JP6454950B1 - 粥状動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いと判定する易酸化性VLDL(VLDL susceptibility to oxidation)および易酸化性LDL(LDL susceptibility to oxidation)の簡便な測定方法および測定装置 - Google Patents

粥状動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いと判定する易酸化性VLDL(VLDL susceptibility to oxidation)および易酸化性LDL(LDL susceptibility to oxidation)の簡便な測定方法および測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】日本動脈硬化学会の動脈硬化性心筋梗塞予防のガイドライン(2017年版)に基づいてLDLコレステロール値を下げても心筋梗塞の発症を防げない人がいる。本願発明は、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすい人、起こしにくい人を簡単な血液検査でスクリーニングし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いと判定する方法を提供することが課題である。
【解決手段】本願発明は、採取した血清・血漿をそのまま、またはチォール基阻害剤を添加しまたは添加しない検体をそれぞれ一定温度に加熱(インキュベ−ション)し、加熱前後の小粒子LDL、小粒子LDLコレステロールまたはsmall dense LDLコレステロール(sLDLc)をそれぞれ測定し、結果をそれぞれ比較し増加する増加量が優位例えば1.5倍または増加率が優位例えば50%以上あることにより粥状動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞のリスクがより高いと判断する間接的な易酸化性VLDLや易酸化性LDLの測定方法および測定試薬とその装置を提供する。
【選択図】図2

Description

動脈硬化や心筋梗塞の危険因子を検出し、心筋梗塞や脳梗塞の予防や治療に活用できる簡便なリポ蛋白質の検査法およびリポ蛋白質の機能の検査法に関する分野。
血液中に存在するリポ蛋白質は、カイロマイクロン(CM)、超低比重リポ蛋白質(VLDL)、中間比重リポ蛋白質(IDL)、低比重リポ蛋白質(LDL)、小粒子低比重リポ蛋白質LDL(small dense LDL、small size LDL 、small LDL)および高比重リポ蛋白質(HDL)であり、特にLDL中のコレステロールは悪玉コレステロール(以後LDLcと言う)として良く知られている。中でもIDLや小粒子LDL中のコレステロールまたはsmall dense LDL コレステロール(以後sLDLcという)は、超悪玉コレステロールとも言われ動脈硬化や心筋梗塞の原因物質と言われていた。
総コレステロール(TC)やリン脂質は細胞膜の構成成分でかつホルモンや生体内酵素の原料であり、中性脂肪(TG)は直接的なエネルギーとして使われる他、脂肪として脂肪細胞に備蓄され、共に生体にとって不可欠な物質である。
TCやTGおよびリン脂質は、脂質のまま血流中に存在することができないので、リポ蛋白質のCM、VLDL、LDLなどに格納され血流を介して隅々の細胞に搬送される。従って、個々の細胞がTCやTG、リン脂質を必要とするときまたは代謝を促進するため当該細胞は、細胞膜表面に係留して存在するリポ蛋白リパーゼ(LPL)や肝性リパーゼ(HTGL)を分泌し、CMやVLDL、IDL、LDL中のTGを加水分解し、現われたアポB100(apoB100)やアポEを認識しB/E受容体(アポB/アポEレセプター)を介して直ちに細胞(Cells)中に取込まれる。細胞内でVLDLまたはIDL、LDL、sLDLは、脂肪酸(fatty acid)とグリセロール(glycerol)、コレステロール(cholesterol)などにそれぞれ分解されエネルギーとして消費される他、脂肪として蓄積または酵素や細胞膜の原料またはホルモンや新たに生成するVLDLやLDLの原料として再利用される。
LPLやHTGLは、リポ蛋白質を細胞に届けるために分泌される酵素群であり、CMは主に肝臓に、VLDLやLDLは肥満細胞や肝臓を含むいろいろな細胞群に脂質を供給する機能を担っている。
従来、IDLや小粒子LDLが動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞を起こす原因物質であることを前提として、超悪玉LDLまたは超悪玉コレステロールと言われ、小粒子LDL中のコレステロールやsLDLcの測定に注目があつまり、既にいろいろな診断薬メーカが競ってsLDLcの測定法を開発している(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)。これらの測定法は、small dense LDLとそれ以外のLDLを特殊な試薬または界面活性剤などで分別した後、small dense LDL中のコレステロールを測定している(以後この方法を総称してsLDLc直接定量法という)。
特に特許文献3は、sLDLcの出現において40mg/dL以上であれば、家族性複合型高脂血症(FCHL)と診断する方法であるが、臨床において、一時的にsLDLcの増加はよくあることであり、例えば腎透析時または心臓カテーテル術実施時におけるヘパリン投与で、大量の小粒子LDLやsLDLcが一時的に血中に出現することから、小粒子LDLやsLDLcの存在や増加だけをもってFCHLと診断することができないし、小粒子LDLやsLDLcの出現そのものが、心筋梗塞や脳梗塞の原因物質と断定することもできない。
また液体クロマトグラフィー法(HPLC)は、リポ蛋白質をイオン交換樹脂や溶出液を選択することによりLDLやLDLcまたはsLDLcを測定している(特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10)。特に特許文献9は、LDLのサブクラス(sLDLc測定を含む)の測定を行っている。また特許文献10は、ガウス波形近似法によってLDLのサブクラスであるsLDLcの測定が試みられている。
一方3%ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法(PAGE法)(非特許文献8)は、元々リポ蛋白質を粒子径の大きさ(size)の順番に分析していると言われていたが、この方法で粒子径を特定したとする報告はなかった。最近、LDL粒子マーカ(特許文献11)の出現により、LDLの相対移動度(RM)と粒子径の検量線から、粒子径が測定できるようになり、PAGEの濃度図をガウス波形近似法(特許文献12)でIDL、LDLや小粒子LDL、small dense LDLまたはsmall size LDLおよびそれらの粒子径およびそれぞれのコレステロールが間接的ではあるが測定できるようになってきた。
