JP6415424B2 - 金属表面を処理する方法と、この方法によって形成された装置 - Google Patents

金属表面を処理する方法と、この方法によって形成された装置 Download PDF

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本発明の実施形態は、概して金属表面を処理して基板及び他の材料への接着又は結合を強化する方法、及びこの方法によって形成される装置に関する。いくつかの実施形態において、本発明はプリント回路板(PCB)又はプリント配線板(PWB)の製造、特にそれに限られるわけではないが銅表面のような金属表面を処理し、それによって銅表面と有機物質との間の接着を強化する方法と、この方法から形成される装置とに関する。本発明のいくつかの実施形態において、金属表面のトポグラフィーを租化することなく、改善された接合強度を達成する方法が提供される。この方法によって得られた金属表面は、樹脂層に対する強い接合を提供する。
家庭用電化製品の小型化、携帯性、及び増え続ける機能は、プリント配線基板の製造をより小さく、より高密度に詰め込まれたボードに向かって推進している。増加する配線層数、減少するコア及び積層の厚み、減少する銅配線幅及び配線間隔、より小さい直径のスルーホール、並びにマイクロビアは、高密度相互接続(HDI)パッケージ又は多層PCBの鍵となる特性のうちの一部である。
PCBの配線レイアウトを形成する銅配線は、通常はサブトラクティブプロセス、又はアディティブプロセス、又はこれらプロセスの組み合わせのいずれかによって製造される。サブトラクティブプロセスにおいては、所望の回路パターンは、誘電体基板に積層された薄い銅箔から、下方にエッチングすることによって形成され、ここで銅箔はフォトレジストで覆われ、所望の回路の潜像が露光の後にレジストに形成され、レジストの回路の無い領域がレジスト現像液中で洗い流され、下層の銅がエッチング液によってエッチングされる。アディティブプロセスにおいては、銅のパターンは、フォトレジストによって形成された回路パターンのチャネル中において裸の誘電体基板から上方に積み上がる。さらなる複数の銅の回路層が、「プリプレグ」と呼ばれることが多い部分的に硬化された誘電体樹脂によって接合されて、銅配線導電体層と誘電体樹脂の絶縁層とが交互になった多層アセンブリを形成する。このアセンブリは次いで熱及び圧力をかけられ、それによって部分的に硬化された樹脂を硬化させる。スルーホールは、ドリルで穴開けされ、銅でメッキされて、すべての回路層を電気的に接続し、よって多層PCBを形成する。多層PCBの製造プロセスは周知であり、多くの刊行物、例えば、非特許文献1及び非特許文献2に記載されている。PCBの構造及び製造方法にかかわらず、銅の回路層と樹脂の絶縁層との間の良好な接着を達成することが必要不可欠である。不十分な接着からなる回路基板は、ハンダリフローおよびそれに続くハンダ付けの高温に耐えることができず、結果的に基板の剥離と電気的な機能不良を生じる。
パターニングされた状態の銅の表面は滑らかであるが、この滑らかな表面は樹脂層に十分には接着しない。2つの異なる材料間の接触面積を増加させると接着強度が増加するということが理論的に知られている。銅と樹脂との接合を改善するために、最も標準的な方法は、非常に粗い銅表面を生成してその表面積を増加させ、樹脂への接着を促進する機械的な接合アンカーとして作用するマイクロな波型の山と谷を表面に導入することに依っている。
最も広く知られているとともに最もよく使用されている方法の1つはいわゆる「黒色酸化物プロセス」であり、このプロセスでは粗い表面を有する黒色の酸化物層が銅表面の頂面に形成される。黒色酸化物は、長さ5ミクロンまでの亜酸化銅及び酸化銅の混合物の針状のデンドライト結晶又はウィスカーから成る。この大きな結晶構造は、大きな表面積と機械的なアンカー効果を提供し、よって良好な接合性を提供する。Meyerによる特許文献1、特許文献2、及び特許文献3は、アルカリ性亜塩素酸塩溶液を用いた銅表面の黒色酸化物層への酸化について最初に開示している。この方法を、PCBにおける銅‐樹脂接合に適用する初期の研究のいくつかの典型的開示は、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、及び特許文献9を含む。
