JP6452487B2 - 位相差測定器 - Google Patents

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本発明は、位相差測定器に関する。
規則的に配列された複数のアンテナ素子で構成されたアレーアンテナシステムによるビームフォーミングは、所定の励振条件で(例えば適切な位相を持つように)各アンテナ素子に給電することによって、アンテナ指向性利得を所望の方向で最大化する技術である。
図1にアレーアンテナシステムの例および当該システムによって得られるアンテナ放射パターンの例を示す。図1は、N個のアンテナ素子で構成されるリニアアレーアンテナシステムを例示している。形成されるビームのアンテナ指向性利得が最大となる方向がエンドファイアLの垂線に対して角度θとなるように、隣接する二つのアンテナ素子に入力される二つの入力信号の間の位相差φを設定する場合、θとφの間には以下の関係がある。θ=arcsin(λφ/d)
ここで、dは隣接する二つのアンテナ素子の距離であり、λは波長である。
この式から分かるように、位相差φが変化すると、角度θが変化し、所望の方向にビームを形成できなくなる。また、各アンテナ素子に送られる入力信号間の位相差が所定値と異なる場合、所望方向での指向性利得が低下するだけでなく、その周囲により高い干渉を与える可能性もある。このため、入力信号間の位相差は、ビームフォーミング機能を有するアレーアンテナシステムの正常性を判断する一つの指標となる。位相差の測定は、先行技術文献を挙げるまでもなく例えばロックインアンプやベースバンドシグナルアナライザなどで実現できる。
ロックインアンプの例からも明らかなように、同じ周波数の二つの入力信号間の位相差φは、二つの入力信号を乗算し、乗算結果の低域成分の電圧を観測することによって測定が可能である。ここで、低域成分の電圧は位相差φの余弦関数として表される。このため、電圧振幅が最大および最小となる周辺では、位相差φの変化に対する電圧値変動が小さくなり、位相差φの測定精度が著しく低下する。また、ベースバンドシグナルアナライザは種々の機能を実現する構成を有しているものの高価である。
本発明は、簡易な構成でありながら位相差を高い感度で測定可能な位相差測定器を提供することを目的とする。
本発明の位相差測定器は、第1の入力信号の位相を変化させることのできる移相器と、移相器の出力信号と第2の入力信号とを電力合成する合成器と、合成器の出力の電力値を測定する電力測定部とを含む。
あるいは、本発明の位相差測定器は、N個(ただし、Nは予め定められた整数でありN≧3を満たす)の入力信号のうち第Nの入力信号と当該第Nの入力信号以外の任意の第n(ただし、nは1以上N−1以下の各整数を表す)の入力信号との位相差を測定可能な位相差測定器であって、第Nの入力信号をN−1個に電力分配する電力分配器と、N−1個の移相器と、N−1個の合成器と、電力測定部とを含む。第nの移相器は、電力分配器の第nの出力信号の位相を変化させることができ、第nの合成器は、第nの移相器の出力信号と第nの入力信号とを電力合成し、電力測定部は、入力された合成器の出力の電力値を測定する。
本発明は、位相差を高い感度で測定できるように一つの入力信号の位相を移相器によって調整する構成であるから、簡易な構成でありながら位相差を高い感度で測定できる。
アレ―アンテナシステムとアンテナ放射パターンの例。(a)ビームのアンテナ指向性利得が最大となる方向θとエンドファイアとの関係。(b)隣接する二つのアンテナ素子に入力される二つの入力信号の間の位相差φと方向θとの関係。 第1実施形態の位相差測定器の構成例。 第1の入力信号の位相を移相しない場合の電力値の波形例。 第1の入力信号の位相を移相した場合の電力値の波形例。 第2実施形態の位相差測定器の構成例。 第3実施形態の位相差測定器の構成例。 第4実施形態の位相差測定器の構成例。 第1参考形態の位相差測定器の構成例。 第1の入力信号の位相を移相しない場合の電圧値の波形例。 第1の入力信号の位相を移相した場合の電圧値の波形例。 第2参考形態の位相差測定器の構成例。 第3参考形態の位相差測定器の構成例。 第4参考形態の位相差測定器の構成例。
