JP6456175B2 - 医療用電気刺激電極 - Google Patents
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Description
これらの刺激発生装置は、電気刺激を伝達する医療用電気刺激電極を生体内の刺激対象と密着させるため、医療用電気刺激電極を生体に埋め込んで使用される場合がある。
リード本体の先端部は、リードアンカーの外側に結合されている。拡張形状のとき、リードアンカーが血管壁にリード本体の先端部を押しつけて、血管内でリード本体の先端部を配備し、固定する。リードアンカーは、レーザー切削された超弾性材料製チューブから形成し得る。
1)リードアンカーは、折りたたみ形状にして、ガイドカテーテル等のガイド部材を用いて、患者の血管系を通って進め、刺激部位に到着する。
2)ガイドカテーテルもしくはガイドワイヤ等のガイド部材を再導入してリードアンカーを(部分的にもしくは完全に)折りたたむことにより、先端部を再配置し得る。
上記1)及び2)のように、リードアンカーを折りたたむことが開示されているが、このとき、リードアンカー(ワイヤの編構造体)の折りたたみ時の形状は、血管径に対して十分に細径になることが求められる。
一定期間医療用電気刺激電極を留置した後で、医療用電気刺激電極を回収するときにリードアンカーの外径を小さくして体外に取出すことが望まれる。しかしながら、リードアンカーを縮径したときに、リード本体の軸線方向における凸部の位置が重なっているとリードアンカーの外径が小さくなりにくい。
本発明の医療用電気刺激電極は、血管の内壁から神経を刺激するために、前記血管内に挿入して用いられる医療用電気刺激電極であって、前記血管の内壁を通して電気刺激を与えるための刺激電極部と、該刺激電極部に電気的に接続された配線を挿通する線状のリード部と、線状の弾性部材によって一定の軸線周りに略回転対称となる籠状に形成されるとともに前記弾性部材の一部に前記刺激電極部を有し、前記軸線方向における一端部が前記リード部の端部に接続された電極支持体と、を備え、前記電極支持体は、前記弾性部材の外面から前記電極支持体の径方向外側に突出することで該電極支持体を血管内壁に係止するように形成されるとともに、前記電極支持体が縮径したときに前記軸線方向の異なる位置に配置された複数の凸部を有することを特徴としている。
また、上記の医療用電気刺激電極において、前記交差部は、一対の前記弾性部材が互いに接合されて形成されていることがより好ましい。
また、上記の医療用電気刺激電極において、前記リード部が挿通されるとともに縮径した前記電極支持体が挿通される回収用シースを備えることがより好ましい。
以下、本発明に係る医療用電気刺激電極(以下、「電気刺激電極」とも略称する)の第1実施形態を、図1から図15を参照しながら説明する。本実施形態の電気刺激電極は、血管の内壁から神経を刺激するために、血管内に挿入して用いられるものである。
図1に示すように、本電気刺激電極1は、血管の内壁を通して電気刺激を与えるための刺激電極部10、11と、刺激電極部10、11に電気的に接続された後述する配線35(図9参照)を挿通する線状のリード部20と、線状の弾性部材26A、26B、26Cによって一定の軸線C周りに略回転対称となる籠状に形成された電極支持体25と、リード部20が挿通された操作シース50及び回収用シース60とを備えている。電気刺激電極1は、電気刺激電極1に刺激パルスを印加する電気刺激装置100とともに用いられ、電気刺激電極1及び電気刺激装置100で、電気刺激システム2を構成する。
以下では、リード部20に対する電極支持体25側を先端側、電極支持体25に対するリード部20側を基端側とそれぞれ称する。
リード本体21の外径は1〜2mm、全長500mm程度である。リード本体21の管路内には、配線35が挿通されている。配線35は、耐屈曲性を有するニッケルコバルト合金(35NLT28%Ag材)からなる撚り線を、電気的絶縁材(厚さ20μmのETFE〔四フッ化エチレン−エチレン共重合体樹脂〕等)で被覆したものが用いられる。
近位側交差ブロック22は、例えばチタンで6角柱状に形成されている。近位側交差ブロック22の中心には図示しない貫通孔が形成され、この貫通孔には前述の配線35が挿通されている。
リード本体21や近位側交差ブロック22の表面に抗血栓コーティングを施すことが有効であることは、言うまでも無い。
