<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)についての第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1はパチンコ機10の斜視図であり、図2はパチンコ機10の正面図である。
パチンコ機10は、図1に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。パチンコ機10を遊技ホールに設置する際には、遊技ホールの所謂島設備に外枠11が釘などによって固定される。
遊技機本体12は、本体ベース21と、当該本体ベース21の前方に配置される前扉22とを備えている。遊技機本体12のうち本体ベース21が、左右両側部のうち一方を支持側として外枠11に回動可能に支持されている。また、本体ベース21には、前扉22が回動可能に支持されており、外枠11に対して本体ベース21が支持されている側と同一の側を支持側として前方へ回動可能とされている。
遊技機本体12には、その回動先端部に施錠装置(図示略)が設けられており、遊技機本体12を外枠11に開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉22を本体ベース21に開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠23に解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
詳細には、施錠装置及びシリンダ錠23は、本体ベース21に設けられている。シリンダ錠23においてキー孔が形成された面は、前扉22に形成された露出用凹部24を通じてパチンコ機10前面に露出している。また、前扉22には図示しない前側鉤フック部が後方に突出させて設けられており、当該前扉22を閉鎖した状態においては当該前側鉤フック部が上記施錠装置の前側鉤受け部に受けられることにより、当該前扉22が本体ベース21に施錠状態とされる。そして、シリンダ錠23に解錠キーを差し込み所定方向に回動操作することで、前側鉤受け部が解錠方向に変位し、当該前側鉤受け部と前側鉤フック部との係合状態が解除される。これにより、本体ベース21に対する前扉22の施錠状態が解除される。
一方、上記施錠装置には、図示しない後側鉤フック部が後方に突出させて設けられており、本体ベース21を閉鎖した状態においては当該後側鉤フック部が外枠11の後側鉤受け部に受けられることにより、当該本体ベース21が外枠11に施錠状態とされる。そして、シリンダ錠23に解錠キーを差し込み、上記所定方向とは逆方向に回動操作することで、後側鉤フック部が解錠方向に変位し、後側鉤フック部と後側鉤受け部との係合状態が解除される。これにより、外枠11に対する本体ベース21の施錠状態が解除される。
図3は、前扉22を取り除いた状態のパチンコ機10の正面図である。図3に示すように、本体ベース21は、合成樹脂により形成された支持ベース体31を備えている。支持ベース体31は、横方向の寸法が外枠11の横方向の寸法と略同一とされており、縦方向の寸法が外枠11において下枠部11aの上面から上枠部11bの上縁までの高さ寸法と略同一とされている。したがって、本体ベース21を外枠11に閉鎖した状態では、外枠11の上枠部11b及び左右の側枠部11c,11dに本体ベース21の背面が前方から重なることとなる。
支持ベース体31には、前後方向に貫通する露出用孔部32が形成されている。露出用孔部32を通じて支持ベース体31の前面側に露出されるようにして、支持ベース体31にはその背面側から遊技盤33が装着されている。ここで、遊技盤33の構成を図4に基づいて説明する。図4は遊技盤33の正面図である。
遊技盤33には、前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には、図4に示すように、一般入賞口41、可変入賞装置42、上作動口(第1始動入球部)43、下作動口(第2始動入球部)44、スルーゲート45、可変表示ユニット46、特図表示部47、特図保留表示部47a、普図表示部48、普図保留表示部48a及び第1〜第3賞球報知部56〜58等がそれぞれ設けられている。なお、一般入賞口41は4個設けられており、それ以外はそれぞれ1個ずつ設けられている。
各一般入賞口41、可変入賞装置42、上作動口43、下作動口44及び各スルーゲート45には1対1で対応させて検知センサ41a,41b,41c,41d,42a,43a,44a,45aが設けられている。これら検知センサ41a〜45aはいずれも遊技盤33の背面側に配設されており、検知結果は後述する主制御装置に出力される。なお、検知センサ41a〜45aとしては、磁界の変化を検知する電磁誘導型の近接センサが用いられているが、遊技球B1の入賞を個別に検知できるのであれば使用するセンサは任意であり、例えば光学式センサを用いてもよい。
一般入賞口41、可変入賞装置42、上作動口43及び下作動口44への入球の発生が検知されると、所定数の遊技球B1が賞球として遊技者に付与される。当該賞球個数について具体的には、上作動口43への入球が発生した場合及び下作動口44への入球が発生した場合には3個の賞球が発生し、一般入賞口41への入球が発生した場合には10個の賞球が発生し、可変入賞装置42への入球が発生した場合には15個の賞球が発生する。但し、これら賞球数は任意であり、例えば上作動口43の賞球数よりも下作動口44の賞球数が多いといったように、両作動口43,44の賞球数が相違していてもよい。また、可変入賞装置42の賞球数が他の賞球数に比べて多い構成に限定されることはなく、例えば一般入賞口41の賞球数よりも少ない構成としてもよい。
その他に、遊技盤33の最下部にはアウト口49aが設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球B1はアウト口49aを通って遊技領域から排出される。また、遊技盤33には、遊技球B1の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘49bが植設されているとともに、風車等の各種部材が配設されている。
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球B1が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域から排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域から排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口49aへの遊技球B1の入球と明確に区別するために、一般入賞口41、可変入賞装置42、上作動口43、下作動口44又はスルーゲート45への遊技球B1の入球を、入賞とも表現する。
可変入賞装置42は、遊技盤33の背面側へと通じる大入賞口42bを備えているとともに、当該大入賞口42bを開閉する開閉扉42cを備えている。開閉扉42cは可変入賞装置42として一体的に設けられた可変入賞駆動部42dに連結されており、当該可変入賞駆動部42dにより駆動されて、閉鎖状態及び開放状態のいずれかに配置される。具体的には、通常は遊技球B1が入賞できない閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モードへの移行に当選した場合に遊技球B1が入賞可能な開放状態に切り換えられるようになっている。また、可変入賞装置42には、大入賞口42bを介して入賞した遊技球B1が必ず通過する位置に検知部が存在するようにして大入賞口検知センサ42aが設けられている。大入賞口検知センサ42aによって、可変入賞装置42に入賞した遊技球B1が個別に検知される。
上作動口43及び下作動口44は、図4に示すように、作動口装置としてユニット化されて遊技盤33に設置されている。上作動口43及び下作動口44は共に上向きに開放されている。また、上作動口43が上方となるようにして両作動口43,44は鉛直方向に並んでいる。下作動口44には、左右一対の電動役物44bが設けられている。
電動役物44bは遊技盤33の背面側に搭載された電動役物駆動部44cに連結されており、当該電動役物駆動部44cにより駆動されて閉鎖状態及び開放状態のいずれかに配置される。電動役物44bの閉鎖状態では遊技球B1が下作動口44に入賞できず、電動役物44bが開放状態となることで下作動口44への入賞が可能となる。
なお、これに限定されず、下作動口44への遊技球B1の入賞が発生し易い状態と、入賞が不可ではないが上記入賞が発生し易い状態よりも入賞が発生しづらい状態とに、電動役物44bが切り換えられる構成としてもよい。また、電動役物44bを不具備とし、入賞が発生し易い状態とそれよりも入賞が発生しづらい状態との間の切り換えが、下作動口44自身の変位により行われる構成としてもよい。
特図表示部47、特図保留表示部47a、普図表示部48、普図保留表示部48a及び第1〜第3賞球報知部56〜58は、表示ユニットとして所定の範囲に集約させて設けられている。当該表示ユニットが設置された領域は、後述する内レール部33aを利用して区画された遊技領域の内側の領域であって、表示ユニットの前面よりも前方を遊技球B1が流下しないように遊技球B1の流入規制がされた領域である。そして、表示ユニットの前面に対して、特図表示部47、特図保留表示部47a、普図表示部48、普図保留表示部48a及び第1〜第3賞球報知部56〜58が設けられている。これにより、各種表示部47,47a,48,48a及び第1〜第3賞球報知部56〜58は、遊技領域に設けられているものの、その前方を遊技球B1が流下しないようにされており、パチンコ機10前方からの視認性が確保されている。
なお、特図表示部47、特図保留表示部47a、普図表示部48、普図保留表示部48a及び第1〜第3賞球報知部56〜58の一部又は全部を別ユニットとして設けてもよい。例えば、各種表示部47,47a,48,48aと第1〜第3賞球報知部56〜58とをそれぞれ別ユニットとして設けてもよく、第1賞球報知部56、第2賞球報知部57及び第3賞球報知部58の一部又は全部を別ユニットとして設けてもよい。また、各種表示部47,47a,48,48a及び第1〜第3賞球報知部56〜58の少なくとも一部を、遊技領域の内側の領域であって前方を遊技球B1が流下し得る領域に設けてもよい。また、各種表示部47,47a,48,48a及び第1〜第3賞球報知部56〜58の少なくとも一部を、内レール部33aを利用して区画された遊技領域に対して外側に存在する領域に設けてもよい。
特図表示部47では、上作動口43又は下作動口44への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口43又は下作動口44への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口43への入賞と下作動口44への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口43又は下作動口44への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域である特図表示部47にて明示される。そして、上作動口43又は下作動口44への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、特図表示部47にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。また、特図表示部47では、抽選結果の種類毎に異なる結果表示がなされるため、遊技ホールの管理者は特図表示部47を確認することにより、抽選結果を目視により簡易的に確認することができる。遊技球B1が上作動口43又は下作動口44に入賞した個数は最大4個まで保留され、特図保留表示部47aの点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
なお、特図表示部47は、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT又はドットマトリックス表示器等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、特図表示部47にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。また、特図保留表示部47aの機能が後述する図柄表示装置46aの一部の領域における表示により果たされる構成としてもよい。
普図表示部48では、スルーゲート45への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート45への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート45への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、普図表示部48にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に電役開放状態へ移行する。電役開放状態では下作動口44に設けられた電動役物44bが所定の態様で開放状態となる。遊技球B1がスルーゲート45を通過した回数は最大4回まで保留され、普図保留表示部48aの点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、普図保留表示部48aの機能が後述する図柄表示装置46aの一部の領域における表示により果たされる構成としてもよい。
第1〜第3賞球報知部56〜58は、一般入賞口41、可変入賞装置42、上作動口43及び下作動口44等といった遊技球B1の付与に対応した入球部への遊技球B1の入球が発生したことを報知するための表示部である。本パチンコ機10では、既に説明したとおり、賞球個数の種類として3個、10個及び15個の3種類が存在しているため、これらに1対1で対応させて賞球報知部56〜58も3個設けられている。そして、第1賞球報知部56では、上作動口43又は下作動口44への遊技球B1の入球が発生し3個賞球が発生することが報知され、第2賞球報知部57では、一般入賞口41への遊技球B1の入球が発生し10個賞球が発生することが報知され、第3賞球報知部58では、可変入賞装置42への遊技球B1の入球が発生し15個賞球が発生することが報知される。
可変表示ユニット46には、絵柄の一種である図柄を変動表示する図柄表示装置46aが設けられているとともに、図柄表示装置46aを囲むようにしてセンターフレーム46bが配設されている。図柄表示装置46aは、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置46aは、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった表示面を有する他の表示装置であってもよく、ドットマトリクス表示器であってもよい。
図柄表示装置46aでは、上作動口43又は下作動口44への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、特図表示部47において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置46aにおいて変動表示が行われる。
当該変動表示の内容について詳細には、図柄表示装置46aの表示面には複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列が設定されている。各図柄列は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列には「1」〜「9」のいずれかの数字が付された9種類の主図柄が数字の降順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列には「1」〜「9」のいずれかの数字が付された9種類の主図柄が数字の昇順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。
つまり、上図柄列と下図柄列は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。表示面は、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示面には、5つの有効ラインが設定されている。
上作動口43又は下作動口44への入賞に基づいて表示面において遊技回用の演出が行われる場合には、各図柄列の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示が開始される。そして、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に変動表示から待機表示に切り換えられ、最終的に各図柄列にて所定の図柄を静止表示した状態で遊技回用の演出が終了される。
また、遊技回用の演出が終了する場合、後述する最有利大当たり結果の発生に対応した遊技回であれば、いずれかの有効ラインに同一の奇数の数字が付された図柄の組み合わせが形成され、後述する低確大当たり結果の発生に対応した遊技回であれば、いずれかの有効ラインに同一の偶数の数字が付された図柄の組み合わせが形成される。また、後述する低入賞高確大当たり結果の発生に対応した遊技回であれば、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせではないが所定の図柄の組み合わせ(例えば「3・4・1」)が形成される。
なお、いずれかの作動口43,44への入賞に基づいて、特図表示部47及び図柄表示装置46aにて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
また、図柄表示装置46aにおける図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、図柄表示装置46aにて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
遊技盤33には、内レール部33aと外レール部33bとが取り付けられており、これら内レール部33aと外レール部33bとにより誘導レールが構成されている。図3に示すように、支持ベース体31の前面において遊技盤33の下方には遊技球発射機構34が設けられており、当該遊技球発射機構34から発射された遊技球B1は上記誘導レールにより遊技領域の上部に案内されるようになっている。
支持ベース体31の下端側には、下側カバー体35が設けられている。下側カバー体35は、支持ベース体31の下端部から高さ方向の所定範囲に亘って延在させて設けられており、当該高さ方向の範囲では下側カバー体35により支持ベース体31の前面が前方から覆われている。下側カバー体35が設けられた高さ方向の範囲には遊技球発射機構34の一部が含まれており、この範囲では遊技球発射機構34が下側カバー体35と支持ベース体31とにより前後に挟まれた空間に存在している。下側カバー体35は、前扉22を開放操作しているか否かに関係なく支持ベース体31側に存在している。つまり、下側カバー体35はパチンコ機10前面を構成している。
