JP6431775B2 - 位相検出装置及び衛星中継器 - Google Patents

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本発明は、位相検出装置と、その位相検出装置を用いた衛星中継器に関するものである。
近年、高周波信号の位相の制御等を目的して、高精度な信号位相の検出装置が求められている。以下、衛星放送を一例として説明を行うが、本発明は、衛星放送への応用に限定されるものではない。
現在、8Kスーパーハイビジョンや立体テレビなどの将来の放送サービスを提供するためのメディアとして、21GHz帯を用いた衛星放送が研究されている。この21GHz帯の放送電波は、雨の影響を受けやすく、現在の12GHz帯の衛星放送よりも降雨減衰が大きい。そこで、降雨減衰補償技術として、放送衛星の放射パターンを制御し、日本全国を均一の電力で照射しつつ、降雨減衰が生じている地域には増力した電力を照射することが試みられている。
これを実現する放送衛星用アンテナとしてアレー給電イメージングリフレクタアンテナが提案されている。このアンテナは、複数のホーンアンテナからなるアレー給電部を有しており、各ホーンの給電位相を制御し、その放射電力を空間で合成することで放射パターンを変化させることができる(非特許文献1)。
しかしながら、予め、各ホーンの給電位相を決めて制御するとしても、各位相制御装置が出力する位相には誤差もあり、各ホーンの出力位相を検出装置で測定して再調整する必要がある。すなわち、各給電部の信号の位相が所望の位相値となるよう適切に制御するためには、制御後の各給電部の位相を正確に把握することが必要であり、衛星内部に位相検出装置を設ける必要がある。
図5は、上記のような考えに基づいて、アレー給電イメージングリフレクタアンテナと位相検出装置を搭載した空間合成型衛星中継器の構成例を示すブロック図である。
図5において、衛星に搭載された受信アンテナ41は、地球局から衛星に向けて送信(アップリンク)されてくる放送信号と制御信号を含む電波を受信する。ダイプレクサ42は、信号の送信経路と受信経路を電気的に分離するものであって、受信アンテナ41を地球局への送信アンテナとしても共用するために必要となる。分波器43は、受信した信号から放送波とコマンド信号を分離する。コマンド受信機44は、受信したコマンド信号に基づいて、アレー給電部48に個別に制御信号を与える。受信機45は、分波器43からの放送波を衛星放送用の送信周波数に変換し、入力フィルタ46に信号を出力する。入力フィルタ46は、受信機45から受けた信号に対してフィルタ処理を行い、不要波を除去したRF信号(放送信号)を出力する。分配器47は、入力フィルタ46から受けたRF信号(放送信号)を各アレー給電部48に分配する。アレー給電部48は、ホーンアンテナ49の素子数nに対応してそれぞれ独立して設けられており、各アレー給電部48は、移相器481と、増幅器482と、出力フィルタ483とを備え、制御信号に基づく所定の位相に放送信号を制御して、ホーンアンテナ49に給電する。ホーンアンテナ49は、副反射鏡51及び主反射鏡52とともに、放送波送信アンテナ(アレー給電イメージングリフレクタアンテナ)を構成し、衛星放送波を地上に送信(ダウンリンク)する。
位相検出装置1は、アレー給電部48からホーンアンテナ49への給電信号を、その途中で分岐して、その信号位相を検出し、検出された位相情報をテレメトリ送信機53に送る。テレメトリ送信機53は、位相検出装置1からの位相情報に加えて、衛星の様々な情報(例えば、衛星の温度、姿勢情報、各機器の状態、等)を地球局に対して送信するためのテレメトリ信号を作成する。受信アンテナ41は、テレメトリ送信アンテナ41としても共用され、テレメトリ送信機53からダイプレクサ42を介して伝送されたテレメトリ信号に基づいて、衛星放送波とは異なる送信を行う。
ところで、一般に、地上での信号回路の位相検出には、ネットワークアナライザ等の種々のモニタリング装置を利用することができる。しかしながら、図5に示された空間合成型衛星中継器のシステムは、全体を人工衛星に搭載して宇宙に送り出すため、各アレー給電部の出力が所望の位相値になっているかを、地上からの制御のもとに衛星の内部で自動的に検出することが必要となり、ネットワークアナライザのような装置は衛星では使用できない。したがって、衛星に搭載可能な位相検出装置が必要になってくる。
