JP6426599B2 - 乳汁分泌の管理用のペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、乳腺泌乳の分野に関する。詳細には、本発明は、泌乳阻害の効率化および迅速化のため、および乳房炎を治療するための新規ペプチドを提供する。
搾乳を停止すると、乳腺分泌物が変化し、次いで活性乳腺の退縮プロセスが開始される。退縮プロセスは、組織および乳汁組成において広範囲にわたり、極めて規則正しい順序での変化を含み、泌乳状態と非泌乳状態との間の過渡期に生じる。乳腺退縮の初期は、アポトーシスを開始する局所刺激によって誘発されるが、搾乳を再開することによって退縮を逆転させることができる(CapucoおよびAkers,1999.J.Mammary Gland Biol. Neoplasia 4:137−144;Wildeら,1999.J.Mammary Gland Biol.Neoplasia 4:129−136)。片側の搾乳停止に続いて泌乳ヤギで(Quarrieら, 1994.Biochem.Soc.Trans.22:178S)、または乳頭シール貼付に続いて泌乳マウスで(Liら,1997.Proc.Natl. Acad.Sci U.S.A.94:3425−3430;Martiら, 1997.Eur.J.Cell.Biol 73:158−165)観察されたように、乳汁うっ滞が個々の乳腺で誘発される場合、この局所制御によって退縮を引き起こすことができる。
退縮のさらなる段階は持続し、および搾乳により乳汁分泌を回復させることはできない(CapucoおよびAkers,1999.前掲書;Wildeら,1999.前掲書)。退縮の持続状態の逆転は、出産後、それに続く泌乳期中だけに生じることができる。分娩後のこの段階は、細胞外基質および基底膜を分解させることによって、ならびに肺胞細胞の大量損失によって小葉−肺胞の腺構造を破壊するプロテアーゼの活性化によって特徴づけられる。
現代の酪農業において、群れを作る泌乳動物は、管理された搾乳および妊娠の周期下にあり、そのような管理体制は乳汁産生の著しい増加に寄与する。例えば、現在行われているウシやヤギの酪農群の管理では、泌乳と妊娠とはかなり重複しており、分娩の35日〜75日前に搾乳の停止による「乾乳期」を課している。この管理体制は、退縮を誘発する必要性、次の健全な泌乳期のための必要なプロセス、および一年中高い乳汁産生への要求などの間を譲歩するように設定されている。
授乳、すなわち授乳は、乳児に授乳して養育する理想的な方法として認定されており、乳児と幼児の最高の健康、成長および発達を達成する主要な要因と考えられている。疫学的研究は、人乳および乳児に授乳により、多くの急性および慢性疾患のリスクまたは重症度を著しく低下させることが示されている。また授乳期間中の母親にとっても健康効果の可能性を示すいくつかの研究がある。
これらの健康効果、ならびに社会的および経済的利点により、米国小児学会および世界保健機関(世界保健機関(2003)、Global strategy for infant and young child feeding. Geneva, Switzerland;世界保健機関およびUNICEF、ISBNO.9241562218)は、最初の6ヵ月間は母乳だけを与え、次いで次第に固形食を取り入れて、さらに少なくとも6ヵ月間、その後は、互いに所望する限り母乳を与え続けることを推奨する方針声明を公表している。通常の授乳習慣では、授乳から、固形食、調合乳または果汁などの別の食物源への離乳は、段階的なプロセスで行われる。乳児の食事に他の食物源を取り入れると、母親は授乳を続けるが、各授乳の時間量が減少するか、毎日の母乳を与える回数が減少するおよび/または母乳を与える間隔が次第に伸びる。これらの条件下では、乳児の要求が少なくなるにつれて、母乳はゆっくりとした速度で自然に減少する。
しかし、母親が授乳をできなくなるか、または授乳を突然中断せざるを得ない場合もある。一部の母親は、母乳を与えるよりも、ミルクで育てることを好む。乳児の死亡は、母親による授乳を突然停止する結果となる。授乳中の母親が妊娠した場合、特に、流産のリスクが高い場合、授乳を中止するように勧められることがある。ガラクトース血症の乳児、母親が違法薬物を使用している乳児(American Academy of Pediatrics,Committee on Drugs,1994)、母親が未治療の活動性結核症を有する乳児、および母親がヒト免疫不全ウイルスに感染している乳児(American Academy of Pediatrics, Committee on Pediatric Aids,1995)の場合、突然の離乳が勧告される。母親が全く母乳を与えないか、または授乳の中止を選択するかどうかにかかわらず、泌乳が当分の間続くことになる。母乳を産生するが授乳しない女性の場合、乳汁うっ滞は、物理的および心理的の両面で著しい苦痛を引き起こし得る程度まで乳房が膨張することを伴う。
搾乳または授乳の停止は、乳房炎、すなわち主に細菌であるが、酵母、真菌または藻類のこともある病原体による乳腺内感染症(IMI)に起因する疾患の発症リスクの増加も伴う。乳房炎は、局所(および場合によっては全身)の臨床徴候および乳汁異常を伴う臨床乳房炎、または乳汁産生の消失および乳汁質の低下を伴う無症状乳房炎であることもある。
ヤギまたはウシの乳房にプロテオースペプトン(PP、カゼインホスホペプチド、CPPとしても知られている)を含むカゼイン加水分解物(CNH)の粗調製物を注入すると、退縮の自然現象を模倣して、局所炎症反応およびタイトジャンクション(TJ)の完全性の損失を誘発し、その後乳腺分泌物の急速な乾乳が生じることが示された(米国特許第6,391,849号;Shamayら,2002 Life Sci.70:2707−2719;Shamayら 2003.J.Dairy Sci.86:1250−1258)。CNHにより誘発されるプロセスは、自然の乾乳で誘発されるプロセスよりも急速であった。純粋なβ−カゼイン(β−CN)分画1〜28は、ウシおよびヤキにおいて乳汁分泌を減少させることがさらに示された。このペプチドの活性は、乳腺上皮細胞の頂端膜中のカリウムチャネルをブロックするその能力と相関していた(Silanikoveら,2000.Life Sci.67:2201−2212)。
欧州特許出願公開第1375513号は、カゼイン由来のペプチドの中で複数のホスホセリン残基を含むアミノ酸配列を有するペプチドが強力な免疫増強活性を示すことを開示している。具体的には、本発明は、アミノ酸配列Q1−SerP−X−SerP−Q2(式中、Serpはホスホセリン残基を表し、Xは1〜3個の任意のアミノ酸残基を表し、Q1およびQ2は互いに独立して非存在であるかまたは任意のアミノ酸残基の少なくとも1つを表す)からなるペプチドを含む免疫増強剤に関する。
本発明の発明者らおよび同僚らは、以前、すぐに使用でき、無菌の透明溶液で実質的にミセルがなく、pHが約6.0の形態でのカゼイン由来ペプチドを含む医薬組成物を開示した(国際公開第2006/117784号)。最小活性ペプチドは配列Ser(p)−Ser(p)−Ser(p)−Glu−Gluを含むことが示唆された。しかし、これらの医薬組成物は、カゼインの加水分解によって生じる複数のペプチドを含む。
このように、そのアミノ酸配列および濃度によって確定されたペプチドを含む医薬組成物を有する必要性が認識されており、この医薬組成物を有することは極めて有利である。そのような組成物は再現可能な方法で、商業規模で生産されることができる。