下側カバー体35において右側の端部には、パチンコ機10前方に突出させて発射操作装置36が設けられている。発射操作装置36は、前方に突出させて設けられた操作基部36aと、当該操作基部36aに回動可能に支持させて設けられた操作ハンドル36bとを備えており、操作ハンドル36bが回動操作されることにより遊技球発射機構34からの遊技球B1の発射強度が調整される。また、発射操作装置36には、操作ハンドル36bが遊技者に触れられていることを検知するためのタッチセンサ36cと、操作ハンドル36bの回動操作量を検知するための可変抵抗器36dと、操作ハンドル36bが遊技者により操作されている状況であっても遊技球B1の発射を停止させるべく操作されるストップスイッチ36eとが設けられている。なお、操作ハンドル36bが初期位置に配置されている状況では、当該操作ハンドル36bによってストップスイッチ36eが自ずとONとなる構成となっている。
遊技者による発射操作に基づき遊技球B1が発射される場合、操作ハンドル36bが触れられていることがタッチセンサ36cにより検知されていること、及びストップスイッチ36eがONとなっていないことの両条件が成立している場合に、可変抵抗器36dを通じて検知されている回動操作量に応じた発射強度で遊技球B1が発射される。
下側カバー体35の中央側には、遊技状況に応じた効果音などが出力されるスピーカ装置37を前方から覆うとともに当該スピーカ装置37から出力された音のパチンコ機10前方への伝播を可能とするスピーカカバー38が設けられている。なお、スピーカ装置37は、支持ベース体31に設けられている(図5参照)。
支持ベース体31の前面における下側カバー体35よりも上方の領域全体を覆うようにして前扉22が設けられている。前扉22には、図1及び図2に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部51が形成されている。窓部51は、略楕円形状をなし、窓パネル52が嵌め込まれている。窓パネル52は、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成されていてもよい。ちなみに、図柄表示装置46aの表示面及び特図表示部47などは、パチンコ機10前方から窓パネル52を介して視認可能となっている。
窓部51の周囲には、各種発光部53,54が設けられている。当該各種発光部53,54の一部として異常報知用発光部53が窓部51の上方に設けられている。また、当該異常報知用発光部53の左右両側には、左右一対の演出用発光部54が設けられている。
前扉22における窓部51の下方には、図1に示すように、手前側へ膨出させて皿形成部55が設けられている。皿形成部55は、多数の遊技球B1が貯留可能となるように形成されており、皿形成部55に貯留された遊技球B1が遊技球発射機構34に導かれて遊技領域に向けて発射される。当該皿形成部55の構成については、後に詳細に説明する。ちなみに、皿形成部55以外には、前扉22の前面側において遊技球B1を貯留する部位は設けられていない。
既に説明したとおり、前扉22は、本体ベース21に対して開閉可能に設けられているが、当該本体ベース21の支持ベース体31には、図3に示すように、前扉22が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する開放検知スイッチ39が設けられている。開放検知スイッチ39は、支持ベース体31の前面から出没可能なピンを有しており、本体ベース21に前扉22を閉鎖した状態ではピンが押し込まれて前扉22の閉鎖が検知され、前扉22を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉22の開放が検知されるようになっている。
ちなみに、開放検知スイッチ39は、前扉22が開放状態の場合に後述する主制御装置61にHIレベルの開放検知信号を出力し、前扉22が閉鎖状態の場合に主制御装置61にLOWレベルの開放検知信号を出力するが、これらHI及びLOWの関係が逆であってもよい。
次に、本体ベース21の背面側の構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本体ベース21の背面図である。
図5に示すように、遊技の主たる制御を司る機能を有する主制御装置61と、主制御装置61からの指令に基づき音声の出力制御及び発光制御を行う音声発光制御装置62と、音声発光制御装置62からの指令に基づき図柄表示装置46aの表示制御を行う表示制御装置63と、遊技球B1の貸し出し及び遊技価値の付与に関する制御を行う払出制御装置64と、遊技球B1の発射制御を行う発射制御装置65と、各種制御装置61〜65に電力を供給する第1電源装置66及び第2電源装置67とを備えている。これらのうち、主制御装置61と、音声発光制御装置62と、表示制御装置63と、第1電源装置66とは遊技盤33の背面に搭載されており、遊技盤33を支持ベース体31から取り外した場合にはこれら装置61〜63,66は遊技盤33側に追従することとなる。
一方、払出制御装置64と、発射制御装置65と、第2電源装置67とは支持ベース体31の背面に搭載されており、遊技盤33を支持ベース体31から取り外したとしてもこれら装置64,65,67は支持ベース体31側に残ることとなる。この場合、発射制御装置65と払出制御装置64とは前後に重ねて搭載されており、詳細には、発射制御装置65が支持ベース体31の背面に搭載されており、払出制御装置64がその後方に搭載されている。したがって、払出制御装置64は、主制御装置61や発射制御装置65といった他の制御装置よりもパチンコ機10後側に位置している。
ここで、各種制御装置61〜65及び各電源装置66,67はそれぞれ対応する基板が基板ボックスに収容されてなる。主制御装置61及び払出制御装置64について詳細には、主制御装置61は、図示しない主制御基板を備えており、当該主制御基板が基板ボックス61aに収容されてなる。また、払出制御装置64は、図示しない払出制御基板を備えており、当該払出制御基板が基板ボックス64aに収容されてなる。これら基板ボックス61a,64aは、基板ボックス61a,64aの外部から対応する基板を目視確認可能とするように透明に形成されている。また、主制御装置61には、本体ベース21を外枠11に閉鎖した状態においてパチンコ機10後方を向くこととなる表面に、第1消去ボタン61bと第2消去ボタン61cとが設けられている。
基板ボックス61a,64aには、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けることが好ましい。痕跡手段としては、基板ボックス61a,64aを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックス61a,64aを構成する複数のケース体間の境界に接着剤を塗布する構成が考えられる。
支持ベース体31の背面側には、払出制御装置64と、後述する管理ユニット131との電気的な接続を中継するための払出側の中継基板68が設けられている。また、支持ベース体31の背面側には、遊技ホールの商用電源と第1電源装置66とを中継するとともに、当該商用電源と第2電源装置67とを中継する電源側の中継基板69が設けられている。当該電源側の中継基板69には、ON操作及びOFF操作が可能な電源スイッチ69aが設けられている。電源スイッチ69aがON操作されることにより、商用電源から第1電源装置66への電力の供給及び商用電源から第2電源装置67への電力の供給が同時に開始され、電源スイッチ69aがOFF操作されることにより、商用電源から第1電源装置66への電力の供給及び商用電源から第2電源装置67への電力の供給が同時に停止される。
<皿形成部の構成>
次に、皿形成部55の構成について、図1に加えて図6を参照しながら説明する。図6(a)は皿形成部55の平面図であり、図6(b)は皿形成部55の縦断面図である。なお、図6(a)においては皿形成部55に設けられた皿カバー75を省略している。
皿形成部55は、有色不透明の合成樹脂により形成されており、図1に示すように、パチンコ機10前方に突出させて形成されているとともに、横方向に延在させて形成されている。皿形成部55の左端部は、前扉22において横方向の中央よりも左端部側に位置しており、皿形成部55の右端部は、前扉22において横方向の中央よりも右端部側に位置している。
皿形成部55には、図6(a)に示すように、横方向に延在させて球皿部71が形成されている。球皿部71は、所定の深さ寸法を有する空間を区画するように形成されているとともに、当該区画された空間を上方に開放させるようにして形成されている。
球皿部71の左端側には、前扉22の背面側に存在する遊技球B1を球皿部71に導出するための導出口72が形成されており、球皿部71の右端側には、球皿部71に存在する遊技球B1を遊技球発射機構34に導くための導入口73が形成されている。球皿部71の底面は、導出口72側から導入口73側に向けて下り傾斜となるように形成されており、球皿部71に存在する遊技球B1は自重により導入口73に向けて流下することとなる。
球皿部71は、導出口72側が導入口73側よりも幅広、すなわち前後方向の寸法が大きくなるように形成されており、具体的には、導出口72側においては複数(例えば6個)の遊技球B1が幅方向に並ぶことが可能なように形成されている。これにより、球皿部71は、多数の遊技球B1を貯留可能となっており、具体的には少なくとも150個の遊技球B1を貯留可能とするように球皿部71が形成されている。
一方、導入口73から上流側に向けた所定範囲は、遊技球B1を横方向に一列で整列させることが可能な整列領域74として形成されている。この場合、整列領域74の奥側壁部の位置は、当該整列領域74よりも上流側領域における奥側壁部の位置と前後方向において同一の位置となっている。ちなみに、球皿部71において導出口72の前方の領域が最も幅広となった領域であるが、当該幅広領域と整列領域74との間では、球皿部71の前壁部が整列領域74に向かうほど後側となるように傾斜させて形成されている。
皿形成部55には、図6(b)に示すように、球皿部71を上方から覆うように皿カバー75が設けられている。皿カバー75は、板状に形成されており、球皿部71の上端部において当該球皿部71を上方から覆うようにして設けられている。但し、皿カバー75と球皿部71の底面とは、縦方向に複数の遊技球B1分離間されており、皿カバー75が装着された状態であっても球皿部71に多数の遊技球B1、具体的には少なくとも150個の遊技球B1を貯留可能となっている。また、皿カバー75は、球皿部71に貯留されている遊技球B1を、皿カバー75を通じて目視確認可能となるように、ポリカーボネートなどの合成樹脂を利用して透明(具体的には無色透明)に形成されている。
皿カバー75は、球皿部71を上方から覆う領域を有し、上面及び下面が水平又は略水平となるように設けられたカバー本体部75aと、皿形成部55の背面側に存在するフランジ部75bと、が一体形成されてなる。カバー本体部75aは、球皿部71の形状に合わせて形成されているとともに、球皿部71の外縁形状よりも一回り大きく形成されている。カバー本体部75aは、皿形成部55において球皿部71の奥壁71aを構成する部位から側壁71b及び前壁71cを構成する部位に亘って延在している。
詳細には、奥壁71aには、前後方向に貫通し、カバー本体部75aを挿通可能な挿通用孔部76が形成されている。カバー本体部75aは、皿形成部55の背面側から挿通用孔部76に挿通されていることにより、球皿部71の上方に存在している。また、側壁71b及び前壁71cにおいて挿通用孔部76と同じ高さ位置には、内側に凹ませて嵌合凹部77が形成されている。カバー本体部75aにおいて挿通用孔部76よりも前方に存在する領域の周縁部は、その全体が嵌合凹部77に入り込んでいる。これにより、球皿部71の上面開口部はその全体が皿カバー75により覆われているとともに、球皿部71と皿カバー75との境界では縦方向に対して交差する方向の境界面が生じている。また、嵌合凹部77にカバー本体部75aの周縁部が入り込んだ状態においては、図6(b)に示すように、皿カバー75のフランジ部75bが皿形成部55の背面部に後方から当接することとなる。
嵌合凹部77にカバー本体部75aの周縁部が入り込んだ構成において、当該入り込みが生じている領域では、皿形成部55と皿カバー75とが固定具としてネジ78aを利用して固定されている。当該固定箇所78は、図1に示すように、上記入り込みが生じている領域に沿って、断続的に複数(例えば20個)設けられている。また、皿カバー75のフランジ部75bが皿形成部55の背面部に当接した構成において、当該当接している領域では、皿形成部55と皿カバー75とが固定具としてネジ79を利用して固定されている。当該ネジ止めは、皿形成部55の後方から行われている。
上記構成であることにより、球皿部71は皿カバー75により覆われているとともに皿カバー75の分離が阻止されているため、皿カバー75が設けられた状態においては、球皿部71に貯留されている遊技球B1に触れること、及び球皿部71に遊技球B1を投入することが不可となっている。また、皿形成部55と皿カバー75との境界には、両者の縦方向の重なりが生じていることにより、縦方向に交差する方向の境界面が生じている。これにより、両者の境界を通じて上記遊技球B1に触れようとしてもそれが不可となっている。
一方、カバー本体部75aの固定箇所78について固定解除操作を行うとともに、前扉22を本体ベース21に対して開放操作して皿形成部55の背面側からフランジ部75bの固定箇所について固定解除操作を行うことにより、皿カバー75を取り外すことができる。これにより、球皿部71内において球詰まり等が発生した場合に、当該球詰まりを解消するといったメンテナンスを行うことは可能である。また、皿カバー75を取り外すためには、固定解除操作だけでなく前扉22の開放操作を要するため、当該皿カバー75を不正に取り外す行為を行いづらくすることが可能となる。
なお、皿形成部55とカバー本体部75aとの固定箇所78を覆うように別のカバー部材を設けることにより、当該固定箇所78が外部に露出しないようにしてもよい。また、皿カバー75と皿形成部55との固定が、皿形成部55の背面側においてのみ行われている構成としてもよい。
<遊技球発射機構の構成>
球皿部71に貯留された遊技球B1は、既に説明したとおり整列領域74で整列された後に、導入口73を通じて遊技球発射機構34側へ導かれる。当該導出先側の構成について、図7を参照しながら説明する。
図7(a)は本体ベース21の一部を拡大して示す正面図であり、図7(b)は遊技球発射機構34の構成を説明するための模式図であり、図7(c)は球皿部71に貯留された遊技球B1を遊技球発射機構34側へ供給するための球送り装置86の構成を説明するための模式図である。
図7(a)に示すように、遊技球発射機構34は、本体ベース21における支持ベース体31の前面に設けられている。遊技球発射機構34は、図7(b)に示すように、遊技盤33に形成された誘導レールに向けて延びる発射レール81と、発射レール81上に供給された遊技球B1を誘導レールに向けて発射させる電動アクチュエータであるソレノイド82と、発射レール81上に供給された1個の遊技球B1をソレノイド82による打ち出しを可能とする位置にて保持するための保持部材83とを備えている。
支持ベース体31には、発射レール81上において保持部材83により保持された遊技球B1を検知するための発射球検知センサ84が設けられている。
発射球検知センサ84は、発光部と受光部とを有する光学式のセンサからなり、保持部材83により遊技球B1が保持されている状況では発射球検知信号としてHIレベルの信号を出力し、保持部材83により遊技球B1が保持されていない状況では発射球検知信号としてLOWレベルの信号を出力する。したがって、発射球検知センサ84によって、発射レール81上に遊技球B1が供給されたこと、及びその供給された遊技球B1が発射されたことを特定することが可能となる。
なお、これらHI及びLOWの関係が逆であってもよい。また、発射球検知センサ84は、光学式のセンサに限定されることはなく、他の検知方式のセンサであってもよい。
発射レール81上には、球皿部71に貯留された遊技球B1が球送り装置86により1個ずつ供給される。球送り装置86は、前扉22の背面において球皿部71における導入口73の後方に設けられている。球送り装置86は、図7(c)に示すように、球皿部71の導入口73から続く球送り通路87と、当該球送り通路87により誘導された遊技球B1を下方から受けて1個ずつ発射レール81上に供給するための供給部材88と、球送り通路87からの遊技球B1の受入を許容する受入位置及びその受け入れた遊技球B1を発射レール81に供給するための供給位置の間で供給部材88を回動させる球送り駆動部89と、を備えている。なお、球送り駆動部89は、磁気による吸引を利用して供給部材88を受入位置に配置するとともに、その吸引を解除することで供給部材88を供給位置に配置する駆動部であるが、これに限定されることはなく、例えば回転モータを利用してもよい。
発射操作装置36が操作されること等を通じて遊技球B1の発射が行われる場合には、1個の遊技球B1を発射すべき条件が成立したことを契機として、球送り装置86により1個の遊技球B1が発射レール81上に供給される。この供給された遊技球B1は発射球検知センサ84により検知される。その後、ソレノイド82が駆動制御されて、発射レール81上に保持されている1個の遊技球B1が遊技領域に向けて発射される。
<発射された遊技球B1を球皿部に戻すための構成>
次に、発射された遊技球B1を球皿部71に戻すための構成について、図7に加えて図8を参照しながら説明する。
図8は、パチンコ機10の背面図であって、払出制御装置64、発射制御装置65、第2電源装置67及び中継基板68,69を取り除いた状態を示す図である。
遊技球発射機構34により発射されて遊技盤33の誘導レールから遊技領域に放出された遊技球B1は、釘49bや風車などに跳ね返りながら遊技領域を流下する。そして、一般入賞口41、可変入賞装置42、上作動口43、下作動口44又はアウト口49aに入球した遊技球B1は、遊技盤33の背面側に導かれる。
遊技盤33の背面には、図8に示すように、集合通路形成体91が設けられており、当該集合通路形成体91と遊技盤33の背面とを利用して区画形成された集合通路により、遊技盤33の下端部における所定領域に導かれる。この所定領域に導かれた遊技球B1は、支持ベース体31の背面であって遊技盤33の下方に形成された遊技球回収空間101にて回収される。
遊技球回収空間101は、遊技球回収空間形成体102を支持ベース体31の背面に後方から装着することにより形成されている。遊技球回収空間101は、図8に示すように、横方向に延在させて設けられている。この場合、遊技球回収空間101は、支持ベース体31の横方向の中央付近から球皿部71の導出口72側に亘って存在しており、当該導出口72側の端部は当該導出口72の全体に対して後方から対向している。
上記集合通路に流入した遊技球B1は、遊技盤33の下端であって、導出口72側とは反対側の端部寄りの位置にて、球磨き機構111に導出される。球磨き機構111に導出された遊技球B1は、球磨き機構111内で研磨された後、遊技球回収空間形成体102の底面を転動して、支持ベース体31を前後に貫通するように形成された連通口104に到達する。
図7に示す連通口104は、図6に示す球皿部71の導出口72と図8に示す遊技球回収空間101とを連通するように形成されており、その前側領域は、支持ベース体31の前面において周囲の面よりも前方に向けて突出させて形成されている。この前方に向けて突出している前方開口部には、図7に示すように、シャッタ機構105が設けられている。
