JP6452853B2 - 二酸化炭素発生剤を有する薄膜培養デバイス - Google Patents

二酸化炭素発生剤を有する薄膜培養デバイス

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Description

発明の詳細な説明
「関連出願の相互参照」
本出願は、その開示が参照によってその全体が本明細書に援用される、2015年4月29日出願の米国仮特許出願第62/154,303号の優先権を主張するものである。
(背景)
カプノフィル(capnophilic)菌の生育は、高濃度二酸化炭素により促進される。これらの微生物は、種々の微生物を含む試料を高濃度CO環境下で培養することにより選択的に集積され得る。
カンピロバクター(Campylobacter)は、カプノフィル菌の一属である。ある種のカンピロバクターは、食品媒介性の病気に関連する。これらの微生物は、現在では世界的に、細菌性胃腸炎を引き起こす原因として認識されている。従来のカンピロバクター(Campylobacter)培養法は、微好気的環境下でのインキュベートを必要とする。i)細菌が長期間大気酸素に曝露されること、及びii)キットが最終的にはすべての酸素を除去し、微好気性のカンピロバクター菌の生育を阻害することから、ガス発生キットは、カンピロバクターの培養方法としては適さない場合がある。
概してカプノフィル菌を培養するための、特にカンピロバクター種を培養するための、改良された培養デバイス及び培養方法が今も尚必要とされている。
(概要)
概して、本開示は、試料中の微生物の検出及び任意選択的な計数に関する。特に、本開示は、カプノフィル菌の生育及び検出に関する。カプノフィル菌であることに加え、かかる微生物は酸素要求性に関し、微耐気性(microaerotolerant)、微好気性、又は偏性嫌気性なものであってもよい。現在では、これらの微生物の生育及び検出は、内蔵型調整環境生成培養デバイスを使用して実施できることが知られている。改良された環境生成デバイスは、水性液体(例えば、試料を水性液体に希釈したもの)の接種により活性化されて、溶存二酸化炭素濃度が上昇しており、かつ所望により溶存酸素濃度が低減している水性の生育培地を生じる。
本明細書に開示される本発明の培養デバイス及び方法は、酸素を含有する(例えば、通常の大気中酸素を含有する)環境で微生物をインキュベートする場合であっても、カプノフィル菌の生育、検出、及び鑑別を提供する。このデバイスでは、カプノフィル菌の培養に典型的に必要とされる、特別なインキュベート設備及び試薬(例えば、キャンドルジャー、嫌気ジャー、使い捨てケミカルサシェ、パラジウム触媒、調整雰囲気(例えば、嫌気性)グローブボックス)を不要とする点で有利である。更に、本開示は、微好気性微生物、微耐気性微生物、又は偏性嫌気性微生物でもある、カプノフィル菌の計数に関する。微好気性及び偏性嫌気性微生物は、生育及び増殖時に低酸素環境を要するという共通の性質を有する。
一態様では、本開示は、微生物コロニーを計数するための培養デバイスを提供する。デバイスは、反対面となる内側表面及び外側表面を有するベース材と、反対面となる内側表面及び外側表面を有するカバーシートと、ベース材とカバーシートとの間に配置されたスペーサー部材と、有効量の乾燥状態の二酸化炭素発生剤と、並びに乾燥状態の冷水溶解性ゲル化剤と、を含み得る。カバーシートは、ベース部材又はスペーサー部材に結合され得る。スペーサー部材は、ベース材及び/又はカバーシートに結合され得る。スペーサー部材は、生育区画の形状及び深さを画定する開口部を含む。生育区画は、ベース材の内側表面とカバーシートの内側表面との間に配置される。第1の接着剤層を、生育区画においてベース材に接着させることができ、あるいは第2の接着剤層を、生育区画においてカバーシートに接着させることができる。二酸化炭素発生剤を、第1の接着剤層又は第2の接着剤層に接着した生育区画に配置することができる。ゲル化剤を、生育区画においてベース材又はカバーシートに付着し得る。
上記の実施形態のうち任意のものでは、二酸化炭素発生剤は、本質的に106マイクロメートル未満の直径を有する粒子から構成され得る。上記の実施形態のうち任意のものでは、デバイスは、生育区画において、第1の接着剤層又は第2の接着剤層に付着した有効量の乾燥状態の脱酸素剤を更に含み、脱酸素剤は本質的に106マイクロメートル未満の直径を有する粒子から構成される。上記の実施形態のうち任意のものでは、スペーサー部材は非多孔性であり得る。上記の実施形態のうち任意のものでは、デバイスは、第1の接着剤層又は第2の接着剤層に付着した、乾燥状態の緩衝剤、乾燥状態の栄養成分、指示薬、選択剤、又は還元剤を更に含み得る。上記の実施形態のうち任意のものでは、二酸化炭素発生剤は、金属炭酸塩を含み得る。上記の任意の実施形態において、脱酸素剤は、生育区画におけるベース材又はカバーシートの表面積10cmあたり約1.5マイクロモル〜約15マイクロモルの量で生育区画に配置され得る。
別の態様において、本開示は、試料中のカプノフィル菌を検出する方法を提供する。かかる方法は、上記の実施形態のいずれか1つに記載の培養デバイスを、その内部の生育区画へのアクセスを提供する開いた構成で配置することと、所定量の水性液体を生育区画に配置することと、試料を生育区画に配置することと、培養デバイスを閉じることと、培養培地において微生物にコロニーを形成させるのに十分な一定時間にわたり培養デバイスをインキュベートすることと、並びに、微生物コロニーを検出することと、を含み得る。水性液体と試料を生育区画に配置すること、及び培養デバイスを閉じることは、ベース材と、カバーシートと、及び培養デバイスのスペーサー部材により生育区画に取り囲まれた半固体の微生物培養培地を形成することと、を含み得る。
方法についての上記実施形態のいずれかにおいて、培養デバイスを閉じることは、開放流体経路を培養デバイス外部の気体環境から、生育区画において取り囲まれた半固体の微生物培養培地まで隔離することを含み得る。方法についての上記実施形態のいずれかにおいて、培養デバイスのインキュベート後、微生物コロニーを検出することは、培養デバイスにおいて光学的に検出可能な1つ以上のコロニーを計数することを更に含み得る。
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、特定の状況下で特定の利益をもたらすことができる本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲内から排除することを意図するものではない。
用語「備える」及びその変化形は、これらの用語が本説明及び請求項内で現れる場合に、限定的な意味を有するものではない。
本明細書において使用するとき、「1つ(a、an)」、「その(the)」、「少なくとも1つ(at least one)」及び「1つ以上(one or more)」は、互換的に使用される。したがって、例えば、栄養成分は、「1つ又は2つ以上の」栄養成分を意味するように、解釈され得る。
「及び/又は」という用語は、列挙される要素のうちの1つ若しくはすべて、又は列挙される要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
また本明細書において、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に含まれるすべての数が含まれる(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
本発明の上記の概要は、本発明のそれぞれの開示される実施形態又はすべての実施を説明することを目的とするものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願を通していくつかの箇所において、例のリストによって指針が示されるが、それらの例は様々な組み合わせで使用することができる。いずれの場合にも、記載された列挙は、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的な列挙として解釈されるべきではない。
これらの実施形態及び他の実施形態の更なる詳細を、添付の図面及び以下の説明文に記載する。他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本開示による培養デバイスの一実施形態の平面図である。
図1の培養デバイスの線2−2に沿った側面断面図である。
図1の培養デバイスの分解側面断面図である。
(詳細な説明)
本開示のいずれかの実施形態について詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載し又は以下の図面に図示する構成要素の構造及び配置の詳細にその用途が限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。更に、本明細書で使用される専門用語及び用語は、説明目的のためであり、制限とみなされるべきではないと理解されている。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」又は「有する(having)」、及びこれらの変形の使用は、以下に挙げる品目及びその等価物、並びに付加的な品目を包含するものである。別段の指定又は制限のない限り、用語「接続される」及び「連結される」並びにその変化形は、幅広く使用され、直接的及び間接的な接続と連結の双方を包含する。更に、「連結された」及び「結合された」とは、物理的又は機械的な連結又は結合に限定されない。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造上又は論理上の変更を加えることもできることを理解されたい。更に、「前」、「後」、「上」、及び「下」といった用語は、各要素の互いに対する関係を説明するためにのみ用いられるものであり、装置の特定の向きを説明すること、装置に必要とされる若しくは求められる向きを指示又は示唆すること、あるいは本明細書に記載される発明が、使用時にどのように使用、装着、表示、又は配置されるかを特定することを目的とするものでは決してない。
本明細書で使用するとき、用語「微生物(microorganism又はmicrobe)」は、任意の微生物を指し、単細胞生物又は多細胞生物であり得る。かかる用語は、概して、好適な培養培地において生育及び増殖が可能な任意の原核微生物又は真核微生物を指すために使用され、限定するものではないが1種以上の細菌が含まれる。本発明の範囲の包含される微生物としては、原核生物、すなわち、細菌及び古細菌、及び原生生物、真菌、酵母(例えば、嫌気性酵母)、藻類などを含む様々な形態の真核生物が挙げられる。用語「対象とする微生物」は、検出が望まれるなんらかの微生物を指す。
用語「高濃度CO」及び「高濃度二酸化炭素」などは、それらが、二酸化炭素発生剤を含む特定の水性環境(例えば、ヒドロゲル)に関するものである場合、周囲温度及び周囲圧力下で、水性環境の有する溶存酸素濃度が、二酸化炭素発生剤を含まないこと以外は同一の水性環境よりも実質的に高濃度(例えば、2倍超、3倍超、4倍超、5倍超、又は10倍超)である状況を指す。
本明細書では、「嫌気性微生物(anaerobic微生物)」又は「嫌気性生物(anaerobe)」という用語は、酸素に感受性があり、酸素の存在下では生育しない微生物を指す。嫌気性微生物又は嫌気性生物は、生育のために酸素を必要としないあらゆる微生物である。嫌気性微生物は、偏性嫌気性生物と通性嫌気性生物の両方を含む。偏性嫌気性生物は、大気レベルの酸素に露出されると死滅する微生物である。通性嫌気性生物は、酸素が存在する場合は好気呼吸を行うことができるが、酸素がない場合は発酵又は嫌気呼吸に切り替えることが可能な微生物である。本発明の方法及びシステムは、偏性嫌気性生物と通性嫌気性生物の両方の集積及び検出に使用することができる。
用語「微好気性微生物」又は「微好気性菌」は、本明細書において、微量の酸素存在下でのみ生育するなんらかの微生物を指すために使用される。微好気性菌は酸素を使用するものの、極低濃度(低マイクロモル濃度範囲)、典型的には、5〜15%の酸素濃度レベルで使用し、通常の酸素濃度又は約15%を超過する酸素濃度により生育が阻害される。
本明細書では、微生物の「培養(culture)」又は「生育(growth)」という用語は、微生物の生育を促す条件下にある所定の培地内で微生物を増殖させることによって微生物を増加させる方法を指す。より具体的には、これは、微生物の少なくとも1回の細胞分裂を促進するのに好適な培養培地及び条件を提供する方法である。培養培地は固体、半固体、又は液体の培地であり、微生物の生育にとって重要な栄養成分及び必要な物理的生育パラメータをすべて含有する。
本明細書で使用するとき、用語「集積」は、特定の微生物の生育に望ましい特異的態様及び既知の態様(attributes)を有する、培地及び条件を提供することによって、特定の微生物の生育を選択的に集積する培養法を指す。集積培養環境は、選択された微生物の生育には正に影響し、及び/又は他の微生物の生育には負に影響する。
「脱酸素剤」及び「酸素スカベンジャー」は、所与の環境から酸素を消費、枯渇又は反応させることができる、化合物を指すために本明細書において広く使用される。好ましくは、脱酸素剤は、嫌気性微生物の生育を遅らせず、又は阻害しない。
用語「還元剤」は、本開示のデバイスの生育区画における乾燥状態の構成成分の水和により形成される半固体培養培地のE電位(potential)を低減することができる物質を指す。
本開示は、概して、カプノフィル菌を生育させるための物品及び方法に関する。所望により、カプノフィル菌は、嫌気性であっても微好気性であってもよい。特に、本開示は、生育に高濃度の二酸化炭素を要求する又は高濃度の二酸化炭素により生育が増強される微生物(例えば、カンピロバクター属の微生物)を培養するデバイスを提供する。デバイスは、有効量の二酸化炭素発生剤を含む。有利に、本発明のデバイスは高度に安定であり(例えば、周囲温度)、カプノフィル菌の培養のため高濃度CO環境を達成及び維持することを目的とした特殊な装置及び/又は圧縮気体が必要とされない。更に、デバイスは、デバイスの水和(例えば、水性試料による水和)後、嫌気性微生物又は微好気性微生物の生育を促進する液体環境を生成することができる。
本開示は、一般に、試料中の微生物の検出及び所望により計数に関する。特に、本開示は、多様なカプノフィル菌群の生育及び検出に関する。多様な群としては、例えば、カンピロバクター属、ヘモフィルス属、及びナイセリア属の種が挙げられる。現在では、カプノフィル菌の生育及び検出は、内蔵型高濃度CO環境生成培養デバイスを使用して実施できることが知られている。
