以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
D2D端末には、D2D信号送受信用リソース(以下、D2Dリソースともいう)として、周期的な上りリンクリソース群が準静的(semi-static)に割り当てられる。各D2D端末は、D2Dリソース群の一部のリソースを用いて信号を送信する。送信に用いるリソースは、D2D端末がD2Dリソース群内から自律的に選択する方法で決定されるか、無線基地局や他のD2D端末が制御信号により特定のリソースを通知する方法によって決定される。また、D2D端末は、D2Dリソース群内で、他のD2D端末から送信された信号を受信することにより、他のD2D端末を見つけ出したり、通信を行ったりする。
D2Dリソース群は、無線基地局又はD2D端末が制御信号を通知して指定する。図1は、D2D信号送受信用リソースに係る制御信号及びD2D信号の一例を示す図である。
図1Aは、D2D端末がネットワークカバレッジ内に存在する例を説明する図である。図1Aに示すように、D2D端末がネットワークカバレッジ内に存在する場合には、無線基地局がカバレッジ内のD2Dリソースを制御する。D2D端末は無線基地局の制御に従って信号の送受信動作などを行う。
図1B及び図1Cは、D2D端末がネットワークカバレッジ外に存在する例を説明する図である。図1Bに示すように、D2D端末がネットワークカバレッジ外に存在する場合には、あるD2D端末がクラスタヘッドとなって他のD2D端末を制御する。他のD2D端末はクラスタヘッドの制御に従って信号の送受信動作などを行う。あるいは、図1Cに示すように、D2D端末間で個々に制御して信号の送受信動作などを行う。
無線基地局によるD2Dリソースの制御は、ネットワークカバレッジ内でのD2D端末のクラスタヘッド動作が不要となり、D2D端末の消費電力を削減できることから、広い用途が検討されている。無線基地局によるD2Dリソースの制御(図1A)は、例えば端末間直接通信機能(proximity-based service)によるSNS(Social Networking Service)や広告配信などの商業的なユースケースに用いられることが検討されている。一方、D2D端末の自律的な動作(図1B)又は端末間でのD2Dリソースの制御(図1C)は、例えば災害時の緊急通信の場合に用いられることが検討されている。
以下では、無線基地局によるD2Dリソースの制御についてさらに説明する。まず、D2Dリソース群の割り当てについて説明する。D2Dリソース群としては、通常のセルラ通信の上りリンクリソースの一部の利用が検討されている。干渉を避けるために、セルラ通信信号とD2D信号とは、時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)される。
セルラ基地局は、システム情報ブロック(SIB:System Information Block)などに含まれて報知送信されるシステム情報を用いて、エリア内のD2D端末にD2Dリソース群の割り当て情報を通知する。D2Dリソース群の割り当て情報には、D2Dリソース群のキャリア周波数(carrierFreq-D2D)及び時間領域リソース情報が含まれる。
なお、セルラ基地局は、RRC(Radio Resource Control)シグナリングなどの上位レイヤシグナリング又は報知信号を用いて、エリア内のD2D端末にD2Dリソース群の割り当て情報を通知してもよい。
このように、セルラ基地局がシステム情報を用いてエリア内の全てのD2D端末にD2Dリソース群の割り当て情報を通知することにより、アイドル状態のD2D端末も含めたエリア内の全てのD2D端末が、同一の時間周波数リソースをD2Dリソース群として認識することができる。D2D端末は接続中又は在圏中のセルのシステム情報に含まれるD2Dリソース群の割り当て情報に従って、D2D信号の送受信を行う。
D2Dリソース群を認識したD2D端末は、無線基地局からの所定の下り信号(例えば、PSS(Primary Synchronization Signal)/SSS(Secondary Synchronization Signal)、CRS(Cell-specific Reference Signal)など)に基づいて、発見用信号の送受信タイミングを決定する。アイドル状態のD2D端末には、発見用信号の送受信タイミング調整に関する情報を個別に通知することが困難であるため、各D2D端末で共通に認識することのできる無線基地局の下り信号を同期の基準(同期ソース)として利用する。これにより、アイドル状態のD2D端末も含めたエリア内の全てのD2D端末が、発見用信号の送受信タイミングの同期を確立することができる。
以下、同期ソースとなる下り信号を、同期ソース信号と呼ぶ。また、D2D端末が同期ソース信号を受信するタイミングを、受信参照タイミング(receiving reference timing)と呼ぶ。
D2D端末が無線基地局からの同期ソース信号に同期する場合、D2D端末の位置によって受信参照タイミングが異なるため、発見用信号の受信タイミングにずれが生じる。図2は、同じセルに在圏する2つのD2D端末における、発見用信号の受信タイミングのずれの説明図である。
図2には、無線基地局eNBが形成するセルの内部に、D2D端末であるUE1及びUE2が在圏しており、UE2が発見用信号を送信する例が示されている。なお、UE1及びUE2間の距離はD、eNB及びUE1間の距離はD1、eNB及びUE2間の距離はD2(D2>D1)である。また、送受信される信号は、光の速度であるc(≒3.0×108m/s)で伝播するものとする。また、セルのカバレッジエリアの形状は一例であり、図に示す形状に限られない。
図2において、eNBから所定のタイミングで送信された同期ソース信号は、D1/c後にUE1に、D2/c後にUE2に到着する。また、UE2は、当該下り信号を受信すると発見用信号を送信し、当該発見用信号は、さらにD/c後にUE1に到着する。以上から、UE1の発見用信号の受信タイミングは、eNBに基づく受信参照タイミングから、以下の(式1)に示すタイミングオフセット(Timing offset)だけずれることになる。
Timing offset = (D+D2−D1)/c … (式1)
