JP6466544B2 - 積層多孔質フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液二次電池セパレータとして好適な積層多孔質フィルムの製造方法に関する。
非水電解液二次電池、特にリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いため、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などに用いる電池として広く使用されている。
これらのリチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度が高く、電池の破損あるいは電池を用いている機器の破損等により内部短絡・外部短絡が生じた場合には、大電流が流れて激しく発熱する。
そのため、非水電解液二次電池には一定以上の発熱を防止し、高い安全性を確保することが求められている。そのような方法として、異常発熱の際に、セパレータにより正−負極間のイオンの通過を遮断してさらなる発熱を防止するシャットダウン機能を持たせる方法が一般的である。
シャットダウン機能をセパレータに持たせる方法としては、異常発熱時に溶融する材質からなる多孔質フィルムをセパレータとして用いる方法が挙げられる。すなわち、該セパレータを用いた電池は、異常発熱時に前記多孔質フィルムが溶融・無孔化し、イオンの通過を遮断し、さらなる発熱を抑制することができる。
このようなシャットダウン機能を有するセパレータとしては例えば、ポリオレフィンを主成分とする多孔質フィルムが用いられる。該ポリオレフィン多孔質フィルムからなるセパレータは、電池の異常発熱時には、約80〜180℃で溶融・無孔化することでイオンの通過を遮断(シャットダウン)することにより、さらなる発熱を抑制する。しかしながら、発熱が激しい場合などには、ポリオレフィン多孔質フィルムからなるセパレータが収縮や破膜すること等により、正極と負極が直接接触して、短絡を起こすおそれがある。このように、ポリオレフィン多孔質フィルムからなるセパレータは、形状安定性が不十分であり、短絡による異常発熱を抑制できない場合があった。
高温での形状安定性に優れた非水電解液二次電池用セパレータがいくつか提案されている。その一つとして、微粒子のフィラーを含む耐熱層と、基材としてのポリオレフィンを主体とする多孔質フィルム(以下、「基材多孔質フィルム」と称す場合がある。)とが積層されてなる積層多孔質フィルムからなる非水電解液二次電池用セパレータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
かかるセパレータにおいては積層多孔質フィルム表面からのフィラーの脱落、いわゆる「粉落ち」の抑制が課題の一つである。
セパレータから粉落ちがおこると、期待されるセパレータとしての物性が発現しないことや、電池に組み立てる際に落ちた粉により装置が汚れるなどの工程不具合などが生じる。
本出願人は、上述のフィラー脱落(粉落ち)を抑制する方法として所定の比表面積を有するフィラーの使用により、耐熱層中のフィラーが最密充填に近い構成をとることでバインダーによるフィラー間の結着力を増加させ、多孔質層の強度が高く、セパレータとしての形状安定性、イオン透過性および表面平滑性を高めることができることを報告している。(特願2011−189432号参照)。
この方法では、粉体脱落を抑制する効果はあるが、塗工液を作製するにあたり、粒径が小さく、比表面積の大きな超微粒フィラーを使用し、該超微粒フィラーを水に分散する必要があった。しかしながら、超微粒フィラーは、作業時の粉末が舞い上がる、いわゆる「粉舞」が起こりやすいなど取り扱い性に課題があった。
また、超微粒フィラーを直接溶媒と均一に混合することは困難であり、通常、適当な分散剤を使用して、長時間混合する必要があった。
特開2004−227972号公報
このように、超微粒フィラーを含む塗工液を製造する方法において、作業性の点で改善の余地が残されており、該超微粒フィラーを含む耐熱層を有する積層多孔質フィルムの製造の課題とされていた。
かかる状況下、本発明の目的は、超微粒フィラーと凹凸が比較的少ないフィラーを含む耐熱層を有する、非水電解液二次電池用セパレータとして好適な積層多孔質フィルムを容易に且つ安定的に作製する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フィラーの湿式粉砕工程により、一定範囲の3次元粒子凹凸度をもつ微粒子からなるスラリーを予め作製・使用することで形状安定性、イオン透過性を保持したまま多孔質層の強度が高く、平面平滑性を有する積層多孔質フィルムが安定的に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> ポリオレフィン基材多孔質フィルムと、フィラー及びバインダーを含む多孔質層からなる耐熱層とが積層されてなる積層多孔質フィルムの製造方法であって、
粗大フィラーを湿式粉砕して、平均3次元粒子凹凸度が2.50以上3.50以下の範囲にあるフィラーを含むスラリーを作製する湿式粉砕工程と、
