JP6426094B2 - ホットメルト接着剤 - Google Patents

Description

本出願は、全ての指定国の出願人であり、米国企業であるＩＦＳ Ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｓ Ｉｎｃ．および全ての指定国の発明者であり、米国国民であるＷｉｌｌｉａｍ Ｌ．Ｂｕｎｎｅｌｌｅ名義で２０１３年９月１９日にＰＣＴ国際特許出願として出願されたものであり、２０１２年９月１９日に出願された米国仮特許出願第６１／７０２，９５０号明細書および２０１３年３月１５日に出願された米国特許出願公開第１３／８３６，３８５号明細書の優先権を主張するものである。当該出願の全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。

物品構造に含まれる基材（セルロース系材料、フィルム、繊維、不織物等）に適用することができる、汎用性のあるホットメルト接着剤材料を開示する。本接着剤組成物は、物品を集合させるのに十分な溶融粘度、凝集力および接着力を得ることと、機械的に安定な製品を得ることとを目的として製造される。接着剤は、通常、物品の製造に有用な、所望に応じた有用な構築性が成立する比率でポリマー材料を混合したブレンド物を含む。一実施形態は、ホットメルト接着剤である。第２の実施形態は、このホットメルト接着剤の構築性および態様を用いて製造された物品である。

一般的なホットメルト接着剤は、ポリマー成分および添加剤成分を混合して実質的に均一な熱可塑性を有するブレンド物とすることにより作製される。改善された塗布装置ならびに現行および最新の物品構造に使用するためには改善された材料が必要である。改善された接着剤を得るための材料を組み合わせた新規な配合およびブレンド技法を提供することが強く求められている。

本接着剤組成物は、第１非晶性ポリマーおよび第２異相ポリマーを含む。非晶性ポリマーは、プロペンを大半部分とするアルファオレフィンコポリマーを含む、非晶性またはランダムポリマーを含む。第２ポリマーは、非晶性の性質を有すると共に、少なくともある程度の実質的な結晶性部分を含む、異相アルファオレフィンコポリマーを含む。この結晶性部分は、立体規則性を有する１つ以上のポリマーブロックまたは配列の形態を有することができる。一実施形態においては、このような配列またはブロックは、実質的に結晶化可能な配列またはブロックである。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
（項目１）
（ｉ）非晶性ポリオレフィン組成物と、
（ｉｉ）非晶性の性質および結晶性ブロックを有する異相ポリオレフィン組成物を含む、ホットメルト接着剤組成物。
（項目２）
前記非晶性ポリオレフィンの結晶化度が５重量％未満であり、異相ポリオレフィンの少なくとも１つの配列またはブロックの結晶化度が少なくとも約５重量％であり、前記非晶性ポリマーが接着力を付与し、かつ前記異相ポリマーが凝集力を付与する、項目１および３〜５のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目３）
前記非晶性ポリマーが、ブテンを４０重量％超と、１種以上のアルファオレフィンＣ２またはＣ４〜２０モノマーを５０重量％未満とを含む、項目１〜２および４〜５のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目４）
前記異相ポリマーが、プロペンを４０重量％超と、１種以上のアルファオレフィンＣ２またはＣ２〜２０モノマーを６０重量％未満とを含み、かつ結晶化度が１０％を超えるポリマーブロックまたは配列を含む、項目１〜３および５のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目５）
前記接着剤が粘着付与剤を実質的に含まない、項目に記載の接着剤。
（項目６）
前記非晶性ポリマーが約５０〜９０重量％存在し、前記異相ポリマーが約１０〜５０重量％存在し、前記異相ポリマーの結晶化度が少なくとも３０重量％である、項目１〜４のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目７）
（ｉ）１−ブテンを含む非晶性ポリオレフィン組成物を約９０〜１０重量％と、
（ｉｉ）プロペンおよびエチレン、１−ヘベン（１−ｈｅｖｅｎｅ）または１−オクテンを含み、かつ非晶性ブロックおよび結晶性ブロックを含む、異相ポリオレフィン組成物を約１０〜９０重量％と、
（ｉｉｉ）可塑剤を約０．１〜３０重量％と
から基本的になり、
前記接着剤が前記異相ポリマーに由来する凝集力を付与し、前記非晶性ポリマーが接着強度を付与する、ホットメルト接着剤組成物。
（項目８）
前記異相ポリオレフィンが、結晶性を有する配列またはブロックを少なくとも約５重量％含む、項目６および８〜１２のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目９）
前記非晶性ポリマーが、ブテンを４０重量％超と、１種以上のアルファオレフィンＣ２またはＣ４〜２０モノマーを５０重量％未満とを含む、項目６〜７および９〜１２のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目１０）
前記異相ポリマーが、プロペンを４０重量％超と、１種以上のアルファオレフィンＣ２またはＣ２〜２０モノマーを６０重量％未満とを含み、結晶化度が１０％超である、項目６〜８および１０〜１２のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目１１）
前記接着剤が粘着付与剤を実質的に含まない、項目６〜９および１１〜１２のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目１２）
前記非晶性ポリマーが約５０〜８０重量％存在し、かつ前記異相ポリマーが約１０〜５０重量％存在する、項目６〜１０および１２のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目１３）
前記可塑剤が、分子量が約５００〜２０００のポリイソブチレンを含む、項目６〜１１のいずれか一項に記載の接着剤。
（項目１４）
基材と、フィルム、繊維、セルロースシートまたは不織物とを備え、その間に、項目１に記載の接着剤を含む接着結合を有する物品であって、前記接着剤が、前記異相ポリマーに由来する凝集力および前記非晶性ポリマーに由来する接着強度を付与する、物品。
（項目１５）
基材と、フィルム、繊維、セルロースシートまたは不織物とを備え、その間に、項目５に記載の接着剤を含む接着結合を有する物品であって、前記接着剤が、前記異相ポリマーに由来する凝集力および前記非晶性ポリマーに由来する接着強度を付与する、物品。
（項目１６）
基材と、フィルム、繊維、セルロースシートまたは不織物とを備え、その間に、項目７に記載の接着剤を含む接着結合を有する物品であって、前記接着剤が、前記異相ポリマーに由来する凝集力および前記非晶性ポリマーに由来する接着強度を付与する、物品。

