以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例では、ネットワーク上でデータを転送するための複数の送受信ポートを有する機能モジュールで構成されたデータ転送装置の消費電力を削減するための制御装置及び消費電力制御方法について説明する。
<本発明の実施例の概要>
本発明の実施例では、データ転送装置の運用面での機能を追加することで、より効果的なデータ転送装置の電力削減を実現することを目的とする。
具体的には、論理リンクをサブグループ化してデータ転送装置の機能モジュールへ収容することで、ポート収容スロット分割の最適化や、ポートのパケット転送容量の変動に合わせたLAG化ポート処理容量単位の最適化、使用する収容機能ブロックの容量の最適化と管理によるポート集約の効率化を実施するものである。
これにより、既存システムや従来の通信処理技術での対応が可能であり、システム改変や大規模な開発コストが不要となり、LAG化ポートの一部スリープ化が収容ブロック単位で容易に実施可能となる。そして、データ転送装置のポートのスリープ化による電力削減効果の向上が期待でき、さらには、論理リンクを収容する処理スロット分散による可用性の向上、が期待でき、少ないコストや物理的改変で処理トラフィック容量に対する効果的な消費電力削減ができる。
しかし、状況の変化に対するダイナミックな変更や対応が困難であるため、状況の変化に対する最適化に時間が必要であり、変更時にリンク断やパケット損等のユーザへの影響が懸念される可能性がある。
そこで、本発明の実施例ではさらに以下の機能を追加又は考慮する。
・機能分割単位を小型化するために、各ポートで処理されるパケット転送容量の変動に合わせたポート処理の小容量化と、ポート接続関係の設定を行う。さらには搭載スロットの機能ブロック処理容量サイズの選択や組み合わせができるように多様な機能モジュールを準備し搭載する。
・ダイナミックな電力削減をするために、ポート接続のソフト的な切替制御ができるようにする。例えば、論理リンクを時間によって変化しない基本分、冗長構成により必要となる冗長分、時間により変化する変動分の順に優先度を付けてサブグループ化し、同じ優先度のものを同一の機能モジュールへ収容する。その機能モジュールの動作をソフト的に切替制御することで、電力削減を図る。
・冗長構成等による可用性の向上を実現するために、必要なパケット処理容量及びその変動量に併せてリンク接続ポートのスロット分散収容ができるようにする。
・少ないコストや物理的改変で消費電力削減のための制御システムを実現するために、既存システムからの変更は、装置内部の物理的構造は対象とせずに、(できるだけ)インタフェース部のみの改変や制御、機能追加により容易に改善できるようにする。
・システムの信頼性や処理速度を維持・向上させるために、パケット処理方向の機能が多段な分岐制御にならないように、できるだけ前段のインタフェース部までで、或いは、前段でまとめて制御処理することで制御処理量と制御時間の短縮によりシステム性能を維持向上できるようにする。
・制御時にユーザ影響を極力削減するために、物理的な切替作業を行わず、切替制御機能動作時にLACP(Link Aggregation Control Protocol)等の機能によるフェールオーバーやフェールバックにより極力セッションが維持できるようにする。
以下に従来の課題を解決するための主なポイントを示す。
1)実際のデータ転送量に対して最適な分割収容設定が困難であるという課題に対して、論理リンク構成ポートの最適な収容設定とデータ転送ポートの最適な使用選定のため、データ転送処理単位の自由度を向上させる。
そのために、LAG化するポートの転送容量単位を、想定するリンク容量よりも十分小さい転送可能な単位値(例えば1/10×α以下:リンク容量が40Gならば1G等)となるように選択し、論理リンクを複数スロットに跨がるポートに接続する。その際に、論理リンクをサブグループ化し、複数スロットに跨がる多種類の転送容量単位からなり、その総和が必要な転送容量値になるポートの束に論理リンクを接続する。
2)機能モジュールの処理単位が大きく収容密度が高いため動作状態の低い機能ブロックを容易に抽出できない課題に対して、休止/停止用機能ブロックの抽出や分離をしやすくするため、モジュールの使用状況を元にした動作状態設定を自律化させる。つまり、より前段のモジュールごとの使用状況からそれらを収容する後段のモジュールへと順次動作状態を決定させる。そのためにLAG化したポートを通り転送されるパケットを受信する信号受信部、および後段のパケットのデータ抽出部及びパケット処理部、さらにはフォワーディング処理をするデータ転送処理部に実装される演算処理モジュール等の処理能力に対する実動作処理量の割合を算出する機能を用意する。その際、同一インタフェースパッケージに実装され並列に動作している他の機能モジュール全体の処理能力に対する実動作処理合計量の割合(例えば、データ抽出部に対して並列に動作している信号受信部全体の処理能力に対する実動作処理合計量の割合)が、事前に設定した規定値よりも少なくなった場合にはそのインタフェースパッケージ自身の動作をスリープさせる。その再稼働は、そのインタフェースパッケージ内の機能モジュールが再稼働条件を満たす最小時間に合わせて行われる。
また、処理能力に対する実動作処理量の割合を後段モジュールから前段モジュールに送信する機能を用意し、事前に設定した規定値よりもその割合(例えば使用率)が少なくなった場合に信号処理前段の機能モジュールの動作をスリープさせ、さらにその前段の機能モジュールをスリープさせていく。その最初にスリープした機能モジュールは事前に設定した規定時間又は事前に計画した時間のスリープ後、再稼働をし、その前段の機能モジュールを再稼働させる。
3)様々な動作状態のリンクを構成するポートが装置内に散在して収容されているため機能ブロックを効率的に制御することが困難である課題に対して、転送ポートおよび動作機能ブロックの集約制御機能向上のため、優先度の設定により転送ポートを自動選択させる。
そのために、論理リンクを優先度を付けてサブグループ化して、複数スロットに跨がるポートに接続する。応答確認のために転送されたパケットを受信した受信側データ転送装置の機能モジュールがスリープ状態にあることでパケット処理のほとんど無いポート受信部は、受信の認識はするものの、受信応答を返さないため、送信側データ転送装置はそのポートが機能していないと判断し、ネゴシエーションを開始し、別ポートへの再転送を実施する。その際に選択する別ポートは機能していないと判断したポートが接続していない後段のモジュール又はスロットに接続されているものと異なるポートを選択する。そのためには、サブグループを機能モジュール単位又は搭載スロット単位で事前に分けて設定をし、そのグループIDを付けて、異なるグループIDをもつサブグループから転送用ポートの再選択をするように優先度設定する。
以上のように、本発明の実施例では、論理リンクを構成するポートの動作状態を元にした設備収容と選択の最適制御によるデータ転送装置の効率的な電力削減を実現する。
<管理・制御装置の機能構成>
通信ネットワーク等を構成するデータ転送装置を含むリンクシステムに関して、耐障害性を高めつつ通信速度を高速化するために、装置間のリンクを複数の回線を束ねて接続し利用する技術(例えばリンクアグリゲーション)がある。本発明の実施例では、この技術を応用し、さらにいくつかの処理機能単位でモジュール化され、その処理容量もモジュールやスロット単位で増減可能な装置収容構成を持つ装置に対してモジュールやスロットの機能の一部を休止・停止制御する技術を加えることにより、効率的な装置の使用電力削減を図る。