シャッタ機構105は、前方開口部の遊技球B1の通過を阻止する阻止位置と、遊技球B1の通過を許容し導出口72への遊技球B1の流入を可能とする許容位置とに変位可能に設けられたシャッタ部材106を備えている。シャッタ部材106は、その下端部を回動軸として、シャッタ支持部107により回動可能に支持されている。前扉22を閉鎖した状態においては、前扉22の背面において周囲の面よりも後方に突出させて形成された図示しない導出口形成部が入り込み、シャッタ部材106は許容位置に配置される。一方、前扉22を開放した状態においては、上記導出口形成部が入り込んだ状態が解除されて、シャッタ部材106は阻止位置に配置される。これにより、遊技球回収空間101に遊技球B1が存在している状態で前扉22が開放されたとしても、当該遊技球回収空間101内の遊技球B1が流出してしまうことが抑制される。
ちなみに、球皿部71の導出口72には、シャッタ機能は存在しておらず、前扉22が開放された状態であっても導出口72が後方に向けて開放された状態は維持される。これに対して、導出口72は球皿部71においてパチンコ機10前方に膨出している貯留空間に向けて下り傾斜となっているとともに貯留空間の底面も球皿部71の導入口73に向けて下り傾斜となっているため、球皿部71に貯留されている遊技球B1が前扉22の開放に際して流出してしまわないようになっている。
シャッタ部材106が許容位置に配置されている状況では、連通口104に到達した遊技球B1は導出口72に流入する。導出口72は、既に説明したとおり球皿部71の貯留空間に向けて下り傾斜となっているため、導出口72に到達した遊技球B1は最終的に当該貯留空間に戻ることとなる。
上記のように遊技球発射機構34により発射されて遊技領域に到達した遊技球B1は、遊技球回収空間101を通じて球皿部71に戻ることとなるが、発射強度によっては遊技球発射機構34により発射されたものの遊技領域に到達することなく誘導レールを戻る遊技球B1も存在する。当該遊技球B1を回収するために、図7(a)に示すように、戻り球用回収部121が設けられている。
戻り球用回収部121は、連通口104において支持ベース体31の前方に突出する前方開口部を区画形成するための形成部と一体形成された壁部により区画形成されており、支持ベース体31の前面に形成されている。戻り球用回収部121は、図7(a)に示すように、誘導レールと発射レール81とを横方向に離間させることにより生じた領域に形成されており、両レール間に亘って存在している。
戻り球用回収部121は、所定の深さ寸法を有する空間として形成されているとともに、当該空間が上方に開放させて形成されている。この場合に、戻り球用回収部121の前壁部122は、発射レール81側の方が誘導レール側よりも低くなるように傾斜させて形成されているため、戻り球用回収部121は、誘導レール側においては2個の遊技球B1分以上の深さ寸法を有しているのに対して、発射レール81側においては1個の遊技球B1分未満の深さ寸法となっている。これにより、遊技球発射機構34から発射された遊技球B1の誘導レールに向けた移動が戻り球用回収部121により邪魔されてしまうことを防止しつつ、戻り球を確実に回収することが可能となる。
戻り球用回収部121は連通口104に連通されており、さらに戻り球用回収部121の底面123は当該連通口104に向けて下り傾斜となっている。したがって、戻り球用回収部121にて回収された遊技球B1は、当該戻り球用回収部121の底面123を自重により下り、連通口104に到達する。そして、連通口104に到達した遊技球B1は、既に説明したとおり、前扉22が閉鎖されていることを条件として、球皿部71の貯留空間に導出される。
戻り球用回収部121には、当該戻り球用回収部121にて回収された遊技球B1を検知するための戻り球検知センサ124が設けられている。戻り球検知センサ124は、発光部と受光部とを有する光学式のセンサからなり、遊技球B1を検知している状況では戻り球検知信号としてHIレベルの信号を出力し、遊技球B1を検知していない状況では戻り球検知信号としてLOWレベルの信号を出力する。また、戻り球検知センサ124の検知領域は、戻り球用回収部121にて回収された遊技球B1が連通口104に導出される場合に必ず通過する位置に設定されている。したがって、戻り球用回収部121にて回収された遊技球B1を戻り球検知センサ124によって確実に検知することが可能となる。
なお、これらHI及びLOWの関係が逆であってもよい。また、戻り球検知センサ124は、光学式のセンサに限定されることはなく、他の検知方式のセンサであってもよい。
以上のように遊技球回収空間101及び戻り球用回収部121が設けられていることにより、パチンコ機10にセットされている特定個数の遊技球B1は、遊技球発射機構34により発射されたとしても、球皿部71に戻ることとなる。また、既に説明したとおり、球皿部71には、皿カバー75が設けられているため、球皿部71に貯留されている遊技球B1を遊技者が取り出すことは不可となっている。これにより、当該特定個数の遊技球B1は、パチンコ機10において循環する。
<遊技球B1の貸し出し及び記憶媒体Mの付与に関する構成>
次に、遊技球B1の貸し出し及び記憶媒体Mの付与に関する構成について、図1、図2及び図6(a)を参照しながら説明する。
本パチンコ機10では、遊技者による現金の投入に対して実際の遊技球B1が貸し出されるのではなく、投入された現金に対して使用可能な遊技球B1の数の情報が内部的に記憶され、その記憶された数の範囲で遊技球B1を使用可能な構成となっている。また、遊技球B1の付与に対応した入賞が発生した場合にも、実際の遊技球B1が付与されるのではなく、入賞に対応した遊技球B1の数の情報が内部的に記憶され、その記憶された数の遊技球B1の使用が可能となる。また、その記憶された遊技球B1の数の情報を実際の遊技価値として付与されることを希望する場合には、記憶されている遊技球B1の数の情報が記憶された記憶媒体Mが遊技者に提供される。
上記のような現金の投入、記憶媒体Mの投入、及び記憶媒体Mの提供を行うための装置として、外枠11の側方には図2に示すように、管理ユニット131が設けられている。管理ユニット131の前面側には、現金として紙幣が投入される現金投入口132と、記憶媒体Mが投入される媒体投入口133と、記憶媒体Mが排出される媒体排出口134とが、上からこの順で設けられている。管理ユニット131では、現金投入口132から投入された紙幣を識別する処理、その情報をパチンコ機10に出力する処理、媒体投入口133から投入された記憶媒体Mを識別する処理、その情報をパチンコ機10に出力する処理、パチンコ機10からの遊技球B1の数の情報の書き込み指示に対して当該情報を記憶媒体Mに書き込む処理、当該情報を書き込んだ記憶媒体Mを媒体排出口134から排出する処理などを実行する。
管理ユニット131に現金が投入された場合にその現金の情報を使用可能な遊技球B1の数の情報に変換することを指示するための操作、及び未使用の現金の情報や使用可能な遊技球B1の数の情報を記憶媒体Mとして排出することを指示するための操作は、パチンコ機10に設けられた操作ユニット141に対して行われる。操作ユニット141は、図1及び図6(a)に示すように、皿形成部55に設けられている。詳細には、既に説明したとおり、皿形成部55に形成された球皿部71は、整列領域74において幅寸法が小さくなっており、その分、皿形成部55において球皿部71を区画形成する領域の上面は整列領域74の前方において前後方向の寸法が大きくなっている。この前後方向の寸法が大きくなった領域に、操作ユニット141が設けられている。
操作ユニット141は、図6(a)に示すように、各種操作ボタン142,143として、球供給ボタン142と、全返却ボタン143とが設けられている。また、各種表示部147,148として、度数表示部147と、残数表示部148とが設けられている。
度数表示部147には、投入されて未使用の現金の情報が表示される。例えば、1万円が未使用の場合には「100」が表示され、1千円が未使用の場合には「10」が表示される。残数表示部148には、使用可能な遊技球B1の数の情報が表示される。例えば、使用可能な遊技球B1の数の情報が1万個の場合には「10000」が表示され、1千個の場合には「1000」が表示される。
球供給ボタン142は、度数の情報を使用可能な遊技球B1の数の情報に変換すべく操作される。この場合、一度の球供給ボタン142の操作に対して変換可能な度数情報は所定度数(すなわち所定額の現金)に限られており、具体的には500円分の度数情報が使用可能な遊技球B1の数の情報(例えば125個)に変換される。
全返却ボタン143は、パチンコ機10に記憶されている度数情報及び使用可能な遊技球B1の数の情報を記憶媒体Mとして排出させるべく操作される。
<パチンコ機10の電気的構成>
図9は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置61は、遊技の主たる制御を司る主制御基板151と、第1電源装置66からの電力の供給状況を監視する第1停電監視基板155と、主制御装置61における基板ボックス61aの外部から押圧操作可能に設けられた第1消去ボタン61b及び第2消去ボタン61cとを備えている。
主制御基板151には、MPU152が搭載されている。MPU152には、ROM153及びRWM154が内蔵されている。
ROM153は、NOR型フラッシュメモリやNAND型フラッシュメモリなどの記憶保持に外部からの電力供給が不要なメモリ(すなわち、不揮発性記憶手段)を、読み出し専用として利用するように構成されている。当該ROM153は、MPU152により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。RWM154は、SRAMやDRAMなどの記憶保持に外部からの電力供給が必要なメモリ(すなわち、揮発性記憶手段)を読み書き両用として利用するように構成されており、ランダムアクセスが可能であるとともに、同一のデータ容量で比較した場合にROM153よりも読み出しに要する時間が早いものとなっている。当該RWM154は、ROM153内に記憶されている制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶する。また、MPU152又は主制御基板151には、上記素子以外に、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが設けられている。
MPU152には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU152の入力側には、主制御装置61に設けられた第1停電監視基板155、第1消去ボタン61b及び第2消去ボタン61cが接続されている。
第1停電監視基板155は、主制御基板151と第1電源装置66とを中継し、さらに第1電源装置66から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、その監視電圧が5ボルト未満となった場合に、第1電源装置66について停電が発生したものとして、MPU152に停電信号を送信する。
第1電源装置66は、遊技ホールの商用電源に接続されており、パチンコ機10において遊技盤33に搭載された電気機器に動作電力を供給するものである。具体的には、第1電源装置66は、主制御装置61、音声発光制御装置62、表示制御装置63、並びに遊技盤33に搭載された各種駆動部42d,44c及び各種表示部47,48に動作電力を供給する。
第1電源装置66には、商用電源から第1電源装置66への動作電力の供給が停止されている状況であっても、RWM154においてデータの記憶保持を可能とするために当該RWM154にバックアップ電力を供給する図示しない電断時用電源部が設けられている。当該電断時用電源部は、コンデンサなどの充電式のものであり、商用電源から第1電源装置66に動作電力が供給されている場合に充電が行われる。電断時用電源部からのバックアップ電力によって、停電中であっても所定期間(例えば1日又は2日)は、RWM154においてデータが記憶保持される。
なお、第1電源装置66が動作電力を供給する対象として、遊技盤33に搭載された電気機器に加えて、前扉22に設けられた各種発光部53,54及び操作ユニット141といった電気機器が含まれている構成としてもよい。
第1消去ボタン61b及び第2消去ボタン61cは、RWM154のデータや、後述する払出制御装置64のRWM164のデータをクリアする場合に操作される。
MPU152の入力側には、上記のもの以外にも、各種入賞検知センサ41a〜45aといった各種センサや開放検知スイッチ39が接続されている。各種入賞検知センサ41a〜45aには、一般入賞口41、可変入賞装置42、上作動口43、下作動口44及びスルーゲート45といった入賞対応入球部に1対1で対応させて設けられた検知センサが含まれており、MPU152において各入球部への入賞判定が行われる。また、MPU152では上作動口43への入賞に基づいて各種抽選が実行されるとともに、下作動口44への入賞に基づいて各種抽選が実行される。
MPU152の出力側には、音声発光制御装置62が接続されている。音声発光制御装置62には、変動用コマンド、種別コマンド及びオープニングコマンドなどの各種コマンドが出力される。音声発光制御装置62は、主制御装置61から受信したコマンドに基づき、各種発光部53,54及びスピーカ装置37を駆動制御するとともに、表示制御装置63にコマンドを送信する。表示制御装置63は、音声発光制御装置62から受信した各種コマンドを解析し又は受信した各種コマンドに基づき所定の演算処理を行って、図柄表示装置46aの表示面における画像の表示を制御する。
MPU152の出力側には、上記のもの以外にも、可変入賞装置42の開閉扉42cを開閉動作させる可変入賞駆動部42d、下作動口44の電動役物44bを開閉動作させる電動役物駆動部44c、特図表示部47、特図保留表示部47a、普図表示部48、普図保留表示部48a及び第1〜第3賞球報知部56〜58が接続されている。主制御基板151には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU152は各種駆動部の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては可変入賞装置42の大入賞口42bが開閉されるように、MPU152において可変入賞駆動部42dの駆動制御が実行される。また、電動役物44bのサポート当選となった場合には、電動役物44bが開閉されるように、MPU152において電動役物駆動部44cの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU152において特図表示部47の表示制御が実行される。また、遊技回を開始不可な状況で上作動口43又は下作動口44に遊技球B1が入球した場合及び遊技回が新たに開始された場合には、特図側の保留情報数の表示を増減させるべく特図保留表示部47aの表示制御が実行される。また、電動役物44bを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU152において普図表示部48の表示制御が実行される。また、普図表示部48における変動表示の開始が不可な状況でスルーゲート45に遊技球B1が入球した場合及び普図表示部48における変動表示が新たに開始された場合には、普図側の保留情報数の表示を増減させるべく普図保留表示部48aの表示制御が実行される。また、一般入賞口41、可変入賞装置42、上作動口43及び下作動口44のいずれかに遊技球B1が入球した場合には、賞球が発生することを報知すべく、第1〜第3賞球報知部56〜58のうち対応する報知部の表示制御が実行される。
MPU152の入力側及び出力側の両方には、払出制御装置64が接続されている。払出制御装置64は、遊技球B1の使用及び付与に関する制御を司る払出制御基板161と、第2電源装置67からの電力の供給状況を監視する第2停電監視基板165とを備えている。
払出制御基板161には、MPU162が搭載されている。MPU162には、ROM163及びRWM164が内蔵されている。ROM163は、NOR型フラッシュメモリやNAND型フラッシュメモリなどの記憶保持に外部からの電力供給が不要なメモリ(すなわち、不揮発性記憶手段)を、読み出し専用として利用するように構成されている。当該ROM163は、MPU162により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。RWM164は、SRAMやDRAMなどの記憶保持に外部からの電力供給が必要なメモリ(すなわち、揮発性記憶手段)を読み書き両用として利用するように構成されており、ランダムアクセスが可能であるとともに、同一のデータ容量で比較した場合にROM163よりも読み出しに要する時間が早いものとなっている。当該RWM164は、ROM163内に記憶されている制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶する。また、MPU162又は払出制御基板161には、上記素子以外に、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが設けられている。
なお、以下の説明では、主制御基板151のMPU152、ROM153及びRWM154と、払出制御基板161のMPU162、ROM163及びRWM164とを明確に区別するために、前者を主側MPU152、主側ROM153及び主側RWM154と言い、後者を払出側MPU162、払出側ROM163及び払出側RWM164と言う。
払出側MPU162には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。払出側MPU162の入力側には、払出制御装置64に設けられた第2停電監視基板165が接続されている。
第2停電監視基板165は、払出制御基板161と第2電源装置67とを中継し、さらに第2電源装置67から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、その監視電圧が5ボルト未満となった場合に、第2電源装置67について停電が発生したものとして、払出側MPU162に停電信号を送信する。
第2電源装置67は、遊技ホールの商用電源に接続されており、パチンコ機10において遊技盤33以外に搭載された電気機器に動作電力を供給するものである。具体的には、第2電源装置67は、払出制御装置64、発射制御装置65、遊技球発射機構34、球送り装置86、発射操作装置36、発射球検知センサ84、戻り球検知センサ124、磨き用駆動部113、各種発光部53,54、スピーカ装置37及び操作ユニット141に動作電力を供給する。また、第2電源装置67は、パチンコ機10の側方に設けられた管理ユニット131にも動作電力を供給する。
第2電源装置67には、商用電源から第2電源装置67への動作電力の供給が停止されている状況であっても、払出側RWM164及び管理ユニット131のRWM174においてデータの記憶保持を可能とするためにこれらRWM164,174にバックアップ電力を供給する図示しない電断時用電源部が設けられている。当該電断時用電源部は、コンデンサなどの充電式のものであり、商用電源から第2電源装置67に動作電力が供給されている場合に充電が行われる。電断時用電源部からのバックアップ電力によって、停電中であっても所定期間(例えば1日又は2日)は、RWM164,174においてデータが記憶保持される。
