JP6459368B2 - 粉末積層造形用硬化液、積層造形セット及び積層造形物の製造方法 - Google Patents

粉末積層造形用硬化液、積層造形セット及び積層造形物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粉末積層造形用硬化液、積層造形セット及び積層造形物の製造方法に関する。
従来より、人工骨はステンレス、チタン合金等の金属材料、耐摩耗性のプラスチック等から作られ骨置換術に使われてきた。これらの人工骨は機能不全の関節機能を代行するものであるが、金属材料や耐摩耗性プラスチックは、磨耗や腐食、膨潤等の経時変化を起こすため、長期間使用することができない問題点があった。それに代わる材料として、リン酸カルシウムをベースとしたセラミックスが挙げられる。現在、骨形成の足場を提供するものや、それ自体が骨に経時的に吸収されつつ、新生骨の形成を促進し、将来的に骨置換されるものが知られている。
骨形成の足場を提供する骨補填材としては、例えば、ハイドロキシアパタイト等の骨組織との親和性に優れ、骨組識と介在物なしに直接結合するものが多く使用されている。このような骨補填材を骨欠損部に埋入することにより、骨補填材を足場として速やかに骨修復が行われるが、ハイドロキシアパタイト単独では骨置換が起きないため、残存したハイドロキシアパタイトが生体内で不具合を生じさせる可能性も考えられる。一方、骨置換される骨補填材は、骨組識に埋入することによって骨組織の造骨作用を促進し、骨修復を容易に、かつより速やかに行わせることができる。
このような骨置換される骨補填材の材料としては、例えば、リン酸三カルシウムが知られている。前記リン酸三カルシウムが骨組織に吸収される度合は、前記リン酸三カルシウムの成形体の形状及び形態に依存する。即ち、多孔質体は形態的に表面積が大きく、骨組織に吸収され易く、また食細胞にも貪食され易い。これに対して、緻密質体は、吸収が非常に遅く、かつ食細胞にも貪食され難い。これら形態による性質の違いを利用し、多孔質部分と緻密質部分を組み合わせることで、所望の生体適合性を発現させることが期待できる(特許文献1参照)が、いずれも負荷が大きい大腿骨に適用できるレベルの強度は有しておらず、また、所望の形状に成型加工するには多くの時間を要するのみならず、特に切削の場合には内部構造を有した繊細な加工は不可能である。
3次元CAD等で作成された立体形状データを利用して、実立体を製作する技術を総称してラピッドプロトタイピング技法(Rapid Prototyping)という。前記ラピッドプロトタイピング技法のなかで、高耐熱性粉末を材料とする成形技法を用いると、模型や木型を使わずに鋳型や中子を製作することができるため、極めて迅速な鋳物製造プロセスが実現可能となる。
前記ラピッドプロトタイピング技法は、積層造形法とも呼ばれ、物体の断面形状を積層し、3次元物体を創成するものである。また、前記ラピッドプロトタイピング技法の一種であり、材料として粉末を用いる積層法(粉末固着法)が種々提案されている(例えば、特許文献2〜6参照)。
例えば、「粉末積層法による人工骨成型方法」において、水和反応で硬化する粉体骨材を用いて粉末を積層させることにより、更に強度の高い人工骨を成型する技術が提案されている(特許文献7参照)。しかし、この提案の水和反応による硬化では十分な強度を得ることは難しく、特に大腿骨のような負荷がかかる部位においての適用は困難である。負荷がかかる
前記粉末積層造形法は、前記のような繊細加工を行う上では有利ではあるが、前記特許文献7に記載のように、水と反応するリン酸カルシウムの場合は、生体内に移植することで非吸収性のハイドロキシアパタイトへ転移しやすい。そうすると、前述の通り、移植物が長期的に体内に残存し、不具合が発生する恐れがある。
したがって、移植物がそのまま体内で結晶転移せず、いずれ骨置換される状態のまま残存することが好ましい。また、インクジェット方式による粉末積層造形を行う上では、粉末上に硬化液が着弾した際にできるだけ早く硬化することが好ましいため、前記骨置換能を粉末に付与させ、かつ硬化速度が速く、複雑な立体形状の積層造形物を高強度で寸法精度よく製造し得る粉末積層造形用硬化液の提供が望まれている。
また、生体内に移植したリン酸カルシウムでは骨置換速度が十分ではなく、手術により人工骨を埋入しても、創外固定器を外すことができるまでにはかなりの時間を要する。また、骨再生が遅い場合は、骨欠損部に軟組織が入り込み、骨再生が阻害されてしまう恐れもある。骨再生の促進に対しては、BMPなどの骨形成タンパクを添加することなどが提案されているが、骨形成タンパクを含むリン酸カルシウム造形物をインクジェット方式にて造形しても、その後に焼成した場合はタンパクが失活してしまい効果を失ってしまう。従って、インクジェット方式で造形する場合は、焼成後に骨形成タンパクを導入するか、焼成しても効果を失わない無機材料での骨再生を実現することが好ましい。このような無機材料としては、珪素や亜鉛などのミネラルが挙げられる。
そこで、本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、硬化速度が速く、かつ骨誘導能が高い複雑な立体形状の積層造形物を高強度で寸法精度よく製造し得る粉末積層造形用硬化液を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の粉末積層造形用硬化液は、リン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物を少なくとも含有してなり、
前記有機化合物の酸価が0.45gKOH/g以上であり、かつ前記有機化合物の含有量が、粉末積層造形用硬化液全量に対して、20質量%以上であることを特徴とする。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、硬化速度が速く、かつ骨誘導能が高い複雑な立体形状の積層造形物を高強度で、かつ寸法精度よく製造し得る粉末積層造形用硬化液を提供することができる。
図1は、本発明で用いられる粉末積層造形装置の一例を示す概略図である。 図2は、本発明で用いられる粉末積層造形装置の他の一例を示す概略図である。
(粉末積層造形用硬化液)
本発明の粉末積層造形用硬化液は、リン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物を含有し、無機粒子、水系媒体、粘度調整剤、界面活性剤、及び消泡剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明において、前記粉末積層造形用硬化液は、水溶性であることが好ましい。前記水溶性とは、前記粉末積層造形用硬化液の構成材料が水に対して30質量%以上溶解可能であることを意味する。
<リン酸基を有する有機化合物>
前記リン酸基を有する有機化合物としては、リン酸カルシウム中のカルシウムイオン捕獲能を有している、人体に対して無毒であり、そして、排泄されやすいキレート材料であることが好ましい。
前記リン酸基を有する有機化合物としては、例えば、アレンドロン酸、エチドロン酸、フィチン酸などが挙げられる。これらの中でも、カルシウムイオン捕獲能を高めるためには、1分子当たり多くのリン酸基を有していることが望ましい点から、1分子当たり2個以上のリン酸基を有しているエチドロン酸やフィチン酸がより好ましい。
前記リン酸基を有する有機化合物の酸価は、0.45gKOH/g以上であり、0.45gKOH/g以上1.00gKOH/g以下が好ましい。前記酸価を0.45gKOH/g以上とすることにより、硬化速度が速くなり、積層造形により得られる構造体の強度が向上するという利点が得られる。
前記酸価は、例えば、JIS K0070−1992に記載の方法に準拠して、測定することができる。
前記リン酸基を有する有機化合物は、骨置換が行われるβ−リン酸三カルシウム(β−TCP)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム(OCP)などに対して好適に使用される。これらの中でも、α−リン酸三カルシウムやリン酸八カルシウムのように、水と反応することでハイドロキシアパタイトに転移してしまう材料が好ましく、α−リン酸三カルシウムが特に好ましい。この場合、前記リン酸基を有する有機化合物のカルシウムイオン捕獲能が弱いと、生体内に移植したとき、非吸収性のハイドロキシアパタイトへ転移してしまう恐れがあり、骨置換能が失われる恐れがある。
前記リン酸基を有する有機化合物の含有量は、粉末積層造形用硬化液の全量に対して、20質量%以上であり、30質量%以上が好ましい。前記含有量が、20質量%以上であると、硬化速度が適正であり、積層造形により得られる構造体の強度が良好となる。
<カルボキシル基を有する有機化合物>
前記カルボキシル基を有する有機化合物としては、リン酸カルシウム中のカルシウムイオン捕獲能を有している、人体に対して無毒であり、そして、排泄されやすいキレート材料であることが好ましい。
前記カルボキシル基を有する有機化合物としては、例えば、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、エデト酸などが挙げられる。これらの中でも、カルシウムイオン捕獲能を高めるためには、1分子当たり多くのカルボキシル基を有していることが望ましい点から、1分子当たり3個以上のカルボキシル基を有しており、かつ水溶性であるクエン酸がより好ましい。
前記カルボキシル基を有する有機化合物の酸価は、0.45gKOH/g以上であり、0.45gKOH/g以上1.00gKOH/g以下が好ましい。前記酸価を0.45gKOH/g以上とすることにより、硬化速度が速くなり、積層造形により得られる構造体の強度が向上するという利点が得られる。
前記酸価は、例えば、JIS K0070−1992に記載の方法に準拠して、測定することができる。
前記カルボキシル基を有する有機化合物は、骨置換が行われるβ−リン酸三カルシウム(β−TCP)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム(OCP)などに対して好適に使用される。これらの中でも、α−リン酸三カルシウムやリン酸八カルシウムのように、水と反応することでハイドロキシアパタイトに転移してしまう材料が好ましく、α−リン酸三カルシウムが特に好ましい。この場合、前記カルボキシル基を有する有機化合物のカルシウムイオン捕獲能が弱いと、生体内に移植したとき、非吸収性のハイドロキシアパタイトへ転移してしまう恐れがあり、骨置換能が失われる恐れがある。
