JP6451867B2 - 金属ベース基板、回路基板および発熱体搭載基板 - Google Patents

金属ベース基板、回路基板および発熱体搭載基板 Download PDF

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Description

本発明は、金属ベース基板、回路基板および発熱体搭載基板に関する。
近年、電子部品を実装する回路基板には、実装される電子部品として高い発熱性を有するもの(発熱体)が多く認められるため、優れた放熱性が備えるものが求められている。
このような回路基板を得るために、金属板と、樹脂層と、回路層とがこの順で積層された金属ベース基板が用いられ、回路層をエッチングしてパターニングすることで導電回路が形成された回路基板が得られる(例えば、特許文献1参照。)。
この金属ベース基板では、金属板と、樹脂層と、回路層とで熱膨張率が異なり、これに起因して、金属ベース基板の製造時において反りが生じる。そのため、この反りを矯正する平坦化加工が、金属板、樹脂層および回路層の形成の後に施されることとなるが、この平坦化加工を施すことで、樹脂層による回路層(回路)と金属板との絶縁性の確保が十分にできないと言う問題があった。
特開2005−281509号公報
本発明の目的は、反りを解消させることを目的に、平坦化加工を施したとしても、内部における絶縁性が確保された回路基板を製造し得る金属ベース基板、かかる金属ベース基板を用いて製造された回路基板、および、かかる回路基板に発熱体が搭載された発熱体搭載基板を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜()に記載の本発明により達成される。
(1) 熱を発する発熱体を電気的に接続して搭載する回路基板を形成するために用いられ、
平板状をなし、純アルミニウムからなる金属板と、
前記金属板の一方の面に形成された樹脂層と、
前記樹脂層の前記一方の面に形成された回路層とを備える金属ベース基板であって、
前記金属板の平均厚さは、0.3mm以上1.2mm以下、かつ、前記金属板のブリネル硬さは、12HB以上35HB以下であり、さらに、
前記金属板は、該金属板のブリネル硬さをH[HB]とし、前記金属板の厚さをT[mm]としたとき、30<H/T<60なる関係を満足し、
当該金属ベース基板を、反りを矯正する平坦化加工が施されたものとし、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置したとき、
前記樹脂層の吸湿後絶縁破壊電圧値は、5.0kV以上であることを特徴する金属ベース基板。
(2) 当該金属ベース基板は、JIS C 6481に規定の静置法で測定した、前記金属板の反り率が0.2%以下である上記(1)に記載の金属ベース基板。
) 前記金属板おける、アルミニウム原子を除く他の原子の含有量は、0wt%以上1.5wt%以下である上記(1)または(2)に記載の金属ベース基板。
) 前記回路層は、銅または銅系合金からなる上記(1)ないし()のいずれかに記載の金属ベース基板。
) 前記樹脂層は、樹脂材料と、無機充填材とを含有する樹脂組成物の硬化物または固化物で構成される上記(1)ないし()のいずれかに記載の金属ベース基板。
) 前記樹脂組成物は、さらに、カップリング剤を含有する上記()に記載の金属ベース基板。
) 前記無機充填材は、主として酸化アルミニウムで構成された粒状体である上記()または()に記載の金属ベース基板。
) 上記(1)ないし()のいずれかに記載の金属ベース基板を用いて形成された回路基板であって、
前記回路層をパターニングすることで形成された、前記発熱体を電気的に接続する端子を備える回路を有することを特徴とする回路基板。
) 上記()に記載の回路基板と、前記端子に電気的に接続して、当該回路基板に搭載された前記発熱体とを備えることを特徴とする発熱体搭載基板。
本発明の金属ベース基板の構成とすることで、金属板、樹脂層および回路層の形成の後に生じる反りを矯正するために、平坦化加工を施したとしても、回路層(回路)と金属板との絶縁性が樹脂層により確保された回路基板を製造することができる。
そのため、本発明の発熱体搭載基板を、かかる回路基板(本発明の回路基板)に発熱体が搭載された構成のものとすることで、発熱体搭載基板の使用時に、回路基板において、絶縁破壊が生じるのを的確に抑制または防止することができる。
図1は、本発明の金属ベース基板の実施形態を示す縦断面図である。 図2は、図1に示す金属ベース基板の製造方法を説明するための図である。 図3は、図1に示す金属ベース基板を製造する際に生じた反りを平坦化する際に用いる平坦化装置を説明するための図である。
以下、本発明の金属ベース基板、回路基板および発熱体搭載基板を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<金属ベース基板>
図1は、本発明の金属ベース基板の実施形態を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、図1中の下側を「下」とも言う。また、図1では、金属ベース基板およびその各部を誇張して模式的に図示しており、金属ベース基板およびその各部の大きさおよびその比率は実際とは大きく異なる。
図1に示す金属ベース基板10は、平板状をなす金属板6と、この金属板6の上面(一方の面)に形成された樹脂層5と、この樹脂層5の上面(一方の面)に形成された回路層4とを備えている。
回路層4は、その平面視形状が平板状(シート状)をなし、樹脂層5上を覆って層状に形成されている。
この回路層4を所定のパターンでパターニングして、回路(導電回路)が形成されることで回路基板(本発明の回路基板)が得られ、この回路の形成により設けられた端子に、発熱体(電子部品)が備える接続端子が電気的に接続される。これにより、回路基板に発熱体が搭載された発熱体搭載基板(本発明の発熱体搭載基板)が得られる。
この回路層4は、パターニングして回路とした際に、回路基板上に搭載された発熱体を電気的に接続するとともに、発熱体で発生した熱を金属板6の下面側に伝達して逃がす受熱板としての機能を備えている。
回路層4の構成材料としては、例えば、銅、銅系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金、銀、銀系合金、金、金系合金、亜鉛、亜鉛系合金、ニッケル、ニッケル系合金、錫、錫系合金、鉄および鉄系合金等の各種金属材料が挙げられる。これらの中でも、回路層4をエッチングにより回路として容易に得ることができる点で、銅、銅系合金、が好ましい。また、コストと電気伝導性または熱伝導性のバランスという観点からは、銅、銅系合金、が好ましい。すなわち、回路層4は、純銅または銅系合金からなる銅箔で構成されていることが特に好ましい。
また、回路層4の平均厚さは、特に限定されないが、0.5μm以上105μm以下であることが好ましく、1μm以上70μm以下であることがより好ましく、12μm以上70μm以下であることがさらに好ましい。回路層4の厚さを前記下限値以上とすることにより、回路層4におけるピンホールの発生を抑制し、さらに、回路層4をエッチングして回路を形成した際に、回路パターン成形時の厚さのバラツキ、回路断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込み等が発生するのを抑制または防止することができる。また、回路層4の厚さを前記上限値以下とすることにより、回路層4の厚みバラツキを小さくすることができる。さらに、回路層4の厚さを前記範囲内に設定することにより、金属ベース基板10の製造時に生じた反りを矯正する平坦化加工を施した際に、回路層4において、クラックが発生するのを的確に抑制または防止することができる。