なお、上記のように第1電源装置66が動作電力を供給する対象として、遊技盤33に搭載された電気機器に加えて、前扉22に設けられた電気機器を含む場合には、第2電源装置67が動作電力を供給する対象から各種発光部53,54及び操作ユニット141は除外される。
払出側MPU162の入力側には、上記のもの以外にも、発射球検知センサ84及び戻り球検知センサ124が接続されている。払出側MPU162では、発射球検知センサ84の検知結果に基づき発射球の有無を把握するとともに、戻り球検知センサ124の検知結果に基づき戻り球の有無を把握する。
払出側MPU162の出力側には、球磨き機構111に設けられた磨き用駆動部113が接続されている。詳細は後述するが、磨き用駆動部113が駆動状態となることにより球磨き機構111において球磨き動作が行われる。
払出側MPU162の入力側及び出力側の両方には、主制御装置61以外にも、発射制御装置65、操作ユニット141及び管理ユニット131が接続されている。
発射制御装置65は、遊技球発射機構34と、球送り装置86と、発射操作装置36と接続されている。発射制御装置65は、発射操作装置36の操作ハンドル36bが触れられていることがタッチセンサ36cにより検知されており、且つストップスイッチ36eがONとなっていない状況では、払出側MPU162に向けてHIレベルの条件成立信号の送信を継続する。
当該信号の送信が継続されている状況において、遊技用の発射を行うことが可能な状況である場合には、払出側MPU162からHIレベルの発射許可信号の送信が継続される。この場合、発射制御装置65は、球送り装置86→遊技球発射機構34の順で駆動制御を実行し、球皿部71から1個の遊技球B1を発射レール81上に供給するとともにその供給された遊技球B1を遊技領域に向けて発射させる。この際の発射強度は、発射操作装置36の可変抵抗器36dから送信されている信号に応じて決定されるが、最小の発射強度は、発射された遊技球B1が発射レール81における発射先側の端部よりも遊技領域側の位置に到達する強度に設定されている。したがって、遊技球B1の発射動作が行われたにも関わらず、その遊技球B1が発射レール81上を逆流してきてしまうことが防止される。また、HIレベルの発射許可信号の送信が継続されている場合における遊技球B1の発射周期は、所定周期となるように設定されており、具体的には0.6secに1個の遊技球B1が発射されるように設定されている。
操作ユニット141は、既に説明したとおり、度数表示部147、残数表示部148、及び各種操作ボタン142,143を備えている。各種操作ボタン142,143の操作有無を示す信号は払出側MPU162に送信される。また、払出側MPU162から送信される信号に基づき、度数表示部147及び残数表示部148の表示制御が実行される。
管理ユニット131は、投入された現金を認識するための制御、投入された記憶媒体Mを認識するための制御、及び記憶媒体Mを排出するための制御を担う管理制御基板171を備えている。
管理制御基板171には、MPU172が搭載されている。MPU172には、ROM173及びRWM174が内蔵されている。ROM173は、NOR型フラッシュメモリやNAND型フラッシュメモリなどの記憶保持に外部からの電力供給が不要なメモリ(すなわち、不揮発性記憶手段)を、読み出し専用として利用するように構成されている。当該ROM173は、MPU172により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。RWM174は、SRAMやDRAMなどの記憶保持に外部からの電力供給が必要なメモリ(すなわち、揮発性記憶手段)を読み書き両用として利用するように構成されており、ランダムアクセスが可能であるとともに、同一のデータ容量で比較した場合にROM173よりも読み出しに要する時間が早いものとなっている。当該RWM174は、ROM173内に記憶されている制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶する。また、MPU172又は管理制御基板171には、上記素子以外に、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが設けられている。
なお、以下の説明では、管理制御基板171のMPU172、ROM173及びRWM174を、主制御装置61及び払出制御装置64のものと明確に区別するために、管理側MPU172、管理側ROM173及び管理側RWM174と言う。
管理側MPU172には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。管理側MPU172の入力側には、紙幣用回路175が接続されている。現金投入口132に投入された現金は、紙幣用回路175により識別され、その識別結果が管理側MPU172に送信される。
管理側MPU172の出力側には、各種駆動部176a〜176cが設けられている。現金投入口132に現金が差し込まれた場合には、当該現金投入口132に対応した駆動部176aが駆動制御されることで、その現金が管理ユニット131内に取り込まれる。媒体投入口133に記憶媒体Mが差し込まれた場合には、当該媒体投入口133に対応した駆動部176bが駆動制御されることで、その記憶媒体Mが管理ユニット131内に取り込まれる。記憶媒体Mを排出する場合には、媒体排出口134に対応した駆動部176cが駆動制御されることで、その記憶媒体Mが管理ユニット131から排出される。
管理側MPU172の入力側及び出力側の両方には、払出制御装置64以外にも、媒体用回路177が接続されている。媒体投入口133に投入された記憶媒体Mは、媒体用回路177によりその記憶されている情報が読み取られ、その読み取り結果が管理側MPU172に送信される。記憶媒体Mを排出すべき旨の指示がなされた場合には、管理側MPU172から送信される信号に基づき、媒体用回路177により記憶媒体Mへの情報の書き込み処理が実行される。
<各種抽選を行うための電気的な構成>
次に、主側MPU152にて各種抽選を行うための電気的な構成について、図10を用いて説明する。
主側MPU152は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、特図表示部47の表示の設定、図柄表示装置46aの図柄表示の設定、普図表示部48の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図10に示すように、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置46aが外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、特図表示部47及び図柄表示装置46aにおける表示継続時間を決定する変動種別カウンタCSと、を用いることとしている。さらに、下作動口44の電動役物44bを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、主側RWM154の抽選用カウンタエリア154aに設けられている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新される。大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口43又は下作動口44への入賞が発生した場合に保留格納エリア154bに格納される。
保留格納エリア154bは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、上作動口43又は下作動口44への入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1〜RE4に格納される。
この場合、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4には、上作動口43又は下作動口44への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1〜RE4が設けられていることにより、上作動口43又は下作動口44への遊技球B1の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。
実行エリアAEは、特図表示部47の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
上記各カウンタについて詳細に説明する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球B1が上作動口43又は下作動口44に入賞したタイミングで保留格納エリア154bに格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、主側ROM153の当否テーブル記憶エリアに当否テーブルとして記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブルと、高確率モード用の当否テーブルとが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして低確率モードと高確率モードとが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球B1が上作動口43又は下作動口44に入賞したタイミングで保留格納エリア154bに格納される。
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける可変入賞装置42の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の下作動口44の電動役物44bにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
開閉実行モードにおける可変入賞装置42の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置42への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードのいずれであっても、予め定められた回数のラウンド遊技を上限として実行される。
ここで、ラウンド遊技とは、予め定められた上限継続時間が経過すること、及び予め定められた上限個数の遊技球B1が大入賞口42bに入賞することのいずれか一方の条件が満たされるまで継続する遊技のことである。また、大当たり結果が契機となった開閉実行モードにおけるラウンド遊技の回数は、その移行の契機となった大当たり結果の種類がいずれであっても固定ラウンド回数で同一となっている。具体的には、いずれの大当たり結果となった場合であっても、ラウンド遊技の上限回数は15ラウンドに設定されている。
また、本パチンコ機10では、可変入賞装置42の1回の開放態様が、大入賞口42bが開放されてから閉鎖されるまでの開放継続時間を相違させて、複数種類設定されている。詳細には、開放継続時間が長時間である29secに設定された長時間態様と、開放継続時間が上記長時間よりも短い短時間である0.8secに設定された短時間態様と、が設定されている。
本パチンコ機10では、発射操作装置36が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球B1が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構34が駆動制御される。また、ラウンド遊技は終了条件の上限個数が9個に設定されている。そうすると、上記開放態様のうち長時間態様では、遊技球B1の発射周期と1回のラウンド遊技の上限個数との積よりも長い時間の開放継続時間が設定されていることとなる。一方、短時間態様では、遊技球B1の発射周期と1回のラウンド遊技の上限個数との積よりも短い時間、より詳細には、遊技球B1の発射周期と同程度又は若干長い程度の開放継続時間が設定されている。したがって、長時間態様で可変入賞装置42の1回の開放が行われた場合には、大入賞口42bに、1回のラウンド遊技における上限個数分の入賞が発生することが期待され、短時間態様で可変入賞装置42の1回の開放が行われた場合には、大入賞口42bへの入賞が発生しないこと又は入賞が発生するとしても1個程度となることが期待される。
高頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において長時間態様による大入賞口42bの開放が1回行われる。一方、低頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において短時間態様による大入賞口42bの開放が1回行われる。
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける大入賞口42bの開閉回数、ラウンド遊技の回数、1回の開放に対する開放継続時間及び1回のラウンド遊技における上限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置42への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。
下作動口44の電動役物44bにおけるサポートモードとしては、遊技領域に同様の態様で遊技球B1の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口44の電動役物44bが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、高頻度サポートモードと低頻度サポートモードとが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物44bが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物44bの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口44への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口44よりも上作動口43への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口43よりも下作動口44への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口44への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球B1の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート45への入賞に基づき普図表示部48にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、普図表示部48における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は主側ROM153の振分テーブル記憶エリアに振分テーブルとして記憶されている。そして、かかる振分先として、低確大当たり結果と、低入賞高確大当たり結果と、最有利大当たり結果とが設定されている。
低確大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
低入賞高確大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり結果となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
最有利大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり結果となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、開閉実行モードではなく、さらに当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。また、遊技結果として、低入賞高確大当たり結果が設定されていない構成としてもよい。
振分テーブルでは、「0〜29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0〜9」が低確大当たり結果に対応しており、「10〜14」が低入賞高確大当たり結果に対応しており、「15〜29」が最有利大当たり結果に対応している。
なお、高確大当たり結果の一種として、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードがそれまでのモードに維持されることとなる非明示の低入賞高確大当たり結果(非明示高確率対応遊技結果又は潜伏確変状態となる結果)が含まれていてもよい。この場合、大当たり結果のさらなる多様化が図られる。
さらにまた、当否抽選における外れ結果の一種として、低頻度入賞モードの開閉実行モードに移行するとともに、その終了後において当否抽選モード及びサポートモードの移行が発生しない特別外れ結果が含まれていてもよい。上記のような非明示の低入賞高確大当たり結果と当該特別外れ結果との両方が設定されている構成においては、開閉実行モードが低頻度入賞モードに移行すること、及びサポートモードがそれまでのモードに維持されることで共通しているのに対して、当否抽選モードの移行態様が異なっていることにより、例えば通常遊技状態において非明示の低入賞高確大当たり結果又は特別外れ結果の一方が発生した場合に、それが実際にいずれの結果に対応しているのかを遊技者に予測させることが可能となる。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球B1が上作動口43又は下作動口44に入賞したタイミングで保留格納エリア154bに格納される。
ここで、本パチンコ機10には、図柄表示装置46aにおける表示演出の一種としてリーチ表示が設定されている。リーチ表示とは、図柄の変動表示を行うことが可能な図柄表示装置46aを備え、可変入賞装置42の開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置46aにおける図柄の変動表示が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
リーチ表示には、図柄表示装置46aの表示面に表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
リーチ表示は、高頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行される。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、主側ROM153のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。つまり、リーチ乱数カウンタC3の数値情報は、リーチ表示を実行するか否かを決定するために利用される。但し、リーチ表示の種類の決定に際しては、リーチ乱数カウンタC3の数値情報は利用されない。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、特図表示部47における変動表示時間と、図柄表示装置46aにおける図柄の変動表示時間とを主側MPU152において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述するメイン処理及びタイマ割込み処理のそれぞれにて更新され、特図表示部47における変動表示の開始時及び図柄表示装置46aによる図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSの値が取得される。なお、変動表示時間の決定に際しては、主側ROM153の変動表示時間テーブル記憶エリアに予め記憶されている変動表示時間テーブルが参照される。
