JP6461784B2 - 航空機搭載システム - Google Patents

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Description

本発明は、複数のプラットフォームを含み、航空機の諸条件に応じて要求される機能またはサービスを実現する航空機搭載システムに関する。
航空機には、当該航空機の計器表示、通信、航法、飛行管理等に関する機能を実現するために、種々の航空機専用の電子機器(アビオニクス機器)が搭載されている。また、航空機の中でも旅客機では、乗客のために機内放送設備、娯楽設備、ギャレー設備等のサービス設備を備えているが、これらサービス設備にも電子機器(他の電子機器)が多く含まれる。これら電子機器は、コンピュータおよびネットワーク、並びに、これらを制御する様々なソフトウェアによりシステム化され、航空機搭載システムとして構築される。
航空機の機種、用途、機体の規模、機体の特性等といった諸条件に応じて、航空機に搭載される電子機器の種類、数量、搭載位置または制御手法等の搭載条件も異なるため、航空機搭載システムの具体的な構成も異なる。それゆえ、航空機搭載システムの多くは、個々の航空機に対応するように逐一開発される。このような航空機搭載システムの一例として、特許文献1に開示される航空機搭載アプリケーション制御システム(制御システム)が挙げられる。この制御システムでは、予め多種のアプリケーション(第一の航空機搭載アプリケーション)一式が航空機にインストールされており、地上局と通信しながら、これら第一の航空機搭載アプリケーションを動作させる。
ここで、航空機の運航、整備、および機内の乗客サービスに要求される機能またはタスクに応じて、第一の航空機搭載アプリケーションの一部について、変更または追加が必要となる場合がある。この場合、第一の航空機搭載アプリケーションを予めモジュール化しておき、変更または追加の際に、必要なアプリケーションを制御システムにインストールする。ただし、モジュール化によるインストールが可能なように制御システムを構築すると複雑化および高コスト化を招く。
そこで、この制御システムでは、第一の航空機搭載アプリケーションを含む中核ネットワークを構成するとともに、この中核ネットワークに協調的に機能する第二の航空機搭載アプリケーションを専用の制御ユニット(アプリケーション管理ユニット)で制御する支援装置を用いている。アプリケーション管理ユニットは、好ましくはソフトウェアで実現される独立モジュールであって、第二の航空機搭載アプリケーションにより、第一の航空機搭載アプリケーションによる所定の機能またはタスクの実行を支援する。
特表2010−514069号公報
近年、航空機に要求される機能またはサービスは、大規模化または複雑化が進んでいるため、航空機搭載システムの開発コストは急激に上昇している。また、技術革新によって既存の航空機搭載システムの陳腐化も加速している。そのため、航空機の諸条件に応じて航空機搭載システムを逐一開発することは、開発コストの増大および開発期間の長期化を招くだけでなく、現実的な金額および期間の中で航空機搭載システムを開発すること自体が困難となる恐れがある。
特許文献1に開示される制御システムでは、前記の通り、中核ネットワークに含まれる第一の航空機搭載アプリケーションを変更または追加するために、支援装置のアプリケーション管理ユニット(第二の航空機搭載アプリケーション)により第一の航空機搭載アプリケーションを支援している。しかしながら、アプリケーション管理ユニット(第二の航空機搭載アプリケーション)は、中核ネットワークにインストールされる第一の航空機搭載アプリケーションと少なくとも同数である必要がある。そのため、制御システムの複雑化または高コスト化を有効に回避することが難しい。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、システムの複雑化を有効に抑制しつつ、開発コストの増大および開発期間の長期化を回避することが可能な航空機搭載システムを提供することを目的とする。
本発明に係る航空機搭載システムは、前記の課題を解決するために、複数のプラットフォームを含む航空機搭載システムであって、当該航空機搭載システムを実現するための基本ソフトウェア、前記プラットフォームで共通する共通機能を実現する共通応用ソフトウェア、並びに、航空機で実現する目的に応じた複数の個別機能をそれぞれ実現する複数の個別応用ソフトウェア、を記憶する記憶器と、前記基本ソフトウェアの実行により生成するビジネスロジック層、および、当該ビジネスロジック層により管理され、前記共通応用ソフトウェアの実行により生成する共通アプリケーション層を有する演算器と、当該演算器に接続されるサービスバスと、を備え、さらに、前記基本ソフトウェアには、ミドルウェアとして、パブリッシャーからサブスクライバーへデータ送信がなされたときに当該データ受信を適時に通知するよう構成される双方向型DDS(Data Distribution Service)が含まれ、前記演算器の前記ビジネスロジック層は、複数の前記プラットフォームの差異を吸収する共通インタフェース処理部として機能するよう構成され、当該共通インタフェース処理部は、前記双方向型DDSの実行により前記ビジネスロジック層および前記共通アプリケーション層の間で通信し、前記個別応用ソフトウェアは、前記共通インタフェース処理部を介してインストールされるプラグインソフトウェアとして構成されている。
前記構成によれば、演算器のビジネスロジック層が共通インタフェース処理部として機能するとともに、当該共通インタフェース処理部が双方向型DDSにより共通アプリケーション層と通信する。これにより、航空機搭載システムから抽出された共通する構成のみを提供するSOAベースシステムを構築することができる。このように、航空機搭載システムがSOA(Service Oriented Architecture)化されることで、航空機に要求される機能またはサービスに合わせて応用ソフトウェアを適宜選択し、共通インタフェース処理部を介して航空機搭載システムにプラグインすることができる。これにより、航空機の諸条件に応じた航空機搭載システムを構築することが可能となる。その結果、航空機搭載システムを逐一開発する必要がなくなるとともに、システムの複雑化を有効に抑制しつつ、開発コストの増大および開発期間の長期化を回避することができる。