またガスクロマトグラフィーを用いるイオンモビリティスペクトロメトリー法(Ion mobility Spectrometry:IMS法)(非特許文献2)でも、LDLの粒子径や小粒子LDL量、sLDLcが測定できるとされている。
その他、古くから使われている電気泳動法で例えば濃度勾配型グラジュエントゲル電気泳動像法(GGE法)(非特許文献3)やアガロースゲル電気泳動法(AGE法)(特許文献13)がある。GGE法ではパターンBが小粒子LDLであると報告している。またAGE法で、変性したリポ蛋白質を測定すると記載されているが、小粒子LDLまたは小粒子様LDLの測定を意図しているかもしれない。
さらにLDL粒子の密度の違いにより分析する超遠心分離法(非特許文献4)や動的光散乱法(DLS)により測定する方法(特許文献14)(非特許文献5)なども小粒子LDL、small dense LDLまたはsLDLcが測定できるとされている。また最近核磁気共鳴装置でLDLや小粒子LDLの粒子径を測定する方法(非特許文献10)を使用し計算で心筋梗塞のリスクを予測する方法(特許文献20)が出現した。
最近個人の健康管理を目的とした検診検査、例えば郵便検診などが普及してきた。中でも個人が自宅で採血し血清分離できる簡易採血器具(特許文献18)が出現してから、測定項目も多くなりコレステロールやsLDLcの測定が可能になってきた。
特開2007−304012号公報 国際公開番号WO2004/1053500 国際公開番号WO2007/126099 国際公開番号WO2008/050636 特開2010−148526号公報 特開2012−165761号公報 特開2001−324488号公報 特開2004−2322号公報 特開2002−139501号公報 特開H9−15225号公報 特開2013−205411号公報 特開2011−123039号公報 特開2000−356641号公報。 特開2010−48703号公報 特開2005−121619号公報 特開2004−258014号公報 特開2001−192400号公報 特開2003−270239号公報 特表2014−516953号公報 国際公開番号WO2005/043171
Masatsune Ogura,Mika Hori,Mariko Harada−Shiba:Arterioscler Thromb Vas Biol,181−188,January 2016 Clinical Chemistry 54−8,1307−1316(2008) Circulation vol.82,No.2,August 495−506,1990 Clin.Chem.,23,2089(1977). Annals of Clinical Biochemistry,vol 47,September,476−481,2010 保健科学研究誌,Journal of Health Sciense,No.10:19−24,2013 動脈硬化、Vol.23(7−8),397−402、1996 Clin.Chem.,23,2089(1977). 脂質栄養学8 (1)、11−24、1999 J Clin Lipidol.Author manuscript;available in PMC 2012 March 1. 日本医事新報、第四五二七号2011年1月29日発行、p.51−5
心筋梗塞や脳梗塞を発症する前に予測できる簡単な血液検査法があれば人類にとって最も価値ある発見であるが、残念ながらそんな検査法はない。
しかし動脈硬化巣において起こっている現象は概ね解明されリポ蛋白質の酸化が最も怪しいということになっている。中でも小粒子LDLが不安定で酸化されやすいと記載した先行技術は、たくさんあるが、酸化されやすいことと小粒子LDLの出現に関わる関連を明確に説明した先行技術がない。すなわち小粒子LDLが心筋梗塞の原因物質であるという主張は、小粒子LDLが殆どないFH患者やII a型脂質異常症またはLDLc値が健常域で小粒子LDLがない脂質健常者にも粥状動脈硬化による心筋梗塞が出現しており、LDLcや小粒子LDLそのものの存在が心筋梗塞の直接的原因物質と断言できる根拠に対する説明ではなかった。
また、脳梗塞発症の患者は、小粒子LDLが無いまたは少ない人も多く、II a型脂質異常症またはLDLcが健常域で小粒子LDLがない脂質健常者群とPAGEの濃度図が酷似していた。
そこで発明者たちは、IDLや小粒子LDLが酸化されやすいという説明を補強する必要があると考え研究を続けた。
インビボにおいて小粒子LDLが出現する機序について。
ヒトの各細胞は、食後CMやVLDLを取り込むとき、アポCをLPLの活性化因子としてLPLやHTGLを分泌し、CMやVLDL、LDL粒子中のTGを加水分解して粗くなった直後の粒子中のアポB100やアポEを認識し、細胞表面にあるアポBレセプターやアポEレセプター(B/Eレセプター、総称してLDLレセプターということもある)により、CMやVLDL、IDL、LDLをそれぞれ細胞に取り込む。
この時点でCMのほぼ全て(特定疾患を除く)とVLDLの大部分(WHO分類V型等の疾患を除く)とLDLの一部が消滅する。CMは加水分解された直後直ちに肝臓や他の細胞のB/Eレセプターに取り込まれ消滅する(一部疾患を除く)、そしてVLDLの大部分も消滅(一部疾患を除く)し、これによりCMレムナントおよびIDLおよび少しではあるが小粒子LDLまたは小粒子様LDLが出現する。(以後、小粒子LDLに小粒子様LDLを含むものとして記載する。)
しかしLDL中のTG含有比は10%と低く(表1)細胞に取り込まれなかったLDLは大部分残っており、これが血中のホスホリパーゼ等によりリン脂質(レシチン)の脂肪酸が加水分解された場合に、小粒子LDLが出現すると発明者たちは考えた。LDL中のフリーコレステロール(FC)がHDLに付属して存在するレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT、非特許文献7)により抜き取られただけで小粒子LDLが出現するという解釈は成り立たない。
LDLや小粒子LDLは、既にアポCを失っており容易にLDLレセプターに結合することができないため血液中に滞留したと考えられる。
なお小粒子LDLの出現が、LPLやHTGLによるTGの加水分解だけでないことは、最近発売されたPCSK9阻害薬(特許文献19)を投与すると劇的にLDLや小粒子LDLが減少することにより証明される。
