JP6460141B2 - アルミン酸塩蛍光体、発光装置及びアルミン酸塩蛍光体の製造方法 - Google Patents

アルミン酸塩蛍光体、発光装置及びアルミン酸塩蛍光体の製造方法 Download PDF

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本発明は、アルミン酸塩蛍光体、発光装置及びアルミン酸塩蛍光体の製造方法に関する。
発光ダイオード(Light emitting diode:LED)と蛍光体とを組み合わせて白色、電球色、橙色等に発光する発光装置が種々開発されている。これらの発光装置では、光の混色の原理によって所望の発光色が得られる。白色光を放出する発光装置としては、青色を発光する発光素子及び黄色等を発光する蛍光体を用いる発光装置がよく知られている。青色を発光する発光素子と黄色等を発光する蛍光体とを用いた発光装置は、一般照明、車載照明、ディスプレイ、液晶用バックライト等の幅広い分野での使用が求められている。このうち、液晶用バックライト用途の発光装置に用いる蛍光体としては、色度座標上の広範囲の色を再現するために、発光効率と共に色純度が優れていることも求められている。特に液晶用バックライト用途の発光装置に用いる蛍光体は、色再現性範囲を広げる点から、発光スペクトルにおける発光ピークの半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum、以下「半値幅」と称する。)が狭く、色純度が高い蛍光体が求められている。
例えば、発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅の狭い緑色発光蛍光体として、(Ba、Sr)MgAl1017:Mn2+などのマンガン賦活アルミン酸塩蛍光体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示のマンガン賦活アルミン酸塩蛍光体は、10nmから190nm程度の波長を有する真空紫外線、具体的には146nmの真空紫外線によって励起されて発光する蛍光体である。
特開2004−155907号公報
しかし、特許文献1に開示のマンガン賦活アルミン酸塩蛍光体は、380nm以上485nm以下の範囲(以下、「近紫外から青色領域」とも呼ぶこともある。)に発光ピーク波長を有する光を発する発光素子と組み合わせた際に、その発光強度が十分ではない。
そこで、本発明の一実施態様は、近紫外から青色領域の光励起によって高い発光強度を有するアルミン酸塩蛍光体、発光装置及びアルミン酸塩蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の態様を包含する。
本発明の第一の態様は、Ba及びSrから選択される一種以上の元素を含む第一元素と、MgとMnを含む第二元素と、を含む組成を有する、アルミン酸塩蛍光体であって、前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、Alのモル比を10としたときに、前記第一元素の合計モル比が変数aであり、前記第二元素の合計モル比が変数bであり、前記Srのモル比が変数mと前記変数aの積であり、前記Mnのモル比が変数nと前記変数bの積であり、前記変数a及びbは下記条件(1)を満たし、前記変数mは下記条件(2)を満たし、前記変数nは下記条件(3)を満たす、蛍光体である。
0.5<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (1)
0≦m≦1.0 (2)
0.4≦n≦0.7 (3)
本発明の第二の態様は、前記アルミン酸塩蛍光体と、励起光源とを含む発光装置である。
本発明の第三の態様は、Ba及びSrから選択される一種以上の元素を含む第一元素と、MgとMnを含む第二元素と、Alと、Oとを含む組成を有し、前記組成におけるAlのモル比を10としたときに、第一元素(Ba、Sr)の合計モル比を変数aとし、第二元素(Mg及びMn)の合計モル比を変数bとし、Srのモル比を変数mと前記変数aの積とし、Mnのモル比を変数nと前記変数bとの積とし、前記変数a及びbは下記条件(1)を満たす数となり、前記変数mは下記条件(2)を満たし、前記変数nは下記条件(3)を満たすように、各元素を含む化合物を混合し熱処理することを含む、アルミン酸塩蛍光体の製造方法である。
0.5<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (1)
0≦m≦1.0 (2)
0.4≦n≦0.7 (3)
本発明の一実施態様によれば、380nm以上485nm以下の範囲に発光スペクトルを有する光の励起によって高い発光強度を有するアルミン酸塩蛍光体、発光装置及びアルミン酸塩蛍光体の製造方法を提供することができる。
図1は、発光装置の一例を示す概略断面図である。 図2は、実施例1及び比較例1に係るアルミン酸塩蛍光体の発光スペクトルを示す。 図3は、実施例1及び比較例1に係るアルミン酸塩蛍光体の反射スペクトルを示す。
以下、本開示に係るアルミン酸塩蛍光体、発光装置及びアルミン酸塩蛍光体の製造方法を実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下のアルミン酸塩蛍光体、発光装置及びアルミン酸塩蛍光体の製造方法に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。
アルミン酸塩蛍光体
