JP6448231B2 - 放射性標識化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性標識化合物に関する。
現在、陽電子放出型断層撮影(PET)法による脳内でのドパミン神経系の評価には、L−3,4−ジヒドロキシ−6−[18F]フルオロフェニルアラニン(以下、「C」ともいう。)がよく用いられている。[18F]FDOPAは、投与直後から血液中で代謝されて血中半減期が短いため脳内への移行効率が充分ではなく、PET法での検出感度に問題があった。このため、代謝阻害剤である(2S)−2−(3,4−ジヒドロキシベンジル)−2−ヒドラジノプロパン酸(以下、「カルビドパ」ともいう。)と併用されるのが一般的である(例えば、非特許文献1及び非特許文献2)。
Life Sciences,1990年,Vol.47,pp.149−157. Life Sciences,1995年,Vol.56,pp.1759−1766.
上に述べたように、[18F]FDOPAの利用には代謝阻害剤の併用を必要とするが、使用した代謝阻害剤に対する感受性の違いによる集積の変化やドパミン神経系以外への非特異的集積によりバックグラウンドレベルが上昇する等の問題があった。
本発明は、代謝阻害剤を併用しなくてもPET法で感度よく検出することができ、ドパミン神経系の評価が可能な標識化合物の提供を目的とする。
本発明は、下記一般式(1)で表される放射性標識化合物又はその塩に関する。
Figure 0006448231

一般式(1)中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は下記式(2)で表される基を示し、Rは、−11CH、−C18FH、又は−C18FFを示す。
Figure 0006448231

式(2)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基を示す。
一般式(1)で表される放射性標識化合物又はその塩は、代謝阻害剤を併用しなくてもPET法で感度よく検出することができ、ドパミン神経系の評価が可能である。また、少ない工程、及び簡便な操作での製造が可能であり、標識時間が格段に短いという利点もある。
上記放射性標識化合物は、下記一般式(3)で表されるものであってもよい。
Figure 0006448231

一般式(3)中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は下記式(2)で表される基を示し、Rは、−11CH、−C18FH、又は−C18FFを示す。
Figure 0006448231

式(2)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基を示す。
上記放射性標識化合物は、下記一般式(4)で表されるものであってもよい。
Figure 0006448231

一般式(4)中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示し、Rは、−11CH、−C18FH、又は−C18FFを示す。
上記放射性標識化合物は、下記一般式(5)で表されるものであってもよい。
Figure 0006448231

一般式(5)中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示す。
上記放射性標識化合物は、下記式(6)で表されるものであってもよい。
Figure 0006448231
ドパミン神経系は、ドパミン合成を行う神経とドパミンを受け取る神経が存在しているため、病態を診断する場合は、同日に複数のPET用プローブを用いて複数回のPET法による測定を行うのが望ましい。一般式(5)又は式(6)で表される放射性標識化合物は、半減期の短い11C(20.4分)で標識されているため、同日に複数回の測定が可能となる。
上述した放射性標識化合物は、上述した各効果を奏するものであるため、PET用プローブとして好適に用いられる。すなわち、本発明はまた、上述した放射性標識化合物又はその塩を含む、陽電子放出型断層撮影(PET)用プローブにも関する。
また、上述した放射性標識化合物は、ドパミン代謝系で代謝されるため、上記PET用プローブは、脳内でのドパミン神経系評価用として好適に用いられる。さらに、上述した放射性標識化合物は、L−アミノ酸トランスポーター1(LAT1)を介して細胞内に取り込まれるため、上記PET用プローブは、カテコールアミン産生能を有する腫瘍検出用として好適に用いられる。
本発明はまた、ドパミン神経系の異常により発症する疾患の診断方法であって、上述した放射性標識化合物又はその塩をヒト被験者に投与するステップと、上記ヒト被験者の脳における上記放射性標識化合物又はその塩の集積度をPET法により測定するステップと、ドパミン生合成能を有する脳部位で測定された上記集積度が、正常対照と比べて低下している場合に上記ヒト被験者がドパミン神経系の異常により発症する疾患に罹患している、又は罹患するおそれがあると判定するステップと、を含む診断方法ということもできる。
上記診断方法は、上記投与するステップの前に、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤をヒト被験者に投与するステップを更に含むものであってもよい。
上述した放射性標識化合物又はその塩は、AADC阻害剤等の代謝阻害剤を併用しなくてもPET法で感度よく検出することができるものであるため、代謝阻害剤の事前投与は必須ではない。一方、上述した放射性標識化合物又はその塩は、代謝阻害剤を併用した場合でも、[18F]FDOPAと比べて、バックグラウンドレベル(非特異的集積)の上昇は抑制されるため、代謝阻害剤を併用してもよい。
本発明は更に、カテコールアミン産生能を有する腫瘍の検出方法であって、上述した放射性標識化合物又はその塩をヒト被験者に投与するステップと、上記ヒト被験者における上記放射性標識化合物又はその塩の集積度をPET法により測定するステップと、ある生体部位で測定された上記集積度が、正常対照と比べて増加している場合にカテコールアミン産生能を有する腫瘍が検出されたと判定するステップと、を含む検出方法ということもできる。
上記検出方法は、上記投与するステップの前に、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤をヒト被験者に投与するステップを更に含むものであってもよい。上記カテコールアミン産生能を有する腫瘍は、神経膠腫であってもよい。
本発明は更にまた、下記一般式(7)で表される化合物又はその塩にも関する。
Figure 0006448231