非特許文献1に、粥状動脈硬化の原因が、酸化されたLDLがマクロファージに貪食され、それが粥状動脈硬化巣に集まった結果であると説明されている。
ならばどこでLDLが酸化されたかについては明らかにされていない。
そこで我々発明者たちは、VLDLやLDLが、LPLやHTGLによりTGが加水分解を受けた直後、B/Eレセプターに取り込まれなかったVLDL、LDLが酸化されると考え、それらを、酸化されやすいVLDL(易酸化性VLDL、VLDL susceptibility to oxidation)および酸化されやすいLDL(易酸化性LDL、LDL susceptibility to oxidation)と呼ぶことにした。
生体内(インビボ)では、易酸化性VLDLや易酸化性LDL中のアポB100(主にC末端)やアポEを酸化させようとする活性酸素などが数多く存在しており、血中を循環している間に運悪く酸化またはアセチル化された場合は、B/EレセプターやLCAT(非特許文献7)に認識されず白血球の一種であるマクロファージに取り込まれることになる。
マクロファージに取り込まれた酸化またはアセチル化されたLDLは、血管壁特に動脈硬化巣に吸収され、粥状動脈硬化を促進する(非特許文献1)。また脳梗塞は、粥状動脈硬化が脳血管に起こった場合や他の動脈硬化巣から剥がれた血栓や細胞の一部が、脳動脈を閉塞させた場合に発生する。
すなわち血中に現れた、IDLや小粒子LDLは、加水分解された直後の易酸化性VLDLまたは易酸化性LDLが存在していた事を示す証拠だったということになる。なお酸化またはアセチル化されたVLDLやLDLを単に変性VLDLまたは変性LDLと呼ぶこともある。
インビトロにおいて小粒子LDLが出現する機序。
採血後の血清や血漿を37℃2時間加熱(以後インキュベーションという)後、出現した小粒子LDLは、脂質を必要とする細胞に直接触れることがないため、それらが細胞に吸収されることはない。その上LDL中のTGの含有比率が10%程度(表1)であることから、TGが加水分解されただけで小粒子LDLが出現したと結論付けるには、出現した小粒子LDLが多すぎる。
したがって我々発明者たちは、加水分解された直後のVLDLまたはLDLが何らかの要因でホスホリパーゼ(ホスホリパーゼの1種であるLCATを含む)が活性化されリン脂質の脂肪酸を加水分解した結果、小粒子LDLが出現したと推定する以外にないことを発見した。
言い替えると、インビトロにおいて、37℃2時間のインキュベーションで出現した小粒子LDLは、VLDLまたはLDL内のFCとリン脂質の脂肪酸がHDL粒子に転送されたものを含むが、インキュベーションにより増加したHDLコレステロール量は微量であり(表3)、小粒子LDLすべてがLCATによりHDLに転送されたものであるということはできないからである。
検体を37℃2時間インキュベーションする前後の検体を、本願特許請求項4の測定法で測定し新しくできたまたは増加した小粒子LDLは、結果的に易酸化性VLDLや易酸化性LDLが存在していた証であると言うことができる。
家族性高コレステロール血症(FH)患者は、遺伝的に心筋梗塞を発症するリスクが高いと言われている疾患群である。この患者のPAGEディスク電気泳動像は、脂質健常者群よりTC値がやや高いだけで、IDLや小粒子LDLが少ないII a型のWHO表現型(II a型脂質異常症または高脂血症)を呈することが知られている。したがって以前から、小粒子LDLの出現が心筋梗塞の原因物質でないという疑問が絶えなかった。
我々発明者たちは、脂質健常者の血清を用いて採血後の検体を37℃2時間インキュベーション後PAGE法で泳動を行ったところ、ほとんどの検体で小粒子LDLは出現しなかったが、FH患者や陳旧性心筋梗塞患者の検体では小粒子LDLが新しく出現するか増加した。
インビトロにおいて、37℃2時間インキュベーション後、FH患者や陳旧性心筋梗塞患者の検体に出現した小粒子LDLは、血清または血漿中に存在する残余のLPLやHTGLさらにホスホリパーゼなどがかなりあって、LDL中のTGやリン脂質が加水分解され出現したものと考えられる。しかし37℃2時間インキュベーション後、HDLが極端に増えているわけではない(表3)からLCATとHDLの作用のみにより小粒子LDLが出現したと言うこともできない。そこで発明者たちは、FH患者や陳旧性心筋梗塞患者の検体に、チォール基(R−SH)阻害剤(非特許文献6)を加え、37℃2時間インキュベーションした後、PAGE法でリポ蛋白質を泳動した結果、新たな小粒子LDLが現れなかったことから、小粒子LDLの出現にはホスホリパーゼ(LCATを含む)が関与していると推定した。
以上の実験結果により、小粒子LDLが殆どない脂質健常者と過去心筋梗塞を起こした患者(FHおよび陳旧性心筋梗塞患者を含む)の血清検体を、37℃で2時間インキュベーションを行ったのち、PAGE法で小粒子LDLを測定することにより粥状動脈硬化性の心筋梗塞や脳梗塞になりやすい人とそうでない人を区別することができるのではないかと予測し研究を続けた。
発明者たちは、短時間のインキュベーションで出現または増加する小粒子LDL、small dense LDLまたはsLDLcは、ごく少量であり、これらを正確に測定する方法を開発する必要に迫られた。
採血後遠心分離して得られた血清や血漿(インビトロ)は、血管壁や脂肪組織を含む細胞群やマクロファージに直接触れることがないため、易酸化性VLDLや易酸化性LDLが各細胞へ取り込まれたり、酸化やアセチル化されたLDLがマクロファージに取り込まれることがない。
したがってインビトロで、37℃2時間インキュベーション後出現したまたは増加したIDLや小粒子LDLは、LDL中のTGがLPLやHTGLにより加水分解されただけでなく、ホスホリパーゼにより加水分解されたリン脂質の脂肪酸が抜けたものであるということができる。
すなわちLDL中のTGの含有比率が8〜11%程度(表1)であり、37℃2時間のインキュベーションで、LDL中のTGが残余のLPLやHTGLにより加水分解されたとしてもその量は、限られている。したがってLPLやHTGLによってすべてのIDLや小粒子LDLが産生されたと言い切れず、かつLCATによりリン脂質の脂肪酸とFCがHDLに抜き取られたため全ての小粒子LDLが出現したとも言い切れない(インキュベーション後HDLcがそれほど増加していないことによる。表3)。
したがってLDLが小粒子化されたのは、LDL中のホスホリパーゼが何らかの要因により活性化されリン脂質が水解され小粒子LDLが出現したと考えるのが妥当である。
脂質健常者のCMおよびVLDLやLDLの一部は、インビボにおいて、細胞が分泌したLPLやHTGLによりTGが加水分解され、粗くなったVLDLやLDL粒子上でアポB100、アポEがアポCの存在下により当該細胞のB/Eレセプターに取り込まれ直ちに消滅したものと考えられる。
