JP6468706B2 - 弾性表面波センサの膜厚決定方法、弾性表面波センサ - Google Patents

弾性表面波センサの膜厚決定方法、弾性表面波センサ Download PDF

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Description

本発明は、弾性表面波センサの膜厚決定方法、弾性表面波センサに関する。
電子回路に用いられるバンドパスフィルタの一つとしてSAW(Surface Acoustic Wave;弾性表面波)フィルタが知られている。SAWフィルタは、小型かつ良好な減衰特性を持つため、携帯電話を始めとして様々な電子機器に利用されている。SAWフィルタは、例えば、圧電素子基板上に弾性表面波を発生させ、また弾性表面波を検出するための櫛型電極(Inter Digital Transducer;IDT)を有する。
SAWフィルタに関する技術として、例えば、特許文献1には、圧電性基板上に、送信電極部を構成するIDTと受信電極部を構成するIDTとの間に形成され、検体である液体が導入される検出領域(センサ表面となる領域)を備えた弾性表面波センサが開示されている。この弾性表面波センサにおいて、検出領域は、圧電性基板上に形成され、金属層と抗体層とを有している。金属層は、例えば、Au(金)を主成分として形成される。
また、特許文献2には、弾性表面波センサの圧電性基板に、36°回転Y板X伝搬LiTaO(Lithium Tantalate;タンタル酸リチウム単結晶)またはSTカット90°伝搬水晶板を用いることが記載されている。
特開2008−286606号公報 特開2006−184011号公報
しかしながら、特許文献1または特許文献2に記載されている技術では、弾性表面波センサの検出領域における金属層の膜厚のバラツキによって感度にばらつきが発生するという課題があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、感度のばらつきを低減することができる弾性表面波センサの膜厚決定方法、弾性表面波センサを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る弾性表面波センサは、弾性表面波を伝搬する圧電素子基板と、電気信号と前記弾性表面波との変換を行う電極と、前記圧電素子基板上及び前記弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜と、を備える弾性表面波センサの膜厚決定方法であって、前記反応領域薄膜の膜厚は、前記反応領域薄膜に対して検体である溶液が導入され前記反応領域薄膜における抗体との反応によって生じる前記溶液の物性の変化の前後において比較した前記電極によって受信される信号の位相の変化の度合いと前記反応領域薄膜の膜厚との関係において、前記位相の変化の度合いが所定値となる膜厚以上の膜厚である弾性表面波センサの膜厚決定方法である
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る弾性表面波センサは、弾性表面波を伝搬する圧電素子基板と、電気信号と前記弾性表面波との変換を行う電極と、前記圧電素子基板上及び前記弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜と、を備える弾性表面波センサの膜厚決定方法であって、前記反応領域薄膜の膜厚は、前記反応領域薄膜に対して検体である溶液が導入され前記反応領域薄膜における抗体との反応によって生じる前記溶液の物性の変化の前後において比較した前記電極によって受信される信号の速度の変化の度合いと前記反応領域薄膜の膜厚との関係において、前記速度の変化の度合いが最大値となる膜厚以上の膜厚である弾性表面波センサの膜厚決定方法である
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る弾性表面波センサは、弾性表面波を伝搬する圧電素子基板と、電気信号と前記弾性表面波との変換を行う電極と、前記圧電素子基板上及び前記弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜と、を備える弾性表面波センサの膜厚決定方法であって、前記反応領域薄膜の膜厚は、前記反応領域薄膜に対して検体である溶液が導入され前記反応領域薄膜における抗体との反応によって生じる前記溶液の物性の変化の前後において比較した前記電極によって受信される信号の振幅の変化の度合いと前記反応領域薄膜の膜厚との関係において、前記振幅の変化の度合いが所定値となる膜厚以上の膜厚である弾性表面波センサの膜厚決定方法である
また、本発明の一態様に係る弾性表面波センサにおいて、前記信号の振幅の変化の度合いは、前記信号の振幅値の変化の度合いまたは前記信号の振幅の減衰率の変化の度合いである。
