以下に添付図面を参照して、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。
図1は実施形態の画像処理システム200の構成の例を示す図である。実施形態の画像処理システム200は、画像処理装置100、サーバ装置150及び端末160を備える。画像処理装置100とサーバ装置150とは、ネットワーク140及びネットワーク141を介して接続される。
画像処理装置100は通信部130又は通信部131によりネットワーク140に接続する。通信部130はネットワーク140に有線接続する。通信部130は、例えばイーサネット(登録商標)又は電話回線等を使用して通信する。通信部131はネットワーク140に無線接続する。ネットワーク140は、例えばLAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)である。ネットワーク141は、例えばインターネット又は公衆電話回線等である。
また画像処理装置100と端末160とは、2種類の通信方式により接続可能である。画像処理装置100の通信部131と端末160の通信部161との通信方式は、例えばWi−Fi(登録商標)等の無線LAN方式である。無線LANの通信方式は、例えばインフラストラクチャモードやWi−Fi Direct(登録商標)モードである。また画像処理装置100の通信部132と端末160の通信部162との通信方式は、例えばNFC(Near Field Communication)である。
上述の画像処理装置100、サーバ装置150及び端末160の具体例について説明する。画像処理装置100は、例えばMFPである。サーバ装置150は、例えばクラウドシステム上のコンピュータである。なおサーバ装置150はインターネット等のネットワーク141を介さずにLAN等のネットワーク140に接続されているコンピュータでもよい。端末160は、例えばスマートフォンやタブレット型端末である。なお画像処理システム200を構成する画像処理装置100、サーバ装置150及び端末160の台数は任意でよい。
以下、画像処理装置100、サーバ装置150及び端末160の機能構成について説明する。まず画像処理装置100について説明する。画像処理装置100は、操作部110、本体部120、通信部130、通信部131及び通信部132を備える。通信部130、通信部131及び通信部132については上述の説明の通りである。
操作部110は、表示部111、入力部112、画像処理部113、通信制御部114、保存先受付部115、設定記憶部116、データ保持部117、デバイス連携部118及び接続部119を備える。
表示部111はユーザの操作入力の受け付けと、情報の表示とを兼ねたタッチパネルである。入力部112はユーザの操作入力を受け付けるボタンである。
図2は実施形態の画像処理装置100の表示部111及び入力部112の例(メニュー画面の表示例)を示す図である。また図2の例では、表示部111にメニュー画面の例が表示されている。
図1に戻り、画像処理部113は本体部120の読取部122等により取得された画像データを画像処理することにより、当該画像データを所定のデータ形式の画像ファイルや文書ファイルに変換する。所定のデータ形式の画像ファイルは、例えばTIFFファイルやJPEGファイル等である。所定のデータ形式の文書ファイルは、例えばPDF(登録商標)ファイル等である。画像処理部113は、後述の設定記憶部116の設定情報に応じて画像データを所定のデータ形式に変換する。
通信制御部114は、画像処理装置100が読取部122及び画像処理部113等により取得したデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を記憶するサーバ装置150に接続(ログイン)するための制御を行う。
通信制御部114の動作について、読取部122により読み取られた画像データをサーバ装置150に記憶する場合を例にして説明する。まずメニュー画面(図2参照)から「スキャナー」を選択するタッチ操作を表示部111が受け付けると、通信制御部114は読取部122により取得される画像データを所定のデータ形式で記憶する場所の候補を表示部111に表示する。所定のデータ形式は、画像処理装置100に記憶されている設定情報に基づいて決定される。なお当該設定情報は、ユーザの入力操作により適宜変更することができる。
図3は実施形態の画像処理装置100が表示する保存先選択画面の表示例を示す図である。図3の例では、データを記憶する場所の候補として、「R Cloud Server」、「ABC Cloud」、「XYZ Drive」及び「Local HDD」を表示する場合の例である。「R Cloud Server」はサーバ装置150に対応する。「ABC Cloud」及び「XYZ Drive」は図1では図示されていないクラウドシステム上のサーバ装置に対応する。「Local HDD」は本体部120の画像記憶部125に対応する。