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下、各実施形態において共通の構成要素には同じ符号を割り当てて重複説明を省略する。
<第1実施形態>
図2に本発明による第1実施形態を示す。第1実施形態の位相差測定器100は、二つの入力信号(第1の入力信号と第2の入力信号)の位相差を測定可能な位相差測定器であり、第1の入力信号の位相を変化させることのできる移相器110と、移相器110の出力信号と第2の入力信号とを電力合成する合成器130と、合成器130の出力の電力値を測定する電力測定部180と、電力測定部180によって得られた電力値から位相差を求める位相差出力部190を含む。第1の入力信号が入力される第1端子101aは、二つのアンテナ素子で構成されているアレーアンテナシステムにおける一方のアンテナ素子への給電線に直接または例えば分配器を介して接続されており、第2の入力信号が入力される第2端子101bは当該アレーアンテナシステムにおける他方のアンテナ素子への給電線に直接または例えば分配器を介して接続されている。この場合、第1の入力信号と第2の入力信号は位相同期している。
移相器110は、所定の移相量だけ第1の入力信号の位相を変化させることができる。なお、正確を期すと、移相量がゼロの場合も許容されるので、この場合、移相器110は第1の入力信号の位相を変化させない、と言うべきである。しかし、移相量がゼロか否かに応じて言葉遣いを替えることによる冗長な説明を避けるため、以下の説明では、特に断りの無い限り、移相量がゼロの場合であっても「移相器は、…を変化させる」という表現を用いることにする。
上述の「所定の移相量」について説明する。この実施形態では、アレーアンテナシステムの正常性の点検のために位相差測定器100を使用することを想定している。このため、アレーアンテナシステムにおける二つの入力信号間の設計位相差Φは既知であり、また、通常、アレーアンテナシステムにおける二つの入力信号間の実際の位相差は大きくないものと想定されることを考慮して、位相差φに対する電力値を表す関数が当該設計位相差Φにて奇関数となるように「所定の移相量」が定められる。
このことを具体的に説明する。第1の入力信号と第2の入力信号を合成器130で合成して得られる信号の電力値の、入力信号間の位相差φに対する波形は、図3に示すように正弦関数として表される。このとき、入力信号間の設計位相差Φが90度の場合に位相差を測定すると、電力測定部180によって位相差φが90度の近傍での電力値が得られると期待されるが、位相差φが90度の近傍では位相差φに対する電力値の振幅変動が小さいため、位相差φを正確に測定することが難しい。例えば図3によると、電力値の0.1mWあたりの位相差変化はおよそ26度となる。また、位相差φが90度での縦軸に関して電力値の波形が線対称となるため、電力値から位相差の正負の判別がつかない。例えば、位相差φが89度の場合でも91度の場合でも電力値は同じである。このため、移相器110の移相量δを90度に設定する。この場合の入力信号間の位相差φに対する電力値の波形を図4に示す。移相量δを90度に設定することによって位相差φに対する電力値の波形は設計位相差Φ=90度で電力値がゼロとなる正弦関数(奇関数)として表されるので、位相差φが90度の近傍における電力値から位相差の正負の判別が可能となる。また、移相量δがゼロの場合と比較して位相差φが90度の近傍では位相差φに対する電力値の振幅変動が大きくなるため、位相差φをより正確に測定することが可能となる。図4によると、電力値の0.1mWあたりの位相差変化はおよそ4度である。したがって、移相量δを90度に設定した場合の位相差φの測定精度は、移相量δを設定しない場合の位相差φの測定精度の約6倍になる。このように、アレーアンテナシステムにおける入力信号間の設計位相差は既知であるから、移相器110の移相量を入力信号間の設計位相差に応じて設定することによって、位相差の高感度な測定が可能となる。
<第2実施形態>
