JP6419780B2 - 睡眠障害患者の治療のためのナルメフェン - Google Patents

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Description

本発明は、睡眠障害の治療で使用するためのナルメフェンに関する。本発明はさらに、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者の治療で使用するためのナルメフェンに関する。本発明はさらに、前記患者においてアルコール消費の低減で使用するためのナルメフェンに関する。本発明はさらに、前記患者において睡眠障害の治療で使用するためのナルメフェンに関する。
ナルメフェン[17−(シクロプロピルメチル)−4,5−アルファ−エポキシ−6−メチレンモルヒナン−3,14−ジオール]は以下の一般式:
Figure 0006419780
を有し、当該技術分野において周知の方法、例えば、国際公開第2012/059103号パンフレットに記載されるようにノロキシモルホンからナルトレキソンを製造することから始まり、続いて、例えば国際公開第2010/136039号パンフレットに記載されるようなウィティッヒ反応によりナルトレキソンからナルメフェンを製造する方法など用いて調製することができる。
ナルメフェンは、別個のμ、δ、およびκ受容体プロファイルを有するオピオイド系調節因子である。インビトロ研究により、ナルメフェンは、μおよびδ受容体においてアンタゴニスト活性を有し、κ受容体において部分アゴニスト活性を有する選択的オピオイド受容体リガンドであることが実証された。急性アルコール摂取は中脳辺縁系のドーパミン放出(β−エンドルフィンの放出により促進される)をもたらし、正の強化を提供し得ることが示された。ナルメフェンは、おそらくこれらの皮質−中脳辺縁系の機能を調節することによって、強化作用に対抗して、アルコール消費を低減すると考えられる。
アルコール依存の治療におけるナルメフェンの効力および耐容性は、Lundbeckにより実行された3つのIII相研究(2つの確証的な6か月の効力研究および1つの1年の安全性研究)において(Mann et al.Extending the Treatment Options in Alcohol Dependence:A Randomized Controlled Study of As−Needed Nalmefene.Biol.Psychiatry(2013);73:706−713、Gual et al.A randomised,double−blind,placebo−controlled,efficacy study of nalmefene,as−needed use,in patients with alcohol dependence.European Neuropsychopharmacology(2013);23(11):1432−1442、van den Brink et al.,Long−term efficacy,tolerability and safety of nalmefene as−needed in patients with alcohol dependence:A 1−year,randomised controlled study.J.Psychopharmacol.,印刷前のオンライン出願 March 26,2014,doi:10.1177/0269881114527362)、そしてBiotie社によって実行されたアルコール使用障害における5つの研究(Karhuvaara et al.,Alcohol.Clin Exp Res.2007;31:1179−1187)において評価されている。
近年(2013年2月)、欧州連合(EU)において、成人アルコール依存患者におけるアルコール消費の低減のために商品名Selincro(登録商標)で経口ナルメフェンの製造承認が与えられた。
睡眠障害は、アルコール依存症患者の最も一般的な愁訴の1つである(Zarcone,Adv.Biosci.(1978),21:29−38)。コミュニティサンプルの間で、不眠症はアルコール問題を生じる可能性を高める。例えば、Epidemiologic Area Catchment(ECA)研究により、過去1年間に不眠症を訴えるが精神医学的状態のない人々は、ベースラインでいずれの状態もない人々と比べて、次の1年間にアルコール乱用を生じる可能性が2倍よりも高いことが見出された(Weissman et al.,General Hospital Psychiatry(1997),19:245−250)。また、慢性アルコール依存患者は、アルコール依存履歴のない人々と比べて、不眠症を自己報告する可能性が2倍であることも見出された(Ford and Kamerow,JAMA(1989),262:1479−1484、Crum et al.,Alcoholism:Clinical and Experimental Research(2004),28:1533−1540)。
アルコール依存患者は、入眠障害(例えば、眠りに落ちるために必要な時間の増大)、睡眠持続障害(例えば、頻繁な覚醒)、および日中の疲労に関連する自覚的な睡眠の質の低下を訴える。これらの自覚的な睡眠愁訴の多くは急性離脱の間に悪化し、そして長期の禁断の間も持続し、その最大70%が依然として、禁断の過程で解決できない睡眠問題を訴える(Brower et al.,Alc.Clin.Exp.Res.(1998),22:1864−1871、Drummond et al.,Alcohol.Clin.Exp.Res.(1998),22:1796−802、Allen et al.,J.Ner.and Ment.Dis.(1971),153(6):424−433)。
さらに、睡眠不足は、回復期のアルコール依存者における再発のリスクを予測する(Brower,Sleep Med Rev.(2003),7:523−539)。従って、不眠症は主たるアルコール嗜癖からの回復を妨害し、回復の最初の数カ月以内の再発の一因となり得るので、不眠症も治療することが特に重要である(Brower et al.Am J Psychiatry(2001);158:399−404、Foster and Peters.Alcohol Clin.Exp.Res.(1999),23:1044−1051、Brower et al.,Alcoholism:Clinical and Experimental Research(1998),22:1864−1871)。
回復過程における睡眠の重要性が推定されているにもかかわらず、嗜癖に関する文献において、回復の間の不眠症の適切な治療選択肢についての情報は限られている。これは、様々な理由で存在し得る:主たるアルコール状態の治療によって併存性の睡眠問題が寛解し得ると臨床医が考えている;アルコール依存の治療の初期段階では比較的重要性が低いので、睡眠問題に重きが置かれない;あるいは、睡眠薬嗜癖、離脱効果、反跳性不眠、およびアルコールと混合したときの過剰摂取の可能性(例えば、ベンゾジアゼピンおよびベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BzRA))に対する懸念のために医師が睡眠問題を扱いたがらないかもしれない。
低用量のアミトリプチリンおよびドキセピンなどの鎮静性三環系抗うつ薬(TCA)は、不眠症を治療するために使用されることが多い。しかしながら、その投薬は、血中濃度および効力の低下を起こし得るアルコール誘発性の肝臓代謝の変化によって複雑化される。別の不都合は、自殺傾向のある集団において、三環系抗うつ薬が考慮すべき過剰摂取の可能性を有することである。別の種類の抗うつ薬であるSSRIは、抑うつ状態の人および抑うつ状態でない人の両方において、覚醒の回数を増大させ、睡眠を悪化させる可能性があり、それにより、不眠症を治療するための候補になり得ない。さらに、対照試験におけるTCAまたはSSRIによるアルコール依存症の治療に関する研究では矛盾した結果がもたらされており、いくつかの患者サブグループにおいて、SSRIは飲酒の結果をさらに悪化させ得る(Arnedt et al.J.Addict.Dis.(2007);26(4):41−54)。
従って、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者で使用するための新規の治療が必要とされている。特に、例えば、現存の治療と比較して改善された効力および/または異なる副作用プロファイルなどの利点を生じさせ得る新規の治療が必要とされている。
本発明は、睡眠障害の治療で使用するためのナルメフェンに関する。
一実施形態では、本発明は、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者の治療で使用するためのナルメフェンに関する。
一実施形態では、本発明は、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者においてアルコール消費の低減で使用するためのナルメフェンに関する。