一般式(7)中、Yは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示し、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、又は下記式(2)で表される基を示し、Yは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は下記式(2)で表される基を示し、Xは、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。
Figure 0006448231

式(2)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基を示す。
一般式(7)で表される化合物又はその塩(以下、「前駆体化合物」ともいう。)を用いることで、上述した放射性標識化合物を少ない合成工程(例えば、2工程)でかつ簡便な操作で製造することが可能となる。
上記前駆体化合物は、下記一般式(9)で表される化合物又はその塩であってもよい。
Figure 0006448231

一般式(9)中、Yは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示し、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、又は下記式(2)で表される基を示し、Yは、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンジル基又は下記式(10)で表される基を示し、Xは、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。
Figure 0006448231

式(2)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基を示す。
Figure 0006448231

式(10)中、Rは、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブトキシ基又はベンジルオキシ基を示す。
上記前駆体化合物は、下記一般式(11)で表される化合物又はその塩であってもよい。
Figure 0006448231

一般式(11)中、Yは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はベンジル基を示し、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基を示し、Yは、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンジル基又は下記式(10)で表される基を示し、Xは、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。
Figure 0006448231

式(10)中、Rは、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブトキシ基又はベンジルオキシ基を示す。
上記前駆体化合物は、下記式(12)で表される化合物又はその塩であってもよい。
Figure 0006448231
上記前駆体化合物は、下記一般式(13)で表される化合物又はその塩であってもよい。
Figure 0006448231

一般式(13)中、Xは、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。
本発明によれば、代謝阻害剤を併用しなくてもPET法で感度よく検出することができ、ドパミン神経系の評価が可能な標識化合物の提供が可能となる。
標識化合物([18F]FDOPA又は11C−6MemTyr)を投与されたカニクイザル(正常モデル)における各関心領域への標識化合物の取り込み(集積度)を、標識化合物の投与後60分から90分でのPET測定により得られた集積放射能を投与量と体重で正規化したStandard uptake value(SUV)として示したグラフである。阻害剤(+)は、標識化合物の投与1時間前に芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤であるカルビドパを5mg/kg経口投与したことを示す。 正常モデル又はパーキンソン病モデルのカニクイザルについて、小脳を参照領域としたPatlak解析により算出したドパミン生合成能(Ki値)を示すグラフである。阻害剤(+)は、標識化合物の投与1時間前に芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤であるカルビドパを5mg/kg経口投与したことを示す。 ドパミン前シナプス神経の残存量に比例する11C−β−CFTのドパミン再吸収部位への結合能(BPND)に対して、Patlak解析により算出したドパミン生合成能(Ki値)をプロットした図である。阻害剤(+)は、標識化合物の投与1時間前に芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤であるカルビドパを5mg/kg経口投与したことを示す。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
〔標識化合物〕
本実施形態に係る放射性標識化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0006448231
一般式(1)中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示す。
の炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
の置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
としては、PET用プローブとして用いた場合の画質の向上が得られることから、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はベンジル基であることが好ましい。
一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は下記式(2)で表される基を示す。R及びRは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Figure 0006448231
式(2)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基を示す。
の炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
の置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
の炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
の置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
としては、PET用プローブとして用いた場合の画質の向上が得られることから、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブトキシ基又はベンジルオキシ基であることが好ましい。
及びRとしては、PET用プローブとして用いた場合の画質の向上が得られることから、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)であることが好ましく、水素原子、アセチル基又はトリフルオロアセチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
一般式(1)中、Rは、−11CH、−C18FH、又は−C18FFを示す。
としては、半減期が短く、同日に複数回のPET法による測定が可能になることから、−11CHであることが好ましい。
一般式(1)中、フェニル環に結合する−OH基及びRの結合位置には、特に制限はない。一方、ドパミン神経系評価をより効率よく行えることから、一般式(1)で表される放射性標識化合物は、2位にRが結合し、4位に−OH基が結合した下記一般式(3)で表される放射性標識化合物であることが好ましい。
Figure 0006448231

