JP6447117B2 - 鍛造クランク軸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間鍛造によりクランク軸を製造する方法に関する。
自動車、自動二輪車、農業機械、船舶等のレシプロエンジンには、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を取り出すために、クランク軸が不可欠である。クランク軸は、型鍛造または鋳造によって製造できる。特に、高強度と高剛性がクランク軸に要求される場合、それらの特性に優れることから、型鍛造によって製造されたクランク軸(以下、「鍛造クランク軸」ともいう)が多用される。
一般に、鍛造クランク軸は、ビレットを原材料とし、そのビレットは、横断面が丸形または角形で全長にわたって断面積が一定である。鍛造クランク軸の製造工程では、予備成形工程、型鍛造工程、バリ抜き工程および整形工程がその順に設けられる。通常、予備成形工程は、ロール成形と曲げ打ちの各工程を含み、型鍛造工程は、荒打ちと仕上げ打ちの各工程を含む。
図1は、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。同図に例示するクランク軸1(図1(f)参照)は、4気筒エンジンに搭載され、4気筒−8枚カウンターウエイトのクランク軸である。そのクランク軸1は、5つのジャーナル部J1〜J5、4つのピン部P1〜P4、フロント部Fr、フランジ部Fl、および、8枚のクランクアーム部(以下、単に「アーム部」ともいう)A1〜A8から構成される。アーム部A1〜A8は、ジャーナル部J1〜J5とピン部P1〜P4をそれぞれつなぐ。また、8枚の全部のアーム部A1〜A8は、カウンターウエイト部(以下、単に「ウエイト部」ともいう)W1〜W8を一体で有する。
以下では、ジャーナル部J1〜J5、ピン部P1〜P4、アーム部A1〜A8およびウエイト部W1〜W8のそれぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「J」、ピン部で「P」、アーム部で「A」、ウエイト部で「W」とも記す。ピン部Pおよびこのピン部Pにつながる一組のアーム部A(ウエイト部Wを含む)をまとめて「スロー」ともいう。
図1に示す製造方法では、以下のようにして鍛造クランク軸1が製造される。先ず、図1(a)に示すような所定の長さのビレット2を誘導加熱炉やガス雰囲気加熱炉によって加熱した後、ロール成形を行う。ロール成形工程では、例えば孔型ロールを用いてビレット2を圧延して絞ることにより、その体積を長手方向に配分し、中間素材であるロール荒地3を成形する(図1(b)参照)。次に、曲げ打ち工程では、ロール荒地3を長手方向と直角な方向から部分的にプレス圧下する。これにより、ロール荒地3の体積を配分し、更なる中間素材である曲げ荒地4を成形する(図1(c)参照)。
続いて、荒打ち工程では、曲げ荒地4を上下に一対の金型を用いてプレス鍛造することにより、荒鍛造材5を得る(図1(d)参照)。その荒鍛造材5には、クランク軸(最終製品)のおおよその形状が成形されている。さらに、仕上げ打ち工程では、荒鍛造材5を上下に一対の金型を用いてプレス鍛造することにより、仕上げ鍛造材6を得る(図1(e)参照)。その仕上げ鍛造材6には、最終製品のクランク軸と合致する形状が成形されている。これら荒打ちおよび仕上げ打ちのとき、互いに対向する金型の型割面の間から、余材がバリとして流出する。このため、荒鍛造材5および仕上げ鍛造材6には、いずれも、成形されたクランク軸の周囲にバリBが大きく付いている。
バリ抜き工程では、バリ付きの仕上げ鍛造材6を例えば一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜き除去する。これにより、バリ無し鍛造材が得られ、そのバリ無し鍛造材は、図1(f)に示す鍛造クランク軸1とほぼ同じ形状である。
整形工程では、バリ無し鍛造材の要所を上下から金型で僅かに圧下し、バリ無し鍛造材を最終製品の寸法形状に矯正する。ここで、バリ無し鍛造材の要所は、例えば、ジャーナル部J、ピン部P、フロント部Fr、フランジ部Flなどといった軸部、さらにはアーム部Aおよびウエイト部Wが該当する。こうして、鍛造クランク軸1が製造される。
