JP6466084B2 - 印刷物 - Google Patents

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本発明は、人が判別可能な文字、図案又は絵等の可視情報と一次元又は二次元コードとを含む印刷物の改良に関する。
近時、前記のように同一の印刷物中に、文字、図案又は絵等の可視情報と、スマートフォン等で撮影、読取可能なコード情報を含ませた印刷物が、様々なシーンで用いられている。例えば、ポスターやチラシ等の商用印刷物には、商品の写真や説明等の可視情報と共に、キャンペーン等の告知サイトへの誘導情報等をコード化して印刷したものが多くある。
そのような広告印刷物に関する従来技術の一例として、次の特許文献を挙げることができる。具体的には、広告促進方法及び広告促進システムで使用されるチラシ上に、ポイント情報を含む二次元コードが印刷されており、ユーザが携帯電話機等を用いてその二次元コードを読み取ると、ユーザ端末から管理機関のサーバにポイント情報が送付され、そのポイント情報がユーザ別に記録されることが記載されている。
特開2013-025587号公報
しかしながら、ポスターについて考えると、そこに印刷されるコード情報はデザイン的に融通が利かないので、たとえ大判のポスターであっても、そのようなコードの面積は見栄えの観点から小さなものとされている。したがって、そのコードの情報内容を知りたい者は、印刷物に近づいてからスマートフォン等によってそのコード部分を撮影しなければならないのであるが、混雑した展示場やイベント会場ではそのような行動が困難なことがある。
また各種物品に貼着又は印刷されるラベルには、商品名や製造者名等の文字情報と共に、製造、販売者の管理情報等をコード化して印刷したものが多くある。しかしながら、物品のラベルにそのようなコード情報を印刷すると、ラベルのサイズが大きくなってしまうという問題がある。また一般に物品の製造、販売者には、そのような管理情報等を含んだコード情報をラベル上で目立つ形で印刷したくないという心情もある。
本発明は、前記課題に着目してなされたものであり、印刷物上に、一般的なスマートフォン等で撮影、読み取りが可能なコード情報を、通常の照明又は日光下ではほとんど視認できない態様で含ませることを目的としている。
本発明による印刷物は、可視情報の上にコード情報を重ね合わせた印刷物であって、前記可視情報は、人が判別可能な文字、図案又は絵であり、前記コード情報は、通常の光では、前記可視情報を透過させる一方、フラッシュ光を直射したときには、再帰反射作用によって現出するようにしてある。
本発明による印刷物は、通常の光の下では、コード情報は隠されてしまうことから、可視情報のデザインや配置に関わらず、コード情報を大面積とすることができる。またフラッシュ光の下では、コード情報は明るく際立って見える。すなわち大面積のコード情報が現出することになるから、印刷物から離れた場所からでもスマートフォン等によって印刷物を撮影してそのコード情報を読み取ることができる。
また印刷物が物品に貼着又は印刷されるラベルであれば、ラベルのサイズに影響することなく、コード情報を目立たない形で含ませることができる。
本発明の一実施形態とされる印刷物を通常照明下で見たときの平面図である。 図1に示した印刷物をフラッシュ光の光源近傍から見たときの平面図である。 図1に示した印刷物の構造を示す分解平面図である。 (a)、(b)は、シート材の一例を示す平面図、断面図であり、(c)はそのシート材に含まれる微粒子の構成を示す斜視図である。 (a)、(b)は、その一部をプレス加工で打ち抜いたシート材の一例を説明する平面図及び断面図である。 (a)、(b)は、シート材を用いない印刷物の基本構造を示す部分平面図、及び断面図である。 本発明の他の実施形態とされる印刷物の斜視図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の一実施形態とされる印刷物を通常照明下で見たときの平面図であり、図2はその印刷物をフラッシュ光の光源近傍から見たときの平面図である。
印刷物1は、可視情報10の上に、コード情報11を重ね合わせた印刷物であって、コード情報11は、通常の光では、可視情報10を透過させる一方、光を直射したときには、再帰反射作用によって現出する。印刷物1としては、展示場又はイベント会場用ポスター、チラシ等の一般的な印刷物を主に想定している。印刷物1のサイズに制限はない。
可視情報10は、印刷物1の媒体13に印刷又は手書きすることで形成された人が判別可能な文字、図案又は絵等であり、その内容やデザインに特段の制限はない。また可視情報10は、乱反射性を呈する染料、顔料等によって形成されていればよく、その形成方法は特に制限されない。例えば凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、あるいは無版印刷(インクジェット)等によって可視情報10を形成できる。