任意選択的に、本開示のデバイスは、in situで低酸素環境を更に生成することができる。したがって、嫌気性微生物及び通性嫌気性微生物は、本開示のデバイスにおける、低酸素環境又は嫌気性環境下での培養により、絶対好気性微生物よりも選択的に集積され得る。本開示のデバイスは、有利に、絶対好気性微生物も含有する試料中に存在するカプノフィル菌並びに通性嫌気性微生物及び偏性嫌気性微生物を、選択的に集積するのに使用できる。
現在では、乾燥状態の再水和可能な内蔵型高濃度CO環境生成培養デバイスを作製できることが知られている。培養デバイスは、培養デバイスの生育区画に配置された有効量の実質的に乾燥状態の二酸化炭素発生剤を含む。デバイスは、所定量の水性溶液により再水和可能であり、一旦再水和すると、二酸化炭素発生剤が、デバイスにおける水性培地中のCO濃度を上昇させる反応に関わるようにできるようになる。更に、培養デバイスは、水性環境を保持でき、カプノフィル菌の生育を促進するのに十分な期間にわたって高濃度CO環境を保持できる。
対象となる細菌種を、例えば、血液、唾液、接眼レンズ液、滑液、脳脊髄液、膿汁、汗、浸出液、尿、粘液、粘膜組織(例えば、頬、歯肉、鼻、眼球、気管、気管支、胃腸、直腸、尿道、尿管、膣、子宮頸管(cervical)、及び子宮粘膜)、母乳、又は糞便等の生体液のような任意の源に由来することができる検査試料において分析することができる。更に、検査試料は、例えば、傷、皮膚、前鼻孔、鼻咽頭腔、鼻腔、前鼻前庭、頭皮、爪、外耳、中耳、口、直腸、膣、腋窩、会陰、肛門、又は他の同様の身体部位に由来するものであってよい。
生体液に加えて、他の検査試料には、他の液体並びに液体媒体中に溶解又は懸濁した固体が含まれてもよい。対象となる試料としては、プロセス流、水、食品、食材、飲料、土壌、植物又はその他の植生、空気、及び表面(例えば、製造工場、病院、診療所、又は家庭内の壁、床、設備、器具)などが挙げられ得る。
生育にあたり酸素分圧が低い環境を必要とする細菌(すなわち微好気性菌)及び/又は許容する細菌(すなわち、耐気性細菌)の非限定的例としては、ヘリコバクター・ピロリ、カンピロバクター種(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・フェタス)、ストレプトコッカス・インターメディウス、ストレプトコッカス・サンギス、ストレプトコッカス・コンステラータス、ゲメラ・モルビロルム、ラクトバシラス種、及びストレプトコッカス−ピオゲネスが挙げられる。
嫌気性菌は本質的に偏在である。嫌気性菌は、偏性嫌気性であり得、あるいは通性嫌気性でもあり得る。偏性嫌気性細菌の非限定例としては、硫酸塩還元(sulfate−reducing)細菌(SRB;例えば、デスルホビブリオ種及びデスルホトマキュラム種など)、酸生成細菌(APB;例えば、アセトバクテリウム、ペディオコッカス、プロテイニフィラム(Proteiniphilum)、ラクトバシラス、スタフィロコッカス、サーモコッコイド(Thermococcoides)、及びアシネトバクターなど)、アクチノミセス種、クロストリジウム種(例えば、ウェルシュ菌、破傷風菌、クロストリジウム・スポロゲネス、ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・ブチリカム、クロストリジウム・アセトブチリクム)、乳酸菌(例えば、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種、ラクトコッカス種)、バクテロイデス種(例えば、バクテロイデス・フラジリス)、及びペプトストレプトコッカス種(例えば、ペプトストレプトコッカス・ミクロス、ペプトストレプトコッカス・マグヌス、ペプトストレプトコッカス・アサッカロリチカス、ペプトストレプトコッカス・アネロビウス、及びペプトストレプトコッカス・テトラディウス)が挙げられる。通性嫌気性菌の非限定的例としては、腸内細菌(例えば、大腸菌)、サルモネラ種、シトロバクター・フロインデイ、黄色ブドウ球菌、及びリステリア種(例えばリステリア・モノサイトゲネス)が挙げられる。
酵母菌種の多くが通性嫌気性であり、酵母種の一部が偏性嫌気性であるため、本開示の内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスは、酵母菌微生物の生育及び検出にも有用であることが考えられる。
一態様では、本開示は、高濃度CO環境で生育する微生物を培養及び検出するための培養デバイスを提供する。図1〜3に関して、本開示の培養デバイス100は、耐水性のベース材10、耐水性のカバーシート20、及びベース材10とカバーシート20との間に配置されるスペーサー部材30を含む。ベース材10は、内側表面10b及び内側表面の反対面となる外側表面10aを有する。カバーシート20は、内側表面20b及び内側表面の反対面となる外側表面20aを有する。任意の実施形態において、ベース材10の内側表面10aは、カバーシート20の内側表面20bと向かい合わせの関係となるよう配置される。
ベース材10は、好ましくは、水を吸収しない又は水による悪影響を受けない材料(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、又はポリスチレン)製の比較的剛性の耐水性フィルムである。ベース材10は、実質的に気体状酸素を透過しない材料を使用して作製されることが好ましい。ベース材10の好適な材料の非限定的例は、少なくとも厚さ約15μm〜少なくとも約180μmのポリエステルフィルム、少なくとも厚さ約100μm〜少なくとも約200μmのポリプロピレンフィルム、及び、少なくとも厚さ約300μm〜約380μmのポリスチレンフィルムが挙げられる。その他の好適なベース材としては、エチレンビニルアルコール共重合フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、及びポリ塩化ビニリデンフィルムが挙げられる。ベース材10は、ベース材を通してコロニーを観察することが望ましい場合には透明とすることができる。
カバーシート20は、ベース材10の内側表面10bを覆い、生育区画60の範囲を限定し、所望により輸送、保管、インキュベート、及び/又はコロニー計数中に生育区画を観察するために使用される。カバーシート20は、好ましくは、水を吸収しない又は水による悪影響を受けない材料(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、又はポリスチレン)製の比較的剛性の耐水性フィルムである。カバーシート20は、培養デバイス10を開口しなくても容易にコロニーを計数するために透明であることが好ましく、微生物及び水蒸気を実質的に浸透させないことが好ましい。
概して、カバーシートは、ベース材10の作製に使用される材料から作製することができる。カバーシート20は、実質的に気体状酸素を透過しない材料を使用して作製されることが好ましい。ベース材10の好適な材料の非限定的例は、少なくとも厚さ約15μm〜少なくとも約180μmのポリエステルフィルム、少なくとも厚さ約100μm〜少なくとも約200μmのポリプロピレンフィルム、及び、少なくとも厚さ約300μm〜約380μmのポリスチレンフィルムが挙げられる。その他の好適なベース材としては、エチレンビニルアルコール共重合フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、及びポリ塩化ビニリデンフィルムが挙げられる。図1に示すように、カバーシート20は、ベース材10及びカバーシート20のそれぞれの内側表面の片端部に沿ってヒンジ様式で(例えば、両面接着テープを使用して)接着してヒンジ領域70を形成し得る。所望により、任意の実施形態において、カバーシート20は、ベース材10を越えて延びるタブ領域75を含み得る。タブ領域75は、生育区画60に試料を接種するためにデバイス100を開けるときに都合よくつかむことができるものである。
当業者であれば、所定の種類のポリマーフィルムを通る気体(例えば、二酸化炭素、酸素)の透過性を、典型的にはポリマーフィルムの厚さを増加させることにより低減させ得ることが理解されよう。任意の実施形態において、本開示のベース材及びカバーシートは、気体状酸素を実質的に透過しない好適な厚さを有するポリマーフィルムである。
スペーサー部材30は、開口部36を含む。開口部36は、培養デバイス100の生育区画60の位置と厚みの両方を画定する役目をするウェルを形成する。スペーサー部材30は、ベース材10及びカバーシート20とともに生育区画60の境界を画定する。スペーサー部材30は、培養デバイス100の接種中に、水性試料(図示せず)を生育区画60内に閉じ込めるよう機能する。
図1に示すとおり、開口部36は、円形状を画定する。しかしながら、開口部36は、他の形状(例えば、正方形、長方形、楕円形)を画定してもよいことが想到される。開口部36の壁は、所定の大きさ及び形状のウェルを提供し、培養デバイス100の生育区画60の厚みを画定する。
スペーサー部材30は、生育区画60の大きさ及び培養デバイスに配置される試料の大きさに応じ、所定の容量、例えば、1mL、2mL、3mL、5mL、又は10mLを有するウェルを形成するのに十分な厚みでなければならない。任意の実施形態において、スペーサー部材30は、疎水性(非湿潤性)であり、微生物に対し不活性であり、場合により滅菌可能ななんらかの多孔性又は非多孔性材料から作製される。任意の実施形態において、スペーサー部材30を、(例えば、感圧接着剤を介して)ベース材10又はカバーシート20に直接結合することができる。付加的に又は代替的に、スペーサー部材30を、(例えば、接着テープ50により)ベース材又はカバーシートに間接的に結合することができる(例えば、ベース材又はカバーシート上に各々コーティングされる第1又は第2のドライコーティングにスペーサー部材を結合できる)。
生育区画60は、培養デバイス100内の、ベース材10とカバーシート20との間の任意のアクセス可能な位置に存在し得る。好ましくは、生育区画60は、デバイス100の周辺端部80から離れた位置にあることが好ましい。
好ましくは、スペーサー部材30は、微生物の生育を実質的に阻害せず、スペーサー部材に接触しているヒドロゲルから水又は肉眼で観察可能な二酸化炭素の気泡を実質的に吸収しない、非多孔性材料(例えば、金属、ガラス、ポリマー樹脂)から構成される。スペーサー部材30を作製することのできる好適な材料の非限定例としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、及びポリプロピレンなど)、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、フッ化ポリビニリデン又は他のポリマーフィルムが挙げられる。
本開示のデバイスは、生育区画に配置された乾燥状態の冷水溶解性ゲル化剤を含む。好ましくは、ゲル化剤は、デバイス100のベース材10及び/又はカバーシート20に対し直接的に又は間接的に付着される。ゲル化剤の間接的な付着の非限定例には、ゲル化剤が、本明細書において説明するとおり、ベース材又はカバーシートに接着している接着剤層に付着しているという状態のものがある。任意の実施形態において、ゲル化剤は、デバイス100の生育区画60において、ベース材10の内側表面10b及び/又はカバーシート20の内側表面20bに対し均一に分配され得る。
第1のドライコーティング24に使用するのに好適なゲル化剤としては、冷水溶解性の天然及び合成ゲル化剤が挙げられる。アルギン、カルボキシメチルセルロース、タラガム、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムなどの天然ゲル化剤、並びにポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、及びこれらの組み合わせなどの合成ゲル化剤が概して好適である。適切なゲル化剤は、本開示並びに米国特許第4,565,783号、第5,089,413号、及び第5,232,838号の開示で教示される内容に従って選択することができる。好ましいゲル化剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、及びキサンタンガムが挙げられ、これらのゲル化剤は、それぞれ単独で有用であり、又は好ましくは互いの組み合わせが有用である。
したがって、任意の実施形態において、本開示のデバイス100は、所望により、生育区画60のベース材10の内側表面10bの少なくとも一部又は全部に付着した第1のドライコーティング14を含み得る。存在する場合、第1のドライコーティング14は、乾燥状態の冷水溶解性ゲル化剤を含み得る。所望により、第1の接着剤層12をベース材10に接着し、第1のドライコーティングの少なくとも一部を生育区画60の第1の接着剤層に付着させる。
カバーシート20は、コーティングを何ら含まなくてもよい(図示せず)。あるいは、デバイス100が、生育区画60において、ベース材10の内側表面10bに付着した第1のドライコーティング14を有しない場合、カバーシート20は、生育区画において、カバーシート20に付着した第2のドライコーティング24を含み得る。存在する場合、第2のドライコーティング24は、乾燥状態の冷水溶解性ゲル化剤を含み得る。所望により、第2の接着剤層22をカバーシート20に接着し、第2のドライコーティング24の少なくとも一部を生育区画60において第2の接着剤層に接着する。任意の実施形態において、第2の接着剤層22の層の一部を使用して、カバーシート20をスペーサー部材30の少なくとも一部に対し容易に密着させることができる。
第1及び第2のドライコーティングに関しては、冷水復元性があり、脱酸素剤(以下に記載)又はゲル化剤の冷水ゲル化特性を実質的に妨害せず、嫌気性微生物の生育をサポートする任意の栄養成分又は栄養培地を所望によりコーティングに含むことができる。培養デバイスに使用するのに好適な具体的な栄養成分(複数可)は、デバイス内で生育させる微生物によって異なるが、当業者であれば選択は容易である。概して、このような栄養成分は冷水溶解性である。細菌の生育をサポートする好適な栄養成分は当業者に既知であり、酵母エキス、ペプトン、糖類、及び好適な塩などが挙げられるが、これらに限定されない。任意の実施形態において、第1の及び/又は第2のドライコーティングは、別の微生物又は微生物群よりも、特定の嫌気性微生物又は微生物群の生育を促進する選択剤(例えば、栄養成分、抗生物質、及びこれらの組み合わせ)を更に含み得る。当業者は、それ以外の種々の配合物が使用可能であり、それによって本発明の範囲が損なわれないことを理解されるであろう。
