JP2013081428A - Cd56陽性t細胞増強方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】T細胞をCD56陽性樹状細胞及びサイトカインと混合培養することによってCD56陽性T細胞を増強させる。この際、CD56陽性CD8陽性細胞傷害性T細胞をより増強される場合には、疾患抗原ペプチドを、またCD56陽性γδT細胞をより増強させるにはビスホスホネート誘導体又はその塩若しくはその水和物でCD56陽性樹状細胞を感作させる。
【選択図】なし
Description
(2)前記サイトカインがインターロイキン2である、(1)に記載の増強方法。
(3)疾患抗原ペプチドをさらに含む、(1)又は(2)に記載の増強方法。
(4)前記疾患が腫瘍又は感染症である、(3)に記載の増殖方法。
(5)前記混合培養時における培養液中のインターロイキン2の終濃度が1U/mL〜200U/mLである、(3)又は(4)に記載の増強方法。
(7)前記ビスホスホネート誘導体がゾレドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、イパンドロン酸、インカドロン酸、エチドロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、(6)に記載の増強方法。
(8)前記CD56+T細胞が疾患抗原特異的CD56+CD8+CTLである、(3)〜(7)のいずれかに記載の増強方法。
(9)ビスホスホネート誘導体又はその塩若しくはその水和物をさらに含む、(1)に記載の増強方法。
(10)前記ビスホスホネート誘導体がゾレドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、イパンドロン酸、インカドロン酸、エチドロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、(9)に記載の増強方法。
(12)前記CD56+T細胞がCD56+γδ型T細胞である、(9)〜(11)のいずれかに記載の増強方法。
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載の増強方法によって増強されたCD56+T細胞を含むCD56+T細胞強化型血液製剤。
(14)CD56+DC及びサイトカインを含むCD56+T細胞増強剤。
(15)前記サイトカインがインターロイキン2である、(14)に記載のCD56+T細胞増強剤。
(17)前記ビスホスホネート誘導体がゾレドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、イパンドロン酸、インカドロン酸、エチドロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、(16)に記載のCD56+T細胞増強剤。
(18)前記CD56+T細胞がCD56+γδ型T細胞である、(16)又は(17)に記載のCD56+T細胞増強剤。
(19)疾患抗原ペプチドをさらに含む、(15)〜(17)のいずれかに記載のCD56+T細胞増強剤。
(20)前記CD56+T細胞が疾患抗原特異的CD56+CD8+CTLである、(19)に記載のCD56+T細胞増強剤。
本発明の第1の実施形態は、CD56陽性T細胞(CD56+T細胞)増強方法である。
本明細書において「CD56+T細胞(の)増強」とは、CD56+T細胞を誘導し、増殖させ、かつ活性化することをいう。例えば、T細胞の細胞傷害機能が強化されること、すなわちCTLが増加すること、及び/又はT細胞表面の活性及び/又は増殖に関するレセプターの発現が増強されること等が含まれる。
「混合培養工程」とは、T細胞をCD56+DC及びサイトカインと混合培養する工程である。
1−1−1.T細胞とその調製
「T細胞」とは、骨髄中の造血幹細胞に由来し、原則として胸腺内で分化・成熟したリンパ球の1種をいう。細胞表面にαβ型レセプターを発現するαβT細胞とγδ型レセプターを発現するγδT細胞が知られるが、本明細書においてはいずれも包含する。また、ここでいうαβT細胞は、獲得型免疫応答の調整に関与するヘルパーT細胞とインターフェロンγ(INF-γ)産生作用と細胞傷害活性を示すNKT細胞のいずれも含む。さらに、γδT細胞は、細胞傷害活性を示すキラーT細胞を含む。本工程で使用するT細胞は、本実施形態のCD56+T細胞増強方法の反応細胞として供される。
本明細書において「CD56陽性樹状細胞(CD56+DC)」とは、細胞表面にCD56抗原を発現する樹状細胞である。
