<実施形態1>
図1(a)、(b)を参照して、実施形態1の測定装置およびカートリッジの概要を説明する。図1(a)において、XYZ軸は互いに直交している。X軸正方向は後方を示し、Y軸正方向は左方向を示し、Z軸正方向は鉛直下方向を示している。
図1(a)に示すように、測定装置10は、カートリッジ20を用いて検体に含まれる被検物質を測定する測定装置である。測定装置10は、支持機構30と、検出部40と、を備える。
支持機構30は、カートリッジ20を支持して、チャンバ21を検出部40に対向する位置に位置付ける。支持機構30は、モータ31と支持部材32とを備える。支持機構30は、モータ31を駆動させて、回転軸33を中心に、カートリッジ20を回転させる。
支持機構30は、必ずしもカートリッジ20を回転させる構成を含まなくともよい。たとえば、支持機構30は、カートリッジ20を直線的に移動させる構成であってもよい。この場合、支持機構30に支持されたカートリッジ20を直線的に移動させることにより、チャンバ21が検出部40に対向する検出位置に位置付けられる。また、支持機構30は、単にカートリッジ20を支持する構成であってもよい。この場合、カートリッジ20が支持機構30に設置されると、チャンバ21が検出位置に位置付けられる。
カートリッジ20は、たとえば、板状の円盤である。カートリッジ20は、円盤以外の形状であってもよい。チャンバ21は、検体に含まれる被検物質と光を発する物質とが結合した複合体を収容する。たとえば、この物質と反応して光を生じる試薬がチャンバ21に収容される。検出部40は、反応過程においてチャンバ21内で生じた光を検出する。
所定波長の光が照射されると蛍光が励起される物質と被検物質とが結合して複合体が構成されてもよい。この場合、チャンバ21に光を照射するための光源が配置される。検出部40は、光源からの光によって複合体に結合した物質から励起された蛍光を検出する。
検出部40は、反射部材41と光検出器42とを備える。図1(b)に示すように、反射部材41は、チャンバ21側に位置する第1開口41aと、光検出器42の検出面42a側に位置し第1開口41aよりも面積が小さい第2開口41bと、第1開口41aと第2開口41bとを繋ぐ筒状の内側面41cとを備える。第1開口41aは、カートリッジ20を支持する支持機構30の支持面を含む平面、すなわち、支持部材32の上面を含む平面からZ軸正方向に離れた位置にある。
第1開口41aおよび第2開口41bは円形であり、内側面41cは円錐形状である。第1開口41aおよび第2開口41bは、同軸に配置されている。第1開口41aは、光検出器42側から見た場合に、検出位置に位置付けられたチャンバ21を含む大きさである。第1開口41aは、カートリッジ20を支持する支持機構30の支持面すなわち支持部材32の上面を含む平面から離れた位置にある。内側面41cは、軸対称な形状である。内側面41cは、たとえば、光を略100%反射する鏡面からなっている。内側面41cは、第1開口41aの中心C1と第2開口41bの中心C2とを結ぶ軸L0に沿った断面において、直線状である。
第1開口41aおよび第2開口41bの形状は、円形以外であってもよい。たとえば、チャンバ21の形状が楕円である場合、第1開口41aの形状は楕円であってもよい。第1開口41aおよび第2開口41bは、平面視において中心が互いにずれるように配置されてもよい。内側面41cは、軸対称な形状でなくてもよい。内側面41cは、第1開口41aの中心C1と第2開口41bの中心C2とを結ぶ軸L0に沿った断面において、軸L0とは反対側に凸の曲線部分を含んでもよく、あるいは、軸L0側に凸の曲線部分を含んでもよい。
反射部材41は、チャンバ21で生じた光を取り込んで、取り込んだ光を内側面41cで反射させて、光検出器42の検出面42aに導く。このとき、上記構成の測定装置10では、たとえば、モータ31の制動誤差等によって、チャンバ21が、第1開口41aに対向する検出位置からずれることが起こり得る。これにより、チャンバ21に収容された試薬の領域、すなわち発光領域が、第1開口41aの中心C1からずれることが起こり得る。また、上記のようにチャンバ21の全容量に満たない量の試薬がチャンバに収容される場合には、チャンバ21内における試薬の収容位置が検出ごとに変わり得る。このように、試薬の収容位置が変位することによっても、発光領域が第1開口41aの中心C1からずれることが起こり得る。
このように、発光領域が第1開口41aの中心C1からずれると、反射部材41内に取り込まれる光が減少する。しかし、その一方、チャンバ21から反射部材41内に取り込まれた光の一部は、内側面41cで1回または複数回反射することにより、光検出器42に到達する前に、第1開口41aに向かう方向に指向されて、第1開口41aから外部へと導かれる。内側面41cの傾斜を調整することにより、試料すなわち発光領域が第1開口41aの端付近にある場合に外部へと導かれる光の光量を、試料が第1開口41aの中心にある場合に比べて、減少させ得る。
したがって、チャンバ21で生じた光を反射部材41で光検出器42の検出面42aに導くことにより、チャンバ21に収容された試料が第1開口41aの中心C1からずれた場合に光検出器42の検出面42aへと到達する光の光量と、試料が第1開口41aの中心位置にある場合に光検出器42の検出面42aへと到達する光の光量との差を抑制できる。これにより、試料の位置ずれに基づく検出光量の変動を抑制でき、分析精度を高く維持できる。この効果は、追って、図18(a)〜図28(c)を参照して説明する。
<具体的構成例>
以下、実施形態1の分析装置およびカートリッジの具体的な構成を説明する。
分析装置100は、図1(a)の測定装置10に対応する。モータ171、支持部材177、回転軸311および固定部材312からなる機構が、図1(a)の支持機構30に対応する。モータ171、支持部材177および回転軸311は、それぞれ、図1(a)のモータ31、支持部材32および回転軸33に対応する。検出部140は、図1(a)の検出部40に対応する。反射部材142および光検出器144aは、それぞれ、図1(a)の反射部材41および光検出器42に対応する。第1開口142c、第2開口142dおよび内側面142fは、それぞれ、図1(b)の第1開口41a、第2開口41bおよび内側面41cに対応する。カートリッジ200は、図1(b)のカートリッジ20に対応する。チャンバ216は、図1(a)のチャンバ21に対応する。
図2(a)に示すように、分析装置100は、抗原抗体反応を利用して検体中の被検物質を測定し、測定結果に基づいて被検物質を分析する免疫分析装置である。分析装置100は、本体部101と蓋部102を備える。本体部101において、蓋部102に対向する部分以外は筐体101aに覆われている。蓋部102において、本体部101に対向する部分以外は筐体102aに覆われている。本体部101は、蓋部102を開閉可能に支持している。カートリッジ200の着脱の際には、蓋部102が図2(a)に示すように開けられる。本体部101の上部には、カートリッジ200が設置される。
図2(b)に示すように、カートリッジ200は、被検物質の検出に必要な機能をまとめた交換可能な部品である。カートリッジ200は、板状かつ円盤形状の基板200aにより構成される。カートリッジ200内の各部は、基板200aに形成された凹部と、基板200aの全面を覆う図示しないフィルムとが貼り合わされることにより形成される。基板200aと、基板200aに貼り合わされたフィルムとは、透光性を有する部材により構成される。基板200aは、後述するヒータ321、322によるカートリッジ200の温度調節が容易となるような厚みを有する。たとえば、基板200aの厚みは、数ミリとされ、具体的には1.2mmとされる。
基板200aには、孔201と、チャンバ211〜216と、チャネル220と、6つの液体収容部231と、液体収容部232と、開口241と、分離部242と、チャネル243と、を備える。孔201は、基板200aの中心において基板200aを貫通している。カートリッジ200は、孔201の中心が、後述する回転軸311に一致するように分析装置100に設置される。以下、回転軸311を中心とする円の径方向および周方向を、以下、それぞれ単に「径方向」および「周方向」と称する。チャンバ211〜216は、基板200aの外周付近において周方向に並んでいる。
チャネル220は、周方向に延びた円弧状の領域221と、径方向に延びた6つの領域222と、を備える。領域221は、6つの領域222と繋がっている。6つの領域222は、それぞれチャンバ211〜216に繋がっている。6つの液体収容部231は、流路を介してチャネル220に繋がっており、それぞれチャンバ211〜216に繋がる領域222の延長線上にある。液体収容部232は、流路を介して、チャンバ216に繋がる領域222と、チャンバ216に繋がる領域222の延長線上にある液体収容部231と、を繋ぐ流路に繋がっている。
チャンバ211〜216は、被検物質と所定の試薬により調製された測定試料を収容するためにカートリッジ200に設けられた収容部である。チャンバ211〜216には常に液体が入っていなくてもよく、チャンバ211〜216は、液体を収容するために空間的な広がりを有していればよい。チャネル220は、磁性粒子を移送させるためにカートリッジ200に設けられた通路である。
液体収容部231は、試薬を収容し、径方向の内側の上面に封止体231aを備える。封止体231aは、後述する押圧部195によって上から押圧されることにより開栓可能に構成される。封止体231aが開栓される前は、液体収容部231内の試薬はチャネル220に流れず、封止体231aが開栓されると、液体収容部231内がチャネル220に連通し、液体収容部231内の試薬がチャネル220に流れ出るようになる。具体的には、封止体231aが開栓されると、液体収容部231の内部が、封止体231aの位置においてカートリッジ200の外部と繋がる。
同様に、液体収容部232も、試薬を収容し、径方向の内側の上面に封止体232aを備える。封止体232aは、押圧部195によって上から押圧されることにより開栓可能に構成される。封止体232aが開栓される前は、液体収容部232内の試薬はチャネル220に流れず、封止体232aが開栓されると、液体収容部232内がチャネル220に連通し、液体収容部232内の試薬がチャネル220に流れ出るようになる。具体的には、封止体232aが開栓されると、液体収容部232の内部が、封止体232aの位置においてカートリッジ200の外部と繋がる。
封止体231a、232aは、基板200aに一体形成されてもよく、基板200aに形成された開口に貼り合わされたフィルムなどによって形成されてもよい。
被検者から採取された全血の血液検体は、開口241を介して分離部242に注入される。分離部242は、注入された血液検体を血球と血漿に分離する。分離部242で分離された血漿は、チャネル243に移動する。チャネル243の径方向の内側の上面には、孔243aが設けられている。チャネル243内の領域243bに位置付けられた血漿は、カートリッジ200が回転されると遠心力によりチャンバ211に移動する。これにより、所定量の血漿がチャンバ211に移送される。
なお、基板200aの各構成は、図2(b)に示すように、基板200aの3分の1の領域にのみ形成されている。しかしながら、これに限らず、これら一群の構成が残りの3分の2の領域に形成され、基板200aに一群の構成が3つ設けられてもよい。
続いて、図3〜図12(b)を参照して、分析装置100の内部構成について説明する。
設置部材110には、孔111〜114が形成されている。孔111〜114は、設置部材110を貫通している。孔111には、後述する回転軸311が位置付けられる。孔112は、径方向に長い形状を有する。移動機構130は、部材131を介して設置部材110の下面に設置される。水平面内において、部材131の孔131aは、設置部材110の孔112と同じ位置に位置付けられる。検出部140は、部材141を介して設置部材110の下面に設置される。水平面内において、検出部140の反射部材142は、設置部材110の孔113と同じ位置に位置付けられる。孔114には、後述する温度センサ178が設置される。設置部材110の上面には、閉ループの突部115、116が形成されている。突部115、116は、周方向に沿って上方向に突出している。
収容体150は、上面151と、収容部152、153と、外側面154と、を備える。上面151の中心には、上面151から外側面154までを上下方向に貫通する孔155が形成されている。孔155は、後述する回転軸311を通すために設けられている。収容部152、153は、上面151から下方向に窪んだ凹部により構成される。移動機構130と検出部140とが設置された設置部材110が、収容体150に設置される。設置部材110が収容体150に設置される際には、設置部材110の外周下面と収容体150の外周上面とが接合される。設置部材110が収容体150に設置されると、移動機構130が収容部152に収容され、検出部140が収容部153に収容される。
設置部材110と収容体150は、遮光性の樹脂で形成されており、設置部材110と収容体150の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。また、設置部材110の外周下面と、収容体150の外周上面との間には、図示しない所定の弾性部材が設置される。所定の弾性部材は、たとえば遮光性のクロロプレンゴムおよびポリウレタン樹脂で構成されており、所定の弾性部材の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。
