JP6441724B2 - ジェットエンジン、および、飛しょう体 - Google Patents
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図1Aには、ジェットエンジンの作動時における主流空気の流れMA(換言すれば、インレットからジェットエンジンに取り込まれる空気の流れ)が記載されている。本明細書において、主流空気の流れMAに対して上流側、すなわち、ジェットエンジンのインレット側を「前方側」と定義する。また、主流空気の流れに対して下流側、すなわち、ジェットエンジンのノズル側を「後方側」と定義する。
図1Aおよび図1Bを参照して、発明者によって認識された課題について説明する。図1Aは、ジェットエンジンを模式的に示す概略断面図である。図1Bは、図1AのA−A矢視断面図である。なお、図1Aおよび図1Bは、発明者によって認識された課題について説明するために便宜的に使用される図である。よって、図1Aおよび図1Bは、公知技術を示すものではない。
図2Aは、実施形態に係るジェットエンジン2の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。図2Bは、図2AのB−B矢視断面図である。なお、図2Aおよび図2Bにおいて、図1Aおよび図1Bに記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。同一の図番が付されている部材について、繰り返しの説明は省略される。
図2Cは、ジェットエンジン2の変形例を示す。図2Cは、実施形態に係るジェットエンジン2の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。図2Cに記載の例は、燃料供給流路52が共通流路52Cを備える点、および、燃料供給ポンプ59が共通流路52Cに配置される点で、図2Aおよび図2Bに記載の例とは異なる。図2Cに記載の例は、その他の点では、図2Aおよび図2Bに記載の例と同様である。なお、図2Cにおいて、図1A乃至図2Bに記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。同一の図番が付されている部材について、繰り返しの説明は省略される。
図3Aおよび図3Bは、ジェットエンジン2の変形例を示す。図3Aは、実施形態に係るジェットエンジン2の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。図3Bは、図3AのC−C矢視断面図である。
実施形態に係る飛しょう体1の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る飛しょう体1の構成の一例を示す斜視図である。飛しょう体1は、実施形態に係るジェットエンジン2と、ロケットモータ3とを具備している。ロケットモータ3は、飛しょう体1を発射装置から飛行させるとき、飛しょう体1を飛しょう開始時の速度から所望の速度まで加速する。ただし、飛しょう開始時の速度は、飛しょう体1が静止している発射装置から発射されるときは、速度ゼロであり、飛しょう体が移動中(または飛行中)の移動体(または飛行体)の発射装置から発射されるときは、その移動体(または飛行体)の移動速度(または飛行速度)である。ジェットエンジン2は、飛しょう体1がロケットモータ3を分離した後、飛しょう体1を更に加速して、目標へ向かって飛しょうさせる。ジェットエンジン2は、機体10とカウル40とを備えている。機体10とカウル40とは、ジェットエンジン2のインレット、燃焼器及びノズルを構成している。ジェットエンジン2は、インレットにて前方から空気を取り入れ、燃焼器にてその空気と燃料とを混合し、燃焼させ、ノズルにてその燃焼ガスを膨張させ、後方へ送出する。それにより、ジェットエンジン2は推進力を得る。なお、ジェットエンジン2は、ラムジェットエンジンまたはスクラムジェットエンジンであってもよい。
次に、図5A乃至図5Dを参照して、実施形態に係るジェットエンジンについてより詳細に説明する。図5A乃至図5Dにおいて、図1乃至図4に記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。同一の図番が付されている部材について、繰り返しの説明は省略される。
