち演出が開始されているか否かを判断する(S1031)。客待ち演出は,待機状態中,複数の待機画面やデモンストレーション画像を,画像表示装置7に表示させる演出である。客待ち演出が開始されていれば(S1031:YES),特別図柄待機処理を終了する。
客待ち演出が開始されていなければ(S1031:NO),遊技制御用マイコン81は,客待ち演出を開始させるための客待ち待機コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1032)。出力バッファにセットされた客待ち待機コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。S1032の後,特別図柄待機処理を終了する。
一方,第2特図保留の数が0でなければ(S1001:NO),遊技制御用マイコン81は,大当たりに当選したか否かを判定する(S1011)。具体的にS1011では,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留記憶部85bの先頭に記憶されている大当たりに関する各乱数の値を読み出し,図9に示した大当たりの当選判定テーブルを用いて,読み出した大当たり乱数に基づいて,大当たり,小当たり,ハズレの判定を行う。また,大当たりもしくは小当たりに当選した場合,遊技制御用マイコン81は,図10,図11,図12に示した当たり図柄の種別判定テーブルを用いて,読み出した大当たり種別乱数に基づいて,大当たりないし小当たりの種類の判定を行う。
なお,小当たり当選確率は,特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が高くなっている。より詳細には,特図1の抽選における小当たり当選確率が1/100程度であるのに対して,特図2の抽選における小当たり当選確率は1/6程度である。小当たり当選確率をいくつにするかは適宜変更可能である。ただし,特図2の抽選における小当たり当選確率は,小当たり当選確率と特図2の保留の上限記憶数との積が1/10よりも大きくなるような確率にするとよい。泣きの1回等において当選に期待を持ちやすくなるからである。
S1011の後,遊技制御用マイコン81は,読み出した変動パターン乱数およびリーチ乱数に基づいて,特別図柄の変動パターンを決定する(S1012)。具体的にS1012では,遊技制御用マイコン81は,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)にて大当たりに当選している場合は,大当たりの種類と,変動パターン乱数と,図15に示した変動パターンの判定テーブルとを用いて,遊技状態に応じた変動パターンを決定する。図15に示すように,変動パターンが決まれば特別図柄の変動表示時間および確定時間も決まる。さらに,確定時間の延長機能が有効であれば,延長された確定時間が設定される。延長機能の有効ないし無効は,後述する延長フラグがオンかオフかによって決まる。図15中のSPリーチ(スーパーリーチ)とは,通常リーチよりもリーチ後の変動表示時間が長いリーチであり,当選期待度(大当たり当選に対する期待度)が通常リーチよりも高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では,SPリーチは通常リーチを経て発展的に実行される。さらに,遊技制御用マイコン81は,大当たりの判定結果に応じて,停止図柄を決定する(S1013)。
S1013の後,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の数を1つ減算する(S1014)。このとき遊技制御用マイコン81は,第2特図保留記憶部85bにおける各特図保留のデータを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する(S1015)。これにより,第2特図保留が保留された順に消化される。
S1015の後,遊技制御用マイコン81は,S1012にて決定した変動パターンに従って,第2特別図柄表示器41bに特別図柄の変動表示を開始させる(S1016)。このとき遊技制御用マイコン81は,変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。変動開始コマンドには,停止図柄データの情報や変動パターンの情報(変動表示時間を含む情報)が含まれる。変動開始コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動開始コマンドに応じた演出が実行される。S1016の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを2に変更し(S1017),特別図柄待機処理を終了する。
一方,第2特図保留の数が0であり(S1001:YES),第1特図保留の数が0でなければ(S1020:NO),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の場合と同様に,大当たりに当選したか否かを判定する(S1021)。S1021は,S1011と同様の処理であるが,判定値となる各乱数は,第1特図保留記憶部85aから読み出す。
S1021の後,遊技制御用マイコン81は,変動パターン乱数等の各種乱数と図15に示した変動パターンテーブルに基づいて,変動パターンを決定する(S1022)。さらに,遊技制御用マイコン81は,大当たりの判定結果に応じて,停止図柄を決定する(S1023)。S1023の後,遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数を1つ減算する(S1024)。このとき遊技制御用マイコン81は,第1特図保留記憶部85aにおける各特図保留のデータを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する(S1025)。これにより,第1特図保留が保留された順に消化される。
S1025の後,遊技制御用マイコン81は,S1022にて決定した変動パターンに従って,第1特別図柄表示器41aに特別図柄の変動表示を開始させる(S1026)。このとき遊技制御用マイコン81は,S1016と同様に,変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。S1026の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを2に変更し(S1017),特別図柄待機処理を終了する。
[特別図柄変動中処理]
図28は,図26のS912の特別図柄変動中処理の手順を示している。特別図柄変動中処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,特別図柄の変動表示時間が経過したか否かを判断する(S1501)。変動表示時間は,前述した特別図柄待機処理のS1012あるいはS1022によって決定された変動パターンによって決められる。特別図柄の変動表示時間が経過していない場合(S1501:NO),特別図柄変動中処理を終了する。すなわち,特別図柄の変動表示が継続される。
一方,特別図柄の変動表示時間が経過した場合(S1501:YES),遊技制御用マイコン81は,変動停止コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1502)。変動停止コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動停止コマンドに応じた演出が実行される。S1502の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを3に変更する(S1503)。
S1503の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄表示器41に特別図柄の変動表示を停止させる(S1504)。そして,遊技制御用マイコン81は,図15に示した変動パターンの判定テーブルに基づいて,特別図柄を一定時間にわたって停止表示させるための確定時間をセットする(S1505)。なお,非時短状態における特図2の抽選に基づく小当たり当選時の確定時間は,15秒と比較的長く設定されている。これは,この期間に,後述するVアタッカー打込報知演出(第2大入賞口35を狙って遊技球を打ち込む旨を報知する演出)を実行するためである。また,確定時間の延長機能が有効であった場合には,3秒以上の確定時間が設定される。確定時間の延長機能は,図13に示したように第2時短回数と同じ回数以降の変動表示において有効になることから,少なくとも最終変動では延長機能が有効になる。
S1505の後,遊技制御用マイコン81は,時短フラグがオンか否かを判断する(S1711)。時短フラグは,変動時間短縮機能が作動しているか否か,すなわち時短状態か非時短状態かを示すフラグであり,時短状態であればオンであり,非時短状態であればオフである。
時短フラグがオンであれば(S1711:YES),遊技制御用マイコン81は,時短カウンタを1つ減算し,延長カウンタを1つ加算する(S1712)。時短カウンタは,時短状態のときに大当たりの抽選を実行できる残りの回数を示すものである。延長カウンタは,時短状態のときに大当たりの抽選を実行した回数を示すものである。そして,大当たりの抽選が行われる度に,時短カウンタは1ずつ減算され,延長カウンタは1ずつ加算される。
より詳細には,本形態では,時短カウンタには,特図1の変動回数のみをカウントする特図1時短カウンタ(第1時短回数をカウントするカウンタ)と,特図2の変動回数のみをカウントする特図2時短カウンタ(第2時短回数をカウントするカウンタ)と,特図1の変動回数と特図2の変動回数との合計回数をカウントする合計時短カウンタ(合計時短回数をカウントするカウンタ)とがある。S1712では,特図1の変動停止時であれば特図1時短カウンタおよび合計時短カウンタの値を1つ減算し,特図2の変動停止時であれば特図2時短カウンタおよび合計時短カウンタの値を1つ減算する。時短状態への移行時に各時短カウンタにセットされる値は,図10,図11,図12の表の「時短回数」の欄に示す通りである。
S1712の後,遊技制御用マイコン81は,延長カウンタの値が延長有効回数か否かを判断する(S1713)。延長カウンタの値が延長有効回数であれば(S1713:YES),延長フラグをオンとする(S1714)。延長フラグは,確定時間の延長機能が作動しているか否か,すなわち延長機能が有効か否かを示すフラグであり,延長機能が有効であればオンであり,無効であればオフである。S1714により,次回の変動表示からは確定時間が延長される。
S1714の後,あるいは延長カウンタの値が延長有効回数でなければ(S1713:NO),遊技制御用マイコン81は,時短カウンタの値が0になったか否かを判断する(S1715)。時短カウンタの値が0であれば(S1715:YES),遊技制御用マイコン81は,時短フラグおよび延長フラグをオフとする(S1716)。これにより,パチンコ遊技機1は,非時短状態に移行する。具体的にS1715では,特図1時短カウンタ,特図2時短カウンタ,または合計時短カウンタのいずれか1つでも0となっていないかを判断する。3つの時短カウンタのうち1つでも0となっているものがあれば,S1716の処理を行う。一方,3つの時短カウンタのうち1つも0となっているものがなければ,S1716の処理を行わない。
S1716の後,あるいは時短カウンタの値が0でない場合(S1715:NO),あるいは時短フラグがオフの場合(S1711:NO),遊技制御用マイコン81は,特別図柄変動中処理を終了する。
[特別図柄確定処理]
図29は,図26のS922の特別図柄確定処理の手順を示している。特別図柄確定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,前述した特別図柄変動中処理のS1505でセットされた確定時間が経過したか否かを判断する(S1601)。確定時間が経過していなければ(S1601:NO),特別図柄確定処理を終了する。すなわち,特別図柄の停止表示が継続される。
一方,確定時間が経過していれば(S1601:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たりに当選したか否かを判断する(S1611)。大当たりに当選していれば(S1611:YES),遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを4に変更する(S1612)。そして,遊技制御用マイコン81は,時短フラグをオフとする(S1614)。そして,遊技制御用マイコン81は,大当たりの種類に応じて,大当たり遊技における第1大入賞口30ないし第2大入賞口35の開放カウンタをセットし(S1615),大当たり遊技を開始する(S1616)。つまり,大当たり遊技の実行中,パチンコ遊技機1は,非時短状態として制御される。S1616では,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を開始するべく,大当たりのオープニングコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされたオープニングコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,大当たり遊技が開始されることになる。