図5に本発明による第2実施形態を示す。第2実施形態の位相差測定器200は、以下の点で、第1実施形態の位相差測定器100と異なる。
(1)位相差測定器200は、合成器130の出力の電力値と所定の閾値とを比較する電力比較器150を含んでいる。
(2)位相差測定器200の移相器110は、移相量を変更可能な移相器である(以下、この移相器110を可変移相器111と呼称する)。
(3)位相差測定器200は、閾値と、移相量に応じて変化する合成器130の出力の電力値と、の大小関係が変わる時の移相量が、可変移相器111の移相量に設定されるように構成されている。
第1実施形態では、二つの入力信号間の設計位相差が既知であることを前提に、予め移相器110の移相量を入力信号間の設計位相差に応じて設定した。これに対して、第2実施形態では、二つの入力信号間の設計位相差が既知でない場合でも、位相差φに対する電力値を表す関数が二つの入力信号間の設計位相差にて奇関数となるような「所定の移相量」を求めて、第1実施形態と同じ原理で位相差を測定する実施形態である。
可変移相器111の移相量を連続的或いは離散的に変化させると、移相量に応じて合成器130の出力の電力値が得られる。なお、離散的に変化させる場合は、通常、移相量の微小変化量とその符号を固定して、順次、移相量を得る。電力比較器150は、移相量に応じて得られる合成器130の出力の電力値と、閾値と、を比較する。この比較によって、合成器130の出力の電力値と閾値との大小関係が移相量に応じて分かる。移相量に応じて得られる合成器130の出力の電力値と、閾値と、の大小関係が変わる時の移相量を、可変移相器111の移相量に設定し、この時に得られる合成器130の出力の電力値から位相差出力部190によって位相差が求められる。
閾値について、例えば、入力信号間の位相差φに対する電力値の波形が点対称となる時の電力値が既知であれば、当該電力値が閾値に予め設定される。或いは、例えば図示しない閾値設定部が入力信号の電力から入力信号間の位相差φに対する電力値の波形が点対称となる時の電力値を求め、得られた電力値を閾値として設定してもよい。
可変移相器111の移相量の変更は、例えば、図示しない移相量設定部が制御信号を可変移相器111に送り、可変移相器111は受信した制御信号に応じて連続的或いは離散的に移相量を設定することによって、実現できる。また、第2実施形態の例では、電力比較器150は、合成器130の出力の電力値と閾値との大小関係が変わるとトリガ信号を発し、可変移相器111はトリガ信号を受信すると移相量の変更を停止し、その時の移相量が位相差測定に用いられる移相量として設定される。
<第3実施形態>
図6に本発明による第3実施形態を示す。第3実施形態の位相差測定器300は、N個(ただし、Nは予め定められた整数でありN≧3を満たす)の入力信号のうち第Nの入力信号と当該第Nの入力信号以外の任意の第n(ただし、nは1以上N−1以下の各整数を表す)の入力信号との位相差を測定可能な位相差測定器であり、いわば第1実施形態の位相差測定器100の構成を拡張した形態である。第3実施形態の位相差測定器300の個々の位相差の測定原理は、第1実施形態の位相差測定器100のそれと同じである。
位相差測定器300は、第Nの入力信号をN−1個に電力分配する電力分配器160と、N−1個の移相器110(1),110(2),110(3),…,110(N−1)と、N−1個の合成器130(1),130(2),130(3),…,130(N−1)と、電力測定部180と、位相差出力部190を含む。第nの移相器110(n)は、電力分配器160の第nの出力信号の位相を変化させることができる。第Nの入力信号と第nの入力信号との位相差を測定する際の第nの移相器110(n)の移相量については、第1実施形態において「第1の入力信号」を「第Nの入力信号」に、「第2の入力信号」を「第nの入力信号」にそれぞれ読み替えたときの説明のとおりである。また、第nの合成器130(n)は、第nの移相器110(n)の出力信号と第nの入力信号とを電力合成する。電力測定部180は、入力された合成器130(1),130(2),130(3),…,130(N−1)それぞれの出力の電力値を測定する。位相差出力部190は、電力測定部180によって得られた個々の電力値から、第Nの入力信号と第1の入力信号との位相差、第Nの入力信号と第2の入力信号との位相差、第Nの入力信号と第3の入力信号との位相差、…、第Nの入力信号と第N−1の入力信号との位相差をそれぞれ求める。