得られたスラリーと、バインダーとを、バインダー100重量部に対して、前記フィラーが100重量部以上10000重量部以下になるように混合して、塗工液を作製する塗工液作製工程と、
得られた塗工液を、ポリオレフィン基材多孔質フィルムの片面又は両面に塗工した後に、溶媒を除去してフィラー及びバインダーを含む耐熱層を形成する耐熱層形成工程と、を含む積層多孔質フィルムの製造方法。
<2> 前記フィラーが、無機酸化物からなる前記<1>記載の積層多孔質フィルムの製造方法。
<3> 前記無機酸化物が、α−アルミナである前記<2>記載の積層多孔質フィルムの製造方法。
<4> 前記バインダーが、水溶性高分子である前記<1>から<3>のいずれかに記載の積層多孔質フィルムの製造方法。
<5> 前記バインダーが、カルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、澱粉、ポリビニルアルコール、アクリル酸及びアルギン酸から選ばれる1種以上である前記<4>記載の積層多孔質フィルムの製造方法。
<6> 前記バインダーが、カルボキシメチルセルロースナトリウムである前記<4>記載の積層多孔質フィルムの製造方法。
本発明によれば、一定範囲の3次元粒子凹凸度を有するフィラーからなる塗工液を、粗大フィラーを湿式粉砕することで作製することにより、製造工程において、粉舞の問題が発生せず、生産性の向上を図ることができ、通気性、熱安定性に加え、さらには表面平滑性が高く、粉落ちの生じにくい耐熱層を有する積層多孔質フィルムを容易に製造することが可能となる。
3次元粒子凹凸度の説明のための模式図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明に係る積層多孔質フィルムは、ポリオレフィン基材多孔質フィルム(以下、「A層」と称す場合がある。)と、バインダーとフィラーとを含む多孔質層からなる耐熱層(以下、「B層」と称す場合がある。)とが積層した多孔質フィルムである。なお、A層は、電池が激しく発熱した時に、溶融して無孔化することにより、積層多孔質フィルムにシャットダウンの機能を付与する。また、B層は、シャットダウンが生じる高温における耐熱性を有しており、積層多孔質フィルムに形状安定性の機能を付与する。
上記したA層とB層は、順に積層されていれば3層以上でもよい。例えば、A層の両面にB層が形成された形態等が挙げられる。
本発明の積層多孔質フィルムの製造方法は、粗大フィラーを湿式粉砕して、平均3次元粒子凹凸度が2.50以上3.50以下の範囲にあるフィラーを含むスラリーを作製する湿式粉砕工程と、
得られたスラリーと、バインダーとを、バインダー100重量部に対して、前記フィラーが100重量部以上10000重量部以下になるように混合して、塗工液を作製する塗工液作製工程と、
得られた塗工液を、ポリオレフィン基材多孔質フィルムの片面又は両面に塗工した後に、溶媒を除去してフィラー及びバインダーを含む耐熱層を形成する耐熱層形成工程と、を含むことを特徴とする。
なお、以下において、粗大フィラーを湿式粉砕して形成される、平均3次元粒子凹凸度が2.50以上3.50以下の範囲にあるフィラーを、「粉砕フィラー」と称す場合がある。
以下、本発明の製造方法における各工程について詳細に説明する。
(湿式粉砕工程)
本発明の粗大フィラーの湿式粉砕工程で得られる粉砕フィラーは、平均3次元粒子凹凸度を2.50以上3.50以下の範囲としていることに特徴がある。
ここで「3次元粒子凹凸度」とは、粉末における一つの粒子(本発明においてはフィラー)の形状パラメータであり、粒子体積V(μm3)及び粒子を外接する直方体の体積La×Lb×Lc(μm3)に基づき、以下の式(1)で規定される値である。また、「(粉末の)平均3次元粒子凹凸度」とは、粉末に含まれる任意の100個程度の粒子に対し、式(1)により算出した3次元粒子凹凸度の平均値である。

3次元粒子凹凸度=La×Lb×Lc/V ・・・・・(1)

ここで、Laは粒子の長径、Lbは粒子の中径、Lcは粒子の短径を意味し、La、Lb、Lcは直交する。図1に3次元粒子凹凸度の説明のための模式図に示す。
上記粒子体積V、粒子の長径La、粒子の中径Lb、粒子の短径Lcは、対象となる粒子の連続スライス像を3次元定量解析ソフト(例えば、ラトックシステムエンジニアリング製TRI/3D−PRT)にて解析して求めることができる。
また、粒子の連続スライス像は、所定量の無機酸化物粉末を分散させた粒子固定用樹脂(エポキシ樹脂等)を硬化させた評価用試料を、FIB加工で所定の間隔でスライスし、断面SEM像を得ることを繰り返して、所定の枚数の断面SEM像を取得し、次いで、得られた断面SEM像を適当な画像解析ソフト(例えば、Visualization Sciences Group製Avizo ver.6.0)で合成することで得ることができる。
具体的な3次元粒子凹凸度の評価手順(連続スライス像用試料作製方法、3次元定量解析ソフトによるV、La、Lb、Lcの決定方法)は、評価対象であるフィラーがアルミナ粒子である場合を例として、実施例にて詳述する。
粗大フィラーは、上記平均3次元粒子凹凸度を有する粉砕フィラーより粒径が大きいフィラーであり、その粒径は、D50が1.0〜10.0μm程度である。ここでD50はレーザー回折式粒度分布の粒度分布の累積グラフにおける50体積%での粒子径を表す。