リード本体21の基端部には、図示はしないが電気刺激装置100に着脱可能な電気コネクタが設けられている。前述の配線35はこの電気コネクタに接続されている。
弾性部材26A、26B、26Cの形状は、弾性部材26Aのみに刺激電極部10、11が配置されている点、及び凸部30が設けられている位置を除けば、いずれも同様の形状を有する。
例えば、弾性部材26B(26C)における屈曲部27fB(27fC)は、弾性部材26Aにおける屈曲部27fAと対応する同一形状の部位を指す。
弾性部材26Aは、図4から6に示すように、一端部から他端部に向かって、連結端部26aA、基端側線状部26bA、屈曲部27fA、先端側線状部26cA、屈曲部27hA、基端側線状部26dA、及び連結端部26eAを、この順に備える。
連結端部26aA、26eAは、軸線Cに対して第1軸線O1が平行となるように配置される。
連結端部26aA、26eAと近位側交差ブロック22との固定方法は特に限定されず、近位側交差ブロック22の材質に応じて、例えば、接着、溶接、カシメなどの固定方法を適宜選択することができる。
すなわち、図5に示すように、基端側線状部26bA、26dAは、それぞれ、連結端部26aA、26eAに接続する端部から、先端側に向かうにしたがって互いに離間するように斜め方向に延ばされ、それぞれ第1軸線O1から漸次離間している。基端側線状部26bA、26dAの先端側の端部の近傍では、第1軸線O1と略平行(平行の場合を含む)になっている。
本実施形態では、基端側線状部26bAの形状は、一例として、連結端部26aAに近い基端側領域b1では、先端側線状部26cAに近い先端側領域b2に比べて、第1軸線O1に対する傾斜の平均変化率がより大きくなる曲線形状を採用している。
基端側線状部26dAは、基端側線状部26bAと同様に構成されている。
本実施形態では、基端側線状部26bA、26dAは、先端側に向かうにつれて互いに離間するように傾斜する形状を採用している。このため、基端側線状部26bA、26dAの先端側端部は、自然状態において、弾性部材26Aの第1軸線O1と直交する方向の最大幅となる部位になっている。
本明細書では、「U字状」は、平行な2つの直線部が円弧状の湾曲部で接続された形状には限定されない。例えば、2つの直線部は非平行に並行していてもよく、湾曲部は円弧以外の曲線で湾曲していてもよい。さらに、湾曲部は、直線又は曲線からなる折れ線で構成されていてもよいし、図7に示す本実施形態のように、2つの直線部の端部で屈曲された1つの直線部からなる形状(コ字状)であってもよい。
本実施形態の屈曲部27hAは、第1部分h1、第2部分h2、及び第3部分h3を備える。
第1部分h1の屈曲角度φ1は、90°±30°の範囲内程度が好ましく、長さは、刺激電極部10の長手方向よりも長く、例えば、4.5mm〜7.0mmが好ましい。
ここで、屈曲角度φ1は、第1部分h1と基端側線状部26dAの先端部とのなす角のうち、小さい方の角度である。
第2部分h2の長さは、例えば、3.0mm〜7.0mmが好ましい。
第3部分h3の屈曲角度φ2は、90°±30°の範囲内程度が好ましい。
ここで、屈曲角度φ2は、第3部分h3と第2部分h2とのなす角のうち、小さい方の角度である。
第3部分h3の先端部は、本実施形態では、平面S2上に位置している。
刺激電極部11は、その長手方向が、第1部分h1の中心軸線方向に沿うように、第1部分h1の中間部に配置されている。刺激電極部10は、その長手方向が、第3部分h3の中心軸線方向に沿うように、第3部分h3の中間部に配置されている。
刺激電極部10、11の詳細構成については、弾性部材26Aの説明をした後で説明する。
図8に示すように、屈曲部27fAは、基端側線状部26bAの先端部と、後述する先端側線状部26cAの基端部との間において、屈曲部27hAと同様に、平面S2に関して先端側線状部26cAと反対側に突出するU字状に形成された部位である。
本実施形態の屈曲部27fAは、第1部分f1、第2部分f2、及び第3部分f3を備える。
屈曲部27fAの外形は、第1軸線O1を含み平面S2と直交する平面S1(図4参照)を挟んで対向する位置に設けられた屈曲部27hAと異なっていてもよいが、本実施形態では、平面S1に関して、屈曲部27hAと面対称な形状を採用している。
すなわち、第1部分f1、第2部分f2、及び第3部分f3は、それぞれ屈曲部27hAにおける第1部分h1、第2部分h2、及び第3部分h3と同じ外形状を有する。
ただし、屈曲部27fAは、屈曲部27hAとは異なり、刺激電極部10、11は設けられていない。