前記構成の航空機搭載システムにおいては、前記サービスバスを介して前記演算器に接続され、当該演算器により制御されることにより動作する、入出力器および/またはサブシステムをさらに備え、当該入出力器および/または当該サブシステムは、前記共通インタフェース処理部を介してプラグイン接続されるよう構成されてもよい。
また、前記構成の航空機搭載システムにおいては、前記演算器を複数備え、それぞれの前記演算器は、前記サービスバスを介して互いに接続され、複数の前記演算器のうち少なくとも一つが、全ての前記演算器の前記共通アプリケーション層を前記ビジネスロジック層で管理する現用系演算器であり、当該現用系演算器以外の前記演算器が待機系演算器であり、当該待機系演算器は、前記現用系演算器と並行して動作し、前記現用系演算器の前記ビジネスロジック層は、全ての前記演算器の前記共通アプリケーション層について、当該現用系演算器の前記共通アプリケーション層の優先度を最上位とした上で、それぞれ優先度を設定してその動作の生存性を確認し、前記現用系演算器の前記ビジネスロジック層は、当該現用系演算器の前記共通アプリケーション層がプロセスダウンしたときには、優先度が高い前記待機系演算器の前記共通アプリケーション層との通信を確立する構成であってもよい。
また、前記構成の航空機搭載システムにおいては、前記共通応用ソフトウェアには、前記共通インタフェース処理部を介してインストールされるプラグインソフトウェアとして構成されるものが含まれる構成であってもよい。
また、前記構成の航空機搭載システムにおいては、前記演算器は、さらに、外部システムに接続可能とするネットワーク層を有し、前記双方向型DDSに基づいて前記ビジネスロジック層および前記ネットワーク層との間で通信することにより、前記外部システムと通信するよう構成されてもよい。
また、前記構成の航空機搭載システムにおいては、前記記憶器は複数設けられ、当該記憶器には、前記演算器に対応して設けられ、前記基本ソフトウェア、前記共通応用ソフトウェアおよび前記個別応用ソフトウェアを記憶する演算器用記憶器と、前記演算器から独立して設けられ、前記サービスバスを介して前記演算器に接続されるデータベース用記憶器と、が含まれる構成であってもよい。
また、前記構成の航空機搭載システムにおいては、前記演算器の前記ビジネスロジック層は、前記データベース用記憶器にリカバリデータを記憶させる構成であってもよい。
また、前記構成の航空機搭載システムにおいては、前記双方向型DDSは、前記パブリッシャーが単一であるとともに前記サブスクライバーが複数であり、前記パブリッシャーからのデータ送信に対して、複数の前記サブスクライバーからデータ受信が通知されたときに、いずれの前記サブスクライバーからの通知であるかを識別するように構成されてもよい。
また、前記構成の航空機搭載システムにおいては、前記双方向型DDSは、前記パブリッシャーおよび前記サブスクライバーがいずれも単一であり、前記パブリッシャーからの複数のデータ送信に対して、前記サブスクライバーから複数のデータ受信が通知されたときに、いずれのデータ送信に対するデータ受信であるかを識別するように構成されてもよい。
本発明では、以上の構成により、システムの複雑化を有効に抑制しつつ、開発コストの増大および開発期間の長期化を回避することが可能な航空機搭載システムを提供することができる、という効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る航空機搭載システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 図1に示す航空機搭載システムのソフトウェア構成の一例を示す模式図である。 (A),(B)は、図2に示す航空機搭載システムのソフトウェア構成に含まれる双方向型DDSの一例を示す模式図である。 図1に示す航空機搭載システムが備えるSOA化されたベースシステムおよびこれに接続される外部システムの構成の一例を示す模式図である。 図2に示す航空機搭載システムが正常動作しているときの構成の一例を示す模式図である。 (A)は、図5に示す航空機搭載システムにおいて第一サーバが故障した状態の一例を示す模式図であり、(B)は、(A)に示す航空機搭載システムにおいて第一サーバに代わり第二サーバが確立した状態を示す模式図である。 (A)は、図5に示す航空機搭載システムにおいて第一サーバが故障した状態の他の例を示す模式図であり、(B)は、(A)に示す航空機搭載システムにおいて第一サーバに代わり第二サーバが確立した状態を示す模式図である。 (A)は、図5に示す航空機搭載システムにおいて第二サーバとともに第一サーバが故障した状態の一例を示す模式図であり、(B)は、(A)に示す航空機搭載システムにおいて第一サーバが復帰した状態を示す模式図である。 (A)は、従来の航空機搭載システムにおいて第一サーバが故障した状態の一例を示す模式図であり、(B)は、(A)に示す従来の航空機搭載システムにおいて第一サーバに代わり第二サーバが確立した状態を示す模式図である。
以下、本発明の代表的な実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
[航空機搭載システムの構成]
まず、本発明の実施の一形態に係る航空機搭載システムのハードウェア構成を、図1を参照して説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る航空機搭載システム10は、複数のサーバ11,21、サービスバス31、ユーザインタフェース32、および記憶装置33を備え、複数の外部システム40が接続可能となっている。第一サーバ11はプロセッサ12およびメモリ13を備え、第二サーバ21はプロセッサ22およびメモリ23を備える。
プロセッサ12,22は、メモリ13,23に記憶されるソフトウェアを実行することにより、航空機搭載システム10におけるさまざまな機能を実現する演算器である。メモリ13,23は、サーバ11,21の内部記憶器であり、基本ソフトウェア51、共通応用ソフトウェア52、および個別応用ソフトウェア53等が記憶されているとともに、プロセッサ12,22の動作により生成する各種データ等を記憶可能としている。