任意の実施形態において、栄養成分又は栄養培地は、特定の嫌気性微生物又は嫌気性微生物集団の生育を促進する。例えば、任意の実施形態において、本開示のデバイスを使用して、硫酸塩還元細菌を生育、同定、及び/又は計数することができる。これらの実施形態では、デバイスに使用される栄養培地は、例えば、ボルトンブロス培地又は改変チャコールセフォペラゾンデオキシコール酸(modified charcoal cefoperazone dexoycholate)(mCCD)培地の原料を含み得る。任意の実施形態において、接種時には、その開示が参照によってその全体が本願に援用される国際公開公報第WO2010/077619号に記載のとおり、血液が培養デバイスに添加され得る。
好ましくは、第1のドライコーティング14が乾燥粉体及び乾燥粉体凝集体を主成分とする場合、第1のドライコーティング14は、ベース材10の内側表面10bの少なくとも一部分上に配置される第1の接着剤層12上に配置される。第1のドライコーティング14は、例えば参照によりその全体が本願に援用される米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、及び同第5,232,838号で説明される配合プロセス、接着剤コーティングプロセス、及び液体コーティングプロセス、並びに/あるいは、ドライコーティングプロセスを使用して、ベース材10上に、又は任意選択的な第1の接着剤層12上に堆積させることができる。
好ましくは、第2のドライコーティング24が乾燥粉体又は乾燥粉体凝集体を主成分とする場合、第2のコーティング24は、カバーシート20の内側表面20bの少なくとも一部分上に配置される第2の接着剤層22上に配置される。第2のドライコーティング24は、例えば参照によりその全体が本願に援用される米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、及び同第5,232,838号で説明される配合プロセス、接着剤コーティングプロセス、及び液体コーティングプロセス、並びに/あるいは、液体コーティングプロセス及び/又はドライコーティングプロセスを使用して、カバーシート20上に、又は任意選択的な第2の接着剤層22上に堆積させることができる。
生育区画60は、ベース材10の内側表面とカバーシート20の内側表面と(それぞれ内側表面10b及び20b)の間に配置される体積として画定され、体積は、第1のドライコーティング14及び/又は第2のドライコーティング24の少なくとも一部分を含む。したがって、水性液体が生育区画に分布するとき、水性液体は、存在する場合第1のドライコーティング14の少なくとも一部、及び/又は存在する場合第2のドライコーティング24の少なくとも一部と流体接触する。生育区画60の厚さは、例えば、培養デバイスに付着した水性液体(図示せず)の体積、試料(図示せず)に付随する固体(例えば、浮遊微粒子及び/若しくはメンブレンフィルタ)の有無、並びに/又は培養デバイス10内のスペーサー部材30に応じ変更してよい。
本開示の培養デバイスは、生育区画に配置された有効量の乾燥状態の二酸化炭素発生剤を含む。本明細書で使用するとき、「乾燥状態/乾燥」は、試薬が実質的に水を含まないことを意味する。「実質的に水を含まない」という表現は、試薬を周囲環境と平衡することを可能にした後、材料(例えば、粉末として、又は脱水された水性コーティングとして提供された材料)のおよその含水量を超えない含水量を有する試薬を意味する。
理論に束縛されるものではないが、二酸化炭素発生剤は、生育区画において水性液体と接触させて活性化したとき、次の溶存種:炭酸、炭酸、及び二酸化炭素の1種以上の塩の平衡を確立する。有利に、有効量の二酸化炭素発生剤は、溶存二酸化炭素濃度を、多様な微生物の生育を促進させるような濃度に上昇させるのに十分である。
好ましくは、任意の実施形態において、二酸化炭素発生剤は、乾燥粉体の形態で提供される。より好ましくは、任意の実施形態において、二酸化炭素発生剤は、粉砕及び分級されて、本質的に106マイクロメートル未満の直径を有する粒子から構成する粒度分布を有する粒子集団を形成する乾燥粉体として提供される。有利に、106マイクロメートル未満の直径を有する粒子は、デバイスに規定量の水性液体を接種し、閉じた後、数日間のインキュベート期間中に生育区画において高濃度CO環境を生成及び維持するのに有効な量で、ベース材又はカバーシートに付着(例えば、ベース材又はカバーシート上にコーティングされた接着剤層に付着)して得る。
有利に、二酸化炭素の発生は培養デバイス中でin situで生じ、これにより、培養デバイス中のCO濃度を周囲よりも高くする目的で、水性培地を外部気体環境(例えば、従来の手順において見られるもの)と平衡させる必要が長期にわたって回避される。更に、任意の実施形態において、水和した(接種した)培養デバイスにおける最高二酸化炭素濃度は、二酸化炭素発生剤の量及び水和した構成要素のpHにより調節され得る。
少なくとも1つの乾燥状態の成分(例えば、ゲル化剤)は、試料材料の、本明細書で記載の培養デバイスの生育区画への導入(例えば、接種)の前、間、又は後に水性液体で水和される。通常、試料材料及び/又は水性液体は、周囲条件(すなわち好気性気体環境)にて培養デバイスの生育区画に導入される。よって、好気的条件下で生育区画に試料が接種された後、培養デバイスの生育区画内の水性液体は、第1の溶存二酸化炭素濃度を含む。培養デバイスにおいて、二酸化炭素発生剤は、生育区画内の水性液体中の第1の溶存二酸化炭素濃度を、第1の溶存二酸化炭素濃度よりも高い第2の溶存二酸化炭素濃度へと上昇させるように機能する。このように接種後の培養デバイスの生育区画内の溶存二酸化炭素濃度が上昇することで、培養デバイス中のカプノフィル菌の生育が促進される。
任意の実施形態において、第1の溶存二酸化炭素濃度から第2の溶存二酸化炭素濃度への上昇は、周囲温度(例えば約23℃)〜約42℃までの温度で生じる。したがって、本開示による方法の任意の実施形態において、培養デバイスの生育区画において、二酸化炭素発生剤を所定量の水性液体と流体接触させた後、第1の溶存二酸化炭素濃度を第2の溶存二酸化炭素濃度に上昇させることを目的として、培養デバイスを高温(すなわち周囲温度以上)でインキュベートする必要がない。
当業者であれば、微生物を培養するのに好適な一定時間内に、本開示の培養デバイスの生育区画において発生する二酸化炭素量は、特に、培養デバイスの生育区画における二酸化炭素発生剤の量に依存すると認識されるであろう。本明細書において、実験結果により、生育区画における二酸化炭素発生剤の量と、CO濃度の上昇速度及び上昇程度との関係を示す。したがって、本開示による生育区画内の二酸化炭素発生剤の量を調節することにより、高濃度CO環境についての要求が様々であるカプノフィル菌の培養に適した培養デバイスを構成することができる。
所望により、本開示の培養デバイスは、緩衝剤、及び/又は有効量の脱酸素剤などといった、その他の、再水和可能な乾燥状態の成分を更に含み得る。
任意の実施形態において、有効量の脱酸素剤及びその濃度は、培養デバイスの生育区画において、脱酸素剤を所定量の水性液体と流体接触させてから約120分以内に、第1の溶存酸素濃度が第2の溶存酸素濃度に低減するよう選択される。任意の実施形態において、有効量の脱酸素剤及びその濃度は、培養デバイスの生育区画において、脱酸素剤を所定量の水性液体と流体接触させてから約60分以内に、第1の溶存酸素濃度が第2の溶存酸素濃度に低減するよう選択される。任意の実施形態において、有効量の脱酸素剤及びその濃度は、培養デバイスの生育区画において、脱酸素剤を所定量の水性液体と流体接触させてから約30分以内に、第1の溶存酸素濃度が第2の溶存酸素濃度に低減するよう選択される。
例えば、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)及びそれらの塩、二価鉄の塩、亜硫酸金属塩、亜硫酸水素塩、及びメタ重亜硫酸塩などの数多くの脱酸素剤が知られている。本開示による好適な脱酸素剤は、培養デバイスにおいて局所的な低酸素環境又は嫌気性環境を生成するのに十分に酸素を消費し、これらの微生物の生育を実質的に阻害せずにデバイスにおいて培養される微生物と流体連通し得る量及び種類の反応生成物を生成する。任意の実施形態において、脱酸素剤は、生育区画におけるベース材又はカバーシートの表面積10cmあたり約1.5マイクロモル〜約15マイクロモルの量で生育区画に配置される。
任意の実施形態において、任意選択的な脱酸素剤は、酸素分子と協調的に作用する複数の試薬を含み得る。このような複数の試薬の例としては、例えば、酸素分子を低減するよう協調的に作用する酵素及び対応する酵素基質が挙げられる。このような脱酸素剤の非限定例は、参照によりその全体が本明細書に援用される、国際公開第WO2015/061213号に見ることができる。
好ましくは、任意の実施形態において、脱酸素剤は、乾燥粉体の形態で提供される。より好ましくは、任意の実施形態において、脱酸素剤は、粉砕及び分級されて、本質的に106マイクロメートル未満の直径を有する粒子から構成する粒度分布を有する粒子集団を形成する乾燥粉体として提供される。有利に、デバイスに所定量の水性液体を接種し、閉じたときに、生育区画において嫌気性環境を生成し、維持する(例えば、最長約24時間のインキュベート、最長約48時間のインキュベート、最長約72時間のインキュベート、最長4日間のインキュベート、最長5日間のインキュベート、最長7日間のインキュベート、少なくとも24時間のインキュベート、少なくとも48時間のインキュベート、少なくとも72時間のインキュベート、少なくとも4日間のインキュベート、少なくとも5日間のインキュベート、少なくとも7日間のインキュベート)のに有効な量で、106マイクロメートル未満の直径を有する粒子として提供される脱酸素剤をベース材又はカバーシートに付着(例えば、ベース材又はカバーシート上にコーティングされた接着剤層に付着)させることができる。
カバーシート20上に配置される任意選択的な接着剤層22に使用される接着剤は、ベース材10上に配置される任意選択的な接着剤層12に使用される接着剤と同じもの又は異なるものであってよい。加えて、カバーシート20上に配置される第2のドライコーティング24は、ベース材10上に配置された第1のドライコーティング14と同一であっても異なっていてもよい。カバーシート20上のコーティングは、ベース材と対面する表面全体を覆うことができるが、培養デバイス100の生育区画60のうち少なくとも一部分を画定する、内側表面20aの少なくとも一部を覆うことが好ましい。
任意の実施形態において、選択剤は、デバイスのドライコーティング中に配置されてよく、又は所望により、生育区画内の接着剤層に溶解され得る。
所望により、本開示の培養デバイスは、培養デバイス中の酸素を示す手段を更に含む。好ましくは、この手段は、デバイス中に存在する酸素の量(例えば、所定の閾値量又は相対量のどちらか)を示すことができる。有利に、この手段は、培養デバイスの生育区画において脱酸素剤が、微好気性微生物、微耐気性微生物又は偏性嫌気性微生物の生育を促進する濃度まで酸素を好適に枯渇したか否か、又は枯渇したときを示し得る。培養デバイス内の酸素検出手段は、当技術分野において既知であり、例えば、酸化還元色素(例えば、メチレンブルー)及び酸素消光性蛍光色素が挙げられる。
この手段は、デバイス内部の酸素の不存在を示す発光化合物であり得る。好適な酸素指示薬は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,689,438号(Kennedy et al.)に開示されている。本開示の培養デバイス用の指示薬として適切な発光化合物は、酸素によって消光される発光を呈する。より正確には、指示薬は、酸素濃度と反比例する放出によって、励起周波数(excitation frequency)に晒されると発光する。指示薬はコーティング、ラミネート加工、又はデバイス内の別の層若しくは別の層の一部分と押出成形されていてよい。このような層は、生育区画内に配置されてよく、所望により、1つ以上の他の酸素透過層によって生育区画と分離される。酸素を示す好適な化合物としては、オクタエチルポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン、テトラベンゾポルフィリン、クロリン、又はバクテリオクロリンの金属誘導体が挙げられる。その他の好適な化合物としては、パラジウムコプロポルフィリン(PdCPP)、白金及びパラジウムのオクタエチルポルフィリン(PtOEP、PdOEP)、白金及びパラジウムのテトラフェニルポルフィリン(PtTPP、PdTPP)、カンファーキノン(CQ)、並びにエリトロシンB(EB)などのキサンテン系色素が挙げられる。その他の好適な化合物としては、2,2′−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、及び4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンなどの配位子を有するルテニウム、オスミウム、及びイリジウム錯体が挙げられる。これらの好適な例としては、トリ(4,7,−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)ルテニウム(II)パークロレート、トリ(2,2′−ビピリジン)ルテニウム(II)パークロレート、及びトリ(1,10−フェナントロリン)ルテニウム(II)パークロレートなどが挙げられる。
本開示の培養デバイスは、所望により、脱イオン水で水和されたときに、かかる水を、培養に好適でありかつ所望によりある種の微生物群を選択的に集積する所定のpHにする、生育区画に配置された乾燥状態の緩衝剤を含む。例えば、任意の実施形態において、所定のpHは、約7.0〜約8.0であり得る。任意の実施形態において、所定のpHは、6.35以下(例えば、約4.5〜約6.35)であり得る。このわずかに酸性のpHは、i)かかる酸性環境の選択性は、試料中に存在し得るその他の微生物よりも耐酸性微生物を生育させるのに望ましい、及びii)酸性環境は炭素生成剤(carbon generating reagent)の平衡をシフトし、溶存COの割合を高くすることができる、といういくつかの利点を提供する。これらの利点の両方が、培養デバイスにおいてある種の微生物(例えば、乳酸菌(LAB))の生育を促進し得る。
