JP6449147B2 - T細胞リンパ腫の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、RHOA遺伝子の変異を指標としたT細胞リンパ腫の検出方法に関する。
血管免疫芽球性リンパ腫(AITL)は、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の一型であり、T細胞リンパ腫全体の約20%を占める疾患である。AITLは、全身リンパ節腫脹、多クローン性高γグロブリン血症などの自己免疫疾患様の臨床症状がしばしばみられる。免疫組織染色によると、組織学的には、リンパ節の構造は、多型性の腫瘍細胞および反応性のリンパ球、好酸球などの炎症細胞の増加がみられ、高内皮細静脈および濾胞樹状細胞の増加を伴っている。リンパ節にはB細胞性免疫芽球が混在し、これはしばしばEBウイルス陽性である。腫瘍細胞は通常CD4, CD10, PD1, CXCL13陽性である。
遺伝子発現に着目すると、T細胞リンパ腫の多くは、T細胞受容体(TCR)の再構成を伴っていることが、診断の一助となっている。しかしながら、AITLではTCR再構成が検出されないことがある。一方、30%の症例では、B細胞リンパ腫で通常検出される免疫グロブリンの再構成がみられる。これにより、AITLをB細胞リンパ腫などの他のリンパ腫から見分けるのが困難なことがある。こうした免疫組織染色パターンおよび特徴的な遺伝子発現プロファイルの結果から、AITLの腫瘍細胞の正常カウンターパートは、濾胞性ヘルパーT細胞(TFH)と呼ばれるヘルパーT細胞の一型であると考えられている。
他方、分類不能型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)は、T細胞リンパ腫の30%を占め、特定の末梢性T細胞性リンパ腫と診断する十分な特徴がない末梢性T細胞リンパ腫に対する疾患名であり、独立した疾患群としての特徴には乏しいという点で、よりヘテロな疾患概念である。一部のPTCL-NOSはTFHのマーカーを発現し、また形態学的にもAITLの特徴を有することがある。こうした境界例をAITLと診断すべきか、PTCL-NOSと診断すべきかについては、一定の見解がなく、現段階では、個々の病理医の信条に依存している。
上記のとおり、AITL(あるいはAITL様のPTCL-NOS)は、しばしばB細胞リンパ腫などの他のリンパ腫や、反応性変化と区別が困難である。したがって、実臨床、あるいは臨床研究においては、これらの疾患を区別するための客観的な診断方法が求められている。
AITLの分子学的な病態としては、近年、TET2、IDH2及びDNMT3Aに遺伝子変異が同定され、それより低い頻度ではあるが、PTCL-NOSでも同遺伝子に変異が報告された。しかしながら、これらの遺伝子変異はいずれも骨髄性腫瘍でもみられることから、AITLとしての特徴的な病像に寄与しないと考えられ、AITLに特異的な遺伝子変異は、これまで報告されていなかった。
Blood. 2007 Jun 1;109(11):4952-63 J. Clin. Oncol. 2013 Jan 10; 31(2):240-6 Blood. 2012 Aug 16;120(7):1466-9 N. Engl. J. Med. 2012 Jan 5;366(1):95-6
本発明は、RHOA遺伝子の変異を指標としたT細胞リンパ腫の検出方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、被験者から得られたRHOA遺伝子の塩基配列のうち第50番目の塩基の変異がT細胞リンパ腫、特にAITLと関連することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)被験者から採取されたRHOA遺伝子の塩基配列のうち、第50番目、第331番目、第334番目及び第482番目の塩基からなる群から選ばれる少なくとも1つの塩基の遺伝子変異、又は第49番目から第51番目の塩基の遺伝子変異を解析し、当該解析結果とT細胞リンパ腫とを関連づけることを特徴とする、T細胞リンパ腫の検出方法。
(2)T細胞リンパ腫の検出は、第50番目の塩基の遺伝子変異がG/Tのヘテロ接合若しくはT/Tのホモ接合のとき、第331番目の塩基の遺伝子変異がC/Tヘテロ接合若しくはT/Tホモ接合のとき、第334番目の塩基の遺伝子変異がA/Gヘテロ接合若しくはG/Gホモ接合のとき、第482番目の塩基の遺伝子変異がC/Aヘテロ接合若しくはA/Aホモ接合のとき、又は第49番目から第51番目の塩基が欠失しているときはT細胞リンパ腫である、又はT細胞リンパ腫のリスクがあると判定するものである、上記(1)に記載の方法。
(3)T細胞リンパ腫が血管免疫芽球性リンパ腫又は分類不能型末梢性T細胞リンパ腫である上記(1)に記載の方法。
(4)RHOA遺伝子の塩基配列のうち、第50番目、第331番目、第334番目又は第482番目の塩基を含む少なくとも10塩基の配列又はこれに相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド。
(5)10〜579塩基の長さを有する上記(4)に記載のオリゴヌクレオチド。
(6) 上記(4)又は上記(5)に記載のオリゴヌクレオチドを含む、T細胞リンパ腫の検出用キット。
本発明により、T細胞リンパ腫の検出方法及びキットが提供される。本発明の方法を用いることにより、AITLに特徴的な新規遺伝子変異の存在が明らかとなり、AITLの約70%の患者を、簡便かつ確実に検出又は診断することができる。従って、本発明の方法は、T細胞リンパ腫の検出、病態理解、診断及び分子標的療法の開発に有用である。
変異アレルの頻度を示す図である。 PTCL患者におけるRHOA遺伝子の変異を示す図である。 PTCLサンプルにおける変異マップを示す図である。 RHOAの野生型及び変異型タンパク質の3次元構造を示す図である。 野生型及び変異型RHOAの活性をプルダウンアッセイにより解析した結果を示す図である。 野生型及び変異型RHOAの活性をプルダウンアッセイにより解析した結果を示す図である。 野生型及び変異型RHOAの活性をレポーターアッセイにより解析した結果を示す図である。 Deep sequencing法による変異アリル頻度を解析した結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、被験者から採取された、RHOAをコードする遺伝子(RHOA遺伝子ともいう)の塩基配列において、第50番目、第331番目、第334番目及び第482番目の塩基からなる群から選ばれる少なくとも1つの塩基の遺伝子変異、又は第49番目から第51番目の塩基の遺伝子変異を解析し、当該解析結果と被験者のT細胞リンパ腫とを関連づけることを特徴とする、T細胞リンパ腫の検出方法である。
また、本発明は、被験者から採取されたRHOAタンパク質のアミノ酸配列のうち、第17番目、第111番目、第112番目又は第161 番目のアミノ酸残基の変異の有無を解析し、当該解析結果と被験者のT細胞リンパ腫とを関連づけることを特徴とするT細胞リンパ腫の検出方法である。