なお、図2の場合において、(式1)の取り得る値の範囲は、[0、2D/c]である。最小値は、例えば、UE1及びUE2が同じ位置に存在する場合に取り得る。最大値は、例えば、UE1がeNBと同じ位置に存在する場合に取り得る。
また、異なるセルのカバレッジ内に存在するD2D端末同士で発見用信号を送受信することが考えられる。例えば、隣接する2つのセルにおいて、複数のD2D端末がそれぞれのセル端付近に位置する場合である。この場合、各D2D端末は、それぞれが在圏するセルの無線基地局から送信された同期ソース信号を受信したタイミング(受信参照タイミング)に基づいて発見用信号の送受信タイミングを決定する。
図3は、異なるセルに在圏する2つのD2D端末における、発見用信号の受信タイミングのずれの説明図である。図3には、無線基地局eNB1が形成するセル1の内部に、D2D端末であるUE1が、無線基地局eNB2が形成するセル2の内部に、D2D端末であるUE2が在圏しており、UE1が発見用信号を送信する例が示されている。なお、UE1及びUE2間の距離はD、eNB1及びUE1間の距離はD1、eNB2及びUE2間の距離はD2である。また、送受信される信号は、光の速度であるcで伝播するものとする。また、発見用信号の送受信タイミングの基準となる、eNB1及びeNB2が送信する同期ソース信号の送信タイミングは、基地局間で同期済みである。
図3において、eNB1から所定のタイミングで送信された同期ソース信号は、D1/c後にUE1に到着する。UE1は、当該信号を受信すると発見用信号を送信し、当該発見用信号は、さらにD/c後にUE2に到着する。また、eNB2からeNB1と同じタイミングで送信された同期ソース信号は、D2/c後にUE2に到着する。以上から、UE2の発見用信号の受信タイミングは、eNB2に基づく受信参照タイミングから、以下の(式2)に示すタイミングオフセット(Timing offset)だけずれることになる。
Timing offset = (D+D1−D2)/c … (式2)
なお、図3の場合において、(式2)の取り得る値の範囲は、[−ΔR/c、(2D+ΔR)/c]である。ここで、ΔRは、セル半径の差の絶対値であり、セル1の半径をR1、セル2の半径をR2としたときにΔR=|R1−R2|で表される。ΔR/cは、各セルで同じタイミングに同期ソースとなる下り信号が送信された場合の、受信参照タイミングのセル間の差の最大値を表している。なお、セル半径が等しい(R1=R2)場合、(式2)の取り得る値の範囲は、(式1)の取り得る値の範囲と同じになる。
(式2)の最小値は、例えば、R1<R2かつ、UE1がeNB1と同じ位置に存在し、UE2がセル1に近い側のセル2のセル端に存在する場合に取り得る。一方、最大値は、例えば、R1>R2かつ、UE1がセル2に近い側のセル1のセル端に存在し、UE2がeNB2と同じ位置に存在する場合に取り得る。
以上から、セル間の発見用信号を受信するタイミングには、セル半径が大きく影響してくることがわかる。このため、セル半径の異なるマクロセルとスモールセルが混在するヘテロジーニアスネットワークにおいては、上述したような発見用信号のタイミングオフセットが深刻な問題となる。当該問題について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、異なるセルに在圏する2つのD2D端末における、発見用信号の受信タイミングのずれの説明図である。図4においては、マクロ基地局MeNBの形成するマクロセルのセル端にUE1が位置し、スモール基地局SeNBの形成するスモールセルのセル端にUE2が位置する点で図3と異なる。
図4において、MeNB及びSeNB間で、同期ソース信号の送信タイミングが同期済みである場合、UE1及びUE2間で、受信参照タイミングがΔR/cずれることになる。例えば、マクロセルの半径を500m、スモールセルの半径を50mとすると、ΔR/c=1.5μsとなる。また、マクロセルの半径を1920m、スモールセルの半径を120mとすると、ΔR/c=6μsとなる。マイクロ秒オーダーのタイミング誤差は、受信処理時に無視できない遅延である。
発見用信号は、受信時の遅延のばらつきを、ある程度吸収できるように構成されている。図5は、3つのユーザ端末から送信された発見用信号のシンボルの一例を示す図である。具体的には、図5に示されるように、先頭にサイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)が付与されており、マルチパス遅延によるシンボル間干渉(ISI:Inter-Symbol Interference)を低減するように構成されている。これにより、各ユーザ端末からの発見用信号のシンボルの受信タイミングが図5の復調窓(Demodulation Window)の範囲に含まれれば、複数の信号に対して一括で高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を適用して復調できるように構成されている。
しかしながら、図4の例で示したように、マイクロ秒オーダーで受信タイミングに差が生じる場合には、シンボル間干渉(ISI)の発生を防止するために、CP長を比較的長くする必要が生じる。CP長を長くすると、シンボルに含まれる情報量が減少するため、発見用信号の送信効率が低下する。
以上から、セル半径の異なるマクロセルとスモールセルが混在するヘテロジーニアスネットワークにおいては、発見用信号の送受信タイミングの同期にずれが生じることで、システム全体のスループットが低下するおそれがある。
この課題を解決するため、本発明者らは、D2D端末の発見用信号を、セル半径による送受信タイミングの同期のずれの影響を低減するように送信することを着想した。具体的には、本発明者らは、発見用信号の送信に係るD2Dリソース群を、セル半径が異なる複数のセルに対して時分割多重(TDM)して割り当てることを着想した。また、無線基地局からの同期ソース信号の送信タイミングを、セル毎に変更することを着想した。
これらの構成によれば、セル半径の異なるセル間の受信参照タイミングの違いの影響を低減することが可能となる。具体的には、受信参照タイミングを基準として、当該基準と発見用信号の受信タイミングとの時間差(上記のタイミングオフセット)が取り得る値の範囲を、セル半径が異なる複数のセルを統合した1つのセルとみなした場合におけるタイミングオフセットが取り得る値の範囲と同じになるように、発見用信号の送受信タイミングを制御することが可能となる。