本明細書において用いられる「ホモポリマー」という語は、単一種のモノマーを重合させることにより得られるポリマー、すなわち基本的に単一種の繰り返し単位からなるポリマーを意味する。

本明細書において用いられる「コポリマー」という語は、少なくとも２種の異なるモノマーを重合させることによって形成されるポリマーを指す。例えば、「コポリマー」という語は、プロペンやブテン等のモノマー、好ましくは１−ブテンと、例えば、エチレン、１−ヘキセン、１−オクテン等のα−オレフィンとの共重合反応による生成物を含む。

本明細書において用いられる「プロペンコポリマー」または「プロピレンコポリマー」という語は、４０重量％超または５０重量％以上のプロペンと、エチレンおよびＣ_４〜Ｃ_２０α−オレフィンを含む群から選択される少なくとも１種のモノマーとのコポリマーを意味する。

本明細書において用いられる「ブテンコポリマー」は、ｎ−ブテン（１−ブテン）または２−ブテンと、Ｃ_２〜３およびＣ_５〜２０アルファオレフィンの群から選択される少なくとも１種のモノマーとの重合体を意味する。ブテンコポリマーは、通常、最小でも少なくとも約４０または約５０重量％以上の量のブテンモノマー（１−ブテン等）を含む。

「異相」ポリマーという語は、非晶性の性質を有すると共に、冷却されたひとまとまりの接着剤に凝集力を付与することができる少なくともある程度の実質的な結晶性部分（結晶性部分は少なくとも５重量％、１０重量％、２０重量％、４０重量％または５０重量％）を有するポリマーを意味する。結晶性部分は立体規則性を有するブロックまたは配列の形態をとることができる。

「非晶性」という語は、結晶性が実質的に存在しない、（すなわち）結晶化度が５％未満および１％未満であることを意味する。

「配列またはブロック」という語は、ポリマーの中の、組成、結晶化度または他の面が類似しているモノマーの繰り返し部分を意味する。

本明細書において用いられる「オープンタイム」とは、溶融したホットメルト接着剤組成物を第１基材に塗布してから、基材上の接着剤の使用可能な粘着性または濡れが、接着剤組成物の固化により事実上消失するまでに経過した時間の長さを意味する。オープンタイムは「可使時間」とも称される。

本明細書において用いられる「基材」という語は、ホットメルト接着剤組成物を接触させることが意図された、少なくとも部分的にまたは完全に固化した繊維または平坦な面を有する任意の品目を意味する。幾つかの場合においては、２以上の基材の間に同じホットメルト接着剤組成物の領域、円、滴、線、糸状体または小点を挟むことにより、基材間に接着結合を生じさせる。このような場合の一部においては、基板は同一品目の一部分：例えば、折り曲げたフィルムや折り曲げた不織物、折り重ねた厚紙シートの表と裏（この２つの面を接着により結合させる）である。他のこのような場合においては、基板は異なる品目の一部：例えば、プラスチックフィルムを不織物または厚紙シートに接着結合させたものである。基板は、不透過性、透過性、多孔性または非多孔性であってもよい。

本明細書において用いられる「実質的に」という語は、概ね同一または均一であるが、定められた特性や定義等から僅かな変動が許容されるかまたは変動があることを意味する。例えば、本明細書に記載する特性（粘度、融点等）の測定値における測定可能または測定不能な小さな変動は、人的ミスや手順の正確さに起因して生じる可能性がある。他の変動は、製造プロセスに固有の変動、配合物の熱履歴等によって生じる。それでも尚、その接着剤組成物は、報告された特性を実質的に有していると言われることになる。

本明細書において用いられる「大半部分」という語は、ある材料またはモノマーが、５０重量％を超えて使用されていることを意味する。本明細書において用いられる「主成分」という語は、ある材料またはモノマーが、対象の混合物またはポリマー中において、他の物質よりも多く認められる物質であるかまたはより濃度が高いことを意味するが、５０重量％に満たない場合もある。

接着剤材料は、実質的に非晶性であるかまたはランダムに重合したポリマー材料を含むポリオレフィンを含む第１ポリマーと、異相ポリマーを含む第２ポリマーとを含む。

第１非晶性ポリマーは、通常、ブテン、例えば、１−ブテンを含み、かつエチレン、プロペンまたは第２のＣ_４〜４０オレフィンポリマーを含むことができる。これらは実質的に非晶性である結晶化度の低いポリマーであり、結晶性は１０％未満、好ましくは５％未満である。

第２異相オレフィンポリマーは、プロペンモノマーを大部分（４０または５０モル％超）として含む第１ポリアルファオレフィンポリマーを含み、かつ、ある程度の結晶性部分を有する非晶性ポリマーを含む。

非晶性ポリマーは、ランダムブテン−α−オレフィンコポリマーとも称することができるブテン系コポリマー（最小量は少なくとも１−ブテンの約３０または４０または５０重量％）である。ブテンコポリマーは、プロペンから誘導された１種以上の単位、すなわちマー（ｍｅｒ）単位、エチレンまたは４〜約２０個の炭素原子を含むα−オレフィンから誘導された１種以上のコモノマーを含む。

第１コポリマーは、ブテンから誘導された単位を約３０モル％〜約７０モル％、好ましくは約４０モル％〜約６０モル％含む。ブテンから誘導された単位に加えて、このコポリマーは、好ましくは、エチレン、プロペンまたは少なくとも１種のＣ_５〜１０アルファ−オレフィンモノマーから誘導された単位を約７０モル％〜約３０モル％から約６０モル％〜約４０モル％まで含む。