燃焼器12は、燃焼室Chと、少なくとも1つの前方側燃料噴射口22と、少なくとも1つの後方側燃料噴射口24とを備える。燃焼器12は、少なくとも1つの燃料点火器を備えていてもよい。図5Aに記載の例では、燃焼器12は、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料を点火する前方側燃料点火器28Aと、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料を点火する後方側燃料点火器28Bとを備える。また、燃焼器12は、少なくとも1つの保炎器を備えていてもよい。図5Aに記載の例では、燃焼器12は、前方側保炎器26を備える。
前方側燃料噴射口22は、燃焼器12の壁に設けられている。前方側燃料噴射口22は、燃焼室Chに燃料を噴射する。図5Bに記載の例では、前方側燃料噴射口22の数は3個である。また、複数の前方側燃料噴射口は、燃焼器の長手方向に垂直な断面内に配置されている。しかし、前方側燃料噴射口の数および配置は、図5Bに記載の例に限定されず、任意である。
燃料点火器(28A、28B)としては、任意の点火器を採用可能である。燃料点火器は、例えば、電気スパークによって、燃料を点火する点火器であってもよい。代替的に、燃料点火器は、自動発火性の燃料(例えば、水素)を燃焼室Ch内に噴射することによって、燃料を点火する点火器であってもよい。
前方側保炎器26は、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の燃焼によって生成される炎を保炎する保炎器である。保炎器は、燃焼器12の壁面に設けられている。前方側保炎器26には、主流空気と前方側燃料噴射口22から噴射される燃料との混合気体が供給される。混合気体は、前方側保炎器26内においては、低速で移動する。前方側保炎器26は、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の燃焼に用いる炎を維持する。前方側保炎器26は、例えば、燃焼器12の壁面に設けられた凹部である。前方側保炎器26は、例えば、前方側燃料噴射口22の後方側に配置される。代替的に、前方側保炎器26が設けられる位置は、前方側燃料噴射口22が設けられる位置と重なっていてもよい(例えば、前方側保炎器26の壁部に前方側燃料噴射口22が設けられてもよい)。
後方側燃料噴射口24は、燃焼器12の壁に設けられている。後方側燃料噴射口24は、燃焼室Chに燃料を噴射する。図5Bに記載の例では、後方側燃料噴射口24の数は3個である。また、複数の後方側燃料噴射口は、燃焼器の長手方向に垂直な断面内に配置されている。しかし、後方側燃料噴射口の数および配置は、図5Bに記載の例に限定されず、任意である。燃焼器12には、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の燃料により生成される炎を保炎する後方側保炎器が設けられてもよい。
ジェットエンジン2は、燃料供給機構50を備える。燃料供給機構50は、燃料タンク51と、燃料供給流路52と、燃料供給ポンプ59Cと、タービン80とを備える。
燃料タンク51は、炭化水素燃料を貯蔵する。炭化水素燃料は、例えば、液体の炭化水素燃料を含む。液体の炭化水素燃料は、例えば、JetA−1燃料のようなジェット燃料、炭素数10以上15以下のケロシン、ドデセン、または、これらの組み合わせを含む燃料である。燃料タンク51の個数、大きさまたは形状は、任意である。
燃料供給流路52は、燃料タンク51と前方側燃料噴射口22とを流体接続する第1流路52Aと、燃料タンク51と後方側燃料噴射口24とを流体接続する第2流路52Bとを備える。また、燃料供給流路52は、第1流路52Aであるとともに第2流路52Bである共通流路52Cを備えていてもよい。図5Aに記載の例では、燃料タンク51と入口66(燃料改質部の入口)との間に配置される流路は、共通流路52Cである。
燃料供給ポンプ59Cは、燃料供給流路52(より具体的には、共通流路52C)に配置される。燃料供給ポンプ59Cには、燃料タンク51から燃料が供給される。燃料供給ポンプ59Cは、燃料供給流路52の下流側に向けて、燃料を圧送する。燃料供給ポンプ59Cは、電動モータ等の駆動源によって駆動されてもよい。燃料供給ポンプ59Cに供給される過剰な燃料は、リターン流路70を介して、燃料タンク51に戻されてもよい。燃料供給ポンプ59Cの駆動軸は、動力伝達機構72を介して、後述のタービン80の出力軸に接続されていてもよい。