このような針状の酸化層は、表面積及び接合性を大幅に増加させるが、デンドライト結晶は脆く、積層プロセス中に容易に損傷し、結果として酸化層内での接合破壊を生じる。酸化プロセスへの次の変形は、薬液濃度および他のプロセスパラメータを最適化し、これによって結晶サイズ、したがって酸化層の厚みを減少させて機械的安定性を改善することに焦点をおいていた。これに関するいくつかの注目すべき改善は、特許文献10及び特許文献11によって示され、これら文献においては特定の濃度レベルのアルカリ亜塩素酸溶液、及び水酸化物と亜塩素酸塩との比の処方が開示されている。特許文献12は、減少した厚み及び高い均一性を有する黒色酸化物コーティングを生じさせるための、アルカリ亜塩素酸溶液への水溶性又は分散性ポリマー添加剤の添加を開示している。特許文献13は、サルファオキシアシッド還元剤で銅表面を予備処理して銅酸化物の迅速な生成を促進する方法を開示している。黒色酸化物を形成する他の方法は、特許文献14に開示されているような過酸化水素水、特許文献15に開示されているようなアルカリ性過マンガン酸塩、特許文献16に開示されているような熱酸化、及び特許文献17に開示されているような二クロム酸塩溶液による銅表面の酸化を含む。
この酸化物粗化方法に関連する1つの問題は、銅酸化物が酸に可溶であり、接合界面の深刻な剥離が、酸の使用を含む後のプロセスステップ中に生じることである。例えば、上述したようにスルーホールは多層板を貫通してドリルで穴をあけられ、銅でメッキされて、回路層の相互接続を提供する。樹脂のスメアがドリリングによって孔の表面に形成されることが多く、過マンガン酸塩エッチングに引き続く酸中和を含むデスメアプロセスによって取り除かれなければならない。酸は、孔の表面から内側に数ミリメータまで銅酸化物を溶解し、これは、下層の銅のピンク色による、スルーホールの周りのピンクリングの形成によって証明される。ピンクリングの形成は局所的な剥離に対応し、PCB中の深刻な欠陥を示している。これら欠陥は多層PCBの生産における重大な障害となり、酸化物層が酸による攻撃とそのような局所的な剥離を受けにくいように、広範囲にわたる努力が酸化物層におけるさらなる改善を求めてなされてきた。
ピンクリングの問題を解決する方法は主として銅酸化物の後処理を含んでいた。例えば、特許文献16は、まず銅表面を酸化して酸化層を形成し、次いでリン酸で酸化物層を処理してリン酸銅のガラス様フィルムを形成し、その結果高い接合強度と酸耐性を得る方法を開示している。特許文献18は、銅酸化物を、二酸化セレンのような酸性酸化物を形成する両性元素を含有する溶液に接触させることによって銅酸化物の酸耐性を改善するプロセスを開示している。特許文献19は、まず銅酸化物層を形成し、次いでクロム酸で処理して、銅酸化物を安定化する、及び/又は銅酸化物を酸中の溶解から保護するプロセスを開示している。
多くの研究は、酸に対する耐性が、まず酸化銅を銅の表面に形成し、次いでこの酸化銅を亜酸化銅又は銅リッチな表面に還元することによって改善されることを示した。特許文献20は、一般式BHNHRR’によって表されるボラン還元剤を使用して酸化銅を還元する方法を開示しており、ここでRおよびR’はそれぞれH, CH 及び CHCHから成る群から選択される。特許文献21は、ジアミン(N)、ホルムアルデヒド(HCHO)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、及びほう化水素酸ナトリウム(NaBH)から成る群から選択された還元剤を開示している。特許文献22、特許文献23、特許文献24、及び特許文献25は、モルホリンボラン、ピリジンボラン、ピペリジンボラン、等のような環状ボラン化合物から成る還元剤を開示している。酸化銅を還元して亜酸化銅を形成する最も一般的に実践されている方法は、ジメチルアミンボラン(DMAB)還元剤の使用による。この方法は、ピンクリングの半径を所定の程度、減少させたが、亜酸化銅が酸中に完全には不溶ではないので、依然として限られたものであるとともに問題を完全に解決するものではなかった。