１つ以上の実施形態において、α−オレフィンコモノマー単位としては、エチレン、１−ブテン、１−ヘキサン、４−メチル−１−ペンテンおよび／または１−オクテン等の他のモノマーから誘導されたものを用いることもできる。例示的なアルファ−オレフィンは、エチレン、ブテン−１、ペンテン−１、２−メチルペンテン−１、３メチルブテン−１、ヘキセン−１、３−メチルペンテン−１、４−メチルペンテン−１、３，３−ジメチルブテン−１、ヘプテン−１、ヘキセン−１、メチルヘキセン−１、ジメチルペンテン−１、トリメチルブテン−１、エチルペンテン−１、オクテン−１、メチルペンテン−１、ジメチルヘキセン−１、トリメチルペンテン−１、エチルヘキセン−１、メチルエチルペンテン−１、ジエチルブテン−１、プロピルペンタン−１、デセン−１、メチルノネン−１、ノネン−１、ジメチルオクテン−１、トリメチルヘプテン−１、エチルオクテン−１、メチルエチルブテン−１、ジエチルヘキセン−１、ドデセン−１およびヘキサドデセン−１からなる群から選択される。

１つ以上の実施形態において、非晶性コポリマーは、ブテンから誘導された単位を約３０モル％〜約７０モル％、好ましくは約４０モル％〜約６０モル％と、エチレン、プロペン、１−ヘキセンまたは１−オクテンから選択される少なくとも１種のアルファ−オレフィンモノマーから誘導された単位を約７０モル％〜約３０モル％から約６０モル％〜約４０モル％まで含む。約０．１〜２０モル％の範囲の少量のα−オレフィンモノマーを使用することができる。非晶性ポリマーの重量平均分子量（Ｍｗ）は約１，０００〜約２５，０００以下、好ましくは約２，０００〜２０，０００である。

１つ以上の実施形態においては、第１コポリマーは、ブテンから誘導された単位を約３０モル％〜約７０モル％、好ましくは約４０モル％〜約６０モル％と、プロペンから誘導された単位を約７０モル％〜約３０モル％から約６０モル％〜約４０モル％までとを含み、約０．１〜２０モル％の範囲の少量のα−オレフィンモノマーを使用することができる。

非晶性ポリマーの重量平均分子量（Ｍｗ）は約１，０００〜約５０，０００以下、好ましくは約５，０００〜４５，０００である。

非晶性コポリマーの粘度（ＡＳＴＭ Ｄ３２３６に従い１９０℃で測定）は、１０，０００ｍＰａ・ｓ（１センチポイズ［ｃｐｓ］＝１ｍＰａ・ｓ）未満、例えば約２０００〜８０００ｍＰａ・ｓである。溶融粘度はＡＳＴＭ Ｄ−３２３６に従い測定され、これは本明細書においては「粘度」および／または「ブルックフィールド粘度」とも称される。

非晶性ポリオレフィンの幾つかの例としては、ハンツマン製のＲｅｘｔａｃポリマー（Ｒｅｘｔａｃ Ｅ−６２、Ｅ−６５、２７１５、２７３０、２３８５等）が挙げられる。例えば、Ｓｕｓｔｉｃに付与された米国特許第５，７２３，５４６号明細書のポリマーに関する記載を参照されたい。当該明細書を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用することを明記する。他の有用な非晶性ポリマーはＶｉｓｔｏｐｌａｓｔ（登録商標）およびＥａｓｔｏｆｌｅｘ（登録商標）として販売されている材料である。

接着剤材料は、実質的に異相のコポリマーを含む第２ポリオレフィンを含む。異相ポリオレフィンは、プロペンコポリマー、すなわち他のコモノマーを含むプロペン系ポリマーを含むことができる。プロペン系ポリマーの主鎖は、好ましくは、プロペンおよび１種以上のＣ_２またはＣ_４〜２０α−オレフィンを含む。プロペン系異相ポリマーは、例えば、プロペンと、エチレン、ヘキセンまたは場合により他のＣ_２もしくはＣ_４〜２０α−オレフィンとを含むことができる。このポリマーは、プロペンから誘導された単位を約９９．５〜約７０重量％、好ましくは約９５〜約７５重量％を含む。プロペンから誘導された単位に加えて、このコポリマーは、好ましくは少なくともＣ_２〜４またはＣ_５〜１０アルファ−オレフィンから誘導された単位を約０．１〜３０重量％、好ましくは約５〜２５重量％を含む。

１つ以上の実施形態において、第２のコポリマーは、プロペンを大半部分と、エチレンを約０．１〜３０重量％または２〜２５重量％とを含む。１つ以上の実施形態において、第２のコポリマーは、プロペンを大半部分と、１−ブテンを約０．１〜３０重量％または２〜２５重量％とを含む。

１つ以上の実施形態において、第２のコポリマーは、プロペンを大半部分と、１−ヘキセンを約０．１〜３０重量％または２〜２５重量％とを含む。１つ以上の実施形態においては、第２のコポリマーは、プロペンを大半部分と、１−オクテンを約０．１〜３０重量％または２〜２５重量％とを含む。

第１または第２のポリオレフィンのいずれかに使用される他のコモノマーは、エチレンまたは４〜１２個の炭素原子を含むα−オレフィンを含む。例示的なα−オレフィンは、エチレン；１−ブテン；１−ペンテン；２−メチル−１−ペンテン；３−メチル−１−ブテン；１−ヘキセン−３−メチル−１−ペンテン−４−メチル−１−ペンテン−３，３−ジメチル−１−ブテン；１−ヘプテン；１−ヘキセン；１−メチル−１−ヘキセン；ジメチル−１−ペンテン；トリメチル−１−ブテン；エチル−１−ペンテン；１−オクテン；メチル−１−ペンテン；ジメチル−１−ヘキセン；トリメチル−１−ペンテン；エチル−１−ヘキセン；１−メチルエチル−１−ペンテン；１−ジエチル−１−ブテン；プロピル−１−ペンテン；１−デセン；メチル−１−ノネン；１−ノネン；ジメチル−１−オクテン；トリメチル−１−ヘプテン；エチル−１−オクテン；メチルエチル−１−ブテン；ジエチル−１−ヘキセン；１−ドデセンおよび１−ヘキサドデセンからなる群から選択することができる。好ましいＣ_４〜１０アルファ−オレフィンは、６〜８個の炭素原子を有するものであり、最も好ましいアルファ−オレフィンは、１−ヘキセンおよび１−オクテンである。