ここで、上記リーチ乱数カウンタC3から取得した数値情報に基づきリーチ表示を発生させることが決定された場合や、高頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回であることに起因してリーチ表示を発生させることが決定された場合には、変動種別カウンタCSから取得した数値情報を利用してリーチ表示の種類が決定される。各リーチ表示は、リーチ表示において出現するキャラクタの種類や、リーチ表示が実行される期間などが相違している。
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート45に遊技球B1が入賞したタイミングで主側RWM154に設けられた電役保留エリア154cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって電動役物44bを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
<遊技球管理処理>
次に、遊技球管理処理について説明する。遊技球管理処理の説明に先立ち、管理側MPU172にて実行される球供給用の管理処理について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
まずステップS101では、紙幣用回路175からの信号に基づき、管理ユニット131の現金投入口132に紙幣が投入されたか否かを判定する。紙幣が投入された場合には、ステップS102にて、紙幣の判別処理を実行する。紙幣用回路175では、投入された紙幣のサイズを識別可能となっており、1万円札が投入された場合にはそれに対応した紙幣投入信号を出力し、5千円札が投入された場合にはそれに対応した紙幣投入信号を出力し、2千円札が投入された場合にはそれに対応した紙幣投入信号を出力し、1千円札が投入された場合にはそれに対応した紙幣投入信号を出力する。ステップS102の判別処理では、いずれの種類の紙幣投入信号を紙幣用回路175から受信しているのかを判別する。
続くステップS103では、ステップS102の判別結果に対応した度数情報を、管理側ROM173に予め記憶されている度数参照テーブルを参照することにより把握する。具体的には、1万円札である場合には度数情報が「100」であると把握し、5千円札である場合には度数情報が「50」であると把握し、2千円札である場合には度数情報が「20」であると把握し、1千円札である場合には度数情報が「10」であると把握する。
その後、ステップS104では、ステップS103にて把握した結果に対応した度数情報の出力設定を実行する。具体的には、ステップS103にて把握した度数情報を含む球供給コマンドを、払出側MPU162に向けて出力する。
ステップS101にて否定判定をした場合又はステップS104の処理を実行した後は、ステップS105にて、媒体用回路177からの信号に基づき、管理ユニット131の媒体投入口133に記憶媒体Mが投入されたか否かを判定する。記憶媒体Mは、度数情報と残存球情報とを個別に記憶可能であって同時に記憶可能に構成されている。残存球情報とは、遊技者が使用可能な遊技球B1の数を示す情報のことである。媒体用回路177は、当該記憶媒体Mに記憶された度数情報と残存球情報とを個別に読み出し可能であってそれぞれを認識可能に構成されている。
記憶媒体Mが投入された場合には、ステップS106にて、媒体用回路177からの信号に基づき、記憶媒体Mに度数情報が書き込まれているか否かを判定する。度数情報が書き込まれている場合には、ステップS107にて、その度数情報を読み出し、ステップS108にて、その読み出した度数情報の出力設定を実行する。具体的には、ステップS107にて読み出した度数情報を含む球供給コマンドを、払出側MPU162に向けて出力する。
ステップS106にて否定判定をした場合又はステップS108の処理を実行した後は、ステップS109にて、媒体用回路177からの信号に基づき、記憶媒体Mに残存球情報が書き込まれているか否かを判定する。残存球情報が書き込まれている場合には、ステップS110にて、その残存球情報を読み出し、ステップS111にて、その読み出した残存球情報の出力設定を実行する。具体的には、ステップS110にて読み出した残存球情報を含む球供給コマンドを、払出側MPU162に向けて出力する。ステップS109にて否定判定をした場合又はステップS111の処理を実行した後は、本球供給用の管理処理を終了する。
なお、投入された記憶媒体Mに度数情報及び残存球情報の両方が記憶されている場合であっても、度数情報に対応した球供給コマンドと、残存球情報に対応した球供給コマンドとが個別に送信される。
図12は、払出側MPU162にて実行される遊技球管理処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、図13を参照しながら操作ユニット141の度数表示部147及び残数表示部148の表示内容について説明する。図13(a)〜(c)は操作ユニット141の正面図である。
ステップS201では、管理側MPU172から球供給コマンドを受信しているか否かを判定する。なお、管理側MPU172から送信された球供給コマンドは、払出側RWM164のリングバッファに順次格納され、遊技球管理処理が起動される度に当該リングバッファに格納された球供給コマンドが順次読み出される。したがって、ステップS201ではリングバッファに未処理の球供給コマンドが格納されているか否かを判定する。
球供給コマンドを受信している場合には、ステップS202にて、その球供給コマンドに度数情報が含まれているか否かを判定する。度数情報が含まれている場合には、ステップS203にて、払出側RWM164に設けられた度数情報記憶エリア164aに、今回受信した球供給コマンドに含まれる度数情報が加算されるように当該記憶エリア164aを更新する。続くステップS204では、ステップS203の更新後における度数情報記憶エリア164aの度数情報が操作ユニット141の度数表示部147に表示されるように、当該度数表示部147の表示を更新する。例えば、図13(a)に示すように、残数表示部148に「0」が表示されている状況で、度数表示部147に「50」が表示される。
一方、ステップS202にて否定判定をした場合、今回の球供給コマンドには度数情報ではなく、残存球情報が含まれていることを意味する。この場合、ステップS205にて、払出側RWM164に設けられた残存球情報記憶エリア164bに、今回受信した球供給コマンドに含まれる残存球情報が加算されるように当該記憶エリア164bを更新する。続くステップS206では、ステップS205の更新後における残存球情報記憶エリア164bの残存球情報が操作ユニット141の残数表示部148に表示されるように、当該残数表示部148の表示を更新する。例えば、図13(b)に示すように、度数表示部147に「0」が表示されている状況で、残数表示部148に「5375」が表示される。また、例えば、度数情報及び残存球情報の両方が書き込まれた記憶媒体Mが管理ユニット131の媒体投入口133に投入された場合には、図13(c)に示すように、度数表示部147に「25」が表示されるとともに、残数表示部148に「7243」が表示される。
ステップS201にて否定判定をした場合、ステップS204の処理を実行した場合又はステップS206の処理を実行した場合には、ステップS207〜ステップS211の球供給用処理に進む。
球供給用処理では、まずステップS207にて、操作ユニット141の球供給ボタン142が操作されているか否かを判定する。球供給ボタン142が操作されている場合には、ステップS208にて、度数情報の減算用の記憶更新処理を実行する。具体的には、度数情報記憶エリア164aに記憶されている度数情報から所定数分の度数情報(具体的には「5」)が減算されるように当該記憶エリア164aを更新する。続くステップS209では、ステップS208の更新後における度数情報記憶エリア164aの度数情報が度数表示部147に表示されるように、当該度数表示部147の表示を更新する。
続くステップS210では、残存球情報の加算用の記憶更新処理を実行する。具体的には、残存球情報記憶エリア164bに記憶されている残存球情報に上記所定数分の度数情報に対応した対応数分の残存球情報(具体的には「125」)が加算されるように当該記憶エリア164bを更新する。続くステップS211では、ステップS210の更新後における残存球情報記憶エリア164bの残存球情報が残数表示部148に表示されるように、当該残数表示部148の表示を更新する。
ステップS207にて否定判定をした場合又はステップS211の処理を実行した場合には、ステップS212〜ステップS215の賞球対応処理に進む。
賞球対応処理では、まずステップS212にて、主側MPU152から賞球コマンドを受信しているか否かを判定する。賞球コマンドの設定を行うための処理は主側MPU152にて、特定周期、具体的には4msec周期で実行されるタイマ割込み処理に含まれている。賞球コマンドは主側RWM154の賞球カウンタの値が1以上である場合に、払出側MPU162に送信される。賞球カウンタは主側RWM154に設けられている。3個賞球カウンタは、3個の賞球の実行を指示する3個賞球コマンドを出力すべき回数を主側MPU152において特定するためのカウンタであるとともに、10個賞球カウンタは、10個の賞球の実行を指示する10個賞球コマンドを出力すべき回数を主側MPU152において特定するためのカウンタである。また、15個賞球カウンタは、15個の賞球の実行を指示する15個賞球コマンドを出力すべき回数を主側MPU152において特定するためのカウンタである。なお、主側MPU152から送信された賞球コマンドは、払出側RWM164のリングバッファに順次格納され、遊技球管理処理が起動される度に当該リングバッファに格納された賞球コマンドが順次読み出される。よって、ステップS212では、リングバッファに未処理の賞球コマンドが格納されているか否かを判定する。
賞球コマンドを受信している場合には、ステップS213にて賞球数の把握処理を実行する。当該把握処理では、今回受信した賞球コマンドに含まれる賞球数の情報を把握する。本パチンコ機10では、主側MPU152から送信される賞球コマンドは、3個賞球コマンド、10個賞球コマンド及び15個賞球コマンドのいずれかであるため、ステップS213にて把握される賞球数は3個、10個及び15個のいずれかである。
続くステップS214では、残存球情報の加算用の記憶更新処理を実行する。具体的には、残存球情報記憶エリア164bに記憶されている残存球情報に上記賞球数に対応した数分の残存球情報が加算されるように当該記憶エリア164bを更新する。続くステップS215では、ステップS214の更新後における残存球情報記憶エリア164bの残存球情報が残数表示部148に表示されるように、当該残数表示部148の表示を更新する。
ステップS212にて否定判定をした場合又はステップS215の処理を実行した場合には、ステップS216に進み、遊技球使用の管理処理を実行し、さらにステップS217にて、度数情報及び残存球情報の出力処理を実行した後に、本遊技球管理処理を終了する。ステップS216における遊技球使用の管理処理については後に説明する。ステップS217では、払出側RWM164の度数情報記憶エリア164aに記憶されている度数情報、及び払出側RWM164の残存球情報記憶エリア164bに記憶されている残存球情報を、球管理コマンドとして主側MPU152に出力する。
<遊技球使用の管理処理>
次に、払出側MPU162において実行される遊技球使用の管理処理について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。なお、遊技球使用の管理処理は、遊技球管理処理(図12)のステップS216にて実行される。
ステップS301では、発射レール81上に保持される1個の遊技球B1を検知するための発射球検知センサ84から、遊技球B1を検知していることに対応したHIレベルの発射球検知信号を受信しているか否かを判定する。発射球検知センサ84がONとなっていない場合には、ステップS302にて、払出側RWM164に設けられた発射検知カウンタの値を「0」クリアする。発射検知カウンタは、発射球検知センサ84が継続してONとなっている期間を払出側MPU162において計測するためのカウンタである。
発射球検知センサ84がONとなっている場合には、ステップS303にて、発射検知カウンタの値を1加算する。続くステップS304では、発射検知カウンタの値が「2」となっているか否かを判定する。発射検知カウンタの値が「2」となっている場合には、ステップS305〜ステップS307の球使用時処理を実行する。
詳細には、ステップS305にて、残存球情報の減算用の記憶更新処理を実行する。具体的には、残存球情報記憶エリア164bに記憶されている残存球情報から1減算されるように当該記憶エリア164bを更新する。続くステップS306では、ステップS305の更新後における残存球情報記憶エリア164bの残存球情報が残数表示部148に表示されるように、当該残数表示部148の表示を更新する。
ステップS302の処理を実行した場合、ステップS304にて否定判定をした場合、又はステップS306の処理を実行した場合には、ステップS307〜ステップS312の戻り球用の処理を実行する。
戻り球用の処理では、まずステップS307にて、戻り球用回収部121を通過する1個の遊技球B1を検知するための戻り球検知センサ124から、遊技球B1を検知していることに対応したHIレベルの戻り球検知信号を受信しているか否かを判定する。戻り球検知センサ124がONとなっていない場合には、ステップS308にて、払出側RMW164に設けられた戻り球検知カウンタの値を「0」クリアした後に、本遊技球使用の管理処理を終了する。戻り球検知カウンタは、戻り球検知センサ124が継続してONとなっている期間を払出側MPU162において計測するためのカウンタである。
戻り球検知センサ124がONとなっている場合には、ステップS309にて、戻り検知カウンタの値を1加算する。続くステップS310では、戻り検知カウンタの値が「2」となっているか否かを判定する。戻り検知カウンタの値が「2」となっていない場合には、そのまま本遊技球使用の管理処理を終了する。
戻り検知カウンタの値が「2」となっている場合には、ステップS311にて、残存球情報の加算用の記憶更新処理を実行する。具体的には、残存球情報記憶エリア164bに記憶されている残存球情報が1加算されるように当該記憶エリア164bを更新する。続くステップS312では、ステップS311の更新後における残存球情報記憶エリア164bの残存球情報が残数表示部148に表示されるように、当該残数表示部148の表示を更新する。その後、本遊技球使用の管理処理を終了する。
<返却管理処理>
次に、返却管理処理について、図15のフローチャートを参照しながら説明する。
まずステップS401では、条件成立信号がHIレベルであるか否かを判定する。条件成立信号がHIレベルではない場合、すなわち遊技者により発射操作装置36が操作されていない状況である場合には、ステップS402以降の記憶媒体Mを提供するための処理を実行する。つまり、本パチンコ機10では、発射操作装置36が操作されていないことを条件として記憶媒体Mを提供するための処理が実行される。これにより、発射操作に伴う残存球情報の減算処理が実行されている状況で記憶媒体Mを提供するための処理が実行されることが禁止され、残存球情報を正確に扱うことが可能となる。
ステップS402では、操作ユニット141の全返却ボタン143が操作されているか否かを判定する。全返却ボタン143が操作されていない場合にはそのまま本返却管理処理を終了する。一方、ステップS402において、全返却ボタン143が操作されている場合には、ステップS403にて、開閉実行モード中であるか否かを判定する。払出側MPU162は、開閉実行モードの開始に際して主側MPU152からオープニングコマンドを受信し、さらに開閉実行モードの終了に際して主側MPU152からエンディングコマンドを受信するため、開閉実行モードであるか否かを把握することが可能となっている。ステップS403にて肯定判定をした場合、すなわち開閉実行モード中である場合には、そのまま本返却管理処理を終了する。これにより、開閉実行モード中には全返却ボタン143の操作を無効化することが可能となる。
球皿部71への外部からの遊技球B1の補充が不可であって残存球情報が1以上の場合に遊技球B1の発射が許容される構成においては、全返却ボタン143が操作されると、少なくとも記憶媒体Mが排出されるまでの時間と、記憶媒体M又は紙幣が投入されて残存球情報の新たなセットが行われる時間との間、遊技球B1の発射を行うことが不可となる。このような事象が、開閉実行モード中における全返却ボタン143の誤操作によって発生してしまうと、ラウンド遊技を好適に消化することができなくなってしまう。その一方で、開閉実行モード中に全返却ボタン143が意図的に操作されることは考えづらい。これに対して、開閉実行モード中は全返却ボタン143の操作を無効化することにより、上記のような不都合の発生が防止される。
ステップS403にて否定判定をした場合には、ステップS404に進み、払出側RWM164に設けられた賞球待機フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。払出側MPU162は、主側RWM154に設けられた各賞球カウンタのいずれかの値が1以上となった場合にその内容を示す待機開始コマンドを受信可能となっているとともに、各賞球カウンタの全ての値が「0」となった場合にその内容を示す待機終了コマンドを受信可能となっている。賞球待機フラグは、待機開始コマンドを受信した場合に「1」がセットされ、待機終了コマンドを受信するとともに当該待機終了コマンドと同時に受信する賞球コマンドについての残存球情報への加算用の処理が完了した場合に「0」クリアされる。ステップS404にて肯定判定をした場合、すなわち賞球の処理が完了していない場合には、そのまま本返却管理処理を終了する。これにより、賞球の処理が完了していない状況では全返却ボタン143の操作を無効化することが可能となる。よって、全返却ボタン143の操作に基づき記憶媒体Mが排出されたにも関わらず、その直後に賞球に基づき残存球情報が「1」以上となってしまうことが防止される。
ステップS404にて否定判定をした場合には、ステップS405に進む。ステップS405では、払出側RWM164の度数情報記憶エリア164aから度数情報を読み出し、ステップS406では、払出側RWM164の残存球情報記憶エリア164bから残存球情報を読み出す。
