JP6426767B2 - 樹状細胞の培養方法 - Google Patents
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Description
健康なボランティア被検者から末梢血が採取された。本実験は、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の承認(承認日:平成22年3月12日)を得て実施され、前記ボランティア被検者からは書面による同意が得られている。採血には、22〜23G針を取り付けた真空採血管(TERUMO ベノジェクトII EDTA−2Na)が用いられた。
得られた血液は、常温に保たれた希釈液(1mM EDTA及び2%ウシ胎仔血清が添加されたPBS)で2倍希釈され、各遠心管に、希釈血20ないし35mLが、10ないし15mLのFicoll Paque(比重1.077)に重層された。遠心は、580×g、室温で20分間行われ、ブレーキをかけずに停止された。遠心上清(血漿部分)は数mLを残して除去され、中間層が回収された。遠心管1ないし2本から回収された前記中間層が1本の新たな遠心管に集められ、前記希釈液により体積が50mLに調整された。2回目の遠心は、420×g、室温、5分間又は15分間の条件で行われた。上清は除去され、ペレットが、前記希釈液30mLに懸濁された。3回目の遠心は、250×g、室温10分間の条件で行われた。上清は除去され、ペレットは、細胞濃度が1×107個/mLになるように、2mM EDTAと、0.1%BSAとが添加されたPBSに懸濁された(以下、「単核球懸濁液」という。)。
抗CD3抗体が固定化された磁気ビーズ(Dynabeads CD3)は、0.1%BSAが添加されたPBSで1回洗浄された後、前記単核球懸濁液に細胞107個あたり50μLが添加された。前記ビーズを含む単核球懸濁液は、4°Cで30分間ローテータにて攪拌された。その後、前記磁気ビーズは磁石によって前記懸濁液から分離され、CD3を表面に発現する細胞が除去された。
前記懸濁液に残った細胞(以下、「CD3−細胞」という。)は、100ng/mLの組換えヒトGM−CSFと、50ng/mLの組換えヒトSCFと、10%ウシ胎仔血清と、抗生物質(ペニシリンG100単位/mL、硫酸ストレプトマイシン100μg/mL)とが添加されたIMDM(以下、「GM/SCF培地」という。)で5×105個/mLになるように希釈され、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)を含む生体適合性ポリマーでコーティングされた6ウェルプレート(リピジュアコートプレート(登録商標)、日油株式会社)で培養された。
対照実験として、CD3発現細胞を含む単核球集団が培養された。前記単核球懸濁液200μL(2×106個)が400ないし800×g、5分間の条件で遠心され、得られたペレットが前記GM/SCF培地3mLに懸濁され、CD3−細胞の培養に用いられるのと同じMPCポリマーでコーティングされた6ウェルプレートで培養された。
培地交換は3ないし4日ごとに行われた。細胞が回収され、400×g、5分間の遠心により培地が除去され、ペレットの細胞が、2.5ないし5×105個/mLの濃度になるように前記GM/SCF培地に懸濁され、MPCポリマーでコーティングされた新たな6ウェルプレートで培養された。
培養開始から1週間ごとに、当業者に周知の試薬、装置及び手順に従って、細胞数の計測の他、細胞表面マーカーCD3、CD11c及びCD14の発現がフロー・サイトメトリー法で解析された。
図1A及び2Aは、末梢血から分離された単核球をGM/SCF培地で、それぞれ1及び2週間培養後、CD3及びCD11cに対する抗体で2重染色しフロー・サイトメトリー法で解析した結果図である。図1B及び2Bは、末梢血から分離された単核球をGM/IL−4培地で1及び2週間培養後、CD3及びCD11cに対する抗体で2重染色しフロー・サイトメトリー法で解析した結果図である。図1Aの条件では、CD11c陽性かつCD3陰性の細胞は27.9%、CD11陰性かつCD3陽性の細胞は44.29%であったが、図1Bの条件では、それぞれ、10.66%及び55.31%であった。これに対し、図2Aの条件では、CD11c陽性かつCD3陰性の細胞は5.16%、CD11陰性かつCD3陽性の細胞は75.31%であったが、図1Bの条件では、それぞれ、2.32%及び74.29%であった。CD11c陽性かつCD3陰性の細胞は、樹状細胞又はその前駆細胞である。これらの結果から明らかなとおり、GM/SCF培地のほうがGM/IL−4培地よりも樹状細胞又はその前駆細胞の割合が高くなった。しかし、いずれの培地でも、1週間より2週間のほうが樹状細胞又はその前駆細胞の割合が急激に下がり、逆にCD11陰性かつCD3陽性の細胞の割合は非常に高くなった。CD3陽性の細胞はT細胞であり、試験管内でも樹状細胞はT細胞と相互作用してT細胞を刺激できることが知られている。そこで、これらの結果から、T細胞が共存すると、樹状細胞はT細胞を刺激するが、樹状細胞自体の増殖及び/又は分化が妨げられた可能性がある。実際に、図3A及びBの結果から、CD11c陰性の細胞のうち図3Aでは87.07%、図3Bでは88.27%と、約9割がCD3陽性、すなわち、T細胞系列の細胞であった。そこで、培養開始前に末梢血由来の単核球からT細胞を除去することで、T細胞との相互作用に煩わされることなく樹状細胞自体の増殖及び分化に専念させることができるのではないか、との発想が得られた。