したがって元々脂質健常者には、LCATやHDLが働くまでもなく易酸化性VLDLや易酸化性LDLが殆ど存在しない上に、例え残っていたとしてもその量は僅かで、それはLCATとHDLの作用により酸化される前に小粒子LDLになっていると思われるが、この小粒子LDLは、極微量で検出できる量でなかったと言える。
FH患者群においても、CMおよびVLDLやLDL中のTGは、脂質健常者群と同様にLPLやHTGLなどにより加水分解され、易酸化性VLDLや易酸化性LDLがすぐ細胞のB/Eレセプターに捉えられ直ちに消滅することは同様であるが、心筋梗塞を起こした患者やFH患者群では、B/Eレセプター機能が低下しており、LPLやHTGLが多く分泌されている(表2)にも関わらず、易酸化性VLDLや易酸化性LDLが細胞に取り込まれず残っている状態とみることができる。このことは心筋梗塞で緊急入院した患者(FH患者に限らない)のヘパリン投与前(preheparin)のLPLやHTGLが健常者より多いことにより確認できる(表2)。
LPLやHTGLは、細胞膜に係留する酵素であり、ヘパリンを投与しないと測定できないとされている酵素群である。したがってLPLの健常値として、検査用のヘパリンを注射した後の測定値が一般的に使用されている。ヘパリンを投与しない脂質健常者の空腹時のLPL値は、健常値そのものが定着していないが、一般的に、0〜20ng/mLとされている。しかし粥状動脈硬化による心筋梗塞を発症した患者(FHやII a型に限らず)のヘパリン投与前のLPL測定値は、表2に示すように、個人差はあるものの健常値の2〜5倍を超えていることが特徴的であった。このことはVLDL値が低いことでも確認できる。
FHやII a型脂質異常症の患者またはTCやTGが健常域にあるにも関わらず粥状動脈硬化による心筋梗塞を起こした患者(表2の一部)は、元々CMやVLDLが低くかつIDLや小粒子LDLも少ない患者群であり、LPLやHT
による心筋梗塞を起こした患者(FHやII a型脂質異常症の患者に限らず)のLDL粒子内は、TGが少ない状態である。そして大量のヘパリンを投与してもLDL自体が消滅することがないことからLPLやHTGLの作用だけで小粒子LDLが出現したと説明することができない。
以上から、FH患者やII a型の患者など粥状動脈硬化により心筋梗塞を起こした患者群の小粒子LDLは、個人差はあるもののLPL過剰の状態にあり(表2)、易酸化性VLDLや易酸化性LDLが、日常的に産生されているとしても直ちに細胞のB/Eレセプターに捉えられ消滅し、もし残っているものがあったとしてもその量は極めて僅かで、直ちにLCAT(非特許文献7)によりHDLに転送されるため、検出できる程の小粒子LDLは出現していないと考えられる。
しかし易酸化性VLDLや易酸化性LDLを取り込むべき細胞(レセプター)がないインビトロで、被検検体(血清または血漿)を37℃で2時間インキュベーションすると、脂質健常者に出現しない小粒子LDLが、FH患者や粥状動脈硬化により心筋梗塞を起こした患者群(II a型に限らない)に出現したことは(表3)、LDL中のホスホリパーゼがリン脂質の脂肪酸を加水分解したため出現したと見ることができる。
別の見方をすれば、FH患者や粥状動脈硬化による心筋梗塞を起こした患者群は、空腹時においてもLPLやHTGLが高く、易酸化性VLDL、易酸化性LDLが血中を循環する確率が高く、それぞれ微量ではあるがアポB100(C末端)やアポEが活性酸素などにより酸化またはアセチル化されたことにより細胞のB/Eレセプターに取り込まれず、マクロファージに取りこまれ、徐々に動脈壁に蓄積し粥状動脈硬化を促進させ、結果として心筋梗塞を発症させているとみることができる。なお酸化またはアセチル化されたVLDLやLDLを変性VLDLや変性LDLと呼ぶことがある。
逆にFHやII a型の脂質異常症でないII b型やIV型の脂質異常症群は、元々VLDLが高い患者群で、インスリン抵抗性などのためIDLや小粒子LDLも多くなっており、易酸化性VLDLや易酸化性LDLが多く存在していることが十分疑われる。
その治療法として採られているIDLや小粒子LDL低下療法(非特許文献11)は、易酸化性VLDLまたは易酸化性LDLが酸化される前に無くそうとする治療法であり論理的に非常に有効である事が証明されている。
すなわち非特許文献11による治療法は、易酸化性VLDLまたは易酸化性LDLが血中を循環している間に酸化修飾を受けることを予め防止し、マクロファージに取り込まれることを事前になくそうとする治療法であったことが解る。
しかし、この治療法も本願発明の37℃2時間インキュベーション前後の小粒子LDLの出現または増加を確認して行えばさらに心筋梗塞や脳梗塞の予防に役立つと思われる。
インビトロにおいて、ヘテロFH患者群35例の血清を37℃に2時間インキュベーションした後の各脂質の測定と小粒子LDLをポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法(特許文献16)とガウス波形近似法(特許文献12)で分析したところ、小粒子LDL以外は、ほとんど差はなかったが、小粒子LDLcだけは、ほぼ倍の増加率を示した(表3)。脂質健常者群において、37℃インキュベーション後に小粒子LDLの出現や増加が殆どないからこの差は、心筋梗塞を発症する患者に特有のものと思われる。
以上の結果からインビトロにおいて脂質健常者と粥状動脈硬化性心筋梗塞を起こした患者の被験検体を、37℃2時間インキュベーションする前に較べ後の小粒子LDLの出現は、明らかに異なることがわかった。すなわち発明者たちは、インビトロで血清・血漿を37℃2時間インキュベーションを行いインキュベーション後に小粒子LDLが出現するまたは優位な増加量が例えば1.5倍または優位な増加率が例えば50%以上あれば、粥状動脈硬化性心筋梗塞を起こしやすい人と判断できることを発見した。
単に小粒子LDLまたは小粒子LDLコレステロール、sLDLcの存在や出現だけでなく、インキュベーション後の小粒子LDLの増加量または増加率を調べることによって、より正確に心筋梗塞や脳梗塞のリスクの存在を知ることができる。
本願発明の検査法による心筋梗塞や脳梗塞のリスクは、インキュベーション後の小粒子LDLまたはsLDLcの増加量が1.5倍以上または増加率が50%以上であると限定するものではなく、増加量や増加率を適時選択することができる。しかも増加量が2倍を超えたり増加率が100%をこえた時には、さらに心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まっていると判断できる。なお、診断の判断基準であるカットオフ値は、小粒子LDLまたはsLDLc測定法など特許請求項4記載の測定法別に、心筋梗塞や脳梗塞のリスクとして、それぞれ設定することが必要である。