タービン80は、燃料供給流路52に配置される。タービン80が配置される位置は、燃料供給ポンプ59Cが配置される位置よりも、燃料供給流路52の下流側である。より具体的には、燃料供給ポンプ59Cは、燃料改質部62(より具体的には、第1の燃料改質部62A)よりも上流側に配置され、タービン80は、燃料改質部62(より具体的には、第1の燃料改質部62A)よりも下流側に配置される。
燃料供給機構50は、燃料改質部62を備える。燃料改質部62は、燃料タンク51から供給される液体燃料(例えば、JetA−1燃料のようなジェット燃料、炭素数10以上15以下のケロシン、ドデセン、または、これらの組み合わせを含む液体燃料)を熱分解して、低炭素数の炭化水素を主成分として含む気体の改質燃料(例えば、水素、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、または、これらの組み合わせを含む改質燃料)を生成する。熱分解において必要とされる熱は、例えば、燃焼室Chから燃焼室の壁部を介して供給される。なお、上記熱分解は、吸熱反応である。このため、燃料改質部62が、燃焼室Chの壁に接触している場合には、吸熱反応によって、燃焼室の壁が効果的に冷却される。
図6A乃至図6Cは、ジェットエンジン2の変形例を示す。図6Aは、実施形態に係るジェットエンジンの構成の一例を模式的に示す概略断面図である。図6Bは、図6AのE−E矢視断面図である。図6Cは、実施形態に係るジェットエンジンの構成の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図6A乃至図6Cに記載の例において、流量調整弁90は、燃料改質部62(より具体的には、後述の共通燃料改質部62C)よりも下流側に配置される。流量調整弁90は、燃料改質部62(より具体的には、後述の共通燃料改質部62C)から後方側燃料噴射口24に供給される燃料の量を調整する。
図6Bに記載の例において、燃料改質部62は、共通燃料改質部62Cを備える。共通燃料改質部62Cは、第1の燃料改質部62Aの少なくとも一部を構成するとともに、第2の燃料改質部62Bの少なくとも一部を構成する。換言すれば、共通燃料改質部62Cで改質された燃料の一部を、前方側燃料噴射口22から噴射するとともに、共通燃料改質部62Cで改質された燃料の他の一部を、後方側燃料噴射口24から噴射することが可能である。
2 :ジェットエンジン
3 :ロケットモータ
10 :機体
11 :インレット
12 :燃焼器
13 :ノズル
22 :前方側燃料噴射口
24 :後方側燃料噴射口
26 :前方側保炎器
28A :前方側燃料点火器
28B :後方側燃料点火器
40 :カウル
50 :燃料供給機構
51 :燃料タンク
52 :燃料供給流路
52A :第1流路
52B :第2流路
52C :共通流路
52D :バイパス流路
53 :壁部
59 :燃料供給ポンプ
59A :第1の燃料供給ポンプ
59B :第2の燃料供給ポンプ
59C :燃料供給ポンプ
62 :燃料改質部
62A :第1の燃料改質部
62B :第2の燃料改質部
62C :共通燃料改質部
63 :前方側領域
64 :流路分岐領域
65 :後方側領域
66 :入口
66A :入口
68 :出口
68A :出口
68B :出口
70 :リターン流路
72 :動力伝達機構
80 :タービン
90 :流量調整弁
92 :流量調整弁
Ch :燃焼室
S :空間
Claims (11)
- 空気を取り込むインレットと、
前記空気を用いて燃料を燃焼し、燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記燃焼ガスを放出するノズルと、
燃料供給機構と
を具備し、
前記燃焼器は、
燃焼室と、
前記燃焼室に前記燃料を噴射する前方側燃料噴射口と、
前記前方側燃料噴射口の後方側に配置され、前記燃焼室に前記燃料を噴射する後方側燃料噴射口と
を備え、
前記燃料供給機構は、
燃料タンクと、
燃料供給流路と
を備え、
前記燃料供給流路は、
第1の燃料改質部を含み、前記燃料タンクと前記前方側燃料噴射口とを流体接続する第1流路と、
第2の燃料改質部を含み、前記燃料タンクと前記後方側燃料噴射口とを流体接続する第2流路と
を備え、
前記燃料供給機構は、前記前方側燃料噴射口に、前記後方側燃料噴射口に供給される前記燃料の改質率よりも高い改質率の前記燃料を供給し、
前記第1の燃料改質部の少なくとも一部は、前記第2の燃料改質部と異なる