メモリ13,23に記憶される基本ソフトウェア51は、航空機搭載システム10を実現するためにハードウェアを制御および管理し、共通応用ソフトウェア52および個別応用ソフトウェア53等を実行させる。基本ソフトウェア51の具体的な構成は特に限定されず、オペレーションシステム(OS)、ミドルウェア(M/W)、アプリケーションフレームワーク(FW)等を挙げることができる。また、本実施の形態では、後述するように、航空機搭載システム10が複数のプラットフォームを含む。共通応用ソフトウェア52は、これらプラットフォームで共通する共通機能を実現する。個別応用ソフトウェア53は、航空機で実現する目的に応じた複数の個別機能を実現する。
第一サーバ11および第二サーバ21は、外部バスであるサービスバス31を介してユーザインタフェース32、記憶装置33、外部システム40に接続されている。ユーザインタフェース32は、航空機が備える操作装置等であり、航空機の諸条件に応じて適切な構成のものが選択されて用いられる。記憶装置33は、サーバ11,21が備えるメモリ13,23すなわち内部記憶器に対して外部記憶器を構成する。外部システム40は、航空機搭載システム10をメインシステムとしたときに、当該メインシステムから独立したシステムとして航空機搭載システム10に接続されており、航空機搭載システム10により制御可能となっている。
サーバ11,21、サービスバス31、ユーザインタフェース32、記憶装置33、外部システム40の具体的な構成は特に限定されず、いずれも航空機の分野で公知の構成であればよい。本実施の形態では、外部システム40として、第一外部システム41である飛行管理システム(FMS)と、第二外部システム42である機内エンターテインメントシステム(IFE)とを例示しているが、具体的な外部システム40は、これらに限定されない。また、本実施の形態では、外部システム40として二つのシステムを例示しているが、もちろん三つ以上であってもよい。
なお、外部システム40は、各種の入力装置、センサ、表示装置等の入出力器、もしくは、航空機のさまざまな機能を実現するサブシステムを含んでいる。また、ユーザインタフェース32も入出力器またはサブシステムに相当する。それゆえ、航空機搭載システム10も、外部システム40と同様に、種々の入出力器および/またはサブシステムを含んでいることになる。これらは、サーバ11,21のプロセッサ12,22により制御される。また、これら入出力器および/またはサブシステムには、メインシステムを構成するものと、外部システム40を構成するものとが含まれる。例えば、ユーザインタフェース32はメインシステムを構成する入出力器であるが、第一外部システム41または第二外部システム42が備える入出力器および/またはサブシステムは、外部システム40を構成するものである。
本実施の形態に係る航空機搭載システム10は、前記の通り、複数のプラットフォームを含む。これら複数のプラットフォームは、異なるハードウェアによるバリエーションであってもよいし、異なる基本ソフトウェア51によるバリエーションであってもよいし、ハードウェアおよび基本ソフトウェア51の双方の差異によるバリエーションであってもよい。したがって、第一サーバ11および第二サーバ21はそれぞれ同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。同様に、メモリ13に記憶される基本ソフトウェア51と、メモリ23に記憶される基本ソフトウェア51も、それぞれ同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
次に、航空機搭載システム10のソフトウェア構成(プログラム構成)の一例について、図2を参照して説明する。図2に示すように、航空機搭載システム10が備えるサーバ11,21は、階層化されており、それぞれビジネスロジック層14,24、共通アプリケーション層15,25、およびネットワーク層16,26を有する。これら各層は、プロセッサ12,22がメモリ13,23に記憶されるソフトウェアを実行させることにより生成される。また、これら各層は、双方向型DDS34を介して、互いに通信可能であるとともに、ユーザインタフェース32および/またはデータベース35との間でも通信可能となっている。
なお、説明の便宜上、図1に示す航空機搭載システム10のハードウェア構成に含まれる各構成要素(モジュール)を「ハード要素」と称し、図2に示す航空機搭載システム10のソフトウェア構成(プログラム構成)に含まれる各構成要素(モジュール)を「ソフト要素」と称する。これに基づけば、例えば、サーバ11,21が備えるプロセッサ12,22およびメモリ13,23はハード要素に分類され、サーバ11,21により実現される各層(ビジネスロジック層14,24、共通アプリケーション層15,25、およびネットワーク層16,26等)はソフト要素に分類される。また、ユーザインタフェース32はハード要素、かつ、ソフト要素に分類される。
ビジネスロジック層14,24は、基本ソフトウェア51を実行することにより生成し、共通アプリケーション層15,25およびネットワーク層16,26等を管理する。共通アプリケーション層15,25は、共通応用ソフトウェア52を実行することにより生成し、双方向型DDS34に基づいてビジネスロジック層14,24との間で通信することにより、前述した共通機能を実現する。ネットワーク層16,26は、共通応用ソフトウェア52または個別応用ソフトウェア53に含まれるネットワーク用ソフトウェアを実行することにより生成し、双方向型DDS34に基づいてビジネスロジック層14,24との間で通信することにより、メインシステムである航空機搭載システム10と外部システム40とを通信可能に接続する。
なお、ネットワーク層14,24は、図2において破線で示すように、例えば、TCP/IPプロトコルにより外部システム40と直接接続されてもよいし、図2において実線で示すように、双方向型DDS34に基づいて接続されてもよい。図2では、説明の便宜上、外部システムのブロックは図示していない。
ビジネスロジック層14,24、共通アプリケーション層15,25、およびネットワーク層16,26は、それぞれ双方向型DDS(Data Distribution Service)34を介して通信可能に構成される。これら各層のうちビジネスロジック層14,24は、双方向型DDS34を介して、ユーザインタフェース32およびデータベース35にも通信可能となっている。また、共通アプリケーション層15,25およびネットワーク層16,26は、双方向型DDS34を介してデータベース35に通信可能となっている。
