本出願は、2013年3月15日に出願された、「PROTOCOL FOR IDENTIFYING AND ISOLATING ANTIGEN−SPECIFIC B CELLS AND PRODUCING ANTIBODIES TO DESIRED ANTIGENS」と題する米国仮出願第61/791,471号の利益を主張する。当該出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本出願は、その開示の一部として、「43257o3813.txt」という名称で2014年2月28日に作成された3,647バイトのサイズを有するファイルに記載された生物学的配列表を含む。当該表は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、抗体分泌細胞及び抗体産生細胞、特にウサギ抗原特異的B細胞の同定方法、ならびにこれらの細胞によって産生される抗体の抗原特異的配列、たとえば、VH及び/またはVL領域のクローニング方法を提供する。以下に記載し、例を示すように、これらの方法は、濃縮、培養、検出、スクリーニング、単離、染色、分取、増幅、配列決定、発現及び決定の一連の工程を含み、各工程を組み合わせて、連続して、繰り返してまたは一定の期間を空けて用いることができる。好ましくは、所望の抗原に対して特異的なモノクローナル抗体、または当該抗体もしくはその変異体に対応する核酸配列の作製に使用できる、少なくとも1つの抗原特異的B細胞を同定するためにこれらの方法が用いられる。
本発明の方法において、抗体は、濃縮工程、抗原特異的B細胞のクローン性集団をもたらす培養工程、抗原認識アッセイを用いて抗原特異的B細胞を同定するための検出工程、所望の機能特性を有する抗原特異的抗体を産生する抗原特異的B細胞を同定するための任意のスクリーニング試験、染色細胞の陽性または陰性選択のための染色工程、及び単一の抗原特異的B細胞を得るための分取工程を経て、選択される。
当該方法は、1つ以上の単離抗原特異的細胞から選択した抗体またはその一部の配列決定工程をさらに含み得る。配列決定には当該技術分野において知られている任意の方法を採用することができ、重鎖、軽鎖、可変領域及び/または相補性決定領域(CDR)の配列決定を含み得る。好ましくは、当該方法は、濃縮工程、培養工程及び配列決定工程を含む。
一実施形態において、本発明は、
(i)目的の抗原で免疫にした宿主または自然感染した宿主からB細胞を取得すること、
(ii)目的の抗原に結合する抗体を産生するB細胞を、濃縮前のB細胞画分に比べてより高い割合で含有する抗原特異的B細胞の濃縮集団を得るために、当該B細胞の画分を濃縮すること、
(iii)当該濃縮抗原特異的B細胞集団から得た1つ以上の画分を、目的の抗原に結合する単一の抗体を産生するクローン性B細胞集団の形成に有利な培養条件下で個別に培養すること、
(iv)目的の抗原に結合する単一の抗体を産生するクローン性B細胞集団を検出し、これにより1つ以上の抗原特異的B細胞を同定すること、
(v)任意で、少なくとも1つの所望の機能特性を有する抗原特異的抗体を産生するB細胞を同定するために、工程(iv)にて同定されたクローン性抗原特異的B細胞集団をスクリーニングすること、
(vi)任意で、異なるクローン性B細胞培養物から得た抗原特異的B細胞をプールすること、
(vii)上記工程(iv)または任意の工程(v)もしくは任意の工程(vi)を経て得た抗原特異的B細胞を、染色後のB細胞の陽性または陰性の選択を容易にする標識で染色すること、及び
(viii)染色した抗原特異的B細胞を分取し、任意で、分取した染色B細胞をゲーティングして、単一の抗原特異的B細胞を単離することを含む、抗原特異的B細胞(すなわち、抗原特異的抗体を発現するもの)の同定方法を提供する。
さらに、当該方法は、
(ix)分取したB細胞によって発現される抗原特異的抗体の可変配列の増幅を容易にする、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の反応媒体に、分取したB細胞を入れること、
(x)増幅させた抗原特異的抗体の可変配列をコードする核酸の配列を決定すること、
(xi)増幅させた抗原特異的抗体の可変配列をコードする核酸またはその変異体を発現させ、抗体ポリペプチドを作製すること、及び
(xii)発現させた抗体ポリペプチドのうち目的の抗原に結合する抗体ポリペプチドを決定することによって、抗原特異的な抗体の可変配列であって、可変軽鎖領域及び/または可変重鎖領域をコードする配列をクローニングすることをさらに含む。
本明細書に開示される本発明のB細胞選択プロトコールは、所望の標的抗原に特異的な抗体分泌B細胞及びモノクローナル抗体を取得するための他の方法に対して、固有の利点が数多くある。これらの利点には、限定するものではないが、以下が挙げられる。
第1に、所望の抗原、たとえば、PCSK9、CGRP、標的1、NGFまたは標的2などにともに、これらの選択手順を使用すると、実質的に包括的な抗体の補体と考えられるもの、すなわち、様々な異なる抗原のエピトープに結合する抗体を作製できる抗原特異的B細胞が再現性よく得られることが認められた。理論に束縛されるものではないが、この包括的な補体は、最初のB細胞回収の前に行われる抗原濃縮工程に起因すると想定される。さらに、この利点により、特定の抗体のエピトープ特異性に応じて変わり得る、異なる特性を有する抗体の単離及び選択が可能になる。
第2に、本発明のB細胞選択プロトコールでは、比較的高い結合親和性(すなわち、ピコモルに近い抗原結合親和性)で所望の抗原に概して結合する単一のモノクローナル抗体を分泌する単一B細胞またはその子孫を含むクローン性B細胞培養物が再現性よく得られることが認められた。これとは対照的に、従来の抗体選択法では、親和性の高い抗体は比較的わずかしか得られない傾向にあり、そのため、治療可能性を有する抗体を単離するには広範なスクリーニング手順が必要である。理論に束縛されるものではないが、本発明のプロトコールでは、宿主のin vivoでのB細胞免疫付与(一次免疫)、続く2回目のin vitroでのB細胞刺激(二次抗原プライミング工程)の両方を行うことで、回収するクローン性B細胞の、抗原標的に特異的な高親和性の単一のモノクローナル抗体を分泌する能力及び性質が向上し得ると想定される。
第3に、本発明のB細胞選択プロトコールでは、平均して品質の高い(すなわち、所望の標的に対して選択性の高い(抗原特異的な))IgGを産生する、かつ/または所望の機能特性を示す濃縮B細胞が再現性よく得られることが観察された(本明細書ではPSCK9、CGRP、標的1、NGF及び標的2に特異的なB細胞として示す)。この点に一部基づき、本発明の方法によって回収された抗原濃縮B細胞は、上述したように、エピトープ特異性を持つ所望の完全な補体をもたらすことができるB細胞を含むと考えられる。
第4に、本発明のB細胞選択プロトコールは、小さな抗原(すなわち、100個以下のアミノ酸ペプチド、たとえば5〜50個のアミノ酸長)とともに用いた場合であっても、当該小さな抗原(たとえばペプチド)に対する親和性の高い単一の抗体を分泌するクローン性B細胞培養物が再現性よく得られることが観察された。小さなペプチドに対して親和性の高い抗体を作製することは、通例では相当に困難で、多大な労力を要すものであり、場合によっては実現不可能でさえあるため、極めて驚くべきことである。したがって、本発明を用いることで、たとえば、ウイルス、細菌または自己抗原のペプチドなどの所望のペプチド標的に対する治療用抗体を作製することができる。これにより、極めて個別の結合特性を有するモノクローナル抗体の作製、または異なるペプチド標的(たとえば、異なるウイルス株)に対するモノクローナル抗体カクテルの作製さえ可能になる。この利点は、異なるHPV株に対して防御免疫を誘導するHPVワクチンなどの所望の価数を有する治療または予防ワクチンの製造において、特に有用であり得る。
第5に、本発明のB細胞選択プロトコールは、特に、ウサギ由来のB細胞とともに使用すると、内在性ヒト免疫グロブリンに極めて類似し(アミノ酸レベルで約90%類似)、ヒト免疫グロブリンに極めて相似の長さを有するCDRを含む、抗原特異的抗体配列が再現性よく得られる傾向がある。したがって、潜在的な免疫原性の問題を排除するために、配列を改変する必要性がほとんどないか、全く必要ない(概して、親抗体配列中、多くても数個のCDR及び/またはフレームワーク残基のみが改変され得る)。特に、好ましくは、組換え抗体には、抗体認識に必要な宿主(ウサギ)CDR1及びCDR2残基と、全CDR3のみが含まれる。これにより、本発明のB細胞及び抗体選択プロトコールに従って作製し、回収した抗体配列の高い抗原結合親和性は、そのまま維持され、ヒト化されたとしても実質的にそのまま維持される。
要するに、本発明の方法を用いることで、従来の既知のプロトコールに比べて、より効率的なプロトコールの使用によって、より多様なエピトープに対して高い結合親和性を呈する抗体を作製することができる。
抗体分泌細胞の取得
本明細書で開示される方法は、免疫宿主から免疫細胞を含有する細胞集団を取得する工程を含む。免疫宿主から免疫細胞を含有する細胞集団を取得する方法は、当該技術分野において知られており、一般に、宿主の免疫応答を誘導し、宿主から細胞を採取して、1つ以上の細胞集団を取得することを含む。免疫応答は、所望の抗原で宿主を免疫にすることによって誘発することができる。あるいは、かかる免疫細胞の供給源として利用する宿主は、所望の抗原に自然感染したものでもよい。たとえば、バクテリアもしくはウイルスなどの特定の病原体に感染した個体、または罹患した癌に対して特定の抗体応答を備える個体などである。
宿主動物は、当該技術分野においてよく知られており、限定するものではないが、モルモット、ウサギ、マウス、ラット、非ヒト霊長類、ヒトだけでなく他の哺乳類、齧歯類、ニワトリ、ウシ、ブタ、ヤギ及びヒツジが挙げられる。宿主は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはウサギ、マウス、ラットまたはヒトであり、最も好ましくはウサギである。宿主は、抗原に曝露すると、その抗原に対する生来の免疫応答の一部として、抗体を産生する。上述の通り、免疫応答は、疾病により自然発生し得、抗原による免疫付与によって誘導することもできる。免疫付与は、当該技術分野において知られた任意の方法、たとえば、完全もしくは不完全フロイントアジュバントなどの免疫応答を高める試薬を使用して、または使用せずに、抗原を1回以上注入することなどにより実施することができる。宿主動物をin vivoで免疫にする代わりに、宿主細胞の培養物をin vitroで免疫にすること、またはDNA免疫法を当該方法に含めることができる。
免疫応答の時間を置いてから(たとえば、血清抗体検出で測定して)、宿主動物の細胞を採取して、1つ以上の免疫細胞含有細胞集団を取得する。採取する細胞集団は、好ましくは、脾臓、リンパ節、骨髄、血液及び/または末梢血単核細胞(PBMC)のうち少なくとも1つに由来するものである。細胞は、2つ以上の供給源から採取し、プールすることができる。ある特定の抗原には、ある特定の供給源が好ましい場合がある。たとえば、PCSK9、CGRP、標的1、NGF及び標的2には、脾臓、リンパ節及び全血が好ましい。その後、宿主動物の血清中に存在する抗原特異的抗体及び/または中和抗体の力価を決定することができる。
細胞集団は、免疫後、約20〜約90日またはこの中の増分で採取し、好ましくは約50〜約60日で採取する。採取した細胞集団及び/またはその単一細胞懸濁液は、抗体選択のために、濃縮、スクリーニング及び/または培養することができる。採取した細胞集団中の抗原特異的細胞の頻度は、通常、約1%〜約5%またはこの中の増分である。
本出願全体を通じて、「増分」という用語は、ある数値を、たとえば最近接の10、1、0.1、0.01などの様々な精度で定義するために使用される。増分は、いずれかの測定可能な精度に丸めることができ、範囲の両側を同じ精度に丸める必要はない。たとえば、1〜100の範囲またはこの範囲内の増分は、20〜80、5〜50及び0.4〜98などの範囲を含む。範囲に制限がない場合、たとえば、100未満の範囲である場合は、この範囲内の増分は100と測定可能な限界値との間の増分を意味する。たとえば、100未満またはこの中の増分は、たとえば、温度などの特徴が0で制限されない場合を除き、0〜100またはこの中の増分を意味する。
抗体分泌細胞の濃縮
本発明は、単一抗体産生B細胞を単離する既存の方法に改善をもたらす。特に、当該方法は、宿主から得たB細胞の濃縮を行う濃縮工程(ii)を含むため、濃縮されたB細胞集団を得ることができる。濃縮工程により、後続の培養工程で必要な細胞が少なくなる。たとえば、マルチウェル組織培養プレートの個々のウェルに、より低いB細胞培養濃度で播種でき、さらに望ましい成功率を達成できる。たとえば、わずか約10個または約25個の濃縮B細胞を、その後、マルチウェルプレートの各ウェルで培養することができ、この場合でもなお抗原特異的抗体が得られる。
抗原特異的細胞の頻度が低い細胞集団から抗体を作製する従来技術とは異なり、本発明は、高頻度の抗原特異的細胞から抗体を選択することができる。濃縮工程が抗体選択の前に用いられるので、抗体の作製に使用される細胞の大多数、好ましくは事実上すべての細胞が抗原特異的である。抗原特異性の頻度が高い細胞集団から抗体を作製することにより、抗体の量及び多様性が向上する。
濃縮したB細胞集団は、濃縮前のB細胞サンプルに比べて、より高い割合で抗原特異的B細胞、すなわち、目的の抗原に結合する抗体を産生する細胞を含有している。一実施形態において、濃縮したB細胞集団中の抗原特異的B細胞の割合は、少なくとも1%、5%または10%である。
濃縮工程は、あらゆる選択工程、たとえば、細胞集団からの特定のB細胞の選択及び/または特定の細胞によって産生された抗体の選択よりも先に行われる。その後、濃縮したB細胞集団をクローン性B細胞集団の形成に有利な条件下で培養するので、濃縮により、当該抗原に特異的な単一のモノクローナル抗体を産生するクローン性B細胞集団を得ることができる。
本出願全体を通して、「クローン性B細胞集団」とは、所望の抗原に特異的な単一の抗体のみを分泌するB細胞の集団を指す。すなわち、これらの細胞は、所望の抗原に特異的な、一つの型のモノクローナル抗体のみを産生するということである。
本出願において、細胞集団の細胞を「濃縮する」とは、混合細胞集団(たとえば、所望の抗原に対して免疫にした宿主に由来するB細胞を含有する単離物)に含まれる所望の細胞(典型的には抗原特異的B細胞)の頻度を上げることを意味する。したがって、濃縮した細胞集団は、濃縮工程の結果、抗原特異的細胞の頻度がより高い細胞集団及び/またはその割合がより大きい細胞集団を包含するが、この細胞集団は、異なる抗体を含んでもよいし、異なる抗体を産生してもよい。
「細胞集団」という一般用語は、濃縮前の細胞集団と濃縮後の細胞集団とを包含するが、複数の濃縮工程が実施される場合は、濃縮前及び濃縮後の両方の細胞集団であり得ることに留意されたい。たとえば、濃縮工程を1回、2回、3回またはそれ以上の工程として実施することができる。一実施形態において、本発明は、
(a)目的の抗原で免疫にした宿主または自然感染した宿主からB細胞を取得すること、及び採取した細胞集団から少なくとも1つの単一細胞懸濁液を作製すること、
(b)目的の抗原に結合する抗体を産生するB細胞を、濃縮前のB細胞画分に比べてより高い割合で含有する抗原特異的B細胞の第1の濃縮集団を得るために、当該B細胞単一細胞懸濁液の画分を濃縮すること、
(c)第1の抗原特異的B細胞濃縮集団に比べてより高い割合で抗原特異的B細胞を含有する第2の抗原特異的B細胞濃縮集団を形成するために、第1の抗原特異的B細胞濃縮集団を濃縮すること、
(d)第2の抗原特異的B細胞濃縮集団に比べてより高い割合で抗原特異的B細胞を含有する第3の抗原特異的B細胞濃縮集団を形成するために、第2の抗原特異的B細胞濃縮集団を濃縮すること、
(e)目的の抗原に結合する単一抗体を産生するクローン性B細胞集団を作製するために、第3の抗原特異的B細胞濃縮集団を培養すること、ならびに
(f)第3の細胞濃縮集団から単離した抗原特異的細胞によって産生された抗体を選択することなどの複数の濃縮工程を含む方法を提供する。