続くステップS407では、ステップS405にて読み出した度数情報が1以上であるか否かを判定する。度数情報が1以上である場合には、ステップS408にて、その読み出した度数情報を含む返却コマンドを管理側MPU172への出力対象として設定する。返却コマンドは、本返却管理処理が終了した後に管理側MPU172に向けて出力される。その後、ステップS409にて、度数情報の初期化処理を実行する。具体的には、度数情報記憶エリア164aを「0」クリアするとともに、操作ユニット141の度数表示部147の表示が「0」となるように当該度数表示部147を表示制御する。
ステップS407にて否定判定をした場合、又はステップS409の処理を実行した場合には、ステップS410において、ステップS406にて読み出した残存球情報が1以上であるか否かを判定する。残存球情報が「0」である場合には、そのまま本返却管理処理を終了する。残存球情報が1以上である場合には、ステップS411にて、その読み出した残存球情報を含む返却コマンドを管理側MPU172への出力対象として設定する。この場合に、ステップS408にて既に返却コマンドが出力対象として設定されている場合には、当該返却コマンドに上記読み出した残存球情報を度数情報とは区別された状態で含ませる。返却コマンドは、既に説明したとおり、本返却管理処理が終了した後に管理側MPU172に向けて出力される。その後、ステップS412にて、残存球情報の初期化処理を実行する。具体的には、残存球情報記憶エリア164bを「0」クリアするとともに、操作ユニット141の残数表示部148の表示が「0」となるように当該残数表示部148を表示制御する。その後、本返却管理処理を終了する。
<遊技球B1を研磨するための構成>
次に、遊技球B1を研磨するための構成について説明する。遊技球B1を循環させて使用するパチンコ機10では、遊技球B1を長期間に亘ってパチンコ機10内で循環させることとなるため、次第に遊技球B1に汚れが付着する。これに対して、パチンコ機10内に遊技球B1を研磨する球磨き機構111を設けることで、遊技球B1の研磨に関するメンテナンス作業の負担を軽減することができる。
図16に球磨き機構111の斜視図を示すとともに、図17に球磨き機構111の断面図を示す。図17に示すように、遊技球B1は研磨通路259内で研磨される。研磨通路259は、研磨通路形成部材245と研磨部材支持体250とを組合せることにより形成される。図18(a)に研磨通路形成部材245の斜視図を示す。研磨通路形成部材245は円筒状に形成された本体部264を備えており、本体部264における軸線方向の両端部にはそれぞれ当該本体部264において軸線方向に延びる孔部265を外部に開放させるための開口部266,267(図17参照)が存在している。
図18(b)に研磨部材支持体250の斜視図を示す。研磨部材支持体250は、円盤状の支持ベース部258を備えているとともに、支持ベース部258を基準として一方に延びるように当該支持ベース部258に一体形成された研磨部材支持部252と、支持ベース部258を基準として他方に延びるように当該支持ベース部258と一体形成された円筒状の導入通路形成部262と、を備えている。研磨部材支持体250は、研磨部材支持部252が研磨通路形成部材245の本体部264の孔部265に挿入されるように配置されている。研磨部材支持体250の挿入方向への移動は、本体部264の軸線方向の一端において外方に突出させて形成された円盤状の上流側フランジ部255に対して挿入方向の元側から支持ベース部258が当接することにより阻止されている。そして、上流側フランジ部255と支持ベース部258とが当接した状態で第1留め具242によって上記軸線方向への移動及び軸線に対して直交する方向への移動が阻止されることにより、研磨通路形成部材245と研磨部材支持体250が一体化されている。
研磨部材支持部252は半円柱状に形成されており、その長さ寸法は研磨通路形成部材245の本体部264の孔部265の孔長と同じである。研磨部材支持部252における外側に凸となった曲面部とは反対側の面には曲面部側に凹ませて収容溝253が形成されている。収容溝253は本体部264の孔部265の軸線方向に延びている。図17に示すように、収容溝253には、遊技球B1の研磨を行うための研磨部材251が収容されている。研磨部材251は発泡性ゴム等から成る表面の摩擦係数が高い弾性体である。かかる構成であることにより、研磨通路259は、研磨通路形成部材245の本体部264と、研磨部材支持部252と、研磨部材251とにより形成されている。また、研磨部材支持部252は外側に凸となった曲面部が本体部264において孔部265の下側の孔壁に沿うようにして存在している。この場合、研磨部材251は研磨通路259の底面を生じさせている。研磨部材251は、研磨部材支持部252の収容溝253に固定されている。研磨部材251は摩擦係数の高い弾性体であるため、研磨部材251の表面と遊技球B1の表面が接触した状態で、研磨部材251と遊技球B1が擦れることにより、遊技球B1の表面は研磨部材251により磨かれる。
図17に示すように、研磨通路259の上流側の端部には、研磨部材支持体250の導入通路形成部262に形成された導入通路263が連通されている。導入通路形成部262は円筒状に形成されており、導入通路263は研磨通路259と同一方向に延びている。研磨通路259の下流側の端部には、下流通路形成部材244における円筒状の本体部264に形成された下流通路261が連通されている。下流通路形成部材244の本体部264における導入通路263側の端部にも外方に突出させて円盤状の受け部254が一体形成されており、当該受け部254に対応させて、研磨通路形成部材245の本体部264における263側の端部にも外方に突出させて円盤状の下流側フランジ部257が一体形成されている。そして、受け部254と下流側フランジ部257とが当接した状態で第2留め具243によって上記軸線方向への移動及び軸線方向に対して直交する方向への移動が阻止されることにより、研磨通路形成部材245と導入通路形成部262とが一体化されている。
当該留め具242,243が開いた状態の斜視図を図19に示す。留め具242,243は上部283と下部284に分かれており、上部283及び下部284は軸281により回動可能に接続されている。留め具242,243には2つの通路を接続するための通路接続用溝282が形成されており、留め具242,243が閉じた状態において、通路接続用溝282に囲われる空間は円柱形となる。当該円柱の直径は研磨部材支持体250の円盤状の支持ベース部258、研磨通路形成部材245の円環状のフランジ部255,257及び下流通路形成部材244の円環状の受け部254の外径と等しい。
図17に示すように、研磨部材支持体250の円盤状の支持ベース部258と研磨通路形成部材245の上流側の円環状の下流側フランジ部257が第1留め具242の通路接続用溝282に収まることにより接続されるとともに、研磨通路形成部材245の下流側の円環状の上流側フランジ部255と下流通路形成部材244の円環状の受け部254が第2留め具243の通路接続用溝282に収まることにより接続される。
研磨部材支持体250の円盤状の支持ベース部258及び下流通路形成部材244の円環状の受け部254と接続された研磨通路形成部材245は、軸方向の移動が制限される一方で、軸まわりの回転は制限されない。したがって、研磨通路形成部材245は、研磨部材支持体250及び下流通路形成部材244と接続された状態においても、円筒形の本体部264の軸まわりの回転を行うことができる。
図17に示すように、第2留め具243上に回転体249を駆動するための磨き用駆動部113が取り付けられている。当該磨き用駆動部113と回転体249は軸棒247を介して接続されている。また、円柱形の回転体249が円筒状の接触部材248の底面中央に挿入されて両者が着脱可能に固定されている。磨き用駆動部113の駆動により軸棒247を介して回転体249が回転し、同時に回転体249に巻かれた接触部材248が回転する。当該接触部材248の側面は円筒形の研磨通路形成部材245の側面に接触している。円筒形の研磨通路形成部材245は軸回りの回転が可能な状態で研磨部材支持体250及び下流通路形成部材244と接続されているため、接触部材248の回転に伴って研磨通路形成部材245も回転する。
図20に研磨通路形成部材245の正面図を示す。研磨部材支持体250及び下流通路形成部材244に対して回転可能に接続されている研磨通路形成部材245の内壁にはらせん状の溝271が形成されている。当該らせん状の溝271の幅は遊技球B1の直径よりも小さく、深さは、遊技球B1の半径よりも浅い。また、らせん状の溝271は研磨通路形成部材245の内壁を6周している。らせん状の溝271の間隔は遊技球B1の直径よりも長く、一定である。研磨通路形成部材245は上流側の導入領域272、中間の中間領域273及び下流側の研磨領域274に分かれる。らせん状の溝271の深さは、導入領域272において深く、研磨領域274において浅い。中間領域273において、らせん状の溝271の深さは連続的に浅くなる。当該らせん状の溝271の深さの変化に伴い、遊技球B1と研磨部材251の接触圧は連続的に変化する。具体的には、遊技球B1と研磨部材251の接触圧は導入領域272において小さく、研磨領域274において大きくなる。これにより、研磨通路259の導入領域272において遊技球B1を取込み易くなるとともに、研磨領域274において遊技球B1を強く研磨することが可能となる。
図21(a)に、研磨通路259を形成する部材の上流側の入口における断面図を示す。研磨通路形成部材245の内壁にはらせん状の溝271が形成されている。当該らせん状の溝271の断面は遊技球B1と同じ半径を有する円弧である。研磨通路259の上流側の端において、研磨通路259の断面は半円の形をしている。半円形の研磨通路259の断面が有する半径は遊技球B1の直径よりも短い。したがって、研磨通路259の上流側の入口において、最も幅広な部分にも遊技球B1は取り込まれない。図21(b)に遊技球B1がらせん状の溝271にはまる様子を説明するための断面図を示す。研磨通路形成部材245の回転に伴い、らせん状の溝271の位置が変化する。研磨通路259の入口において、らせん状の溝271が研磨通路259を挟んで研磨部材251と対向する位置に存在する場合に、遊技球B1はらせん状の溝271にはまるとともに、研磨通路259に取り込まれる。
図22に回転する研磨通路形成部材245の断面図を示す。図22は、研磨通路形成部材245の内壁に形成されたらせん状の溝271が当該研磨通路形成部材245の回転に伴って移動する様子を示している。詳細には、時間tが1増加する間に、円筒状の研磨通路形成部材245は軸線まわりを120°回転する。したがって、t=1からt=2に変化する過程で研磨通路形成部材245は120°回転するとともに、t=1からt=4に変化する過程で、研磨通路形成部材245は360°回転して元に戻る。t=4からt=7に変化する過程で1回転するとともに、t=7からt=13に変化する過程及びt=13からt=19に変化する過程で2回転する。t=19において研磨通路259の出口に差しかかった遊技球B1は、240°回転後のt=21において下流へと放出される。
図23にらせん状の溝271が遊技球B1に加える力について説明するための上面図を示す。遊技球B1はらせん状の溝271と2箇所で接触している。具体的には上流側の縁275及び下流側の縁276と接触している。研磨通路形成部材245の回転に伴い、当該研磨通路形成部材245の内壁に形成されているらせん状の溝271が上流から下流に向けて移動する。遊技球B1は下流側の接触点から、下流側の縁276に垂直で、上流側の接触点に向かう方向の力Fを受ける。当該力Fは研磨通路259の軸線に沿って上流から下流へ向かうベクトル成分を有する力F(a)と当該ベクトル成分と垂直なベクトル成分を有する力F(b)に分力される。力F(a)は遊技球B1が上流から下流へ向けて移動する並進運動に寄与する。また、力Fは遊技球B1の重心まわりの回転運動に寄与する。当該回転運動の回転軸は、遊技球B1の重心を通り、研磨面に平行な平面上に存在する。このため、遊技球B1の重心まわりの回転運動により研磨される遊技球B1の表面は、遊技球B1の大円を含む広域となる。
遊技球B1は研磨通路259内で、らせん状の溝271と接触して摩擦力を受けるとともに、研磨部材251と接触して摩擦力を受ける。当該2つの摩擦力の大きさと向きによって遊技球B1の重心まわりの力のモーメントが決まる。遊技球B1が、らせん状の溝271から受ける力の大きさ及び方向はらせん状の溝271の内壁の摩擦係数、研磨通路形成部材245の回転速度及びらせんの巻き方によって決まる。また、遊技球B1が研磨部材251から受ける力は、遊技球B1がらせん状の溝271から受ける力、研磨部材251の摩擦係数及び弾性係数によって決まる。したがって、らせん状の溝271の摩擦係数、研磨通路形成部材245の回転速度及びらせんの巻き方と、研磨部材251の摩擦係数及び弾性係数を調整することで、遊技球B1を回転させながら、らせん状の溝271に沿って移動させることが可能となる。
集合通路により回収された遊技球B1は遊技球回収空間101に集められる。当該遊技球回収空間101に集められた遊技球B1は1列に整列させられて球磨き機構111に導出される。遊技球B1は球磨き機構111内で研磨された後、下流通路261を流下する。下流通路261を流下した遊技球B1は遊技球回収空間形成体102の底面上を転動して、連通口104に流入し、球皿部71に導かれる。前扉22が開かれた場合は、開放検知スイッチ39が検知状態となり、球磨き機構111の磨き用駆動部113が停止する。球磨き機構111は連続的に遊技球B1を研磨することが可能である。多くの遊技球B1と接触して汚れた研磨部材251は、収容溝253より取り外して交換することにより、球磨き機構111を再生することが可能となる。
以上詳述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
内壁にらせん状の溝271が形成された円筒形の研磨通路形成部材245を回転可能に支持し、当該研磨通路形成部材245の内部に研磨部材支持体250及び研磨部材251を固定して研磨通路259を形成した。研磨通路形成部材245の側面に接触部材248を接触させることにより、研磨通路形成部材245が回転する構成とした。1度らせん状の溝271にはまった遊技球B1は、研磨通路形成部材245の回転に伴って遊技球B1の重心を中心とする回転運動を行いながら研磨部材251上を上流から下流まで移動する。遊技球B1が単純に研磨部材251上を移動するだけでなく、遊技球B1の重心を中心とする回転運動により研磨部材251との接触面を変化させながら移動するため、遊技球B1の移動距離当たりの研磨量が大きい。このため、遊技球B1を十分に研磨するための研磨部材251の長さを短くすることが可能である。
遊技球B1は、らせん状の溝271との接触点より、らせん状の溝271に沿って移動する力と遊技球B1の重心を中心とする回転運動を行うための力を同時に加えられるため、遊技球B1を移動させるための機構と遊技球B1を回転させるための機構が別々に存在する場合と比較して、球磨き機構111の構造がシンプルであり、小型化が可能である。
遊技球B1は、研磨通路259内で研磨部材251とらせん状の溝271に挟まれた状態となる。らせん状の溝271の深さを変化させることで、研磨部材251の表面とらせん状の溝271の間隔が変化する。これにより、遊技球B1と研磨部材251の接触圧を調整することができる。遊技球B1を強く研磨しようとする場合には、らせん状の溝271を浅くして、研磨部材251と強く接触させることが可能である。
研磨通路259の入口の、研磨部材251と研磨通路形成部材245の間隔が最も幅広となる位置において、その幅を遊技球B1の直径よりも短くする一方で、当該研磨通路259の入口にらせん状の溝271が位置した場合には研磨部材251とらせん状の溝271の間隔が遊技球B1の直径よりも長くなり、遊技球B1を取り込める構成とした。これにより、研磨通路形成部材245が1周する度に遊技球B1が1個ずつ研磨通路259内に取り込まれる。研磨通路259内に複数個の遊技球B1が取り込まれた状態で、同時に研磨することが可能である。
遊技球B1は、らせん状の溝271に沿って研磨通路259内を上流から下流まで移動する。らせん状の溝271が動く速さは研磨通路形成部材245の回転速度によって決まる。設計段階で当該研磨通路形成部材245の回転速度を調整することで、遊技球B1が研磨通路259の入口から出口まで移動する時間を調整することが可能となる。多くの遊技球B1の研磨を短時間にする必要がある場合に、研磨通路形成部材245の回転速度を増大させることにより、球磨き機構111の処理能力を上げることが可能となる。
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、遊技球B1が重心まわりの回転運動をしながら、研磨部材251の上を直線運動する構成とした。本実施形態では、遊技球B1が重心まわりの回転運動をしながら、研磨部材327の周りをらせん状に移動する構成とした。これにより、球磨き機構370の軸線方向の長さ当たりの研磨量を増大させることが可能となる。
以下、第2の実施形態と第1の実施形態の相違する構成について説明する。上記第1の実施形態と同一の構成については基本的にその説明を省略する。
図24に球磨き機構340の斜視図を示すとともに、図25に球磨き機構340の断面図を示す。また、図26に研磨通路形成部材321を取り外した状態のらせん状のガイド329及び研磨部材327の斜視図を示す。図24及び図25に示すように、研磨通路形成部材321は円筒形であり、球磨き機構340の中央付近に配置されている。
研磨通路形成部材321の内壁にはらせん状のガイド329が一体形成されている。当該らせん状のガイド329は研磨通路形成部材321の上流側の端から下流側の端に亘って、研磨通路形成部材321の内壁を4周するように形成されている。らせん状のガイド329の幅は上流から下流にかけて同じで変化せず、傾斜角も上流から下流にかけて同じで変化しない。また、らせん状のガイド329が研磨通路形成部材321の内壁を1周する毎に、軸棒324と同じ軸線方向に遊技球B1の直径よりも長い距離進む構成となっている。らせん状のガイド329の幅は一定であり、遊技球B1の直径よりもひと回り小さい。らせん状のガイド329の外側は研磨通路形成部材321であるとともに、内側は開放されている。
円筒形の研磨通路形成部材321の内壁で囲われた空間の中央に円柱形の研磨部材327が配置されている。当該研磨部材327には円柱形の軸棒324が挿入されて、両者が着脱可能に固定されている。研磨部材327と軸棒324の軸線は重なる。研磨部材327は発泡性ゴム等から成る表面の摩擦係数が高い弾性体である。
研磨通路形成部材321の内壁、らせん状のガイド329及び研磨部材327で区画されて研磨通路328が形成されている。研磨通路328の入口付近における研磨部材327の直径は、研磨通路328の入口領域よりも下流側における研磨部材327の直径よりも短い。このため、研磨通路328の入口は幅広になっており、遊技球B1を容易に取り込むことが可能である。一方、研磨通路328の入口領域よりも下流側における研磨通路形成部材321の内壁と研磨部材327の側面の間隔は遊技球B1の直径よりもひと回り小さい。このため、研磨通路328を遊技球B1が通過する際、研磨部材327は弾性変形を伴う。