湿式粉砕する粗大フィラーの材質は任意であり、有機または無機フィラーを用いることができる。
有機フィラーとしては、具体的にはスチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独あるいは2種類以上の共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリレート等からなる微粒子が挙げられる。
また、無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、ハイドロタルサイト、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、ガラス等からなる微粒子が挙げられる。
この中でも、化学安定性、高温における形状安定性などの観点で、無機酸化物がより好ましく、特に化学安定性の高いアルミナが好ましい。
アルミナの中でも、高温安定相にある熱的・化学的に安定なα−アルミナがもっとも好ましく用いられる。
上記のフィラーは、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
湿式粉砕の方法としては、粗大フィラーと溶媒とを湿式粉砕装置に入れ、粉砕することによって行われる。
湿式粉砕工程で使用される溶媒は限定されないが、プロセスや環境負荷の観点から水を用いることが望ましい。A層への塗工性改善を目的として予めエタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、t−ブチルアルコール、アセトン、N−メチルピロリドンなどの有機溶媒を混合しておいてもよい。
本発明に係る上記粉砕フィラーは、粗大フィラーの湿式粉砕工程によって作製可能であり、平均3次元粒子凹凸度が2.50以上3.50以下の範囲となればどのような条件で作製してもよい。
3次元粒子凹凸度が大きいほど粒子の形状はイビツであり、小さいほど粒子形状としては球に近くなり、粉砕による粗大粒の破片として微粒が増大する。
ここで、平均3次元粒子凹凸度が2.50未満の場合、粒子形状が球に近く、微粒が増大するため、耐熱層中のフィラー構成が最密充填構造に近くなり、粒子間空隙、すなわちB層の空隙率が低下し、イオン透過性が低下するため好ましくない。
平均3次元粒子凹凸度が3.50を超えると粒子形状がイビツで、且つ微粒の存在が少ない最密充填構造とは離れた構造をとりやすくなるため、積層多孔質フィルムとした際にB層の表面凹凸が大きくなるほか、バインダーによる微粒子間を結着する樹脂保持量が低下し、粉落ち量が増大する傾向がある。
湿式粉砕装置としては、撹拌型、ボールミルやビーズミル(ダイノーミル)などのメディア型に大別され、粒子の種類に応じて最適な粉砕装置を用いることができる。硬度の高い無機酸化物フィラーを用いる場合、粉砕能力が高いビーズミル(ダイノーミル)の使用が最適である。
ビーズミルの粉砕力はビーズ材質、ビーズ径、ビーズ充填率(ダイノーミルのベッセル容積に対する)、流量、周速に大きく影響され、湿式粉砕で得られるスラリー(以下、「湿式粉砕スラリー」と称す場合がある。)を所望の滞留時間に従って採取することで平均3次元粒子凹凸度を調整可能である。
なお、滞留時間はパス方式、循環方式で次式より求めることができる。
滞留時間(パス方式)(min)=[ベッセル容積(L)−ビーズ充填容積(L)+ビーズ間隙容積(L)]/流量(L/min)
滞留時間(循環方式)(min)=[{ベッセル容積(L)−ビーズ充填容積(L)+ビーズ間隙容積(L)}/スラリー量(L)]×循環時間(min)
本発明において、上記湿式粉砕スラリーのフィラー濃度は、6〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。
(塗工液作製工程)
塗工液作製工程では、上述の湿式粉砕工程で得た湿式粉砕スラリーとバインダーとをバインダー100重量部に対して、前記粉砕フィラーが100重量部以上10000重量部以下になるように混合して塗工液を作製する。
具体的には、湿式粉砕スラリーに、溶媒中にバインダーを溶解や膨潤させた液、もしくは樹脂の乳化液を均一になるまで混合・分散することによって得ることができる。
塗工液作製工程で使用される溶媒は、上述の湿式粉砕工程と同様の溶媒を使用することができる。プロセスや環境負荷の観点から水を主とした溶媒を用いることが好ましく、A層への塗工性改善を目的としてメタノール、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、t−ブチルアルコール、アセトン、N−メチルピロリドンなどの有機溶媒を混合して使用してもよい。この中でも、アルコールは、塗工性向上を目的として水のみで作製した湿式粉砕スラリーに、操作上、容易に後添加できる点で好ましい。
アルコールの中では比較的沸点が低く、取り扱い性に優れたエタノール、イソプロパノール、1−プロパノールがより好ましい。
バインダーとしては、フィラー同士を結着し、また、A層と接着する性質であり、且つ、上記溶媒に溶解あるいは分散するものが選択される。中でも水溶性高分子を用いると、水系の塗工液を作製することができるため、取り扱い性の点で好ましい。