各細胞集団は、次の工程で直接使用してもよいし、長期間もしくは短期間の保存のために、または後続工程(たとえば、検出、単離、染色及び分取)のために、一部もしくは全体を(たとえば、−70℃もしくは−80℃または液体窒素中で)凍結することもできる。また、細胞集団から得た細胞を個別に懸濁し、単一細胞懸濁液を得ることもできる。単一細胞懸濁液は、濃縮することができ、したがって、濃縮前細胞集団として使用することができる。その後、1つ以上の抗原特異的な単一細胞懸濁液と一緒にして濃縮細胞集団を形成する。すなわち、抗原特異的な単一細胞懸濁液を一緒にすることができ、たとえば、さらなる分析及び/または抗体産生のために再培養してもよい。
上述の通り、本発明のプロセスに使用されるB細胞濃縮集団は、本明細書に記載の工程に従った抗体選択のために、さらなる濃縮、スクリーニング及び/または培養がなされてもよい。これらの工程は、繰り返し行ってもよいし、異なる順序で実施されてもよい。好ましい実施形態において、抗体選択のために、好ましくはクローン性である抗原特異的細胞濃縮集団のうちの少なくとも1つの細胞を単離し、培養し、使用する。したがって、一実施形態において、本発明は、
a.採取された細胞集団を取得するために、免疫にした宿主から細胞集団を採取すること、
b.採取された細胞集団から少なくとも1つの単一細胞懸濁液を作製すること、
c.第1の濃縮細胞集団を形成するために、少なくとも1つの単一細胞懸濁液を好ましくはクロマトグラフィーによって濃縮すること、
d.好ましくはクローン性である第2の濃縮細胞集団(すなわち、単一の型の抗原特異的B細胞のみを含有する細胞集団)を形成するために、第1の濃縮細胞集団を好ましくはELISAアッセイによって濃縮すること、
e.所望の抗原に特異的な抗体を産生する、単一または数個のB細胞を含有する第3の濃縮細胞集団を形成するために、第2の濃縮細胞集団を好ましくはELISAアッセイによって濃縮すること、
f.目的の抗原に結合する単一抗体を産生するクローン性細胞集団を作製するために、第3の濃縮細胞集団を培養すること、及び
g.第3の濃縮細胞集団から単離した抗原特異的細胞によって産生された抗体を選択することを含む方法を提供する。
一実施形態において、濃縮した細胞集団から単一のB細胞を単離して、この単一のB細胞が抗原特異性及び/または所望の特性を有する抗体を分泌するかどうかを確認する。別の実施形態において、濃縮したB細胞はマルチウェルプレートで培養し、各ウェルは約1〜約200個の濃縮B細胞を含有する。たとえば、マルチウェルプレートの各ウェルは、少なくとも1、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、または少なくとも200個の濃縮B細胞を含有する。好ましくは、約50〜約100個の濃縮B細胞、約25〜約50個の濃縮B細胞、または約10〜約25個の濃縮B細胞を各ウェルに播種する。
一実施形態において、本発明は、抗原特異的細胞の頻度が約50%〜約100%またはこの中の増分である濃縮された細胞集団を得るための細胞集団の濃縮方法を提供する。好ましくは、濃縮された細胞集団は、抗原特異的細胞の頻度が約50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%以上または100%である。
別の実施形態において、本発明は、抗原特異的細胞の頻度が少なくとも約2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1,000倍または10,000倍またはこの中の増分だけ増える、細胞集団の濃縮方法を提供する。
抗原特異性は、任意の抗原について測定することができる。抗原は、抗体が結合できる任意の物質であり得、ペプチド、タンパク質またはその断片;炭水化物;有機及び無機の分子;動物細胞、細菌細胞及びウイルスによって産生される受容体;酵素;生物学的経路のアゴニスト及びアンタゴニスト;ホルモン;ならびにサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗原としては、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−18、IFN−α、IFN−γ、アンギオテンシンII、BAFF、CGRP、CXCL13、IP−10、PCSK9、NGF、Nav1.7、VEGF、EPO、EGF及びHRGが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい抗原は、CGRP、PCSK9、Nav1.7、NGF、アンギオテンシンII、IL−6、IL−13、TNF−α及びVEGF−αである。
2つ以上の濃縮工程を利用する方法において、各濃縮工程で使用される抗原は、別の濃縮工程で使用される抗原と同一であってもよいし、異なっていてもよい。複数の濃縮工程を同一の抗原で行うと、多量の及び/または異なる抗原特異的細胞集団が得られる。一方、複数の濃縮工程を異なる抗原で行うと、異なる抗原に交差特異性を有する濃縮細胞集団が得られる。
細胞集団の濃縮は、当該技術分野において知られている、抗原特異的細胞を単離するための任意の細胞選択手段によって実施することができる。例示的な抗原結合アッセイには、たとえば、蛍光、リン光、化学発光、電気化学発光、蛍光偏光、蛍光共鳴エネルギー移動、表面プラズモン共鳴などの光学的方法に基づいた放射線アッセイ及び非放射線アッセイが挙げられる。一実施形態において、抗原認識検出には、放射免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫沈降、蛍光免疫測定法、ウェスタンブロット、表面プラズモン共鳴(ProteOnまたはBIAcore(登録商標))分析、または他の抗原結合アッセイが含まれる。好ましくは、ELISAを使用して抗原認識が行われる。
細胞集団は、たとえば、アフィニティー精製などのクロマトグラフィー技術によって、濃縮することができる。たとえば、固体マトリックス(たとえば、Miltenyi MACS(登録商標)のマイクロビーズのような磁気ビーズ、またはアガロースもしくはポリアクリルアミドビーズなどの非磁性ビーズ)または担体(たとえば、Miltenyi MSカラム(Miltenyi Biotech)などの磁気カラム、またはスピンカラム及び重力流カラムなどの非磁性カラム)に直接的または間接的に付着させた抗原を用いて、抗原特異的B細胞を精製することができる。
一実施形態において、採取した細胞集団から得た単一細胞懸濁液を、好ましくはMiltenyiビーズを用いて濃縮する。たとえば、単一細胞懸濁液中の細胞をMACS(登録商標)マイクロビーズで磁気的に標識し、そのサンプルをMACS(登録商標)セパレータに設置したMACS(登録商標)カラムにかける。標識されていない細胞はカラムを通過し、磁気的に標識した細胞はカラム内に保持される。通過画分は、非標識細胞画分として収集することができる。短期間の洗浄工程の後、カラムをセパレータから取り外し、磁気的に標識した細胞をカラムから溶出することができる。
抗原特異的細胞の頻度が約1%〜約5%である採取後の細胞集団から、抗原特異的細胞の頻度が100%に近い濃縮した細胞集団が得られる。
目的の抗原は、固体マトリックスまたは担体に直接的または間接的に付着させられる。たとえば、抗原をビオチン化し、ストレプトアビジン、アビジンまたはニュートロアビジンを介してマトリックスまたは担体に付着させてよい。一実施形態において、濃縮工程(ii)は、磁気ビーズまたはカラムなどの固体マトリックスまたは担体に直接的または間接的に付着させた抗原を用いる、抗原特異的B細胞のアフィニティー精製を含む。好ましくは、抗原をビオチン化し、ストレプトアビジン、アビジンまたはニュートロアビジンを介してマトリックスまたは担体に付着させる。
一実施形態において、濃縮工程は、(1)B細胞とビオチン標識抗原を合わせること、(2)任意で、B細胞/ビオチン標識抗原の構成物を洗浄すること、(3)(1)または(2)のB細胞/ビオチン標識抗原の構成物にストレプトアビジンビーズを導入すること、(4)ストレプトアビジンビーズ/B細胞/ビオチン標識抗原の構成物をカラムに通すこと、及び(5)カラムを洗浄して、結合したB細胞をカラムから溶出させ、これにより、濃縮された抗原特異的B細胞集団を得ることを含む。あるいは、別の実施形態において、濃縮工程は、(1)ビオチン標識抗原とストレプトアビジンビーズを合わせること、(2)ビオチン標識抗原/ストレプトアビジンビーズの構成物をカラムに通すこと、(3)カラムを洗浄して、ビオチン標識抗原で被覆したビーズをカラムから溶出させること、(4)B細胞と被覆ビーズを合わせること、(5)B細胞と被覆ビーズの混合物をカラムに通すこと、及び(6)カラムを洗浄して、結合したB細胞をカラムから溶出させ、これにより、濃縮された抗原特異的B細胞集団を得ることを含む。これらの濃縮方法またはこれらの組み合わせを用い、必要に応じて少なくとも1回繰り返すことで、さらに濃縮した抗原特異的B細胞集団を得ることができる。
細胞集団は、当該技術分野において知られている任意の抗原特異性アッセイ法を実施することによっても濃縮することができる。たとえば、細胞と、抗原担持ビーズと、たとえばフルオロフォアで標識した、B細胞を採取するために使用された宿主に特異的な抗宿主抗体とを接触させることを含む、ハロアッセイを用いてもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、フローサイトメトリーを用いて細胞集団を濃縮する。以下で論じるように、抗原特異的B選択は、染色及び分取によって単離することができる。簡潔に言えば、蛍光標識細胞分取(FACS)または免疫磁気細胞分離(MACS)を使用して、所望の特性、たとえば、生存率、IgG発現及び/またはサイズなどに基づいて、抗原特異的B細胞を選択することができる。
一実施形態において、少なくとも1つの単一細胞懸濁液に対して、少なくとも1つのアッセイ濃縮工程が実施される。別の実施形態において、細胞集団濃縮方法は、少なくとも1つのクロマトグラフィー濃縮工程と、少なくとも1つのアッセイ濃縮工程とを含む。
細胞集団をサイズまたは密度によって「濃縮」する方法は、当該技術分野において知られている。たとえば、米国特許第5,627,052号を参照されたい。これらの工程は、抗原特異性による細胞集団の濃縮に加えて、本方法にて使用することができる。
本発明の細胞集団は、抗原を認識することができる、少なくとも1つの細胞を含有する。抗原認識細胞には、限定するものではないが、B細胞、プラズマ細胞及びこれらの子孫が含まれる。一実施形態において、本発明は、単一の型の抗原特異的B細胞を含有するクローン性細胞集団を提供する。すなわち、このB細胞集団は、所望の抗原に特異的に結合する単一のモノクローナル抗体を産生する。
クローン性抗原特異的B細胞集団は、本明細書に記載する新しい培養選択プロトコールによって得られる、抗原特異的な抗体分泌細胞から主に構成されると考えられる。したがって、本発明はまた、少なくとも1つの抗原特異的な抗体分泌細胞を含有する濃縮細胞集団の取得方法も提供する。一実施形態において、本発明は、約50%〜約100%またはこの中の増分、すなわち、約60%、70%、80%、90%以上または100%の抗原特異的な抗体分泌細胞を含有する濃縮細胞集団を提供する。好ましくは、濃縮細胞集団は、約10,000個以下の抗原特異的な抗体分泌細胞、より好ましくは約50〜10,000個、約50〜5,000個、約50〜1,000個、約50〜500個、約50〜250個、またはこの中の増分の抗原特異的な抗体分泌細胞を含む。
続けて、濃縮後の抗原特異的B細胞の培養、抗原認識アッセイによる検出、任意の機能活性についてのスクリーニング、単離、染色及び分取を行う。その後、抗原特異的抗体の可変配列(たとえば、VH鎖及びVL鎖)をコードする核酸の増幅、増幅させた核酸の配列決定、対応する抗体ポリペプチドを作製するための核酸の発現、及び得られる抗体の抗原認識の決定の任意の各工程を行う。
細胞集団の濃縮は、抗原特異的な重鎖可変領域及び/または軽鎖可変領域を発現する抗体配列をクローニングするための抗体の産生及び/または選択を含む方法にて使用される。したがって、本発明は、抗体を選択する前に細胞集団を濃縮することを含む方法を提供する。当該方法は、少なくとも1つの抗原特異的細胞を含む細胞集団を調製すること、濃縮細胞集団を形成するために少なくとも1つの抗原特異的細胞を単離することによって細胞集団を濃縮すること、及び少なくとも1つの抗原特異的細胞から抗体産生を誘導することの各工程を含み得る。好ましい実施形態において、濃縮した細胞集団は、2つ以上の抗原特異的細胞を含有する。
濃縮した抗体分泌細胞集団の培養
本発明はまた培養工程を含み、好適な培地(たとえば、活性化T細胞の馴化培地、特に、1〜5%の活性化ウサギT細胞の馴化培地)を用いて、フィーダー層上で、好ましくは、培養ウェルごとに単一の増殖性抗体分泌細胞の生存に有利な条件下にて、細胞集団を培養することができる。フィーダー層は、通常、照射済み細胞物質(たとえば、EL4B細胞)から構成されるが、細胞集団の一部を形成するものではない。細胞は、好適な培地で、好適な条件下にて、抗体産生に十分な時間、たとえば、約1日〜約2週間、約1日〜約10日、少なくとも約3日、約3日〜約5日、約5日〜約7日、少なくとも約7日、またはその他のこの中の増分で培養される。好ましくは、単一の抗体産生細胞及びその子孫が各ウェル内で生存することにより、抗原特異的B細胞のクローン性集団が各ウェル内に得られる。
クローン性細胞集団、すなわち、目的の抗原に結合する単一の抗体を産生する細胞集団の形成に有利な条件下にて、工程(ii)による濃縮細胞集団の1つ以上の画分を個別に培養する。一実施形態において、濃縮細胞集団の2つ以上の画分を、同じ濃縮細胞集団から得た別の画分と同時に個別に培養する。
一実施形態において、クローン性抗原特異的B細胞集団が得られる条件下にて、工程(ii)で得られた濃縮B細胞集団の抗原特異的B細胞を培養する。その後、抗体産生細胞の単離及び/または当該B細胞もしくは抗体に対応する核酸配列を用いた抗体の作製を行う。
濃縮集団から得た細胞は、合わせてもよいし、フィーダー細胞とともに培養してもよい。一実施形態において、濃縮細胞は、こうした条件下にて、少なくとも約1〜9日、約2〜8日、約3〜7日、約4〜6日、好ましくは約5〜7日間培養される。一実施形態において、好ましくは照射済みEL4細胞(たとえば、EB4細胞の亜株EB4.B5)であるフィーダー細胞と、活性化T細胞の馴化培地を含有する培地で、濃縮した抗原特異的B細胞集団から得たB細胞を培養する。好ましい実施形態において、約1%〜約5%の活性化ウサギT細胞の馴化培地を含有する培地で、濃縮したB細胞を培養する。
一実施形態において、濃縮した細胞集団、たとえば、採取した細胞集団から得た抗原特異的な単一細胞懸濁液などを、様々な細胞密度(たとえば、1ウェル当たり10、25、50、100、250、500個の細胞、または1〜1000個の間の他の増分)でマルチウェルプレートに播種し、培養する。たとえば、少なくとも1、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、または少なくとも200個の濃縮B細胞を各ウェルに入れたマルチウェルプレートで、濃縮したB細胞を培養することができる。好ましくは、各ウェルは、約10〜約100個の濃縮B細胞、約25〜約50個の濃縮B細胞、または約10〜約25個の濃縮B細胞を含有する。濃縮工程により、後続の培養工程で必要な細胞が少なくなる。たとえば、マルチウェル組織培養プレートの個々のウェルにより低いB細胞培養濃度で播種でき、さらに望ましい成功率を達成できる。
この段階で、クローン性集団によって産生された免疫グロブリンG(IgG)と抗原特異性は、強い相関関係にある。好ましい実施形態において、IgGと抗原特異性は、約50%を上回る相関関係、より好ましくは70%、85%、90%、95%、99%またはこの中の増分を上回る相関関係を呈する。相関関係は、B細胞培養を制限条件下に置き、ウェルごとに単一の抗原特異的抗体産生物を確立することによって表したものである。抗原特異的なIgGと通常のIgGの合成を比較した。単一の形態の抗原(ビオチン化し、直接コーティング)を認識したIgG、検出可能なIgG及び免疫化に関係のない抗原認識、ならびにIgG産生のみの3つの集団を観察した。IgG産生と抗原特異性とが強い相関にあった。
抗原認識及び機能活性に関する抗体分泌細胞のスクリーニング