装置・機器を人工衛星に搭載するためには、様々な条件が要求される。まず、消費電力を極力抑えるように設計しなければならない。人工衛星は太陽電池で発電しており、限られた電力資源を有効に使用する必要がある。また、装置の重量も課題となる。打ち上げ重量の制限があり、装置・機器の重量は、その分、衛星の燃料搭載量を圧迫する。十分な燃料が乗せられなければ、姿勢制御等が可能な回数・期間が制限され、衛星の設計寿命が短くなる。
衛星に搭載したアレーアンテナの位相を地上で測定する手段として、素子電界ベクトル回転法がある。これは、各放射素子の出力位相を1素子ずつ360度変化させ、地球局での受信電力の変化から素子間の位相差を求める方法であるが、この方法は無変調波を用いるため、一旦変調波(放送波)の送信停止をしなければならず、連続的な送信が求められる放送衛星には使用できない。
したがって、衛星放送のためには、衛星に搭載可能な小型の位相検出装置が要請されている。
小型の位相検出装置として利用可能性のある位相差検出器(位相差比較器)としては、従来より以下のようなものが知られている。
(a)Dフリップフロップを用いるもの
(b)検出すべき位相を時間軸方向に振動させるもの
(c)排他的論理和を用いるもの
上記(a)のDフリップフロップを用いた位相差検出器は、エッジトリガーで動作するためノイズで誤動作を起こす可能性が高い。よって、宇宙環境で使用するためには、信頼性に課題がある。
上記(b)の検出すべき位相を時間軸方向に振動させて、基準信号との位相差を求める位相差検出器は、たとえば、特許文献1に記載されている。この検出回路も、Dフリップフロップを用いているためノイズに対する耐性が低い。また、回路規模が大きいという欠点がある。さらに、特許文献1の検出器は、測定対象がディジタルノギスやディジタルマイクロメータ等を前提としたものであり、高周波信号の位相差測定に適していない。
これに対して、上記(c)の排他的論理和(Exclusive OR :EX−OR)を用いる位相差検出器は、ノイズに強く、回路規模も比較的小型であるので、衛星搭載用の位相検出装置としては、(c)の排他的論理和を用いた位相差検出器を用いることが、もっとも有望である。以下、排他的論理和(EX−ORゲート)応用型の位相差検出器について詳しく説明する。
図6は、位相差検出器(位相差比較器)の基本構成であり、その動作原理を図7に示す。位相差検出器は、ポート1とポート2とを有するデジタル位相比較器54と、積分回路55と、アンプ(増幅器)56とからなる。ここで、デジタル位相比較器54が、排他的論理和(EX−OR)回路で構成される。
図7(a)に排他論理和の真理値表を示す。ポート1とポート2の入力が一致するとき出力(演算結果)が0となり、ポート1とポート2の入力が異なるとき、出力(演算結果)が1となる。
図7(b)に、排他的論理和(EX−ORゲート)応用型の位相差検出器の各信号の関係を示す。ポート1から入力された信号S1と、ポート2から入力された信号S2とに基づいて、デジタル位相比較器(排他的論理和回路)54は、EX−OR出力S3を出力する。すなわち、ポート1とポート2の信号のずれているところに出力S3が出る。この論理出力を積分回路55で平滑化して、アンプ(増幅器)56で増幅すると、出力S3のパルス幅(位相ずれ)に比例した出力電圧S4が得られ、これが位相差検出出力(電圧)S4となる。このように、S1とS2の位相のずれが検出でき、位相差(ずれ幅)の大きさに応じて出力電圧が変化する。
図6の回路において、信号S1とS2が共にデューティ比50%の同じ矩形波としたとき、その位相差が0度のときはEX−OR出力S3が発生しないから出力電圧S4は0V。S1とS2の位相差が0〜180度の間は、位相差(ずれ幅)に応じて出力S3のパルス幅が大きくなるから次第に出力電圧S4は大きくなり、位相差180度でS1とS2の重なりがなくなりS4は最大電圧となる。そして、位相差が180度を超えると再びS1とS2の信号の重なりが生じてEX−OR出力S3のパルス幅が次第に減少し、S1とS2の位相差が180〜360度の間は、位相差とともに信号の重なりが大きくなるから次第に出力電圧S4は小さくなる。そして、位相差360度(=0度)で最初に戻り、出力電圧S4は0Vとなる。