また、本発明の一態様に係る弾性表面波センサは、水晶単結晶の直交結晶軸を基準としてオイラー角で表す角度の範囲が(0°、110°以上150°以下、88°以上92°以下)であってSH成分(横波)の弾性表面波を伝搬する圧電素子基板と、電気信号と前記弾性表面波との変換を行う電極と、Auを主成分とし前記圧電素子基板上であって前記弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜であり、当該反応領域薄膜の膜厚が伝搬される前記弾性表面波の波長λによって規格化された膜厚[h/λ]が、0.015〜0.05[h/λ]である反応領域薄膜と、を備える
また、本発明の一態様に係る弾性表面波センサにおいて、前記圧電素子基板は、水晶単結晶の直交結晶軸を基準としてオイラー角で表す角度の範囲が(0°、110°以上150°以下、88°以上92°以下)の水晶基板であり、前記弾性表面波は、SH成分(横波)であり、前記反応領域薄膜は、Auを主成分とし、膜厚が伝搬される前記弾性表面波の波長λによって規格化された膜厚[h/λ]が、0.015〜0.05[h/λ]である。
また、本発明の一態様に係る弾性表面波センサにおいて、前記膜厚以上の膜厚の所定の範囲の膜厚に収まるように、前記膜厚の公差が定められている。
また、本発明の一態様に係る弾性表面波センサにおいて、前記物性は、濃度、粘度、密度である。
本発明によれば、弾性表面波センサにおける感度のばらつきを低減することができる。
本実施形態に係るSAWセンサの概略的な上面図である。 本実施形態に係るSAWセンサを図1のC断面から見た概略的な断面図である。 本実施形態に係るSAWセンサを用いた溶液測定に使用するセンス回路を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係るSAWセンサの解析モデルを説明する図である。 解析モデルを用いて解析した、グリセリン水溶液の濃度変化に伴う粘性変化に対するSAWセンサの速度と減衰の変化を説明する図である。 グリセリン水溶液の濃度変化に伴う粘性変化に対するSAWセンサの位相と振幅の変化の実験結果を示す図である。 粘性を変化させたときの、金膜厚に対する速度変化と減衰変化の関係を説明する図である。 周波数を変えた場合、金膜厚と粘性変化に対するSH−SAWの速度変化及び減衰変化の正規化前の解析結果を示す図である。 図8に示した解析結果を周波数の平方根で正規化した解析結果の図である。 金膜厚を変化させた場合、水を基準とした10wt%濃度グリセリン水溶液の粘性変化に対するSH−SAWの速度変化と減衰変化を説明する図である。 水を基準とした10[wt%]濃度グリセリン水溶液の粘性変化に対するSH−SAWの位相変化と振幅変化を説明する図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明はかかる実施形態に限定されず、種々の変更が可能であり、それらの変更は全て本願の特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。
<SAWセンサの構造>
図1は、本実施形態に係るSAWセンサ1の概略的な上面図である。図2は、本実施形態に係るSAWセンサ1を図1のC断面から見た概略的な断面図である。
図1及び図2に示すように、SAWセンサ1は、圧電素子基板10、送信電極11−1a、送信電極11−1b、受信電極11−2a、受信電極11−2b、反応領域薄膜12、封止構造14−1、及び封止構造14−2を含んで構成される。
圧電素子基板10は、SAWを伝搬する基板である。圧電素子基板10は、オイラー角(0°、126°、90°)である、36°回転Y板カットの90度X方向伝搬の水晶基板(36Y−90XQz)である。なお、カット角伝搬方向は、例えば(0°、110〜150°、88〜92°)の範囲であってもよい。例えば、圧電素子基板10に36度YカットのX方向伝搬のタンタル酸リチウム基板(36YX−LT)を用いた場合、36YX−LT上の疑似弾性表面波は、溶液中の縦波放射により伝搬ロスが生じることが知られている。一方、圧電素子基板10に36Y−90XQzを用いた場合、疑似弾性表面波は、SH成分(横波)のみであるため、溶液中の縦波放射による伝搬ロスの影響が無い特徴が得られる。
送信電極11−1a及び送信電極11−1bは、送信側電極部を構成する櫛歯状のパターンにより形成された金属電極である。以下、送信電極11−1a、及び送信電極11−1bを総称してIDT11−1と呼ぶものとする。
また、受信電極11−2a及び受信電極11−2bは、受信側電極部を構成する櫛歯状のパターンにより形成された金属電極である。以下、受信電極11−2a、及び受信電極11−2bを総称してIDT11−2と呼ぶものとする。
IDT11−1及びIDT11−2(総称してIDT11と呼ぶ)は、圧電素子基板10上に構成される電極である。IDT11は、対向した電極である。IDT11は、例えばアルミニウム薄膜によって構成される。
反応領域薄膜12は、金を蒸着して生成した薄膜である。反応領域薄膜12は、表面に抗体13を担持した薄膜である。反応領域薄膜12は、圧電素子基板10上であって、圧電素子基板10上に対向して設けられたIDT11の間の領域に形成される。
なお、圧電素子基板10と反応領域薄膜12との重なる部分が、検体である溶液18が導入される検出領域(センサ表面となる領域)である。