本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体は、Ba及びSrから選択される一種以上の元素を含む第一元素と、MgとMnを含む第二元素と、を含む組成を有する、アルミン酸塩蛍光体であって、前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、Alのモル比を10としたときに、第一元素の合計モル比が変数aであり、第二元素の合計モル比が変数bであり、Srのモル比が変数mと変数aの積であり、Mnのモル比が変数nと変数bの積であり、変数a及び変数bは下記条件(1)を満たし、変数mは下記条件(2)を満たし、変数nは下記条件(3)を満たす数である、蛍光体である。
0.5<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (1)
0≦m≦1.0 (2)
0.4≦n≦0.7 (3)
前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数aは、Ba及びSrの合計モル比である。前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数aが条件(1)を満たす数ではない場合は、結晶構造が不安定となる場合があり、発光強度が低下する虞がある。また、前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数bは、Mg及びMnの合計のモル比である。前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数bが0.5以下であると、結晶構造が不安定となる場合があり、発光強度が低下する虞がある。
前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数a及び変数bは下記条件(4)を満たす数であることが好ましい。
0.7<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (4)
前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数bが0.7を超える数であることにより、アルミン酸塩蛍光体の結晶構造がより安定化し、アルミン酸塩蛍光体の発光強度が高くすることができる。
前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数mは、第一元素であるBaとSrの合計のモル数を1とした場合のSrのモル比を示し、第一元素は、全てがBaであってもよく、また、全てがSrであってもよい。
前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数nは、第二元素であるMg及びMnの合計のモル数を1とした場合のMnのモル比を示す。前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、第二元素であるMg及びMnのうち、Mnのモル比を示す変数nが0.4未満又は0.7を超えると、近紫外から青色領域の光励起による発光強度が低下する場合がある。
前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数nは、0.4≦n≦0.6の条件を満たす数であることが好ましい。
前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、変数nが、0.4≦n≦0.6の条件を満たす数であることにより、発光強度をより向上することができ、近紫外から青色領域の光励起によるアルミン酸塩蛍光体の発光強度をより高くすることができる。
前記アルミン酸塩蛍光体の組成におけるMnのモル比を示す変数nと、変数bとの積(b×n)は、0.3<b×n<0.6の条件を満たす数であることが好ましい。
例えば、特許文献1に開示のマンガン賦活アルミン酸塩蛍光体の近紫外から青色領域の光励起による発光強度が低い理由は、この蛍光体の発光特性として、真空紫外線の吸収率よりも近紫外から青色領域の光の吸収率が低いことが考えられる。本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体は、近紫外から青色領域の光で励起された場合、Mnの賦活量が上記所定値よりも多いことにより、近紫外から青色領域の光の吸収が多くなり、発光強度を高くすることができる。また、Mnの賦活量を上記所定値よりも少なくすることにより、賦活量が多すぎることによる濃度消光を抑制し、発光強度を高くすることができる。
前記アルミン酸塩蛍光体は、下記式(I)で表される組成を有することが好ましい。下記式(I)で表される組成を有するアルミン酸塩蛍光体は、高い発光強度を有し、近紫外から青色領域の光励起により、発光強度をより高くすることができる。
(Ba1−m,Sr)a(Mg1−n,MnAl1015+a+b (I)
(式中、a、b、m、nは、0.5<b<a≦0.5b+0.5<1.0、0≦m≦1.0、0.4≦n≦0.7を満たす数である。)
本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体は、近紫外から青色領域の光励起、例えば、発光ピーク波長が450nmの光で励起させた発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が、好ましくは45nm以下、より好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。近紫外から青色領域の光励起によって緑色光を発光する蛍光体として、例えばユウロピウム(Eu)で賦活されたβサイアロン蛍光体が知られている。このβサイアロン蛍光体は、励起波長450nmの光を照射した発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が50nm程度であり、本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体の半値幅のほうが狭い。前記アルミン酸塩蛍光体は、発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が狭いことにより、色純度が高い。前記アルミン酸塩蛍光体を含む発光装置は、例えば液晶用バックライトとして用いた場合に、色再現範囲を広げることができる。