小粒子LDLが出現する患者群は、大きく分けて2種類あり1つは37℃2時間のインキュベーションにより新しく出現するII a型を代表とする患者群の小粒子LDL(TCやTGが健常値の心筋梗塞患者を含む)と、II bやIV型脂質異常症群(糖尿病の患者を含む)のようにすでに小粒子LDLが存在しており、37℃2時間のインキュベーションによりさらに増加する小粒子LDLがある群に大別することができ、これにより今までなぜFHやII aおよび小粒子LDLがない群に心筋梗塞が発生しているかを明確に説明できる。
ところで、健常なLDLと小粒子LDL(small dense LDL)の粒子径の差は、わずか1〜2nmであり、かつ37℃2時間のインキュベーション後に出現または増加する小粒子LDLやsLDLcの量はおよそ5〜100mg/dL程度であり、小粒子LDLをどのように特定しかつ当該分量の測定をどのように行うかが大きな課題となった。既に現在sLDLcの直接定量法が研究用試薬として販売されて(特許文献1〜特許文献6)いるが、当該sLDLc直接定量法は、界面活性剤などによる分別もしくは分離剤に反応するリポ蛋白質である事は分かるが、小粒子LDLまたはsLDLcである根拠が抽象的で、FHなど小粒子LDLが無い群に対する説明がされていなかった。しかしこのsLDLc直接定量法でも、37℃2時間インキュベーションした前後の測定値の増加量または増加率の差(小粒子LDLであるかどうかに関わらず)を調べることは可能である。
PAGE法は、小粒子LDLが測定できると言われているが、現在臨床検査に使われているPAGE法で、出現した小粒子LDLの粒子径またはsLDLcの量はわからなかった。そこで我々発明者たちは、現在臨床検査に使われているPAGE法で得られたリポ蛋白質の検体検査方法(特許文献15、非特許文献8)および画像から濃度図を求める「画像からの濃度測定法」(特許文献16)を利用して作成した濃度図に、ガウス波形近似(特許文献12)を施しリポ蛋白質を元の濃度図とほぼ95%一致する8種類に分割するガウス波形群を作成し、各波形中央位置(ピーク)の相対移動度(VLDL1の波形のピークを「0」とし、HDL波形のピークを「1」とし、その他の各波形のピークを比率で表した値:相対移動度:RM)で表した波形群を、陰極からVLDL1、VLDL2、IDL、lage−LDL(L・LDL)、medium LDL(M・LDL)、small LDL(sLDL)、very small LDL(vs・LDL)と命名した。
ただし、各分画の種類や名称は、上記に限定されるものではなく、たとえばsLDLとvs・LDLを統合して小粒子LDLと称することもできる。
さらにPAGE法で分析した各LDL粒子の直径を物理的な手法により証明するため、金コロイド粒子に牛血清アルブミン(BSA)を標識しゲル濾過法で精製したものを被検体として、PAGE法で電気泳動を行い、IDL、lage−LDL(L・LDL)、medium LDL(M・LDL)、small LDL(sLDL)を相対移動度(RM)でゲルを切り出し抽出し、電子顕微鏡と光散乱粒度分布(DLS)法で粒子径を求め、粒子径とRM値の検量線から、RM値で粒子径を特定するLDL粒子マーカ(特許文献11)により、リポ蛋白質の粒子径測定ができるようにした上でガウス波形に近似する濃度図(特許文献12)からIDL、L・LDL、M・LDL、sLDL、vs・LDLの合計の面積比をLDLc直接定量値またはfrielde waldのLDLc計算式(F−LDLc=TC−HDLc−TG/5)により得られたLDLc値に配分してIDL、L・LDL、M・LDL、sLDL、vs・LDLの各コレステロール値を算出する方法を実用化した。その結果は、従来から言われていた小粒子LDLの粒子径が25.5nm以下であることに一致した。ここでは小粒子LDL=s・LDL+vs・LDLとした。
なお今まで述べてきた小粒子LDLや小粒子LDLコレステロールまたはsmall dense LDLコレステロールは、今後の技術革新により、LDL粒子の陰性荷電の増大、例えばLDLの酸化またはアセチル化などにより小粒子様状態になった変性LDLとして捉えられる可能性もあるが、本願はそれらを含有する。
なお、脂質健常者の、空腹時LPLやHTGLまたはホスホリパーゼは、元々少ないため、被験検体を37℃2時間程度のインキュベーションでは、検出できる程の小粒子LDLの出現がなかった。しかし心筋梗塞を発症した患者(FHやII a型かどうかに関わらず)には、新たに小粒子LDLの出現がありまたは増加していた。
以上により、心筋梗塞患者または心筋梗塞を起こす恐れのある患者と脂質健常者を識別できることがわかった。
最適インキュベーション温度と時間は、37℃2時間であるが、請求項4の測定法の測定感度により、30℃から40℃で、30分から4時間としても測定可能である。またはインキュベーションをする代わりに数日間室温保存した検体と冷蔵保存した検体の小粒子の増加量または増加率を調べることも可能である。
図1は、陳旧性心筋梗塞患者のインキュベーション前のPAGE濃度図と生化学(脂質)データであり、図2は、同一の陳旧性心筋梗塞患者における37℃2時間インキュベーション後のPAGE濃度図と生化学(脂質)データである。両者の生化学(脂質)データを比較すると、唯一小粒子LDL(small dense LDL、s・LDL+vs・LDL)に有意な差が出現した事がわかる。
図1と図2を比較すると37℃2時間インキュベーション後明らかに小粒子LDLの増加があり、かつその増加率が2倍以上あった。
被験検体を直接インキュベーションする方法ではなく、採取した血清・血漿を一定量分割し、一方にチォール基阻害剤を入れ、共に37℃2時間のインキュベーションをした後、それぞれ小粒子LDLまたは小粒子LDLコレステロールまたはsLDLcを測定し、チォール基阻害剤を入れない方に、小粒子LDLが出現すれば、心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクが高いと判断できる。なおインキュベーション温度や時間は、固定するものではなく、例えば検体を室温に2〜3日放置した後、特許請求項4の測定法で小粒子LDLやsLDLcなどを測定しても心筋梗塞や脳梗塞のリスクの判断は可能である。
なおチォール基阻害剤を予め真空採血管に入れておくことで、血清・血漿を分割したりする作業を簡略化することもできる。
コレステロールエステル転送蛋白(CETP)の欠損症では、HDLコレステロール値が高いにも関わらず心筋梗塞患者がいることが知られている。この患者ではHDL中にコレステロールエステルが充満しているが、CETPの欠如により、VLDLやLDLまたは肝臓にHDLを転送できず、HDL中にエステル型コレステロールが飽和しており、さらなるFCを回収できなくなったとき、血液中で余った易酸化性VLDLまたは易酸化性LDLが、酸化変性を受け、マクロファージに取り込まれた結果粥状動脈硬化が進展し心筋梗塞が発生する。