図24及び図25に示すように、円筒形の研磨通路形成部材321には上流側の開口を塞ぐ円形の蓋330がある。当該上流側の蓋330の端には遊技球B1の直径よりもひと回り大きな上流側貫通孔332が形成されている。当該上流側貫通孔332には、上流通路334が接続されている。当該上流通路334は、上流側貫通孔332と同じ内径の円筒管320により形成されている。上流通路334は研磨通路形成部材321の軸及び研磨部材327の軸と平行である。
円筒形の研磨通路形成部材321には円筒の下流側の開口を塞ぐ円形の蓋331がある。当該下流側の蓋331の端には遊技球B1の直径よりもひと回り大きな下流側貫通孔333が形成されている。当該下流側貫通孔333には、下流通路335が接続されている。当該下流通路335は下流側貫通孔333と同じ内径の円筒管322により形成されている。下流通路335は研磨通路形成部材321の軸及び研磨部材327の軸と平行である。下流通路335の軸は上流通路334の軸と一致する。
円筒形の研磨通路形成部材321の上流側の蓋330の中央には円形の中央貫通孔336が形成されている。当該中央貫通孔336の直径は軸棒324の直径よりもひと回り大きい。軸棒324は研磨部材327に挿入されて、両者は着脱可能に固定されている。当該軸棒324は中央貫通孔336の中心を通っている。軸棒324の軸と研磨部材327の軸は一致する。軸棒324の一端は研磨通路328の外部にある磨き用駆動部323に接続されており、当該磨き用駆動部323を駆動することにより、軸棒324を介して研磨部材327を回転させることができる。磨き用駆動部323は上流通路334を形成する円筒管320と一体形成されている直方体の固定台326に固定されている。当該固定台326は研磨通路形成部材321よりも上流側であり、上流通路334の途中に一体形成されている。研磨部材327の回転により、遊技球B1は回転する研磨部材327から下流へ向かう推進力を得るとともに、研磨部材327との接触面を研磨される。
上流通路334を流下してきた遊技球B1は、研磨通路328内で回転する研磨部材327の側面、らせん状のガイド329の表面及び研磨通路形成部材321の内壁と接触する。図27に研磨通路328内で遊技球B1にかかる力を説明するための研磨通路328の断面図を示す。図27は研磨通路形成部材321、らせん状のガイド329、研磨部材327及び軸棒324を、軸棒324の軸線方向に垂直な平面で切断した場合の断面図である。
図27より、遊技球B1は回転する研磨部材327との接触点Lから摩擦力Mを受けて重心Oを中心とする回転運動をしようとする。これに対して、摩擦力Mが接触点Nにおける静止摩擦力を越えていた場合に、遊技球B1は研磨通路形成部材321の内壁との接触点Nから当該回転とは反対方向の動摩擦力Pを受ける。摩擦力Mが接触点Nにおける静止摩擦力を越えている場合には、摩擦力Mは動摩擦力Pよりも大きいため、遊技球B1は重心Oを中心として、研磨部材327と反対方向に回転する。遊技球B1の回転軸はらせん状のガイド329の表面に略垂直である。
摩擦力M及び動摩擦力Pは共に上流から下流へ向かう向きの力である。したがって、遊技球B1の重心Oはらせん状のガイド329に沿って研磨通路328内を上流から下流へ転動する。
遊技球B1と研磨部材327の接触点Lにおいて、遊技球B1の移動速度と研磨部材327の移動速度は異なる。具体的には、遊技球B1が接触点Nから動摩擦力Pを受けるため、遊技球B1の移動速度の方が遅くなる。したがって、遊技球B1は研磨部材327との接触点Lにおいて、研磨部材327により研磨される。遊技球B1は回転を伴い、らせん状のガイド329に沿って移動するため、遊技球B1と研磨部材327との接触面は常に変化し続ける。これにより、研磨通路328内で遊技球B1は広い面積を研磨部材327により研磨される。
集合通路により回収された遊技球B1は遊技球回収空間101に集められる。当該遊技球回収空間101に集められた遊技球B1は1列に整列させられて球磨き機構340に導出される。遊技球B1は球磨き機構340内で研磨された後、下流通路335を流下する。下流通路335を流下した遊技球B1は遊技球回収空間形成体102の底面上を転動して、連通口104に流入し、球皿部71に導かれる。前扉22が開かれた場合は、開放検知スイッチ39が入り、球磨き機構340の磨き用駆動部323が停止する。
上述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
内壁にらせん状のガイド329を一体形成した円筒形の研磨通路形成部材321の中心に回転可能な研磨部材327を配置することで、研磨通路328を形成した。研磨通路328がらせん状に形成されているため、研磨通路328を通過する遊技球B1の重心Oの軌跡はらせん状になる。研磨通路328の上流から下流まで直線的に移動した場合よりも、長い距離に亘って、遊技球B1は研磨部材327と接触しながら移動することとなる。このため、上流から下流までの直線的な距離を短くしても、十分な研磨量を確保することが可能である。
研磨通路328内への遊技球B1の取り込みは常に行うことが可能である。したがって、複数個の遊技球B1が1度に流下してきた場合においても、連続的に遊技球B1を研磨通路328内に取り込んで研磨処理することが可能である。
<第3の実施形態>
本実施形態では、球磨き機構の構成が上記第1の実施形態と異なっている。以下、当該相違する構成について説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施形態と同一の構成については、基本的にその説明を省略する。
本実施形態においても上記第1の実施形態における球磨き機構111と同様に、遊技球回収空間101内に球磨き機構350が設けられている。
図28に球磨き機構350の平面図を示す。球磨き機構350は1本の研磨通路362及びその両脇に1つずつ存在する研磨部材353,354によって構成されている。研磨部材353,354は発泡性ゴム等の摩擦力の強い弾性体である。
研磨通路362は上流から下流に向けて下り傾斜になっている。当該研磨通路362は側壁351,352及び床面によって形成されている。研磨通路362を構成する側壁351,352の床面からの高さは遊技球B1の直径と同じである。研磨通路362の両脇に存在する2つの研磨部材353,354は略円柱状であり、研磨通路362を挟んで斜めに対向する位置関係にある。第1研磨部材353の中心と第2研磨部材354の中心を結ぶ直線の長さは、第1研磨部材353の半径、遊技球B1の直径及び第2研磨部材354の半径の和よりも短い。
研磨通路362は2つの研磨部材353,354を避けるようにしてS字型にカーブしている。研磨通路362は、S字型にカーブする手前の上流側の上流部359、S字型にカーブしている研磨部360及びS字型にカーブした後の下流部361からなる。研磨通路362の上流部359及び下流部361における通路幅は遊技球B1の直径よりもひと回り大きい。つまり、側壁351,352の間隔は遊技球B1の直径よりも長く、遊技球B1は研磨通路362の上流部359及び下流部361を自重により転動する。
図28に示すように、研磨通路362のうち、研磨部材353,354の存在箇所においては、研磨通路362の側壁351,352が途切れている。したがって、研磨通路362のS字型の研磨部360を通過する際、遊技球B1は第1研磨部材353又は第2研磨部材354と接触する。研磨通路362のS字型の研磨部360の通路幅は遊技球B1の直径よりもひと回り小さくなっている。つまり、側壁351と第1研磨部材353の間隔及び側壁352と第2研磨部材354の間隔は遊技球B1の直径よりも短く、遊技球B1は研磨通路362の研磨部360を通過する際、弾性体である研磨部材353,354の弾性変形を伴う。
各研磨部材353,354には円柱状の軸部364,365が設けられている。第1軸部364と第1研磨部材353の軸線が同一であるとともに、第2軸部365と第2研磨部材354の軸線が同一である。当該軸部364,365は駆動部366,367に連結されている。第1駆動部366を駆動することにより、第1研磨部材353を軸線周りに回転させることが可能であるとともに、第2駆動部367を駆動することにより、第2研磨部材354を軸線周りに回転させることが可能である。第1研磨部材353の回転方向と第2研磨部材354の回転方向は逆方向である。第1研磨部材353及び第2研磨部材354は共に、研磨部材353,354に接触した遊技球B1が下流へ向かって流下する方向へ回転する。第1研磨部材353の回転速度と第2研磨部材354の回転速度は異なる。具体的には、第1研磨部材353の回転速度が第2研磨部材354の回転速度よりも遅い。当該回転速度の関係は、逆でも構わない。
遊技球B1は研磨通路362に沿って上流部359、研磨部360及び下流部361を流下する。遊技球B1は自重により上流部359を下流へ転動した後、S字型の研磨部360に流入する。第1研磨部材353と接触し、接触部から摩擦力を受けてS字型の通路に沿って下流へと移動する。この際、第1研磨部材353との接触部から受ける摩擦力により、遊技球B1は重心周りの回転運動を伴う。当該回転運動の回転軸は研磨通路362の床面に垂直である。したがって、遊技球B1は研磨部360において、第1研磨部材353との接触部を変化させながら下流へ移動する。また、当該回転運動に際して、遊技球B1は研磨部360の側壁351から、遊技球B1の回転を減速させる方向の摩擦力を受ける。このため、遊技球B1と第1研磨部材353との接触部において、遊技球B1と第1研磨部材353の移動速度は異なり、遊技球B1の表面は第1研磨部材353によって研磨される。
研磨面を変化させながら、第1研磨部材353に研磨される遊技球B1はS字型の研磨部360に沿って移動し、第1研磨部材353と接触した状態で第2研磨部材354とも接触する。上述のように、第1研磨部材353と第2研磨部材354の回転方向は逆向きであるため、遊技球B1は2つの研磨部材353,354によって研磨される。遊技球B1が第1研磨部材353から受ける摩擦力により回転する方向と、第2研磨部材354から受ける摩擦力により回転する方向は逆方向である。また、2つの研磨部材353,354の回転速度が異なるため、遊技球B1が第1研磨部材353から受ける摩擦力の大きさと第2研磨部材354から受ける摩擦力の大きさも異なる。したがって、遊技球B1は第1研磨部材353及び第2研磨部材354に挟まれた状態で、2つの研磨部材との接触部を強く研磨されながら重心周りの回転運動を行う。当該回転運動の回転軸は研磨通路362の床面に垂直である。当該回転運動により、遊技球B1と第1研磨部材353及び第2研磨部材354との接触部が変化する。
遊技球B1はS字型の研磨部360に沿って下流へ移動し、第2研磨部材354及び側壁352と接触する状態となる。この状態において、遊技球B1は、上述の第1研磨部材353及び側壁351と接触している状態と同様に、重心周りの回転を伴い、第2研磨部材354によって研磨されながらS字型の研磨部360に沿って下流へ移動する。第1研磨部材353により研磨される場合との相違点は、遊技球B1の回転方向と回転速度である。具体的には、遊技球B1の回転方向は反転し、遊技球B1の重心周りの回転速度が増大するとともに、下流への移動速度も増大する。研磨部360を通過した遊技球B1は研磨通路362の下流部361を自重により転動する。
上述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
研磨通路362のS字型の研磨部360の両脇に略円柱形の研磨部材353,354を配設するとともに、2つの研磨部材353,354が遊技球B1を下流へ移動させる方向へ回転する構成とした。また、研磨部360の通路幅を遊技球B1の直径よりもひと回り狭くするとともに、第1研磨部材353の中心と第2研磨部材354の中心を結ぶ直線の長さを、第1研磨部材353の半径、遊技球B1の直径及び第2研磨部材354の半径の和よりも短くした。これにより、遊技球B1は研磨部360を通過する際、第1研磨部材353と接触した状態で、第2研磨部材354とも接触する時間を有する。
第2研磨部材354の回転速度を第1研磨部材353の回転速度よりも速く設定した。これにより、遊技球B1が第1研磨部材353と第2研磨部材354に挟まれて研磨される際に遊技球B1の重心周りの回転運動を伴い、接触部が変化することで強く研磨される面積を広く確保することが可能となる。
研磨通路362の研磨部360をS字型とするとともに、当該S字型の研磨部360のくぼみ部分に研磨部材353,354を配設した。このため、研磨通路362の両脇に存在する2つの研磨部材353,354は、研磨通路362を挟んで斜めに対向する位置関係となった。これにより、直線通路の場合と比較して、遊技球B1の移動が容易になるとともに、第1研磨部材353による研磨量及び第2研磨部材354による研磨量を増大させることが可能となる。
<第4の実施形態>
本実施形態では球磨き機構の構成が上記第1の実施形態と異なっている。以下、当該相違する構成について説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施形態と同一の構成については、基本的にその説明を省略する。
本実施形態においても上記第1の実施形態における球磨き機構111と同様に、遊技球回収空間101内に球磨き機構370が設けられている。
図29は球磨き機構370の断面図である。球磨き機構370は2つのベルトコンベア420,430を構成要素とする。第1ベルトコンベア420は遊技球回収空間101内に配設されている。第1ベルトコンベア420は遊技球回収空間101の天井371に平行な方向に延在して存在する。遊技球回収空間101の1角に連通口104が存在する。当該連通口104と反対側の側壁372を上流側とするとともに、連通口104に近い方の側壁373を下流側とする。第1ベルトコンベア420と上流側の側壁372は接しない程度に近接している。具体的には、第1ベルトコンベア420と上両側の側壁372の間の距離は遊技球B1の半径よりも短い。したがって、第1ベルトコンベア420と上流側の側壁372との間の隙間から遊技球B1が落下することはない。一方、第1ベルトコンベア420と下流側の側壁373との距離は遊技球B1の直径以上に離れている。したがって、第1ベルトコンベア420によって上流から下流へ運ばれた遊技球B1は、第1ベルトコンベア420と下流側の側壁373との隙間から下方へ落下する。
第1ベルトコンベア420は2つの回転するローラ375,376を備えている。当該2つの回転するローラ375,376には、環状にした幅広の研磨用ベルト383が巻かれている。ローラ375,376が磨き用駆動部により駆動され、同じ方向に回転することにより、研磨用ベルト383が回転する。具体的には、研磨用ベルト383の上面が上流から下流へ向けて移動するように、ローラ375,376が回転する。
研磨用ベルト383の表面は遊技球B1を研磨するために摩擦係数の高い発泡性ゴム等からなる。図30は研磨用ベルト383の一部を切り出して示す斜視図である。研磨用ベルト383の全面には多数の研磨用溝356が間隔をあけずに連続して並んでいる。当該研磨用溝356の断面は半円であり、その半径は遊技球B1の半径と一致する。研磨用溝356は進行方向に直交する方向に形成されている。
図29に示すように、遊技球回収空間101内には第2ベルトコンベア430も配設されている。第2ベルトコンベア430は第1ベルトコンベア420の上方に配設されている。第2ベルトコンベア430は2つの回転するローラ377,378を備えている。当該2つの回転するローラ377,378には、環状にした幅広の遊技球回転用ベルト384が巻かれている。第1ベルトコンベア420と第2ベルトコンベア430は、研磨用ベルト383の研磨用溝356にはまっている遊技球B1の最上部が遊技球回転用ベルト384の下側表面と接触するように配設されている。遊技球回転用ベルト384の表面は平らであり、発泡性のゴム等の摩擦係数の高い部材からなる。
第1ベルトコンベア420の下流側のローラ375と第2ベルトコンベア430の下流側のローラ377は遊技球回収空間101の下流側の側壁373から同じ距離にある。第2ベルトコンベア430は第1ベルトコンベア420よりも短い。したがって、第1ベルトコンベア420の上流側のローラ376と遊技球回収空間101の上流側の側壁372との距離は、第2ベルトコンベア430の上流側のローラ378と遊技球回収空間101の上流側の側壁372との距離よりも短い。具体的には、第2ベルトコンベア430の上流側の端から遊技球回収空間101の上流側の側壁372までの距離は、遊技球回収空間101の入口から側壁372までの距離よりも遠い。このため、遊技球回収空間101の入口363から鉛直下向きに落下した遊技球B1は第2ベルトコンベア430に接触することなく、第1ベルトコンベア420の研磨用ベルト383上に落下する。
第2ベルトコンベア430は2つのローラ377,378が磨き用駆動部により駆動されることで動く。具体的には、2つのローラ377,378は第1ベルトコンベア420の2つのローラ375,376と同じ方向に回転する。このため、遊技球回転用ベルト384の上側表面は上流から下流へ向けて移動するとともに、遊技球回転用ベルト384の下側表面は下流から上流へ向けて移動する。
上述のように第1ベルトコンベア420の表面には間隔をあけずに研磨用溝356が連続して形成されている。このため、第1ベルトコンベア420上に落下した遊技球B1は研磨用溝356にはまる。研磨用溝356にはまった状態で、遊技球B1は第1ベルトコンベア420に運ばれて上流から下流へと移動する。当該移動の過程において、遊技球B1の表面の1番高い部分と第2ベルトコンベア430の遊技球回転用ベルト384の下側表面が接触する。研磨用ベルト383及びその上に乗っている遊技球B1が上流から下流へ移動するのに対して、遊技球回転用ベルト384の下側表面は下流から上流へ移動する。遊技球B1は遊技球回転用ベルト384との接触点から受ける摩擦力によって研磨用溝356の中で回転して研磨される。上述のように、研磨用溝356は進行方向に直交する方向に形成されている。研磨用ベルト383の研磨用溝356内の遊技球B1は、遊技球回転用ベルト384と接触して回転する際、遊技球回転用ベルト384との接点から球磨き機構370の上流側へ向かう摩擦力を受ける。当該摩擦力に対して、研磨用溝356の上流側の壁面が、遊技球B1の上流側への移動を阻止する。
研磨用ベルト383の上面が上流から下流へ移動する速度はローラ375の回転速度で調整可能であるとともに、遊技球回転用ベルト384の下面が下流から上流へ移動する速度はローラ377の回転速度で調整可能である。当該2つのローラ375,377の回転速度を調節することで、限られた距離を移動する遊技球B1の研磨をすることが可能となる。球磨き機構370の底面は4つの角を有する四角形であり、1つの角に向けて傾斜している。傾斜先の角の壁には遊技球を球皿部71へ導く連通口104が形成されている。
上述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