一実施形態では、本発明は、ナルメフェンと、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬などの催眠薬である第2の化合物と、任意選択で、許容可能なキャリアまたは希釈剤とを含む医薬組成物に関する。
一実施形態では、本発明は、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬などの催眠薬である第2の化合物と一緒に、ナルメフェンを含むキットに関する。
一実施形態では、本発明は、睡眠障害の治療のための方法に関し、本方法は、薬学的に許容可能な量のナルメフェンを、それを必要としている患者に投与することを含む。
一実施形態では、本発明は、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者におけるアルコール消費の低減のための方法に関し、本方法は、薬学的に許容可能な量のナルメフェンを前記患者に投与することを含む。
一実施形態では、本発明は、アルコール消費の低減のためおよび睡眠障害の治療のための方法に関し、本方法は、薬学的に許容可能な量のナルメフェンを、それを必要としている患者に投与することを含む。
全ての図面について、−□−=プラセボ(PBO)、−■−=ナルメフェン(NMF)であり、「B」はベースラインを示す。プラセボ(PBO)およびナルメフェン(NMF)の患者数「N」はそれぞれ研究全体を通してX軸に示される。ベースラインにおいて睡眠障害のある患者および睡眠障害のない患者を、医薬規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)によってコードされるその進行中の病歴に従って分類した。
ベースラインで睡眠障害のある患者対ベースラインで睡眠障害のない患者において、1か月の大量飲酒日(HDD)および総アルコール消費(TAC)(g/日)のベースラインからの変化を示す。 1か月のHDDのベースラインからの変化を示す。X軸:時間(月)、Y軸:平均HDDのベースラインからの変化。 ベースラインで睡眠障害のない患者の1か月のHDDの変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者の1か月のHDDの変化を示す。 1か月のTAC(g/日)のベースラインからの変化を示す。X軸:時間(月)、Y軸:平均TACのベースラインからの変化。 ベースラインで睡眠障害のない患者の1か月のTACの変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者の1か月のTACの変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者対ベースラインで睡眠障害のない患者において、POMSスコアのベースラインからの変化を示す。X軸:時間(週)、Y軸:平均POMSのベースラインからの変化。 ベースラインで睡眠障害のない患者のPOMS総合的な気分の乱れ(total mood disturbance:TMD)の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者のPOMS総合的な気分の乱れ(TMD)の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のない患者のPOMS緊張−不安の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者のPOMS緊張−不安の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のない患者のPOMS抑うつ−拒絶の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者のPOMS抑うつ−拒絶の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のない患者のPOMS怒り−敵意の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者のPOMS怒り−敵意の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のない患者のPOMS活気の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者のPOMS活気の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のない患者のPOMS疲労の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者のPOMS疲労の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のない患者のPOMS混乱の変化を示す。 ベースラインで睡眠障害のある患者のPOMS混乱の変化を示す。
定義
本記載全体を通して、「ナルメフェン」という用語は、遊離塩基および薬学的に許容可能な塩などのあらゆる形態の化合物を含むことが意図される。遊離塩基および薬学的に許容可能な塩には、無水形態、および水和物などの溶媒和形態が含まれる。無水形態および溶媒和物には、非晶質および結晶形態が含まれる。特定の実施形態では、ナルメフェンは塩酸塩の形態である。さらに特定の実施形態では、ナルメフェンは塩酸塩二水和物の形態である。本出願全体を通して、ナルメフェン用量が規定される場合、前記用量は、遊離塩基として算出される。すなわち、ナルメフェン用量が18mgである場合、これは18mgのナルメフェン遊離塩基に相当する。
本発明の文脈では、TACと略される「総アルコール消費」という用語は、g/日で測定される平均総アルコール消費を示す。
本発明の文脈では、HDDと略される「大量飲酒日」という用語は、総アルコール消費が男性では60g以上および女性では40g以上である日を示す。
本発明の文脈では、「必要に応じて投与」は、患者がアルコール飲酒リスクを認識する各日に、好ましくは飲酒が予想される時間よりも1〜2時間前に、1回の用量のナルメフェンを摂取すべきであることを示す。患者がナルメフェンを摂取せずにアルコールを飲み始めた場合、患者はその後できるだけ早く1つの錠剤を服用すべきである。
本明細書で使用される場合、DRLと略される「飲酒リスクレベル」という用語は、以下の表5に概説されるように、世界保健機関(World Health Organization)により「International Guide for Monitoring Alcohol Consumption and Related Harm」(2000),WHOで定義される基準に従って定義される。
Figure 0006419780
表1に従う飲酒リスクレベルは、例を挙げると、例えば1週間以上、例えば2週間以上、例えば3週間以上、例えば4週間以上、例えば1か月以上、例えば2か月以上、例えば3か月以上、例えば4か月以上、例えば5か月以上、例えば6か月以上、例えば約1年の期間にわたって、1日の平均アルコール消費(単位g/日)を計算することによって評価することができる。DRLの評価は、患者の自身のアルコール消費についての推定値に基づいて、専門家および/または医師(例えば、総合診療医など)および/または他の医療提供者により実施することができる。
本出願全体を通して、「高リスク」または「少なくとも高リスク」という用語は、表1に記載されるWHO飲酒リスクレベルに従って「高リスク」および「非常に高リスク」であると定義される2つの群、すなわち、男性では>60g/日および女性では>40g/日の純粋なアルコールの総アルコール消費に相当する飲酒リスクレベルを有する患者を含むことが意図される。本発明は、高い飲酒リスクレベルの患者と非常に高い飲酒リスクレベルの患者を区別せず、特許請求の範囲または本発明の実施形態において「高い飲酒リスクレベル」または「高DRL」という用語が使用される場合、表1に記載されるWHO飲酒リスクレベルに従って「高リスク」と定義される群および「非常に高リスク」と定義される群の両方を含むことが意図される。
本明細書で使用される場合、「動機づけ支援」および「治療の順守の向上およびアルコール消費の低減に焦点を置いたカウンセリング」という用語は、意欲増進の心理学的介入を示し、「心理社会的支援」または「治療の順守およびアルコール消費の低減に焦点を置いた心理社会的介入」という用語と互換的に使用することができる。前記動機づけ支援は、専門家および/または医師(例えば、総合診療医など)および/または他の医療提供者によって行うことができる。このような介入の一例はBRENDAモデルであり、これは、行動の変化および薬物療法順守の増大に焦点を置いた薬物療法の使用を補足する期限付きの患者中心の臨床的動機づけ介入である。BRENDAモデルは、Starosta et al.,J.Psychiatr.Pract.(2006),Vol.12(2):80−89により記載されており、その内容全体は参照によって本明細書中に援用される。「初期の動機づけ支援」は、ナルメフェンによる治療の前に患者に提供される、このような意欲増進介入を示す。「進行中の動機づけ支援」という用語は、ナルメフェンによる治療と同時に、例えば反復して患者に提供される、このような意欲増進介入を示す。