例えば、異なるセル間の発見用信号のタイミングオフセットは、(式2)の取り得る値の範囲である[−ΔR/c、(2D+ΔR)/c]であるが、これを1つのセルに係る(式1)の取り得る値の範囲である[0、2D/c]にすることができる。このため、発見用信号に係るCP長の伸張を抑制することができ、システム全体のスループット低下を抑制することができる。
以下、本発明の一実施の形態(以下、本実施の形態と呼ぶ)に係る無線通信方法を詳細に説明する。以下では、マクロセルに在圏するD2D端末と、当該マクロセルに隣接するスモールセルに在圏するD2D端末と、の発見用信号の送受信を例に説明するが、これに限られない。例えば、隣接するセルがセル半径の異なるマクロセル同士であってもよいし、隣接するセルの数が2つ以上でもよい。
なお、セル半径は、セルを形成する無線基地局の電波の送信電力、電波の周波数、電波を送信するアンテナの位置(高さ)などによって変わる。本実施の形態ではセル半径に着目するが、上記のいずれかで言い換えてもよい。例えば、セル半径が大きいということは、電波の送信電力が大きい、電波の周波数が低い、電波を送信するアンテナの位置が高いと言い換えることができる。
(態様1)
本実施の形態に係る無線通信方法の態様1は、発見用信号に割り当てるD2Dリソース群を、セル半径が異なる複数のセルごとに時分割多重(TDM)して割り当てるものである。上述のとおり、本実施の形態では、セルラ通信信号とD2D信号とがTDMされているが、態様1ではさらに、発見用信号の無線リソースをセル毎にTDMする。なお、発見用信号に限られず、他のD2D信号を態様1に基づいてTDMする構成としてもよい。
ここで、セル半径が異なる複数のセルは、例えば、当該複数のセルについて、セル半径の差の絶対値ΔRが所定の値以上(例えば、1m以上、10m以上、100m以上など)という条件を満たす複数のセルとしてもよい。また、ΔRを光速cで割った値が所定の値以上である複数のセルは、セル半径が異なると判断してもよい。
また、マクロセル、スモールセル、ピコセルなど、構成が異なる(例えば、当該セルを形成する無線基地局の性能が異なる)複数のセルは、セル半径が異なると判断してもよい。これによれば、例えば、マクロセルに在圏するD2D端末と、当該マクロセルに隣接するスモールセルに在圏するD2D端末と、の発見用信号をTDMすることができる。
図6は、本実施の形態の態様1における発見用信号に割り当てるD2Dリソース群の模式図を示す。図6Aは、態様1に係る発見用信号のセル毎のTDMの模式図である。図6Aでは、無線基地局と送受信されるセルラ信号(WAN)、マクロセルに在圏するD2D端末が利用するマクロセル用発見用信号、スモールセルに在圏するD2D端末が利用するスモールセル用発見用信号の3つの信号がそれぞれ送信されるリソース領域が、TDMされている。
態様1における発見用信号のためのリソース群割り当て方法として、送信用/受信用リソースに分けて割り当てる構成(態様1.1)や、セル内/セル間リソースに分けて割り当てる構成(態様1.2)を用いることができる。以下、それぞれの態様について説明する。
図6Bは、態様1.1における発見用信号に割り当てるD2Dリソース群の模式図を示す。図中の固有リソース(specific resource)は、所定のセルにおいて、在圏するD2D端末が発見用信号を送信可能なリソースである。固有リソースはセル毎にTDMを適用して異なるリソースに割り当てられる。また、共通リソース(common resource)は、各セルのD2D端末が発見用信号を受信可能なリソースである。なお、図6Bに示すように、固有リソースは、共通リソースの一部の領域に重畳していてもよい。
図6Cは、態様1.2における発見用信号に割り当てるD2Dリソース群の模式図を示す。図中のセル内リソース(intra-cell resource)は、所定のセルにおいて、在圏する(自セル内の)ユーザ端末が発見用信号を送信可能なリソースである。
また、セル間リソース(inter-cell resource)は、所定のセルにおいて、自セル外(他セル内)のユーザ端末が発見用信号を送信可能なリソースである。セル内リソースとセル間リソースとは、TDMを適用して異なるリソースに割り当てられる。
なお、セル半径が異なる複数のセルを分類した結果、3つ以上のセル群がある場合には、当該3つ以上のセル群についてD2DリソースをTDMしてもよい。例えば、セル半径小、中及び大の3つのセル群が存在する場合には、D2Dリソースを、セル内リソース、第1のセル間リソース、第2のセル間リソースのように分けて、TDMしてもよい。
図7は、態様1.2における発見用信号に割り当てるD2Dリソース群の一例を示す図である。図7においては、2つのマクロセル(マクロセル1、2)が互いに隣接しているとともに、4つのスモールセル(スモールセル1−4)がマクロセル内に含まれて配置されている。例えば、図7の下部に示すように、マクロセル1及び2のセル内リソース(D2D−intra)がセル間リソース(D2D−inter)より早いタイミングで送信されるようにTDMされたとする。この場合、マクロセルのセル内リソースは、各スモールセルにとってはセル間リソースである。また、マクロセルのセル間リソースは、各スモールセルにとってはセル内リソースである。このため、スモールセル1−4のセル間リソースは、セル内リソースより早いタイミングで送信されるようにTDMされる。
また、態様1.1及び態様1.2のいずれであっても、各送信タイミング(例えば、サブフレーム)には、セル半径が略同等のセル群(セル半径が異ならないと判断されたセル群)の複数のD2D端末が送信する発見用信号が含まれるように構成することができる。
(D2D端末へのシグナリング)
発見用信号に割り当てるD2Dリソース群に関する情報は、無線基地局が、セル内のユーザ端末に対して通知する。当該通知は、リソース割り当て信号(resource allocation signal)と呼ばれてもよい。リソース割り当て信号は、下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel、EPDCCH:Enhanced PDCCH)による下り制御情報(DCI:Downlink Control Information)、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)及び報知信号(例えば、SIB)のいずれかを用いて通知されてもよい。