本開示のデバイスにおいて使用される緩衝剤は、pKが約8.0以下である任意の微生物学的に適した緩衝剤を含む。緩衝剤の酸性部分及び塩基性部分は、培養デバイスにおいて、所定量の脱イオン水を緩衝剤と接触させたときに、生育区画のpHが特定の微生物又は微生物群の生育及び検出に好適なものになるような比で存在する。好適な緩衝剤としては、例えば、リン酸金属塩、酢酸金属塩、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸及び2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム、コハク酸、並びにコハク酸ナトリウムが挙げられる。当業者であれば、所定量の水性液体(例えば、試料を含む)を生育区画内に配置し、デバイスを閉じたときに、形成される水性混合物の所望されるpHを達成する目的で、酸及び塩基緩衝剤の比を調整できることを認識するであろう。
本開示の培養デバイスは、所望により指示薬を含む。好適な指示薬(例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC))は、培養デバイス中に存在する実質的にすべての微生物を検出し得る。所望により、指示薬は鑑別試薬(differential indicator)としてよく、すなわち、指示薬はある種の微生物を他の微生物から鑑別する。好適な指示薬としては、例えば、pH指示薬、酸化還元指示薬、発色性酵素基質、及び微生物の存在を検出するための蛍光性酵素基質が挙げられる。指示薬は、脱酸素剤を実質的に妨害するものであってはならない。任意の実施形態において、指示薬は、デバイスのドライコーティング中に配置されてよく、又は所望により生育区画内の接着剤層に溶解され得る。
本開示の培養デバイスは、所望により還元剤を含む。好適な指示薬は、生育培地の酸化還元電位を低減させて、これにより嫌気性微生物の生育を促進するのに有用である。好適な還元剤としては、例えば、チオグリコール酸ナトリウム、L−システイン、ジチオスレイトール、ジチオエリトリトール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
任意の実施形態において、生育区画を、水性液体量1mLで水和されるように寸法設定することができる。二酸化炭素は大気中に約330ppmの濃度で存在し、表面水(surface water)は遊離COをわずか約10ppmしか含有しない。カーボネートイオン(例えば、金屬塩の形態)を水性組成物に添加することにより平衡反応が駆動され、結果として、水性組成物中の溶存CO量を増大させることができる。
水は、1ミリリットルあたり約0.54マイクロモルの溶存酸素を含む。μしたがって、第1のドライコーティング及び/又は第2のドライコーティングは、存在する場合好ましくは、約22℃〜約42℃、120分間で少なくとも0.54マイクロモルの酸素を消費するのに十分な脱酸素剤を含む。より好ましくは、第1のドライコーティング及び/又は第2のドライコーティングは、存在する場合、好ましくは約22℃〜約42℃、120分間で少なくとも0.54マイクロモルの酸素を消費するのに十分な脱酸素剤を含む。
任意の実施形態において、第1のドライコーティング及び/又は第2のドライコーティングは、任意の数の他の成分、例えば、色素(例えば、pH指示薬)、架橋剤、試薬(例えば、発色性若しくは蛍光性の酵素基質などの選択的試薬若しくは指示薬)、又は上述の成分の2種以上の組み合わせを含み得る。例えば、一部の用途では、微生物の生育についての指示薬(例えば、pH指示薬、発色性酵素基質、酸化還元色素)を第1の及び/若しくは第2のドライコーティング中、又は第1の及び/若しくは第2のドライコーティングに付着させる接着剤中に組み込むことが望ましい。好適な色素には、微生物の生育により代謝され又は微生物の生育により反応して、コロニーを着色し又は蛍光させて可視化を容易にするものが挙げられる。このような色素として、トリフェニルテトラゾリウムクロライド、p−トリルテトラゾリウムレッド、テトラゾリウムバイオレット、ベラトリルテトラゾリウムブルー及び関連する色素、並びに5−ブロモ−4−クロロインドリルホスフェート二ナトリウム塩が挙げられる。その他の好適な色素としては、微生物の生育中にpHの変化を感知するもの、例えばニュートラルレッドが挙げられる。
一部の用途では、水性液体を用いて再溶解したとき画線接種が可能な硬さのヒドロゲルが生じるように、ドライコーティングを形成することが好ましい。画線接種可能な培地を形成させるため、ゲル化剤を含有する1種以上のドライコーティングに有効量の好適な架橋剤を組み込むことができる。好適な架橋剤は、意図される微生物の生育に実質的な影響を与えない。架橋剤の好適な種類及び量は、当業者により容易に選択される。例えば、グアーガムについては、四ホウ酸カリウム、アルミニウム塩、又はカルシウム塩などの架橋剤が好適であり、有効量、例えば、ドライコーティングの約1.0重量%未満を添加することができる。
少なくとも1つのドライコーティングは、ある種の微生物学的検査を行うために必要な試薬を所望により含み得る。例えば、抗生物質感受性検査を実施するため、抗生物質を含有させることができる。微生物を同定するため、特定の種の微生物が存在すると色が変化する鑑別試薬を含有させることができる。
任意の実施形態において、乾燥状態の緩衝剤、還元剤、二酸化炭素発生剤、及び/又は指示薬は、第1又は第2の接着剤層に付着していない乾燥粉体(例えば、図2及び3の乾燥粉体40)として生育区画に配置され得る。あるいは、乾燥状態の緩衝系、還元剤、二酸化炭素発生剤、及び/又は指示薬は、本明細書に記載のとおり、第1及び/又は第2のコーティングに含まれ得る。
本発明の培養デバイスは、種々の技術を使用して作製することができる。一般的に、デバイスは、手作業によって、あるいは、例えば本明細書並びに米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、及び同第5,232,838号で説明されるように、通常の実験室設備を使用して、作製することができる。
第1の接着剤層及び/又は第2の接着剤層に使用できる好適な感圧接着剤の非限定例は、モル比90/10の2−メチルブチルアクリレート/アクリル酸のコポリマーである。使用することができる他の好ましい感圧接着剤としては、モル比95/5又は94/6のイソオクチルアクリレート/アクリル酸、及びシリコーンゴムが挙げられる。水への暴露時に白化(例えば、不透明化)する接着剤はあまり好ましくないが、不透明なベース材と組み合わせて使用してもよく、又はコロニーの視認が必要とされない場合には使用することができる。高溶融性基剤上に低溶融性基剤がコーティングされた熱活性接着剤、及び/又は粘着液などの水活性接着剤も知られており、本発明で使用することができる。コロニーの視認を容易にする目的で上記のとおり指示薬を組み込むとき、概して、粉体よりも接着剤又はブロスコーティング混合物内に指示薬を組み込むことが好ましい。
第1の接着剤層又は第2の接着剤層を(例えば、ナイフコータを使用して)ベース材又はカバーシートの上面にコーティングして接着剤層を形成する。その厚みは、接着剤に付着した乾燥粉体又は乾燥凝集粉体の平均粒径未満であることが好ましい。概して、粒子を基材(例えば、本明細書に記載する第1又はカバーシート)に付着させるのに十分な接着剤をコーティングするのだが、粒子が接着剤に完全に埋没しない程度の接着剤をコーティングする。概して、厚さ約5μm〜約12μmの接着剤層が好適である。
好ましくは、第1のドライコーティング及び/又は第2のドライコーティング内にゲル化剤を含有させるとき、ゲル化剤は、所定量の、例えば1〜3mL以上の水又は水性試料が生育区画に配置されると、好適な粘度、例えば、ブルックフィールドモデルのL VF粘度計を使用して25℃にて60rpmで測定したときに約1500cps以上を有する、ヒドロゲルを形成するような量で含まれる。この粘度のヒドロゲルは、インキュベート中の培養デバイスの簡便な取り扱い及び積み重ねを可能にし、その培地に鑑別可能なコロニー形成をもたらす。例えば、0.025g〜0.050gの粉末グアーガムを、20.3cmの表面領域上に実質的に均一に広げることで、1〜3mLの水性試料により溶解させたときに、十分な粘性の培地がもたらされる。単位面積当たりのコーティング重量を制御するために、粉末の粒子径を使用できる。例えば、100メッシュのグアーガムが使用される条件下では、重量が約0.05g/20.3cmになるようコーティングされ、400メッシュのグアーガムが使用される条件下では、重量が約0.025g/20.3cmになるようコーティングされる。
任意の実施形態において、第1のドライコーティング又は第2のドライコーティングは、微生物の生育を促進する1種以上の栄養成分を含み得る。コーティングが粉末又は粉末凝集体から本質的に構成されるとき、ゲル化剤と、付着した粉末培地中の栄養成分との好ましい比は、デバイスで生育させる具体的な微生物により決定される。しかしながら、汎用目的では、約4:1〜約5:1(重量を基準とした合計栄養成分に対する合計ゲル化剤)の比率が好ましい。付着した粉末培地における粉末を、実質的に均一な層の適用に好適な任意の手段によって、接着剤層(例えば、第1の接着剤層12及び/又は第2の接着剤層22)に適用することができる。粉末の層を適用するための好適な方法として、シェーカー型デバイスの使用、又は粉末コーターの使用が挙げられる。
当業者であれば、特定の微好気性微生物、微耐気性微生物、又は偏性嫌気性微生物の生育及び検出のため、本開示のデバイスに使用するのに好適な栄養成分を認識するであろう。好適な栄養成分の非限定例としては、ペプトン供給源(例えば、肉エキス、肉ペプトン)、酵母エキス、カゼインの酵素消化物、並びに炭水化物(例えば、マルトース、グルコース、トレハロース、スクロース)が挙げられる。任意の実施形態において、炭水化物は、特定の微生物によるグルコースへと発酵される栄養成分であり得る。
本開示の培養デバイスを使用する場合、存在する微生物コロニーの正確な計数が望まれる場合がある。したがって、任意の実施形態において、本開示の培養デバイスは、ベース材上、又は代わりにカバーシート上にグリッドパターンを含んでよい。グリッドパターンは正方形のグリッドパターン、例えば米国特許第4,565,783号に開示されるような正方形のグリッドパターンを含んでよい。例えば印刷手段のような任意の好適な処理によって、第1又はカバーシート上にグリッドパターンを形成してもよい。
別の態様において、本開示は、上記実施形態のいずれかの内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスを作製する方法を提供する。方法は、冷水溶解性ゲル化剤をベース材の一部上に付着させることを含む。ゲル化剤は、ベース材に付着させるときに乾燥状態であってよく(例えば、実質的に水を含まない粒子の形態)、あるいはゲル化剤は、液体コーティング(例えば、水性液体コーティング)としてベース材に付着させた後、実質的に水を含まない状態にまで乾燥させることができる。方法は、ベース材をカバーシートと隣接させて配置することと、それらの間にスペーサー部材を配置することと、を更に含み、スペーサー部材は、本明細書に記載のとおりの生育区画を画定する開口部を含む。任意の実施形態において、スペーサー部材は、ベース材又はカバーシートに付着され得る(例えば、接着剤により)。
ベース材は、付着したゲル化剤の少なくとも一部が、ベース材とカバーシートとの間に配置された生育区画に面するよう、カバーシートに隣接させて配置される。所望により、任意の実施形態において、第1の接着剤層をベース材に適用してよく(例えば、当該技術分野で既知のコーティングプロセスを使用して)、冷水溶解性ゲル化剤を第1の接着剤層に付着させてよい。
代替的な実施形態では、ゲル化剤のベース材への付着について記載したプロセスのいずかにより冷水溶解性ゲル化剤をカバーシートに付着させてよい。ゲル化剤が液体コーティングされる場合、付着したゲル化剤の乾燥は、当該技術分野で既知の数多くのプロセスにより実施できる。コーティングは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,601,998号に記載のプロセスに従って、オーブン(例えば、重力式オーブン、対流式オーブン)で乾燥させることができる。好ましくは、付着したゲル化剤を、実質的に水を含まなくなるまで乾燥させる。本明細書で使用される「実質的に乾燥」、及び「実質的に水を含まない」などのフレーズは、周囲環境との平衡が可能になった時点で、およそ、乾燥したコーティングの含水量以下の含水量を有するコーティングを指す。
方法は、二酸化炭素発生剤、脱酸素剤(存在する場合)、及び緩衝剤(存在する場合)を培養デバイスの生育区画に配置することを更に含む。任意の実施形態において、脱酸素剤のいずれか1種又はすべて、緩衝剤、及び二酸化炭素発生剤は、乾燥粉体として生育区画に配置され得る。所望により、脱酸素剤のいずれか1種又はすべて、緩衝剤、及び二酸化炭素発生剤は、生育区画において、接着剤(例えば、本明細書に記載のとおりの第1の接着剤層又は第2の接着剤層)に付着させることができる。その他の任意選択的な成分(例えば、指示薬、選択剤、栄養成分)も生育区画に配置され、所望により、接着剤層に付着される。
付着したゲル化剤がベース材とカバーシートとの間の生育区画に面するようベース材をカバーシートに隣接させて配置することは、様々な方法により実施することができる。ゲル化剤の部分が生育区画に重なり合うようにベース材及びカバーシートを互いに隣接させて配置する代表例を図1〜3に示す。この重なり合った配置では、操作者がベース材とカバーシート間に水性液体を載せると、生育区画に存在するゲル化剤、脱酸素剤及び他の乾燥状態の成分が流体連通下に置かれることがわかる。
更に別の態様では、本開示は、微生物を検出する方法を提供する。方法は、上記の実施形態のいずれか1つに培養デバイスの任意の実施形態を使用する。培養デバイスは、ベース材と、カバーシートと、ベース材の内側表面とカバーシートの内側表面との間に配置されたスペーサー部材であって、生育区画の形状及び深さを画定する開口部を含む、スペーサー部材と、生育区画においてベース材又はカバーシートに付着した乾燥状態の冷水溶解性ゲル化剤と、並びに本明細書で記載のとおりの生育区画に配置された有効量の乾燥状態の脱酸素剤と、を含む。