SAWセンサ1では、滴下された溶液が、反応領域薄膜12を濡らす。溶液18中に含まれる抗原は、反応領域薄膜12上に担持された抗体13と反応し、反応領域薄膜12上に抗原抗体結合物を生成する。
すなわち、反応領域薄膜12では、その表面に抗原を含んだ液体試料である溶液18を滴下することにより、反応領域薄膜12上に担持された抗体13と、液体試料中の抗原との間で抗原抗体反応が起こる。その結果、反応領域薄膜12上には、反応領域薄膜12上に担持した抗体13と抗原が結合した抗原抗体結合物が生成する。
抗体13は、SAWセンサ1を用いて検出する抗原と反応して抗原抗体結合物を生成する物質である。
送信電極部側の封止構造14−1は、封止壁15−1、封止天井16−1、及び樹脂モールド17−1を備えている。
封止壁15−1は、IDT11−1を覆う壁であり、圧電素子基板10上に矩形状に形成される。封止壁15−1は、例えば感光性樹脂により構成される。
また、封止天井16−1は、封止壁15−1の上側を塞ぎ、IDT11−1を外部から密閉するための天井である。封止天井16−1は、封止天井16−1の平面領域内に封止壁15−1が収まるように封止壁15−1の上側に配置される。封止天井16−1は、例えばガラス基板で構成される。なお、封止壁15−1と封止天井16−1との間には、不図示の接着層が設けられ、封止壁15−1と封止天井16−1との間を密封して接着する。
樹脂モールド17−1は、封止壁15−1と封止天井16−1との表面に形成され、例えばエポキシ樹脂により形成されている。
封止構造14−1は、IDT11−1を外部から密閉してIDT11−1上に空間を形成するように覆い、IDT11−1が液体と接触することを防ぐ封止構造である。
受信電極部側の封止構造14−2は、封止構造14−1と同様に、封止壁15−2、封止天井16−2、及び樹脂モールド17−2とを備え、IDT11−2を外部から密閉してIDT11−2上に空間を形成するように覆い、IDT11−2が液体と接触することを防ぐ封止構造である。
これら封止構造14−1及び封止構造14−2により、検出領域における雰囲気(例えば湿度)の変化があったとしても、IDT11−1、及びIDT11−2は、その影響を受けにくくなる。
<センス回路>
図3は、本実施形態に係るSAWセンサ1を用いた溶液測定に使用するセンス回路20を示す概略ブロック図である。図示する例では、センス回路20は、SAWセンサ1、交流信号源21、バースト回路22、位相・振幅検出回路23、PC(Personal Computer)24を含んで構成される。
交流信号源21は、例えば、250MHzの正弦波交流信号を発生する。交流信号源21は、生成した交流信号をバースト回路22に出力する。
バースト回路22は、交流信号源21から入力された交流信号を、周期的なバースト信号に変換する。ここで、バースト信号の周期は、SAWが圧電素子基板10の表面のIDT11−1からIDT11−2までの間を進行するのに要する時間より大きくなるようにする。バースト回路22は、生成したバースト信号をSAWセンサ1のIDT11−1及び位相・振幅検出回路23に出力する。なお、バースト回路22はSAWセンサ1から出力される信号に含まれる主とする信号以外の直達波や他のバルク波などを含むノイズ等の妨害信号が十分に小さい場合には必要なく、連続波を用いてよい。
位相・振幅検出回路23は、SAWセンサ1のIDT11−2から入力された検出信号、及びバースト回路22から入力されたバースト信号に基づいて、SAWが圧電素子基板10を伝搬するのに要した時間である伝搬時間による位相変化と振幅変化を算出する。具体的には、位相・振幅検出回路23は、バースト信号の入力から、検出信号の入力までに要した伝搬時間による位相変化と振幅の減衰量を検出する。位相・振幅検出回路23は、検出した位相変化と振幅の減衰量をPC24に出力する。
PC24は、位相・振幅検出回路23から入力された位相変化と振幅の減衰量に基づいて、表面の抗体と特異的に反応した溶液中の抗原の量と種類を判定し、判定結果を表示する。
<解析モデル>
次に、SAWセンサ1の解析モデルについて説明する。
なお、本実施形態では、CampbellとJonesの数値解析法(参考文献1参照)を層状構造に拡張させ、それを溶液の粘性を考慮したもの(参考文献2参照)に改良して、水晶基板に適応させた。
参考文献1 J. J. Campbell and W. R. Jones,“Propagation of surface wave at the boundary between a piezoelectric crystal and a fluid medium”, IEEE Trans. Sonics Ulatrason. 17 (1970) 71.
参考文献2 T. Moriizumi, Y. Unno, and S. Shiokawa,“NEW SENSOR IN LIQUID USING LEALY SAW”, Proc. IEEE Ultrasonics Symp., 1987, p. 579.