濃縮工程に加えて、抗体選択のための方法は、抗原認識及び任意で抗体機能性に関して細胞集団をスクリーニングする1つ以上の工程も含む。たとえば、所望の抗体は、特定のエピトープもしくは特定の構造の類似体への結合などの特定の構造的特徴、アンタゴニストもしくはアゴニスト活性、または中和活性(たとえば、抗原とリガンドとの間の結合を阻害)を有し得る。一実施形態において、抗体機能性のスクリーニングは、リガンド依存である。
一実施形態において、好ましくはクローン性である抗原特異的B細胞濃縮集団(当該集団から得た上記の上清は、所望の分泌モノクローナル抗体の存在を検出するために、必要に応じてスクリーニングされる)を使用して、数個のB細胞、好ましくは単一のB細胞を単離し、その後、クローン性B細胞集団における単一の抗体産生B細胞の存在を確認するために、このB細胞を適切なアッセイで試験する。一実施形態では、クローン性B細胞集団から約1〜約20個の細胞が単離され、好ましくは、約15、12、10、5、もしくは3個未満の細胞またはこの中の増分、最も好ましくは単一の細胞が単離される。スクリーニングは、好ましくは抗原特異性アッセイ、特にELISAアッセイ(たとえば、上述したようなストレプトアビジンコーティングプレートによるビオチン化抗原の捕捉を用いる選択的抗原固定化)によって行われる。
抗原結合親和性、抗原−リガンド結合のアゴニスト作用またはアンタゴニスト作用、特定の標的細胞型の増殖の誘発または阻害、標的細胞の溶解の誘発または阻害、及び抗原に関与する生物学的経路の誘発または阻害のうち少なくとも1つについて、抗体を含有する上清をスクリーニングしてもよい。好適なスクリーニング工程には、同定された抗原特異的B細胞によって産生される抗体が最低限の抗原結合親和性を有する抗体であるかどうか、当該抗体が所望の抗原とリガンドとの結合を誘導するかまたは抑制するか、当該抗体が特定の細胞型の増殖を誘発するかまたは阻害するか、当該抗体が標的細胞に対する細胞溶解反応を誘導または誘発するかどうか、当該抗体が特定のエピトープに結合するかどうか、及び当該抗体が特定の生物学的経路または抗原に関与する経路を調節(抑制または刺激)するかどうかを検出するアッセイ法が挙げられるが、これらに限定されない。
抗体機能性についてのスクリーニングには、抗原リガンドと組換え受容体タンパク質との自然の相互作用を再現する、in vitroでのタンパク質間相互作用アッセイ、及びリガンド依存性で、かつ容易に監視できる、細胞に基づく応答(たとえば、増殖応答)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、抗体機能性は、T1165細胞増殖、TF1細胞増殖、SK−N−MC細胞におけるcAMP産生またはPCSK9/LDLR阻害を含む。
通常、抗体を含有する上清を回収し、上記の工程に従った抗体選択のために、濃縮、スクリーニング及び/または培養を行うことができる。一実施形態において、上清は、抗体機能性のために、濃縮(好ましくは、抗原特異性アッセイ、特にELISAアッセイによる濃縮)及び/またはスクリーニングされる。
一実施形態において、抗体選択方法は、抗体機能性に関して、抑制率(%)を測定することによって細胞集団をスクリーニングする工程を含む。抗原特異性を有する濃縮B細胞から産生された抗体の抗原特異的可変領域をコードする核酸を増幅させ配列決定し、その核酸から発現させた組換え抗体を得れば、抑制濃度(IC50)を求めることができる。一実施形態において、単離された抗原特異的細胞のうち少なくとも1つは、約100、50、30、25、10μg/mL未満、またはこの中の増分のIC50を有する抗体を産生する。
別の実施形態において、抗体選択方法は、抗体結合強度に関して細胞集団をスクリーニングする工程を含む。抗体結合強度は、当該技術分野において知られている任意の方法(たとえば、表面プラズモン共鳴(Biacore(登録商標))によって測定することができる。単離された抗原特異的細胞の少なくとも1つは、たとえば、解離定数(KD)が約5×10−10M−1未満、好ましくは約1×10−13〜5×10−10、1×10−12〜1×10−10、1×10−12〜7.5×10−11、1×10−11〜2×10−11、約1.5×10−11以下、またはこの中の増分である、抗原親和性の高い抗体を産生し得る。この実施形態において、当該抗体は、親和性成熟であると言える。たとえば、抗体の親和性は、Panorex(登録商標)(エドレコロマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブ)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ)、Zevalin(商標)(イブリツモマブ)、Erbitux(商標)(セツキシマブ)、Avastin(商標)(ベバシズマブ)、Raptiva(商標)(エファリズマブ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)、Humira(商標)(アダリムマブ)及びXolair(商標)(オマリズマブ)のいずれか1つの親和性と同等か、それ以上である。抗体の親和性は、既知の親和性成熟技術によって高めることもできる。一実施形態において、抗体機能性及び抗体結合強度のうち少なくとも1つ、好ましくは両方に関して、少なくとも1つの細胞集団をスクリーニングする。
濃縮工程に加えて、抗体選択方法は、抗体の配列相同性、特にヒト相同性に関して、細胞集団をスクリーニングする工程を1つ以上含む。一実施形態において、単離した抗原特異的細胞の少なくとも1つは、ヒト抗体との相同性が約50%〜約100%またはこの中の増分であるか、約60%、70%、80%、85%、90%または95%を超えて相同である抗体を産生する。CDRグラフト技術または選択的決定残基グラフト技術(SDR)などの当該技術分野において知られた技術によって、抗体をヒト化してヒト配列との相同性を上げることができる。
別の実施形態において、本発明はまた、IC50、KD及び/または相同性に関して上述した実施形態のいずれかに従った抗体そのものも提供する。
抗体分泌細胞の単離:染色及び分取
濃縮工程に加えて、抗体選択方法はまた、単一の抗体産生細胞を単離するために、抗体分泌細胞の染色及び分取の工程を1つ以上含む。特に、特定の表現型(たとえば、生存率、表面マーカーの発現など)を有する抗原特異的細胞を同定するために、染色後の細胞の陽性または陰性選択を容易にする標識を1つ以上使用して細胞集団を染色することによって、クローン性集団内の単一の抗原特異的細胞を単離することができる。
一実施形態において、濃縮したクローン性集団から得た抗原特異的B細胞を、後続の分取のために染色する。抗原特異的B細胞を染色するための例示的な標識には、表面のγ鎖、κ鎖もしくはλ鎖、CD19、CD27、IgG、IgD、Ia、Fc受容体または所望の抗原に結合する蛍光及び非蛍光試薬、ならびに選択的に死細胞(たとえば、PIもしくは7−AAD)または生細胞(たとえば、カルセイン染色)を染色する試薬が挙げられる。分取の特異性を向上させるために、所望の抗原特異的細胞を標的にする複数の標識を用いることができる。複数の蛍光標識を使用する場合、1つまたは2つのレーザーを用いることによって、2、3、4またはそれ以上の色で標識した細胞が分取されるように、異なる励起/発光波長を選択する。
通常、検出試薬は、標識を施すか、検出試薬に結合する第2の検出試薬を介して間接的に標識される。かかる標識化は、特に、蛍光、同位体、磁気及び常磁性であり得る。たとえば、蛍光標識または染色を使用すると、ある特定の物理的特性を有する単一細胞を同定することができる。蛍光標識の例には、630、525nm、575nm、675nm、610nm及び650nmのバンドパスフィルターで検出可能なPI、FITC、PE、PC5(PE−Cy5)、ECD(PE−Texas Red)及びCy−Chrome(R−PE)が挙げられる。細胞の個々の抗原表面マーカーに基づいて、特定の細胞型を特異的に認識するモノクローナル抗体に蛍光標識をコンジュゲートすることができる。細胞の混合集団では、異なる蛍光標識を用いると個々のサブ集団を識別できる。2つ以上の検出試薬を使用する場合、異なる検出試薬を別々に標識する(たとえば、異なるフルオロフォアを用いる)。
一実施形態において、陽性または陰性の選択を容易にする標識で抗原特異的細胞を染色する。染色工程では、異なる蛍光色素を有する少なくとも2つの標識を使用する。免疫蛍光法を用いて細胞を染色する例示的な方法は、Radbruch,A.、Flow Cytometry and Cell Sorting(Springer,2ndEd.2010)の第3章に記載されている。たとえば、目的の抗原に対して特異性を有する抗体を発現する、生存可能なB細胞を陽性選択するには、蛍光色素を取り付けた抗IgG抗体及び生存率染色でB細胞を標識する。好ましくは、濃縮した抗原特異的B細胞の陽性染色は、IgG産生細胞を染色する第1の標識(たとえば、FITC抗ウサギFc)と、死細胞を染色する第2の標識(たとえば、PIまたは7−AAD)とで細胞を染色することを含む。ある特定の実施形態では、FITC抗IgGとPIとで染色した抗原特異的B細胞を488nmスペクトル線のアルゴンレーザーで励起した。あるいは、生存可能な抗原特異的B細胞を陰性選択するために、サンプル中に存在し得る他の細胞(たとえば、フィーダー細胞)に結合する蛍光色素を取り付けた抗体と、生存率染色とで細胞を標識する。好ましくは、濃縮した抗原特異的B細胞の陰性染色は、フィーダー細胞を染色する第1の標識(たとえば、Thy1.2)と、死細胞を染色する第2の標識(たとえば、PIまたは7−AAD)とで細胞を染色することを含む。ある特定の実施形態では、PE抗Thy1.2とPIとで染色した抗原特異的B細胞を488nmスペクトル線のアルゴンレーザーで励起した。525nm、575nm及び630nmのロングバンドパスフィルターをそれぞれ用いて、緑色(FITC)と赤色(PE及びPI)の蛍光を収集した。
さらに、いくつかの実施形態では、抗原特異的細胞を含む複数の個々のウェルを合わせてから、すなわち「プール」してから、染色及び分取を行う(「プール細胞の分取」とも言う)。好ましくは、類似の特性、たとえば、結合親和性または機能性を有する抗体を分泌する抗原特異的B細胞を含有する個々のウェルを、染色及び分取の前に合わせる。クローン性集団の中から陽性を示したウェル、すなわち、抗原特異的細胞を含有するウェルを任意の数、染色分取工程の前に合わせる。一実施形態において、約2〜約200個、約10〜約100個、約25〜約75個のウェルを染色及び分取の前に合わせる。好ましくは、約2〜約10個、約10〜約50個のウェルまたは約50〜約150個のウェルを染色及び分取の前に合わせる。プール細胞分取により、処理能力が向上し、ベンチワークが最小限に抑えられる。プール細胞分取によって同定され、任意のクローニングプロセスを経た固有の配列から得られる抗体は、特定のウェル起源ではなく、プールに由来し得る。
あるいは、抗原特異的細胞を含有する個々のウェルを個別に染色し、分取してもよい(「単一ウェル分取」とも言う)。単一ウェル分取は、処理能力が限定されるが、固有の配列をクローニングして得られる抗体と起源のウェルとを直接紐付けすることができる。さらに、単一ウェル分取では、元のスクリーニングによる最初の結果との相関がより直接的になる。
濃縮、培養及び染色の工程に加えて、当該方法はまた、ある特定の所望の表現型を持つ細胞を染色するために用いた標識の有無に基づいて、染色した抗原特異的細胞を集団及びサブ集団に分取する、分取工程を含む。分取によって、さらなる分析のために、目的の細胞を捕捉し、回収することができる。細胞を回収すれば、顕微鏡分析、生化学的分析または機能上の分析を行うことができる。染色細胞は、当業者によく知られている種々のフローサイトメトリー法を使用して分取することができる。フローサイトメトリーは、単一細胞の複数の物理的特性を同時に測定し、分析する。測定される代表的特性には、細胞の大きさ、相対粒度または内部構造の複雑さ、及び相対蛍光強度が挙げられる。各細胞の特徴は、細胞の光散乱及び蛍光特性に基づいており、これを分析することでサンプル内のサブ集団に関する情報が得られる。
一実施形態において、分取した抗原特異的細胞に関する前方散乱光(FSC)及び側方散乱光(SSC)のデータを収集する。FSCは、細胞の表面積または大きさに比例する。主な回折光の測定として、FSCは、蛍光に依存せずに所定の大きさを上回る粒子を検出する好適な方法を提供する。SSCは、主な屈折光及び反射光の測定に基づくものであり、細胞の粒度または内部構造の複雑さに比例する。FSC及びSSCの相関測定値により、不均一細胞集団における細胞種の識別が可能となる。染色パターン(たとえば、蛍光)とFSC及びSSCのデータを組み合わせて用いると、どのような細胞がサンプル中に存在するかを同定することができ、相対的割合を算出することができる。その後、所望の特性に基づいて細胞をさらに分取することができる。
一実施形態において、蛍光標識細胞分取(FACS)、磁気標識細胞分離(MACS)またはマイクロ流体などのフローサイトメトリーを使用して染色細胞を分取する。細胞分取は、自動FACS(Becton DickinsonのFACScan(商標)もしくはBD Influx(商標)、Beckman CoulterのEPICS Elite(商標))またはMACS技術(autoMACS(登録商標))を使用して実施すると、処理の高速化及び分取の正確性が向上し得る。一実施形態において、染色した抗原特異的細胞は、RT−PCR反応媒体中に分取された単一細胞である。これにより、分取したB細胞によって発現される抗体の抗原特異的可変配列の増幅が容易になる。
好ましくは、標識に基づいて細胞を分取することに加えて、ゲーティングを用いて細胞をさらに分取する。ゲーティングは、数値またはグラフによる境界を設定して、さらなる分析に含める細胞の特徴を定義する。たとえば、目的の集団を取り囲むようにゲートを指定する。ゲートまたは領域は、分析または分取のイベントを分けるためのサブ集団を取り囲む境界である。FSCまたは細胞の大きさに基づいて、FSC対SSCのプロット上にゲートを設定することができ、所望の大きさの細胞のみを分析できる。一実施形態において、陰性の抗原特異的選択または陽性の抗原特異的選択を用いて分取したB細胞をFSC/SSCゲーティングによってさらに分取する。ゲートした抗原特異的B細胞のサブ集団は、増幅率の改善に相関する表現型がより大きく、顆粒状でないものである。
ゲーティングパラメータは、類似の構造を持つ非染色細胞集団によって定義されるパラメータに基づき得る。特に、陽性選択(B細胞染色)、陰性選択(EL4フィーダー細胞染色)及び生存率に関するゲートは、非染色集団の自家蛍光に基づいて設定される。好ましくは、非染色集団に基づくゲートは、設定したゲート内に入る細胞集団の割合がほとんどないものである。さらに、固有の集団、たとえば、集団中の大多数の細胞(EL4フィーダー細胞と推定される)よりも大きく、顆粒状でないと特定される集団に基づいて、物理的パラメータによるゲートを設定することができる。培養上清の機能性アッセイの対象ではないB細胞培養ウェルは、細胞染色試薬を添加せずに、対象のウェルと並行して採取し、処理を行う。
同定した抗原特異的抗体またはその変異体のクローニング
本発明はまた、親和性、結合性、細胞溶解活性などの所望の機能特性を少なくとも1つ任意に有する抗原特異的B細胞によって発現される抗体に含まれる、抗原特異的な抗体の配列、すなわちVH及び/またはVL領域のクローニング方法を提供する。特に、本明細書に記載の方法は、分取したB細胞によって発現される抗体の抗原特異的可変配列を増幅させ、核酸の配列を決定し、抗原特異的抗体の可変配列をコードする核酸またはその変異体を発現させ、抗体ポリペプチドを作製することによって、濃縮した細胞集団から得た少なくとも1つの抗原特異的細胞から抗体を作製する工程を任意に含む。in vitroで抗体を作製する方法は、当該技術分野においてよく知られており、任意の好適な方法を採用することができる。
典型的には、本発明の方法は、所望の抗体をコードするポリペプチド及び核酸の配列の全部または一部を単離し、配列を決定する追加の工程をさらに含む。目的の配列をコードする抗体には、単離した抗原特異的細胞から特定された核酸配列及びアミノ酸配列によってコードされるもの、ならびに特定された核酸とはゲノムコードの縮重によって配列上同一でない核酸及びその変異体によってコードされるものが挙げられる。