前記カルボキシル基を有する有機化合物の含有量は、粉末積層造形用硬化液の全量に対して、20質量%以上であり、30質量%以上が好ましい。前記含有量が、20質量%以上であると、硬化速度が適正であり、積層造形により得られる構造体の強度が良好となる。
<無機粒子>
前記無機粒子は、前記粉末積層造形用硬化液中に含有させることにより、骨再生を促進させる効果を付与することができる。
前記無機粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、シリカが好ましい。
前記無機粒子は、前記粉末積層造形用硬化液中に無機粒子のままで添加することもできるが、前記無機粒子としてシリカ粒子を使用する場合には、シリカ粒子を含む消泡剤として添加することが好ましい。
前記無機粒子の体積平均粒径は、10μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましい。前記体積平均粒径が10μm以下であると、粉末積層造形用硬化液を吐出する際に、インクジェットプリンターのヘッドの一般的なノズル径が20μm以上30μm以下であるので、目詰まりが発生して吐出不良を引き起こしてしまうことがある。
前記無機粒子の体積平均粒径は、例えば、23℃、55%RHの環境下、日機装株式会社製のマイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定することができる。
前記無機粒子の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粉末積層造形用硬化液の全量に対して、0.1質量%以上1.0質量%以下が好ましい。
<水系媒体>
前記水系媒体としては、例えば、水、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。これらの中でも、水が好ましい。なお、前記水系媒体は、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよい。
前記水系媒体の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<界面活性剤>
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル、ジスルホン酸塩、コール酸塩、デオキシコール酸塩等の陰イオン界面活性剤(アニオン性界面活性剤);アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤(カチオン性界面活性剤);脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体、ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤;アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン、3−[(3−Cholamidopropyl)dimethylammonio]propanesulfonate(CHAPS)等の両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、インクジェットヘッドのノズルの詰まりを抑制するために、室温(20℃)において液体である界面活性剤を用いることが好ましい。
前記界面活性剤の含有量は、粉末積層造形用硬化液の全量に対して、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以下であると、積層造形物中に残る界面活性剤の量が少ないので、積層造形物を生体内に移植した際に細胞毒性を発現することがない。また、積層造形物を焼成したとしても、その残骸が生体内で不具合を起こすことがなく、安全である。
<消泡剤>
前記消泡剤としては、例えば、コンパウンド型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤、自己乳化型シリコーン消泡剤などのシリカ粒子を含むシリコーン消泡剤が挙げられる。
前記コンパウンド型シリコーン消泡剤は、オイル型シリコーン消泡剤にシリカ、アルミナ等の微粒子を分散させて消泡性を上げたものである。
前記エマルジョン型シリコーン消泡剤は、前記コンパウンド型消泡剤を乳化剤によってO/W型のエマルジョンにして水への分散性を上げたものである。
前記自己乳化型シリコーン消泡剤は、シリコーンオイルとシリカを含み、水に希釈すると容易にO/W型のエマルジョンになるものである。
本発明の粉末積層造形用硬化液においては界面活性剤を使用している場合、前記粉末積層造形用硬化液の表面張力が低くなり泡立ち易い。そのため、前記シリコーン消泡剤の中でも、消泡性に優れたシリカ粒子を含むコンパウンド型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤、自己乳化型シリコーン消泡剤が好ましい。
前記シリコーン消泡剤としては、市販品を使用することができ、該市販品としては、例えば、KS−508、KS−531、KM−72、KM−72F、KM−73、KM−90、KM−98(いずれも、信越化学工業株式会社製);SF−8427、SF−8428、SH−3749、SH−8400、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2118、FZ−2203、FZ−2207(いずれも、東レ・ダウコーニング株式会社製);BYK−345、BYK−346、BYK−348(ビッグケミー・ジャパン株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、シリカを含むものが好ましい。
前記消泡剤は、通常、粉末積層造形用硬化液に添加する場合は吐出安定性や保存安定性などの諸特性を向上させるために添加するが、前記消泡剤に含まれる無機粒子であるシリカ粒子は、骨再生を促進させる効果を有していることが知られている。従って、積層造形物中にシリカ粒子が所定量含有されている状態を粉末積層造形プロセスで作り出すことができる点からも好ましい。
前記消泡剤の含有量は、粉末積層造形用硬化液の全量に対して、0.005質量%以上3質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.005質量%以上であると、消泡効果の改善が十分に得られ、骨再生誘導能が向上し、十分な骨置換を行うことができる。また、前記含有量が、3質量%以下であると、骨再生誘導能が向上し、粉末積層造形用硬化液の保存安定性、及び吐出安定性が良好となる。
<粘度調整剤>
前記粉末積層造形用硬化液は、前記硬化液の粘度を調整するため、必要に応じて粘度調整剤を含有することが好ましい。なお、前記リン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物は、粘度調整剤としての機能を兼ね備えている。
前記粘度調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン等の多価アルコール、前記リン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物、水溶性多糖、水溶性樹脂、水溶性プレポリマーなどが挙げられる。
前記粘度調整剤の含有量は、特に制限はなく、前記粘度調整剤の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、前記粘度調整剤としてグリセリンを用いた場合には、20質量以上40質量%以下が好ましい。
<その他の成分>
前記粉末積層造形用硬化液が含み得る公知のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保存剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤などが挙げられる。
−粉末積層造形用硬化液の物性等−
前記粉末積層造形用硬化液の粘度は、20℃で、5mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、8mPa・s以上15mPa・s以下がより好ましい。前記粘度が、5mPa・s以上、或いは、20mPa・s以下であると、インクジェットノズルからの吐出が安定化し、前記積層造形用粉末材料層に前記粉末積層造形用硬化液を付与して形成した硬化物の強度が充分に得られ、その後の焼結等の処理乃至取扱時に型崩れ等の問題が生じず、寸法精度が良好である。
なお、前記粘度は、例えば、JIS K7117に準拠して測定することができる。
前記粉末積層造形用硬化液の表面張力は、20℃で、40N/m以下が好ましく、1N/m以上30N/m以下がより好ましい。前記表面張力が、40N/m以下であると、インクジェットノズルからの吐出が安定化し、前記積層造形用粉末材料層に前記粉末積層造形用硬化液を付与して形成した硬化物の強度が充分に得られ、その後の焼結等の処理乃至取扱時に型崩れ等の問題が生じず、寸法精度が良好である。
前記表面張力は、例えば、協和界面科学株式会社製DY−300により測定することができる。
本発明の粉末積層造形用硬化液は、各種の成形体、構造体の簡便かつ効率的な製造に好適に用いることができ、後述する本発明の積層造形セット、本発明の積層造形物の製造方法及び積層造形物の製造装置に特に好適に用いることができる。
(積層造形セット)
本発明の積層造形セットは、積層造形用粉末材料と、本発明の前記粉末積層造形用硬化液と、更に必要に応じてその他の成分等を含む。
<積層造形用粉末材料>
前記積層造形用粉末材料は、リン酸カルシウムを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−リン酸カルシウム−