なお、位相差0度(360度)で出力電圧S4が0Vとなり、位相差180度で出力電圧S4が最大電圧となるのは、図6の出力回路に基づくためであり、この位相差0度と180度のどちらで最大電圧になるかは、出力の回路構成による。市販の排他的論理和応用型の位相差検出器には、位相差0度で最大電圧となり、位相差180度で出力電圧0Vとなる設計のものもある。
いずれにしても、排他的論理和応用型の位相差検出器は、その出力電圧が位相差0〜180度、及び180〜360度において、最小電圧(0V)と最大電圧の間で連続的に変化し、位相差180度を中心とした対称形の電圧特性を示す。
このように、排他的論理和(EX−ORゲート)応用型の位相比較器は、Dフリップフロップを用いることなく、比較的簡単な回路構成で、ポート1とポート2に入力される信号の位相差を出力電圧として得ることができる。
特公平6−64100号公報
長坂ほか, "21GHz帯放送衛星用アレー給電イメージングリフレクタアンテナ実験モデル", 映像情報メディア学会技術報告, Vol.36 No.37, pp.17-20, (BCT2012-81), 2012年9月
上記のとおり、衛星搭載用の位相検出装置においてはノイズに強い排他的論理和(EX−ORゲート)応用型の位相比較器を用いることが望ましい。
しかしながら、EX−OR型位相比較器は、その動作原理から、位相差−出力電圧特性が位相差180度を中心とした対称形となるため、位相差θ度の出力電圧は、位相差(360−θ)度の出力電圧と等しい。よって、出力電圧から一意の位相差を求めることができないという欠点がある。衛星搭載用の位相検出装置は、位相差を一意に特定することが要求されるため、EX−OR型位相比較器をそのまま衛星用位相検出装置として用いることはできない。
したがって、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、一意に位相を検出することができる、軽量・小型の位相検出器とそれを利用した衛星中継器を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る位相検出装置は、基準信号に対する比較信号の位相を検出する位相検出装置であって、前記比較信号と前記基準信号とを比較し、位相差に応じた第1の電圧を出力する第1の位相比較部と、前記基準信号の位相を所定の位相遅延量だけ遅延させる遅延回路と、前記比較信号と前記位相遅延量だけ遅延した基準信号とを比較し、位相差に応じた第2の電圧を出力する第2の位相比較部と、前記第1の電圧から求めた位相と、前記第2の電圧から求めた位相を前記位相遅延量で補正した位相に基づいて、比較信号の位相を判定する判定部と、を備えたことを特徴とする。
また、前記位相検出装置は、前記判定部が、前記第1の位相比較部の位相差−出力電圧特性に基づいて、前記第1の電圧から複数の位相を求めるとともに、前記第2の位相比較部の位相差−出力電圧特性に基づいて、前記第2の電圧から複数の位相を求め、前記第2の電圧から得られた位相を前記位相遅延量で補正し、補正後の位相と前記第1の電圧から得られた位相とを比較して、一致するものを比較信号の正しい位相として判定することが望ましい。
また、前記位相検出装置は、前記第1及び第2の位相比較部が、排他的論理和(EX−ORゲート)応用型の位相比較部であることが望ましい。
上記課題を解決するために本発明に係る衛星中継器は、前記位相検出装置を、アレー給電イメージングリフレクタアンテナに給電する信号の位相検出に用いたことを特徴とする。
本発明によれば、ノイズに強く、一意の位相検出結果を得ることができる、小型・軽量で精度の高い位相検出装置が実現できる。
本発明による位相検出装置を衛星中継器に用いれば、放送信号に影響を与えることなく高精度に位相を測定することができる。位相測定の結果を地上にフィードバックすれば、衛星中継器の位相誤差を補正した放射パターン制御を行うことができる。たとえば、将来8Kスーパーハイビジョン放送に有望な21GHz帯(21.4GHz〜22.0GHz)衛星放送システムにこの位相検出装置を適用すれば、増力ビームを精度良く形成することにより降雨減衰を補償でき、降雨による遮断時間を低減できる。