変異ポリペプチドは、アミノ酸(aa)置換、付加または欠失を含み得る。アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換または不必要なアミノ酸を取り除く置換、たとえば、グリコシル化部位の変更、機能には必要のない1つ以上のシステイン残基の置換または欠失によって折り畳みの誤りを最小限に抑えることであり得る。変異体は、タンパク質の特定領域(たとえば、機能ドメイン、触媒アミノ酸残基など)の高生物活性を保持または保有するように設計することができる。変異体はまた、本明細書にて開示されるポリペプチド断片、特に生物学的に活性な断片及び/または機能ドメインに相当する断片を含む。クローン遺伝子のin vitro突然変異誘発に関する技術はよく知られている。また、本主題発明には、タンパク質分解耐性の改善、溶解度特性の最適化、または治療薬としての適性の向上がなされるように、従来の分子生物学的技術を用いて修飾されたポリペプチドも含まれる。
こうして特定された核酸配列もしくは修飾型またはこれらの部分は、所望の抗原に対する組換え抗体を作製するために、所望の宿主細胞において発現させられる。
上述したように、これらの方法はまた、増幅率が向上した抗原特異的細胞を選択するための染色及び分取の工程を含む。たとえば、配列を決定し、結合性及び/または機能特性を確認するために組換えて発現させることができる抗原特異的抗体を、単離した抗原特異的B細胞の多くが発現する。
先に述べたように、クローン性B細胞集団は、所望の抗原に対する抗体を産生する抗体分泌B細胞を主に含むと考えられる。また、複数の抗原及び異なるB細胞集団を用いて取得した実験結果に基づくと、本発明に従ってクローン的に作製したB細胞及び当該B細胞から単離した抗原特異的B細胞は、概して、比較的親和性が高いモノクローナル抗体を分泌し、さらに、培養した抗原特異的B細胞からモノクローナル抗体を得る他の方法と比較して、エピトープ多様性がより高い種々のモノクローナル抗体の選択を効率的にかつ再現性よく産生できると思われる。例示的な実施形態において、当該B細胞選択法に使用される免疫細胞集団はウサギ由来である。しかしながら、非ヒト宿主及びヒト宿主を含む、抗体を産生する他の宿主も免疫B細胞の供給源として代替的に使用できる。B細胞の供給源としてウサギを使用すると、本方法によって得ることができるモノクローナル抗体の多様性が向上し得ると考えられる。また、本発明に従ったウサギ由来の抗体配列は、概して、ヒト抗体配列に対して高度の配列同一性を持つ配列を有し、抗原性が低いので、ヒトにおける使用に有利である。ヒト化の過程において、最終的なヒト化抗体に含まれる外来性/宿主残基はかなり低くなり、通常は、グラフト化に使用されるヒト標的配列に対する性質に起因して大幅に異なる宿主CDR残基のサブセットに限定される。これにより、ヒト化抗体タンパク質における完全な活性回収の確率が高くなる。
同定した抗原特異的細胞を使用して、所望のモノクローナル抗体のコードに対応する核酸配列を得ることができる。(RT−PCR産物のAluI消化または直接配列決定により、ウェルごとに単一のモノクローナル抗体種のみが産生されたことが確認できる。)上述したように、これらの配列は、ヒト用薬剤の使用に適するようにヒト化することなどの突然変異を施してもよい。
好ましくは、当該方法は、選択した抗体のポリペプチド配列または対応する核酸配列の配列決定工程をさらに含む。当該方法はまた、好ましくは、選択した抗体の配列、その断片または遺伝子修飾型を用いた組換え抗体の作製工程を含む。所望の特性を保持するために抗体配列を変異させる方法は、当業者によく知られており、ヒト化、キメラ化、一本鎖抗体の作製が挙げられ、これらの変異方法により、所望のエフェクター機能、免疫原性、安定性、グリコシル化の除去または付加などを有する組換え抗体を得ることができる。組換え抗体は、任意の好適な組換え細胞によって産生させてもよい。好適な組換え細胞には、CHO、COS、BHK、ヒト腎臓293などの哺乳類細胞、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞及び両生類細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、一倍体または倍数体の酵母細胞、すなわち、一倍体または二倍体の酵母細胞、特にピキア、最も典型的にはピキア・パストリスで抗体を発現させる。研究、診断及び治療の用途に潜在的に適する機能性抗体を産生させる、費用効果の高いプラットフォームとして、ピキア・パストリス酵母を確立するには、先の研究が役立つ。共有米国特許第7,935,340号、同7,927,863号及び同8,268,582号を参照されたい。これらの各特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、組換えタンパク質発現用のピキア・パストリス発酵の設計方法も文献にて知られており、細胞密度、ブロス容量、基質供給量及び反応の各段階の長さなどのパラメータに関する最適条件について記載されている。Zhangら、「Rational Design and Optimization of Fed−Batch and Continuous Fermentations」Cregg,J.M.,Ed.,2007,Pichia Protocols(2nd edition),Methods in Molecular Biology,vol.389,Humana Press,Totowa,N.J.、43〜63頁を参照されたい。また、「MULTI−COPY STRATEGY FOR HIGH−TITER AND HIGH−PURITY PRODUCTION OF MULTI−SUBUNIT PROTEINS SUCH AS ANTIBODIES IN TRANSFORMED MICROBES SUCH AS PICHIA PASTORIS」と題するUS20130045888、及び「HIGH−PURITY PRODUCTION OF MULTI−SUBUNIT PROTEINS SUCH AS ANTIBODIES IN TRANSFORMED MICROBES SUCH AS PICHIA PASTORIS」と題するUS20120277408も参照されたい。
ピキア・パストリスの処理に関して使用できる例示的な方法(培養、形質変換及び接合の方法を含む)は、U.S.20080003643、U.S.20070298500及びU.S.20060270045などの公開出願、ならびにHiggins,D.R.,and Cregg,J.M.,Eds.1998.Pichia Protocols.Methods in Molecular Biology.Humana Press,Totowa,N.J.、及びCregg,J.M.,Ed.,2007,Pichia Protocols(2nd edition),Methods in Molecular Biology.Humana Press,Totowa,N.J.に開示されている。これらのそれぞれは、その全体が参照により組み込まれる。
ある特定の実施形態において、当該方法は、
a.宿主抗体を得るために、抗原で免疫にした動物または自然感染した動物からB細胞を取得すること、
b.抗原特異性及び中和について宿主抗体をスクリーニングすること、
c.宿主からB細胞を採取すること、
d.抗原特異的細胞の頻度が向上した濃縮細胞集団を作製するために、採取したB細胞を濃縮すること、
e.少なくとも1つの培養ウェル中でクローン性集団を作製するために、単一B細胞の生存に有利な条件下で濃縮細胞集団から得た1つ以上のサブ集団を培養すること、
f.クローン性集団が抗原に特異的な抗体を産生するかどうかを決定すること、
g.クローン性と想定されるB細胞培養物からの細胞の一部またはすべてを単離すること、及び任意で、クローン性と想定される異なるB細胞培養物からの細胞をプールすること、
h.陽性または陰性の細胞分取を容易にする少なくとも1つの標識で、単離した細胞(任意でクローン性と想定される異なるB細胞培養物からプールしたもの)を染色すること、
i.染色したB細胞を分取すること、及び任意で、染色分取したB細胞をゲーティングしてから、B細胞によって発現される抗体に含まれる抗原特異的可変配列の増幅を容易にするためのRT−PCR反応媒体に、分取したB細胞を入れること、
j.単一B細胞によって産生される抗体の核酸配列の配列を決定すること、
k.増幅させた抗原特異的抗体の可変領域をコードする核酸を発現させ、抗体ポリペプチドを作製すること、ならびに
l.発現させた抗体ポリペプチドのうち目的の抗原に結合する抗体ポリペプチドを決定することを含む。
決定工程(f)は、抗原特異性及び/または抗体機能性に関して、濃縮した抗原特異的細胞の抗原特異的細胞の上清をスクリーニングすることによって実施することができる。同様に、決定工程(l)も、抗原特異性及び/または抗体機能性に関して、組換え抗体をスクリーニングすることによって実施することができる。一実施形態において、濃縮した抗原特異的B細胞及び/または組換え抗体の上清をELISAアッセイを用いて抗原特異性についてスクリーニングする。
発明者らは、本明細書に記載の同定方法及びクローニング方法が、種々の抗原に対する抗体の量及び多様性に改善をもたらすことを証明している。
たとえば、PCSK9抗原特異性を有する濃縮B細胞から産生された抗体の抗原特異的可変領域をコードする核酸を増幅させ配列決定し、その核酸から組換え発現させた抗PCSK9抗体を産生させた後に、ELISAアッセイを使用してこの組換え抗体をスクリーニングしてPCSK9結合親和性を決定し、LDL取込みアッセイでPCSK9とLDLRの相互作用を調節する能力を有する抗体を検出した。たとえば、Lagaceら(2006)Secreted PCSK9 decreases the number of LDL receptors in hepatocytes and in livers of parabiotic mice.J.Clin.Investig.116(11):2995−3005を参照されたい。ELISAスクリーニングを用いて特定した陽性ウェルについて、合計で21個の異なる細胞分取を実施した。これには、単一ウェルとプールした細胞の両方の分取が含まれる。複数の抗体配列を単離し、本明細書に記載の同定方法及びクローニング方法を使用して、その結果として得られる組換え抗体、たとえばAb1及びAb2を作製した(実施例8参照)。
別の例として、CGRP抗原特異性を有する濃縮B細胞から産生された抗体の抗原特異的可変領域をコードする核酸を増幅させ配列決定し、その核酸から組換え発現させた抗CGRP抗体を産生させた後に、ELISAアッセイを用いて組換え抗体をスクリーニングして抗原結合親和性を決定した。また、抗CGRP抗体は、SK−N−MC細胞においてcAMP産生を阻害する能力を有する抗体を検出するアッセイを用いてもスクリーニングできる。たとえば、Zellerら(2008)CGRP function−blocking antibodies inhibit neurogenic vasodilation without affecting heart rate or arterial blood pressure in rate.Br J Pharmacol155(7):1093−1103を参照されたい。ELISAスクリーニングで、35個の異なる陽性ウェル(すなわち、著しい抗原認識及び効力を有することが確認された抗体上清を含有するウェル)を特定した。35個のウェルを一緒にプールし、陽性及び陰性のB細胞選択のために染色し、本明細書に記載のRT−PCT方法を用いて単離し、プールしたB細胞から19個の異なる抗体配列を作製した。さらに、6個の異なる陽性ウェルのそれぞれについて、単一ウェル分取を行った。6個のウェルのうち5個が抗CGRP特異性抗体を産生することが確認された。本明細書に記載の同定方法及びクローニング方法を用いて同定した例示的な抗CGRP抗体には、Ab3及びAb4が挙げられる(実施例9参照)。
さらに、標的1抗原特異性を有する濃縮B細胞から産生された抗体の抗原特異的可変領域をコードする核酸を増幅させ配列決定し、その核酸から組換え発現させた抗標的1抗体を産生させた後に、標的1結合親和性に関して、ELISAアッセイを用いて組換え抗体をスクリーニングした(実施例10参照)。
さらに、NGF抗原特異性を有する濃縮B細胞から産生された抗体の抗原特異的可変領域をコードする核酸を増幅させ配列決定し、その核酸から組換え発現させた抗NGF抗体を産生させた後に、ELISAアッセイを用いて組換え抗体をスクリーニングして抗原結合親和性を決定した。TF1細胞増殖アッセイを用いて抗体を同じくスクリーニングし、TF1ヒト赤白血病細胞株においてNGF誘発増殖を中和する能力を有する抗体を検出した。たとえば、Chevalierら(1994)Expression and functionality of the trkA proto−oncogene product/NGF receptor in undifferentiated hematopoietic cells.Blood83:1479−1485を参照されたい。ELISAスクリーニングで複数の陽性ウェルを特定し、そのうち54個の陽性ウェルを分取した。具体的には、34個のウェルを単一ウェル分取で分取し、20個のウェルをプール分取で分取した。合計で8個の異なる分取を行い、増殖と配列決定を行った。次に、得られた抗体を機能特性(p75反応性及び/またはMs NGF交差反応性など)についてスクリーニングし、たとえばAb7及びAb8などの15個の異なる抗体を同定した(実施例11参照)。
最後に、標的2抗原特異性を有する濃縮B細胞から産生された抗体の抗原特異的可変領域をコードする核酸を増幅させ配列決定し、その核酸から組換え発現させた抗標的2抗体を産生させた後に、ELISAアッセイを用いて組換え抗体をスクリーニングして抗原結合親和性を決定した(実施例12参照)。
また、IL−6及びTNFαに対する抗体の同定及び作製の改善については、US2007/0269868でも示されている。当該特許にて開示された方法は、濃縮方法及び抗原特異的細胞の単離方法、すなわち、本明細に記載の染色方法及び分取方法を含むように容易に変更することができる。
本発明のB細胞選択方法の概要を図15A〜Cに示す。これらの図は、ビーズ/抗原/細胞複合体をどのように作製するかという最初の工程が異なる2つの例示的実施形態を示すものである。方法1(図15A、左上隅から開始)では、免疫細胞(たとえば、抗原で免疫にした動物または別の方法で抗原に曝露させた動物から得た抗原特異的B細胞など)を収集し、最初にビオチン化抗原と合わせ、得られた抗原被覆細胞を洗浄し、その後、ストレプトアビジンマイクロビーズと接触させて、ビーズ/抗原/細胞複合体を作成する。対照的に、方法2(図15A、右上隅から開始)では、ストレプトアビジンマイクロビーズをビオチン化抗原と合わせて、得られたビーズ/抗原複合体を磁気カラムにかけ、洗浄し、溶出してから、抗原/ビーズ複合体を免疫細胞(たとえば、抗原で免疫にした動物または別の方法で抗原に曝露させた動物から得た抗原特異的B細胞など)とともにインキュベートして、ビーズ/抗原/細胞を作成する。これらの方法は以下の点が異なる。方法1では、最初に抗原とビーズを結合させないので、B細胞の結合により高い自由度があるが、保持力がビーズによって捕捉されるビオチン化抗原に依存するので、一部のB細胞を取りこぼす場合がある。対照的に、方法2では、ビーズ抗原複合体を先に作成することで、細胞抗原複合体の捕捉ができないためにB細胞を取りこぼすということはないが、抗原はビーズとの結合によって制限されているために、B細胞に結合することが難しい場合があり、この場合においても一部の抗原特異的B細胞を取りこぼすことになる。
ビーズ/抗原/細胞複合体は、方法1または方法2のいずれによって作成されたとしても、磁気カラムにかけて、洗浄する。その後、カラムを磁石から取り外して細胞(抗原特異的B細胞を含む細胞)を溶出する。細胞分取(たとえばMACSなど)を利用すると、培養プレート当たりの細胞数を制御することができるが、他の技術も同じく利用可能である。通常、細胞は、1ウェル当たり様々な密度で96ウェルマイクロタイタープレートに播種される。概して、10プレートで、1ウェル当たり10、25、50、100、250または500個の細胞を各密度で播種する。播種密度の範囲は、後続の培養後に抗原特異的B細胞のクローン性集団がウェル(すなわち、所望の抗原に特異的な単一のモノクローナル抗体を含有するウェル)に含まれるプレートが得られるように選択した。(EL4フィーダー細胞と)培養すると、約1〜約100個の抗原特異的クローン性IgG産生B細胞が各ウェルに含まれる。