また、回路層4の厚さ方向に対する熱伝導率は、3W/m・K以上、500W/m・K以下であることが好ましく、10W/m・K以上、400W/m・K以下であることがより好ましい。このような回路層4は、優れた熱伝導率を有していると言うことができ、発熱体の駆動により生じた熱を、回路層4を介して金属板6側により効率よく伝達することができる。
樹脂層(接合層)5は、その平面視形状が平板状(シート状)をなし、金属板6の上面を覆って設けられ、すなわち、回路層4と、この回路層4の下側に位置する金属板6との間に設けられ、このものを介して、回路層4と金属板6とを接合する。
また、この樹脂層5は、絶縁性を有している。これにより、回路層4と、金属板6との絶縁状態が確保される。
さらに、樹脂層5は、樹脂材料と、無機充填剤とを含有する樹脂組成物の硬化物または固化物で構成され、これにより、優れた熱伝導性を発揮するようになっている。その結果、樹脂層5は、回路層4(発熱体)側の熱を金属板6に伝達する。
このような樹脂層5の熱伝導率は、高いものが好適に用いられ、具体的には、1W/m・K以上、15W/m・K以下であることが好ましく、5W/m・K以上、10W/m・K以下であることがより好ましい。これにより、回路層4側の熱が樹脂層5により金属板6により効率よく伝達される。そのため、発熱体の駆動により生じた熱を、回路層4および樹脂層5を介して金属板6に効率よく伝達することができることから、発熱体で生じた熱の放熱効率の向上が図られる。
樹脂層5の厚さ(平均厚さ)は、特に限定されないが、例えば、50μm〜250μm程度であるのが好ましく、80μm〜200μm程度であるのがより好ましい。これにより、樹脂層5の絶縁性を確保しつつ、樹脂層5の熱伝導性をより向上させることができる。さらに、樹脂層5の厚さを前記範囲内に設定することにより、金属ベース基板10の製造時に生じた反りを矯正する平坦化加工を施した際に、樹脂層5において、クラックが発生するのを的確に抑制または防止することができる。
また、樹脂層5は、そのガラス転移温度が好ましくは50℃以上200℃以下であり、より好ましくは70℃以上200℃以下である。これにより、樹脂層5は、剛性が高まり、金属ベース基板10の製造時に生じた反りを矯正する平坦化加工を施した際に、樹脂層5において、クラックが発生するのを的確に抑制または防止することができる。
なお、樹脂層5のガラス転移温度は、JIS C 6481に基づいて、以下のようにして計測できる。
動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製DMA/983)を用いて窒素雰囲気(200ml/分)のもと引っ張り荷重をかけて、周波数1Hz、−50℃から300℃の温度範囲を昇温速度5℃/分の条件で測定し、tanδのピーク位置よりガラス転移温度Tgを得る。
また、樹脂層5の25℃の弾性率(貯蔵弾性率)E’は、3GPa以上70GPa以下であることが好ましい。これにより、樹脂層5の剛性が高まることから、金属ベース基板10の製造時に生じた反りを矯正する平坦化加工を施した際に、樹脂層5において、クラックが発生するのをより的確に抑制または防止することができる。
なお、上記貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置で測定することができ、具体的には、貯蔵弾性率E’は、樹脂層5に引張り荷重をかけて、周波数1Hz、昇温速度5〜10℃/分で−50℃から300℃で測定した際の、25℃における貯蔵弾性率の値として測定される。
かかる機能を有する樹脂層5は、樹脂材料を主材料として構成された層内に無機充填材(フィラー)が分散された構成をなしている。
樹脂材料は、無機充填材を樹脂層5内に保持させるバインダーとしての機能を発揮し、無機充填材は、樹脂材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有している。樹脂層5を、かかる構成を有するものとすることにより、樹脂層5の熱伝導率を高めることができる。
このような樹脂層5は、主として樹脂材料および無機充填材を含有する樹脂組成物を固化または硬化させることにより形成される固化物または硬化物で構成される。すなわち、樹脂層5は、樹脂組成物を層状に成形した硬化物または固化物で構成されている。
以下、この樹脂組成物について説明する。
樹脂組成物は、上記の通り、主として樹脂材料および無機充填材を含んで構成されている。
樹脂材料としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の各種樹脂材料を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらのなかでも、樹脂組成物(樹脂層形成用樹脂組成物)に用いる樹脂材料としては、熱硬化性樹脂を用いるのが好ましく、さらに、フェノキシ樹脂を用いるのがより好ましい。熱硬化性樹脂(特に、フェノキシ樹脂)を含むことにより、粘度上昇により、プレス時の流動性が低減し、樹脂層5の厚みの確保と厚み均一性およびボイド抑制を発揮した状態で樹脂層5が成形されるため、樹脂層5の絶縁信頼性および熱伝導性をより一層高めることができる。また、樹脂層5と金属板6との密着性、および、樹脂層5と回路層4との密着性が向上する。そのため、金属ベース基板10の製造時に生じた反りを矯正する平坦化加工を施した際に、樹脂層5と金属板6との間、および、樹脂層5と回路層4との間において、剥離が生じるのを的確に抑制または防止することができる。これらの相乗効果により、金属ベース基板10ひいては回路基板の絶縁信頼性および熱伝導性をより一層高めることができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの骨格を複数種有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。
これらの中でも、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型のフェノキシ樹脂を用いるのが好ましい。ビスフェノールA骨格とビスフェノールF骨格を両方有するフェノキシ樹脂を用いても良い。
フェノキシ樹脂の含有量は、例えば、樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは2質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以上12質量%以下である。フェノキシ樹脂の含有量を前記下限値以上とすることにより、弾性率を下げる効果を十分に得られ、金属ベース基板10に用いたときの応力緩和性に優れ、急激な加熱/冷却を受けても半田或いはその近傍でのクラックが発生することを抑制することができる。また、フェノキシ樹脂の含有量を前記上限値以下とすることにより、プレス時の流動性が悪化し、ボイド等が発生することが抑制され、金属ベース基板10の絶縁信頼性を高めることができる。