本発明の文脈では、「医薬組成物」は、経口剤形、例えば固体経口剤形、通常は錠剤またはカプセルなどの剤形を指す。「本発明の医薬組成物」は、特許請求の範囲および本記載によって包含される全ての医薬組成物を指す。
本発明の文脈では、「単位剤形」は、医薬組成物の製剤単位、例えば1つの錠剤またはカプセルを指す。
本発明の文脈では、化合物の「治療的に有効な量」は、患者に投与したときに有効な応答(すなわち、研究者、獣医、医師または他の臨床医が求める組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答)を生じさせるために十分である化合物または医薬組成物の量/用量を意味する。「治療的に有効な量」は、特に、疾患およびその重症度、ならびに治療される患者の年齢、体重、身体状態および応答性に応じて異なり得る。さらに、ナルメフェンが1つまたは複数の化合物と併用される場合には、「治療的に有効な量」は異なり得る。このような場合、所与の化合物の量は少なくなる可能性があり、例えば有効量より少なくなり得る。
本発明の文脈では、「治療(treatment)」および「治療すること(treating)」は、疾患または障害などの状態と闘うための患者の管理およびケアを指す。この用語は、患者が患っている所与の状態のためのあらゆる処置、例えば、症状または合併症を軽減するため、疾患、障害または状態の進行を遅延するため、症状および合併症を軽減または緩和する、および/または疾患、障害または状態を治癒または除去するため、ならびに状態を予防するための活性化合物の投与などを含むことが意図され、ここで予防は、疾患、状態、または障害と闘うための患者の管理およびケアであると理解されるべきであり、症状または合併症の発症を予防するための活性化合物の投与を含む。本発明の1つの態様では、「治療」および「治療すること」は、予防(防止)的な処置を指す。別の態様では、「治療」および「治療すること」は、治癒的な処置を指す。治療される患者は、好ましくは哺乳類、特にヒトである。
「アルコール依存」という用語は当業者に周知の用語であり、例えば、精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)改訂第4版(DSM−IV−TR)に記載されている(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th edition text revision,American Psychiatric Publishing,2000)。本明細書で使用される場合、「アルコール依存」という用語は、同じ12か月間にアルコールに関連する生活の障害の7つの領域のうち3つ以上の存在として定義される。これらの障害には、1)耐性、2)離脱症状、3)意図したよりも大量にまたは長期間にわたってアルコールを摂取することが多いこと、4)持続的欲求、またはアルコール摂取を低減または制御する努力の失敗、5)アルコールの入手、アルコールの摂取、またはその効果からの回復に必要な活動にかなりの時間が費やされること、6)重要な社会的、職業的、または娯楽的活動がアルコール消費のために断念または低減されること、7)アルコール消費によって発生または悪化された可能性がある持続性または反復性の身体的または心理学的な問題を有することを認識しているにもかかわらずアルコール使用が継続されることが含まれる。
「睡眠障害」という用語はDSM−IV−TRに記載されており、主要な特色として睡眠の乱れを特徴とする様々な状態を指す。本発明との関連では、睡眠障害は、原発性不眠症、原発性過眠症、ナルコレプシー、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、他に特定されない睡眠異常、悪夢障害、夜驚症、睡眠時遊行症、他に特定されない睡眠時随伴症を含む。
本発明の文脈では、「併存性の睡眠障害を有する患者」は、アルコール依存であり、そして同時に睡眠障害を有する患者を指す。一実施形態では、前記睡眠障害は、前記アルコール依存によって引き起こされる。例えば、前記睡眠障害は、アルコール誘発性の睡眠障害である。一実施形態では、前記アルコール依存は、前記睡眠障害によって引き起こされる。一実施形態では、前記アルコール依存および前記睡眠障害は、因果的に互いに関連していない。
「アルコール誘発性の睡眠障害」という用語はDSM−IV−TRに記載されており、同時使用、またはアルコールの使用の最近の中断、またはアルコール使用が病原学的に睡眠障害に関連することに直接起因する顕著な睡眠障害を特徴とする障害を指す。
「POMS」という用語は、「気分状態のプロファイル(profile of mood states)」の略語であり、例えば、気分状態および気分変化に対する新規の薬物療法の効果を評価するために開発された自己報告尺度の一覧を指す。尺度は、6つのドメイン:緊張−不安、抑うつ−拒絶、怒り−敵意、活気−活動、疲労−無気力、および混乱−当惑を測る。総合的な気分の乱れ(TMD)スコアは計算することができる。一般に、活気−活動を除いて(より高いPOMSスコアはより優れた気分状態を示す)、より低いPOMSスコアは、より高いスコアよりも優れた気分状態を示す。尺度は、例えば、McNair et al.,Profile of mood states.San Diego,CA:Educational and Industrial Testing Service、およびNyenhios and Yamamoto,J.Clin.Psychology,(1999),Vol.55(1):79−86によって記載されている。
「MedDRA」は、医薬規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)の略語であり、市場流通前から市場流通後までの活動の規制プロセスの間、製薬産業で規制当局によって、そしてデータエントリー、検索、評価、および提示のために使用される臨床的に確証された国際的な医学用語辞典(およびシソーラス)である。さらに、日米EU医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)(ICH)によって推奨される有害事象分類辞典である。
本発明の詳細な説明
アルコール依存(DSM−IV)患者のアルコール消費の低減におけるナルメフェンの効力は、研究12014A、12023Aおよび12013Aで評価されている。ナルメフェンの効力は、2つのコプライマリーエンドポイント:1か月の大量飲酒日(HDD)数のベースラインから6か月までの変化および1日の平均総アルコール消費(TAC)のベースラインから6か月までの変化を用いて測定した。全患者群で、HDD数の低減およびTACの低減においてナルメフェンはプラセボよりも優れていた。
本発明者らは、ナルメフェンが、ベースラインで睡眠障害のある患者のアルコール消費を有意に低減することを見出した。ベースラインで睡眠障害のある患者でも、ベースラインで睡眠障害のない患者でも、6か月でナルメフェンによるHDD数の低減の減少があったが、ベースラインで睡眠障害のある患者では、6か月でプラセボとの違いはなかった。しかしながら、ベースラインで睡眠障害のある患者では、HDDに対するナルメフェンの効果は1か月で既に明白であり、1か月および4か月を通してプラセボとは異なっていた。さらに、ベースラインで睡眠障害のある患者では、6か月目のTAC対するナルメフェンの効果は、ベースラインで睡眠障害のない患者よりも、プラセボと比べて顕著であった。すなわち、ベースラインで睡眠障害のある患者において、全体的にナルメフェンはアルコール消費の低減に有効である(図1〜2)。従って、一実施形態では、本発明は、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者の治療で使用するためのナルメフェンに関する。一実施形態では、本発明は、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者においてアルコール消費の低減で使用するためのナルメフェンに関する。
研究12014A、12023Aおよび12013AにおけるPOMsスコアの評価を用いて、研究全体を通して、気分状態および気分変化に対するナルメフェンの効果を評価した。本発明の発明者らは、驚くことに、ナルメフェンが睡眠障害のある患者のPOMSスコアに対する効果を有することを見出した。表3および5は、ベースラインで睡眠障害のある患者が、睡眠障害のない患者と比較して、ベースラインでより高いPOMSスコアを有したことを示す。POMSスコアのベースラインからの変化は図3〜9で説明される。図3a〜9aは、ベースラインで睡眠障害のない患者において、POMSスコアのパターンが研究全体を通して安定しており、ナルメフェンとプラセボとの間で顕著な差異がなかったことを示す。図3b〜9bは、ナルメフェンを受けたベースラインで睡眠障害のある患者が、プラセボを受けたベースラインで睡眠障害のある患者よりも、研究の最後に優れたPOMSスコアを有したことを示す。特に、総合的な睡眠の乱れ、緊張−不安、抑うつ−拒絶、怒り−敵意、活気および疲労をそれぞれ表す図3b、4b、5b、6b、7bおよび8bは、4〜24週目に、プラセボを受けた患者と比較して、ナルメフェンを受けた患者においてより優れたPOMSスコアを示す。全体として、POMSデータは、睡眠障害のある患者において、彼らがナルメフェンで治療されたときに全体的な気分状態が改善することを示す。