ジェットエンジン。 - 前記第1の燃料改質部は、単位時間あたりに取り込む総入熱量が、前記第2の燃料改質部よりも大きい
請求項1に記載のジェットエンジン。 - 前記第1の燃料改質部は、前記燃料が通過する時間が、前記第2の燃料改質部よりも長い
請求項1または2に記載のジェットエンジン。 - 空気を取り込むインレットと、
前記空気を用いて燃料を燃焼し、燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記燃焼ガスを放出するノズルと、
燃料供給機構と
を具備し、
前記燃焼器は、
燃焼室と、
前記燃焼室に前記燃料を噴射する前方側燃料噴射口と、
前記前方側燃料噴射口の後方側に配置され、前記燃焼室に前記燃料を噴射する後方側燃料噴射口と
を備え、
前記燃料供給機構は、
燃料タンクと、
燃料供給流路と
を備え、
前記燃料供給流路は、
第1の燃料改質部を含み、前記燃料タンクと前記前方側燃料噴射口とを流体接続する第1流路と、
第2の燃料改質部を含み、前記燃料タンクと前記後方側燃料噴射口とを流体接続する第2流路と
を備え、
前記燃料供給機構は、前記前方側燃料噴射口に、前記後方側燃料噴射口に供給される前記燃料の改質率よりも高い改質率の前記燃料を供給し、
前記第2の燃料改質部と前記燃焼室の壁部との間の熱交換面積は、前記第1の燃料改質部と前記燃焼室の壁部との間の熱交換面積よりも小さい
ジェットエンジン。 - 前記燃料供給流路は、共通流路を備え、
前記共通流路は、前記第1流路の一部を構成するとともに、前記第2流路の一部を構成する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジェットエンジン。 - 前記燃料供給流路は、共通流路を備え、
前記共通流路は、前記第1流路の一部を構成するとともに、前記第2流路の一部を構成し、
前記共通流路は、共通燃料改質部を含み、
前記共通燃料改質部は、前記第1の燃料改質部の少なくとも一部を構成するとともに、前記第2の燃料改質部の少なくとも一部を構成する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジェットエンジン。 - 前記第2流路は、前記共通燃料改質部の下流側に、流量調整弁を備える
請求項6に記載のジェットエンジン。 - 前記燃料供給機構は、
前記燃料供給流路に配置される燃料供給ポンプと、
前記燃料供給流路に配置されるタービンと
を備え、
前記タービンは、前記第1の燃料改質部よりも下流側に配置され、
前記タービンの出力軸は、前記燃料供給ポンプを駆動させる駆動軸に接続され、
前記燃料供給機構は、前記燃料供給ポンプに供給される前記燃料の少なくとも一部を前記燃料タンクに戻すリターン流路を有さない
請求項7に記載のジェットエンジン。 - 前記燃料供給機構は、
前記燃料供給流路に配置される燃料供給ポンプと、
前記燃料供給流路に配置されるタービンと
を備え、
前記タービンは、前記第1の燃料改質部よりも下流側に配置され、
前記タービンの出力軸は、前記燃料供給ポンプを駆動させる駆動軸に接続される
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のジェットエンジン。 - 空気を取り込むインレットと、
前記空気を用いて燃料を燃焼し、燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記燃焼ガスを放出するノズルと、
燃料供給機構と
を具備し、
前記燃焼器は、
燃焼室と、
前記燃焼室に前記燃料を噴射する前方側燃料噴射口と、
前記前方側燃料噴射口の後方側に配置され、前記燃焼室に前記燃料を噴射する後方側燃料噴射口と
を備え、
前記燃料供給機構は、
燃料タンクと、
燃料供給流路と
を備え、
前記燃料供給流路は、
第1の燃料改質部を含み、前記燃料タンクと前記前方側燃料噴射口とを流体接続する第1流路と、
第2の燃料改質部を含み、前記燃料タンクと前記後方側燃料噴射口とを流体接続する第2流路と
を備え、
前記第2の燃料改質部と前記燃焼室の壁部との間の熱交換面積は、前記第1の燃料改質部と前記燃焼室の壁部との間の熱交換面積よりも小さい
ジェットエンジン。 - 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のジェットエンジンを備える飛しょう体。
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