つまり、ビジネスロジック層14,24は、ユーザインタフェース32の操作により、共通アプリケーション層15,25およびネットワーク層16,26(並びにその他の層)を管理可能となっており、ビジネスロジック層14,24、共通アプリケーション層15,25、およびネットワーク層16,26は、いずれもデータベース35を参照可能となっている。
双方向型DDS34は、基本ソフトウェア51に含まれるミドルウェアの一つであり、パブリッシャーからサブスクライバーへデータ送信がなされたときに当該データ受信を適時に通知するよう構成されている。なお、双方向型DDS34の詳細については後述する。データベース35は、記憶装置33および/またはメモリ13,23により構成される。つまり、航空機搭載システム10のデータベース35は、外部記憶器である記憶装置33のみで構成されてもよいが、記憶装置33とともに内部記憶器であるメモリ13,23により構成されてもよいし、内部記憶器であるメモリ13,23のみで構成されてもよい。
なお、サーバ11,21は、メモリ13,23のような内部記憶器だけでなく、専用の外部記憶器を備えてもよい。例えば、サーバ11,21に対して、記憶装置33とは異なる専用の外部記憶器を設けてもよい。したがって、航空機搭載システム10が備える記憶器としては、基本ソフトウェア51、共通応用ソフトウェア52および個別応用ソフトウェア53等を記憶し、演算器であるプロセッサ12,22(もしくはサーバ11,21)に対応して設けられる演算器用記憶器と、サーバ11,21から独立して設けられサービスバス31を介してサーバ11,21に接続されるデータベース用記憶器と、が含まれてもよい。
また、データベース用記憶器である記憶装置33は、ネットワーク接続ストレージ(NAS)のようなファイルサーバであってもよいし、USBメモリまたは光ディスク等のように外部接続される記憶媒体であってもよいし、これらの組合せであってもよいし、これら以外の記憶器であってもよい。したがって、外部記憶器であるデータベース用記憶器は、航空機搭載システム10に一つのみ設けられてもよいし複数設けられてもよい。
なお、第一サーバ11の各層(ビジネスロジック層14、共通アプリケーション層15、およびネットワーク層16等)と第二サーバ21の各層(ビジネスロジック層24、共通アプリケーション層25、およびネットワーク層26等)とは、いずれも双方向型DDS34を介して互いに通信可能であることは言うまでもない。
[双方向型DDS]
次に、双方向型DDS34の具体的な構成の一例について、図3(A),(B)を参照して説明する。
DDSは、パブリッシャー−サブスクライバー型モデルに基づくネットワークミドルウェアであるため、送信者(パブリッシャー)は受信者(サブスクライバー)について知る必要がない。そのため、システムに含まれる各機能の間で疎結合性を確保しつつデータ通信が可能となる。そのため、共通インタフェース処理部50の実現に際してDDSを実行することにより、拡張性の高いネットワークを構築することができる。したがって、共通インタフェース処理部50は、DDSの実行により複数のプラットフォームの差異を良好に吸収することができる。
ただし、従来の一般的なDDSでは、高い拡張性のために双方向通信を想定していない。それゆえ、DDSによる通信では、非同期処理が前提であってリアルタイム性について考慮がされていない。これに対して、本実施の形態に係る航空機搭載システム10では、ハード要素および/またはソフト要素の間で双方向型DDS34により通信を実行するため、これら要素の間で送受信する際に疎結合性を確保しつつ、送受信間でのリアルタイム性も確保することができる。それゆえ、航空機搭載システム10、並びに、これに接続される外部システム40においてリアルタイム同期処理が可能となる。
双方向型DDS34の具体的構成の一例について、図3(A),(B)を参照して説明する。双方向型DDS34では、パブリッシャーP(送信者)から送信されたデータは、サービスバス31に接続されるサブスクライバーS(受信者)全てに行き届く。サブスクライバーSでは、予め設定された条件に基づいてフィルタリング(データ選別)を行った上で、送信されたデータを受信する。サブスクライバーSは、データを受信すると、パブリッシャーPに対して適時(リアルタイム)に受信を通知する。
例えば、図3(A)に示すように、パブリッシャーPが単一であるとともにサブスクライバーSが複数(S1〜Sn)である構成を挙げる。従来のDDSであれば、パブリッシャーPは、データ受信者であるサブスクライバーSに関して知る必要がない。それゆえ、図3(A)の左側に示すように、パブリッシャーPからそれぞれのサブスクライバーS1,S2・・・Snに対して一方向に通信C1,C2・・・Cnが送信されるだけであった。
これに対して、図3(A)の右側に示すように、双方向型DDS34では、パブリッシャーPからサブスクライバーS1,S2・・・Snに対して、それぞれ通信C1,C2・・・Cnが送信されれば、各サブスクライバーS1,S2・・・Snからそれぞれ識別可能に応答通信R1,R2・・・Rnが送信される。つまり、双方向型DDS34では、パブリッシャーPからのデータ送信に対して、複数のサブスクライバーS1〜Snからデータ受信が通知されたときに、当該データ受信の通知は、いずれのサブスクライバーS1〜Snからの通知であるかを識別するように構成されている。
また、図3(B)に示すように、単一のパブリッシャーPおよび単一のサブスクライバーSの間で、複数の通信C1,C2・・・Cnが送信される構成では、図3(B)の左側に示すように、従来のDDSであれば、パブリッシャーPからそれぞれのサブスクライバーSに対して一方向に通信C1,C2・・・Cnが送信されるだけであった。
これに対して、図3(B)の右側に示すように、双方向型DDS34では、パブリッシャーPからサブスクライバーSに対して、それぞれ通信C1,C2・・・Cnが送信されれば、サブスクライバーSからそれぞれ応答通信R1,R2・・・Rnが送信されるが、これら応答通信R1〜Rnは、パブリッシャーPからの通信C1〜Cnのいずれに対応するものであるのか識別可能となっている。つまり、双方向型DDS34では、単一のパブリッシャーPからの複数のデータ送信に対して、単一のサブスクライバーSから複数のデータ受信が通知されたときに、当該データ受信の通知は、いずれのデータ送信に対するデータ受信であるかを識別するように構成されている。
