以下、本発明に係るエアーブラスト切削装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置を示した図である。同図に示すように、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1は、噴射ノズル2を介して粒状体としてのドライアイスを圧縮空気とともに噴射する噴射機構3と、噴射ノズル2の噴射方向と平行であって該噴射ノズルの材軸と離間する位置に延びる軸線9の回りに噴射ノズル2が回動自在となりかつ該噴射方向に進退自在となるように該噴射ノズルを保持する駆動機構4とを備える。
噴射機構3は、ドライアイスを作製供給するドライアイス供給機5と圧縮空気を供給するコンプレッサー6とを備えており、粒状体供給ホースとしてのドライアイス供給ホース7を介してドライアイス供給機5を噴射ノズル2に接続するとともに、圧縮空気供給ホース8を介してコンプレッサー6を噴射ノズル2に接続することにより、該噴射ノズルからドライアイスを圧縮空気とともに噴射できるようになっている。
駆動機構4は、軸線9に沿って配置される回転軸10と、該回転軸の一端に回転シャフトが連結されたモータ11と、回転軸10の他端に連結された第1の旋回アームとしての旋回アーム12と、該旋回アームの先端に取り付けられた第1の送り機構としての送り機構13とで概ね構成してある。モータ11と回転軸10との間には、必要に応じて図示しない減速機を適宜介在させるようにしてもかまわない。
ここで、噴射ノズル2は、中空管で構成された第1のロッドとしてのロッド14の先端に取り付けてあり、送り機構13は、ロッド14を進退自在に保持するようになっているとともに、ドライアイス供給ホース7及び圧縮空気供給ホース8は、ロッド14の内部空間に挿通された状態で噴射ノズル2に接続してある。
送り機構13は、例えばロッド14の周面にその材軸方向に沿ってラックギア(図示せず)を取り付けておき、該ラックギアに噛合するピニオンギアが回転軸に取り付けられたモータ(図示せず)を内蔵した構成とすることができる。
ロッド14は、ドライアイス及び圧縮空気の噴射によって切削対象物に形成される切削溝の深さに応じて、その長さを適宜設定すればよい。
旋回アーム12は、その基端側に長孔15を形成してあるとともに、該長孔に回転軸10の他端を挿通して締結ナット16a,16bで該旋回アームの基端側に狭着することにより、回転軸10からの送り機構13の径方向の距離、すなわち送り機構13の旋回半径が可変となるように、該旋回アームを回転軸10に連結できるように構成してある。
本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1は、切削対象物を加熱乾燥する加熱手段としての温風ヒータ17を備えており、ヒータ本体18とその吹出し口に接続された送風ホース19とその先端に接続された送風管20とで構成してある。
送風管20は、温風の吹出し口となる先端の吐出開口が加熱作用部位として噴射ノズル2の近傍に位置決めされるように、該噴射ノズルに抱き合わせて取り付けてある。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1は、制御手段としての制御盤31を備えており、温風ヒータ17に対してドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始を遅延させることができるようになっている。
図2及び図3は、膨潤したベントナイトからなる緩衝材22を切削対象物とし、該切削対象物を本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1で切削することによって、緩衝材22に埋設されたオーバーパック21を回収する様子を示したものである。
本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1を用いてオーバーパック21を回収するには、まず図2に示すように、軸線9が緩衝材22の表面に対してほぼ垂直になるように駆動機構4を位置決めする。なお、本実施形態では、オーバーパック21は、その材軸が緩衝材22の表面と直交するように該緩衝材に埋設してあるものとする。
また、オーバーパック21を取り囲むように切削できるよう、送り機構13の旋回位置を調整する。旋回位置の調整にあたっては、締結ナット16a,16bを緩めた後、旋回アーム12と回転軸10との連結位置を長孔15の長さ範囲内で水平方向に適宜変更した後、所望の位置で締結ナット16a,16bを締め付けるようにすればよい。
次に、制御盤31を操作することにより、温風ヒータ17に対するドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始の遅延時間をセットする。遅延時間は、水分蒸発によって緩衝材22が硬化するのに必要な時間として適宜設定すればよい。
次に、モータ11を作動させて送風管20を軸線9の回りに回動させつつ、温風ヒータ17を作動させることにより、温風を送風管20の先端に設けられた加熱作用部位としての吐出開口から吐出する。
このようにすると、送風管20の吐出開口が、後工程で緩衝材22に形成される切削溝の予定箇所に常に対向配置されるため、切削予定箇所には、温風ヒータ17による加熱乾燥作用が集中する。
そのため、緩衝材22の切削予定箇所は、水分で軟化しているがゆえに切削が困難な状態であっても、温風ヒータ17の加熱乾燥作用によって水分が蒸発して硬化し、切削が可能な状態へとすみやかに変化する。
緩衝材22の切削予定箇所が切削可能な状態へと変化したならば、制御盤31からの作動開始信号に応答する形で、ドライアイス供給機5及びコンプレッサー6を作動させる。
このようにすると、噴射ノズル2がモータ11によって軸線9の回りに回動しているため、噴射ノズル2から噴射されたドライアイス及び圧縮空気は、軸線9を中心とした円に沿って緩衝材22の表面を切削し、緩衝材22には、環状の切削溝23が形成される。