また、フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、4.0×10〜4.9×10であることが好ましい。これにより、樹脂層5のさらなる低弾性率化が可能となり、金属ベース基板10を応力緩和性に優れるものとすることができる。例えば、金属ベース基板10を用いて、半導体素子を実装した半導体装置を製造した場合、この半導体装置は、急激な加熱/冷却の環境下においても、半導体素子と回路基板とを接合する半田接合部、またはその近傍で、クラック等の不良が発生することがより的確に抑制または防止されることになる。
また、樹脂材料は、フェノキシ樹脂の他に、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂が含まれることにより、樹脂組成物から得られる樹脂層5の耐湿性、耐熱性、特に吸湿後の耐熱性がより改善される。また、樹脂層5を介して回路層4を金属板6に強固に接合することができる。そのため、得られる金属ベース基板10の放熱性および耐久性が優れたものとなる。
また、エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されないが、芳香環構造および脂環構造(脂環式の炭素環構造)の少なくともいずれか一方を有するエポキシ樹脂(A)を含むことが好ましい。このようなエポキシ樹脂(A)を使用することで、ガラス転移温度を高くするとともに、樹脂層5の熱伝導性をより向上させることができる。また、樹脂層5の回路層4および金属板6に対する密着性をより向上させることができる。
さらに、芳香環あるいは脂肪環構造を有するエポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、かかる樹脂組成物には、前述した樹脂材料の種類(例えば、エポキシ樹脂が含まれる場合)等によっては、必要に応じて、硬化剤が含まれる。
硬化剤としては、特に限定されず、例えば、ジシアンジアミド、脂肪族ポリアミド等のアミド系硬化剤や、ジアミノジフェニルメタン、メタンフェニレンジアミン、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン系硬化剤や、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、p−キシレン−ノボラック樹脂などのフェノール系硬化剤や、酸無水物類等を挙げることができる。
また、樹脂組成物は、さらに硬化触媒(硬化促進剤)を含んでいてもよい。これにより、樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。
硬化触媒としては、例えば、イミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン等アミン系触媒、トリフェニルホスフィン等リン系触媒等が挙げられる。これらの中でもイミダゾール類が好ましい。これにより、特に、樹脂組成物の速硬化性および保存性を十分に両立することができる。
イミダゾール類としては、例えば1−ベンジル−2メチルイミダゾール、1−ベンジル−2フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。これらの中でも2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールまたは2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。これにより、樹脂組成物の保存性を特に向上させることができる。
また、硬化触媒の含有量は、特に限定されないが、樹脂材料100質量部に対して0.01〜30質量部程度であるのが好ましく、特に0.5〜10質量部程度であるのがより好ましい。かかる含有量が前記下限値以上であると、樹脂組成物の硬化性がより十分なものとなり、一方、かかる含有量を前記上限値以下にすることで、樹脂組成物の保存性をより向上させることができる。
また、樹脂組成物は、さらにカップリング剤を含むことが好ましい。これにより、無機充填材、金属板6および回路層4に対する樹脂材料の密着性をより向上させることができる。そのため、金属ベース基板10の製造時に生じた反りを矯正する平坦化加工を施した際に、樹脂層5において、クラックが発生するのをより的確に抑制または防止することができるとともに、樹脂層5と金属板6との間、および、樹脂層5と回路層4との間において、剥離が生じるのをより的確に抑制または防止することができる。
かかるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でもシラン系カップリング剤が好ましい。これにより、樹脂組成物の耐熱性および熱伝導性をより向上させることができる。
このうち、シラン系カップリング剤としては、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファンなどが挙げられる。
カップリング剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂材料100質量部に対して0.01〜10質量部程度であるのが好ましく、特に0.5〜10質量部程度であるのがより好ましい。かかる含有量が前記下限値以上であると、前述したような密着性を高める効果がより十分なものとなり、一方、かかる含有量を前記上限値以下にすることで、樹脂層5を形成する際のアウトガスやボイドをより抑制することができる。
また、樹脂組成物中に含まれる無機充填材は、無機材料で構成されるフィラーである。これにより、無機充填材は、樹脂材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を発揮する。したがって、この無機充填材が樹脂組成物中に分散していることにより、樹脂層5の熱伝導率を高めることができる。
無機材料としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(アルミナ、Al)、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、炭化ケイ素などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような無機充填材は、中でも、酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムのうちの少なくとも1種で構成される粒状体であるのが好ましく、特に、主として酸化アルミニウムで構成された粒状体であるのが好ましい。これにより、より熱伝導性(放熱性)および絶縁性に優れた無機充填材とすることができる。また、酸化アルミニウムは、汎用性に優れ、安価に入手できる点から、特に好ましく用いられる。
したがって、以下では、無機充填材が、主として酸化アルミニウムで構成された粒状体である場合を一例に説明する。
無機充填材の含有量は、樹脂組成物全体(溶剤を除く)の、30体積%以上70体積%以下であるのが好ましく、40体積%以上60体積%以下であるのがより好ましい。かかる範囲のように樹脂組成物における無機充填材の含有率を高くすることにより、樹脂層5の熱伝導性をより優れたものとすることができる。また、プレス時の流動性が悪化し、ボイド等が発生することをより抑制することができる。また、金属ベース基板10の製造時に生じた反りを矯正する平坦化加工を施した際に、樹脂層5において、クラックが発生するのをより的確に抑制または防止することができる。