実施の形態1の位相検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の位相を検出する原理を説明する図である。 実施例における排他的論理和(EX−ORゲート)応用型位相比較部の位相差−出力電圧特性と、位相の検出例を示す図である。 実施の形態2の衛星中継器の要部の構成を示すブロック図である。 空間合成型衛星中継器の構成例を示すブロック図である。 排他的論理和(EX−ORゲート)応用型位相比較器の基本構成である。 排他的論理和(EX−ORゲート)応用型位相比較器の動作原理である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1に、本発明の位相検出装置1の構成を表すブロック図を示す。位相検出装置1は、第1のEX−ORゲート応用型位相比較部11、第2のEX−ORゲート応用型位相比較部12、遅延回路13、及び判定部14を備えている。
位相検出装置1は、2つの信号入力端を有しており、一方に基準信号、他方に基準信号との位相差を求める比較信号を入力する。
第1のEX−ORゲート応用型位相比較部11、第2のEX−ORゲート応用型位相比較部12は、図6及び図7で説明した排他的論理和(EX−ORゲート)応用型の位相差検出器と同じ機能を有するものであり、それぞれ入力用のポート1,2と、ポート3,4を備える。なお、2つのEX−ORゲート応用型位相比較部(以下、単に「位相比較部」ともいう。)は同じ特性であることが望ましい。
第1のEX−ORゲート応用型位相比較部11は、そのポート1及びポート2に、位相検出装置1の入力である比較信号及び基準信号をそれぞれそのまま入力し、両信号の位相差に対応する電圧を出力する。その出力電圧は判定部14に入力される。
遅延回路13は、入力に対して既知の位相遅延量(α度)だけ位相を遅延させる回路である。遅延回路13は、位相検出装置1の基準信号入力端と第2のEX−ORゲート応用型位相比較部12のポート4との間に配置され、基準信号の位相を所定の位相遅延量(α度)だけ遅延させる。なお、ここでは説明の都合上「遅延」と記載しているが、αを負の値とすれば、実質的に位相を進めることになるから、遅延回路13は移相回路と解釈して良い。また、位相遅延量(α度)は、180×n度(nは整数)以外の値とする。
第2のEX−ORゲート応用型位相比較部12は、そのポート3に位相検出装置1の入力である比較信号をそのまま入力し、ポート4に遅延回路13の出力、すなわち、基準信号を所定の位相遅延量(α度)だけ位相を遅らせた信号を入力し、ポート3,4の両信号の位相差に対応する電圧を出力する。その出力電圧は判定部14に入力される。
判定部14は、第1のEX−ORゲート応用型位相比較部11及び第2のEX−ORゲート応用型位相比較部12の出力電圧を入力とし、位相比較部11,12の位相差−出力電圧の対応関係と、後述の手順に基づいて、基準信号に対する比較信号の正しい位相を判定し、位相検出出力信号を出力する。この位相検出出力信号は、判定された位相を一意に示す信号であり、アナログ信号でもデジタル信号でも良い。
以下、位相検出装置1の位相検出を行う手順(判定ロジック)について説明する。
基準信号(位相0度)に対して位相がθ度遅れた比較信号(位相θ度:未知)の位相を求める場合について、図2を参照して説明する。
位相比較部11,12は、図2に示す位相差−出力電圧特性20(ポート間の位相差0度で出力最大電圧、位相差180度で出力0Vとなり、180度を中心に対称形)を有しているとする。なお、この特性20は理論値であるが、市販のEX−ORゲート応用型位相比較器も概ねこのような特性を示す。また、遅延回路13は、既知の位相遅延量(α度)の遅延を生じるとする。
このとき、各ポートの入力位相(基準信号に対する位相)は、次のとおりである(ただし、θは未知の値)。
Figure 0006431775
位相検出装置1は2つの位相比較部を持ち、かつ、一方の位相比較部12の基準信号については遅延しているため、第1と第2の位相比較部11,12は、位相比較結果が異なり、異なる電圧を出力する。
各ポートに表1の位相が入力されたとき、第1の位相比較部11は、位相差θに対応する電圧V1を出力する。図2に示す位相比較部11の特性20から明らかなように、位相比較部11は2つの位相差において電圧V1を出力するから、判定部14は、第1の位相比較部11からの出力電圧V1に基づいて、ポート1に入力された比較信号の位相(基準信号に対する位相)が、θ度又は(360−θ)度のいずれかであると判断する。