また、切削溝23の底面には、上述した温風ヒータ17からの温風が継続して吹き付けられ、その加熱乾燥作用によって切削溝23の底面が乾燥によって硬化するので、駆動機構4を作動させて噴射ノズル2を噴射方向に適宜前進させるようにすれば、切削溝23の底面をさらに掘り下げることができる。
なお、送風管20は、噴射ノズル2に抱き合わせるように取り付けてあるため、送風管20も噴射ノズル2とともに前進し、送風管20から吹き出された温風は、切削深さにかかわらず、切削溝23の底面に常時作用し、よって温風による上述した硬化作用は、切削プロセスの全体にわたって確実に維持される。
モータ11及び送り機構13を作動させるにあたっては、切削溝23の底面が周方向に沿って均等に掘り下げられるよう、例えば旋回アーム12が360゜ごとに反転するようにモータ11を作動させるとともに、その反転時にロッド14が前進するように送り機構13を作動させればよい。
このように切削溝23の底面が掘り下げられると、緩衝材22は図3に示すように、環状の切削溝23の内側に拡がる円柱状の内側領域24とその外側に拡がる外側領域25とに分断される。
切削溝23の底面が、オーバーパック21の底部近傍位置に設けられた縁切り層26に到達したならば、緩衝材22の切削を終了する。
縁切り層26は、オーバーパック21を引き上げる際、緩衝材22の付着による引張力がオーバーパック21の底部に作用しないよう、オーバーパック21の設置時に緩衝材22に予め埋設されたものであり、例えば砂や鋼板で構成してある。
次に、外側領域25を残して内側領域24だけを取り出すことにより、緩衝材22に埋設されたオーバーパック21を回収する。
以上説明したように、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1によれば、温風ヒータ17からの温風を、送風管20の吐出開口を介して緩衝材22の切削予定箇所及び切削溝23の底面に継続的に吹き付けるようにしたので、切削予定箇所及び切削溝23の底面は、温風の加熱乾燥作用によって水分が蒸発して硬化状態へと変化し、かくして膨潤軟化している緩衝材22であっても切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1によれば、噴射ノズル2を軸線9の回りに回動させながら、該噴射ノズルからドライアイスを圧縮空気とともに噴射するとともに、送り機構13を作動させることでロッド14、ひいてはその先端に取り付けられた噴射ノズル2を前進させるようにしたので、緩衝材22に環状の切削溝23を形成するとともに該切削溝の底面を掘り下げることができる。
そのため、緩衝材22を、円柱状の内側領域24とその外側に拡がる外側領域25とに分断することが可能となり、かくして外側領域25を残して内側領域24だけを取り出すことで、緩衝材22に埋設されたオーバーパック21を、何らせん断付着力を受けることなく、該緩衝材から回収することが可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1によれば、制御盤31を用いて、ドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始を、温風ヒータ17の作動開始よりも遅延させるようにしたので、緩衝材22の切削予定箇所の乾燥による硬化を待って確実に切削を開始することができる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1によれば、噴射ノズル2をロッド14の先端に取り付けた上、該ロッドが進退自在に保持されるように送り機構13を構成したので、ロッド14の長さを適宜調整することによって、切削溝23が深い場合にも切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1によれば、送風管20を、その先端の吐出開口が噴射ノズル2の近傍に位置決めされるように該噴射ノズルに取り付けるようにしたので、送り機構13を適宜作動させることにより、加熱作用部位としての送風管20の吐出開口を緩衝材22の切削溝23に常に対向配置することができる。
そのため、温風ヒータ17による加熱乾燥作用は、切削箇所である環状の切削溝23に集中することとなり、かくして緩衝材22が膨潤軟化していても、切削溝23の底面はすみやかに硬化状態へと変化し、よって継続した切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1によれば、ロッド14を中空管で構成するとともに、ドライアイス供給ホース7及び圧縮空気供給ホース8を、ロッド14の内部空間に挿通された状態で噴射ノズル2に接続するようにしたので、ドライアイス供給ホース7や圧縮空気供給ホース8が切削溝23と干渉するおそれがなくなる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置1によれば、送り機構13の旋回半径が可変となるように、旋回アーム12と回転軸10とを連結したので、緩衝材22に形成される切削溝23の半径を任意の大きさに設定することが可能となり、かくしてオーバーパック21の大きさに関して高い汎用性を付与することができる。
本実施形態では、温風ヒータ17に対し、噴射機構3を構成するドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始を制御盤31で遅延させるように構成するとともに、該制御盤を、設定された遅延時間の経過によって噴射機構3の作動開始タイミングを決定するように構成したが、これに代えて、非接触型の水分計を緩衝材22に対向させる形で送風管20の先端に取り付けておき、該水分計による緩衝材22の含水率計測結果に応じてドライアイス供給機5及びコンプレッサー6が作動を開始するように構成された制御手段とすることが可能である。非接触型の水分計は、市販の光学式水分計から適宜選択すればよい。
一方、温風ヒータ17に対するドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始遅延を人為的に行うのであれば、制御手段を省略してもかまわない。