通信制御部114は、表示部111のタッチ操作により保存先として外部の装置(サーバ装置150等)が選択されたときに、選択された保存先のログイン画面を表示する。
図4は実施形態の画像処理装置100が表示するログイン画面の表示例を示す図である。図4の例は、「R Cloud Server」が選択された場合のログイン画面を示す。通信制御部114は、表示部111又は入力部112により受け付けられたログイン情報(ログインID及びパスワード等)を、通信部130又は通信部131を介してサーバ装置150に送信する。通信制御部114は、サーバ装置150(認証部151)による認証が成功した場合、表示部111にスキャン実行画面を表示する。
図5は実施形態の画像処理装置100が表示するスキャン実行画面の表示例を示す図である。ユーザにより画像処理装置100に原稿が置かれ、入力部112がスタートボタンの押下を受け付けると、読取部122は原稿の読み取りを実行し、画像データを取得する。読取部122は取得した画像データを操作部110の画像処理部113に送信する。
図1に戻り、また通信制御部114は、図3の保存先選択画面で外部の装置(サーバ装置150)が選択された場合、選択された保存先の場所を示す情報(URL等)を保存先受付部115に入力する。
保存先受付部115は、図3の保存先選択画面で外部の装置(サーバ装置150)が選択された場合、通信制御部114から保存先の場所を示す情報(URL等)を受信する。また保存先受付部115は画像ファイルや文書ファイル等に変換されたデータを画像処理部113から受け付ける。そして保存先受付部115はネットワーク140及びネットワーク141を介して接続されたサーバ装置150に任意のプロトコルを使用してデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を記憶する。任意のプロトコルは、例えばWebDAVである。
また保存先受付部115は画像処理部113から受信したデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を本体部120の画像記憶部125にも記憶する。保存先受付部115は本体部120の画像記憶部125の保存場所を示す情報(ファイルパス等)と、外部の装置の保存場所を示す情報(URL等)と、をデータ保持部117に入力する。
設定記憶部116は操作部110の設定情報を記憶する。設定情報は、例えば図3の保存先選択画面に表示される保存先の候補や、読取部122が読み取った画像データを保存するデータ形式(画像処理部113が画像データを画像処理することにより変換するデータ形式)である。なお設定情報として、保存先のサーバ装置のログインIDやパスワード等の認証情報を記憶し、ログイン時のユーザの操作入力を省略できるようにしてもよい。
データ保持部117は保存先受付部115から、本体部120の画像記憶部125の保存場所を示す情報(ファイルパス等)と、外部の装置の保存場所を示す情報(URL等)と、を受け付ける。データ保持部117はファイルパスと、URLとを関連付けることにより、本体部120の画像記憶部125に記憶されているデータ(画像ファイルや文書ファイル等)と、サーバ装置150の記憶部153に記憶されているデータと、を関連付ける。本体部120の画像記憶部125に記憶されているデータは、読取部122が読み取った画像データを、画像処理部113が画像処理することにより生成された所定のファイル形式のデータである。またサーバ装置150の記憶部153に記憶されている画像データは、画像処理装置100の保存先受付部115により記憶された画像データである。データ保持部117は画像記憶部125のデータと、外部の装置に記憶したデータと、を関連付けた情報をインデックス情報(関連情報に相当)として所定のデータ形式により保持する。所定のデータ形式は、例えばJSON構造のデータ形式である。
図6は実施形態のデータ保持部117が保持するインデックス情報の例を示す図である。図6の例は、インデックス情報をJSON構造のテキスト形式で保持する場合である。「file:」は表示部111に表示されるファイル名(識別情報に相当)であり、表示部111又は入力部112により受け付けたユーザの操作入力により決定する。「URL:」は外部の装置の保存場所(外部記憶情報に相当)を示す。「path:」は本体部120の画像記憶部125の保存場所(内部記憶情報に相当)を示す。図6のデータ形式は、データ保持部117により容易に検索、追加、変更又は削除が可能である。なおデータ保持部117の検索速度を上げるために、インデックス情報をSQLで問い合わせ可能なデータ形式にしてもよい。なお「URL:」及び「path:」のファイル名は保存先受付部115により一意に割り振られるが、ユーザがスキャン時に表示部111又は入力部112によりファイル名を変更することもできる。また図6のインデックス情報に、ファイルのユーザを識別する情報(「USER:」等)を追加し、当該ファイルの権限を有するユーザを識別できるようにしてもよい。またユーザ毎に図6のインデックス情報を用意してもよい。