これに対し、かかる含有量が前記下限値未満であると、樹脂層5の絶縁性を確保しつつ、樹脂層5の熱伝導性を優れたものとするのが難しい。一方、かかる含有量が前記上限値を超えると、樹脂組成物の構成材料によっては、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、ワニスの濾過作業や層状への成形(コーティング)が困難となったり、樹脂組成物のフローが小さくなりすぎて、得られる樹脂層5にボイドが発生してしまったりする場合がある。
なお、樹脂組成物における無機充填材の含有率を、上記の範囲のように高く設定したとしても、樹脂組成物として、温度25℃、せん断速度1.0rpmの条件での粘度をA[Pa・s]とし、温度25℃、せん断速度10.0rpmの条件での粘度をB[Pa・s]としたとき、A/B(チキソ比)が1.2以上、3.0以下なる関係を満足するものを用いることにより、金属ベース基板10の製造時に、樹脂組成物(ワニス)の粘度およびフロー性を適度なものとすることができる。
また、この無機充填材の含水量は、0.10質量%以上0.30質量%以下であるのが好ましく、0.10質量%以上0.25質量%以下であるのがより好ましく、0.12質量%以上0.20質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、無機充填材の含有量を多くしても、より適度な粘度およびフロー性を有するものとなる。そのため、得られる樹脂層5中にボイドが発生するのを防止しつつ、熱伝導性に優れた樹脂層5を形成することができる。すなわち、より優れた熱伝導性および絶縁性を有する樹脂層5を形成することができる。
また、酸化アルミニウムは、通常、水酸化アルミニウムを焼成することにより得られる。得られる酸化アルミニウムの粒状体は、複数の一次粒子で構成されるが、その一次粒子の平均粒径は、その焼成の条件に応じて設定することができる。
また、その焼成後に何ら処理されていない酸化アルミニウムは、一次粒子同士が固着により凝集した凝集体(二次粒子)で構成されている。
そのため、その一次粒子同士の凝集を粉砕により必要に応じて解くことにより、最終的な無機充填材が得られる。最終的な無機充填材の平均粒径は、その粉砕の条件(例えば時間)に応じて設定することができる。
その粉砕の際、酸化アルミニウムは極めて高い硬度を有するため、一次粒子同士の固着が解かれていくだけで、一次粒子自体は殆ど破壊されず、一次粒子の平均粒径は粉砕後においてもほぼ維持されることとなる。
したがって、粉砕時間が長くなるに従い、無機充填材の平均粒径は、一次粒子の平均粒径に近づくことになる。そして、粉砕時間が所定時間以上となると、無機充填材の平均粒径は、一次粒子の平均粒径に等しくなる。すなわち、無機充填材は、粉砕時間を短くすると主として二次粒子で構成され、粉砕時間を長くするにしたがって一次粒子の含有量が多くなり、最終的に所定時間以上とすると、主として一次粒子で構成されることとなる。
また、例えば、前述したように水酸化アルミニウムを焼成することにより得られた酸化アルミニウムの一次粒子は、球形ではなく、鱗片状のような平坦面を有する形状をなしている。そのため、無機充填材同士の接触面積を大きくすることができる。その結果、得られる樹脂層5の熱伝導性を高めることができる。
さらに、無機充填材は、その一次粒子の平均粒径D50が1μm以上10μm以下であることが好ましく、3μm以上7μm以下であることがより好ましい。これにより、無機充填材の充填率をより高めることができる。そのため、無機充填材(一次粒子)同士の接触面積をより大きくすることができ、樹脂層5の熱伝導性をより一層向上させることができる。
また、このような無機充填材を用いることにより、樹脂層5と回路層4および金属板6との密着性をより一層向上できる。
これらの相乗効果により、金属ベース基板10の絶縁信頼性および放熱信頼性をより一層高めることができる。
なお、樹脂組成物は、上述した成分に加え、レベリング剤、消泡剤等の添加剤が含まれていてもよい。
また、樹脂組成物は、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、ジメチルホルムアルデヒド等の溶剤を含む。
なお、このようなワニス状をなす樹脂組成物は、例えば、必要に応じて樹脂材料と溶剤とを混合してワニス状にした後、さらに、無機充填材を混合することで得ることができる。
また、混合に用いる混合機としては、特に限定されないが、例えば、ディスパーザー、複合羽根型撹拌機、ビーズミルおよびホモジナイザー等が挙げられる。
なお、樹脂材料が高い熱伝導率を有している場合には、樹脂組成物への無機充填材の添加を省略するようにしてもよい。すなわち、樹脂層5を無機充填材の添加が省略された、主として樹脂材料で構成されたものとしてもよい。
金属板6は、その平面視形状が平板状(シート状)をなし、樹脂層5の下面を覆って形成されている。
このような金属板6は、発熱体の駆動に生じた熱を、回路層4および樹脂層5を介して、金属板6(回路基板)の下面側から放熱する部材(放熱板)として機能する。
そのため、発熱体が、その駆動により、たとえ高い温度の熱を発熱したとしても、この熱を、金属板6を介してその下面側から放熱することができる。したがって、発熱体自体に対して、さらには、回路基板上に搭載される他の電子部品に対して、悪影響を及ぼすのを的確に抑制または防止することができる。
また、金属板6の厚さ(平均厚さ)としては、特に限定されないが、例えば、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。また、金属板6の厚さ(平均厚さ)としては、1.2mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましい。金属板6の厚さ(平均厚さ)をこの下限値以上とすることで樹脂層5中において、クラックが発生するのをより的確に抑制または防止することができ、この上限値以下とすることでコストを低減でき、より省スペースで実装させることができる。
この金属板6は、本発明では、純アルミニウムで構成される。
なお、本明細書中において、金属板6が純アルミニウムで構成されるとは、金属板6おける、アルミニウム原子を除く他の原子の含有量が0wt%以上1.5wt%以下である場合、すなわち、金属板6におけるアルミニウム原子の純度が98.5wt%以上100wt%以下である場合のことを言う。
また、アルミニウム原子を除く他の原子としては、特に限定されないが、例えば、マグネシム、カルシウム、酸素、およびケイ素等が挙げられる。これらの他の原子が不純物として金属板6に含まれたとしても、その含有量が前記範囲内であれば、金属板6のブリネル硬さ(JIS Z 2243に規定)を12HB以上35HB以下の範囲内のものとすることができる。なお、金属板6のブリネル硬さを前記範囲内とする理由については後に詳述する。
なお、このような金属板6の熱伝導率は、200W/m・K程度(アルミニウム)となっており、優れた熱伝導率を有する。