また、本実施形態では、加熱手段として温風ヒータを採用したが、これに代えて例えばガスバーナーや赤外線ヒータを採用することが可能であり、前者の構成では、バーナー本体を噴射ノズル2に取り付けるとともに、該バーナー本体に接続した燃料ホースをロッド14に挿通した上、燃料容器に接続するようにすればよいし、後者の構成では、セラミック、カーボン等で形成された赤外線ヒータの発熱体を噴射ノズル2に取り付けて該発熱体に接続された電力ケーブルをロッド14に挿通した上、電源装置に接続するようにすればよい。
また、本実施形態では、水分で軟化した切削対象物を硬化させるための手段として加熱手段を採用したが、これに代えて送風手段を採用することが可能であり、かかる構成においても、送風手段の風乾燥作用、すなわち常温空気の気流による乾燥によって切削対象物を硬化させることが可能である。
送風手段は、例えば送風機本体とその吹出し口に接続された送風ホースと該送風ホースの先端に接続された送風管とで構成すればよい。
この場合、送風管の先端に設けられた送風の吹出し口である吐出開口は、空気吐出部位となり、上述した実施形態の加熱作用部位と同様に機能する。
また、本実施形態では、送風管20を噴射ノズル2に直接取り付けるようにしたが、加熱作用部位である送風管20は、噴射ノズル2の近傍に位置決めされれば足りるものであって、噴射ノズル2に代えて、ロッド14の先端近傍に取り付けるようにしてもかまわない。
また、本実施形態では、旋回アーム12を回転軸10に旋回半径調整自在に連結するようにしたが、送り機構13の旋回半径が可変となるのであれば、回転軸10に代えて、送り機構13に旋回アーム12を旋回半径調整自在に連結するようにしてもかまわない。
また、本実施形態及び変形例では、旋回アーム12を回転軸10又は送り機構13に連結することで、送り機構13の旋回半径が可変となるようにしたが、オーバーパック21の形状が一定であるがゆえに、送り機構13の旋回半径を可変にする必要がないのであれば、旋回アーム12の各端を回転軸10と送り機構13にそれぞれ固定する形で連結してもかまわない。
また、本実施形態では、回転軸10に旋回アーム12を一つだけ取り付けるようにしたが、これに代えて、例えば回転軸10に3本の旋回アーム12を120゜間隔で取り付けるとともに、該各旋回アームの先端に送り機構13、ロッド14及び噴射ノズル2並びに送風管20をそれぞれ設置し、旋回アーム12が120゜ごとに逆方向に旋回するようにモータ11を回動させるとともに、その反転時にロッド14が前進するように送り機構13を作動させる構成としてもよい。
また、本実施形態では、噴射ノズル2をロッド14の先端に取り付けた上、該ロッドを送り機構13で進退させるようにしたが、これに代えて図4に示すように、本発明の噴射ノズルを中空ロッド状噴射ノズル41で構成して該中空ロッド状噴射ノズルが進退自在に保持されるように送り機構13を構成するとともに、中空ロッド状噴射ノズル41を、先端側に噴出口42が形成され、基端側にドライアイス供給ホース7と圧縮空気供給ホース8とが接続されるように構成することが可能である。
かかる構成においても、上述の実施形態と同様、中空ロッド状噴射ノズル41の長さを適宜調整することで、切削溝が深い場合にも切削が可能であるとともに、ドライアイス供給ホース7や圧縮空気供給ホース8が中空ロッド状噴射ノズル41の基端側に接続されるため、該各ホースが切削溝23と干渉するおそれもない。
なお、かかる変形例においては、送風管20を、温風の吹出し口となる先端の吐出開口が加熱作用部位として噴出口42の近傍に位置決めされるように、中空ロッド状噴射ノズル41に取り付ければよい。
また、本実施形態では、オーバーパック21の底部近傍位置に縁切り層26が設けられていることを前提として説明したが、場合によっては縁切り層26が設けられていなくてもかまわない。この場合においても、オーバーパック21の周面に緩衝材22からのせん断付着力が作用せず、よってオーバーパック21を容易に引き上げることができる点は、上述の実施形態と同様である。
また、本実施形態では、オーバーパック21が埋設された緩衝材22を本発明の切削対象物としたが、本発明に係るエアーブラスト切削装置は、緩衝材22に代えて、さまざまな物質を切削対象物とすることが可能である。
また、本実施形態では、旋回アーム12をモータ11の駆動力で旋回させるようにしたが、切削対象物に近づいても被爆その他のおそれがないのであれば、モータ11に代えて操作ハンドルを回転軸10に連結し、該操作ハンドルをオペレータが回すことで、旋回アーム12を旋回させるようにしてもかまわない。送り機構13も同様であり、該送り機構に内蔵されるモータに代えて、ロッド14を昇降させるためのハンドルを備えるようにしてもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
図5は、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置を示した図である。同図に示すように、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51は、噴射ノズル2を介してドライアイスを圧縮空気とともに噴射する噴射機構3と、噴射ノズル2の噴射方向と平行であって該噴射ノズルの材軸と離間する位置に延びる軸線9の回りに噴射ノズル2が回動自在となりかつ該噴射方向に進退自在となるように該噴射ノズルを保持する駆動機構4aと、切削対象物を加熱乾燥で硬化させる加熱手段としての赤外線ヒータ55とを備える。
駆動機構4aは、軸線9に沿って配置される回転軸10と、該回転軸の一端に回転シャフトが連結されたモータ11と、回転軸10の他端に互いに異なる角度位置となるように連結された第1の旋回アームとしての旋回アーム12及び第2の旋回アームとしての旋回アーム12aと、旋回アーム12の先端に取り付けられた送り機構13と、旋回アーム12aの先端に取り付けられた第2の送り機構としての送り機構13aとで概ね構成してある。