図3に、本発明の実施例に係る管理・制御装置の機能構成図を示す。
本発明の実施例に係る管理・制御装置は、ネットワーク上でデータを転送するための複数の送受信ポートを有する機能モジュールで構成されたデータ転送装置の消費電力を削減するための制御装置である。
一例として、管理・制御装置は、プロセッサ等のCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の記憶装置等から構成されたコンピュータ又はサーバでもよい。例えば、管理・制御装置の機能及び処理は、記憶装置又はメモリ装置に格納されているデータやプログラムをCPUが実行することによって実現される。
本発明の実施例に係る管理・制御装置は、従来のデータ転送装置のルーティングテーブル管理部等の基本機能に加えて、データ転送装置のデータ転送量を予測する転送量予測・管理部100と、データ転送装置自身の設備量やデータ転送ポート収容を設定する設備量設定・管理部200と、受信側データ転送装置内に収容された機能モジュールの動作状態を制御し管理する受信側動作状態制御・管理部300と、送信側データ転送装置においてデータを送信するポートの選定や管理をする送信側転送選定・管理部400と、さらにはそれらの情報を収集・変更・管理する各種データベースシステム(転送トラフィック量予測情報501、機能モジュール搭載&接続情報DB503、サブグループ分配収容情報DB505等の各種情報DB)とを含む。
<転送トラフィック量の予測>
転送量予測・管理部100は、転送トラフィック量の統計処理により、論理リンクのトラフィック変動を予測する。特に、転送量予測・管理部100は、送信側データ転送装置と受信側データ転送装置間を接続する論理リンクごとの転送トラフィック量を予測する機能を有し、その中には、データ転送装置の設備情報を更新するための中・長期予測量を推計する長期予測量推計部101と、データ転送装置に収容されている機能モジュールの動作状態を制御するための短期予測量を推計する短期予測量推計部103とが含まれる。また、転送量予測・管理部100は、送信側データ転送装置及び受信側データ転送装置の転送トラフィック量の情報等を受信して転送トラフィック量予測情報データベース(DB)501に格納する情報管理部105を含んでもよい。
長期予測量推計部101では、送信側データ転送装置と受信側データ転送装置間を接続する論理リンクごとの転送トラフィック量の計測と統計処理(トラフィック変動傾向分析)を行い、予測結果を転送トラフィック量予測情報DB501に格納する。後述するように、長期予測量推計部101は、例えば、日・週・月・年での論理リンクごとの転送トラフィック量を計測・分析し、常に必要となる容量としての基本分と、時間により相関性を持って変化する変動分に分け、さらに基本分及び変動分に対して時間によって増減する変化量を統計処理し、平均値等の特性量として推計する。
短期予測量推計部103では、実測により抽出した各装置の論理リンクの転送トラフィック量の特性を用いて変動値予測をする。後述するように、短期予測量推計部103は、例えば、過去の日・週・月・年単位での転送トラフィック量の平均値と変化量、さらにはある一定期間の過去から現在まで計測した値を元に、現時点からある一定期間後の転送トラフィック量の変動値を予測する。
長期予測量推計部101及び短期予測量推計部103の推計情報は転送トラフィック量予測情報DB501に格納し、設備量設定・管理部200、受信側動作状態制御・管理部300及び送信側転送選定・管理部400による情報の閲覧を可能にする。
図4に示すように、転送量予測・管理部100の機能は、集中管理としてネットワーク上の管理装置に集約することで仮想化ネットワーク等の将来ネットワークでの制御管理機能と共に実装することも可能である。また、各データ転送装置の制御装置内に、又はネットワーク内のいくつかの装置に分散して実装し、高速処理・低消費電力化を進めることも可能である。或いは、集中管理と分散管理のハイブリッド型も可能である。なお、設備量設定・管理部200、受信側動作状態制御・管理部300及び送信側転送選定・管理部400の機能についても、集中管理又は分散管理されてもよく、集中管理と分散管理のハイブリッド型により管理されてもよい。
図5に、転送トラフィック量の中長期予測の例を示す。一般に転送トラフィックの変動特性は、「我が国のインターネットにおけるトラフィック総量の把握[時間帯別トラフィックの変化]」(総務省),http://www.soumu.go.jp/main_content/000279409.pdfの例に示す通り、月曜から金曜日前半まではほぼ同様の変化(自己相関性の高い)傾向を示し、金曜日後半から日曜にかけて増加および減少傾向を示す。
そこで、長期予測量推計部101は、これらの傾向を元にして、論理リンクごとの日・週の時間変動の統計値から自己相関の高い傾向を抽出し、その中心値等を求め、例えば、図5(A)に示すように、1日のトラフィック量を以下の関数で表現する。
さらに、この結果を元に時間変動にほぼ依存をしない基本成分と時間ごとに変動をする変動成分に分け、その各最大値を基本分B
1と変動分A
1として抽出する。
さらに週ごとの特性として自己相関の低くなる期間の特性をさらに抽出することで、図5(B)に示すように、前記基本分B1、変動分A1の値を元に各成分の週単位の変化分をそれぞれ週変動分Δb1、Δa1として求める。図5(C)に示すように、この変化分は時間に対して一定値とする方法の他に変化値とする方法もある。長期予測量推計部101は、これらの成分を元に各論理リンクの週ごとの転送トラフィック量の特性予測を行うことができる。
さらに、長期予測量推計部101は、年単位での論理リンクごとの転送トラフィック量を計測・分析してもよい。「我が国のインターネットにおけるトラフィック総量の把握[我が国のインターネットトラフィックの現状]」(総務省),http://www.soumu.go.jp/main_content/000279409.pdfには、年単位のトラフィック量の増加傾向が示されている。図6に示すように、基準点から時間Δy後のトラフィック量を以下の関数で表現する。
この関数を用いて、ある基準の時から単位期間後の転送トラフィックの変動成分である基本分と変動分の変化分の値をそれぞれΔb
2、Δa
2として求める。この変化分は線形近似以外に、さらに上記Δb
1、Δa
1の変化分を考慮した値として、さらには最小二乗近似等の多項式として求める方法もある。長期予測量推計部101は、これらの成分を元に各論理リンクのある基準年からの年毎の転送トラフィック量の特性予測を行うことができる。
上記の予測値は、用いる統計データの範囲や基準点を変えることにより、逐次更新をすることが可能である。
以上の中長期予測による結果は、装置を構成する機能モジュールの実装位置やポート搭載位置、それらにデータを振り分ける際の分割関連情報(サブグループ化、優先度設定等)やモジュール搭載量等設備投資量の抽出に利用できる。
図7に、短期予測量推計部103における短期予測方法を示す。短期予測では論理リンクごとの過去の日・週・月・年単位での転送トラフィック量の統計データ(平均値や変化量等)と現時点での測定結果を基準に、ある一定時間後の転送トラフィック量を予測する。例えば、過去の時間単位での変動プロファイルの統計値