WHOのIII型脂質異常症は、LDLが低値にも関わらず心筋梗塞を発症する疾患群である。この患者は遺伝的にアポE2/2を持つ疾患群であり、IDLが肝臓のアポEレセプターに取り込まれずLDLに移行できない疾患群である。
すなわちVLDLやIDLが異常に蓄積することにより易酸化性VLDLやIDLが酸化され、マクロファージにとらえられた結果、粥状動脈硬化が進み心筋梗塞を発症する疾患群である。ただし、III型脂質異常症群は元々LDLが異常に低く小粒子LDLもほとんど認められない場合がある。したがって37℃インキュベーションで出現する小粒子LDLが少ない場合もあり得るが、インキュベーション前後の増加率が例えば2倍を超えていれば、III型脂質異常症を考慮して、本願測定法によるリスク判定を行うことができる。したがって見逃されやすいWHOのIII型脂質異常症の判定を正確に行う必要性がある。
V型脂質異常症では、VLDLが異常に高くLDLが殆んどない疾患群である。
しかし、VLDL中のTGがLPLやHTGLにより加水分解され、易酸化性VLDLが酸化等の変性を受けた場合、マクロファージにとらえられ動脈壁に蓄積し粥状動脈硬化を惹起させる。ただしまれに代謝不良でIV型の患者が一時的にV型の病態を呈する場合があり、WHOの型判定が欠かせない。
ただし、本症例のようにLDLや小粒子LDLが少なくても、III型脂質異常症群と同様に、インキュベーション前後の増加率が例えば1.5倍を超えていれば、V型脂質異常症を考慮して、本願測定法によるリスク判定を行うことができる。
ただしインキュベーション前後の増加率は、V型脂質異常症の場合に、例えば2.0倍を超えていたとき、リスクがあると判断することもできる。
したがって見逃されやすいWHOのV型脂質異常症の判定を正確に行う必要性がある。
また稀にPAGE法で、LDLの粒子径が大きい分画(L・LDL分画、LDLの相対移動度が小さい分画)を持ちかつ37℃2時間のインキュベーション後の小粒子LDLの出現が少ない心筋梗塞患者がいる。
なぜ脂質健常人のLDL分画より移動度が遅いLDL分画を持つ患者がいるのか現在のところ不明であるが、本願測定法によるリスクの判定法は、採血後の血清や血漿中にLPLやHTGLおよびホスホリパーゼが残存していることが前提であり、何らかの理由でLPLなどが少ない場合には、本願測定法によるリスク判定法の例外となる。
したがってこの種の検体は、食後の検体で検査することも選択肢となる。
なお、小粒子LDL量が少なくても、LDLの移動度が遅い検体の場合は、インキュベーション前に較べ後の増加率が、1.5倍を超えている場合、心筋梗塞のリスクが高いと判断することができる。
ただし、この疾患群の中に、粥状動脈硬化が直接的な原因とならない疾患、例えば高血圧症、冠攣縮、心不全患者などが含まれるので、これらとの鑑別は必要である。
心筋梗塞を起こす原因が、LDLcやsLDLc値が高いという理由だけで説明がつかないことはよく知られている。すなわち粥状動脈硬化巣にコレステロールエステルが多いからと言うだけで、LDLcやsLDLcの存在が悪玉であると言われているが、その根拠は明確ではなかった。本願発明は世界で初めて、小粒子LDLが出現する機序を明らかにし、間接的ではあるが酸化など変性を受けやすいLDL粒子が存在することを予測しそれを易酸化性VLDLまたは易酸化性LDLと命名した。
本願発明は、小粒子LDLが出現する機序が2通りあることを提言した。
その1つはII a型脂質異常症に代表される血清や血漿に元々小粒子LDLが殆んどない群と、他方II bやIV型脂質異常症に代表される血清や血漿に日常的に小粒子LDLが見られる群を区別し、双方とも本願発明を実施することにより、粥状動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞になる可能性を、その発症前に知ることができ、予防や治療に利用できる簡便な方法となる。
日本動脈硬化学会は、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」で、frielde wald のLDLc値を診断基準や脂質管理目標値として設定している。
LDLcが140mg/dL以上がこの基準に当てはまる。しかし、この基準により治療すれば、心筋梗塞などが予防できるというものではない。見方を変えればこの診断基準を守れば心筋梗塞は予防できるというものでもない。
本願発明は、心筋梗塞や脳梗塞発症のメカニズムの一端を明らかにしたものであり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクがある人とない人を簡単な検査で区別しょうとするもので、TCやLDLcまたはsLDLc量の大小で判断する従来の方法とは異なる検査方法である。
従って本願発明の効果は、今まで不完全であった心筋梗塞や脳梗塞の予防をさらに前進させる効果を持つ。例えば本願発明で心筋梗塞や脳梗塞のリスクの大きい人には、発症前から易酸化性VLDLや易酸化性LDLの酸化防止剤等の投与や治療薬の選択または新たな治療薬の開発、さらに酸化等防止を目的とした食品の開発、マクロファージの免疫学的療法などの開発が促進され、新しい治療薬・予防法・治療法の開発が進展し、心筋梗塞や脳梗塞を予防ができることになり、社会的にも経済的にも非常に大きな効果が期待できる。
特許文献18によれば、自己検診、郵便検診用にランセットで採血後血液を稀釈し血清を分離するシステムが実用化されている。このシステムを利用し本願発明の請求項2を使用することで、自宅に居ながら手軽に心筋梗塞や脳梗塞のリスクを調べることができるようになる。
陳旧性心筋梗塞患者のインキュベーション前の小粒子LDLを測定したPAGE濃度図と生化学(脂質)測定結果 図1と同一陳旧性心筋梗塞患者のインキュベーション後の小粒子LDLを測定したPAGE濃度図と生化学(脂質)測定結果
簡便な血液検査により、心筋梗塞や粥状動脈硬化のリスクが高いと判定する易酸化性VLDLや易酸化性LDLの測定法や測定装置の実施例を下記に示す。
最良の実施例としては、易酸化性VLDL、易酸化性LDLが直接測定できれば良いがそのような測定法はない。したがって患者から採取した血清・血漿に何も添加せずかつ多大な物理的な重力や圧力をかけることなく測定できる小粒子LDLや小粒子LDLコレステロールまたはsLDLcなどを測定できる方法が理想的である。現在のところそんな理想的な測定法はないが、PAGE法がその条件に最も近い。