このとき、第2の位相比較部12は、位相差(θ−α)に対応する電圧V2を出力する。同様に、この出力電圧V2と図2に示す位相比較部12の特性20から、判定部14は、ポート3の入力信号(比較信号)のポート4の入力信号(遅延した基準信号)に対する位相が、(θ−α)度又は(360−θ+α)度のいずれかであると判断する。
ここで遅延回路13の位相遅延量(α度)は既知であるから、位相比較部12で得られた結果を補正することができる。すなわち、ポート4に元の基準信号が入力されたとすれば、ポート3の比較信号との位相差はα度大きくなり、第1の位相比較部11と同じ結果が得られるはずであるから、位相遅延量α度を加える補正により、本来の位相が求められる。したがって、判定部14は、位相比較部12の出力電圧V2から求めた位相を補正(α度を加算)して、ポート3の比較信号の本来の位相(基準信号に対する位相)は、θ度又は(360−θ+2α)度であると判断する。
次いで、判定部14は、第1の位相比較部11から得られた結果と、第2の位相比較部12から得られた位相を補正した結果とを対比する。第1の位相比較部11からは、比較信号の位相がθ度又は(360−θ)度のいずれかであるとの結果が得られ、また、第2の位相比較部12から得られた位相を補正することにより、比較信号の位相がθ度又は(360−θ+2α)度のいずれかであるとの結果が得られたことから、比較信号の真の位相は、第1と第2の位相比較部の結果が一致するθ度であると判定できる。したがって、判定部14は、比較信号の位相がθ度であるとの、位相検出出力信号を出力する。
(360−θ)度と(360−θ+2α)度は、通常、互いに異なる値であり、また、θ度とも異なる値であるから、位相が一致するのはθ度の一組だけであり、上述のように正しい位相θが決定できる。ただし、「2α度」が360度の整数倍となるときは、(360−θ)度と(360−θ+2α)度が一致し、一致する位相が2組となって正確な判定ができなくなる。したがって、遅延回路13の位相遅延量(α)は、180×n度(nは整数)以外の値とする。
なお、特殊な場合として、θ度又は(θ−α)度のいずれかが、0度(360度)又は180度であって、出力電圧V1又は出力電圧V2から求めた位相が一通りとなることがあるが、このときも、第1の位相比較部11から得られた位相θと、第2の位相比較部12から得られた位相を補正した位相θは一致するから、上述の手順と同様に、3つの位相のうち、一致する位相θを正しい比較信号の位相として判定することができる。また更に、このように、出力電圧V1又は出力電圧V2から求めた位相が一通りとなる場合は、この一通りの位相から(比較を行うことなく)直ちに正しい比較信号の位相を導出できるから、結果を比較して一致した位相を選択する手順を省略(迂回)して、直ちに正しい位相を求め、位相検出出力信号を出力する判定ロジックを設けることもできる。
以上のような手順で、位相検出装置1は、基準信号に対する比較信号の正しい位相を一意に求めることができる。
(実施例と位相検出結果)
実際のEX−ORゲート応用型位相比較器を利用して、位相検出装置1を構成し、測定を行った結果を示す。
図3に示す位相差−出力電圧特性30は、既存の(市販の)排他的論理和応用型の位相差検出器について、基準信号に対する位相差(ポート1と2の位相差)[単位:度]とその出力電圧を実測して求めた特性である。
図3において、四角いドットが位相比較器の実測データ(離散的な測定値)であり、位相差−出力電圧特性30(実線)は、実測データから最小二乗法などの近似により求めることができる。現実の位相比較器出力は、位相差0度(360度)及び180度近傍においてなだらかな変化をし、直線性が失われるが、本発明の作用・効果の上では特段の問題を生じない。
今回実測した位相差検出器は、位相差0度(360度)で最大電圧(約1.8V)になり、位相差180度で最小電圧(約0V)になった。なお、位相比較器出力電圧の最大値(例えば、約1.8V)は、検出器内のアンプの増幅度によるものであり、適宜設定可能なものである。
実施例として、第1及び第2のEX−ORゲート応用型位相比較部11,12を、図3の特性30を有する位相差検出器で構成した。また、遅延回路13の位相遅延量は、90度に設定した。
