JP6442383B2 - 丸打ち結束紐及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、融点または分解温度が280℃以上の合成繊維のマルチフィラメント糸で丸組織の8打ち以上の組紐とすることにより、結束時の締め付け性や高温耐油性の高い電気自動車モータ用結束紐が提供できることが記載されている。
更に、特許文献2には、融点または分解温度が280℃以上の合成繊維のステープルファイバーからなる紡績糸で24打ち以上のスリーブ状に製紐されている結束紐とすることにより特許文献1記載の結束紐よりも前記モータ部品の結束時の締め付け性に優れる結束紐が提供できることが記載されている。
同様にして、製紐打ち数が7本以外の奇数である組紐状の丸打ち結束紐も作製できる。
このように、製紐打ち数に1を足した偶数打ち数の組紐と同じ繊度とすることにより、結束紐としてより機械的性質に優れたものが得られる。
本発明の丸打ち結束紐を用いた場合、電気自動車のモータ結束作業が手作業であっても結束紐が緩んだり解けたりする可能性が低い。例えば、モータ部品においてステータ外にあるコイルエンドは、ばらけ防止、小型化、絶縁距離確保等の目的の為に結束紐を用いて結束されることがある。その際の結束作業は機械を用いて行われる場合もあるが、小型のモータ部品の場合、機械を入れる間隙が十分に確保できない等、機械による作業が困難な場合は手作業で行われる。コイルエンドの結束作業を手作業で行う場合、機械で行うような締め付けができないので、締め付けが弱いものとなり、締め付けた結束紐が緩んだり解けたりする可能性がある。本発明の丸打ち結束紐を用いた場合、前述の通り十分な締め付け性を得ることができるため、従来の結束紐と比べ、手作業であっても結束紐が緩んだり解けたりすることがない。
フェニレンサルファイド単位としては、p−フェニレンサルファイド単位やm−フェニレンサルファイド単位などが挙げられる。ポリフェニレンサルファイドは、p−フェニレンサルファイド単位やm−フェニレンサルファイド単位等からなるホモポリマーであってもよいし、これらを有する共重合体であってもよいが、耐熱性、加工性、経済的観点から言ってもp−フェニレンサルファイドの繰り返し単位が最も好ましい。
製造方法としては、例えば、未延伸糸を溶融紡糸し、一旦巻き取った後、延撚機で延伸処理を実施する方法が挙げられる。延伸倍率は2.3〜4.0倍が好ましい。
また、未延伸糸を一旦巻き取ることなく延伸する直接紡糸延伸法を採用してもよい。
組み糸として糸ボビンに巻くにあたっては、1本のマルチフィラメントを巻き取るようにしてもよいし、複数本のマルチフィラメントを引き揃えて巻き取るようにしてもよい。
上記のような、丸打ち製紐機の打ち数から1少ない奇数の製紐打ち数の組紐を作製する方法に限らず、打ち数が多い丸打ち製紐機を用いる場合には、2以上少ない奇数の製紐打ち数の組紐を作製するようにしてもよい。
示差走査熱量計(DSC)(リガク製 「DSC 8230」)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/minで昇温し融解または分解する温度を測定した。
JISL−1013に準じ、引張試験機(島津製作所製 「オートグラフAGS」)にて試料長:200mm、引張速度:200mm/minの条件下でそれぞれ5回測定し、その平均値を求めた。
図1に示すように、結束紐にて引き解き止め結びによる輪を作製し、その輪にφ1.0mmの銅線1を通し、端部Aおよび端部Bを30Nの荷重にて引張り、しっかりと締め付けたものを評価用試料とした。
片側に銅線1を、もう一方の片側に結束紐の端部Bを固定し、引張試験機を用いて結束紐の銅線1を引張り、輪を解くために必要な強力を測定した。
銅線1と端部Bを両端として引張試験機を用いて引張り、そのとき、端部Aに負荷を与えないようにして、輪を解くために必要な強力を測定した。
求めた最大強力が結束紐の破断強度に対し、0〜10%未満のものを×、10〜20%未満のものを△、20%〜30%未満のものを○、30%以上のものを◎とした。