態様1.1では、D2D端末に対して、固有リソース及び共通リソースそれぞれに関する情報が通知されてもよい。また、共通リソースに関する情報の通知を省略する構成としてもよい。この場合、例えばWANが割り当てられていないリソースを共通リソースと判断することができる。
態様1.2では、D2D端末に対して、セル内リソース及びセル間リソースそれぞれに関する情報が通知されてもよい。また、一方のリソースに関する情報の通知を省略する構成としてもよい。この場合、例えばWANが割り当てられていないリソースのうち、通知された情報が示すD2Dリソース以外を、他方のD2Dリソースと判断することができる。
なお、発見用信号の送信リソース指定方法として、Type1(衝突型)及びType2(非衝突型)が検討されているが、本実施の形態にはいずれを適用してもよい。Type1では、無線基地局が、発見用信号をマッピング可能なリソースの候補、すなわちリソース群をD2D端末に通知し、各D2D端末は当該候補からランダムに自端末の送信用リソースを決定する。また、Type2では、無線基地局が、発見用信号を割り当て可能なリソースの候補から選択したリソースをD2D端末に通知し、各D2D端末は指定された送信用リソースで発見用信号の送信を行う。例えば、態様1.1における固有リソース、態様1.2におけるセル内リソースなどを、割り当て候補として利用することができる。
(D2D端末への補助情報のシグナリング)
態様1において、セル間リソースに関するリソース割り当て信号に、さらにセル間の発見用信号の受信に関する補助情報(assistance information)を含めてもよい。例えば、補助情報としてセル半径の差に関する情報を通知することで、セル間の受信参照タイミングの違いを低減することができる。以下、図8を参照して、具体的な例を説明する。
図8は、補助情報を用いて、セル間の受信参照タイミングの違いを低減する場合の一例を示す図である。例えば、マクロセル及びスモールセルのセル内リソース(D2D−intra)とセル間リソース(D2D−inter)が図のように設定される。これらの発見用信号に割り当てるD2Dリソースに関する情報として、eNBはUE1に、SeNBはUE2にリソース割り当て信号を送信する。また、当該リソース割り当て信号には、補助情報としてセル間の受信参照タイミングの差の最大値であるΔT(=ΔR/c)が含まれている。
ΔTを含むリソース割り当て信号を受信した各D2D端末(UE1、UE2)は、セル間リソース(D2D−inter)について、ΔTに基づき発見用信号の受信処理開始タイミング(DL timing)をシフトさせる。つまり、マクロセル内のD2D端末は、自端末の受信参照タイミングが、スモールセル内のD2D端末の受信参照タイミングよりΔT大きいことを認識して、D2D−interの受信処理開始タイミングをDL timing−ΔTに変更する。一方、スモールセル内のD2D端末は、自端末の受信参照タイミングが、マクロセル内のD2D端末の受信参照タイミングよりΔT小さいことを認識して、D2D−interの受信処理開始タイミングをDL timing+ΔTに変更する。
なお、D2D端末は、D2D−interの受信処理開始タイミングにΔTを加算するか減算するかを、自端末が在圏するセルに関する情報に基づいて判断しても良い。また、D2D端末は、D2D−interの受信処理開始タイミングに、通知された補助情報に含まれる値を用いて所定の演算を行う構成とし、当該含まれる値を+ΔT又は−ΔTとする構成としてもよい。
また、ΔTではなく、セル半径の差の絶対値であるΔRや、各セルの半径に関する情報(例えば、R1、R2)などを補助情報として通知し、D2D端末がΔTを算出してもよい。また、各無線基地局とD2D端末との間の距離を補助情報として通知し、受信処理開始タイミングを調整する構成としてもよい。
なお、補助情報は、リソース割り当て信号に含まずに、別の信号としてD2D端末に通知されてもよい。例えば、補助情報は、下り制御チャネル、上位レイヤシグナリング及び報知信号のいずれかを用いて通知されてもよい。
(基地局間シグナリング)
態様1で、各セルのD2D端末に割り当てる発見用信号のリソース群をTDMするためには、基地局間シグナリングによりD2Dリソース割り当ての調整に関する情報を交換することが必要となる。基地局間シグナリングは、基地局間インターフェース(例えば、光ファイバ、X2インターフェース)や無線を介して送受信することができる。
図9は、マクロ基地局が発見用信号のD2Dリソース群割り当てを行う場合のシーケンス図である。この場合、まず、スモール基地局SeNBが、マクロ基地局MeNBに対して、D2Dリソース設定要求(D2D resource configuration request)を通知する(ステップS11)。D2Dリソース設定要求を受信したMeNBは、利用可能なD2Dリソース群を割り当てる(ステップS12)。そして、MeNBは、割り当てたD2Dリソース群に関する情報(D2Dリソース設定、D2D resource configuration)を含むD2Dリソース設定応答(D2D resource configuration response)を通知する(ステップS13)。なお、MeNBは、スモールセルに割り当てていないD2Dリソースから、マクロセル内の発見用信号に用いるリソース群を割り当てることができる。
図10は、マクロ基地局及びスモール基地局が協調して発見用信号のD2Dリソース群割り当てを行う場合のシーケンス図である。この場合、まず、SeNBが、マクロ基地局MeNBに対して、自セルで利用したい発見用信号のD2Dリソース設定を含むD2Dリソース設定更新(D2D resource configuration update)を通知する(ステップS21)。D2Dリソース設定更新を受信したMeNBは、D2Dリソース設定更新が示すD2Dリソース群と重複する(duplicate)リソース群が存在するか否かを判定する(ステップS22)。重複リソース群が存在しない場合(ステップS22−NO)、MeNBは当該D2Dリソース群をセル間リソースに設定し、SeNBに対して、D2Dリソース設定確認(D2D resource configuration confirm)を通知する(ステップS23)。