位相検出の検証のために、基準信号との位相差が60度である比較信号を用いた。
比較信号と基準信号を位相検出装置1に入力したところ、第1の位相比較部11と第2の位相比較部12の出力電圧(位相差に対する出力電圧)は、それぞれ1.25Vと1.55Vであった。第1の位相比較部11の出力電圧のレベルを示すライン31、及び、第2の位相比較部12の出力電圧のレベルを示すライン32を、図3の位相差−出力電圧特性30に重ねて示す。
それぞれの出力電圧は判定部14に入力され、位相値(検出位相差)に変換される。判定部14における、各位相比較部の出力電圧から検出位相差への変換では、電圧/位相変換テーブルを使用することができる。電圧/位相変換テーブルは、位相比較部単体の入出力特性の測定データから作成できる。なお、位相比較部の特性を関数(演算式)として持ち、演算により位相値を導くこともできる。
判定部14における変換の結果、第1の位相比較部11の出力電圧からは60度と305度という位相値(検出位相差)が求まり、第2の位相比較部12の出力電圧からは35度と330度という位相値が求まる(図3)。なお、330度は−30度と同じである。
位相比較部12の基準信号は遅延回路により90度遅延している。これは既知であるから、判定部14において、位相比較部12の検出結果(位相値)に90度を加える補正演算を行う。
出力電圧、検出位相差、遅延補正量、補正後の位相差の関係を表にまとめると、次のとおりとなる。
Figure 0006431775
表2のとおり、位相比較部11の検出結果(位相値)と位相比較部12の補正後の検出結果(位相値)とを比較すると、一致する位相値として、60度が1つ存在し、実際の位相差が求まる。
以上より、本発明による位相検出装置は、一意の位相検出結果を正確に得ることができることが検証された。
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2について説明をする。本発明の実施の形態2は、実施の形態1で説明した位相検出装置を用いた空間合成型衛星中継器である。図4は、実施の形態2の衛星中継器の構成例の要部を示すブロック図である。実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付している。
図4は、入力フィルタ46から出力されるRF信号(放送信号)が分配器47に入力されるところから、各ホーンアンテナ49に給電される信号が、分岐して位相検出装置1に入力され、位相情報が出力されるまでを拡大して表している。
位相検出装置1は、2つのEX−ORゲート応用型位相比較部11,12、遅延回路13、及び判定部14を含み、実施の形態1の位相検出装置1と同じ構成である。
図4において、分配器47、アレー給電部48、ホーンアンテナ49等は、図5と同じである。出力フィルタ483からホーンアンテナ49(素子数n)に向かう信号経路に方向性結合器484を配置し、ホーンアンテナ49に給電する信号の一部を、例えば−10dB、或いは−20dB程度、必要に応じて分岐させればよい。なお、図4においては、構成要素間の接続による位相差(導波管長の差等)は考慮していないが、実際の設計においては、これら接続による位相への影響が各ホーン及び基準信号との間で等しくなるように設計するか、或いは接続による位相差を計算で補正する等の調整が必要である。
位相検出装置1の入力の一方には、分配器47から、放送信号の一部を分配して入力し、これを基準信号とする。位相を検出するためには、位相の基準となる信号が必要であり、この衛星中継器においては、アレー給電部48に入力される信号と同一の信号を用いることが適切である。
位相検出装置1の入力の他方にはアレー給電部48の分岐出力(既に位相調整や増幅を行った後の方向性結合器の結合出力)信号を入力し、この信号を比較信号として、基準信号に対する位相検出を行う。アレー給電部48は複数(ホーンアンテナと同数)の給電部で構成されるため、その分岐出力も複数あるが、切替器50により所望の給電部からの分岐出力が選択可能とする。