このように、双方向型DDS34によれば、サブスクライバーSは、パブリッシャーPから受信したデータの内容に合わせて、動的にデータを選別することが可能となる。それゆえ、柔軟かつ多様な条件設定によるフィルタリング機能を用いた同期処理を実現することができる。その結果、航空機搭載システム10において、DDSにより各要素の間で通信する場合であっても、リアルタイム同期処理が可能となる。
なお、双方向型DDS34において、パブリッシャーPおよびサブスクライバーSの役割は事前の設定に基づく。それゆえ、航空機搭載システム10を構成するハード要素および/またはソフト要素に設定されるパブリッシャーPおよびサブスクライバーSの役割は固定的である。また、任意のハード要素および/またはソフト要素においては、パブリッシャーPまたはサブスクライバーSのいずれかの役割だけでなく、双方の役割を同時設定することもできる。また、各サブスクライバーSにおいてフィルタリングを行うための条件設定は、数値の大小関係の判定等のように単純なものとすればよい。
[航空機搭載システムのSOA化]
前述した航空機搭載システム10は、SOA(Service Oriented Architecture)化されている。このSOA化について、図4を参照して説明する。なお、図4は、サービスバス31を介して接続する構成において、外部システム40等のプラグインまたはプラグアウト状態をモニタ可能とするための論理的な接続形態を図示している。
本実施の形態に係る航空機搭載システム10は、図1に示すハードウェア構成および図2に示すソフトウェア構成を有し、図3(A),(B)に例示する双方向型DDS34を利用して通信を行う。このような構成であれば、航空機搭載システム10は、図4に示すように、当該航空機搭載システム10が備えるべき構成から共通する構成を抽出し、これら共通する構成のみを提供するSOAベースシステム(図4において破線で囲んだ構成)を構築することができる。このSOAベースシステムは、共通インタフェース処理部50、基本ソフトウェア51、ハードウェア20、および共通機能54により構成される。
前述したように、航空機搭載システム10は、基本ソフトウェア51およびハードウェア20(サーバ11,21およびプロセッサ12,22等)の少なくともいずれかの差異に基づく複数のプラットフォームを含む(図4に示す基本ソフトウェア51およびハードウェア20の差異が異なる複数のプラットフォームを実現する)。共通インタフェース処理部50は、これら複数のプラットフォームの差異を吸収して、外部システム40または個別機能55との間で通信できるように構成される。
共通インタフェース処理部50は、サーバ11,21のビジネスロジック層14,24により実現され、基本ソフトウェア51のうち前述した双方向型DDS34を実行することにより、ビジネスロジック層14,24と他の層(特に共通アプリケーション層15,25)との間で双方向の通信を実現する。ハード要素およびソフト要素に関連付けて説明すれば、プロセッサ12,22の動作により実現されるビジネスロジック層14,24は、プラットフォームの差異を吸収する共通インタフェース処理部50として機能し、サーバ11,21の内部バスおよび/または外部バスであるサービスバス31を介して、他のソフト要素またはハード要素との間で通信可能に構成される。
共通インタフェース処理部50は、ハード要素である入出力器および/またはサブシステム、並びに、ソフト要素である共通機能54および個別機能55を、プラグインすることができる。言い換えれば、共通インタフェース処理部50は、外部システム40を構成するハード要素、並びに、ソフト要素(共通機能54および個別機能55)のプラグインまたはプラグアウトを管理している。
例えば、図4に例示するように、第一外部システム41である飛行管理システム(FMS)は、位置センサ411および気象観測用レーダ412等のセンサ類(入出力器)、並びに、自動操舵システム413、自動推力調整システム414、慣性航法システム415、および自動着陸システム416等のサブシステムを備えている。また、第二外部システム42である機内エンターテインメントシステム(IFE)は、ディスプレイ421およびタッチパネル422等のインタフェース(入出力器)、並びに、音響システム423等のサブシステムを備えている。これら入出力器および/またはサブシステムは、共通インタフェース処理部50を介して航空機搭載システム10にプラグイン接続することができる。ユーザインタフェース32も同様にプラグイン接続することができる。
また、例えば、図1に示す共通応用ソフトウェア52がプロセッサ12,22により実行されることにより、図4に示すように共通機能54が実現される。同様に、図1に示す個別応用ソフトウェア53がプロセッサ12,22により実行されることにより、図4に示すように、個別機能55が実現される。これら共通機能54および個別機能55は、共通インタフェース処理部50を介して航空機搭載システム10にインストールされる、プラグインソフトウェアとして構成される。
このように、航空機搭載システム10のハード要素およびソフト要素が、プラットフォームの差異を吸収する共通インタフェース処理部50を介してプラグイン可能に構成されていれば、SOAベースシステムおよびこれにプラグインされるハード要素およびソフト要素を再利用することが可能となる。また、航空機の諸条件に応じて、既存のハード要素およびソフト要素を組み合わせて利用したり、必要なハード要素またはソフト要素のみを新規に開発したり置き換えたりすることが可能になる。それゆえ、航空機搭載システム10を低コストで開発することが可能となるとともに、開発期間の増大を抑制することも可能となる。
例えば、航空機の種類によらず航空機搭載システム10は複雑化および/または大規模化が進んでいるため、依拠するプラットフォーム(ハードウェアおよび基本ソフトウェア51)のバリエーションも異なる。また、航空機の諸条件に応じて、外部システム40の具体的な構成が異なるため、これに応じて、ハード要素である入出力器および/またはサブシステム、並びに、ソフト要素である個別機能55のバリエーションも異なる。図4に示す外部システム40のうち第一外部システム41は、航空機全般が備える例であり、第二外部システム42は、一般的な旅客機が備える例であるが、例えば、地上または海上の観測用航空機、警備または保安用の航空機、もしくは防衛用の航空機等では、搭載される外部システム40の種類が旅客機とは異なる。