また、金属板6を純アルミニウムで構成し、回路層4を銅または銅系合金で構成した場合、回路層4は、金属板6よりも熱伝導率が高くなる。これにより、発熱体が発した熱は、回路層4に伝わると、回路層4で広範囲に拡散することなく、迅速に樹脂層5を介して、金属板6に到達し、この金属板6に到達した熱が、金属板6において拡散しつつ金属板6の外部に放出されるため、さらなる放熱効率の向上が図られる。
上述したような金属板6と樹脂層5と回路層4とを備る金属ベース基板10において、本発明では、金属板6を純アルミニウムからなるもので構成している。かかる構成とすることで、本発明者の検討により、金属ベース基板10を、反りを矯正する平坦化加工が施されたものとし、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置したとき、樹脂層5の吸湿後絶縁破壊電圧値を、3.6kV以上とし得ることを見出したが、その詳細な説明については、後に記載する金属ベース基板10の製造方法において、詳述する。
かかる構成の金属ベース基板10が備える回路層4を所定のパターンでパターニングして、回路を形成することで回路基板(本発明の回路基板)を得ることができる。さらに、この回路の形成により設けられた端子に、発熱体(電子部品)が備える接続端子を電気的に接続することで、回路基板に発熱体が搭載された発熱体搭載基板(本発明の発熱体搭載基板)を得ることができる。
このような金属ベース基板10は、例えば、以下に示す、金属ベース基板10の製造方法により製造される。
<金属ベース基板の製造方法>
図2は、図1に示す金属ベース基板の製造方法を説明するための図、図3は、図1に示す金属ベース基板を製造する際に生じた反りを平坦化する際に用いる平坦化装置を説明するための図である。また、以下では、説明の便宜上、図2、図3中の上側を「上」、下側を「下」とも言う。さらに、金属ベース基板およびその各部を誇張して模式的に図示しており、金属ベース基板およびその各部の大きさおよびその比率は実際とは大きく異なる。
[1]
まず、平板状をなす回路層4を用意し、その後、図2(a)に示すように、回路層4上に樹脂層形成用層5Aを形成する。
この樹脂層形成用層5Aは、前述したワニス状をなす樹脂組成物を回路層4上に供給して層状とした後、乾燥させることにより得られたものである。そして、この樹脂層形成用層5Aは、後述する工程[2]を経ることで、硬化または固化することにより樹脂層5となるものである。
樹脂組成物の回路層4への供給は、例えば、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、コンマコーターおよびカーテンコーター等を用いて行うことができる。これらの中でも、ダイコーター、ナイフコーター、およびコンマコーターを用いることが好ましい。これにより、ボイドがなく、均一な厚みを有する樹脂層形成用層5A、ひいては樹脂層5をより効率よく形成することができる。
この樹脂組成物は以下のような粘度挙動を有することが好ましい。
すなわち、動的粘弾性測定装置を用いて、この樹脂組成物を60℃から昇温速度3℃/min、周波数1Hzで溶融状態まで昇温したときに、初期は溶融粘度が減少し、最低溶融粘度に到達した後、さらに上昇するような特性を有し、かつ、最低溶融粘度が1×10Pa・s以上1×10Pa・s以下の範囲内であることが好ましい。
最低溶融粘度が上記下限値以上であると、樹脂材料と無機充填材とが分離し、樹脂材料のみが流動してしまうことをより抑制でき、工程[2]を経ることにより、より均質な樹脂層5を得ることができる。また、最低溶融粘度が上記上限値以下であると、樹脂組成物の回路層4への濡れ性をより向上でき、樹脂層5と回路層4との密着性をより一層向上できる。
これらの相乗効果により、金属ベース基板10(回路基板)の放熱性および絶縁破壊電圧をより一層向上できる。
また、樹脂組成物は、最低溶融粘度に到達する温度が60℃以上、100℃以下の範囲内であることが好ましく、75℃以上、90℃以下の範囲内であることがより好ましい。
さらに、樹脂組成物は、フロー率が15%以上、60%未満であることが好ましく、25%以上、50%未満であることがより好ましい。
なお、このフロー率は、以下の手順で測定することができる。すなわち、まず、本実施形態の樹脂組成物により形成された樹脂層を有する金属箔を所定のサイズ(50mm×50mm)に裁断後5〜7枚積層し、その重量を測定する。次に、内部温度を175℃に保持した熱盤間で5分間プレスした後冷却し、流れ出た樹脂を丁寧に落として再び重量を測定する。フロー率は次式(I)により求めることができる。
フロー率(%)=(測定前重量−測定後重量)/(測定前重量−金属箔重量) (I)
このような粘度挙動を有すると、樹脂組成物を加熱硬化して樹脂層5を形成する際に、樹脂組成物中に空気が侵入するのをより抑制できるとともに、樹脂組成物中に溶けている気体を十分に外部に排出できる。その結果、樹脂層5に気泡が生じてしまうことをより抑制でき、回路層4から樹脂層5へ確実に熱を伝えることができる。また、気泡の発生がより抑制されることにより、金属ベース基板10(回路基板)の絶縁信頼性を高めることができる。また、樹脂層5と回路層4との密着性を向上できる。
これらの相乗効果により、金属ベース基板10(回路基板)の放熱性をより一層向上でき、その結果、金属ベース基板10から得られる回路基板のヒートサイクル特性をより一層向上させることができる。
このような粘度挙動を有する樹脂組成物は、例えば、前述した樹脂材料の種類や量、無機充填材の種類や量、また、樹脂材料にフェノキシ樹脂が含まれる場合には、その種類や量を適宜調整することにより得ることできる。
[2]
次に、金属板6を用意し、その後、図2(b)に示すように、回路層4と金属板6とが、樹脂層形成用層5Aを介して互いに接近するように加圧するとともに加熱する。
これにより、樹脂層形成用層5Aに金属板6が貼り合わされる(図2(c)参照。)。
この際、樹脂層形成用層5Aは、樹脂層形成用層5Aが熱硬化性を示す場合には、樹脂層形成用層5Aが硬化して樹脂層5が形成される条件で加熱および加圧される。また、樹脂層形成用層5Aが熱可塑性を示す場合には、加熱および加熱により溶融した後、冷却により固化する条件で、加熱および加圧される。
この加熱および加圧の条件は、例えば、樹脂層形成用層5Aに含まれる樹脂組成物の種類によっても若干異なるが、以下のように設定される。
すなわち、加熱温度は、好ましくは80〜200℃程度、より好ましくは170〜190℃程度に設定される。
また、加圧する圧力は、好ましくは0.1〜3MPa程度、より好ましくは0.5〜2MPa程度に設定される。
さらに、加熱および加圧する時間は、10〜90分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
これにより、金属板6の下面が樹脂層形成用層5Aに接合するとともに、樹脂層形成用層5Aが硬化して樹脂層5が形成され、その結果、樹脂層5に金属板6が貼り合わされた金属ベース基板10が得られる。
なお、樹脂層形成用層5Aと金属板6との貼り合わせに先立って、金属板6の接合面には、50℃〜80℃の水に0.5分間〜3分間接触させる等の表面処理を施すことが好ましい。これにより、樹脂層5と金属板6との密着性をより向上させることができる。