を求め、基本分に対する係数β
i,変動分に対する係数α
iを乗算することで、現時点の値を元に修正し、外挿する。ただし、t(x)は時間項を示し、基本分のトラフィック量が時間によって変化することを示す。
また、図8に示すように、数時間や、数分レベルでの予測に関しては、現時点での測定値と一定時間前のいくつかの測定値を元に外挿近似をし、一定時間後の予測値を算出することを繰り返し実施しても良い。例えば、一定時間後tの転送トラフィック量予測をする際に、現時点tiとそれ以前の時点ti-1の測定結果から、最小自乗法等の回帰分析によるti+1およびti+2時点の予測を行い、ti+1の測定値が得られた時点でti+2時点の予測値を修正し、さらにti+3時点の予測値を順次算出するといった方法がある。図8の左図は事前予測線より転送トラフィック量が増加するときの予測値の修正を示しており、図8の右図は事前予測線より転送トラフィック量が減少するときの予測値の修正を示している。
以上の短期予測法による結果は、送信側転送選定・管理部400や受信側動作状態制御・管理部300におけるデータ転送用ポートの選定や、機能モジュールの休止/停止制御・管理を実施する際の一つの情報として利用できる。
<設備量の設定、受信側データ転送装置における論理リンクのポート接続設定>
設備量設定・管理部200は、論理リンクのトラフィック変動の予測結果に基づいて、論理リンクをサブグループ化し、サブグループ化した論理リンクを受信側データ転送装置の機能モジュールへ収容する。特に、設備量設定・管理部200は、受信側データ転送装置の機能モジュール搭載数と実装位置を設定するモジュール構成の設定を行う設備量算出部201及び搭載位置設定部203と、受信側データ転送装置の論理リンク構成ポート(LAG化された論理リンクを収容するポート)の収容位置の設定と接続を行うためのポート接続関係の設定を行うサブグループ分配設定部205、ポート構成サブグループ分割部207及びポート−モジュール間分配収容&接続部209とを有する。設備量算出部201は、トラフィック変動の予測結果に基づいて、受信側データ転送装置の機能モジュール設備量を算出する。搭載位置設定部203は、機能モジュールの搭載位置を設定する。サブグループ分配設定部205は、送信側データ転送装置と受信側データ転送装置間を接続する論理リンクの転送容量(帯域幅)に対し、トラフィック変動の予測結果を元に、論理リンクの容量をいくつかのサブグループに分割・分配する。その際に、サブグループ分配設定部205は、装置や機能モジュール構成単位で分割搭載可能な情報処理単位等を元にサブグループ化してもよい。長期予測量推計部101において、論理リンクの転送トラフィック量が、常に必要となる容量としての基本分と、時間により相関性を持って変化する変動分とに分けられる。また、論理リンクの冗長構成が用いられる場合、冗長構成により必要となる冗長分に分けられる。このため、サブグループ分配設定部205は、論理リンクを、時間によってトラフィック量が変化しない基本分に対応するサブグループ、冗長構成により必要となる冗長分に対応するサブグループ、及び時間によりトラフィック量が変化する変動分に対応するサブグループに分けてもよい。ポート構成サブグループ分割部207は、その分配された容量を元に論理リンクを構成するポートをサブグループごとに分割した状態を、その使用の優先度を含めて管理する。例えば、ポート構成サブグループ分割部207は、基本分に対応するサブグループ、冗長分に対応するサブグループ、及び変動分に対応するサブグループの順に優先度を付けて管理する。ポート−モジュール間分配収容&接続部209は、サブグループ化した論理リンクを各機能モジュールへ分配収容し接続を行う。なお、人作業によるモジュール構成の設定や接続関係の設定等のために、設定情報の表示及び入力を行う情報管理部211が設けられてもよい。
図9に、設備量設定・管理部200におけるモジュール構成の設定方法の例を示す。まず、設備量算出部201において、転送量予測・管理部100(転送トラフィック量予測情報DB501)からの論理リンクごとのトラフィック量の中長期予測情報を元に、論理リンクに必要なポートの種類と数量を算出し(S101)、論理リンクからのデータを処理するための機能モジュールの種類と数量を算出する(S103)。
例えば、事前に設定された設備設計条件として例えば冗長性を考慮し将来予想トラフィック量の2倍にするという指針が与えられていた場合を仮定する。ある論理リンクの現在の設定容量がEthernet(登録商標)として30Gbpsであり、転送量予測・管理部100からの今後T年後の使用容量の増加予測情報が15Gbpsから25Gbpsへと10Gbpsの増加見込みであった場合、設備量算出部201は、20Gbpsの増設が必要と算定する。例えば、10-GbEthernet[GbE]を選定した場合、10GbEポートが2本必要になり、それに伴い信号受信部等の機能モジュール等が必要であることを算定するといった必要情報を抽出する。
また、搭載位置設定部203では、設備量算出部201で抽出した予測年度の論理リンク増減設量と、機能モジュール搭載&接続情報DB503から抽出した対象となる受信側装置の機能モジュール搭載および物理ポート接続情報を元にその設備量を比較し、使用可能機能モジュールや増減設が必要な物理ポートや機能モジュール数とその搭載位置等の情報を算定し、設備量と搭載実装位置等の情報を更新する。
例えば、対象とする論理リンクの現時点の機能モジュール搭載量として、2ポート分の10GbEの機能モジュールが2台搭載されている場合を仮定する。搭載位置設定部203は、機能モジュール搭載&接続情報DB503から、ポートの空きが1台分であることを確認し、搭載条件を更に考慮して、10GbEポートを2本増設するために必要な2ポート分の10GbEの機能モジュールが追加で1台必要になることを算出する。そして、2ポート分の10GbEの機能モジュールの増設に必要な関連モジュールの種類と数として、機能モジュール搭載&接続情報DB503から、データ抽出部に対応する機能モジュールが1台必要になり、パケット処理部に対応する機能モジュールが0台必要になると算出する。
同時にその情報に合わせた増設を想定期日までに準備し、実施する(S105)。実施方法は多々あり、設備量設定・管理部200内の情報管理部211に情報表示機能を設け、設備量算出部201で算出した設備量情報を表示することで人作業により物理的に介入する方法から、事前に必要数の機能モジュールを休/停止状態で搭載しておき、それらをソフトウェア等で制御することで機能を有効にするなどの実施方法もある。
図10に、設備量設定・管理部200における論理リンクの接続関係の設定方法の例を示す。サブグループ分配設定部205において、対象とする論理リンクの転送トラフィック量の統計処理結果である変動量の特性を転送トラフィック量予測情報DB501から入手し、論理リンクの基本分に相当するトラフィック量と変動分に相当するトラフィック量、さらには冗長分+αに相当するトラフィック量を算出し、それぞれの成分相当のリンク容量成分を基本分のサブグループ、変動分のサブグループ、冗長+α分のサブグループに分けて設定し、その合計容量を対象とする論理リンクの容量として更新する。冗長分+αに相当するトラフィック量は、基本分のトラフィック量をA0、変動分のトラフィック量をB0としたときに、B0+α(例えば、α=A0+β:βは定数)から算出してもよい。なお各サブグループの優先度付けとして、基本分→冗長+α分→変動分の順を設定する(S201)。