さらに、同種の航空機であっても、諸条件によっては構築すべき航空機搭載システム10および外部システム40のバリエーションが異なる。例えば、第一外部システム41であるFMSは、航路を設定して自機の位置に従って運行を管理するものであり、多くの航空機に搭載される基本的なシステムである。しかしながら、航空機の種類によっては、FMSを構成するセンサ類またはサブシステムの種類、性能、精度等が異なるため、各航空機に応じたシステムを構築する必要がある。また、第二外部システム42であるIFEについては、旅客機の規模(大型、中型等の違い)、旅客機の用途(通常航空会社、格安航空会社(LCC)等の違い)に応じて、提供されるエンターテインメントが、音声のみである場合(音楽、ラジオ等)、音声および映像である場合(映画等)、乗客による操作が可能なものである場合(ゲーム、機内ショッピング等)等のバリエーションが想定される。
従来では、具体的なプラットフォームまたは航空機の諸条件に応じて、航空機搭載システム10を逐一新規に開発していたが、本発明によれば、前記の通り、SOAベースシステムおよびプラグインされるハード要素またはソフト要素を再利用することができる。さらに、新規な機能を追加することが容易になるので、新規開発だけでなく既存の航空機を改修することも容易になる。そのため、特に運用が長期に亘る航空機においては、日進月歩するセンサ類またはシステム類を、運用中の航空機に適用することが可能となる。
また、航空機の整備においては多くの地上設備を必要とするが、本発明では、共通インタフェース処理部50が双方向型DDS34を利用しているため、航空機搭載システム10を構成する各要素間だけでなく、航空機搭載システム10と外部システム40との間で、疎結合性を確保することができる。そのため、地上設備が備える各種機材またはシステムと、航空機搭載システム10(およびこれに接続される航空機の外部システム40)との間で、インタフェースの共用化が可能となる。それゆえ、整備性の向上が期待できるだけでなく、LCC(Life Cycle Cost)の改善にも寄与することができる。さらに、ハード要素またはソフト要素がプラグイン可能であることから、耐故障性の改善も期待される。
なお、共通機能54は、SOAベースシステムの一部を構成し、共通応用ソフトウェア52により実現される。共通機能54は、航空機搭載システム10が備えるべき構成から抽出された共通する構成(言い換えれば、システムに応じて普遍性または汎用性の高い構成)であるが、この共通機能54も個別機能55等と同様に、航空機の諸条件に応じて異なる可能性がある。そのため、本実施の形態では、共通機能54もプラグイン可能となっている。
これにより、SOAベースシステムに含まれる共通機能54についても、新規に開発したり差し替えたりすることができる。それゆえ、システムの複雑化を有効に抑制しつつ、SOAベースシステムの拡張性または改修性の向上も期待することができる。ただし、共通機能54の内容または種類によってはプラグイン可能となっていなくてもよい。それゆえ、共通応用ソフトウェア52は、個別応用ソフトウェア53と同様にプラグインソフトウェアであってもよいし、プラグインソフトウェアでなくてもよい。
[航空機搭載システムの耐故障性]
さらに、本発明に係る航空機搭載システム10は、複数のサーバ11,21を備えることにより、良好な冗長性を実現することができる。それゆえ、耐故障性の向上を図ることができる。この耐故障性について、図5〜図9(A),(B)を参照して説明する。前記の通り、図1および図2に示すように、本実施の形態に係る航空機搭載システム10は、第一サーバ11および第二サーバ21を備えており、これらがサービスバス31を介して接続され、プロセッサ12,22により実現されるビジネスロジック層14,24等の各層が、双方向型DDS34により通信可能に構成されている。
この構成について、ビジネスロジック層14,24および共通アプリケーション層15,25、並びに双方向型DDS34に注目して模式的に図示すると、図5に示すように、第一サーバ11および第二サーバ21の間に双方向型DDS34が介在し、第一サーバ11のビジネスロジック層14および共通アプリケーション層15が双方向型DDS34を介して通信可能であり、第二サーバ21のビジネスロジック層24および共通アプリケーション層25が双方向型DDS34を介して通信可能であり、さらに第一サーバ11のビジネスロジック層14および共通アプリケーション層15、並びに、第二サーバ21のビジネスロジック層24および共通アプリケーション層25が、双方向型DDS34を介して通信可能になっている。また、これら各層は双方向型DDS34を介してデータベース35にアクセス可能となっている。
ここで、航空機搭載システム10において、第一サーバ11が現用系サーバであり、第二サーバ21が待機系サーバであるように、冗長性が構築されているとする。図5に示すように、航空機搭載システム10が正常に動作していれば、第一サーバ11のビジネスロジック層14が動作するとともに、第一サーバ11の共通アプリケーション層15も動作し、ビジネスロジック層14が共通アプリケーション層15と通信して共通機能54(図4参照)を実現する。なお、図5〜図9(A),(B)では、動作中の層のブロックを二重枠線で図示し、待機中の層のブロックを単独の枠線で図示し、停止中の層およびサーバのブロックを点線で図示する。また、各層間の通信を細線の矢印で示し、各層によるデータベース35へのアクセスを太線の矢印で示す。
さらに、本実施の形態では、第二サーバ21は、待機中であるものの休止せずに第一サーバ11と同様に動作している。それゆえ、第二サーバ21のビジネスロジック層24は、第二サーバ21の共通アプリケーション層25と通信して共通機能54を実現するが、共通アプリケーション層25は、第一サーバ11のビジネスロジック層14とも通信して制御される。言い換えれば、ビジネスロジック層14は、同じ第一サーバ11の共通アプリケーション層15とともに、第二サーバ21の共通アプリケーション層25も制御する。
このとき、ビジネスロジック層14は、複数の共通アプリケーション層15,25について、その動作の生存性を確認するとともに、管理のために優先度を設定する。同じ第一サーバ11の共通アプリケーション層15に優先度P1が設定され、第二サーバ21の共通アプリケーション層25には優先度P2が設定される。これにより、現用系サーバの動作が優先され、待機系サーバは一部が現用系サーバによって制御されて動作するものの、基本的に待機状態にある。