図4(a)に示すように、移動機構130は、部材131と、2本の支軸132と、ギア部133と、支持部134と、モータ135と、伝達ギア135aと、モータ136と、伝達ギア136a〜136cと、ネジ137と、支持部138と、を備える。2本の支軸132は、部材131の下面に設置されている。ギア部133は、部材131の側面に設置されており、平板形状を有する。支持部134は、2本の支軸132に対して移動可能に支持されている。2本の支軸132は、径方向に延びている。支持部134の上面には、孔134aが形成されている。孔134aは、水平面において部材131の孔131aと同じ位置に位置付けられる。
支持部134は、モータ135、136と、伝達ギア136bと、ネジ137と、を支持している。モータ135、136は、ステッピングモータにより構成される。モータ135の駆動軸が回転すると、駆動軸に設置された伝達ギア135aが回転し、駆動力がギア部133に伝達される。これにより、支持部134が、2本の支軸132に支持されながら、径方向に移動する。
モータ136の駆動軸が回転すると、駆動軸に設置された伝達ギア136aが回転する。伝達ギア136a、136bは互いに噛み合っており、伝達ギア136b、136cは互いに噛み合っている。伝達ギア136bは、支持部134に回転可能に設置されており、伝達ギア136cは、ネジ137に設置されている。ネジ137は、支持部134に回転可能に支持されている。支持部138は、ネジ137の回転に応じて上下に移動するようネジ137に支持されている。磁石120は、支持部138に設置されている。したがって、モータ136の駆動軸が回転すると、駆動力が伝達ギア136a、136b、136cと、ネジ137とに伝達される。これにより、支持部138が、上下方向に移動する。
このように移動機構130が構成されると、モータ135の駆動に応じて、磁石120が径方向に移動可能となり、モータ136の駆動に応じて、磁石120が上下方向に移動可能となる。また、磁石120が径方向内側へ移動されることにより、磁石120の上端がカートリッジ200の径方向内側へ移動し、磁石120が径方向外側へ移動されることにより、磁石120の上端がカートリッジ200の径方向外側へ移動する。磁石120が上に移動されることにより、磁石120の上端が、孔131a、134aの上に突出し、カートリッジ200に接近する。磁石120が下に移動されることにより、磁石120の上端が、カートリッジ200から離間する。
なお、カートリッジ200に対する磁石120の位置を変化させる構成として、上記以外の構成が用いられてもよい。たとえば、磁石120を上下方向に移動させるために、磁石120を伸縮させてもよく、磁石120を水平方向に平行な方向を回転の中心として回転させてもよい。
図4(b)に示すように、磁石120は、永久磁石121と磁性体122を備える。磁性体122は、常磁性体と強磁性体のいずれであってもよく、その組合せであってもよい。永久磁石121は、円柱形状であり、磁性体122は、円錐形状である。磁性体122は、永久磁石121の上面に接合されている。磁性体122の上端には、先端部122aが形成されている。先端部122aは、水平面で切断したときの断面積が一定の柱状形状となっている。具体的には、先端部122aは円柱形状である。なお、磁石120は、カートリッジ200側が、カートリッジ200に近付くに従って断面積が小さくなった先細り形状となっていればよい。
磁石120によりカートリッジ200内の磁性粒子にかかる磁力は、永久磁石121が大きいほど、言い換えれば永久磁石121の水平面の断面積が大きいほど強くなる。また、磁石120の中心軸120aからの磁力の変化は、磁石120の先細り形状の角度θが小さいほど大きくなる。そして、角度θが小さいほど、カートリッジ200内の磁性粒子を移動させる力が大きくなる。ただし、永久磁石121の水平面の断面積を一定とする場合、角度θが小さいほど、先端部122aから永久磁石121の上面までの距離が長くなるため、磁石120によりカートリッジ200にかかる磁力は小さくなる。したがって、磁性粒子にかかる磁力と磁性粒子を移動させる力の両方をバランスよく大きくするために、実施形態1の角度θは、たとえば60°に設定される。
磁性粒子にかかる磁力と磁性粒子を移動させる力とが大きいと、磁石120によりカートリッジ200内で磁性粒子を移動させる際に、磁性粒子の取り残しを防止できる。したがって、図4(b)に示すように磁石120が構成されれば、磁性粒子にかかる磁力と磁性粒子を移動させる力の両方をバランスよく大きくできるため、磁性粒子の取り残しを防いで、検出部140により検出される光量の意図しない低下を抑制できる。よって、意図しない光量の低下による偽陰性を抑制できるため、高精度な検出を行うことができる。
また、磁石120のカートリッジ200側の端縁の幅、すなわち先端部122aの幅は、少なくともチャネル220内の各領域の最小幅よりも小さくなっている。これにより、磁石120で集められた複合体を、チャネル220に引っかかることなく円滑にチャネル220内で移動させることができる。
磁石120は、永久磁石のみにより構成されてもよい。すなわち、磁石120は、上記のような永久磁石121と磁性体122とを合わせた形状を有する永久磁石により構成されてもよい。ただし、永久磁石121と磁性体122とにより磁石120を形成する方が、磁石120を簡易かつ精度よく形成できる。
図5(a)に示すように、検出部140は、部材141と、反射部材142と、支持部143と、光検出ユニット144と、光調整部160と、を備える。部材141には、部材141を上下方向に貫通する孔141aが形成されている。反射部材142は、部材141に形成された孔141aに嵌め込まれて設置される。支持部143は、部材141の下面に設置されている。光検出ユニット144と光調整部160は、支持部143に設置されている。
図5(b)、(c)に示すように、反射部材142は、上部に透明板142aが設置されている。透明板142aは、後述する光検出器144aを保護するための部材である。透明板142aによる光学作用は略無視できるため、以下に示す図では、便宜上、透明板142aの図示は省略する。反射部材142には、中央に上下方向に貫通する孔142bが形成されている。孔142bの水平面内における径は、鉛直下方向に進むにつれて小さくなる。反射部材142は、複合体がチャンバ216内の中央および端部の何れに位置している場合でも、チャンバ216内から生じた光を同程度だけ光検出器144aへと導くことができる。
図6(a)は、図5(a)に示す検出部140から部材141および反射部材142の図示を省略した状態を示している。
図6(a)に示すように、光調整部160は、モータ161と板状部材162を備える。モータ161は、ステッピングモータにより構成される。板状部材162は、モータ161の駆動軸161aに設置されており、孔162a、162bを備える。孔162a、162bは、板状部材162を上下方向に貫通している。孔162bには、フィルタ部材162cが設置されている。フィルタ部材162cは、NDフィルタである。
モータ161が駆動されると、板状部材162が駆動軸161aを中心として回転する。これにより、光検出ユニット144の光検出器144aの真上に、孔162aと、フィルタ部材162cと、板状部材162の孔162a、162b以外の領域162dとが、それぞれ位置付けられる。所定の測定項目では、チャンバ216において高強度の光が生じる。この場合に、光検出ユニット144の光検出器144aの真上にフィルタ部材162cが位置付けられ、光検出器144aに入射する光が減じられる。これにより、光検出器144aの出力信号が飽和することが抑制される。
光検出ユニット144は、上面に光検出器144aを備える。光検出器144aは、チャンバ216に収容された被検物質を光学的に検出する。光検出器144aは、たとえば光電子増倍管、光電管、光ダイオードなどにより構成される。光検出器144aが光電子増倍管で構成される場合、光子すなわちフォトンの受光に応じたパルス波形が光検出器144aから出力される。光検出ユニット144は、内部に回路を備えており、光検出器144aの出力信号に基づいて、一定間隔でフォトンを計数し、カウント値を出力する。
図6(b)に示すように、カートリッジ200のチャンバ216から生じた光は、カートリッジ200の上側と下側に広がる。カートリッジ200の下側に広がった光は、反射部材142の孔142bを通り、光調整部160の孔162aまたはフィルタ部材162cを通り、光検出器144aにより受光される。カートリッジ200の上側に広がった光は、後述する蓋部102の板部材191により反射されてチャンバ216に戻り、同様に光検出器144aにより受光される。蓋部102の板部材191にミラーを設置して、カートリッジ200の上側に広がった光を反射させてもよい。
図7に示すように、収容体150の外側面154は、収容体150の下側に位置し、水平面内において収容体150の中央に位置する。外側面154は、水平面に平行な面である。外側面154の中心には、上面151から外側面154までを上下方向に貫通する孔155の出口が形成されている。外側面154には、孔155の出口の周辺に凹部154aが形成されている。凹部154aは、鉛直上方向に見てリング状の外形を有する。また、孔155には、孔155の側方から外部へと通じる孔156が形成されている。
モータ171は、ステッピングモータにより構成される。エンコーダ172は、モータ171の下面に設置されており、モータ171の回転軸の回転を検出する。弾性部材173は、たとえば遮光性のポリウレタン樹脂で形成されており、弾性部材173の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。弾性部材173は、外側面154の凹部154aに嵌り込むリング状の外形を有する。モータ171は、孔155を塞ぐように外側面154に設置される。具体的には、外側面154に対向するモータ171の上面と外側面154との間に、孔155を囲むようにして、弾性部材173が凹部154aに配置される。そして、モータ171の上面が弾性部材173に押し付けられるようにして、モータ171が外側面154に装着される。これにより、孔155の下方が、弾性部材173とモータ171の上面とにより塞がれる。
モータ171が外側面154に装着されると、続いて、孔156を介して、孔155の内部における機構の接続等が行われる。機構の接続等が終わると、孔156の出口の周囲に弾性部材174が設置され、蓋部材175により孔156が塞がれる。弾性部材174と蓋部材175は、遮光性を有するよう構成される。
図8に示すように、設置部材110の突部115の内側に、板部材176と支持部材177が設置される。板部材176は、熱伝導性の高い金属により構成される。板部材176の下面には、後述するヒータ321が設置されている。板部材176とヒータ321には、図3に示す設置部材110の孔111〜114に対応する位置に孔が設けられている。これらの孔を介して、図8に示すように移動機構130と、検出部140と、温度センサ178とが、カートリッジ200の下面に直接的に対向する。温度センサ178は、設置部材110の下面側に設置されている。温度センサ178は、赤外線によりカートリッジ200の温度を検出する。
支持部材177は、後述する設置部材310を介して、設置部材110の中心に設置される。支持部材177は、たとえば、ターンテーブルにより構成される。突部115と突部116との間には、弾性部材117が設置される。弾性部材117は、たとえば遮光性のポリウレタン樹脂で形成されており、弾性部材117の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。弾性部材117は、閉ループに構成されている。弾性部材117の上面は、弾性変形可能な接合面である。こうして組み立てられた設置部材110と収容体150が、筐体101aに設置され、本体部101が完成する。
図8には、蓋部102を下側から見た状態が示されている。蓋部102は、設置部材180と、板部材191と、クランパ192と、撮像部193と、照明部194と、押圧部195と、を備える。
設置部材180は、遮光性の樹脂で形成されており、設置部材180の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。設置部材180の突部181の内側に、板部材191とクランパ192が設置される。板部材191は、板部材176と同様、熱伝導性の高い金属により構成される。板部材191の上面には、後述するヒータ322が設置されている。設置部材180の下面と、板部材191と、ヒータ322には、撮像部193と、照明部194と、押圧部195に対応する位置に孔が設けられている。これらの孔を介して、撮像部193と、照明部194と、押圧部195とが、カートリッジ200の上面に直接的に対向する。撮像部193と、照明部194と、押圧部195は、設置部材180の上面に設置される。
撮像部193は、カートリッジ200内の状態を撮像する。撮像部193は、小型カメラにより構成される。小型カメラは、たとえば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどを含む。照明部194は、撮像部193による撮影が行われる際に、カートリッジ200を照らす。照明部194は、たとえば発光ダイオードにより構成される。押圧部195は、封止体231a、232aを押圧することで、封止体231a、232aを開栓させる。押圧部195については、追って図10(a)〜(c)を参照して説明する。
クランパ192は、設置部材180の中心に設置される。設置部材180の下面には、閉ループの突部181が形成されている。突部181は、周方向に沿って下方向に突出している。設置部材180の下面には、突部181の外側に凹部が形成されており、この凹部に弾性部材182が設置される。弾性部材182は、たとえば遮光性のポリウレタン樹脂で形成されており、弾性部材182の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。弾性部材182は、閉ループに構成されている。弾性部材182の下面は、弾性変形可能な接合面である。