ここで、第1実施形態で説明したように、噴射ノズル2は、中空管で構成されたロッド14の先端に取り付けてあり、送り機構13は、このロッド14を進退自在に保持するように構成してあるが、詳細な説明はここでは省略する。
赤外線ヒータ55は、セラミック、カーボン等で形成された発熱体53と電力ケーブル56を介して該発熱体と電気接続された電源54とで構成してある。
ここで、発熱体53は、中空管で構成された第2のロッドとしてのロッド52の先端に取り付けてあり、送り機構13aは、ロッド52を進退自在に保持するようになっているとともに、電力ケーブル56は、ロッド52の内部空間に挿通された状態で発熱体53に接続してある。
送り機構13aは送り機構13と同様、例えばロッド52の周面にその材軸方向に沿ってラックギア(図示せず)を取り付けておき、該ラックギアに噛合するピニオンギアが回転軸に取り付けられたモータ(図示せず)を内蔵した構成とすることができる。
ロッド52は、ドライアイス及び圧縮空気の噴射によって切削対象物に形成される切削溝の深さに応じて、その長さを適宜設定すればよい。
旋回アーム12aの基端側には切欠き開口57を材軸方向に沿って形成してあり、該切欠き開口に旋回アーム12の基端側が差し込まれた状態で、回転軸10の他端を旋回アーム12aの基端側に形成された挿通孔(図示せず)と旋回アーム12の基端側に形成された長孔15に挿通した上、締結ナット16a,16bを用いて旋回アーム12及び旋回アーム12aを狭着することにより、回転軸10からの送り機構13及び送り機構13aの径方向の距離、すなわち送り機構13及び送り機構13aの旋回半径が可変となるように、該各旋回アームを回転軸10に連結できるように構成してある。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51は、制御手段としての制御盤31を備えており、赤外線ヒータ55に対してドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始を遅延させることができるようになっている。
本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51も第1実施形態と同様、膨潤したベントナイトからなる緩衝材22を切削対象物としたものであって、該緩衝材に埋設されたオーバーパック21を回収するにあたっては、まず図5に示すように、軸線9が緩衝材22の表面に対してほぼ垂直になるように駆動機構4を位置決めする。
また、オーバーパック21を取り囲むように切削できるよう、送り機構13及び送り機構13aの旋回位置を調整する。旋回位置の調整にあたっては、締結ナット16a,16bを緩めた後、旋回アーム12及び旋回アーム12aと回転軸10との連結位置を切欠き開口57の深さ及び長孔15の長さ範囲で水平方向に適宜変更した後、所望の位置で締結ナット16a,16bを締め付けるようにすればよい。
なお、旋回アーム12及び旋回アーム12aは、送り機構13と送り機構13aの各旋回半径が同じになるように設定する。
また、旋回アーム12及び旋回アーム12aは、任意の角度で回転軸10に取り付けることが可能であるが、本実施形態では、図5に示すように互いに反対側となる角度位置、すなわち180゜隔てた角度位置で回転軸10に取り付けるものとする。
次に、制御盤31を操作することにより、赤外線ヒータ55に対するドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始の遅延時間をセットする。遅延時間は、水分蒸発によって緩衝材22が硬化するのに必要な時間として適宜設定すればよい。
次に、モータ11を作動させてロッド52を軸線9の回りに回動させつつ、赤外線ヒータ55を作動させることにより、加熱作用部位としての発熱体53の発熱面から赤外線を放射する。
このようにすると、発熱体53の発熱面が、後工程で緩衝材22に形成される切削溝の予定箇所に常に対向配置されるため、切削予定箇所には、赤外線ヒータ55による加熱乾燥作用が集中する。
そのため、緩衝材22の切削予定箇所は、水分で軟化しているがゆえに切削が困難な状態であっても、赤外線ヒータ55の加熱乾燥作用によって水分が蒸発して硬化し、切削が可能な状態へとすみやかに変化する。
緩衝材22の切削予定箇所が切削可能な状態へと変化したならば、制御盤31からの作動開始信号に応答する形で、ドライアイス供給機5及びコンプレッサー6を作動させる。
このようにすると、噴射ノズル2がモータ11によって軸線9の回りに回動しているため、噴射ノズル2から噴射されたドライアイス及び圧縮空気は、軸線9を中心とした円に沿って緩衝材22の表面を切削し、緩衝材22には、環状の切削溝23が形成される。
また、切削溝23の底面には、上述した発熱体53からの熱が継続して放射され、その加熱乾燥作用によって切削溝23の底面が乾燥によって硬化するので、駆動機構4aを作動させて噴射ノズル2を噴射方向に適宜前進させるようにすれば、切削溝23の底面をさらに掘り下げることができる。
モータ11、送り機構13及び送り機構13aを作動させるにあたっては、切削溝23の底面が周方向に沿って均等に掘り下げられかつ切削溝23近傍が均等に加熱乾燥されるよう、例えば旋回アーム12及び旋回アーム12aが360゜ごとに反転するようにモータ11を作動させるとともに、その反転時にロッド14及びロッド52が前進するように送り機構13及び送り機構13aを作動させればよい。
なお、送り機構13aは、赤外線による加熱乾燥作用が切削溝23近傍に確実に及ぶよう、送り機構13と同じ送り速度で作動させるのが望ましい。
このように切削溝23の底面が掘り下げられると、緩衝材22は第1実施形態で説明したように(図3参照)、環状の切削溝23の内側に拡がる円柱状の内側領域24とその外側に拡がる外側領域25とに分断されるので、以下、第1実施形態と同様の手順で、緩衝材22に埋設されたオーバーパック21を回収する。