一般式(3)中、R、R、R及びRは、一般式(1)中のものと同義である。
同様の観点から、一般式(1)で表される放射性標識化合物は、下記一般式(4)で表される放射性標識化合物であることが好ましく、下記一般式(5)で表される放射性標識化合物であることがより好ましく、下記式(6)で表される放射性標識化合物であることが更に好ましい。
Figure 0006448231

一般式(4)中、R及びRは、一般式(1)中のものと同義である。
Figure 0006448231

一般式(5)中、Rは、一般式(1)中のものと同義である。
Figure 0006448231
放射性標識化合物の塩としては、薬理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。放射性標識化合物の塩としては、例えば、有機酸との塩、無機酸との塩、有機塩基との塩、無機塩基との塩等が挙げられる。
有機酸との塩としては、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等が挙げられる。無機酸との塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等が挙げられる。有機塩基との塩としては、例えば、トリエタノールアミンとの塩等が挙げられる。無機塩基との塩としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
〔前駆体化合物〕
本実施形態に係る放射性標識化合物は、例えば、下記一般式(7)で表される化合物又はその塩(前駆体化合物)と、R−Z(Zは、例えば、I、Br、Cl、OTf)で表される化合物とをPd(0)触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。
Figure 0006448231
一般式(7)中、Yは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示す。
の炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
の置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
としては、本実施形態に係る放射性標識化合物の製造効率がより向上することから、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はベンジル基であることが好ましい。
一般式(7)中、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、又は下記式(2)で表される基を示す。Y及びYは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Figure 0006448231
式(2)中のRの具体的な態様は上述のとおりである。Y及びYにおける式(2)中のRとしては、本実施形態に係る放射性標識化合物の製造効率がより向上することから、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブトキシ基又はベンジルオキシ基であることが好ましい。
及びYとしては、本実施形態に係る放射性標識化合物の製造効率がより向上することから、それぞれ独立に、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)であることが好ましく、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)であることがより好ましい。
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は上記式(2)で表される基を示す。式(2)中のRの具体的な態様は上述のとおりである。
の炭素原子数2〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基としては、例えば、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
の置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
としては、より短時間にフェノール性水酸基の脱保護が可能になることから、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)、アセチル基又はベンジル基であることが好ましい。
一般式(7)中、Xは、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。
ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基としては、一般式(7)で表される化合物(前駆体化合物)と、R−Zで表される化合物との反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、下記構造式で表されるものが例示される。
Figure 0006448231
前駆体化合物としては、下記一般式(8)で表される化合物又はその塩であってもよい。
Figure 0006448231
一般式(8)中、Y、Y、Y、Y及びXは、一般式(7)中のものと同義である。
より短時間にフェノール性水酸基の脱保護が可能になることから、前駆体化合物としては、上記一般式(8)において、Yがイソプロピル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)、アセチル基、ベンジル基又は上述した式(2)で表される基(但し、Rは、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブトキシ基又はベンジルオキシ基である)であることが好ましい。
本実施形態に係る放射性標識化合物の製造効率がより向上することから、上記一般式(8)において、Yは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はベンジル基であることが好ましい。
本実施形態に係る放射性標識化合物の製造効率がより向上することから、上記一般式(8)において、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)であることが好ましく、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)であることがより好ましい。
本実施形態に係る放射性標識化合物の製造効率がより向上することから、上記一般式(8)において、Xは、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基であることが好ましく、ボロン酸エステル基であることがより好ましい。
したがって、前駆体化合物としては、例えば、下記一般式(9)で表される化合物又はその塩であってもよく、下記一般式(11)で表される化合物又はその塩であってもよく、また、下記式(12)で表される化合物又はその塩であってもよい。
Figure 0006448231