任意の実施形態において、方法は、本開示の任意の実施形態の培養デバイスを、その内部の生育区画へのアクセスを提供する開いた構成で配置することと、所定量の水性液体を生育区画に配置することと、試料を生育区画に配置することと、培養デバイスを閉じることと、培養培地において微生物にコロニーを形成させるのに十分な一定時間にわたり培養デバイスをインキュベートすることと、微生物コロニーを検出することと、を含み、水性液体及び試料を生育区画に配置することと、並びに、培養デバイスを閉じることが、培養デバイスのベース材、カバーシート、及びスペーサーにより取り囲まれた半固体微生物培養培地を形成することを含む。
任意の実施形態において、培養デバイスの水和及び/又は接種に使用される所定量の水性液体は、約0.1ミリリットル〜約10ミリリットルである。任意の実施形態において、培養デバイスでの水和及び/又は接種に使用される所定量の水性液体は、約1ミリリットルである。任意の実施形態において、培養デバイスでの水和及び/又は接種に使用される所定量の水性液体は、約2ミリリットルである。任意の実施形態において、培養デバイスでの水和及び/又は接種に使用される所定量の水性液体は、約3ミリリットルである。任意の実施形態において、培養デバイスでの水和及び/又は接種に使用される所定量の水性液体は、約4ミリリットルである。任意の実施形態において、培養デバイスでの水和及び/又は接種に使用される所定量の水性液体は、約5ミリリットルである。任意の実施形態において、培養デバイスでの水和及び/又は接種に使用される所定量の水性液体は、約10ミリリットルである。任意の実施形態において、培養デバイスの生育領域の水和に使用される水性液体は領域全体に分布し、結果的に生育領域の20.3cmあたり約1ミリリットルの液体となる。
方法のいずれかの実施形態では、所定量を生育区画に配置することは、同時に試料を生育区画に配置することを含む。例えば、試料は液体(例えば、微生物による汚染について検査される水試料又は飲料試料)であってよく、あるいは試料は液体担体又は希釈剤に懸濁された固体又は半固体試料であってよい。
あるいは、任意の実施形態において、所定量を生育区画に配置することは、同時に試料を生育区画に配置することを含まない。例えば、試料は、所定量の(好ましくは無菌)液体担体又は希釈剤を培養デバイスの生育区画に配置する前又は後に生育区画に配置された液体、固体、又は半固体の材料を含み得る。
通常、培養デバイスは、略水平面(generally−level surface)に配置され、かつベース材及びカバーシートを分離する(例えば、カバーシートを引き上げる)ことにより、培養デバイスの生育区画へのアクセスを提供することが可能となり、その間に、生育区画は水和及び/又は接種される。本培養デバイスは、好気性環境(すなわち、空気中)で水和及び/接種が可能である点で有利である。通常、デバイスの水和に使用される水性液体(検査する試料材料を含む場合がある)は、ベース材とカバーシートとの間の生育区画上にピペットにより接種される。所定量の水性液体の生育区画への配置後、培養デバイスを閉じる(例えば、カバーシートをスペーサー部材に接触するまで下げることにより)。所望により、PETRIFILM培養デバイスの接種に使用されるものと類似した、平坦な又は凹状のスプレッダを使用して、培養デバイス内の所定領域全体に水性液体を分布させることができる。
任意の実施形態では、培養デバイスを閉じたときに、生育区画を外部環境から完全に隔離する密封は形成されない。したがって、方法についてのこれらの実施形態において、開放流体経路が、培養デバイス外部の気体環境から、生育区画において取り囲まれた半固体の微生物培養培地までに存在する。驚くべきことに、前述の開放経路があったとしても、カプノフィル菌を培養するのに十分な期間にわたって高濃度CO環境がデバイスにおいて維持される。
方法のいずれかの実施形態では、所定量を生育区画に配置することは、同時に試料を生育区画に配置することを含んでもよい。これらの実施形態では、試料は、水性液体を含んでよく、及び/又は試料は、水性液体に希釈又は懸濁され得る。
あるいは、任意の実施形態において、所定量を生育区画に配置することは、同時に試料を生育区画に配置することを含まない。これらの実施形態では、所定量の水性液体は、試料を生育区画に配置する前又は後に(例えば、ピペットにより)生育区画に配置され得る。例えば、試料は、ゲル化剤を水性液体で水和する前又は後に生育区画に配置されるメンブレンフィルタ上に捕捉できる。
方法のいずれかの実施形態では、試料を生育区画に配置することは、1種以上の添加剤を生育区画に配置することを含む。1種以上の添加剤は、試料と一緒に、又は別個に生育区画に配置され得る。1種以上の添加剤は、本方法の種々の機能を実現することができる。例えば、任意の実施形態において、1種以上の添加剤が、デバイスにおいて対象とする微生物の生育を促進する栄養成分又は栄養培地を含んでよい。このような栄養成分及び栄養培地は当該技術分野で周知されており、培養する具体的な微生物に応じて選択してよい。栄養成分及び栄養培地は、存在する場合、二酸化炭素発生剤又は脱酸素剤を実質的に妨害するものであってはならない。脱酸素剤への妨害については、参照によりその全体が本明細書に援用される国際出願PCT/WO2015/061213号の実施例2〜3に記載のとおりの酸素センサを使用して容易に試験できる。
代替的に又は付加的に、任意の実施形態において、添加剤は、少なくとも1種の他の微生物よりも1種の微生物の生育に有利となる1種以上の選択剤(例えば、抗生物質、塩)を含む。一実施形態では、選択剤は、試料中に存在する他の微生物の生育よりも、ある種の微生物の生育に好ましい。代替的に又は付加的に、任意の実施形態において、添加剤は、微生物の存在を検出するための指示薬(例えば、pH指示薬、酸化還元指示薬、発色性酵素基質、蛍光性酵素基質)を含む。ある種の微生物の検出に有用である選択剤及び指示薬を当業者は理解されるであろう。選択剤及び/又は指示薬は、二酸化炭素発生剤に実質的に妨害するものであってはならない。
任意の実施形態では、有効量の選択剤が、培養デバイスにおいて乳酸菌を実質的に発芽及び生育させ、かつ有効量の選択剤が、大腸菌、黄色ブドウ球菌、クロストリジウム・スポロゲネス、ウェルシュ菌、バクテロイデス・フラジリス、プレボテラ・メラニノゲニカ、及び/又はフソバクテリウムの種の生育を実質的に阻害する。
生育区画において水性液体と接触したとき、乾燥状態の成分(例えば、二酸化炭素発生剤、緩衝剤、脱酸素剤、栄養成分、指示薬、還元剤、及び/又は選択剤)と、水性液体とは、第1の溶存二酸化炭素濃度と、第1の溶存酸素濃度とを含む混合物を形成する。
任意の実施形態において、生育区画における水性混合物中の第1の溶存二酸化炭素濃度は、微生物の生育を補助する濃度であってよい。しかしながら、試料中の微生物の一部又は全部は、高濃度CO環境においてバイオマスを急速に堆積し得る。したがって、これらの実施形態では、任意選択的な二酸化炭素発生剤と水性流体連通させて構成成分を配置して、二酸化炭素生成反応を開始することにより、生育区画における水性混合物中の第1の利用可能な二酸化炭素濃度を、第1の濃度よりも高濃度の第2の濃度に上昇させる。本開示の培養デバイスが接種を受けインキュベートされたとき、追加の利用可能な二酸化炭素は、生育区画で形成されたヒドロゲル中で視認され得る程度(すなわち、直径1mm以上の気泡)に形成される。したがって、二酸化炭素発生剤を含む培養デバイスは、発酵性炭水化物のCOガス(コロニーに隣接する気泡として蓄積する)への発酵の検出を含む方法に使用され得る。
任意の実施形態において、生育区画における水性混合物中の第1の溶存酸素濃度は、偏性嫌気性微生物、微好気性微生物、及び/又は微耐気性微生物の生育を実質的に阻害する濃度であってよい。これらの実施形態では、それらの成分を脱酸素剤(存在する場合)と水性流体連通させると酸素消去反応が開始され、これにより、生育区画内の水性液体中での第1の溶存酸素の濃度は、その第1の濃度よりも低い(例えば、第1の濃度よりも、少なくとも約25%低い、少なくとも約50%低い、少なくとも約60%低い、少なくとも約70%低い、少なくとも約80%低い、少なくとも約90%低い、少なくとも約95%低い、少なくとも約98%低い、少なくとも約99%低い、又は99%超で低い)第2の濃度にまで低減される。
任意の実施形態において、第1の溶存酸素濃度を第2の溶存酸素濃度まで低減させることは、生育区画における水性混合物中の溶存酸素を、LAB(例えば、耐気性LAB又は偏性嫌気性LAB)の生育を補助するのに十分な低さの第2の濃度にまで低減させることを含み得る。
任意の実施形態において、第1の溶存酸素濃度を第2の溶存酸素濃度まで低減させることは、生育区画における水性混合物中の溶存酸素を、混合物の形成後、約120分以内に第2の濃度まで低減させることを含み得る。任意の実施形態において、第1の溶存酸素濃度を第2の溶存酸素濃度まで低減させることは、生育区画における水性混合物中の溶存酸素を、混合物の形成後、約90分以内に第2の濃度まで低減させることを含み得る。任意の実施形態において、第1の溶存酸素濃度を第2の溶存酸素濃度まで低減させることは、生育区画における水性混合物中の溶存酸素を、混合物の形成後、約60分以内に第2の濃度まで低減させることを含み得る。任意の実施形態において、第1の溶存酸素濃度を第2の溶存酸素濃度まで低減させることは、生育区画中の水性混合物において、溶存酸素を、混合物の形成後、約30分以内に第2の濃度まで低減させることを含み得る。任意の実施形態において、第1の溶存酸素濃度を第2の溶存酸素濃度まで低減させることは、生育区画における水性混合物中の溶存酸素を、混合物の形成後、約60分以内に第2の濃度まで低減させることを含み得る。任意の実施形態において、第1の溶存酸素濃度を第2の溶存酸素濃度まで低減させることは、生育区画における水性混合物中の溶存酸素を、混合物の形成後、約45分以内に第2の濃度まで低減させることを含み得る。任意の実施形態において、第1の溶存酸素濃度を第2の溶存酸素濃度まで低減させることは、生育区画における水性混合物中の溶存酸素を、混合物の形成後、約30分以内に第2の濃度まで低減させることを含み得る。
試料材料をデバイス内に配置する前に培養デバイスを水和させる場合は、デバイスを再度開いて培養材料を接種する前に、所望により冷水溶解性ゲル化剤を水和させ、数分間〜約30分以上かけて(例えば、室温で)ゲルを形成することができる。ゲル化剤が水和されゲルを形成するまでの期間、脱酸素剤は、本明細書に記載したように、水和されたゲル化剤中の溶存酸素の濃度を、第1の濃度から微耐気性微生物又は偏性嫌気性微生物の生育を促進する第2の濃度へと低減する。
培養デバイスの生育区画の水和の前又は後に、当該技術分野で知られる様々な方法で、生育区画において、試料材料を乾燥状態の成分と接触させることができる。任意の実施形態において、試料材料は、試料材料を生育区画中に配置することにより乾燥状態の成分と接触する。例えば、これは、ピペットによる操作、生育区画への試料材料の採取に用いたスワブの接触(例えば、スワブによる表面塗抹)、生育区画への白金耳又はニードルの接触(例えば、画線平板法の使用)、あるいは生育区画への試料採取具(例えば、スワブ、スポンジ、又はメンブレンフィルタ)の直接配置と、培養デバイスの閉め直しにより行うことができる。試料を載せ、(培養デバイス中に目視可能な気泡が混入しないように注意して)培養デバイスを再び閉じた後、二酸化炭素発生剤が生育区画における溶存二酸化炭素濃度を上昇させる。
任意の実施形態において、培養デバイスの生育区画における乾燥状態の成分が水和され、ゲル化剤がゲルを形成した後は、培養デバイスをコンタクトプレート(例えば、ロダックプレート)として使用することができる。このようにしてゲルが形成された後、培養デバイスのベース材とカバーシートとを分離して、水和ゲルを露出させる。水和ゲルを試料となる表面と接触させ、培養デバイス中に目視可能な気泡が混入しないように注意して培養デバイスを再度閉じる。デバイスを再度閉じ、水和ゲルを培養デバイス内側の生育区画に戻す。コンタクトプレート操作を周囲空気下で実施することができ、かつ培養デバイスを再度閉じた後は二酸化炭素発生剤によって培養デバイス中に高濃度二酸化炭素環境を構築できる点は有利である。
本方法の任意の実施形態において、試料を生育区画に配置して閉じた後、培養デバイスを一定時間(例えば、所定の期間)インキュベートする。当業者により知られるとおり、インキュベート条件(例えば、インキュベート温度)は、微生物の生育速度に作用し得る。例えば、低温でのインキュベート(例えば、約25℃未満)では、耐冷性細菌が検出されやすくなる。高温でのインキュベート(例えば、約30℃、約32℃、約35℃、約37℃)では、ある種の中温性微生物の急速な生育を促す場合がある。
いくつかの実施形態では、接種後、培養デバイスは、少なくとも約16時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、又は少なくとも約48時間の間インキュベートされ得る。いくつかの実施形態では、培養デバイスは、約24時間以下、約48時間以下、又は約72時間以下の間培養され得る。ある種の実施形態では、培養デバイスは、約24時間〜約48時間培養される。任意の実施形態において、培養デバイスは、生育区画内で生育する微生物コロニーを検出又は計数する前に、約72時間、約96時間、又は約120時間以上の間インキュベートでき、その間、内部の高濃度CO環境を維持することができる。任意の実施形態において、微生物にコロニーを形成させるのに十分な一定時間にわたり培養デバイスをインキュベートすることは、好気性雰囲気下で一定時間にわたり培養デバイスをインキュベートすることを含む(すなわち、インキュベートの際に、培養デバイスが高濃度CO容器及び/又は嫌気性容器又はグローブボックス内に配置されることはない)。
本方法では、接種後の培養デバイスをインキュベートした後、微生物コロニーを検出することを更に含む。微生物コロニーは、当技術分野において既知である種々の手法によって培養デバイス内で検出することができる。好適なインキュベート期間後、観察可能なコロニーの不在、生育指示薬(例えば、pH指示薬、発色性酵素基質、TTCなどの酸化還元指示薬、蛍光性酵素基質)の変化がないことによって、培養デバイスにおいて微生物の不在を検出できる。