ポート構成サブグループ分割部207では、リンク容量に対するサブグループ分配設定部205で算出し設定した各サブグループ(分配)情報と、受信側データ転送装置の機能モジュール搭載&接続情報DB503から得られる論理リンクを構成するポート情報を元に、各サブグループに属する論理リンクを構成する各物理ポートを割り振る(S203)。例えば、サブグループ分配情報(基本分B0、変動分A0、冗長+α分)と、対象装置の機能モジュール等の物理情報といった装置構成情報、受信側データ転送装置の機能モジュール搭載&接続情報DB503から得られる機能モジュール等の収容接続情報、論理リンクのサブグループ分配収容情報DB505からの対象とする論理リンクを構成する既存設置ポート情報(図10のテーブル)から、対象とする論理リンクのサブグループごとに属する物理ポートの種類や数量と収容位置を割り振る。その際に、それらサブグループや物理ポートに対して選定のための優先度情報を設定し、これらの情報を論理リンク構成ポートのサブグループ分配収容情報DB505に登録・更新する。
ポート−モジュール間分配収容設定&接続部209では、ポート構成サブグループ分割部207で登録・更新された論理リンク構成ポートのサブグループ分配収容情報DB505にあるサブグループ化された論理リンクの情報と、受信側データ転送装置の機能モジュール搭載&接続情報DB503に登録されている各機能モジュールと構成ポートの関係情報を元に、サブグループ化された論理リンクと受信側装置に搭載されている機能モジュールとの接続構成の関係を設定する(S205)。
さらに、ポート−モジュール間分配収容設定&接続部209は、論理リンクと受信側装置の機能モジュールとの接続関係を有効にする(S207)。実施方法は多々あり、ポートとモジュール等の接続関係情報を出力し人作業を物理的に介入させる方法から前段にスイッチモジュール等の切り替え機能等を用意し、設定された機能モジュールとの接続関係を有効にするといった方法もある。
設備量算出部201及び搭載位置設定部203により算出し設定された情報は機能モジュール搭載&接続情報DB503に格納し、サブグループ分配設定部205、ポート構成サブグループ分割部207及びポート−モジュール間分配収容設定&接続部209により設定されたサブグループ分割された構成ポート等の設定・接続情報は優先度情報と共にサブグループ分配収容情報DB505に格納される。
図11に、サブグループ分配設定部205及びポート構成サブグループ分割部207における論理リンクのサブグループ分割とポート収容方法の例を示す。一例として、受信側データ転送装置の論理リンク(例えば、リンクアグリゲーショングループ化(LAG化)された論理リンク)をポートに収容する規則の例を示す。
論理リンクのトラフィック量の予測結果から、論理リンク容量をいくつかのサブグループ(例えば、基本分、変動分、冗長+α分の3つ)に分ける(S301)。更に、論理リンクを収容するポートを、各サブグループの容量相当のポートに分割する。
まず、ある一つの送信側データ転送装置からのLAG化された論理リンクを受信側データ転送装置に収容する規則について説明する。LAG化された物理ポートの転送容量合計に対して、それらLAG化ポート(論理リンク)に転送されるデータ容量の(昼夜、平日・休日、季節や場所による時期的な影響等の)期間等による変動差の大きい条件を抽出し、転送データ容量の基本分、変動分を設定し、さらに冗長+α分を必要に応じて追加し、それに相当する各容量合計以上に相当するようにLAG化された各物理ポートを分ける。
次に、複数の異なる送信側装置からのLAG化された論理リンクを受信側データ転送装置に収容する規則について説明する。複数の送信側データ転送装置からの論理リンクのLAG化ポートについても、まずは同様に基本分、変動分、冗長+α分にサブグループ分けし、各種スロット群に実装された処理モジュールに対応するポートを収容するが、その各種同一のスロット内に収容するポートのうち異なる送信側装置からのLAG化ポートはそのスロット内に分割(サブスロット化)して搭載された異なる機能モジュール側に収容する。但し、実装量やその処理容量上異なるサブスロット搭載モジュールへの収容が難しい場合は、できるだけ1つのサブスロット搭載モジュールに収容するポートが、それに接続する装置数が少なくなるように、単位ポートあたりの転送容量とそれに使用される消費電力が比較的大きい物理ポートを集めて、サブスロット搭載モジュールへ収容する。
次に、サブグループ化した論理リンクに対して、収容する機能モジュール同士が物理的に又は電気的にできるだけ独立するように機能モジュールに収容する(S303)。ここで、できるだけ独立するとは、同一サブグループのポートは同じスロットに収容すること、同じサブグループを構成するスロットに実装された機能モジュールに収容すること、又は、接続する機能モジュールの後段が同一の機能モジュールになるように収容することを意味する。
例えば、図12に示すように、論理リンクを基本分のサブグループ、冗長+α分のサブグループ、変動分のサブグループに分け、基本分のサブグループについては、受信側データ転送装置の同一の機能モジュール(基本分に相当するスロットA)に搭載された物理ポートα1に収容する。同様に、冗長+α分のサブグループについては、受信側データ転送装置の同一の機能モジュール(冗長+α分に相当するスロットB)に搭載された物理ポートα2に収容し、変動分のサブグループについては、受信側データ転送装置の同一の機能モジュール(変動分に相当するスロットC)に搭載された物理ポートα3に収容する。
また、同一スロット群に収容するLAG化ポートは、同種のインタフェース条件(POSやEthernet(登録商標)等)同士になるように搭載モジュールを実装し、各サブグループ分けしたポートを収容する。
その後、サブグループ分配収容情報DB505に対して、サブグループ化した論理リンクのポート収容情報を更新する(S305)。
<受信側データ転送装置の動作状態の管理>
受信側動作状態制御・管理部300は、受信側データ転送装置の機能モジュールにおける実動作量に基づいて、受信側データ転送装置の機能モジュールの動作状態を判定する。受信側動作状態制御・管理部300は、受信側データ転送装置の機能モジュールの処理能力に対する実動作量の割合が閾値より小さくなった場合、且つ、論理リンクの短期的なトラフィック変動の予測結果から所定の期間内にトラフィック量が増加しない場合、受信側データ転送装置の機能モジュールの動作状態をスリープ状態に設定することができる。なお、所定の期間内にトラフィック量が増加する場合には一時的なトラフィック量の現象であることが分かるため、受信側データ転送装置の機能モジュールはスリープ状態に設定されない。特に、受信側動作状態制御・管理部300は、受信側データ転送装置に搭載された各機能モジュールの動作状態を転送トラフィックの実測値や短期トラフィック量予測値に基づいて制御し管理する機能を有しており、主に各機能モジュールの動作モードに関して、送信側データ転送装置と受信側データ転送装置間を接続する論理リンクの構成ポートや関連する機能モジュールの動作状態の管理をするモード状態選定・管理部301と、各機能モジュールやポート自身の動作状況を計測し、動作状態を判定し、自身のモード切り替え実施を管理する動作状態判定・管理部303から主に構成されている。