図1に示す製造工程は、図1(f)に示す4気筒−8枚カウンターウエイトのクランク軸に限らず、様々なクランク軸に適用できる。例えば、4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸にも適用できる。
4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸の場合、8枚のアーム部Aのうち、一部のアーム部にウエイト部Wが一体で設けられる。例えば先頭の第1アーム部A1、最後尾の第8アーム部A8および中央の2枚のアーム部(第4アーム部A4、第5アーム部A5)にウエイト部Wが一体で設けられる。また、残りのアーム部、具体的には、第2、第3、第6および第7のアーム部(A2、A3、A6、A7)は、ウエイト部を有さず、その形状が小判状となる。以下では、ウエイト部を有さないアーム部を、「小判状のアーム部」ともいう。
その他に、3気筒エンジン、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン、8気筒エンジン等に搭載されるクランク軸であっても、製造工程は同様である。なお、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後に、捩り工程が追加される。
近年、特に自動車用のレシプロエンジンには、燃費の向上のために軽量化が求められている。このため、レシプロエンジンに搭載されるクランク軸にも、軽量化の要求が著しくなっている。
鍛造クランク軸の軽量化を図る従来技術として、ウエイト部を一体で有するアーム部において、ピン部側の表面に凹状の肉抜き部を設ける技術がある。その凹状の肉抜き部は、型鍛造によって成形されることから、金型の分割面(型割面)と直角な方向、すなわち、ピン部の偏心方向と直角な方向に伸びる。この技術に関し、特許文献1および2がある。
特許文献1では、凹状の肉抜き部の底面を、少なくともジャーナル部の軸心よりピン部側の領域において、ピン部およびジャーナル部の各々とウェブとの接合面間をつなぐ仮想円柱状体の外周面に沿って、ピン部側からジャーナル部側へ漸次深さを増すように形成することが提案されている。これにより、クランク軸の剛性を低下させることなく、質量を低減できるとしている。
特許文献2では、ピン部のスラスト受け部の外周縁と、ジャーナル部のスラスト受け部の外周縁との間でジャーナル部の軸線を通過する仮想線を想定する。その仮想線とジャーナル部の軸線との間でアーム部に薄肉部を形成し、この薄肉部は金型の分割面と直角な方向、すなわち、ピン部の偏心方向と直角な方向でアーム部の全幅にわたって延在する。このような薄肉部を設けることにより、ピストンの往復動作によってピン部に荷重が加わった際に、アーム部自体が撓むことにより応力を分散させることが可能となり、ピン部の長寿命化が図れるとしている。特許文献2では、肉抜き部をさらに設ければ、質量も軽減できるとしている。
特開2009−197929号公報 特開2010−255834号公報
鍛造クランク軸には、前述の通り、軽量化が要求されている。特許文献1および2に記載されるような肉抜き部をアーム部のピン部側の表面に設ければ、質量を低減できるが、剛性が低下する。このため、肉抜き部による軽量化は、剛性を確保する観点から限界があり、さらなる軽量化の要求に応じることが困難である。
本発明の目的は、軽量化と剛性確保を同時に図った鍛造クランク軸を得ることができる鍛造クランク軸の製造方法を提供することにある。
本発明の一実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法であって、前記鍛造クランク軸は、前記クランクアーム部のうちの全部または一部にカウンターウエイト部を一体で有し、当該製造方法は、クランク軸の形状が成形されたバリ付き鍛造材を得る型鍛造工程と、前記バリ付き鍛造材からバリを除去することにより、バリ無し鍛造材を得るバリ抜き工程と、前記バリ無し鍛造材を、一対の第1金型で挟み込んで保持した状態で、前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部において、前記ピン部側の表面に第2金型を押し込んで凹みを成形する押し込み工程と、を含み、前記凹みは、前記クランクアーム部の前記ピン部側の表面のうちで前記クランクアーム部の両側部同士の間に成形される。