好ましいプロペンコポリマーは、コモノマーがエチレン、１−ブテン、１−ヘキセンまたは１−オクテンであるコポリマーである。ポリマーの立体規則性を有する（アイソタクチックまたはシンジオタクチック）配列またはブロック部分は結晶化可能な部分であり、この部分がポリマーに異相（部分的に非晶性であり部分的に結晶性である）の性質を付与する。本明細書において用いられ、半結晶性の異相コポリマーに適用される「結晶化可能な」という語は、冷却することにより結晶化させることができるポリマー配列またはブロックを表す。固化した半結晶性コポリマーの結晶性部分はホットメルト接着剤の凝集力を増強する。メタロセン重合させた半結晶性コポリマーをベースとするホットメルト接着剤配合物は、配合物内で、最終的に良好な凝集力を達成するために十分な結晶性部分を径時的に構築することができる。

第２異相ポリマーは、結晶化可能なポリマーブロックまたは配列、好ましくは、エチレンやプロペン等のモノマーが重合した立体規則性を有する配列を含み、この配列は、結晶化するのに十分な長さを有し、通常は１配列当たり少なくともモノマー単位の繰り返しまたはブロックを有する。

好ましい実施形態においては、結晶化可能なセグメントは、立体規則性を有するかまたはアイソタクチックとすることができる。オレフィン配列のアイソタクチシティは所望の触媒組成物を選択して重合を行うことによって達成することができる。アイソタクチシティは、従来、ＤＳＣまたはＣ−１３ＮＭＲ機器を用いた技法を用いて測定されている。

異相ポリマーは結晶化度が少なくとも５重量％、１０重量％、２０重量％、４０重量％または５０重量％、好ましくは２０％〜８０％、より好ましくは２５％〜７０％である。

異相コポリマーの融解熱（ＡＳＴＭ Ｅ７９３による）は約１０Ｊ／ｇ〜約７０Ｊ／ｇおよび約１５Ｊ／ｇ〜約７０Ｊ／ｇであり、融点は１５０℃未満であり、約１０５℃〜約１３５℃である。

異相ポリマーの重量平均分子量（Ｍｗ）は約２０，０００以下、好ましくは約１０，０００以下、好ましくは約５００〜８，０００である。

異相コポリマーの粘度（ＡＳＴＭ Ｄ３２３６に従い、ブルックフィールド粘度計を用いて１９０℃で測定）が２０，０００ｍＰａ・ｓ（１センチポイズ［ｃｐｓ］＝１ｍＰａ・ｓ）未満、例えば１５０００ｍＰａ・ｓ未満であり、特定の用途においては１０，０００ｍＰａ・ｓ未満および５，０００ｍＰａ・ｓ未満である。本明細書においては、これを「粘度」および／または「ブルックフィールド粘度」とも称する。

ホットメルト接着剤組成物に有用な異相ポリマーの幾つかの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンおよびそのコポリマー（エクソンモービル ケミカル、ヒューストン、テキサスよりＶＩＳＴＡＭＡＸＸ（商標）の商品名で販売されているポリプロピレン系エラストマーならびにダウ ケミカル カンパニー、ミッドランド、ミシガンより商品名ＡＦＦＩＮＩＴＹ（商標）およびＥＮＧＡＧＥ（商標）で販売されているポリエチレン系エラストマー等）が挙げられる。

ホットメルト接着剤組成物に有用な他の異相ポリマーとしては、ポリオレフィンエラストマーであるＶＩＳＴＡＭＡＸＸ（商標） ８８１６、ＶＩＳＴＡＭＡＸＸ（商標） ２２３０およびＥＮＧＡＧＥ（商標） ８２００が挙げられる。ＡＦＦＩＮＩＴＹ（商標） ＧＡ １９００のＡＳＴＭ Ｄ７９２に準拠した密度は０．８７０ｇ／ｃｍ^３であり、融解熱は４６．１Ｊ／ｇであり、ブルックフィールド粘度は８２００ｃＰ（１７７℃、ＡＳＴＭ Ｄ １０８４に準拠）である。ＡＦＦＩＮＩＴＹ（商標） ＧＡ １９５０のＡＳＴＭ Ｄ７９２に準拠した密度は０．８７４ｇ／ｃｍ^３であり、融解熱は５３．４Ｊ／ｇであり、ブルックフィールド粘度は１７，０００ｃＰ（１７７℃、ＡＳＴＭ Ｄ １０８４に準拠）である。ＥＮＧＡＧＥ（商標） ８２００のＡＳＴＭＤ７９２に準拠した密度は０．８７ｇ／ｃｍ^３であり、１９０℃におけるメルトインデックスは５ｇ／１０分である。これらのオレフィンエラストマーはホットメルト接着剤組成物に有用なプロピレンコポリマーと適合性があり、有効なセットタイムを犠牲にすることなく低温接着性等の物理的特性を改善する。

ポリオレフィンコポリマーは、任意の従来の重合合成プロセスによって調製することができる。好ましくは、１種以上の触媒、通常はメタロセン触媒またはチーグラーナッタ触媒が、オレフィンモノマーまたはモノマー混合物の重合に使用される。重合方法としては、高圧、スラリー、気相（ｇａｓ）、バルク、懸濁、超臨界もしくは液相またはこれらの組合せが挙げられ、好ましくは、シングルサイトメタロセン触媒系が用いられる。触媒は、均質溶液の形態、担持された形態またはこれらの組合せとすることができる。重合は、連続式、半回分式または回分式プロセスで実施してもよく、連鎖移動剤、捕捉剤または適用可能と見なされている他のこの種の添加剤の使用を含むことができる。連続式とは、中断または停止することなく運転される（または運転することが意図された）系を意味する。例えば、ポリマーを製造するための連続式プロセスは、反応体が１つ以上の反応器に連続的に導入され、ポリマー生成物が連続的に抜き出されるものであろう。一実施形態においては、本明細書に記載するプロペンコポリマーは、単一種の重合触媒を用いて単一または複数の重合帯域で製造される。異相ポリマーは、通常、所望の異相構造を成立させる複数種のメタロセン触媒のブレンド物を用いて製造される。