一般式(9)中、Y、Y、Y及びXは、一般式(7)中のものと同義であり、Yは、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)、アセチル基、ベンジル基又は下記式(10)で表される基を示す。
Figure 0006448231

式(10)中、Rは、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブトキシ基又はベンジルオキシ基を示す。
Figure 0006448231

一般式(11)中、Yは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はベンジル基を示し、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)を示し、Yは、一般式(9)中のものと同義であり、Xは、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。
一般式(11)中、Y及びYは、それぞれ独立に、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)であることが好ましく、Xは、ボロン酸エステル基であることが好ましい。
Figure 0006448231
前駆体化合物はまた、下記一般式(13)で表される化合物又はその塩であってもよく、下記式(14)で表される化合物又はその塩であってもよい。一般式(13)で表される化合物又はその塩、及び式(14)で表される化合物又はその塩は、脱保護を必要としないため、1工程で本実施形態に係る放射性標識化合物の製造が可能である。
Figure 0006448231

一般式(13)中、Xは、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。
Figure 0006448231
上記化合物の塩としては、例えば、有機酸との塩、無機酸との塩、有機塩基との塩、無機塩基との塩等が挙げられる。
有機酸との塩としては、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等が挙げられる。無機酸との塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等が挙げられる。有機塩基との塩としては、例えば、トリエタノールアミンとの塩等が挙げられる。無機塩基との塩としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
前駆体化合物は、例えば、以下のスキームを経て製造することができる。
Figure 0006448231
出発原料となるL−フェニルアラニン誘導体は、例えば、L−フェニルアラニンを原料として公知の手法を組み合わせて製造することができる。ビス(ピナコラト)ジボロン等のボロン化合物は、公知の手法により製造することができる。L−フェニルアラニン誘導体及びボロン化合物は、市販品を用いてもよい。
本実施形態に係る放射性標識化合物又はその塩は、例えば、以下のスキームを経て製造することができる。
Figure 0006448231
上記スキームにおいて、括弧で括った加水分解工程を実施するか否かは任意である。
上記スキームにおいて、11CHIは、公知の方法により製造することが可能である。例えば、下記反応式を経て合成することができる。
Figure 0006448231
〔診断方法/検出方法〕
本実施形態に係る陽電子放出型断層撮影(PET)用プローブは、上記本実施形態に係る放射性標識化合物又はその塩を含むものである。本実施形態に係るPET用プローブは、上記本実施形態に係る放射性標識化合物又はその塩からなるものであってもよい。
本実施形態に係る放射性標識化合物又はその塩は、11C又は18Fで標識されているため、ポジトロンを放出することができる。放出されたポジトロンはすぐに電子と結合してγ線を放出する。このγ線をPET法に用いられる装置で測定することによって、放射性標識化合物又はその塩の体内分布を定量的かつ経時的に画像化することができる。したがって、本実施形態に係る放射性標識化合物又はその塩は、PET用プローブとして好適に用いられる。
また、本実施形態に係る放射性標識化合物又はその塩は、バックグラウンドレベル(非特異的集積)を上昇させることなく、脳内のドパミン神経系におけるドパミン代謝系で代謝され、ドパミン生合成能を有する脳部位に集積されることから、脳内でのドパミン神経系評価用PET用プローブとして好適に用いられる。このため、本実施形態に係る放射性標識化合物又はその塩は、ドパミン神経系の異常により発症する疾患の診断方法にも好適に用いられる。ドパミン神経系の異常により発症する疾患としては、例えば、パーキンソン病、ハンチントン病・統合失調症・うつ病・小児自閉症・薬物依存症を挙げることができる。
本実施形態に係るドパミン神経系の異常により発症する疾患の診断方法は、上述した放射性標識化合物又はその塩をヒト被験者に投与するステップと、上記ヒト被験者の脳における上記放射性標識化合物又はその塩の集積度をPET法により測定するステップと、ドパミン生合成能を有する脳部位で測定された上記集積度が、正常対照と比べて低下している場合に上記ヒト被験者がドパミン神経系の異常により発症する疾患に罹患している、又は罹患するおそれがあると判定するステップと、を含む。
ここで、判定基準となる正常対照としては、ドパミン神経系の異常により発症する疾患に罹患していないヒト対象において測定された集積度であってよい。また、予め複数のヒト対象において測定された集積度から、基準となる値を設定しておいてもよい。