微生物コロニー近傍の酸性域は、目視及び/又は撮像装置の使用により検出することができる。例えば、培養培地がpH指示薬としてブロムクレゾールパープルを含む方法では、培地はほぼ中性pH時には紫色又は灰色の外観を示す。微生物が生育して、培養培地内の炭水化物(例えば、グルコース)を発酵させるにつれ、ブロムクレゾールパープル指示薬は、生育している細菌コロニー近傍で黄変する。例えば、培養培地がpH指示薬としてクロロフェノールレッドを含む方法では、培養培地はほぼ中性pH時には赤色又は紫色の外観を示す。微生物が培養培地内の炭水化物を発酵させるにつれ、クロロフェノールレッド指示薬は、生育している微生物コロニー近傍で黄変する。
上記実施形態のいずれにおいても、本方法は、培養デバイスの画像を得ることを更に含み得る。これらの実施形態では、LABの存在を検出することは、培養デバイスの画像を表示する、印刷する、又は分析することを含む。撮像システムは撮像装置を含み、また、プロセッサを含んでもよい。いくつかの実施形態において、撮像装置は、ラインスキャナ又はエリアスキャナ(例えば、カメラ)を含み得る。撮像装置は、単色の(例えば、白黒)又は多色の(例えば、色付き)スキャナを含み得る。有利には、単色の撮像システムは、より解像度の高い画像を準備することができ、結果の精度を向上させる及び/又は培養デバイスの微生物の存在を検出するのに必要な時間を低減することが可能である。
いくつかの実施形態において、撮像システムは、照明システムを更に含む。照明システムは、少なくとも1つの広域スペクトル可視光(例えば、「白色」光)源を含み得る。いくつかの実施形態において、照明システムは、少なくとも1つの狭スペクトル可視光源(例えば、例えば、赤色光、緑色光、又は青色光といった比較的狭帯域幅の可視光を放射する発光ダイオード)を含み得る。特定の実施形態において、照明システムは、発光ピークが事前選択された波長(例えば、約525nm)である狭スペクトル可視光源(例えば、発光ダイオード)を含み得る。
画像は、培養デバイスの生育区画内の成分(例えば、微生物コロニー、生育培地、及び指示薬)によって反射された光から得ることができ、あるいは画像は培養デバイスの生育区画内の成分を透過した光から得ることができる。好適な撮像システム、及び対応する照明システムは、例えば、国際公開第2005/024047号、並びに米国特許出願公開第2004/0101954号及び同第2004/0102903号で説明されており、これらの文献のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。好適な画像システムの非限定例としては、3M Company(St.Paul,MN)から入手可能なPETRIFILM Plate Reader(PPR)、Spiral Biotech(Norwood,MA)から入手可能なPETRISCAN Colony Counter、並びに、Synbiosis(Cambridge,U.K.)から入手可能なPROTOCOL及びACOLYTEプレートスキャナーが挙げられる。
いくつかの実施形態において、画像を得ることは、波長バイアス画像(wavelength−biased image)を得ることを含む。例えば、撮像システムは、撮像装置が収集した光にバイアスをかけるバイアス・フィルタを含み得る。フィルタエレメントは当該技術分野において既知であり、「カットオフ」フィルタ(即ち、ある特定の波長より大きい又は小さい光波長のいずれかを通すことができるフィルタ)及び「バンドパス」フィルタ(即ち、ある特定の上限値と下限値との間の光波長を通すことができるフィルタ)の両方を包含する。バイアス・フィルタは、照明光源と培養デバイスとの間に位置付けることができる。代替的に又は付加的に、バイアス・フィルタは、培養デバイスと撮像装置との間に配置することができる。
例示的な実施形態
実施形態Aは、微生物コロニーを計数するための培養デバイスであって、
反対面となる内側表面及び外側表面を有する第1のベース材と、
反対面となる内側表面及び外側表面を有するカバーシートと、
ベース材とカバーシートとの間に配置されたスペーサー部材であって、ベース材又はカバーシートに結合されており、生育区画の形状及び深さを画定する開口部を含み、スペーサー部材及び生育区画が、ベース材の内側表面とカバーシートの内側表面との間に配置されている、スペーサー部材と、
生育区画においてベース材に接着された第1の接着剤層、又は生育区画においてカバーシートに接着された第2の接着剤層と、
生育区画において第1の接着剤層又は第2の接着剤層に付着した有効量の乾燥状態の二酸化炭素発生剤と、
本質的に106マイクロメートル未満の直径を有する粒子から構成される、二酸化炭素発生剤と、
生育区画において、ベース材又はカバーシートに付着した乾燥状態の冷水溶解性ゲル化剤と、を含み、
カバーシートは、ベース材又はスペーサー部材に結合されている、培養デバイスである。
実施形態Bは、二酸化炭素発生剤が、本質的に106マイクロメートル未満の直径を有する粒子から構成される、実施形態Aに記載の培養デバイスである。
実施形態Cは、生育区画において、第1の接着剤層又は第2の接着剤層に接着された有効量の乾燥状態の脱酸素剤を更に含み、脱酸素剤は本質的に106マイクロメートル未満の直径を有する粒子から構成される、実施形態A又は実施形態Bに記載の培養デバイスである。
実施形態Dは、スペーサー部材が非多孔性である、実施形態A〜Cのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態Eは、生育区画内に配置された、有効量の乾燥状態の緩衝剤を更に備える、実施形態A〜Dのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態Fは、緩衝剤が、生育区画において、ベース材又はカバーシートに付着している、実施形態Eに記載の培養デバイスである。
実施形態Gは、緩衝剤が第1の接着剤層又は第2の接着剤層に付着している、実施形態Fに記載の培養デバイスである。
実施形態Hは、対象とする微生物の生育を促進する乾燥状態の栄養成分を更に備える、実施形態A〜Gのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態Iは、栄養成分が発酵性炭水化物を含む、実施形態Hに記載の培養デバイスである。
実施形態Jは、炭水化物がグルコース、マルトース、スクロース、及びトレハロースからなる群から選択される、実施形態Iに記載の培養デバイスである。
実施形態Kは、栄養成分が、生育区画において、ベース材又はカバーシートに付着している、実施形態H〜Jのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態Lは、栄養成分が第1の接着剤層又は第2の接着剤層に付着している、実施形態Kに記載の培養デバイスである。
実施形態Mは、対象とする嫌気性微生物の生育を検出するための第1の指示薬を更に備える、実施形態A〜Lのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態Nは、第1の指示薬が、生育区画において、ベース材又はカバーシートに付着している、実施形態Mに記載の培養デバイスである。
実施形態Oは、栄養成分が第1の接着剤層又は第2の接着剤層に付着している、実施形態Nに記載の培養デバイスである。
実施形態Pは、対象としない微生物の生育を阻害する有効量の選択剤を更に含む、実施形態A〜Oのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態Qは、選択剤が、シクロヘキシミド、ポリエンマクロライド、アンホテリシンB、ナタマイシン、及びフィリピンからなる群から選択される、実施形態Pに記載の培養デバイスである。
実施形態Rは、選択剤が、生育区画において、ベース材又はカバーシートに付着している、実施形態P又は実施形態Qに記載の培養デバイスである。
実施形態Sは、選択剤が第1の接着剤層又は第2の接着剤層に付着している、実施形態Rに記載の培養デバイスである。
実施形態Tは、有効量の還元剤を更に含む、実施形態A〜Sのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態Uは、還元剤が、チオグリコール酸ナトリウム、ジチオスレイトール、及びジチオエリトリトールからなる群から選択される、実施形態Tに記載の培養デバイスである。
実施形態Vは、還元剤が、生育区画において、ベース材又はカバーシートに付着している、実施形態T又は実施形態Uに記載の培養デバイスである。
実施形態Wは、還元剤が第1の接着剤層又は第2の接着剤層に付着している、実施形態Vに記載の培養デバイスである。
実施形態Xは、二酸化炭素発生剤が金属炭酸塩を含む、実施形態C〜Wのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態Yは、金属炭酸塩が、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される、実施形態Xに記載の培養デバイスである。
実施形態Zは、
ベース材の内側表面が、該内側表面に接着している第1の接着剤を有しており、
生育区画に配置された1つ以上の第1の成分が、第1の接着剤に付着しており、
第1の成分が、ゲル化剤、脱酸素剤、緩衝剤、栄養成分、指示薬、選択剤、還元剤、及び前述の第1の成分のいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、実施形態A〜Yのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態AAは、
第2の成分が、第1の接着剤に配置され、
第2の成分が、指示薬、選択剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態Zに記載の培養デバイスである。
実施形態ABは、
カバーシートの内側表面が、該内側表面に接着している第2の接着剤を有しており、
生育区画に配置された1つ以上の第3の成分が、第2の接着剤に付着しており、
第3の成分が、ゲル化剤、脱酸素剤、緩衝剤、栄養成分、指示薬、選択剤、還元剤、及び前述の第3の成分のいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、実施形態A〜AAのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態ACは、
第4の成分が、第2の接着剤に配置され、
第4の成分が、指示薬、選択剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態ABに記載の培養デバイスである。
実施形態ADは、脱酸素剤が、二価鉄イオン若しくはその塩、又はアスコルビン酸若しくはアスコルビン酸塩、又は酸素を消費する反応を触媒する酵素を含む、実施形態A〜ACのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態AEは、生育区画に配置された第2の乾燥状態の指示薬を更に含み、第2の指示薬は、対象としない微生物及び対象とする微生物の存在を示す、実施形態A〜ADのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態AFは、脱酸素剤が、生育区画におけるベース材又はカバーシートの表面積10cmあたり約1マイクロモル〜約15マイクロモルの量で生育区画に配置されている、実施形態A〜AEのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態AGは、二酸化炭素発生剤が、生育区画におけるベース材又はカバーシートの表面積10cmあたり約1マイクロモル〜約35マイクロモルの量で生育区画に配置されている、実施形態A〜AFのいずれか1つに記載の培養デバイスである。
実施形態AHは、試料中の微生物を検出する方法であって、
実施形態A〜AGに記載の培養デバイスを、その内部の生育区画へのアクセスを提供する開いた構成で配置することと、
所定量の水性液体を生育区画に配置することと、
試料を生育区画に配置することと、
培養デバイスを閉じることと、
培養培地において微生物にコロニーを形成させるのに十分な一定時間にわたり培養デバイスをインキュベートすることと、
微生物コロニーを検出することと、を含み、
水性液体と試料を生育区画に配置すること、並びに、培養デバイスを閉じることが、培養デバイスのベース材、カバーシート、及びスペーサーにより取り囲まれた半固体の微生物培養培地を形成することを含む、方法である。
実施形態AIは、所定量を生育区画に配置することが、同時に試料を生育区画に配置することを含む、実施形態AHに記載の方法である。
実施形態AJは、所定量を生育区画に配置することが、同時に試料を生育区画に配置することを含まない、実施形態AHに記載の方法である。
実施形態AKは、試料を生育区画に配置することが、所定量を生育区画に配置することの後に生じる、実施形態AJに記載の方法である。
実施形態ALは、試料を生育区画に配置することが、所定量を生育区画に配置することの前に生じる、実施形態AJに記載の方法である。
実施形態AMは、試料を生育区画に配置することが、添加剤を生育区画に配置することを含む、実施形態AH〜ALのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態ANは、添加剤を生育区画に配置することが、有効量の選択剤又は指示薬を配置することを含む、実施形態AH〜AMのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態AOは、有効量の選択剤が、培養デバイスにおいて乳酸菌を実質的に生育させ、かつ有効量の選択剤が、大腸菌、黄色ブドウ球菌、クロストリジウム・スポロゲネス、ウェルシュ菌、バクテロイデス・フラジリス、プレボテラ・メラニノゲニカ、及び/又はフソバクテリウムの種の生育を実質的に阻害する、実施形態ANに記載の方法である。
実施形態APは、一定時間にわたり培養デバイスをインキュベートすることが、好気性雰囲気下で一定時間にわたり培養デバイスをインキュベートすることを含む、実施形態AH〜AOのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態AQは、培養デバイスのインキュベート後、微生物コロニーを検出することが、培養デバイスにおいて光学的に検出可能な1つ以上のコロニーを計数することを更に含む、実施形態AH〜APのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態ARは、培養デバイスが、生育区画に配置された指示薬を含み、微生物コロニーを検出することが、指示薬に関連付けられる光学的変化を検出することを含み、光学的変化が、微生物コロニー近傍に検出される、実施形態AH〜AQのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態ASは、光学的変化が色変化を含む、実施形態ARに記載の方法である。