選択された給電部の分岐出力信号に対して、上記実施の態様1で説明した位相検出の手順を行う。すなわち、第1のEX−ORゲート応用型位相比較部11の出力電圧から検出位相差を求め、第2のEX−ORゲート応用型位相比較部12の出力電圧から基準信号を遅延させたときの検出位相差を求める。その後、第2の位相比較部12から得られた検出位相差を位相遅延量で補正し、補正後の位相差を第1の位相比較部11の検出位相差と比較する。第1と第2の位相比較部から得られた位相差で一致するものを、比較信号の正しい位相として位相検出結果を求める。これで一つの給電部の分岐出力信号の基準信号に対する位相差が求められる。
次に、切替器50により比較信号の側を順次切り替えていって、アレー給電部48の全ての給電部の分岐出力信号について、基準信号に対して各信号がどれだけ位相が異なっているかを求める。基準信号に対する各分岐出力信号の位相差が分かれば、ホーンアンテナ49に供給している各給電部の出力信号全体について、互いの位相関係が分かる。この位相情報はテレメトリ信号として地球局に送信される。
アレー供給イメージングリフレクタアンテナの位相制御においては、各ホーンアンテナに給電する信号の相対的な位相差が分かれば、所望の放射パターンとなっているか知ることができる。地球局において、衛星の運用者は、テレメトリ信号として送られたアレー給電部の位相情報を得て、必要な修正のためのコマンド信号を衛星中継器に送信することができる。
このように実施の形態2に係る空間合成型衛星中継器によれば、位相検出装置1をアレー給電部48に設けることにより、地上より放送衛星の放射パターンを精度よく制御することができる。
また、衛星中継器を構成する機器の経年変化等により、例えば、増幅器の位相特性に変化が生じた場合においても、位相検出装置の測定結果を用いて、その位相変化を反映させてコマンド信号を送ることにより、適切な制御ができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
本発明の装置は、高周波信号の位相検出に用いられる。特に、衛星中継器に搭載する位相検出器として有用である。また、この位相検出装置は、携帯電話の基地局等において、複数のアンテナを利用して位相制御を行い、カバーエリア等を適切に制御する場合にも利用できる。
1 位相検出装置
11 EX−ORゲート応用型位相比較部
12 EX−ORゲート応用型位相比較部
13 遅延回路
14 判定部
20 EX−ORゲート応用型位相比較部の特性(理論)
30 EX−ORゲート応用型位相比較部の特性(実測)
41 受信アンテナ、テレメトリ送信アンテナ
42 ダイプレクサ
43 分波器
44 コマンド受信機
45 受信機
46 入力フィルタ
47 分配器
48 アレー給電部
49 ホーンアンテナ
50 切替器
51 副反射鏡
52 主反射鏡

Claims (4)

  1. 基準信号に対する比較信号の位相を検出する位相検出装置であって、
    前記比較信号と前記基準信号とを比較し、位相差に応じた第1の電圧を出力する第1の位相比較部と、
    前記基準信号の位相を所定の位相遅延量だけ遅延させる遅延回路と、
    前記比較信号と前記位相遅延量だけ遅延した基準信号とを比較し、位相差に応じた第2の電圧を出力する第2の位相比較部と、
    前記第1の電圧から求めた位相と、前記第2の電圧から求めた位相を前記位相遅延量で補正した位相に基づいて、比較信号の位相を判定する判定部と、
    を備えたことを特徴とする位相検出装置。
  2. 請求項1に記載の位相検出装置において、前記判定部は、前記第1の位相比較部の位相差−出力電圧特性に基づいて、前記第1の電圧から複数の位相を求めるとともに、前記第2の位相比較部の位相差−出力電圧特性に基づいて、前記第2の電圧から複数の位相を求め、前記第2の電圧から得られた位相を前記位相遅延量で補正し、補正後の位相と前記第1の電圧から得られた位相とを比較して、一致するものを比較信号の正しい位相として判定することを特徴とする位相検出装置。
  3. 請求項1又は2に記載の位相検出装置において、前記第1及び第2の位相比較部は、排他的論理和(EX−ORゲート)応用型の位相比較部であることを特徴とする位相検出装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の位相検出装置を、アレー給電イメージングリフレクタアンテナに給電する信号の位相検出に用いた衛星中継器。
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