一方、重複リソースが存在する場合(ステップS22−YES)、SeNBに対して、D2Dリソース設定却下(D2D resource configuration reject)を通知する(ステップS24)。D2Dリソース設定却下を受信したSeNBは、再度別のD2Dリソース設定を決めてステップS21を実施してもよい。また、ステップS24において、MeNBが、スモールセル内の発見用信号に用いるD2Dリソース群を割り当てて、D2Dリソース設定却下とともに、又は別のシグナリングによりSeNBに通知して、SeNBが通知されたD2Dリソース群を用いる構成とすることができる。
なお、MeNBが自セルで利用したい発見用信号のD2Dリソース設定を含むD2Dリソース設定更新をSeNBに通知するなどして、図9においてMeNB及びSeNBの立場を入れ替えた処理を実施する構成としてもよい。
また、態様1において、セル半径の差に関する補助情報を用いるためには、基地局間でセル半径を通知する必要がある。セル半径に関する情報は、隣接セルを形成する無線基地局に報知してもよいし、図9のD2Dリソース設定要求/応答のように、無線基地局間で個別に要求/応答のシグナリングにより通知してもよい。
前者の場合、例えば、マクロ基地局が、マクロセルのセル半径に関する情報を無線により報知して、マクロセルのカバレッジエリア内に含まれるスモール基地局が、当該情報を受信してマクロセルのセル半径を取得することができる。
後者の場合、例えば、スモール基地局が、隣接するマクロ基地局に対してセル半径要求(cell radius request)を通知する。当該セル半径要求を受信したマクロ基地局は、スモール基地局に対して、マクロセルのセル半径を含むセル半径応答(cell radius response)を通知する。なお、スモール基地局は、セル半径要求にスモールセルのセル半径を含めてもよい。また、マクロ基地局がスモール基地局に対してセル半径要求を通知し、スモール基地局がセル半径応答を返信する構成としてもよい。
また、無線基地局には、隣接セルのセル半径や、セル半径の差の情報が予め設定されていてもよい。例えば、マクロセルのカバレッジエリアに重畳してスモール基地局が設置される場合、マクロセルのセル半径に関する情報を、設置時にスモール基地局が有する構成とすることができる。
以上、本実施の形態に係る無線通信方法の態様1によれば、発見用信号の送信に係るD2Dリソース群を、セル半径が異なる複数のセルに対して時分割多重して割り当てる。これにより、セル半径が異なるセル間の発見用信号送受信において、送受信タイミングの同期のずれの影響を低減し、システム全体のスループット低下を抑制することができる。
(態様2)
本実施の形態に係る無線通信方法の態様2は、無線基地局からの同期ソース信号の送信タイミングを、セル毎に変更するものである。これにより、セル端付近に位置するD2D端末が同期ソース信号を受信するタイミングを、各セルで略同一にすることができる。
図11は、本実施の形態の態様2における処理フローを示す説明図である。まず、態様2においては、各無線基地局は他の無線基地局のセル半径を取得する。図11では、態様1の補助情報に関して上述したようなセル半径要求/応答を用いてセル半径の情報をマクロ基地局eNB及びスモール基地局SeNBが共有する。
具体的には、SeNBは、MeNBに対して、セル半径要求を通知する(ステップS31)。セル半径要求を受信したMeNBは、SeNBに対して、マクロセルのセル半径R1を含むセル半径応答を通知する(ステップS32)。
MeNBは、所定のタイミングT0で同期ソース信号を送信する(ステップS33)。一方、SeNBは、セル半径応答に含まれるR1と、自局が形成するスモールセルの半径R2(R2<R1)と、に基づいてセル半径の差の絶対値ΔR(=|R1−R2|)を算出する。また、ΔRに基づいて、同期ソース信号に適用する遅延時間ΔT(=ΔR/c)を算出する。そして、SeNBは、所定のタイミングT0に遅延時間ΔTを加えたタイミングで、同期ソース信号を送信する(ステップS34)。
同期ソース信号を受信したUE1、UE2は、発見用信号の送受信処理を実施する(ステップS35)。この例では、UE1、UE2における発見用信号の受信タイミングは、それぞれMeNB、SeNBに基づく受信参照タイミングから、以下の(式3)、(式4)に示すタイミングオフセット(Timing offset)だけずれることになる。なお、(式3)及び(式4)の取り得る値の範囲は、いずれも[0、2D/c]となり、同じセルに在圏する2つのD2D端末の場合の(式1)が取り得る値の範囲と同様となる。
Timing offset = (D+D2−D1)/c + ΔT … (式3)
Timing offset = (D+D1−D2)/c − ΔT … (式4)
なお、態様2においては、図11で示した例のように、SeNBの同期ソース信号の送信タイミングを変更する構成が好ましい。特に、マクロセル内に複数の半径の異なるスモールセルが含まれる場合には、MeNBよりSeNBの同期ソース信号の送信タイミングをシフトする構成が好ましい。この場合、MeNBはスモールセルのセル半径を通知される必要がないため、無線基地局間で互いにセル半径を通知する場合に比べてバックホール回線の通信量を低減することができる。
ただし、これに限られない。例えば、図11の例で、MeNBがタイミングT0ーΔTで同期ソース信号を送信し、SeNBは、所定のタイミングT0で同期ソース信号を送信することができる。
以上、本実施の形態に係る無線通信方法の態様2によれば、無線基地局からの同期ソース信号の送信タイミングを、セル毎に変更する。これにより、セル半径の異なるセル間の送受信タイミングの同期のずれの影響を低減し、システム全体のスループット低下を抑制することができる。
なお、態様1と態様2は、適宜切り替えて適用することができる構成としてもよい。例えば、無線基地局が、配下のD2D端末数に基づいて態様を切り替えてもよいし、他の無線基地局との電波干渉のレベルに応じて態様を切り替えてもよい。
(無線通信システムの構成)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの構成について説明する。この無線通信システムでは、上記態様1及び/又は態様2に係る無線通信方法が適用される。