ここで、「検出」とは、RHOA遺伝子又はRHOAタンパク質の変異と表現型とを結びつけて、RHOA遺伝子変異又はRHOAタンパク質変異を有する場合はT細胞リンパ腫である、又はT細胞リンパ腫のリスクがあるものと、推定、決定、判定又は診断することを意味する。また、上記塩基配列における「第50番目」、「第331番目」、「第334番目」及び「第482番目」、並びにアミノ酸配列における「第17番目」、「第111番目」、「第112番目」及び「第161 番目」は、解析の対象となるアミノ酸残基及び塩基の位置を、それぞれRHOA遺伝子及びRHOAタンパク質の全長配列における番号により示している。従って、実際の解析に使用するRHOA遺伝子又はRHOAタンパク質が、例えば部分断片であって全長より短くても、対象の位置は上記それぞれの番号を意味する。
本発明者は、AITL又はPTCL-NOS患者由来のRHOA遺伝子の50番目の塩基において、遺伝子型がG/Tヘテロ接合若しくはT/Tホモ接合であること、または第49番目から第51番目にわたる3塩基が欠失していることを見出した。さらに本発明者は、AITL又はPTCL-NOS患者由来のRHOA遺伝子の第331番目、第334番目又は第482番目の塩基において、遺伝子型が、それぞれC/Tヘテロ接合若しくはT/Tホモ接合、A/Gヘテロ接合若しくはG/Gホモ接合、又はC/Aヘテロ接合若しくはA/Aホモ接合であることを見出した。従って、本発明は、RHOA遺伝子の第50番目の塩基置換(c.G50T (アミノ酸配列ではG17V))、第331番目の塩基置換(c.C331T (アミノ酸配列ではP111S))、第334番目の塩基置換(c.A331G (アミノ酸配列ではI112V))、及び第482番目の塩基置換(c.C482A (アミノ酸配列ではA161E))、並びに第49番目から第51番目にわたる3塩基の欠失を指標として、個体のT細胞リンパ腫を評価する方法に関する。
AITLにおけるRHOA遺伝子の変異箇所は特定の領域に集中しており、悪性リンパ腫の中ではAITLに非常に特異的である(実施例、表2)。このことから、上記変異はAITLの診断や治療に応用するための基本情報となる。本発明においては、被験者の検体(組織、血液等)のDNAから、この変異を特異的かつ鋭敏に検出し得ることを確認した。
1.RHOA遺伝子及びRHOAタンパク質
本発明において、検出のために使用される遺伝子及びタンパク質はRHOA遺伝子及びRHOAタンパク質である。RHOA(ras homolog family member A) 遺伝子は、ヒト第3染色体の3p21.3領域に位置し、低分子量Gタンパク質のRhoファミリーに属するタンパク質であるRHOAをコードする遺伝子である。ヒトRHOA遺伝子は、例えば配列番号1に示されるものであり、RHOAタンパク質は配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる。ヒトRHOA遺伝子の塩基配列情報及びRHOAタンパク質のアミノ酸配列情報は、例えばアクセッション番号NM_001664により得ることができる(配列番号1、2)。
2.遺伝子変異マーカー
本発明において解析の対象となるRHOA遺伝子変異の情報は、RHOA遺伝子の塩基配列の第50番目の塩基(配列番号1に示す塩基配列の第50番目の塩基)の変異であり、「c.G50T」という。c.G50Tは、RHOAタンパク質のアミノ酸配列の第17位(配列番号2に示すアミノ酸配列の第17番目のアミノ酸残基)でグリシンからバリンへの置換(Gly17Val又はG17V)が起こる。また、RHOA遺伝子変異の情報は、RHOA遺伝子の塩基配列の第331番目の塩基(配列番号1に示す塩基配列の第331番目の塩基)の変異、第334番目の塩基(配列番号1に示す塩基配列の第334番目の塩基)の変異、第482番目の塩基(配列番号1に示す塩基配列の第482番目の塩基)の変異であり、それぞれ、「c.C331T」、「c.A334G」、「c.C482A」という。「c.C331T」、「c.A334G」及び「c.C482A」は、それぞれ、RHOAタンパク質のアミノ酸配列の第111位(配列番号2に示すアミノ酸配列の第111番目のアミノ酸残基)でプロリンからセリンへの置換(Pro111Ser又はP111S)、RHOAタンパク質のアミノ酸配列の第112位(配列番号2に示すアミノ酸配列の第112番目のアミノ酸残基)でイソロイシンからバリンへの置換(Ile112Val又はI112V)、RHOAタンパク質のアミノ酸配列の第161位(配列番号2に示すアミノ酸配列の第161番目のアミノ酸残基)でアラニンからグルタミン酸への置換(Ala161Glu又はA161E)が起こる。さらに、本発明においては、RHOA遺伝子の塩基配列の第49番目の塩基から第51番目の塩基(配列番号1に示す塩基配列の第49〜51番目の塩基)の欠失が起こる。この欠失を「c.49_51del」という(配列番号2に示すアミノ酸配列の17位のアミノ酸残基の欠失(p.17_17del))。
なお、Rhotekin結合解析により、アミノ酸17位がバリン残基となったRHOAをもつ細胞は、グリシン残基である野生型RHOAのみをもった細胞よりも、(Rhotekinに結合しうる)活性型RHOAとなる機能が低いことがわかった。つまり、変異RHOAは野生型RHOAよりもGTP結合能が低下しており、GTP結合型になりにくい。また、アクチン重合体の解析により、変異RHOAをもつ細胞はアクチン重合が低下していること、serum responsive factor response element(SRF-RE)を用いたレポーターアッセイにより、変異RHOAは野生型RHOAによるSRFの転写活性を抑制することもわかった。
本発明において、遺伝子変異は、RHOA遺伝子の塩基配列のうち第50番目、第331番目、第334番目及び第482番目の塩基において主に一塩基の変異、及び挿入/欠失変異を含む。欠失変異としては、RHOA遺伝子の塩基配列のうち第49番目から第51番目の3塩基の欠失が挙げられる。
本発明において、検出の対象となるT細胞リンパ腫は、血管免疫芽球性リンパ腫(AITL)、分類不能型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)である。
RHOA遺伝子及びRHOAタンパク質の上記変異は、被験者のT細胞リンパ腫を評価するためのマーカーとして利用することができる。すなわち、この変異を解析することによって、T細胞リンパ腫、特にAITLであるか否かを評価することができる。