CD56+DCの調製は、まず、DCの前駆細胞を血液から取得することから始める。本発明において「血液」とは、DC及びDC前駆細胞を含む血液成分をいう。例えば、全血(末梢血を含む)、臍帯血、骨髄液やその成分の一部、例えば、単核球等が該当する。好ましくは単核球である。中でも末梢血から得られる末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cells:以下「PBMCs」とする)は、時期を選ばずに容易に採取できる上にドナーへの侵襲性が低いため特に好ましい。
次に、末梢全血からPBMCsを分離する。PBMCsの分離方法は、赤血球から有核細胞を分離するあらゆる方法を利用することができる。例えば、フィコール・ハイパック(Ficoll−Hypaque)やフィコール・コンレイ(Ficoll−Conray)を比重液とした密度勾配遠心法を用いて、末梢全血又は血漿分離後の血球成分から得る方法が挙げられる。これらの比重液は、市販の分離液等を利用すると便利である。例えば、Ficoll−Paque PLUS(Amersham社)やLYMPHOPREP(AXIS−SHIELD社)等が利用できる。PBMCsの分離方法については、キット添付のプロトコールに従えばよい。
続いて、回収したPBMCsから、DCの前駆細胞である単球のマーカーCD14を発現しているCD14+細胞(単球細胞)を分離する。分離方法は、CD14+細胞を分離可能な公知のあらゆる方法を利用することができる。例えば、抗CD14抗体標識されたマグネットビーズを用いたMagnetic Cell Sorting(以下、「MACS」と記す)を利用して単球を単離、回収する方法は、簡単でかつ単球細胞の回収率が高いため好ましい。MACSの詳細な方法については、Miltenyi Biotec, Auburn社の分離プロトコールを参照すればよい。他の方法として、回収したPBMCsを培養フラスコ等の培養容器に移し,34℃〜38℃、好ましくは37℃で、2%〜10%、好ましくは5%のCO2濃度条件下で1時間以上培養した後、容器壁面に付着した細胞をDC前駆細胞として用いる方法等を利用することもできる。
得られたDC前駆細胞(CD14+DC)をCD56+DC(CD14+CD56+DC)に誘導する。誘導方法は、前記誘導を達成できる方法であれば、特に限定はしない。例えば、Papewalis C et al., J. Immunology, 2008, 180:1462-1470に記載の方法を用いることができる。この方法では、DCをGM-CSF及びIFN-αと共に34℃〜38℃、好ましくは37℃で、2%〜10%、好ましくは5%のCO2濃度条件下で、RPMI-V培地、AIM-V培地等を用いて3〜7日間培養することで達成できる。また、培養液中に、必要に応じて、0.5〜20%のBSA、FBS、ヒト血清、ヒト血漿等を培地に添加することができる。誘導後のCD56+DCは、表面抗原に基づく抗体(抗CD56抗体)を用いたMACS等によって分離することによってその純度を高めることができる
本明細書において「サイトカイン」とは、細胞間の情報伝達を担う多種多様なタンパク質性のホルモンであって、免疫系においては、前述のようにT細胞やNK細胞等のリンパ球を増殖若しくは活性化させる作用を有する。例えば、インターロイキン(Interleukin)やINF、TNF、MCP等が挙げられる。本発明のCD56+T細胞増強方法に適当なサイトカインとしては、例えば、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21が挙げられる。これらの一以上のサイトカインであれば、いずれのサイトカインであってもよいが、特に好ましいサイトカインは、IL-2である。サイトカインは、各メーカー(例えば、Chiron、Smitomo等)から市販されているものを利用すればよい。細胞免疫療法に用いるのであれば、医療用グレードの抗体を使用することが好ましい。
本工程では、混合培養によりT細胞にCD56+DC及びサイトカインを接触させて、CD56+T細胞を増強することを特徴とする。
前記混合培養工程は、その工程内に選択ステップを含むことができる。
本明細書において「選択ステップ」とは、本発明のCD56+T細胞増強方法において、特定のCD56+T細胞を他のCD56+T細胞よりも強く増強させたい場合に、必要に応じて採用し得るステップである。例えば、疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL増強ステップ、又はCD56+γδT細胞増強ステップが挙げられる。
以下、それぞれのステップの構成について、具体的に説明をする。
「疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL増強ステップ」とは、本発明のCD56+T細胞増強方法において、疾患抗原特異的なCD56+CD8+CTLをより強く増強させるためのステップである。本ステップは、疾患抗原ペプチド感作手段、及び/又はビスホスホネート補助感作手段を含む。