またデータ保持部117は、外部の装置の記憶状態に合わせて、インデックス情報を定期的に同期する。例えば「URL:」で指定されたファイルがサーバ装置150の記憶部153から削除されている場合、データ保持部117は当該ファイルに対応する「file:」、「URL:」及び「path:」の情報をインデックス情報から削除する。また例えば「URL:」で指定されたファイルがサーバ装置150の記憶部153に存在するが、画像処理装置100の画像記憶部125に存在しない場合、データ保持部117がインデックス情報の「URL:」により記憶場所を特定し、保存先受付部115が当該ファイルをサーバ装置150からダウンロードすることによりインデックス情報の「path:」で示された記憶場所に記憶する。なおデータ保持部117がインデックス情報を同期するタイミングは、数時間、1日、1週間又は1か月等、任意でよい。
図1に戻り、デバイス連携部118は、通信部131(無線LAN)及び通信部132(NFC)を使用して端末160とデータを送受信するための制御を行う。当該データは、画像ファイル、文書ファイル及び接続情報等である。画像ファイル及び文書ファイルは、上述の読取部122等により読み取られた画像データを、画像処理部113が画像処理することにより生成したファイルである。また接続情報は、画像ファイル及び文書ファイルを、通信部131(無線LAN)を介して送受信するために必要な情報である。具体的には、接続情報はSSID(Service Set IDentifier)、暗号化方式、パスワード及び画像処理装置100のIPアドレス等である。デバイス連携部118は通信部132(NFC)を介して接続情報を端末160に送信し、通信部131(無線LAN)を介してデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を端末160に送信する。
接続部119は、本体部120の接続部126と接続され、操作部110と本体部120との間でデータを送受信する。
本体部120は、コントローラ121、読取部122、印刷部123、FAX部124、画像記憶部125及び接続部126を備える。
コントローラ121は本体部120の印刷、読取及びFAX通信等の制御を行う。読取部122は原稿の読み取り(スキャン)を行う。印刷部123は原稿の印刷を行う。FAX部124は通信部130を介して原稿をFAX送信するための処理を行う。
画像記憶部125は画像処理装置100が読取部122等により取得した画像データを記憶する。画像記憶部125は画像処理装置100の一時記憶領域であり、画像記憶部125の残容量が少なくなった等の場合には、保存先受付部115により例えば古いデータから順に削除される。すなわち画像記憶部125はユーザには公開されていない画像処理装置100の内部記憶領域である。なお画像記憶部125を十分な記憶領域を有するHDD等で実現することにより、画像記憶部125を一時的な記憶領域とせずに永続的な記憶領域にしてもよい。画像記憶部125を永続的な記憶領域にする場合、上述のデータ保持部117は、外部の装置のデータの記憶状態ではなく、画像記憶部125のデータの記憶状態に合わせて上述のインデックス情報及びサーバ装置150の記憶部153を同期してもよい。
接続部126は、操作部110の接続部119と接続され、本体部120と操作部110との間でデータを送受信する。
次にサーバ装置150について説明する。サーバ装置150は、通信部142、認証部151、記憶制御部152及び記憶部153を備える。
通信部142は、ネットワーク140及びネットワーク141を介して画像処理装置100の通信部130と接続されている。
認証部151は、ログインID及びパスワード等によってユーザの認証を行う。
記憶制御部152は記憶部153に記憶された画像ファイルや文書ファイル等の追加又は削除を行う。記憶制御部152は、例えば画像処理装置100の保存先受付部115のネットワーク140及びネットワーク141を介した記憶制御に応じて動作する。
記憶部153はユーザのデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を記憶する。
次に端末160について説明する。端末160は、通信部161、通信部162、表示部163、デバイス連携部164及び記憶部165を備える。
通信部161は、無線通信によりネットワーク140又はネットワーク141に接続する。