本発明において見出されたc.G50T変異(アミノ酸配列ではG17V変異)、c.C331T変異(アミノ酸配列ではP111S変異)、c.A334G変異(アミノ酸配列ではI112V変異)及びc.C482A変異(アミノ酸配列ではA161E変異)、並びにDel49-51は、T細胞リンパ腫の決定因子であり、変異と表現型との関連は、解析したRHOA遺伝子の第50番目の塩基RHOAタンパク質の17番目のアミノ酸配列を例にとると、遺伝子変異がG/Tのヘテロ接合又はT/Tのホモ接合のとき、アミノ酸配列がG17V変異のときは、AITL若しくはPTCL-NOSである、又はAITL 若しくはPTCL-NOSのリスクがあると判定することができる(他の位置の塩基及びアミノ酸についても同様である。)。本発明者による158名の症例を用いた統計解析によると、AITL若しくはPTCL-NOSである確率は50%以上であり、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらに好ましくは80%以上である。上記と同様に、解析したRHOA遺伝子の第331番目、第334番目又は第482番目の塩基の遺伝子変異が、それぞれC/Tヘテロ接合若しくはT/Tホモ接合、A/Gヘテロ接合若しくはG/Gホモ接合、又はC/Aヘテロ接合若しくはA/Aホモ接合のときは、AITL若しくはPTCL-NOSである、又はAITL 若しくはPTCL-NOSのリスクがあると判定することができる。さらに、解析したRHOA遺伝子の第49番目〜第51番目の3塩基が欠失したときは、AITL若しくはPTCL-NOSである、又はAITL 若しくはPTCL-NOSのリスクがあると判定することができる。
AITLとPTCL-NOSとの間の区別については、例えばc.G50T変異を有する場合は、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上の確率で、AITLのリスクがあると判断又は推定することができる。
本発明により、T細胞リンパ腫(AITL 又はPTCL-NOS)のリスクがあると判定したときは、患者に対してT細胞リンパ腫に対する治療薬を投与することができる。従って、本発明は、前記T細胞リンパ腫(AITL 又はPTCL-NOS)のリスクがあると判定された患者に対して、T細胞リンパ腫に対する治療薬を投与する工程を含む、T細胞リンパ腫の治療方法を提供する。
T細胞リンパ腫に対する治療薬としては、特に限定されるものではないが、例えばCHOP療法(シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)などが挙げられる。
上記治療薬の投与については、その用法は限定はされないが、通常、非経口又は経口用法が採用される。
経口用固形製剤を調製する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを単独で又は適宜組み合わせた製剤、例えば錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤等とすることができる。
注射剤等の非経口投与製剤を調製する場合には、必要によりpH調整剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、保存剤などを添加して、例えば、静脈、皮下、筋肉内注射剤製剤とし、単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態等で提供される。必要により、凍結乾燥物とすることもできる。
上記治療薬の投与量は、患者の症状の程度、年齢、性別、体重、投与方法、投与時期、投与間隔等によって異なり、特に限定されないが、例えばCHOP療法のときは、シクロフォスファミドを体表面積あたり300-750 mgを第一日目、ドキソルビシン体表面積あたり25-50mgを第一日目、ビンクリスチン体表面積あたり0.7-1.4mgを第一日目、プレドニゾロン50-100mgを第1日目から5日目までの5日間投与する。
ところで、本発明の方法では、複数の被験者由来の試料を用いて変異を解析している。従って、被験者個人のT細胞リンパ腫を検出する場合、allele specific PCR法によるゲノムDNAにおける遺伝子変異の定量解析に対するスピアマンの順位相関係数などの統計解析の結果、当該個人が全体のどの位置に存在又は属するかを調べることによって、各被験者個人のT細胞リンパ腫の可能性を知ることができる。また、予め規定された数の被験者(1次母集団)において変異と表現型(T細胞性リンパ腫)との間の分析を行い、得られた測定値を基本データとして、この基本データと、検出の対象となる単数又は複数の被験者由来の変異とを比較し、表現型であるT細胞リンパ腫と関連付けすることもできる。
上記測定された被験者由来のデータを前記母集団の値に組み込んで変異情報とT細胞リンパ腫のリスクレベルを再度データ処理しておくと、対象となる被験者(母集団)の例数を増やすことにより、解析の精度を高めることができる。
3.変異検出法
上記変異を検出するための被験者からのゲノムサンプルは、血液、唾液、皮膚、リンパ節、骨髄等の生体試料から抽出することができるが、ゲノムサンプルを採取できるものであれば、これに限定されるものではない。ゲノムDNAの抽出及び精製法は周知である。例えば、ヒトから採取した血液、唾液等の検体から、QIAmp DNA mini kit、QIAmg DNA FFPE Tissue kit (QIAGEN)、Wizard(登録商標)Genomic DNA Purification Kit(Promega)、NucleoSpin(登録商標)シリーズのキット(タカラバイオ)、などのキットを用いて抽出することができる。本発明の場合、変異がRHOAタンパク質のコード領域(オープンリーディングフレーム)に存在するため、ゲノムDNAの代わりにmRNAやtotal RNAを抽出してもよい。
以下、上記の被験サンプルの遺伝子変異検出法及びアミノ酸変異検出法の一例を示す。
(1)PCR法を用いた検出
PCRにより被験サンプルを増幅するには、Fidelityの高いDNAポリメラーゼ、例えば、KOD-Plus-neoポリメラーゼ(TOYOBO社)を用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。用いるプライマーは、被験サンプル中の対象変異部分が増幅されるように、プライマーの任意の位置に遺伝子変異が含まれるように設計し合成する。
増幅反応終了後は、増幅産物の検出を行い、変異の有無を判定する。例えばTaqMan PCR法は、蛍光標識したアレル特異的オリゴとTaq DNAポリメラーゼによるPCR反応とを利用した方法である。TaqMan PCR法で用いるアレル特異的オリゴ(TaqManプローブという)は、前記遺伝子変異情報に基づいて設計することができる。あるいは、アレル特異的プライマーを用いて増幅する際に、Sybr Green PCR法を用いて増幅産物に蛍光標識した塩基を取り込むことで、変異遺伝子の定量を行うことができる。
(2)塩基配列決定法による検出
本発明においては、ダイレクトシークエンシングにより変異を検出することもできる。塩基配列決定に用いるシークエンサーには、市販のHiSeqシステム、MiSeqシステム(イルミナ)、ABIシリーズ(ライフテクノロジーズ)、PGMシステム(ライフテクノロジーズ)等を用いる。
(3)DNAマイクロアレイによる検出
DNAマイクロアレイは、支持体上にヌクレオチドプローブが固定されたものであり、DNAチップ、マイクロチップ、ビーズアレイなどを含む。まず、被験サンプルのポリヌクレオチドを単離し、PCRにより増幅し、蛍光レポーター基により標識する。続いて、標識化DNA/mRNA、total RNAをアレイと共にインキュベートする。次にこのアレイをスキャナーに差し込み、ハイブリダイゼーションパターンを検出する。ハイブリダイゼーションのデータは、プローブアレイに結合した(すなわち標的配列に取り込まれた)蛍光レポーター基からの発光として採集する。標的配列と完全に一致したプローブは、標的配列と一致していない部分を有するものよりも強いシグナルを生じる。アレイ上の各プローブの配列及び位置は分かっているため、相補性によって、プローブアレイと反応させた標的ポリヌクレオチドの配列を決定することができる。