第m(ただし、mは1以上N以下の各整数を表す)の入力信号が入力される第m端子101(m)は、N個のアンテナ素子で構成されているアレーアンテナシステムにおける第mのアンテナ素子への給電線に直接または例えば分配器を介して接続されている。この場合、N個の入力信号は位相同期している。
第3実施形態の位相差測定器300は、第2実施形態と同様に、電力測定部180によって得られた各合成器130(1),130(2),130(3),…,130(N−1)の出力の電力値と、所定の閾値と、をそれぞれ比較する電力比較器150を含んでもよい。この場合、各移相器110(1),110(2),110(3),…,110(N−1)は、移相量を変更可能な移相器、つまり可変移相器である。また、この場合の位相差測定器300は、第2実施形態と同様に、閾値と、移相量に応じて変化する第nの合成器130(n)の出力の電力値と、の大小関係が変わる時の移相量が、第nの移相器110(n)の移相量に設定されるように構成されている。このような構成については、第2実施形態において「第1の入力信号」を「第Nの入力信号」に、「第2の入力信号」を「第nの入力信号」にそれぞれ読み替えたときの説明のとおりである。
<第4実施形態>
図7に本発明による第4実施形態を示す。第4実施形態の位相差測定器400は、第3実施形態の位相差測定器300の変形例であり、位相差測定器400と位相差測定器300とで異なる事項についてのみ説明する。
第4実施形態の位相差測定器400は、単極N−1投スイッチ170を含んでいる。単極N−1投スイッチ170のN−1個の入力側接点はそれぞれN−1個の合成器130(1),130(2),130(3),…,130(N−1)のうちいずれかに接続されており、単極N−1投スイッチ170の1個の出力側接点は電力測定部180に接続されている。この構成によると、スイッチ170による選択に応じて、N−1個の位相差(第Nの入力信号と第1の入力信号との位相差、第Nの入力信号と第2の入力信号との位相差、第Nの入力信号と第3の入力信号との位相差、…、第Nの入力信号と第N−1の入力信号との位相差)が時分割で得られる。
上述のいずれの実施形態であっても、合成器を使用しているため、入力信号が変調信号であっても不要な相互変調ひずみを発生することがなく、無変調連続波と同じ精度で位相差を測定することができる。合成器として、例えば、ウィルキンソンカプラ、ブランチラインカプラなどを使用できる。ただし、ブランチラインカプラのように合成器に入力される信号間に位相差Xが発生する場合には、位相差出力部は、当該位相差Xを考慮して、位相差を求めるように設計される。
この他、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
<参考例>
上述の各実施形態の位相差測定器は合成器を用いて構成されていたが、以下、合成器に替えて乗算器(あるいは混合器)を用いて構成された位相差測定器を上記各実施形態に対応する参考形態として説明する。なお、上述の実施形態と下記の参考形態とは類似しているが、実施形態とは独立して説明する。
<第1参考形態>
図8に第1参考形態を示す。第1参考形態の位相差測定器500は、二つの入力信号(第1の入力信号と第2の入力信号)の位相差を測定可能な位相差測定器であり、第1の入力信号の位相を変化させることのできる移相器110と、移相器110の出力信号と第2の入力信号とをミキシングする乗算器510と、乗算器510の出力の低域成分を通過させるローパスフィルタ520と、ローパスフィルタ520の出力の電圧値を測定する電圧測定部530と、電圧測定部530によって得られた電圧値から位相差を求める位相差出力部190を含む。第1の入力信号が入力される第1端子101aは、二つのアンテナ素子で構成されているアレーアンテナシステムにおける一方のアンテナ素子への給電線に直接または例えば分配器を介して接続されており、第2の入力信号が入力される第2端子101bは当該アレーアンテナシステムにおける他方のアンテナ素子への給電線に直接または例えば分配器を介して接続されている。この場合、第1の入力信号と第2の入力信号は位相同期している。