第1ベルトコンベア420の上方に第2ベルトコンベア430を配設した。第1ベルトコンベア420には環状の研磨用ベルト383が巻かれているとともに、第2ベルトコンベア430には環状の遊技球回転用ベルト384が巻かれている。研磨用ベルト383の表面には研磨用溝356が間隔をあけずに連続して形成されているとともに、遊技球回転用ベルト384の表面は平らである。研磨用溝356の断面は半円であり、その半径は遊技球B1の半径に等しい。第1ベルトコンベア420と第2ベルトコンベア430は、研磨用ベルト383の研磨用溝356にはまっている遊技球B1の最上部が遊技球回転用ベルト384の下側表面と接触するように配設されている。第1ベルトコンベア420及び第2ベルトコンベア430の駆動により、研磨用ベルト383の上側表面が上流から下流へ向けて移動するとともに、遊技球回転用ベルト384の下側表面が下流から上流へ向けて移動する構成とした。研磨用溝356内における遊技球B1の回転数は遊技球回転用ベルト384の長さと回転スピードによって決まる。必要な遊技球B1の回転数に応じて遊技球回転用ベルト384の長さを設計するとともに、遊技球回転用ベルト384の回転速度を調整することで、遊技球B1を研磨用溝356内で所定回数回転させた後、下流へ放出させることが可能となる。したがって、遊技球回転用ベルト384が短くても、遊技球回転用ベルト384の回転速度が速ければ、遊技球B1は研磨用溝356内で十分に研磨される。
研磨用ベルト383の表面には複数の研磨用溝356が間隔をあけずに連続的に形成されているため、複数個の遊技球B1がバラバラに研磨用ベルト383の表面に落下した場合でも、遊技球回転用ベルト384の下を通過する前に遊技球B1はいずれかの研磨用溝356内に収まる構成となっている。したがって、遊技球B1を球磨き機構111の上流で整列させる必要がなく、遊技球B1を整列させるためのスペースを省くことが可能である。また、球磨き機構111は研磨用ベルト383の表面に形成されている研磨用溝356の列の数だけの遊技球B1を1度に研磨処理することが可能である。遊技球B1は研磨用溝356に連続的に取り込まれる。複数個の遊技球B1が流下した場合においても、複数列に亘るとともに複数行に亘って遊技球B1が取り込まれることにより、遊技球B1の連続的な研磨が可能となる。
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組合せて適用してもよい。
(1)上記第1の実施形態においては、球磨き機構111を単独で使用する構成としたが、これに限らず、複数個の球磨き機構111を連続して使用する構成としてもよい。1つ目の球磨き機構111を出てから2つ目の球磨き機構111に入るまでに遊技球B1が回転する構成とする。このように、1つの球磨き機構111を出てから次の球磨き機構111に入るまでに、遊技球B1が回転するスペースを設けることで、各球磨き機構111内で磨かれる面がランダムに変化するため、遊技球B1の全面を研磨できる可能性が高くなる。
(2)上記第1の実施形態においては、研磨通路259内において遊技球B1は常に研磨部材251と研磨通路形成部材245の内壁に挟まれて、上流から下流まで移動する構成とした。しかし、これに限らず、途中で遊技球B1を挟持する状態を解除し、その後再び、研磨部材251と研磨通路形成部材245の内壁で挟持する構成としてもよい。これにより、球磨き機構111を連結させて使用する場合と同じ効果が得られる。つまり、遊技球B1の挟持状態の解除の前後で遊技球B1の研磨される面が変化する。このため、遊技球B1の全面を研磨することが可能となる。
(3)上記第1の実施形態においては、回転体249の回転スピードを一定としたが、これに限らず、研磨通路259内の遊技球B1の数に応じて回転体249の回転スピードを変化させてもよい。具体的には、研磨通路259の上流にフォトセンサを設けるとともに、カウンタを設け、フォトセンサが一定時間内に検知した遊技球B1の数に応じて回転体249の回転スピードを変化させる構成とする。回転体249の回転スピードが球磨き機構111の処理スピードに関係するため、遊技球B1を多く検知した場合は回転体249の回転スピードを上げて球磨き機構111の処理能力を高めることができる。
(4)上記第1の実施形態においては、研磨通路形成部材245を回転させるとともに、研磨部材251を研磨部材支持体250に固定し、当該研磨部材支持体250を研磨通路形成部材245内に固定する構成とした。しかし、研磨通路259内で遊技球B1を研磨する構成はこれに限られない。研磨通路形成部材245を固定し、当該研磨通路形成部材内で、研磨部材251及び研磨部材支持体250が回転する構成としてもよい。これにより、遊技球B1は研磨通路259内をらせん状の溝271に沿って移動しながら研磨される。上記第1の実施形態と同じ大きさの空間内で、上記第1の実施形態よりも長い距離を遊技球B1が移動することとなる。このため、研磨通路259の上流から下流までの距離当たりの遊技球B1の移動距離を延ばすことが可能となる。
(5)上記第1の実施形態においては、研磨部材251の交換を定期的に行う構成としたが、これに限らず、研磨部材251の汚れ具合に応じてメンテナンス時期を判断できる構成としてもよい。例えば、構成部材を透明なものとし、研磨部材251を外部から視認可能な構成とすることで、研磨部材251の汚れ具合を目視によりチェックすることが可能となる。
(6)上記第2の実施形態においては、研磨通路328を形成する研磨部材327、らせん状のガイド329及び研磨通路形成部材321の内壁のうち、研磨部材327のみを回転させる構成とした。しかし、遊技球B1を効率的に研磨する構成はこれに限られず、研磨部材327と同時に研磨通路形成部材321も回転させる構成としてもよい。研磨部材327の回転方向と研磨通路形成部材321の内壁の回転方向を反対にすることで、遊技球B1の回転数を上げることができる。この場合において、研磨通路形成部材321の内壁の摩擦係数を上げることで遊技球B1の回転数をさらに上昇させることが可能である。
(7)上記第4の実施形態においては、研磨用ベルト383の表面に設けられた研磨用溝356に遊技球B1を収め、遊技球B1を遊技球回転用ベルト384と接触させることで、遊技球B1が研磨用溝356内で回転して研磨される構成とした。しかし、研磨用溝356内の遊技球B1を回転させる方法はこれに限られない。第1ベルトコンベア420の上方に第2ベルトコンベア430に代えて駆動部を持たないブロック状の遊技球回転用部材を配置する。研磨用ベルト383表面の研磨用溝356内の遊技球B1の上端が遊技球回転用部材の下側表面に接触するように第1ベルトコンベア420を配設する。研磨用ベルト383が球磨き機構370の上流から下流へ移動するため、研磨用溝356内の遊技球B1は遊技球回転用部材の下側表面と接触して回転する。これにより、球磨き機構370の構成を簡略化してコンパクトにすることが可能となる。
(8)上記第4の実施形態においては、研磨用溝356及び遊技球回転用ベルト384に高摩擦係数の部材を用いたが、研磨用溝356及び遊技球回転用ベルト384の表面に研磨用の突起を設けてもよい。研磨用溝356内で遊技球B1を回転させることにより、遊技球B1の全面と研磨用の突起が接触し、遊技球B1を研磨することが可能となる。
(9)上記第4の実施形態においては、研磨用溝356を進行方向に直交する方向に形成したが、研磨用溝356の方向を進行方向に平行としてもよい。遊技球B1と研磨用溝356は線接触している。この場合、遊技球B1は研磨用溝356と接触している線が属する平面に対して垂直に回転する。このため、遊技球B1の全面を研磨することが可能となる。
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
特徴A1.遊技球を研磨する研磨手段(研磨部材251,327、研磨用ベルト383)と、
当該研磨手段により研磨されている遊技球の当該研磨手段との接触箇所を変化させることを可能とする変化発生手段(磨き用駆動部113,323、研磨通路形成部材245,321、第2ベルトコンベア430)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、遊技球は研磨手段により研磨され、遊技球と研磨手段の接触箇所は変化発生手段により変化する。このため、研磨手段と接触する遊技球の表面は1箇所に留まらず、遊技球表面の広範囲を研磨することが可能となる。
特徴A2.前記研磨手段により研磨されている遊技球が当該遊技球の重心を中心として回転することにより前記接触箇所が変化するように前記変化発生手段が設けられていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A2によれば、研磨手段に対する遊技球の相対的な位置を変化させることなく、接触面を変化させることが可能である。つまり、遊技球の移動スペースを広く確保する必要がない。
特徴A3.前記研磨手段により研磨されている遊技球が前記接触箇所と遊技球の重心とを結ぶ直線に対して交差する直線を回転軸として回転することにより前記接触箇所が変化するように前記変化発生手段が設けられていることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、重心を中心とした回転により、接触面を確実に変化させることが可能である。
特徴A4.前記研磨手段は、研磨通路(研磨通路259,328)を通過している遊技球を研磨するように設けられており、
前記研磨通路は、当該研磨通路内に複数の遊技球が同時に存在し得るように形成されており、
前記研磨通路内に複数の遊技球が存在している場合、それら複数の遊技球のそれぞれにおいて前記接触箇所を変化させることを可能とするように前記変化発生手段が設けられていることを特徴とする特徴A1乃至A3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A4によれば、研磨通路内に複数の遊技球が存在でき、それぞれの遊技球と研磨手段との接触箇所が変化発生手段により変化する。このため、研磨通路内で複数の遊技球を連続的に研磨処理することが可能であるとともに、それぞれの遊技球について広範囲を研磨することが可能となる。
特徴A5.前記研磨手段による研磨が行われる研磨可能領域は複数の遊技球分に亘って延在しており、
前記研磨可能領域のいずれの位置に存在している遊技球であっても前記接触箇所の変化が生じるように前記変化発生手段が設けられていることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A5によれば、遊技球は研磨可能領域を通過する間、常に接触部材により研磨される。また、研磨部材による研磨箇所は、遊技球が研磨可能領域を通過する間、常に変化し続ける。
特徴A6.前記研磨手段は、研磨通路を通過している遊技球を研磨するように設けられており、
前記研磨手段により研磨されている遊技球が当該遊技球の重心を中心として回転することにより前記接触箇所が変化するように前記変化発生手段が設けられており、
当該変化発生手段は、遊技球をその重心を中心として回転させるための力と当該遊技球を前記研磨通路の下流に向けて移動させるための力とが当該遊技球に同時に付与されるようにすることを特徴とする特徴A1乃至A5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A6によれば、遊技球は研磨通路内を、遊技球の重心を中心として回転しながら下流へ向けて移動する。遊技球の回転と移動が共に変化発生手段により行われるため、遊技球を回転させるための手段と遊技球を移動させるための手段を別々に設ける必要がなく、構造がシンプルであり、小型化が可能である。
特徴A7.前記研磨手段は、研磨通路を通過している遊技球を研磨するように設けられており、
前記変化発生手段は、前記研磨通路の通路壁を生じさせる通路形成体(研磨通路形成部材245,321)であり、
前記研磨手段及び前記通路形成体の少なくとも一方が回転し、それら研磨手段及び変化発生手段によってその回転力が遊技球に付与されることにより前記接触箇所の変化が生じることを特徴とする特徴A1乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A7によれば、変化発生手段は通路形成体である。通路形成体が変化発生手段を兼ねることにより、構造を小型化することが可能である。
特徴A8.前記通路形成体において前記通路壁を生じさせる壁部には、前記研磨通路と同一軸線上となるようにらせん状の溝(らせん状の溝271)が形成されており、
前記通路形成体が回転することに伴って前記らせん状の溝の壁部(下流側の縁276)により、前記研磨通路内に存在している遊技球に対して、その重心を中心として回転させるための力と前記研磨通路の下流に向けて移動させるための力とが付与されることを特徴とする特徴A7に記載の遊技機。
特徴A8によれば、通路形成体の大型化を抑制しながら、らせん状の溝の壁部により、遊技球に重心を中心とした回転と下流へ向けた移動をするための力を付与することが可能となる。
特徴A9.前記通路形成体において前記通路壁を生じさせる壁部と前記研磨手段との間の距離が遊技球の直径未満であることにより、前記研磨手段が弾性変形された状態で当該研磨手段と前記通路形成体において前記通路壁を生じさせる壁部との間に遊技球が存在し、その状態で前記研磨手段及び前記通路形成体の少なくとも一方が回転することにより、当該遊技球に対してその重心を中心として回転させるための力と前記研磨通路の下流に向けて移動させるための力とが当該遊技球に付与されることを特徴とする特徴A7又はA8に記載の遊技機。
特徴A9によれば、研磨手段と接触しながら、遊技球が遊技球の重心を中心とした回転を伴って研磨通路の下流へ移動する間、研磨手段は弾性変形された状態である。このため、研磨通路内で遊技球を強く研磨することが可能となる。
特徴A10.前記通路形成体において前記通路壁を生じさせる壁部と前記研磨手段との間の距離は、前記研磨通路の入口側の方が出口側よりも広く設定されていることを特徴とする特徴A9に記載の遊技機。
特徴A10によれば、研磨通路の入口が広く設定されていることにより、遊技球を研磨通路内に取込み易くなっている。
特徴A11.前記研磨手段は、研磨通路を通過している遊技球を研磨するように設けられており、
前記研磨手段は、前記研磨通路の下流に向けて遊技球を搬送するものであり、
前記変化発生手段は、前記研磨手段により搬送されている遊技球に対して前記研磨手段側に押し付ける力を付与するものであって当該研磨手段と遊技球との前記接触箇所を変化させる力を付与することを特徴とする特徴A1乃至A10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A11によれば、変化発生手段は研磨手段により搬送されている遊技球に、研磨手段側に押し付ける力を付与する。これにより、搬送されている遊技球が、遊技球の重心を中心として回転し、研磨手段により研磨される。
特徴A12.前記変化発生手段は、前記遊技球との接触面が前記研磨手段による遊技球の搬送方向とは異なる方向に移動するように動作することを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
特徴A12によれば、変化発生手段により、遊技球表面には、研磨手段による遊技球の搬送方向とは異なる方向への力が加えられる。これにより、研磨手段に搬送される遊技球の回転数及び回転速度を増大させることが可能となる。
なお、特徴A1〜A12のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A12、特徴B1〜B5のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
<特徴B群>
特徴B1.遊技球が通過する研磨通路(研磨通路362)と、
当該研磨通路を通過する遊技球を研磨する研磨手段(第1研磨部材353、第2研磨部材354)と、
当該研磨手段に接している遊技球に対して前記研磨通路の下流側に向けて移動させるための力が付与されるように前記研磨手段を回転させる駆動手段(第1磨き用駆動部357、第2磨き用駆動部358)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、研磨手段が、遊技球の研磨及び遊技球が移動するための力の付与を同時に行うため、構造を小型化することが可能である。
特徴B2.前記研磨手段が弾性変形された状態で当該研磨手段と前記通路壁との間に遊技球が存在するように、前記研磨通路の通路壁(側壁351,352)と前記研磨手段との間の距離が遊技球の直径未満に設定されていることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2.研磨通路の通路壁と研磨手段との間の距離が遊技球の直径未満に設定されているため、遊技球の研磨通路の通過には研磨手段の弾性変形を伴う。このため、遊技球と研磨手段の接触面積が増大するとともに、遊技球が強く研磨される。
特徴B3.前記研磨手段として、前記研磨通路を挟むようにして第1研磨手段(第1研磨部材353)と第2研磨手段(第2研磨部材354)とを備え、
それら第1研磨手段及び第2研磨手段は前記研磨通路の通路方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする特徴B1又はB2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、第1研磨手段と第2研磨手段は研磨通路の通路方向にずれた位置に配置されている。このため、遊技球は2つの研磨手段と同時に接触し始めることはない。このため、遊技球が研磨手段と接触する際の遊技球の動きがスムーズである。
特徴B4.前記第1研磨手段及び前記第2研磨手段は、それら研磨手段に遊技球が同時に接する状況が生じるように配置されていることを特徴とする特徴B3に記載の遊技機。
特徴B4によれば、遊技球はいずれか一方の研磨手段と接触した状態で、2つの研磨手段と同時に接触する。つまり、遊技球が、いずれか一方の研磨手段から研磨通路の下流への力を加えられている状態で2つの研磨部材と同時に接触する。このため、2つの研磨手段と同時に接触し始める場合と比較して、遊技球の動きがスムーズであるとともに、遊技球が2つの研磨手段と接触することで大きな研磨効果を得られる。
特徴B5.前記第1研磨手段の回転速度と前記第2研磨手段の回転速度とが異なることを特徴とする特徴B4に記載の遊技機。
特徴B5によれば、遊技球は2つの研磨手段と同時に接触する際に、2つの研磨手段の回転速度が異なることから、2つの研磨手段から受ける力が異なる。したがって、遊技球は、2つの研磨部材に接触した状態で、遊技球の重心を中心として回転し、当該回転によって研磨手段との接触面が変化する。
なお、特徴B1〜B5のいずれか1の構成に対して、特徴A1〜A12、特徴B1〜B5のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
上記特徴A群、上記特徴B群の発明は、以下の課題を解決することが可能である。
遊技機の一種として、パチンコ機が知られている。当該パチンコ機では、遊技媒体として遊技球が用いられる。パチンコ機において、前面部に設けられた球受け皿への遊技球の供給及び球受け皿から遊技球の取り出しを遊技者が行うことが可能な構成が知られている。この場合、遊技球は、遊技者の発射操作に基づき遊技領域に向けて発射され、遊技領域を流下し終えた遊技球はパチンコ機の外部に排出される。
また、上記構成以外にも遊技領域から排出された遊技球がパチンコ機外部に排出されることなく球受け皿に返還される循環式のパチンコ機も知られている(例えば特許文献1参照)。さらに、演出用に遊技球を使用し、当該遊技球を循環させている遊技機も知られている。
ここで、上記例示等のような遊技機においては、遊技球を遊技機内で循環させて使用するため、次第に遊技球に汚れが付着する。このため、循環させて使用する遊技球の研磨を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。