(4)インベーダー法による遺伝子変異の検出
インベーダー法は、アレル特異的オリゴと鋳型とをハイブリダイゼーションすることにより遺伝子多型を検出する方法である。この方法を本発明における変異の検出に使用することができる。インベーダー法を行うためのキットは市販されており、この方法により容易に遺伝子変異を検出することが可能である。
(5)アミノ酸変異の検出
本発明において、RHOAタンパク質のアミノ酸変異を解析するには、被験者の血液サンプル、外科切除検体等のサンプルから得られたRHOAタンパク質について、アミノ酸配列のダイレクトシークエンス法によって「第17番目」、「第111番目」、「第112番目」又は「第161 番目」のアミノ酸配列を解析し、アミノ酸が変異しているかどうかを検出する。また、ウエスタンブロッティング、プルダウンアッセイ法等の電気泳動法を利用した分析手法に基づいて変異を検出することもできる。
なお、上記サンプルからRHOAタンパク質を得るには、例えば当分野において周知の手法、例えば界面活性剤によるタンパク質の可溶化、透析、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等を適宜組み合わせることにより行うことができる。
4.オリゴヌクレオチド
本発明は、上記遺伝子変異を含むDNA断片に特異的にハイブリダイズする、当該遺伝子変異を含むオリゴヌクレオチドを提供する。「ハイブリダイズする」とは、通常のPCRやハイブリダイゼーションの過程においてDNA対を形成することを意味する。従って、ハイブリダイズする条件は、市販のPCR試薬やハイブリダイゼーション用試薬を用いることで設定することが可能である。
表1には、RHOA遺伝子の塩基配列のc.G50T、c.C331T、c.A334G及びc.C482A変異並びにDel49-51欠失を含むコーディング領域の塩基配列が表示されており(配列番号3)、第50番目、第331番目、第334番目、第482番目の塩基を枠で囲って表示し、c.49_51del欠失は取消線で表示してある。
表1において、「g/t」は「G」が「T」に変異したことを意味し、「c/t」は「C」が「T」に、「a/g」は「A」が「G」に、「c/a」は「C」が「A」に変異したことを意味する。本発明においては、上記RHOA遺伝子の塩基配列(配列番号1)の変異部位(c.G50T、c.C331T、c.A334G、c.C482A)を含む少なくとも10塩基、例えば10〜579塩基、好ましくは10〜100塩基、より好ましくは10〜50塩基を有するオリゴヌクレオチドを提供する。これらのオリゴヌクレオチドは、T細胞リンパ腫検出用プローブ又はPCRプライマーとして使用することができる。T細胞リンパ腫の検出は、前記c.G50T、c.C331T、c.A334G若しくはc.C482A変異、又はc.49_51del変異を指標として行われる。T細胞リンパ腫検出用プローブ又はPCRプライマーについて以下に説明する。被験対象者からのゲノムDNAサンプルの取得法は前記のとおりである。
本発明においてプライマー及び/又はプローブとして使用されるオリゴヌクレオチドは、RHOA遺伝子の塩基配列(例えば配列番号1)のうち、第50番目、第331番目、第334番目、又は第482番目の塩基を含むオリゴヌクレオチドを含むように設計された少なくとも10塩基の配列からなるオリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドの長さは少なくとも10塩基であれば特に限定されるものではなく、例えば10〜579塩基、好ましくは10〜100塩基、さらに好ましくは10〜50塩基である。本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号1記載の塩基配列に基づいて、通常の化学合成により得ることができる。本発明においてはこれらの配列の相補鎖(相補配列)も含まれる。また、本発明において、オリゴヌクレオチドは上記配列番号3に示す塩基配列情報に基づいて設計及び合成することができる。この場合、変異部位が塩基配列の5'端又は3'端に存在するように設計することもできるが、これに限定されず、5'又は3'端よりも内側に存在するように設計してもよい。
作製されたオリゴヌクレオチドをプローブとして用いると、当該プローブが被験DNAにハイブリダイズしたかどうか、その有無を利用して変異を決定又は検出することができる。プローブは、例えばTaqMan(登録商標)プローブとして使用することができる。
プローブは、配列番号1に示す塩基配列のうち、第50番目の塩基を含み、かつ、第50番目の塩基よりも上流側の塩基及び下流側の塩基を含むように設計することが好ましい。このようにして設計及び合成したプローブをプローブ50とし、第50番目の塩基が「G」(正常配列)のアリルを「アリルG」、「T」(第50番目の塩基に変異が生じている配列)のアリルを「アリルT」とする。プローブ50が、アリルGの配列にはハイブリダイズするがアリルTの配列にはハイブリダイズしない条件でハイブリダイゼーションを行う。プローブ50は、アリルTの配列を有するDNAとハイブリダイズするため、バンドの有無によってアリルがGであるかTであるかを判断(検出)することができる。
アリル50を検出するためのプライマーとしてオリゴヌクレオチドを設計するときは、第50番目の塩基よりも上流側から設計するとともに、50番目の塩基よりも下流側から設計する。これにより、PCTにより増幅された断片は、変異の有無により検出される断片の大きさが異なるため、断片の大きさの相違により変異を検出することができる。プライマーの長さは、少なくとも15塩基、好ましくは15〜30塩基、さらに好ましくは18〜24塩基の長さを有するように設計する。もちろん、プライマーの設計は、前記50番目の塩基の上流及び下流の50塩基以内の領域に限定されるものではなく、ゲノムDNAの配列をベースにして、増幅断片が1000bp以下、好ましくは500bp以下、さらに好ましくは200bp以下(例えば50〜100bp)となるように鋳型DNAの領域から適宜選択することもできる。上記第50番目の塩基と同様にして、第331番目、第334番目、又は第482番目の塩基を含み、かつ、これらの位置の塩基よりも上流側の塩基及び下流側の塩基を含むように設計することもできる。
以上のように設計されたオリゴヌクレオチドプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブは、公知の手段・方法により化学合成することができるが、一般には、市販の化学合成装置を使用して合成される。なお、プローブには、予め適当な蛍光標識(例えばFAM、VIC等)を付加して作業の自動化を図ることも可能である。
5.キット
