本実施例では、パネル駆動機構により可動前面パネルを屈曲させて開くことができる空気調和機の例を説明する。
先ず、図1を参照して、この実施例に係る空気調和機の概略構造を説明する。図1は、実施例1に係る空気調和機の説明図である。(A)図は運転停止時の外観斜視図、(B)図は可動前面パネル開放時の外観斜視図、(C)図は、従来の一例と本実施例との可動前面パネルを開いた状態を比較した断面図である。
図1において、この実施例の空気調和機は、送風ファンを備えて室内の壁面に取り付けられ、図示しない冷媒配管を介して、屋外に設置される圧縮機を備えた図示しない室外機と接続することで、冷暖房または除湿を可能にするものである。
この空気調和機1は、奥行寸法と高さ寸法がほぼ同じで、この高さ寸法より横幅寸法が大きい横長の筐体2を備えている。筐体2の下方には、吹出部3を備え、後述する環流フアン13から吹き出される空気を前方に吹き出せるように、筐体2の下方を大きく開放するように長手方向に沿って形成される。この吹出部3には、可動ルーバ4が設けられている。この可動ルーバ4は、図示しないルーバ駆動機構部を介して、吹出部3を封鎖した状態と、吹出部3を開放して空気流を所定の方向に案内するように所定の角度に動作させることができる。
この筐体2の前面には、上部に設けられる第一パネル5と下部に設けられる第二パネル6とが後述するパネル接続部7を介して接続された可動前面パネル8が設けられている。この可動前面パネル8は、その下端を後述するパネル支持軸17に支持され、上部を後述するパネル駆動機構部20に接続され、このパネル駆動機構部20の駆動により吸込部9を封鎖した状態と、吸込部9を開放して空気を筐体2内にできるように開放した状態と、に動作させることができる。
次に、図1(B)における可動前面パネル8が開放した状態を説明する。可動前面パネル8の開放時に、第一パネル5は縦姿勢を保ったまま筐体2より離反し、一方で、第二パネル6の上端が筐体2から離反することによって、第一パネル5と第二パネル6とがパネル接続部7を介して、可動前面パネル8を略“L”字や“く”の字状に屈曲して開放する。
そして、一枚の可動前面パネルを設けた従来例と本願発明との開口面積を比較した(C)図に示す通り、本願の可動前面パネル8は、前面吸込部の全面に大きく開口スペースを確保できるので(開口面積Sの分)、熱交換器対して多くの空気を供給することができる。また、一枚の可動前面パネルでは吸い込んだ空気は熱交換器の上部に集まりやすい。しかし、本願では、可動前面パネル8が屈曲して開放する、つまり、可動前面パネル8をより下方に移動させることができるので、より大きく吸込部を開放できる。更に、可動前面パネル8を開放した際に、開口面積Sの分だけ熱交換器の下部Uに対しても、空気を供給することができ、熱交換器の効率的な活用ができる。
次に、図2は、この実施例に係る空気調和機の内部構造についての、特に、パネル駆動機構部20の構成及びその動作についての説明図である。なお、図2(A)は可動前面パネル8の閉鎖時の概略断面図であり、(B)は可動前面パネル8の変化する動作状態を示した概略断面図である。
筐体2の上部に形成される上部吸込部10と、筐体2の前部に形成される前部吸込部11とから構成される吸込部9から取り込んだ空気を筐体2の下面の前部に形成される吹出部3から吹き出す空気流路12が内部に形成されている。そして、この空気流路12の中央に位置するように、その長手方向をこの筐体2の長手方向と一致するように配置される環流フアン13と、この環流フアン13の前方と上方を覆うように配置される熱交換器14とが内蔵されている。
筐体2のほぼ中央に配置される環流フアン13の前後には、前部ドレン皿15と、後部ドレン皿16が設けられ、この前部ドレン皿15と後部ドレン皿16を跨いで環流フアン13の上部を覆うように熱交換器14が配置されている。