図4は、本実施形態に係るSAWセンサ1の解析モデル100を説明する図である。解析モデル100は、図2に示したSWAセンサ1の図1のD断面から見たモデルである。
図4に示すように、解析モデル100は、圧電素子基板10に対応する圧電結晶基板101のI層、反応領域薄膜12に対応するメタル層102のII層、溶液18に対応する溶液(グリセリン)層103のIII層の3層から成り立っている。解析において、圧電結晶基板101のI層には、36Y−90XQz、メタル層102のII層は金を用いるとし、溶液(グリセリン)層103のIII層は、いくつかの媒体で材料定数を変化させた。なお、本実施形態における解析では、溶液の粘性変化をバイオの膜の変化と見なして解析を行った。
なお、圧電結晶以外の層は、等方性媒体であるとして解析を行った。また、図4において、SH−SAW(shear horizontal surface acoustic wave;横波型弾性表面波)はx=0のx−x平面上をx方向に伝搬する平面波であり、圧電結晶と溶液は半無限媒体であると仮定している。また、図4において、hはII層の金の厚みである。
I層の粒子変位uI2は次式(1)で示され、I層のポテンシャルφは次式(2)で表される。
Figure 0006468706
Figure 0006468706
また、II層の粒子変位uII2は次式(3)で表される。
Figure 0006468706
また、III層の粒子変位uIII2は次式(4)で表される。
Figure 0006468706
式(1)〜式(4)において、Aは振幅係数、γは重み係数、Ωはx方向の減衰係数、ωは角周波数、VはSH−SAWの伝搬速度、nは、振幅係数A、重み係数γ、及び減衰係数Ωに対する選択された解を示している。また、圧電基板の表面がメタルである為、I層以外の層のポテンシャルは0である。
なお、36Y−90X水晶基板は、純粋なSH−SAWのみを励振するため、本実施形態では、他方向の粒子変位であるuとuについて計算上、無視した。
また、I層とII層との境界条件は、変位uと応力Tが連続し、境界面を短絡しているため、ポテンシャルφは0である。このため、次式(5)の関係が成り立つ。
Figure 0006468706
また、II層とIII層との境界条件は、変位uと応力Tが連続している。このため、次式(6)の関係が成り立つ。
Figure 0006468706
(手順1)まず、弾性波動論の波動方程式を用いて、重み係数γ、x方向の減衰係数Ωを計算する。等方性媒体(II層、III層)の場合、機械的な動作のみのため、弾性波動論の波動方程式は、次式(7)のようになる。
Figure 0006468706
また、異方性媒体(I層)の場合、振動によって電位が発生するため、弾性波動論の波動方程式は、次式(8)のようになる。
Figure 0006468706
なお、式(7)及び式(8)において、cは弾性定数、Sは歪み、ρは密度、eは圧電定数、Dは電気変位、Eは電場、εは誘電率である。
(手順2)次に減衰係数Ωの解は、以下になる解を選択する。
(i)I層は厚みが無限大である為、x=−∞で変位が0になる解を選択
(ii)II層は有限長である為、全ての解を選択
(iii)III層は溶液で縦波成分が放射される為、進行波を選択
(手順3)次に、得られた解(重み係数γ、x方向の減衰係数Ω)を各層の波動方程式に境界条件と伴に代入し、次式(9)の境界条件を表す波動方程式を求める。
Figure 0006468706
なお、式(9)において、行列の要素a11、a12、a43、a53、a44、a54、a54、及びa55は、次式(10)〜次式(17)である。
Figure 0006468706
Figure 0006468706
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Figure 0006468706
Figure 0006468706
Figure 0006468706
Figure 0006468706
Figure 0006468706
(手順4)得られた波動方程式が、有意解を持てば計算を完了する。有意解が得られなければ、音速を変更して再度はじめから計算を行い、有意解を持つまで繰り返えす。
なお、溶液層であるIII層の弾性定数cは、ラメ定数λとμが液体モデルに適応させて用いている。なお、弾性定数cは、次式(18)である。
Figure 0006468706
また、溶液粘性がラメ定数λとμに反映される。ただし、本実施形態では、水晶のため、μのみを用いている。また、ラメ定数λとμは、次式(19)である。
Figure 0006468706
なお、I層において−は、x方向が無限であることから、ΩがRe(Ω/V)<0となる解を選択し、II層においては、厚みが有限であるためΩに対する全ての解を選択している。
次に、解析で得られた伝搬速度Vの実部をSH−SAWの速度(m/s)、虚部Re(V)を減衰L(dB/λ)として評価した。なお、減衰率Lは、次式(20)のように表される。
Figure 0006468706
<粘性変化の解析モデル100による解析>
次に、濃度の異なるグリセリン水溶液の粘性変化を利用して、SAWセンサ1の粘性評価を行った。また、溶液層であるIII層の粘性を変化させることで、バイオの反応を溶液の粘性変化とみなして解析を行った。また、解析は、弾性波動論の波動方程式を用いて行った。
粘性変化の解析では、バイオの抗原抗体反応により溶液の粘性が変化すると仮定した評価を行なった。
図5は、解析モデル100を用いて解析した、グリセリン水溶液の濃度変化に伴う粘性変化に対するSAWセンサ1の速度と減衰の変化を説明する図である。図5において、左の縦軸は速度変化[ppm]、右の縦軸は減衰変化[ppm]、横軸は濃度変化[wt%]である。図5において、符号g10は、溶液層の粘性変化に対するSH−SAWの速度変化、符号g20は、溶液層の粘性変化に対するSH−SAWの減衰変化である。
図5に示すように、0%の濃度を基準としたとき、速度変化は濃度に応じて減少し、減衰変化は濃度に応じて増加する。すなわち、図5に示す図は、摂動理論に従って速度と減衰が同じ変化をしていることを表している。
<粘性変化の実験による解析>
実験では、図2に示したSAWセンサ1に対し、水を基準とした10[wt%]、20[wt%]、30[wt%]濃度のグリセリン水溶液に対するそれぞれのSH−SAWの変化を測定した。測定温度は、23℃一定、試作サンプル数は、360個である。解析に必要なグリセリン水溶液の物性値は、参考文献3に記載の値を用いて、スプライン補間によって23℃におけるそれぞれの濃度の密度と粘度を求め使用した。また、実験において、中心周波数は250[MHz](λ=20[μm])を用い、伝搬路長(センシング領域)の長さは9[mm](=450λ)とした。
参考文献3 日本機械学会, ”流体の物性値集”, 1983.