大当たりに当選していなければ(S1611:NO),遊技制御用マイコン81は,小当たりに当選したか否かを判断する(S1621)。小当たりに当選していれば(S1621:YES),遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを5に変更する(S1622)。そして,遊技制御用マイコン81は,小当たり遊技における第1大入賞口30ないし第2大入賞口35の開放カウンタをセットし(S1625),小当たり遊技を開始する(S1626)。S1626では,遊技制御用マイコン81は,小当たり遊技を開始するべく,小当たりのオープニングコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされたオープニングコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,小当たり遊技が開始されることになる。
S1626の後,遊技制御用マイコン81は,振分作動フラグをオンにする(S1627)。振分作動フラグは,振分部材71を作動させる期間であることを示すフラグである。つまり本形態では,振分部材71の作動は小当たり遊技のオープニングとともに開始される。
一方,小当たりに当選していなければ(S1621:NO),大当たりの抽選結果がハズレであり,大当たり遊技および小当たり遊技を実行しないことから,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを1に変更する(S1631)。S1631,S1627,あるいはS1616の後,特別図柄確定処理を終了する。
[大当たり遊技処理]
図30は,図26のS932の大当たり遊技処理の手順を示している。大当たり遊技処理は,1種大当たり遊技や2種大当たり遊技といった大当たり遊技を実行するための処理である。大当たり遊技処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,大当たり終了フラグがオンか否かを判断する(S2001)。大当たり終了フラグは,大当たり遊技における第1大入賞口30の開放が終了したことを示すフラグである。
大当たり終了フラグがオンでなければ(S2001:NO),遊技制御用マイコン81は,S1616にて開始した大当たり遊技を継続することから,遊技制御用マイコン81は,第1大入賞口30の開放中か否か(すなわち,開閉部材32の開放中か否か)を判定する(S2011)。第1大入賞口30の開放中でなければ(S2011:NO),第1大入賞口30を開放させる時間に至ったか否か,すなわち大当たり遊技のオープニング(開放前インターバル)の時間が経過して第1大入賞口30の開放を開始する時間に至ったか否かを判断する(S2012)。
第1大入賞口30を開放させる時間に至っていれば(S2012:YES),遊技制御用マイコン81は,選択されている開放パターンに従って第1大入賞口30を開放させる(S2013)。S2013の後,あるいは第1大入賞口30を開放させる時間に至っていなければ(S2012:NO),大当たり遊技処理を終了する。
一方,第1大入賞口30の開放中であれば(S2011:YES),遊技制御用マイコン81は,単位開放遊技での第1大入賞口30への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では9個)に達しているか否かを判定する(S2021)。規定入賞個数に達していなければ(S2021:NO),第1大入賞口30を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第1大入賞口30を開放してから所定の開放時間(図10,図11参照)が経過したか否か)を判断する(S2022)。そして,第1大入賞口30の開放時間が経過していなければ(S2022:NO),大当たり遊技処理を終了する。
これに対して,規定入賞個数に達している場合(S2021:YES),あるいは第1大入賞口30の開放時間が経過した場合(S2022:YES),すなわち2つの大入賞口開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合,遊技制御用マイコン81は,開放中の第1大入賞口30を閉塞する(S2023)。そして,開放カウンタの値を1つ減算する(S2024)。
S2024の後,遊技制御用マイコン81は,開放カウンタの値が0であるか否かを判断する(S2025)。開放カウンタの値が0でなければ(S2025:NO),次の開放を開始するためにそのまま大当たり遊技処理を終了する。開放カウンタの値が0であれば(S2025:YES),大当たり遊技を終了させる(S2026)。S2026では,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を終了させるべく,大当たり遊技の終了コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされた大当たり遊技の終了コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,大当たり遊技が終了することになる。また,遊技制御用マイコン81は,大当たり終了フラグをオンにして(S2027),大当たり遊技処理を終了する。
また,大当たり終了フラグがオンであれば(S2001:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技における第1大入賞口30の開放が全て終了しているので,大当たり遊技のエンディング(閉鎖後インターバル)の時間が経過したか否かを判断する(S2031)。そして,エンディングの時間が経過していれば(S2031:YES),特別動作ステータスを1とし(S2032),大当たり終了フラグをオフにする(S2033)。
S2033の後,遊技制御用マイコン81は,今回終了する大当たり遊技が,特図1の抽選で当選した小当たり(特1小当たり)に基づくものか否か,つまり「特図1_小当たり図柄a_0」(図10参照)に基づくものか否かを判断する(S2041)。
今回終了する大当たり遊技が特図1の抽選で当選した小当たりに基づくものでなければ(S2041:NO),遊技制御用マイコン81は,時短フラグをオンにし,延長フラグをオフにする(S2042)。そして,当選時の遊技状態と,今回の大当たり遊技の実行契機となった特別図柄の種別とに応じて,時短カウンタ(特図1時短カウンタ,特図2時短カウンタ,および合計時短カウンタ)の値および延長カウンタの値をセットする(S2043)。時短カウンタの値の詳細は,図13に示す通りである。なお,図13において,「時短回数」の「特図1のみ」の欄に示す値が,特図1時短カウンタにセットされる時短回数であり,「時短回数」の「特図2のみ」の欄に示す値が,特図2時短カウンタにセットされる時短回数であり,「時短回数」の「特図1特図2」の欄に示す値が,合計時短カウンタにセットされる時短回数である。延長カウンタには,初期値として1がセットされる。
S2042およびS2043が実行されることにより,パチンコ遊技機1では,今回の大当たり遊技後の遊技状態が時短状態(高ベース状態)になる。この遊技状態は,特別図柄の変動表示の実行回数が既定の時短回数に至ること(回数終了条件),または次の大当たり遊技が実行されること(当選終了条件)のいずれかの条件の成立により終了する。なお,特図1時短カウンタの値が「0」になることである回数終了条件を第1回数終了条件といい,特図2時短カウンタの値が「0」になることである回数終了条件を第2回数終了条件といい,合計時短カウンタの値が「0」になることである回数終了条件を合計回数終了条件という。
S2043の後,あるいは今回終了する大当たり遊技が特図1の抽選で当選した小当たりに基づくものの場合(S2041:YES),あるいはエンディングの時間が経過していなければ(S2031:NO),大当たり遊技処理を終了する。
[小当たり遊技処理]
図31は,図26のS942の小当たり遊技処理の手順を示している。小当たり遊技処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,小当たり終了フラグがオンか否かを判断する(S2201)。小当たり終了フラグは,小当たり遊技における第2大入賞口35の開放が終了したことを示すフラグである。
小当たり終了フラグがオンでなければ(S2201:NO),遊技制御用マイコン81は,S1626にて開始した小当たり遊技を継続することから,遊技制御用マイコン81は,第2大入賞口35が開放中か否か(すなわち,開閉部材37が開放中か否か)を判定する(S2211)。第2大入賞口35が開放中でなければ(S2211:NO),第2大入賞口35を開放させる時間に至ったか否か,すなわち小当たり遊技のオープニング(開放前インターバル)の時間が経過して第2大入賞口35の開放を開始する時間に至ったか否かを判断する(S2212)。
第2大入賞口35を開放させる時間に至っていれば(S2212:YES),遊技制御用マイコン81は,選択されている開放パターンに従って第2大入賞口35を開放させる(S2213)。S2213の後,あるいは第2大入賞口35を開放させる時間に至っていなければ(S2212:NO),小当たり遊技処理を終了する。
一方,第2大入賞口35の開放中であれば(S2211:YES),遊技制御用マイコン81は,単位開放遊技での第2大入賞口35への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では9個)に達しているか否かを判定する(S2221)。規定入賞個数に達していなければ(S2221:NO),第2大入賞口35を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第2大入賞口35を開放してから所定の開放時間(図10,図12参照)が経過したか否か)を判断する(S2222)。そして,第2大入賞口35の開放時間が経過していなければ(S2222:NO),小当たり遊技処理を終了する。
これに対して,規定入賞個数に達している場合(S2221:YES),あるいは第2大入賞口35の開放時間が経過した場合(S2222:YES),すなわち2つの大入賞口開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合,遊技制御用マイコン81は,開放中の第2大入賞口35を閉塞する(S2223)。そして,開放カウンタの値を1つ減算する(S2224)。
S2224の後,遊技制御用マイコン81は,小当たり遊技を終了させる(S2226)。S2226では,遊技制御用マイコン81は,小当たり遊技を終了させるべく,小当たり遊技の終了コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされた小当たり遊技の終了コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,小当たり遊技が終了することになる。また,遊技制御用マイコン81は,小当たり終了フラグをオンにして(S2227),小当たり遊技処理を終了する。
また,小当たり終了フラグがオンであれば(S2201:YES),遊技制御用マイコン81は,小当たり遊技における第2大入賞口35の開放が終了しているので,小当たり遊技のエンディング(閉鎖後インターバル)の時間が経過したか否かを判断する(S2231)。そして,閉鎖後インターバルの時間が経過していれば(S2231:YES),小当たり終了フラグをオフにする(S2233)。その後,特定領域39への遊技球の通過を判定する特定判定処理を実行する(S2234)。S2234の後,あるいは閉鎖後インターバルの時間が経過していなければ(S2231:NO),大当たり遊技処理を終了する。
[特定判定処理]
図32は,図31のS2234の特定判定処理の手順を示している。特定判定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,VフラグがONか否かを判断する(S2401)。Vフラグは,小当たり遊技の実行中に特定領域39への遊技球の通過があったことを示すフラグである。VフラグがONでなければ(S2401:NO),2種大当たり遊技を実行しないため,特別動作ステータスを1とし(S2421),開放カウンタの値を0にクリアする(S2422)。S2422の後,特定判定処理を終了する。
一方,VフラグがONであれば(S2401:YES),2種大当たり遊技を実行するため,遊技制御用マイコン81は,Vフラグをオフにとし(S2411),特別動作ステータスを4にする(S2412)。
S2412の後,遊技制御用マイコン81は,時短フラグをオフとする(S2414)。そして,遊技制御用マイコン81は,大当たりの種類に応じて,大当たり遊技における第1大入賞口30の開放カウンタをセットし(S2415),大当たり遊技を開始する(S2416)。S2416では,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を開始するべく,大当たりのオープニングコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされたオープニングコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,第2大入賞口35を短時間にわたって開放する小当たり遊技から2種大当たり遊技に移行する。