モード状態選定・管理部301では、さらに受信側データ転送装置の対象ポートに関連する機能モジュールごとのデータ処理量を元に、関連機能モジュール間でそれら動作モードの選定を実施し管理する。動作状態判定・管理部303では、上記の対象機能モジュールやポートの動作状態を計測し前提条件を踏まえて状態判定をする判定機能に加えて、選定した動作モードに併せた受信側データ転送装置内の対象機能モジュール自身の動作モード状態の切り替え・維持・解除等といった動作実施制御の管理をする機能部を含んでいる。これらの機能部は、各機能モジュール自身の動作状態を、受信ポートではトラフィック受信量やセッション数を計測する受信状況実測部305や、各機能モジュールで測定した動作量とその最大動作性能量を元に算出する動作割合算出部307を用いて判断し、装置を構成するデータ処理前段モジュールと後段モジュール間で、モード状態の確認と応答を実施し、モジュール動作の切り替え制御及び管理を実施する。また、受信側動作状態制御・管理部300には、データの受信処理を管理するためのその他基本機能部309が含まれる。
<送信側データ転送装置の動作状態の管理>
送信側転送選定・管理部400は、サブグループ化した論理リンクの使用状況に基づいて、送信側データ転送装置のデータ転送用ポートを決定する。送信側転送選定・管理部400は、サブグループ化した論理リンクのトラフィック量に基づいて、データ転送に使用可能なポートを選出し、選出したポートに対応する受信側データ転送装置の機能モジュールの動作状態に基づいて、データ転送用ポートを決定する。また、送信側転送選定・管理部400は、送信側データ転送装置の機能モジュールの処理能力に対する実動作量の割合が閾値より小さくなった場合、且つ、論理リンクの短期的なトラフィック変動の予測結果から所定の期間内にトラフィック量が増加しない場合、送信側データ転送装置の機能モジュールの動作状態をスリープ状態に設定することができる。なお、所定の期間内にトラフィック量が増加する場合には一時的なトラフィック量の現象であることが分かるため、送信側データ転送装置の機能モジュールはスリープ状態に設定されない。特に、送信側転送選定・管理部400は、ルーティングの結果により転送対象となる論理リンクを構成するデータ送信を行うポートの選定とその管理をする機能を有し、受信側データ転送装置に接続する各論理リンクの構成ポートとその送受信部の動作状態を確認する動作状態確認部401と、対象ポートに接続する送信機能モジュールの動作モード状態を確認し、転送トラフィックの実測値や短期トラフィック量予測値、及び動作状態確認部401で得たその動作状態により動作モード切り替え判断し、そのモード状態の結果を管理するモード状態選定・管理部403、論理リンクごとの使用状況をサブグループ単位で計測し、その使用量の割合を算出する使用率算出部405と、論理リンクのサブグループごとの転送容量とその使用率を元にデータ転送ポート選定用サブグループとその構成ポート候補を選定する選定部407と、選定したサブグループと構成ポートの候補情報およびそれらの優先度情報を元にデータ転送用ポートを決定する決定部409から主に構成されている。また、送信側転送選定・管理部400には、ルーティング処理等を行うためのその他基本機能部411が含まれる。
動作状態確認部401では、機能モジュール搭載&接続情報DB503の接続情報を参照して、送信側装置の対象ポートから受信側装置の対象ポートにある一定期間ごとの応答確認を行い、受信側からの応答の有無により対象ポートの動作状態を確認する。対象ポートの応答の有無については決定部409からの要求に応じて転送可否情報を提供する。応答のある対象ポートについては、駆動状態である(稼働している)と認識し、応答の無い対象ポートについては、受信側ポートが休止又は停止状態であると認識する。同時に対応する送信側装置の送信部機能モジュールの動作状態を確認し、論理リンク構成ポートの動作状態を認識し、決定部409ではデータ転送用ポートを決定するための情報をポート単位で提供する。使用率算出部405では、論理リンクを構成するポートの使用状況を計測し、単位時間あたりの論理リンクの容量に対するポート使用量とそのポートの転送容量の積の割合を算出する(同種ポートのみで構成されている場合は、ポート数使用割合でも良い)。選定部407では、転送用データのルーティング処理部で得た対象データのルーティング情報を元に、論理リンク構成ポートのサブグループ分配収容情報DB505から対象とする論理リンクを構成するポートのサブグループ分配情報と構成ポート情報と選定優先度情報、さらにはサブグループごとの転送容量(同種ポートのみで構成されている場合は構成ポート数量でも良い)を抽出し、使用率算出部405で得られた対象論理リンクの使用率から、転送すべきサブグループとその転送ポート候補を選定する。決定部409では、選定部407で抽出した転送すべきサブグループとその転送ポート候補情報と動作状態確認部401から提供された候補ポートの動作状態と対応する送信側装置の送信ポートの動作状態から、データ転送用のポートを決定し、転送用データごとに決定した転送ポート情報をフォワーディング処理部へ提供する。
また、モード状態選定・管理部403では、さらに送信側データ転送装置の対象ポートに関連する機能モジュールごとのデータ処理量を元に、関連機能モジュール間でそれら動作モードの選定を実施し管理する。更に、上記の対象機能モジュールやポートの動作状態を計測し前提条件を踏まえて状態判定をする判定機能に加えて、選定した動作モードに併せた送信側データ転送装置内の対象機能モジュール自身の動作モード状態の切り替え・維持・解除等といった動作実施制御の管理をする機能部を含んでいる。
これらの機能により、データ転送用ポートをその優先度と動作状態を考慮して選定することで、転送容量に応じた論理リンクを構成するポートの片寄せが実施され、効率的な機能モジュールの休/停止による電力削減が可能になる。
図13は、送信側転送選定・管理部400における送信ポートの選定の例を示す。
まず、データルーティング情報から対象とする論理リンクを特定し、それを構成するポートとサブグループ化情報(優先度情報を含む)、転送容量分配情報を収集する。次に、対象とする論理リンクを構成するポートの使用状況を計測し、その使用率を算出する。論理リンクのサブグループ毎の使用率は、例えば、Σ(単位時間あたりのサブグループの収容ポートの使用量×ポートの転送容量)/対象とする論理リンクのサブグループ転送容量によって求めることができる。
これらの収集及び算出された情報に加えて、論理リンクのトラフィック予測結果から、データ転送用ポート候補を選出する。例えば、対象論理リンクのサブグループ転送容量とその収容ポート、及びそれらの優先度情報、さらにはサブグループごとの使用率を元に、使用可能なデータ転送ポートを抽出し、その優先度を設定する。例えば、図13に示すように、基本分のサブグループの転送容量よりも、そのサブグループの使用率が低い場合、データ転送用ポート候補として抽出することができる。更に、基本分、冗長+α分、変動分の順に優先度が設定される。
次に、データ転送用ポート候補に対応する受信側装置のポートの動作状態を確認し、受信側装置のポートが休/停止状態である場合には、データ転送用ポートの候補から除外する。そして、優先度に基づいてデータ転送用ポートが決定される。
この実施例では、機能ブロックの動作状態を駆動状態と休止状態、および停止状態に分けて制御することで、装置の消費電力削減を実現することを示したが、機能ブロックを休止や停止をせずに、部分的に駆動性能を低下させる(例えばクロックスピード等のモジュール処理動作を調整する)ことで電力削減を実現してもよい。さらにはそれらを組み合わせた制御により、電力削減を実施してもよい。