図6は、グリセリン水溶液の濃度変化に伴う粘性変化に対するSAWセンサの位相と振幅の変化の実験結果を示す図である。図6(a)は、グリセリン水溶液の濃度変化に伴う粘性変化に対するSAWセンサ1の位相の変化であり、図6(b)は、グリセリン水溶液の濃度変化に伴う粘性変化に対するSAWセンサ1の振幅の変化である。図6(a)において、縦軸は位相変化[deg]、横軸は濃度変化[wt%]、図6(b)において、縦軸は振幅変化[deg]、横軸は濃度変化[wt%]である。
図6(a)及び図6(b)において、実線は解析モデル100を用いて理論解析により得られた結果、点は実験で得られた結果であり、エラーバーは±2σを示している。反応領域薄膜12に溶液が滴下されていない場合に対して滴下されている場合では、伝搬路を伝搬する速度が遅くなるため、波長換算すると、伝搬路の長さが長くなったことに相当する。このため、実験では、SAWセンサ1の反応領域の長さも考慮されたSH−SAWの位相と振幅の変化を測定するため、解析結果も、後述する式(23)及び式(24)を用いてSAWセンサ1の振幅と位相の変化として求めた。
図6に示した実験結果より、粘性変化に対するSH−SAWの振幅変化と位相変化は、どちらも同じように変化し、摂動法の理論(参考文献4)に基づいていることが確認できた。また、計算結果と実験結果が一致するため、本発明による解析方法は妥当性があることを図6が示している。以上のように、グリセリン水溶液の粘性変化に伴う実験を行った結果、理論と実験が一致している事が確認できた。また、得られた変化量はバイオの実験で得られている値に近い事が確認できた。
参考文献4 B. A. Auld : Acoustic Fields and Waves in Solid (Krieger, Malabar, FL, 1990) 2nd ed.,Chap. 12.
<金膜厚に対する粘性感度の解析モデル100を用いた解析>
次に、粘性変化の解析を使って、金膜厚に対する粘性変化の計算を行った。
図7は、粘性を変化させたときの、金膜厚に対する速度変化(Δν/ν)と減衰変化(Δα/k)の関係を説明する図である。図7において、縦軸は速度変化(Δν/ν)と減衰変化(Δα/k)、横軸は伝搬される弾性表面波の波長λによって規格化された膜厚である金膜厚[h/λ]である。また、符号g41及びg51はグリセリン水溶液の濃度が10%、符号g42及びg52はグリセリン水溶液の濃度が20%、符号g43及びg53はグリセリン水溶液の濃度が30%のときの各特性を示している。図7は、図4に示した解析モデル100を用いて解析した結果である。
図7に示すように、粘性感度は、金膜厚に依存する。また、金膜厚が厚くなる程、SH−SAWの速度及び減衰が大きくなる。このように、解析結果から粘性変化量が大きくかつ膜厚に依存しにくくなる最適金膜厚があることが確認できた。
<金膜厚に対する粘性感度の実験結果と解析結果との比較>
上述したように、SAWセンサ1の粘性変化に対する解析を行った結果から、粘性感度は、SAWセンサ1のメタル部分の金膜厚に依存する結果が得られた。そこで、最適な金膜厚感度を決定するための実験を行い、解析結果と比較した。試作したサンプルは36Y−90X 水晶基板上に電極周期20[μm]、15[μm]、10[μm]のダブル入出力電極を設け、入出力電極間の伝搬路長(センシング領域)は2mm、金膜厚は100[nm]、210[nm]、320[nm]、430[nm]、640[nm]である。なお、ダブル入出力電極とは、入出力電極をダブル電極(スプリット電極)構造にした電極である。なお、実験ではダブル入出力電極を用いたが、電極はこれに限られない。
ここで、水晶と金の間にチタンが12[nm]存在するが、計算上は無視している。また、電極の対数は80対で、開口長は0.4mmである。電極の対数とは、電極部分の伝搬路方向に対する波長数であり、開口長は、くし型電極が重なる長さである。
実験は、水を基準とした10[wt%]濃度のグリセリン水溶液に対する粘性変化を、SAWセンサ1の位相と振幅の変化としてネットワークアナライザで位相と振幅の変化を測定した。サンプル毎に電極膜厚と周期が異なるため、177[MHz]から480[MHz]までの間で、15種類の中心周波数である。なお、グリセリン水溶液の温度は23℃の一定である。また、テストサンプル数は、各6個である。
図8は、周波数を変えた場合、金膜厚と粘性変化に対するSH−SAWの速度変化及び減衰変化の正規化前の解析結果を示す図である。図8(a)は、金膜厚と速度変化の解析結果を示す図であり、図8(b)は、金膜厚と減衰変換の正規化前の解析結果を示す図である。
