JP6464345B2 - 重量分布取得装置、重量分布取得方法およびプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1では、これにより、非破壊的でしかも簡単、確実に、住宅用の梁や桁、柱材のような比較的断面の大きい木材の水分状態を内部水分と外部水分の傾斜まで感知し、密度を把握することが可能とされている。
なお、明細書の記載において、ベクトルないし行列を示す太字表記を省略する。
図1は、本発明の一実施形態における質量分布取得システムの機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、質量分布取得システム1は、慣性モーメント測定装置10と、質量分布取得装置20と、を備える。慣性モーメント測定装置10は、回転駆動部11と、角速度検出部12と、慣性モーメント算出部13とを備える。質量分布取得装置20は、慣性モーメント取得部21と、質量分布取得部22と、形状判定部23と、結果出力部24とを備える。
回転駆動部11は、例えばモータなどの動力を備え、慣性モーメント測定装置10に載せられた対象物を回転させる。
角速度検出部12は、回転駆動部11が対象物を回転させるときの角速度を検出する。
慣性モーメント算出部13は、角速度検出部12が検出する角速度に基づいて、対象物の慣性モーメントを算出する。具体的には、回転駆動部11が、回転エネルギーKを出力し、角速度検出部12が角速度ωを検出した場合、慣性モーメント算出部13は、慣性モーメントI=2K/ω2を算出する。
本体101は、回転駆動部11を収納しており、回転駆動部11が、回転軸102に回転力を加えることで、回転軸102、回転台103、および、回転台103に載せられている対象物b100を回転させる。また、本体101は、角速度検出部12を収納しており、回転軸102が回転する角速度(=対象物b100が回転する角速度)を検出する。なお、慣性モーメント算出部13も本体101に収納されていてもよいし、慣性モーメント測定装置10と別個の装置として設けられていてもよい。例えば、慣性モーメント算出部13が、慣性モーメント測定装置10と別個に設けられた汎用のコンピュータを用いて実現されていてもよい。
回転台103は、対象物の積載を受ける。そして、回転台103は、対象物が載せられた状態で回転軸102から伝達される回転力にて回転することで、対象物b100を回転させる。
なお、回転台103の慣性モーメント、対象物b100を固定する固定治具の慣性モーメントなど、慣性モーメント測定装置10の慣性モーメントを予め求めておくようにしてもよい。そして、慣性モーメント算出部13が、これらの慣性モーメントを予め記憶しておき、対象物b100の慣性モーメントを算出する際に、慣性モーメント測定装置10の慣性モーメントの影響を低減させる補正を行うようにしてもよい。これにより、対象物b100の慣性モーメントを、より高精度に求めることができる。
また、回転台103に、慣性モーメントが既知の対象物を搭載して角速度を測定することで、摩擦等によるエネルギー損失分を予め推定するようにしてもよい。そして、慣性モーメント算出部13が、対象物bの慣性モーメントを算出する際に、エネルギー損失分の影響を低減させる補正を行うようにしてもよい。これにより、対象物b100の慣性モーメントを、より高精度に求めることができる。
慣性モーメント取得部21は、慣性モーメント測定装置が測定した、対象物の慣性モーメントの測定値を取得する。
形状判定部23は、質量分布取得部22が取得した質量分布に基づいて、対象物の形状を判定する。具体的には、形状判定部23は、対象領域(質量分布取得装置20が処理対象とする、対象物を含む空間)が分割された各部分について、質量が所定の閾値以下となっている部分には、対象物が存在していないと判定する。
なお、質量分布取得装置20において、形状判定部23は必須ではない。質量分布取得装置20が形状判定部23を備えていなくてもよい。
まず、対象物の寸法が決定すれば、対象物の質量分布と任意の回転中心における慣性モーメントとの関係を求めることができることについて説明する。
ある直線を回転中心(回転軸)として角速度ωで回転する剛体をn個の小部分に分割して考える。このとき、回転半径ri、質量miの小部分が持つ運動エネルギーKiは、式(1)のように表される。
なお、微小体積ΔVの質量をΔmとすると、密度ρは式(4)のように表される。
図3は、密度が異なる2つの部分を有する細長い棒の例を示す図である。同図に示す棒b111(対象物)は、部分b121と、部分b122とが、同図に向かって左からb121、b122の順で結合して構成されている。部分b121の長さはl1、断面積はS1、質量はw1である。また、部分b122の長さはl2、断面積はS2、質量はw2である。
部分b121の密度、部分b122の密度をそれぞれρ1、ρ2とし、回転軸の、部分b121の左端からの距離をt(0≦t≦l1)とする。回転軸からの距離zについて、慣性モーメントI(t)は、式(6)のように表される。