また、この実施例の室内空気の取り入れ口は、可動前面パネル8がパネル駆動機構部20によって開閉可能に設けられ前部吸込部11を開閉する構成である。この実施例では、上部吸込部10は上面に設けられ、前部吸込部11は、例えば、ほぼ垂直な筐体2前面の上部3/5程度の大きさをもって形成される。そして、この実施例では、可動前面パネル8を開閉することによって、筐体2の前面に形成される前部吸込部11を開閉し、この前部吸込部11から流入した空気が筐体2前面の上部に形成される上部吸込部10に空気を吸込み可能にする構造を備えている。なお、筐体2の上面に孔を設けて、この孔から上部吸込部10に空気を送り込んでも良い。
また、吹出部3は、環流フアン13から吹き出される空気を前方に吹き出せるように、環流フアン13と前部ドレン皿15の下方を大きく開放するように、筐体2の長手方向に沿って形成される。この吹出部3には、可動ルーバ4が設けられている。この可動ルーバ4は、図示しないルーバ駆動機構部を介して、吹出部3を封鎖した状態と、吹出部3を開放して空気流を所定の方向に案内するように所定の角度に動作させることができる。
この実施例では、環流フアン13や、後述するパネル駆動機構部20及びルーバ駆動機構部などは、筐体2内に設けられる図示しない制御部によって統括制御され、また、この制御部は図示しない遠隔操作装置によって操作指示を受け付けることができる。
また、可動前面パネル8は、板状の部材で形成された上部パネル5と下部パネル6とから構成されている。上部パネル5と下部パネル6とは、パネル接続部7を介して回転可能に接続されている。その下部パネル6の下端部と、筐体2とは、可動前面パネル回転軸17を介して可動できるように支持されており、その上部パネル5の上端部は、筐体2内に設けられるパネル駆動機構部20の第二アーム22の一端と接続されている。
そして、パネル駆動機構部20は、第一アーム21と、第二アーム22と、ガイド部23と、図示しない駆動モータとから構成される。第一アーム21の一端と第二アーム22の一端とは、アーム連結部24を介して可動できるよう支持されている。また、第一アーム21の他端はモータ軸25であり、図示しない駆動モータ部のギアに接続され、この駆動モータの動作により、モータ軸25を中心に第一アーム21は円弧動作をする。また、第二アーム22には、ガイド部23上を摺動するガイド受部26と、可動前面パネル8と接続されているパネル接続部27とを備えている。第一アーム21の円弧動作に伴って、第二アーム22上のガイド受部26がガイド部23によって動きが補助されることにより、第二パネル6が前方に押し出されて可動前面パネル8が開閉する。
この実施例に係る空気調和機の特徴の一つは、パネル駆動機構部20は、円弧動作をする第一アーム21と、可動前面パネル8(第一パネル5)と接続される第二アーム22と、第一アーム21と第二アーム22を連結するアーム連結部24と、第二アーム21に設けられたガイド受部26を案内する前方下方に湾曲した形状を有するガイド部23とから構成され、可動前面パネル8の開放動作の際に、アーム連結部24は、前方下方に動作し始めるように収納した点である。
言い換えると、第二アーム22のガイド受部26がガイド部23の後方の終端に位置した状態で、駆動機構部20は筐体2の中に収納されている点である。従って、可動前面パネル8の開放の初動の際に、下方向に凸な曲線(円弧)形状を有するガイド部23に沿ってガイド受部26が移動することにより、アーム連結部24が前方下方に動き出すように設置されている。
このパネル駆動機構部20と可動前面パネル8の開閉動作について、図2(B)を用いて詳細に説明する。なお、各部の構成は図2(A)と同じなので、同一符号の記載は省略する。可動前面パネル8によって前部吸込部11を封鎖している状態(イ)から、制御部からの指示により可動前面パネル8の開放動作が開始されると、駆動モータの回転によりモータ軸25を回転軸として第一アーム21が回転(円弧動作)する。そして、この第一アーム21の動きに伴い、アーム連結部24を介して第二アーム22が動作する。