通信部162は、画像処理装置100の通信部132と通信する。通信部162は、例えばNFCである。
表示部163はユーザの操作入力の受け付けと、情報の表示とを兼ねたタッチパネルである。
デバイス連携部164は通信部162(NFC)を使用して画像処理装置100とデータを送受信するための制御を行う。当該データは、例えば通信部161(無線LAN)により画像処理装置100と通信するために必要な上述の接続情報である。またデバイス連携部164は通信部161を介して画像処理装置100から受信したデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を表示部163に表示する。またデバイス連携部164は、表示部163に表示したデータ(画像ファイルや文書ファイル等)の履歴を記憶部165に記憶する。このときデバイス連携部164は、セキュリティを考慮してデータ(画像ファイルや文書ファイル等)は記憶しない。なおセキュリティ上問題がなければ、画像処理装置100から受信したデータを端末160に記憶できるようにしてもよい。
記憶部165は表示部163で表示したデータ(画像ファイルや文書ファイル等)の履歴を記憶する。
次に画像処理装置100のハードウェア構成について説明する。図7は実施形態の画像処理装置100のハードウェア構成の例を示す図である。
図7に示すように、画像処理装置100は、操作部110と本体部120とを備える。操作部110は、ユーザの操作に応じた情報を受け付ける。なおユーザの操作に応じた情報は、例えば画面の座標値を示す信号等である。本体部10は、コピー機能、スキャナー機能、ファクス機能、プリンタ機能等の各種の機能を実現する。
操作部110及び本体部120は、接続IF26(図1の接続部119に対応)、専用の通信路300及び接続IF16(図1の接続部126に対応)を介して相互に通信可能に接続されている。通信路300は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格を用いることができるが、有線か無線かを問わず任意の規格のものでもよい。
本体部120は、操作部110で受け付けた操作に応じた動作を行う。また、本体部120は、端末160及び図1では図示されていないクライアントPC(パーソナルコンピュータ)等の外部装置とも通信可能であり、外部装置から受信した指示(印刷指示等)に応じた動作を行うこともできる。
まず本体部120のハードウェア構成について説明する。図7に示すように、本体部120は、CPU11、ROM12、RAM13、HDD14、通信IF15、接続IF16及びエンジン部17を備える。CPU11、ROM12、RAM13、HDD14、通信IF15、接続IF16及びエンジン部17はシステムバス18を介して相互に接続されている。
CPU11は本体部120の動作を統括的に制御する。CPU11はRAM13をワークエリア(作業領域)としてROM12又はHDD14等に格納されたプログラムを実行することで、本体部120全体の動作を制御し、上述したコピー機能、スキャナー機能、ファクス機能、プリンタ機能等の各種機能を実現する。図1の画像記憶部125は、ROM12、RAM13及びHDD14に対応する。
通信IF15は、ネットワーク140と接続するためのインターフェースである。接続IF16は、通信路300を介して操作部110と通信するためのインターフェースである。
エンジン部17はコピー機能、スキャナー機能、ファクス機能及びプリンタ機能を実現させるための、汎用的な情報処理及び通信以外の処理を行うハードウェアである。例えば、原稿の画像をスキャンして読み取るスキャナー(図1の読取部122に対応)、用紙等のシート材への印刷を行うプロッタ(図1の印刷部123に対応)、ファクス通信を行うFAX部(図1のFAX部124に対応)等を備えている。エンジン部17は、更に、印刷済みシート材を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(自動原稿給送装置)のような特定のオプションを実現するためのハードウェアを備えていてもよい。
次に操作部110のハードウェア構成について説明する。図7に示すように、操作部110は、CPU21、ROM22、RAM23、フラッシュメモリ24、通信IF25、接続IF26、ユーザIF27及び外部接続IF28を備える。CPU21、ROM22、RAM23、フラッシュメモリ24、通信IF25、接続IF26、ユーザIF27及び外部接続IF28はシステムバス29を介して相互に接続されている。
CPU21は操作部110の動作を統括的に制御する。CPU21はRAM23をワークエリア(作業領域)としてROM22又はフラッシュメモリ24等に格納されたプログラムを実行することで、操作部110全体の動作を制御し、ユーザから受け付けた入力に応じた情報(画像)の表示等を実現する。図1の設定記憶部116は、ROM22、RAM23及びフラッシュメモリ24に対応する。