前記リン酸カルシウムとしては、粉末乃至粒子の形態を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その材質としては、例えば、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイト、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム(OCP)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、骨置換される積層造形物を得る観点から、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)、リン酸八カルシウム(OCP)が好ましく、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)が特に好ましい。
前記リン酸カルシウムとして、これらの材料で形成された市販品の粒子乃至粉末を使用することができる。前記市販品としては、例えば、β−TCP(太平化学産業株式会社製)、α−TCP(太平化学産業株式会社製)などが挙げられる。なお、前記リン酸カルシウムは、凝集性を改善する目的等で、公知の表面(改質)処理がされていてもよい。
前記リン酸カルシウム粉末の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸アパタイト(HAp)合成で好適に用いられる沈殿法などが挙げられる。
前記積層造形用粉末材料が含み得る公知のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動化剤、フィラー、レベリング剤、焼結助剤、などが挙げられる。前記積層造形用粉末材料が、前記流動化剤を含むと前記積層造形用粉末材料による層等を容易にかつ効率よく形成し得る点で好ましく、前記フィラーを含むと得られる硬化物(積層造形物、焼結用硬化物)に空隙等が生じ難くなる点で好ましく、前記レベリング剤を含むと該積層造形用粉末材料の濡れ性が向上し、ハンドリング等が容易になる点で好ましく、前記焼結助剤を含むと、得られた硬化物(積層造形物、焼結用硬化物)につき焼結処理を行う場合において、より低温での焼結が可能となる点で好ましい。
−積層造形用粉末材料の物性等−
前記積層造形用粉末材料の体積平均粒径Dvは、1.5μm以上12.0μm以下が好ましく、4.0μm以上10.0μm以下がより好ましい。前記体積平均粒径Dvが、1.5μm以上であると、リン酸カルシウムの自己凝集力が適切であり、積層造形物の製造効率が良好で、取扱性やハンドリング性が向上することがある。一方、前記体積平均粒径Dvが、12.0μm以下であると、前記積層造形用粉末材料を用いて薄層を形成した際に、該薄層における該積層造形用粉末材料の充填率が充分となり、空隙が生じないので、得られる積層造形物に空隙等が生じることがないという利点がある。
前記積層造形用粉末材料の体積平均粒径は、公知の粒径測定装置、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記積層造形用粉末材料の体積平均粒径Dvと数平均粒径Dnとの比である粒度分布Dv/Dnは、1.10以上2.50以下が好ましく、1.10以上1.50以下がより好ましい。前記粒度分布Dv/Dnが、1.10以上であると、前記積層造形用粉末材料を用いて薄層を形成した際に、該薄層における該積層造形用粉末材料の充填率が充分となり、空隙が生じないので、得られる積層造形物に空隙等が生じることがないという利点がある。一方、前記粒度分布Dv/Dnが、2.50以下であると、粗大粒子が薄い積層造形用粉末材料層を形成する上でノイズとなることがなく、微細粉も増加しないという利点がある。
前記積層造形用粉末材料の粒度分布Dv/Dnは、公知の粒径測定装置、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記積層造形用粉末材料の下記式で表される平均円形度は、0.65以上0.85以下が好ましく、0.72以上0.78以下がより好ましい。
平均円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100
前記平均円形度が、0.65以上であると、前記積層造形用粉末材料の凝集を防止でき、薄層を形成した際に、該薄層における該積層造形用粉末材料の充填率が充分となり、空隙が生じないので、得られる積層造形物に空隙等が生じることがないという利点がある。一方、前記平均円形度が、0.85以下であると、パッキング性が適正であり、積層造形後のエアーブローの際に、内部に存在する未硬化粉体の除去を容易に行うことができる。
前記平均円形度は、公知の円形度測定装置、例えば、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
本発明の積層造形キットは、各種の成形体、構造体の製造に好適に用いることができ、後述する本発明の積層造形物の製造方法、及び積層造形物の製造装置に好適に用いることができる。
(積層造形物の製造方法及び積層造形物の製造装置)
本発明の積層造形物の製造方法は、積層造形用粉末材料層形成工程と、層硬化工程とを含み、焼結工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明で用いられる積層造形物の製造装置は、積層造形用粉末材料層形成手段と、層硬化手段とを有し、焼結手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の前記積層造形物の製造方法は、本発明で用いられる前記積層造形物の製造装置を用いて好適に実施することができ、前記積層造形用粉末材料層形成工程は、前記積層造形用粉末材料層形成手段により好適に実施することができ、前記層硬化工程は、前記層硬化手段により好適に実施することができ、前記焼結工程は、前記焼結手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
<積層造形用粉末材料層形成工程及び積層造形用粉末材料層形成手段>
前記積層造形用粉末材料層形成工程は、支持体上に、リン酸カルシウムを含む積層造形用粉末材料を用いて所定の厚みの積層造形用粉末材料層を形成する工程である。
前記積層造形用粉末材料層形成手段は、支持体上に、リン酸カルシウムを含む積層造形用粉末材料を用いて所定の厚みの積層造形用粉末材料層を形成する手段である。
<<支持体>>
前記支持体としては、前記積層造形用粉末材料を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記積層造形用粉末材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。前記支持体の表面、即ち、前記積層造形用粉末を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
−積層造形用粉末材料層の形成−
前記積層造形用粉末材料を前記支持体上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラー)などを用いる方法、前記積層造形用粉末材料をブラシやローラやブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、前記積層造形用粉末材料の表面を押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層造形装置を用いる方法、などが好適に挙げられる。
前記カウンター回転機構(カウンターローラー)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記積層造形用粉末材料を薄層に載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、例えば、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、該外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記積層造形用粉末材料を、前記カウンター回転機構(カウンターローラー)、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち、前記積層造形用粉末材料層の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記積層造形用粉末材料を載置させる。以上により、前記積層造形用粉末材料を前記支持体上に薄層に載置させることができる。
なお、このようにして薄層に載置させた前記積層造形用粉末材料に対し、インクジェット法により本発明の粉末積層造形用硬化液を作用させると硬化が生ずる。ここで得られた薄層の硬化物上に、上記と同様にして、前記積層造形用粉末材料を薄層に載置させ、この薄層に載置された該積層造形用粉末材料(層)に対し、本発明の粉末積層造形用硬化液を作用させると硬化が生ずる。このときの硬化は、該薄層に載置された前記積層造形用粉末材料(層)においてのみならず、その下に存在する、先に硬化して得られた前記薄層の硬化物との間でも生ずる。その結果、前記薄層に載置された前記積層造形用粉末材料(層)の約2層分の厚みを有する硬化物(積層造形物、焼結用硬化物)が得られる。
また、前記積層造形用粉末材料を前記支持体上に薄層に載置させるには、前記公知の粉末積層造形装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。前記粉末積層造形装置は、一般に、前記積層造形用粉末材料を積層するためのリコーターと、前記積層造形用粉末材料を前記支持体上に供給するための可動式供給槽と、前記積層造形用粉末材料を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。前記粉末積層造形装置においては、前記供給槽を上昇させるか、前記成形槽を下降させるか、又はその両方によって、常に、前記供給槽の表面は前記成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができ、前記供給槽側から前記リコーターを用いて前記積層造形用粉末材料を薄層に配置させることができ、該リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層の前記積層造形用粉末材料を積層させることができる。
前記積層造形用粉末材料層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、3μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。前記平均厚みが、3μm以上であると、積層造形物が得られるまでの時間が適切であり、焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じることがない。一方、前記平均厚みが、200μm以下であると、積層造形物の寸法精度が良好となる。