この際、前方下方に湾曲する曲線(円弧)形状を含むガイド部23を設けたので、第二アーム22(アーム連結部24)は前方下方に動き出す。つまり、この第二アーム22の初動の際に、第二アーム22には前方下方の向きの力N1が加わることになる。そして、第二アーム22と可動前面パネル8が接続されるパネル接続部27を介して、前方下方の向きの力N2が加わり、第一パネル5が前方下方に押出されるので、パネル接続部7を前方下方に押し出す事ができる(状態(ロ))。
この状態(ロ)から引き続き第一アーム22の回転動作することにより、第一アーム21と第二アーム22とが直線になるように移動し、可動前面パネル8を更に前方に押し出す。あとは、可動前面パネル8の自重によっても、「く」の字状に折れ曲がることになる(状態(ハ))。
係る構成により、第一パネルのみが筐体から離反する可動前面パネルの動作を抑制し(図7の状態)、前面吸込部11の全面に大きく開口スペースを確保できるので、熱交換器14に対して、多くの空気を供給することができる。特に、熱交換器14の下部エリアに対して空気流入量を増加させることができる。
また、可動前面パネル8をL字状、又は、くの字状に、第一パネル5から第二パネル6に折れ曲がっていることによって、ショートサーキットを効果的に防止することができる。つまり、吹出部3より吹き出された風が、第二パネル6に沿って流れたとしても、第二パネル6から第一パネル5にかけて吹き出された風が途切れて、再び吸込部より吸入されることを防ぐことができる。また、第二パネル6に沿って空気を吹出すことで、コアンダ効果によって、室内の上側に吹く出すことができるので、室内の温度ムラの発生を抑えることができる。
また、他の特徴として、後方から前方にかけて下方に凸な曲線(円弧)形状のガイド部23を設けた点である。つまり、第一アーム21と第二アーム22が伸びきる位置までガイド部23を設けた点である。
パネル駆動機構部20の初動の際に、下方向に凸な曲線(円弧)形状を有するガイド部23に沿ってガイド受部26が動作することにより、第二アーム22には前方下方の向きの力N1が安定して加わるだけでなく、ガイド部23に沿ってガイド部23が前方上方に摺動する。言い換えると、第一アーム21と第二アーム22とがほぼ直線になるように移動し、可動前面パネル8を更に前方に押し出し、可動前面パネル8がくの字状に折れ曲がることになる(状態(ハ))。
係る構成により、アームが伸びきるまでガイド部23によってガイドできるので、安定して可動前面パネル8を略“L”字や“く”の字状に開放し、その後、可動前面パネル8を閉鎖することができる。更に、ガイド部23によって、可動前面パネル8を安定して開閉することができるので、パネル接続部7や可動前面パネル回転軸17対する負荷を低減することができる。
また、他の特徴として、第一アーム21より第二アーム22を長くし、可動前面パネル8を閉じた状態では、アーム連結部24を後方下方に位置した状態で駆動機構部20を収納する点である。係る構成により、筐体2のパネル駆動機構20の収納スペースを有効活用しつつ、可動前面パネル8をより前方に、より屈曲させた状態で開放することができる。
なお、図2(B)において、ガイド受部26がガイド部23の最前方部に位置しても、第一アーム21と第二アーム22が直線となっていない表現となっているが、これに限られるものではない。ガイド部やガイド受部の位置、また、筐体内のパネル駆動機構を収納する位置を調整することによって、第一アームと第二アームが直線となり、前方下方に最も伸びた状態になるようにガイド部を伸ばしても良い。
なお、この実施例の図1(B)及び図2(B)では、ある一定の可動前面パネル8の開閉例を説明したが、これに限られるものではない。パネル駆動機構部20は、筐体2内に設けられる図示しない制御部によって統括制御され、また、この制御部は図示しない遠隔操作装置によって操作指示を受け付けることができ、例えば、運転モードに合わせて適切な吸気ができるように所定の位置に可動前面パネル8を開いても良いし、使用者の操作指示によって可動前面パネル8の開く位置を決めてもよい。
パネル駆動機構部20の設置位置は、特に限定は無いが、筐体2の前面上方であれば好ましく、数も複数であっても良い。例えば、筐体2の左右どちらかの端に一つだけ設けても良いし、両端に2つ設けても良い。