組み立ての際には、蓋部102が、本体部101の設置部材110に対して開閉可能となるように設置されることにより、蓋部102が本体部101に設置される。なお、本体部101の筐体101aには、後述する換気部350が設置されている。換気部350については、追って図12(a)、(b)を参照して説明する。
図9は、回転軸311を通るYZ平面に平行な平面で切断したときの、分析装置100の断面を示す模式図である。図9は、分析装置100に対してカートリッジ200が設置され、蓋部102が閉じられた状態を示している。上述したように、設置部材110の下面には、磁石120を保持する移動機構130と、検出部140とが設置されており、設置部材180の上面には、撮像部193と、照明部194と、押圧部195とが設置されている。図9には、これら各部の配置位置に相当する位置が、破線で示されている。
図9に示すように、モータ171の駆動軸171aは、モータ171が外側面154に設置されることにより、孔155の内部に延びている。孔155の上部には、設置部材310が設置されている。設置部材310は、上下方向に延びる回転軸311を回転可能に支持している。回転軸311は、孔155の内部において、固定部材312によりモータ171の駆動軸171aに対して固定されている。
回転軸311の上部には、所定の部材を介して、カートリッジ200の下面を支持するための支持部材177が固定されている。モータ171が駆動され駆動軸171aが回転すると、回転駆動力は、回転軸311を介して支持部材177に伝達される。これにより、支持部材177に設置されたカートリッジ200が、回転軸311および駆動軸171aを中心として回転する。クランパ192は、支持部材177にカートリッジ200が設置され、蓋部102が閉じられると、カートリッジ200の上面の内周部分を回転可能な状態で押さえ付ける。
板部材176の下面には、ヒータ321が設置されており、板部材191の上面には、ヒータ322が設置されている。ヒータ321、322は、発熱面が平面であり、発熱面がカートリッジ200に対して平行となるように配置されている。これにより、カートリッジ200を効率よく加温できる。板部材176、191には、それぞれ、図13に示す温度センサ331、332が設置されている。温度センサ331、332は、それぞれ、板部材176、191の温度を検出する。
ここで、後述する制御部301は、分析の際に、温度センサ331が検出する板部材176の温度と、温度センサ332が検出する板部材191の温度とが、所定の温度になるよう、ヒータ321、322を駆動する。制御部301は、温度センサ331、332の検出温度に基づいて、たとえばP制御、PD制御、PID制御といった制御方法により、ヒータ321、322を駆動する。これにより、カートリッジ200の温度が、所定の温度に維持される。実施形態1の所定の温度は、カートリッジ200内で反応が適正に進むよう、42℃とされる。このようにカートリッジ200の温度を一定に保つことは、免疫測定においては特に重要である。なお、制御部301は、温度センサ178の検出温度に基づいてヒータ321、322を駆動してもよい。
移動機構130と検出部140は、図9中に点線矢印で示すように、カートリッジ200に磁力を与え、カートリッジ200側から生じた光を受光する。したがって、カートリッジ200の下側において、設置部材110は、上下方向に光を容易に通す状態となっている。しかしながら、設置部材110の下方には収容体150が位置付けられているため、カートリッジ200の下方の空間と外部との間で、光の通過が防止される。
蓋部102の設置部材180の上部には、筐体102aの内面との間に、遮光部材196が設置されている。遮光部材196は、遮光性の樹脂で形成されており、遮光部材196の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。遮光部材196の外周下面と、設置部材180の外周上面との間には、図示しない所定の弾性部材が設置される。所定の弾性部材は、たとえば遮光性のクロロプレンゴムおよびポリウレタン樹脂で構成されており、所定の弾性部材の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。
撮像部193と、照明部194と、押圧部195の設置位置において、設置部材180には孔が設けられているため、これらの部材の設置位置において上下方向に光が漏れ込む。したがって、カートリッジ200の上側において、設置部材180は、上下方向に光を通す状態となっている。しかしながら、設置部材180の上方には遮光部材196が位置付けられているため、カートリッジ200の上方の空間と外部との間で、光の通過が防止される。
蓋部102が閉じられると、設置部材110の突部116が、設置部材180の弾性部材182の下面に押し付けられて密着する。設置部材180の突部181が、設置部材110の弾性部材117の上面に押し付けられて密着する。また、設置部材180の外周付近の下面には、面183が形成されており、蓋部102の内部の側方は、筐体102aで覆われている。これにより、カートリッジ200の側方の空間と外部との間で、光の通過が防止される。
こうして、図9の点線に示す暗室340が、遮光部により形成される。本体部101側の遮光部は、設置部材110の突部116、弾性部材117、設置部材110の外周部分、収容体150、モータ171の上面、弾性部材173、蓋部材175、および弾性部材174により構成される。蓋部102側の遮光部は、筐体102a、遮光部材196、設置部材180の面183、設置部材180の突部181、および弾性部材182により構成される。蓋部102が閉じられると、本体部101側の遮光部と、蓋部102側の遮光部が、カートリッジ200の側方において接合し、暗室340が遮光部により取り囲まれる。こうして、遮光部の内部に光が漏れ込むことが防止される。上記遮光部の構成は一例であり、遮光部を構成する部材等は上記に限らない。
なお、図3に示したように、収容体150の上面151および収容部152、153には、ケーブルを通すための孔が設けられている。これらの孔は、暗室340に開けられた孔となり得る。したがって、暗室340の内部と暗室340の外部との間で信号のやり取りを行うためのケーブル等を通すための孔は、暗室340を形成するために遮光部材により全て塞がれる。たとえば、孔の出口においてケーブルと孔との間の隙間を遮光するために、遮光テープ、遮光布地、熱収縮チューブ、グロメット、コーキング材などを用いることができる。これらの遮光部材の色は、遮光性を高めるために黒色に設定される。
上記のように暗室340が形成されると、カートリッジ200を支持する支持部材177と、カートリッジ200と、光検出器144aの検出面が、暗室340内に配置されることになる。実施形態1では、磁石120と、移動機構130と、検出部140とが暗室340内に配置されている。これにより、チャンバ216における反応過程で生じる光が極めて微弱であっても、外部から暗室340内に光が入らなくなるため、反応で生じる光を光検出器144aにより精度よく検出できるようになる。よって、被検物質の分析精度を高めることができる。
また、上記のように、モータ171は、暗室340の外部に配置されている。ここで、モータ171は、カートリッジ200を回転させる際に励磁され、熱を発する。しかしながら、上記のように、熱源であるモータ171が密閉空間である暗室340の外部に配置されると、モータ171の熱によって暗室340の内部の温度が不安定になることを抑止できる。これにより、カートリッジ200の温度を所望の温度に維持できる。よって、カートリッジ200内の検体と試薬とを安定的に反応させることができる。
図10(a)〜(c)に示すように、押圧部195は、設置部材361と、モータ362と、伝達ギア363a、363b、363cと、ネジ364と、移動部材365と、ピン部材366と、ローラ367と、バネ368と、を備える。図10(a)〜(c)において、D1方向は、X軸正方向をZ軸を中心として時計回りに45°回転させた方向である。D2方向は、Y軸正方向をZ軸を中心として反時計回りに45°回転させた方向である。D3方向は、X軸正方向をZ軸を中心として反時計回りに45°回転させた方向である。D3方向は、径方向において外側に向かう方向である。図10(b)、(c)は、図10(a)に示す断面C1−C2をD3方向に見た側面図である。
図10(b)に示すように、設置部材361は、蓋部102の設置部材180の上面に設置されている。図10(a)に示すように、モータ362は、設置部材361に設置されている。モータ362は、ステッピングモータにより構成される。伝達ギア363a、363b、363cとネジ364は、D1、D2方向を回転の中心として回転可能となるよう、設置部材361に支持されている。伝達ギア363a、363bは、互いに噛み合っており、伝達ギア363b、363cは、互いに噛み合っている。モータ362の駆動軸362aは、伝達ギア363aに接続されており、ネジ364は、伝達ギア363cに接続されている。移動部材365は、ネジ364の回転に応じて、D1、D2方向に移動するようネジ364に支持されている。図10(b)に示すように、移動部材365の下面側には、水平面に対して傾斜した平面からなるカム部365aが形成されている。
図10(a)、(b)に示すように、設置部材361には、円柱形状の孔361aが形成されている。図10(b)に示すように、ピン部材366は、胴部366aと、胴部366aの上端に形成された鍔部366bと、胴部366aの下端に形成された先端部366cと、を備える。胴部366aの形状は、Z軸方向に延びた円柱形状である。鍔部366bの形状は、胴部366aよりも径が大きく、孔361aの径とほぼ同じ円柱形状である。先端部366cの形状は、胴部366aよりも径が小さい円柱形状である。胴部366aは、孔361aの底面に設けられた孔と、この孔に対応するよう設けられた設置部材180、ヒータ322、および板部材191を貫通する孔とに通されている。
ローラ367は、ピン部材366の上部に回転可能となるよう設置されている。ローラ367の形状は、円柱形状である。バネ368は、鍔部366bの下面と、孔361aの底面との間に設置されており、ピン部材366を鉛直上方向に押し上げる。
このように押圧部195が構成されると、モータ362の駆動に応じて、駆動力が伝達ギア363a、363b、363cとネジ364に伝達される。これにより、移動部材365が、D1、D2方向に移動する。図10(b)の状態から、移動部材365がD1方向に移動されると、カム部365aが、ローラ367に接触し、ローラ367を下方向に押し下げる。これにより、図10(c)に示すように、ピン部材366が下方向に移動する。図10(c)の状態から、移動部材365がD2方向に移動されると、カム部365aがローラ367から離れ、バネ368がピン部材366を上方向に押し上げる。これにより、ピン部材366の位置が、図10(b)に示す状態に戻される。
封止体231aを開栓する場合には、図10(b)に示すようにピン部材366が上方に位置付けられた状態で、支持部材177によりカートリッジ200が回転され、封止体231aが、先端部366cの真下に位置付けられる。先端部366cの真下は、押圧部195が封止体231aを開栓する位置である。そして、モータ362が駆動され、図10(c)に示すようにピン部材366が下方向に移動される。これにより、先端部366cの真下に位置付けられた封止体231aが、先端部366cにより上から押圧され、封止体231aが開栓される。封止体232aを開栓する場合も、封止体232aが先端部366cの真下に位置付けられ、封止体231aと同様、押圧部195による開栓の処理が行われる。
このように、押圧部195による封止体231a、232aの開栓処理は、封止体231a、232aが先端部366cにより押圧されることにより行われる。開栓処理の際、封止体231a、232aは、先端部366cにより、たとえば10Nの力で上から押圧される。このように強い力がカートリッジ200に加えられると、カートリッジ200の位置ずれや意図しない撓みなどが生じるおそれがある。したがって、位置ずれや撓みを抑制するために、図11(a)に示すように、カートリッジ200は、封止体231aの位置において支持部材177により下方から支持される。
図11(a)は、支持部材177を上側から見た図である。図11(a)には、支持部材177に設置されたカートリッジ200が、便宜上、破線で示されている。また、図8に示す板部材176に設けられた孔を介して、カートリッジ200の下面に直接的に対向する移動機構130と検出部140の部分が、便宜上、破線で示されている。また、回転軸311と、ピン部材366の先端部366cとが、便宜上、破線で示されている。
図11(a)に示すように、回転軸311から先端部366cまでの水平面内における距離は、r1である。言い換えれば、r1は、回転軸311から、カートリッジ200が押圧部195から押圧される位置まで至る距離である。支持部材177は、カートリッジ200を挟んで押圧部195と対向する位置に設けられている。具体的には、支持部材177は、少なくとも距離r1より大きい半径r2を有するターンテーブルであり、回転軸311側から、押圧部195と対向する位置まで設けられている。