本実施形態では、先端側線状部26cAは、一例として、平面S2内の第3軸線O3を含み平面S2に対して角度θをなして交差する平面S3上に配置されるとともに平面S1に関して面対称なC字状に形成されている。
ここで、第3軸線O3は、平面S2内にあって、第3部分f3、h3の先端部を通り第1軸線O1に直交する軸線である。
このため、平面S1、S3の交線からなる第2軸線O2が、先端側線状部20cAと交差する位置に、先端側線状部26cAの頂部26gAが形成されている。
平面S3の角度θは、5°以上90°以下が好ましい。
本実施形態では、図5に示すように、先端側線状部26cAの形状は、一例として、屈曲部27fA(27hA)に近い基端側領域c1(c3)では、屈曲部27fA(27hA)の第3部分f3(h3)の先端側端部から平面S1に向かって傾斜する曲線状又は直線状に延ばされている。
また、基端側領域c1、c3の間の先端側領域c2では、頂部26gAを頂点とする山形の形状を有する。先端側領域c2における山形は、例えば、円弧、楕円弧などの曲線からなる山形や、複数の折れ線で形成された山形も可能である。本実施形態では、一例として、頂部26gAの曲率が最大となり頂部26gAの近傍に屈曲状の部位が形成された曲線形状を採用している。
ここで、弾性部材26Aの内部構造と、刺激電極部10、11及び凸部30の構成について説明する。
本実施形態では、ワイヤ部33の長手方向に直交する断面は、例えば0.3mm角の矩形状に形成されている。ワイヤ部33としては、形状記憶合金や超弾性ワイヤ等を用いることができる。
被覆34の外周面の長手方向に直交する断面は、円形である。被覆34の外径は、例えば0.8mmである。被覆34に好適な材料としては、例えばポリアミド樹脂などを採用することができる。
刺激電極部10の内周面には、前述の配線35が溶接等により電気的に接続されている。配線35は、被覆34内に配置されてワイヤ部33に沿って延び、連結端部26eAの基端部から、リード部20側に延出されている。
刺激電極部11は、刺激電極部10と同一の構成である。このように刺激電極部10、11は弾性部材26A上に形成され、弾性部材26Aの一部に刺激電極部10、11を有している。刺激電極部10と刺激電極部11とは、少なくとも3mmから8mm以上離間して配置されている。
凸部30は、被覆34の外周面に溶融接合等により固定されている。
本実施形態では、図2及び3に示すように、例えば弾性部材26Aに凸部30が3つ形成されている。
弾性部材26B及び弾性部材26Cには、3つの凸部30がそれぞれ形成されている。ただし、弾性部材26A、26B、26Cにおける凸部30が形成された場所は互いに異なる。
各弾性部材26A、26B、26Cは、それぞれの先端側線状部26cA、26cB、26cCの張り出し方向が軸線Cに関して径方向外側に向くようにして、図3に示す先端側から見たときに、反時計回りに弾性部材26A、26B、26Cの順で配置されている。
張出し部40、41、42は、血管内に電極支持体25が配置されたときに、血管内で突っ張って電極支持体25の位置ズレを抑える部分である。
電極支持体25には、3つの弾性部材固定部38が設けられている。
電極支持体25には、凸部30が9つ形成されている。電極支持体25の自然状態における外径は、電極支持体25を留置する上大静脈等の血管の内径よりも大きな、例えば35mmである。電極支持体25の軸線C方向の長さは35mmである。
9つの凸部30の少なくとも一部は、弾性部材26A、26B、26Cの外面から電極支持体25の径方向外側に突出する。
電極支持体25の自然状態において、3つの弾性部材固定部38は軸線C方向の同じ位置に配置され、3つの張出し部40、41、42は軸線C方向の同じ位置に配置されている。
このように構成された電極支持体25は、図13に示すように、回収用シース60内に挿通されて電極支持体25が縮径したときに9つの凸部30が軸線C方向の異なる位置に配置される。ここで言う電極支持体25が縮径するとは、電極支持体25の各構成が全周にわたり軸線Cに近づいて電極支持体25が最小径になることを意味する。
回収用シース60の内径は例えば3mmである。この場合、回収用シース60内に挿入することで電極支持体25の外径は、35mmから3mmと、35/3分の1(10分の1以下の約11.7分の1)になる。電極支持体25を回収用シース60内に挿入すると、弾性部材26A、26B、26Cのワイヤ部33が折り返されて6本のワイヤ部33が密集する。