[振分処理]
図33は,図19のS141の振分処理の手順を示している。振分処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,振分作動フラグがオンか否かを判定する(S2501)。振分作動フラグがオンでなければ(S2501:NO),振分処理を終了する。
一方,振分作動フラグがオンであれば(S2501:YES),小当たり遊技のオープニングが開始されているため,遊技制御用マイコン81は,振分部材71を所定の作動パターンにて作動させるべく振分部材の制御を行う(S2502)。
具体的にS2502では,遊技制御用マイコン81は,振分部材71の作動時間を計測するためのタイマをセットし,そのタイマを用いた計時に基づいて,振分部材71の開放タイミングになったら振分部材ソレノイド73をオンし,振分部材71の閉鎖タイミングになったら振分部材ソレノイド73をオフする。これにより,振分部材71は,小当たり遊技のオープニングの開始から一定の動作で動くこととなる。
より具体的に遊技制御用マイコン81は,図34(c)に示すように,振分部材71を先ず,小当たり遊技のオープニングの開始から8msにわたって通過阻止状態(図2に破線で示す状態)に制御する。これを開放前インターバルという。続いて,4600msにわたって通過許容状態(図2に二点鎖線で示す状態)に制御する。これを,V開放という。次いで,3000msにわたって通過阻止状態に制御する。これを,閉鎖後インターバルという。このような,「開放前インターバル⇒V開放⇒閉鎖後インターバル」からなる一連の動作が振分部材71の一定動作である。
さらに,遊技制御用マイコン81は,V有効期間を設定する(S2503)。具体的にS2503では,上記のような振分部材71の一定動作に対してV有効期間を設定する。V有効期間とは,特定領域センサ39aによる検知があった場合にその検知を有効なものとみてVフラグをオンにする期間である。図34(d)に示すように,V有効期間は,特定領域39の開放開始(振分部材71を通過許容状態に制御した時点)から所定の時間が経過するまでである。所定の時間は,特定領域39の開放時間(振分部材71を通過許容状態に制御している時間)よりも長い時間に設定される。これは,振分部材71の配置位置を通過した遊技球が特定領域39に至るまでのタイムラグを考慮してのことである。
より具体的には,S2503では,V有効期間を計測するためのタイマをセットし,そのタイマを用いた計時に基づいて,特定領域39を有効にするタイミングになったらV有効フラグをオンにし,特定領域39を無効にするタイミングになったらV有効フラグをオフにする。
S2503の後,遊技制御用マイコン81は,振分部材71の動作が終了したか否かを判定する(S2504)。具体的にS2504では,S2502でセットした振分部材71の作動時間を計測するためのタイマに基づいて,振分部材71が一定動作を開始してから終了するまでの総作動時間(7608ms(図34(c)参照))が経過したか否かを判定する。そして,振分部材71の動作が終了していなければ(S2504:NO),そのまま振分処理を終了する。これに対して,振分部材71の動作が終了していれば(S2504:YES),振分部材作動フラグをOFFしてから(S2505),振分処理を終了する。
ここで図34に基づいて,上記のような振分部材71の一定動作と,小当たり遊技における第2大入賞口35(開閉部材37)の開放パターンとの関係について説明する。本形態では,小当たり遊技における第2大入賞口35の開放パターンとして,図34(b)および(e)に示す2つの開放パターンがある。なお,図34(a)は,小当たり遊技の開始のタイミングをわかりやすくするために,特別図柄の変動表示および停止表示のタイミングを示したものである。
図34(b)に示す開放パターンは,特図2の抽選にて小当たりに当選した場合に選択される開放パターンである。この開放パターンは,特定領域39への通過が可能な通過用開放パターンである。より詳細には,この通過用開放パターンは,8msにわたって第2大入賞口35を閉塞した後に1600msにわたって第2大入賞口35を開放し,その後,6000msにわたって第2大入賞口35を閉塞する開放パターンである。言い換えれば,この開放パターンにて実行される小当たり遊技は,8msにわたって第2大入賞口35が閉塞されるオープニングと,1600msにわたって第2大入賞口35が開放される小当たり開放遊技と,6000msにわたって第2大入賞口35が閉塞される閉鎖後インターバルとを含んでいる。
このような開放パターンで第2大入賞口35が開放された場合,1600msにわたる第2大入賞口35の開放期間中および第2大入賞口35の閉鎖後の3000msの期間中は,振分部材71のV開放にあたり,振分部材71が通過許容状態をとっている(図34(b)および(c)参照)。従って,どのような入賞タイミングで第2大入賞口35へ遊技球が入賞したとしても,その遊技球は特定領域39を通過することが可能である。なお本形態では,右打ちにて遊技球を連続的に発射し続けていれば,1.6秒にわたる開放期間中に必ず第2大入賞口35へ遊技球が入賞するように,第2大入賞装置36等の各装置が配されている。また,第2大入賞口35を通過した遊技球が振分部材71の配置位置に至るまでの所要時間は3000msよりも短い。
図34(e)に示す開放パターンは,特図1の抽選にて「特図1_小当たり図柄a_0」に当選した場合に選択される開放パターンである。この開放パターンは,特定領域39への通過が実質的に不可能な非通過用開放パターンである。より詳細には,この非通過用開放パターンは,4568msにわたって第2大入賞口35を閉塞した後に1600msにわたって第2大入賞口35を開放し,その後,1440msにわたって第2大入賞口35を閉塞する開放パターンである。言い換えれば,この開放パターンにて実行される小当たり遊技は,4568msにわたって第2大入賞口35が閉塞されるオープニングと,1600msにわたって第2大入賞口35が開放される小当たり開放遊技と,1440msにわたって第2大入賞口35が閉塞される閉鎖後インターバルとを含んでいる。
このような開放パターンで第2大入賞口35が開放された場合,オープニング中に振分部材71のV開放がほぼ終了する(図34(e)及び(c)参照)。振分部材71のV開放と,第2大入賞口35の開放とが一致している期間は,第2大入賞口35の開放開始直後のわずか40msだけである。従って,仮に第2大入賞口35の開放開始とともに遊技球が入球しても,その遊技球が振分部材71の位置に到達する頃には振分部材71は通過阻止状態に制御されている。よって,この開放パターンが選択された場合には,遊技球が特定領域39を通過することはほぼない。つまり,遊技球が特定領域39を通過することは実質的に不可能となっている。
このように本形態では,小当たり遊技のオープニングの開始に伴って振分部材71の動作を開始するようにしている。そして,小当たり図柄の種別に応じた2つの開放パターンのいずれかにて小当たり遊技が実行される。各開放パターンは,オープニングの時間が異なっている。従って,それぞれの開放パターンでは,振分部材71の変位タイミングに対する第2大入賞口35の開放タイミングが異なることとなる。かくして,第2大入賞口35への入賞タイミングにかかわらず特定領域39を通過可能な小当たり遊技(図34(b)の特2V通過小当たり)と,どのようなタイミングで第2大入賞口35に入賞しても特定領域39を通過することができない小当たり遊技(図34(e)の特1V非通過小当たり)と,を実行することが可能となっている。
なお本形態では,小当たり遊技中は,第2大入賞装置36内に入球した遊技球の数を第2大入賞口センサ35aによる検知に基づいてカウントしているとともに,第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数を特定領域センサ39aまたは非特定領域センサ70aによる検知に基づいてカウントしている。つまり本形態では,特定領域センサ39aおよび非特定領域センサ70aは,第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数をカウントする排出口センサとしても機能している。そして,振分部材71の一定動作の終了時点で,両カウント値が一致していないときにはエラー報知を行うようにしている。なお第2大入賞口35の閉鎖後,両カウント値が一致したときに振分部材71の作動を停止するようにしてもよい。このようにすれば,第2大入賞口35の閉鎖後に特別図柄の変動表示をスムーズに開始することが可能となる。
8.演出制御用マイコン91の動作
続いて,パチンコ遊技機1のサブ制御基板90における演出制御用マイコン91の動作について説明する。演出制御用マイコン91が実行する具体的な処理としては,サブ側起動処理がある。なお,演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM94に設けられる。
[サブ側起動処理]
演出制御用マイコン91が実行するサブ側起動処理について,図35のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側起動処理は,パチンコ遊技機1の電源オンを契機に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側起動処理では,演出制御用マイコン91は先ず,初期動作を行う(S4001)。具体的にS4001では,演出制御用マイコン91は,例えば,スタックの設定,定数設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定,を行う。また,S4001では,遊技制御用マイコン81からRAM初期化コマンドを受信していた場合,演出制御用マイコン91は,RAM94を初期化する。これにより,RAM94に記憶されていた各種の情報が失われる。なお,S4001は,電源投入後に一度だけ実行され,その後は実行されない。
S4001の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを禁止する(S4004)。次いで,演出制御用マイコン91は,各種の乱数の値を更新する(S4005)。具体的にS4005では,演出制御用マイコン91は,演出図柄乱数,変動演出パターン乱数,予告演出乱数,予告演出種類乱数,の各種の乱数の値を更新する。これらの乱数は,先に説明した遊技制御用マイコン81にて用いられる乱数とは異なる乱数であり,演出制御用マイコン91でのみ用いられる。乱数の更新方法としては,遊技制御用マイコン81と同様であってもよいし,異なってもよい。
S4005の後,演出制御用マイコン91は,RAM94の出力バッファにセットされている各種のコマンドを,画像制御基板100等に送信する(S4006)。例えば,コマンドを受信した画像制御基板100は,そのコマンドに従って画像表示装置7に各種の静止画ないし動画を表示させ,スピーカ67に各種の音声を出力させる。すなわち,演出図柄変動演出や,大当たり遊技に伴う遊技演出や,客待ち演出等を実行する。
なお,画像制御基板100による各種の演出の実行に伴って,演出制御用マイコン91は,ランプ中継基板107を介して枠ランプ66,盤ランプ5等の演出用の光源を点灯させたり,盤可動体15用のモータ等の演出用の駆動源を駆動させたりする。なお,前述したように主制御基板80はサブ制御基板90からの入力を受け付けないことから,S4006から送信されるコマンドは遊技制御用マイコン81には入力されない。S4006の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを許可する(S4007)。
S4007の後,演出制御用マイコン91は,S4004〜S4007を繰り返す。割り込みが許可されている間は,サブ側2msタイマ割り込み処理(S4009),サブ側10msタイマ割り込み処理(S4010),の各種の処理の実行が可能になる。
なお,演出制御用マイコン91は,S4009,S4010以外の割り込み処理も実行する。例えば,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から送られたコマンドが演出制御用マイコン91の入出力回路97に入力された場合に,そのコマンドをRAM94に記憶させる主制御コマンド割り込み処理を実行する。主制御コマンド割り込み処理は,他の割り込み処理(S4009,S4010)に優先して実行される。
[サブ側2msタイマ割り込み処理]
次に,サブ側2msタイマ割り込み処理について,図36のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側2msタイマ割り込み処理は,2ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側2msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,演出ボタン検出スイッチ63aからの出力信号に基づいて,演出ボタン63への操作の有無の情報を示すスイッチデータを作成する(S4201)。なお,パチンコ遊技機1にこれら以外の入力部材が設けられている場合,その入力部材の入力の有無の情報もスイッチデータに含める。