図12は、本実施の形態に係る無線通信システムの一例を示す概略構成図である。図12に示すように、無線通信システム1は、複数の無線基地局10(11及び12)と、各無線基地局10によって形成されるセル内にあり、各無線基地局10と通信可能に構成された複数のユーザ端末20と、を備えている。無線基地局10は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。
図12において、無線基地局11は、例えば相対的に広いカバレッジを有するマクロ基地局で構成され、マクロセルC1を形成する。無線基地局12は、局所的なカバレッジを有するスモール基地局で構成され、スモールセルC2を形成する。なお、無線基地局11及び12の数は、図12に示す数に限られない。
マクロセルC1及びスモールセルC2では、同一の周波数帯が用いられてもよいし、異なる周波数帯が用いられてもよい。また、無線基地局11及び12は、基地局間インターフェース(例えば、光ファイバ、X2インターフェース)を介して互いに接続される。
なお、マクロ基地局11は、eNodeB(eNB)、無線基地局、送信ポイント(transmission point)などと呼ばれてもよい。スモール基地局12は、RRH(Remote Radio Head)、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB、送信ポイント、eNodeB(eNB)などと呼ばれてもよい。
ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでいてもよい。ユーザ端末20は、無線基地局10を経由して他のユーザ端末20と通信を実行できる。また、ユーザ端末20は、無線基地局10を経由せずに、他のユーザ端末20と直接通信(D2D)を実行できる。すなわち、ユーザ端末はD2D端末であり、D2D発見、D2D同期、D2D通信などのための端末間信号(D2D信号)を直接送受信する機能を有する。なお、D2D信号はSC−FDMA(Single Carrier−Frequency Division Multiple Access)を基本の信号フォーマットとするが、これに限られない。
上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)などが含まれるが、これに限定されるものではない。
無線通信システム1では、下りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)、下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel、EPDCCH:Enhanced Physical Downlink Control Channel)、報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)などが用いられる。PDSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報、所定のSIB(System Information Block)が伝送される。PDCCH、EPDCCHにより、下り制御情報(DCI)が伝送される。また、PBCHにより、同期信号や、MIB(Master Information Block)などが伝送される。
無線通信システム1では、上りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)などが用いられる。PUSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報が伝送される。また、無線通信システム1では、上りリンクリソースを用いて、ユーザ端末20間で互いを検出するための発見用信号が送信される。
図13は、本実施の形態に係る無線基地局10の全体構成図である。無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御(例えば、HARQ(Hybrid ARQ)の送信処理)、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われて各送受信部103に転送される。また、下り制御信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換などの送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナごとにプリコーディングして出力された下り信号を無線周波数帯に変換する。また、送受信部103は、本実施の形態に係る送信部を構成する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。
一方、上り信号については、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅され、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、入力された上り信号に含まれるユーザデータに対して、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理、逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse Discrete Fourier Transform)処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
伝送路インターフェース106は、基地局間インターフェース(例えば、光ファイバ、X2インターフェース)を介して隣接無線基地局と信号を送受信(バックホールシグナリング)する。また、伝送路インターフェース106は、所定のインターフェースを介して、上位局装置30と信号を送受信する。
図14は、本実施の形態に係る無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104の主な機能構成図である。図14に示すように、無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104は、制御部301と、送信信号生成部302と、マッピング部303と、デマッピング部304と、受信信号復号部305と、を少なくとも含んで構成されている。