コード情報11は、一般的な一次元又は二次元コードが想定されるが、独自形式のものでもよい。またコード情報11は、通常の照明光又は日光下では、その背後にある可視情報10を透過させる透明性を呈し、かつフラッシュ光等の強い光に対しては再帰反射性を呈する素材によって形成されている。コード情報11の具体的な形成方法等については後述する。
コード情報11は、前記のように透明性と再帰反射性とを呈するので、印刷物1を通常照明又は日光の下で見たときには、印刷物1は、図1のように見える。すなわちコード情報11は隠され、可視情報10は普通に見える状態である。
これは、通常照明又は日光の光源が印刷物1を見る者から離れた場所にあるため、可視情報10からの乱反射光はその一部が見る者に向かうが、コード情報11からの再帰反射光は見る者に向かわないことが理由である。
一方、フラッシュ光の下で、その光源近傍から印刷物1を見たときには、印刷物1は、図2に示すような状態に見える。すなわち可視情報10を暗い背景として、コード情報11が明るく際立って見える状態である。
これは、フラッシュ光の光源が印刷物1を見る者の近傍にあるため、可視情報10からの乱反射成分の一部と、コード情報11からの再帰反射光との両方が見る者に向かう。しかし前者は弱い光のため全体的に低輝度であり、後者は強い光のため高輝度であるということが理由である。
近時、多くのスマートフォンは、フラッシュ光源付のカメラを備えており、更に一次元又は二次元コードの解読プログラムソフトもインストールされている。したがって、そのようなスマートフォンを用いて印刷物1をフラッシュ撮影すれば、その撮影画像は、図2のようなものになる。解読プログラムは、通常、輝度の違いからコード情報11を判別する仕様となっているから、図2のような撮影画像であれば、コード情報11を判別することができる。
以上のように、本実施形態では、媒体13上に、乱反射性の染料、顔料等によって可視情報10が形成され、その可視情報10に重ねて、透明性と再帰反射性とを呈する素材によってコード情報11を形成した構成としているので、次のような効果を奏する。
通常の光の下では、コード情報11は隠されてしまうことから、可視情報10のデザインや配置に関わらず、コード情報11を大面積とすることができる。またフラッシュ光の下では、コード情報11は明るく際立って見える。すなわち大面積のコード情報11が現出することになるから、フラッシュ撮影が可能なスマートフォン等を持っていれば、印刷物1から離れた場所から印刷物1を撮影してそのコード情報11を容易に読み取ることが可能である。
図3は、図1に示した印刷物の構造を示す分解平面図である。この図に示すように、印刷物1の基本構造は、可視情報10が予め印刷された媒体13のその印刷部分に重なるように、コード情報11のパターンが予め形成されたシート材14を貼着させたものとしてもよい。
シート材14において、コード情報11の部分は前記のような透明性、再帰反射性を有し、コード情報11以外の部分は、透明性のみを呈するようにしてもよい。すなわちシート材14は、コード情報11をポジ画像として、その下地及び周縁部分を有している。逆にコード情報11の部分は透明性のみを呈し、下地及び周縁部分が、透明性と再帰反射性とを呈するネガ画像としてもよい。ただし前者の方がスマートフォン等による撮影、読取では有利であると考えられる。
なお特に図示しないが、全面的に前記のような透明性と再帰反射性とを呈するシート材14からコード情報11のパターンを切り抜き、その切り抜いた部分、又は切り抜かれて残った部分を印刷物1に貼着してもよい。全面的に透明性と再帰反射性とを呈するシート材は、一般に市販されているものが利用できる。例えば、株式会社丸仁の取り扱う「Light Force 1300(登録商標)」シリーズ等がある。
図4(a)〜(c)は、シート材の一例を示す平面図、断面図、及びそのシート材に含まれる微粒子の構成を示す斜視図である。図4(a)の一点鎖線は破断線である。
図4(a)、(b)に示すように、シート材14は、透明な基材シート15の表面全体に、所定の面密度で、再帰反射性を呈する微粒子16を規則的に配列又はランダムに分散させた基本構造を有する。基材シート15の裏面には接着剤層17が形成されている。微粒子16は、その概ね半分が基材シート15の表面から突出した状態で、基材シート15に固着されている。
図4(c)に示すように、微粒子16は、ガラスビーズとしてもよい。ガラスビーズの大きさは一定でなくてもよい。ガラスビーズの半球には、蒸着等によって反射膜18が形成されている。金属蒸着膜は本来不透明であるが極薄くすれば半透明になる。ガラスビーズは反射膜18のない側の半球を露出させた状態で基材シート15に固着させるとよいが、ガラスビーズは多数なので、個々のガラスビーズをランダムな向きで基材シート15に固着させても、全体としては再帰反射性が呈せられる。
ガラスビーズによる再帰反射性の基本原理は、図4(b)に示している。簡単に説明すれば、ガラスビーズを凸レンズとして見た場合、焦点はガラスビーズの表面の僅かに外側にあるが、その焦点はガラスビーズの径が小さくなるほどガラスビーズの表面に近くなるという性質がある。よって微小なガラスビーズの半球に反射膜18を形成しておけば、反対側の半球から入射した平行光は屈折によって反射膜18上に収束して、その収束とは真逆方向に反射拡散され、反対側の半球で再び屈折されて平行光に戻るというプロセスで、入射方向に戻る再帰光となる。