ポリフェニレンサルファイド繊維(以下、PPS繊維と記す)(KBセーレン製 「GRADIO(登録商標)」、融点280℃、220dtex/48f)を2本引き揃えて小巻ボビンに巻いたものを6本用意し、4本引き揃えて小巻ボビンに巻いたものを1本用意した。
これら7本の小巻ボビンを8本打ちの丸打ち製紐機の錘に夫々仕掛け、残り1つの錘は空の状態でピッチ20目/inch(2.54cm)で組紐状の結束紐を作製した。
得られた丸打ち結束紐は、繊度4200dtex、強度145N、伸度34%であった。また、得られた結束紐の締め付け性は優れたものであった。
得られた結果を表1に示す。
実施例1で用いたPPS繊維を、引き揃えずに1本を小巻ボビンに巻いたものを14本用意し、2本引き揃えて小巻ボビンに巻いたものを1本用意した。
これら15本の小巻ボビンを16本打ちの丸打ち製紐機の錘に夫々仕掛け、残り1つの錘は空の状態でピッチ20目/inch(2.54cm)で組紐状の結束紐を作製した。 得られた丸打ち結束紐は繊度4200dtex、強度144N、伸度36%であった。また、得られた結束紐の締め付け性は優れたものであった。
得られた結果を表1に示す。
繊度の異なるPPS繊維(KBセーレン製 「GRADIO(登録商標)」、融点280℃、110dtex/24f)を、引き揃えずに小巻ボビンに巻いて30本用意し、2本引き揃えた小巻ボビン1本を用意した。
これら31本の小巻ボビンを32本打ちの丸打ち製紐機の錘に夫々仕掛け、残り1つの錘は空の状態でピッチ20目/inch(2.54cm)で組紐状の結束紐を作製した。 得られた丸打ち結束紐は繊度4200dtex、強度145N、伸度38%であった。また、得られた結束紐の締め付け性は優れたものであった。
得られた結果を表1に示す。
実施例1で用いたPPS繊維を2本引き揃えて小巻ボビンに巻いたものを8本用意し、これらを8本打ちの丸打ち製紐機の錘に夫々仕掛け、ピッチ20目/inch(2.54cm)で組紐状の結束紐を作製した。
得られた丸打ち結束紐は繊度4200dtex、強度144N、伸度35%であったが、結束紐の締め付け性は劣るものであった。
得られた結果を表1に示す。
実施例1で用いたPPS繊維を引き揃えずに小巻ボビンに巻いたものを16本用意し、これらを16本打ちの丸打ち製紐機の錘に夫々仕掛け、ピッチ20目/inch(2.54cm)で組紐状の結束紐を作製した。
得られた丸打ち結束紐は繊度4200dtex、強度144N、伸度38%であったが、結束紐の締め付け性は劣るものであった。
得られた結果を表1に示す。
実施例3で用いたPPS繊維を引き揃えずに小巻ボビンに巻いて32本用意し、これらを32本打ちの丸打ち製紐機の錘に夫々仕掛け、ピッチ20目/inch(2.54cm)で組紐状の結束紐を作製した。
得られた丸打ち結束紐は繊度4200dtex、強度145N、伸度39%であったが、結束紐の締め付け性は劣るものであった。
得られた結果を表1に示す。
Claims (5)
- 融点または分解温度が270℃以上である合成繊維のマルチフィラメントを組み糸として用いた組紐からなる丸打ち結束紐であって、該組紐の製紐打ち数が5以上、49以下の奇数であることを特徴とする丸打ち結束紐。
- 少なくとも1本の組み糸の総繊度が、他の組み糸の総繊度と異なることを特徴とする請求項1に記載の丸打ち結束紐。
- 1本の組み糸の総繊度が、他の組み糸の総繊度の2倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の丸打ち結束紐。
- 使用する丸打ち製紐機の打ち数より1少ない数の糸ボビンを仕掛けて製紐することにより、製紐打ち数を5以上、49以下の奇数とする組紐を製紐することを特徴とする丸打ち結束紐の製造方法。
- 1の糸ボビンに巻かれている組み糸の総繊度を、他の糸ボビンに巻かれている組み糸の総繊度の2倍にすることを特徴とする請求項4に記載の丸打ち結束紐の製造方法。
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