シース本体51は、例えば、外径が4mm程度、全長400mm程度の、ETFE製の管状部材である。シース本体51は、外周面に軸線C方向に延びる溝等(不図示)が形成されていることで、引き裂き(ピールアウェイ)可能である。シース本体51内にはリード部20が軸線C方向に進退可能に挿通されている。
係合部52は、図示はしないが6角柱状に形成され、軸線C方向に延びる貫通孔が形成されている。この貫通孔内に近位側交差ブロック22が挿通されると、貫通孔の内周面と近位側交差ブロック22の外周面とが周方向に係合する。
コネクタ53の内周面にはOリング54が取付けられている。Oリング54には、リード部20が軸線C方向に進退可能に挿通されている。Oリング54とリード部20との間は、水密に保持されている。
シース本体61は、例えば、外径が4mm程度、内径が3mm程度、全長400mm程度の、ETFE製の管状部材である。シース本体61内及びハブ62内にはリード部20が軸線C方向に進退可能に挿通されている。
ハブ62の内周面にはOリング63が取付けられている。Oリング63には、リード部20が軸線C方向に進退可能に挿通されている。Oリング63とリード部20との間は、水密に保持されている。
ハブ62には、チューブ64の一端部が接続されている。チューブ64の管路はハブ62の筒孔を介してシース本体61の管路と連通している。チューブ64の他端部には、ルアーロックコネクタ等の一般的なコネクタ65が設けられている。このコネクタ65には、図示はしないがシリンジピストンポンプのシリンジが着脱可能である。
回収用シース60は、電極支持体25が縮径するガイドとなる。
患者の体外で、リード部20に対して操作シース50を先端側に移動させて(押込んで)、近位側交差ブロック22に操作シース50の係合部52の貫通孔を係合させる。心拍数を計測するための心電計を患者に取付ける。
図15に示すように、患者Pの頸部P1の近傍を小切開して開口P2を形成する。この開口P2に、公知のイントロデューサ(不図示)を取付ける。このイントロデューサは、操作シース50と同様に引き裂き可能なものである。
本実施形態では、電極支持体25を右外頚静脈P3から上大静脈内に導入するとしたが、電極支持体25は右外頚静脈P3以外にも右内頚静脈、左外頚静脈、左内頚静脈、右鎖骨下静脈、及び左鎖骨下静脈から上大静脈内に導入するとしてもよい。
放出される抗凝固剤は血液の流れに乗り、リード部20及び電極支持体25の近傍に拡散し、リード部20及び電極支持体25の位置する箇所で血栓の発生を低減することができる。
リード部20を押込むと、イントロデューサから先端側に電極支持体25が突出し、右外頚静脈P3内に電極支持体25が導入される。イントロデューサを用いることで、電極支持体25を右外頚静脈P3内に低侵襲で挿入することができる。
右外頚静脈P3内に電極支持体25を導入すると、血管壁に押されることで電極支持体25が縮径されるとともに軸線C方向に延びる。これにより電極支持体25の外径は、自然状態における外径よりも小さくなる。
この上大静脈P5に隣接して、上大静脈P5の背側に刺激対象となる迷走神経(神経)P6が並走している。
また、操作シース50を軸線C周りに回転させ、電極支持体25の周方向の向きを調節する。この位置及び向きの調節を行いながら心電計により患者Pの心拍数を計測する。刺激電極部10、11が迷走神経P6に近づいて対向するように配置され、迷走神経P6に印加される電気刺激が最も大きくなったときに、患者Pの心拍数が最も低下する。マイナス極として機能する刺激電極部10が迷走神経P6上に来るように刺激電極部10、11の位置及び向きを合わせると、効率よく刺激を行うことができる。このように、刺激電極部10、11の最適な刺激位置を容易に得ることができる。
術者は、心拍数が最も低下するように、すなわち、刺激電極部10、11が迷走神経P6側を向くように、刺激電極部10、11の位置及び向きを調節する。
具体的には、術者はリード部20を把持した状態で操作シース50のみを引き戻して後退させ、近位側交差ブロック22と操作シース50の係合部52との係合を解除する。
操作シース50やイントロデューサを引き裂いてリード部20から除去する。
頸部P1の開口P2を通して右外頚静脈P3内に回収用シース60の先端側を挿入する。頸部P1の皮膚に回収用シース60のハブ62を、糸かけやテーピング等により固定する。このようにすることで、清潔領域と不潔領域とを区別し、感染症等を防止することができる。なお、イントロデューサを除去すると同時に右外頚静脈P3内に回収用シース60を挿入してもよい。