上述した問題を解決しようとする試みが、酸化物の針状構造を維持しつつ銅酸化物を金属銅に還元する方法を開示する、例えば特許文献26及び特許文献27に示されているようになされてきた。しかし、このような針状構造は機械的に不安定であるとともに積層プロセス中につぶされてしまう。代替的な酸化物コーティングプロセスがその後に開発された。いくつかの例示プロセスが、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、特許文献32、特許文献33、及び特許文献34に開示されている。これら代替プロセスは、従来の酸化プロセスを、銅表面を酸化する間に同時に下層の銅表面を粗化する制御されたエッチングと組み合わせることによって、非常に粗化された銅表面を生成する。多くの場合、有機層が同時にコーティングされて腐食抑制剤又は接着促進剤として作用する。特許文献34には、過酸化水素、無機酸、及びトリアゾールのような腐食防止剤を備えるエッチング剤を使用するマイクロ粗化プロセスが開示されている。特許文献35、特許文献29、特許文献36、特許文献37、及び特許文献38は、酸化剤、pH調整剤、トポグラフィーモディファイア、均一性エンハンサー、及びアゾール抑止剤を備える組成を使用して粗化された銅表面を提供する同様の方法を開示している。同じ目的のために、特許文献35、特許文献39、特許文献30、特許文献40、特許文献41、特許文献42、及び特許文献31は、過酸化水素のような酸化剤、酸化銅イオン源、有機酸、ハロゲン化物イオン源、及びアゾールタイプの抑止剤からなるマイクロエッチング組成を開示している。これら方法は耐酸性を増したが、界面接合は機械的アンカーによって主に達成され、接着強度は、処理された銅表面の表面粗さが減少するにつれて急速に減少する。したがって、改善は依然として必要である。
また、酸化物層の再現性を有する製造は困難である。酸化物の形成に伴う大きな問題は、酸化物の成長を制御するのが難しいということである。酸化物層の成長を制御する従来の技術は、酸化物の成長を促進する又は停止する媒介物として時間又は温度を使用する。このような従来技術による方法には、不十分な信頼性及び再現性しかない。
容易に理解できるように、銅表面と誘電樹脂との間の接着を改善するために多くの方法が開発されたが、これら方法は非常に粗化された表面を生成し、それによって接着を促進することに依存していた。エポキシ又は誘電樹脂に接合又は接着させるための表面積を増大させるためには銅表面が粗化されなければならない、ということが従来技術における普遍的思想である。しかしこの方法は、銅配線の幅及び/又は間隔が限られ、よって回路のさらなる微細化を阻んでしまうので、制限を与えてしまう。また、従来技術による方法によって形成された酸化物層には、不十分な再現性及び信頼性しかない。層数を増加しつつ、高密度及び、より細かい配線回路へ向かう現在のトレンドは、滑らかな表面を維持しつつ誘電樹脂への銅のより高い接着強度に対する必要性を生んでいる。明確に、技術における更なる発展及び開発に対する必要がある。
また、保護コーティングは、金属表面が大気、腐食性環境、又は複雑な界面に暴露されているほとんどすべての産業において使用されている。従来技術においては、コーティングは通常、金属表面の多くの洗浄及び予備処理の後に行われ、これら洗浄及び予備処理はコーティングに接合する表面を生成するように行われる。これら予備処理ステップは、酸洗浄若しくはアルカリ洗浄、溶剤洗浄、並びに酸化及び/又は還元処理と同様に簡単なものとすることができ、これにより表面の表面積及び/又は粗さを増大させる。さらに、多くの従来の処理は、他の金属、例えばクロム又はチタンの堆積を含み、追加的な有機層の引き続く堆積に対するより良いアンカーを提供する。最後に、有機(分子の)薬剤を使用してこれら金属の表面を誘導体化し、コーティングに対する追加的な接着力を提供する多くの努力がなされている。これら従来技術プロセスのすべては多大な時間を必要とするとともに高価であり、工程数、薬液濃度、コーティングのための金属の準備における複雑さを最小化するプロセスによって多くの利点が提供される。