これにより、封止体231a、232aが開栓される際に、押圧部195が封止体231a、232aを押圧し、カートリッジ200に押圧力が加えられても、支持部材177が土台となってカートリッジ200を支えることになる。したがって、開栓時にカートリッジ200に位置ずれや破損が生じたりすることがなく、カートリッジ200は所定の位置に適正に支持される。よって、開栓動作によって測定精度が低下することが抑制される。
なお、図11(a)に示すように、支持部材177の半径r2は、上側から見て、支持部材177が、カートリッジ200の下面に直接的に対向する移動機構130と検出部140の部分に重ならないように設定される。これにより、カートリッジ200が支持部材177に設置された状態で、カートリッジ200に磁石120がアクセス可能になるため、一のチャンバ内で磁石120により集められた磁性粒子を、他のチャンバへと円滑に移送できる。また、カートリッジ200からの光が支持部材177により妨げられることがないため、検出部140による検出を適切に行うことができる。
支持部材177の半径r2は、カートリッジ200の下面に対向する移動機構130と検出部140の部分に重ならない範囲で大きい値に設定されると、より安定的にカートリッジ200を支持できる。ただし、支持部材177の半径r2が大きくなると、支持部材177を回転させるモータ171の負荷が大きくなる。この場合、モータ171の回転時間を長くしたり、回転速度を頻繁に切り替えたりすると、モータ171が故障したり、モータ171の発熱量が増大したりするおそれがある。したがって、支持部材177の半径r2は、支持部材177が押圧部195からの押圧力を受ける位置をカバーする範囲で、なるべく小さい値に設定されるのが望ましい。
なお、このように、支持部材177の半径r2がなるべく小さい値に設定されたとしても、支持部材が単にカートリッジ200を支持するだけの場合に比べて、支持部材177の面積と重量が増加する。この場合、支持部材177を駆動するモータ171が大型化し、モータ171の発熱量が増加する。しかしながら、上述したようにモータ171は暗室340の外部に配置されるため、モータ171の発熱が増大する場合でも、暗室340内部の温度が不安定になることを抑制でき、測定を適切に進めることができる。
図11(b)に示すように、支持部材177の最外周部分の半径が、カートリッジ200の半径とほぼ同じ値に設定されてもよい。この場合、支持部材177には、たとえば、Z軸方向に支持部材177を貫通する3つの孔177aが設けられる。3つの孔177aの内側方向には、図11(a)と同様、半径r2の内周部177bが設けられる。隣り合う2つの孔177aの間には、径方向に接続部177cが設けられる。3つの接続部177cにより、支持部材177の最外周に位置する外周部177dが支持される。
ここで、上方に開放された移動機構130と検出部140の部分が、孔177aを介してカートリッジ200の下面に直接的に対向できるよう、孔177aの大きさが設定される。また、カートリッジ200が支持部材177に設置される際に、チャンバ211〜216とチャネル220が支持部材177に重ならないように、孔177aの大きさが設定される。
図11(b)に示すように支持部材177が構成されると、図11(a)の場合と同様、内周部177bにより封止体231a、232aの下方に位置するカートリッジ200の下面を支持できる。また、図11(b)の場合、カートリッジ200の外周付近が外周部177dにより支持されるため、図11(a)と比較して、安定的にカートリッジ200を支持できる。
なお、カートリッジ200が支持部材177上の決められた位置に設置される場合には、図11(a)に示す支持部材177の形状や、図11(b)に示す内周部177bと外周部177dの形状は、必ずしも円形状でなくてもよい。
図12(a)、(b)に示すように、本体部101の筐体101aの背面には、換気部350が設置されている。換気部350は、ファンにより構成される。換気部350は、収容体150の外側面154に設置されたモータ171により生じた熱を分析装置100の外部に放出させる。本体部101の筐体101aの底面は、足部により所定の間隔だけ設置面から離れている。筐体101aの前方の底面には、換気口101bが設けられている。換気部350が駆動されることにより、白抜きの矢印に示すように、換気口101bから取り込まれた空気が、モータ171を通り分析装置100の後方に排出される。なお、白抜きの矢印とは逆の方向に、換気部350の位置で外側から取り込まれた空気が、モータ171を通り換気口101bから排出されてもよい。
平面視において、すなわち鉛直方向に見て、本体部101の輪郭は矩形形状であり、モータ171の輪郭も矩形形状である。そして、モータ171の角と、本体部101の角とが、平面視において互いにずれるように、モータ171が本体部101内に配置されている。また、平面視において、モータ171と本体部101の角との間の隙間に、光検出器144aを含む検出部140が配置されている。同様に、平面視において、モータ171と本体部101の他の角との間の隙間に、磁石120および移動機構130が配置されている。これにより、平面視における本体部101の形状をコンパクトにできるため、分析装置100を小型化できる。
収容体150には、暗室340内に配置される部材を収容するための収容部152、153が形成されている。収容部152、153は、モータ171側の外側面を突出させた形状を有している。モータ171は、収容部152との間に隙間を空けて収容部152の側方に配置されており、収容部153との間に隙間を空けて収容部153の側方に配置されている。すなわち、モータ171は、外側面154に配置されている。このように収容部152、153の側方にモータ171を配置することで、分析装置100が高さ方向に大きくなることを回避できる。また、収容部152とモータ171との間に隙間があり、収容部153とモータ171との間に隙間があるため、この隙間において、図12(a)、(b)に示すように空気を対流させることができる。よって、モータ171の熱を効果的に除去できる。
収容部152、153が、互いに隙間を空けて収容体150に形成されている。モータ171は、収容部152と収容部153に挟まれるように配置されている。そして、換気部350は、収容部152、153の間の隙間に対向するように配置されている。これにより、収容部152、153の隙間を介して、モータ171の周囲に空気が通りやすくなるため、モータ171の熱を効果的に除去できる。
換気部350は、モータ171と同じ高さの位置に、モータ171に対向するように配置されている。これにより、モータ171の周囲の空気を、分析装置100の外部に導きやすくなるため、モータ171で生じた熱を効率的に排熱できる。また、上述したようにモータ171が暗室340の外部に配置され、換気部350も暗室340の外部に配置されている。これにより、暗室340を形成する遮光部による遮光性を阻害することなく、暗室340内の温度の上昇を効果的に抑制できる。
また、実施形態1では、後述する制御部301は、分析の開始指示を受け付けると、ヒータ321、322を駆動してカートリッジ200の温度を上昇させる。このとき、制御部301は、温度センサ178が検出したカートリッジ200の温度に基づいて、換気部350の動作を制御する。たとえば、制御部301は、カートリッジ200の温度が40℃に満たない場合には、換気部350を停止状態とし、カートリッジ200の温度が40℃を越えると、換気部350を駆動させる。こうすると、分析の開始指示が受け付けられた直後から換気部350が駆動される場合に比べて、カートリッジ200の温度が42℃に収束するまでの時間を短くでき、換気部350およびヒータ321、322の消費電力を抑制できる。
図13に示すように、分析装置100は、上述したように、モータ135、136、161、171と、エンコーダ172と、ヒータ321、322と、温度センサ331、332、178と、光検出ユニット144と、換気部350と、撮像部193と、照明部194と、押圧部195と、を備える。また、分析装置100は、制御部301と、表示部302と、入力部303と、駆動部304と、センサ部305と、を備える。
制御部301は、たとえば、演算処理部と記憶部を含む。演算処理部は、たとえば、CPU、MPUなどにより構成される。記憶部は、たとえば、フラッシュメモリ、ハードディスクなどにより構成される。制御部301は、分析装置100の各部から信号を受信し、分析装置100の各部を制御する。表示部302と入力部303は、たとえば、本体部101の側面部分や、蓋部102の上面部分などに設けられる。表示部302は、たとえば、液晶パネルなどにより構成される。入力部303は、たとえば、ボタンやタッチパネルなどにより構成される。駆動部304は、分析装置100内に配された他の機構を含む。センサ部305は、回転するカートリッジ200の所定の部位を検出するためのセンサと、モータ135、136、161によって原点位置に移動された機構を検出するためのセンサと、分析装置100内に配された他のセンサを含む。
次に、図14を参照して、分析装置100の動作について説明する。
まず、オペレータは、被検者から採取された血液検体を開口241から注入し、カートリッジ200を支持部材177に設置する。血液検体中の被検物質は、たとえば、抗原を含む。一例として、抗原は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)である。被検物質は、抗原、抗体、または、その他のタンパク質のうち、1または複数であってもよい。
カートリッジ200の液体収容部231、232およびチャンバ211には、あらかじめ所定の試薬が収容されている。具体的には、チャンバ211の径方向に位置する液体収容部231には、R1試薬が収容されている。チャンバ211には、R2試薬が収容されている。チャンバ212の径方向に位置する液体収容部231には、R3試薬が収容されている。チャンバ213〜215の径方向に位置する液体収容部231には、洗浄液が収容されている。チャンバ216の径方向に位置する液体収容部231には、R4試薬が収容されている。液体収容部232には、R5試薬が収容されている。
以下の制御において、制御部301は、モータ171に接続されたエンコーダ172の出力信号に基づいて、モータ171の駆動軸171aの回転位置を取得する。制御部301は、回転するカートリッジ200の所定の部位をセンサにより検出することで、カートリッジ200の周方向の位置を取得する。あるいは、支持部材177に対して、カートリッジ200が決められた位置に設置されてもよい。これにより、制御部301は、カートリッジ200の各部を周方向の所定の位置に位置付けることが可能となる。
また、制御部301は、モータ135、136、161によって原点位置に移動された機構を検出するためのセンサの出力信号に基づいて、モータ135、136、161によって移動される各機構の位置を取得する。これにより、制御部301は、モータ135、136、161によって移動される機構、すなわち磁石120と板状部材162を、所定の位置に位置付けることが可能となる。
ステップS11において、制御部301は、入力部303を介してオペレータによる開始指示を受け付け、ステップS12以降の処理を開始させる。
ステップS12において、制御部301は、血漿と試薬をチャンバに移送する。具体的には、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、押圧部195を駆動して、押圧部195に対向する位置に位置付けられた6つの封止体231aを押し下げる。そして、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、遠心力により、領域243bに位置付けられた血漿をチャンバ211に移送し、6つの液体収容部231に収容された試薬をチャンバ211〜216に移送する。これにより、チャンバ211において、血漿と、R1試薬と、R2試薬とが混合される。チャンバ212には、R3試薬が移送され、チャンバ213〜315には、洗浄液が移送され、チャンバ216には、R4試薬が移送される。
さらに、ステップS12において、血漿と試薬の移送が終わると、制御部301は、攪拌処理を行う。具体的には、制御部301は、所定の方向に回転させながら、異なる2つの回転速度を所定の時間間隔で切り替えるよう、モータ171を駆動する。たとえば、制御部301は、モータ171に印加する電流を所定の時間間隔で切り替えることにより、または、モータ171の駆動を所定の時間間隔でオンとオフに切り替えることにより、攪拌処理を行う。これにより、周方向に発生するオイラー力が所定の時間間隔で変化することで、チャンバ211〜216内の液体が攪拌される。このような攪拌処理は、ステップS12だけでなく、ステップS13〜S18においても移送処理後に同様に行われる。
なお、制御部301は、所定の時間間隔でモータ171の回転方向を切り替えることにより、攪拌処理を行ってもよい。ただし、このようにモータ171が駆動されると、モータ171の負荷が大きくなる。したがって、上記のように、所定の方向に回転させながら、2つの回転速度を切り替えるようモータ171が駆動されるのが望ましい。
ここで、R1試薬は、被検物質と結合する捕捉物質を含む。捕捉物質は、たとえば、被検物質と結合する抗体を含む。抗体は、たとえば、ビオチン結合HBsモノクローナル抗体である。R2試薬は、磁性粒子を液体成分中に含む。磁性粒子は、たとえば、表面がアビジンでコーティングされたストレプトアビジン結合磁性粒子である。ステップS12において、血漿と、R1試薬と、R2試薬とが混合され、攪拌処理が行われると、被検物質とR1試薬は、抗原抗体反応により結合する。そして、抗原−抗体反応体と磁性粒子との反応により、R1試薬の捕捉物質と結合した被検物質が、捕捉物質を介して磁性粒子と結合する。こうして、被検物質と磁性粒子とが結合した状態の複合体が生成される。