次に図3と図4を用いて、パネル接続部の具体的構成について説明する。図3は、可動前面パネルのパネル接続部を後方から見た拡大後方斜視図である。図3(A)は可動前面パネルの第一パネルと第二パネルとを分離させた図であり、図3(B)は可動前面パネルの第一パネルと第二パネルとを接続させた図である。また、図4は、可動前面パネル8の開閉動作を示す部分拡大図である。
パネル接続部7は、第一パネル5と第二パネル6を回転可能に支持しているパネル回転軸部30と、このパネル回転軸部30を保持する回転軸受部31からなる。(A)に示す通り、パネル回転軸部30は第二パネル6に設けられており、回転軸受部31は第一パネル5に設けられている。
パネル回転軸部30には、回転軸32が形成されており、回転軸受部31の孔33に勘合する。なお、図面とは逆に、第一パネル5にパネル回転軸部30を設け、第二パネル6に回転軸受部31を設ける構成としても良い。
第一パネル5の下端と第二パネル6の上端には、それぞれ第一傾斜面(切欠面)34と第二傾斜面(切欠面)35とが設けられている。可動前面パネル8が閉じている状態において、第一傾斜面34は後方に鈍角を成す傾斜面を有し、一方、第二傾斜面35は後方に鋭角を成す傾斜面を有している。
図3(B)に示す通り、パネル回転軸部30の回転軸32が、回転軸受部31の孔33に勘合することによって、第一パネル5と第二パネル6とが接続される。そして、可動前面パネル8が閉じた状態で、これらの第一傾斜面34と第二傾斜面35とが対面する。第一傾斜面34と第二傾斜面35との間には、可動前面パネル8の開放動作の際に、其々の傾斜面が接触せずに開放できる隙間が存在する。
次に、図4を用いて、可動前面パネル8の開閉動作を説明する。図4は、可動前面パネルの動作について側面からみた部分拡大図である。なお、駆動パネル機構部20の動作の説明については、図2(B)で説明済みなので説明と符号は省略する。また、可動前面パネル8とパネル接続部7については、状態(ハ)にのみ符号を付す。
可動前面パネル8が閉じている状態(イ)においては、第一傾斜面34と第二傾斜面35とが対面しているので、第一パネル5と第二パネル6とが一連の面として隙間を目立たせなくすることができる。
一方、可動前面パネル8が開放している状態(ハ)においては、第一パネル5と第二パネル6と折れ曲がり動作に伴って、第一傾斜面34が前方に露出してくる。つまり、第一傾斜面34と、第二パネル6の前面とが、一連の面として隙間を目立たせなくすることができる。
この実施例に係る空気調和機の特徴の一つは、可動前面パネル8が閉じている状態において、第一傾斜面34は後方に鈍角を成す傾斜面を有し、一方、第二傾斜面35は後方に鋭角を成す傾斜面を有した点である。
かかる構成により、第一パネル5の先端部と、第二パネル6の先端部とが合わさって平坦な面を形成し、第一パネル5のみが上端部が筐体2より離反する動き(図7参照)、いわゆる逆反り動作を防ぐことができる。つまり、第一パネル5のみがパネル接続部7を介して離反する動きをしようとしても、第二パネル6の先端部がストッパーとなり、第二パネル6と同じ動きをさせることができる。
また、係る構成により、可動前面パネル8の揺動に伴って生じるパネル接続部7の近傍の隙間を、停止時(可動前面パネル8の閉鎖時)には、可動前面パネル8の閉鎖にともなって生じるパネル接続部7の近傍の隙間は、可動前面パネル8が閉じた状態で、これらの第一傾斜面34と第二傾斜面35とが対面するので目立たなくすることができ、また、運転状態(可動前面パネル8の開放時)には、第一傾斜面34により使用者に対して一連の面として認識させることができるので隙間を目立たなくすることができる。また、可動前面パネルの前面が平坦な面になるので、デザインを施すことが容易になり、デザイン性を向上することができる。