本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体は、マンガン(Mn)で賦活され、近紫外から青色領域の光励起により緑色を発光する。前記アルミン酸塩蛍光体は、具体的には380nm以上485nm以下の波長範囲の光を吸収して、発光スペクトルにおける発光ピーク波長が、好ましくは485nm以上570nm以下、より好ましくは495nm以上560nm以下、さらに好ましくは505nm以上550nm以下の範囲にある。
発光装置
本開示の第二の実施形態に係り、第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体を用いた発光装置の一例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施態様の発光装置100を示す概略断面図である。
発光装置100は、成形体40と、発光素子10と、蛍光部材50とを備える。成形体40は、第1のリード20及び第2のリード30と、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む樹脂部42とが一体的に成形されてなるものである。成形体40は底面と側面を持つ凹部を形成しており、凹部の底面に発光素子10が載置されている。発光素子10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極はそれぞれ第1のリード20及び第2のリード30とそれぞれワイヤ60を介して電気的に接続されている。発光素子10は蛍光部材50により被覆されている。蛍光部材50は、例えば、発光素子10からの光を波長変換する蛍光体70と樹脂を含む。更に蛍光体70は、第一の蛍光体71と第二の蛍光体72とを含む。発光素子10の正負一対の電極に接続された第1のリード20及び第2のリード30は、発光装置100を構成するパッケージの外方に向けて、第1のリード20及び第2のリード30の一部が露出されている。これらの第1のリード20及び第2のリード30を介して、外部から電力の供給を受けて発光装置100を発光させることができる。
発光素子10は、励起光源として用いられており、380nm以上485nm以下の範囲に発光ピーク波長を有するものであることが好ましい。発光素子10の発光ピーク波長の範囲は、より好ましくは390nm以上480nm以下であり、さらに好ましくは420nm以上470nm以下である。本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体は、380nm以上485nm以下の範囲に発光スペクトルを有する励起光源によって効率よく励起される。前記アルミン酸塩蛍光体は、特に420nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する励起光源からの光の反射率が低く、すなわち、光の吸収率が高く、効率よく励起される。本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体は、前記波長範囲に発光ピーク波長を有する励起光源からの光により効率よく励起され、高い発光強度を有するアルミン酸塩蛍光体により、発光素子10からの光と蛍光体70からの蛍光との混色光を発する発光装置100を構成することが可能となる。
発光素子10の発光スペクトルの半値幅は、例えば、30nm以下とすることができる。
発光素子10には半導体発光素子を用いることが好ましい。光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
半導体発光素子としては、例えば、窒化物系半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた半導体発光素子を用いることができる。
発光装置100は、少なくとも本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体を含み、式(I)で表される組成を有するアルミン酸塩蛍光体を含むことが好ましい。
本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体を含む第一の蛍光体71は、例えば、発光素子10を覆う蛍光部材50に含有されて発光装置100を構成することができる。アルミン酸塩蛍光体を含む第一の蛍光体71を含有する蛍光部材50により発光素子10が覆われた発光装置100では、発光素子10から出射された光の一部がアルミン酸塩蛍光体に吸収されて、緑色光として放射される。380nm以上485nm以下の波長範囲に発光スペクトルを有する光を発し、特に420nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を発する発光素子10を用いることで、放射される光をより有効に利用することができる。よって、発光効率が高い発光装置を提供することができる。
第一の蛍光体71の含有量は、例えば樹脂(100質量部)に対して1質量部以上50質量部以下とすることができ、2質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