本発明は、泌乳動物の乳腺において乳汁産生の停止と減衰および退縮を誘発する組成物および方法に関する。特に、本発明は、退縮を誘発して乳房炎を治療するのに有効な、詳細に明らかにされたペプチド、同ペプチドを含む医薬組成物、およびその使用を提供する。
本発明は、正に荷電した少なくとも1つのアミノ酸残基に結合したモチーフSer(P)−Ser(P)−Ser(P)を含むペプチドが泌乳動物の乳腺において乳汁産生の停止および退縮を誘発するのに十分であるという意外な発見に一部基づいている。従来の技術を超える本発明の寄与は、新規合成または組換え短鎖ペプチドを提供することにあり、この短鎖ペプチドは、退縮を誘発するための従来の既知のカゼイン加水分解物を含む組成物と比較して、退縮を誘発するのに少なくとも有効である。これらのペプチドは、残渣を基本的に含まず、高無菌性で容易かつ高い再現性で生成でき、必要に応じて配合可能である。
このように、一態様によれば、本発明は、式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)(式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2である)の4〜7のアミノ酸からなる配列を含む合成または組換えペプチドを提供する。
特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択される。現時点で典型的な特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジンである。
特定の典型的な実施形態によれば、配列番号1の式は、C末端に保護基をさらに含む。特定の実施形態によれば、保護基はアミドおよびエステルからなる群から選択される。可能な形態のそれぞれは、本発明の個々の実施形態を表す。
特定の実施形態によれば、ペプチドは、
Lys−Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)(配列番号2);Lys−Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys(配列番号3);Lys−Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys−Lys(配列番号4);Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys−Lys(配列番号5);Lys− Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys(配列番号6);Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)(配列番号7);Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys−Lys(配列番号8);およびSer(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys(配列番号9)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。可能な形態のそれぞれは、本発明の個々の実施形態を表す。
特定の典型的な実施形態によれば、ペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。他の典型的な実施形態によれば、ペプチドは、C末端にアミド基を有する配列番号2に記載の配列を含み、前記配列は配列番号12に記載される。
特定の実施形態によれば、ペプチドは、4〜40のアミノ酸長、典型的には4〜30、より典型的には4〜15または4〜10のアミノ酸長である。特定の典型的な実施形態によれば、ペプチドは配列番号2からなる。特定の別の典型的な実施形態によれば、ペプチドは配列番号12からなる。
別の態様によれば、本発明は、式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)(式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2であり、薬学的に許容される希釈剤または担体である)の4〜7のアミノ酸の配列を含む、治療合成または組換えペプチドを有効量含む医薬組成物を提供する。
特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択される。現時点で典型的な特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジンである。
特定の典型的な実施形態によれば、ペプチドはC末端に保護基をさらに含む。特定の実施形態によれば、保護基は、アミドおよびエステルからなる群から選択される。可能な形態のそれぞれは、本発明の個々の実施形態を表す。
特定の実施形態によれば、医薬組成物は、配列番号2〜9のいずれか1つまたはその組み合わせに記載のアミノ酸配列を有するペプチドを含む。特定の典型的な実施形態によれば、医薬組成物は、配列番号2、配列番号12またはその組み合わせのアミノ酸配列を有する合成または組換えペプチドを含む。別の実施形態によれば、医薬組成物は、配列番号2、配列番号12またはその組み合わせからなるペプチドを含む。
本発明の医薬組成物は、特定の必要性に応じて、特に治療対象の母集団のタイプに応じて配合されてもよい。特定の実施形態によれば、医薬組成物は、ゲル剤、軟膏、クリーム剤、乳剤、または経皮パッチ剤を含む除法性製剤として胸部または乳房への局所塗布用に配合される。
別の実施形態によれば、医薬組成物は非経口投与用に配合される。特定の実施形態によれば、医薬組成物は、例えば注入による、または注射による管腔内投与用に配合される。処置される母集団が家畜動物である場合、医薬組成物は、泌乳動物の乳腺の乳頭管を通して乳腺槽への注射用に配合される。あるいは、本発明の医薬組成物は、全身性経口投与用に配合される。
さらなる態様によれば、本発明は、泌乳動物の乳腺において乳汁産生の一時的停止、乳汁産生の持続的停止または退縮を誘発するための方法を提供し、該方法はそれを必要とする泌乳哺乳動物に、式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)(式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2である)の4〜7アミノ酸の配列を有する合成または組換えペプチドを有効量含む医薬組成物を投与することを含む。
特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択される。現時点で典型的な特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジンである。
特定の典型的な実施形態によれば、ペプチドはC末端に保護基をさらに含む。特定の実施形態によれば、保護基はアミドおよびエステルからなる群から選択される。可能な形態のそれぞれは、本発明の個々の実施形態を表す。
特定の実施形態によれば、医薬組成物は、配列番号2〜9のいずれか1つまたはその組み合わせに記載されるアミノ酸配列を有するペプチドを有効量含む。特定の典型的な実施形態によれば、ペプチドは配列番号2を含む。別の実施形態によれば、前記ペプチドは、配列番号2からなる。
特定の実施形態によれば、泌乳哺乳動物は、家畜動物である。別の実施形態によれば、泌乳哺乳動物は、ヒトである。