従って、一実施形態では、本発明はそのために睡眠障害の治療のためのナルメフェンに関する。一実施形態では、本発明は、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者における睡眠障害の治療のためのナルメフェンに関する。さらなる実施形態では、本発明は、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者において、アルコール消費の低減で使用するためおよび睡眠障害の治療のためのナルメフェンに関する。
一実施形態では、ナルメフェンは、睡眠障害の治療のための唯一の活性成分として使用される。一実施形態では、ナルメフェンは、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者の治療における唯一の活性成分として使用される。
一実施形態では、ナルメフェンは、睡眠障害の治療のために、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬などの催眠薬である第2の化合物と組み合わせて使用される。別の実施形態では、ナルメフェンは、併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者の治療において、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬などの催眠薬である第2の化合物と組み合わせて使用される。
また本発明は、ナルメフェンと、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬などの催眠薬である第2の化合物と、任意選択で、許容可能なキャリアまたは希釈剤とを含む医薬組成物にも関する。
睡眠障害の治療におけるナルメフェンの効果のさらなる評価は、1つまたは複数の非臨床モデル、例えば、実施例4に概説されるような脳波(EEG)記録を用いるラットの睡眠プロファイリングなどにおいてナルメフェンを試験することによって実施することができる。このようなモデルでは、ナルメフェンは、唯一の活性物質として、そして他の化合物と組み合わせて試験され得る。
本発明によると、ナルメフェンまたはその薬学的に許容可能な塩は、任意の適切な方法、例えば、経口的、経粘膜的または非経口的に投与することができ、このような投与に適した任意の形態、例えば、錠剤、カプセル、粉末、シロップまたは注射用の溶液もしくは分散系の形態で提供することができる。別の実施形態では、本発明の目的に従って、ナルメフェンは、適切には錠剤またはカプセルとして固体の医薬品実体の形態で、あるいは注射用の懸濁液、溶液または分散系の形態で投与される。さらに、ナルメフェンは、補助剤および/または希釈剤などの薬学的に許容可能なキャリアと共に投与され得る。
固体または液体の医薬品の調製方法は当該技術分野で周知である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins(2005)を参照されたい。従って、錠剤は、活性成分を補助剤および/または希釈剤などの通常のキャリアと混合し、続いて混合物を打錠機で圧縮することによって調製することができる。補助剤および/または希釈剤の非限定的な例としては、コーンスターチ、ラクトース、タルカム、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、ラクトース、ガムなどが挙げられる。活性成分と適合性であることを条件として、着色剤、芳香剤、および防腐剤などの任意の他の補助剤または添加剤も使用され得る。従って、本発明の医薬組成物は通常、有効量のナルメフェンおよび1つまたは複数の薬学的に許容可能なキャリアを含む。ナルメフェンの適切な経口製剤は、国際公開第2012/059103号パンフレットに記載されている。
本発明を全く限定することなく、本特許出願の態様または実施形態のいずれか1つは、本明細書に記載される薬剤または医薬組成物に適していることが意図される。
ナルメフェンは、固体経口剤形(通常、錠剤またはカプセル)または液体経口剤形などの経口剤形として投与され得る。ナルメフェンは、即時放出剤形または制御もしくは持続放出剤形で投与され得る。ナルメフェンは、約1〜約100mg、例えば5〜50mgの量の活性成分を含有する単位剤形(例えば、錠剤またはカプセルなど)で経口的に便利に投与され得る。通常、医薬組成物は、10mg〜20mg、例えば、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mgまたは約20mgのナルメフェンを含む。好ましい実施形態では、医薬組成物は、約18mgのナルメフェンを含む。一実施形態では、単位剤形は、治療的に有効な量のナルメフェンを含む。
一実施形態では、ナルメフェンは必要に応じて摂取される。すなわち、患者がアルコール飲酒リスクを認識する各日に、好ましくは飲酒が予想される時間よりも1〜2時間前に、1回の用量のナルメフェンを摂取すべきである。一実施形態では、患者がナルメフェンを摂取せずにアルコールを飲み始めた場合、患者はその後できるだけ早く1回の用量のナルメフェンを摂取すべきである。
本発明に従うナルメフェンは、成人または青年期であるヒトにおいて投与するための使用が意図される。
一実施形態では、ナルメフェンは、塩酸塩二水和物の形態である。
本発明によると、ナルメフェンは、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬などの催眠薬である第2の化合物と組み合わせて使用することができる。前記ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニストは、例えば、以下の化合物;ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、ブロマゼパム、エスタゾラム、オキサゼパム、フルラゼパム、フルニトラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、ザレプロン、およびエスゾピクロンから選択され得る。前記抗けいれん薬は、例えば、以下の化合物;カルバマゼピンおよびガバペンチンから選択され得る。前記鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬は、例えば、以下の化合物;アミトリプチリン、ドキセピン、ミルタザピン トラゾドン、またはネファゾドンから選択され得る。前記メラトニンアゴニストは、例えば、メラトニン、ラメルテオンおよびアゴメラチンから選択され得る。前記鎮静性抗精神病薬は、例えば、ハロペリドールおよびクエチアピンから選択され得る。前記抗ヒスタミン薬は、例えば、ジフェンヒドラミンおよびドキシラミンから選択され得る。上記の化合物は、その塩基または薬学的に許容可能な塩(例えば、酸付加塩など)の形態で使用され得る。上記の催眠薬のリストは、限定であると解釈されないものとする。
上記で特に言及される化合物を含む催眠薬は、分子量および活性の両方の点で異なる。結果として、併用療法で使用される前記第2の化合物の量は、前記第2の化合物の性質に依存する。本発明の一実施形態では、前記第2の化合物は、化合物が単独で使用される場合に必要であるよりも少ない用量で投与される。別の実施形態では、前記第2の化合物は、標準の治療用量で投与される。
本発明の医薬組成物を調製するために、塩形態または塩基形態の適切な量の活性成分は、薬学的に許容可能なキャリアとの緊密な混合物中に混ぜ合わせられ、投与のために所望される調製物の形態に応じて様々な種類の形態をとることができる。これらの医薬組成物は、望ましくは、経口的、経直腸的、経皮的または非経口注射による投与に適した単位剤形である。例えば、経口剤形における組成物の調製において、懸濁液、シロップ、エリキシル剤および溶液などの経口液体調製物の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどの通常の医薬品媒体のいずれかが使用され得る。あるいは粉末、丸剤、カプセルおよび錠剤の場合には、でんぷん、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの固体キャリアが使用され得る。その投与の容易さのために、錠剤およびカプセルは最も有利な経口単位剤形を表し、この場合、明らかに固体医薬品キャリアが使用される。