本明細書に開示する組成物はまた、接着剤の粘度を低減するかまたはタック性を改善する可塑剤または可塑化オイルまたはエキステンダーオイルも含むことができる。当業者に知られている任意の可塑剤を本明細書に開示されている接着組成物に使用することができる。可塑剤の非限定的な例としては、オレフィンオリゴマー、液状ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン、低分子量非芳香族ポリマー（例えば、イーストマン ケミカル カンパニーからのＲＥＧＡＬＲＥＺ １０１）、フタル酸エステル、鉱物油（ナフテン系油、パラフィン系油または水素化（ホワイト）油（例えば、Ｋａｙｄｏｌ油またはＰａｒａＬｕｘ油（シェブロン社、米国））等）、植物性油および動物性油ならびにこれらの誘導体、石油系油ならびにこれらの組合せが挙げられる。低分子量ポリオレフィンとしては、Ｍｗが１００と低いもの、特に約１００〜３０００の範囲にあるもの、約２５０〜約２０００の範囲にあるもの、および約３００〜約１０００の範囲にあるものを挙げることができる。

幾つかの実施形態においては、可塑剤としては、平均分子量が約３５０〜約１０，０００のポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン、ポリピペリレン、ピペリレンおよびイソプレンのコポリマー等が挙げられる。他の実施形態においては、可塑剤としては、一般的な脂肪酸のグリセリルエステルおよびその重合生成物、イソブチレンのポリマーが挙げられる。好ましい可塑剤は、ポリイソブチレンポリマーを含む。ポリマーは、大半部分であるイソブチレン単位を含むか、または：
［−Ｃ（ＣＨ_３）_２−ＣＨ_２−］_ｎ
（式中、ｎ＝１５〜７５）として表すことができる。ポリイソブチレン材料は、分子量が約２００〜２０，０００、約２００〜５，０００または約５００〜２，０００の粘性のある液体である。好ましい材料は、１００℃におけるセイボルトユニバーサル秒（ＳＵＳ）粘度が約１００〜２０，０００である。ポリイソブチレンに特有の特徴は、ガス透過性が低く、酸、アルカリおよび塩溶液の作用に対する耐性が高いことに加えて、誘電率が高いことにある。これらは日光および紫外線の作用下で徐々に劣化する（カーボンブラックを添加することによりこの過程が遅延する）。工業的には、ポリイソブチレンは、モノマーを−８０℃〜−１００℃の温度でイオン重合（ＡｌＣｌ_３を触媒とする）することにより製造される。これらはゴム産業に通常使用されている設備を用いて加工される。ポリイソブチレンは、天然または合成ゴム、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびフェノール−ホルムアルデヒド樹脂との混合が容易である。

上述したように、好ましい組成物の実施形態は、オープンタイム、基材の濡れまたはタックのうちの任意の面を接着剤材料の追加することができる有効量の従来の粘着付与剤材料を実質的に使用せずに製造される。

粘着付与剤の使用を回避することにより、コストが低減されると共に、調合者が供給不足の材料を使用せずに済む。さらに、粘着付与剤は、使い捨て物品に望ましくない臭いを付与する可能性があり、また、乳幼児用おむつに使用されるポリエチレンバックシート材の強度を低下させる可能性のある低分子量可塑剤（ＳＢＣ系接着剤に使用されるプロセスオイル等）の担体として作用する可能性もある。このような物品に使用されるポリエチレンフィルムの厚みが薄型化しているので、バックシートの完全性の重要性が高まっている。「従来の粘着付与剤樹脂」という語を用いる場合、これらの樹脂は典型的なホットメルト接着剤に使用される接着剤技術分野および接着剤産業において一般に入手可能である。この範囲に包含される従来の粘着付与樹脂としては、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族修飾脂肪族炭化水素樹脂、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ロジン、ロジンエステル、ウッドロジン、ウッドロジンエステル、トール油ロジン、トール油ロジンエステル、ポリテルペン、芳香族修飾ポリテルペン、テルペンフェノール樹脂、芳香族修飾水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化脂肪族樹脂、水素化脂肪族芳香族樹脂、水素化テルペンおよび変性テルペンおよび水素化ロジンエステルが挙げられる。多くの場合、従来の配合において、この種の樹脂は、約５〜約６５重量％の範囲、多くの場合は約２０〜３０重量％の範囲の量で使用される。

さらなる実施形態において、本明細書に開示される組成物は、場合により酸化防止剤または安定剤を含むことができる。本明細書に開示される接着性組成物には当業者に周知の任意の酸化防止剤を使用することができる。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、アミン系酸化防止剤（アルキルジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アルキルまたはアラルキル置換フェニルナフチルアミン、アルキル化ｐ−フェニレンジアミン、テトラメチルジアミノジフェニルアミン等）；およびヒンダードフェノール化合物（２，６−ジ−ｔ−ブチル−４−メチルフェノール等）；１，３，５−トリメチル−２，４，６−トリス（３’，５’−ジ−ｔ−ブチル−４’−ヒドロキシベンジル）ベンゼン；テトラキス［（メチレン（３，５−ジ−ｔ−ブチル−４−ヒドロキシヒドロシンナメート）］メタン（例えば、チバガイギー、ニューヨークからのＩＲＧＡＮＯＸＴＭ１ ０１０）；オクタデシル−３，５−ジ−ｔ−ブチル−４−ヒドロキシシンナメート（例えば、Ｃｉｂａ Ｇｅｉｇｙから市販されているＩＲＧＡＮＯＸＴＭ １０７６）およびこれらの組合せが挙げられる。酸化防止剤を使用する場合、組成物中の量は、組成物の総重量の約０超〜約１重量％、約０．０５〜約０．７５重量％または約０．１〜約０．５重量％とすることができる。