S4201の後,演出制御用マイコン91は,後述するサブ側10msタイマ割り込み処理にて作成されるランプデータに従って,枠ランプ66,盤ランプ5等,各種の光源を,点灯ないし消灯させるための各光源の制御を行う(S4202)。さらに,演出制御用マイコン91は,同じくサブ側10msタイマ割り込み処理にて作成される可動体駆動データに従って,盤可動体15を変位させるための各モータの制御を行う(S4203)。
S4203の後,演出制御用マイコン91は,ウォッチドックタイマをリセットする等,その他の処理を実行する(S4299)。S4299の後,サブ側2msタイマ割り込み処理を終了する。
[サブ側10msタイマ割り込み処理]
次に,サブ側10msタイマ割り込み処理について,図37のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側10msタイマ割り込み処理は,10ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側10msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から受信したコマンドを解析するサブ側受信コマンド解析処理を実行する(S4301)。S4301の詳細については後述する。S4301の後,演出制御用マイコン91は,特図保留の数の変化に応じて,演出保留画像に関する演出を行う(S4302)。
S4302の後,演出制御用マイコン91は,サブ側2msタイマ割り込み処理のS4201にて作成されたスイッチデータを取得する(S4303)。そして,演出制御用マイコン91は,スイッチデータに基づいて,各種の入力部材への操作に応じたスイッチ制御を行う(S4304)。
S4304の後,演出制御用マイコン91は,各種の演出に応じて,枠ランプ66,盤ランプ5等,各種の光源の点灯制御を行うためのランプデータをそれぞれ作成する(S4305)。さらに,演出制御用マイコン91は,盤可動体15を変位させるモータの駆動制御を行うための可動体駆動データをそれぞれ作成する(S4306)。
S4306の後,演出制御用マイコン91は,演出制御用マイコン91で用いる各種の乱数を更新する等,その他の処理を実行し(S4399),サブ側10msタイマ割り込み処理を終了する。
[サブ側受信コマンド解析処理]
図38は,図37のS4301のサブ側受信コマンド解析処理の手順を示している。サブ側受信コマンド解析処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から普通図柄の変動開始コマンドを受信したか否か判断し(S4401),受信していれば(S4401:YES),普通当たりの種類に応じた演出を選択し(S4402),普図演出を行う(S4403)。普図演出では,例えば,演出制御用マイコン91が管理するモードが通常遊技であった場合において,長開放図柄に当選した場合にはハイチャンスゲーム(図16参照)に移行できる可能性が高いことから,成功態様の演出を行い,短開放図柄Aに当選した場合には変動表示時間は長いもののハイチャンスゲームに移行が困難であることから,失敗態様の演出を行う。すなわち,長開放図柄あるいは短開放図柄Aに当選することで,ハイチャンスゲームに移行できるか否かを報知する普図演出を行う。一方,短開放図柄Bに当選した場合やハズレの場合,あるいはモードが通常遊技以外の場合には,普図演出を行わない。
S4403の後,あるいは普通図柄の変動開始コマンドを受信していなければ(S4401:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80から補助遊技の開始コマンドを受信したか否か判断し(S4411),受信していれば(S4411:YES),補助遊技演出を行う(S4412)。補助遊技演出では,例えば,長開放図柄に当選した場合に,電チュー22を狙うことを報知する演出(本形態では右打ちを報知する演出であってもよい)を行う。長開放図柄に当選した場合,補助遊技を行う際の開放前インターバルが7秒と長く,電チュー22の開放時間も5秒と長い(図8参照)。そのため,遊技者は,補助遊技演出が行われることで右打ちを開始し,遊技球を第2大入賞口35へ入賞させることができる。一方,長開放図柄以外に当選した場合,遊技球を第2大入賞口35へ入賞させることが困難であることから,補助遊技演出を行わない。
S4412の後,あるいは補助遊技の開始コマンドを受信していなければ(S4411:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンドもしくは第2始動入賞コマンド)を受信したか否か判断し(S4421),受信していれば(S4421:YES),受信した始動入賞コマンドをRAM94に記憶する(S4422)。具体的にS4422では,受信した始動入賞コマンドが,第1始動口20への入賞に基づいて生成された第1始動入賞コマンドであれば,第1特図保留コマンド記憶部95aに記憶し,第2始動口21への入賞に基づいて生成された第2始動入賞コマンドであれば,第2特図保留コマンド記憶部95bに記憶する。なお,始動入賞コマンドは,各特図保留記憶部において設けられている4つの記憶領域のうち,始動入賞コマンドが記憶されていない記憶領域に記憶される。
また,S4422では,演出制御用マイコン91は,S4422にて始動入賞コマンドを記憶した特図保留記憶部に対応する保留カウンタに1を加算する。保留カウンタは,第1特図保留コマンド記憶部95aに対応する第1特図保留カウンタと第2特図保留コマンド記憶部95bに対応する第2特図保留カウンタとの2種類が有り,始動入賞コマンドが記憶される度に,始動入賞コマンドを記憶した特図保留記憶部に対応する保留カウンタが1つ加算される。
S4422の後,演出制御用マイコン91は,先読み演出を実行する(S4423)。先読み演出では,S4422にて記憶した始動入賞コマンドに基づいて,所謂連続予告や保留変化予告などの先読み演出を行うか否かを決定する。そして,先読み演出を行う場合には,先読み演出に関する各種の設定を行う。なお,連続予告とは,複数回の特図変動にわたって実行され得る相互に関連した予告演出のことである。また,保留変化予告とは,通常表示態様の演出保留画像に代えて,通常表示態様よりも大当たり当選期待度が高い特別表示態様の演出保留画像を表示する予告演出のことである。
S4423の後,あるいは始動入賞コマンドを受信していなければ(S4421:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80から大当たりないし小当たりのオープニングコマンドを受信したか否か判断し(S4431),受信していれば(S4431:YES),オープニングに関する演出を選択し(S4432),オープニング演出を開始する(S4433)。S4432のオープニング演出の選択では,例えば,非時短状態での「特図1_小当たり図柄a_0」に基づく小当たり遊技であった場合に,ステージ変更を行う演出を選択する。一方,それ以外のオープニングであった場合,ステージ変更以外の演出を選択する。
ステージ変更を行う演出とは,複数種類のステージの中からランダムに決定したステージに移行させる演出である。本形態では,例えば,キャラクタAをモチーフとした演出画像を主に表示するキャラAステージと,キャラクタBをモチーフとした演出画像を主に表示するキャラBステージと,キャラクタCをモチーフとした演出画像を主に表示するキャラCステージとがあるものとする。ステージが異なると,演出図柄8L,8C,8Rがステージに応じたデザインの図柄に変わるとともに,遊技に伴うBGMがステージに応じたBGMに変わる。このように本形態では,非時短状態(通常遊技状態)での特図1の抽選での小当たり当選時に,ステージ変更演出が実行されることにより,遊技者の意識をステージの変更に向けさせ,V通過が望めない小当たりに当選した場合に,遊技者に小当たり遊技の実行を意識させ難くする。
S4433の後,あるいはオープニングコマンドを受信していなければ(S4431:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80から大当たりないし小当たりのエンディングコマンドを受信したか否か判断し(S4441),受信していれば(S4441:YES),後述するエンディング演出開始処理を行う(S4442)。
S4442の後,あるいはエンディングコマンドを受信していなければ(S4441:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80から特別図柄の変動開始コマンドを受信したか否か判断し(S4451),受信していれば(S4451:YES),後述する特図演出開始処理を行う(S4452)。
S4452の後,あるいは特別図柄の変動開始コマンドを受信していなければ(S4451:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80から特別図柄の変動停止コマンドを受信したか否か判断し(S4461),受信していれば(S4461:YES),後述する特図演出終了処理を行う(S4462)。
S4462の後,あるいは特別図柄の変動停止コマンドを受信していなければ(S4461:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80からV通過コマンドを受信したか否か判断し(S4471),受信していれば(S4471:YES),遊技球が特定領域39を通過したことを遊技者に報知するV通過報知演出を行う(S4472)。V通過報知演出では,例えば,画像表示装置7に「V」の文字を模した演出画像を表示させてもよいし,特別な効果音をスピーカ67から出力してもよい。
S4472の後,あるいはV通過コマンドを受信していなければ(S4471:NO),演出制御用マイコン91は,前述のコマンド以外のコマンドに対応する処理を実行する(S4499)。前述のコマンド以外のコマンドとしては,例えば,客待ち待機コマンドがある。客待ち待機コマンドは,例えば,電源オンや,特図保留の数が0になった場合に,主制御基板80から出力される。客待ち待機コマンドを受信した場合,演出制御用マイコン91は,客待ち演出を開始する。この他,前述のコマンド以外のコマンドとしては,例えば,各種の異常報知コマンド,余剰球受皿62の満杯報知コマンドが該当する。S4499の後は,サブ側受信コマンド解析処理を終了する。
[エンディング演出開始処理]
図39は,図38のS4442のエンディング演出開始処理の手順を示している。エンディング演出開始処理では,演出制御用マイコン91は先ず,「特図1_小当たり図柄a_0」(特図1小当たり)への当選を経て実行された大当たり遊技のエンディング開始時であるか否かを判断する(S4601)。特図1小当たりへの当選を経て実行された大当たり遊技のエンディング開始時である場合(S4601:YES),通常遊技状態に戻ることを示唆するエンディング演出パターンを選択する(S4602)。さらに,演出制御用マイコン91が管理するモードを,通常遊技に設定する(S4603)。
演出制御用マイコン91が管理するモードには,通常遊技と,泣きの1回と,チャンスゲームとがある。モードのうち通常遊技は,通常遊技状態(大当たり遊技中および時短状態の終了直後の特図2の変動中を除く)に対応する演出モードである。モードのうち泣きの1回は,時短回数が1回の時短状態に制御されているとき(つまり通常遊技状態において「特図1_大当たり図柄C_1」に当選して時短状態に制御されたとき,および時短状態の終了直後の特図2の変動中の演出モードである。モードのうちチャンスゲームは,時短回数が複数回の時短状態に制御されているときの演出モードである。
特図1小当たりへの当選を経て実行された大当たり遊技のエンディング開始時でなければ(S4601:NO),演出制御用マイコン91は,第2時短回数を1回に設定するケースか否かを判断する(S4611)。つまり,非時短状態における「特図1_大当たり図柄C_1」への当選に基づく大当たり遊技のエンディングか否かを判定する。第2時短回数を1回に設定するケースの場合(S4611:YES),泣きの1回用のエンディング演出パターンを選択する(S4612)。さらに,時短演出カウンタに1をセットする(S4613)。さらに,演出制御用マイコン91が管理するモードを,泣きの1回に設定する(S4614)。
時短演出カウンタは,時短状態にて実行した特別図柄の変動表示の回数(抽選回数)をカウントするためのカウンタである。詳細には,時短演出カウンタには,時短状態にて実行した特図1の変動回数をカウントするための第1時短演出カウンタと,時短状態にて実行した特図2の変動回数をカウントするための第2時短演出カウンタと,時短状態にて実行した特図1の変動回数と特図2の変動回数との合計回数をカウントするための第3時短演出モードカウンタとがある。そして,第1時短演出カウンタには,第1時短回数(特図1時短カウンタの値)に対応する値をセットし,第2時短演出カウンタには,第2時短回数(特図2時短カウンタの値)に対応する値をセットし,第3時短演出カウンタには,合計時短回数(合計時短カウンタの値)に対応する値をセットする。
第2時短回数を1回に設定するケースでなければ(S4611:NO),演出制御用マイコン91は,チャンスゲーム用のエンディング演出パターンを選択する(S4621)。さらに,時短演出カウンタに,第2時短回数に対応する値をセットする(S4622)。さらに,演出制御用マイコン91が管理するモードを,チャンスゲームに設定する(S4623)。