実施形態ATは、1つ以上の微生物コロニーを計数することが、二酸化炭素産生コロニーを非二酸化炭素産生コロニーから鑑別することを更に含む、実施形態AQ〜ASのいずれか1つに記載の方法である。
本発明の目的及び利点を以下の実施例によって更に示すが、これらの実施例に示す特定の材料及び量並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定すると解釈されるべきでない。
実施例1.内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスの作製
図1の培養デバイスに従う内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスを作製した。第1の基材は、厚さ5mil(0.127mm)のポリエステルフィルム(MELINEX等級377二軸延伸ポリエステル(PET)フィルム、DuPont Teijin(Chester,VA)から入手)から構成された。粉末栄養成分配合物(表1に掲載)及びグアーガム(16g/L)を脱イオン水中で撹拌し、実質的に均一な混合物とした。混合物のpHは、5.8+/−0.5を目標とし、目標値に合わせる必要がある場合には、酸又は塩基により調整した。本混合物を米国特許第4,565,783号に記載されているように第1の基材上にナイフコーティングし、対流式オーブン内で210°F(98.9℃)で8分間、乾燥させた。栄養成分層を、0.56g/24in(3.6mg/cm)の目標コーティング重量(乾燥後)が得られる厚さにコーティングした。乾燥後、厚さ約20mil((0.508mm)のポリエチレンフィルムのスペーサー(Optimum Plastics(Bloomer,WI))を、第1の基材上の乾燥したコーティングに、感圧接着剤(98重量%のイソオクチルアクリレートと2重量%のアクリル酸との共重合体)の薄層を介して接着させた。スペーサーは、図1に示すスペーサーにおいて孔部を画定する直径2 3/8インチ(6.03cm)の円型の開口部を備える。円形開口部は、デバイスの生育区画の境界を確定した。
アスコルビン酸ナトリウム(Sigma−Aldrich Corporation(St.Louis,Mo))及び炭酸水素ナトリウム(Sigma−Aldrich Corporation)をそれぞれ粉砕した後、140番のメッシュシーブでふるいにかけた(106マイクロメートル未満の粒径が得られる)。グアーガム(89.75重量%、DuPont Danisco(Copenhagen,Denmark)から入手可能)、ふるいにかけたアスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及びふるいにかけた炭酸水素ナトリウム(0.25重量%)の均質な混合物を調製した。第2の基材は、コーティング量が0.2g/24in(1.3mg/cm)になるよう第2の感圧接着剤(4%のアクリルアミドと共重合させた96重量%のイソオクチルアクリレート)を片面にコーティングした透明なポリエステル(PET)(厚さ0.073mm)フィルムから構成された。グアーガム、ふるいにかけたアスコルビン酸ナトリウム、及びふるいにかけた炭酸水素ナトリウムの均質な混合物を、次に第2の基材の接着剤上にパウダーコーティング(powder coat)した。両面接着テープを使用して、片端部に沿って第2の基材を第1の基材に貼り合わせ、このデバイスを図1に示すものと同様の約3”(7.6cm)×4”(10.1cm)の長方形に切り取った。第2の基材のコーティング面をスペーサー及び生育区画に向けた。
Figure 0006452853
実施例2
実施例1に記載の粉体混合物によりコーティングする代わりに、第2の基材の接着剤をグアーガム(89.7重量%)、アスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及び炭酸水素ナトリウム(0.3重量%)の粉体混合物でコーティングしたことを除き、実施例1の記載に従って内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスが作製された。
実施例3
実施例1に記載の粉体混合物によりコーティングする代わりに、第2の基材の接着剤をグアーガム(89.5重量%)、アスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及び炭酸水素ナトリウム(0.5重量%)の粉体混合物でコーティングしたことを除き、実施例1の記載に従って内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスが作製された。
実施例4
実施例1に記載の粉体混合物によりコーティングする代わりに、第2の基材の接着剤をグアーガム(89.0重量%)、アスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及び炭酸水素ナトリウム(1.0重量%)の粉体混合物でコーティングしたことを除き、実施例1の記載に従って内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスが作製された。
実施例5
実施例1に記載の粉体混合物によりコーティングする代わりに、第2の基材の接着剤をグアーガム(88.0重量%)、アスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及び炭酸水素ナトリウム(2.0重量%)の粉体混合物でコーティングしたことを除き、実施例1の記載に従って内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスが作製された。
実施例6.実施例1〜5に記載のデバイスにおけるCO濃度測定
実施例1〜5に記載の内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスを、pCO mini v2 fiber optic transmitter(PreSens Precision Sensing GmbH,Regensburg,DE cat# 200001207)を使用し、供給元より提供されたCO分圧を測定するソフトウェアを用い、CO生成についてモニターした。カバーシートを持ちあげ、各デバイスを開き、生育区画の生育領域を露出させた。1ミリリットルの無菌のバターフィールド緩衝液を各プレートの生育区画に配置した。薄型COセンサ(直径5mm及び厚さ200マイクロメートル)(Planar pCO Minisensor Spot,PreSens Precision Sensing GmbH,cat# 200001178)を、水和した生育区画に直接配置し、カバーシートを、水和した生育領域及びスペーサーと接触するまで静かに下ろした。閉じたデバイスに対し平らなプラスチック製スプレッダを押し付け、生育区画全体に液体を広げた。デバイスを閉じた後、ポリマー光ファイバーを使用して、センサからの蛍光をモニターした。デバイスを閉じた直後及び90分後に、水和した生育区画におけるCO濃度の測定値を記録した。表2では、90分後に測定されたCO濃度の平均な上昇倍率を報告する(n=5)。
Figure 0006452853
実施例7.内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスの作製及び使用
図1の培養デバイスに従う内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスを作製した。グアーガム(14g/L)を表1の配合物の代わりに表3の栄養成分配合物と組み合わせたことのみを除き、実施例1に記載の手順に従って第1の基材をコーティングし、作製した。
アスコルビン酸ナトリウム(Sigma−Aldrich Corporation(St.Louis,Mo))及び炭酸水素ナトリウム(Sigma−Aldrich Corporation)をそれぞれ粉砕した後、140番のメッシュシーブでふるいにかけた(106マイクロメートル未満の粒径が得られる)。グアーガム(89.7重量%、DuPont Danisco(Copenhagen,Denmark)から入手可能)、ふるいにかけたアスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及びふるいにかけた炭酸水素ナトリウム(0.3重量%)の均質な混合物を調製した。第2の基材は、コーティング量が0.2g/24in(1.3mg/cm)になるよう第2の感圧接着剤(4%のアクリルアミドと共重合させた96重量%のイソオクチルアクリレート)を片面にコーティングした透明なポリエステル(PET)(厚さ0.073mm)フィルムから構成された。微量のトリフェニルトリフェニルテトラゾリウムクロリド(約0.48mg/24in(0.003mg/cm))を接着剤に組み入れた。グアーガム、ふるいにかけたアスコルビン酸ナトリウム、及びふるいにかけた炭酸水素ナトリウムの均質な混合物を、次に第2の基材の接着剤上にパウダーコーティングした。両面接着テープを使用して、片端部に沿って第2の基材を第1の基材に貼り合わせ、このデバイスを図1に示すものと同様の約3”(7.6cm)×4”(10.1cm)の長方形に切り取った。第2の基材のコーティング面をスペーサー及び生育区画に向けた。
細菌株の、ラクトバシラス種、ロイコノストック・メセンテロイデス亜種メセンテロイデス、ロイコノストック・メセンテロイデス亜種デキストラニクム(dextranicum)、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・プランタルム、ラクトバシラス・デルブリュッキ(Lactobacillus delbruekii)、ストレプトコッカス・アラクトリチクス(Streptococcus alactolyticus)、ラクトコッカス・ガルビエ、及びペディオコッカス・アシディラクティシの各試料を食品試料から天然単離物として得た。バターフィールド緩衝液で各懸濁物を調製し、段階希釈して、約100のCFU数となる(各微生物)濃度を有する最終懸濁物を得た。1ミリリットルの各懸濁液を使用して、本実施例に従って作製された個々の培養デバイスに接種した。培養デバイスは、カバーシートを持ち上げて生育区画の生育領域を露出させ、生育領域に1ミリリットルの懸濁液を滴下し、カバーシートを懸濁液及びスペーサーと接触するまで静かに下ろし、閉じたデバイス上で平坦なプラスチック製スプレッダを静かに押して生育区画全体に懸濁液を広げることにより接種した。
接種後、培養デバイスを32℃の好気性インキュベータで48時間インキュベートした。インキュベート後、各培養デバイスの赤色のコロニーを目視検査により計数した。各細菌の平均のコロニー数(n=2)を求めた。
比較対照として、寒天プレートには、本実施例の培養デバイスについて上記で使用したものと同じ希釈度及び用量で各懸濁物も接種した。Lactobacilli MRS Agar(Becton Dickinson Corporation(New Franklin,NJ))を使用して寒天プレートを作製した。寒天(70g)を1Lの純水に段階的に懸濁し、1分間沸騰させて粉末を溶解させ、121℃で15分間オートクレーブ処理し、45〜50℃に冷却した。次に、放冷した培地(ディッシュあたり15〜20mL)を、1mLの各試料懸濁物を入れた無菌ペトリ皿に注ぎ入れた。プレートを一方向に旋回させ、次に逆方向に旋回させて接種菌液を培地全体に広げさせた。接種したディッシュを、インキュベート期間を通じて嫌気性雰囲気を与えるガス生成サシェ(GASPAK EZ Anaerobe Sachet,Becton Dickinson Corp.)と共に嫌気性チャンバ内に置いた。寒天プレートを32℃で48時間インキュベートした。インキュベート後、プレート上のコロニーを目視検査により計数した。各細菌の平均のコロニー数(n=2)を求めた。
表4では、実施例の培養デバイスを使用して求められた平均のコロニー数と、対照寒天プレートを使用して求められた平均のコロニー数とを比較した比を、検査した微生物ごとに示す[すなわち、比=(実施例の培養デバイスを使用した平均のコロニー数)/(対照寒天プレートを使用した平均のコロニー数)]。
Figure 0006452853
Figure 0006452853
実施例8.内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスの作製。
図1の培養デバイスに従う内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスを作製した。ベース材は、厚さ5mil(0.127mm)のポリエステルフィルム(MELINEX等級377二軸延伸ポリエステル(PET)フィルム、DuPont Teijinから入手)から構成された。粉末栄養成分配合物(表5に掲載)及びグアーガム(13g/L)を脱イオン水中で撹拌し、実質的に均一な混合物とした。混合物のpHは、7.2+/−0.5を目標とし、目標値に合わせる必要がある場合には、酸又は塩基により調整した。本混合物を米国特許第4,565,783号に記載されているようにベース材上にナイフコーティングし、対流式オーブン内で210°F(98.9℃)で9分間、乾燥させた。栄養成分層を、0.325g/24in(2.1mg/cm)の目標コーティング重量(乾燥後)が得られる厚さにコーティングした。乾燥後、厚さ約20mil(0.508mm)のポリエチレンフィルムのスペーサー部材(Optimum Plastics)を、第1の基材上の乾燥したコーティングに、感圧接着剤(98重量%のイソオクチルアクリレートと2重量%のアクリル酸との共重合体)の薄層を介して接着させた。スペーサー部材は、デバイスの生育区画の位置を画定する直径2インチ(5.1cm)の円型の開口部を含んだ。