図8(a)において、縦軸は速度変化[ppm]、横軸は金膜厚[h/λ]であり、図8(b)において、縦軸は減衰変化[ppm]、横軸は金膜厚[h/λ]である。また、図8(a)において、符号g21〜g26それぞれは、中心周波数が177[MHz]、251[MHz]、303[MHz]、352[MHz]、408[MHz]、480[MHz]の解析結果である。図8(b)において、符号g31〜g36それぞれは、中心周波数が177[MHz]、251[MHz]、303[MHz]、352[MHz]、408[MHz]、480[MHz]の解析結果である。
図8に示したように、金膜厚を変化させているため、中心周波数も変化している。このため、解析結果を周波数の平方根で正規化した。
図9は、図8に示した解析結果を周波数の平方根で正規化した解析結果の図である。図9(a)は、金膜厚と速度変化の正規化後の解析結果を示す図であり、図9(b)は、金膜厚と粘性変化に対するSH−SAWの減衰変化の正規化後の解析結果を示す図である。図9(a)において、縦軸は正規化された速度変化×10−9[/Hz0.5]、横軸は金膜厚[h/λ]であり、図9(b)において、縦軸は粘性変化に対するSH−SAWの正規化された減衰変化×10−9[/Hz0.5]、横軸は金膜厚[h/λ]である。
図9(a)の符号g27に示すように、粘性変化に対するSH−SAWの速度変化は、実験結果も周波数に依存している。また、図9(b)の符号g37に示すように、粘性変化に対するSH−SAWの減衰変化は、実験結果も周波数に依存している。
<金膜厚における粘性変化に対する速度と減衰の変化>
図10は、金膜厚を変化させた場合、水を基準とした10wt%濃度グリセリン水溶液の粘性変化に対するSH−SAWの速度変化と減衰変化を説明する図である。図10(a)は、粘性変化に対するSH−SAWの速度変化を説明する図であり、図10(b)は、粘性変化に対するSH−SAWの減衰変化を説明する図である。図10(a)において、縦軸は粘性変化に対するSH−SAWの速度変化×10−9[/Hz0.5]、横軸は金膜厚[h/λ]であり、図10(b)において、縦軸は粘性変化に対するSH−SAWの減衰変化×10−9[/Hz0.5]、横軸は金膜厚[h/λ]である。また、図10(a)及び図10(b)において、点は実験値、実線は計算値である。
摂動理論より、SH−SAWの粘性変化は周波数の平方根に比例するため、今回の周波数の異なる結果を比較する為に、周波数の平方根で正規化した。また、実験結果では、SH−SAWの位相変化と振幅変化が測定されるが、次式(21)及び次式(22)を用いて、速度変化と減衰変化に変換した。
Figure 0006468706
Figure 0006468706
式(21)及び式(22)において、Δν/νは速度変化、Δα/kは減衰変化、V1はグリセリン付加時の音速[m/s]、a0は水付加時の伝搬損失[dB/λ]である。
図10(a)及び図10(b)に示した実験結果のように、実験結果と理論計算結果は一致することが確認できた。また、図10に示した結果より、速度変化と減衰変化が最大になる金膜厚は、波長換算で約0.015[h/λ]である。
<金膜厚における粘性変化に対する位相と振幅の変化>
実際に、SAWセンサ1を用いたセンス回路20で測定される値は、位相と振幅であるため、解析モデル100を用いた解析結果を、次式(23)及び次式(24)を用いて、位相変化と振幅変化に変換した。
Figure 0006468706
Figure 0006468706
式(23)及び式(24)において、Δθは位相変化[°]、ΔAは振幅変化[dB]、fは周波数[Hz]、lはSH−SAWと液体との相互作用長[m]、Vは質量負荷前の音速[m/s]、Vは質量負荷後の音速[m/s]、aは質量負荷前の伝搬減衰[dB/λ]、aは質量負荷後の伝搬減衰[dB/λ]である。
図11は、水を基準とした10[wt%]濃度グリセリン水溶液の粘性変化に対するSH−SAWの位相変化と振幅変化を説明する図である。図11(a)は、粘性変化に対するSH−SAWの位相変化を説明する図であり、図11(b)は、粘性変化に対するSH−SAWの振幅変化を説明する図である。図11(a)において、縦軸は水を基準とした10[wt%]濃度グリセリン水溶液の粘性変化に対するSH−SAWの位相変化×10−12[deg/Hz1.5]、横軸は金膜厚[h/λ]であり、図11(b)において、縦軸は水を基準とした10[wt%]濃度グリセリン水溶液の粘性変化に対するSH−SAWの減衰変化×10−12[deg/Hz1.5]、横軸は金膜厚[h/λ]である。また、図11(a)及び図11(b)において、点は実験値、実線は計算値である。なお、図11は、正規化後のものである。また、位相及び振幅を正規化する場合は、周波数f×√(f)で正規化を行う。
また、図11において、位相と振幅の変化の場合、SAWセンサ1の反応領域の長さも特性に考慮されるため、理論値は式(23)、式(24)を使って反応領域の長さも含めた値に変換した。また、周波数成分も含まれるため、正規化は周波数fの1.5乗で行った。