特定の実施形態によれば、医薬組成物は、乳腺が乳汁を分泌中に投与される。別の実施形態によれば、医薬組成物は、搾乳または授乳が終わると同時に投与される。泌乳哺乳動物が家畜動物である実施形態において、搾乳の停止時としては、乾乳期が出産より前に導入される時期が挙げられるが、これに限定されない。単回投与ならびに複数回投与が検討される。
典型的に、医薬組成物は、約2時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約20時間、約24時間、約48時間または約72時間からなる群から選択される間隔で、一回または数回、典型的には1〜6回、より典型的には1〜3回投与される。現在典型的な一実施形態によれば、医薬組成物は一回だけ投与される。
さらなる実施形態によれば、泌乳哺乳動物が家畜動物の場合、搾乳の停止は、分娩予定の約60〜70日前、典型的には約40〜60日前、または分娩予定の約20〜約40日前に生じる。したがって、医薬組成物は、分娩予定の約60〜90日前、典型的には約40〜60日前、または分娩予定前の約20〜約40日前に投与される。
特定の実施形態によれば、乳汁産生の停止は、ペプチド投与後約2〜3日内に観察され、次の泌乳期に向かう乳腺組織の再構成に悪影響を与えることはない。本発明のペプチドは、乳泌のピーク時を含み泌乳周期のいずれの段階で投与されることができる。
上記のように、搾乳の突然の停止および退縮の導入は、乳腺内感染症および乳房炎の高いリスクおよび高い発生率を生じさせる。本発明のペプチドおよび組成物によって退縮を急速に導入することにより、搾乳の停止に起因する乳房炎の発生率が著しく低下する。さらに、本発明のペプチドは、乳房炎を治療および軽減する効率が高い。このように、特定の態様によれば、本発明は、泌乳動物に本発明の医薬組成物を投与することを含む、細菌感染症を予防する、治療する、および逆行させるための方法を提供する。
特定の実施形態によれば、この方法は、医薬組成物の局所投与または非経口投与を含む。一部の実施形態によれば、この方法は、ペプチドを含む医薬組成物の管腔内投与を含む。特定の典型的な実施形態によれば、医薬組成物は泌乳哺乳動物の乳腺の乳頭管に投与される。乳頭管への投与は、注射または注入によって行うことができる。別の典型的な実施形態によれば、医薬組成物は乳腺に局所的に投与される。医薬組成物は、泌乳動物のすべての乳腺への同時投与を含み、1以上の乳腺へ投与されることができる。医薬組成物は、泌乳の任意の段階で投与されてもよい。
さらなる実施形態によれば、この方法は、抗生物質および殺菌剤、免疫調節薬、抗炎症療法またはその組み合わせからなる群から選択される抗菌薬療法の同時投与をさらに含む。一実施形態において、この方法は、非抗生物質の乳頭シールまたは抗生物質、殺菌剤または免疫調節薬との組み合わせでの乳頭シールの投与をさらに含む。特定の実施形態によれば、療法は、抗生物質療法、殺菌剤療法、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症治療、免疫調節薬およびワクチン接種による治療からなる群から選択される。特定の実施形態において、特に群れの場所で投与を行う場合、医薬組成物を乳腺の乳頭管に投与するプロセスから生じる潜在的感染症を予防するために、抗菌剤治療を投与することは有用である。
本発明の範囲は、これらの変異体および修飾体が本発明と関連して本来の分子の乳腺において退縮を誘発する能力を維持していなければならないという条件で、1以上のアミノ酸置換のほか、アミノ酸誘導体、非天然アミノ酸および当技術分野で知られている合成アミノ酸を包含することを明確に理解すべきである。
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の説明および図面から明確になろう。
本発明は、泌乳家畜動物および泌乳ヒトを含む泌乳哺乳動物の乳腺において退縮プロセスおよび乳汁産生の停止を誘導するのに効率が高い新規の合成または組換えペプチドを提供する。
本発明の少なくとも一実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその用途が以下の説明に記載される、または実施例によって例示される詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態の能力があり、または種々の方法で実行されるもしくは遂行されることができる。また、本明細書に使用される語法および用語は説明を目的とし、限定するとみなされてはならないことを理解すべきである。
定義
「ペプチド」という用語は、本明細書全般にわたり使用され、ペプチド結合によってアミノ酸同士を結合した直鎖状のアミノ酸残基を示す。本発明の原則によるペプチドは、合成または組換え型であり、いずれの既知の未変化タンパク質以外のものである。
本明細書で用いる場合、「ホスホペプチド」という用語は、非ペプチド部分がリン酸の残基である共役ペプチドの形でリン酸化されたペプチドを示す。特に、「ホスホペプチド」または「ホスホセリン」という表現は、非ペプチド部分がリン酸の残基である共役セリンを示す。
本明細書で用いる場合、「乳汁産生の停止」という用語は、乳汁産生の一時的停止ならびに持続的停止を示す。乳汁産生の一時的停止とは、可逆的停止をいう。持続的停止とは、妊娠後の分娩および/または性ホルモン処置によってのみ可逆的である泌乳の中断をいう。本発明の教示によれば、機械的刺激(すなわち、搾乳または授乳)は、本発明の組成物および方法によって誘発された乳汁産生の一時的停止を戻すことができる。
本明細書で用いる場合、「退縮」という用語は、乳腺内の制御されたアポトーシスおよび組織再構築の複雑なプロセスをいい、このプロセスで乳腺による乳汁産生の停止を引き起こす。退縮の初期段階では、内皮細胞のアポトーシス死は、典型的に残存乳汁分泌物中の体細胞数を増加させる。
本明細書で用いる場合、「乳房炎」という用語は、物理的損傷、化学物質の導入、ウイルス、真菌、寄生虫、または最も一般的には細菌浸潤およびその毒素に起因する胸部または乳房の炎症をいう。「乳房炎」は、無症状乳房炎と臨床乳房炎を含む炎症(臨床乳房炎には軽度、重度の乳房炎および慢性乳房炎が含まれる)などのすべての形態を説明するために使用される。
無症状乳房炎において、胸部または乳房の膨張は検出されず、乳汁では異常が観察されない。このタイプの乳房炎は、一般に「無症状」と呼ばれる。家畜動物、特に乳牛において、体細胞数の推定に基づくカリフォルニア乳房炎試験(CMT)、ウイスコンシン乳房炎試験(WMT)を含む特別なスクリーニング試験およびカタラーゼ試験は、無症状乳房炎の場合、乳汁組成の変化を示す。臨床乳房炎は軽度または急性なこともあり、乳汁中の白血球の存在によって特徴づけられる。軽度の臨床乳房炎には、薄片もしくはかたまりの存在、水っぽい乳汁または乳汁の他の異常形態を含む乳汁の外観の変化が伴う。軽度の臨床乳房炎は、熱くかつ過敏なもしくは膨張した胸部または乳房を含む他の症状を伴うことがある。
重度の臨床乳房炎は、授乳中の患者にとってかなりの痛みを伴う熱く、過敏でかつ硬い胸部または乳房の症状が挙げられる。重度の臨床乳房炎の発症は突然であり、授乳中の患者は体調が悪くなることもあり、熱、速脈、うつ状態、脱力感および食欲不振の兆候を示す。患者の泌乳系全体が影響を受けた場合、このような状態は急性全身性乳房炎と呼ばれる。重度の症状は、乳汁産生の停止を伴うこともある。
慢性乳房炎は、乳房または胸部の持続的な感染症であり、典型的には無症状乳房炎の様態であり、時として臨床型に進行して、無症状型に戻ることがある。慢性乳房炎は、細菌の定着および結合組織の過剰形成による乳腺内の硬いしこりによって特徴づけられる。