「疾患抗原ペプチド感作手段」とは、前記混合培養工程に疾患抗原ペプチドを加えて、CD56+DCをその疾患抗原ペプチドで感作する手段である。疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL増強ステップにおいて本手段を行うことによって、疾患抗原特異的CD56+CD8+CTLを、選択的に増強することができる。
本発明において「ビスホスホネート補助感作手段」とは、CD56+DCをビスホスホネート誘導体又はその塩若しくはその水和物(以下、本明細書では「ビスホスホネート誘導体等」とする)で感作する手段である。本手段は、疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL増強ステップにおいて、前記疾患抗原ペプチド感作手段に加えて、必要に応じて追加される補助的手段である。したがって、本手段を選択した場合、CD56+DCは、ビスホスホネート誘導体等及び疾患抗原ペプチドで共感作されることとなる。本発明において、「共感作」とは、同時、連続的、又は断続的に2以上の物質で感作することをいう。本手段を行うことにより、疾患抗原ペプチド感作手段のみの場合よりも、さらに疾患抗原特異的CD56+CD8+CTLを増強することができる。
「CD56+γδT細胞増強ステップ」とは、本発明のCD56+T細胞増強方法において、CD56+γδT細胞をより強く増強させるためのステップである。本ステップは、ビスホスホネート感作手段を含む。本ステップでは、前記「疾患抗原ペプチド感作手段」に相当する、CD56+DCを疾患ペプチドで感作する手段を含まない点において、疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL増強ステップとは異なる。
「ビスホスホネート感作手段」とは、前記CD56+DCをビスホスホネート誘導体等で感作する手段である。基本的な操作手段は、前記「ビスホスホネート誘導体補助感作手段」と同じでよい。CD56+γδT細胞増強ステップにおいて、本手段を行うことによって、CD56+γδT細胞がより強く増強される。CD56+γδT細胞は、CD56−γδT細胞と比較して細胞傷害活性と相関するCD107a分子の発現が高く、腫瘍細胞株に対して高い傷害活性を有することが知られている(Alan A. et al., Clin Cancer Res, 2008, Vol. 14:4232-4240)。
本発明によれば、ドナー及びレシピエントに対する侵襲性が低く、かつ少量の血液中に含まれるT細胞から簡便かつ効率的にCD56+T細胞、特に疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL又はCD56+γδT細胞を増強することができる。具体例を挙げると、40mLの末梢血を採取して、本発明の方法を用いて14日間培養することによって約1×109個のCD56+γδT細胞を調製できる。ここで、健常な大人の血中T細胞数は、1500〜4500細胞/mLであり、γδT細胞は、そのうちの約5%、すなわち75〜225細胞/mLであることが知られている。つまり、γδT細胞は、健常人の全血液量(約5L)中にも3.75×105〜11.25×105細胞しか含まれていない。ところが、本発明の方法を用いることで、僅か40mLの末梢血から、健常人の全血液の約2600〜7800倍にも及ぶγδT細胞数が増強することができる。
本発明の第2の実施形態は、CD56+T細胞強化型血液製剤である。本発明のCD56+T細胞強化型血液製剤は、前記第1実施形態に記載のCD56+T細胞の増強方法によって増強されたCD56+T細胞を主成分として含むことを特徴とする。
本発明の第3の実施形態は、CD56+T細胞増強剤である。本発明のCD56+T細胞増強剤は、T細胞の培養液に添加して混合培養することによって、CD56+T細胞を増強することができる。
3−1−1.必須成分
本発明のCD56+T細胞増強剤は、CD56+DC及びサイトカインを必須の成分として含有する。CD56+T細胞増強剤に含まれるCD56+DCは、前記第1実施形態の「1−1−2.CD56+DCとその調製」の項に記載した方法で調製したものを利用できる。また、サイトカインは、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18又はIL-21のうちいずれか一以上が含まれていればよい。特に好ましいのは、IL-2である。