式(8)は、式(10)のように表される。
さらに、回転軸の位置(部分b121の左端からの距離)をt1からtmまでのm通りに変えて慣性モーメントの測定数を増やし、I(t1)からI(tm)までの測定データを用いて質量を推定する場合、式(8)は式(12)のようになる。
実際には、慣性モーメントベクトルImに測定誤差Errが加えられるため、式(15)のようになる。
未知数よりも多くの測定データを用いることで、最小二乗法などにより解の信頼性を高めることができる。
図4は、密度が異なるn個の部分を有する細長い棒の例を示す図である。同図に示す棒b211は、部分b221と、部分b222と、・・・、部分b22nとが、同図に向かって左からb221、b222、・・・、b22nの順で結合して構成されている。部分b221の長さはl1、断面積はS1、質量はw1である。部分b222の長さはl2、断面積はS2、質量はw2である。・・・部分b22nの長さはln、断面積はSn、質量はwnである。
この場合、式(15)は、式(16)のようになる。
式(16)に基づいて、質量分布の推定ベクトルWn’を求める式(17)を得られる。
形状を考慮したnよりも多いm通りの回転軸についてm個の慣性モーメントを測定する(m個の観測方程式を得る)ことで、最小二乗法等により質量分布の推定精度を高めることができる。
具体的には、まず、対象物を含む空間である対象領域を複数の部分に分割する。例えば、対象領域を解析単位となるメッシュに分割する。質量分布取得装置20のユーザが当該分割を行うようにしてもよいし、質量分布取得部22が自動的に当該分割を行うようにしてもよい。
そして、質量分布取得部22は、慣性モーメント測定装置10による慣性モーメントの測定値を式(17)に代入して、対象物の質量分布を算出する。
図5は、密度が異なる2つの円柱の部分を有する対象物の例を示す図である。同図に示す対象物b311は、円柱形状の2個の部分b321と、b322とが、同図に向かって左からb321、b322の順で結合して構成されている。部分b321の長さはl1、半径はr1、重心はG1、質量はw1である。部分b322の長さはl2、半径はr2、重心はG2、質量はw2である。
また、部分b321の左端から回転軸までの距離をtとし、回転軸から重心G1、G2までの距離を、それぞれ、e1、e2とする。
このとき、部分b321の重心G1まわりの慣性モーメントIG1は、式(18)のように表される。
さらに、回転軸の位置tをm通りに変えて慣性モーメントの測定数を増やし、Ip(t1)からIp(tm)までの測定データを用いれば、式(29)のようになる。
次に、密度が異なるn個の円柱の部分を有する対象物を例に、質量分布の推定について説明する。
図6は、密度が異なるn個の円柱の部分を有する対象物の例を示す図である。同図に示す対象物b411は、円柱形状のn個の部分b421と、部分b422と、・・・、部分b42nとが、同図に向かって左からb421、b422、・・・、b42nの順で結合して構成されている。部分b421の長さはl1、半径はr1、重心はG1、質量はw1である。部分b422の長さはl2、半径はr2、重心はG2、質量はw2である。・・・部分b42nの長さはln、半径はrn、重心はGn、質量はwnである。
また、部分b421の左端から回転軸までの距離をtとし、回転軸から重心G1、G2・・・Gnまでの距離を、それぞれ、e1、e2、・・・、enとする。
この場合、式(20)は、式(32)のように拡張される。
次に、密度が異なる2つの部分を有する細長い棒の質量分布の推定例について説明する。
図3に示した、密度が異なる2つの部分b121およびb122を有する細長い棒b111について、質量w1=360キログラム(kg)、質量w2=240キログラムを求める問題を考える。部分b121、b122は、それぞれ、長さがl1=1.2メートル(m)、l2=3.6メートルであるとする。
回転軸が部分b121の左端からt(0≦t≦l1)の距離にあるときの慣性モーメントは、上述した式(12)、(13)のように表される。
また、式(13)より式(35)を得られる。
部分b121およびb122の寸法が既知の場合には、質量分布に対する慣性モーメントを調べることができるため、応答行列Rm2を取得することができ、慣性モーメントの測定値を示す慣性モーメントベクトルImから質量分布を求める(推定する)ことができる。
図8は、図7の質量分布の推定結果のうち、正解値および推定値の付近を拡大した図である。同図において、w1=360キログラム、w2=240キログラムの位置に正解値の点P101が表示されている。また、w1が360キログラム前後、w2=240キログラム付近の位置に、点P102など、推定値を示す点が複数表示されている。
図7および図8に示すように、w2の推定精度が特に高く、w1についても、1キログラム程度の精度で推定できている。