図15Bは、例示的な培養条件、機能アッセイ及び抗原認識アッセイを概略的に示すものであり、目的の抗原特異的B細胞を含む細胞培養物が入っているウェルを選択するために用いることができる。これらの培養物は、通常、5〜7日間静置する。この間にB細胞集団が増加し、抗体が培地中に分泌される。その後、分泌された抗体を含む上清を収集し、抗原結合親和性及び/または機能効果などの所望の特定について評価する。好ましくは、クローン密度で播種されたプレート(すなわち、多くのウェルが所望の抗原に特異的な単一抗体のみを含むもの)から上清を収集する。所与のウェルの上清を評価することによって得られた結合性及び機能性の結果は、単一抗体の結果と考えられ(抗体の組み合わせとは対照的に)、さらに、クローン性B細胞集団がウェルに含まれれば、複数の個別の抗体のクローニング及び検査を行うことなく、より効率的に抗体をクローニングできるので、クローン性集団の使用により、スクリーニングの効率と処理量が上がる。
抗原認識抗体を含む上清(たとえば、ELISAで特定したもの)は、さらなる使用及び任意の凍結のために、個別のプレートに移すことができる。残りの細胞は、任意で、たとえば−80℃で凍結することができ、培養を行ったのと同じプレートで簡便に行える。抗原認識抗体を含む上清について、所望の活性(たとえば、標的におけるアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性)に関する機能性アッセイ及び/または特異性のさらなる試験(たとえば、類似ポリペプチドのような別の抗原ではなく、所望の抗原への特異的結合)などのさらなる試験を実施してよい。所望の機能特性を有する抗体を産生するウェルを解凍して、抗体コード配列の増幅を行うことができる。
図15Cは、個々の細胞を得て抗体コード配列の増幅及び回収を行うための抗原特異的B細胞の分取を概略的に示すものである。解凍した細胞を抗ウサギIgG(陽性染色、すなわち抗体産生B細胞を染色)または抗Thy−1.2(陰性染色、すなわち非抗体細胞を染色)で染色する。また、ヨウ化プロピジウムを使用して生存率についても細胞を染色する。陽性または陰性の染色法、PI染色及び物理的ゲーティング基準(本明細書にてさらに記載)を使用して、培養物に含まれるEL−4及び他の細胞からB細胞を単離し、個々のウェルに分取する。その後、抗体コード核酸をRT−PCRによって増幅し、クローニング、配列決定または他の使用のために回収する。
上述した本発明をさらに明確にするために、以下の非限定的な実施例を提供する。
実施例1:濃縮した抗原特異的B細胞抗体培養物の作製
目的の標的抗原に対する自然免疫応答を利用するために、従来の抗体宿主動物を免疫にすることによって、抗体パネルを得る。通常、免疫付与に用いる宿主は、類似の成熟プロセスを用いて抗体を産生し、同等の多様性(たとえば、エピトープ多様性)を有する抗体を産生する抗原特異的B細胞集団を与える、ウサギまたは他の宿主である。最初の抗原免疫付与は完全フロイントアジュバント(CFA)を用いて行い、後続の追加免疫は不完全アジュバントにより行うことができる。免疫付与から約50〜60日、好ましくは55日目に、抗体力価を試験し、適切な力価が確立されている場合は、抗体選択(ABS)プロセスを開始する。ABSの開始にあたって重要な2つの基準は、ポリクローナル血清における強力な抗原認識と、機能修飾活性である。
陽性の抗体力価が確立された時点で、動物を屠殺してB細胞の供給源を解離する。これらの供給源には、脾臓、リンパ節、骨髄及び末梢血単核細胞(PBMC)が挙げられる。単一細胞懸濁液を作製し、この細胞懸濁液を低温長期保存ができるように洗浄する。その後、通常は細胞を凍結する。
抗体同定プロセスを開始するために、少量の凍結細胞懸濁液を解凍し、洗浄して、組織培養培地に播種する。その後、動物の免疫応答を引き起こすために使用したビオチン化形態の抗原とこれらの懸濁液とを混合し、Miltenyi磁気ビーズの細胞選択法を用いて抗原特異的細胞を回収する。ストレプトアビジンビーズを使用して、特異的濃縮を実施する。たとえば、細胞調製物をビオチン化抗原及びストレプトアビジンビーズと合わせて、抗原特異的B細胞がカラムに結合するようにカラムに通し、その後、結合したB細胞を溶出する。濃縮した集団を回収し、次の段階である特異的B細胞の単離に進む。
実施例2:クローン性抗原特異的B細胞含有培養物の作製
実施例1に従って作製した濃縮B細胞を、ウェル当たりの細胞密度を変えて96ウェルマイクロタイタープレートに播種する。概して、1グループ当たり10プレートで、1ウェル当たり10、25、50、100、250または500細胞である。好ましくは、約1〜約100個の抗原特異的なクローン性IgG産生B細胞をウェルごとに播種する。1〜4%活性化ウサギT細胞馴化培地と、約50Kの凍結照射済みEL4(EL4B)フィーダー細胞とを、培地に添加する。これらの培養物を5〜7日間静置した後に、分泌された抗体を含有する上清を収集し、別個のアッセイ設定で標的特性について評価する。残りの上清はそのままにして、プレートを−80℃で凍結する。これらの条件下における培養プロセスにより、通常、抗原特異的B細胞のクローン性集団を含む混合細胞集団を含有するウェルが得られる。すなわち、個々のウェルには、所望の抗原に特異的な単一のモノクローナル抗体しか含まないことになる。
実施例3:所望の特異性及び/または機能特性を持つモノクローナル抗体についての抗体上清のスクリーニング
実施例2に従って作製したクローン性抗原特異的B細胞集団を含むウェルから得た抗体含有上清を、ELISA法を用いて、最初に抗原認識についてスクリーニングする。これには、選択的抗原固定化(たとえば、ストレプトアビジンコーティングプレートによるビオチン化抗原の捕捉)、非特異的抗原プレートコーティング、またあるいは、抗原堆積法を介すること(たとえば、ヘテロマーのタンパク質−抗原複合体を生成するために、選択的抗原捕捉の後に結合相手を添加する)が含まれる。たとえば、ウサギ(抗原に自然感染したものまたは抗原で免疫にしたもの)から得たB細胞に由来する抗体を含む上清を、ビオチン修飾抗原でコーティングしたストレプトアビジンプレートまたは未修飾抗原でコーティングしたプレートに添加し、抗ウサギIgGを用いて抗原特異的IgG産生を検出する。同様に、ウサギから得たB細胞に由来する抗体を含む上清を、抗ウサギFabでコーティングしたプレートに添加して総IgG産生を検出する。たとえば、マウス、ラット、非ヒト霊長類またはヒトなどの別の宿主動物から得たB細胞による抗原特異的IgG産生の検出は、たとえば、抗マウスIgG、抗ラットIgG、抗非ヒト霊長類IgGまたは抗ヒトIgGなどの対応する抗種IgGを用いて実施される。
抗原特異的ウェルと総IgG(非特異的)ウェルの比は、濃縮及びクローン性の指標である。特に、濃縮した抗原特異的B細胞で確立した培養物は、抗原特異的ウェルが多くなるが(図1の上パネル参照)、濃縮が不十分な抗原特異的B細胞で確立した培養物は、抗原特異的ウェルと非特異的ウェルとの間の相関関係が弱い(図1の下パネル参照)。
その後、濃縮B細胞の抗原陽性ウェルの上清を、厳密にリガンド依存的である機能修飾アッセイにおいて必要に応じて検査する。かかる例の1つは、抗原リガンドと組換え受容体タンパク質との自然の相互作用を再現する、in vitroでのタンパク質間相互作用アッセイである。あるいは、リガンド依存性で、かつ容易に監視できる、細胞に基づく応答(たとえば、増殖応答)を利用する。
著しい抗原認識及び効力を呈する上清を陽性ウェルとみなす。元の陽性ウェルから得た細胞を、抗体回収段階へと移行させる。
実施例4:抗原特異的B細胞の単離
単一抗体配列を分泌する抗原特異的B細胞のクローン性集団(実施例2及び3に従って作製したもの)を含むウェルから単一抗原特異的B細胞を回収する。通常、抗原特異的B細胞の陰性選択または陽性選択のために、ウェル中に存在するB細胞を1つ以上のマーカーで染色し、単離したB細胞によって発現される抗体の抗原特異的可変重鎖及び/または可変軽鎖の抗体配列の増幅及び続く配列決定のために、染色した細胞をRT−PCRマスターミックスに直接的または間接的に分取する。
目的のプールウェルまたは単一ウェルと組成が類似するコントロール培養ウェルを用いて、細胞分取ゲーティングを確立した。ゲーティング細胞サンプルを目的ウェルと並行して解凍し、染色した。非染色集団またはブランク集団について最初のゲートを確立する。その後、染色コントロールサンプルをFACS(BD Influx)にかけ、EL4除外(CD90.2陽性)、B細胞包含(IgG陽性)、生存率(PI陰性)、及びB細胞とマウスEL4細胞とを区別する物理的パラメータ(FSC/SSC)に関するゲートを確認する。後者のゲートは、培養物中のEL4細胞とは異なる物理的性質(大きさ/粒度)に基づくので、染色がなくても確立することができる。ゲートが確立したら、個々のウェルから得た細胞または複数のウェルのプール細胞からなるサンプルを処理し、EL4陰性/IgG陽性の生存細胞であって、好ましくは一定の物理的(FSC/SSC)集団を持つ細胞を、RT−PCRマスターミックスを予め充填した96ウェルプレートのウェルに個別に分取する。図8を参照されたい。あるいは、autoMACS(登録商標)または他のMACS(登録商標)細胞分取技術、たとえば、手動または自動の細胞分取及び分離用の約50−nmの超常磁性マイクロビーズ、カラム及び分離器を用いてもよい。分取後のプレートを分取器から取り外し、目的のVH領域及び/またはVL領域をRT−PCR増幅するために、サーマルサイクラーまたは−80℃のいずれかに直接移す。
抗原特異的B細胞の陰性選択では、細胞混合物中に存在するマウスEL4細胞に特異的な蛍光標識抗体(CD90.2、BD Biosciences、553014)を2〜10μg/ml用いて、細胞を染色した。細胞を室温で約20分間染色し、続けてインキュベーションを行い、最大2mlのFACS緩衝液で2回洗浄した。洗浄後、FACS緩衝液1ml当たり約1×10E6(100万個)の細胞を再懸濁した。再懸濁後、ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences、556463)を0.2〜0.5μg/ml添加して、混合物中の死細胞を特定した。Thy1.2及びPIが陽性染色ではなかった細胞を選択した(図3の上パネル参照)。任意で、最後のFSC/SSCゲートを用いて、表現型がより大きく、顆粒状でないThy1.2/PI陰性細胞集団のサブ集団を選択する(図3の下パネル参照)。
抗原特異的B細胞の陽性選択では、細胞混合物中に存在するウサギB細胞に特異的な蛍光標識抗体(抗ウサギIgG Fc、Creative Diagnostics、DMAB4779)を2〜10μg/ml用いて、細胞を染色した。細胞を室温で約20分間染色し、続けてインキュベーションを行い、最大2mlのFACS緩衝液で2回洗浄した。洗浄後、FACS緩衝液1ml当たり約1×10E6(100万個)の細胞を再懸濁した。再懸濁後、ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences、556463)を0.2〜0.5μg/ml添加して、混合物中の死細胞を特定した。ウサギIgGが陽性染色で、PIが陰性染色であった細胞を選択した(図4上パネル参照)。任意で、最後のFSC/SSCゲートを用いて、主集団よりも表現型がより大きく、顆粒状でないウサギIgG+及びPI−の細胞集団のサブ集団を選択する(図4の下パネル参照)。
染色B細胞を個々のウェルから分取することができる(単一ウェル分取)。通常、10〜20個のウェルを個別に染色し、増幅の前に個別に分取する。あるいは、複数のウェルの染色B細胞を一緒にプールして、分取してもよい(プール細胞分取)。たとえば、少なくとも100個の別個のウェルの内容物を解凍して、染色のために単一サンプルとして一緒にプールする。その後、プールした染色細胞を分取し、増幅し、配列決定する。
単一ウェル分取では、目的のウェルを含むプレートを−80℃から取り出し、ウェル当たり200μlの培地(10%RPMI完全、55μM BME)で5回洗浄して各ウェルから細胞を回収した。回収した細胞を遠心分離によりペレット状にし、上清を注意深く除去した。その後、各ウェルから得た細胞をFACSチューブ内の200μl培地中に再懸濁した。キャップを緩めに固定して、細胞を37℃で120分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を遠心分離によりペレット状にし、最大2mlのFACS緩衝液(2%FBS含有ダルベッコPBS)で洗浄して、100μlのFACS緩衝液中に再懸濁した。
プールセル分取では、目的のウェルを含むプレートを−80℃から取り出し、ウェル当たり200μlの培地(10%RPMI完全、55μM BME)で5回洗浄して各ウェルから細胞を回収した。回収した細胞を遠心分離によりペレット状にし、上清を注意深く除去した。その後、プール細胞を1ウェル当たり200μlの培地中に再懸濁し(Xウェル×200μL=総容量)、適量の組織培養フラスコに移した。細胞を37℃で120分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を遠心分離によりペレット状にし、最大2mlのFACS緩衝液(2%FBS含有ダルベッコPBS)で洗浄して、プールしたウェルにつき100μlのFACS緩衝液で再懸濁した。
実施例5:抗原特異的B細胞からの抗体配列の単離
組み合わせRT−PCRに基づく方法を用いて、実施例4に従って作製した単一の単離B細胞から、抗体配列を回収する。ウサギ免疫グロブリン配列などの標的免疫グロブリン遺伝子(重鎖及び軽鎖)の保存領域及び定常領域でアニールするようにプライマーを設計し、2段階方式のネステッドPCR法による回収工程を用いて抗体配列を取得する。たとえばT7などの発現ベクターから作成した合成コントロールRNAサンプルを陽性コントロールとして用いる。各ウェルのアンプリコンをPico Green分析によって回収について分析し、必要に応じてサイズ完全性について(たとえば、電気泳動によって)分析する。PCR産物をマルチウェルプレート形式(たとえば、96ウェルプレート)で直接配列決定し、Pico Greenを用いて染色する。あるいは、得られた断片をAluIで消化して、配列のクローン性をフィンガープリント法で確認する。同一の配列は、電気泳動分析で共通の断片化パターンを呈する。意義深いことに、細胞のクローン性を証明するこの共通の断片化パターンは、最初に1,000細胞/ウェルまで播種したウェルにおいてさえ概ね観察される。ゲル電気泳動及び臭化エチジウム染色を用いて、得られたAluI消化物を分析する。その後、元の重鎖及び軽鎖のアンプリコン断片を、制限酵素HindIIIとXhoI、またはHindIIIとBsiwIで消化して、クローニングのために個々のDNA断片を調製する。その後、得られた消化断片を発現ベクター中に連結し、プラスミドの増殖及び作製のために細菌の中に形質転換する。配列の特徴を決定するためにコロニーを選択する。
通常、最後のFSC/SSCゲートで分取した、抗原を発現している特異的B細胞は、より大きく、顆粒状でない一定の表現型を有しているので、増幅の成功率が平均よりもよい。たとえば、所望の断片パターンを示したのは、Thy1.2/PI陰性B細胞では88個のうち1個(最後のFSC/SSCゲートなし)であったのに対して、FSC/SSCでゲートして試験したThy1.2/PI陰性B細胞では88個のうち26個であった。図5を参照されたい。
さらに、陰性選択及び陽性選択で染色したプール分取を評価すると、FSC/SSCでゲートした抗CGRP抗体を産生するB細胞では、増幅率の改善が認められた。具体的には、ELISAを用いた抗原特異性試験で陽性であったB細胞の上清を含有するCGRP培養プレートから得た32個の個別のウェルを一緒にプールし、プール集団のサブ集団を陰性選択(Thy1.2)及び陽性選択(抗ウサギFcモノクローナルまたは抗ウサギFcポリクローナル)で染色した。初めに、陰性選択染色から得た96個のウェルを分取した場合、FSC/SSCでゲートしたB細胞の69.8%がVH鎖及びVL鎖の増幅をもたらした。さらに、抗ウサギFcモノクローナル陽性選択染色から得た80個のウェルを分取した場合、FSC/SSCでゲートしたB細胞の91.3%がVH鎖及びVL鎖の増幅をもたらした。最後に、抗ウサギFcポリクローナル染色から得た96個のウェルを分取した場合、FSC/SSCでゲートしたB細胞の80.2%がVH鎖の増幅を、84.4%がVL鎖の増幅をもたらした。