米国特許第2,364,993号明細書 米国特許第2,460,896号明細書 米国特許第2,460,898号明細書 米国特許第2,955,974号明細書 米国特許第3,177,103号明細書 米国特許第3,198,672号明細書 米国特許第3,240,662号明細書 米国特許第3,374,129号明細書 米国特許第3,481,777号明細書 米国特許第4,409,037号明細書 米国特許第4,844,981号明細書 米国特許第4,512,818号明細書 米国特許第4,702,793号明細書 米国特許第3,434,889号明細書 米国特許第3,544,389号明細書 米国特許第3,677,828号明細書 米国特許第3,833,433号明細書 米国特許第4,717,439号明細書 米国特許第4,775,444号明細書 米国特許第4,642,161号明細書 米国特許第5,006,200号明細書 米国特許第5,721,014号明細書 米国特許第5,750,087号明細書 米国特許第5,753,309号明細書 国際出願第99/02452号パンフレット 米国特許第5,492,595号明細書 米国特許第5,736,065号明細書 米国特許第5,532,094号明細書 米国特許第6,946,027号明細書 米国特許第5,807,493号明細書 米国特許第6,746,621号明細書 米国特許第5,869,130号明細書 米国特許第6,554,948号明細書 米国特許第5,800,859号明細書 米国特許第6,716,281号明細書 米国特許第7,108,795号明細書 米国特許第7,211,204号明細書 米国特許第7,351,353号明細書 米国特許第5,700,389号明細書 米国特許第5,885,476号明細書 米国特許第5,965,036号明細書 米国特許第6,426,020号明細書 米国特許第6,208,553号明細書 米国特許第6,381,169号明細書 米国特許第6,657,884号明細書 米国特許第6,324,091号明細書 米国特許第6,272,038号明細書 米国特許第6,212,093号明細書 米国特許第6,451,942号明細書 米国特許第6,777,516号明細書 米国特許第6,674,121号明細書 米国特許第6,642,376号明細書 米国特許第6,728,129号明細書 米国特許出願公開第2007/0108438号明細書 米国特許出願公開第2006/0092687号明細書 米国特許出願公開第2005/0243597号明細書 米国特許出願公開第2006/0209587号明細書 米国特許出願公開第2006/0195296号明細書 米国特許出願公開第2006/0092687号明細書 米国特許出願公開第2006/0081950号明細書 米国特許出願公開第2005/0270820号明細書 米国特許出願公開第2005/0243597号明細書 米国特許出願公開第2005/0207208号明細書 米国特許出願公開第2005/0185447号明細書 米国特許出願公開第2005/0162895号明細書 米国特許出願公開第2005/0062097号明細書 米国特許出願公開第2005/0041494号明細書 米国特許出願公開第2003/0169618号明細書 米国特許出願公開第2003/0111670号明細書 米国特許出願公開第2003/0081463号明細書 米国特許出願公開第2002/0180446号明細書 米国特許出願公開第2002/0154535号明細書 米国特許出願公開第2002/0076714号明細書 米国特許出願公開第2002/0180446号明細書 米国特許出願公開第2003/0082444号明細書 米国特許出願公開第2003/0081463号明細書 米国特許出願公開第2004/0115524号明細書 米国特許出願公開第2004/0150465号明細書 米国特許出願公開第2004/0120180号明細書 米国特許出願公開第2002/010589号明細書 米国特許出願第10/766304号明細書 米国特許出願第10/834630号明細書 米国特許出願第10/628868号明細書 米国特許出願第10/456321号明細書 米国特許出願第10/723315号明細書 米国特許出願第10/800147号明細書 米国特許出願第10/795904号明細書 米国特許出願第10/754257号明細書 米国特許出願第60/687464号明細書 国際出願第2005/086826号パンフレット