本発明は、T細胞リンパ腫を検出するためのキットを提供する。本発明のキットは、本発明を実施するために必要な1種以上の成分を含む。例えば、本発明のキットには、本発明のオリゴヌクレオチド、酵素緩衝液、dNTP、コントロール用試薬(例えば、組織サンプル、ポジティブ及びネガティブコントロール用標的オリゴヌクレオチドなど)、標識用及び/又は検出用試薬、固相支持体、説明書などが挙げられる。また本発明のキットは、必要な成分のうちの一部のみを含む部分的キットであってもよく、その場合には、ユーザーが他の成分を用意することができる。
本発明のキットは、上記オリゴヌクレオチドを支持体に固定したマイクロアレイとして提供することもできる。マイクロアレイは、支持体上に本発明のオリゴヌクレオチドが固定されたものであり、DNAチップ、マイクロチップ、ビーズアレイなどを含む。
本発明のキットは、RHOA遺伝子の変異を含むDNA断片に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含むことが好ましい。
本発明のキットにより遺伝子変異を判定する場合、例えば、疾患の診断時に血液、唾液、体腔液(胸水、腹水、髄液など)、骨髄液、腫瘍検体、およびそれらから作製された固定標本などから上記RHOA遺伝子を含むDNAを単離し、この単離したDNAをキット中のオリゴヌクレオチドと反応させて遺伝子型を判定する。
判定した遺伝子型及び遺伝子変異からT細胞リンパ腫(特にAITL)であるか否か、又はT細胞リンパ腫のリスクを判定する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.概要
本実施例では、3例のAITL, 3例のPTCL-NOSについて全エクソンシークエンス法(WES)を用いて解析した。WESで変異が見られたRHOA遺伝子、およびこれまでに高頻度変異が報告されていたTET2, IDH1/2, DNMT3A遺伝子の全領域についてターゲットシークエンス法により80例について解析を行い、さらに、RHOAの高頻度変異部位についてはホットスポットシークエンス法により78例について解析、計158例について解析を行った。WESにより、3例のAITLおよび1例のPTCL-NOSについて、RHOA遺伝子に体細胞変異がみられ、いずれもアミノ酸配列ではG17Vに置換されるような変異であった。
さらに多数例で追加解析を行ったところ、AITLではRHOA 71.2%、TET2 85.4%、IDH2 29.2%、DNMT3A 29.2%に変異を認め、PTCL-NOSではAITLよりは頻度が低いものの、RHOA 16.5%、TET2 50.0%、IDH2 0%、DNMT3A 28.1%に変異を認めた。注目すべきことには、RHOA変異症例では、ほぼ全例にTET2変異を認めた。一部の症例では、TET2変異は、リンパ腫が浸潤していない骨髄サンプルにも認められたが、RHOA変異はみられなかった。このことは、RHOAがよりT細胞リンパ腫の発症により特異的であるということを意味している。RHOA G17V変異体は野生型よりもGTP結合型になりにくく、Serum-responsive factor response element (SRE)に対するレポーター解析でも、RHOA G17V変異体は野生型の機能をドミナントネガテイブに抑制した。
本実施例は、T細胞リンパ腫における遺伝学的異常として新しくRHOA G17V変異を同定した。機能欠損型変異が高頻度に認められるという観察結果から、T細胞リンパ腫、中でもAITLの病態において、RHOAの機能低下が重要な役割を果たしている可能性がある。
2.実験
(1)患者並びにDNA及び病理サンプル
AITL、PTCL-NOS、および対照として他の末梢性T細胞リンパ腫、Bリンパ腫、骨髄系腫瘍患者の検体を用いた。実験はそれぞれの参加組織の倫理委員会からの承諾を得て行った。高分子量のゲノムDNAはリンパ節などの生検組織の新鮮凍結検体、PLP法(パラホルムアルデヒド、メタ過ヨウ素酸及びリジンを含む固定液を用いる方法)により固定した検体から、QIAmp DNA mini kitあるいはQIAmp DNA FFPE Tissue kit (QIAGEN)を用いてそれぞれ抽出した。ホットスポットシークエンス用として、ホルマリン固定後にパラフィン包埋したサンプル(FFPEサンプル)から、QIAmp DNA FFPE Tissue kit (QIAGEN)によりDNAを抽出した。対照サンプルとして、口腔粘膜サンプル、あるいはリンパ腫が浸潤していない骨髄穿刺吸引サンプルから単離した単核球分画からDNAを抽出した。
(2) 全エクソンシークエンス (WES)
全エクソンライブラリーは、SureSelect Exome Capture kit 50MbあるいはV4kitにより、増幅していない腫瘍及び正常のペア検体DNAから作製し、HiSeq2000により解析した。全エクソンシークエンス法(WES)により同定された変異は、全ゲノム増幅酵素を含んだREPLI-g miniキットにより増幅したDNAを用いて、変異が存在する部位の周辺をPCR法により増幅し、deep sequencing法により解析した。
RHOA、TET2、IDH1/2及びDNMT3Aの全エクソン領域のターゲットシークエンスとして、REPLI-g miniキットにより増幅した、あるいは増幅していないDNAを用いて、SureSelect bait library (Agilent)で該当領域を濃縮後、HiSeq2000で解析した。G17V RHOA 領域は、FFPE(FFPEとは、ホルマリン固定パラフィン包埋)標本から抽出したAITL/PTCL-NOS、および他の造血器腫瘍患者からの検体についても解析し、Deep sequencing法およびサンガー法を用いた。ゲノムシークエンスデータはEuropean Genome-Phenome Archiveにて利用可能である。腫瘍DNAはリンパ腫細胞が浸潤した生検サンプルから抽出した。正常対照としてはリンパ腫細胞が浸潤していない骨髄細胞あるいは口腔粘膜から抽出したDNAを用いた。全エクソンキャプチャーは、マグネットビーズ上に合成されたcDNAライブラリー(SureSelect Human All Exon 50Mb or V4 kit, AgilentTechnology)に超音波破砕したゲノムDNAをハイブリダイズすることによって行った。キャプチャーされた領域は、HiSeq2000を用いて、100bpペアエンドの標準的なプロトコールにより、解析した。体細胞変異の候補は、全エクソンシークエンスについて下記解析方法により解析した。
(3) 全エクソンシークエンスからの体細胞変異の検出
体細胞変異は、Genomon-exome により解析した。体細胞遺伝子の候補の検出は、既報のアルゴリズムを多少変更して行った。すなわち、SNVや挿入・欠失が含まれるリードの数をSAMtoolにより計算し、腫瘍と対照サンプルが等しく変異を有するという帰無仮説について、Fisherの正確確率検定(両側検定)により検定した。P値が0.01未満、どちらから読んでも変異が検出された場合、正常コントロール変異でのアリル頻度が0.1以下の場合に、体細胞変異の候補として検出した。最終的には、dpSNP131, 100 genome, および独自の180例の解析から構築したSNPデータベースにあるSNPを除外してリストを作成した。