実施例6:所望の抗原特異性及び/または機能特性を持つモノクローナル抗体の組換え作製
単一のモノクローナル抗体を含む各ウェルについて、正確な完全長の抗体配列を確立し、Qiagen固相法を用いてミニプレップDNAを調製する。その後、このDNAを用いて哺乳動物細胞をトランスフェクトし、完全長の組換え抗体を産生させる。抗原認識及び機能特性について未処理の抗体産物を試験し、組換え抗体タンパク質中に元の特徴が認められるかどうか確認する。任意で、大規模な哺乳類細胞の一過性トランスフェクションを完了させ、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって抗体を精製する。標準的な方法(たとえば、ProteOnまたはBiacore(登録商標))及び効力アッセイのIC50でKDを評価する。
実施例7:単離したB細胞の可変軽鎖及び重鎖配列の回収ならびに組換え抗体の発現
軽鎖及び重鎖のコード配列を、−70℃で先に保存した単一B細胞から回収した。2段階逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)プロセスを採用した。工程1では、標準的なRTに基づく方法で対象領域をコードするRNAを回収し、続けて増幅した。工程2は、発現ベクターへの方向性クローニングに適切なDNA断片を生成するネステッドプライマーPCR増幅によって行った(軽鎖:HindIII/BsiWI、重鎖:HindIII/XhoI)。この回収プロセスのための特異的配列は、宿主動物のゲノムの配列解析から得た。新しい配列の主な出所は、ウサギ、マウス及びラットである。プライマー配列は以下の通りであった。
クローニングしたcDNAを、組換え軽鎖及び重鎖の発現を可能にする2つの異なる哺乳類発現ベクターに連結した(カッパ軽鎖定常部及びガンマ−1(γ−1)重鎖定常部)。これらの構築物をインフレームで作製し、配列回収に含まれる自然のシグナル配列を組み入れた。各発現プラスミドについて大規模なDNA調製を行い、両方のプラスミドを用いたヒト腎臓293細胞へのトランスフェクションによって、完全長のウサギ/ヒトキメラ抗体の一過性の生成を行った。5日間の培養後、得られた細胞を遠心分離により取り出し、抗原認識についての試験を直接馴化培地で行うか、またはプロテインAクロマトグラフィーによって組換え抗体を親和性精製にかけた。
次に、上述したELISA法を用いて、抗原認識について抗体を試験した。さらに、精製した抗体については、ForteBio OctetまたはBioRadもしくはProteOn測定によって、KDを確立した。最後に、回収した配列に関連した特定のウェルに起因する本来の機能修飾特性を試験した。
軽鎖及び重鎖の配列回収に関する実験方法
当該方法は、製造元によるQiagen One Step RT−PCRキットの説明に記載された技術に基づくものである。一般的なマスターミックスを調製し、RNAの分解を防ぐためにRNasin(Promega)を含めた。工程1の各プライマー(プライマー配列番号:1、3、7及び9)0.58μMを含むRT−PCRマスターミックス50μLを、事前に回収した凍結細胞を含む250μLのエッペンドルフチューブに添加し、氷上で注意深く混合した。以下のサイクルスキームで1段階RT−PCRを行った。(1)50℃、30分、(2)95℃、15分、(3)94℃、30秒、(4)54℃、30秒、(5)72℃、1分、(6)工程3に戻り、合計35サイクル、(7)72℃、3分、及び(8)4℃に保持。
これらのサイクルが完了したら、異なる反応液で第2のPCR増幅を行い、第1のRT−PCR反応液1.5μLを用いて軽鎖及び重鎖の可変領域を回収した。以下のサイクルスキームを用いて、0.4μMの第2のネステッドPCRプライマー軽鎖(プライマー配列番号:2及び4、配列番号:2及び5、または配列番号:2及び6)ならびに重鎖(プライマー配列番号:8及び10)で、KODポリメラーゼを用いた増幅(Novagen)を行った。(1)94℃、2分、(2)94℃、30秒、(3)60℃、30秒、(4)72℃、45秒、(5)工程2に戻り、合計35サイクル、(6)72℃、3分、及び(7)4℃に保持。
第2の増幅が完了したら、反応液10μLを取り、2%TAEアガロースゲル電気泳動により分析した。残りの反応液40μLをQiagen Qiaquick(商標)PCR Clean−upキットによって精製し、75μLで溶出した。
続けて、これらのアンプリコンを、以下の条件を用いて、軽鎖の場合はHindIII/BsiWIで、重鎖の場合はHindIII/XhoIで消化した。精製したPCR産物10μL、10×New England Biolabs制限酵素バッファー2 3μL、HindIII 0.5μL(5U)、及びBsiWI 0.5μL(5U)またはXhoI 0.5uLを、37℃で60分、その後55℃で30分。消化断片をQiagen Qiaquick(商標)PCR法によって精製した。次に、これらの断片を適切な発現ベクターに連結した。この反応液2μLを使用して、TOP10(Invitrogen)またはXL−10(Stratagene)のいずれかを形質転換し、形質転換した細胞をLB/カナマイシン(50μg/mL)上に播種した。
以下のプライマーを用いたPCRスクリーニング法によって、得られたコロニーをインサートについてスクリーニングした。
コロニーを選択して、LB/カナマイシン60μLに入れ、30分間インキュベートした。30分の時点で約1μLを取り、2μMのプライマー対(配列番号:11及び12(重鎖)、及び配列番号:11及び13(軽鎖))を含む標準的な30μLのKOD増幅反応(Novagen)に使用した。増幅スキームは、以下とした。(1)96℃、2分、(2)96℃、20秒、(3)68℃、25秒、(4)2に戻り、合計40サイクル繰り返す、及び(5)68℃、2分。
Pico Green分析を用いて増幅を確認した。その後、サンプルの配列をマルチウェルプレート形式、たとえば96ウェルプレートで直接決定した。
実施例8:ヒトPCSK9に結合する抗体の調製
本明細書に記載の抗体選択プロトコールを使用することにより、ヒトPCSK9(huPCSK9)に対して特異性を有する別個の抗体であるAb1及びAb2などの広範囲な抗体パネルを作製することができる。抗体は、huPCSK9に対して高い親和性を有し(たとえば、約10〜約900pM KD)、細胞ベーススクリーニングシステムにおいて、huPCSK9の強力なアンタゴニスト作用を呈する(HepG2)。さらに、この抗体コレクションは、huPCSK9誘導プロセスに対して、異なる機序のアンタゴニスト作用を示した。
免疫付与方法:ウサギをhuPCSK9(R&D)で免疫にした。免疫付与は、完全フロイントアジュバント(CFA)(Sigma)に含ませた100μgの最初の皮下(sc)注射と、その後、2週間の間を空けた、不完全フロイントアジュバント(IFA)(Sigma)に含ませた各回50μgの2回の追加免疫とした。55日目に動物から採血し、ELISA(抗体認識)によって血清力価を決定した。
抗体選択の力価評価:ヒトhuPCSK9に結合する抗体を同定し、その特徴を調べるために、抗体含有溶液をELISAで試験した。概略すれば、ニュートロアビジンコーティングプレート(Thermo Scientific)を、PBSで希釈したビオチン化ヒトPCSK9(1ウェル当たり50μL、1μg/mL)を用いて、室温で約1時間または4℃で一晩コーティングした。その後、プレートをELISA緩衝液を用いて室温で1時間ブロックし、洗浄緩衝液(PBS、0.05%Tween20)を用いて洗浄した。試験用血清サンプルをELISA緩衝液(pH7.4のPBS中0.5%魚皮ゼラチン)を用いて連続希釈した。希釈した血清サンプルのうち50μLをウェルに移し、室温で1時間インキュベートした。このインキュベーションの後、プレートを洗浄緩衝液で洗浄した。顕色のために、抗ウサギ特異的Fc−HRP(ELISA緩衝液で1:5000の希釈)をウェルに添加して、室温で45分間インキュベートした。洗浄溶液による3回の洗浄工程の後、TMB基質を使用してプレートを室温で2分間顕色させ、0.5M HClを用いて反応を停止させた。ウェルの吸光度を450nmで読み取った。
組織採取:許容可能な力価が確立された時点でウサギを屠殺した。脾臓、リンパ節及び全血を採取し、以下の通り処理した。
脾臓及びリンパ節は、組織を分離して、20ccシリンジのプランジャーを用いて70μmの滅菌ワイヤーメッシュ(Fisher)に通すことによって、単一細胞懸濁液へと処理した。低グルコースを含む、上述の改変RPMI培地に細胞を収集した。遠心分離によって細胞を2回洗浄した。最後の洗浄後、トリパンブルーで細胞を染色し、血球計算盤で計測することで細胞密度を決定した。細胞を1500rpmで10分間遠心分離にかけ、上清を破棄した。FBS(Hyclone)中の適量の10%ジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma)に細胞を再懸濁し、1ml/バイアルで分注した。その後、バイアルを−70℃で24時間保存してから、長期保存のために液体窒素(LN2)タンク内に収納した。
全血を2000rpmで30分間遠心分離にかけ、血漿を除去し、残りの血液量をPBSで50mLに再懸濁し、新しい2つの50mLコニカルチューブ(Corning)に同容量になるよう分けることで末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。8mLのLympholyte Rabbit(Cedarlane)を注意深く血液混合物の下になるように入れ、室温で30分間、2000rpmでブレーキなしで遠心分離にかけた。遠心分離後、ガラス製パスツールピペット(VWR)を用いてPBMC層を注意深く除去し、合わせて、無菌50mlバイアルに注いだ。室温で10分間2000rpmの遠心分離にかけることで、細胞をPBSで1回洗浄し、細胞密度をトリパンブルー染色で決定した。洗浄後、適量の10%DMSO/FBS培地に細胞を再懸濁させ、上述の通り凍結した。
B細胞の培養:B細胞の培養を開始する当日に、PBMC、脾細胞またはリンパ節のバイアルを使用のために解凍した。バイアルをLN2タンクから取り出し、37℃の水浴中に解凍されるまで置いた。バイアルの内容物を15mLのコニカル遠心チューブ(Corning)に移し、上述した改変RPMI 10mLをチューブにゆっくり添加した。細胞を1〜2Krpmで5分間遠心分離にかけ、上清を破棄した。細胞を新しい10mLの培地に再懸濁した。トリパンブルー染色で細胞密度と生存率を決定した。細胞を再度洗浄して、1E7細胞当たり100μlのリン酸緩衝配合物[(PBF):Ca/MgフリーPBS(Hyclone)、2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma−ビオチンフリー)]中に再懸濁した。洗浄中に、ビオチン化抗原をPBFで約5μg/mlに希釈した。ビオチン化抗原を10〜20μlのMACS(登録商標)ストレプトアビジンビーズ(Milteni)と合わせ、4℃で15分間インキュベートした。インキュベーション後、被覆したビーズを、事前に湿らせたMACS(登録商標)MSカラム(Milteni)に通した。被覆したビーズを500μlのPBFで3回すすぎ、最初の容量で溶出した。被覆したビーズと解凍した細胞とを合わせ、混合し、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞とビーズの混合物をMSカラムに通した。カラムを500μlのPBFで5回洗浄し、磁石を取り外し、細胞を0.5〜1mLのPBFで溶出した。細胞を計測し、上述したほぼ同量の改変RPMIで再懸濁した。陽性選択(濃縮)により平均1%の初期細胞濃度が得られた。培養物の細胞播種レベルに関する情報を得るために試験的な細胞スクリーニングを確立した。3〜10個の96ウェルプレートを3〜4群(合計最大40プレート)にし、播種密度当たり10、20、50及び100個の濃縮B細胞とした。さらに、各ウェルには、最終容量250μl/ウェルの高グルコース改変RPMI培地中に、1ウェル当たり細胞50K個の照射済みEL−4.B5細胞(5,000ラド)及び適切なレベルのT細胞上清(調製に応じて1〜5%の範囲)を含めた。培養物を37℃、4%CO2で5〜7日間インキュベートした。
選択的抗体分泌B細胞の同定:5日目から7日目の間に抗原認識及び機能活性について培養物を試験した。
B細胞培養物の抗原認識スクリーニング:抗原認識スクリーニングは、抗体の供給源としてB細胞培養物(BCC)ウェル(全40プレート)から得た上清50μlを用いたことを除き、力価評価について記載したELISAフォーマットと同じものを用いた。馴化培地を抗原コーティングプレートに移した。陽性ウェルをELISAで特定した後、陽性のB細胞培養ウェルから上清を取り、96ウェルマスタープレートに移した。その後、40μl/ウェルを残してすべての上清を取り除き、FBS中の16%DMSOを60μl/ウェルで添加して、当初の培養プレートを凍結した。凍結を遅らせるためにペーパータオルでプレートを包み、−70℃に置いた。
機能活性スクリーニング:huPCSK9−LDLr結合ELISAでマスタープレートを機能活性についてスクリーニングした。ニュートロアビジンプレートをビオチン化したポリクローナル抗huPCSK9(R&D)でコーティングし、洗浄した。コーティング後、一過性トランスフェクションをしたヒト腎臓293細胞から得た未精製のD374Y huPCSK9をB細胞の上清とインキュベートしてから、ウェルに添加し、結合させた。追加の洗浄の後、組換えHisタグ化LDLr(R&D)を室温で1時間添加した。再度洗浄した後、抗HisタグHRPコンジュゲート抗体(Invitrogen)を添加し(ロットによる濃度)、LDLr結合を検出した。3回の追加洗浄の後、50ulのTMBを添加して15分間顕色させ、50μlの0.5M HClを添加した。プレートを450nmで読み取った。
B細胞回収−単一ウェル分取:目的のウェルを含むプレートを−70℃から取り出し、ウェル当たり200μlの培地(10%RPMI完全、55μM BME)で5回洗浄して各ウェルから細胞を回収した。回収した細胞を遠心分離によりペレット状にし、上清を注意深く除去した。その後、各ウェルから得た細胞をFACSチューブ内の200μl培地中に再懸濁した。キャップを緩めに固定して、細胞を37℃で120分間(4%CO2)インキュベートした。インキュベーション後、細胞を遠心分離によりペレット状にし、最大2mlのFACS緩衝液(2%FBS含有ダルベッコPBS)で洗浄して、100ulのFACS緩衝液中に再懸濁した。
B細胞回収−プール分取:目的のウェルを含むプレートを−70℃から取り出し、ウェル当たり200μlの培地(10%RPMI完全、55μM BME)で5回洗浄して各ウェルから細胞を回収した。回収した細胞をプールして遠心分離によりペレット状にし、上清を注意深く除去した。その後、細胞を1ウェル当たり200μlの培地中に再懸濁し、プールし、適量の組織培養フラスコに移した。細胞を37℃で120分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を遠心分離によりペレット状にし、最大2mlのFACS緩衝液(2%FBS含有ダルベッコPBS)で洗浄して、プールしたウェルにつき100μlのFACS緩衝液で再懸濁した。
B細胞回収−陽性染色:細胞混合物中に存在するマウスEL4細胞に特異的な蛍光標識抗体(CD90.2、BD Biosciences、553014)を2〜10μg/mL用いて、細胞を室温で約20分間染色した。インキュベーション後、細胞を最大2mlのFACS緩衝液で2回洗浄した。洗浄後、FACS緩衝液1ml当たり約1×10E6(100万個)の細胞を再懸濁した。再懸濁後、ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences、556463)を0.2〜0.5μg/ml添加して、混合物中の死細胞を特定した。