さらなる実施形態において、本明細書に開示される組成物は、場合により、組成物の放射線による劣化を防止または軽減することができるＵＶ安定剤を含むことができる。本明細書に開示する接着剤組成物中には当業者に周知の任意のＵＶ安定剤を使用することができる。好適なＵＶ安定剤の非限定的な例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、アリールエステル、オキサニリド、アクリル酸エステル、ホルムアミジンカーボンブラック、ヒンダードアミン、ニッケル系クエンチャー、ヒンダードアミン、フェノール性酸化防止剤、金属塩、亜鉛化合物およびこれらの組合せが挙げられる。Ｗ安定剤が使用される場合、組成物中の量は、組成物の総重量の約０超〜約１重量％、約０．０５〜約０．７５重量％または約０．１〜約０．５重量％とすることができる。

さらなる実施形態において、本明細書に開示される組成物は、場合により蛍光増白剤、着色剤または顔料を含むことができる。本明細書に開示される接着剤組成物には、当業者に周知の任意の着色剤または顔料を使用することができる。好適な蛍光増白剤、着色剤または顔料の非限定的な例としては、トリアジン−スチルベン、クマリン、イミダゾール、ジアゾール、二酸化チタンおよびカーボンブラック、フタロシアニン顔料および他の有機顔料等の蛍光物質および顔料（ＩＲＧＡＺＩＮＢ、ＣＲＯＭＯＰＨＴＡＬＢ、ＭＯＮＡＳＴＲＡＬＢ、ＣＩＮＱＵＡＳＩＡＢ、ＩＲＧＡＬＩＴＥＢ、ＯＲＡＳＯＬＢ等；いずれもタリータウン、ニューヨークのチバ スペシャルティ ケミカルより入手可能）が挙げられる。蛍光増白剤、着色剤または顔料が使用される場合、組成物中の量は、組成物の総重量の約０超〜約１０重量％、約０．０１〜約５重量％または約０．１〜約２重量％とすることができる。

本明細書に開示される組成物は、場合により、香料または他の着臭剤等の芳香物質も含むことができる。この種の芳香物質は、例えば、剥離ライナーを剥がすかまたは組成物を押圧することによって芳香物質を放出することができるように、ライナーに保持することまたはマイクロカプセル等の放出剤に内包させることができる。

さらなる実施形態において、本明細書に開示する組成物は、場合によりフィラーを含むことができる。本明細書に開示される接着剤組成物中には、当業者に周知の任意のフィラーを使用することができる。好適なフィラーの非限定的な例としては、砂、タルク、ドロマイト、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、雲母、珪灰石、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスビーズ、微小球ガラス、微小球セラミック、微小球熱可塑性物質、重晶石、木粉およびこれらの組合せが挙げられる。本組成物中にフィラーが使用される場合、その量は、約０超〜約６０重量％、約１〜約５０重量％または約５〜約４０重量％とすることができる。

本ホットメルト接着剤組成物は、従来のホットメルト接着剤の塗布設備に使用するのに適した溶融レオロジーおよび熱安定性を有する。ホットメルト接着剤組成物のブレンドされた成分は塗布温度における溶融粘度が低いので、組成物に溶剤やエキステンダーオイルを含有させてその力を借りなくても、塗工具、例えば塗工ダイやノズル内において組成物が流動しやすくなる。本ホットメルト接着剤組成物について２７番の回転子を用いてＢｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ｔｈｅｒｍｏｓｅｌ ＲＶＴ粘度計により１７６．６６℃（５０ｒｐｍ、３５０°Ｆ）で測定した溶融粘度（ミリパスカル秒またはセンチポイズ（ｃＰ））は１５００ｃＰ〜３５００ｃＰまたは約２０００ｃＰ〜３０００ｃＰである。ホットメルト接着剤組成物の軟化点（ＡＳＴＭ Ｄ３４６１−９７ メトラー軟化点法のための標準試験方法）は約８０℃〜１４０℃であり、幾つかの実施形態においては、約１１５℃〜１３０℃である。特定の用途に用いるためのホットメルト接着剤組成物の有効なセットタイムは約５秒以下、例えば約０．１秒〜５秒であり、複数の実施形態においては約０．１〜３秒であり、幾つかの実施形態においては約０．２秒〜１秒である。本ホットメルト接着剤の有効なセットタイムは予期せぬことに短時間であり、特にオープンタイムが許容される範囲のままである場合に短時間となる。

本ホットメルト接着剤組成物の典型的な（但しこれらに限定されるものではない）工業用途としては、包装、特に乳製品等の低温用途または食品の冷凍包装および使い捨ての衛生用消耗品、例えば、おむつ、女性用衛生パッド、ナプキン等が挙げられる。従来の最終用途である製本、木工、ラベル貼付等においても、本接着剤組成物の低温可撓性、耐熱性およびホットメルト接着剤組成物を様々な基材に塗布する自動化された手段を用いて最終用途に適用する有効性がすべて有利に働くであろう。

物品としては、ホットメルト接着剤組成物で接着結合される２以上の基材を有する任意の品目が挙げられる。物品としては、紙箱、箱、封筒、食品容器、本、雑誌、使い捨て品（おむつ、女性用ナプキン等）等が挙げられる。この種の物品において接着結合している基材は、厚紙、紙、木材、アルミニウム、スズ、鋼、熱可塑性物質（ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリプロピレン等）、熱硬化性ポリマー、ガラス、セラミックおよびこれらの組合せ、ブレンド物または層状複合材等の材料から形成されており、幾つかの実施形態においては、ワックス、アクリル系ポリマーまたは他の材料のコーティング；着色剤、防腐剤、安定剤、加工用潤滑剤等ならびにこれらの任意の材料の組合せを含む。基材としては、非多孔性の中実物品およびシートに加えて多孔性の物品およびシート（不織布、紙、精製綿等）等が挙げられる。

他の態様は、本ホットメルト接着剤組成物を用いた製造方法である。この方法は、溶融した組成物を基材に塗布した後、接着剤組成物を第１基材に塗布してから０．１秒〜５秒以内に接着剤組成物を第２基材と接触させることを含み、この接触によって基材間に接着結合が生じる。