S4603の後,あるいはS4614の後,あるいはS4623の後,演出制御用マイコン91は,エンディング演出を開始する(S4651)。S4651の後,エンディング演出開始処理を終了する。
[特図演出開始処理]
図40は,図38のS4452の特図演出開始処理の手順を示している。特図演出開始処理では,演出制御用マイコン91は先ず,受信した変動開始コマンドをRAM94に記憶する(S4701)。変動開始コマンドには,変動パターンの情報が含まれる。つまり,始動入賞コマンドと同様に,大当たりの当否,大当たりの種類,リーチの有無,疑似連演出を行うか否か,さらにはSPリーチを行うか否か,SPリーチの種類,の各情報が含まれる。
S4701の後,演出制御用マイコン91は,モードが泣きの1回か否かを判断する(S4711)。モードが泣きの1回の場合(S4711:YES),泣きの1回用の変動演出パターンを選択する(S4712)。モードが泣きの1回でなければ(S4711:NO),モードがチャンスゲームか否かを判断する(S4713)。モードがチャンスゲームの場合(S4713:YES),チャンスゲーム用の変動演出パターンを選択する(S4714)。モードがチャンスゲームでなければ(S4713:NO),通常遊技用の変動演出パターンを選択する(S4715)。
具体的にS4712,S4714,S4715では,演出制御用マイコン91は,変動演出パターン乱数を取得し,変動パターンの種類に応じて分類される複数のテーブルの中から,変動開始コマンドの解析結果に基づいて1つのテーブルを選択し,そのテーブルを用いて,取得した変動演出パターン乱数を判定することにより,変動演出パターンを選択する。これにより,画像表示装置7によって表示される画像の種類やその表示タイミング,枠ランプ66,盤ランプ5等の各種の演出用の光源の点灯の有無やその点灯タイミング,盤可動体15の変位の有無やその変位タイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。つまり変動演出パターンが決まれば,変動演出の時間,演出図柄の変動表示態様,リーチ演出の有無,リーチ演出の内容,演出中のボタン操作の有無,演出の展開構成,背景の種類等,変動演出の詳細,すなわち演出図柄変動演出を含む変動中の演出のシナリオが決まることになる。
S4712の後,あるいはS4714の後,あるいはS4715の後,演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中に表示する演出図柄を選択する(S4721)。S4721の後,演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドの内容を解析し,大当たりの抽選結果に対する予告演出の選択を行う(S4731)。具体的にS4731では,演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中の予告演出の実行有無を判定し,予告演出を実行する場合には,予告演出乱数や予告演出種類乱数を取得し,これらの乱数を判定することにより,予告演出を選択する。これにより,いわゆるステップアップ予告演出の内容が決定される。
S4731の後,演出制御用マイコン91は,選択された数字図柄,変動演出パターン,および予告演出,を含む変動演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4741)。セットされた変動演出開始コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100等に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像等をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。これにより,演出図柄変動演出が開始される。S4741の後,特図演出開始処理を終了する。
[特図演出終了処理]
図41は,図38のS4462の特図演出終了処理の手順を示している。特図演出終了処理では,演出制御用マイコン91は先ず,モードが通常遊技か否かを判断する(S4801)。モードが通常遊技であれば(S4801:YES),S4802以降の時短回数に関する処理は行わず,S4821に移行する。
一方,モードが通常遊技でなければ(S4801:NO),演出制御用マイコン91は,時短演出カウンタの値を1つ減算し(S4802),その値が0になったか否かを判断する(S4803)。詳細には,特図1の変動停止時であれば,S4802では第1時短演出カウンタおよび第3時短演出カウンタの値をそれぞれ1つ減算し,S4803ではいずれか1つでも値が0になっていないかを判断する。また,特図2の変動停止時であれば,S4802では第2時短演出カウンタおよび第3時短演出カウンタの値をそれぞれ1つ減算し,S4803ではいずれか1つでも値が0になっていないかを判断する。時短演出カウンタの値が0でなければ(S4803:NO),S4804以降のモード変更に関する処理は行わず,S4821に移行する。
これに対して,時短演出カウンタの値が0であれば(S4803:YES),演出制御用マイコン91は,現在の第2特図保留の数が0であるか否かを判断する(S4804)。S4804では,RAM94の第2特図保留演出カウンタの値を参照する。現在の第2特図保留の数が0でない場合(S4804:NO),設定された時短回数分の特図変動の実行によって時短状態(高ベース状態)は終了したがまだ第2特図保留が残っているため,モードを泣きの1回にする(S4811)とともに,時短演出カウンタ(第1時短演出カウンタ,第2時短演出カウンタ,および第3時短演出カウンタ)の値を1にセットする(S4812)。
これに対して,現在の第2特図保留の数が0である場合(S4804:YES),第2特図保留のない通常遊技状態であるため,演出制御用マイコン91は,モードを通常遊技にする(S4805)。
S4805の後,あるいはS4812の後,あるいは時短演出カウンタの値が0でない場合(S4803:NO),あるいはモードが通常遊技であれば(S4801:YES),演出制御用マイコン91は,変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4821)。セットされた変動演出開始コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100等に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像等をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。
S4821の後,演出制御用マイコン91は,今回終了させる変動演出が,通常遊技状態(非時短状態)における特図2の小当たり変動に伴う変動演出であるか否かを判断する(S4831)。本形態では,通常遊技状態における特図2の小当たり変動の際の確定時間は,15秒と他の場合の確定時間よりも長い時間に設定されている(図15参照)。今回終了させる変動演出が,通常遊技状態(非時短状態)における特図2の小当たり変動に伴う変動演出である場合には(S4831:YES),第2大入賞口35を狙い打つことを遊技者に報知するV打込み報知演出を行う(S4832)。V打込み報知演出では,例えば,右打ちを示唆する演出画像を表示させてもよいし,特別な効果音をスピーカ67から出力してもよい。
V打込み報知演出は,15秒と長めの確定時間を利用して,特定領域39を備える第2大入賞装置36(Vアタッカー)を狙って右打ちにて遊技球を発射すべき旨を示唆する演出画像である。つまり,第2大入賞口35への入賞(特定領域39への通過)を狙って右打ちにて遊技球を発射すべき旨を示唆する演出画像である。このように本形態では,小当たり遊技の実行前から遊技者に第2大入賞口35への入賞を促している。従って,小当たり遊技において余裕をもって遊技球を第2大入賞口35へ入賞させることが可能となっている。
S4832の後,あるいは今回終了させる変動演出が,通常遊技状態(非時短状態)における特図2の小当たり変動に伴う変動演出でない場合には(S4831:NO),特図演出終了処理を終了する。
9.パチンコ遊技機1の特徴
本形態のパチンコ遊技機1は,通常遊技状態において普通図柄抽選にて長開放図柄に当選すれば,第2始動口21への入球が可能となり,この入球により特図2の保留を生じさせることが可能である。そして,この特図2の保留に基づく抽選は,特図1の抽選よりも小当たりに当選し易くなっているとともに,特図2の抽選において小当たりに当選すれば,小当たり遊技が実行されて第2大入賞口35が開放されるため,遊技者にとっては有利である。つまり本形態では,通常遊技状態において長開放図柄に当選すれば,特図2の保留の上限数(本形態では「1」)の分だけ,第2大入賞口35が開放され易いチャンス変動をつくることが可能となっている。
特に,本形態のパチンコ遊技機1は,第2大入賞口35内の特定領域39への通過に基づいて大当たり遊技が実行される所謂1種2種混合機である。よって,通常遊技状態において長開放図柄に当選すれば,特図2の保留の上限数の分だけ,大当たり遊技を発生させ易いチャンス変動を生じさせることが可能となっている。したがって,所謂1種2種混合機での通常遊技状態において突然,大当たり遊技を実行させ易い遊技期間が生じるという新たなゲーム性をつくりだすことが可能となっている。
また,本形態のパチンコ遊技機1は,特図2の抽選において小当たりに当選した場合には,必ず特定領域39へ遊技球を通過させることが可能である(図34(b)及び(c)参照)。すなわち,特図2の抽選における小当たり当選は実質的には大当たり当選といえる。したがって,通常遊技状態における第2始動口21への入球に基づくチャンス変動を,より大当たり遊技の実行に対する期待度の高いものとすることが可能となっており,このときの遊技興趣を一層向上させることが可能となっている。
また,本形態のパチンコ遊技機1は,時短状態(高ベース状態)に制御されると,特図2の抽選が頻繁になされるようになる。特図2の抽選における小当たり当選確率は,大当たり当選確率よりも非常に高い(図9参照)。また,特図2の抽選に基づいて小当たりに当選した場合には,小当たり遊技が実行され,特定領域39への通過の機会が与えられる。したがって,第2時短回数分の特図2の抽選(特図2の変動)は,大当たり遊技を実行させ易い抽選(チャンス変動)といえる。そして,本形態のパチンコ遊技機1では,第2時短回数が,当選した小当たり図柄の種別に応じて複数の値の中から設定される(図10,図12参照)。よって,当選した小当たり図柄の種別に応じて,大当たり遊技後に付与されるチャンス変動の回数が異なる新たなゲーム性を提供することが可能となっている。
特に,本形態のパチンコ遊技機1は,特図2の抽選において小当たりに当選した場合,必ず特定領域39へ遊技球を通過させることが可能である(図34(b)及び(c)参照)。したがって,第2時短回数分の特図2の抽選での大当たり遊技の獲得に対する期待感を一層高めることが可能となっている。
また,本形態のパチンコ遊技機1は,特図2の保留の上限記憶数は「1」である。よって,時短状態(高ベース状態)が終了して通常遊技状態に戻ってからの特図2の保留に基づく抽選は1回しか行われない。そのため,この1回の変動に対する関心を一層強めることが可能となっている。
10.実施の形態の効果
実施の形態では,時短状態での最終変動表示の際,その変動表示の終了以後,確定時間に達するよりも前(本形態では,変動表示の終了時)に,遊技状態を通常遊技状態に切り替える。これにより,確定時間中に電チュー22が長期間の開放状態に変位する可能性が低下し,その結果として,時短状態での最終変動表示の確定時間が終了した後での,第2始動口21への入球の可能性が低下する。従って,メーカの意図しない抽選が行われる可能性を減らすことができる。
11.実施の形態の変形例
続いて,実施の形態のパチンコ遊技機1の変形例について,図42のタイムチャートを参照しつつ説明する。図42は,図17と同様に,最終変動表示,最終変動表示の1つ前の変動表示,最終変動表示直後の変動表示の,特別図柄表示器41の動作,遊技状態,電チュー22の動作,をそれぞれ示している。なお,各変動表示は,特図2の抽選であって結果がハズレであった場合の変動表示を示している。
変形例では,最終変動表示の開始時に,遊技状態が時短状態から非時短状態に移行する。この点,最終変動表示の終了時(確定時間の開始時)に,遊技状態が時短状態から非時短状態に移行する図17の実施の形態と異なる。
また,本変形例では,確定時間の延長機能を有していない。そのため,最終変動表示後の確定時間は,延長されずに0.3秒のままである。延長機能を有していないことから,延長機能用の変動パターンは不要であり,遊技制御用マイコン81において延長カウンタを設ける必要もない。そのため,実施の形態と比較して構成がシンプルになる。ただし,本変形例であっても,実施の形態と同様に確定時間の延長機能があってもよい。
また,本変形例では,図43に示すように,時短状態における電チュー22の開放時間が30秒となっている。本変形例は,変動表示の開始時に非時短状態になり,最終変動表示が開始され,電チュー22が閉塞してしまうと,電チュー22が開放され難くなる。そのため,電チュー22の開放時間を長くすることで,最終変動中に特図2の保留を生じ易くしている。