<管理・制御装置の処理フロー概要>
次に、図3に示す管理・制御装置における処理の概要について説明する。
まず、転送量予測・管理部100において、各装置の論理リンクごと、又は論理リンクを構成するポートごとの転送データ受信状況の実測結果が集められ、集められたデータの統計処理が実施され、転送トラフィック量予測情報DB501に記録される。またその統計処理結果を用いて、論理リンクごとの転送トラフィックの長・中・短期予測量が算出され、転送トラフィック量予測情報DB501に更新される。
中長期予測結果は、設備量設定・管理部200の設備量算出部201と搭載位置設定部203へ提供され、装置ごとの機能モジュール等の既存の設備量に対する将来の増設数やその実装位置が、論理リンクの転送容量から算出できるポート数とその搭載性能に合わせた関連機能モジュール数と事前に設定された条件に応じて設定され、設定結果は機能モジュール搭載&接続情報DB503に登録される。
サブグループ分配設定部205、ポート構成サブグループ分割部207及びポート−モジュール間分配収容設定&接続部209では、設備量算出部201及び搭載位置設定部203の設定結果を元に装置の論理リンク構成ポートの収容位置が設定され、各ポートのデータ転送使用優先度が算出され、そのモジュールへの接続が行われる。論理リンクの接続情報はサブグループ分配収集情報DB505に登録・更新される。
受信側動作状態制御・管理部300では、受信状況実測部305により、受信側装置の各ポートで、送信側装置から転送されるデータの受信状況を実測し、動作状態判定・管理部303において、その結果を元に、各ポートの動作状況、およびそれらの処理に関する機能モジュールの動作状況を計測し、動作割合算出部307にて、対象とする機能モジュールの動作量を算出する。モード状態選定・管理部301では、この機能と動作モード切り替えのための事前条件を比較し、そのモジュールの動作モード状態、さらには動作状態予測値を確認し、必要に応じて機能モジュールのモード切り替えを実施する。モジュールの休・停止状態から復帰状態へのモード切り替えは、動作状態判定・管理部303により、前段と後段のモジュールからの動作状態確認状況や後段モジュールからの要求に応じて実施される。またこれら機能モジュールの動作状態制御や管理をするための機能は、一般に言うクラウドネットワークの制御プレーンを利用した集中管理部(図示せず)から実施しても良い。さらにモード状態選定・管理部301では、これらの機能モジュールのデータ処理を統合して処理する後段の機能モジュールに、前段の機能モジュールの動作状態が通知され、後段の機能モジュールは、データの統合処理対象となる各前段モジュールの動作状態を管理し、その動作状態と自身の動作モード、および予測値を元に、同様に動作モードの切り替え確認を実施する。その結果をさらに後段で統合する機能モジュールへ通知する。以上の手順で、各機能モジュールは、動作状況に応じたモード切替を行い、効率的な電力削減が可能になる。
送信側装置で受信したデータは、ヘッダ情報等の分析により、ルーティング処理がなされ、データ転送に必要な情報が抽出され、送信側転送選定・管理部400の選定部407で、データ転送用ポートを決定するための候補選出が開始される。
その際に、転送対象となる論理リンクを構成するポート情報と、それらのサブグループ分配情報とその選定優先度情報を、サブグループ分配収容情報DB505から入手し、動作状態確認部401とモード状態選定・管理部403での機能によって得られた構成ポートそれぞれの使用状況と動作状況の確認結果を決定部409に送り、さらには対象論理リンクのトラフィック予測値も加えて、データ転送用ポートを決定する。
転送ポートの再選定が必要な場合は、送信側装置の機能モジュール搭載&接続情報DB503から得られるモジュール搭載情報を含めてポートの動作状態の確認結果とサブグループとポートの選定優先度情報から決定する。構成ポートの状態確認は、各ポートで送信側から受信側へ一定期間ごとに応答確認がなされ、受信側ポートが休/停止している場合は、確認信号は認識するが返答信号の返送は行われないため、送信側は、その返答がないことでそのポートが転送不可であると動作状態確認部401で、認識できる。送信側装置ポートの送信部の動作状態も上記実施に伴い同時に確認できる。
データ転送ポートを決定した後で、その他基本機能部411により、フォワーディング処理がされ、決定した転送ポートから受信側装置へ(パケット)データが転送される。
次に、装置に搭載された機能モジュールと構成ポートの動作状態の制御手順について、その一例を示す。
最初に事前設定として以下の手順1)〜3)の準備が必要となる。これらの事前設定情報を用いて、さらに手順4)〜15)の制御行程が実施される。
1)[事前設定]LAG化したポートの設定と、装置間接続実装情報を元にしたポートのサブグループ化
図10及び図11を参照して説明したように、論理リンクをサブグループ化し、サブグループ化したリンクのポート収容設定を行う。
2)[事前設定]サブグループ化した情報のID化による情報共有
サブグループ化した情報は、図10を参照して説明したようにIDが付与され、サブグループ分配収容情報DB505に格納されて情報共有される。
3)[事前設定]LAG化したポートの制御条件の設定
各機能モジュールの処理能力に対する閾値、スリープ復帰のための規定時間、再稼働要求(WakeUpRequest)送付選定条件、各機能モジュールの転送容量値もしくは割合のスケジューリング等の設定が行われる。
以下手順4)〜6)は、機能モジュール間の動作モード状態を制御する部分である。図14〜16を参照して、受信側動作状態制御・管理部300における動作モード状態の確認及び制御について説明する。ここでは、受信側動作状態制御・管理部300からの確認要求によって、後段モジュール(例えば、データ抽出部)が前段モジュール(例えば、信号受信部)に状態を確認し、前段モジュールが後段モジュールに応答する例を示す。
4)[動作時]機能モジュールの処理能力に対する実動作処理量の割合を算出し、後段の機能モジュールへ送付
図14に示すように、後段機能モジュールから動作状態の確認があった場合(S401)、前段機能モジュールは、機能モジュール搭載&接続情報DB503から前段機能モジュールの搭載情報を確認する(S403)。そして、前段機能モジュールは、自らの動作モード状態を後段機能モジュールへ送付すると共に、処理能力に対する実動作処理量の割合を算出し、後段の機能モジュールへ送付する(S405)。
5)[動作時]後段の機能モジュールは前段の機能モジュールのその処理割合を事前に設定した規定値(使用率等)と比較し、処理割合が規定値以下でかつその状態が一定期間以上続くならばスリープ指示を出し、その他同機能モジュールに実装され、並列動作をしている前段機能モジュールも同様に動作確認をする
図15に示すように、後段機能モジュールは定期的に動作モード状態の確認を開始する(S411)。前段機能モジュールの動作モードがスリープ状態でない場合(S413:No)、前段機能モジュールの処理割合を事前に設定した規定値と比較し、処理割合が規定値以下でかつその状態が一定期間以上続くならば、スリープ指示を出す(S415:変更する)。前段処理モジュールは、動作モードをスリープ状態に設定し(S419:Sleep)、スリープモードにおける切り替え判断の手順8)が行われる。