以上説明したように、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51によれば、赤外線ヒータ55を構成する発熱体53からの放射熱を、緩衝材22の切削予定箇所及び切削溝23の底面に継続的に放射させるようにしたので、切削予定箇所及び切削溝23の底面は、放射熱の加熱乾燥作用によって水分が蒸発して硬化状態へと変化し、かくして膨潤軟化している緩衝材22であっても切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51によれば、噴射ノズル2を軸線9の回りに回動させながら、該噴射ノズルからドライアイスを圧縮空気とともに噴射するとともに、送り機構13を作動させることでロッド14、ひいてはその先端に取り付けられた噴射ノズル2を前進させるようにしたので、緩衝材22に環状の切削溝23を形成するとともに該切削溝の底面を掘り下げることができる。
そのため、緩衝材22を、円柱状の内側領域24とその外側に拡がる外側領域25とに分断することが可能となり、かくして外側領域25を残して内側領域24だけを取り出すことで、緩衝材22に埋設されたオーバーパック21を、何らせん断付着力を受けることなく、該緩衝材から回収することが可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51によれば、制御盤31を用いて、ドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始を、赤外線ヒータ55の作動開始よりも遅延させるようにしたので、緩衝材22の切削予定箇所の乾燥による硬化を待って確実に切削を開始することができる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51によれば、噴射ノズル2をロッド14の先端に取り付けた上、該ロッドが進退自在に保持されるように送り機構13を構成したので、ロッド14の長さを適宜調整することによって、切削溝23が深い場合にも切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51によれば、赤外線ヒータ55の発熱体53をロッド52の先端に取り付けた上、該ロッドが進退自在に保持されるように送り機構13aを構成したので、ロッド52の長さを適宜調整することによって、切削溝23が深い場合にも切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51によれば、旋回アーム12及び旋回アーム12aを、送り機構13と送り機構13aの各旋回半径が同じになるように設定した上、発熱体53をその発熱面がロッド52の先端近傍に位置決めされるように該ロッドに取り付けるようにしたので、送り機構13aを適宜作動させることにより、加熱作用部位としての発熱体53の発熱面を緩衝材22の切削予定箇所あるいは切削溝23に常に対向配置することができる。
そのため、赤外線ヒータ55による加熱乾燥作用は、切削予定箇所や切削箇所である環状の切削溝23に集中することとなり、かくして緩衝材22が膨潤軟化していても、切削溝23の底面はすみやかに硬化状態へと変化し、よって継続した切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51によれば、回転軸10の他端に互いに異なる角度位置となるように旋回アーム12と旋回アーム12aとをそれぞれ連結するとともに、旋回アーム12の先端に送り機構13を、旋回アーム12aの先端に送り機構13aをそれぞれ連結した上、送り機構13には、噴射ノズル2が先端に取り付けられたロッド14を保持させ、送り機構13aには、発熱体53が先端に取り付けられたロッド52を保持させるようにしたので、発熱体53による赤外線の放射位置がドライアイスの噴射位置から離隔される。
そのため、発熱体53による加熱乾燥作用が、ドライアイス及び圧縮空気の噴射によって妨げられるおそれがなくなる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51によれば、ロッド14を中空管で構成した上、該ロッドの内部空間にドライアイス供給ホース7及び圧縮空気供給ホース8を挿通するとともに、ロッド52を中空管で構成した上、該ロッドの内部空間に電力ケーブル56を挿通するようにしたので、ドライアイス供給ホース7や圧縮空気供給ホース8、さらには電力ケーブル56が切削溝23と干渉するおそれがなくなる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置51によれば、送り機構13及び送り機構13aの旋回半径が可変となるように、旋回アーム12及び旋回アーム12aと回転軸10とをそれぞれ連結したので、緩衝材22に形成される切削溝23の半径を任意の大きさに設定することが可能となり、かくしてオーバーパック21の大きさに関して高い汎用性を付与することができる。
本実施形態では、赤外線ヒータ55に対し、噴射機構3を構成するドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始を制御盤31で遅延させるように構成するとともに、該制御盤を、設定された遅延時間の経過によって噴射機構3の作動開始タイミングを決定するように構成したが、これに代えて、非接触型の水分計を緩衝材22に対向させる形でロッド14又はロッド52の先端近傍に取り付けておき、該水分計による緩衝材22の含水率計測結果に応じてドライアイス供給機5及びコンプレッサー6が作動を開始するように構成された制御手段とすることが可能である。非接触型の水分計は、市販の光学式水分計から適宜選択すればよい。
一方、赤外線ヒータ55に対するドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始遅延を人為的に行うのであれば、制御手段を省略してもかまわない。