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したがって、本発明のいくつかの実施形態は、滑らかな金属表面を処理して、金属表面と有機層との間の接着力を増加させる方法を提供する。接合強度を増加させつつ、さらに大幅に金属表面を粗化させることがない、本発明の実施形態によって提供されるような金属表面処理プロセスは、従来技術とは反しており、完全に異なっている。
本発明のいくつかの実施形態において、方法は金属表面を粗化することなく材料間の改善されたボンティング強度を達成する。
いくつかの実施形態において、金属表面を処理して、金属表面と有機層との間の接着又は接合を促進する方法が提供され、この方法は、金属表面が金属酸化物を上に形成されることによって安定化され、次いでこの金属酸化物層が分子薬剤及び/又は還元剤によって調整されて、選択された酸化物の厚み及びモルフォロジーを達成することを特徴とする。
幾つかの実施形態において、金属表面を処理して、金属表面と有機材料との間の接着又は接合を促進する方法が提供され、この方法は、金属酸化物層又は安定化層が金属表面上に形成され、金属酸化物層の形成が金属酸化物と、分子薬剤又は抑制化合物とも呼ばれる場合がある表面改質化合物との間の自己制御式反応によって制御されることを特徴とする。
幾つかの実施形態において、安定化層は、約140nm Raまでの表面粗さを有するとともに、200ナノメータ以下の平均サイズの粒子を備えるモルフォロジーを示し、かつ約100〜200ナノメータの厚みを有する。幾つかの実施形態において、安定化層は実質的に銅酸化物から成る。幾つかの実施形態において、分子層が安定化層の頂面に形成される。
別の特徴において、本発明の実施形態は、少なくとも1つの金属層と、少なくとも1つのエポキシ層と、これら金属層とエポキシ層との間に形成された安定化層と、を備えるプリント配線板を提供する。
本発明のさらなる実施形態において、滑らかな金属表面と樹脂との接合方法が提供され、この方法において接合界面は、熱、湿気、及び積層プロセスステップ後に含まれる薬液に対する望ましい耐性を有し、よって数ある用途の中で特に多層PCB積層板に適している。
本発明のさらなる実施形態において、10ミクロン以下の配線幅及び/又は空隙幅を有する高密度多層PCBの製造を可能にする方法が提供される。
また別の特徴において、本発明は非常に多くの用途に使用することができる。そのような例の1つにおいては、本発明の実施形態は保護コーティングを形成するように使用することができる。
別の特徴において、本発明の実施形態はプリント配線板を製造する方法を提供し、この方法は、銅表面をアルカリ溶液及び/又は過酸化物溶液で予備洗浄するステップと、この銅表面上に銅酸化物層を形成することによって銅表面を安定化するステップと、銅酸化物層の形成を、銅酸化物と1つ以上の改質化合物又は抑制化合物との間の自己制御式反応によって停止するステップと、処理された銅表面を樹脂と接合するステップと、を備える。いくつかの実施形態において、1つ以上の分子が銅酸化物層に結合し、この1つ以上の有機分子は、銅酸化物層に結合するように構成された1つ以上の結合基(binding group)及び/又は樹脂に付着するように構成された1つ以上の付着基(attachment group)を有する熱的に安定した基材を備える。
さらに別の特徴において、本発明の実施形態は金属の表面上の酸化物層の成長を制御する方法を提供し、この方法は、酸化物層と1つ以上の改質化合物との間の自己制御式反応によって酸化物層の成長を停止するステップを備える。
さらに、本発明の他の実施形態は還元性組成を提供し、この還元性組成は1つ以上の還元剤と1つ以上の分子薬剤化合物とを備える。
さらに、本発明の別の実施形態は酸化剤組成を提供し、この酸化剤組成は1つ以上の酸化剤と1つ以上の表面改質剤化合物又は抑制剤化合物を備える。
本発明の実施形態の前述の特徴および他の特徴は添付の図面に関連した以下の詳細な説明を考慮して明瞭となり、参照符号は全体を通じて同様の部分を参照する。