次に、ステップS13において、制御部301は、チャンバ211内の複合体を、チャンバ211からチャンバ212へ移送する。これにより、チャンバ212において、チャンバ211で生成された複合体と、R3試薬とが混合される。ここで、R3試薬は、標識物質を含む。標識物質は、被検物質と特異的に結合する捕捉物質と、標識とを含む。たとえば、標識物質は、捕捉物質として抗体が用いられた標識抗体である。ステップS13において、チャンバ211で生成された複合体と、R3試薬とが混合され、攪拌処理が行われると、チャンバ211で生成された複合体と、R3試薬に含まれる標識抗体とが反応する。これにより、被検物質と、捕捉抗体と、磁性粒子と、標識抗体とが結合した複合体が生成される。
ここで、ステップS13の処理について、図15を参照して詳細に説明する。図15のフローチャートは、図14のステップS13を詳細に示すフローチャートである。以下の説明では、図15を主として参照し、図16(a)〜図17(c)の状態遷移図を適宜参照する。
ステップS12の処理が終わった時点では、図16(a)に示すように、チャンバ211内で複合体が広がっている。ステップS101において、制御部301は、移動機構130を駆動して、磁石120をカートリッジ200に近付けて、図16(b)に示すように、チャンバ211内に広がる複合体を集める。このとき、制御部301は、水平面内において、磁石120の先端部122aを、チャンバ211の周方向の中央、かつ、チャンバ211の径方向の外側寄りの領域に接近させる。
実施形態1では、チャンバ211に収容される複合体を含む混合液は、チャンバ211の全容量に満たない量である。チャンバ211に収容される混合液が全容量に満たないと、チャンバ211内において混合液の存在する領域にバラつきが生じることが想定される。しかしながら、上述したように、チャンバ211において、被検物質と、R1試薬と、R2試薬とが混合された後、攪拌処理によりチャンバ211に遠心力が付与されると、混合液は、チャンバ211内において常に外側に偏った状態とされる。したがって、チャンバ211内の複合体を磁石120で集める場合に、磁石120の先端部122aを、チャンバ211内で偏った混合液の収容領域、すなわちチャンバ211の外側寄りの領域に位置付ければ、チャンバ211内の混合液中の複合体を確実に磁石120の位置に集めることができる。
なお、チャンバ212〜215に収容される複合体を含む混合液も、それぞれ、チャンバ212〜215の全容量に満たない量である。したがって、チャンバ211の場合と同様に、磁石120を外側よりの領域に位置付ければ、チャンバ212〜215内の混合液中の複合体を確実に磁石120の位置に集めることができる。
ステップS102において、制御部301は、移動機構130を駆動して、回転軸311に近付く方向に磁石120を移動させて、図16(c)に示すように、チャンバ211に繋がる領域222と、領域221との接続部へ複合体を移送する。ステップS102において複合体をカートリッジ200に対して移動させる速度は、複合体がチャンバ211に取り残されないよう、10mm/秒以下とするのが望ましい。具体的には、たとえば0.5mm/秒とされる。移動機構130による磁石120の移動は、上記のような複合体の移動速度を実現できるように行われる。
ステップS103において、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させて、図17(a)に示すように、チャンバ212に繋がる領域222と、領域221との接続部へ複合体を移送する。ステップS103において複合体をカートリッジ200に対して移動させる速度も、ステップS102の場合と同様に設定される。モータ171によるカートリッジ200の回転は、上記のような複合体の移動速度を実現できるように行われる。
ステップS104において、制御部301は、移動機構130を駆動して、回転軸311から離れる方向に磁石120を移動させて、図17(b)に示すように、チャンバ212へ複合体を移送する。ステップS104において複合体をカートリッジ200に対して移動させる速度は、ステップS102と同様に設定される。ステップS105において、制御部301は、移動機構130を駆動して、磁石120をカートリッジ200から遠ざけて、図17(c)に示すように、チャンバ212内に複合体を広がらせる。
以上のように、ステップS101〜S105において、制御部301は、チャンバ211に対向する位置において磁石120をカートリッジ200に接近させた後、磁石120をカートリッジ200に接近させたまま、磁石120をチャネル220に沿って移動させて、チャンバ212に対向する位置に磁石120を位置付ける。その後、制御部301は、磁石120をカートリッジ200から離間させて、磁石120による複合体の集磁を解除する。これにより、複合体がチャンバ211とチャネル220に取り残されることを、確実に防ぐことができる。
ステップS106において、制御部301は、上述した攪拌処理を行う。このとき、攪拌処理の前に複合体の集磁が解除され、複合体がチャンバ212内で広がっているため、チャンバ212内の液体の攪拌が確実に行われる。
以上のようにして、図14のステップS13の処理が行われる。なお、ステップS101〜S106に示す移送処理および攪拌処理は、後述するステップS14〜S17においても、同様に行われる。
図14に戻り、ステップS14において、制御部301は、チャンバ212内の複合体を、チャンバ212からチャンバ213へ移送する。これにより、チャンバ213において、チャンバ212で生成された複合体と、洗浄液とが混合される。ステップS14において、チャンバ212で生成された複合体と、洗浄液とが混合され、攪拌処理が行われると、チャンバ213内で複合体と未反応物質とが分離される。すなわち、チャンバ213では、洗浄により未反応物質が除去される。
ステップS15において、制御部301は、チャンバ213内の複合体を、チャンバ213からチャンバ214へ移送する。これにより、チャンバ214において、チャンバ212で生成された複合体と、洗浄液とが混合される。チャンバ214においても、洗浄により未反応物質が除去される。
ステップS16において、制御部301は、チャンバ214内の複合体を、チャンバ214からチャンバ215へ移送する。これにより、チャンバ215において、チャンバ212で生成された複合体と、洗浄液とが混合される。チャンバ215においても、洗浄により未反応物質が除去される。
ステップS17において、制御部301は、チャンバ215内の複合体を、チャンバ215からチャンバ216へ移送する。これにより、チャンバ216において、チャンバ212で生成された複合体と、R4試薬とが混合される。ここで、R4試薬は、チャンバ212で生成された複合体を分散させるための試薬である。R4試薬は、たとえば緩衝液である。ステップS17において、チャンバ212で生成された複合体と、R4試薬とが混合され、攪拌処理が行われると、チャンバ212で生成された複合体が分散される。
ステップS18において、制御部301は、R5試薬をチャンバ216に移送する。具体的には、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、押圧部195を駆動して、押圧部195に対向する位置に位置付けられた封止体232aを押し下げる。そして、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、遠心力により、液体収容部232に収容されたR5試薬をチャンバ216に移送する。これにより、チャンバ216において、ステップS17で生成された混合液に、さらにR5試薬が混合される。
ここで、R5試薬は、複合体に結合された標識抗体との反応により光を生じる発光基質を含む発光試薬である。ステップS18において、ステップS17で生成された混合液と、R5試薬とが混合され、攪拌処理が行われると、試料が調製される。この試料は、複合体に結合された標識物質と、発光基質とが反応することにより、化学発光する。
ステップS19において、制御部301は、モータ171を駆動して、チャンバ216を光検出器144aの真上に位置付け、チャンバ216から生じる光を、光検出器144aにより検出する。ステップS20において、制御部301は、光検出器144aにより検出した光に基づいて、免疫に関する分析処理を行う。光検出器144aが光電子増倍管で構成される場合、光子の受光に応じたパルス波形が光検出器144aから出力される。光検出ユニット144は、光検出器144aの出力信号に基づいて、一定間隔でフォトンを計数し、カウント値を出力する。制御部301は、光検出ユニット144から出力されたカウント値に基づいて、被検物質の有無および量などを分析し、分析結果を表示部302に表示させる。
以上のように、複合体は、チャンバ211〜216において順番に移送される。このように複数のチャンバを介して複合体が移送されると、複合体がチャンバ211〜215およびチャネル220において取り残されやすくなる。しかしながら、上記のように磁石120を用いて確実に複合体が移送されると、複合体の取り残しを確実に防止できる。これにより、光検出器144aにより検出される光量の意図しない低下を抑制できる。よって、意図しない光量の低下による偽陰性を抑制できるため、高精度な検出を行うことができる。
なお、化学発光とは、化学反応によるエネルギーを利用して発せられる光であり、たとえば、化学反応により分子が励起されて励起状態になり、そこから基底状態に戻る時放出される光である。化学発光は、たとえば、酵素と基質との反応により生じさせたり、電気化学的刺激を標識物質に与えることにより生じさせたり、LOCI法(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)に基づいて生じさせたり、生物発光に基づいて生じさせたりすることができる。実施形態1では、いずれの化学発光が行われてもよい。
なお、磁性粒子としては、磁性を有する材料を基材として含み、通常の免疫測定に用いられる粒子であればよい。たとえば、基材としてFe2O3および/またはFe3O4、コバルト、ニッケル、フィライト、マグネタイトなどを用いた磁性粒子が利用できる。磁性粒子は、被検物質と結合するための結合物質がコーティングされていてもよいし、磁性粒子と被検物質とを結合させるための捕捉物質を介して被検物質と結合してもよい。捕捉物質は、磁性粒子および被検物質と相互に結合する抗原または抗体などである。
また、標識物質は、たとえば、被検物質と特異的に結合する捕捉物質と、化学発光のための標識とを含む。捕捉物質は、被検物質と特異的に結合すれば特に限定されない。実施形態1では、捕捉物質は、被検物質と抗原抗体反応により結合する。より具体的に、実施形態1では、捕捉物質は抗体であるが、被検物質が抗体である場合、捕捉物質は、その抗体の抗原であってもよい。また、被検物質が核酸である場合、捕捉物質は、被検物質と相補的な核酸であってもよい。標識物質に含まれる標識としては、たとえば、酵素、蛍光物質、放射性同位元素などが挙げられる。酵素としては、アルカリホスファターゼ(ALP)、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼなどが挙げられる。化学発光として、電気化学発光をする場合、標識としては、電気化学的刺激により発光する物質であれば特に限定されないが、たとえばルテニウム錯体が挙げられる。蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェリンなどが利用できる。放射性同位元素としては、125I、14C、32Pなどが利用できる。
また、標識が酵素である場合、酵素に対する発光基質は、用いる酵素に応じて適宜公知の発光基質を選択すればよい。たとえば、酵素としてアルカリホスファターゼを用いる場合の発光基質としては、CDP−Star(登録商標)、(4−クロロ−3−(メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリクシロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、CSPD(登録商標)(3−(4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)などの化学発光基質;p−ニトロフェニルホスフェート、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)などの発光基質;4−メチルウムベリフェニル・ホスフェート(4MUP)などの蛍光基質;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、5−ブロモ−6−クロロ−インドリルリン酸2ナトリウム、p−ニトロフェニルリンなどの発色基質などが利用できる。
<反射部材に関する検討>
発明者らは、反射部材142の作用効果ならびに好ましい設計条件について、種々の検討を行った。
まず、図18(a)、(b)に示す構成の反射部材142について、チャンバ216における試料の収容位置が変化した場合の、試料から生じる光の検出感度を検証した。図18(a)には、反射部材142付近を側面から透視した構成が示され、図18(b)には、反射部材142を上方から見た構成が示されている。図18(a)、(b)には、反射部材142の孔142bの部分のみが示されている。
図18(a)、(b)において、D1は、チャンバ216の底面からカートリッジ200の下面までの距離である。D2は、カートリッジ200の下面から反射部材142の上面、すなわち反射部材142の第1開口142cまでの距離である。D3は、第1開口142cから第2開口142dまでの距離である。φ1は、第1開口142cの直径、φ2は、第2開口142dの直径である。距離D2の隙間は、NDフィルタを挟むためのものである。この検証では、NDフィルタが、第1開口142cのカートリッジ200側において挿脱される。