バインダーとしては、親水性官能基を有する水溶性高分子が好ましい。水溶性高分子としては、カルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、澱粉、ポリビニルアルコール、アクリル酸、アルギン酸等が挙げられる。カルボキシメチルセルロースとしては、カルボキシメチルセルロースの塩であってもよく、カルボキシメチルセルロースの塩としては、具体的にはカルボキシメチルセルロース金属塩が挙げられる。カルボキシメチルセルロースの金属塩は加熱形状維持特性に優れるため好ましく、とりわけ、カルボキシメチルセルロースナトリウムは汎用的で入手が容易であるためより好ましい。アクリル酸やアルギン酸としては、アクリル酸やアルギン酸の塩であってもよく、アクリル酸やアルギン酸の塩としては、具体的にはアクリル酸やアルギン酸の金属塩が挙げられ、とりわけ、アクリル酸ナトリウムやアルギン酸ナトリウムが好ましい。これらのバインダーは単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
本発明においては、バインダー100重量部に対して、フィラーが100〜10000重量部であることが必要であり、好ましくは1000〜5000重量部である。フィラー量が少なすぎると相対的にバインダー量が多くなり、フィラー間で目詰まりを起こすことによりイオン透過性が低下する。一方、フィラー量が多すぎるとバインダー量の低下によりフィラー同士の接触点の結着力やA層との接着が不十分となり、粉落ち量が大きくなる。
本発明において、上記塗工液中のフィラー濃度は、6〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。
塗工液中のバインダーの濃度は、バインダーと溶媒との合計100重量%に対して、0.30重量%以上4.0重量%以下が好ましく、より好ましくは0.40重量%以上3.0重量%以下である。また、バインダーは塗工に適した粘度となるよう分子量等を適宜選択して用いればよい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で塗工液に界面活性剤、pH調整剤、分散剤、可塑剤等を添加することができる。
混合の方法としては特に制限はなく、例えば、スリーワンモーター、ホモジナイザー、メディア型分散機、圧力式分散機など従来公知の分散機を使用することができる。
樹脂を溶解や膨潤させた液、または樹脂の乳化液を、フィラーを粉砕する湿式粉砕工程で併せて混合してもよい。すなわち、目的とする粉砕フィラーを含む塗工液が得られるならば、本発明の製造方法における湿式粉砕工程と塗工液作製工程を一工程で同時に行ってもよい。
(耐熱層形成工程)
耐熱層形成工程では、上記工程で得た塗工液を、基材多孔質フィルム(A層)の片面又は両面に塗工した後に、溶媒を除去してフィラー及びバインダーを含む耐熱層を形成する。
A層は、ポリオレフィンの多孔膜であり、非水電解液二次電池において、電解液に溶解しない。その重量平均分子量が5×105〜15×106の高分子量成分が含まれていることが好ましい。ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した高分子量の単独重合体または共重合体が挙げられる。これらのうちエチレンを主体とする高分子量ポリエチレンが好ましい。
A層の空隙率は、20〜80体積%が好ましく、さらに好ましくは30〜70体積%である。該空隙率が20体積%未満では電解液の保持量が少なくなる場合があり、80体積%を超えるとシャットダウンが生じる高温における無孔化が不十分となる、すなわち電池が激しく発熱したときに電流が遮断できなくなるおそれがある。
また、A層の厚みは、通常4〜50μmであり、好ましくは5〜30μmである。厚みが4μm未満であると、シャットダウンが不十分であるおそれがあり、50μmを超えると、積層多孔質フィルムの厚みが厚くなり、電池の電気容量が小さくなるおそれがある。A層の孔径は3μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
A層は、その内部に連結した細孔を有す構造であり、一方の面から他方の面に気体や液体が透過可能である。その透過率は、通常、ガーレ値で表される。本発明の積層多孔質フィルムのガーレ値は好ましくは30〜400秒/100ccの範囲であり、好ましくは、50〜300秒/100ccの範囲である。
A層の製造は特に限定されるものではなく、例えば特開平7−29563号公報に記載されたように、熱可塑性樹脂に可塑剤を加えてフィルム成形した後、該可塑剤を適当な溶媒で除去する方法や、特開平7−304110号公報に記載されたように、公知の方法により製造した熱可塑性樹脂からなるフィルムを用い、該フィルムの構造的に弱い非晶部分を選択的に延伸して微細孔を形成する方法が挙げられる。例えば、A層が、超高分子量ポリエチレンおよび重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂から形成されてなる場合には、製造コストの観点から、以下に示すような方法により製造することが好ましい。