(4) 全エクソン解析の検証としてのDeep sequencing法
腫瘍及び対照サンプルのゲノムはREPLI-g miniキットを用いて増幅した。体細胞変異を含む領域をKOD-Plus-neo酵素を用いて、ゲノムPCR法により増幅した。プライマーには、NotIリンカーを付属した。PCR産物を混合し、DNAをPCR purification kitにより精製後、NotIで切断した。DNAを再度精製後、1μグラムをT4DNAライゲースにより5時間反応し、その後Covarisを用いて平均150bp前後に切断した。Illuminaのpair-end library protocolを改変したプロトコールでライブラリーを作成し、HiSeq2000により、100bp ペアエンドの標準的なプロトコールにより解析した。
それぞれのリードは、PCR産物の標的配列にalignし、読んだ100くらいの塩基が、読まれるべき配列のどこにあたるかを対応させた。マッピング情報は.pls形式から.sam形式に独自のmy_psl2sam scripを用いて変換した。変換にあたり、ペアエンドの情報を加えるために原法のscriptを一部改変した。適切にマッピングされたリードのみ解析し、多数の領域にマッピングされた場合、4塩基以上のミスマッチがある場合、10塩基以上の一致しない配列がある場合については除外した。Strand特異的なエラ−、サイクル特異的なエラーを除くため、Estimation_CRMEで解析した。strand特異的なミスマッチ確率を11-50サイクル間で双方のstrandについて、それぞれの塩基バリアントについて計算した。SNVが2%と同じあるいはそれ以上である場合に、体細胞変異とした。
(5) RHOA G17V変異体の機能解析
NIH-3T3細胞に野生型又はG17V変異型をトランスフェクションした細胞を用いて、RHOAのGTP結合型(活性型)の量をRhotekin pull down assay (Cytoskeleton)で解析した。RHOA活性は、ルシフェラーゼレポーターアッセイにより、Serum responsive factor response element (SRE)を用いて解析した。
(6) 統計解析
WES法でスクリーニングされた、あるいは他の腫瘍で変異が報告され、T細胞リンパ腫でも変異がみられる可能性が高い遺伝子を中心に79遺伝子を選び、target sequencingにより解析した。WESの場合と同様に、DNAを超音波破砕後、79遺伝子の全エクソン領域に対して設計されたSureSelect target enrichment systemにより、該当領域を濃縮した。その後HiSeq2000によりシークエンス解析した。
シークエンスされたリードは、hg19にBWA version 0.5.8のデフォルトのパラメータを用いてアラインした。質が低いリードや塩基情報は除外した。それぞれのゲノム領域におけるSNVあるいは挿入・欠失の頻度はSAMtoolにより計算した。総リードが10以上読めている場合、かつ変異が6以上のリードで読めている場合に、アリル頻度が0.02以上である全塩基置換を抽出し、ANNOVARソフトにより注釈をつけた。アミノ酸置換されない変異やdpSNP131, 100genome project (2012/5/21)や独自のデータベースでSNPと登録されている変異は除外した。SNVはサンガー法により解析し確認を行い、SNVが5%未満の場合には、IonTorrentシークエンサーで確認を行った。
(7) ホットスポットシークエンスによるRHOAG17V変異の解析
追加の78例について、RHOAc.50T p.G17V ホットスポットを含む領域をゲノムPCRした。PCRプライマーには、サンプルを区別するための6塩基ずつのタグ配列を挿入した。PCR産物は、上述と同様にHiSeq2000で解析した。GからTへの変換が2.0%と同じあるいはそれ以上であるときに、変異がありとした。
(8) 抗体
ウェスタンブロットでは、マウス抗RHOA抗体(Cytoskeleton)、マウス抗βactin抗体(sigma)、マウス抗Flag抗体(Sigama)、マウス抗myc抗体(MBD)、ウサギ抗マウスIgG抗体/HRP(Dako)を用いた。
(9)細胞株および遺伝子導入
NIH3T3細胞及びHEK293細胞は5%CO2、37℃のインキュベーター内で培養した。DMEM(D6046:Sigma)にウシ胎仔血清を10%、ペニシリン/ストレプトマイシンを1%となるように添加したものを培養液として用いた。遺伝子導入は、リポフェクション試薬であるFuGene6 (Roche)を用いて、添付のプロトコールに従って行った。
(10) 突然変異体生成および改変遺伝子の作製
健常人末梢血単核球由来のcDNAからPCR法を用いて、ヒトRHOAのcDNAを増幅した。RHOA(G14V)、RHOA(G17V)、RHOA(T19N)変異は、PrimeStar mutagenesis Basal Kit (Takara)を用いてプロトコールに従って作製した。またRHOA野生型、及び全ての変異型RHOAに対し、N末端にFlagタグ、及びc-Mycタグを挿入したcDNAを作製した。これら全てのcDNAは、発現ベクターであるpEF-neo、またはレトロウイルスベクターであるpGCDNsamIRESGFPに挿入した。シークエンスで予想される配列であることを確認した。
(11) RHOA 活性化アッセイ
RHOA活性解析をRHOA activation assay kit (Cytoskeleton)を用いてプロトコール通り行った。細胞溶解液を、グルタチオンセファロースビーズに固定しているGSTタンパクを融合させたRho結合ドメイン(GST-RBD)とともに4℃、1時間反応させた。溶解バッファーで2回、洗浄バッファーで1回洗浄後、laemmli bufferに溶解し、95℃5分煮沸した。12%SDS-PAGEゲルに泳動し、抗RHOA抗体を用いたウエスタンブロッテング法にて、活性型RHOAを検出した。免疫沈降前の細胞溶解液も同様にウエスタンブロットを行い、全RHOAタンパク量も検出した。
(12) SRF-REレポーターアッセイ
血清応答因子(SRF)の活性を、pGL4.34レポーターベクター(Promega)を用いて測定した。このベクターにはSRF応答配列(SRF-RE)が搭載されており、この配列はRHOAが活性化されることで引き起こされるSRF依存的、TCF非依存的な経路に反応するようにデザインされている。24穴プレートにNIH3T3細胞を播種し、1ウェル当たりpGL4.34ベクター 40ng、pSRalpha galベクター 20ng、そして図に記載された量のRHOA発現プラスミドを細胞に共遺伝子導入させた。48時間培養後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を、ルミノメーターを用いて測定した。同時にβgal活性も測定し、標準化に用いた。
(13) RHOA G17V変異を検出する変異特異的リアルタイムPCR法