本発明を実施する好ましい態様
一態様によれば、本発明は、式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)(式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2である)の4〜7のアミノ酸の配列を有する合成または組換えペプチドを提供する。
特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択される。現時点で典型的な特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジンである。
本発明のペプチドは、化学合成および組換えDNA技術を含む当技術分野で周知の方法を用いて合成することができる。合成は、Merrifield(J.Am.Chem.Soc.,85:2149,1964を参照されたい)によって記載されているように溶解して、またはペプチド固相合成法によって実施されることができる。典型的には、ペプチドは標準固相法を用いて合成される。これらの方法としては、排他的固相合成法、部分的固相合成方法、フラグメント縮合法および古典的液相合成法が挙げられる。ペプチド固相合成法は周知の技術であり、例えばJohn Morrow StewartおよびJanis Dillaha Young(Solid Phase Peptide Syntheses,第2版,Pierce Chemical Company,1984)によってさらに記載されている。
セリン残基のリン酸化は、当分野で周知の任意の方法、例えば特に、Meggioら、(1991,FEBS Lett.283(2):303−306)およびPerich JW(1997、Method Enzymol.289:245−246)に記載されるように行われることができる。
一般に、ペプチド合成方法は、1以上のアミノ酸もしくは好適な保護化アミノ酸もしくは誘導体化アミノ酸を成長するペプチド鎖に逐次的に付加することを含む。通常、第1のアミノ酸のアミノ基またはカルボキシル基のいずれかが、好適な保護基によって保護される。次いで、保護化アミノ酸もしくは誘導体化アミノ酸が、アミド結合を形成するのに好適な条件下で、好適に保護された相補的な基(アミノ基もしくはカルボキシル基)を有する配列中の次のアミノ酸を付加することによって、不活性固体支持体に付着させるか、または溶解して利用することができる。次いで、保護基はこの新しく付加されたアミノ酸残基から取り除かれ、その後次のアミノ酸(好適に保護された)が付加され、以下同様に行われる。従来、このプロセスには、さらに洗浄ステップが伴う。所望のアミノ酸のすべてが正しい順序で結合されると、残存する保護基(および存存する固体支持体も)を順次または同時に取り除いて、最終ペプチドを得ることができる。この基本手順の簡単な修正によって、例えば、(キラル中心をラセミ化しない条件下で)保護化トリペプチドを適切な保護化ジペプチドと結合させ、脱保護の後にペンタペプチドを形成し、以下同様に行うことによって、一度に複数のアミノ酸を成長鎖に加えることが可能である。
合成ペプチドは、分取高速液体クロマトグラフィ(Creighton T. 1983.Proteins,structures and molecular principles.WH Freeman and Co.N.Y.)によって精製することができ、およびその組成物をアミノ酸配列決定によって確認することができる。
本発明のペプチドは、例えば、Bitterら、(1987,Methods in Enzymol.153:516−544)およびStudierら、(1990,Methods in Enzymol.185:60−89)によって記載されているように、当技術分野で周知の組換え技術を用いて生成することもできる。
特定の典型的な実施形態によれば、ペプチドのC末端のカルボキシル基は保護されている。保護基は、アミド(すなわち、C末端でヒドロキシル基がNH、NHRおよびNRと置換されている)またはエステル(すなわち、C末端でヒドロキシル基がORと置換されている)から選択されるが、これに限定されない。RおよびRは、任意選択で互いに独立して脂肪族基、置換脂肪族基、ベンジル基、置換ベンジル基、アリール基または置換アリール基である。さらに、窒素原子と共に、RおよびRは、任意選択で、窒素、酸素または硫黄などの約0〜2のさらなるヘテロ原子からC−C複素環を形成することができる。好適な複素環の好適な例としては、限定するものではないが、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリノ、チオモルホリノまたはピペラジニルが挙げられる。C末端保護基の例としては、−NH、−NHCH、−N(CH、−NH(エチル)、−N(エチル)、−N(メチル)(エチル)、−NH(ベンジル)、−N(C−Cアルキル)(ベンジル)、−NH(フェニル)、−N(C−Cアルキル)(フェニル)、−OCH、−O−(エチル)、−O−(nプロピル)、−O−(nブチル)、−O−(イソプロピル)、−O−(secブチル)、−O−(tブチル)、−O−ベンジルおよび−O−フェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
現時点で典型的な特定の実施形態によれば、ペプチドのC末端はアミドによって保護される。
特定の実施形態によれば、ペプチドは、Lys−Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)(配列番号:2)、−Lys−Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys(配列番号3);Lys−Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys−Lys(配列番号4);Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys−Lys(配列番号5);Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys(配列番号6);Lys−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)(配列番号7);Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys−Lys(配列番号8);およびSer(P)−Ser(P)−Ser(P)−Lys(配列番号9)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。可能な形態のそれぞれは、本発明の個々の実施形態を表す。
特定の典型的な実施形態によれば、ペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態によれば、ペプチドは4〜40のアミノ酸長、典型的には4〜30、より典型的には4〜15または4〜10のアミノ酸長である。特定の典型的な実施形態によれば、ペプチドは配列番号2からなる。
別の態様によれば、本発明は、治療有効量の本発明のペプチドを含む医薬組成物を提供する。