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、上述の医薬組成物を単位剤形で処方することは特に有利である。本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単位剤形は単位投薬量として適切な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる医薬品キャリアと関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性成分を含有する。このような単位剤形の例としては、錠剤(分割錠剤または被覆錠剤を含む)、カプセル、丸薬、粉末パケット、ウェハ、注射可能な溶液または懸濁液、小さじ1杯分(teaspoonful)、大さじ1杯分(tablespoonful)など、およびこれらを複数に分離したものが挙げられる。
ナルメフェンは、前記第2の化合物の投与前、投与中、または投与後に投与され得るが、ただし、ナルメフェンの投与と前記第2の化合物の投与との間の時間は、成分がCNSに相乗的に作用できるようなものであることを条件とする。ナルメフェンおよび前記第2の化合物の同時投与が想定される場合、前記第2の化合物およびナルメフェンの両方を含有する組成物は特に便利であり得る。あるいは、ナルメフェンおよび前記第2の化合物は、適切な組成物の形態で別々に投与されてもよい。組成物は、上記のように調製され得る。
また本発明は、精神医学的薬物療法における同時使用、別々の使用、または連続的な使用のための配合調製物として、ナルメフェンと、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬などの催眠薬である第2の化合物とを含有する製品も含む。このような製品には、例えば、ナルメフェンを含有する個別の単位剤形と、睡眠剤を含有する個別の単位剤形とを含み、全てが同じ容器またはパック、例えばブリスターパック内に含有されたキットが含まれ得る。
本明細書中に引用される刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、本明細書中の他の場所で行われる任意の別個に提供される特定の文書の援用に関係なく、各参考文献が参照によって援用されると個々にかつ具体的に示され、そしてその全体が本明細書で説明された場合と同じ程度まで(法律で許容される最大範囲まで)、参照によってその全体が本明細書に援用される。
「a」および「an」および「the」という用語ならびに同様の指示対象の使用は、本発明の説明の文脈では、本明細書において他に記載されない限り、または文脈により明らかに否定されない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。例えば、「化合物」という語句は、他に記載されない限り、本発明または特定の記載された態様の種々の「化合物」を示すと理解されるべきである。
要素に関して「含む(comprising)」、「有する(having)」、「包含する(including)」または「含有する(containing)」などの用語を用いて任意の態様または本発明の態様を本明細書中で記載することは、他に規定されない限り、または文脈により明らかに否定されない限り、その特定の要素「からなる(consists of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」、または「を実質的に含む(substantially comprises)」同様の態様または本発明の態様に対する支持を提供することが意図される(例えば、特定の要素を含むと本明細書に記載される組成物は、他に規定されない限り、または文脈により明らかに否定されない限り、その要素からなる組成物も記載すると理解されるべきである)。
本明細書で言及される本発明の種々の態様、実施形態、実装および特徴が、別個にあるいは任意の組み合わせで特許請求され得ることは理解されるべきである。
本発明に従う実施形態
以下において、本発明の実施形態が開示される。第1の実施形態はE1で示され、第2の実施形態はE2で示され、以下同様である。
E1.睡眠障害の治療で使用するためのナルメフェン。
E2.併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者の治療で使用するためのナルメフェン。
E3.併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者においてアルコール消費の低減で使用するためのナルメフェン。
E4.併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者において睡眠障害の治療で使用するための、実施形態1または2に従うナルメフェン。
E5.併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者において、実施形態3に従うアルコール消費の低減で使用するため、および実施形態4に従う睡眠障害の治療で使用するためのナルメフェン。
E6.前記睡眠障害または併存性の睡眠障害がアルコール誘発性の睡眠障害である、実施形態1〜5のいずれかに従うナルメフェン。
E7.前記アルコール依存が前記睡眠障害によって引き起こされる、実施形態2〜5のいずれかに従うナルメフェン。
E8.前記アルコール依存および前記睡眠障害が因果的に互いに関連していない、実施形態2〜5のいずれかに従うナルメフェン。
E9.前記睡眠障害または併存性の睡眠障害が、原発性不眠症、原発性過眠症、ナルコレプシー、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、他に特定されない睡眠異常、悪夢障害、夜驚症、睡眠時遊行症、他に特定されない睡眠時随伴症から選択される、実施形態1〜8のいずれかに従うナルメフェン。
E10.前記ナルメフェンが、前記睡眠障害の治療および/または前記アルコール消費の低減で使用される唯一の活性成分である、実施形態1〜9のいずれかに従うナルメフェン。
E11.前記患者がさらに、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬から選択される催眠薬である第2の化合物によって治療される、実施形態1〜9のいずれかに従うナルメフェン。
E12.前記第2の化合物がベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニストである、実施形態11に従うナルメフェン。
E13.前記ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニストが、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、ブロマゼパム、エスタゾラム、オキサゼパム、フルラゼパム、フルニトラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、ザレプロン、およびエスゾピクロン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態12に従うナルメフェン。
E14.前記第2の化合物が抗けいれん薬である、実施形態11に従うナルメフェン。
E15.前記抗けいれん薬が、カルバマゼピンおよびガバペンチン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態14に従うナルメフェン。
E16.前記第2の化合物が鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬である、実施形態11に従うナルメフェン。
E17.前記鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬が、アミトリプチリン、ドキセピン、ミルタザピン、トラゾドンおよびネファゾドン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態16に従うナルメフェン。
E18.前記第2の化合物がメラトニンアゴニストである、実施形態11に従うナルメフェン。
E19.前記メラトニンアゴニストが、メラトニン、ラメルテオンおよびアゴメラチン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態18に従うナルメフェン。
E20.前記第2の化合物が鎮静性抗精神病薬である、実施形態11に従うナルメフェン。
E21.前記鎮静性抗精神病薬が、ハロペリドールおよびクエチアピン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態20に従うナルメフェン。
E22.前記第2の化合物が抗ヒスタミン薬である、実施形態11に従うナルメフェン。
E23.前記抗ヒスタミン薬が、ジフェンヒドラミンおよびドキシラミン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態22に従うナルメフェン。
E24.前記ナルメフェンおよび前記第2の化合物が同一の単位剤形内に含有される、実施形態11〜23のいずれかに従うナルメフェン。
E25.前記ナルメフェンおよび前記第2の化合物が別々の単位剤形内に含有される、実施形態11〜23のいずれかに従うナルメフェン。