すなわち、(1)超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、炭酸カルシウム等の無機充填剤100〜400重量部とを混練してポリオレフィン樹脂組成物を得る工程
(2)前記ポリオレフィン樹脂組成物を用いてシートを成形する工程
(3)工程(2)で得られたシート中から無機充填剤を除去する工程
(4)工程(3)で得られたシートを延伸してA層を得る工程
を含む方法である。

なお、A層については上記記載の特性を有する市販品を用いることができる。
塗工液をA層に塗工する方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。B層の厚さは塗工ウェット膜の厚み、塗工液中のバインダー濃度とフィラー濃度の和で示される固形分濃度、フィラーのバインダーに対する比を調節することによって制御することができる。
なお、塗工する際にポリオレフィン基材多孔質フィルムを固定あるいは搬送する支持体としては、樹脂製のフィルム、金属製のベルト、ドラム等を用いることができる。
基材多孔質フィルムは、上記塗工液を塗工前に予め親水化処理を行うことが好ましい。塗工液は、基材多孔質フィルムに直接塗工することも可能であるが、基材多孔質フィルムを親水化処理することにより、より塗工性が向上し、より均一な耐熱層を得ることができる。この親水化処理は、特に溶媒中の水の濃度が高いときに有効である。
基材多孔質フィルムの親水化処理は、いかなる方法でもよく、具体的には酸やアルカリ等による薬剤処理、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
ここで、コロナ処理では、比較的短時間で基材多孔質フィルムを親水化できることに加え、コロナ放電によるポリオレフィン樹脂の改質が、膜の表面近傍のみに限られ、基材多孔質フィルム内部の性質を変化させることなく、高い塗工性を確保できるという利点がある。
溶媒の除去方法は、乾燥による方法が一般的であるがこれに限定されない。なお、塗工液をA層の上に塗工する場合、溶媒の乾燥温度は、A層の透気度を低下させない温度が好ましく、通常、10〜120℃、好ましくは20〜80℃である。
上記工程にて、耐熱層(B層)がA層の上に形成される。
B層の厚みは、通常0.1μm以上20μm以下であり、好ましくは1μm以上15μm以下の範囲である。厚すぎると、A層も含めた積層多孔質フィルムの厚みが厚くなり、電池の電気容量が小さくなるおそれがある。薄すぎると、電池が激しく発熱したときにポリオレフィンの多孔質フィルム(A層)の熱収縮に抗しきれず積層多孔質フィルムが収縮するおそれがある。
なお、B層がA層の両面に形成される場合、B層の厚みは両面の合計厚みとする。
B層はフィラーがバインダーで連結した多孔質の膜であり、フィラーの隙間に形成される細孔が連結し、一方の面から他方の面に気体や液体が透過可能である。
該細孔の孔径は、細孔を球形に近似したときの球の直径の平均値として3μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましい。孔径の平均の大きさが3μmを超える場合には、正極や負極の主成分である炭素粉やその小片が脱落したときに、短絡しやすいなどの問題が生じるおそれがある。
また、B層の空隙率は30〜90体積%が好ましく、より好ましくは35〜85体積%である。
<積層多孔質フィルム>
本発明の積層多孔質フィルムは、A層に上述の方法にてB層が形成されてなり、表面粗さRaが0.3μm以下であることが好ましい。
本発明における積層多孔質フィルムの表面粗さRaは、共焦点顕微鏡PLμ2300を用いて測定することができる。
表面粗さRaは値が小さいほど表面が平滑であることを示しており、本発明の積層多孔質フィルムは該試験における表面粗さRaが0.3μm以下であることが好ましい。表面粗さRaが0.3μm以下である場合、電極との密着性が良好で電池組み立て時に電極とのずれや空隙を生じることがないため、電池加工性に優れ、電池特性に優れた非水電解液二次電池用セパレータとすることができる。
本発明の積層多孔質フィルム全体(A層+B層)の厚みは、通常、5〜80μmであり、好ましくは、5〜50μmであり、特に好ましくは6〜35μmである。積層多孔質フィルム全体の厚みが5μm未満では破膜しやすくなり、80μmを超えると積層多孔質フィルムの厚みが厚くなるため電池の電気容量が小さくなるおそれがある。
また、本発明の積層多孔質フィルム全体の空隙率は、通常、30〜85%であり、好ましくは40〜80%である。
また、本発明の積層多孔質フィルムを用いて非水電解液二次電池を製造した場合、高い負荷特性が得られるが、積層多孔質フィルムの透気度は50〜2000秒/100ccが好ましく、50〜1000秒/100ccがより好ましく、50〜300秒/100ccがさらに好ましい。透気度が2000秒/100cc以上となると、積層多孔質フィルムのイオン透過性、および電池の負荷特性が低くなるおそれがある。