B細胞回収−陰性染色:細胞混合物中に存在するウサギB細胞に特異的な蛍光標識抗体(抗ウサギIgG Fc、Creative Diagnostics、DMAB4779)を2〜10μg/ml用いて、細胞を染色した。細胞を室温で約20分間染色し、続けてインキュベーションを行い、最大2mlのFACS緩衝液で2回洗浄した。洗浄後、FACS緩衝液1ml当たり約1×10E6(100万個)の細胞を再懸濁した。再懸濁後、ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences、556463)を0.2〜0.5μg/ml添加して、混合物中の死細胞を特定した。
B細胞分取方法:目的のプールウェルまたは単一ウェルと組成が類似したコントロール培養ウェルを用いて、細胞分取ゲーティングを確立した。ゲーティング細胞サンプルを目的ウェルと並行して解凍し、染色した。非染色集団またはブランク集団について最初のゲートを確立した。染色コントロールサンプルをFACS(BD Influx)にかけ、EL4除外(CD90.2陽性/CD90.2+)、B細胞包含(IgG陽性/IgG+)、生存率(PI陰性/PI−)、及びB細胞とマウスEL4細胞とを区別する物理的パラメータ(FSC/SSC)に関するゲートを確認した。後者のゲートは、培養物中のEL4細胞を識別する物理的性質(大きさ/粒度)に基づくので、染色がなくても確立することができる。ゲートが確立したら、個々のウェルから得た細胞または複数のウェルのプール細胞からなるサンプルを処理し、一定の物理的性質(FSC/SSC)を持つEL4陰性/IgG陽性の生存細胞を、RT−PCRマスターミックスを予め充填した96ウェルプレートのウェルに個別に分取した。分取後のプレートを分取器から取り外し、目的のVH及びVL領域をPCR増幅するために、サーマルサイクラーまたは−80℃のいずれかに直接移した。
抗原特異的B細胞からの抗体配列の増幅及び配列決定:組み合わせRT−PCRに基づく方法を用いて、単一の単離B細胞から、抗体配列を回収する。ウサギ免疫グロブリン配列などの標的免疫グロブリン遺伝子(重鎖及び軽鎖)の保存領域及び定常領域でアニールするように制限酵素を含有するプライマーを設計し、2段階方式のネステッドPCR法による回収を用いて抗体配列を増幅した。各ウェルのアンプリコンをPico Green分析によって回収について分析し、必要に応じてサイズ完全性について(たとえば、電気泳動によって)分析した。得られた断片を配列確認に送った。この配列結果により、同一の抗体を容易に特定できる。PCRプライマー内に含まれる制限酵素部位を利用して、元の重鎖及び軽鎖のアンプリコン断片を消化して、発現ベクターにクローニングした。サブクローニングしたDNA断片を含むベクターを増幅して精製した。サブクローニングした重鎖及び軽鎖の配列を発現の前に検証した。
所望の抗原特異性及び/または機能特性を持つモノクローナル抗体の組換え作製:特異性B細胞から回収した抗体の抗原特異性及び機能特性を決定するために、対をなす所望の重鎖配列及び軽鎖配列の発現を行うベクターをヒト腎臓293細胞にトランスフェクトし、その後組換え抗体を培養培地から回収した。
ELISAによる組換え抗体の抗原認識:組換え発現抗体の特性を決定するために、ヒトPCSK9への結合能力について、抗体含有溶液をELISAで試験した。すべてのインキュベーションを室温で行った。概略すれば、ニュートロアビジンプレート(Thermo Scientific)を、ELISA緩衝液(PBS、0.5%魚皮ゼラチン、0.05%Tween−20)で1時間ブロックした。ブロック後、プレートをビオチン化huPCSK9含有溶液(ELISA緩衝液中1μg/mL)で1時間コーティングした。その後、ヒトPCSK9コーティングプレートを洗浄緩衝液(PBS、0.05%Tween−20)で3回洗浄した。コーティング後、プレートをELISA緩衝液で再び1時間ブロックした。ブロッキング溶液を除去し、その後、プレートを試験抗体の希釈系列と約1時間インキュベートした。インキュベーション終了時点で、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄して、2次抗体を含む溶液(ペルオキシダーゼ結合AffiniPure F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG、Fc断片特異的(Jackson Immunoresearch))と約45分間さらにインキュベートして、3回洗浄した。次に、基質溶液(TMBペルオキシダーゼ基質、BioFx)を添加して、暗所で3〜5分間インキュベートした。0.5M HClを添加することにより反応を停止し、プレートをプレートリーダーにて450nmで読み取った。
HepG2細胞のLDL−C取込み調節による組換え抗体の機能特性の決定:HepG2細胞におけるhuPCSK9によるLDL−C取込みの阻害を中和する抗PCSK9抗体の能力を細胞ベースアッセイで試験した。HepG2細胞をコラーゲンコーティング96ウェルプレートに播種した(30,000細胞/ウェル)。24時間後、培地を0.5%低脂質FBSを含む新鮮な培地(MEM)と取り替えた。種々の濃度の抗PCSK9抗体を3μg/mLのhuPCSK9と室温で1時間インキュベートし、その後、HepG2細胞に添加し、37℃で5時間インキュベートした。BODIPY−LDLを各ウェルに添加して、37℃で一晩インキュベートした。培地を取り除き、細胞をRIPAバッファーで溶解し、細胞によって取り込まれたBODIPY−LDLの量をプレートリーダーで測定した(励起485nm、発光535nm)。
この実施例により、複数の抗PCSK9抗体配列が、同定した抗原特異的B細胞からクローニングされたことが示された。例示的な抗体Ab1及びAb2がhuPCSK9への高い結合親和性を有することが示され(図6参照)、huPCSK9とLDLRの相互作用を阻害する能力が確認された(図7参照)。
実施例9:HuCGRPαに結合する抗体の調製
本明細書に記載の抗体選択プロトコールを使用することにより、CGRPαの強力な機能性アンタゴニスト作用を呈する抗体コレクションを作製することができる。CGRPαにペプチドのN末端またはC末端で選択的に結合することができる抗体を同定した。たとえば、Ab3及びAb4であり、CGRPαに対して特異性を有する異なる抗体であり、後者はほとんどが官能基からなる。
免疫付与方法:ウサギをヒトCGRPα(American Peptides,Sunnyvale CA及びBachem,Torrance CA)で免疫にした。免疫付与は、完全フロイントアジュバント(CFA)(Sigma)中100μgのKLHと混合した100μgの抗原による最初の皮下(sc)注射と、その後、2週間の間を空けた、それぞれ不完全フロイントアジュバント(IFA)(Sigma)中50μgと混合した50μgの抗原による2回の追加免疫とした。55日目に動物から採血し、ELISA(抗体認識)と、SK−N−MCにおけるCGRPによるcAMP上昇の阻害とによって血清力価を決定した。
ABS力価評価:以下の点を除き、huPCSK9に関して記載したプロトコール(実施例8参照)によって、CGRPαについての抗原認識アッセイを決定した。ニュートロアビジンプレートを上記の濃度にてN末端またはC末端をビオチン化したCGRP−αでコーティングした。
機能性の力価評価:機能活性を有する抗体を同定し、その特徴を調べるために、電気化学発光(Meso Scale Discovery、MSD)を用いて、CGRPによるcAMPレベル上昇阻害アッセイを行った。概略すれば、試験する抗体調製物を96ウェル丸底ポリスチレンプレート(Costar)中にMSDアッセイ緩衝液(Hepes、MgCl2、pH7.3、ブロック剤A1mg/mL、Meso Scale Discovery)で連続希釈した。このプレートに、ヒトCGRPαを添加し(最終濃度10ng/mL)、MSDアッセイ緩衝液で希釈し、37Cで1時間インキュベートした。アッセイキット製造業者が提示する通りに、適切なコントロールを用いた。EDTA溶液(PBS中5mM)を用いてヒト神経上皮腫細胞(SK−N−MC、ATCC)を分離し、増殖培地(MEM、10%FBS、抗生物質)を用いて遠心分離により洗浄した。細胞数をアッセイ緩衝液中1mL当たり200万細胞に調整し、cAMPアッセイプレート上に細胞を充填する直前にIBMX(3−イソブチル−1−メチルキサンチン、Sigma)を添加して最終濃度0.2mMにした。抗体/huCGRPαを個別に混合し、室温で1時間インキュベートした。次に、この混合物を上述した10uLの細胞懸濁液とともにMSD cAMPアッセイプレートに移した。このプレートを振盪しながら室温で30分間インキュベートした。同時に、停止溶液を調製した(溶解バッファーでTAG標識cAMP(MSD)を1:200に希釈)。1ウェル当たり20ulの停止溶液をMSDアッセイプレートに添加し、室温でさらに20分間振盪させた。読取り緩衝液100μL(MSD、水で1:4に希釈)を各ウェルに添加した。Sector Imager2400(MSD)を用いてプレートを読み取り、Prism softwareを使用してデータの適合性とIC50を決定した。
組織採取:huPCSK9について上述した通りに、ウサギの脾臓、リンパ節及び全血を採取し、処理し、凍結した(実施例8参照)。
B細胞培養(BCC):N末端及びC末端をビオチン化したhuCGRPαを用いて細胞濃縮を行ったことを除き、実施例8でhuPCSK9に関して記載した通りにB細胞培養物を調製した。
B細胞培養物の抗原認識スクリーニング:上述した通りに、単一点として、抗原認識スクリーニングを実施した。
機能活性スクリーニング:B細胞上清に含まれる機能活性を決定するために、上清サンプルの機能性力価の決定について記載した手順と類似の手順を用いたが、以下の修正を加えた。概略すれば、希釈したポリクローナル血清サンプルの代わりにB細胞上清(20μL)を用いた。
B細胞の回収:huPCSK9について上述した通りに、FACS法を実施した(実施例8参照)。
抗原特異的B細胞から得た抗体配列の増幅及び配列決定:huPCSK9について上述した方法を用いて抗体配列を回収した(実施例8参照)。
所望の抗原特異性及び/または機能特性を持つモノクローナル抗体の組換え作製:特異性B細胞から回収した抗体の抗原特異性及び機能特性を決定するために、対をなす所望の重鎖配列及び軽鎖配列の発現を行うベクターをヒト腎臓293細胞にトランスフェクトし、その後組換え抗体を培養培地から回収した。
ELISAによる組換え抗体の抗原認識:力価評価の項目に記載した通りに、組換え抗体を結合について評価した。N末端及びC末端をビオチン化したELISAを個別に実施して、結合特異性を決定した。ELISAで測定したように、例示的な抗体Ab3及びAb4について、CGRPの結合親和性を決定した。図8を参照されたい。
CGRPによる細胞内cAMPレベルの調節による組換え抗体の機能特性の決定:組換え発現抗体の特性を決定するために、CGRPαを介したcAMPの細胞レベル上昇を阻害する能力のアッセイに関して、電気化学発光アッセイキット(Meso Scale Discovery,MSD)を用いた。概略すれば、試験する抗体調製物を96ウェル丸底ポリスチレンプレート(Costar)においてMSDアッセイ緩衝液(Hepes、MgCl2、pH7.3、ブロック剤A1mg/mL、Meso Scale Discovery)で連続希釈した。このプレートに、ヒトCGRPαを添加し(最終濃度25ng/mL)、MSDアッセイ緩衝液で希釈し、37℃で1時間インキュベートした。アッセイキット製造業者が提示する通りに、適切なコントロールを用いた。EDTA溶液(5mM)を用いてヒト神経上皮腫細胞(SK−N−MC、ATCC)を分離し、増殖培地(MEM、10%FBS、抗生物質)を用いて遠心分離により洗浄した。細胞数をアッセイ緩衝液中1mL当たり200万細胞に調整し、cAMPアッセイプレート上に細胞を充填する直前にIBMX(3−イソブチル−1−メチルキサンチン、50mM、Sigma)を添加して最終濃度0.2mMにした。抗体/huCGRPαを個別に混合し、室温で1時間インキュベートした。次に、この混合物を上述した10μLの細胞懸濁液とともにMSD cAMPアッセイプレートに移した。このプレートを振盪しながら室温で30分間インキュベートした。同時に、停止溶液を調製した(溶解バッファーでTAG標識cAMP(MSD)を1:200に希釈)。1ウェル当たり20μLの停止溶液をMSDアッセイプレートに添加し、室温でさらに20分間振盪させた。読取り緩衝液100μL(MSD、水で1:4に希釈)を各ウェルに添加した。Sector Imager2400(MSD)を用いてプレートを読み取り、Prism softwareを使用してデータの適合性とIC50を決定した。
この実施例により、複数の抗CGRP抗体配列が、同定した抗原特異的B細胞からクローニングされたことが示された。例示的な抗体であるAb3及びAb4は、CGRPに対して高い結合親和性を有することが示された(図9参照)。
実施例10:標的1に結合する抗体の調製
本明細書に記載の抗体選択プロトコールを使用することにより、標的1の強力な機能性アンタゴニスト作用を呈する抗体コレクションを作製することができる。たとえば、標的1に対して特異性を有する異なる抗体であるAb5及びAb6である。
免疫付与方法:CGRPαについて記載した個々のペプチド(実施例9参照)でウサギを免疫にした。細胞表面タンパク質の細胞外ループに対応する、3つの形態のペプチドを免疫化のために設計し、合成した。3つの断片は、抗体が完全な細胞構造に対してほぼ接触可能なエピトープを示す。
ABS力価評価:実施例8でhuPCSK9に関して記載したプロトコールによって、標的1についての抗原認識アッセイを決定した。力価決定のために、特異的ペプチドで免疫にしたウサギを当該ペプチドに対して評価した。
組織採取:huPCSK9について上述した通りに、ウサギの脾臓、リンパ節及び全血を採取し、処理し、凍結した(実施例8参照)。
B細胞の培養:huPCSK9について上述した通りに、B細胞の培養を設定した(実施例8参照)。
B細胞培養物の抗原認識スクリーニング:上述した通りに、単一点として、抗原認識スクリーニングを実施した(実施例8参照)。
B細胞の回収:huPCSK9について上述した通りに、FACS法を実施した(実施例8参照)。
抗原特異的B細胞から得た抗体配列の増幅及び配列決定:huPCSK9について記載した方法を用いて抗体配列を回収した(実施例8参照)。
所望の抗原特異性及び/または機能特性を持つモノクローナル抗体の組換え作製:特異性B細胞から回収した抗体の抗原特異性及び機能特性を決定するために、対をなす所望の重鎖配列及び軽鎖配列の発現を行うベクターをヒト腎臓293細胞にトランスフェクトし、その後組換え抗体を培養培地から回収した。
ELISAによる組換え抗体の抗原認識:組換え発現抗体の特性を決定するために、標的1ペプチドへの結合能力について、抗体含有溶液をELISAで試験した。図9を参照されたい。すべてのインキュベーションを室温で行った。概略すれば、ビオチン化標的1ペプチドを含む溶液(PBS中1μg/mL)でニュートロアビジンプレート(Pierce)を1時間コーティングした。その後、標的1ペプチドでコーティングしたプレートを洗浄緩衝液(PBS、0.05%Tween−20)で3回洗浄した。ブロッキング溶液(PBS、0.5%魚皮ゼラチン、0.05%Tween−20)を用いて、プレートを約1時間ブロックした。ブロッキング溶液を除去し、その後、プレートを試験抗体の希釈系列と約1時間インキュベートした。このインキュベーション終了時点で、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄して、2次抗体を含む溶液(ペルオキシダーゼ結合affinipure F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG、Fc断片特異的(Jackson Immunoresearch))と約45分間さらにインキュベートして、3回洗浄した。この時点で、基質溶液(TMBペルオキシダーゼ基質、BioFx)を添加して、暗所で3〜5分間インキュベートした。HCl(0.5M)含有溶液を添加することにより反応を停止し、プレートをプレートリーダーにて450nmで読み取った。
この実施例により、複数の抗標的1抗体配列が、同定した抗原特異的B細胞からクローニングされたことが示された。例示的な抗体であるAb5及びAb6は、標的1に対して高い結合親和性を有することが示された(図9参照)。