アスコルビン酸ナトリウム(Sigma−Aldrich)及び炭酸水素ナトリウム(Sigma−Aldrich)をそれぞれ粉砕した後、140番のメッシュシーブでふるいにかけた(106マイクロメートル未満の粒径が得られる)。グアーガム(99.15重量%、DuPont Danisco(Copenhagen,Denmark)から入手可能)、ふるいにかけたアスコルビン酸ナトリウム(0.25重量%)、及びふるいにかけた炭酸水素ナトリウム(0.6重量%)の均質な混合物を調製した。カバーシートは、コーティング量が0.2g/24in(1.3mg/cm)になるよう第2の感圧接着剤(4%のアクリルアミドと共重合させた96重量%のイソオクチルアクリレート)を片面にコーティングした透明なポリエステル(PET)フィルム(厚さ0.073mm)から構成された。グアーガム、ふるいにかけたアスコルビン酸ナトリウム、及びふるいにかけた炭酸水素ナトリウムの均質な混合物を、次にカバーシートの接着剤上にパウダーコーティングした。両面接着テープを使用して、片端部に沿ってカバーシートを第1の基材に貼り合わせ、このデバイスを図1に示すものと同様の約3”(7.6cm)×4”(10.1cm)の長方形に切り取った。カバーシートのコーティング面をスペーサー部材及び生育区画に向けた。
実施例9.内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスの作製。
実施例8に記載の粉体混合物によりコーティングする代わりに、カバーシートの接着剤をグアーガム(97.25重量%)、アスコルビン酸ナトリウム(0.25重量%)、及び炭酸水素ナトリウム(2.5重量%)の粉体混合物でコーティングしたことを除き、実施例8に記載の手順に従って内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスが作製された。
実施例10.内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスの作製。
実施例8に記載の粉体混合物によりコーティングする代わりに、カバーシートの接着剤をグアーガム(95.75重量%)、アスコルビン酸ナトリウム(0.25重量%)、及び炭酸水素ナトリウム(4重量%)の粉体混合物でコーティングしたことを除き、実施例8に記載の手順に従って内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスが作製された。
Figure 0006452853
実施例11.実施例8〜10に記載のデバイスにおけるCO濃度測定
実施例6に記載の手順を使用して、CO生成について、実施例8〜10に記載の内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスをモニターした。表6では、90分後に測定されたCO濃度の平均な上昇倍率を報告する(n=5)。
Figure 0006452853
実施例12.内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスの作製。
図1の培養デバイスに従う内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスを作製した。ベース材は、厚さ5mil(0.127mm)のポリエステルフィルム(MELINEX等級377二軸延伸ポリエステル(PET)フィルム、DuPont Teijinから入手)から構成された。粉末栄養成分配合物(表7に掲載)及びグアーガム(13g/L)を脱イオン水中で撹拌し、実質的に均一な混合物とした。混合物のpHは、7.2+/−0.5を目標とし、目標値に合わせる必要がある場合には、酸又は塩基により調整した。本混合物を米国特許第4,565,783号に記載されているようにベース材上にナイフコーティングし、対流式オーブン内で210°F(98.9℃)で8分間、乾燥させた。栄養成分層を、0.348g/24in(2.25mg/cm)の目標コーティング重量(乾燥後)が得られる厚さにコーティングした。乾燥後、厚さ約20mil(0.508mm)のポリエチレンフィルムのスペーサー部材(Optimum Plastics)を、ベース材上の乾燥したコーティングに、感圧接着剤(98重量%のイソオクチルアクリレートと2重量%のアクリル酸との共重合体)の薄層を介して接着させた。スペーサー部材は、デバイスの生育区画の境界を画定する直径2 3/8インチ(6.0cm)の円型の開口部を含む。
アスコルビン酸ナトリウム(Sigma−Aldrich Corporation)及び炭酸水素ナトリウム(Sigma−Aldrich)をそれぞれ粉砕した後、140番のメッシュシーブでふるいにかけた(106マイクロメートル未満の粒径が得られる)。グアーガム(89重量%、DuPont Danisco(Copenhagen,Denmark)から入手可能)、ふるいにかけたアスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及びふるいにかけた炭酸水素ナトリウム(1重量%)の均質な混合物を調製した。カバーシートは、コーティング量が0.2g/24in(1.3mg/cm)になるよう第2の感圧接着剤(4%のアクリルアミドと共重合させた96重量%のイソオクチルアクリレート)を片面にコーティングした透明なポリエステル(PET)フィルム(厚さ0.073mm)から構成された。グアーガム、ふるいにかけたアスコルビン酸ナトリウム、及びふるいにかけた炭酸水素ナトリウムの均質な混合物を、次にカバーシートの接着剤上にパウダーコーティングした。両面接着テープを使用して、片端部に沿ってカバーシートをベース材に貼り合わせ、このデバイスを図1に示すものと同様の約3”(7.6cm)×4”(10.1cm)の長方形に切り取った。カバーシートのコーティング面をスペーサー部材及び生育区画に向けた。
Figure 0006452853
実施例13.内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスの作製。
実施例12に記載の粉体混合物でコーティングする代わりに、カバーシートの接着剤をグアーガム(87.5重量%)、アスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及び炭酸水素ナトリウム(2.5重量%)の粉体混合物でコーティングしたことを除き、実施例12の記載に従って内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスが作製された。
実施例14.内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスの作製。
実施例12に記載の粉体混合物によりコーティングする代わりに、カバーシートの接着剤をグアーガム(85重量%)、アスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及び炭酸水素ナトリウム(5重量%)の粉体混合物でコーティングしたことを除き、実施例12の記載に従って内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスが作製された。
実施例15.内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスの作製。
実施例12に記載の粉体混合物によりコーティングする代わりに、カバーシートの接着剤をグアーガム(80重量%)、アスコルビン酸ナトリウム(10重量%)、及び炭酸水素ナトリウム(10重量%)の粉体混合物でコーティングしたことを除き、実施例12の記載に従って内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスが作製された。
実施例16.実施例12〜15に記載のデバイスにおけるCO濃度測定。
実施例6に記載の手順を使用して、CO生成について、実施例12〜15に記載のの内蔵型嫌気性環境生成培養デバイスをモニターした。表8では、90分後に測定されたCO濃度の平均な上昇倍率を報告する(n=5)。
Figure 0006452853
本明細書に引用するすべての特許、特許出願及び公開公報、並びに電子的に入手可能な資料の開示内容の全体を、参照により援用する。本出願の開示内容と本明細書に援用されたいずれかの文書の開示内容との間になんらかの矛盾が存在する場合には、本出願の開示内容が優先するものとする。上記の詳細な説明及び実施例は、理解しやすいように示したものにすぎない。それによって不要な限定がなされるものではない。本発明は図示及び記載された細部そのものに限定されず、当業者に明白な変形形態は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれる。
すべての見出しは読者の便宜のためのものであり、明記しない限り、見出しに続く文の意味を限定するために使用されるものではない。
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことが可能である。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれるものである。

Claims (12)

  1. カプノフィルな微生物コロニーを計数するための培養デバイスであって、
    反対面となる内側表面及び外側表面を有するベース材と、
    反対面となる内側表面及び外側表面を有するカバーシートと、
    前記ベース材と前記カバーシートとの間に配置されたスペーサー部材であって、前記ベース材又は前記カバーシートに結合されており、生育区画の形状及び深さを画定する開口部を含み、前記スペーサー部材及び前記生育区画が、前記ベース材の前記内側表面と前記カバーシートの前記内側表面との間に配置されている、スペーサー部材と、
    前記生育区画において前記ベース材に接着された第1の接着剤層、又は前記生育区画において前記カバーシートに接着された第2の接着剤層と、
    前記生育区画において前記第1の接着剤層又は前記第2の接着剤層に付着した有効量の乾燥状態の二酸化炭素発生剤と、
    前記生育区画において、前記ベース材又は前記カバーシートに付着した乾燥状態の冷水溶解性ゲル化剤と、
    前記第1の接着剤層又は前記第2の接着剤層に付着した前記生育区画において、前記第1の接着剤層又は前記第2の接着剤層に付着した有効量の乾燥状態の脱酸素剤と、を含み、
    前記カバーシートが、前記ベース材又は前記スペーサー部材に結合されており、
    前記乾燥状態の脱酸素剤はアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩である、培養デバイス。
  2. 前記二酸化炭素発生剤が、106マイクロメートル未満の直径を有する粒子から構成される、請求項1に記載の培養デバイス。
  3. 記脱酸素剤が、106マイクロメートル未満の直径を有する粒子から構成される、請求項1又は請求項2に記載の培養デバイス。
  4. 対象としない微生物の生育を阻害するための有効量の選択剤を更に含み、前記選択剤が、前記生育区画において前記ベース材又は前記カバーシートに付着している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の培養デバイス。
  5. 有効量の還元剤を更に含み、前記還元剤が、前記生育区画において前記ベース材又は前記カバーシートに付着している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の培養デバイス。
  6. 前記ベース材の前記内側表面が、該内側表面に接着されている前記第1の接着剤を有しており、
    前記生育区画に配置された1つ以上の第1の成分が、前記第1の接着剤に付着しており、
    前記第1の成分が、ゲル化剤、脱酸素剤、緩衝剤、栄養成分、指示薬、選択剤、還元剤、及び前述の第1の成分のうちのいずれか2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の培養デバイス。
  7. 前記生育区画と流体連通させて配置された第2の指示薬を更に含み、前記第2の指示薬が、対象としない微生物及び対象とする微生物の存在を示す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の培養デバイス。
  8. 試料中のカプノフィルな微生物を検出する方法であって、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の培養デバイスを、その内部の前記生育区画へのアクセスを提供する開いた構成で配置することと、
    所定量の水性液体を前記生育区画に配置することと、
    試料を前記生育区画に配置することと、
    前記培養デバイスを閉じることと、
    培養培地において微生物コロニーを形成させるのに十分な一定時間にわたり前記培養デバイスをインキュベートすることと、
    前記微生物コロニーを検出することと、を含み、
    前記水性液体及び前記試料を前記生育区画に配置すること、並びに、前記培養デバイスを閉じることが、前記培養デバイスの前記ベース材、前記カバーシート及びスペーサーにより取り囲まれた半固体の微生物培養培地を形成することを含む、方法。
  9. 前記試料を前記生育区画に配置することが、添加剤を前記生育区画に配置することを含み、前記添加剤が、有効量の選択剤又は微生物の生育を検出するための指示薬を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記有効量の前記選択剤が、前記培養デバイスにおいて乳酸菌を生育させ、かつ前記有効量の前記選択剤が、大腸菌、黄色ブドウ球菌、クロストリジウム・スポロゲネス、ウェルシュ菌、バクテロイデス・フラジリス、プレボテラ・メラニノゲニカ、及び/又はフソバクテリウムの種の生育を阻害する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記培養デバイスのインキュベート後に、前記微生物コロニーを検出することが、前記培養デバイスにおいて光学的に検出可能な1つ以上のコロニーを計数することを更に含み、前記1つ以上の微生物コロニーを計数することが、二酸化炭素産生コロニーを非二酸化炭素産生コロニーから鑑別することを更に含む、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 一定時間にわたり前記培養デバイスをインキュベートすることが、好気性雰囲気下で前記一定時間にわたり前記培養デバイスをインキュベートすることを含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
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