なお、前記平均厚みは、特に制限はなく、公知の方法に従って測定することができる。
−層硬化工程及び層硬化手段−
前記層硬化工程は、前記積層造形用粉末材料層に、本発明の前記粉末積層造形用硬化液を付与し、該積層造形用粉末材料層の所定領域を硬化させる工程である。
前記層硬化手段は、前記積層造形用粉末材料層に、本発明の前記粉末積層造形用硬化液を付与し、該積層造形用粉末材料層の所定領域を硬化させる手段である。
前記粉末積層造形用硬化液の前記積層造形用粉末材料層への付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。なお、これらの方式を実施するには公知の装置を前記層硬化手段として好適に使用することができる。これらの中でも、前記ディスペンサ方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなり、前記スプレー方式は、簡便に微細な吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による粉末の飛散が発生する。このため、本発明においては、前記インクジェット方式が特に好ましい。前記インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性がよく、前記ディスペンサ方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度よくかつ効率よく形成し得る点で好ましい。
前記インクジェット法による場合、前記層硬化手段は、該インクジェット法により前記粉末積層造形用硬化液を前記積層造形用粉末材料層に付与可能なノズルを有する。なお、前記ノズルとしては、特に制限はなく、公知のインクジェットプリンターにおけるノズルを好適に使用することができ、また、前記インクジェットプリンターを前記層硬化手段として好適に使用することができる。なお、前記インクジェットプリンターとしては、例えば、株式会社リコー製のSG7100、などが好適に挙げられる。前記インクジェットプリンターは、ヘッド部から一度に滴下できる粉末積層造形用硬化液量が多く、塗布面積が広いため、塗布の高速化を図ることができる点で好ましい。
本発明においては、前記粉末積層造形用硬化液を精度よくしかも高効率に付与可能な前記インクジェットプリンターを用いた場合においても、前記粉末積層造形用硬化液が、粒子等の固形物や、樹脂等の高分子の高粘度材料を含有しないため、前記ノズル乃至そのヘッドにおいて目詰り等が発生せず、腐食等を生じさせることもないため、積層造形物の製造効率に優れ、しかも樹脂等の高分子成分が付与されることがないため、予定外の体積増加等を生ずることがなく、寸法精度のよい硬化物が容易にかつ短時間で効率よく得られる点で有利である。
なお、前記粉末積層造形用硬化液におけるリン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物は強酸性を示すものが多い。通常、用いるノズルのノズルヘッド部分の腐食や目詰り防止の観点からは、pHは5(弱酸性)〜12(塩基性)が好ましいが、前記リン酸基を有する有機化合物としてフィチン酸を用いる場合は、フィチン酸がSUS等の金属表面に抗腐食膜を形成するため、むしろ腐食は起こらない。このため、前記リン酸基を有する有機化合物としてはフィチン酸が好適に用いられる。
<焼結工程及び焼結手段>
前記焼結工程は、前記層形成工程と前記層硬化工程とを順次繰り返して形成した積層硬化物を焼結する工程であり、焼結手段により行われる。前記焼結工程を行うことにより、前記硬化物を一体化された成形体(焼結体)とすることができる。前記焼結手段としては、例えば、公知の焼結炉などが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、乾燥工程、表面保護処理工程、塗装工程、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、乾燥手段、表面保護処理手段、塗装手段、などが挙げられる。
前記乾燥工程は、前記硬化物形成工程において得られた硬化物を乾燥させる工程である。この乾燥工程において、前記硬化物中に含まれる水分のみならず、有機物を除去(脱脂)してもよい。前記乾燥手段としては、公知の乾燥機などが挙げられる。
前記表面保護処理工程は、前記層硬化工程、又は、前記焼結工程において形成した積層造形物に保護層を形成する工程である。この表面保護処理工程を行うことにより、前記積層造形物を例えばそのまま使用等することができる耐久性等を該造形物の表面に与えることができる。前記保護層の具体例としては、耐水性層、耐候性層、耐光性層、断熱性層、光沢層、などが挙げられる。前記表面保護処理手段としては、公知の表面保護処理装置、例えば、スプレー装置、コーティング装置などが挙げられる。
前記塗装工程は、前記積層造形物に塗装を行う工程である。この塗装工程を行うことにより、前記積層造形物に所望の色に着色させることができる。前記塗装手段としては、公知の塗装装置、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。
ここで、図1に本発明で用いられる粉末積層造形装置の一例を示す。この図1の粉末積層造形装置は、造形側粉末貯留槽1と供給側粉末貯留槽2とを有し、これらの粉末貯留槽は、それぞれ上下に移動可能なステージ3を有し、該ステージ上に積層造形用粉末材料からなる層を形成する。
造形側粉末貯留槽1の上には、該粉末貯留槽内の積層造形用粉末材料に向けて粉末積層造形用硬化液4を吐出するインクジェットヘッド5を有し、更に、供給側粉末貯留槽2から造形側粉末貯留槽1に積層造形用粉末材料を供給すると共に、造形側粉末貯留槽1の積層造形用粉末材料表面を均す、均し機構6(以下、リコーターということがある)を有する。
造形側粉末貯留槽1の積層造形用粉末材料上にインクジェットヘッド5から粉末積層造形用硬化液4を滴下する。このとき、粉末積層造形用硬化液4を滴下する位置は、最終的に造形したい立体形状を複数の平面層にスライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
一層分の描画が終了した後、供給側粉末貯留槽2のステージ3を上げ、造形側粉末貯留槽1のステージ3を下げる。その差分の積層造形用粉末材料を、前記均し機構6によって、造形側粉末貯留槽1へと移動させる。
このようにして、先に描画した積層造形用粉末材料層面上に、新たな積層造形用粉末材料層が一層形成される。このときの積層造形用粉末材料層一層の厚みは、数十μm以上100μm以下程度である。
前記新たに形成された積層造形用粉末材料層上に、更に二層目のスライスデータに基づく描画を行い、この一連のプロセスを繰り返して造形物を得、図示しない加熱手段で加熱乾燥させることで積層造形物が得られる。
図2に、本発明で用いられる粉末積層造形装置の他の一例を示す。図2の粉末積層造形装置は、原理的には図1と同じものであるが、積層造形用粉末材料の供給機構が異なる。即ち、供給側粉末貯留槽2は、造形側粉末貯留槽1の上方に配されている。一層目の描画が終了すると、造形側粉末貯留槽1のステージ3が所定量降下し、供給側粉末貯留槽2が移動しながら、所定量の積層造形用粉末材料を造形側粉末貯留槽1に落下させ、新たな積層造形用粉末材料層を形成する。その後、均し機構6で、積層造形用粉末材料層を圧縮し、かさ密度を上げると共に、積層造形用粉末材料層の高さを均一に均す。
図2に示す構成の粉末積層造形装置によれば、2つの粉末貯留槽を平面的に並べる図2の構成に比べて、装置をコンパクトにできる。
<硬化物(積層造形物)>
前記硬化物(積層造形物)において、リン酸カルシウムのハイドロキシアパタイトへの転移率は、1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。前記転移率が、1%以下であると、生体内へ移植した際、該リン酸カルシウムがハイドロキシアパタイトとして生体内に残存することを防止できる。
前記転移率は、公知のX線粉末回折装置を用いて、公知の方法に従って測定することができる。具体的には、SBF(擬似体液)中への2週間浸漬前後での結晶相の同定を行い、2θ=30付近に現れるハイドロキシアパタイト特有ピークの面積率の差から転移率を測定できる。
前記硬化物(積層造形物)の細胞毒性は、以下のin vitro検定:(i)テトラゾリウム塩3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドを用いたミトコンドリア還元酵素の活性を測定する、比色活性である、MTT検定;(ii)XTT及びWST検定のような他のテトラゾリウム塩及びホルマザン色素を用いる同様な検定;(iii)トリパンブルー(TB)検定;(iv)スルホローダミンB(SRB)検定;及び(v)クローン原性検定を含むが、これらに制限されない。
更に、細胞のネクローシス及びアポトーシスのレベルを測定するための、当業者に既知の方法を、カチオン性脂質又は薬剤が細胞毒性活性を持つかどうかを決定するために用いることができる。
前記アポトーシスを測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TUNEL検定、カスパーゼ活性の測定、DNA断片化、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)活性化、ミトコンドリアチトクロームC流出、アポトーシス誘発性因子(AIF)移行、及びAnnexin−V染色が含まれる。
本発明の積層造形物の製造方法及び製造装置によれば、複雑な立体形状の積層造形物を、本発明の前記積層造形用粉末材料及び本発明の前記積層造形セットを用いて簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造することができる。こうして得られた積層造形物(硬化物)は、骨誘導能が高く、硬化速度が速い上に、充分な強度を有し、寸法精度に優れ、微細な凹凸、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1−1)
−粉末積層造形用硬化液1−1の調製−