なお、基材シート15は透明なので、ガラスビーズの面密度を調整すれば、反射膜18が不透明であっても、シート材14に目的の透明性を与えることは可能である。
図5(a)、(b)は、シート材の変形例として、シート材の一部をプレス加工で打ち抜いて透明性を高めたものを説明する平面図及び断面図である。図5(a)の一点鎖線は破断線である。図4(a)〜(c)に共通する要素には同一の参照符号を付けて説明を省略する。
図5(a)、(b)に示すように、シート材14は、プレス加工等によって多数の孔部19が形成されている。孔部19はシート材14を貫通しているから当然に完全な透明性を呈する。よって、たとえ透明性を呈さないシート材14であっても、孔部19の形状や面密度を適宜設定すれば、全体として所望の透明性を付与できる。
図6(a)、(b)は、シート材を用いずにコード情報を形成した印刷物の基本構造を示す部分平面図、及び断面図である。図6(a)の一点鎖線は破断線である。
図6(a)、(b)に示すように、媒体13の表面に、乱反射性を呈する染料、顔料等を定着させてなる可視情報10を含む印刷層20が形成されている。印刷層20に重ねて、接着剤21がコード情報11をなす形状に塗布されている。接着剤21には、図4(c)に示したものと同様の微粒子16が所定の面密度でランダムに固着されている。このような印刷物1のコード情報11が再帰反射性を呈する仕組みは、図5(a)、(b)の場合と同様である。
接着剤21の原料に特段の制限はないが、印刷可能なタイプの接着剤を用いるとよい。その場合、通常の印刷等によって可視情報10が予め形成された印刷物1の上に、接着剤21を用いる印刷によって、コード情報11を更に形成し、そこに微粒子16を噴きつけて定着させ、その後接着剤21を乾燥させれば、最終的な印刷物1が仕上がる。コード情報11が複雑な二次元コードであっても印刷によって簡単、かつ迅速に形成できる。
あるいは微粒子16を予め混入させた接着剤21を用いる印刷によって、コード情報11を形成してもよい。
なお図4〜図6では、再帰反射性を呈する微粒子16としてガラスビーズを採用しているが、その替わりとして、マイクロプリズムを採用してもよい。マイクロプリズムの場合、より強力な再帰反射性が得られる。
次いで本発明の他の実施形態を図7に従って説明する。
図7は、本実施形態とされる印刷物の斜視図である。図示の印刷物1は店舗等で販売される一般物品のラベルとして形成されている。物品の種別に特に制限はないが、ここではマグカップを例としている。ラベルは物品に貼着されるシール状のものでもよいし、物品に直接印刷されていてもよい。
例えば、店舗等で販売される物品には、商品名や価格等、顧客向け情報とPOS端末用の識別コードが印刷されたラベルが貼着されていることが多い。そこで、顧客向け情報を前記可視情報10とし、POS端末用の識別情報を前記コード情報11とすれば、可視情報10の上にコード情報11を重ね合わせることにより、ラベルのサイズが抑えられる。
また一部の物品製造業者や販売業者は、物品のラベルに製造番号、製造年月日、管理番号等を含ませていることがある。しかしその物品が店舗販売される際に、ラベルの全情報がすぐに読み取れる状態であれば、製造年月日等の情報から、その物品が買い控え等の扱いを受けるおそれがある。しかし、製造番号、製造年月日、管理番号等を符号化して前記コード情報11とすれば、コード情報11が目立たないので、そのような扱いを受けるおそれが少なくなる。
1 印刷物
11 コード情報
10 可視情報
14 シート材
16 微粒子

Claims (7)

  1. 可視情報の上にコード情報を重ね合わせた印刷物であって、
    前記可視情報は、人が判別可能な文字、図案又は絵であり、
    前記コード情報は、通常の光では、前記可視情報を透過させる一方、フラッシュ光を直射したときには、再帰反射作用によって現出するようにしたことを特徴とする印刷物。
  2. 請求項1において
    記コード情報は、一次元又は二次元コードであることを特徴とする印刷物。
  3. 請求項1又は2において、
    前記コード情報は、前記可視情報を記している印刷物に、再帰反射作用を呈するシート材を貼着させて形成されていることを特徴とする印刷物。
  4. 請求項1又は2において、
    前記コード情報は、前記可視情報を記している印刷物に、再帰反射作用を呈する微粒子を固着させて形成されていることを特徴とする印刷物。
  5. 請求項1−4のいずれかにおいて、
    展示場又はイベント会場用の情報を記したことを特徴とする印刷物。
  6. 請求項1−4のいずれかにおいて、
    所望の物品のラベルとして形成されていることを特徴とする印刷物。
  7. 請求項1−6のいずれかにおいて、
    前記フラッシュ光はカメラのフラッシュ光源から発せられる光とされることを特徴とする印刷物。
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