また、本実施形態では、加熱手段として赤外線ヒータを採用したが、これに代えて例えばガスバーナーや温風ヒータを採用することが可能であり、前者の構成では、バーナー本体をロッド52の先端に取り付けるとともに、該バーナー本体に接続した燃料ホースをロッド52に挿通した上、燃料容器に接続するようにすればよいし、後者の構成では、温風ヒータの吹出し口に接続されたダクトやホースをロッド52に挿通した上、それらの吐出開口をロッド52の先端近傍に位置決めするようにすればよい。
また、本実施形態では、水分で軟化した切削対象物を硬化させるための手段として加熱手段を採用したが、これに代えて送風手段を採用することが可能であり、かかる構成においても、送風手段の風乾燥作用、すなわち常温空気の気流による乾燥によって切削対象物を硬化させることが可能である。
送風手段は、例えば送風機本体とその吹出し口に接続された送風ホースとで構成し、該送風ホースをロッド52に挿通した上、その吐出開口をロッド52の先端近傍に位置決めするようにすればよい。
この場合、送風ホースの先端に設けられた送風の吹出し口である吐出開口は、空気吐出部位となり、上述した実施形態の加熱作用部位と同様に機能する。
また、本実施形態では、旋回アーム12及び旋回アーム12aを回転軸10に旋回半径調整自在に連結するようにしたが、送り機構13及び送り機構13aの旋回半径が可変となるのであれば、回転軸10に代えて、送り機構13に旋回アーム12を旋回半径調整自在に連結するとともに、送り機構13aに旋回アーム12aを旋回半径調整自在に連結するようにしてもかまわない。
また、本実施形態及び変形例では、旋回アーム12及び旋回アーム12aを回転軸10又は送り機構13及び送り機構13aに旋回半径調整自在に連結することで、送り機構13及び送り機構13aの旋回半径がそれぞれ可変となるようにしたが、オーバーパック21の形状が一定であるがゆえに、送り機構13や送り機構13aの旋回半径を可変にする必要がないのであれば、旋回アーム12及び旋回アーム12aの各端を回転軸10と送り機構13及び送り機構13aにそれぞれ固定する形で連結してもかまわない。
また、本実施形態では、噴射ノズル2をロッド14の先端に取り付けた上、該ロッドを送り機構13で進退させるようにしたが、これに代えて図4を用いて説明した第1実施形態の変形例、すなわち、本発明の噴射ノズルを中空ロッド状噴射ノズル41を用いて構成することができるが、ここではその説明を省略する。
また、本実施形態では、オーバーパック21の底部近傍位置に縁切り層26が設けられていることを前提として説明したが、場合によっては縁切り層26が設けられていなくてもかまわない。この場合においても、オーバーパック21の周面に緩衝材22からのせん断付着力が作用せず、よってオーバーパック21を容易に引き上げることができる点は、上述の実施形態と同様である。
また、本実施形態では、オーバーパック21が埋設された緩衝材22を本発明の切削対象物としたが、本発明に係るエアーブラスト切削装置は、緩衝材22に代えて、さまざまな物質を切削対象物とすることが可能である。
また、本実施形態では、旋回アーム12及び旋回アーム12aをモータ11の駆動力で旋回させるようにしたが、切削対象物に近づいても被爆その他のおそれがないのであれば、モータ11に代えて操作ハンドルを回転軸10に連結し、該操作ハンドルをオペレータが回すことで、旋回アーム12及び旋回アーム12aを旋回させるようにしてもかまわない。送り機構13及び送り機構13aも同様であり、該送り機構に内蔵されるモータに代えて、ロッド14やロッド52を昇降させるためのハンドルを備えるようにしてもよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態あるいは第2実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
図6は、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置を示した図である。同図に示すように、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61は、噴射ノズル2を介してドライアイスを圧縮空気とともに噴射する噴射機構3と、噴射ノズル2の噴射方向と平行であって該噴射ノズルの材軸と離間する位置に延びる軸線9の回りに噴射ノズル2が回動自在となりかつ該噴射方向に進退自在となるように該噴射ノズルを保持する駆動機構4bと、切削対象物を加熱乾燥で硬化させる加熱手段としての温風ヒータ62とを備える。
駆動機構4bは、軸線9に沿って配置される回転軸10と、該回転軸の一端に回転シャフトが連結されたモータ11と、回転軸10の他端に互いに異なる角度位置となるように連結された第1の旋回アームとしての旋回アーム12及び第3の旋回アームとしての旋回アーム12bと、旋回アーム12の先端に取り付けられた送り機構13と、旋回アーム12bの先端に取り付けられた第3の送り機構としての送り機構13bとで概ね構成してある。
ここで、第1実施形態で説明したように、噴射ノズル2は、中空管で構成されたロッド14の先端に取り付けてあり、送り機構13は、このロッド14を進退自在に保持するように構成してあるが、詳細な説明はここでは省略する。
温風ヒータ62は、ヒータ本体60と該ヒータ本体に接続された送風ホース63と該送風ホースに接続され先端に吐出開口65が形成された送風管64とで構成してある。
送り機構13bは、旋回アーム12bの先端に連結してあり、送風管64を進退自在に保持するようになっている。
送り機構13bは送り機構13と同様、例えば送風管64の周面にその材軸方向に沿ってラックギア(図示せず)を取り付けておき、該ラックギアに噛合するピニオンギアが回転軸に取り付けられたモータ(図示せず)を内蔵した構成とすることができる。
送風管64は、ドライアイス及び圧縮空気の噴射によって切削対象物に形成される切削溝の深さに応じて、その長さを適宜設定すればよい。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61は、制御手段としての制御盤31を備えており、温風ヒータ62に対してドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始を遅延させることができるようになっている。