この場合であっても,変動表示時間と確定時間との合計時間は,電チュー22の開放時間以上である。つまり本変形例では,電チュー22の開放時間は30秒であり,変動表示時間が36秒であることから,変動表示の開始時から次の変動表示が開始されるまでの時間(36.3秒)は,電チュー22の開放時間(30秒)よりも長い。そのため,電チュー22が最終変動表示の開始直前に開放されたとしても,次の変動表示が開始されるまでに電チュー22の開放時間が終了する。そして,前述したように変動表示が開始された後は非時短状態であり,電チュー22が開放され難い。そのため,最終変動表示を開始した後,電チュー22が次の変動表示を開始するまでに再度開放状態になる可能性は低く,泣きの1回の変動表示の開始時に電チュー22が開放されている可能性は低い。そのため,泣きの1回の変動表示中に,特図2の保留が生じる可能性は低い。つまり,実施の形態と同様に,イレギュラーな抽選が生じ難い。
なお,本変形例では,電チュー22の開放時間を30秒としているが,30秒に限るものではない。すなわち,変動表示時間と確定時間との合計時間が,電チュー22の変位可能時間以上となればよい。また,必ずしも上述の関係を維持する必要は無く,変動表示時間と確定時間との合計時間が,電チュー22の変位可能時間以上とならなくても,最終変動表示の開始時に,遊技状態が時短状態から非時短状態に移行することで,確定時間の終了時に,遊技状態が時短状態から非時短状態に移行する場合と比較して,泣きの1回の変動表示の開始時に電チュー22が開放されている可能性を低くすることができる。
図44は,本変形例における特別図柄待機処理の手順を示している。本変形例における特別図柄待機処理は,S1017以降の処理が実施の形態と異なり,それ以外は実施の形態と同じである。そのため,実施の形態と同じ処理は同じ符号を付しており,説明を省略する。本変形例における特別図柄待機処理のS1017の後,遊技制御用マイコン81は,時短フラグがオンか否かを判断する(S5711)。時短フラグがオンであれば(S5711:YES),遊技制御用マイコン81は,時短カウンタを1つ減算し,延長カウンタを1つ加算する(S5712)。
S5712の後,遊技制御用マイコン81は,時短カウンタの値が0になったか否かを判断する(S5715)。時短カウンタの値が0であれば(S5715:YES),遊技制御用マイコン81は,時短フラグおよび延長フラグをオフとする(S5716)。これにより,パチンコ遊技機1は,非時短状態に移行する。
S5716の後,あるいは時短カウンタの値が0でない場合(S5715:NO),あるいは時短フラグがオフの場合(S5711:NO),遊技制御用マイコン81は,特別図柄待機処理を終了する。
なお,本変形例では,図44に示したように,特別図柄待機処理において時短カウンタをカウントダウンするため,特別図柄変動中処理では時短カウンタをカウントダウンしない。すなわち,本変形例では,図28の特別図柄変動中処理におけるS1711〜S1716の処理は行わない。
変形例では,時短状態での最終変動表示の際,その変動表示の開始タイミングで,遊技状態を通常遊技状態に切り替える。これにより,確定時間が経過するまでの間に電チュー22が長期間の開放状態に変位する可能性が低下し,その結果として,実施の形態と同様に,時短状態での最終変動表示の停止表示が終了した後での,第2始動口21への入球の可能性が低下する。従って,メーカの意図しない抽選が行われる可能性を減らすことができる。
なお,変形例では,最終変動表示の変動表示中,通常遊技状態であり,一旦,閉じてしまった電チュー22が開き難い。そのため,変動表示の演出中に電チュー22が作動しているか否かによって,最終変動表示であるか否かを,演出によって報知する前に遊技者に読まれてしまうことがある。そのため,最終変動であるか否かを隠す演出を行っている場合には,実施の形態の方が好ましい。
12.その他の変形例
本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態に記載された数値(当選確率,時短回数,各種テーブルの設定値,各種の保留数の上限等)は例示であって,適宜選択すればよい。例えば,特図2の保留の上限数を4個としてもよい。
実施の形態では,1種大当たりも2種大当たり(特定領域39への通過による大当たり)も搭載している遊技機としたが,2種大当たりを搭載しておらず1種大当たりだけを搭載している遊技機としてもよい。すなわち,いわゆるV確機(特定領域39の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)や,当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される,遊技機として構成してもよい。本発明は,遊技機のゲーム性を問わず,種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また,実施の形態では,時短回数として,第1時短回数,第2時短回数,合計時短回数の3種類を設け,これらのうちのいずれかの回数が満たされると,時短状態を終了するように構成した。これに対して,合計時短回数,第1時短回数,または第2時短回数のうち1つだけを設定し,その回数が満たされると時短状態が終了するようにしてもよい。また,合計時短回数と第1時短回数だけを設定したり,合計時短回数と第2時短回数だけを設定したりして,いずれかの回数が満たされると時短状態が終了するようにしてもよい。あるいは,第2時短回数だけは必ず設定するように構成してもよい。すなわち,第2時短回数だけを設定し,その回数が満たされると時短状態が終了するようにしてもよいし,第2時短回数と第1時短回数だけを設定したり,第2時短回数と合計時短回数だけを設定したりして,いずれかの回数が満たされると時短状態が終了するようにしてもよい。
また,実施の形態では,特図2の抽選に関して,非時短状態で当選した方が時短状態で当選するよりも時短回数の振分が有利となるように構成した(図11,図12参照)。これに対して,非時短状態で当選した場合も時短状態で当選した場合も時短回数の振分が変わらない構成としたり,時短状態で当選した方が時短回数の振分が有利となるように構成したりしてもよい。
また,実施の形態では,特図2の抽選において時短状態中に大当たり(1種大当たりまたは2種大当たり)に当選した場合と,非時短状態中に大当たりに当選した場合とで,大当たり遊技後の時短状態における時短回数の振分を変えた(図11,図12参照)。これに対して,時短状態中に大当たりに当選した場合には時短状態に制御される割合が50%であり,非時短状態中に大当たりに当選した場合には100%であるといった具合に,時短状態への移行確率を変えてもよい。
また,実施の形態では,大当たり遊技後の遊技状態や時短回数を,特別図柄の種別と,当選時の遊技状態との組み合わせに基づいて決定したが,特別図柄の種別だけに基づいて決定してもよい。
また,実施の形態では,大当たり遊技においては第1大入賞口30を開放し,小当たり遊技においては第2大入賞口35を開放するように構成した。これに対して,大当たり遊技の少なくとも一部のラウンドに,第2大入賞口35を開放するラウンドがある構成としてもよい。この場合には,大当たり遊技の実行中のV通過によってさらに大当たり遊技が実行されることがないように構成するとよい。
また,実施の形態では,遊技球の入球し易さが変化しない第1始動口20と,遊技球の入球し易さが変化可能な第2始動口21とを設けたが,第1始動口20を備えていない構成としてもよい。この場合,電チューが閉状態にあるときでも,電チューに係る始動口へ遊技球が入球するように構成する。また,この場合,入球抑制部ECを設けないこととするとよい。
また,実施の形態では,時短状態中,延長有効回数を超えた変動表示について確定時間を延長しているが,時短状態中,全ての変動表示で確定時間を延長してもよい。この場合の延長時間は,電チュー22の変位可能時間よりも長い時間に設定するとよい。この場合であっても,泣きの1回の変動表示の開始時に電チュー22が開放されている可能性は低く,イレギュラーな抽選が生じ難い。ただし,確定時間を延長すると,次の変動表示の開始が遅れるため,時短状態でのゲームの進行が遅延する。そのため,特定の変動表示(特に最終変動表示)に限定して確定時間を延長する方が,時短状態でのゲームの進行を遅延させにくく,興趣性が下がり難い。
また,実施の形態では,当選した特別図柄の種類によって,延長機能を有効にする延長有効回数を決定しているが,当選した特別図柄の種類によって,確定時間のパターンを決定してもよい。例えば,時短状態に移行してからN回目の変動表示後の確定時間が,それ以外の変動表示後の確定時間と異なるパターンを複数用意する。そして,Nを99とする第1パターンと,Nを2とする第2パターンと,があった場合,実施の形態に当てはめると,例えば,「特図1_大当たり図柄A_99」に当選した場合,第1パターンを選択し,「特図2_大当たり図柄D_2」に当選した場合,第2パターンを選択するようにしてもよい。また,Nに該当する数値は,1つに限らず複数にしてもよい。この場合,例えば,Nを10と20とすると,10回目と20回目とで確定時間が長くなり,それぞれその回数に応じた特別な演出を行うことができる。
また,実施の形態では,当選した特別図柄の種類によって,延長機能を有効にする延長有効回数を決定しているが,延長機能を有効にする延長有効回数は,当選した特別図柄の種類に関わらず固定であってもよい。
また,実施の形態では,確定時間を長くすることで,最終変動表示の確定時間が終了した後での電チュー22への入球の可能性を低下させているが,電チュー22の変位可能時間を短くしてもよい。また,確定時間を長くすることと,電チュー22の変位可能時間を短くすることとの,両方を行ってもよい。つまり,最終変動表示後の確定時間において,確定時間の長さが,電チュー22の1パターン分の変位可能時間以上の長さとなればよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,主として主制御基板80の遊技制御用マイコン81のCPU82,サブ制御基板90の演出制御用マイコン91のCPU92,および画像制御基板100の画像制御用マイコン101のCPU102によって実行されるが,例えば,単一の制御基板による単一あるいは複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,画像制御用マイコン101の少なくとも1つにおいて複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,あるいは画像制御用マイコン101に加え,他のハードウェアとの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理のうち,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,あるいは画像制御用マイコン101の処理の一部を,他のマイコンが実行してもよい。つまり,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,画像制御用マイコン101,これらを包含した1つのマイコン,他のハードウェアと組み合わせ,これらすべて各種の処理を実行する手段の一例である。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
13.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には,以下に示す第1から第4の構成の発明が示されている。以下に記す手段の説明では,上記した実施の形態における対応する構成名や表現,図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し,各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
先ず,第1の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,遊技球の入球し易さが変化する可変入球口(第2始動口21)を含む1または複数の入球口と,前記可変入球口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる入球口変位部材(電チュー22)と,前記入球口への入球に基づいて,大当たりの抽選を行う抽選手段(遊技制御用マイコン81,S1011)と,前記可変入球口への入球に基づく前記抽選手段での大当たりの抽選を保留可能な保留手段(遊技制御用マイコン81,S224)と,前記抽選手段による抽選結果を示す識別図柄の変動表示を経て停止表示し,停止表示から所定の確定時間を経たことを条件として次の抽選結果を示す識別図柄の変動表示を開始する図柄表示手段と(遊技制御用マイコン81,第2特別図柄表示器41b,S1016,S1502,S1601),前記図柄表示手段にて識別図柄が大当たりの当選を示す大当たり図柄で停止表示した後,遊技者に有利な大当たり遊技を実行する大当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S1616)と,前記大当たり遊技後の遊技状態を,通常遊技状態(非時短状態)よりも前記入球口変位部材が前記入球し易い状態になり易い特典遊技状態(時短状態)に制御可能であり,所定の移行条件を満たした場合に,遊技状態を前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に移行させる遊技状態制御手段(遊技制御用マイコン81,S2042,S1716)と,前記抽選手段による抽選結果に応じた演出を行う演出手段(画像表示装置7,演出制御用マイコン91)と,を備え,前記遊技状態制御手段は,前記特典遊技状態での前記図柄表示手段による識別図柄の変動表示が,前記所定の移行条件を満たすことになる最終変動表示であった場合,識別図柄の変動表示の終了以後,前記確定時間に達するよりも前に,遊技状態を,前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に切り替え(S2042,S1716),前記演出手段は,前記最終変動表示の前記確定時間が経過した時点で前記保留手段に保留されていた大当たりの抽選の抽選結果に応じた演出として,特別な演出を行う(S4712),ことを特徴としている。