ここで、得られた金属ベース基板10を、冷却すると、金属板6と、樹脂層5と、回路層4とで、それぞれの熱膨張率が異なることに起因して、図6(d)に示すように、金属ベース基板10に反りが生じる。そのため、この反りを矯正する平坦化加工を施す必要が生じる。以下、この平坦化加工について説明する。
[3]
次に、反りが生じた金属ベース基板10に対して、この反りを矯正して、金属ベース基板10を平坦化させる(平坦化加工)。
これにより、反りが解消され平坦化がなされた金属ベース基板10が得られる(図2(e)参照。)。
反りが生じた金属ベース基板10に対する平坦化は、例えば、図3に示す平坦化装置100を用いて行うことができる。
平坦化装置100は、金属ベース基板10を載置するシームレスベルト150と、シームレスベルト150を搬送する搬送手段200とを備えている。
搬送手段200は、テンショナ(テンションローラ)211、212、213、251、252、253、254を有している。
図3に示すように、搬送手段200では、テンショナ211、212、213、251、252、253、254に、側面視が円環状をなすシームレスベルト150が装着され、テンショナ211、212、213、251、252、253、254の回転により、シームレスベルト150が搬送方向に沿って繰り返して送り出されることとなる。
なお、テンショナ211、212、213、251、252、253、254は、それぞれ、外形形状が円柱状をなし、例えば、ステンレス鋼等のような金属材料で構成されている。また、これらのテンショナ211、212、213、251、252、253、254は、回動軸(中心軸)同士が同じ方向を向いており、互いに離間して配置されている。さらに、例えば、平坦化装置100全体を支持するフレーム(図示せず)に回動可能に支持されている。
各テンショナのうち、テンショナ251〜254は、接触するシームレスベルト150が、掛け回されつつ回転するローラであり、装着されたシームレスベルト150の角部となる位置で、搬送方向が変更されることで、シームレスベルト150がループ状に繰り返して送り出される。
また、テンショナ211〜213は、テンショナ251と、テンショナ252との間にこの順で配置され、テンショナ211とテンショナ212との間、さらにはテンショナ212とテンショナ213との間を挿通するようにして接触するシームレスベルト150が、掛け回されつつ回転するローラである。
これらテンショナ211〜213のうち、テンショナ211およびテンショナ213は、その中心が搬送方向に沿って配置され、テンショナ212は、その中心がテンショナ211およびテンショナ213の中心に対して、搬送方向に直交する方向にずらして配置されている。
このように配設されるテンショナ211〜213との間にシームレスベルト150が搬送され、このときに、搬送方向が変更されるが、そのテンショナ211〜213との間へのシームレスベルト150の搬送の際に、シームレスベルト150上に、反りが生じた金属ベース基板10を載置することで、この反りが矯正され、その結果、金属ベース基板10が平坦化される。
テンショナ211〜213の直径は、2cm以上20cm以下であることが好ましく、7cm以上13cm以下であることがより好ましい。
また、テンショナ211とテンショナ212との離間距離Lと、テンショナ212とテンショナ213との離間距離Lとは、それぞれ独立して、20cm以上80cm以下であることが好ましく、40cm以上60m以下であることがより好ましい。
さらに、搬送方向からテンショナ211〜213を見たとき、搬送方向に直交する方向で、テンショナ211、213とテンショナ212とが重なる領域の長さLは、2cm以上8cm以下であることが好ましく、4cm以上6m以下であることがより好ましい。
テンショナ211〜213のサイズ等を前記範囲内に設定することにより、金属ベース基板10に生じた反りをより確実に矯正することができる。
なお、テンショナ211〜213のうち、少なくとも1つに、モータ(図示せず)が接続されており、このモータの作動により、シームレスベルト150が搬送される。また、これらモータに印加する電圧の大きさを変更することにより、シームレスベルト150の搬送速度を変更することができる。
また、反りが矯正された金属ベース基板10は、JIS C 6481に規定の静置法を用いて測定される、金属板6における反り率が0.2%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。反り率がかかる範囲内であるときに、金属ベース基板10に生じた反りが矯正され、平坦化がなされたと言うことができる。
さて、このような反りが生じることに起因して、平坦化加工(平坦化工程)を施す必要が生じる、金属板6と樹脂層5と回路層4とを備える金属ベース基板10において、本発明では、金属板6を純アルミニウムからなるもので構成している。
かかる構成とすることで、本発明者の検討により、反りが生じた図2(d)に示す状態から、平坦化加工を施すことで、反りが矯正されて平坦化された図2(e)に示す状態としたとしても、かかる平坦化加工を施した金属ベース基板10を、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置したときに、樹脂層5の吸湿後絶縁破壊電圧値を3.6kV以上のものとし得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
このように、金属ベース基板10において、金属板6を純アルミニウムからなるものとすることで、図2(d)に示すように、反りが生じた金属ベース基板10に平坦化加工を施して反りを矯正した状態(平坦化状態)としても、平坦化がなされた樹脂層5中において、クラックが発生するのを的確に抑制または防止することができる。そのため、金属ベース基板10を、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置したとしても、前記水蒸気雰囲気下における、樹脂層5の絶縁破壊電圧値が変化することを的確に抑制または防止して、樹脂層5により金属板6と回路層4との絶縁性を確保することができる。すなわち、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置したときの樹脂層5の絶縁破壊電圧値を3.6kV以上とすることができる。
なお、反りが生じた金属ベース基板10を平坦化がなされた平坦化状態としても、前記水蒸気雰囲気下における、樹脂層5の絶縁破壊電圧値を3.6kV以上とし得るのは、金属板6のブリネル硬さ(JIS Z 2243に規定)が12HB以上35HB以下の範囲内のように、金属板6が柔軟性に優れたものとなっていることによると推察される。金属板6のブリネル硬さをかかる範囲内とすることで、金属板6が、反りを矯正する際に生じる応力を緩和する緩衝材としての機能を発揮し、その結果、樹脂層5におけるクラックの発生が的確に抑制または防止されると考えられる。
また、平坦化状態における前記水蒸気雰囲気下での樹脂層5の絶縁破壊電圧値は、3.6kV以上であればよいが、5.0kV以上であることが好ましい。これにより、反りが生じた金属ベース基板10を平坦化がなされた平坦化状態としても、樹脂層5は、その絶縁破壊電圧値の変化がより的確に抑制または防止されたものであると言うことができる。
