JP6457456B2 - 振動源探査装置及び振動源探査方法 - Google Patents
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Description
しかし、機械の表面等は音を発生させている部分にすぎず、その部分が音の発生原因である音源(振動源)ではないこともある。例えば、機械は、振動を生じる部分を多数有しているとともに、剛性が高く振動を伝えやすいため、音のする部分とその音の振動源とが離れているとともに、音を測定している位置である測定位置から見えない部分にその音の振動源があることも少なくない。そのため、測定位置から見て、音のしている部分が特定されたとしても、その部分が音を発生させている振動源ではないようなときには、測定位置から見えない部分も含めて、その音の発生原因である振動源を探さなければならないことになる。
振動源の振動の周波数帯と音の周波数帯とが同じであったり、一部が重なっていたりする可能性が高い。そこで、このような構成によれば、振動源と音との間の高い相関関係を得る可能性が高められるようになる。
このような構成によれば、振動源の振動の周波数帯と音の周波数帯との少なくとも一部に相違がある場合であっても、振動源と音との相関関係に基づく分布が得られるようになる。
このような構成によれば、振動源の振動について、その振動や音の取得にかかる自由度の向上が図られる。
図1に示すように、振動源探査装置10は、複数の振動源2〜5を有する機械等の測定対象1から発生する音N1〜N4について、その音N1〜N4の発生原因である1又は複数の振動源2〜5を探査する。
測定対象1は、その内部又は外部に振動源2〜5を有しており、それら振動源2〜5の振動DB1〜DB4が伝達した測定対象1の前面1Cから、その伝達した振動DB1〜DB4に起因する音が発生する。例えば、測定対象1は、その本体の側面1Aに振動源2となる機器等が取り付けられており振動DB1を生じ、その上面1Bに振動源3となる機器等が取り付けられており振動DB2を生じている。また測定対象1は、その本体に外部の2つの機器が物理的、かつ高い剛性で接続されており、それらの外部の機器が2つの振動源4,5となっている。こうした振動源2〜5となる機器等は、電動モータ等の電動機器、内燃機関、蒸気機関、空圧機器、水圧機器、油圧機器、及び各機関に駆動される軸や部品等である。内部の振動源2,3の振動は、測定対象1の本体の側面1Aや上面1B等や内部構造を介して測定対象1の前面1Cに伝達され、伝達した測定対象1の前面1Cを振動させて音を発生させる。また、外部の振動源4,5の振動は、物理的な接続部材を介して測定対象1の本体に伝達されるとともに、同本体の側面1A、上面1B及び内部構造等を介して伝達された測定対象1の前面1Cで、その前面1Cを振動させて音を発生させる。
図1を参照して、振動源探査装置10に接続されるマイクロホン等について説明する。
振動源探査装置10は、CPUやROM、RAMや大容量の記憶部等を有するマイクロコンピュータとして構成される。振動源探査装置10は、例えばROMやRAMに保持された各種プログラムをCPUで実行することにより振動源探査装置10における各種処理を実行する。大容量の記憶部には、マイクロホン11A〜11Dで測定した音DA1〜DA4や振動センサ13A〜13Dで測定した振動DB1〜DB4が少なくとも処理に必要とされる期間だけ記憶される。また、大容量の記憶部等には、音に適用される周波数である探査対象の周波数帯Faや、振動に適用される周波数である探査対象の周波数帯Fbが設定されている。
提示部30は、二次元画像を表示するモニタ等である表示装置31を備えている。提示部30は、カメラ12から撮影した画像DPを入力し、演算部20から到来方向の特定された対象音DEや、対象音DEと相関関係が演算され、かつ、到来方向の特定された対象音の相関データDHを入力する。そして、提示部30は、入力した対象音DEや対象音の相関データDHに基づいて測定対象1の前面1Cに対する強度分布や振動源探査結果を、表示装置31を介して提示する。このとき、提示部30は、対象音の相関データDH等を振動との相関関係の高さに対応する表示態様に対応させる。相関関係の高さに対応する表示態様は、例えば、相関関係の高い座標の色を濃く、逆に、相関関係の低い座標の色を薄くする態様が挙げられる。また、提示部30は、強度分布や振動源探査結果にカメラ12の撮影した画像DPを重ね合わせて描画する。これにより、到来方向が示された音について、測定対象1の前面1Cから発生する音について、振動の相関関係の高さが提示される。また、提示部30は、二次元平面の全ての座標領域について強度分布や振動源探査結果を描画する。さらに、提示部30は、必要に応じて、カラーコンターのスケールや、スケールタイプ(単位)の変換や、撮影画像との合成時の透過性等を強度に応じて変更することができる。