本明細書において、「選択成分」とは、本発明のCD56+T細胞増強剤に必要に応じて添加することのできる成分である。本発明のCD56+T細胞増強剤は、前記必須成分にさらなる選択成分を加えることで、疾患抗原特異的CD56+CD8+CTLやCD56+γδT細胞のような特定のCD56+T細胞をより効率的に増強することができる。選択成分としては、例えば、疾患抗原ペプチドビスホスホネート誘導体等が挙げられる。疾患抗原ペプチド及びビスホスホネート誘導体等については、いずれも前記第1実施形態で詳説していることから、ここではその説明を省略する。
(1)疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL増強剤
「CD56+CD8+CTL増強剤」とは、前記必須成分に加えて、疾患抗原特異的CD56+CD8+CTLを増強するための選択成分を含むCD56+T細胞増強剤である。疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL増強剤は、選択成分として疾患抗原ペプチドを含有する。ここで使用する疾患抗原ペプチドは、原則として標的とする疾患に特有の疾患抗原ペプチドである。例えば、標的とする疾患が、癌であり、かつその癌がメラノーマである場合、本発明の疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL増強剤に含まれる疾患抗原ペプチドは、メラノーマに対する抗原ペプチド、好ましくはメラノーマ特異的な抗原ペプチドとなる。例えば、表1に記載のCDC27、CDK4、CTAG1、CTAG2、gp100、MART-1、MUM-1、NAP1L1、NFE2L2等が挙げられる。なお、疾患抗原特異的CD56+CD8+CTL増強剤においては、包含するサイトカイン、好ましくはIL-2がT細胞の培養液に添加後に終濃度で1〜200U/mL、好ましくは10〜150U/mL、より好ましくは50〜100U/mLとなるように調整しておく。
「CD56+T細胞増強剤」とは、前記必須成分に加えて、CD56+γδT細胞を増強するための選択成分を含むCD56+T細胞増強剤である。CD56+γδT細胞増強剤は、選択成分としてビスホスホネート誘導体等を含有する。本発明のCD56+γδTで使用するビスホスホネート誘導体等は、前記第1実施形態の「ビスホスホネート誘導体補助感作手段」で詳説したことから、ここでの説明は省略する。なお、CD56+γδT細胞増強剤においては、包含するビスホスホネート誘導体等がT細胞の培養液に添加後に終濃度で0.001μM〜20μMであればよい。好ましくは5μM〜10μMとなるように調整しておく。
本発明のCD56+T細胞増強剤の剤形は特に問わない。適当なバッファに溶解した液体状態、粉末状態、粉末を適当な賦形剤等を添加し錠剤化したものとすることができる。また、必須成分又は選択成分を問わず、各成分が最終的にT細胞に作用できればよいことから、本発明のCD56+T細胞増強剤は、各成分が必ずしも統合されている必要はなく、個別に分離された状態であってもよい。それ故、成分ごとに剤形が異なっていてもよい。例えば、CD56+DCは培地に懸濁された状態であり、サイトカインは粉末状態でもよい。このように、成分が分離された状態の場合には、各成分を同時に又は別個にT細胞の培養液に添加することによって、CD56+T細胞を増強し得る。
本発明の第4の実施形態は、第2実施形態のCD56+T細胞強化型血液製剤を生体に投与する細胞免疫療法である。
本実施形態でいう「細胞免疫療法」とは、前記第2実施形態のCD56+T細胞強化型血液製剤を被検体に投与することで、被検体における血中の単位体積あたりのCD56+T細胞、すなわち免疫力を有するT細胞の絶対数を通常血液の平均値よりも増大させて、その被検体における、癌、ウイルス感染症、細菌感染症又は寄生虫感染症に対する細胞傷害活性を増強して、疾患の症状を軽減、改善、又は治療する方法である。特に、本実施形態の細胞免疫療法は、血液ドナーとレシピエントが同一である細胞免疫療法を前提としたものである事が好ましい。これは、拒絶反応の危険性がほとんどないからである。
本実施形態の細胞免疫療法におけるCD56+T細胞強化型血液製剤の投与方法について、細胞免疫療法を行う場合を例として以下で説明をする。当該投与方法は、実施形態1のCD56+T細胞強化型血液製剤を投与する点を除けば、従来の細胞免疫療法で知られる方法と基本的に同様である。したがって、投与方法に関しては公知の細胞免疫療法における投与方法に準じて行えばよい。例えば、前記第1実施形態に記載のCD56+T細胞増強方法によって患者から採取した血液から増強されたCD56+T細胞を主成分として含む第2実施形態のCD56+T細胞強化型血液製剤を、採取後約2週間後にその患者の体内に静脈注射又は点滴等を用いて投与する方法等が挙げられる。