移相器110は、所定の移相量だけ第1の入力信号の位相を変化させることができる。なお、正確を期すと、移相量がゼロの場合も許容されるので、この場合、移相器110は第1の入力信号の位相を変化させない、と言うべきである。しかし、移相量がゼロか否かに応じて言葉遣いを替えることによる冗長な説明を避けるため、以下の説明では、特に断りの無い限り、移相量がゼロの場合であっても「移相器は、…を変化させる」という表現を用いることにする。
上述の「所定の移相量」について説明する。この参考形態では、アレーアンテナシステムの正常性の点検のために位相差測定器500を使用することを想定している。このため、アレーアンテナシステムにおける二つの入力信号間の設計位相差Φは既知であり、また、通常、アレーアンテナシステムにおける二つの入力信号間の実際の位相差は大きくないものと想定されることを考慮して、位相差φに対する電圧値を表す関数が当該設計位相差Φにて奇関数となるように「所定の移相量」が定められる。
このことを具体的に説明する。第1の入力信号と第2の入力信号を乗算器510でミキシングして得られる信号の電圧値の、入力信号間の位相差φに対する波形は、図9に示すように余弦関数として表される。このとき、入力信号間の設計位相差Φが0度の場合に位相差を測定すると、電圧測定部530によって位相差φが0度の近傍での電圧値が得られると期待されるが、位相差φが0度の近傍では位相差φに対する電圧値の振幅変動が小さいため、位相差φを正確に測定することが難しい。例えば図9によると、電力値の0.1Vあたりの位相差変化はおよそ25度となる。また、位相差φが0度での縦軸に関して電圧値の波形が線対称となるため、電圧値から位相差の正負の判別がつかない。例えば、位相差φが1度の場合でも−1度の場合でも電圧値は同じである。このため、移相器110の移相量δを90度に設定する。この場合の入力信号間の位相差φに対する電圧値の波形を図10に示す。移相量δを90度に設定することによって位相差φに対する電圧値の波形は設計位相差Φ=0度で電圧値がゼロとなる正弦関数(奇関数)として表されるので、位相差φが0度の近傍における電圧値から位相差の正負の判別が可能となる。また、移相量δがゼロの場合と比較して位相差φが90度の近傍では位相差φに対する電圧値の振幅変動が大きくなるため、位相差φをより正確に測定することが可能となる。図10によると、電力値の0.1Vあたりの位相差変化はおよそ6度である。したがって、移相量δを90度に設定した場合の位相差φの測定精度は、移相量δを設定しない場合の位相差φの測定精度の約4倍になる。このように、アレーアンテナシステムにおける入力信号間の設計位相差は既知であるから、移相器110の移相量を入力信号間の設計位相差に応じて設定することによって、位相差の高感度な測定が可能となる。
<第2参考形態>
図11に第2参考形態を示す。第2実施形態の位相差測定器600は、以下の点で、第1参考形態の位相差測定器500と異なる。
(1)位相差測定器600は、ローパスフィルタ520の出力の電圧値の極性を判別する極性判別器550を含んでいる。
(2)位相差測定器600の移相器110は、移相量を変更可能な移相器である(以下、この移相器110を可変移相器111と呼称する)。
(3)位相差測定器600は、ローパスフィルタ520の出力の電圧値の極性が変わる時の移相量が可変移相器111の移相量に設定されるように構成されている。
第1参考形態では、二つの入力信号間の設計位相差が既知であることを前提に、予め移相器110の移相量を入力信号間の設計位相差に応じて設定した。これに対して、第2参考形態では、二つの入力信号間の設計位相差が既知でない場合でも、位相差φに対する電圧値を表す関数が二つの入力信号間の設計位相差にて奇関数となるような「所定の移相量」を求めて、第1参考形態と同じ原理で位相差を測定する形態である。