本発明の実施形態による金属‐樹脂の接合プロセスの1つの実施形態を、従来の粗化プロセスと比較して図示した図である。 本発明の実施形態による金属‐樹脂の接合プロセスの1つの実施形態を、従来の粗化プロセスと比較して図示した図である。 本発明の方法の1つの実施形態を図示する実験的プロセスフロー図である。 本発明の1つの実施形態の単純化した例示的反応図である。 本発明の1つの実施形態の単純化した例示的反応図である。 処理前の滑らかな銅表面(すなわち実験対照)のSEM写真である。 本発明の実施形態によって処理された銅表面のSEM写真であって、処理された表面の安定化層の滑らかさを示すSEM写真である。 従来技術において記載した従来の黒色酸化物表面のSEM写真である。 従来技術において記載したマイクロエッチで粗化された銅表面のSEM写真である。 図4A〜4Dに示した銅表面の、Ra及びRzの両方で表現された表面粗さを比較する図である。 本発明の実施形態に従って生成された安定化層が約150nmの厚みを有することを、通常1ミクロンよりも大きな深さである従来の黒色酸化物層と比較して示すオージェ分光分析装置による深さ方向のプロファイルである。 エポキシ基板上の銅のテストストリップに剥離強度試験を行うために使用されたテストサンプルのレイアウトの例を示す図である。 テストサンプルの生成を示すとともに、実施形態によって使用された積層プロセスを図示する図である。 テストサンプルの生成を示すとともに、実施形態によって使用された積層プロセスを図示する図である。 テストサンプルの生成を示すとともに、実施形態によって使用された積層プロセスを図示する図である。 テストサンプルの生成を示すとともに、実施形態によって使用された積層プロセスを図示する図である。 本発明の実施形態によって処理された、エポキシを積層した滑らかな銅表面に対する剥離強度を、実験参照の滑らかな銅基板及び従来の粗化された銅表面との比較で図示した図である。 本発明の実施形態によって処理された、エポキシを積層した滑らかな銅表面に対する表面粗さを、実験参照の滑らかな銅基板及び従来の粗化された銅表面との比較で図示した図である。 本発明の実施形態によって処理された、エポキシを積層した滑らかな銅表面の5バッチのサンプルに対する、剥離強度とHAST安定性の再現性を示す図である。 HASTの前の本発明の実施形態による積層した処理済みの滑らかな銅表面(底面)のSEM断面図を標準的な粗面と比較して示したものである。 HASTの後の本発明の実施形態による積層した処理済みの滑らかな銅表面(底面)のSEM断面図を標準的な粗面と比較して示したものであり、本発明の方法が表面をほとんど粗化することなく、HAST後の界面における剥離がないことを示している。 銅‐樹脂界面がまさに処理されていない滑らかな対照銅表面で破壊していることを示す、HAST後の剥がされた銅表面の2つのSEM写真(フルモード及びトポグラフィカルモード)である。 HAST後の剥がされた本発明の実施形態による処理されていない滑らかな銅表面の2つのSEM写真(フルモード及びトポグラフィカルモード)であって、ほとんどの領域が樹脂によっておおわれており、破壊は樹脂内で生じているのであって、銅‐樹脂界面で生じているのではないことを示している。 デスメアおよびメッキプロセス後にアンダーカットが生じていないことを示す、本発明の実施形態による積層された、処理された滑らかな銅表面に形成されたレーザビアの断面を示すSEM写真である。 本発明の実施形態によって処理された、ソルダーレジストを積層された滑らかな銅表面の剥離強度および表面粗さを、対照の基板及び従来の粗化された銅表面との比較で示す図である。 本発明の実施形態によって処理された、ソルダーレジストを積層された滑らかな銅表面の剥離強度および表面粗さを、対照の基板及び従来の粗化された銅表面との比較で示す表である。 銅配線並びにビアのアレイの写真である。 BGAパターンの写真である。 積層された、本発明の実施形態によって処理された銅表面に形成されたSRビアの断面のSEM写真であり、デスメア処理およびメッキ後に剥離が生じないことを示す。