まず、コヒーレンス演算部28は、多点入力多点出力(MIMO:Multiple Input and Multiple Output)解析を行う。MIMO解析は、構造の実験モード解析でその構造の固有振動周波数や振動形状等の振動特性を得る際、複数の加振点を設け、同時入力に対する周波数応答関数やコヒーレンス関数を得るための解析手法である。本実施形態では、コヒーレンス演算部28は、入力が1点及び出力が1点の少なくとも一方であってもMIMO解析を行うことができる。本実施形態では、コヒーレンスの演算における、入力に対象振動DGが対応し、出力に対象音DEが対応する。また、対象振動DGは、4つの振動DB1〜DB4に起因して、同対象振動DGに含まれる4つの個別対象振動DG1〜DG4からなるものとする。そして、コヒーレンス演算部28は、4つの個別対象振動DG1〜DG4から1又は複数の個別対象振動DG1〜DG4を、コヒーレンスの演算に併せて選択して適用する。例えば、1つの個別対象振動DG1〜DG4だけを選択して、その選択した1つの個別対象振動DG1〜DG4と対象音DEとの相関関係を演算してもよいし、複数の個別対象振動DG1〜DG4を選択して、その選択した複数の個別対象振動DG1〜DG4と対象音DEとの相関関係を演算してもよい。
次に、図4〜図6を参照して、本実施形態における振動源探査装置10の動作について説明する。振動源探査処理が開始されると、まず、到来方向演算処理が行われ、次に、コヒーレンス演算処理が行われる。
そして、到来方向演算処理とコヒーレンス演算処理とが終了すると、演算部20は、振動との相関関係の演算された到来方向が特定された対象音の相関データDHを提示部30に出力する。提示部30は、二次元平面に対象音の相関データDHをその到来方向に相関関係が示す値に基づいてマッピングする。これにより、選択した振動源2〜5の振動DB1〜DB4が、測定対象1の前面1Cから発生している音N1〜N4の原因であるか否かが二次元平面に提示されるようになる。これにより、測定対象1から発生している音と、振動源の振動との相関の高低とを表示装置31に表示させることで振動源の探査結果を提示する(提示ステップ)。
(1)発生している音N1〜N4と、その音N1〜N4を生じさせる原因である振動DB1〜DB4との間の相関関係がコヒーレンスとして演算され、この演算されたコヒーレンスが二次元平面にマッピングされる。これにより、発生している音N1〜N4と、その音N1〜N4を生じさせる原因である振動DB1〜DB4との相関関係を空間情報(二次元平面にマッピング)として把握することができるため、少ない振動源探査作業にて振動源2〜5を特定できる。また、音N1〜N4の測定位置からは見えない位置である非可視領域にある振動源2〜5を探査対象の音N1〜N4の原因として探査することができる。これにより、音N1〜N4の測定位置からは不可視である振動源2〜5であれ、その音N1〜N4の発生原因である振動源2〜5を特定できるようになる。
(7)到来方向が最小分散法のビームフォーミング演算、いわゆるCapon法により特定できる。
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、音の周波数については特に規定していないが、音の周波数は可聴周波数でも、非可聴周波数でもよいし、それらが混在していてもよい。上述の振動源探査装置によれば、聞こえる音はもとより、聞こえない音に対してであっても、それら音に対してその振動源を特定できるようになる。
・上記実施形態では、複数の振動源2〜5のある位置は、マイクロホン11A〜11Dやカメラ12から見通せない位置、いわゆる非可視領域にある。ここで非可視領域とは、例えば、正面からは見えない、側面、上面、底面、裏側や陰に隠れる部分や、覆いのある構造や複雑な構造等であって手前側に配置された物体により視界が遮られる領域や、機械が大きいために音が測定される位置と振動源との間の距離が、音を測定している範囲から外れている領域等であればよい。
Claims (7)
- 音の強度分布を二次元平面にマッピングして提示する振動源探査装置であって、
複数の周波数帯を含み到来方向が特定可能である音についての時間領域データの中から、周波数が第1の周波数帯に存在する音に関するデータを抽出する音抽出部と、