可変移相器111の移相量を連続的或いは離散的に変化させると、移相量に応じてローパスフィルタ520の出力の電圧値が得られる。なお、離散的に変化させる場合は、通常、移相量の微小変化量とその符号を固定して、順次、移相量を得る。極性判別器550は、移相量に応じて得られるローパスフィルタ520の出力の電圧値の極性を判別する。この判別によって、ローパスフィルタ520の出力の電圧値の極性が移相量に応じて分かる。移相量に応じて得られるローパスフィルタ520の出力の電圧値の極性が変わる時の移相量を、可変移相器111の移相量に設定し、この時に得られるローパスフィルタ520の出力の電圧値から位相差出力部190によって位相差が求められる。
可変移相器111の移相量の変更は、例えば、図示しない移相量設定部が制御信号を可変移相器111に送り、可変移相器111は受信した制御信号に応じて連続的或いは離散的に移相量を設定することによって、実現できる。また、第2参考形態の例では、極性判別器550は、ローパスフィルタ520の出力の電圧値の極性が変わるとトリガ信号を発し、可変移相器111はトリガ信号を受信すると移相量の変更を停止し、その時の移相量が位相差測定に用いられる移相量として設定される。
<第3参考形態>
図12に第3参考形態を示す。第3参考形態の位相差測定器700は、N個(ただし、Nは予め定められた整数でありN≧3を満たす)の入力信号のうち第Nの入力信号と当該第Nの入力信号以外の任意の第n(ただし、nは1以上N−1以下の各整数を表す)の入力信号との位相差を測定可能な位相差測定器であり、いわば第1参考形態の位相差測定器500の構成を拡張した形態である。第3参考形態の位相差測定器700の個々の位相差の測定原理は、第1参考形態の位相差測定器500のそれと同じである。
位相差測定器700は、第Nの入力信号をN−1個に電力分配する電力分配器160と、N−1個の移相器110(1),110(2),110(3),…,110(N−1)と、N−1個の乗算器510(1),510(2),510(3),…,510(N−1)と、N−1個のローパスフィルタ520(1),520(2),520(3),…,520(N−1)と、電圧測定部530と、位相差出力部190を含む。第nの移相器110(n)は、電力分配器160の第nの出力信号の位相を変化させることができる。第Nの入力信号と第nの入力信号との位相差を測定する際の第nの移相器110(n)の移相量については、第1参考形態において「第1の入力信号」を「第Nの入力信号」に、「第2の入力信号」を「第nの入力信号」にそれぞれ読み替えたときの説明のとおりである。また、第nの乗算器510(n)は、第nの移相器110(n)の出力信号と第nの入力信号とをミキシングする。ローパスフィルタ520(n)は第nの乗算器510(n)の出力の低域成分を通過させる。電圧測定部530は、入力されたローパスフィルタ520(1),520(2),520(3),…,520(N−1)それぞれの出力の電圧値を測定する。位相差出力部190は、電圧測定部530によって得られた個々の電圧値から、第Nの入力信号と第1の入力信号との位相差、第Nの入力信号と第2の入力信号との位相差、第Nの入力信号と第3の入力信号との位相差、…、第Nの入力信号と第N−1の入力信号との位相差をそれぞれ求める。
第m(ただし、mは1以上N以下の各整数を表す)の入力信号が入力される第m端子101(m)は、N個のアンテナ素子で構成されているアレーアンテナシステムにおける第mのアンテナ素子への給電線に直接または例えば分配器を介して接続されている。この場合、N個の入力信号は位相同期している。