さらに、金属板6のブリネル硬さは、12HB以上が好ましく、15HB以上がより好ましい。また、金属板6のブリネル硬さは、35HB以下が好ましく、30HB以下がより好ましい。金属板6のブリネル硬さをこの下限値以上とすることで、基板のハンドリング性やカット時のバリ性をより向上させることができ、この上限値以下とすることで樹脂層5中において、クラックが発生するのをより的確に抑制または防止することができる。
また、金属板6のブリネル硬さをH[HB]とし、金属板6の厚さ(平均厚さ)をT[mm]としたとき、これらブリネル硬さHと厚さTとの関係H/Tは、H/T<150なる関係を満足することが好ましく、30<H/T<60なる関係を満足することがより好ましい。これにより、樹脂層5中におけるクラックの発生のさらなる抑制または防止が図られる。
なお、樹脂層5の絶縁破壊電圧値は、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置した後に、室温において交流電圧を銅箔とアルミニウム板間に印加することにより測定することができる。
さらに、金属板6のブリネル硬さは、JIS Z 2243に準拠して、直径10mmの鋼球で3000kgfの圧力を30秒加えた後に、金属板6に残存した永久くぼみの面積を測定することにより求めることができる。
以上のような工程を経て、金属ベース基板10が製造される。
また、この金属ベース基板10が備える回路層4をパターニングして、発熱体が備える接続端子に電気的に接続する端子を有する回路を形成することにより、樹脂層5上に回路が形成された回路基板が製造される。
なお、回路層4をパターニングする方法としては、特に限定されないが、例えば、形成すべき回路のパターン(形状)に対応するレジスト層を回路層4上に形成した後、このレジスト層をマスクとして用いて、ウエットエッチング法またはドライエッチング法により、レジスト層の開口部から露出する回路層4をエッチングする方法等が挙げられる。
さらに、この回路の形成により設けられた端子に、発熱体(電子部品)が備える接続端子を電気的に接続することで、回路基板に発熱体が搭載された発熱体搭載基板を得ることができる。そして、この発熱体搭載基板は、各種電子機器が備える基板(一部品)として搭載される。
また、発熱体搭載基板は、例えば、電子機器が備える他の構造体に取り付けることで電子機器が有する筺体内に収納されるものであってもよいし、金属板6側の面を外側に向けて、電子機器が有する筐体の一部として、筐体を構成する他の部材(他の構造体)に取り付けられるものであってもよい。
以上、本発明の金属ベース基板、回路基板および発熱体搭載基板を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の金属ベース基板、回路基板および発熱体搭載基板を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の発熱体搭載基板が搭載する発熱体としては、半導体装置、サーミスタのような抵抗、コンデンサー、ダイオードパワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のようなパワートランジスタ、リアクトル、LD(レーザダイオード)、有機EL素子のような発光素子およびモータ等が挙げられ、本発明の発熱体搭載基板は、これらのうちの少なくとも1種を搭載するものに適用できる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の樹脂組成物で用いた原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(熱硬化性樹脂1)
熱硬化性樹脂1として、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(三菱化学社製:「1255」)を用意した。
(熱硬化性樹脂2)
熱硬化性樹脂2として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製:「850S」)を用意した。
(硬化剤1)
硬化剤1として、ジシアンジアミド(デグサ社製)を用意した。
(硬化促進剤1)
硬化促進剤1として、2−フェニルイミダゾール(四国化成社製:「2PZ」)を用意した。
(シランカップリング剤1)
シランカップリング剤1として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製:「KBM−403」)を用意した。
(無機充填材1)
無機充填材1として、アルミナ(日本軽金属社製:「LS−210B」)を用意した。
(無機充填材2)
無機充填材2として、窒化ホウ素(電気化学工業社製:「SPG−3」)を用意した。
(金属板1)
金属板1として、アルミニウム6000系(日本軽金属社製:「A6061−T6」、平均厚さ:0.5mm)を用意した。なお、この金属板1におけるアルミニウムの純度は97.2wt%であり、ブリネル硬さは105HBであった。
(金属板2)
金属板2として、アルミニウム5000系(日本軽金属社製:「A5052−H34」、平均厚さ:0.5mm)を用意した。なお、この金属板2におけるアルミニウムの純度は97.2wt%であり、ブリネル硬さは82HBであった。
(金属板3−1)
金属板3−1として、アルミニウム1000系(日本軽金属社製:「A1050−H24」、平均厚さ:0.3mm)を用意した。なお、この金属板3−1におけるアルミニウムの純度は99.5wt%であり、ブリネル硬さは30HBであった。
(金属板3−2)
金属板3−2として、アルミニウム1000系(日本軽金属社製:「A1050−H24」、平均厚さ:0.5mm)を用意した。なお、この金属板3−2におけるアルミニウムの純度は99.5wt%であり、ブリネル硬さは30HBであった。
(金属板3−3)
金属板3−3として、アルミニウム1000系(日本軽金属社製:「A1050−H24」、平均厚さ:1.0mm)を用意した。なお、この金属板3−3におけるアルミニウムの純度は99.5wt%であり、ブリネル硬さは30HBであった。
(金属板4)
金属板4として、アルミニウム1080系(日本軽金属社製:「A1080−H12」、平均厚さ:0.5mm)を用意した。なお、この金属板4におけるアルミニウムの純度は99.8wt%であり、ブリネル硬さは19HBであった。
(回路層1)
回路層1として、ロール状銅箔(日本電解社製:「YGP−35」)を用意した。
2. 金属ベース基板の製造
以下のようにして金属ベース基板を製造した。
(実施例1)
<樹脂組成物(ワニス)の調製>
熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤および無機充填材として、それぞれ、表1に示すものを、表1に示す質量部で秤量し、これらを、シクロヘキサノン400質量部に溶解・混合させ、高速撹拌装置を用い撹拌することで、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<回路層上への樹脂層形成用層の成膜>
用意した回路層1を、幅260mm、厚さ35μmの大きさのものとし、この回路層1の粗化面に、予め調製した樹脂組成物をコンマコーターにて塗布し、100℃で3分、150℃で3分加熱乾燥することで、回路層上に厚さ100μmの樹脂層形成用層を形成した。
なお、かかる条件で樹脂組成物を乾燥させることにより、樹脂層形成用層は、半硬化の状態となっている。これを縦65mm×横100mmにカットした。