蛍光部材50は第一の蛍光体71とは発光ピーク波長が異なる第二の蛍光体72を含むことが好ましい。例えば、発光装置100は、380nm以上485nm以下の波長範囲に発光スペクトルを有し、特に420nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を放出する発光素子10と、この光によって励起される本発明の一実施態様のアルミン酸塩蛍光体を含む第一の蛍光体71及び第二の蛍光体72を適宜備えることにより、広い色再現範囲や高い演色性を有する発光装置100とすることができる。
第二の蛍光体72としては、発光素子10からの光を吸収し、第一の蛍光体71とは異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、(Ca,Sr,Ba)SiO:Eu、(Y,Gd,Lu)(Ga,Al)12:Ce、(Si,Al)(O,N):Eu、SrGa:Eu、KSiF:Mn、(Ba,Ca,Sr)Si:Eu、CaAlSiN:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu、(Y,La)Si11:Ce、CaScSi12:Ce、CaSc:Ce等が挙げられる。
蛍光部材50が第二の蛍光体72を更に含む場合、その第二の蛍光体72は、赤色に発光する赤色蛍光体であることが好ましく、380nm以上485nm以下の波長範囲の光を吸収し、610nm以上780nm以下の波長範囲の光を発することが好ましい。発光装置が赤色蛍光体を含むことで、照明装置、液晶表示装置等に、より好適に適用することができる。
赤色蛍光体としては、組成式がKSiF:Mnで示される4価Mn賦活フッ化物蛍光体、CaSiAlN:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、SrLiAl:Euで示される2価Eu賦活窒化物蛍光体、等を挙げることができる。これらのうち、赤色蛍光体は、色純度を高くし、色再現範囲を広げられる観点から、発光スペクトルの半値幅が20nm以下である4価Mn賦活フッ化物蛍光体であることが好ましい。
第一の蛍光71体及び第二の蛍光体72(以下、併せて単に「蛍光体70」ともいう)は、封止材料とともに発光素子を被覆する蛍光部材50を構成する。蛍光部材50を構成する封止材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
蛍光部材50中の蛍光体70の総含有量は、例えば、樹脂(100質量部)に対して5質量部以上300質量部以下とすることができ、10質量部以上250質量部以下が好ましく、15質量部以上230質量部以下がより好ましく、15質量部以上200質量部以下が更に好ましい。蛍光部材50中の蛍光体の総含有量が、上記範囲内であると、発光素子10から発した光を蛍光体70で効率よく波長変換することができる。
蛍光部材50は、封止材料及び蛍光体70に加えて、フィラー、光拡散材等を更に含んでいてもよい。例えば、光拡散材を含むことで、発光素子10からの指向性を緩和させ、視野角を増大させることができる。フィラーとしては、例えばシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ等を挙げることができる。蛍光部材50がフィラーを含む場合、フィラーの含有量は、例えば、樹脂(100質量部)に対して1質量部以上20質量部以下とすることができる。
アルミン酸塩蛍光体の製造方法
次に、本開示の第三の実施形態に係り、本開示の第一の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体の製造方法について説明する。アルミン酸塩蛍光体は、アルミン酸塩蛍光体の組成を構成する元素を含む化合物を用いて製造することができる。
アルミン酸塩蛍光体の組成を構成する元素を含む化合物
アルミン酸塩蛍光体の組成を構成する元素を含む化合物は、アルミニウム(Al)を含む化合物、バリウム(Ba)を含む化合物、必要に応じてストロンチウム(Sr)を含む化合物、マグネシウム(Mg)を含む化合物、又はマンガン(Mn)を含む化合物が挙げられる。
アルミニウムを含む化合物
アルミニウムを含む化合物は、Alを含有する酸化物、水酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物、塩化物等が挙げられる。これらの化合物は、水和物であってもよい。アルミニウムを含む化合物としては、アルミニウム金属単体又はアルミニウム合金を用いてもよく、化合物の少なくも一部に代えて金属単体又は合金を用いてもよい。
Alを含む化合物として、具体的には、Al、Al(OH)、AlN、AlON、AlF、AlCl等が挙げられる。Alを含む化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。Alを含む化合物は、酸化物(Al)であることが好ましい。酸化物は、他の材料と比較して、アルミン酸塩蛍光体の目的とする組成以外の他の元素を含んでおらず、目的とする組成の蛍光体を得易いためである。また、目的とする組成以外の元素を含む化合物を用いた場合には、得られた蛍光体中に残留不純物元素が存在する場合があり、この残留不純物元素が発光に関してキラー要素となり、発光強度が著しく低下する虞がある。
バリウムを含む化合物
バリウムを含む化合物は、Baを含有する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物、窒化物等が挙げられる。これらのバリウムを含む化合物は、水和物の形態であってもよい。具体的には、BaO、Ba(OH)・8HO、BaCO、Ba(NO、BaSO、Ba(OCO)・2HO、Ba(OCOCH、BaCl・6HO、Ba、BaNH等が挙げられる。Baを含む化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、取り扱いやすい点から炭酸塩、酸化物が好ましい。空気中での安定性がよく、加熱により容易に分解し、目的とする組成以外の元素が残留しにくく、残留不純物元素による発光強度の低下を抑制しやすいため、Baを含有する炭酸塩(BaCO)がより好ましい。