PAGE法は、患者から採取した血清・血漿に脂質の染色液であるズダンブラックを加え、電気泳動を行い分画した濃度図からVLDL、LDL、HDL等を分析するオーソドックスな検査法(非特許文献8)である。この検査法は直接LDLのサブクラスである小粒子LDLや小粒子LDLコレステロールまたはsLDLcを測定しているわけではないが、発明者たちによりなされた濃度図のガウス波形近似法(特許文献12)で、各LDL粒子の中央位置(RM値)と粒子マーカ(特許文献11)との検量線からそれぞれLDLの粒子径と、コレステロール量が測定できるようにしたうえで、本願発明に関わる37℃2時間のインキュベーション前後の小粒子LDLを測定した結果、脂質健常者と陳旧性心筋梗塞患者(FH)のsLDLcは明らかな差がでた。図1と図2は陳旧性心筋梗塞患者(FH)の37℃インキュベーション前後の濃度図、測定値の比較である。インキュベーション前の小粒子LDLコレステロールが11.1mg/dL「図1の(7)」であったのに対し、インキュベーション後の小粒子LDLコレステロールが、25.3mg/dL「図2の(11)」のように2倍を超す増加を確認した。増加するsLDLcなどのカットオフ値は、10mg/dL以上が適当であるが、限定するものではない。なおインキュベーション後の小粒子LDLの優位な増加量は、適時決めることができるが、インキュベーション前の2倍を越えた時などはより心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いと判断することもできる。本実施例(図2)は、その増加率が2.2倍であった。
最適なインキュベーション時間は37℃2時間であったが、30℃から40℃の範囲で適時決めることができる。また小粒子LDLコレステロールの測定感度が得られるならインキュベーション時間はもっと短くても良いかもしれない。
ただあまり長時間インキュベーションすると脂質健常者にもsLDLcが出現するので注意が必要である。
実施例1は、ガウス波形近似法(特許文献12)でsLDLcの濃度値を求めたが、特許文献15のように、小粒子LDLを一定の相対移動度(RM値)で分画し、小粒子LDLの出現を、分画%値の差またはその増加率として分析する方法も定性的であるが使用できる。カットオフ値は測定の感度により適宜選択することができる。
アガロースゲル電気泳動像(特許文献13)をコレステロール染色したものやGGE電気泳動法(非特許文献3)でも、インキュベーション前後の測定値の差を小粒子LDLの出現の差と仮定すれば、分画%値や濃度値の差が小粒子LDLの出現または増加率が上昇したと確認することが可能で、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いと判断でもすることは可能である。本実施例においてもカットオフ値は測定の感度により適時選択することができる。
HPLC法(特許文献7〜10)で、インキュベーション前後の検体についてそれぞれ小粒子LDLまたはsLDLcを測定して、小粒子LDLまたはsLDLcが出現したとしてそれが優位に増加例えば1.5倍または増加率が例えば50%を超えたとき、心筋梗塞発症や脳梗塞のリスクがより高まったと判断することができる。
リポ蛋白質の比重差によりsmall dence LDLや粒子LDLを個別に分取してそれぞれのコレステロールを測定する超遠心分離法(非特許文献4)も、インキュベーション前後の測定値の比較から小粒子LDLまたはsLDLcが出現または増加率が増えたとして捉えることができる。
その他、リポ蛋白質の粒子径を測定する分析法として動的光散乱分析法(DLS、特許文献14、非特許文献5)やイオンモビリティスペクトロメトリー法(非特許文献2)、核磁気共鳴装置で小粒子LDL粒子径を測定する方法(非特許文献10)やインビボの小粒子LDLを推定する方法(特許文献20)などにおいても、インキュベーション前後の測定値の比較から小粒子LDLや小粒子LDLコレステロールまたはsLDLcの出現や増加および増加率が高くなったとして、それを捉えることができる。
生化学の自動分析装置を使用するsLDLc直接定量法の測定試薬が発売(特許文献1〜6)(sLDLc直接定量法)されている。被試験検体に界面活性剤や脂質分別分離剤または酵素試薬等を添加してsLDLcを測定する方法である。
測定法としては、被験検体に何種類もの試薬を添加する方法で、本当に小粒子LDLを測定しているかどうかは別として、インキュベーション前後の測定値の差を小粒子LDLが出現した、または増加した、または増加率が優位であったとして、心筋梗塞発症や脳梗塞のリスクが高まったと判断することができる。
ただ本直接定量法は、測定の最終段において、コレステロールオキシダーゼ等酵素試薬を使用している関係で、測定時被験検体と試薬を37℃にインキュベーションする行程が含まれているのでインキュベーション前の検体も、この測定行程で少しLDLが小粒子化している可能性があるが、インキュベーション前後の測定値の差(増加率を含む)を見る検査として、心筋梗塞や脳梗塞発症のリスクの有無を調べることはできる。本実施例においてもカットオフ値は適
実施例1から7までの実施例と少し異なるが、被験検体を2つに分け片方にチオール基阻害薬を適量入れ、例えばNEM(N−ethylmaleimde)2mmol/L(非特許文献6)を入れ双方37℃で2時間インキュベーションした後、請求項4の測定法でそれぞれ小粒子LDLまたは小粒子LDLコレステロールまたはsLDLcを測定し、NEMを入れない方により多くの小粒子LDLの出現があることまたはsLDLc値が増加したことまたはその増加率が高まったことをもって心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが高いと判断することもできる。
なお、チォール基阻害薬として下記の試薬も使用できる(非特許文献6)。
HMCS (N−[6−Maleimidiocaproyloxy]sulfosuccinimide,sodium salt)やGMBS (N−4[Maleimidobutyryloxy]sulfosuccinimide,sodium salt)、EMCS(N−[6−Maleimidocaproyloxy]sulfosuccinimide,sodium salt)、SIAB(N−SuccinimidylSulfosuccinimidyl{4−iodoacetyl Succinimidyl aminobenzoate)、LC−SPDP(Succinimidyl 6−[3’{2−pyridyyldithio}−propionamide Succinimidyl}−propionamide]hexanoate)。