E26.前記患者が少なくとも中程度の飲酒リスクレベルを有する、実施形態2〜25のいずれかに従うナルメフェン。
E27.前記患者が高い飲酒リスクレベルを有する、実施形態26に従うナルメフェン。
E28.前記患者が、男性については>60g/日の純粋なアルコールの消費、および女性については>40g/日の純粋なアルコールの消費に相当する飲酒リスクレベルを有する、実施形態27に従うナルメフェン。
E29.前記ナルメフェンが必要に応じて使用されるべきである、実施形態1〜28のいずれかに従うナルメフェン。
E30.前記ナルメフェンが、10〜20mg、例えば、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mgまたは20mgなどの用量で使用される、実施形態1〜29のいずれかに従うナルメフェン。
E31.前記ナルメフェンが18mgの用量で使用される、実施形態30に従うナルメフェン。
E32.前記ナルメフェンが薬学的に許容可能な酸付加塩の形態で使用される、実施形態1〜31のいずれかに従うナルメフェン。
E33.前記ナルメフェンが塩酸塩の形態で使用される、実施形態32に従うナルメフェン。
E34.前記ナルメフェンが塩酸塩二水和物の形態で使用される、実施形態33に従うナルメフェン。
E35.前記ナルメフェンが結晶形態で使用される、実施形態34に従うナルメフェン。
E36.前記ナルメフェンが、錠剤またはカプセルなどの経口剤形に含有される、実施形態1〜35のいずれかに従うナルメフェン。
E37.ナルメフェンと、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬から選択される催眠薬である第2の化合物と、任意選択で、許容可能なキャリアまたは希釈剤とを含む医薬組成物。
E38.ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬から選択される催眠薬である第2の化合物と一緒に、ナルメフェンを含むキット。
E39.前記第2の化合物がベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニストである、実施形態37に従う医薬組成物または実施形態39に従うキット。
E40.前記ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニストが、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、ブロマゼパム、エスタゾラム、オキサゼパム、フルラゼパム、フルニトラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、ザレプロン、およびエスゾピクロン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態39に従う医薬組成物またはキット。
E41.前記第2の化合物が抗けいれん薬である、実施形態37に従う医薬組成物または実施形態38に従うキット。
E42.前記抗けいれん薬が、カルバマゼピンおよびガバペンチン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態41に従う医薬組成物またはキット。
E43.前記第2の化合物が鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬である、実施形態37に従う医薬組成物または実施形態38に従うキット。
E44.前記鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬が、アミトリプチリン、ドキセピン、ミルタザピン、トラゾドンおよびネファゾドン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態43に従う医薬組成物またはキット。
E45.前記第2の化合物がメラトニンアゴニストである、実施形態37に従う医薬組成物または実施形態38に従うキット。
E46.前記メラトニンアンタゴニストが、メラトニン、ラメルテオンおよびアゴメラチン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態45に従う医薬組成物またはキット。
E47.前記第2の化合物が鎮静性抗精神病薬である、実施形態37に従う医薬組成物または実施形態38に従うキット。
E48.前記鎮静性抗精神病薬が、ハロペリドールおよびクエチアピン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態47に従う医薬組成物またはキット。
E49.前記第2の化合物が抗ヒスタミン薬である、実施形態37に従う医薬組成物または実施形態38に従うキット。
E50.前記抗ヒスタミン薬が、ジフェンヒドラミンおよびドキシラミン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態49に従う医薬組成物またはキット。
E51.前記ナルメフェンおよび前記第2の化合物の連続投与に適している、実施形態38〜50のいずれかに従うキット。
E52.前記ナルメフェンおよび前記第2の化合物の同時投与に適している、実施形態37〜50のいずれかに従う医薬組成物またはキット。
E53.前記ナルメフェンおよび前記第2の化合物が同一の単位剤形内に含有される、実施形態52に従う医薬組成物またはキット。
E54.前記ナルメフェンが、10〜20mg、例えば、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mgまたは20mgなどの用量で存在する、実施形態37〜53のいずれかに従う医薬組成物またはキット。
E55.前記ナルメフェンが18mgの用量で存在する、実施形態54に従う医薬組成物またはキット。
E56.前記ナルメフェンが薬学的に許容可能な酸付加塩の形態で存在する、実施形態37〜55のいずれかに従う医薬組成物またはキット。
E57.前記ナルメフェンが塩酸塩の形態で存在する、実施形態56に従う医薬組成物またはキット。
E58.前記ナルメフェンが塩酸塩二水和物の形態で存在する、実施形態57に従う医薬組成物またはキット。
E59.前記ナルメフェンが結晶形態で存在する、実施形態58に従う医薬組成物またはキット。
E60.睡眠障害の治療のための方法であって、本方法は、薬学的に許容可能な量のナルメフェンを、それを必要としている患者に投与することを含む。
E61.併存性の睡眠障害を有するアルコール依存患者におけるアルコール消費の低減のための方法であって、本方法は、薬学的に許容可能な量のナルメフェンを前記患者に投与することを含む。
E62.前記患者がアルコール依存であり、併存性の睡眠障害を有する、実施形態60に従う方法。
E63.アルコール消費の低減および睡眠障害の治療のための方法であって、本方法は、薬学的に許容可能な量のナルメフェンを、それを必要としている患者に投与することを含む。
E64.前記患者がアルコール依存であり、併存性の睡眠障害を有する、実施形態63に従う方法。
E65.前記睡眠障害または併存性の睡眠障害がアルコール誘発性の睡眠障害である、実施形態60〜64のいずれかに従う方法。
E66.前記アルコール依存が前記睡眠障害によって引き起こされる、実施形態61〜64のいずれかに従う方法。
E67.前記アルコール依存および前記睡眠障害が因果的に互いに関連していない、実施形態61〜64のいずれかに従う方法。
E68.前記睡眠障害または併存性の睡眠障害が、原発性不眠症、原発性過眠症、ナルコレプシー、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、他に特定されない睡眠異常、悪夢障害、夜驚症、睡眠時遊行症、他に特定されない睡眠時随伴症から選択される、実施形態60〜67のいずれかに従う方法。
E69.前記ナルメフェンが、前記睡眠障害の治療および/または前記アルコール消費の低減で使用される唯一の活性成分である、実施形態60〜68のいずれかに従う方法。
E70.薬学的に許容可能な量の、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬から選択される催眠薬である第2の化合物を投与することをさらに含む、実施形態60〜68のいずれかに従う方法。
E71.前記第2の化合物がベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニストである、実施形態70に従う方法。
E72.前記ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニストが、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、ブロマゼパム、エスタゾラム、オキサゼパム、フルラゼパム、フルニトラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、ザレプロン、およびエスゾピクロン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態71に従う方法。