ストロンチウムを含む化合物
ストロンチウムを含む化合物は、Srを含有する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物、窒化物等が挙げられる。これらのストロンチウムを含む化合物は、水和物の形態であってもよい。具体的には、SrO、Sr(OH)・8HO、SrCO、Sr(NO・4HO、SrSO、Sr(OCO)・HO、Sr(OCOCH・0.5HO、SrCl・6HO、Sr、SrNH等が挙げられる。Srを含む化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、取り扱いやすい点から炭酸塩、酸化物が好ましい。空気中での安定性がよく、加熱により容易に分解し、目的とする組成以外の元素が残留しにくく、残留不純物元素による発光強度の低下を抑制しやすいため、Srを含有する炭酸塩(SrCO)がより好ましい。
マグネシウムを含む化合物
マグネシウムを含む化合物は、Mgを含有する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物、窒化物等が挙げられる。これらのマグネシウムを含む化合物は、水和物の形態であってもよい。具体的には、MgO、Mg(OH)、3MgCO・Mg(OH)・3HO、MgCO・Mg(OH)・nHO、Mg(NO・6HO、MgSO、Mg(OCO)・HO、Mg(OCOCH・4HO、MgCl、Mg、MgNH等が挙げられる。Mgを含む化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、取り扱いやすい点から炭酸塩、酸化物が好ましい。空気中での安定性がよく、加熱により容易に分解し、目的とする組成以外の元素が残留しにくく、残留不純物元素による発光強度の低下を抑制しやすいため、Mgを含有する酸化物(MgO)がより好ましい。
マンガンを含む化合物
マンガンを含む化合物は、Mnを含有する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物、窒化物等が挙げられる。これらのマンガンを含む化合物は、水和物の形態であってもよい。具体的には、MnO、Mn、Mn、MnO、Mn(OH)、MnCO、Mn(NO、Mn(OCOCH・2HO、Mn(OCOCH・nHO、MnCl・4HO等が挙げられる。Mnを含む化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、取り扱いやすい点から炭酸塩、酸化物が好ましい。空気中での安定性がよく、加熱により容易に分解し、目的とする組成以外の元素が残留しにくく、残留不純物元素による発光強度の低下を抑制しやすいため、Mnを含有する炭酸塩(MnCO)がより好ましい。
化合物の混合
本開示の第三の実施形態に係るアルミン酸塩蛍光体の製造方法において、Baを含む化合物及びSrを含む化合物から選択される少なくとも一種以上の化合物と、Mgを含む化合物と、Mnを含む化合物と、Alを含む化合物を、アルミン酸塩蛍光体の組成において、Alのモル比を10としたときに、Ba及びSrから選択される1種以上の元素を含む第一元素の合計モル比を変数aとし、MgとMnを含む第二元素の合計モル比を変数bとし、Srのモル比を変数mと変数aの積とし、Mnのモル比を変数nと変数bの積とし、変数a及びbが下記条件(1)を満たす数となり、変数mが下記条件(2)を満たす数となり、変数nが下記条件(3)を満たす数となるように、各元素を含む化合物を混合して原料混合物を得る。
0.5<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (1)
0≦m≦1.0 (2)
0.4≦n≦0.7 (3)
変数a及びbは下記条件(4)を満たす数となるように、各元素を含む化合物を混合することが好ましい。
0.7<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (4)
変数bが0.7より大きく、変数a及びbが上記条件(4)を満たす数であることにより、アルミン酸塩蛍光体の結晶構造がより安定化し、得られるアルミン酸塩蛍光体の発光強度が高くすることができる。
変数nは、0.4≦n≦0.6の条件を満たし、または変数bと変数nの積(b×n)は、0.3<b×n<0.6の条件を満たす数であることが好ましい。
これにより、Mn賦活量を最適な範囲とすることができ、励起光源に含まれる近紫外から青色領域の光の吸収を促進させ、Mn賦活量が多すぎることによる濃度消光を抑制し、発光強度を高くすることができ、近紫外から青色領域の光励起により発光強度をさらに高くすることができる。
原料混合物は、必要に応じてハロゲン化物等のフラックスを含んでいてもよい。原料混合物にフラックスが含有されることにより、原料同士の反応が促進され、固相反応がより均一に進行しやすい。これは、原料混合物を熱処理する温度が、フラックスとして用いるハロゲン化物等の液相の生成温度とほぼ同じであるか、前記生成温度よりも高い温度であるため、反応が促進されると考えられる。
ハロゲン化物としては、希土類金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属のフッ化物、塩化物等が挙げられる。フラックスとして、アルカリ土類金属のハロゲン化物を用いる場合には、目的とするアルミン酸塩蛍光体の組成となるような化合物としてフラックスを加えることもできる。フラックスとして具体的には、例えば、フッ化バリウム(BaF)、フッ化ストロンチウム(SrF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化マンガン(MnF)、フッ化カルシウム(CaF)等が挙げられる。フッ化マグネシウム(MgF)が好ましい。フラックスにフッ化マグネシウムを用いることにより、結晶構造が安定するからである。