通信IF25は、ネットワーク140と接続するためのインターフェースである。通信IF25は、図1の通信部130及び通信部131に対応する。接続IF26は、通信路300を介して本体部120と通信するためのインターフェースである。
ユーザIF27は操作パネル(図1の表示部111に対応)及び入力装置(図1の入力部112に対応)である。操作パネルは、ユーザの操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば受け付けた操作に応じた情報、画像処理装置100の動作状況を示す情報、設定状態などを示す情報等)を表示する。操作パネルは、タッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD)で構成されるが、液晶表示装置に限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL表示装置で構成されてもよい。入力装置は、ハードウェアキー(ボタン)である。なおユーザIF27として更にランプ等の表示部を備えてもよい。
外部接続IF28は、上述のNFCにより端末160と接続するためのインターフェースである。
次に画像処理装置100のソフトウェア構成について説明する。図8は実施形態の画像処理装置100のソフトウェア構成の例を示す図である。
図8に示すように、本体部120は、アプリ層101、サービス層102及びOS層103を有する。アプリ層101、サービス層102及びOS層103の実体は、ROM12やHDD14等(図7参照)に格納されている各種ソフトウェアである。CPU11が、これらのソフトウェアを実行することにより、各種の機能が提供される。
アプリ層101のソフトウェアは、ハードウェア資源を動作させて所定の機能を提供するためのアプリケーションソフトウェア(以下の説明では、単に「アプリ」と称する場合がある)である。例えばアプリとしては、コピー機能を提供するためのコピーアプリ、スキャナー機能を提供するためのスキャナーアプリ、ファクス機能を提供するためのファクスアプリ、プリンタ機能を提供するためのプリンタアプリなどが挙げられる。
サービス層102のソフトウェアは、アプリ層101とOS層103との間に介在し、アプリに対し、本体部120が備えるハードウェア資源を利用するためのインターフェースを提供するためのソフトウェアである。より具体的には、ハードウェア資源に対する動作要求の受付、動作要求の調停を行う機能を提供するためのソフトウェアである。サービス層102が受け付ける動作要求としては、スキャナーによる読み取りやプロッタによる印刷等の要求が考えられる。
なおサービス層102によるインターフェースの機能は、本体部120のアプリ層101だけではなく、操作部110のアプリ層201に対しても提供される。すなわち操作部110のアプリ層201(アプリ)も、サービス層102のインターフェース機能を介して、本体部120のハードウェア資源(例えば図7のエンジン部17)を利用した機能を実現することができる。
OS層103のソフトウェアは、本体部120が備えるハードウェアを制御する基本機能を提供するための基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)である。サービス層102のソフトウェアは、各種アプリからのハードウェア資源の利用要求を、OS層103が解釈可能なコマンドに変換してOS層103に渡す。そして、OS層103のソフトウェアによりコマンドが実行されることで、ハードウェア資源は、アプリの要求に従った動作を行う。
同様に、操作部110は、アプリ層201、サービス層202及びOS層203を有する。操作部110が備えるアプリ層201、サービス層202及びOS層203も、階層構造については本体部120と同様である。ただしアプリ層201のアプリにより提供される機能や、サービス層202が受け付け可能な動作要求の種類は、本体部120とは異なる。アプリ層201のアプリは、操作部110が備えるハードウェア資源を動作させて所定の機能を提供するためのソフトウェアであってもよいが、主として本体部120が備える機能(コピー機能、スキャナー機能、ファクス機能及びプリンタ機能)に関する操作や表示を行うためのUI(ユーザインターフェース)の機能を提供するためのソフトウェアである。
なお本実施形態では、機能の独立性を保つために、本体部120のOS層103のソフトウェアと、操作部110のOS層203のソフトウェアが互いに異なる。つまり本体部120と操作部110は、別々のオペレーティングシステムで互いに独立して動作する。例えば、本体部120のOS層103のソフトウェアとしてLinux(登録商標)を用い、操作部110のOS層203のソフトウェアとしてAndroid(登録商標)を用いることが可能である。