E73.前記第2の化合物が抗けいれん薬である、実施形態70に従う方法。
E74.前記抗けいれん薬が、カルバマゼピンおよびガバペンチン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態73に従う方法。
E75.前記第2の化合物が鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬である、実施形態70に従う方法。
E76.前記鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬が、アミトリプチリン、ドキセピン、ミルタザピン、トラゾドンおよびネファゾドン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態75に従う方法。
E77.前記第2の化合物がメラトニンアゴニストである、実施形態70に従う方法。
E78.前記メラトニンアゴニストが、メラトニン、ラメルテオンおよびアゴメラチン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態77に従う方法。
E79.前記第2の化合物が鎮静性抗精神病薬である、実施形態70に従う方法。
E80.前記鎮静性抗精神病薬が、ハロペリドールおよびクエチアピン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態79に従う方法。
E81.前記第2の化合物が抗ヒスタミン薬である、実施形態70に従う方法。
E82.前記抗ヒスタミン薬が、ジフェンヒドラミンおよびドキシラミン、またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される、実施形態81に従う方法。
E83.前記ナルメフェンおよび前記第2の化合物が同一の単位剤形内に含有される、実施形態70〜82のいずれかに従う方法。
E84.前記ナルメフェンおよび前記第2の化合物が別々の単位剤形内に含有される、実施形態70〜82のいずれかに従う方法。
E85.前記患者が少なくとも中程度の飲酒リスクレベルを有する、実施形態61〜84のいずれかに従う方法。
E86.前記患者が高い飲酒リスクレベルを有する、実施形態85に従う方法。
E87.前記患者が、男性については>60g/日の純粋なアルコールの消費、および女性については>40g/日の純粋なアルコールの消費に相当する飲酒リスクレベルを有する、実施形態86に従う方法。
E88.前記ナルメフェンが必要に応じて投与される、実施形態60〜87のいずれかに従う方法。
E89.前記ナルメフェンが、10〜20mg、例えば、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mgまたは20mgなどの用量で投与される、実施形態60〜87のいずれかに従う方法。
E90.前記ナルメフェンが18mgの用量で投与される、実施形態89に従う方法。
E91.前記ナルメフェンが薬学的に許容可能な酸付加塩の形態で投与される、実施形態60〜90のいずれかに従う方法。
E92.前記ナルメフェンが塩酸塩の形態で投与される、実施形態91に従う方法。
E93.前記ナルメフェンが塩酸塩二水和物の形態で投与される、実施形態92に従う方法。
E94.前記ナルメフェンが結晶形態で投与される、実施形態93に従う方法。
E95.前記ナルメフェンが、錠剤またはカプセルなどの経口剤形に含有される、実施形態60〜94のいずれかに従う方法。
本発明は、以下の非限定的な実施例によって説明されるであろう。
臨床的評価
アルコール依存の診断は、DSM−IV−TR基準に基づいて行った。このために、調査員は、精神疾患簡易構造化面接(Mini International Neuropsychiatric Interview)(MINI)の標準化面接を用いることにより構造化された方法で患者に問診した(Lecrubier et al.The Mini International Neuropsychiatric Interview(M.I.N.I.).A short diagnostic structured interview:Reliability and validity according to the CIDI.European Psychiat.(1997),12:224−31)。M.I.N.I.は、DSM−IVにおける主要な第I軸精神障害のための簡易構造化面接として設計される。その使用は診断基準の標準化された評価を可能にする。M.I.N.I.面接は、スクリーニング訪問(screening visit)として使用した。臨床医は、講習会後にそれを使用した。M.I.N.I.アプローチを使用して、ベースラインで睡眠障害のある患者を選択することもできる。睡眠障害のある患者を確認するための別のアプローチは、ベースラインにおける睡眠障害を、「睡眠障害」、「質の悪い睡眠」、「夢遊病(Somanambulism)」および/または「不眠症」を含む任意の用語のような医薬規制用語集(MedDRA)優先用語でコードされる任意の進行中の病歴として定義することによる。以下の実施例1および2において、ベースラインで睡眠障害があると分類される患者は、前記MedDRA用語に基づいて選択した。
実施例1:アルコール消費の低減に対する臨床効果
アルコール依存(DSM−IV)患者のアルコール消費の低減に対するナルメフェンの効力は、2つの効力研究(研究12014Aおよび研究12023A)および安全研究(研究12013A)で評価した。全ての研究は、多国籍、多施設(multi−site)、無作為化、二重盲検、並行2群間、プラセボ対照の研究であった。効力は、24週間の治療を通して評価した。研究には、アルコール依存の一次診断を有する年齢18才以上の外来患者が含まれた。患者は、スクリーニング訪問前の4週間に、6以上のHDD、14以下の連続禁酒日を有し、基準範囲の上限の3倍を超える血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)および/または血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)値を有さない(調査員の意見では臨床的に重要である)場合に、研究に参加する資格があった。精神医学的な併存疾患を伴う患者(すなわち、安定した用量の抗精神病薬および/または特定の抗うつ薬を使用する患者)も、精神医学的併存症の治療が飲酒問題の治療より優先される必要がない限り、あるいは研究治療を妨害する可能性または治療のコンプライアンスを損なう可能性がない限りは含まれた。
研究には合計1997人の患者が含まれ、そのうち1173人は、必要に応じた投薬計画においてナルメフェン18mgで治療した。患者がその行動を変える支援をするため、そして治療の順守を高めるために、動機づけおよび順守向上の介入を全ての患者に行った。
アルコール消費の低減に対するナルメフェンの効力は、2つのコプライマリーエンドポイント:1か月の大量飲酒日(HDD)数の変化、および1日の平均総アルコール消費(TAC)の変化を用いて測定した。HDDは、男性については60g以上のアルコール、女性については40g以上のアルコールを消費した日であると定義した。
ナルメフェンまたはプラセボで治療した患者におけるHDDおよびTACの経時的な変化は図1〜2に表示されており、ナルメフェンがベースラインで睡眠障害のある患者におけるアルコール消費の低減に有効であることが示される。
実施例2:POMSスコアによって測定される臨床効果
上記の研究12014A、12023Aおよび12013AにおけるPOMsスコアの評価を用いて、研究全体を通して、気分状態および気分変化に対するナルメフェンの効果を評価した。POMSスコアのベースラインからの変化は図3〜9で説明される。図3a〜9aは、ベースラインで睡眠障害のない患者において、POMSスコアのパターンが研究全体を通して安定しており、ナルメフェンとプラセボとの間で顕著な差異がなかったことを示す。
表3および5は、ベースラインで睡眠障害のある患者が、睡眠障害のない患者と比較して、ベースラインでより高いPOMSスコアを有したことを示す。図3b〜9bは、ナルメフェンを受けたベースラインで睡眠障害のある患者が、プラセボを受けたベースラインで睡眠障害のある患者よりも、研究の最後に優れたPOMSスコアを有したことを示す。特に、総合的な睡眠の乱れ、緊張−不安、抑うつ−拒絶、怒り−敵意、活気および疲労をそれぞれ表す図3b、4b、5b、6b、7bおよび8bは、4〜24週目に、プラセボを受けた患者と比較して、ナルメフェンを受けた患者においてより優れたPOMSスコアを示す。一般に、図7aおよび7bに示される活気を除いて(より高いPOMSスコアはより優れた気分状態を示す)、より低いPOMSスコアは、より高いスコアよりも優れた気分状態を示す。
研究12014A、12023Aおよび12013Aの人口統計データおよびベースライン特性は以下の表3〜6に示されており、患者の選択のためにMedDRAに従う病歴を使用した。
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実施例3:SF−36精神的コンポーネントサマリー(FAS、OC)によって測定される臨床効果