前記鍛造クランク軸は、前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部において、前記ピン部側の表面に肉抜き部を有し、前記押し込み工程では、前記凹みを、前記肉抜き部の底面のうちで前記両側部同士の間に成形するのが好ましい。
前記押し込み工程は、金型を用いた圧下によりクランク軸の形状を矯正する整形工程で実施するのが好ましい。
本発明の鍛造クランク軸の製造方法は、押し込み工程で、アーム部のピン部側の表面に第2金型を押し込んで凹みを成形する。その凹みにより、鍛造クランク軸の軽量化を図ることができる。また、凹みをアーム部の両側部同士の間に成形するので、両側部の厚みを厚く維持でき、鍛造クランク軸の剛性の確保を図ることができる。
図1は、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。 図2は、本発明が対象とするクランク軸について、アーム部のピン部側表面の形状例を示す模式図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)はピン部側表面を示す図、同図(c)は側面を示す図、同図(d)はI−I断面図である。 図3は、アーム部が肉抜き部を有する場合について、ピン部側表面の形状例を示す模式図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)はピン部側表面を示す図、同図(c)は側面を示す図、同図(d)はII−II断面図である。 図4は、本発明の製造方法によるクランク軸について、好適な小判状のアーム部の形状例を示す模式図であり、同図(a)はピン部側表面を示す図、同図(b)はIII−III断面図である。 図5は、押し込み工程の処理フロー例におけるアーム部のピン部側表面を示す模式図であり、同図(a)は搬入時、同図(b)は保持時、同図(c)は押し込み終了時を示す。 図6は、押し込み工程の処理フロー例におけるアーム部の側面を示す模式図であり、同図(a)は搬入時、同図(b)は保持時、同図(c)は押し込み終了時を示す。 図7は、押し込み工程の処理フロー例におけるジャーナル部近傍の断面を示す模式図であり、同図(a)は搬入時、同図(b)は保持時、同図(c)は押し込み終了時を示す。
以下に、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
1.クランク軸の形状
本実施形態が対象とする鍛造クランク軸は、回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、ジャーナル部とピン部をつなぐアーム部と、を備える。また、鍛造クランク軸は、アーム部のうちの全部または一部にウエイト部を一体で有する。このような鍛造クランク軸として、例えば、図2に示す鍛造クランク軸を採用できる。
図2は、本発明が対象とするクランク軸について、アーム部のピン部側表面の形状例を示す模式図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)はピン部側表面を示す図、同図(c)は側面を示す図、同図(d)はI−I断面図である。同図では、クランク軸のアーム部のうちで、ウエイト部を一体で有するアーム部を1つだけ抽出して示しており、残りのクランク軸のアーム部を省略する。なお、同図(c)は、同図(b)の破線矢印で示す方向からの投影図である。
同図に示す鍛造クランク軸は、アーム部Aのピン部P側表面に凹みAtを有する。その凹みAtは、ピン部P側表面のうちで両側部(Ac、Ad)同士の間、すなわち、一方の側部Acと他方の側部Adとの間に配置される。ここで、側部とは、アーム部Aの幅方向(ピン部の偏心方向と直角な方向)の側面およびその周辺部分を意味し、換言すると、アーム部Aの幅方向の端部を意味する。
凹みAtは、曲面状であり、例えば、球面状や楕円面状、回転放物面状とすることができる。凹みAtの幅方向の位置は、例えば、両側部(Ac、Ad)の中央とすることができる。
このようなアーム部Aのピン部P側表面に凹みAtを成形することにより、本実施形態が対象とする鍛造クランク軸は、軽量化を図ることができる。その凹みAtは、両側部(Ac、Ad)の間に配置されるので、アーム部Aは、その両側部(Ac、Ad)の厚みが厚く維持される。これにより、本実施形態が対象とする鍛造クランク軸は、剛性の確保を図ることができる。その理由を以下に説明する。