上記診断方法は、上記投与するステップの前に、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤をヒト被験者に投与するステップを更に含むものであってもよい。
本実施形態に係る放射性標識化合物又はその塩は、バックグラウンドレベル(非特異的集積)を上昇させることなく、L−アミノ酸トランスポーター1(LAT1)を介して細胞内に取り込まれるため、カテコールアミン産生能を有する腫瘍検出用PET用プローブとして好適に用いられる。このため、本実施形態に係る放射性標識化合物又はその塩は、カテコールアミン産生能を有する腫瘍の検出方法にも好適に用いられる。カテコールアミン産生能を有する腫瘍としては、例えば、神経膠腫(グリオーマ)、副腎髄質・傍神経節等の組織に存在するクロム親和性細胞から発生してカテコールアミン産生能を有する褐色細胞腫・傍神経節腫瘍・小児の神経芽腫が挙げられる。
本実施形態に係るカテコールアミン産生能を有する腫瘍の検出方法は、上述した放射性標識化合物又はその塩をヒト被験者に投与するステップと、上記ヒト被験者における上記放射性標識化合物又はその塩の集積度をPET法により測定するステップと、ある生体部位で測定された上記集積度が、正常対照と比べて増加している場合にカテコールアミン産生能を有する腫瘍が検出されたと判定するステップと、を含む。
判定基準となる正常対照としては、カテコールアミン産生能を有する腫瘍に罹患していないヒト対象において測定された集積度であってよい。また、予め複数のヒト対象において測定された集積度から、基準となる値を設定しておいてもよい。さらに、上記検出方法を実施するヒト対象で測定された他の生体部位における集積度であってもよい。
上記検出方法は、上記投与するステップの前に、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤をヒト被験者に投与するステップを更に含むものであってもよい。
検出対象となるカテコールアミン産生能を有する腫瘍としては、上述した腫瘍を挙げることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:ホウ素前駆体3の製造〕
下記スキームに従い、ホウ素前駆体3を合成した。
Figure 0006448231
化合物1(1.0g,2.16mmol)、過塩素酸マグネシウム(0.14g,0.63mmol)のジクロロメタン(11.0mL)溶液に、二炭酸ジ−t−ブチル(1.65g,7.56mmol)をゆっくりと加え、40℃で攪拌した。20時間後、反応液を冷却し、過塩素酸マグネシウム(0.14g,0.63mmol)、二炭酸ジ−t−ブチル(1.65g,7.56mmol)を再び加えた後、40℃で6時間攪拌した。反応液を冷却し、水を加えてクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液をろ過した後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)にて精製し、無色固体の化合物2(938mg,87%)を得た。
化合物2のH−NMR測定結果は以下のとおりである。
H−NMR(CDCl)δ:7.64(1H,d,J=8.7Hz),6.85(1H,s),6.57(1H,dd,J=8.5,2.5Hz),4.97(1H,d,J=9.1Hz),4.45(1H,t,J=7.1Hz),3.17(1H,dd,J=13.9,5.7Hz),2.94(1H,dd,J=14.2,9.1Hz),1.44−1.30(27H,m).
アルゴン雰囲気下、化合物2(938mg,1.81mmol)、酢酸カリウム(710mg,7.24mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.38g,5.43mmol)のジメチルスルフォキシド(1.10mL)溶液に、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(66.0mg,0.09mmol)を加え、85℃で15時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液をろ過した後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)及びカラムクロマトグラフィー(ODS)にて精製し、無色固体の化合物(ホウ素前駆体)3(272mg,29%)を得た。
化合物(ホウ素前駆体)3のH−NMR測定結果は以下のとおりである。
H−NMR(CDCl)δ:7.72(1H,d,J=7.8Hz),6.90−6.85(2H,m),5.80(1H,d,J=8.2Hz),4.23(1H,dq,J=11.9,3.4Hz),3.23−3.12(2H,m),1.48(9H,s),1.39−1.32(30H,m).
〔実施例2:6−[11C]メチル−m−チロシン5の製造〕
下記スキームに従い、6−[11C]メチル−m−チロシン5を合成した。
Figure 0006448231
([11C]CHIの合成)
サイクロトロン(HM−18,住友重機械工業)を用いて14N(p,α)11C核反応によって合成した[11C]COを標識合成装置(CUPID,住友重機械工業,東京)へと導入し、水素化アルミニウムリチウムと反応させた後、ヨウ化水素酸を加え、[11C]CHIを合成した。
(6−[11C]メチル−m−チロシン5の合成)