47個のPLP標本、48個の凍結標本から、43例のAITLおよび52例のPTCL-NOSについてゲノムDNAを抽出した。RHOA遺伝子のc.G50Tを検出するためのアレル特異的プライマーをWangkumhang’sアルゴリズムによって設計した。そして、それぞれのプライマーセットを使ったリアルタイムPCRによって、[mut]値と[WT]値をそれぞれ測定し、 [mut]/([mut]+[WT])値を算出した。変異アレルの頻度は、タグPCRを用いて、MiSeqを使用したハイスループットシークエンスによって決定した(Deep sequencing法)。なお、[mut]値は、変異特異的プライマーを用いてリアルタイムPCRによって定量した変異アリル量であり、[WT]値は野生型特異的プライマーを用いたリアルタイムPCRによって定量した変異アリル量のことである。
(14) 結果
(i) RHOA遺伝子の新規高頻度変異 (図1)
3例のAITLおよび3例のPTCL-NOSについて、WES法により、蛋白をコードする領域の体細胞変異を解析した。平均で20以上の深さ(同じ領域を読む回数が20回以上)で解析された。87種類のアミノ酸変化が想定される体細胞変異が検出され、サンガー法あるいはdeep sequence法で確認を行った。79例がミスセンス、5例がナンセンス、2例がフレームシフト、1例がフレームシフトでない欠失であった。WESで再現性をもって変異が検出された変異はRHOA遺伝子c.G50T変異のみであり、AITL3例、PTCL-NOS 1例で検出され、これにより、アミノ酸配列はp.G17Vに変化する。
図1は、変異アレルの頻度を示す図であり、全エクソンシークエンス(WES)により見いだされた遺伝子異常、およびWESを行った症例でターゲットシークエンスにより見いだされたTET2/IDH2/DNMT3A遺伝子異常を示す。
(ii) RHOA変異の頻度(表2、表3、図2)
WESで重要な結果が得られたことから、追加のサンプルについて解析した。RHOA遺伝子全長については、80例で解析した。RHOA変異は4つをのぞいて、G17Vに集中していた。G17V以外の変異はp.P111S、p.I112V、p.A161E、p.17_17delであった(表2、図2)。さらにRHOA G17Vについては全体で158サンプルを解析した。AITLでは73中52例 (71.2%)、PTCL-NOSでは14/85 (16.5%)サンプルでG17V変異がみられた(表3)。G17V変異について、その他の造血器腫瘍、具体的には、骨髄性腫瘍142例、B細胞腫瘍91例、その他のT細胞リンパ腫11例について解析したが、G17V変異は検出されなかった(表3)。
図2は、PTCL患者におけるRHOA遺伝子の変異を示す図である。
表2には、ターゲットシークエンス及びホットスポットシークエンスにより見いだされたRHOA遺伝子の変異が表示されており、RHOA遺伝子の変異はc.G50T(p.G17V)に集中していることが分かる。
表3には、様々な造血器腫瘍におけるRHOA遺伝子の頻度が表示されており、今回解析した範囲では、AITL、PTCL-NOS以外の腫瘍ではRHOA遺伝子変異を認めていないことが分かる。
(iii) RHOA遺伝子と他の遺伝子変異の関係(表4、図3)
次に、RHOA変異と他の遺伝子変異の関係を明らかにした。
図3は、T細胞リンパ腫サンプルにおける変異マップを示す図であり、TET2、RHOA、IDH2及びDNMT3Aの遺伝子異常の関係を示す。
TET2変異は80例中57例に認め、AITLでは48例中41例(85.4%)、PTCL-NOSでは 32例中16例(50.0%)であった。同様に、IDH2変異が80例中14例(17.5%)であった。R172変異に集中していた。注目すべきことに、RHOA、TET2及びIDH2は特徴的変異パターンを有していた。すなわち、RHOA変異陽性のケースでは、全例にTET2変異を認めた。さらに、IDH2変異陽性のケースのほとんどでは、RHOA/TET2変異を認めた。DNMT3A変異は80例中23例(28.8%)に認めた。DNMT3A変異を有する例はTET2変異も有することが多いが、RHOAやIDH2変異の有無とは一定の傾向がなかった。
表4には、ターゲットシークエンスにより見いだされたRHOA/TET2/IDH2/DNMT3A遺伝子の変異が表示されている。
(iv) RHOG17V変異および免疫組織学的な表現型(表5)
59例のPTCL-NOS例について、CD4, CD8, TIA1, およびAITLのマーカーであるCD10, CD21, PD1により免疫染色を行った。RHOA変異はこのうち13例で認めた。25例は、CD4およびAITLマーカーの少なくとも1つ以上が陽性であり、この場合にRHOA変異をみとめたのは11例(44.0%)であった。それ以外の34例ではRHOA変異は2例のみ陽性であった。本発明から、RHOA変異がPTCL-NOSのなかでもAITLに近い性質をもつ場合に頻度が高いということが明らかとなった。
表5は、59例のPTCL-NOSについて免疫染色を行って、CD4及びAITLマーカーとされるCD10、CD21、PD-1のいずれか1つが染色された場合にTFH症例と判断し、RHOA遺伝子変異との関係性を合わせて表示したものである。
(v) RHOA G17VはGTP結合型に対して欠損を示す分子である(図4、図5、図6、図7)
RHOAは極めてよく研究されてきた低分子型GTPaseの一つである。RHOAは、多彩な生物学的事象において、重要な役割を果たしていることが知られており、T細胞を含めた様々な細胞において、細胞骨格、接着、運動、転写活性化に関与することが知られる。RHOAは、GTP結合型(活性型)からGDP結合型へ、さらにはGTP結合型へと分子的にスイッチする。RHOAの活性化には、それぞれのRHO分子に特異的なGEFが関わっており、GEFはGDPからGTPへの酵素的な変換を触媒する。シグナルはGTPからGDPへと変換されることで終息し、この反応には、GAPが関わっている。RHOAについて、G17がアラニンに人工的に変換された変異体RHOA G17Aはこれまでも精力的に研究されてきたが、この変異体自体は、癌においては見つかっていない。RHOA G17AはGEFと安定的に結合しGTPおよびGDPの双方に結合せず、このため分子的なスイッチとしての機能が失われていると考えられている。G17Vはバリンの側鎖のために、水分子が入り込む余地がなく、GDP/GTP結合ポケット構造が破壊され結合しなくなる(図4)。
図4は、RHOAの野生型及びG17V変異型タンパク質の3次元構造を示す図である。
G17VによるGTPase機能について調べるために、NIH-3T3にRHOA G17V cDNAをトランスフェクションし、GTP結合型Rhoと特異的に結合することが知られているRhotekinと結合するRHOA蛋白量を測定することにより、GTP結合型の量を測定した。G17Vでは、野生型に比較し、GTP結合型の量が少なく(図5)、野生型とG17Vを同時にトランスフェクションすることで、野生型のGTP結合型の量を減少させた(図6)。さらに、RHOA の活性をSREレポーターアッセイにより計測したところ、G17V変異を導入することで内在性RHOA活性あるいは野生型RHOA活性を低下させた(図7)。これらの結果から、RHOAの分子スイッチとしての機能はG17V変異により低下し、さらに、G17Vは野生型をドミナントネガテイブに抑制する。