原料混合物がフラックスを含む場合、フラックスの含有量は、原料混合物(100質量%)を基準として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上である。フラックス含有量が前記範囲であると、フラックスが少ないために粒子成長の不足により、結晶構造を形成し難くなることがなく、また、フラックスが多すぎて、結晶構造を形成し難くなることがないからである。
原料混合物は、各元素を含む化合物を所望の配合比となるように秤量した後、例えばボールミル、振動ミル、ハンマーミル、ロールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機を用いて粉砕混合してもよく、乳鉢と乳棒等を用いて粉砕混合してもよく、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー等の混合機を用いて混合してもよく、乾式粉砕機と混合機の両方を用いて粉砕混合してもよい。また、混合は、乾式混合でもよく、溶媒等を加えて湿式混合してもよい。混合は、乾式混合することが好ましい。湿式よりも乾式の方が工程時間を短縮でき、生産性の向上に繋がるからである。
原料混合物の熱処理
原料混合物は、黒鉛等の炭素材質、窒化ホウ素(BN)、酸化アルミニウム(アルミナ)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)の材質のルツボ、ボート等に入れて熱処理することができる。
原料混合物を熱処理する温度は、結晶構造の安定性の観点から、好ましくは1000℃以上1800℃以下、より好ましくは1100℃以上1750℃以下、さらに好ましくは1200℃以上1700℃以下、特に好ましくは1300℃以上1650℃以下である。
熱処理時間は、昇温速度、熱処理雰囲気等によって異なり、熱処理温度に達してから、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上であり、好ましくは20時間以下、より好ましくは18時間以下、さらに好ましくは15時間以下である。
原料混合物を熱処理する雰囲気は、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気、水素等を含む還元性雰囲気、又は大気中等の酸化雰囲気にて行なうことができる。原料混合物は、還元性を有する窒素雰囲気中で熱処理し、蛍光体を得ることが好ましい。原料混合物を熱処理する雰囲気は、還元性のある水素ガスを含む窒素雰囲気であることがより好ましい。
アルミン酸塩蛍光体は、水素及び窒素を含む還元雰囲気のように還元力の高い雰囲気中において、原料混合物の反応性がよくなり、加圧することなく大気圧下で熱処理することができる。熱処理は、例えば、電気炉、ガス炉等を使用することができる。
後処理
得られた蛍光体は、湿式分散し、湿式ふるい、脱水、乾燥、乾式ふるい等の後処理工程を行なってもよく、これらの後処理工程により、所望の平均粒径を有する蛍光体が得られる。例えば、熱処理後の蛍光体は、溶媒中に分散させ、分散させた蛍光体をふるい上に配置し、ふるいを介して種々の振動を加えながら溶媒流を流して、焼成物をメッシュ通過させて湿式ふるいを行い、次いで脱水、乾燥し、乾式ふるいを経て、所望の平均粒径を有する蛍光体を得ることができる。
熱処理後の蛍光体を媒体中に分散させることによって、フラックスの焼成残留分等の不純物や原料の未反応成分を除くことができる。湿式分散には、アルミナボールやジルコニアボール等の分散媒を用いてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
仕込みモル比が(Ba0.5Sr0.50.92(Mg0.4Mn0.60.85Al1016.77で表わされる組成となるように、原料として、BaCO(BaCO含有量99.3質量%)を36.6g、SrCO(SrCO含有量:99.0質量%)を27.4g、Al(Al含有量:99.5質量%)を204.9g、MgO(MgO含有量:98.0質量%)を4.0g、MnCO(MnCO含有量:94.8質量%)を24.7g秤量し、フラックスとしてMgFを2.5g添加した原料を乾式混合し、原料混合物を得た。
得られた原料混合物をアルミナ坩堝に充填し、蓋をして、Hが3体積%、Nが97体積%の混合雰囲気中で、1500℃、5時間熱処理することで、アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例2
仕込みモル比が(Ba0.5Sr0.50.95(Mg0.6Mn0.40.93Al1016.88で表わされる組成となるように、原料として、BaCOを37.8g、SrCO3を28.4g、Alを205.6g、MgOを7.6g、MnCOを18.1g秤量し、フラックスとしてMgFを2.5g添加したこと以外は、実施例1と同様にして、アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例3
仕込みモル比が(Ba0.5Sr0.50.95(Mg0.4Mn0.60.93Al1016.88で表わされる組成となるように、原料として、BaCOを37.1g、SrCO3を27.8g、Alを201.6g、MgOを4.4g、MnCOを26.6g秤量し、フラックスとしてMgFを2.5g添加したこと以外は、実施例1と同様にして、アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例4