泌乳哺乳動物において退縮および搾乳の停止を誘発するための従来の既知の化合物および組成物は、典型的に、カゼイン加水分解および/またはカゼイン加水分解物からの関連ペプチドの精製によって得られた。乳汁産生の停止および退縮を誘発するのに有効な短鎖で確定されたペプチドを有することにより、ペプチドが堅実に合成できることになり、極めて望ましい。さらに、ペプチド合成のプロセスは、天然原料物質からのペプチド精製を含むプロセスと比較して、混入を起こしにくい。本発明のペプチドは、既知のカゼイン由来ペプチドと比較して、少なくとも同様に効率が高く、典型的にはより効率が高い。
「医薬組成物」という用語は、その広義で意図され、薬学的に好適な希釈剤および担体などの他の化学成分を含む本発明の1以上のペプチドの調製物をいう。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることである。本発明の医薬組成物は、本発明の治療量のペプチド、すなわち、乳汁産生の停止および退縮を誘発するのに必要なペプチド量を含まなければならない。
特定の実施形態によれば、医薬組成物中のペプチド濃度は、約1μg/mLから約5000μg/mL、典型的には40μg/mLと約800μg/mLとの間である。
本明細書で用いる場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、生物に著しい刺激作用を引き起こすことなく、かつ生物活性および投与される化合物の特性を抑制しない担体または希釈剤をいう。担体の非限定例は、水、プロピレングリコール、食塩水、乳剤および有機溶媒と水の混合物である。薬物の配合および投与の技術は、「“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,PA,最新版」に見出すことができ、その内容は参照により本明細書に援用される。特定の実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、非経口投与用、例えば管腔内投与用に、特に乳腺の乳頭管への注射または注入用に配合される。注射の場合、本発明のペプチドは、水溶液で、好ましくはハンクス液、リンゲル液などの生理的適合緩衝液で、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの有機溶媒を含むまたは含まない生理食塩緩衝液で配合されてもよい。乳腺の乳頭管への管腔内投与は、局所投与または全身投与に関して定義されない。本明細書に開示するように、本発明の医薬組成物の管腔内投与は、例えば、治療される乳腺だけに退縮を誘発することによる局所効果を有することができ、したがって局所投与と呼ぶことができる。医薬組成物は、ゲル剤、軟膏、クリーム剤、乳剤、または経皮パッチ剤を含む徐放性製剤として局所に投与することもできる。本発明は、非経口的または経口的のいずれかの全身投与をさらに包含する。
さらなる態様によれば、本発明は、泌乳動物の乳腺において乳汁産生の一時的停止、乳汁産生の持続的停止または退縮を誘発するための方法を提供し、該方法はそれを必要とする泌乳哺乳動物に、式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)(式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2である)の4〜7アミノ酸の配列を有する合成または組換えペプチドを有効量含む医薬組成物を投与することを含む。
さらなる態様によれば、本発明は、泌乳動物の乳腺において乳汁産生の一時的停止、乳汁産生の持続的停止または退縮を誘発するための、式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)(式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2である)の4〜7アミノ酸の配列を有する合成または組換えペプチドを有効量含む医薬組成物を提供する。
特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択される。現時点で典型的な特定の実施形態によれば、正に荷電したアミノ酸は、リジンである。
特定の典型的な実施形態によれば、ペプチドはC末端に保護基をさらに含む。特定の実施形態によれば、保護基は、アミドおよびエステルからなる群から選択される。可能な形態のそれぞれは、本発明の個々の実施形態を表す。
特定の実施形態によれば、泌乳哺乳動物は、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、バッファロー、ラクダ、ロバ、ラマ、ウマ、ブタ、ネコおよびイヌからなる群から選択される。
現時点で典型的な特定の実施形態によれば、泌乳動物はヒトである。ヒトにおいて、授乳することのない乳汁の産生は、母乳を与えないという女性自身の決定の結果または上述のように、授乳を阻止する状態の結果であり得る。そのような乳汁うっ滞は、痛みを引き起こす程度まで胸部が膨張することを伴い、それに続いて乳腺内感染症を発症するリスクを増加させる乳腺分泌物の漏出を伴うことが多い。このように、本発明の医薬組成物および方法は、上述の望ましくない状態を阻止するために、退縮および乳汁産生の停止を迅速かつ効率よく誘発する必要性に答える。
さらなる現在典型的な実施形態によれば、動物は、ウシ、バッファロー、ヤギ、ヒツジおよびブタからなる群から選択される家畜動物である。現時点で典型的な特定の実施形態によれば、家畜動物は乳牛である。
現代の酪農業において、授乳動物が妊娠している間、搾乳が続くように泌乳動物は年に1回出産する。分娩前の泌乳動物に乾乳期を課すことは、次の泌乳期に向けて乳房組織の回復を可能にするため、乳腺中で退縮プロセスを誘発するために行われる慣行である。乾乳期を誘発することは、とりわけ、分娩の前後に同程度の泌乳量を維持するために必要である。ウシにおいて、退縮の自然なプロセスは、搾乳の停止によるその誘発から約21〜30日後に完了する。本発明の合成または組換えペプチドが乳汁産生の停止および退縮のプロセスを誘導することをここで本発明は開示するのは驚くべきことである。
乳汁産生への一時的または持続的な効果は、典型的に、乳頭管を通して乳腺槽への直接注射または注入による本発明の医薬組成物の適用に応答して、泌乳動物の乳腺で得ることができる。乳汁産生の停止は、処置された乳腺だけに、または処置されたすべての乳腺で生じることができる。投与は、泌乳期の任意の段階で実施することができる。泌乳哺乳動物が家畜動物である実施形態において、投与はいわゆる乾乳期中に実施することもできる。
本発明の合成ペプチドまたは組換えペプチドおよび医薬組成物によって誘発される退縮プロセスは、泌乳の停止によって誘発される退縮と比べて、より急速かつ同期させて発生させることができ、乳汁産生は搾乳のような機械的刺激によって再開させることができる。退縮の自然のプロセスで生じるように、その後の妊娠および分娩の後、乳汁産生が再開されることもある。本発明の組成物によって誘発される退縮は、分娩に向けての乳腺組織の再建および乳汁分泌能力の回復を妨げることはない。
本発明のペプチドおよび組成物によって誘発される退縮は、典型的に、搾乳の突然の停止と関連する乳腺内感染症および乳房炎を防止する。このように、本発明の組成物は、乳腺の感染症を防止することに有用である。さらに、本発明のペプチドおよび組成物は、搾乳の永続的停止または一時的停止に関連する感染症を含む乳腺内感染症の処置または治療において有用である。
さらなる実施形態によれば、本発明のペプチドおよび組成物を用いて、哺乳動物の乳首周辺の皮膚の再生能力を促進することができる。