本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61も第1実施形態と同様、膨潤したベントナイトからなる緩衝材22を切削対象物としたものであって、該緩衝材に埋設されたオーバーパック21を回収するにあたっては、まず図6に示すように、軸線9が緩衝材22の表面に対してほぼ垂直になるように駆動機構4を位置決めする。
また、オーバーパック21を取り囲むように切削できるよう、送り機構13及び送り機構13bの旋回位置を調整する。なお、旋回位置の調整については第2実施形態と同様であり、旋回アーム12と旋回アーム12bとの関係も、旋回アーム12と旋回アーム12aと同様であるので、いずれもその説明を省略する。
次に、制御盤31を操作することにより、温風ヒータ62に対するドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始の遅延時間をセットする。遅延時間は、水分蒸発によって緩衝材22が硬化するのに必要な時間として適宜設定すればよい。
次に、モータ11を作動させて送風管64を軸線9の回りに回動させつつ、温風ヒータ62を作動させることにより、送風管64の先端に形成された加熱作用部位としての吐出開口65から温風を吐出させる。
このようにすると、送風管64の吐出開口65が、後工程で緩衝材22に形成される切削溝の予定箇所に常に対向配置されるため、切削予定箇所には、温風ヒータ62による加熱乾燥作用が集中する。
そのため、緩衝材22の切削予定箇所は、水分で軟化しているがゆえに切削が困難な状態であっても、温風ヒータ62の加熱乾燥作用によって水分が蒸発して硬化し、切削が可能な状態へとすみやかに変化する。
緩衝材22の切削予定箇所が切削可能な状態へと変化したならば、制御盤31からの作動開始信号に応答する形で、ドライアイス供給機5及びコンプレッサー6を作動させる。
このようにすると、噴射ノズル2がモータ11によって軸線9の回りに回動しているため、噴射ノズル2から噴射されたドライアイス及び圧縮空気は、軸線9を中心とした円に沿って緩衝材22の表面を切削し、緩衝材22には、環状の切削溝23が形成される。
また、切削溝23の底面には、上述した温風が継続して吹き付けられており、その加熱乾燥作用によって切削溝23の底面が乾燥によって硬化するので、駆動機構4bを作動させて噴射ノズル2を噴射方向に適宜前進させるようにすれば、切削溝23の底面をさらに掘り下げることができる。
モータ11、送り機構13及び送り機構13bを作動させるにあたっては、切削溝23の底面が周方向に沿って均等に掘り下げられかつ切削溝23近傍が均等に加熱乾燥されるよう、例えば旋回アーム12及び旋回アーム12aが360゜ごとに反転するようにモータ11を作動させるとともに、その反転時にロッド14及びロッド52が前進するように送り機構13及び送り機構13bを作動させればよい。
なお、送り機構13bは、温風による加熱乾燥作用が切削溝23近傍に確実に及ぶよう、送り機構13と同じ送り速度で作動させるのが望ましい。
このように切削溝23の底面が掘り下げられると、緩衝材22は第1実施形態で説明したように(図3参照)、環状の切削溝23の内側に拡がる円柱状の内側領域24とその外側に拡がる外側領域25とに分断されるので、以下、第1実施形態と同様の手順で、緩衝材22に埋設されたオーバーパック21を回収する。
以上説明したように、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61によれば、温風ヒータ62からの温風を、緩衝材22の切削予定箇所及び切削溝23の底面に継続的に吹き付けるようにしたので、切削予定箇所及び切削溝23の底面は、温風による加熱乾燥作用によって水分が蒸発して硬化状態へと変化し、かくして膨潤軟化している緩衝材22であっても切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61によれば、噴射ノズル2を軸線9の回りに回動させながら、該噴射ノズルからドライアイスを圧縮空気とともに噴射するとともに、送り機構13を作動させることでロッド14、ひいてはその先端に取り付けられた噴射ノズル2を前進させるようにしたので、緩衝材22に環状の切削溝23を形成するとともに該切削溝の底面を掘り下げることができる。
そのため、緩衝材22を、円柱状の内側領域24とその外側に拡がる外側領域25とに分断することが可能となり、かくして外側領域25を残して内側領域24だけを取り出すことで、緩衝材22に埋設されたオーバーパック21を、何らせん断付着力を受けることなく、該緩衝材から回収することが可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61によれば、制御盤31を用いて、ドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始を、温風ヒータ62の作動開始よりも遅延させるようにしたので、緩衝材22の切削予定箇所の乾燥による硬化を待って確実に切削を開始することができる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61によれば、噴射ノズル2をロッド14の先端に取り付けた上、該ロッドが進退自在に保持されるように送り機構13を構成したので、ロッド14の長さを適宜調整することによって、切削溝23が深い場合にも切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61によれば、温風ヒータ62の送風管64が進退自在に保持されるように送り機構13bを構成したので、送風管64の長さを適宜調整することによって、切削溝23が深い場合にも切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61によれば、旋回アーム12及び旋回アーム12bを、送り機構13と送り機構13bの各旋回半径が同じになるように設定したので、送り機構13bを適宜作動させることにより、加熱作用部位としての送風管64の吐出開口65を緩衝材22の切削予定箇所あるいは切削溝23に常に対向配置することができる。