本実施形態の細胞免疫療法によれば、従来の免疫療法、特に細胞免疫療法と比較して、癌等の疾患に対する治癒に高い有効性を有する。また、従来の細胞免疫療法と基本的な操作技術等は同様であることから、細胞免疫療法の技術を有する者であれば特段の技術習得をすることなく実施できる。
1.DCの調製
(方法)
(1)DCの分化誘導
健常ドナーから末梢血を50mL採血した。次に、血液分離比重液((Lymphoprep:AXIS-SHIELD、Norway)を用いて2400rpmで20分間遠心分離後、単核細胞成分分画を回収した。回収した分画をAIM-V medium(インビトロジェン)40mLに懸濁した後、50mLフラスコへ20mLずつ2分して、1〜2時間37℃でインキュベーションした。その後、それぞれにフラスコ内部を軽くピペッティングして非付着細胞成分を回収した。回収された非付着細胞成分は、主にT細胞集団であり、後述する「2.疾患抗原特異的CD56+CD8+CTLの調製(1)」、「3.疾患抗原特異的CD56+CD8+CTLの調製(2)」及び「4.CD56+γδT細胞の調製」における、反応細胞として使用した。
得られたDCの表面抗原の検出は、フローサイトメーター(Epics XL-MCL; Beckman Coulter )を用いて行った。まず、測定する細胞を1×103cells/μLとなるようにPBSに懸濁した溶液100μLに目的の抗体を添加し、遮光の状態で4℃、15分間染色した。抗体は、いずれも標識子で標識されたPC5-抗CD56抗体、PC7-抗CD14抗体、PE-抗HLA-ABC抗体、FITC-抗HLA-DR抗体、及びPE-抗CD86抗体を用いた(全てBeckman Coulter)。ネガテイブコントロールとして、それぞれの抗体と同一の標識子で標識されたIgG1抗体(Beckman)を用いた。細胞は、染色後、PBSで洗浄して測定した。
結果を図1に示す。サンプルAの細胞は、CD56陽性細胞率が0.5%であるのに対して、サンプルBの細胞は、85.8%であった。この結果から、サンプルAの細胞は、CD14−CD56−DC(以下、単に「CD56−DC」とする)、またサンプルBの細胞は、CD14+CD56+DC(以下、単に「CD56+DC」とする)であることが確認された。
(方法)
ドナーα及びβにおいて前記「1.DCの調製」で調製したサンプルA由来のCD56−DC又はサンプルB由来のCD56+DCのそれぞれ2×105個/mLを、同じく「1.DCの調整」で調製した反応細胞(主にT細胞からなる)2×106個(反応細胞:DC=10:1)と共に24ウェルプレート(SUMILON)に入れた。各ウェルの混合培養液中には、疾患抗原ペプチドとして2μg/mLのヒト主要組織適合抗原(HLA)A*0201拘束性のメラノーマ特異的抗原ペプチドMART-1改変型A27L (ELAGIGILTV:配列番号1)(SCURUM)をこの混合培養溶液中に最終濃度で50U/mLのIL-2(Chiron)を加え、37℃、5%CO2条件下で7日間培養した。培養を通して5〜10%のFBS又はAB血清を含むAIM-V培地を用いた。
A27L特異的CD8+CTLの割合を表2及び図2に、また、A27L特異的CD56+CD8+CTLの割合を図3に示す。図2は、表2で示すドナーαのサイトグラムである。
(方法)
基本操作は、前記「疾患抗原特異的CD56+CD8+CTLの調製(1)」と同じである。ただし、ここでは、CD56−DC又はCD56+DC、及び反応細胞とIL-2(Chiron)に加えて、アミノビスホスホネート剤であるゾメタ(商品名、Novartis)を、最終濃度が0.01μMとなるように添加した。
結果を表3及び図4に示す。
(方法)
前記「1.DCの調整」で調製したドナーα由来のサンプルA由来のCD56−DC又はサンプルB由来のCD56+DCのそれぞれ2×105個/mLを、同じく「1.DCの調整」で調製した反応細胞(主にT細胞からなる)2×106個(反応細胞:DC=10:1)と共に24ウェルプレート(SUMILON)に入れた。各ウェルの混合培養液中には、ゾメタ(Novartis)及びIL-2(Chiron)を、最終濃度がそれぞれ5μM及び1000U/mLとなるように加え、37℃、5%CO2条件下で14日間培養した。培養を通して5〜10%のFBS又はAB血清を含むAIM-V培地を用いた。
結果を表4及び図5に示す。
前記実施例1の「4.CD56+γδT細胞の調製」の結果から、健常ドナーの末梢血から調製したCD56+DCと反応細胞を培養すると、CD56−DCを用いたときよりも、より効率的にCD56+γδT細胞を増殖できることが確認された。そこで、癌患者由来の末梢血でも同様の効果が得られるかを検証した。