<樹脂層(樹脂層形成用層)上への金属板の接合>
樹脂層形成用層が形成された回路層1の樹脂層形成用層上に、用意した金属板3を載置し、この状態で、回路層1と金属板3とが、樹脂層形成用層を介して互いに接近するように加圧するとともに加熱することで、樹脂層形成用層を硬化させることにより、回路層1と樹脂層と金属板3とがこの順で積層された実施例1の金属ベース基板を得た。
なお、樹脂層形成用層を硬化させる際の条件は、以下のように設定した。
・加熱温度 :200℃
・加圧時の圧力 :10MPa
・加熱/加圧時間:1.5時間
(実施例2〜8、比較例1〜4)
樹脂組成物(ワニス)の調製の調製する際に用いる熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤および無機充填材として、それぞれ、表1に示すものを用い、これらを表1に示す質量部で秤量したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2〜8および比較例1〜4の金属ベース基板を得た。
2.金属ベース基板の評価
まず、各実施例および各比較例で得られた金属ベース基板について、それぞれ、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置した後に、樹脂層の絶縁破壊電圧値を測定した。すなわち、各実施例および各比較例で得られた金属ベース基板は、それぞれ、反りが生じているものであり、この反りの矯正を施さない状態で、前記水蒸気雰囲気下に曝した後の絶縁層における絶縁破壊電圧値(反り矯正前絶縁破壊電圧値)を測定した。
次に、前記絶縁破壊電圧値を測定したのとは異なる、各実施例および各比較例で得られた金属ベース基板を用意し、これら金属ベース基板について、それぞれ、平坦化装置100を用いて、ベース基板に生じた反りを矯正する平坦化加工を施した。なお、平坦化装置100を用いた平坦化加工は、離間距離L=50cm、離間距離L=50cm、長さL=5cm、テンショナ直径=10cmのものを用いて行った。また、この平坦化加工を施すことにより、各実施例および各比較例で得られた金属ベース基板はともに、金属ベース基板が備える金属板における反り率(JIS C 6481に規定)が0.2%以下となっていた。
そして、反りが矯正された各実施例および各比較例で得られた金属ベース基板について、それぞれ、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置した後に、樹脂層の絶縁破壊電圧値(反り矯正後絶縁破壊電圧値)を測定した。
なお、樹脂層の絶縁破壊電圧値は、室温において交流電圧を銅箔とアルミニウム板間に印加することにより測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 0006451867
表1から明らかなように、各実施例、すなわち金属板として、純アルミニウムのもの、すなわちアルミニウム原子を除く他の原子の含有量が0wt以上1.5wt以下であるものを用いることにより、反りを矯正する平坦化加工が施された後であっても、樹脂層の絶縁破壊電圧値が、3.6kV以上となっており、平坦化加工を施すことによる樹脂層におけるクラックの発生が防止されている結果を示した。
これに対して、各比較例では、金属板として、アルミニウム合金のものが用いられており、これにより、反りを矯正する平坦化加工を施した後における樹脂層の絶縁破壊電圧値が、3.6kV未満を示し、平坦化加工を施すことにより樹脂層においてクラックが生じていることを示す結果が得られた。
本発明は、熱を発する発熱体を電気的に接続して搭載する回路基板を形成するために用いられ、平板状をなし、純アルミニウムからなる金属板と、前記金属板の一方の面に形成された樹脂層と、前記樹脂層の前記一方の面に形成された回路層とを備える金属ベース基板であって、当該金属ベース基板を、反りを矯正する平坦化加工が施されたものとし、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置したとき、前記樹脂層の吸湿後絶縁破壊電圧値は、3.6kV以上であることを特徴する。これにより、反りを解消させることを目的に、平坦化加工を施したとしても、内部における絶縁性が確保された回路基板を製造し得る金属ベース基板、かかる金属ベース基板を用いて製造された回路基板、および、かかる回路基板に発熱体が搭載された発熱体搭載基板を提供することができる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。
4 回路層
5 樹脂層
5A 樹脂層形成用層
6 金属板
10 金属ベース基板
100 平坦化装置
150 シームレスベルト
200 搬送手段
211 テンショナ
212 テンショナ
213 テンショナ
251 テンショナ
252 テンショナ
253 テンショナ
254 テンショナ

Claims (9)

  1. 熱を発する発熱体を電気的に接続して搭載する回路基板を形成するために用いられ、
    平板状をなし、純アルミニウムからなる金属板と、
    前記金属板の一方の面に形成された樹脂層と、
    前記樹脂層の前記一方の面に形成された回路層とを備える金属ベース基板であって、
    前記金属板の平均厚さは、0.3mm以上1.2mm以下、かつ、前記金属板のブリネル硬さは、12HB以上35HB以下であり、さらに、
    前記金属板は、該金属板のブリネル硬さをH[HB]とし、前記金属板の厚さをT[mm]としたとき、30<H/T<60なる関係を満足し、
    当該金属ベース基板を、反りを矯正する平坦化加工が施されたものとし、121℃・100%RHの水蒸気雰囲気下に168時間放置したとき、
    前記樹脂層の吸湿後絶縁破壊電圧値は、5.0kV以上であることを特徴する金属ベース基板。
  2. 当該金属ベース基板は、JIS C 6481に規定の静置法で測定した、前記金属板の反り率が0.2%以下である請求項1に記載の金属ベース基板。
  3. 前記金属板おける、アルミニウム原子を除く他の原子の含有量は、0wt%以上1.5wt%以下である請求項1または2に記載の金属ベース基板。
  4. 前記回路層は、銅または銅系合金からなる請求項1ないしのいずれか1項に記載の金属ベース基板。
  5. 前記樹脂層は、樹脂材料と、無機充填材とを含有する樹脂組成物の硬化物または固化物で構成される請求項1ないしのいずれか1項に記載の金属ベース基板。
  6. 前記樹脂組成物は、さらに、カップリング剤を含有する請求項に記載の金属ベース基板。
  7. 前記無機充填材は、主として酸化アルミニウムで構成された粒状体である請求項またはに記載の金属ベース基板。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の金属ベース基板を用いて形成された回路基板であって、
    前記回路層をパターニングすることで形成された、前記発熱体を電気的に接続する端子を備える回路を有することを特徴とする回路基板。
  9. 請求項に記載の回路基板と、前記端子に電気的に接続して、当該回路基板に搭載された前記発熱体とを備えることを特徴とする発熱体搭載基板。
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