本発明者らが、剛性について検討したところ、両側部(Ac、Ad)の内側(中間)の厚みは剛性への影響が小さいが、両側部(Ac、Ad)の厚みは剛性への影響が大きいことが明らかになった。本実施形態による鍛造クランク軸は、剛性への影響が小さい領域、すなわち、両側部(Ac、Ad)の間に凹みAtを配置する。このため、凹みAtの成形に伴う剛性の低下を抑制でき、その結果、鍛造クランク軸の剛性を確保できる。なお、ここでいう剛性は、捩り剛性を意味する。
本実施形態が対象とする鍛造クランク軸は、軽量化の観点から、ウエイト部を一体で有するアーム部において、ピン部側の表面に肉抜き部を有するのが好ましい。このような鍛造クランク軸として、例えば、図3に示す鍛造クランク軸を採用できる。
図3は、アーム部が肉抜き部を有する場合について、ピン部側表面の形状例を示す模式図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)はピン部側表面を示す図、同図(c)は側面を示す図、同図(d)はII−II断面図である。同図では、クランク軸のアーム部のうちで、ウエイト部を一体で有するアーム部を1つだけ抽出して示しており、残りのクランク軸のアーム部を省略する。なお、同図(c)は、同図(b)の破線矢印で示す方向からの投影図である。
同図に示す鍛造クランク軸は、軽量化のため、アーム部Aのピン部P側表面に肉抜き部Sを有する。その肉抜き部Sは、同図(c)に示すように形状が凹状であり、一方の側面から他方の側面まで貫通する。
肉抜き部Sの底面には、凹みAtが成形されている。その凹みAtは、両側部(Ac、Ad)の間に配置される。また、凹みAtは、曲面状であり、例えば、球面状や楕円面状、回転放物面状とすることができる。凹みAtの幅方向の位置は、例えば、両側部(Ac、Ad)の中央とすることができる。
このようなアーム部Aは、肉抜き部Sの底面に成形される凹みAtにより、鍛造クランク軸の軽量化をさらに図ることができる。その凹みAtは、両側部(Ac、Ad)の間に配置されるので、両側部(Ac、Ad)の厚みが厚く維持される。このため、鍛造クランク軸の剛性の確保を図ることができる。
続いて、ウエイト部を一体で有さないアーム部、すなわち、小判状のアーム部について、その好ましい態様を説明する。
図4は、本発明の製造方法によるクランク軸について、好適な小判状のアーム部の形状例を示す模式図であり、同図(a)はピン部側表面を示す図、同図(b)はIII−III断面図である。同図では、クランク軸のアーム部のうちで、小判状のアーム部を1つだけ抽出して示しており、残りのクランク軸のアーム部を省略する。
クランク軸が同図に示すような小判状のアーム部Aを有する場合、前記図2に示すウエイト部を一体で有するアーム部と同様に、アーム部Aのピン部P側表面に凹みAtを有するのが好ましい。その凹みAtは、ピン部P側表面のうちで両側部(Ac、Ad)同士の間に配置される。これにより、剛性を確保しながら、さらに軽量化を図ることができる。
図2〜4に示すような本実施形態が対象とする鍛造クランク軸は、凹みAtの一部がジャーナル部Jの真裏に位置するのが好ましく、凹みAtの全部がジャーナル部の真裏に位置するのがより好ましい。これにより、軽量化しつつ鍛造クランク軸の剛性の低下をより抑制できる。
例えば、凹みAtの深さは、0.5mm以上アーム部の厚み以下とし、凹みAtの最大直径は、ジャーナル部の直径以下とすることができる。加えて、第2金型の押し込みに要する力を低減する観点から、凹みAtの深さD(mm)を浅くするとともに、軽量化効果を確保するために凹みAtの面積S(mm2)を広くするのが好ましい。具体的には、D/(S)1/2を(3π)-1/2以下とするのが好ましい。この場合、凹みAtの接線の角度θ1(前記図2(c)参照)を例えば60°以下とすることが可能となり、これによっても押し込みに要する力を低減できる。また、疵の危険性も低減できる。
ここで、凹みAtの面積は、凹みAtをアーム部のピン部側の表面に設ける場合、当該表面での面積とし、凹みAtを肉抜き部の底面に設ける場合、当該底面での面積とする。また、凹みAtの接線の角度θ1は、凹みAtが成形される面において、凹みAtの接線と、凹みAtが成形される面とがなす角度を意味する。凹みAtが成形される面とは、肉抜き部Sを設けない場合はアーム部Aのピン部P側表面が該当し、肉抜き部Sを設ける場合は肉抜き部Sの底面が該当する。