第1開口142cは、カートリッジ200を支持する支持部材177の支持面を含む平面から離れた位置にある。これにより、距離D2の隙間が生じている。このように隙間を設けることにより、反射部材142に接触することなくカートリッジ200を回転させ得る。
図18(a)、(b)に示すように、本検証で用いた反射部材142は、共に円形の第1開口142cと第2開口142dを円錐形状の内側面142fで繋いだ構成である。第1開口142cと第2開口142dは、互いに同軸に配置されている。内側面142fは、軸対称な形状である。第2開口142dと光検出器144aの検出面S1との間には、隙間がない。
本検証は、以下の設計条件で行った。
D1=1.89mm
D2=0.7mm
D3=15.2mm
φ1=16.2mm
φ2=9.0mm
この設計条件では、第1開口142cの中心と第2開口142dの中心とを結ぶ軸L0に対する内側面142fの傾斜角は、13.3°である。
チャンバ216は、平面視において円形であった。チャンバ216の直径は9.3mmであった。チャンバ216の中心と軸L0とが一致するようにカートリッジ200を配置した。
光検出器144aとして、光電子増倍管を用いた。光検出器144aの検出面S1は、平面視において円形であった。検出面S1の直径は8.0mmであった。検出面S1の中心と軸L0とが一致するように光検出器144aを配置した。
図19(a)に示すように、被検物質を含む試料S0がチャンバ216の中心に位置付けられている場合、放射角A0の範囲の光が、反射部材142内に取り込まれる。この場合、取り込まれた光の一部は、図19(b)に示すように、直接または内側面142fで反射された後に、検出面S1に到達する。また、取り込まれた光の一部は、内側面142fで1回または複数回反射することにより、検出面S1に到達する前に、第1開口142cに向かう方向に指向されて、第1開口142cから外部へと導かれる。たとえば、位置P1で反射された光は検出面S1に到達し、位置P2、P3で反射された光は、検出面S1に到達せずに、第1開口142cから外部へと導かれる。
図20(a)に示すように、被検物質を含む試料S0がチャンバ216の端に位置付けられている場合、放射角A1の範囲の光が、反射部材142内に取り込まれる。放射角A1は、図19(a)の場合の放射角A0よりも小さくなる。このため、試料S0がチャンバ216の端に位置付けられている場合は、反射部材142に取り込まれる光の光量が、試料S0がチャンバ216の中央に位置付けられている場合に比べて減少する。
この場合、取り込まれた光の一部は、図20(b)に示すように、直接または内側面142fで反射された後に、検出面S1に到達する。また、取り込まれた光の一部は、内側面142fで1回または複数回反射することにより、検出面S1に到達する前に、第1開口142cに向かう方向に指向されて、第1開口142cから外部へと導かれる。
この場合、位置P1で反射された光は、図19(b)の場合と同様に、検出面S1に到達する。また、位置P2で反射された光は、図19(b)の場合と同様、検出面S1に到達せずに、第1開口142cから外部へと導かれる。しかし、位置P3で反射された光は、図19(b)の場合と異なり、検出面S1に到達する。このように、試料S0がチャンバ216の端に位置付けられている場合は、試料S0がチャンバ216の中央に位置する場合に比べて、反射部材142に取り込まれる光の光量が減少するものの、第1開口142cから外部に導かれる光の光量が減少する。これにより、試料S0がチャンバ216の中央に位置する場合とチャンバ216の端に位置する場合とで、検出面S1に到達する光の光量の差が抑制される。
上記の設計条件は、試料がチャンバ216内のどの位置に位置付けられても、検出面S1に到達する光の光量が略同様となるように調整されている。
本検証では、上記設計条件に基づいて、チャンバ216、反射部材142および検出面S1を調整した上で、実際にチャンバ216内で被検物質の複合体に対する化学発光反応を生じさせ、光検出器144aからの出力に基づき検出面S1に到達した光子の数を測定した。
図21に測定結果を示す。左側の列は、図18(a)の距離D2の隙間にNDフィルタを挟まなかった場合の測定結果を示し、中央の列と右側の列は、それぞれ、図18(a)の距離D2の隙間に、透過率10%のNDフィルタと透過率1%のNDフィルタを挟んだ場合の測定結果を示している。
各写真は、測定時のチャンバ216の状態を撮像したものである。チャンバ216の全容量に満たない試薬がチャンバ216に収容されている。このため、チャンバ216には空気が含まれる。左側の列の各写真に付記された矢印は、空気の領域を指し示している。各写真の下に付記された数字は、一定時間内に光検出器144aからの出力に基づいて計数された光子の数を示している。同じ列に含まれる測定結果は、同じ試料について得られたものである。
図21に示すように、各列の測定結果は、空気の位置、すなわち、チャンバ216における試料の位置に拘わらず、略同様の値となっている。この測定結果から、上記のように設計条件を設定することにより、チャンバ216において試料の位置が種々変化し、発光領域の位置が変化しても、光検出器144aに入射する光の光量すなわち光子の数を略均等にでき、光検出器144aにおける検出感度を略一定にできることが確認できた。
次に、上記設計条件に従う反射部材142を用いて測定を行った場合と、チャンバ216から生じた光をレンズで光検出器144aの検出面S1に集光させて測定を行った場合とで、測定結果がどのように変化するかを検証した。ここでは、直径が6mmのチャンバ216が形成されたカートリッジ200と、直径が10mmのチャンバ216が形成されたカートリッジ200の2種類のカートリッジを用いた。2種類のチャンバ216は、何れも50μLの液量を収容するように深さを調整した。レンズの有効径は16.0mm、チャンバ216底面とレンズとの距離は14.73mmであった。
各カートリッジを用いて、同一検体について、各チャンバ内で被検物質の複合体と試薬を混合して化学発光反応を生じさせた。各チャンバ216に収容する液量は何れも50μLとした。各チャンバ216において生じた光を、各測定系でそれぞれ3回ずつ、一定期間に検出面S1で受光した光子の数を計数した。
表2に示すように、レンズを用いた場合は、チャンバ216の径に応じて測定結果が異なっている。このため、レンズを用いた場合には、測定の際に試料の領域が変位すると、光検出器144aにおける検出感度が変化することが起こり得る。これに対し、反射部材142を用いた場合は、表1に示すように、チャンバ216の径が変化しても測定結果が略同じとなっている。このため、チャンバ216を用いた場合には、測定の際に試料の領域が変位しても、光検出器144aにおける検出感度を略一定にできることが確認できた。
次に、図22(a)に示す構成の反射部材142について、チャンバ216が所定の検出位置からずれた場合の、試料から生じる光の検出感度を検証した。
図22(a)において、D4は、チャンバ216の底面から反射部材142の上面、すなわち反射部材142の第1開口142cまでの距離である。D5は、第1開口142cから第2開口142dまでの距離である。D6は、第2開口142dと光検出器144aの検出面S1との間の距離である。距離D6の隙間は、NDフィルタを挟むためのものである。この検証では、NDフィルタが、第2開口142dの光検出器144a側において挿脱されることが想定されている。なお、検証は、距離D6の隙間にNDフィルタを挟まない状態で行った。
本検証で用いた反射部材142は、上記検証と同様、共に円形の第1開口142cと第2開口142dを円錐形状の内側面142fで繋いだ構成である。第1開口142cと第2開口142dは、互いに同軸に配置されている。内側面142fは、軸対称な形状である。
本検証は、以下の設計条件で行った。
D4=4.5mm
D5=7.5mm
D6=2.8mm
φ1=11.86mm
φ2=9.84mm
φ1は、第1開口142cの直径、φ2は、第2開口142dの直径である。この設計条件では、第1開口142cの中心と第2開口142dの中心とを結ぶ軸L0に対する内側面142fの傾斜角は、7.74°である。
チャンバ216は、平面視において円形であった。チャンバ216の直径は7.6mmであった。チャンバ216の中心と軸L0とが一致するようにカートリッジ200を配置した。
光検出器144aとして、光電子増倍管を用いた。光検出器144aの検出面S1は、平面視において円形であった。検出面S1の直径は8.0mmであった。検出面S1の中心と軸L0とが一致するように光検出器144aを配置した。
本検証では、カートリッジ200を回転させてチャンバ216を光検出器144aに対向する検出位置に位置付けた。図22(b)に模式的に示すように、モータ171の制動誤差によって、チャンバ216の停止位置に距離D8のギャップが生じた。距離D8は、1.02mmであった。回転位置A、Bに位置付けられたチャンバ216に対して、それぞれ2回ずつ、一定期間に光検出面S1で受光した光子の数を計数した。測定結果は、下表のとおりであった。
表3に示すように、測定結果は、回転位置に拘わらず、略同様の値となっている。この測定結果から、上記のように設計条件を設定することにより、モータ171の制動誤差によりチャンバ216の位置が種々変化しても、光検出器144aに入射する光の光量すなわち光子の数を略均等にでき、光検出器144aにおける検出感度を略一定にできることが確認できた。
以上の検証により、実施形態1の構成によれば、内側面142fの傾斜を調整することにより、被検物質の複合体に基づくチャンバ216内の発光領域が、光検出器144aの検出面S1に対向する検出位置がずれた場合も、発光領域が検出位置に位置付けられた場合と同様の検出感度を得られることが確認できた。
実施形態1では、モータ171および支持部材177を含む回転機構によって、カートリッジ200が回転されて、チャンバ216が、第1開口142cに対向する検出位置に位置付けられる。このため、モータ171の制動誤差等によって、チャンバ216が検出位置からずれることが起こり得る。上記表3の検証結果で示したように、このようにモータ171の制動誤差等によってチャンバ216が検出位置からずれた場合も、発光領域が検出位置に位置付けられた場合と同様の検出感度を得られることが確認できた。
実施形態1では、チャンバ216の全容量に満たない量の試料が収容されて、被検物質に結合した標識物質と発光基質との間で化学発光反応が生じる。このように、チャンバ216に収容される試料の液量が少ないため、チャンバ216における試料の収容領域すなわち発光領域が、図21に示すように様々に変化し得る。特に、実施形態1では、測定の前にカートリッジ200を回転させて、チャンバ216内の試料を攪拌させる工程が行われる。このため、チャンバ216における試料の収容領域すなわち発光領域が無作為に変化しやすい。実施形態1の構成によれば、図21の検証結果で示したように、このようにチャンバ216における試料の収容領域すなわち発光領域が様々な位置に変化した場合も、略同様の検出感度を得られることが確認できた。
実施形態1では、第1開口142cおよび第2開口142dが共に円形であり、内側面142fが軸対称な円錐形状であるため、第1開口142cの中心軸に対してどの方向に試料すなわち発光領域がずれても、反射部材142によって同様の光学作用が発光領域から生じる光に与えられる。よって、位置ずれの方向に関係なく略同様の検出感度が得られ得る。
上記各検証で示したとおり、第1開口142cは、光検出器144a側から見た場合に、検出位置に位置付けられたチャンバ216を含む大きさとなっている。このため、チャンバ216内で生じた光をより多く、反射部材142内に取り込むことができ、光検出器144aの出力を高めることができる。
次に、試料の位置に拘わらず検出感度を略一定に維持し得る設計条件について検討した。
この検討においても、反射部材142は、共に円形の第1開口142cと第2開口142dを円錐形状の内側面142fで繋いだ構成が想定されている。また、第1開口142cと第2開口142dは、互いに同軸に配置されている。内側面142fは、軸対称な形状である。
図23(a)に示すようにx軸、y軸を設定して、発光点R1から生じた放射角±α°の範囲の光のうち検出面S1で受光される光の光量をシミュレーションにより求めた。シミュレーションでは、x=−4の位置において、発光点R1を原点位置からy軸正方向に変位させて、各変位位置における検出面S1の受光光量を2次元解析により求めた。y軸正方向における発光点R1の最大変位量は5mmとした。
さらに、内側面142fの傾斜角βを変化させて、発光点R1を各変位位置に位置付けたときの、放射角±α°の範囲の光の検出面S1における受光光量を2次元解析により求めた。図23(b)に示すように、内側面142fを支点B1の位置で振ることによって、傾斜角βを変化させた。このため、傾斜角の変化に伴い、第1開口142cと第2開口142dの直径も変化した。支点B1は、検出面S1のy軸正側の座標位置(10.3,4.52933)に設定した。
本検証において、αは、89.5°とした。検出面S1の直径は、上記と同様、8mmとした。検出面S1と第2開口142dとの間には、NDフィルタを挿脱するための隙間を設けた。このため、内側面142fを通り抜けた光の一部は、検出面S1に到達せずに、検出面S1と第2開口142dとの間の隙間から外部に導かれる。シミュレーションでは、この点も考慮して、検出面S1の受光光量を求めた。
図24(a)〜図25(b)に測定結果を示す。各図において、横軸は発光点R1のy座標であり、縦軸は受光光量である。縦軸は任意単位で示されている。また、各図には、内側面142fの傾斜角βごとに、受光光量のシミュレーション結果がグラフで示されている。