以上のように、実施形態の画像処理装置100において、本体部120と操作部110は別々のオペレーティングシステムで動作するため、本体部120と操作部110との間の通信は、共通の装置内のプロセス間通信ではなく、異なる装置間の通信として行われる。異なる装置間の通信の例は、操作部110が受け付けた情報(ユーザからの指示内容)を本体部120へ伝達する動作(コマンド通信)や、本体部120が操作部110へイベントを通知する動作等である。ここでは操作部110が本体部120へコマンド通信を行うことにより、本体部120の機能を使用することができる。また本体部120から操作部110に通知するイベントには、本体部120における動作の実行状況、本体部120で設定された情報等が挙げられる。
また実施形態では、操作部110への電力供給は、本体部120から通信路300を経由して行われているが、操作部110の電源制御を、本体部120の電源制御とは別に(独立して)行ってもよい。
図1で説明した画像処理装置100の各部の機能は、CPU11又はCPU21が、記憶装置(ROM12、HDD14、ROM22又はフラッシュメモリ24等)に格納されたプログラムを実行することにより実現されるが、これに限らず、例えば上記画像処理装置100の各部の機能のうちの少なくとも一部が専用のハードウェア回路(例えば半導体集積回路等)で実現されてもよい。
また上述の実施形態では、本体部120と操作部110は、別々のオペレーティングシステムで互いに独立して動作しているが、これに限らず、例えば本体部120と操作部110が同じオペレーティングシステムで動作する形態であってもよい。
また上述した実施形態の画像処理装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。また当該プログラムを、ROM等の不揮発性の記録媒体に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
次に実施形態の画像処理方法について説明する。図9は実施形態の画像処理方法の例を示すフローチャートである。図9の例は、読取部122が読み取った画像データをサーバ装置150に記憶する場合に、端末160に画像データを表示するまでの動作のフローを示す。
はじめに、表示部111がメニュー画面(図2参照)から「スキャナー」を選択するタッチ操作を受け付ける(ステップS1)。次に、通信制御部114が読取部122により取得される画像データを、所定のデータ形式で記憶する場所の候補(図3参照)を表示部111に表示する(ステップS2)。次に、表示部111が保存先の選択を受け付ける(ステップS3)。次に、表示部111が保存先のサーバ装置150に送信するログイン情報(ログインID及びパスワード等)を受け付ける画面(図4参照)を表示し、通信制御部114がログイン情報をサーバ装置150に送信する(ステップS4)。
次に、通信制御部114は保存先のサーバ装置150にログインできたか否かを判定する(ステップS5)。ログインできない場合(ステップS5、No)、処理はステップS2に戻る。ログインできた場合(ステップS5、Yes)、通信制御部114がスキャン実行画面(図5参照)を表示部111に表示し、読取部122がユーザにより設置された原稿を読み取ることにより画像データを取得する(ステップS6)。
次に、画像処理部113が画像データをTIFF形式等の所定のデータ形式のファイルに変換する(ステップS7)。次に、保存先受付部115は画像処理部113から受信したデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を画像処理装置100の画像記憶部125に保存する(ステップS8)。次に、保存先受付部115はネットワーク140及びネットワーク141を介して接続されたサーバ装置150にデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を保存する(ステップS9)。
次に、データ保持部117はインデックス情報(図6参照)により、ステップS8で画像記憶部125に記憶したデータのファイルパスと、ステップS9でサーバ装置150に記憶したデータのURLと、を関連付ける(ステップS10)。なおインデックス情報の「file:」は、例えば表示部111がファイル名を示す操作入力を受け付けたときに、データ保持部117により当該ファイル名が設定される。
次に、デバイス連携部118が端末連携画面を表示部111に表示し、表示部111がサーバ装置150に保存されたファイルを参照するか否かを示す入力を受け付ける(ステップS11)。
図10は実施形態の画像処理装置100が表示する端末連携画面の表示例を示す図である。表示部111が「いいえ」の選択を受け付けた場合(ステップS11、No)、処理は終了する。表示部111が「はい」の選択を受け付けた場合(ステップS11、Yes)、デバイス連携部118はファイルの候補を示すファイル選択画面を表示部111に表示する(ステップS12)。