2.鍛造クランク軸の製造方法
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、型鍛造工程と、バリ抜き工程と、押し込み工程とをその順で含む。型鍛造工程の前工程として、例えば、予備成形工程を設けることができる。また、押し込み工程の後工程として、例えば、整形工程を設けることができる。また、整形工程で、押し込み工程を実施することもできる。なお、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程と整形工程の間に、捩り工程が追加される。これらの工程は、いずれも、熱間で一連に行われる。
予備成形工程は、例えばロール成形工程と曲げ打ち工程とで構成できる。ロール成形工程および曲げ打ち工程では、ビレット(原材料)の体積を配分し、曲げ荒地を成形する。
型鍛造工程では、曲げ荒地からクランク軸の形状が成形されたバリ付き鍛造材を得る。そのバリ付きの鍛造材には、例えば、前記図2〜4に示すクランク軸と同様に、ジャーナル部J、ピン部Pおよびアーム部Aの形状が型鍛造によって成形されている。ただし、バリ付き鍛造材には、型抜き勾配が逆勾配になることから、凹みAtが成形されない。
このようなバリ付き鍛造材を得る型鍛造工程は、荒打ち工程および仕上げ打ち工程をその順で設けることによって構成できる。
バリ抜き工程では、バリ付き鍛造材を例えば一対の金型によって挟み込んだ状態で、その鍛造材からバリを除去する。これにより、バリ無し鍛造材を得ることができる。
押し込み工程では、得られたバリ無し鍛造材を一対の第1金型で挟み込んで保持する。その状態で、ウエイト部を一体で有するアーム部において、ピン部側の表面に第2金型を押し込んで凹みを成形する。押し込み工程の詳細は、後述する。
整形工程では、バリ無し鍛造材を一対の金型で圧下し、最終製品の寸法形状に矯正する。前述の通り、整形工程で押し込み工程を実施することもできる。従来と同様の製造工程を採用できるので、整形工程で押し込み工程を実施するのが好ましい。整形工程で押し込み工程を実施する場合、バリ無し鍛造材を第1金型で保持する際に、バリ無し鍛造材を矯正する。
ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、捩り工程でピン部の配置角度を調整する。このような工程により、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、鍛造クランク軸を得る。
3.押し込み工程の処理フロー例
図5〜7は、押し込み工程の処理フロー例を示す模式図である。そのうちの図5は、アーム部のピン部側表面を示し、同図(a)は搬入時、同図(b)は保持時、同図(c)は押し込み終了時を示す。同図には、バリ無し鍛造材30と、上下で一対の第1金型10とを示し、図面の理解を容易にするため、第2金型および治具の図示を省略する。同図に示すバリ無し鍛造材30は、アーム部Aのピン部P側表面に肉抜き部Sを有する。
図6は、アーム部の側面を示す図であり、同図(a)は搬入時、同図(b)は保持時、同図(c)は押し込み終了時を示す。同図には、バリ無し鍛造材30と、第2金型22と、治具26とを示し、図面の理解を容易にするため、第1金型の図示を省略する。
図7は、ジャーナル部近傍の断面図であり、同図(a)は搬入時(図5(a)のIV−IV位置)、同図(b)は保持時(図5(b)のV−V位置)、同図(c)は押し込み終了時(図5(c)のVI−VI位置)を示す。同図には、バリ無し鍛造材30と、一対の第1金型(11、12)と、第2金型22とを示す。
押し込み工程では、一対の第1金型10を用いる。第1金型10は、上型11と下型12とで構成され、上型11および下型12には、それぞれ型彫刻部が彫り込まれている。その型彫刻部には、バリ無し鍛造材を挟み込んで保持するため、クランク軸の最終製品形状のうちの一部が反映されている。例えば、ジャーナル部やピン部、ウエイト部の形状が型彫刻部に反映される。また、アーム部のジャーナル部側表面や側面の形状を型彫刻部に反映しても良い。さらに、アーム部のピン部側表面のうちで両側部やその周辺の形状を型彫刻部に反映しても良い。