図24(a)に示すように、傾斜角βが0°〜3°の場合、発光点R1の変位量が0であるときの受光光量は高いものの、発光点R1の変位に応じて受光光量が低下している。傾斜角βが5°、6°の場合、発光点R1の変位量が3mmを過ぎる辺りまでは、受光光量が略一定に維持されている。図24(b)に示すように、傾斜角βが7°〜14°の場合は、発光点R1の変位量が0であるときの受光光量はやや低下するものの、発光点R1が原点から4mm程度の範囲でずれても受光光量は略一定に維持されている。また、図25(a)に示すように、傾斜角βが16°〜28°の場合は、発光点R1が原点からずれても受光光量は略一定に維持されるものの、傾斜角βの増加に伴い、発光点R1の変位量が0であるときの受光光量が低下している。さらに、図25(b)に示すように、傾斜角βが30°〜60°の場合は、発光点R1の変位量が0であるときの受光光量がより一層低下する。なお、図25(b)では、複数の傾斜角に対する測定結果が互いに重なり合っているため、3つの傾斜角の測定結果のみが見える状態となっている。
図26(a)は、全ての傾斜角のグラフを統合したものであり、図26(b)は、原点に対する発光点R1の変位量が0であるときの受光光量と、受光光量が低下し始める発光点R1の原点に対するy軸正方向の変位位置とを、傾斜角ごとに示したグラフである。
図26(b)において、横軸は、内側面142fの傾斜角であり、右側の縦軸は、原点に対する発光点R1の変位量が0であるときの受光光量であり、左側の縦軸は、受光光量が低下し始める発光点R1の原点に対するy軸正方向の変位位置である。太線のグラフが、受光光量が低下し始める発光点R1の原点に対するy軸正方向の変位位置を示し、細線のグラフが、原点に対する発光点R1の変位量が0であるときの受光光量を示している。発光点R1の最大変位量が5mmであるため、太線のグラフの最大値は、5mmで飽和している。
カートリッジ200に配置された円形のチャンバ216が直径8mmである場合、チャンバ216における試料の収容位置は、チャンバ216の中央位置から最大4mm変位し得る。このため、このようなチャンバ216を備えたカートリッジ200を用いて測定を行う場合は、原点に対する発光点R1のずれ量が4mmの範囲内において、光検出器144aの受光光量が略一定であり、且つ、受光光量が高く維持されるように、内側面142fの傾斜角を設定することが好ましい。
図26(b)の検証結果によれば、傾斜角の範囲がW1の範囲において、原点に対する発光点R1のずれ量が略4mmの範囲内において受光光量が略一定であり、且つ、受光光量80a.u.以上に高く維持される。よって、この検証結果から、内側面142fの傾斜角βは、5°〜20°程度に設定することが好ましく、7°〜18°程度に設定することがさらに好ましいと言える。
なお、このように内側面142fの傾斜角βを設定すると、図24(a)、(b)を参照して分かるとおり、発光点R1がチャンバ216の端の位置すなわち原点から4mm変位した位置にある場合に検出面S1によって受光される受光光量が、発光点R1がチャンバ216の中央位置すなわち原点位置にある場合に検出面S1によって受光される受光光量の90〜100%に維持される。したがって、このように内側面142fの傾斜角βを設定すれば、複合体に基づく発光領域が第1開口142cの端方向にずれた位置にある場合に検出面S1によって受光される受光光量が、複合体に基づく発光領域が第1開口142cの中央位置にある場合に検出面S1によって受光される受光光量の90〜110%程度に維持される。よって、発光領域の位置ずれに基づく検出光量の変動を抑制でき、被検物質の分析精度を高めることができる。
また、内側面142fの傾斜角βが上記のように5°〜20°または7°〜18°の場合、図23(b)に示した傾斜角βの設定方法によると、第1開口142cの直径は10.9〜16.6mmまたは11.6〜15.8mmとなり、第2開口142dの直径は9.6〜11.1mmまたは9.8〜9.9mmとなる。この場合、第2開口142dの直径は、第1開口142cの直径の67〜88%または63〜85%である。よって、発光点R1に位置ずれが生じても受光光量が略一定となり、且つ、受光光量を高く維持するためには、第1開口142cの直径は10.9〜16.6mmであり、且つ、第1開口142cに対する第2開口142dの比率は67〜88%であることが好ましく、第1開口142cの直径は11.6〜15.8mmであり、且つ、第1開口142cに対する第2開口142dの比率は63〜85%であることがさらに好ましいと言える。
次に、第1開口142cから離れる方向に発光点R1をシフトさせた場合の光検出器144aにおける受光量の変化について検討した。設計条件は、図23(a)〜図26(b)のシミュレーションの場合と同様とした。図23(a)の設計条件において、第1開口142cに対する発光点R1のx軸負方向のシフト量を変化させて、図26(b)に示された各値をシミュレーションにより求めた。
シミュレーション結果を図27(a)〜図28(c)に示す。
図27(a)〜(c)は、それぞれ、シフト量が−1mm、−4mm、−8mmである場合のシミュレーション結果を示す図である。図28(a)〜(c)は、それぞれ、シフト量が−15mm、−20mm、−25mmである場合のシミュレーション結果を示す図である。
図28(c)を参照すると、受光光量が低下する発光点の位置が、内側面142fの傾斜角βの変化に伴って、大きく変化している。このことから、第1開口142cに対する発光点のシフト量が−25mmである場合は、傾斜角βの僅かな変化によって内側面142fの光学作用が大きく変化し、光検出器144aにおける受光感度が不安定になると考えられる。
図27(a)〜図28(b)を参照すると、第1開口142cに対する発光点のシフト量が−1mm、−4mm、−8mm、−15mm、−20mmである場合は、内側面142fの傾斜角βが変化しても、受光光量が低下する発光点の位置は、それほど変化することなく比較的安定している。このため、発光点のシフト量が−1mm、−4mm、−8mm、−15mm、−20mmである場合は、傾斜角βが設定値からやや変化しても、内側面142fの光学作用は略変化せず、光検出器144aにおける受光感度を安定させ得るものと考えられる。また、発光点のシフト量が−1mm、−4mm、−8mm、−15mm、−20mmである場合は、比較的高い受光光量を確保することもできる。
このことから、第1開口142cに対する発光点R1のシフト量は、1〜20mmの範囲であることが好ましい。よって、チャンバ216の底面と第1開口142cとの間の距離は、1〜20mmの範囲であることが好ましい。
<実施形態2>
実施形態2では、反射部材142に形成された内側面142fの形状が実施形態1と相違している。図29(a)に示すように、実施形態2では、内側面142fの形状が、第1開口142cの中心と第2開口142dの中心とを結ぶ軸L0に沿った断面において、軸L0とは反対側に凸の曲線部分を含んでいる。あるいは、図29(b)に示すように、内側面142fの形状が、第1開口142cの中心と第2開口142dの中心とを結ぶ軸L0に沿った断面において、軸L0側に凸の曲線部分を含んでいてもよい。
このように内側面142fの形状を曲線状に傾斜させて設計することにより、第1開口142cから取り込まれた光のうち内側面142fで反射されて第1開口142cから外部に導かれる光の光量を、より精緻に調整できる。よって、被検物質の複合体に基づくチャンバ216の発光領域が、光検出器144aの検出面S1に対向する検出位置から検出面S1に平行な方向にずれた場合の受光光量のばらつきを、より確実に抑制できると推定され得る。また、光検出器144aの検出面S1に導かれる光の光量を高め得ると推定され得る。
その反面、実施形態2では、内側面142fの加工が複雑となる。よって、簡易な加工で、発光領域の位置ずれに基づく受光光量のばらつきを効果的に抑制するためには、実施形態1のように、反射部材142に形成された内側面142fを、第1開口142cの中心と第2開口142dの中心とを結ぶ軸L0に沿った断面において、直線状に形成することが好ましい。
<実施形態3>
実施形態1では、図2(a)を参照して説明したように、蓋部102が開けられることにより、カートリッジ200が分析装置100に設置された。実施形態3では、図30(a)に示すように、筐体401の側面に設けられた孔を介して外部に移動するトレイ402にカートリッジ200が設置され、トレイ402が内部に移動することにより、分析装置400に対するカートリッジ200の設置が行われる。
トレイ402は、カートリッジ200の外側の端縁のみを支持する。トレイ402は、筐体401に引き込まれた後、Z軸負側に移動される。これにより、カートリッジ200が支持部材177に設置される。筐体401内部を暗室にするために、筐体401前面に設けられたトレイ402を挿脱させるための孔を筐体内部から塞ぐ構成が別途設けられる。その他の構成については、実施形態1の具体的構成例と同様である。
<実施形態4>
実施形態4では、図30(b)に示すように、支持部材177に代えて、支持部材510が配置され、カートリッジ200に代えて、カートリッジ520が用いられる。その他の構成については、実施形態1の具体的構成例と同様である。
支持部材510は、孔511と、3つの設置部512と、を備える。孔511は、支持部材510の中心に設けられている。支持部材510は、所定の部材を介して回転軸311に設置される。これにより、支持部材510は、回転軸311を中心として回転可能となる。設置部512は、周方向に3つ設けられている。設置部512は、面512aと孔512bを備える。面512aは、支持部材510の上面よりも一段低い面である。孔512bは、面512aの中央に形成されており、支持部材510を上下方向に貫通する。カートリッジ520は、矩形形状であり、カートリッジ200と同様の構成を有する。
分析を開始する場合、オペレータは、カートリッジ200の場合と同様に、血液検体をカートリッジ520に注入し、カートリッジ520を設置部512に設置する。そして、実施形態1と同様、制御部301は、モータ171と、移動機構130と、検出部140とを駆動する。これにより、実施形態1と同様に、カートリッジ520内の複合体の移送が磁石120により確実に行われる。よって、実施形態1と同様に、分析装置100による被検物質の分析精度を高く維持できる。また、実施形態3では、3つの設置部512に、それぞれカートリッジ520を設置できるため、3つのカートリッジ520に対して同時に分析を行うことができる。
<実施形態5>
実施形態1では、図2(b)に示すように、チャンバ211〜216の形状は、円形状とされた。これに対し、実施形態5では、チャンバ211〜216の形状は、図31(a)に示す形状とされる。その他の構成については、実施形態1の具体的構成例と同様である。
図31(b)、(c)は、図31(a)に示すチャンバ213を拡大した図である。図31(a)〜(c)において、チャンバ213のX軸正側に、カートリッジ200の孔201が位置する。すなわち、チャンバ213のX軸正側に、回転軸311が位置する。なお、チャンバ211、212、214〜216の構成は、チャンバ213と同様であるため、ここではチャンバ213の構成および効果のみを説明する。
図31(b)に示すように、チャンバ213は、回転軸311の径の延長線に対して対称な形状である。チャンバ213は、回転軸311側においてチャネル220に連結されている。また、チャンバ213は、チャネル220との連結位置213aを挟む両側に、回転軸311側に突出した突部213bを備える。言い換えれば、チャンバ213は、連結位置213aのY軸正側とY軸負側に、それぞれX軸方向に突出した突部213bを備える。突部213bは、回転軸311側に突出した曲面である。突部213bの連結位置213a側の端部の延長線と、連結位置213aの中心を通る回転軸311の径の延長線とのなす角αは、90°より小さい。
また、チャンバ213は、連結位置213aを挟む両側に、突部213bに接続された平面状の壁面213cをそれぞれ備える。壁面213cは、突部213bの連結位置213aと反対側の端部に繋がっている。具体的には、壁面213cは、Z軸方向に見て径方向すなわちX軸方向に延びている。また、チャンバ213は、2つの突部213bの間に、回転軸311側に突出した突部213dを備える。チャネル220は、突部213dに連結されている。また、チャンバ213は、径方向において回転軸311から離れる方向に位置する内壁213eを備える。内壁213eは、Z軸方向に見て円弧形状である。
上記のようにチャンバ213が構成されると、以下のような効果が奏される。
上述したようにカートリッジ200を回転させて、遠心力およびオイラー力を利用してチャンバ213内の液体を攪拌させた場合でも、2つの突部213bが障壁となって、チャンバ213内の液体がチャネル220との連結位置213aに進むことを抑止できる。すなわち、攪拌により液体がチャンバ213内で移動しても、図31(c)に示すように、チャンバ213内の液体の端部が、突部213bによりチャンバ213内に留められる。これにより、攪拌時に、チャンバ213内の液体がチャネル220へと進入することを抑止できる。
このように、攪拌時にチャネル220への液体の流入が抑制されると、チャンバ213内の磁性粒子を、取り残しなく次のチャンバへと移動させることができるため、適正な検出を行うことができる。