シャットダウンが生じる高温における、積層多孔質フィルムの寸法維持率としてはA層のMD方向またはTD方向のうちの小さい方の値が、85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。ここで、MD方向とは、シート成型時の長尺方向、TD方向とはシート成型時の幅方向のことをいう。寸法維持率が85%未満であると、シャットダウンが生じる高温において積層多孔質フィルムの熱収縮により、正−負極間で短絡を起こし、結果的にシャットダウン機能が不十分となるおそれがある。なお、シャットダウンが生じる高温とは80〜180℃の温度であり、通常は130〜160℃程度である。
本発明の積層多孔質フィルムにおいて、A層とB層以外の、例えば、接着膜、保護膜等の多孔膜が本発明の目的を損なわない範囲で本発明の積層多孔質フィルムに含まれていてもよい。
本発明の積層多孔質フィルムを用いて非水電解液二次電池を製造すると、高い負荷特性を有し、しかも電池が激しく発熱した場合でもセパレータはシャットダウン機能を発揮し、セパレータの収縮による正極と負極の接触が避けられ、安全性の高い非水電解液二次電池となる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において積層多孔質フィルムの物性等は以下の方法で測定した。
(1)厚み測定(単位:μm):
積層多孔質フィルムの厚みは、株式会社ミツトヨ製の高精度デジタル測長機で測定した。
(2)目付(単位:g/m2):
積層多孔質フィルムを一辺の長さ10cmの正方形に切り、重量W(g)を測定した。目付(g/m2)=W/(0.1×0.1)で算出した。B層の目付は、同様に測定した積層多孔質フィルムの目付から多孔質基材(A層)の目付を差し引いた上で算出した。
(3)空隙率:
フィルムを一辺の長さ10cmの正方形に切り取り、重量:W(g)と厚み:D(cm)を測定した。サンプル中の材質の重量を計算で割り出し、それぞれの材質の重量:Wi(g)を真比重で割り、それぞれの材質の体積を算出して、次式より空隙率(体積%)を求めた。各材料の目付は製膜に使用した量、比率より算出した。
空隙率(体積%)=100−[{(W1/真比重1)+(W2/真比重2)+・・+(Wn/真比重n)}/(100×D)]×100
(4)透気度:
JIS P8117 に準拠して、株式会社東洋精機製作所製のデジタルタイマー式ガーレ式デンソメータで測定した。
(5)加熱形状維持率:
フィルムを8cm×8cmに切り出し、その中に6cm×6cmの四角を書き入れたフィルムを紙に挟んで、150℃に加熱したオーブンに入れた。1時間後、オーブンからフィルムを取り出し、書き入れた四角の辺の寸法を測定し、加熱形状維持率を計算した。計算方法は以下の通りである。
MD方向の加熱前の書き入れ線長さ:L1
TD方向の加熱前の書き入れ線長さ:L2
MD方向の加熱後の書き入れ線長さ:L3
MD方向の加熱後の書き入れ線長さ:L4
MD加熱形状維持率(%)=(L3/L1)×100
TD加熱形状維持率(%)=(L4/L2)×100
(6)粉落ち量:
粉落ち量は、摩擦運動試験機の擦り部分にザヴィーナミニマックス(KBセーレン株式会社製)を1枚付け、ザヴィーナミニマックスと上記積層多孔質フィルムの多孔質層側を1000g(実施例1,2及び比較例1)又は、2000g(実施例3〜5)の加重をかけて接触させ、45rpmの速度で5往復擦る試験で測定する。該試験における粉落ち量とは、試験前の積層多孔質フィルムの単位面積(m2)当たりの重量から、擦った部分の積層多孔質フィルムの単位面積(m2)当たりの重量を引くことによって求められる。すなわち、擦り試験によって除去されたB層の目付が粉落ち量である。
(7)表面粗さ測定:
共焦点顕微鏡PLμ2300を用いて測定した。凹凸の指標である平均粗さ(Ra)をもって、表面平滑性を表した。
(8)平均3次元粒子凹凸度
評価用のアルミナ粒子粉末は、所定の条件で湿式粉砕した後、溶媒を蒸発させ、真空乾燥することで得た。
エポキシ樹脂100重量部に、分散剤2重量部とアルミナ粒子粉末2重量部を分散させ、真空脱気した後、硬化剤12重量部を入れ、得られたアルミナ分散エポキシ樹脂をシリコン型に流し込み硬化させた。
硬化後の試料を試料台に固定後、カーボン蒸着し、FIB−SEM〔FEI製(HELIOS600)〕にセットし、加速電圧30kVでFIB加工して断面を作製し、その断面を加速電圧2kVでSEM観察した。観察後、試料奥行き方向に20nmの厚さでFIB加工して新しく断面を作製し、その断面をSEM観察した。このように20nm間隔でFIB加工、断面SEM観察を繰り返して200枚以上の像を取得し、画像解析ソフト〔Visualization Sciences Group製Avizo ver.6.0〕で位置補正を行い、連続スライス像を得た。スケールは3軸ともに20nm/pixとした。
得られた連続スライス像に対し、アルミナ粒子の3次元定量解析を行い、3次元粒子凹凸度を算出した。3次元定量解析には、定量解析ソフトTRI/3D−PRT(ラトックシステムエンジニアリング製)を使用した。
3次元定量解析は、まず連続スライス像をTRI/3D−PRT上で開き、メディアンフィルターを適用しノイズ除去を行い、次に3次元的に孤立した粒子をそれぞれ識別してラベル化した後、測定領域外周で途切れた粒子は削除した。