ただし、図7に示すように、第1金型10は、アーム部Aのピン部P側表面のうちで、少なくとも凹みを成形する部分が開放されている。この開放された部分には、第2金型22が収容される。第2金型22には、型彫刻部が彫り込まれており、その型彫刻部には、アーム部Aのピン部P側表面の凹み形状が反映されている。また、第2金型22は、第1金型10から独立し、アーム部Aのピン部P側表面に対して進退移動が可能である。
ここで、第2金型22は、隣り合うアーム部の間に配置され、その配置スペースは狭小となる。そこで、第2金型22は、図6に示すように、ピン部の偏心方向に沿って移動可能な治具26と連結する構成を採用しても良い。この構成について、以下に詳述する。
第2金型22の進退移動を実現するため、第2金型22は、案内部材(図示なし)によって押し込み方向(図6(a)の実線矢印参照)に沿って移動可能に保持される。また、第2金型22は、スライド方向(図6(a)の破線矢印参照)に沿ってスライド可能な状態で治具26と連結される。治具26は、油圧シリンダ等と連結され、その動作に伴ってピン部の偏心方向(図6(a)のハッチングを施した矢印参照)に沿って移動可能である。
このように治具26と第2金型22とを連結すれば、治具26がピン部の偏心方向に沿って移動するのに伴い、第2金型22が押し込み方向(図6(a)の実線矢印参照)に沿って移動する。その際、第2金型22は、治具26に対してスライド方向(図6(a)の破線矢印参照)に相対移動する。
このような第1金型10および第2金型22を用いる本実施形態の押し込み工程の処理フロー例を説明する。先ず、第2金型22を後退させて退避させるとともに、第1金型10の上型11と下型12とを離間させる。その状態でバリ無し鍛造材30を上型11と下型12の間に配置する。
次いで、第1金型10の上型11と下型12とが近接するように移動させ、より具体的には、上型11を下死点まで下降させる。これにより、バリ無し鍛造材30を第1金型10の上型11と下型12で挟み込んで保持する。整形工程で押し込み工程を実施する場合、第1金型10で保持する際に、バリ無し鍛造材30の要所を第1金型10で圧下することにより、バリ無し鍛造材を最終製品の寸法形状に矯正する。
第1金型10でバリ無し鍛造材30を保持した状態で、第2金型22を進出させる。これにより、アーム部Aのピン部P側表面のうちで両側部(Ac、Ad)の間に第2金型22が押し込まれ、凹みAtが成形される。
続いて、第2金型22を後退させて退避させた後、第1金型10の上型11と下型12とを離間させ、より具体的には、上型11を上死点まで上昇させる。その後、加工済みのバリ無し鍛造材30を搬出する。
このような本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法によれば、ウエイト部Wを一体で有するアーム部Aにおいて、ジャーナル部J近傍の両側部(Ac、Ad)の厚みを厚く維持しながら、ピン部P側の表面に凹みを設けることが可能となる。このため、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、軽量化と剛性確保を同時に図った鍛造クランク軸を製造することができる。
押し込み工程では、第2金型22に代えて、形状が円柱状であるポンチ、または、先端に円錐状部が設けられた円柱状のポンチを用いることも考えられる。しかしながら、ポンチは、押し込みに多大な力が必要であり、設備負荷やポンチの寿命が問題となることから、不適である。第2金型22の押し込みに要する力を低減する観点から、第2金型の型彫刻部の形状は、凸な曲面状とするのが好ましく、例えば、球面状や楕円面状、回転放物面状とすることができる。
第2金型22の押し込み方向と、凹みAtが成形される面とがなす角度θ2(図6(a)参照)は、鋭角とするのが好ましい。θ2を鋭角とすれば、単位押し込み量あたりの加工度が低下することから、第2金型22の押し込みに要する力をより低減できる。この効果は、θ2を70°以下とすれば、顕著となる。一方、θ2が30°未満であれば、アーム部Aのピン部P側表面を削ぐような(せん断するような)変形が過多となり、所望の変形が得られないおそれがある。これらから、θ2を30〜70°とするのがより好ましい。ここで、押し込み量は、第2金型の押し込み方向の移動量(mm)を意味する。