さらなる他の態様は、ホットメルト接着剤組成物を含む製造物であり、当該物品は、ある量のホットメルト接着剤組成物を用いて接着結合された少なくとも２つの基材を含む。典型的な製造物としては、包装品、特に、低温で使用されることが意図された包装品（乳製品や食品の冷凍包装等）；使い捨ての衛生用消費財、例えば、おむつ、女性用衛生パッド、ナプキン等；本および雑誌；ラベル貼付物；木工品（家具等）；ならびに低エネルギー材料およびそれよりも高エネルギーの材料を組み合わせて形成された物品、例えば、ポリエチレンラップおよび／もしくはポリプロピレンラベルを有する厚紙箱または天板に保護プラスチックを有する木枠組みのテーブルが挙げられる。一般に、ホットメルト接着剤組成物を有利に用いて結合された物品は、低温可撓性、耐熱性および接着剤組成物を基材に塗布する自動化手段における最終用途の有効性がすべて有効に作用する。

ホットメルト接着剤組成物を後述する溶融混練により配合した。特定の成分および成分の量を次に示す。本接着剤を用いて製造される物品においては、ポリマーフィルムおよび繊維または繊維塊間に接着結合を形成することにより物品を製造することができる。この物品はまた、ポリマーフィルムおよび不織布間に形成された接着結合を含むこともできる。さらに、この物品は、外層となるポリマーフィルムと、繊維マップ（ｆｉｂｅｒ ｍａｐ）または不織布を含む内側の構成要素とを備える多層構造間に接着結合を形成することによって製造することができる。

接着剤材料は、一般に入手可能な使い捨ての日用品の集合における構造用接着剤として使用することができる。この種の物品としては、乳幼児用おむつ、成人用おむつ、ベッドパッド、衛生用品および他の吸収性物品が挙げられる。通常は、少なくともポリマーフィルムを、他のフィルムおよび繊維性材料と組み合わせることによって、このような物品が形成される。繊維性材料としては、布帛（織布または不織布等）、繊維バット（ｆｉｂｅｒ ｖａｔ）、繊維集合体、繊維球の形態にある繊維等を挙げることができる。

この種の吸収性物品は、通常、物品内に支持された吸収体を含む。吸収体は、通常、不織物製の内部ライナーで覆われている。このようなライナーは、流体または湿気を物品内部から吸収体層へと通過させる、スパンボンド成形された不織構造体等の、透過性が非常に高い材料を含む。この吸収性物品内に形成される吸収体層または構造は、通常、吸収性物品内に放出された液体または流体物質を実質的に吸収することを目的とした、繊維塊パッドまたはセルロースパルプまたは木材パルプを含む。繊維または綿毛は、セルロース性繊維、合成繊維またはこれらの混合物（木質繊維、セルロース性繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロペン繊維または他の繊維材料（多くの場合、超吸収素材を含む）のブレンド物等）を含むことができる。吸収性物品の吸収能力を増大させるために吸収性が極度にまたは非常に高い材料が使用される。この種の材料は、変性天然ガムおよび樹脂等の有機材料であるが、ヒドロゲル等の合成高分子材料を含む場合も多い。カルボキシメチルセルロース、アクリル系ポリマーのアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレン無水物のポリマー（ｐｏｌｙｅｔｈｙｌｅｎｅ ａｎｈｙｄｒｉｄｅ ｐｏｌｙｍｅｒ）およびコポリマー、ポリビニルエーテルポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロースポリマーおよびコポリマー、ポリビニルスルホン酸ポリマーおよびコポリマー、ポリアクリル系ポリマー、ポリビニルピロリドンポリマーおよびコポリマーを吸収機能部に用いることができる。

この種の使い捨て物品に使用される不織布層は、通常は、天然または合成繊維を結合させた集合体を含む略平坦な構造を有する。

この種の不織材料は、多くの場合、スパンボンドやメルトボンド等の様々な技法を用いて作製される。この種の不織材料は、多くの場合、繊維または粗糸を実質的にランダムなパターンでランダムに配置し、次いで繊維に固有の結合特性を利用して熱的に結合させることによるかまたは樹脂材料を繊維に適用して結合させることにより製造される。不織材料の作製には、ポリオレフィン、ポリエステル、エチレン酢酸ビニルポリマー、エチレンアクリル酸ポリマーその他の様々なポリマーを使用することができる。

物品の外側は、多くの場合、液体不透過性のポリマーフィルムを備える。特定の態様においては、ポリマーフィルムの外面に、より布地に近い特徴または不織物の特徴を付与するための外層を追加することにより、外側のポリマーフィルムをさらに改良することができる。外側フィルムは、通常はポリマーフィルムの単層であるが、多層フィルム構造とすることもできる。典型的なポリマーシート材料は、ポリエステル、ポリオレフィンまたはフィルム層に成形することができる他の熱可塑性シート材料を含む、引張り強さの高いポリマーを含む。ポリオレフィンまたはポリエステルポリマー材料は、多くの場合、シートに形成され、強度、可撓性および突刺抵抗性を改善するために処理される。二軸延伸、熱処理、表面処理等の技法はポリマーフィルムのフィルム特性を改善することができる。この種のポリマーフィルムの厚みは、多くの場合、約１０〜約１００ミクロンの範囲にある。

本発明者らが上述してきた吸収性物品の一実施形態は、不透過性ポリマーフィルムと、吸収体層であるパッドまたはマットと、不織物の内層とを備える。この３つの構成要素を備える構造は、吸収体層を不織物内層の間に保持しながら不織物内層をポリマーフィルムに接着させる製造技法を用いて、接着剤を塗布することによって集合されている。

本接着剤組成物は、ホットメルト接着剤として溶融状態で基材に塗布することもできるし、あるいはポリマーフィルム、不織物または吸収パッドに塗工、適用または噴霧することもできる。スプレー塗布式接着剤は、通常、スロットコート、スプレーまたは微粒化方式（ｃｈａｒａｃｔｅｒ）を用いて、粒子状（ｂｅａｄ）、点状パターン、螺旋状パターンまたは他の従来のパターンに、Ｎｏｒｄｓｏｎ適用技法等を用いて適用される。好ましい実施形態においては、接着剤組成物の組成物は、スロットコートを使用して（Ｎｏｒｄｓｏｎ ｔｒｕｅ ｃｏａｔまたはＳｐｅｅｄ ｃｏａｔ ｓｌｏｔを使用）高速で基材に塗布される。