上記処理で削除されずに残った粒子から、任意の粒子の粒子体積V、粒子の長径La、粒子の中径Lb、粒子の短径Lcを求め、上記式(1)から3次元粒子凹凸度を算出した。
このようにして得られた粒子100個程度の粒子凹凸度の平均値として平均3次元粒子凹凸度を得た。
(9)50体積%相当粒子径(D50
レーザー粒度分布測定装置〔日機装株式会社製「マイクロトラック」〕を用いたレーザー回折法により、質量基準で累積百分率50体積%相当粒子径を測定した。測定に際しては、試料を0.2重量%のヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液でCA−30Mを超音波分散した。
A層及びB層形成に使用したバインダー、フィラーは次の通りである。
<A層>
ポリエチレン製多孔質膜
超高分子量ポリエチレン粉末(340M、三井化学株式会社製)を70重量%、重量平均分子量1000のポリエチレンワックス(FNP−0115、日本精鑞株式会社製)30重量%を混合して得られた超高分子量ポリエチレンとポリエチレンワックスの合計量100重量部に対して、酸化防止剤(Irg1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.4重量部、酸化防止剤(P168、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.1重量部、ステアリン酸ナトリウム1.3重量部を加え、さらに全体積に対して38体積%となるように平均粒径0.1μmの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製)を加え、これらを粉末のままヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練機で溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物とした。該ポリオレフィン樹脂組成物を表面温度が150℃の一対のロールにて圧延しシートを作製した。このシートを塩酸水溶液(塩酸4mol/L、非イオン系界面活性剤0.5重量%)に浸漬させることで炭酸カルシウムを溶解して、除去し、続いて105℃で6倍に延伸して基材多孔質フィルムA1〜A6を得た。
「A1」
膜厚:20.1μm
目付:7.6g/m2
透気度:72秒/100cc
「A2」
膜厚:19.7μm
目付:7.5g/m2
透気度:72秒/100cc
「A3」
膜厚:15.8μm
目付:7.1g/m2
透気度:104秒/100cc
「A4」
膜厚:15.4μm
目付:6.9g/m2
透気度:103秒/100cc
「A5」
膜厚:15.0μm
目付:6.7g/m2
透気度:104秒/100cc
「A6」
膜厚:19.9μm
目付:7.7g/m2
透気度:71秒/100cc

<B層>
「バインダー」
・カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)1:第一工業製薬株式会社製 セロゲン3H
・カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)2:株式会社ダイセル製 CMC1110
「フィラー」
・α−アルミナ:住友化学株式会社製 CA-30M
50:6.98μm
実施例1
(1)スラリーの製造
実施例1のスラリーを以下の手順で作製した。
まず、アルミナ濃度が29.8重量%となるように水にアルミナを攪拌条件のもと添加することでアルミナ−水懸濁液を得た。引き続き、AG MASCHINENFABRIK BASEL社製ダイノーミル(KDL−PILOT A型)を用いたパス方式における湿式粉砕条件(周速:10m/sec,ビーズ材質:ZrO2、ビーズ径:1.0mm、ビーズ充填率:85体積%(ダイノーミルのベッセル容積に対して)、流量0.5L/min、滞留時間:2.7min)でアルミナ粒子の平均3次元粒子凹凸度が3.32である湿式粉砕スラリー1を作製した。
(2)塗工液の製造
湿式粉砕スラリー1、CMC1溶液及び溶媒(水及びイソプロピルアルコール)を、CMC100重量部に対して、アルミナが3500重量部、固形分濃度(CMC+アルミナ)が20.0重量%、かつ、溶媒組成が水90重量%、イソプロピルアルコール10重量%となるように混合して、ゴーリンホモジナイザーを用いた高圧分散条件(20MPa×1パス、60MPa×3パス)にて処理することで塗工液1を作製した。表1に上記方法により得られた塗工液の組成を示す。
(3)積層多孔質フィルムの製造及び評価
A層としてA1層を使用し、30W/(m2/分)で両面コロナ処理をした該A1層上にグラビアコーターを用いて上記塗工液1を塗工し、乾燥した。次いで、A層のもう一方の面に、同様にB層を積層することで、A1層の両面にB層を積層した実施例1の積層多孔質フィルムを得た。
なお、B層の厚みは、両面に設けられたB層の合計厚みである。表2に上記評価方法により得られた、実施例1の積層多孔質フィルムの物性を示す。
実施例2
(1)スラリーの製造
滞留時間を5.4minとした以外は、上記実施例1におけるスラリーの製造方法と同様にして、平均3次元粒子凹凸度が3.06である湿式粉砕スラリー2を得た。
(2)塗工液の製造