本発明の一部の実施形態をさらに十分に例示するために、以下の実施例を示す。しかし、これらの実施例は、本発明の広範にわたる範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書に開示されている原則の多くの変更および修正を容易に想到することができる。
すべての実験は、イスラエル国における動物実験規則のためのガイドラインに従って、かつ倫理審査委員会に従って実施されている。
実施例1:ペプチド合成
Ser(P)モチーフを含む短鎖ペプチドの退縮に対する活性を評価するために、本発明の合成ペプチドを設計した。同じ配列を有するが、非リン酸化セリン残基を含むペプチドも合成して、ペプチド活性についてリン酸化の機能を試験した。カゼイン由来ペプチドならびにカゼイン加水分解物を陽性対照として用いた。
フルオレニルメチルオキシカルボニルの固相を用いて、10種のペプチドを化学的に合成した(Fields G.B.&Nobel R.1990. Int.J.Peptide Protein Res.35:161−214)。各ペプチドのC末端α−カルボキシル基をアミド基に変換した。ホスホセリンのモチーフを含む各ペプチドの場合、同じ配列を有するが、非リン酸化セリンを含む対照ペプチドを合成した。下記の表1にすべての合成ペプチドの配列を示す。
Figure 0006426599
すべてのペプチドは、飛行時間型質量分析によって確認した。逆相高速液体クロマトグラフィ法で純度を測定したところ、少なくとも98%であることが判明した。すべての乾燥した化学合成フラグメントを−20℃で貯蔵する。
実施例2:カゼイン加水分解物の調製
カゼイン加水分解物は、乳腺において退縮を誘発するのに有効であることが知られている(例えば、米国特許第6,391,849号、Shamayら, 2002前掲書;Shamayら,2003前掲書)。したがって、退縮を誘発するペプチド活性を評価する際の陽性対照としてカゼイン加水分解物を調製した。
総重量4000gのカゼインナトリウム(DMV Int.,NL)を25mMのTris HCl溶液、pH=8.0に加えて、20w/v%溶液を生成した。カゼインナトリウムを加えてから、pHを8.0に、温度を45℃で保持しながら、溶液を平衡状態まで穏やかに撹拌した。最終20w/v%溶液を生成するには、カゼインナトリウムを通常は約15〜60分で溶解する。
次いで、ブタトリプシン粉末4gをトリプシン対カゼインナトリウム1:1000の比でカゼインナトリウムに加え、この溶液を穏やかな撹拌下で、マグネチックスターラーまたはデフロキュレートスターラー上で穏やかに45℃で撹拌した。合計1時間、加水分解させた。
加水分解の設定時間が終了すると、温度を90〜95℃まで上げ、この温度範囲で溶液を1時間保持することによってトリプシンを粗製加水分解物中で不活性化させた。1時間後に、外部槽中で氷を用いて溶液を室温まで冷却し、10N HClを用いてpHを4.7に調節した。このpHで溶液を15〜30分間保持した。
IEC遠心分離機(モデルDPR6000、Damon/IEC部門)を使用して、2〜8℃で、4500rpm(約4400g)で20分間の遠心分離により不溶性物質を溶液から除去した。得られた上清を新しい無菌のガラス瓶に移して、10N NaOHを用いてpHを7.0に調節した。次いで、25mM Tris HCl溶液、pH7.0で溶液量を20リットルに調節した。
得られた最終上清を3.0μm/1.2μm/0.65μmプレフィルタに通し、次いで2つの0.45/0.22μm無菌CA膜フィルタカプセル[Sartopure PP2 3.0μmフィルタカプセル(Sartorius、Cat番号5592502P1)、Sartoclean DGF 1.2μmフィルタカプセル(Sartorius、Cat番号5642803A1)、Sartoclean GF 0.8/0.65μmフィルタカプセル(Sartorius、Cat番号5602805G1)]に通して濾過した。
クリーンルームクラス1000(ISO6)内に設置した無菌実験台(クラス100、ISO5)で、ガラス血清瓶(20mL、50mL、100mLおよび200mL)に、濾過した溶液をそれぞれ、20mL、40mL、90mLまたは170mL、無菌充填により充填した。各瓶は、クリンパーを用いてアルミニウムシールで密封した。得られたカゼイン加水分解物は、使用するまで20℃で凍結貯蔵した。
実施例3:合成ペプチドの配合
化学合成ペプチドの各々を投与の最高7日前までに、生理食塩水に溶解した。最高7日間の安定度試験は、これらの生成物の場合98%を超える安定性を示した。ペプチド濃度は、0.4mg/mL生理食塩水であった。使用するまでサンプル10mLをバイアルに4℃〜8℃で保持した。投与量は、4mg(10mL溶液)であった。
実施例4:単離したペプチドによる退縮誘発を調査するフィールド試験
初期の退縮期での乳腺分泌物の組成の変化は、血液由来因子の移動の増加および乳状液の合成と分泌の減少を反映する。例えば、ラクトースの濃度は、退縮期中は著しく減少するが、ラスミン−プラスミノーゲン活性化因子の濃度および乳腺分泌物のpHは、初期の非泌乳期中は増加する(OliverおよびSordillo 1989.J Dairy Sci.1989;72:1647−1664)。
急速な退縮を誘発するための、乾乳日(すなわち、搾乳が中止される日)に投与される本発明の合成ペプチドの乳腺内単回投与量の可能性を評価するためのフィールド試験を実施した。
試験デザイン
合計107頭の乳牛を試験に登録し、そのうち45頭に処置を投与し、62頭を対照として用いた。すべてのウシは、最初の泌乳またはさらなる泌乳での乳牛であり、組み入れ/除外基準に耐える乳牛であった。本試験は、管理下盲検症例対照試験であった。
症例被験者に、特定のペプチドの乳腺内注入によって、単回投与量を投与した。対照は、泌乳ウシであり、乳腺内投与によって以下の生成物を投与された。
i)脱リン酸化ペプチド
ii)カゼイン加水分解物
処置群
症例群
9頭のウシからなる5つの群(1群当たり合計36の分房)を症例群としてスケジュールに入れた。各群は、上記の実施例1に記載の5つのホスホペプチドのうちの1つで処置した(P241210−01−01;03;05;07および09)。これらのペプチドは、ペプチド4mgを含有する10mLの注射剤を介して乳腺内から1回投与した。
対照群
セット1:9頭のウシからなる5つの群(1群当たり合計36の分房)を第1の対照セットとしてスケジュールに入れた。各群は、上記の実施例1に記載の5つの脱リン酸化ペプチドのうちの1種で処置した(P241210−01−02;04;06;08および10)。これらのペプチドは、ペプチド4mgを含有する10mLの注射剤を介して乳腺内から1回投与した。
第2の対照セットは以下を含む。
(i)11頭のウシ(合計44の分房)を、20mLの注射剤を介して乳腺内から1回投与したカゼイン加水分解物(20mL)で処置した(約1.8mg/mLカゼイン加水分解物(CPP)、合計=20mLに対して36mgCPP)
(ii)6頭のウシ(24の分房)に乳腺内注射を介して生理食塩液(10mL)を投与した
本試験に登録したウシは、3つの群から選択した。非偶数番号で終わるバッチ番号(すなわち、MLT−P241210−01−01、MLT−P241210−01−03、MLT−P241210−01−05、MLT−P241210−01−07およびMLT−P241210−01−09)によって特定される各ペプチドを投与される症例ウシは、本試験に参加する群れから選択した。続いて、連続バッチ番号(偶数番号で終わる、すなわち、MLT−P241210−01−02、MLT−P241210−01−04、MLT−P241210−01−06、MLT−P241210−01−08およびMLT−P241210−01−10)を有するペプチドを投与されたウシを同じ群れから割り当てた。