図5は、プルダウンアッセイの結果を示す図である。NIH-3T3細胞に野生型又はRHOAの G17V変異体を過剰発現し、Rhotekinに結合するGTPγS結合RHOA量を定量し、GTP結合型への変換におけるRHOA G17V変異の影響を解析した。
図6及び図7は、野生型及び変異型RHOAの活性を解析した結果を示す図である。図6においては、NIH-3T3細胞に野生型およびRHOA G17V変異体を同時に過剰発現し、Rhotekinに結合するGTP結合型の野生型RHOAの量を定量し、RHOA G17V変異による野生型RHOAのGTP結合型への変換に対する影響を解析した。また、図7においては、Serum responsive factor response element (SRE)に対するRHOA G17V変異の影響として、(a) NIH-3T3に野生型、変異体(G14V, G17V, T19N)RHOAを導入した場合のSRE活性、(b)野生型RHOAを導入した場合のSRE活性、(c) RhoA G17Vを導入した場合の内在性のRhoAのSRE活性への影響、(d) RhoA G17Vおよび野生型を同時に導入した場合のSRE活性への影響をそれぞれ解析した。
(vi)変異アリル頻度(Deep sequencing)と変異アリル量([mut]/([mut]+[WT]))との関係(図8)
図8は、Deep sequencing法による変異アリル頻度を解析した結果を示す図である。
[mut]/([mut]+[WT])値を算出した結果、当該値は5.6×10-4〜8.5×10-1に分散していた。[mut]/([mut]+[WT])値とMiSeqによって決定された変異アレルの頻度は、正の相関関係(順位相関係数 r=0.785, p<0.01)を示した。[mut]/([mut]+[WT])のカットオフレベルを0.015、変異アレルの頻度を2%と設定した場合、検出感度と特異性はそれぞれ94.7%、96.5%になった。
上記の結果から、AITL診断のためにRHOA遺伝子変異を検出する方法を確立することができた。この方法は、高い精度と費用対効果をもたらすものであると期待される。

(vii) 血清におけるRHOA変異の検出
腫瘍においてRHOA変異が認められる6例のT細胞リンパ腫の患者において、血清中からDNA blood mini kit (QIAGEN)を用いて、DNAを抽出した。PCRアンプリコンを作製後、PGMによるdeep sequencing法により変異アリル頻度を解析した。
その結果、カットオフ0.2%としたときに6例中5例で血清中にも検出された。一方、腫瘍にRHOA変異を含まない4例ではいずれも血清中には検出されなかった。
配列番号3:3塩基配列は欠失し得る(存在位置:49-51)。

Claims (12)

  1. 被験者から採取されたRHOA遺伝子の塩基配列のうち、配列番号1に示す第50番目、第331番目、第334番目及び第482番目の塩基からなる群から選ばれる少なくとも1つの塩基の遺伝子変異、又は第49番目から第51番目の塩基の遺伝子変異を解析することを特徴とする、血管免疫芽球性リンパ腫(AITL)又は分類不能型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)の検出方法であって、配列番号1に示す塩基配列と比較して、前記遺伝子変異があるときは、AITL 若しくはPTCL-NOSである、又はAITL 若しくはPTCL-NOSのリスクがあると判定することの指標となる、前記方法
  2. 遺伝子変異が、第50番目の塩基のG/Tのヘテロ接合若しくはT/Tのホモ接合、第331番目の塩基のC/Tヘテロ接合若しくはT/Tホモ接合、第334番目の塩基のA/Gヘテロ接合若しくはG/Gホモ接合、第482番目の塩基のC/Aヘテロ接合若しくはA/Aホモ接合又は第49番目から第51番目の塩基欠失である、請求項1に記載の方法。
  3. 遺伝子変異が、第50番目の塩基のG/Tのヘテロ接合若しくはT/Tのホモ接合である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 遺伝子変異が、c.G50T変異である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 被験者から採取されたRHOAタンパク質のアミノ酸配列のうち、配列番号2に示す第17番目、第111番目、第112番目及び第161番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基の変異、又は第17番目のアミノ酸残基の変異を解析することを特徴とする、血管免疫芽球性リンパ腫(AITL)又は分類不能型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)の検出方法であって、配列番号2に示すアミノ酸配列と比較して、前記アミノ酸残基の変異があるときは、AITL 若しくはPTCL-NOSである、又はAITL 若しくはPTCL-NOSのリスクがあると判定することの指標となる、前記方法
  6. アミノ酸残基の変異が、G17V変異、P111S変異、I112V変異若しくはA161E変異、又は第17番目のアミノ酸残基の欠失である、請求項5に記載の方法。
  7. アミノ酸残基の変異が、G17V変異である、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 配列番号1に示すRHOA遺伝子の塩基配列又は配列番号3に示す変異型RHOA遺伝子の塩基配列のうち、第50番目、第331番目、第334番目又は第482番目の塩基を含む少なくとも10塩基の配列又はこれに相補的な配列からなる、血管免疫芽球性リンパ腫又は分類不能型末梢性T細胞リンパ腫の検出用オリゴヌクレオチドプローブ
  9. 10〜579塩基の長さを有する請求項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ
  10. 配列番号1に示すRHOA遺伝子の塩基配列又は配列番号3に示す変異型RHOA遺伝子の塩基配列のうち、第50番目、第331番目、第334番目又は第482番目の塩基が増幅されるように、当該塩基の上流側及び下流側から設計された少なくとも15塩基の長さのオリゴヌクレオチドからなる、血管免疫芽球性リンパ腫又は分類不能型末梢性T細胞リンパ腫の検出用オリゴヌクレオチドプライマー
  11. 15〜30塩基の長さを有する、請求項10に記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
  12. 請求項8若しくは9に記載のオリゴヌクレオチドプローブ及び/又は請求項10若しくは11に記載のオリゴヌクレオチドプライマーを含む、血管免疫芽球性リンパ腫又は分類不能型末梢性T細胞リンパ腫の検出用キット。
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