水59.5質量%と、リン酸基を有する有機化合物としてフィチン酸(和光純薬工業株式会社製、リン酸基数:6個、酸価:0.74gKOH/g)40質量%と、界面活性剤としてTriton X−100(東京化成工業株式会社製)0.5質量%とを、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、粉末積層造形用硬化液1−1を調製した。
得られた粉末積層造形用硬化液1−1について、以下のようにして測定したところ、粘度は、20℃で、10mPa・sであり、以下のようにして測定したところ、表面張力は、20℃で、24N/mであった。なお、リン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物の酸価は、以下のようにして測定した。
<粘度>
前記粉末積層造形用硬化液1−1の粘度は、東機産業株式会社製TVB−10MのB型回転粘度計を用いて、25℃で測定した。
<表面張力>
前記粉末積層造形用硬化液1−1の表面張力は、協和界面科学株式会社製DY−300を用い、20℃にてWilhelmy法(Ptプレート)にて測定した。
<酸価>
リン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物の酸価は、JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して、以下の条件で測定した。
試料調製:前記有機化合物1.0gを水100mLに添加して室温(23℃)で約5分間撹拌して溶解し、フェノールフタレインを少量添加して試料溶液とした。具体的には次のように計算した。
予め標定されたN/2苛性カリ〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から次の計算で酸価を求めた。
酸価=KOH(mL数)×N×56.1/試料質量
(ただし、NはN/2KOHのファクター)
(調製例2−1)
−積層造形用粉末材料1−1の調製−
−−リン酸三カルシウム(α−TCP)の合成−−
市販のパドルを用いて160rpmで攪拌させた0.513mol/dmの水酸化カルシウム懸濁液中に、0.342mol/dmのリン酸水溶液を6mL/minの速度で送液し、アンモニアにてpHを8.7付近で安定化させた。次いで、37℃のインキュベーターにて72時間熟成し、濾過したのち乾燥して粉体を得た。次いで、800℃環境にて1時間焼成した後、直径3mmのジルコニアビーズを用いてボールミル粉砕した。その際、ボールミル粉砕はGlen Creston Ltd.製BM−6型ローラーボールミルを用いて実施し、30分間の粉砕化が終了したら、75μmメッシュに通して篩に掛けることで微細粉を得た。
次いで、1,400℃にて5時間焼成したのち急冷することで積層造形用粉末材料1−1としてのα−リン酸三カルシウム(α−TCP)粉末を得た。
得られた積層造形用粉末材料1−1としてのα−TCP粉末について、以下のようにして測定したところ、体積平均粒径Dvは10μm、粒度分布Dv/Dnは2.38、平均円形度は0.782であった。
<体積平均粒径Dv、及び体積平均粒径Dvと数平均粒径Dnとの比Dv/Dn>
測定装置としてコールターマルチサイザーIII(コールターカウンター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機株式会社製)、及びパーソナルコンピューターを接続し、電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製した。測定法としては、この電解液としての水溶液100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1mL〜5mL加え、積層造形用粉末材料を2mg〜20mg加え、超音波分散器で1分間〜3分間の分散処理を行った。更に、別のビーカーに電解水溶液100mL〜200mLを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターマルチサイザーIIIによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用い、50,000個の粒子の平均を測定した。測定は装置が示す濃度が8%±2%となるように前記積層造形用粉末材料の分散液を滴下して行った。得られた体積平均粒径Dvと数平均粒径Dnとから比Dv/Dnを求めた。
<平均円形度>
前記平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−3000」;シスメックス株式会社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−3000 Data Processing Program For FPIA Version00−10)を用いて測定した。より具体的には、ガラス製の100mLビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A;第一工業製薬株式会社製)を0.1mL〜0.5mL添加し、積層造形用粉末材料を0.1g〜0.5g添加してミクロスパーテルでかき混ぜ、次いで、イオン交換水80mLを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子株式会社製)で3分間分散処理する。この分散液について、前記FPIA−3000を用いて、濃度が5,000個/μL〜15,000個/μLとなるまで積層造形用粉末材料の形状及び分布を測定した。
調製した前記積層造形用粉末材料1−1としてのリン酸カルシウムの結晶相の同定を、X線粉末回折装置(リガク電機株式会社製、RINT1100)を用いて以下の条件で実施したところ、結晶相がαであることがわかった。
[測定条件]
・管球:Cu
・電圧:40kV
・電流:40mA
・開始角度:3°
・終了角度:80°
・スキャンスピード:0.5°/min
(調製例3−1)
<積層造形用粉末材料2−1の調製>
−リン酸三カルシウム(β−TCP)の合成−
市販のパドルを用いて160rpmで攪拌させた0.513mol/dmの水酸化カルシウム懸濁液中に、0.342mol/dmのリン酸水溶液を6mL/minの速度で送液し、アンモニアにてpHを8.7付近で安定化させた。次いで、37℃のインキュベーターにて72時間熟成し、濾過したのち乾燥して粉体を得た。次いで、800℃環境にて1時間焼成したのち、直径3mmのジルコニアビーズを用いてボールミル粉砕した。その際、ボールミル粉砕はGlen Creston Ltd.製BM−6型ローラーボールミルを用いて実施し、30分間の粉砕化が終了したら、75μmメッシュに通して篩に掛けることで微細粉を得た。次いで、1,100℃にて5時間焼成したのち急冷することで、積層造形用粉末材料2−1としてのβ−リン酸三カルシウム(β−TCP)粉末を得た。
得られた積層造形用粉末材料2−1としてのβ−TCP粉末について、調製例1と同様にして測定したところ、体積平均粒径Dvは5μm、粒度分布Dv/Dnは1.55、平均円形度は0.812であった。
また、得られた積層造形用粉末材料2−1の結晶相の同定を、調製例1と同様にして実施したところ、結晶相がβであることが分かった。
(実施例1−1)
得られた前記積層造形用粉末材料1−1と、前記粉末積層造形用硬化液1−1とを用い、サイズ(長さ70mm×巾12mm)の形状印刷パターンにより、積層造形物1−1を以下のようにして製造した。
(1)まず、図1に示したような公知の粉末積層造形装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に前記積層造形用粉末材料1−1を移送させ、前記支持体上に平均厚みが100μmの積層造形用粉末材料1−1からなる薄層を形成した。
(2)次に、形成した積層造形用粉末材料1−1からなる薄層の表面に、前記粉末積層造形用硬化液1−1を、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、SG7100)を用いてノズルから付与(吐出)し、前記積層造形用粉末材料1−1に含まれるカルシウムイオンを、リン酸基を有する有機化合物の作用により捕獲することで、前記リン酸カルシウムを硬化させた。前記硬化物の硬化速度は極めて速かった。なお、硬化速度は以下のようにして測定した。結果を表3に示した。
<硬化速度>
前記積層造形用粉末材料6gと前記粉末積層造形用硬化液2mLを混練した際の硬化反応を、以下の基準で評価した。
[評価基準]
×:60秒間以上経過しても硬化が不十分であり、流動性がある状態
△:15秒間以上59秒間以内で硬化は起こるが、硬化が不十分で形状を維持が不完全な状態
○:15秒間以上59秒間以内で硬化が起こり、流動性が無く形状を維持している状態
◎:15秒間未満で硬化が起こり、充分に硬化しており容易には壊れない状態
(3)次に、前記(1)及び前記(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した前記積層造形用粉末材料1−1からなる薄層を順次積層していき、積層造形物1−1を製造した。得られた積層造形物1−1に対し、エアーブローにより余分な前記積層造形用粉末材料を除去したところ、型崩れを生ずることはなかった。得られた積層造形物1−1は強度、及び寸法精度に優れていた。
得られた積層造形物1−1について、ハイドロキシアパタイト(HAp)転移率、細胞毒性、骨誘導能、強度(硬度)、及び寸法精度を以下の基準にて評価した。結果を表3に示した。
<ハイドロキシアパタイト(HAp)転移率>
X線粉末回折装置(リガク電機株式会社製、RINT1100)により、積層造形物1−1をSBF(擬似体液)中への2週間浸漬前後での結晶相の同定を行い、2θ=30付近に現れるハイドロキシアパタイト特有ピークの面積率の差からHAp転移率(%)を測定した。なお、本発明においては、HAp転移率は1%以下が合格である。
<骨誘導能>
以下の基準により、積層造形物1−1の骨誘導能を評価した。
×:移植12週間後、分解残留物が残っており、骨形成が阻害されている状態
△:移植12週間後、骨形成が見られるが、創外固定器を装着しないとマウスが歩けない状態
○:移植12週間後、骨形成が見られ、かつ、創外固定器を装着しなくてもマウスが歩ける状態
◎:移植8週間後、骨形成が見られ、かつ、創外固定器を装着しなくてもマウスが歩ける状態