仕込みモル比が(Ba0.5Sr0.50.92(Mg0.6Mn0.40.85Al1016.77で表わされる組成となるように、原料として、BaCOを37.2g、SrCOを27.9g、Alを208.6g、MgOを6.9g、MnCOを16.8g秤量し、フラックスとしてMgFを2.5g添加したことを以外は、実施例1と同様にして、アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例5
仕込みモル比が(Ba0.5Sr0.50.92(Mg0.3Mn0.70.85Al1016.77で表わされる組成となるように、原料として、BaCOを36.2g、SrCOを27.2g、Alを203.0g、MgOを2.5g、MnCOを28.6g秤量し、フラックスとしてMgFを2.5g添加したこと以外は、実施例1と同様にして、アルミン酸塩蛍光体を得た。
比較例1
仕込みモル比が(Ba0.5Sr0.50.95(Mg0.8Mn0.20.93Al1016.88で表わされる組成となるように、原料として、BaCOを38.6g、SrCOを29.0g、Alを209.8g、MgOを10.9g、MnCOを9.2g秤量し、フラックスとしてMgFを2.5g添加したこと以外は、実施例1と同様にして、アルミン酸塩蛍光体を得た。
比較例2
仕込みモル比が(Ba0.5Sr0.51.00(Mg0.4Mn0.61.00Al1017.00で表わされる組成となるように、原料として、BaCOを38.3g、SrCOを28.8g、Alを197.7g、MgOを4.8g、MnCOを28.1g秤量し、フラックスとしてMgFを2.4g添加したこと以外は、実施例1と同様にして、アルミン酸塩蛍光体を得た。
比較例3
仕込みモル比が(Ba0.5Sr0.50.95(Mg0.2Mn0.80.93Al1016.88で表わされる組成となるように、原料として、BaCOを36.4g、SrCOを27.3g、Alを197.8g、MgOを1.4g、MnCOを34.8g秤量し、フラックスとしてMgFを2.4g添加したこと以外は、実施例1と同様にして、アルミン酸塩蛍光体を得た。
発光特性の評価
相対発光強度(%)
実施例及び比較例の蛍光体について、発光特性を測定した。量子効率測定装置(大塚電子株式会社製、QE−2000)を用いて、励起波長450nmの光を各蛍光体に照射し、室温(25℃±5℃)における発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルの発光強度(%)を求めた、相対発光強度は、比較例1の蛍光体の発光強度を100%として算出した。結果を表1に示す。また、図2に、実施例1及び比較例1に係るアルミン酸塩蛍光体について、波長に対する相対発光強度(%)の発光スペクトルを示した。
半値幅:FWHM
実施例及び比較例の蛍光体について、得られた発光スペクトルの半値幅(FWHM)を測定した。結果を表1に示す。
発光ピーク波長
実施例及び比較例の蛍光体について、得られた発光スペクトルが最大となる波長を発光ピーク波長(nm)として測定した。結果を表1に示す。
反射率(%)
実施例及び比較例の蛍光体について、分光蛍光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、F−4500)を用いて、室温(25℃±5℃)のもと、励起光源となるハロゲンランプからの光を試料に照射し、励起側と蛍光側の分光器の波長を合わせて走査することで反射光を測定した。励起波長450nmの光に対する反射光の割合を、CaHPOの反射率を基準として、反射率(%)として表1に示す。また、実施例に係る蛍光体及び比較例1に係る蛍光体について、波長に対する反射率(Reflection)を反射スペクトルとして図3に示す。
表1に示すように、実施例1から5のアルミン酸塩蛍光体は、アルミン酸塩蛍光体の組成において、Alのモル比を10としたときの変数a、b、m及びnの値が条件(1)乃至(3)を満たしている。これらの実施例1から5は、発光ピーク波長450nmの青色光の励起により、比較例1から3のアルミン酸塩蛍光体よりも相対発光強度が高くなった。特に実施例1から4のアルミン酸塩蛍光体は、Alのモル比を10としたときに、第二元素(Mg及びMn)中のMnのモル比を示す変数nが0.4≦n≦0.6の条件を満たし、Mnのモル比を示す変数nと変数bの積(b×n)が、0.3<b×n<0.6の条件を満たすことにより、発光ピーク波長450nmの青色光の励起により、相対発光強度135%以上と非常に高くなった。また、表1に示すように、実施例1から5のアルミン酸塩蛍光体は、励起光である発光ピーク波長450nmの青色光の反射率が80%以下と低い。この結果から、実施例1から5のアルミン酸塩蛍光体は、励起光である発光ピーク波長450nmの青色光の一部を大きく吸収して、発光強度の高い蛍光を発することが確認できる。
表2に示すように、比較例1は、アルミ酸塩蛍光体の組成において、第二元素(Mg及びMn)中のMnのモル比を示す変数nが0.4≦n≦0.7の条件(3)を満たしていない。この比較例1は、反射率が80%を超えており、実施例1から5のアルミン酸塩蛍光体と比べて反射率が高く、言い換えれば、発光ピーク波長450nmの励起光の吸収率が小さく、実施例1から5のアルミン酸塩蛍光体よりも相対発光強度が低くなった。
また、表2に示すように、比較例2は、アルミン酸塩蛍光体の組成において、第一元素(Ba,Sr)の合計のモル比を示す変数aと、第二元素(Mg及びMn)の合計のモル比を示す変数bの値が等しく、条件(1)を満たしていない。この比較例2は、相対発光強度が低くなった。
また、表2に示すように、比較例3は、アルミン酸塩蛍光体の組成において、第二元素(Mg及びMn)中のMnのモル比を示す変数nが0.4≦n≦0.7の条件(3)を満たしておらず、変数nが上限値である0.7を超えて大きい。この比較例3は、相対発光強度が13%と非常に低かった。