患者の健康状態を測定する別の方法は、認識される健康状態の一般的な尺度として開発された患者報告結果であるSF−36によるものである。精神的コンポーネントサマリースコアは、健康関連の生活の質の精神面に焦点を合わせる。より高いスコアは、より良好な健康状態または幸福に相当する。
精神的コンポーネントサマリースコアにおけるデータは、以下の表6に示される。12週および24週までのベースラインからの変化におけるナルメフェンとプラセボの違いは、ベースラインで睡眠障害のない患者よりも、ベースラインで睡眠障害のある患者においてより顕著であった。
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非臨床的評価
睡眠障害の治療のためのナルメフェンのさらなる特性は、非臨床モデル、例えば、実施例4に記載されるようなモデルにおいて評価することができる。ナルメフェンは、前記モデル、または睡眠障害の評価のためのいずれか他のモデルにおいて、唯一の活性物質として、そして第2の化合物と組み合わせて評価することができる。
ナルメフェンは、例えばナルメフェン塩酸塩の形態で投与することができ、これは適切な量の生理食塩水に溶解されて、例えば皮下投与により動物に投薬される。ナルメフェンと組み合わせられる第2の化合物は、適切な量の適切な媒体に溶解されて、例えば皮下投与により動物に投薬され得る。
実施例4:脳波(EEG)記録を用いるラットの睡眠プロファイリング
ラットの睡眠は、EEG記録を用いて定性的および定量的に評価することができる。適用可能な手順は、例えば、Depoortere et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,(1986),237:pp.649−658、Griebel et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,(2001)298:pp.753−768、Greibel et al.,Behav.Brain Res.(2012),232:pp.416−420によって既に記載されている。各EEG記録セッションの前に、ラットを実験室および記録装置に4日間慣れさせ、記録ケーブルに1日間慣れさせる。記録日に、回転コレクタを有するフレキシブルケーブルによりラットをEEG記録システムにつなぎ、ラットが自由に移動できるようにする。ケーブルおよび記録は1時間後に始まり、少なくとも3連続日:コントロール日(D0)、薬物日(D1)、コントロール回復日(D2)継続することができる。
EEGシグナルは、1および100Hz(6dB/オクターブ)におけるフィルタリングにより処理され、次に獲得され、特定のソフトウェアを用いて256Hzでデジタル化される。小脳皮質上に配置した参照電極との比較により、感覚運動皮質および視覚皮質の活性を6時間の記録期間にわたって記録する。警戒の3つの睡眠/覚醒状態を考慮する:(1)両方の皮質誘導における低電圧EEGシグナルおよび高速周波数(シータ(θ)リズム:6〜9Hz範囲内)を特徴とする覚醒;(2)感覚運動誘導において睡眠紡錘波(シグマ(σ)リズム:10〜15Hz範囲以内)の群発を伴う徐波(デルタ(δ)リズム:1〜4Hz範囲内)を有する高電圧を特徴とするNREMS;(3)視覚野におけるθリズム(4〜9Hz範囲内)の過剰同期によるREMS。
EEGシグナルの分析は、例えば、Griebel et al.,Behav.Brain Res.(2012),232:pp.416−420により実証されるように、種々の睡眠相の違いを区別することができるコンピュータシステムによって自動的に実施され、その後、専門的に訓練された得点記録者によって正確に記録される。実験のために考慮されるパラメータは、6時間の記録セッションにわたって、(1)総覚醒時間、(2)総NREMS時間、(3)総REMS時間、(4)NREMSエピソードの平均持続時間、(5)NREMSエピソードの平均数;(6)REMSまでの潜時、(7)REMSエピソードの平均持続時間、および(8)REMSエピソードの平均数であり得る。

Claims (17)

  1. アルコール依存患者におけるアルコール依存を治療するためのナルメフェンを含む医薬組成物であって、
    前記組成物が、前記患者におけるアルコール消費低減し、
    前記アルコール依存患者が、併存性の睡眠障害を有する患者である、ナルメフェンを含む医薬組成物
  2. 併存性の睡眠障害を有する前記アルコール依存患者において、前記併存性の睡眠障害するための、請求項1に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  3. 併存性の睡眠障害を有する前記アルコール依存患者において、アルコール消費減するため、および前記併存性の睡眠障害療するための請求項1または2に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  4. 前記併存性の睡眠障害を有する前記アルコール依存患者を治療するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物。
  5. アルコール依存患者におけるアルコール依存を治療するためのナルメフェンを含む医薬組成物であって、
    前記組成物が、前記患者におけるアルコール消費を低減し、
    前記アルコール依存患者が、睡眠障害を有する患者である、ナルメフェンを含む医薬組成物。
  6. 前記睡眠障害または併存性の睡眠障害がアルコール誘発性の睡眠障害である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  7. 前記アルコール依存が前記睡眠障害または併存性の睡眠障害によって引き起こされる、請求項〜5のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  8. 前記アルコール依存および前記睡眠障害または併存性の睡眠障害が因果的に互いに関連していない、請求項〜5のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  9. 前記睡眠障害または併存性の睡眠障害が、原発性不眠症、原発性過眠症、ナルコレプシー、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、他に特定されない睡眠異常、悪夢障害、夜驚症、睡眠時遊行症、他に特定されない睡眠時随伴症から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  10. 前記ナルメフェンを含む医薬組成物が、前記併存性の睡眠障害あるいは前記睡眠障害の治療および/または前記アルコール消費の低減のための唯一の活性成分である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  11. 前記患者がさらに、ベンゾジアゼピンもしくはベンゾジアゼピン受容体アゴニスト;抗けいれん薬;鎮静性三環系もしくは四環系抗うつ薬;メラトニンアゴニスト;鎮静性抗精神病薬;または抗ヒスタミン薬から選択される催眠薬である第2の化合物によって治療される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  12. 前記患者が、高い飲酒リスクレベルを有する、請求項〜11のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  13. 前記ナルメフェンが、10〜20mg、例えば、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mgまたは20mgなどの用量で使用される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  14. 前記ナルメフェンが塩酸塩の形態で使用される、請求項1〜13のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  15. 前記ナルメフェンが、錠剤またはカプセルなどの経口剤形に含有される、請求項1〜14のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物
  16. 前記患者が、男性については>60g/日の純粋なアルコールの消費、および女性については>40g/日の純粋なアルコールの消費に相当する飲酒リスクレベルを有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物。
  17. 前記アルコール消費の低減が、1日の平均総アルコール消費(TAC)および/または1か月の大量飲酒日(HDD)数の低減を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載のナルメフェンを含む医薬組成物。
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