<細胞毒性>
ウェルに収容した細胞の培養液(5vol%牛胎仔血清添加MEM培地)に約100個のV79細胞(チャイニーズハムスター肺由来繊維芽細胞)を播種して、4時間静置したのち、積層造形物1−1をウェルに入れた。その状態にて1週間培養した後、コロニー数を測定し、コロニー数の平均値を求めた。同様にして、積層造形物1−1を入れない対照ウェルについても1週間の培養を行い、コロニー数を測定し、コロニー数の平均値を求めた。これらの値から、下記計算式に従ってコロニー形成率(%)を算出した。
コロニー形成率(%)=(積層造形物を浸漬した培養液におけるコロニー数の平均値)/(積層造形物を入れない培養液中のコロニー数の平均値)×100
得られたコロニー形成率の値が60%以上であれば細胞毒性が無いと判断した。
<強度(硬度)>
以下の基準により、積層造形物1−1の強度(硬度)を評価した。
×:積層造形用粉末材料が充分に硬化しておらず、積層造形物を取り出すことができず、取り出すと所定の形状を維持することができない状態
△:積層造形物につきエアーブローを行うと、不要な積層造形用粉末材料以外にも、前記積層造形物自体がやや除去されてしまうが、取り出した積層造形物自体はその形状を維持している状態
○:積層造形物につきエアーブローを行っても、不要な積層造形用粉末材料のみが除去され、取り出した積層造形物自体はその形状を維持している状態
◎:積層造形物が充分に硬化しており、容易には壊れない状態
<寸法精度>
以下の基準により、積層造形物1−1の寸法精度を評価した。
×:得られた積層造形物の表面に歪みが生じており、表面を観察すると、前記積層造形用粉末材料と前記粉末積層造形用硬化液との偏在が認められる状態
△:得られた積層造形物の表面に若干の歪みと凹凸が生じている状態
○:得られた積層造形物の表面状態は良好であるが、僅かに反りが生じている状態
◎:得られた積層造形物の表面が滑らかで美麗であり、反りも生じていない状態
(4)前記(3)で得られた積層造形物1−1につき、焼結炉内で真空条件、1,300℃で焼結処理を行った。この積層造形物1−1の焼結体は完全に一体化されたリン酸カルシウム構造体であり、硬質の床に叩きつけても破損等が生じなかった。
(実施例2−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように粉末積層造形用硬化液中のフィチン酸の含有量を20質量%に変更し、粘度調整剤としてグリセリンを40質量%添加した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物2−1を製造した。
得られた積層造形物2−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例3−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように粉末積層造形用硬化液中のフィチン酸の含有量を50質量%に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物3−1を製造した。
得られた積層造形物3−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例4−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように粉末積層造形用硬化液中の界面活性剤(Triton X−100)の含有量を1.0質量%に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物4−1を製造した。
得られた積層造形物4−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例5−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すようにフィチン酸の含有量を25質量%に変更することにより粉末積層造形用硬化液の20℃での粘度を5mPa・sに変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物5−1を製造した。
得られた積層造形物5−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例6−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように粉末積層造形用硬化液に粘度調整剤(グリセリン)を20質量%添加して粉末積層造形用硬化液の20℃での粘度を20mPa・sに変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物6−1を製造した。
得られた積層造形物6−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例7−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように界面活性剤TritonX−100の添加量を0.4質量%に変更することにより粉末積層造形用硬化液の表面張力を30N/mに変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物7−1を製造した。得られた積層造形物7−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例8−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように粉末積層造形用硬化液中の界面活性剤(Triton X−100)の含有量を1.1質量%に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物8−1を製造した。
得られた積層造形物8−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例9−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように粉末積層造形用硬化液中の界面活性剤(Triton X−100)をコール酸ナトリウム(固体、東京化成株式会社製)に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物9−1を製造した。
得られた積層造形物9−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例10−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すようにフィチン酸の含有量を20質量%に変更することにより粉末積層造形用硬化液の20℃での粘度を4mPa・sに変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物10−1を製造した。
得られた積層造形物10−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例11−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように粉末積層造形用硬化液に粘度調整剤(グリセリン)を25質量%添加して粉末積層造形用硬化液の20℃での粘度を21mPa・sに変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物11−1を製造した。
得られた積層造形物11−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例12−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように界面活性剤TritonX−100の添加量を0.3質量%にすることにより粉末積層造形用硬化液の表面張力を31N/mに変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物12−1を製造した。
得られた積層造形物12−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(実施例13−1)
実施例1−1において、表2に示すようにα−リン酸三カルシウム(α−TCP)を、前記調製例3−1の積層造形用粉末材料2−1であるβ−リン酸三カルシウム(β−TCP)に代えた以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物13−1を製造した。
得られた積層造形物13−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(比較例1−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように粉末積層造形用硬化液中のフィチン酸の含有量を19質量%に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物14−1を製造した。
得られた積層造形物14−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(比較例2−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すように粉末積層造形用硬化液中にリン酸基を有する有機化合物を添加しなかった以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物15−1を製造した。
得られた積層造形物15−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
(比較例3−1)
実施例1−1において、表1及び表2に示すようにフィチン酸40質量%を、イノシトール3リン酸(株式会社同仁化学研究所製、リン酸基数:3個、酸価:0.41gKOH/g)21質量%に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層造形物16−1を製造した。
得られた積層造形物16−1について、実施例1−1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