なお、比較例1から3は、いずれも、アルミン酸塩蛍光体の組成において、Mnのモル比を示す変数nと変数bの積(b×n)が0.3<b×n<0.6の条件を満たしていなかった。
また、表1に示すように、実施例1から5のアルミン酸塩蛍光体は、発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が30nm以下と狭い。
表1及び図2に示すように、実施例1から5のアルミン酸塩蛍光体は、発光ピーク波長450nmの青色光の励起により、発光ピーク波長が516nmから518nmの範囲内の光を発光した。また、図2の発光スペクトルに示されるように、実施例1のアルミン酸塩蛍光体の発光ピーク波長における相対発光強度は、比較例1の相対発光強度よりも高かった。
また、図3に示すように、実施例1のアルミン酸塩蛍光体は、420nm以上470nm以下の範囲の反射スペクトルが、比較例1のアルミン酸塩蛍光体の前記範囲における反射スペクトルよりも低く、特に波長420nm以上470nm以下の励起光の吸収が高く、この波長範囲の励起光を吸収して、発光強度の高い蛍光を発することが確認できた。
本発明によれば、近紫外から青色領域の光で励起される緑色発光蛍光体として、高い発光強度を有するアルミン酸塩蛍光体を提供することができる。このアルミン酸塩蛍光体を用いた発光装置は、一般照明、車載照明、ディスプレイ、液晶用バックライト、信号機、照明式スイッチ等の幅広い分野での使用することができる。本発明の一実施態様のアルミン酸塩蛍光体は、高い発光強度を有するとともに、発光ピークの半値幅が狭く色純度が高いため、色再現範囲を広げることができ、液晶用バックライト光源に好適に利用できる。
10:発光素子、40:成形体、50:蛍光部材、71:第一の蛍光体、72:第二の蛍光体、100:発光装置。

Claims (7)

  1. Ba及びSrから選択される1種以上の元素である第一元素と、MgとMnである第二元素と、を含む組成を有する、アルミン酸塩蛍光体であって、
    前記アルミン酸塩蛍光体の組成において、Alのモル比を10としたときに、前記第一元素の合計モル比が変数aであり、前記第二元素の合計モル比が変数bであり、前記Srのモル比が変数mと前記変数aの積であり、前記Mnのモル比が変数nと前記変数bの積であり、
    前記変数a及びbは下記条件(1)を満たし、前記変数mは下記条件(2)を満たし、前記変数nは下記条件(3)を満たし、変数bと変数nの積(b×n)は、0.3<b×n<0.6の条件を満たし、380nm以上485nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光により励起されて、485nm以上570nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する、アルミン酸塩蛍光体。
    0.5<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (1)
    0≦m≦1.0 (2)
    0.4≦n≦0.7 (3)
  2. 前記アルミン酸塩蛍光体が、下記式(I)で表される組成を有する、請求項1に記載のアルミン酸塩蛍光体。
    (Ba1−m,Sr(Mg1−n,MnAl1015+a+b (I)
    (式中、a、b、m、nは、0.5<b<a≦0.5b+0.5<1.0、0≦m≦1.0、0.4≦n≦0.7を満たす数である。)
  3. 前記変数a及びbは下記条件(4)を満たす、請求項1又は2に記載のアルミン酸塩蛍光体。
    0.7<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (4)
  4. 前記請求項1から3のいずれか1項に記載のアルミン酸塩蛍光体と、380nm以上485nm以下の範囲に発光スペクトルを有する励起光源とを含む発光装置。
  5. 前記励起光源が420nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する、請求項4に記載の発光装置。
  6. Ba及びSrから選択される1種以上の元素である第一元素と、MgとMnである第二元素と、Alと、Oとを含む組成を有し、
    前記組成におけるAlのモル比を10としたときに、前記第一元素の合計モル比を変数aとし、前記第二元素の合計モル比を変数bとし、前記Srのモル比を変数mと前記変数aの積とし、前記Mnのモル比を変数nと前記変数bの積とし、
    前記変数a及びbは下記条件(1)を満たし、前記変数mは下記条件(2)を満たし、前記変数nは下記条件(3)を満たし、変数bと変数nの積(b×n)は、0.3<b×n<0.6の条件を満たすように、前記各元素を含む化合物を混合し熱処理して、アルミン酸塩蛍光体を得ることを含み、380nm以上485nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光により励起されて、485nm以上570nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する、アルミン酸塩蛍光体の製造方法。
    0.5<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (1)
    0≦m≦1.0 (2)
    0.4≦n≦0.7 (3)
  7. 前記変数a及びbは下記条件(4)を満たす数である、請求項に記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法。
    0.7<b<a≦0.5b+0.5<1.0 (4)
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