肺癌癌患者(ステージIV)由来の末梢血から、上記実施例1の「1.DCの調製」及び「4.CD56+γδT細胞の調製」に記載の方法と同様の方法でγδT細胞の調製を行った。培養によって増殖した全T細胞中のγδT細胞の割合、及びその増殖したγδT細胞において発現している表面抗原NKG2D、CD69、CD56及びCD16のそれぞれの発現を、培養時間を追って測定した。NKG2Dは、活性型のNKレセプターを示し、この抗原の発現が高いと細胞傷害活性が高くなる。CD69は、細胞が活性化に伴い発現する抗原で、IFN-aの産生と相関しており、CD69の発現の増加と共に抗腫瘍活性も高まる。またCD16は、Fcγレセプターを示し、この抗原の発現が高いと、抗体依存性細胞傷害活性が高まる。なお、培養前のPBMCs中のγδTの割合は8.0%であり、CD56+γδTの割合は4.1%であった。
結果を図6に示す。図6で示すように、全T細胞中のVγ9+細胞の割合は、培養7〜14日の期間で、いずれも90%以上高いの割合を示した。また、Vγ9+細胞中のCD16+細胞(CD16+Vγ9+細胞)の割合は、12日目で93.3%を示し、CD56+DCと反応細胞を混合培養することによって、癌患者由来の血液であってもNK様の細胞表面を有するVγ9細胞を増強できることが確認できた。
Claims (20)
- T細胞をCD56陽性樹状細胞及びサイトカインと混合培養する工程を含むCD56陽性T細胞の増強方法。
- 前記サイトカインがインターロイキン2である、請求項1に記載の増強方法。
- 疾患抗原ペプチドをさらに含む、請求項1又は2に記載の増強方法。
- 前記疾患が腫瘍又は感染症である、請求項3に記載の増殖方法。
- 前記混合培養時における培養液中のインターロイキン2の終濃度が1U/mL〜200U/mLである、請求項3又は4に記載の増強方法。
- ビスホスホネート誘導体又はその塩若しくはその水和物をさらに含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載の増強方法。
- 前記ビスホスホネート誘導体がゾレドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、イパンドロン酸、インカドロン酸、エチドロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の増強方法。
- 前記CD56陽性T細胞が疾患抗原特異的CD56陽性CD8陽性細胞傷害性T細胞である、請求3〜7のいずれか一項に記載の増強方法。
- ビスホスホネート誘導体又はその塩若しくはその水和物をさらに含む、請求項1に記載の増強方法。
- 前記ビスホスホネート誘導体がゾレドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、イパンドロン酸、インカドロン酸、エチドロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の増強方法。
- 前記混合培養時における培養液中のインターロイキン2の終濃度が300U/mL〜3000U/mLである、請求項9又は10に記載の増強方法。
- 前記CD56陽性T細胞がCD56陽性γδ型T細胞である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の増強方法。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の増強方法によって増強されたCD56陽性T細胞を含むCD56陽性T細胞強化型血液製剤。
- CD56陽性樹状細胞及びサイトカインを含むCD56陽性T細胞増強剤。
- 前記サイトカインがインターロイキン2である、請求項14に記載のCD56陽性T細胞増強剤。
- ビスホスホネート誘導体又はその塩若しくはその水和物をさらに含む、請求項15に記載のCD56陽性T細胞増強剤。
- 前記ビスホスホネート誘導体がゾレドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、イパンドロン酸、インカドロン酸、エチドロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のCD56陽性T細胞増強剤。
- 前記CD56陽性T細胞がCD56陽性γδ型T細胞である、請求項16又は17に記載のCD56陽性T細胞増強剤。
- 疾患抗原ペプチドをさらに含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載のCD56陽性T細胞増強剤。
- 前記CD56陽性T細胞が疾患抗原特異的CD56陽性CD8陽性CTL細胞である、請求19に記載のCD56陽性T細胞増強剤。
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