表3の結果から、比較例1−1及び2−1は、いずれもHAp転移率が1%を超えており、生体内に移植した場合に、ハイドロキシアパタイト(HAp)に転移して生体内に残存してしまうという不具合がある。
(調製例1−2)
−粉末積層造形用硬化液1−2の調製−
水59.2質量%と、リン酸基を有する有機化合物として酸価が0.74gKOH/gのフィチン酸(和光純薬工業株式会社製、リン酸基数:6個)40質量%と、シリコーン消泡剤としてKM−72F(信越化学工業株式会社製、シリカの体積平均粒径7.4μm)0.3質量%と、界面活性剤としてTriton X−100(東京化成工業株式会社製)0.5質量%とを、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、粉末積層造形用硬化液1−2を調製した。
得られた粉末積層造形用硬化液1−2について、実施例1−1と同様にして測定したところ、粘度は、20℃で、10mPa・sであり、実施例1−1と同様にして測定したところ、表面張力は、20℃で、24N/mであった。なお、シリコーン消泡剤に含まれるシリカの体積平均粒径は、マイクロトラックUPA(マイクロトラック社製)により測定した。
(実施例1−2)
前記調製例2−1で調製した積層造形用粉末材料1−1と、前記粉末積層造形用硬化液1−2とを用い、サイズ(長さ70mm×巾12mm)の形状印刷パターンにより、積層造形物1−2を以下のようにして製造した。
(1)まず、図1に示したような公知の粉末積層造形装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に前記積層造形用粉末材料1−1を移送させ、前記支持体上に平均厚みが100μmの積層造形用粉末材料1−1からなる薄層を形成した。
(2)次に、形成した積層造形用粉末材料1−1からなる薄層の表面に、前記粉末積層造形用硬化液1−2を、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、SG7100)を用いてノズルから付与(吐出)し、前記積層造形用粉末材料1−1に含まれるカルシウムイオンをリン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物の作用により捕獲することで、該リン酸カルシウムを硬化させた。該硬化物の硬化速度は極めて速かった。なお、硬化速度は、実施例1−1と同様にして測定した。結果を表6に示した。
(3)次に、前記(1)及び前記(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した前記積層造形用粉末材料1−1からなる薄層を順次積層していき、積層造形物1−2を製造した。得られた積層造形物1−2に対し、エアーブローにより余分な前記積層造形用粉末材料1−1を除去したところ、型崩れを生ずることはなかった。得られた積層造形物1−2は強度、及び寸法精度に優れていた。
得られた積層造形物1−2につき、実施例1−1と同様にして、ハイドロキシアパタイト(HAp)転移率、細胞毒性、骨誘導能、強度(硬度)、及び寸法精度を評価した。これらの結果を表6に示した。
(4)前記(3)で得られた積層造形物1−2につき、焼結炉内で真空条件、1,300℃で焼結処理を行った。この積層造形物1−2の焼結体は完全に一体化されたリン酸カルシウム構造体であり、硬質の床に叩きつけても破損等が生じなかった。
(実施例2−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液中のフィチン酸の含有量を20質量%に変更し、粘度調整剤としてグリセリンを40質量%添加した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物2−2を製造した。
得られた積層造形物2−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例3−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液中のフィチン酸をエチドロン酸(株式会社同仁化学研究所製、リン酸基数:2個、酸価:0.51gKOH/g)に変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物3−2を製造した。
得られた積層造形物3−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例4−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液中の界面活性剤(Triton X−100)の含有量を1.0質量%に変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物4−2を製造した。
得られた積層造形物4−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例5−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すようにフィチン酸の含有量を25質量%に変更することにより粉末積層造形用硬化液の20℃での粘度を5mPa・sに変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物5−2を製造した。
得られた積層造形物5−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例6−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液に粘度調整剤(グリセリン)を20質量%添加して粉末積層造形用硬化液の20℃での粘度を20mPa・sに変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物6−2を製造した。
得られた積層造形物6−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例7−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように界面活性剤(TritonX−100)の添加量を0.4質量%に変更することにより表面張力を30N/mに変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物7−2を製造した。得られた積層造形物7−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例8−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すようにフィチン酸40質量%を、クエン酸(和光純薬工業株式会社製、カルボキシル基数:3個、酸価:0.89gKOH/g)40質量%に変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物8−2を製造した。
得られた積層造形物8−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例9−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液中の界面活性剤(Triton X−100)の含有量を1.1質量%に変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物9−2を製造した。
得られた積層造形物9−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例10−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液中の界面活性剤(Triton X−100)をコール酸ナトリウム(固体、東京化成株式会社製)に変えた以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物10−2を製造した。
得られた積層造形物10−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例11−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すようにフィチン酸の含有量を20質量%に変更することにより粉末積層造形用硬化液の20℃での粘度を4mPa・sに変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物11−2を製造した。
得られた積層造形物11−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例12−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液に粘度調整剤(グリセリン)を25質量%添加して粉末積層造形用硬化液の20℃での粘度を21mPa・sに変更した以外は、実施例1−2と同様にして積層造形物12−2を製造した。
得られた積層造形物12−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例13−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように界面活性剤TritonX−100の添加量を0.3質量%にすることにより表面張力を31N/mに変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物13−2を製造した。
得られた積層造形物13−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例14−2)
実施例1−2において、表5に示すようにα−リン酸三カルシウム(α−TCP)を、前記調製例3−1で調製した積層造形用粉末材料2−1であるβ−リン酸三カルシウム(β−TCP)に代えた以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物14−2を製造した。
得られた積層造形物14−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例15−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すようにシリコーン消泡剤KM−72Fの添加量を0.005質量%に変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物15−2を製造した。