処理割合が規定値以下でない場合、又は処理割合が規定値以下の状態が一定期間以上続かない場合(S415:維持する)、動作維持における切り替え判断の手順7)が行われる。
6)[動作時]さらに自らの処理能力に対する実動作処理量の割合を算出し、さらに後段の機能モジュールへ送付。さらに動作継続の場合はさらに後段への応答確認も併せて送付
搭載する全ての前段機能モジュールの動作モードがスリープ状態である場合(S413:Yes)、自らの処理能力に対する実動作処理量の割合を算出し、処理割合が規定値以下でかつその状態が一定期間以上続くならば、自らスリープ状態にすることができるため、図16に示すように、さらに後段の機能モジュールへスリープモード切り替えの要求を行う(S431)。さらに後段の機能モジュールからの指示により(S433)、後段機能モジュールは動作モード状態をスリープモードに設定する(S435)。
手順7)は、対象とする機能モジュールの動作状態を制御する部分である。図17を参照して、受信側動作状態制御・管理部300における動作モード状態の制御について説明する。
7)[動作時]対象とする機能モジュールの動作モードがアクティブかつ動作状態判定が動作状態維持の場合、引き続き対象機能モジュールの実動作処理量の計測、及び動作状態判定を、事前に設定した一定期間(例えばΔts)で繰り返す。さらに、対象とする機能モジュールごとに事前に設定した判定値(例えば、休止判断比率等)及び、状態維持期間等を元に、動作状態の切り替え判断を実施する。
図17に示すように、手順4)〜6)の確認により、対象とする機能モジュールの動作モードがアクティブであり、アクティブの動作状態を維持する場合(S441:動作状態維持)、引き続き対象機能モジュールの対象ポートの転送データ量の実測等により、対象機能モジュールの実動作処理量を計測し(S443)、機能モジュールの処理能力に対する実動作処理量の割合を算出する(S445)。この処理能力に対する実動作処理量の割合が規定値以下でその状態が一定期間以上続くならば(S447:Yes)、スリープモードへの状態変更依頼を行い(S449)、後段機能モジュールへ返答する(S453)。そうでない場合(S447:No)、動作状態を維持し(S451)、後段機能モジュールへ返答する(S453)。
手順8)は、対象機能モジュールのスリープモードからの復帰手順の部分である。図15を参照して、受信側動作状態制御・管理部300における動作モード状態の制御について説明する。
8)[動作時]後段の機能モジュールによりスリープ指示を受けた場合、前段機能モジュールは、スリープ状態の信号カウントを実行し、事前に設定したスリープ復帰用規定時間までスリープ状態を維持する。その後、後段の機能モジュールの状態および前段からの応答確認信号の規定数以上の確認により再稼働するか、後段の機能モジュール等より再稼働要求を受けた段階で再稼働を実施する。
図15に示すように、例えば、前段機能モジュールは、後段機能モジュールのスリープ指示により、動作モードをスリープ状態に設定する(S419:Sleep)。次に、スリープ状態を維持するかの判断が行われ(S421)、例えば、一定時間以上スリープ状態となっている場合には、停止モードに変更する(図18)。一方、スリープ状態を維持する場合(S421:Sleep維持)、送信側モジュールからの応答確認信号をカウントすると共に、スリープ状態の継続時間をカウントする(S423)。応答確認信号のカウント数又はスリープ状態の継続時間が閾値を超えていない場合(S425:No)、スリープ状態の維持の判断が繰り返される。応答確認信号のカウント数又はスリープ状態の継続時間が閾値を超えている場合(S425:Yes)、スリープ状態が解除される(S427)。なお、応答確認信号のカウント数が閾値を超えている場合は、スリープ状態が解除されてアクティブ状態に切り替えられ、スリープ状態の継続時間が閾値を超えている場合、スリープ状態が解除されてアクティブモードに切り替えられる。
図示しないが、後段の機能モジュール等による割り込み制御によって、再稼働要求を受けた場合、前段機能モジュールは、アクティブ状態に切り替えられる。
9)[動作時]再稼働をした機能モジュールはその状態を前段の機能モジュールに送付し、事前に設定した制御条件に合わせて、前段の機能モジュールに再稼働要求を出す。
手順10)は、対象機能モジュールの停止モード状態への変更判断手順の部分である。図18を参照して、受信側動作状態制御・管理部300における動作モード状態の制御について説明する。
10)[動作時]一方、対象とする機能モジュールの動作モードがスリープでかつ動作状態維持が続いている場合、そのスリープモード継続時間が、事前設定した判定値を超えたかどうかで、停止モードへの変更の有無を判断する。その後停止モードの維持/解除は、手順8)と同様に動作モード状態の信号カウント値と、事前に設定した判定値との比較により決定される。
図18に示すように、対象とする機能モジュールは、停止モードにおいて、停止状態を維持するかの判断を行い(S461)、送信側モジュールからの応答確認信号をカウントすると共に、停止状態の継続時間をカウントする(S463)。応答確認信号のカウント数又は停止状態の継続時間が閾値を超えていない場合(S465:No)、応答確認信号及び停止状態のカウントが繰り返される。応答確認信号のカウント数又は停止状態の継続時間が閾値を超えている場合(S465:Yes)、停止状態の維持判断において(S461:停止解除)、停止状態が解除される(S467)。
手順11)は、送信側装置のデータ転送対象ポートの動作状態(稼働状況)確認と動作モード設定手順の部分である。図19を参照して、送信側転送選定・管理部400における動作モード状態の確認について説明する。ここでは、送信側転送選定・管理部400からの確認要求によって、送信側の機能モジュールが動作状態を確認及び制御する例を示す。
11)[動作時]送信部よりLAG化されたポートを通過し転送されたパケットを受信する最前段の機能モジュールがスリープ状態にある時、その受信部は送信部へ受信応答を返送しないため、ポート接続した送信側装置の送信部はそのポートが機能していないと判断し、そのポートの機能モジュールを事前に設定した規定時間の間スリープさせ、対象とする構成ポートの稼働情報(動作状態)をデータ転送ポートの選定部407及び決定部409へ返答し、別のポートとのネゴシエーションを開始する。
図19に示すように、送信側の機能モジュールは、例えば定期的に送信側装置のポートの動作モード状態の確認を開始する。まず、送信側における対象ポートの動作状態を確認し、スリープ状態である場合には(S501:Sleep)、送信側装置のポートの状態を返答する(S505)。また、送信側における対象ポートの動作状態がアクティブ状態である場合には(S501:Active)、受信側への応答確認信号の結果から、受信側装置のポートがアクティブであるか否かを判断する(S503)。送信側装置のポートの状態及び受信側装置のポートの状態を確認して返答する(S505)。
手順12)〜14)は、送信側装置でのデータ転送ポートの候補選定と決定のための手順の部分である。図20を参照して、送信側転送選定・管理部400におけるデータ転送ポートの選定及び決定について説明する。