制御部301は、PDSCHで送信される下りユーザデータ、PDCCHと拡張PDCCH(EPDCCH)の両方、又はいずれか一方で伝送される下り制御情報、下り参照信号などのスケジューリングを制御する。また、制御部301は、PRACHで伝送されるRAプリアンブル、PUSCHで伝送される上りデータ、PUCCH又はPUSCHで伝送される上り制御情報、上り参照信号のスケジューリングの制御(割り当て制御)も行う。上りリンク信号(上り制御信号、上りユーザデータ)の割り当て制御に関する情報は、下り制御信号(DCI)を用いてユーザ端末20に通知される。
制御部301は、上位局装置30からの指示情報や各ユーザ端末20からのフィードバック情報に基づいて、下りリンク信号及び上りリンク信号に対する無線リソースの割り当てを制御する。つまり、制御部301は、スケジューラとしての機能を有している。なお、別の無線基地局10又は上位局装置30が、複数の無線基地局10に対して統括的なスケジューラとして機能する場合、制御部301は、スケジューラとしての機能を省略してもよい。
制御部301は、D2D信号の送受信に係る制御信号をユーザ端末20に対して通知するように、送信信号生成部302及びマッピング部303を制御する。
具体的には、制御部301は、上位レイヤシグナリング又は報知信号を用いて、D2Dリソース情報を少なくとも含むシステム情報をユーザ端末20に通知するように制御する。例えば、制御部301は、ユーザ端末20がD2D信号送受信を実行する周波数キャリアと、ユーザ端末20に対するD2D信号送受信の制御を行う周波数キャリアとの同期状態情報を、システム情報に含めてユーザ端末20に通知するように制御する。また、制御部301は、システム情報ブロック(SIB:System Information Block)を報知送信することで、エリア内のD2D端末にD2Dリソース群の割り当て情報を通知する。
また、制御部301は、ユーザ端末20がD2D信号の送受信タイミングの同期基準として用いる同期ソース信号(例えば、PSS/SSS、CRSなど)を送信するように制御する。
制御部301は、自局が形成するセルと、他の無線基地局10が形成するセルと、のセル半径の差によるD2D信号の送受信タイミングの同期のずれの影響を低減するように、リソース割り当てに係る制御を実施する。
具体的には、制御部301は、ユーザ端末20が、発見用信号に割り当てるD2Dリソースを、セル半径が異なる複数のセルに対して時分割多重(TDM)してマッピングするための、リソース割り当て情報を生成して通知するように制御する(態様1)。
制御部301は、当該TDMを、D2D端末が発見用信号を送信/受信できるリソースである固有/共通リソースに分ける構成としてもよい(態様1.1)。また、制御部301は、当該TDMを、制御部301を含む無線基地局10が形成するセル内/セル外のユーザ端末20がそれぞれ送信可能なリソースであるセル内/セル間リソースに分ける構成としてもよい(態様1.2)。
また、制御部301は、同期ソース信号の送信タイミングを、セル毎に変更するように制御してもよい(態様2)。例えば、同期ソース信号を、セル半径の差の絶対値に基づいて算出した時間だけ遅延させて送信する。
以上の構成により、例えば制御部301は、ユーザ端末20において、受信参照タイミングを基準として、当該基準と発見用信号の受信タイミングとの時間差が取り得る値の範囲を、自局が形成するセルと他の無線基地局10が形成するセルとを1つのセルとみなした場合におけるタイミングオフセットが取り得る値の範囲と同じになるように、発見用信号に割り当てるD2Dリソースに関する情報(リソース割り当て情報)の内容又は同期ソース信号の送信タイミングを制御することができる。なお、上記の2つのセルを1つのセルとみなすという仮定においても、各ユーザ端末10はそれぞれ在圏するセルを形成する無線基地局10からの同期ソース信号を基準とする。
制御部301は、伝送路インターフェース106を介して、各セルのD2D端末に割り当てる発見用信号のリソース調整のためのシグナリングや、同期ソース信号の送信タイミング変更のためのシグナリングを、他の無線基地局10や上位局装置30と送受信する。前者のシグナリングとしては、例えばD2Dリソース設定応答/要求、D2Dリソース設定更新、D2Dリソース設定確認、D2Dリソース設定却下などを利用することができる。
また、制御部301は、伝送路インターフェース106を介して、他の無線基地局10が形成するセルのセル半径を取得したり、他の無線基地局10に自局の形成するセルのセル半径を通知したりするように制御することができる。
送信信号生成部302は、制御部301により割り当てが決定された下り制御信号や下りデータ信号、下り参照信号などを生成して、マッピング部303に出力する。具体的には、送信制御信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、下り信号の割り当て情報を通知するDLアサインメント及び上り信号の割り当て情報を通知するULグラントを生成する。また、下りデータ信号には、各ユーザ端末20からのCSIなどに基づいて決定された符号化率、変調方式に従って符号化処理、変調処理が行われる。
また、送信信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、発見用信号に割り当てるD2Dリソースに関する情報を、下り制御チャネル(PDCCH、EPDCCH)による下り制御情報(DCI)として生成してもよいし、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)や報知信号(例えば、SIB)として生成してもよい。また、送信信号生成部302は、セル半径の差に関する情報などの、セル間の発見用信号の受信に関する補助情報を生成してもよい。
マッピング部303は、制御部301からの指示に基づいて、送信信号生成部302で生成された下り信号を無線リソースにマッピングして、送受信部103に出力する。
デマッピング部304は、送受信部103で受信された信号をデマッピングして、分離した信号を受信信号復号部305に出力する。具体的には、デマッピング部304は、ユーザ端末20からから送信された上りリンク信号をデマッピングする。
受信信号復号部305は、上り制御チャネル(PRACH、PUCCH)でユーザ端末から送信された信号(例えば、送達確認信号)を復号し、制御部301へ出力する。