特典遊技状態と通常遊技状態とで可変入球口への遊技球の入球し易さが異なるパチンコ遊技機の場合に,遊技状態が特典遊技状態から通常遊技状態に移行する直前に可変入球口が開放状態になり,通常遊技状態に移行した直後でも遊技球が可変入球口に入球し易い状態が維持されることがある。このような場合,事実上,遊技者に有利な状態が延長されることになり,その延長分によるイレギュラーな抽選が行われると,メーカが想定する演出にならない可能性があり,遊技者を困惑させることもあり得る。このように遊技状態の管理は興趣性を損なわないためにも重要であり,特に特典遊技状態になった後の遊技状態の管理には改善の余地がある。
そこで,第1の構成にかかる遊技機では,特典遊技状態での最終変動表示の際,その変動表示の終了以後,確定時間に達するよりも前に,遊技状態を通常遊技状態に切り替える。これにより,確定時間中に入球口変位部材が入球し易い状態になる可能性が低下し,その結果として,特典遊技状態での最終変動表示の確定時間が終了した後での,可変入球口への入球の可能性が低下する。従って,メーカの意図しない抽選が行われる可能性が減り,特別な演出についての興趣性が損なわれ難い。
また,第1の構成にかかる遊技機において,前記遊技状態制御手段は,前記図柄表示手段による識別図柄の変動表示を終了したタイミングで,遊技状態を,前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に切り替える(S1716)とよい。確定時間の経過を待つ期間は全て通常遊技状態になるため,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した後での,可変入球口への入球の可能性がより低下する。
また,第1の構成にかかる遊技機において,前記図柄表示手段は,前記最終変動表示後の前記確定時間の長さを,前記特典遊技状態にて前記入球口変位部材を前記可変入球口に入球し易い状態になるように変位させる1パターン分の変位可能時間以上の長さに設定するとよい。最終変動表示後の確定時間を,変位可能時間と同等もしくは変位可能時間よりも長くすることで,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した時点で入球口変位部材が開放状態である可能性がより低くなり,可変入球口への入球の可能性がより低下する。
また,第1の構成にかかる遊技機において,前記保留手段は,保留可能な抽選の上限を1とするとよい。保留数の上限を1とすることで,最終変動表示後の特別な演出の実行回数が1回となり,特別な演出に対する興趣性を向上させることができる。
また,第1の構成にかかる遊技機において,前記抽選手段は,前記通常遊技状態での前記可変入球口への入球に基づく大当たりの抽選では,前記特典遊技状態での前記可変入球口への入球に基づく大当たりの抽選と比較して,遊技者に有利になる結果になり易いとよい。最終変動表示後の可変入球口に基づく抽選は通常遊技状態での抽選であり,その抽選を遊技者に有利になる抽選とすることで,特別な演出に対する興趣性を向上させることができる。
また,第1の構成にかかる遊技機において,第1特別入賞口(第1大入賞口30)と,前記第1特別入賞口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる第1入賞口変位部材(開閉部材32)と,を有する第1特別入賞装置(第1大入賞装置31)と,第2特別入賞口(第2大入賞口35)と,前記第2特別入賞口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる第2入賞口変位部材(開閉部材37)と,前記第2特別入賞口を通過した遊技球が移動可能な特別領域と,を有する第2特別入賞装置(第2大入賞装置36)と,前記図柄表示手段にて識別図柄が小当たりの当選を示す小当たり図柄で停止表示されると,前記第2入賞口変位部材を所定の変位パターンに従って作動させる小当たり遊技を実行する小当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S1626)と,前記小当たり遊技の後,前記小当たり遊技中に遊技球が前記特別領域を通過したことを条件として,前記第1入賞口変位部材を所定の変位パターンに従って作動させる大当たり遊技を実行する小当たり後大当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S2416)と,を備えるとよい。
また,第2の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,遊技球の入球し易さが変化する可変入球口(第2始動口21)を含む1または複数の入球口と,前記可変入球口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる入球口変位部材(電チュー22)と,前記入球口への入球に基づいて,大当たりの抽選を行う抽選手段(遊技制御用マイコン81,S1011)と,前記抽選手段による抽選結果を示す識別図柄の変動表示を経て停止表示する図柄表示手段と(遊技制御用マイコン81,第2特別図柄表示器41b,S1016,S1502,S1501),前記図柄表示手段にて識別図柄が大当たりの当選を示す大当たり図柄で停止表示した後,遊技者に有利な大当たり遊技を実行する大当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S1616)と,前記大当たり遊技後の遊技状態を,通常遊技状態(非時短状態)よりも前記入球口変位部材が前記入球し易い状態になり易い特典遊技状態(時短状態)に制御可能であり,所定の移行条件を満たした場合に,遊技状態を前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に移行させる遊技状態制御手段(遊技制御用マイコン81,S2042,S1714)と,を備え,前記遊技状態制御手段は,前記特典遊技状態での前記図柄表示手段による識別図柄の変動表示が,前記所定の移行条件を満たすことになる最終変動表示であった場合,識別図柄の変動表示を開始したタイミングで,遊技状態を,前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に切り替える(S2042,S5716),ことを特徴としている。
特典遊技状態と通常遊技状態とで可変入球口への遊技球の入球し易さが異なるパチンコ遊技機の場合に,遊技状態が特典遊技状態から通常遊技状態に移行する直前に可変入球口が開放状態になり,通常遊技状態に移行した直後でも遊技球が可変入球口に入球し易い状態が維持されることがある。このような場合,事実上,遊技者に有利な状態が延長されることになり,メーカはその延長分によるイレギュラーな抽選も想定しなければならず,遊技者に不利な設計値になり易い。このように遊技状態の管理はメーカの意図しない抽選を防ぐためにも重要であり,特に特典遊技状態になった後の遊技状態の管理には改善の余地がある。
そこで,第2の構成にかかる遊技機では,特典遊技状態での最終変動表示の際,その変動表示の開始タイミングで,遊技状態を通常遊技状態に切り替える。これにより,停止表示後の確定時間が経過するまでの間に入球口変位部材が入球し易い状態になる可能性が低下し,その結果として,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した後での,可変入球口への入球の可能性が低下する。従って,メーカの意図しない抽選が行われる可能性を減らすことができる。
また,第2の構成にかかる遊技機において,前記図柄表示手段は,前記停止表示から所定の確定時間を経たことを条件として次の抽選結果を示す識別図柄の変動表示を開始し,前記最終変動表示の前記変動表示の時間と前記確定時間との合計時間の長さを,前記特典遊技状態にて前記入球口変位部材を前記可変入球口に入球し易い状態になるように変位させる1パターン分の変位可能時間以上の長さに設定するとよい。最終変動表示後の変動表示時間と確定時間との合計時間を,変位可能時間と同等もしくは変位可能時間よりも長くすることで,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した時点で入球口変位部材が開放状態である可能性がより低くなり,可変入球口への入球の可能性がより低下する。
また,第2の構成にかかる遊技機において,前記可変入球口への入球に基づく前記抽選手段での大当たりの抽選を保留可能な保留手段(遊技制御用マイコン81,S224)と,前記抽選手段による抽選結果に応じた演出を行う演出手段であって,前記最終変動表示の前記確定時間が経過した時点で前記保留手段に保留されていた大当たりの抽選の抽選結果に応じた演出として,特別な演出を行う前記演出手段(画像表示装置7,演出制御用マイコン91,S4712)と,を備えるとよい。メーカの意図しない抽選が行われる可能性が減るため,特別な演出についての興趣性が損なわれ難い。
また,第2の構成にかかる遊技機において,前記保留手段は,保留可能な抽選の上限を1とするとよい。保留数の上限を1とすることで,最終変動表示後の特別な演出の実行回数が1回となり,特別な演出に対する興趣性を向上させることができる。
また,第2の構成にかかる遊技機において,前記抽選手段は,前記通常遊技状態での前記可変入球口への入球に基づく大当たりの抽選では,前記特典遊技状態での前記可変入球口への入球に基づく大当たりの抽選と比較して,遊技者に有利になる結果になり易いとよい。最終変動表示後の可変入球口に基づく抽選は通常遊技状態での抽選であり,その抽選を遊技者に有利になる抽選とすることで,特別な演出に対する興趣性を向上させることができる。
また,第2の構成にかかる遊技機において,第1特別入賞口(第1大入賞口30)と,前記第1特別入賞口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる第1入賞口変位部材(開閉部材32)と,を有する第1特別入賞装置(第1大入賞装置31)と,第2特別入賞口(第2大入賞口35)と,前記第2特別入賞口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる第2入賞口変位部材(開閉部材37)と,前記第2特別入賞口を通過した遊技球が移動可能な特別領域と,を有する第2特別入賞装置(第2大入賞装置36)と,前記図柄表示手段にて識別図柄が小当たりの当選を示す小当たり図柄で停止表示されると,前記第2入賞口変位部材を所定の変位パターンに従って作動させる小当たり遊技を実行する小当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S1626)と,前記小当たり遊技の後,前記小当たり遊技中に遊技球が前記特別領域を通過したことを条件として,前記第1入賞口変位部材を所定の変位パターンに従って作動させる大当たり遊技を実行する小当たり後大当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S2416)と,を備えるとよい。
また,第3の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,遊技球の入球し易さが変化する可変入球口(第2始動口21)を含む1または複数の入球口と,前記可変入球口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる入球口変位部材(電チュー22)と,前記入球口への入球に基づいて,大当たりの抽選を行う抽選手段(遊技制御用マイコン81,S1011)と,前記抽選手段による抽選結果を示す識別図柄の変動表示を経て停止表示し,停止表示から所定の確定時間を経たことを条件として次の抽選結果を示す識別図柄の変動表示を開始する図柄表示手段と(遊技制御用マイコン81,第2特別図柄表示器41b,S1016,S1502,S1601),前記図柄表示手段にて識別図柄が大当たりの当選を示す大当たり図柄で停止表示した後,遊技者に有利な大当たり遊技を実行する大当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S1616)と,前記大当たり遊技後の遊技状態を,通常遊技状態よりも前記入球口変位部材が前記入球し易い状態になり易い特典遊技状態に制御可能であり,所定の移行条件を満たした場合に,遊技状態を前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に移行させる遊技状態制御手段(遊技制御用マイコン81,S2042,S1714)と,を備え,前記遊技状態制御手段は,前記特典遊技状態での前記図柄表示手段による識別図柄の変動表示が,前記所定の移行条件を満たすことになる最終変動表示であった場合,識別図柄の変動表示の終了以後,前記確定時間に達するよりも前に,遊技状態を,前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に切り替える(S2042,S1716),ことを特徴としている。