実施例11:ヒトβ−NGFに結合する抗体の調製
本明細書に記載の抗体選択プロトコールを使用することにより、広範囲な抗体パネルを作製することができる。たとえば、β−NGFに対して特異性を有する異なる抗体であるAb7及びAb8が例示的な抗NGF抗体である。当該抗体は、NGFに対して高い親和性を有し(約10〜900pM KD)、細胞ベーススクリーニングシステムにおいて、NGFの強力なアンタゴニスト作用を呈する(TF1及びPC−12)。さらに、この抗体コレクションは、NGF誘導プロセスに対して、異なる機序のアンタゴニスト作用を示した。
免疫付与方法:huPCSK9について上述した個々のペプチド(実施例8参照)でウサギを免疫にした。
ABS力価評価:上述したhuPCSK9に関するプロトコール(実施例8参照)によって、huB−NGFについての抗原認識アッセイを決定した。
機能性の力価評価:機能活性を有する抗体を特定し、その特徴を調べるために、CellTiter(商標)96 Aqueous One Solution細胞増殖アッセイ(Promega#G3580)を用いて、TF1(ATCC#CRL−2003)のNGF誘導増殖阻害を行った。概略すれば、96ウェル丸底ポリスチレンプレート(Costar)において、試験する抗体調製物をB−NGFとともに10%CRPMI(完全RPMI培地+10%FBS)で連続希釈した。室温でインキュベートした後、抗体−NGF複合体をTF1細胞に添加し(1ウェル当たり25,000細胞)、48時間インキュベートした。インキュベーション後、CellTiter(商標)96 Aqueous One Solution細胞増殖アッセイを用いて、細胞生存率を決定した。得られたプレートを標準プレートリーダーにて492nmで分析し、増殖応答をグラフ化して確立した。機能修飾力価により、本アッセイにおける増殖が減少する。
組織採取:huPCSK9について上述した通りに、ウサギの脾臓、リンパ節及び全血を採取し、処理し、凍結した(実施例8参照)。
B細胞の培養:huPCSK9に関して記載した通りに、B細胞の培養を設定した(実施例8参照)。
B細胞培養物の抗原認識スクリーニング:上述した通りに、単一点として、抗原認識スクリーニングを実施した(実施例8参照)。上述の通り、B−NGF認識に基づいて、マスタープレートを作成した。
機能活性スクリーニング:上述の通り、TF1増殖アッセイにおける機能活性について、マスタープレートをスクリーニングした。
B細胞の回収:huPCSK9について上述した通りに、FACS法を実施した(実施例8参照)。
抗原特異的B細胞から得た抗体配列の増幅及び配列決定:huPCSK9について記載した方法を用いて抗体配列を回収した(実施例8参照)。
所望の抗原特異性及び/または機能特性を持つモノクローナル抗体の組換え作製:特異性B細胞から回収した抗体の抗原特異性及び機能特性を決定するために、対をなす所望の重鎖配列及び軽鎖配列の発現を行うベクターをヒト腎臓293細胞にトランスフェクトし、その後組換え抗体を培養培地から回収した。
ELISAによる組換え抗体の抗原認識:組換え発現抗体の特性を決定するために、huB−NGFへの結合能力について、抗体含有溶液をELISAで試験した。図10を参照されたい。すべてのインキュベーションを室温で行った。概略すれば、ビオチン化huB−NGFを含む溶液(PBS中1μg/mL)でニュートロアビジンプレート(Thermo Scientific)を1時間コーティングした。その後、HuB−NGFペプチドでコーティングしたプレートを洗浄緩衝液(PBS、0.05%Tween−20)で3回洗浄した。ブロッキング溶液(PBS、0.5%魚皮ゼラチン、0.05%Tween−20)を用いて、プレートを約1時間ブロックした。ブロッキング溶液を除去し、その後、プレートを試験抗体の希釈系列と約1時間インキュベートした。このインキュベーション終了時点で、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄して、2次抗体を含む溶液(ペルオキシダーゼ結合affinipure F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG、Fc断片特異的(Jackson Immunoresearch))と約45分間さらにインキュベートして、3回洗浄した。この時点で、基質溶液(TMBペルオキシダーゼ基質、BioFx)を添加して、暗所で3〜5分間インキュベートした。HCl(0.5M)含有溶液を添加することにより反応を停止し、プレートをプレートリーダーにて450nmで読み取った。
TF1細胞増殖アッセイによる組換え抗体の機能特性の決定:huB−NGFの機能力価の項目にて記載したTF−1増殖アッセイにおける機能に関して、組換えhuB−NGF抗体を評価した。図11を参照されたい。
この実施例により、複数の抗huB−NGF抗体配列が、同定した抗原特異的B細胞からクローニングされたことが示された。例示的な抗体Ab7及びAb8は、B−NGFに対する高い結合親和性を有し(図10参照)、TF1増殖アッセイにおいて増殖を減少させることが示された(図11参照)。
実施例12:標的2に結合する抗体の調製
本明細書に記載の抗体選択プロトコールを使用することにより、広範囲な抗体パネルを作製することができる。たとえば、標的2に対して特異性を有する異なる抗体であるAb9及びAb10が例示的な抗標的2抗体である。作製した抗体は、様々なエピトープに結合することができ、標的2への特異性だけでなく、標的2と相同なタンパク質への結合性も有している。これらの抗体についても、機能性アッセイによって効力を評価した。
免疫付与方法:実施例9にて記載したCGRPαに関する方法(KLHと混合)にさらなる方法を加えて、ウサギを標的2で免疫にした。具体的には、標的2抗原は、KLHとウサギ血清アルブミン(RSA)に直接コンジュゲートさせたペプチドである。それぞれの場合において、CGRPαと同様に、最初の免疫付与には100μgの抗原またはKLH/RSAコンジュゲート抗原をCFAとともに使用し、後続の免疫付与は50μgの追加免疫とした。コンジュゲート免疫付与の場合、μg量(最初に100μg、追加で50μg)は、遊離型非コンジュゲート抗原と一致させた。先に記載した時点で採血した。
ABS力価評価:huPCSK9に関して記載したプロトコール(実施例8参照)によって、ビオチン化形態の標的2を使用して、標的2についての抗原認識アッセイを決定した。
機能性の力価評価:イノシトール1−ホスフェートを基準にした2次メッセンジャーの読取りを用いた細胞ベースHTRFアッセイによって標的2に対する抗体の効力を検証した。
組織採取:huPCSK9について上述した通りに、ウサギの脾臓、リンパ節及び全血を採取し、処理し、凍結した(実施例8参照)。
B細胞の培養:huPCSK9に関して記載した通りに、B細胞の培養を設定した(実施例8参照)。
B細胞培養物の抗原認識スクリーニング:上述した通りに、単一点として、抗原認識スクリーニングを実施し(実施例8参照)、抗原陽性ウェルからマスタープレートを作製した。
機能活性スクリーニング:上述の通り、HTRFアッセイにおける機能活性について、マスタープレートをスクリーニングした。70μlの上清を抗体源として使用した。
B細胞の回収:huPCSK9について上述した通りに、FACS法を実施した(実施例8参照)。
抗原特異的B細胞から得た抗体配列の増幅及び配列決定:huPCSK9について記載した方法を用いて抗体配列を回収した(実施例8参照)。
所望の抗原特異性及び/または機能特性を持つモノクローナル抗体の組換え作製:特異性B細胞から回収した抗体の抗原特異性及び機能特性を決定するために、対をなす所望の重鎖配列及び軽鎖配列の発現を行うベクターをヒト腎臓293細胞にトランスフェクトし、その後組換え抗体を培養培地から回収した。
ELISAによる組換え抗体の抗原認識:組換え発現抗体の特性を決定するために、標的2への結合能力について、抗体含有溶液をELISAで試験した。図12を参照されたい。すべてのインキュベーションを室温で行った。概略すれば、ビオチン化した標的2を含む溶液(PBS中1μg/mL)でニュートロアビジンプレート(Thermo Scientific)を1時間コーティングした。その後、標的2でコーティングしたプレートを洗浄緩衝液(PBS、0.05%Tween−20)で3回洗浄した。ブロッキング溶液(PBS、0.5%魚皮ゼラチン、0.05%Tween−20)を用いて、プレートを約1時間ブロックした。ブロッキング溶液を除去し、その後、プレートを試験抗体の希釈系列と約1時間インキュベートした。このインキュベーション終了時点で、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄して、2次抗体を含む溶液(ペルオキシダーゼ結合affinipure F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG、Fc断片特異的(Jackson Immunoresearch))と約45分間さらにインキュベートして、3回洗浄した。この時点で、基質溶液(TMBペルオキシダーゼ基質、BioFx)を添加して、暗所で3〜5分間インキュベートした。HCl(0.5M)含有溶液を添加することにより反応を停止し、プレートをプレートリーダーにて450nmで読み取った。
細胞ベースHTRFアッセイによる組換え抗体の機能特性の決定:機能性力価の項目において記載したように、細胞ベースHTRFアッセイにおける機能に関して、組換え標的2抗体を評価した。図13を参照されたい。
この実施例により、複数の抗標的2抗体配列が、同定した抗原特異的B細胞からクローニングされたことが示された。例示的な抗体であるAb9及びAb10は、標的2に対して高い結合親和性を有し(図12参照)、HTRFアッセイにおける機能活性が示された(図13参照)。
実施例13:標的3に結合する抗体の調製
本明細書に記載の抗体選択プロトコールを使用することにより、広範囲な抗体パネルを作製することができる。たとえば、標的3に対して特異性を有する異なる抗体であるAb11及びAb12が例示的な抗標的3抗体である。作製した抗体は、標的3に特異的な、様々なエピトープに結合する。
免疫付与方法:CGRPαに関して実施例9で記載した方法(KLHと混合)にさらなる方法を加えて、ウサギを標的3で免疫にした。具体的には、標的3抗原は、KLHに直接コンジュゲートしたペプチドである。それぞれの場合において、CGRPαと同様に、最初の免疫付与には100μgの抗原またはKLH/RSAコンジュゲート抗原をCFAとともに使用し、後続の免疫付与は50μgの追加免疫とした。コンジュゲート免疫付与の場合、μg量(最初に100μg、追加で50μg)は、遊離型非コンジュゲート抗原と一致させた。先に記載した時点で採血した。
ABS力価評価:huPCSK9に関して記載したプロトコール(実施例8参照)によって、ビオチン化形態の標的3を使用して、標的3についての抗原認識アッセイを決定した。
機能性の力価評価:環状AMPを基準にした2次メッセンジャーの読取りを用いたセルベース電気化学発光(Meso Scale Discovery、MSD)アッセイによって、標的3に対する抗体の効力を検証できる。
組織採取:huPCSK9について上述した通りに、ウサギの脾臓、リンパ節及び全血を採取し、処理し、凍結した(実施例8参照)。
B細胞の培養:huPCSK9について上述した通りに、B細胞の培養を設定した(実施例8参照)。
B細胞培養物の抗原認識スクリーニング:抗原認識スクリーニングは、上述した通りに単一点として実施することができる(実施例8参照)。マスタープレートは、抗原陽性ウェルから作製した。
機能活性スクリーニング:上述の通り、MSDアッセイにおける機能活性について、マスタープレートをスクリーニングすることができる。抗体源には、70μlの上清を使用することができる。
B細胞の回収:huPCSK9について上述した通りに、FACS法を実施した(実施例8参照)。
抗原特異的B細胞から得た抗体配列の増幅及び配列決定:huPCSK9について記載した方法を用いて抗体配列を回収した(実施例8参照)。
所望の抗原特異性及び/または機能特性を持つモノクローナル抗体の組換え作製:特異性B細胞から回収した抗体の抗原特異性及び機能特性を決定するために、対をなす所望の重鎖配列及び軽鎖配列の発現を行うベクターをヒト腎臓293細胞にトランスフェクトし、その後組換え抗体を培養培地から回収した。
ELISAによる組換え抗体の抗原認識:組換え発現抗体の特性を決定するために、標的3への結合能力について、抗体含有溶液をELISAで試験した。図14を参照されたい。すべてのインキュベーションを室温で行った。概略すれば、ビオチン化した標的3を含む溶液(PBS中1μg/mL)でニュートロアビジンプレート(Thermo Scientific)を1時間コーティングした。その後、標的3でコーティングしたプレートを洗浄緩衝液(PBS、0.05%Tween−20)で3回洗浄した。ブロッキング溶液(PBS、0.5%魚皮ゼラチン、0.05%Tween−20)を用いて、プレートを約1時間ブロックした。ブロッキング溶液を除去し、その後、プレートを試験抗体の希釈系列と約1時間インキュベートした。このインキュベーション終了時点で、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄して、2次抗体を含む溶液(ペルオキシダーゼ結合affinipure F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG、Fc断片特異的(Jackson Immunoresearch))と約45分間さらにインキュベートして、3回洗浄した。この時点で、基質溶液(TMBペルオキシダーゼ基質、BioFx)を添加して、暗所で3〜5分間インキュベートした。HCl(0.5M)含有溶液を添加することにより反応を停止し、プレートをプレートリーダーにて450nmで読み取った。
細胞ベースHTRFまたはMSDアッセイによる組換え抗体の機能特性の決定:機能性力価の項目において記載したように、細胞ベースHTRFアッセイにおける機能に関して、組換え標的3抗体を評価することができる。
この実施例により、複数の抗標的3抗体配列が、同定した抗原特異的B細胞からクローニングされたことが示された。例示的な抗体であるAb11及びAb12は、標的3に対して高い結合親和性を有することが示された(図14参照)。
前述の実施例は、主題発明の実施法及び使用法に関する完全な開示及び説明を当業者に提供するために提案されるものであり、本発明とみなされる事項の範囲を限定することを意図するものではない。使用した数値(たとえば、量、温度、濃度など)に関しては、正確性を確保する努力を払ったが、一部の実験誤差及び偏差は許容されるものである。特に指定がない限り、部は重量部、分子量は平均分子量、温度はセ氏温度、圧力は略大気圧である。
例示した本発明の種々の実施形態に関する上記の説明は、すべてを包含することも、その厳密な開示形態に発明を限定することも意図していない。本発明に関する具体的な実施形態及び実施例は、例示的な目的で本明細書に記載されており、関連技術分野の当業者が認識するように、様々な等価の変更が本発明の範囲内で可能である。本明細書に記載した本発明の教示は、上述の実施例以外の他の目的にも応用することができる。
本発明は、前述の説明及び実施例に具体的に記載した方法以外の方法で実施してもよい。本発明の変更及び変形形態が上記の教示に照らして数多く可能であり、それゆえ、これらも添付の特許請求の範囲内である。
本発明に対するこれらの変更及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において使用される用語は、本発明を、明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではない。したがって、本発明は本開示によって限定されるものではなく、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって完全に決定されるものである。
本明細書に引用した各文書の開示全体(特許、特許出願、論文、要旨、マニュアル、書籍または他の開示を含む)は、背景技術、発明の概要、詳細な説明及び実施例にて引用した各文書を含め、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。