図11に示したように、実験結果と理論計算結果は一致することを確認できた。図11に示したように、波長換算金膜厚が約0.02[h/λ]以上で位相変化と振幅変化が最大になる。
すなわち、本実施形態のSAWセンサ1では、位相変化による感度のばらつき、または振幅変化による感度のばらつきが所定の範囲になる反応領域薄膜12である金膜厚が選択される。または、本実施形態のSAWセンサ1は、速度変化による感度のばらつき、または減衰変化による感度のばらつきが所定の範囲になる反応領域薄膜12である金膜厚を選択する。
このため、本実施形態のSAWセンサ1の反応領域薄膜12は、位相変化による感度のばらつき、または振幅変化による感度のばらつきが所定の範囲になる厚みである。あるいは、本実施形態のSAWセンサ1の反応領域薄膜12は、膜厚が所定の公差において、弾性表面波センサの感度が所定の範囲内である厚みである。なお、所定の公差とは、例えば、金膜厚が0.0325±0.0175[h/λ]の場合、±0.0175[h/λ]である。
以上のように、本実施形態の弾性表面波センサ(SAWセンサ1)は、弾性表面波(SH−SAW)を伝搬する圧電素子基板10と、電気信号と弾性表面波との変換を行う電極(送信電極11−1a、送信電極11−1b、受信電極11−2a、受信電極11−2b、IDT11、IDT11−1、IDT11−2)と、圧電素子基板上及び弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜12と、を備え、反応領域薄膜の膜厚は、弾性表面波センサの感度に基づく厚みである。
また、本実施形態の弾性表面波センサ(SAWセンサ1)は、弾性表面波(SH−SAW)を伝搬する圧電素子基板10と、電気信号と弾性表面波との変換を行う電極(送信電極11−1a、送信電極11−1b、受信電極11−2a、受信電極11−2b、IDT11、IDT11−1、IDT11−2)と、圧電素子基板上及び弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜と、を備え、反応領域薄膜の膜厚は、膜厚が所定の公差において、弾性表面波センサの感度が所定の範囲内である厚みである。
この構成によって、本実施形態のSAWセンサ1は、粘性変化に対する位相振幅変化を粘性感度と仮定すると、図10に示すように金膜厚が約0.02[h/λ]〜約0.05[h/λ]のとき、膜厚偏差に伴う粘性感度の変化が最小になる。また、図8及び図10に示したように、速度変化と減衰変化が最大になる金膜厚は、波長換算で約0.015[h/λ]である。この結果、本実施形態のSAWセンサ1は、約0.015[h/λ]〜約0.05[h/λ]の範囲の金膜厚にすることで、製造における成膜ばらつきによる粘性感度のばらつきを抑えられる効果が得られる。換言すると、本実施形態のSAWセンサ1は、SAWセンサ1を製造するとき、反応領域薄膜12である金膜厚が、例えば、約0.015[h/λ]〜約0.05[h/λ]の範囲でばらついても、粘性感度のばらつきを抑えることができる。
また、本実施形態の弾性表面波センサ(SAWセンサ1)において、弾性表面波センサの感度は、電極(送信電極11−1a、送信電極11−1b、受信電極11−2a、受信電極11−2b、IDT11、IDT11−1、IDT11−2)によって受信される信号の位相に基づく値及び信号の振幅に基づく値、反応領域薄膜12に導入される溶液18に基づく値のうち少なくとも1つであり、反応領域薄膜の膜厚は、信号の位相に基づく値及び振幅に基づく値のうち少なくとも1つが所定の範囲である膜厚である。
また、本実施形態の弾性表面波センサ(SAWセンサ1)において、信号の位相に基づく値は、信号の位相または速度であり、信号の振幅に基づく値は、信号の振幅値または減衰率であり、反応領域薄膜に導入される溶液に基づく値は、溶液の濃度または密度である。
この構成によって、本実施形態のSAWセンサ1の反応領域薄膜12は、弾性表面波センサの感度に基づく厚みであって、信号の位相に基づく値は(信号の位相または速度)、信号の振幅に基づく値(信号の振幅値または減衰率)、反応領域薄膜に導入される溶液に基づく値(溶液の濃度または密度)のうち、いずれか少なくとも1つに基づくものである。このため、本実施形態のSAWセンサ1の反応領域薄膜12は、例えば音速、電極間の結合係数、電極の1本あたりの反射率等を用いることなく、厚みを決定することができる。
なお、本実施形態の解析、実験に用いた値は一例であり、これに限られない。各値は、SAWセンサ1に応じた値であってよい。