特許文献18のようにランセット等簡易採血器を用いて血清や血漿を得る希釈液入り検診用採血器具で血清や血漿を採取したものと、当該簡易採血器具内の希釈液に予めチォール基阻害剤や防腐剤を一定量含有させたものを用いて得られた血清や血漿とを3日から1週間程度室温で放置した後、それぞれ請求項4記載の方法を用いて小粒子LDLまたはsLDLcを測定し、測定結果を比較しチォール基阻害剤を入れない方の検体の測定結果に、小粒子LDLがより多く出現または増加していることまたは増加率が高まったことを確認するか、または小粒子LDLコレステロールまたはsLDLcの測定値が増加していることまたは増加率が高まったことを確認することで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクがあると判定することができる。
自動化されたPAGE電気泳動法やHPLC法の濃度図に、請求項4の第3項が指摘するガウス波形近似法のプログラムを搭載して37℃2時間インキュベーション前後の被験検体のIDLや小粒子LDLを測定し、その増加量や増加率を自動的に測定する装置により、小粒子LDLがより多く出現または増加していることまたは増加率が高まったことを測定するか、または小粒子LDLコレステロールまたはsLDLcの測定値が増加していることまたは増加率が高まったことを確認することで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクがあると判定することができる。
なお小粒子LDLを検出する装置として、必ずしもガウス波形近似法を使用しなければならないと特定するものではなく、一定の相対移動度(RM値)で分画して小粒子LDLが出現したとして検出することも可能である。
本願発明が実用化されれば、今まで分からなかった心筋梗塞の発症前に簡単な血液検査で、そのリスクの有無が分かるようになるため、健康診断や、心筋梗塞の予防や治療の他治療薬の開発などに使用できる。
2016年、プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型等阻害剤(PCSK9)が、劇的にLDLc(小粒子LDLを含む)を低下させる治療薬として発売された(特許文献19)。PCSK9阻害薬は、細胞のLDLレセプターの活性を阻害する酵素を阻害する治療薬であり、遺伝的にLDLレセプターが欠如しているホモのFH患者には、その治療効果はないことが知られている。しかしその他の疾患群では、PCSK9阻害薬を投与すると劇的にLDLcや小粒子LDLが低下しておりLDLが細胞に取り込まれたことを示している。
PCSK9阻害薬は、LDLを、細胞に転送するレセプターを阻害する酵素を疎害するため、LDLを急激に減少させることができる。
しかし、PCSK9阻害薬の使用は、LDLcが高く心筋梗塞発症のリスクが高い患者に限り(ホモのFH患者を除く)使用が認められているが、現在、どういう患者が心筋梗塞の発症リスクが高いのか明確に特定されていない。本検査法は、PCSK9阻害薬投与する条件の一つとして利用することができる。
(1)被験検体の濃度図
(2)ガウス波形近似のグラフ
(3)標準検体の濃度図(実線)
(4)グラフの横軸(nm)
(5)インキュベーション前の患者の生化学データ
(6)インキュベーション前の患者のLDL粒子径
(7)インキュベーション前の小粒子LDLコレステロール値
(8)濃度図の縦軸(吸光度)
(9)インキュベーション後の患者の生化学データ
(10)インキュベーション後のLDL粒子径
(11)インキュベーション後の小粒子LDLコレステロール値

Claims (4)

  1. 食前または食後、患者から採取した血液を血清や血漿に分離したのち、小粒子LDLや小粒子様LDLまたは小粒子LDLコレステロールや小粒子様LDLコレステロールまたはsmall dense LDLコレステロールを測定し、かつ当該同一検体の血清や血漿を一定温度に一定時間加温(インキュベーション)し、再び小粒子LDLや小粒子様LDLの出現を確認または小粒子LDLコレステロールや小粒子様LDLコレステロールまたはsmall dense LDLコレステロールを測定し、インキュベーション後に、優位な増加量である1.5倍または優位な増加率である50%以上になった時、粥状動脈硬化による心筋梗塞および脳梗塞にかかりやすいとする測定方法。
  2. 食前または食後、患者から採取した検体を血清や血漿に分離したのち、2分割し、その一方に予めレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼの酵素活性を阻害するチオール基阻害剤を一定量加えるか、あるいは2分割せずあらかじめチォール基阻害剤を一定量加えた、または加えない真空採血管を用いてそれぞれ採取し血清や血漿にした検体を、それぞれ一定温度に一定時間加温(インキュベーション)しまたは、3日から1週間室温で保管した後、それぞれ小粒子LDLや小粒子様LDLまたは小粒子コレステロールや小粒子様LDLコレステロールまたはsmall dense LDLコレステロールを測定し、測定結果をそれぞれ比較しチオール基阻害剤を入れない方の検体の測定結果に、小粒子LDLや小粒子様LDLまたは小粒子コレステロールや小粒子様LDLコレステロールまたはsmall dense LDLコレステロールの優位な増加量である1.5倍または優位な増加率である50%以上になった時、粥状動脈硬化による心筋梗塞および脳梗塞にかかりやすいとする測定方法。
  3. 被験検体を一定温度にインキュベーションする温度は、30℃から40℃で、インキュベーションする時間は30分から4時間とすることを特徴とする請求項1、請求項2の粥状動脈硬化による心筋梗塞および脳梗塞にかかりやすいとする測定方法。
  4. 請求項1、請求項2、請求項3の測定方法が、下記のいずれかまたは複数個含む測定方法。
    1 ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動(PAGE)法
    2 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法
    3 PAGE法およびHPLC法で得られた濃度図にガウス波形近似を施し、小粒子LDLの出現または小粒子LDLコレステロールまたはsmall dense LDLコレステロールを測定する方法
    4 イオンモビリティスペクトロメトリ分析(Ion mobility spectrometry:IMS)法
    5 動的光散乱粒度分布測定(DLS)法
    6 リポ蛋白質の一部を沈殿または分離させる試薬とコレステロールを測定する試薬を使用し小粒子LDLまたはsmall dense LDLコレステロールを測定するコレステロール直接測定法
    7 アガロースゲル電気泳動(AGE)法
    8 濃度勾配型グラジュエントゲル電気泳動(GGE)法
    9 超遠心分離装置で小粒子LDLを分離分取した後、コレステロールを測定する方法
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