図3に示した、密度が異なる2つの部分b121およびb122を有する細長い棒b111について、質量w1=360キログラム、質量w2=0キログラムを求める問題を考える。部分b121、b122は、それぞれ、長さがl1=1.2メートル(m)、l2=3.6メートルであるとする。これにより、対象物の長さは1.2メートルであるが、対象物の形状が不明であり、注目領域として長さ4.8メートルの領域について質量分布を求める場合を模擬する。
図10は、図9の質量分布の推定結果のうち、正解値および推定値の付近を拡大した図である。同図において、w1=360キログラム、w2=0キログラムの位置に正解値の点P201が表示されている。また、w1が360キログラム前後、w2=0キログラム付近の位置に、点P202など、推定値を示す点が複数表示されている。
図9および図10に示されるように、質量w2の推定値がほぼ0になっている。
このように、質量がほぼ0になっている領域について、形状判定部23は、対象物が存在していない領域であると判定する。これにより、形状判定部23は、対象物の形状を求める。具体的には、形状判定部23は、対象領域が分割された各部分について、質量が所定の閾値以下か否かを判定する。そして、形状判定部23は、質量が閾値以下であると判定した部分には、対象物が存在していないと判定する。これにより、質量分布取得装置20が対象とする領域が、対象領域よりも大きく設定されていても、形状判定部23は、対象物の形状を検出することができる。また、形状判定部23は、対象物内部の空洞を検出することができる。
図11は、質量分布取得装置20が行う処理手順の例を示すフローチャートである。
同図の処理において、慣性モーメント取得部21は、慣性モーメント測定装置10が複数の回転軸の各々について測定した慣性モーメントを取得する(ステップS101)。
次に、質量分布取得部22は、ステップS101で得られた慣性モーメントに基づいて、対象物の質量分布を取得する(ステップS102)。具体的には、質量分布取得部22は、ステップS101で得られた慣性モーメントを式(17)に代入して質量分布を算出する。
次に、形状判定部23は、ステップS102で得られた質量分布に基づいて、対象物の形状を判定する(ステップS103)。具体的には、形状判定部23は、対象領域を分割した部分のうち、質量が所定の閾値以下となっている部分について、対象物が存在していないと判定する。
そして、結果出力部24は、ステップS102で得られた対象物の質量分布、および、ステップS103で得られた対象物の形状を出力する(ステップS104)。
その後、図11の処理を終了する。
これにより、質量分布取得装置20では、慣性モーメントを測定可能な任意の対象物を任意の部分に分割した場合に、質量分布を求めることができる。
これにより、質量分布取得装置20が対象とする領域が、対象領域よりも大きく設定されていても、形状判定部23は、対象物の形状を検出することができる。また、形状判定部23は、対象物内部の空洞を検出することができる。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
10 慣性モーメント測定装置
11 回転駆動部
12 角速度検出部
13 慣性モーメント算出部
20 質量分布取得装置
21 慣性モーメント取得部
22 質量分布取得部
23 形状判定部
24 結果出力部
Claims (4)
- 対象物における基準点からの位置が把握されている複数点を回転軸として対象物を回転させることで慣性モーメントを取得する慣性モーメント取得部と、
前記慣性モーメント取得部が取得した慣性モーメントとその時の回転軸の位置とに基づいて、慣性モーメントベクトル、応答行列、質量ベクトル、及び前記応答行列の逆行列を用いて前記対象物の質量分布を求める質量分布取得部と、
を備える質量分布取得装置。 - 前記質量分布取得部が取得した質量分布に基づいて、前記対象物の形状を判定する形状判定部を備える、
請求項1に記載の質量分布取得装置。 - 対象物における基準点からの位置が把握されている複数点を回転軸として対象物を回転させることで慣性モーメントを取得する慣性モーメント取得ステップと、
前記慣性モーメント取得ステップにて得られた慣性モーメントとその時の回転軸の位置とに基づいて、慣性モーメントベクトル、応答行列、質量ベクトル、及び前記応答行列の逆行列を用いて前記対象物の質量分布を求める質量分布取得ステップと、
を備える質量分布取得方法。 - コンピュータに、
対象物における基準点からの位置が把握されている複数点を回転軸として対象物を回転させることで慣性モーメントを取得する慣性モーメント取得ステップと、
前記慣性モーメント取得ステップにて得られた慣性モーメントとその時の回転軸の位置とに基づいて、慣性モーメントベクトル、応答行列、質量ベクトル、及び前記応答行列の逆行列を用いて前記対象物の質量分布を求める質量分布取得ステップと、
を実行させるためのプログラム。
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