実施例1のプロトコールに従って、CD3−細胞が前記GM/SCF培地で4週間培養された後、樹状細胞の前駆細胞を樹状細胞に分化させるために、培地が切り替えられた。新しい培地は、100ng/mLの組換えヒトGM−CSFと、50ng/mLの組換えヒトIL−4と、10%ウシ胎仔血清と、抗生物質(ペニシリンG100単位/mL、硫酸ストレプトマイシン100μg/mL)とが添加されたIMDM(以下、「GM/IL−4培地」という。)で、培養開始から4週間後に、GM/SCF培地からGM/IL−4培地に切り替えられ、さらに1週間培養された。対照実験では、CD3−細胞は、4週間後に培地を切り替えないで、5週間連続してGM/SCF培地で培養された。
培養開始から5週間後に、それぞれの実験条件で培養された細胞が、常法に従うフロー・サイトメトリー法による解析に供された。用いられた細胞表面マーカーは、CCR5、CCR7、CD40、CD54、CD80、CD83、CD86、HL−ABC及びHLA−DRであった。また、OK−432による刺激への応答を検討するために、前記5週間の培養後の細胞は、1×106個/mLの濃度で、0.5KE/mLのOK−432が添加されたIMDMに懸濁され、さらに48時間培養された。その後、IL−1b、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12p70及びTNF−αの各サイトカインの産生量が測定された。
Claims (13)
- 被検者の末梢血から採取された血球細胞から単核球を分離するステップと、前記単核球からCD3陽性細胞のみを選択的に除去するステップと、前記CD3陽性細胞が除去された残りの細胞集団を、GM−CSF及びSCFのみをサイトカインとして含む培地で培養した後、GM−CSF及びIL−4のみをサイトカインとして含む培地で培養するステップとを含む調製方法によって調製される樹状細胞集団を含む、樹状細胞移植療法用医薬品組成物。
- 被検者の末梢血から採取された血球細胞から単核球を分離するステップと、前記単核球から、CD3陽性細胞、並びにB細胞及び/又はNK細胞を選択的に除去するステップと、前記CD3陽性細胞、並びにB細胞及び/又はNK細胞が除去された残りの細胞集団を、GM−CSF及びSCFのみをサイトカインとして含む培地で培養するステップとを含む調製方法によって調製される樹状細胞集団を含む、樹状細胞移植療法用医薬品組成物。
- 請求項1又は2に記載の医薬品組成物であって、前記GM−CSF及びSCFを含む培地で培養するステップにおいて、前記CD3陽性細胞が除去された残りの細胞集団に占めるCD11c陽性細胞の割合が高められていることを特徴とする、医薬品組成物。
- 被検者から採取された血球細胞から単核球を分離するステップと、前記単核球からCD3陽性細胞を選択的に除去するステップと、前記CD3陽性細胞が除去された残りの細胞集団を、GM−CSF及びSCFを含む培地で培養するステップとを含む調製方法によって調製される、一人の被験者に由来し、一回投与量あたり107個以上の樹状細胞集団を含むことを特徴とする、医薬品組成物。
- がん、感染症、自己免疫疾患、アレルギー疾患又は1型糖尿病を治療するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬品組成物に含まれる樹状細胞と異なるHLA遺伝子型を有する患者に移植されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
- 樹状細胞集団の調製方法であって、
(a)被検者の末梢血から採取された血球細胞から単核球を分離するステップ、
(b)前記単核球から少なくともT細胞を選択的に除去するステップ、及び、
(c)前記T細胞が除去された残りの細胞集団を、GM−CSF及びSCFのみをサイトカインとして含む培地で培養するステップ
を含む方法。 - 請求項7に記載の方法であって、
前記ステップ(b)が、前記単核球から、T細胞に加えて、B細胞及び/又はNK細胞をも選択的に除去するステップであることを特徴とする、方法。 - 請求項7又は8に記載の方法であって、
前記ステップ(c)において、前記T細胞が除去された残りの細胞集団に占めるCD11c陽性細胞の割合が高められることを特徴とする、方法。 - 請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ステップ(c)は、少なくとも3週間実行されることを特徴とする、方法。 - 請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ステップ(c)は、少なくとも4週間実行され、前記ステップ(c)の後、
(d)GM−CSF及びIL−4を含む培地に切り替えて培養するステップ
を含むことを特徴とする、方法。 - 請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法であって、
前記血球細胞は末梢血からアフェレーシス法により採取されることを特徴とする、方法。 - 被験者の末梢血から採取された血球細胞から単核球を分離するステップと、前記単核球からT細胞を選択的に除去するステップと、前記T細胞が除去された残りの細胞集団を、GM−CSF及びSCFのみをサイトカインとして含む培地で培養した後、GM−CSF及びIL−4のみをサイトカインとして含む培地で培養するステップとを含む調製方法によって調製される樹状細胞集団を含む、樹状細胞移植療法用医薬品組成物。
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