また、攪拌時にチャンバ213内の液体が大きく揺動された場合でも、図31(c)に示すように、チャンバ213内の液体が突部213bにより受け止められ、さらにチャンバ213の内壁に沿って液体が移動することが抑制される。ここで、図31(d)に示すように、チャンバ213に突部213bが設けられていない場合、チャンバ213内の液体が内壁に沿って移動し、液体の流れ方向の先端部が、点線矢印で示すように、遠心力によりX軸負方向に折れ曲がって、液体の他の部分に衝突してしまう。この場合、液体の衝突により液体が泡立ってしまう。しかしながら、チャンバ213に突部213bが形成されると、図31(c)に示すように、チャンバ213内の液体が内壁に沿って進むことが抑制されるため、攪拌時におけるチャンバ213内の泡立ちを抑制できる。
また、攪拌時にチャネル220への液体の流入および泡立ちが抑制されると、攪拌時のカートリッジ200の回転速度を高めることができ、回転速度の切り替えの自由度を高めることができる。一方、このように回転速度を制御した場合は、モータ171からの発熱が増加することになる。しかしながら、モータ171は、上述したように暗室340の外部に配置されるため、モータ171の発熱が増加する場合でも、暗室340内の温度が不安定になることを抑制でき、測定を適切に進めることができる。
チャンバ213には平面状の壁面213cが設けられている。これにより、攪拌時に液体が壁面213cに掛かる際に、壁面が曲面状に形成される場合に比べて液体の流れを変化させることができるため、チャンバ213内の液体を効果的に攪拌できる。また、図31(d)に示すように、壁面が曲面状に形成される場合、液体の流れ方向の先端部が折れ曲がって、液体の他の部分に衝突しやすくなる。しかしながら、壁面213cは平面状に形成されているため、図31(d)に示すような事態を抑制できる。よって、攪拌時にチャンバ213内の液体が泡立つことを抑制できる。
なお、壁面213cは、径方向に延びるように形成されたが、径方向から傾いた方向に延びるように形成されてもよい。ただし、X軸正側の端部が互いに近づくように2つの壁面213cが径方向から傾けられた場合、チャンバ213内の液体をさらに効果的に攪拌できるが、図31(d)に示す場合と同様、液体の衝突が起こりやすくなる。また、X軸正側の端部が互いに離れるように2つの壁面213cが径方向から傾けられた場合、液体の衝突が起こりにくくなるが、チャンバ213内の液体の攪拌効果が低下する。したがって、図31(b)に示すように、2つの壁面213cは、径方向に延びるように形成されるのが望ましい。
攪拌時にチャンバ213内の液体が大きく揺動して突部213bを乗り越えた場合も、乗り越えた液体は、突部213dに受け入れられるため、チャネル220へと進入しにくくなる。ここで、図31(e)に示すように、チャンバ213に突部213dが設けられていない場合、大きく揺動した液体は、点線矢印で示すように、チャネル220へと進入してしまう。しかしながら、チャンバ213に突部213dが設けられると、攪拌時にチャンバ213内の液体がチャネル220に進入することを確実に抑制できる。
突部213bは、回転軸311側に突出した曲面であるため、攪拌時に突部213bに磁性粒子が残ることを抑制できる。これにより、チャンバ213内の磁性粒子を、取り残しなく次のチャンバへと移動できる。チャンバ213は、回転軸311の径に対して対称な形状であるため、Y軸正方向およびY軸負方向の何れの方向においても、チャネル220への液体の流入および泡立ちを抑制できる。図31(b)に示す角度αが90°より小さいため、突部213bの連結位置213a側の端部が障壁となって、攪拌時にチャネル220への液体の流入および泡立ちが確実に抑制される。
チャンバ213の形状は、図31(b)に示した形状に限らず、他の形状であってもよく、たとえば、図32(a)〜(c)に示す形状であってもよい。
図32(a)に示すチャンバ213には、図31(b)と比較して、突部213bと突部213dとの間に直線部213fが設けられている。この場合、突部213bに受け止められた液体が、表面張力により直線部213fを伝って突部213dへと進みやすくなる。したがって、図31(b)のように、突部213bと突部213dとが、連続的に設けられるのが望ましい。
図32(b)に示すチャンバ213には、図31(b)と比較して、突部213bと壁面213cが省略されている。この場合、チャンバ213内の液体が揺動されると、図31(b)に比べて、チャンバ213内の液体がチャネル220に進入しやすくなる。しかしながら、図31(e)と比較して、突部213dが設けられていることにより、チャンバ213内の液体がチャネル220に進入しにくくなる。
図32(c)に示すチャンバ213には、図31(b)と比較して、Y軸正側の突部213bと突部213dとの間に、さらに突部213gが設けられている。突部213gは、たとえば、空気を通すための流路やチャネル220以外の流路に連結される。図32(c)に示す構成がチャンバ211に適用される場合、突部213dは、チャネル220に連結され、突部213gは、領域243bに連結される。
なお、図31(b)に示すチャンバ213において、突部213dに、空気を通すための流路やチャネル220以外の流路が連結されてもよい。他の流路を突部213dに連結させる場合、他の流路をチャネル220の領域222に連結させる場合に比べて、カートリッジ200の成形が容易になる。
上述したように、チャンバ216の構成も、チャンバ213と同様である。したがって、図33(a)、(b)に示すように、チャンバ216は、図31(b)に示すチャンバ213と同様、突部216bと、壁面213cと、突部216d、内壁216eと、を備える。突部216bは、チャネル220との連結位置216aを挟む両側に設けられている。
ここで、チャンバ216の形状は、図2(b)に示す場合とは異なり、複雑な形状であるため、攪拌後にチャンバ216内の試料S0から生じる光を光検出器144aによって検出する際に、たとえば、図33(a)、(b)に示すように、試料S0の収容領域がチャンバ216内で偏ることがある。図33(a)の場合、チャンバ216内の試料S0は、Y軸正側の突部216bに引っかかり、チャンバ216内でY軸正側に偏っている。図33(b)の場合、チャンバ216内の試料S0は、2つの突部216bに引っかかり、チャンバ216内で2つに分かれている。
図33(a)、(b)に示すように、試料S0の位置が変化すると、それぞれ、図33(c)、(d)に示すように、試料S0の発光領域の位置も変化する。しかしながら、図33(c)、(d)に示すように、試料S0の発光領域の位置が変化する場合でも、上述したように、反射部材142がチャンバ216と光検出器144aに配置されているため、光検出器144aにおける検出光量の変動を抑制できる。また、図33(c)の場合に光検出器144aに導かれる光量と、図33(d)の場合に光検出器144aに導かれる光量とを、同レベルとすることができる。よって、チャンバ216の形状が複雑に構成されたことに起因して試料S0に様々な分布形態が生じる場合でも、検出光量の変動を抑制できるため、被検物質の測定精度を高めることができる。
また、チャンバ213と同様、チャンバ216内の測定試料の泡立ちも抑制されるため、チャンバ216内の測定試料から生じた光が散乱することを抑制できる。これにより、検出の際に、光検出器144aへ到達する光の光量を高めることができる。
なお、図10(a)〜(c)を参照して説明したように、押圧部195によりカートリッジ200の封止体231a、232aに押圧されると、カートリッジ200の位置ずれが起こり、発光領域の位置ずれが起こり得る。しかしながら、図11(a)を参照して説明したように、押圧部195が封止体231a、232を押圧しても、支持部材177が土台となってカートリッジ200を支えることになる。したがって、カートリッジ200の位置ずれが抑制されるため、カートリッジ200と反射部材142との間の隙間を適正に保つことができる。よって、発光領域の位置ずれに基づく検出光量の変動を確実に抑制できる。
<実施形態6>
実施形態1では、液体収容部231、232に対して、径方向の1つの位置にのみ封止体が設けられた。これに対し、実施形態6では、液体収容部231、232に対して、径方向の異なる2つの位置に封止体が設けられる。具体的には、図34(a)に示すように、液体収容部231の径方向の内側と外側の上面に、それぞれ封止体231a、231bが設けられ、液体収容部232の径方向の内側と外側の上面には、それぞれ、封止体232a、232bが設けられる。また、実施形態6の押圧部195は、図34(b)〜図35(b)に示すように構成される。実施形態6のその他の構成については、実施形態1の具体的構成例と同様である。
実施形態6では、液体収容部231に収容された試薬を、この液体収容部231の外側に位置するチャンバに移送する際、制御部301は、まずモータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、遠心力により、液体収容部231内の試薬を液体収容部231内において外周側に位置付ける。続いて、制御部301は、押圧部195を駆動して、液体収容部231の外側に位置する封止体231bを開栓する。これにより、液体収容部231の内部とチャネル220とが連結される。続いて、制御部301は、押圧部195を駆動して、液体収容部231の内側に位置する封止体231aを開栓する。これにより、液体収容部231の内周側がカートリッジ200の外部と連結される。そして、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、遠心力により、液体収容部231内の試薬を、この液体収容部231の外側に位置するチャンバに移送する。
液体収容部232に収容された試薬をチャンバ216に移送する際も、制御部301は、上記と同様に処理を行う。すなわち、制御部301は、カートリッジ200の回転、封止体232bの開栓、封止体232aの開栓、およびカートリッジ200の回転を、この順に行う。
実施形態6では、液体収容部231内の試薬が封止体231a、231bにより液体収容部231内に密封され、液体収容部232内の試薬が封止体232a、232bにより液体収容部232内に密封されている。これにより、液体収容部231、232内の試薬が、カートリッジ200の使用前にチャネル220やチャンバ211〜216に流れることを抑止できる。また、液体収容部231、232内の試薬をチャンバに移送する際に、液体収容部231、232の内側と外側が開栓されるため、実施形態1に比べて、液体収容部231、232内の試薬を円滑にチャンバへと移送できる。
また、封止体の開栓前に、あらかじめ液体収容部231、232内の試薬が外周側に位置付けられる。これにより、封止体の開栓後に、液体収容部231、232内の試薬を外側に位置するチャンバに円滑に移送できる。また、外側の封止体231b、232bを開栓した後、内側の封止体231a、232aが開栓される。これにより、液体収容部231、232内の試薬が内側に戻ることなく、液体収容部231、232内の試薬を外側に位置するチャンバに円滑に移送できる。
次に、実施形態6の押圧部195について説明する。
実施形態6の押圧部195は、移動部材365と、移動部材365に配置され各封止体をそれぞれ開栓するピン部材366を押圧方向に移動させる複数のカム部と、を備える。カム部は、所定の順序で各ピン部材366を駆動するよう、移動部材365の移動方向に異なる位置に配置されている。具体的には、押圧部195は、図34(b)〜図35(b)に示すように構成される。
図34(b)に示すように、実施形態6では、実施形態1と比較して、径方向に2つのピン部材366が配置されている。具体的には、設置部材361に2つの孔361aが設けられており、2つの孔361aの位置に、それぞれピン部材366およびローラ367が設置されている。図35(a)は、図34(b)に示す断面C1−C2をD3方向に見た図である。図35(b)は、図34(b)に示す断面C3−C4をD3方向に見た図である。図35(a)、(b)に示すように、2つの孔361aの位置に、それぞれピン部材366が設置されている。
図35(a)、(b)に示すように、移動部材365の下面側には、水平面に対して傾斜した平面からなるカム部365b、365cが形成されている。カム部365bは、D3方向側のローラ367に対応する位置に形成されている。カム部365cは、D3方向と反対方向側のローラ367に対応する位置に形成されている。カム部365b、365cの位置は、D1、D2方向において互いに異なっている。具体的には、カム部365bは、カム部365cに比べて、D1方向に位置している。
液体収容部231の封止体231a、231bを開栓する際には、制御部301は、カートリッジ200を回転させて、液体収容部231内の試薬を外側に寄せた後、封止体231a、231bを、それぞれ、D3方向と反対側のピン部材366の真下と、D3方向側のピン部材366の真下に位置付ける。
そして、制御部301は、モータ362を駆動して、移動部材365をD1方向へ移動させる。このとき、図35(a)、(b)に示す状態から移動部材365がD1方向に移動されると、カム部365bがカム部365cよりも先にローラ367に接触し、その後、カム部365cがローラ367に接触する。したがって、D3方向側のピン部材366が、D3方向と反対方向側のピン部材366よりも先に、下方向に移動する。これにより、上述したように、外側の封止体231bが先に開栓され、その後、内側の封止体231aが開栓されることになる。
このように移動部材365の下面に異なるカム部365b、365cが設けられ、カム部365b、365cに対応するようにピン部材366が設けられると、移動部材365をD1方向に移動させるだけで、封止体231b、231aをこの順に開栓できる。なお、液体収容部232の封止体232a、232bについても、同様に開栓処理が行われる。この場合も、移動部材365をD1方向に移動させるだけで、封止体232b、232aをこの順に開栓できる。