ホウ素前駆体3(4.0mg,7.70μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(3.6mg,3.93μmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン(4.8mg,15.8μmol)及び炭酸カリウム(5.60mg,40.5μmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(400μL)溶液に[11C]CHIを吹き込こんだ後、100℃で4分間反応させた。続いて6M塩酸(800μL)を加え150℃で6分間反応させ、反応溶液を室温まで冷却した後、0.3%ギ酸水溶液(800μL)を加えワットマン グラスフィルター(0.7μm,13mm)でろ過し、HPLCにて分離精製した。分取した溶液を減圧濃縮し、目的とする化合物(6−[11C]メチル−m−チロシン)5を得た。
HPLCでの分離条件及び分析条件は以下のとおりである。
HPLC分離条件
移動相:CHOH:HO:HCOOH=150:850:2
流速:6mL/分
検出器:UV(280nm),ガンマ線
カラム:Inertsil ODS−3,10×250mm,5μm
HPLC分析条件
移動相:CHOH:HO:CFCOOH=50:950:1
流速:2mL/分
検出器:UV(280nm),ガンマ線
カラム温度:40℃
カラム:Inertsil ODS−3,4.6×150mm,5μm
〔実施例3:PET計測〕
正常及びパーキンソン病モデル動物(MPTP(1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン)投与モデル)の雄性若齢カニクイザルに対してイソフルラン麻酔下において、6−[11C]メチル−m−チロシン(「11C−6MemTyr」ともいう。)、[18F]FDOPA、11C−β−CFTをそれぞれ静脈内投与し、動物用PET装置(SHR−7700又はSHR−38000,浜松ホトニクス社製)を用いて投与開始から91分間のPET撮像を行った。なお、「阻害剤(+)」の試験区では、末梢組織内のAADC選択的阻害剤(カルビドパ,5mg/kg)を、放射性薬剤投与の1時間前に経口投与した。
〔結果〕
図1は、標識化合物を投与されたカニクイザル(正常モデル)における各関心領域への標識化合物の取り込み(集積度)を、標識化合物の投与後60分から90分でのPET測定により得られた集積放射能を投与量と体重で正規化したStandard uptake value(SUV)として示したグラフである。阻害剤(+)は、標識化合物の投与1時間前に芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤であるカルビドパを5mg/kg経口投与したことを示す。
図1に示すように、従来から汎用されてきた[18F]FDOPAに比較して、6−[11C]メチル−m−チロシン([11C]6−Methyl−m−Tyrosine)はドパミン生合成能を有しない小脳及び側頭葉における集積度が低いため、ドパミン生合成能を有する線条体及び黒質とのS/N比が高く取れることがわかる。また、[18F]FDOPAはAADC選択的阻害剤の前投与によって、ドパミン生合成能を有する線条体及び黒質のみならず、ドパミン生合成能を有しない小脳及び側頭葉においても、非特異的に集積度が増加してしまうが、6−[11C]メチル−m−チロシンではAADC選択的阻害剤によってそのような影響を受けなかった。
図2は、正常モデルであるカニクイザルと、パーキンソン病モデル(MPTP処理)であるカニクイザルについて、小脳を参照領域としたPatlak解析により算出したドパミン生合成能(Ki値)を示すグラフである。阻害剤(+)は、標識化合物の投与1時間前に芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤であるカルビドパを5mg/kg経口投与したことを示す。
図2に示すように、従来から汎用されてきた[18F]FDOPAより6−[11C]メチル−m−チロシン([11C]6−Methyl−m−Tyrosine)の方が、正常モデルにおけるドパミン生合成能を、より高い数値で算出できることが判明した。また、[18F]FDOPAより6−[11C]メチル−m−チロシンの方が、MPTP処理によって誘導された線条体におけるドパミン生合成能の低下を、より鋭敏に検出できることがわかる。さらに、[18F]FDOPAではAADC選択的阻害剤の前投与の有無によって、正常モデル及びパーキンソン病モデルのいずれにおいても定量解析値に変動が生じてしまうが、6−[11C]メチル−m−チロシンではそのような影響を受けないことが判明した。
図3は、ドパミン前シナプス神経の残存量に比例する11C−β−CFTのドパミン再吸収部位への結合能(BPND)に対して、Patlak解析により算出したドパミン生合成能(Ki値)をプロットした図である。阻害剤(+)は、標識化合物の投与1時間前に芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)阻害剤であるカルビドパを5mg/kg経口投与したことを示す。
図3に示すように、[18F]FDOPAより6−[11C]メチル−m−チロシン([11C]6−Methyl−m−Tyrosine)のKi値の方が、11C−β−CFTのBPNDに対してより強い相関を示しており、また6−[11C]メチル−m−チロシンの方がより傾きが大きいことから、ドパミン神経の変性や脱落の検出により優れていることが判明した。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表される放射性標識化合物又はその塩。
    Figure 0006448231