図15は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。図15に示すように、ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(受信部)203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205と、を備えている。
下りリンクのデータについては、複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部204でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などがなされる。この下りリンクのデータのうち、下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータのうち、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御の送信処理(例えば、HARQの送信処理)や、チャネル符号化、プリコーディング、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)処理、IFFT処理などが行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
送受信部203は、接続中又は在圏中の無線基地局10から送信される、D2D信号送受信用リソース情報を少なくとも含むシステム情報を受信する。送受信部203は、指定された周波数キャリアにおける指定されたD2Dリソース群の一部を用いて信号を送信する。送受信部203は、他のユーザ端末20から送信された信号をD2D信号送受信用リソースの中から受信する。また、送受信部203は、本実施の形態に係る受信部を構成する。
図16は、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204の主な機能構成図である。図16に示すように、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204は、制御部401と、送信信号生成部402と、マッピング部403と、デマッピング部404と、受信信号復号部405と、を少なくとも含んで構成されている。
制御部401は、無線基地局10から送信された下り制御信号(PDCCH信号)や、受信したPDSCH信号に対する再送制御の可否を判定した結果に基づいて、上り制御信号(HARQ−ACK信号など)や上りデータ信号の生成を制御する。無線基地局から受信した下り制御信号は、受信信号復号部405から出力される。
また、制御部401は、無線基地局10から通知されたD2Dリソース情報に基づいて、D2D信号のリソースマッピングを制御する。制御部401は、システム情報及び同期ソース信号に基づいて、D2Dリソースの同期を制御する。
また、制御部401は、無線基地局10から通知された発見用信号に割り当てるD2Dリソースに関する情報(リソース割り当て情報)に基づいて、セル半径の差によるD2D信号の送受信タイミングの同期のずれの影響を低減するように、発見用信号の送信用のD2Dリソースをマッピングするための制御を実施する。
具体的には、制御部401は、発見用信号に割り当てるD2Dリソースを、セル半径が異なる複数のセルに対して時分割多重(TDM)してマッピングするように制御する(態様1)。例えば、制御部401は、固有リソース及び/又は共通リソースに関する情報に基づいて、発見用信号を固有/共通リソースに分けてマッピングしてもよい(態様1.1)。また、制御部401は、セル内リソース及び/又はセル間リソースに関する情報に基づいて、自端末が在圏する無線基地局10が形成するセル内/セル外のユーザ端末が送信可能なリソースであるセル内/セル間リソースに分けてマッピングしてもよい(態様1.2)。
制御部401は、受信信号復号部405に対して、各リソースの受信処理開始タイミングに関する情報を出力してもよい。また、制御部401は、セル間の発見用信号の受信に関する補助情報に基づいて、セル間リソースの受信処理開始タイミングを変更するように制御することができる。この場合、制御部401は、受信信号復号部405に対して、取得又は算出したセル間リソースの受信処理開始タイミングに関する情報を出力する。
送信信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて、たとえば送達確認信号(HARQ−ACK)やチャネル状態情報(CSI)などの上り制御信号を生成する。上り制御信号(送達確認信号やなどのフィードバック信号)を生成する。また、送信信号成部402は、制御部401からの指示に基づいて上りデータ信号を生成する。なお、制御部401は、無線基地局から通知される下り制御信号にULグラントが含まれている場合に、送信信号生成部402に上りデータ信号の生成を指示する。また、送信信号生成部402は、発見用信号などのD2D信号を生成する。
マッピング部403は、制御部401からの指示に基づいて、送信信号生成部402で生成された上り信号を無線リソースにマッピングして、送受信部203へ出力する。また、マッピング部403は、制御部401からの指示に基づいて、D2D信号送受信における信号のD2Dリソースへのマッピングを制御する。
デマッピング部404は、送受信部203で受信された信号をデマッピングして、分離した信号を受信信号復号部405に出力する。具体的には、デマッピング部404は、無線基地局10から送信された下りリンク信号をデマッピングする。また、デマッピング部404は、他のユーザ端末20から送信されたD2D信号をデマッピングする。
受信信号復号部405は、下り制御チャネル(PDCCH)で送信された下り制御信号(PDCCH信号)を復号し、スケジューリング情報(上りリソースへの割り当て情報)、下り制御信号に対して送達確認信号をフィードバックするセルに関する情報などを制御部401へ出力する。また、受信信号復号部405は、制御部401が出力した各リソースの受信処理開始タイミングに関する情報に基づいて、D2D信号を復号する。また、受信信号復号部405は、制御部401からセル間リソースの受信処理開始タイミングに関する情報が入力された場合、当該情報に基づいて受信処理開始タイミングを変更してもよい。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。