この状態で、一定期間、電気刺激装置100により刺激パルスを生成して電気刺激を印加させつつ、上大静脈P5内に電極支持体25を留置する。
初めに、糸を切る等して頸部P1の皮膚とハブ62との固定を解除する。回収用シース60に対してリード部20を基端側に引き戻し、図13に示すように回収用シース60のシース本体61内に電極支持体25を収容して電極支持体25を回収する。このとき、9つの凸部30は軸線C方向の互いに異なる位置に配置されているため、軸線C方向のいずれの位置においても、縮径した電極支持体25の外径が大きくなるのが抑えられる。抜去の際の電極支持体25を縮径するように折りたたむ力(回収用シース60内に電極支持体25を引き込む力)が軸線C方向に分散する。したがって、電気刺激電極1の操作性が高まる。
電気刺激電極1を抜去した後で、頸部P1の皮膚に対し、縫合や圧迫等、一般的な止血処置を行い、一連の治療を終了する。
回収用シース60内に電極支持体25を収納してから回収する(抜去を行う)が、軸線C方向の同じ位置に凸部30が形成されていると、電極支持体25を縮径するように折りたたむ力(回収用シース60内に電極支持体25を引き込む力)が強く必要とされる。これを軽減するとともに電極支持体25を回収する際の折りたたむ力を分散するため、折りたたんだ時に、軸線C方向に対して凸部30の形成位置が重ならないようにする。この結果、折りたたんだ時、電極支持体25を最小細径に形状を変化させることができる。したがって、回収するときに電極支持体25の外径をより小さくすることができる。
電気刺激電極1が回収用シース60を備えることで、回収用シース60内で規定の大きさに電極支持体25を縮径して収納することができるとともに、生体組織と擦れる部位を回収用シース60の平滑な内周面にすることができる。挿入傷口である頸部P1の開口P2に影響を与えることなく、電極支持体25を安全に体外へ回収することができる。
なお、電極支持体25を回収した後の傷口は小さくできるため、縫合などを必要とせず、圧迫止血などの手法により、傷口を塞ぐことができる。
例えば、弾性部材26A、26B、26Cに剛性の高い所と低い所を設けること等により、電極支持体25の自然状態において複数の凸部30は軸線C方向の互いに重なる位置に配置されている。そして、回収用シース60内に電極支持体25が挿通されて縮径したときに、弾性部材26A、26B、26Cが不均一に縮径することで9つの凸部30が軸線C方向の異なる位置に配置されていればよい。
次に、本発明の第2実施形態について図16から図18を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図16及び17に示すように、本実施形態の電気刺激電極3は第1実施形態の電気刺激電極1の各構成に加えて、電極支持体70の自然状態において、3つの弾性部材固定部38は軸線C方向の異なる位置に配置されている。ここで言う3つの弾性部材固定部38が軸線C方向の異なる位置に配置されているとは、軸線C方向において、1の弾性部材固定部38と、この1の弾性部材固定部38以外の他の2の弾性部材固定部38とに重なる部分が無いことを意味する。
電極支持体70の自然状態での軸線C方向に隣り合う弾性部材固定部38の軸線C方向のずれ量(弾性部材固定部38の中心と弾性部材固定部38の中心との軸線C方向の距離)は、2mm以下であることが望ましい。このずれ量が2mmを超える場合は、血管内での電極支持体70の向きの調整性(血管軸に対して時計回り回転と、反時計回りに回転する際の操作性)が悪くなり、位置調整時間の増加を招く懸念がある。言い換えると、このずれ量が2mm以下であると両方向回転時の操作感の違いは術者にて判別できない。
回収用シース60に対してリード部20を基端側に引き戻し、回収用シース60のシース本体61内に電極支持体70を収容して電極支持体70を回収する。
回収用シース60内に挿通されて電極支持体70が縮径したときに3つの弾性部材固定部38が軸線C方向で重なっていると、回収用シース60内に収納する引き込み力量は大きなものとなる。弾性部材固定部38は、弾性部材26A、26B、26Cのうち2つの付勢力が発生しているポイントであり、折りたたむ力(回収用シース60内に電極支持体70を引き込む力)が強く必要とされる。