カゼイン加水分解物または生理食塩液で処置された対照被験者を配分して症例被験者とマッチさせた。最後の対照群の配分は、本試験に含まれる各群れに比例して配分した。
除外基準
下記の規定の1つ以上に該当するウシは、本試験に登録されなかった。
・乾乳期前の4週間内に乳房炎のためまたはいずれか他の状態のために抗生物質治療を受けたウシ
・完全に機能する4未満の分房を有するウシ
・非泌乳ウシ
・臨床乳房炎(痛み、赤み、乳腺中の膨張もしくは温感、異常な乳汁分泌、凹部、飼料摂取量の減少、全身の不快感または他の徴候など)の所見を有するウシ
・登録を妨げることを担当医師によって特定された他の健康状態を示しているウシ
・淘汰を意図されているウシ。
処置
すべての処置(ペプチド、カゼイン加水分解物および生理食塩水)は、搾乳の停止(乾乳)が予定された時点で投与された。投与の日は、0日として設定した。
サンプリングおよび測定値
無菌乳汁サンプルのセットは、0日および処置後1日目、2日目、および3日目に朝の搾乳の後に、搾乳施設内で1日1回、2つの別々のバイアルに収集した。すべての退縮パラメータの測定用に十分な乳汁分泌を確実にするために、サンプリング時点は処置投与から最高3日後とした。サンプル量は、30〜50mLであった。乳汁サンプルのpHは、Cyberscan pHII(Eutech Instruments, Singapore)を使用してその場で測定した。装置は、pH7.0とpH4.01の標準緩衝液にレセプターを浸漬することで毎日較正した。乳腺から各サンプルを採取する場合、測定は30秒の間隔をあけて2回行った。pH測定は、同じサンプルバイアルを用いて、現場で繰り返した。二重pH測定の前に、乳汁サンプルバイアルを穏やかに3回、振盪させた。pH測定の後、乳汁バイアルを、保存用製品(Broad Spectrum Microtabs II−Bronopol and Metamycin −D&F Control System Inc.,Two Technology Way,Norwood,MA 02062 USA)と共に冷蔵で保存した。
乳汁サンプル中のラクトース値は、ISO 22662|IDF 198:2007によりCentral Laboratory of Milk Quality,Caesaria Industrial Park,Israelにて測定した。
体細胞数も、乳汁サンプル中でFossomatic 360(Foss Electric,Hillerod,Denmark)によって、およびUSA National Mastitis Council. Laboratory Handbook on Bovine Mastitis.1999版.National Mastitis Council,Verona,WI 53593 USA発行のガイドラインに基づいて測定した。
処置適用の後、次の3日間、本試験に登録したウシについての臨床観察と共に乾乳牛の標準管理実務を各現場で適用した。臨床観察には、薬剤の投与(薬物のタイプ、投与量、投与経路)、健康診断(担当医師の決定による)および有害事象のモニタリングが含まれた。3日後に、通常の群れのスケジュールに従ってウシを管理した。
6分房からのデータをラクトース変化の分析から除外した。それらの分房のうちの1分房からのデータを初期値紛失のために除外した。その他の5分房の場合、3日間の経過観察中に採取したラクトースの濃度は、急速な乳腺退縮プロセスのために分析することができず、ラクトース分析用の乳汁サンプルは不十分な結果となったために除外した。
サンプル数
主要ピボット変数を退縮の成功の格付けとして設定した。試験する各セリンペプチドの算出最小サンプル数は、36の分房(9頭のウシ)であった。算出のため、ホスホセリンペプチドについて成功パーセンテージ55%対脱ホスホセリンペプチドについての成功パーセンテージ35%、および5%の有意性に達するには80%の検出力と仮定した。
結果
評価項目:0日および処置後3日間の乳汁分泌からのpH値、ラクトース値および体細胞数値を収集した。結果は、処置後3日間の各々評価項目の差異および0日に測定したレベルとして記載する。結果を下記の表1〜3に示す。
pH
退縮プロセスの誘発後、乳腺で産生された乳汁のpHが上昇し、主として乳腺の密着結合の破裂が示唆された。下記の表2に、各ペプチドまたはカゼイン加水分解物(CNH)での単回投与処置後、1日目、2日目および3日目に採取した乳汁サンプルのpHについて試験したペプチドおよびCNHの効果をまとめる。結果は、処置後各日のpH値と、0日(処置前)のpH値との差異として示す。
Figure 0006426599
表1から明らかなように、配列番号12、Lys−Lys−(SerP)−(SerP)−(SerP)−NH(すなわち、C末端に保護基としてアミドを有する配列番号2)を有するペプチドB(p)は、乳汁のpH、特に処置後最初の2日間に最も著しい効果を示した。カゼイン加水分解物の投与は、3日目のみペプチドB(p)の効果の大きさに達した。発本明の新規ペプチドの効果がカゼイン由来ペプチドD(p)(配列番号16)およびE(p)(配列番号18)の効果よりも優れていたことに留意されたい。
ラクトース
乳汁組成の点から退縮で最も著しい結果の1つは、ラクトース含有量の減少である。このように、上述のpH測定で説明したように、ラクトース濃度は、ペプチドまたはCNH投与の前後に採取した乳汁サンプルでも測定した。表3に、各時点で採取した乳汁サンプルおよび0日(処置前)に採取したサンプルのラクトース濃度の変化をまとめる。
Figure 0006426599
試験したすべての時点において、ペプチドB(p)は、退縮を誘発するのに効率的が高いことが知られているCNHの効果と比較して、ラクトース含有量の減少に高い効果を示した。また、ペプチドB(p)は、カゼイン由来ペプチドD(p)およびE(p)と比較して、高い効果を示した。しかし、3日後、ペプチドB(p)の効果は、カゼイン由来ペプチドD(p)の効果と同様となった。
体細胞数
退縮のプロセスの進行を確立するために用いることができるさらなるパラメータは、乳汁中の体細胞の存在である。乳汁中の細胞数の増加は、退縮に関連した高度のアポトーシス上皮細胞死の結果生じる。下記の表4に、0日(上記参照)と比較した体細胞数(SCC)の変化を示す。表に示した結果は、極めて変化しやすい生データの対数変換から算出した。
Figure 0006426599
乳汁中のpH値およびラクトース含有量について試験したペプチドの効果で得た結果と同時に、ペプチドB(p)は、カゼイン加水分解物またはカゼイン由来ペプチドよりも優れていることが判明した。このように、このペプチドが退縮を誘発する効率が極めて高いと結論される。
特定の実施形態の前述の説明は、にするので、適度の実験を行うことなく、およびその一般的な概念から逸脱することなく、現在の知識を適用することにより、当業者が種々の用途のために容易に修正および/または適応するために十分に、本発明の一般的な性質を明らかにしている。したがって、そのような適応および修正は、開示された各種実施形態の均等物の意味および範囲と理解されるべきであり、および理解されるように意図される。本明細書に使用した語法または用語は説明を目的としたものであり、限定を目的としたものでないことを理解すべきである。本発明から逸脱することなく、種々の開示された機能を実施する方法、材料およびステップは、種々の代替形態をとり得る。