前記音抽出部で抽出された前記音に関するデータを用いて、周波数が前記第1の周波数帯に存在する前記音の到来方向を特定する方向特定部と、
非可視領域に位置する複数の振動源が発した振動についての時間領域データの中から、周波数が第2の周波数帯に存在する振動に関するデータを抽出する振動抽出部と、
前記方向特定部で到来方向が特定された前記音に関するデータと、前記振動抽出部で抽出された前記振動に関するデータとの相関を演算する相関演算部と、
前記方向特定部で到来方向が特定された前記音と、前記振動抽出部で抽出された前記振動との相関を、前記方向特定部で特定された到来方向と、前記相関演算部で演算された相関とに基づいて二次元平面にマッピングする提示部とを備え、
前記相関演算部は、入力信号と出力信号との因果関係の度合を示す通常のコヒーレンスを演算する第1の演算部、入力信号に含まれる全ての要素と出力信号との因果関係の度合いを示すマルチコヒーレンスを演算する第2の演算部、及び入力信号に含まれる要素と出力信号との因果関係の度合いを示すパーシャルコヒーレンスを演算する第3の演算部を備え、前記音抽出部で抽出した前記第1の周波数帯の前記音に基づくデータと前記第2の周波数帯の前記振動源の振動に基づくデータとの相関を前記第1〜3の演算部から選択した少なくとも1つの演算部を用いて演算する
ことを特徴とする振動源探査装置。 - 前記相関演算部は、前記方向特定部で到来方向が特定された前記音に関するデータと、前記振動抽出部で抽出した前記振動のうちの1つの振動源に対応する振動に関するデータとの相関を演算する
請求項1に記載の振動源探査装置。 - 前記第1の周波数帯及び前記第2の周波数帯が同じ周波数帯である
請求項1又は2に記載の振動源探査装置。 - 前記第1の周波数帯及び前記第2の周波数帯は、それら周波数帯の少なくとも一部が相違している
請求項1又は2に記載の振動源探査装置。 - 前記振動抽出部は、前記振動源の振動を振動センサ及び音センサの少なくとも一方から取得する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の振動源探査装置。 - 前記音抽出部には、前記複数の周波数帯を含んでいて到来方向を特定可能である音の時間領域データを取得する取得部が接続され、
前記取得部は、4個のマイクロホンが正四面体の4つの頂点に配置されているとともに、1個のマイクロホンは、他の3個のマイクロホンよりも突出した位置に配置されている
請求項1〜5のいずれか一項に記載の振動源探査装置。 - 音の強度分布を二次元平面にマッピングして提示する振動源探査装置に用いられる振動源を探査する方法であって、
音抽出部で、複数の周波数帯を含み到来方向が特定可能である音についての時間領域データの中から、周波数が第1の周波数帯に存在する音に関するデータを抽出する音抽出ステップと、
方向特定部で、前記音抽出部で抽出された前記音に関するデータを用いて、周波数が前記第1の周波数帯に存在する前記音の到来方向を特定する方向特定ステップと、
振動抽出部で、非可視領域に位置する複数の振動源が発した振動についての時間領域データの中から、周波数が第2の周波数帯に存在する振動に関するデータを抽出する振動抽出ステップと、
相関演算部で、前記方向特定部で到来方向が特定された前記音に関するデータと、前記振動抽出部で抽出された前記振動に関するデータとの相関を演算する相関演算ステップと、
提示部で、前記方向特定部で到来方向が特定された前記音と、前記振動抽出部で抽出された前記振動との相関を、前記方向特定部で特定された到来方向と、前記相関演算部で演算された相関とに基づいて二次元平面にマッピングする提示ステップとを備え、
前記相関演算部には、入力信号と出力信号との因果関係の度合を示す通常のコヒーレンスを演算する第1の演算部、入力信号に含まれる全ての要素と出力信号との因果関係の度合いを示すマルチコヒーレンスを演算する第2の演算部、及び入力信号に含まれる要素と出力信号との因果関係の度合いを示すパーシャルコヒーレンスを演算する第3の演算部が備えられており、
前記相関演算ステップでは、前記音抽出部で抽出した前記第1の周波数帯の前記音に基づくデータと前記第2の周波数帯の前記振動源の振動に基づくデータとの相関を前記第1〜3の演算部から選択した少なくとも1つの演算部を用いて演算する
ことを特徴とする振動源探査方法。
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