そのため、温風ヒータ62による加熱乾燥作用は、切削予定箇所や切削箇所である環状の切削溝23に集中することとなり、かくして緩衝材22が膨潤軟化していても、切削溝23の底面はすみやかに硬化状態へと変化し、よって継続した切削が可能となる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61によれば、回転軸10の他端に互いに異なる角度位置となるように旋回アーム12と旋回アーム12bとをそれぞれ連結するとともに、旋回アーム12の先端に送り機構13を、旋回アーム12bの先端に送り機構13bをそれぞれ連結した上、送り機構13には、噴射ノズル2が先端に取り付けられたロッド14を保持させ、送り機構13bには、温風ヒータ62に接続された送風管64を保持させるようにしたので、温風ヒータ62による温風吐出位置がドライアイスの噴射位置から離隔される。
そのため、ドライアイス及び圧縮空気の噴射によって、温風による加熱乾燥作用が妨げられるおそれがなくなる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61によれば、ロッド14を中空管で構成した上、該ロッドの内部空間にドライアイス供給ホース7及び圧縮空気供給ホース8を挿通したので、ドライアイス供給ホース7や圧縮空気供給ホース8が切削溝23と干渉するおそれがなくなる。
また、本実施形態に係るエアーブラスト切削装置61によれば、送り機構13及び送り機構13bの旋回半径が可変となるように、旋回アーム12及び旋回アーム12bと回転軸10とをそれぞれ連結したので、緩衝材22に形成される切削溝23の半径を任意の大きさに設定することが可能となり、かくしてオーバーパック21の大きさに関して高い汎用性を付与することができる。
本実施形態では、温風ヒータ62に対し、噴射機構3を構成するドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始を制御盤31で遅延させるように構成するとともに、該制御盤を、設定された遅延時間の経過によって噴射機構3の作動開始タイミングを決定するように構成したが、これに代えて、非接触型の水分計を緩衝材22に対向させる形でロッド14又は送風管64の先端近傍に取り付けておき、該水分計による緩衝材22の含水率計測結果に応じてドライアイス供給機5及びコンプレッサー6が作動を開始するように構成された制御手段とすることが可能である。非接触型の水分計は、市販の光学式水分計から適宜選択すればよい。
一方、温風ヒータ62に対するドライアイス供給機5及びコンプレッサー6の作動開始遅延を人為的に行うのであれば、制御手段を省略してもかまわない。
また、本実施形態では、水分で軟化した切削対象物を硬化させるための手段として加熱手段を採用したが、これに代えて送風手段を採用することが可能であり、かかる構成においても、送風手段の風乾燥作用、すなわち常温空気の気流による乾燥によって切削対象物を硬化させることが可能である。
同変形例においては、送風機本体と該送風機本体に接続された送風ホースと該送風ホースに接続され先端に吐出開口が形成された送風管とで送風手段を構成した上、該送風ホースと送風管を、送風ホース63、送風管64でそれぞれ構成すればよい。
また、本実施形態では、旋回アーム12及び旋回アーム12bを回転軸10に旋回半径調整自在に連結するようにしたが、送り機構13及び送り機構13bの旋回半径が可変となるのであれば、回転軸10に代えて、送り機構13に旋回アーム12を旋回半径調整自在に連結するとともに、送り機構13bに旋回アーム12bを旋回半径調整自在に連結するようにしてもかまわない。
また、本実施形態及び変形例では、旋回アーム12及び旋回アーム12bを回転軸10又は送り機構13及び送り機構13bに旋回半径調整自在に連結することで、送り機構13及び送り機構13bの旋回半径がそれぞれ可変となるようにしたが、オーバーパック21の形状が一定であるがゆえに、送り機構13や送り機構13bの旋回半径を可変にする必要がないのであれば、旋回アーム12及び旋回アーム12bの各端を回転軸10と送り機構13及び送り機構13bにそれぞれ固定する形で連結してもかまわない。
また、本実施形態では、噴射ノズル2をロッド14の先端に取り付けた上、該ロッドを送り機構13で進退させるようにしたが、これに代えて図4を用いて説明した第1実施形態の変形例、すなわち、本発明の噴射ノズルを中空ロッド状噴射ノズル41を用いて構成することができるが、ここではその説明を省略する。
また、本実施形態では、オーバーパック21の底部近傍位置に縁切り層26が設けられていることを前提として説明したが、場合によっては縁切り層26が設けられていなくてもかまわない。この場合においても、オーバーパック21の周面に緩衝材22からのせん断付着力が作用せず、よってオーバーパック21を容易に引き上げることができる点は、上述の実施形態と同様である。
また、本実施形態では、オーバーパック21が埋設された緩衝材22を本発明の切削対象物としたが、本発明に係るエアーブラスト切削装置は、緩衝材22に代えて、さまざまな物質を切削対象物とすることが可能である。
また、本実施形態では、旋回アーム12及び旋回アーム12bをモータ11の駆動力で旋回させるようにしたが、切削対象物に近づいても被爆その他のおそれがないのであれば、モータ11に代えて操作ハンドルを回転軸10に連結し、該操作ハンドルをオペレータが回すことで、旋回アーム12及び旋回アーム12bを旋回させるようにしてもかまわない。送り機構13及び送り機構13bも同様であり、該送り機構に内蔵されるモータに代えて、ロッド14や送風管64を昇降させるためのハンドルを備えるようにしてもよい。