Claims (33)

  1. 合成または組換えペプチドであって、式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)の4〜7アミノ酸の配列からなり、前記式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、Xは存在する場合は正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2であり、前記配列番号1の式はさらにC末端に保護基を含む、合成または組換えペプチド。
  2. 前記正に荷電したアミノ酸がリジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択される、請求項1に記載の合成または組換えペプチド。
  3. 前記正に荷電したアミノ酸がリジンである、請求項2に記載の合成または組換えペプチド。
  4. 前記保護基がアミドおよびエステルから選択される、請求項1に記載の合成または組換えペプチド。
  5. 前記保護基がアミドである、請求項4に記載の合成または組換えペプチド。
  6. 前記ペプチドが配列番号2〜9のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の合成または組換えペプチド。
  7. 前記ペプチドが配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の合成または組換えペプチド。
  8. 前記ペプチドが配列番号2からなる、請求項1に記載の合成または組換えペプチド。
  9. 前記ペプチドが配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の合成または組換えペプチド。
  10. 前記ペプチドが配列番号12からなる、請求項4に記載の合成または組換えペプチド。
  11. 式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)の4〜7アミノ酸の配列を含む治療有効量の合成または組換えペプチドと、薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む医薬組成物であって、前記式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、Xは存在する場合は正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2であり、前記配列番号1の式はさらにC末端に保護基を含む、医薬組成物。
  12. 前記配列番号1の前記正に荷電したアミノ酸がリジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 前記正に荷電したアミノ酸がリジンである、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記保護基がアミドおよびエステルから選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
  15. 前記組成物が配列番号2〜9のいずれか1つまたはその組み合わせに記載のアミノ酸配列を含むペプチドを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
  16. 前記組成物が配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチドを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
  17. 前記組成物が配列番号12のアミノ酸配列を有するペプチドを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
  18. 前記組成物がゲル剤、軟膏、クリーム剤、乳剤および経皮パッチ剤からなる群から選択される形態で局所投与用に配合される、請求項11に記載の医薬組成物。
  19. 前記組成物が非経口投与用に配合される、請求項11に記載の医薬組成物。
  20. 乳腺内投与用に配合される請求項19に記載の医薬組成物。
  21. 泌乳哺乳動物の乳腺において乳汁産生の一時的停止、乳汁産生の持続的停止または退縮を誘発するために使用する医薬組成物であって、前記医薬組成物は、式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)の4〜7アミノ酸の配列を含む合成または組換えペプチドを有効量含み、前記式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、Xは存在する場合は正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2であり、前記配列番号1の式はさらにC末端に保護基を含む、医薬組成物。
  22. 細菌感染症を予防する、治療する、および逆行させるための方法において使用するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、式X1(n)−Ser(P)−Ser(P)−Ser(P)−X2(n)(配列番号1)の4〜7アミノ酸の配列を含む合成または組換えペプチドを有効量含み、前記式中、XおよびXの少なくとも1つは正に荷電したアミノ酸であり、Xは存在する場合は正に荷電したアミノ酸であり、それぞれのnについてn=0、1または2であり、前記配列番号1の式はさらにC末端に保護基を含む、医薬組成物。
  23. 前記配列番号1の前記正に荷電したアミノ酸がリジン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択される、請求項21または22に記載の医薬組成物。
  24. 前記正に荷電したアミノ酸がリジンである、請求項23に記載の医薬組成物。
  25. 前記保護基がアミドおよびエステルから選択される、請求項21または22に記載の医薬組成物。
  26. 前記泌乳哺乳動物が泌乳家畜動物および泌乳ヒトから選択される、請求項21または22に記載の医薬組成物。
  27. 前記医薬組成物は、乳腺が乳汁を分泌中に投与される、請求項21または22に記載の医薬組成物。
  28. 前記医薬組成物が搾乳または授乳が終わると同時に投与される、請求項21に記載の医薬組成物。
  29. 前記医薬組成物が約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約20時間、約24時間、約48時間または約72時間からなる群から選択される間隔で、2〜6回投与される、請求項21に記載の医薬組成物。
  30. 前記医薬組成物が一回投与される、請求項21に記載の医薬組成物。
  31. 前記医薬組成物が泌乳動物の少なくとも1つの乳腺に投与される、請求項21に記載の医薬組成物。
  32. 前記医薬組成物が乳腺の乳頭管に投与される、請求項31に記載の医薬組成物。
  33. 前記医薬組成物が抗生物質、殺菌剤、ステロイド性抗炎症剤および非ステロイド性抗炎剤または免疫調節薬ならびにワクチンからなる群から選択される抗菌剤をさらに含む、請求項21または22に記載の医薬組成物。
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