ここで、図6(A)においてバツ印で示すように、第一サーバ11の共通アプリケーション層15に異常が発生したとする。前記の通り、共通アプリケーション層15の動作に並行して共通アプリケーション層25も動作している。そこで、ビジネスロジック層14は、優先度P1の共通アプリケーション層15の異常を検知すれば、即座に優先度P2の共通アプリケーション層25との通信を確立する。これにより、図6(B)に示すように、共通アプリケーション層15が停止しても(図中点線の枠で図示する)、並行する共通アプリケーション層25の優先度がP2からP1に切り替えられるだけであり、SOAベースシステムにおける共通機能54の実現は途切れることなく継続される。
また、図7(A)においてバツ印で示すように、第一サーバ11そのものに異常が発生したとする。このとき、第二サーバ21は、第一サーバ11に並行して動作しているので、図7(B)に示すように、第一サーバ11が停止しても、SOAベースシステムとして見れば、第二サーバ21の動作が途切れることなく確立する。それゆえ、第二サーバ21では、ビジネスロジック層24による共通アプリケーション層25の制御が継続され、共通機能54の実現も継続される。
さらに、図8(A)に示すように、第二サーバ21が停止中であり、かつ、第一サーバ11に異常が発生したとする。このように現用系サーバおよび待機系サーバのいずれも停止するような場合であっても、データベース35のリカバリデータは、外部メモリ36に保存される。それゆえ、例えば図8(B)に二重枠線で示すように、第一サーバ11が異常停止の状態から復旧して動作を再開すれば、外部メモリ36に保存されるリカバリデータをデータベース35に読み込む。これにより、第一サーバ11は、異常停止前の状態で動作を開始することができる。なお、図8(A),(B)における外部メモリ36は、図1における記憶装置33であってもよいし、これ以外の外部記憶器もしくはデータベース用記憶器であればよい。
このように、本実施の形態では、航空機搭載システム10が複数のサーバ11,21を備えることにより、現用系サーバが動作中に待機系サーバも動作させて常時スタンバイ状態を実現することができる。これにより、現用系サーバが停止しても待機系サーバの切り替えに時間を要することが回避されるので、航空機搭載システム10の動作が途切れるおそれを有効に抑制することができる。
なお、従来の構成では、図9(A)に示すように、待機系サーバである第二サーバ121は、待機中は動作せずに休止している。そのため、現用系サーバである第一サーバ111に異常が発生した場合、この異常を検知してから第二サーバ121が起動することになる。それゆえ、図9(B)に示すように、第一サーバ111が停止した後には、第二サーバ121は速やかに動作できるわけではなく、第二サーバ121のビジネスロジック層124および共通アプリケーション層125が起動してから通信ミドルウェア134を介してこれらが通信するまでに切り替え時間が生じる。それゆえ、航空機搭載システム10の動作が途切れてしまう。
特に、従来の構成では、図9(A),(B)に示す通信ミドルウェア134は双方向型DDS34ではなく、共通インタフェース処理部50も備えていない。そのため、サーバ111,121では、システムを構成する各ソフト要素(モジュール)が単一プロセスとして動作する。それゆえ、あるソフト要素が停止すればサーバ111,121の全てのソフト要素が停止してしまう。例えば、第一サーバ111を例に挙げれば、例えば共通アプリケーション層115が停止すれば、ビジネスロジック層114も停止し、第一サーバ111そのものも停止する。
なお、本実施の形態では、航空機搭載システム10は、2台のサーバ11,21を備えているが、サーバは3台以上備えてもよい。また、サーバは1台のみで、このサーバが演算器を複数備える構成であってもよい。したがって、本発明では、航空機搭載システム10は、演算器を複数備え、それぞれの演算器がサービスバス31を介して互いに接続され、これら演算器のうち少なくとも一つが、全ての演算器の共通アプリケーション層をビジネスロジック層で管理する現用系演算器であり、当該現用系演算器以外の演算器が待機系演算器であればよい。これら待機系演算器は、前記の通り、現用系演算器と並行して動作すればよい。
また、サーバが3台以上存在する場合には、待機系サーバも複数台存在することになるが、この場合、現用系サーバのビジネスロジック層14は、当該現用系サーバの共通アプリケーション層15の優先度を最上位とした上で、待機系サーバの共通アプリケーション層25等について、それぞれ優先度を設定してその動作の生存性を確認すればよい。また、現用系サーバのビジネスロジック層14は、当該現用系サーバの共通アプリケーション層15がプロセスダウンしたときには、優先度の高い待機系サーバの共通アプリケーション層25との通信を確立すればよい。
このように、本実施の形態では、サーバ11,21のビジネスロジック層14,24が共通インタフェース処理部50として機能するとともに、当該共通インタフェース処理部50が双方向型DDS34により共通アプリケーション層15,25と通信する。これにより、航空機搭載システム10から抽出された共通する構成のみを提供するSOAベースシステムが構築される。それゆえ、入出力器および/またはサブシステムは、プラットフォームの差異に影響を受けることなく航空機搭載システム10にプラグイン接続することができ、個別機能55(並びに共通機能54)も、プラットフォームの差異に依存することなく航空機搭載システム10にインストールすることができる。
このように、航空機搭載システム10がSOA化されることで、航空機に要求される機能またはサービスに合わせて、入出力器、サブシステムおよび応用ソフトウェア等を適宜選択し、共通インタフェース処理部50を介して航空機搭載システム10にプラグインすることができる。これにより、航空機の諸条件に応じた航空機搭載システム10を構築することが可能となる。その結果、航空機搭載システム10を逐一開発する必要がなくなるとともに、システムの複雑化を有効に抑制しつつ、開発コストの増大および開発期間の長期化を回避することができる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、各種システムが搭載される航空機の分野に広く好適に用いることができる。