湿式粉砕スラリー2を使用した以外は、実施例1と同様な操作で、塗工液2を得た。表1に塗工液2の組成を示す。
(3)積層多孔質フィルムの製造及び評価
A層としてA2層を使用し、塗工液2を使用した以外は、実施例1と同様な操作で、実施例2の積層多孔質フィルムを得た。
なお、B層の厚みは、両面に設けれたB層の合計厚みである。表2に上記評価方法により得られた、実施例2の積層多孔質フィルムの物性を示す。
実施例3
(1)スラリーの製造
滞留時間を2.8minとした以外は、上記実施例1におけるスラリーの製造方法と同様にして、平均3次元粒子凹凸度が3.32である湿式粉砕スラリー3を得た。
(2)塗工液の製造
湿式粉砕スラリー3、CMC2溶液及び溶媒(水及びイソプロピルアルコール)を、CMC100重量部に対して、アルミナが3000重量部、固形分濃度(CMC+アルミナ)が27.7重量%、かつ、溶媒組成が水95重量%、イソプロピルアルコール5重量%となるように混合して、高圧分散装置(株式会社スギノマシン製「スターバースト」)を用いた高圧分散条件(100MPa×3パス)にて処理することで塗工液3を作製した。表1に上記方法により得られた塗工液の組成を示す。
(3)積層多孔質フィルムの製造及び評価
A層としてA3層を使用し、20W/(m2/分)で両面コロナ処理をした該A3層上にグラビアコーターを用いて上記塗工液3を塗工し、乾燥することで、A3層の片面にB層を積層した実施例3の積層多孔質フィルムを得た。
表2に上記評価方法により得られた、実施例3の積層多孔質フィルムの物性を示す。
実施例4
(1)スラリーの製造
滞留時間を8.0minとした以外は、上記実施例1におけるスラリーの製造方法と同様にして、平均3次元粒子凹凸度が2.73である湿式粉砕スラリー4を得た。
(2)塗工液の製造
湿式粉砕スラリー4を使用した以外は、実施例3と同様な操作で、塗工液4を得た。表1に塗工液4の組成を示す。
(3)積層多孔質フィルムの製造及び評価
A層としてA4層を使用し、さらに、塗工液4を使用した以外は、実施例3と同様な操作で、実施例4の積層多孔質フィルムを得た。
表2に上記評価方法により得られた、実施例4の積層多孔質フィルムの物性を示す。
実施例5
(1)スラリーの製造
滞留時間を20.0minとした以外は、上記実施例1におけるスラリーの製造方法と同様にして、平均3次元粒子凹凸度が2.64である湿式粉砕スラリー5を得た。
(2)塗工液の製造
湿式粉砕スラリー5を使用した以外は、実施例3と同様な操作で、塗工液5を得た。表1に塗工液5の組成を示す。
(3)積層多孔質フィルムの製造及び評価
A層としてA5層を使用し、さらに、塗工液5を使用した以外は、実施例3と同様な操作で、実施例5の積層多孔質フィルムを得た。
表2に上記評価方法により得られた、実施例5の積層多孔質フィルムの物性を示す。
比較例1
(1)スラリーの製造
滞留時間を1.3minとした以外は、上記実施例1におけるスラリーの製造方法と同様にして、平均3次元粒子凹凸度が3.54である湿式粉砕スラリー6を得た。
(2)塗工液の製造
湿式粉砕スラリー6を使用した以外は、実施例1と同様な操作で、塗工液6を得た。表1に塗工液6の組成を示す。
(3)積層多孔質フィルムの製造及び評価
A層としてA6層を使用し、さらに、塗工液6を使用した以外は、実施例1と同様な操作で、比較例1の積層多孔質フィルムを得た。表2に上記評価方法により得られた、比較例1の積層多孔質フィルムの物性を表2に示す。
本発明によれば、高温での寸法安定性、イオン透過性に優れ、積層された多孔質層の安定性、平滑性に優れた非水電解液二次電池用セパレータに適した積層多孔質フィルムを容易で且つ安定的に提供できる。該セパレータを用いた非水電解液二次電池は、電池が激しく発熱してもセパレータが正極と負極が直接接触することを防止し、かつ高出力・高容量の非水電解液二次電池を、安定的に製造することができるので、本発明は工業的に極めて有用である。

Claims (6)

  1. ポリオレフィン基材多孔質フィルムと、フィラー及びバインダーを含む多孔質層からなる耐熱層とが積層されてなる積層多孔質フィルムであって、
    前記フィラーは、平均3次元粒子凹凸度が2.50以上3.50以下の範囲にあり、
    前記多孔質層は、前記バインダー100重量部に対して、前記フィラーを100重量部以上10000重量部以下含む、積層多孔質フィルム
  2. 前記フィラーが、無機酸化物からなる請求項1記載の積層多孔質フィルム
  3. 前記無機酸化物が、α−アルミナである請求項2記載の積層多孔質フィルム
  4. 前記バインダーが、水溶性高分子である請求項1から3のいずれかに記載の積層多孔質フィルム
  5. 前記バインダーが、カルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、澱粉、ポリビニルアルコール、アクリル酸及びアルギン酸から選ばれる1種以上である請求項1から3のいずれかに記載の積層多孔質フィルム
  6. 前記バインダーが、カルボキシメチルセルロースナトリウムである請求項1から3のいずれかに記載の積層多孔質フィルム
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