得られた積層造形物15−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例16−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すようにシリコーン消泡剤KM−72Fの添加量を3質量%に変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物16−2を製造した。
得られた積層造形物16−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(実施例17−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すようにシリコーン消泡剤KM−72Fをシリコーン消泡剤KM−73(シリカの体積平均粒径10.6μm、信越化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物17−2を製造した。
得られた積層造形物17−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(比較例1−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液中のフィチン酸の含有量を19質量%に変更した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物18−2を製造した。
得られた積層造形物18−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(比較例2−2)
実施例3−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液中のエチドロン酸の含有量を19質量%に変更した以外は、実施例3−2と同様にして、積層造形物19−2を製造した。
得られた積層造形物19−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(比較例3−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液中にリン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物を添加しなかった以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物20−2を製造した。
得られた積層造形物20−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
(比較例4−2)
実施例1−2において、表4及び表5に示すように粉末積層造形用硬化液中にリン酸基を有する有機化合物であるフィチン酸の代わりにスフィンゴシン1リン酸(和光純薬工業株式会社製、リン酸基数:1個、酸価:0.18gKOH/g)を添加した以外は、実施例1−2と同様にして、積層造形物21−2を製造した。
得られた積層造形物21−2について、実施例1−2と同様の評価を行った。結果を表6に示した。
表6の結果から、比較例1−2、3−2及び4−2は、いずれもHAp転移率が1%を超えており、生体内に移植した場合に、ハイドロキシアパタイト(HAp)に転移して生体内に残存してしまうという不具合がある。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> リン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物を少なくとも含有してなり、
前記有機化合物の酸価が0.45gKOH/g以上であり、かつ前記有機化合物の含有量が、粉末積層造形用硬化液全量に対して、20質量%以上であることを特徴とする粉末積層造形用硬化液である。
<2> 前記リン酸基を有する有機化合物が、1分子当たり2個以上のリン酸基を含んでいる前記<1>に記載の粉末積層造形用硬化液である。
<3> 前記リン酸基を有する有機化合物が、フィチン酸、及びエチドロン酸のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液である。
<4> 前記カルボキシル基を有する有機化合物が、1分子当たり3個以上のカルボキシル基を含んでいる前記<1>から<3>のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液である。
<5> 前記カルボキシル基を有する有機化合物が、クエン酸である前記<1>から<4>のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液である。
<6> 無機粒子を更に含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液である。
<7> 前記無機粒子の体積平均粒径が10μm以下である前記<6>に記載の粉末積層造形用硬化液である。
<8> 前記粉末積層造形用硬化液の粘度が、20℃で、5mPa・s以上20mPa・s以下であり、前記粉末積層造形用硬化液の表面張力が、20℃で、40N/m以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液である。
<9> 支持体上に、リン酸カルシウムを含む積層造形用粉末材料を用いて所定の厚みの積層造形用粉末材料層を形成する積層造形用粉末材料層形成工程と、
前記積層造形用粉末材料層に、前記<1>から<8>のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液を付与し、該積層造形用粉末材料層の所定領域を硬化させる層硬化工程と、
を含むことを特徴とする積層造形物の製造方法である。
<10> 前記リン酸カルシウムが、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)である前記<9>に記載の積層造形物の製造方法である。
<11> 前記層形成工程と前記層硬化工程とを順次繰り返して形成した積層硬化物を焼結する焼結工程を更に含む前記<9>から<10>のいずれかに記載の積層造形物の製造方法である。
<12> 前記粉末積層造形用硬化液の付与が、インクジェット法により行われる前記<9>から<11>のいずれかに記載の積層造形物の製造方法である。
<13> リン酸カルシウムを含む積層造形用粉末材料と、前記<1>から<8>のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液と、を有することを特徴とする積層造形セットである。
1 造形側粉末貯留槽
2 供給側粉末貯留槽
3 ステージ
4 粉末積層造形用硬化液
5 インクジェットヘッド
6 均し機構
特開平5−237278号公報 米国特許第5204055号公報 米国特許第5902441号公報 米国特許第6375874号公報 特開平9−324203号公報 特開2004−42546号公報 特許第4575295号公報

Claims (13)

  1. リン酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物を少なくとも含有してなり、
    前記有機化合物の酸価が0.45gKOH/g以上であり、かつ前記有機化合物の含有量が、粉末積層造形用硬化液全量に対して、20質量%以上であることを特徴とする粉末積層造形用硬化液。
  2. 前記リン酸基を有する有機化合物が、1分子当たり2個以上のリン酸基を含んでいる請求項1に記載の粉末積層造形用硬化液。
  3. 前記リン酸基を有する有機化合物が、フィチン酸、及びエチドロン酸のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液。
  4. 前記カルボキシル基を有する有機化合物が、1分子当たり3個以上のカルボキシル基を含んでいる請求項1から3のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液。
  5. 前記カルボキシル基を有する有機化合物が、クエン酸である請求項1から4のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液。
  6. 無機粒子を更に含有する請求項1から5のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液。
  7. 前記無機粒子の体積平均粒径が10μm以下である請求項6に記載の粉末積層造形用硬化液。
  8. 前記粉末積層造形用硬化液の粘度が、20℃で、5mPa・s以上20mPa・s以下であり、前記粉末積層造形用硬化液の表面張力が、20℃で、40N/m以下である請求項1から7のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液。
  9. 支持体上に、リン酸カルシウムを含む積層造形用粉末材料を用いて所定の厚みの積層造形用粉末材料層を形成する積層造形用粉末材料層形成工程と、
    前記積層造形用粉末材料層に、請求項1から8のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液を付与し、該積層造形用粉末材料層の所定領域を硬化させる層硬化工程と、
    を含むことを特徴とする積層造形物の製造方法。
  10. 前記リン酸カルシウムが、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)である請求項9に記載の積層造形物の製造方法。
  11. 前記層形成工程と前記層硬化工程とを順次繰り返して形成した積層硬化物を焼結する焼結工程を更に含む請求項9から10のいずれかに記載の積層造形物の製造方法。
  12. 前記粉末積層造形用硬化液の付与が、インクジェット法により行われる請求項9から11のいずれかに記載の積層造形物の製造方法。
  13. リン酸カルシウムを含む積層造形用粉末材料と、請求項1から8のいずれかに記載の粉末積層造形用硬化液と、を有することを特徴とする積層造形セット。
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