10 航空機搭載システム
11 第一サーバ
12,22 プロセッサ(演算器)
13,23 メモリ(記憶器、内部記憶器、演算器用記憶器)
14,24 ビジネスロジック層
15,25 共通アプリケーション層
16,26 ネットワーク層
21 第二サーバ
31 サービスバス
32 ユーザインタフェース
33 記憶装置(記憶器、外部記憶器、データベース用記憶器)
34 双方向型DDS
35 データベース
36 外部メモリ(記憶器、外部記憶器、データベース用記憶器)
40 外部システム
41 第一外部システム
42 第二外部システム
50 共通インタフェース処理部
51 基本ソフトウェア
52 共通応用ソフトウェア
53 個別応用ソフトウェア
54 共通機能
55 個別機能

Claims (9)

  1. 複数のプラットフォームを含む航空機搭載システムであって、
    当該航空機搭載システムを実現するための基本ソフトウェア、前記プラットフォームで共通する共通機能を実現する共通応用ソフトウェア、並びに、航空機で実現する目的に応じた複数の個別機能をそれぞれ実現する複数の個別応用ソフトウェア、を記憶する記憶器と、
    前記基本ソフトウェアの実行により生成するビジネスロジック層、および、当該ビジネスロジック層により管理され、前記共通応用ソフトウェアの実行により生成する共通アプリケーション層を有する演算器と、
    当該演算器に接続されるサービスバスと、
    を備え、
    さらに、前記基本ソフトウェアには、ミドルウェアとして、パブリッシャーからサブスクライバーへデータ送信がなされたときに当該データ受信を適時に通知するよう構成される双方向型DDS(Data Distribution Service)が含まれ、
    前記演算器の前記ビジネスロジック層は、複数の前記プラットフォームの差異を吸収する共通インタフェース処理部として機能するよう構成され、
    当該共通インタフェース処理部は、前記双方向型DDSの実行により前記ビジネスロジック層および前記共通アプリケーション層の間で通信し、これにより前記共通機能が実現され、
    前記個別応用ソフトウェアは、前記共通インタフェース処理部を介してインストールされるプラグインソフトウェアとして構成されることを特徴とする、
    航空機搭載システム。
  2. 前記サービスバスを介して前記演算器に接続され、当該演算器により制御されることにより動作する、入出力器および/またはサブシステムをさらに備え、
    当該入出力器および/または当該サブシステムは、前記共通インタフェース処理部を介してプラグイン接続されるよう構成されることを特徴とする、
    請求項1に記載の航空機搭載システム。
  3. 前記演算器を複数備え、それぞれの前記演算器は、前記サービスバスを介して互いに接続され、
    複数の前記演算器のうち少なくとも一つが、全ての前記演算器の前記共通アプリケーション層を前記ビジネスロジック層で管理する現用系演算器であり、当該現用系演算器以外の前記演算器が待機系演算器であり、
    当該待機系演算器は、前記現用系演算器と並行して動作し、
    前記現用系演算器の前記ビジネスロジック層は、全ての前記演算器の前記共通アプリケーション層について、当該現用系演算器の前記共通アプリケーション層の優先度を最上位とした上で、それぞれ優先度を設定してその動作の生存性を確認し、
    前記現用系演算器の前記ビジネスロジック層は、当該現用系演算器の前記共通アプリケーション層がプロセスダウンしたときには、優先度が高い前記待機系演算器の前記共通アプリケーション層との通信を確立することを特徴とする、
    請求項1または2に記載の航空機搭載システム。
  4. 前記共通応用ソフトウェアには、前記共通インタフェース処理部を介してインストールされるプラグインソフトウェアとして構成されるものが含まれることを特徴とする、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の航空機搭載システム。
  5. 前記演算器は、さらに、外部システムに接続可能とするネットワーク層を有し、
    前記双方向型DDSに基づいて前記ビジネスロジック層および前記ネットワーク層との間で通信することにより、前記外部システムと通信するよう構成されていることを特徴とする、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の航空機搭載システム。
  6. 前記記憶器は複数設けられ、
    当該記憶器には、
    前記演算器に対応して設けられ、前記基本ソフトウェア、前記共通応用ソフトウェアおよび前記個別応用ソフトウェアを記憶する演算器用記憶器と、
    前記演算器から独立して設けられ、前記サービスバスを介して前記演算器に接続されるデータベース用記憶器と、
    が含まれることを特徴とする、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の航空機搭載システム。
  7. 前記演算器の前記ビジネスロジック層は、前記データベース用記憶器にリカバリデータを記憶させることを特徴とする、
    請求項6に記載の航空機搭載システム。
  8. 前記双方向型DDSは、前記パブリッシャーが単一であるとともに前記サブスクライバーが複数であり、前記パブリッシャーからのデータ送信に対して、複数の前記サブスクライバーからデータ受信が通知されたときに、いずれの前記サブスクライバーからの通知であるかを識別するように構成されることを特徴とする、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の航空機搭載システム。
  9. 前記双方向型DDSは、前記パブリッシャーおよび前記サブスクライバーがいずれも単一であり、前記パブリッシャーからの複数のデータ送信に対して、前記サブスクライバーから複数のデータ受信が通知されたときに、いずれのデータ送信に対するデータ受信であるかを識別するように構成されることを特徴とする、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の航空機搭載システム。
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