1…SAWセンサ、10…圧電素子基板、11−1a、11−1b…送信電極、11−2a、11−2b…受信電極、11、11−1、11−2…IDT、12…反応領域薄膜、13…抗体、14−1、14−2…封止構造、15−1、15−2…封止壁15−1、16−1、16−2…封止天井、17−1、17−2…樹脂モールド、18…溶液、20…センス回路、21…交流信号源、22…バースト回路、23…位相・振幅検出回路23、24…PC、100…解析モデル、101…圧電結晶基板(I層)、102…メタル層(II層)、103…溶液層(グリセリン;III層)

Claims (8)

  1. 弾性表面波を伝搬する圧電素子基板と、
    電気信号と前記弾性表面波との変換を行う電極と、
    前記圧電素子基板上及び前記弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜と、
    を備える弾性表面波センサの膜厚決定方法であって
    前記反応領域薄膜の膜厚は、
    前記反応領域薄膜に対して検体である溶液が導入され前記反応領域薄膜における抗体との反応によって生じる前記溶液の物性の変化の前後において比較した前記電極によって受信される信号の位相の変化の度合いと前記反応領域薄膜の膜厚との関係において、前記位相の変化の度合いが所定値となる膜厚以上の膜厚である
    弾性表面波センサの膜厚決定方法
  2. 弾性表面波を伝搬する圧電素子基板と、
    電気信号と前記弾性表面波との変換を行う電極と、
    前記圧電素子基板上及び前記弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜と、
    を備える弾性表面波センサの膜厚決定方法であって
    前記反応領域薄膜の膜厚は、
    前記反応領域薄膜に対して検体である溶液が導入され前記反応領域薄膜における抗体との反応によって生じる前記溶液の物性の変化の前後において比較した前記電極によって受信される信号の速度の変化の度合いと前記反応領域薄膜の膜厚との関係において、前記速度の変化の度合いが最大値となる膜厚以上の膜厚である
    弾性表面波センサの膜厚決定方法
  3. 弾性表面波を伝搬する圧電素子基板と、
    電気信号と前記弾性表面波との変換を行う電極と、
    前記圧電素子基板上及び前記弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜と、
    を備える弾性表面波センサの膜厚決定方法であって
    前記反応領域薄膜の膜厚は、
    前記反応領域薄膜に対して検体である溶液が導入され前記反応領域薄膜における抗体との反応によって生じる前記溶液の物性の変化の前後において比較した前記電極によって受信される信号の振幅の変化の度合いと前記反応領域薄膜の膜厚との関係において、前記振幅の変化の度合いが所定値となる膜厚以上の膜厚である
    弾性表面波センサの膜厚決定方法
  4. 前記信号の振幅の変化の度合いは、
    前記信号の振幅値の変化の度合いまたは前記信号の振幅の減衰率の変化の度合いである
    請求項3に記載の弾性表面波センサの膜厚決定方法
  5. 前記圧電素子基板は、
    水晶単結晶の直交結晶軸を基準としてオイラー角で表す角度の範囲が(0°、110°以上150°以下、88°以上92°以下)の水晶基板であり、
    前記弾性表面波は、
    SH成分(横波)であり、
    前記反応領域薄膜は、
    Auを主成分とし、膜厚が伝搬される前記弾性表面波の波長λによって規格化された膜厚[h/λ]が、0.015〜0.05[h/λ]である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の弾性表面波センサの膜厚決定方法
  6. 前記膜厚以上の膜厚の所定の範囲の膜厚に収まるように、前記膜厚の公差が定められている
    請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の弾性表面波センサの膜厚決定方法
  7. 前記物性は、濃度、粘度、密度である
    請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の弾性表面波センサの膜厚決定方法
  8. 水晶単結晶の直交結晶軸を基準としてオイラー角で表す角度の範囲が(0°、110°以上150°以下、88°以上92°以下)であってSH成分(横波)の弾性表面波を伝搬する圧電素子基板と、
    電気信号と前記弾性表面波との変換を行う電極と、
    Auを主成分とし前記圧電素子基板上であって前記弾性表面波の伝搬路に配置される反応領域薄膜であり、当該反応領域薄膜の膜厚が伝搬される前記弾性表面波の波長λによって規格化された膜厚[h/λ]が、0.015〜0.05[h/λ]である反応領域薄膜と、
    を備える弾性表面波センサ。
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