特典遊技状態と通常遊技状態とで可変入球口への遊技球の入球し易さが異なるパチンコ遊技機の場合に,遊技状態が特典遊技状態から通常遊技状態に移行する直前に可変入球口が開放状態になり,通常遊技状態に移行した直後でも遊技球が可変入球口に入球し易い状態が維持されることがある。このような場合,事実上,遊技者に有利な状態が延長されることになり,メーカはその延長分によるイレギュラーな抽選も想定しなければならず,遊技者に不利な設計値になり易い。このように遊技状態の管理はメーカの意図しない抽選を防ぐためにも重要であり,特に特典遊技状態になった後の遊技状態の管理には改善の余地がある。
そこで,第3の構成にかかる遊技機では,特典遊技状態での最終変動表示の際,その変動表示の終了以後,確定時間に達するよりも前に,遊技状態を通常遊技状態に切り替える。これにより,確定時間中に入球口変位部材が入球し易い状態になる可能性が低下し,その結果として,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した後での,可変入球口への入球の可能性が低下する。従って,メーカの意図しない抽選が行われる可能性を減らすことができる。
また,第3の構成にかかる遊技機において,前記遊技状態制御手段は,前記図柄表示手段による識別図柄の変動表示を終了したタイミングで,遊技状態を,前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に切り替える(S1716)とよい。確定時間の経過を待つ期間は全て通常遊技状態になるため,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した後での,可変入球口への入球の可能性がより低下する。
また,第3の構成にかかる遊技機において,前記図柄表示手段は,前記最終変動表示後の前記確定時間の長さを,前記特典遊技状態にて前記入球口変位部材を前記可変入球口に入球し易い状態になるように変位させる1パターン分の変位可能時間以上の長さに設定する(S1505)とよい。最終変動表示後の確定時間を,変位可能時間と同等もしくは変位可能時間よりも長くすることで,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した時点で入球口変位部材が開放状態である可能性がより低くなり,可変入球口への入球の可能性がより低下する。
また,第3の構成にかかる遊技機において,前記図柄表示手段は,前記最終変動表示後の前記確定時間の長さを,前記特典遊技状態での前記図柄表示手段による識別図柄の変動表示のうち前記最終変動表示以外の変動表示後の前記確定時間よりも長い時間に設定する(S1505)とよい。最終変動表示後の確定時間を,他の変動表示後の確定時間よりも長くすることで,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した時点で入球口変位部材が開放状態である可能性がより低くなり,可変入球口への入球の可能性がより低下する。
また,第3の構成にかかる遊技機において,第1特別入賞口(第1大入賞口30)と,前記第1特別入賞口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる第1入賞口変位部材(開閉部材32)と,を有する第1特別入賞装置(第1大入賞装置31)と,第2特別入賞口(第2大入賞口35)と,前記第2特別入賞口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる第2入賞口変位部材(開閉部材37)と,前記第2特別入賞口を通過した遊技球が移動可能な特別領域と,を有する第2特別入賞装置(第2大入賞装置36)と,前記図柄表示手段にて識別図柄が小当たりの当選を示す小当たり図柄で停止表示されると,前記第2入賞口変位部材を所定の変位パターンに従って作動させる小当たり遊技を実行する小当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S1626)と,前記小当たり遊技の後,前記小当たり遊技中に遊技球が前記特別領域を通過したことを条件として,前記第1入賞口変位部材を所定の変位パターンに従って作動させる大当たり遊技を実行する小当たり後大当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S2416)と,を備えるとよい。
また,第4の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,遊技球の入球し易さが変化する可変入球口(第2始動口21)を含む1または複数の入球口と,前記可変入球口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる入球口変位部材(電チュー22)と,前記入球口への入球に基づいて,大当たりの抽選を行う抽選手段(遊技制御用マイコン81,S1011)と,前記抽選手段による抽選結果を示す識別図柄の変動表示を経て停止表示し,停止表示から所定の確定時間を経たことを条件として次の抽選結果を示す識別図柄の変動表示を開始する図柄表示手段と(遊技制御用マイコン81,第2特別図柄表示器41b,S1016,S1502,S1601),前記図柄表示手段にて識別図柄が大当たりの当選を示す大当たり図柄で停止表示した後,遊技者に有利な大当たり遊技を実行する大当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S1616)と,前記大当たり遊技後の遊技状態を,通常遊技状態(非時短状態)よりも前記入球口変位部材が前記入球し易い状態になり易い特典遊技状態(時短状態)に制御可能であり,所定の移行条件を満たした場合に,遊技状態を前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に移行させる遊技状態制御手段(遊技制御用マイコン81,S2042,S1714)と,を備え,前記図柄表示手段は,前記特典遊技状態での前記図柄表示手段による識別図柄の変動表示が,前記特典遊技状態に移行してから所定数番目の変動表示であった場合,前記確定時間は,前記所定数番目の変動表示以外の変動表示の前記確定時間と比較して,長い(S1505),ことを特徴としている。
識別図柄の1回分の変動表示に対応する演出時間の長さは,主として変動表示時間の長さによって決まる。そして,この変動表示時間は抽選結果によって決まる。つまり,演出時間が抽選結果によって概ね決まってしまい,演出の自由度が狭められてしまうことから,改善の余地がある。
そこで,第4の構成にかかる遊技機では,特典遊技状態中,所定数番目の変動表示において確定時間を長くする。確定時間が長くなった分,所定数番目の変動表示において,様々な演出が可能であり,演出の自由度が高まる。なお,所定数は1つの値でも複数の値でもよい。
また,第4の構成にかかる遊技機において,前記所定数は,前記抽選手段によって当選する大当たりの種類によって異なるとよい(図13)。大当たりの種類(識別図柄の種類)によって所定数が異なることで,大当たりの種類に適した演出が可能であり,より演出の自由度が高まる。
また,第4の構成にかかる遊技機において,前記所定数には,前記所定の移行条件を満たすことになる最終変動表示の回数を示す値が含まれるとよい。所定数が最終変動表示を示す値を含むことで,最終変動表示での確定時間が延長されることになり,最終変動表示での演出の自由度が高まる。
また,第4の構成にかかる遊技機において,前記遊技状態制御手段は,前記特典遊技状態での前記図柄表示手段による識別図柄の変動表示が前記最終変動表示であった場合,識別図柄の変動表示の終了以後,前記確定時間に達するよりも前に,遊技状態を,前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に切り替える(S2042,S1716)とよい。特典遊技状態での最終変動表示の際,その変動表示の終了以後,確定時間に達するよりも前に,遊技状態を通常遊技状態に切り替えることで,確定時間中に入球口変位部材が開放状態に変位する可能性が低下し,その結果として,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した後での,可変入球口への入球の可能性が低下する。従って,メーカの意図しない抽選が行われる可能性を減らすことができる。
また,第4の構成にかかる遊技機において,前記図柄表示手段は,前記最終変動表示の前記確定時間の長さを,前記特典遊技状態にて前記入球口変位部材を前記可変入球口に入球し易い状態になるように変位させる1パターン分の変位可能時間以上の長さに設定するとよい。最終変動表示後の確定時間を,変位可能時間と同等もしくは変位可能時間よりも長くすることで,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した時点で入球口変位部材が開放状態である可能性がより低くなり,可変入球口への入球の可能性がより低下する。
また,第4の構成にかかる遊技機において,第1特別入賞口(第1大入賞口30)と,前記第1特別入賞口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる第1入賞口変位部材(開閉部材32)と,を有する第1特別入賞装置(第1大入賞装置31)と,第2特別入賞口(第2大入賞口35)と,前記第2特別入賞口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる第2入賞口変位部材(開閉部材37)と,前記第2特別入賞口を通過した遊技球が移動可能な特別領域と,を有する第2特別入賞装置(第2大入賞装置36)と,前記図柄表示手段にて識別図柄が小当たりの当選を示す小当たり図柄で停止表示されると,前記第2入賞口変位部材を所定の変位パターンに従って作動させる小当たり遊技を実行する小当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S1626)と,前記小当たり遊技の後,前記小当たり遊技中に遊技球が前記特別領域を通過したことを条件として,前記第1入賞口変位部材を所定の変位パターンに従って作動させる大当たり遊技を実行する小当たり後大当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S2416)と,を備えるとよい。
なお,以下に記す手段の説明では,[発明を実施するための形態]における対応する構成名や表現,図面に使用した符号を参考のために括弧書きで付記している。ただし,本発明の構成要素は付記に限定されるものではない。
本明細書に開示される遊技機は,遊技球の入球し易さが変化する可変入球口(第2始動口21)を含む1または複数の入球口と,前記可変入球口を入球し易い状態と入球し難いもしくは入球不能状態との間で変位させる入球口変位部材(電チュー22)と,前記入球口への入球に基づいて,大当たりの抽選を行う抽選手段(遊技制御用マイコン81,S1011)と,前記抽選手段による抽選結果を示す識別図柄の変動表示を経て停止表示し,停止表示から所定の確定時間を経たことを条件として次の抽選結果を示す識別図柄の変動表示を開始する図柄表示手段と(遊技制御用マイコン81,第2特別図柄表示器41b,S1016,S1502,S1601),前記図柄表示手段にて識別図柄が大当たりの当選を示す大当たり図柄で停止表示した後,遊技者に有利な大当たり遊技を実行する大当たり遊技実行手段(遊技制御用マイコン81,S1616)と,前記大当たり遊技後の遊技状態を,通常遊技状態(非時短状態)よりも前記入球口変位部材が前記入球し易い状態になり易い特典遊技状態(時短状態)に制御可能であり,所定の移行条件を満たした場合に,遊技状態を前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に移行させる遊技状態制御手段(遊技制御用マイコン81,S2042,S1714)と,を備え,前記遊技状態制御手段は,前記特典遊技状態での前記図柄表示手段による識別図柄の変動表示が,前記所定の移行条件を満たすことになる最終変動表示であった場合,識別図柄の変動表示の終了以後,前記確定時間に達するよりも前に,遊技状態を,前記特典遊技状態から前記通常遊技状態に切り替える(S2042,S1716),ことを特徴とする遊技機。
本明細書に開示される遊技機は,特典遊技状態での最終変動表示の際,その変動表示の終了以後,確定時間に達するよりも前に,遊技状態を通常遊技状態に切り替える。これにより,確定時間中に入球口変位部材が入球し易い状態になる可能性が低下し,その結果として,特典遊技状態での最終変動表示の停止表示が終了した後での,可変入球口への入球の可能性が低下する。従って,メーカの意図しない抽選が行われる可能性を減らすことができる。
なお,上記遊技機の機能を実現するための制御方法,コンピュータプログラム,および当該コンピュータプログラムを格納する,コンピュータによる読取可能な記憶媒体も,新規で有用である。