抜去の際の折りたたむ力が軸線C方向に分散する。この結果、折りたたんだ時、最小細径に形状を変化させることができる。よって、回収用シース60内に電極支持体70を完全に収納でき、傷口を拡大することなく、安全に体外に電極支持体70を除去することが可能である。
特許文献1には詳細に明記されていないが、血管内からデバイスを抜去する場合にも、折りたたまれた形態にて抜去(回収)されることが必要と考えられる。血管内への挿入傷口を過剰に広げないため、最小細径まで折りたたまれることが求められる。
電極支持体70が縮径したときに3つの弾性部材固定部38が軸線C方向の異なる位置に配置されるため、電極支持体70の外径をさらに小さくすることができる。
次に、本発明の第3実施形態について図19から図21を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図19及び20に示すように、本実施形態の電気刺激電極4は第2実施形態の電気刺激電極3の各構成に加えて、電極支持体75の自然状態において、3つの張出し部40、41、42の中心は軸線C方向の異なる位置に配置されている。張出し部40、41、42の軸線C方向の中心の位置を、位置40a、41a、42aとして示す。
なお、3つの弾性部材26A、26B、26Cの周長は同一である。周長が同じであるため、回収用シース60内で電極支持体75が折りたたまれた際には、各弾性部材26A、26B、26Cの折返し長さが同じとなり、折りたたみ形状は円弧とならず、略直線状に最小細径化することができる。
また、図21に示すように、回収用シース60内に電極支持体75が挿通される際には、3つの張出し部40、41、42の中心の位置が重ならない。すなわち位置40a、41a、42aが軸線C方向にずれる。このため、抜去の際の折りたたむ力(回収用シース60内に電極支持体75を引き込む力)が軸線C方向に分散する。
3つの張出し部40、41、42の中心が軸線C方向の同一位置に形成した場合に比べて、電極支持体75の外径を小さくするとともに、電極支持体75を回収用シース60内に挿通するのに要する力量を低減することができる。
例えば、前記第1実施形態から第3実施形態では、凸部30は弾性部材26A、26B、26Cの全周にわたり弾性部材26A、26B、26Cの外面から突出するように形成されているとしたが、凸部30は弾性部材26A、26B、26Cの外面から電極支持体の径方向外側に突出するように形成されていればよい。
電極支持体に形成される弾性部材固定部38の数は3つに限定されず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
10、11 刺激電極部
20 リード部
25、70、75 電極支持体
26A、26B、26C 弾性部材
30 凸部
38 弾性部材固定部(交差部)
60 回収用シース
C 軸線
P3 右外頚静脈(血管)
P5 上大静脈(血管)
P6 迷走神経(神経)
Claims (4)
- 血管の内壁から神経を刺激するために、前記血管内に挿入して用いられる医療用電気刺激電極であって、
前記血管の内壁を通して電気刺激を与えるための刺激電極部と、
該刺激電極部に電気的に接続された配線を挿通する線状のリード部と、
線状の弾性部材によって一定の軸線周りに略回転対称となる籠状に形成されるとともに前記弾性部材の一部に前記刺激電極部を有し、前記軸線方向における一端部が前記リード部の端部に接続された電極支持体と、
を備え、
前記電極支持体は、前記弾性部材の外面から前記電極支持体の径方向外側に突出することで該電極支持体を血管内壁に係止するように形成されるとともに、前記電極支持体が縮径したときに前記軸線方向の異なる位置に配置された複数の凸部を有することを特徴とする医療用電気刺激電極。 - 前記電極支持体は、一対の前記弾性部材が交差して接続される交差部を複数有し、
複数の前記交差部は、前記電極支持体が縮径したときに前記軸線方向の異なる位置に配置されていることを特徴とする、
請求項1に記載の医療用電気刺激電極。 - 前記交差部は、一対の前記弾性部材が互いに接合されて形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の医療用電気刺激電極。
- 前記リード部が挿通されるとともに縮径した前記電極支持体が挿通される回収用シースを備えることを特徴とする、請求項1に記載の医療用電気刺激電極。
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