第3参考形態の位相差測定器700は、第2参考形態と同様に、電圧測定部530によって得られた各ローパスフィルタ520(1),520(2),520(3),…,520(N−1)の出力の電圧値の極性を判別する極性判別器550を含んでもよい。この場合、各移相器110(1),110(2),110(3),…,110(N−1)は、移相量を変更可能な移相器、つまり可変移相器である。また、この場合の位相差測定器700は、第2参考形態と同様に、移相量に応じて変化する第nのローパスフィルタ520(n)の出力の電圧値の極性が変わる時の移相量が、第nの移相器110(n)の移相量に設定されるように構成されている。このような構成については、第2参考形態において「第1の入力信号」を「第Nの入力信号」に、「第2の入力信号」を「第nの入力信号」にそれぞれ読み替えたときの説明のとおりである。
<第4参考形態>
図13に第4参考形態を示す。第4参考形態の位相差測定器800は、第3参考形態の位相差測定器700の変形例であり、位相差測定器800と位相差測定器700とで異なる事項についてのみ説明する。
第4参考形態の位相差測定器800は、N−1個のローパスフィルタ520(1),520(2),520(3),…,520(N−1)に替えて1個のローパスフィルタ520と、単極N−1投スイッチ170を含んでいる。単極N−1投スイッチ170のN−1個の入力側接点はそれぞれN−1個の乗算器510(1),510(2),510(3),…,510(N−1)のうちいずれかに接続されており、単極N−1投スイッチ170の1個の出力側接点はローパスフィルタ520に接続されている。この構成によると、スイッチ170による選択に応じて、N−1個の位相差(第Nの入力信号と第1の入力信号との位相差、第Nの入力信号と第2の入力信号との位相差、第Nの入力信号と第3の入力信号との位相差、…、第Nの入力信号と第N−1の入力信号との位相差)が時分割で得られる。
上述のいずれの参考形態であっても、乗算器を使用しているため、入力信号が変調信号である場合に直流近傍に相互変調ひずみが発生するので、ローパスフィルタは相互変調ひずみを遮断するようなフィルタであることが好ましい。

Claims (4)

  1. 二つの入力信号の位相差を測定可能な位相差測定器であって、
    第1の入力信号の位相を変化させることのできる移相器と、
    上記移相器の出力信号と第2の入力信号とを電力合成する合成器と、
    上記合成器の出力の電力値を測定する電力測定部と、
    記合成器の出力の電力値と所定の閾値とを比較する電力比較器
    を含み、
    上記移相器は、移相量を変更可能であり、
    上記閾値と、上記移相量に応じて変化する上記合成器の出力の電力値と、の大小関係が変わる時の移相量が、上記移相器の移相量に設定されるように構成されている
    ことを特徴とする位相差測定器。
  2. N個(ただし、Nは予め定められた整数でありN≧3を満たす)の入力信号のうち第Nの入力信号と当該第Nの入力信号以外の任意の第n(ただし、nは1以上N−1以下の各整数を表す)の入力信号との位相差を測定可能な位相差測定器であって、
    上記第Nの入力信号をN−1個に電力分配する電力分配器と、
    N−1個の移相器と、
    N−1個の合成器と、
    電力測定部と
    を含み、
    第nの移相器は、上記電力分配器の第nの出力信号の位相を変化させることができ、
    第nの合成器は、上記第nの移相器の出力信号と第nの入力信号とを電力合成し、
    上記電力測定部は、入力された上記第nの合成器の出力の電力値を測定する
    位相差測定器。
  3. 請求項に記載の位相差測定器において、
    さらに、N−1個の入力側接点はそれぞれN−1個の上記合成器のうちいずれかに接続されており1個の出力側接点は上記電力測定部に接続されている単極N−1投スイッチを含む
    ことを特徴とする位相差測定器。
  4. 請求項または請求項に記載の位相差測定器において、
    上記電力測定部によって得られた電力値と所定の閾値とを比較する電力比較器を含み、
    各上記移相器は、移相量を変更可能であり、
    上記閾値と、上記移相量に応じて変化する上記第nの合成器の出力の電力値と、の大小関係が変わる時の移相量が、上記第nの移相器の移相量に設定されるように構成されている
    ことを特徴とする位相差測定器。
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