なお、パネル間の隙間を小さくする、また、パネル間の隙間を隠す従来技術として、例えば、特開2012-67435や特開平9-228733が挙げられる。これらは、空気調和機の発明ではないが、パネルとパネルとの接続部分の隙間を小さくする発明として、特開2012-67435には、ドアパネルと吊元パネルからなるフロントパネルを備えるパネル構造において、前記ドアパネルの開口側の平面視の形状が半円であるとともに、前記半円の曲率中心rが前記ドアパネルの回動支点sと略々同一とするものが提案されている。
更に、特開平9-228733では、相隣接する複数の扉パネルのそれぞれの側端面同士をその相対向する裏側縁部分において枢支連結し、一方の扉パネルの側端面に他方の扉パネルの側端面に着脱自在に当接するパッキン材を付設し、同他方の扉パネルの側端面の表側縁付近に沿って凹溝を形成し、この凹溝に進退自在に挿入されるカバー片を前記パッキン材に一体に突設してなる折り畳み扉であって、この折り畳み扉を収納キャビネットの前面開口部に取り付けるものが提案されている。
しかしながら、前者はドアパネルと吊元パネルを支持する具体的なヒンジ構造が記載されていないが、ヒンジ部材が外観に露出するか、パネル間を接続するヒンジ構造部分がパネル外観に影響を与えて、それぞれのパネルの隣接する外形線が直線にできなくなる。また、後者は隙間が形成されてしまい、この隙間をパッキン材で塞ぐ構造であり、パッキン材が露出してしまうものであった。
そこで、係る課題を解決するために、この実施例に係る空気調和機の大きな特徴の一つとして、第一パネル5の表面部の先端は鈍角、第二パネル6の表面部の先端は鋭角に形成し、かつ、閉じた状態において、ほぼフラットに係止する点である。言い換えると、可動前面パネル8の前面が連続するように、第一パネル5と第二パネル6を分割している。
また可動前面パネル8が開いた状態においても、可動前面パネル8の折曲がり動作に伴い、第一パネル5の表面部の先端部の後方の先端が、第二パネル6の表面部の先端部の前方の先端に近づき、隙間を目立たなくすることができるという、極めて顕著な効果を奏することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、パネル接続部7は、可動前面パネル8の背面の右端部に設ける例を説明したが、数と配置位置はこれに限らない。左端部、中央等にも設けても良い。
実施例1は、奥行寸法と高さ寸法がほぼ同じで、この高さ寸法より横幅寸法が大きい横長の筐体2を備えている空気調和機1について説明したが、これに限るものではない。例えば、奥行寸法より高さ寸法が大きく、この高さ寸法より横幅寸法が大きい横長の筐体2を有する空気調和機であっても良い。その際は、上述した本発明の特徴部を変えることなく、適宜、パネル駆動機構部やパネル接続部を変更しても良い。
また、前部吸込部及び後部吸込部には、埃などのゴミを進入するのを防ぐための、図示しないフィルタが設けられている。
床置きタイプ
本実施例では、図5と図6を用いて、床置き式の空気調和機に適用した例を説明する。
図5は、本発明の実施例2に係る床置式の空気調和機の説明図である。(A)図は空気調和機の斜視図、(B)図は、空気調和機の概略側面断面図を示す。
空気調和機100は、筐体101前面に、空気を吸い込む吸込部を開閉する可動前面パネル102を備えている。可動前面パネル102は、パネル接続部105を介して回転可能に接続されている第一パネル103と第二パネル104と、を備えている。第二パネル104は、空気を吸い込む箇所であるグリル106を備えている。筐体101の上面には、上下風向板107が設けられている。
この可動前面パネル102は、その下端をパネル支持軸108に支持され、上部を後述するパネル駆動機構部120に接続され、このパネル駆動機構部120の駆動により吸込部109を封鎖した状態と、吸込部109を開放して空気を筐体101内にできるように開放した状態と、に動作させることができる。可動前面パネル102の裏側には、吸い込まれた空気から粉塵を除去するフィルタ110が配置されている。フィルタ110の裏側には、粉塵が除去された空気に対して熱交換をする熱交換器111が設けられている。