図5〜図7に示す処理フロー例は、前記図3に示すような肉抜き部Sを有するアーム部を対象とする。その処理フロー例は、前記図2に示すような肉抜き部Sを有さないアーム部、および、前記図4に示すような小判状のアーム部にも、適用できる。この場合、第1金型10および第2金型22の形状を適宜変更すればよい。
図5〜図7に示す処理フロー例は、4気筒エンジンに搭載されるクランク軸を対象とし、そのクランク軸は、ピン部の偏心方向がアーム部ごとに180°の等間隔にシフトする。このように180°の等間隔にシフトする場合、いずれのアーム部も、第1金型によってピン部の偏心方向と直角な方向から圧下される。この場合、第1金型の圧下方向は、クランク軸の軸方向とも直角である。
ただし、第1金型による圧下方向は、ピン部の偏心方向と直角な方向に限定されない。例えば、3気筒エンジンに搭載されるクランク軸の場合、ピン部の偏心方向がアーム部ごとに120°または60°の等間隔にシフトする。このように180°の等間隔にシフトしない場合、第1金型による圧下方向は、一部のアーム部でピン部の偏心方向と直角な方向にならない。この場合であっても、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法を適用でき、具体的には、バリ無し鍛造材を第1金型で挟み込んで保持できる。したがって、第1金型による圧下方向は、バリ無し鍛造材を第1金型で挟み込んで保持できる限り、限定されない。
本発明は、レシプロエンジンに搭載される鍛造クランク軸の製造に有効に利用できる。
1:鍛造クランク軸、 J、J1〜J5:ジャーナル部、
P、P1〜P4:ピン部、 Fr:フロント部、 Fl:フランジ部、
A、A1〜A8:クランクアーム部、 S:肉抜き部、
W、W1〜W8:カウンターウエイト部、
Ac、Ad:アーム部のジャーナル部近傍の側部、 At:凹み、
10:第1金型、 11:上型、 12:下型、 22:第2金型、 26:治具、
30:バリ無し鍛造材

Claims (3)

  1. 回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記鍛造クランク軸は、前記クランクアーム部のうちの全部または一部にカウンターウエイト部を一体で有し、
    当該製造方法は、
    クランク軸の形状が成形されたバリ付き鍛造材を得る型鍛造工程と、
    前記バリ付き鍛造材からバリを除去することにより、バリ無し鍛造材を得るバリ抜き工程と、
    前記バリ無し鍛造材を、一対の第1金型で挟み込んで保持した状態で、前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部において、前記ピン部側の表面に第2金型を押し込んで凹みを成形する押し込み工程と、を含み、
    前記第2金型は、隣り合うクランクアーム部の間に配置されるとともに、前記ピン部の偏心方向に沿って移動可能な治具と連結され、
    前記押し込み工程では、前記治具を前記ピン部の前記偏心方向に沿って移動させることで前記第2金型を押し込み方向に沿って移動させて、前記クランクアーム部の前記ピン部側の表面に前記第2金型を押し込み、
    前記凹みは、前記クランクアーム部の前記ピン部側の表面のうちで前記クランクアーム部の両側部同士の間に成形される、鍛造クランク軸の製造方法。
  2. 請求項1に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    前記鍛造クランク軸は、前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部において、前記ピン部側の表面に肉抜き部を有し、
    前記押し込み工程では、前記凹みを、前記肉抜き部の底面のうちで前記両側部同士の間に成形する、鍛造クランク軸の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    前記押し込み工程は、金型を用いた圧下によりクランク軸の形状を矯正する整形工程で実施する、鍛造クランク軸の製造方法。
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