12)[動作時]ルーティング処理機能により抽出したルーティング情報を元に、転送対象とする論理リンクの構成ポート情報を論理リンク構成ポートのサブグループ分配収容DB505より収集し、対象論理リンクを構成するポートの使用率を確認することで、転送対象候補を抽出し、候補情報と関連するサブグループ情報や優先度情報をデータ転送用ポート決定のための決定部409へ送る。決定部409では、対象論理リンク内の選定された構成ポートの動作モード、及び動作状態を確認し、選定したデータ転送用ポートの決定可否判断後、決定処理を実施し、転送データのフォワーディング処理を実施することで送信側装置の選定ポートからデータ転送を実施する。
図20に示すように、選定部407は、ルーティング処理機能により抽出したルーティング情報を取得し(S601)、転送対象とする論理リンクの構成ポート情報を論理リンク構成ポートのサブグループ分配収容DB505より収集する(S603)。選定部407は、サブグループ分配収容DB505の中から、データ転送用ポートの候補を選出する(S605)。なお、対象論理リンクを構成するポートの使用率を確認することで(S607、S609、S611)、転送可能な使用率のポートを転送対象候補として抽出する。選定部407は、候補情報と関連するサブグループ情報や優先度情報をデータ転送用ポート決定のための決定部409へ送る。決定部409は、選定したデータ転送用ポートの動作状態を確認し(S613)、転送可否を判断する(S615)。転送不可である場合(S615:No)、選定部407に対して転送対象候補の抽出を要求する(S605)。転送可能である場合(S615:Yes)、データ転送用ポートを決定し(S617)、転送データのフォワーディング処理を実施することで送信側装置の選定ポートからデータ転送を実施する(S619、S621)。
13)[動作時]データ転送用ポートの決定可否判断で、選定候補ポートでのデータ転送ができないと判断し、別ポートとのネゴシエーションを開始するための別の送信用ポートを対象候補から選択する際に、機能していないと判断したポートが実装されていない後段の機能モジュール(別のサブスロット上のもの)、もしくはそれらモジュールが搭載されているスロットと異なりLAG化されたポート内の同一サブグループの別ポートを選定させ、動作状態確認機能より、動作状態を確認し、データ転送用ポートの決定可否判断の下、決定ポートからのパケットの再転送をさせる。
14)[動作時]これによりパケットが転送されるLAG化されたポートは優先度の高い特定のサブグループのLAG化されたポートに集約され、送信側のLAG化されたポートで構成される論理リンク容量に対して必要とする転送容量分のポート内を転送するトラフィックを処理するために、必要な送信側装置の関連機能モジュール以外は、事前に規定した条件を満たす間はスリープ状態を維持することで、省電力化を実現できる。
手順15)は、送信側装置の対象機能モジュールの動作状態を再稼働させるための手順の部分である。図21を参照して、送信側転送選定・管理部400における動作モード状態の確認について説明する。ここでは、送信側転送選定・管理部400からの確認要求によって、送信側の機能モジュールが動作状態を制御する例を示す。
15)[動作時]送信側装置の休止・停止状態の機能モジュールに繋がるポートを再稼働させる際のネゴシエーション方法は、スリープ状態維持時間(Δtk)を事前に設定し、その規定時間をスリープモード状態の継続時間が超えた段階で、休止/停止した機能モジュールを搭載した前段機能モジュールからの再稼働要求(WakeUpRequest)信号の有無も含めて、動作状態の復帰/維持判断をし、状態維持の場合は、引き続きΔtk後に同様の判断を復帰するまで実施する。状態復帰の場合は復帰後、搭載されている機能モジュールからの応答確認信号数と事前設定したスリープ状態解除の閾値との比較により、さらには送信部から受信部への受信応答確認結果より再びスリープ状態に戻るか、再稼働状態を維持するかを判断する。
送信側の機能モジュールは、送信側装置のポート自体の動作モードを制御するため、動作モードを判断し(S631)、スリープ状態において(S631:Sleep)、後段モジュール等からの応答確認信号をカウントすると共に、スリープ状態の継続時間をカウントする(S633)。応答確認信号のカウント数又はスリープ状態の継続時間が閾値を超えていない場合(S635:No)、カウントが繰り返される。応答確認信号のカウント数又はスリープ状態の継続時間が閾値を超えている場合、スリープ状態が解除され(S637)、動作モード状態を応答する(S639)。また、アクティブ状態では(S631:Active)、自らの処理能力に対する実動作処理量の割合を算出し、処理割合が規定値以下でかつその状態が一定期間以上続くならば、自らスリープ状態にする(S641:Yes)。そうでない場合(S641:No)、アクティブ状態を維持し(S643)、動作モード状態を応答する(S645)。
<本発明の実施例の効果>
本発明の実施例によれば、データ転送装置の運用面での機能を追加することで、より効果的なデータ転送装置の電力削減を実現することが可能になる。特に、本発明の実施例では、装置に搭載する機能モジュールの物理構成の根本的な変更ではなく、データ処理動作状態の管理と制御を主に用いて行っているため、既存システムや従来の通信処理技術での対応が可能でありシステム改変や大規模な開発コストが不要である。また、論理リンクの構成ポートをサブグループ化し、搭載位置を決定し、転送用ポートの選定優先度を決定するため、LAG化ポートの一部のスリープ化が収容ブロック単位で容易に実施可能になる。さらに、複数の装置と接続する装置についても同様に、ポートのスリープ化による電力削減効果が向上し、さらにポートをサブグループ化して分散搭載することでポートの処理スロット分散による可用性が向上する、といった効果が期待できる。このように、少ないコストや物理的改変で処理トラフィック容量に対する効果的な消費電力削減ができる。
従来の技術では、データ転送ポートの使用状況を確認し、使用していないポートを抽出し、一定期間かもしくは次のデータ転送要求が発生するまでの間、そのインタフェース部と関連モジュールを休止させることで電力削減を実現していた。しかし、ポートに転送されるデータのタイミングとその転送容量はまちまちであるため、この方法では一部のポートのインタフェース部のみの短時間の休止/停止と再稼働のON/OFFによる制御状態が続くことになり、使用電力の少ない機能モジュールの短期間の使用休止/停止に留まる。その結果、複雑な制御処理にもかかわらず実質的には少量の電力削減にしかならない場合が多い。
本発明の実施例では、転送用の論理リンクのトラフィック予測を統計処理し、装置に搭載する機能モジュールの最適化と合わせて、転送容量の特性等から構成ポート(論理リンクのポートチャネルグループ)をサブグループに分割し、使用休止/停止可能なポートの情報処理に関連する機能モジュールを集約しやすくするために、論理リンクを構成するポートの装置への収容を最適に配分する、また、選定のためのポートの優先度を決定する。転送のために使用するポートはこれらの情報を元に選定することで、使用ポートの片寄せも可能となり、使用休止/停止可能な機能モジュールの数とその状態維持の時間を増やすことができ、効率的な電力削減ができる。
以上、データ転送装置の運用面での機能を追加することで、より効果的なデータ転送装置の電力削減を実現するための手法について説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々の変更・応用が可能である。