吹出部112は、本体筐体101の上方でキャビネット113の上部に設けられ、熱交換された空気を吹き出す。ファン(送風用貫流ファン)114は、吸込部109からフィルタ110、熱交換器111を経由して、吹出部112へ貫ける空気の貫流の風路上に設けられ、その空気を流動させ、風路上に貫流を形成する。筐体101は床置きされ、筐体101上部において、図示しない制御部と吹出筒115(115a、115b)を支持し固定している。吹出筒115(115a、115b)は、筒形状をしており、キャビネット113と共に、下流側風洞116を構成する。下流側風洞116が設けられることで、その中を流れる空気の流れが定まり風路となる。
そして、パネル駆動機構部120は、第一アーム121と、第二アーム122と、ガイド部123と、図示しない駆動モータとから構成される。第一アーム121の一端と第二アーム122の一端とは、アーム連結部124を介して回転可能に支持されている。第一アーム121の他端のモータ軸125は、図示しない駆動モータのギアに接続され、モータ軸125を中心に第一アーム121は回転動作をする。第二アーム122の他端は可動前面パネル102と接続され、また、ガイド部123上を摺動するガイド受部126が設けられている。第一アーム121が回転することにより、第二アーム122上のガイド受部126がガイド部123に動きを補助されることにより、第一パネル103が前方下方に押し出されて可動前面パネル102が開閉する。
図5は、実施例2に係る空気調和機の開閉状態を説明する図である。(A)図は可動前面パネルを開いた状態を示す斜視図、(B)図は可動前面パネル102を開いた上体を示す側面断面図である。
この実施例に係る空気調和機100の大きな特徴の一つは、第一パネル103と第二パネル104がパネル接続部105により回転可能に支持されている可動前面パネル102を備えた空気調和機において、第一アーム121より第二アーム122は長く、閉時には、アーム連結部を筐体101の前方下方に収納することが特徴とする。言い換えると、開ける際に、第一アーム121は前方下方に動き出すように設置されている。更に、ガイド部124は、この第一アーム121の初動に沿うように、ガイド部124を前方下方に動き出すような形状にした点である。
かかる構成により、第一アーム121の回転によりアーム接続部123と、ガイド受部126が同じく第一アーム121とガイド受部126が前方下方に力が加わることによって、パネル接続部105を前方下方に押し出し、あとは、可動前面パネル102の自重によって、くの字状に折れ曲がることができる。従って、吸込部109の全面に大きく開口スペースを確保できるので、熱交換器111に対して、多くの空気を供給することができる。
また、この実施例に係る空気調和機100の大きな特徴の一つとして、第一パネル103の上部に、平坦面130を形成した点である。図4に示す通り、可動前面パネル102が閉じた状態において、この平坦面130は、フラットな上下風向板107と連なって空気調和機100の上面の一部を形成している。本体正面の可動前面パネル102や両側面がフラットであり、木目調や、パステル調のようにデザインを施すことが容易にできるなど、意匠性を高めることができる。床置式の空気調和機は、テーブルや椅子等の家具と同じく、部屋に置かれる製品である。従って、周囲の家具に合わせたデザインが必要になってくるので、かかる構成により、デザインの自由度が広げることができる。
更に、この実施例に係る空気調和機100の大きな特徴の一つとして、第一パネル103の上部に、傾斜面131を形成した点である。図5に示す通り、可動前面パネル102が開いた状態において、この傾斜面131は、吹出筒115bと連なって吹出部116を形成する。より長い吹出部116になるので、より前方に風を送ることができる。更に、空気調和機100の運転時において、この平坦面130及び傾斜面131が吹出部116から吹き出された風を、吸込口109に流入することを防ぐことができ、ショートサーキットの発生を抑えることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。