図11は実施形態の画像処理装置100が表示するファイル選択画面の表示例を示す図である。デバイス連携部118は、ユーザがログイン中の外部装置(図9のフローの例ではサーバ装置150(「R Cloud Server」))のインデックス情報の「file:」から取得したファイル名をファイル選択画面に表示する。
図9に戻り、次に、表示部111はファイルの選択を示すユーザの操作入力を受け付ける(ステップS13)。次に、データ保持部117はインデックス情報の「path:」を参照することにより、ステップS13で選択されたファイルが画像処理装置100の画像記憶部125に記憶されているか否かを判定する(ステップS14)。
ファイルが画像処理装置100の画像記憶部125に記憶されている場合(ステップS14、Yes)、処理はステップS16に進む。
ファイルが画像処理装置100の画像記憶部125に記憶されていない場合(ステップS14、No)、データ保持部117がインデックス情報の「URL:」により記憶場所を特定し、保存先受付部115がサーバ装置150から画像処理装置100にファイルをダウンロード(取得)することにより画像記憶部125に当該ファイルを記憶する(ステップS15)。
なおサーバ装置150にもステップS13で選択されたファイルが記憶されていない場合、データ保持部117はファイルが存在しないことを示すエラーメッセージを表示部111に表示する。そしてデータ保持部117は当該ファイルに対応する「file:」、「URL:」及び「path:」の情報をインデックス情報から削除する。
次に、デバイス連携部118が上述の接続情報を表示部111に表示する(ステップS16)。
図12は実施形態の画像処理装置100が表示する接続情報画面の表示例を示す図である。図12は、接続情報として、Wi−Fi Direct(登録商標)ネットワークのSSID、暗号化方式、パスワード及び画像処理装置100(MFP)のIPアドレスを表示する接続情報画面の例である。なおデバイス連携部118はSSID、暗号化方式、パスワード及び画像処理装置100(MFP)のIPアドレスを、画像処理装置100の設定記憶部116に予め登録されていた設定情報から取得することにより、表示部111に表示する。
またWi−Fi Direct(登録商標)はインフラストラクチャモードのWi−Fi(登録商標)でも構わない。インフラストラクチャモードのWi−Fi(登録商標)の場合、デバイス連携部118は、接続情報として、インフラストラクチャモードのWi−Fi(登録商標)に接続するためのSSIDと暗号化方式、パスワードを表示部111に表示する。
図9に戻り、次に、端末160の表示部163が上述の接続情報の指定を示す操作入力を受け付ける(ステップS17)。
図13及び図14は実施形態の端末160が表示するネットワーク設定画面の表示例を示す図である。図13は端末160が接続可能なネットワークの一覧画面の例である。図14は画像処理装置100(MFP)のIPアドレスの指定を受け付ける画面の例である。図13の「MFP001」は画像処理装置100のWi−Fi Direct(登録商標)ネットワークである。すなわち端末160の表示部163が上述の接続情報の指定を示す操作入力を受け付け、当該接続情報が「MFP001」として管理されている。端末160の表示部163が「MFP001」の選択を受け付けると、デバイス連携部164が通信部161を介して画像処理装置100に接続する。画像処理装置100の接続情報が「MFP001」として端末160で管理されることで、ネットワーク接続環境に変更がなければ、ユーザは接続情報の指定を示す操作入力を再度行わなくても画像処理装置100に接続することができる。
なお図13の「MPF002」は図1では図示されていない他の画像処理装置が構成するWi−Fi Direct(登録商標)ネットワークである。また「Corporate Network」はインフラストラクチャモードのWi−Fi(登録商標)の例で、Wi−Fi Direct(登録商標)ネットワークと同じように表示される。端末160のユーザはWi−Fi Direct(登録商標)ネットワークとインフラストラクチャモードのWi−Fi(登録商標)ネットワークを特に意識する必要なく利用することができる。
図9に戻り、次に、画像処理装置100のデバイス連携部118が端末160と接続されたことを確認する(ステップS18)。次に、画像処理装置100のデバイス連携部118はステップS13で選択されたファイルを、通信部131を介して端末160に送信する(ステップS19)。次に、端末160のデバイス連携部164が、ステップS19で送信されたファイルを、通信部161を介して受信し、当該ファイルを表示部163に表示する(ステップS20)。