    [一般式(1)中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は下記式(2)で表される基を示し、Rは、−11CHを示す。
    Figure 0006448231

    式(2)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基を示す。]
  2. 下記一般式(3)で表される、請求項1に記載の放射性標識化合物又はその塩。
    Figure 0006448231

    [一般式(3)中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は下記式(2)で表される基を示し、Rは、−11CHを示す。
    Figure 0006448231

    式(2)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基を示す。]
  3. 下記一般式(5)で表される、請求項1に記載の放射性標識化合物又はその塩。
    Figure 0006448231

    [一般式(5)中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示す。]
  4. 下記式(6)で表される、請求項1に記載の放射性標識化合物又はその塩。
    Figure 0006448231
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射性標識化合物又はその塩を含む、陽電子放出型断層撮影(PET)用プローブ。
  6. 脳内でのドパミン神経系評価用である、請求項5に記載のPET用プローブ。
  7. カテコールアミン産生能を有する腫瘍検出用である、請求項5に記載のPET用プローブ。
  8. 前記腫瘍が神経膠腫である、請求項7に記載のPET用プローブ。
  9. 下記一般式(9)で表される、化合物又はその塩。
    Figure 0006448231

    [一般式(9)中、Yは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示し、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、又は下記式(2)で表される基を示し、Yは、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンジル基又は下記式(10)で表される基を示し、Xは、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。
    Figure 0006448231

    式(2)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキルオキシ基を示す。
    Figure 0006448231

    式(10)中、Rは、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブトキシ基又はベンジルオキシ基を示す。]
  10. 下記一般式(11)で表される、化合物又はその塩。
    Figure 0006448231

    [一般式(11)中、Yは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はベンジル基を示し、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、アセチル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基を示し、Yは、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンジル基又は下記式(10)で表される基を示し、Xは、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。
    Figure 0006448231

    式(10)中、Rは、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブトキシ基又はベンジルオキシ基を示す。]
  11. 下記式(12)で表される、化合物又はその塩。
    Figure 0006448231
  12. 下記一般式(13)で表される、化合物又はその塩。
    Figure 0006448231

    [一般式(13)中、Xは、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を示す。]
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