この材料は、通常、結果として得られる結合した材料に対し、約１〜約１００または約４〜約９０または約７〜約７０グラム毎平方メートル（ｇ・ｍ^−２）の量で適用される。接着剤材料は、使い捨ておむつおよびナプキン構造の弾性接着体ならびに使い捨て用品に使用することができ、特に好ましい用途としては、乳幼児用おむつ構造、おむつの外形シート構造、おむつの吸収コアの安定化、おむつの外側を保護するラミネートシート、女性用ナプキンの吸収コアの安定化、女性用ナプキンの接着シールが挙げられる。

実験
第１非晶性コポリマー、第２異相コポリマー、ポリマー可塑剤／希釈剤および酸化防止剤を高温の混合条件下でブレンドして、完全に均質化された溶融流体を形成することによって複数のホットメルト接着剤組成物を調製した。混合温度を約１３５〜約２００℃、好ましくは約１５０〜約１７５℃の間で変化させた。成分を確実に完全に均質化して最終接着剤組成物を得るためにＷｉｓｅＳｔｉｒ（登録商標）ミキサーを使用した。

実施例１〜４
ホットメルト接着剤組成物を後述するように溶融混練することによって配合した。特定の成分および成分の量を次の表２に示す。

これらのデータは、この材料が使い捨て吸収性物品の構造に極めて優れた結合を提供するであろうことを示唆している。粘度は特定の条件下における当該材料の流動しにくさに関連することに注目されたい。この特徴的な特性により、流動性、濡れの度合いおよび溶融ポリマーの基材への浸透が決まる。これは、ホットメルト接着剤材料としての加工性および実用性の指標となる。溶融粘度は、一般に、ポリマーの分子量と直接関連があり、これは、Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ｔｈｅｒｍｏｓｅｌ ＲＶＴ 粘度計で２７番の回転子を用いて上述の温度で測定され、ミリパスカル秒またはセンチポイズ（ｃＰ）で報告される。

メトラー軟化点（摂氏度または華氏度）は、通常、ＡＳＴＭ Ｄ３１０４により測定される。ポリオレフィン材料は非晶性の性質を有するので、融点がシャープに現れることもはっきりとした値を示すこともない。そうではなく、温度が上昇するにつれて非晶性ポリマーは徐々に固体から軟化した後、液状物質になる。多くの場合、はっきりと定まったガラス転位温度や融点は認められない。この温度の証明は、通常、円盤状のポリマー試料を２℃毎分または１０°Ｆ毎分で昇温することにより試験体である鋼球（グラム）が試料を貫通して落下するのに十分に軟化する正確な温度の測定により行われる。報告されるポリマーの軟化点（摂氏度または華氏度）は、通常はポリマーの耐熱性、有用な適用温度および固化点の指標となるため、重要である。

特許請求の範囲は、好適には、開示したまたは引用した構成要素のいずれかを含むか、これらからなるか、もしくは基本的にこれらからなるか、またはこれらを実質的に含まないものであってもよい。本明細書において例示的に開示した本発明は、本明細書に具体的に開示していない任意の構成要素の非存在下に好適に実施することもできる。上述した様々な実施形態は、例示のみを目的として提供されるものであって、本明細書に添付される特許請求の範囲を限定するものと見なすべきではない。本明細書に例示および記載する例示的な実施形態および用途に従うことなく、かつ次に示す特許請求の範囲の真の趣旨から逸脱することなく、様々な修正および変形を行うことが可能である。

Claims (7)

1. ホットメルト接着剤組成物であって、
   （ｉ）９０〜１０重量％の非晶性ポリオレフィンであって、プロペンモノマー単位および少なくとも４０重量％の１−ブテンモノマー単位を含む、非晶性ポリオレフィンと、
   （ｉｉ）１０〜９０重量％の異相コポリマーであって、プロペンコモノマー単位およびエチレン、１−ヘキセン、および１−オクテンからなる群から選択されるコモノマー単位を含み、非晶性ブロックおよび結晶性ブロックを含む異相コポリマーと、
   （ｉｉｉ）ＡｌＣｌ_３を用いて作製された０〜３０重量％のポリイソブチレン可塑剤とを含み、前記接着剤が、前記異相コポリマーに由来する凝集力を付与し、前記非晶性ポリオレフィン由来の接着強度を付与する、
   ホットメルト接着剤組成物。
2. 前記非晶性ポリオレフィンが、ブテンを５０重量％超と、１種以上のアルファオレフィンＣ２、Ｃ３またはＣ５〜２０モノマーを５０重量％未満とを含む、請求項１に記載の接着剤。
3. 前記異相コポリマーが、プロペンコモノマー単位を４０重量％超と、１種以上のアルファオレフィンＣ２またはＣ４〜２０モノマーを６０重量％未満とを含む、請求項１および２のいずれか一項に記載の接着剤。
4. 前記接着剤が粘着付与剤を実質的に含まない、請求項１〜３のいずれか一項に記載の接着剤。
5. 前記非晶性ポリオレフィンが５０〜９０重量％存在し、前記異相コポリマーが１０〜５０重量％存在する、請求項１〜３のいずれか一項に記載の接着剤。
6. 基材と、フィルム、繊維、セルロースシートまたは不織物とを備え、その間に、請求項１に記載の接着剤を含む接着結合を有する物品であって、前記接着剤が、前記異相コポリマーに由来する凝集力および前記非晶性ポリオレフィンに由来する接着強度を付与する、物品。
7. 基材と、フィルム、繊維、セルロースシートまたは不織物とを備え、その間に、請求項５に記載の接着剤を含む接着結合を有する物品であって、前記接着剤が、前記異相コポリマーに由来する凝集力および前記非晶性ポリオレフィンに由来する接着強度を付与する、物品。