図15は実施形態の端末160が表示するファイル表示画面の表示例を示す図である。図15のような画面によりユーザはサーバ装置150に記憶したデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を速やかに確認することができる。具体的には、ファイルが画像処理装置100の画像記憶部125に記憶されている場合(ステップS14、Yes)、ユーザはサーバ装置150に記憶したデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を最も速く確認することができる。なおファイルが画像処理装置100の画像記憶部125に記憶されていない場合(ステップS14、No)であっても、画像処理装置100がサーバ装置150からファイルをダウンロードし、画像処理装置100から端末160にファイルを送信することにより速やかにファイルを確認することができる。これは一般に端末160よりも、画像処理装置100の方が、ネットワーク接続環境や処理性能が良いためである。
図9に戻り、端末160のデバイス連携部164はステップS20で表示したファイルを、表示履歴情報として記憶部165に記憶する(ステップS21)。なお表示履歴情報は、ユーザが後から参照することができる。すなわち表示部163が表示履歴情報の表示を示す操作入力を受け付けると、デバイス連携部164が当該表示履歴情報を表示部163に表示する。
図16は実施形態の端末160が表示する表示履歴画面の表示例を示す図である。図16の例では、ファイル名の下にはハイパーリンクが付いており、ハイパーリンクを選択すると端末160が接続しているネットワークを介してファイルをダウンロードして表示できる。具体的には、まずデバイス連携部164が画像処理装置100と接続可能であるか否かを判定する。次に画像処理装置100と接続可能である場合、デバイス連携部164が画像処理装置100に当該ファイルの送信を依頼する。次にデバイス連携部164が画像処理装置100から当該ファイルをダウンロードすることにより当該ファイルを表示部163に表示する。画像処理装置100と接続可能な場合は、例えば端末160がWi−Fi Direct(登録商標)により画像処理装置100と接続できる距離にあるときである。一方、画像処理装置100と接続可能でない場合、端末160の通信部161は携帯電話網等からインターネットに接続し、サーバ装置150から直接ファイルをダウンロードすることにより当該ファイルを表示部163に表示する。
なお上述の図9のステップS16の説明では、画像処理装置100が接続情報を表示部111に表示する場合について説明した。しかしながら接続情報を通信部132(NFC)により端末160に送信してもよい。具体的には、まず端末160のデバイス連携部164がNFC接続画面を表示部163に表示する。
図17は実施形態の端末160が表示するNFC接続画面の表示例を示す図である。このNFC接続画面により端末160のデバイス連携部164は、端末160を画像処理装置100(MFP)にかざすことをユーザに促す。そしてユーザが画像処理装置100の通信部132(NFC)に端末160をかざすと、画像処理装置100の通信部132(NFC)は端末160を認識する。次に画像処理装置100のデバイス連携部118はWi−Fi(登録商標)のSSID、暗号化方式、パスワード及び画像処理装置100(MFP)のIPアドレス等の接続情報を通信部132及び通信部162を介して端末160に送信する。このようにして画像処理装置100(MFP)から端末160に接続情報を送信することにより、ユーザが端末160で接続情報を入力する手間を省くことができる。
以上説明したように、実施形態の画像処理装置100では、保存先受付部115が読取部122及び画像処理部113により取得されたデータ(画像ファイルや文書ファイル等)を本体部120の画像記憶部125及びサーバ装置150の記憶部153に記憶する。そしてデータ保持部117が上述のインデックス情報(図6参照)により、画像処理装置100の画像記憶部125のデータと、サーバ装置150の記憶部153のデータと、を関連付ける。表示部111が端末160で表示するデータの選択を示す操作入力を受け付けると、データ保持部117がインデックス情報を参照し、当該データが画像処理装置100の画像記憶部125に存在するか否かを判定する。当該データが画像処理装置100の画像記憶部125に存在する場合、通信部131が画像記憶部125のデータを端末160に送信する。これにより実施形態の画像処理装置100によれば、画像処理装置100と端末160とが通信可能な状態であれば、画像処理装置100により取得され、サーバ装置150に記憶された画像データを、速やかに端末160に表示させることができる。