以上の一般的な説明及び以下の説明がともに、単に例示的なものであるとともに説明的なものであって、ここに記載された方法及び装置に限定されないことが理解されるべきである。この出願において、単数形が使用されているものは別様に特に記述されない限り複数の場合を含む。また、別様に特に記述されない限り、「又は」の使用は「及び/又は」を意味する。同様に、「備える」、「含む」、「有する」は、限定を意図するものではない。
本発明の実施形態は、多くの特徴のうちのとりわけ、金属基板の表面に、有機材料(限定するわけではないが、エポキシ基板又は樹脂基板のような)に強力に接着する安定化層を形成することによって、コーティングおよび電子工業、特にプリント配線板の製造における従来技術を超える大きな利点を提供する。安定化層は比較的滑らかなモルフォロジーを有し、それ自体の有機材料への強力な接着は驚異的であるとともに期待を超えるものである。実際、従来技術による方法の重要な教示および取り組みは、十分な接着が生じるためには、金属酸化物表面が粗化されなければならないということである。
望ましい厚み及びモルフォロジー、並びにその上に堆積された有機材料の後続の層への接着能力を有する安定化層を形成するために、独特な方法が開発された。すなわち、幾つかの実施形態においては改質された金属酸化物が、酸化物層の成長及び安定性を改質する分子薬剤を使用する酸化ステップ、還元ステップ、又はその両方の選択的制御又は修正を通じて形成される。通常、酸化物の成長は非常に制御しにくい。従来技術は通常、酸化後のステップを必要とし、それによって酸化物の厚みを減少させて、さらに酸化物のモルフォロジーおよびその種のものを調整する。本発明の実施形態は、酸化物と反応する表面改質化合物又は抑制化合物を使用して酸化物の成長の程度を制御し又は制限することによって、有意義な革新を提供する。これは、表面改質剤が酸化物の成長を減速させ、次いでさらなる酸化を阻止することができるので、表面改質剤を酸化溶液に添加することによって達成することができる。代替的に、標準的な酸化反応を使用することができ、引き続いて、安定化を提供する表面改質剤の添加によって改質された還元ステップが行われる。本発明の実施形態は、この反応を酸化物の成長速度、厚み、及びモルフォロジーを制御するために使用し、これらすべてのステップを1つのステップで達成することができる。結果的に生成する金属酸化物フィルムは形成された状態のままで、その後のプロセスステップを必要とせずに、望ましい厚み及びモルフォロジー特性を示す。後工程のプロセスステップの排除は、プロセスの複雑さを削減するとともに、大幅なコスト削減を提供する。
さらに、本発明の実施形態は、金属の表面上の酸化物層の成長を制御する方法を提供する。特に、いくつかの実施形態では酸化物層の成長は、酸化物層と1つ以上の表面改質剤又は抑制剤化合物との間の自己制御式反応によって停止する。いくつかの実施形態において、表面改質剤化合物又は抑制剤化合物の例は、後述するような表面活性分子(SAM)を含む。有意義な利点として本発明の実施形態は、安定した、制御可能なプロセスウインドウを提供する。そのような安定したプロセスウインドウは、堅固かつ再現性のあるプロセスを提供する。特に、従来技術の方法では、金属酸化物層の連続的な酸化物成長があり、これは既存のPCBの主な故障メカニズムの1つであるので、これは有意義な利点である。
金属表面は、金属表面を酸化剤に暴露することによって安定化される。実施形態の例において、酸化剤は亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過マンガン酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、オゾン、又はこれら物質の混合物のうちのいずれか1つ以上から選択される。金属表面を安定化させるステップは、室温〜約80℃の範囲の温度で行うことができる。
酸化の後、金属酸化物層は、還元剤で調整することができる。いくつかの実施形態において、還元剤はホルムアルデヒド、チオ硫酸ナトリウム、ほう化水素酸ナトリウム、一般式BHNHRR’(R及びR’はそれぞれH、CH、CHCHから成る群から選択される)によって表される、ジメチルアミンボラン(DMAB)のようなボラン還元剤、モルホリンボラン、ピリジウムボラン、ピペリジンボランのような環状ボランのうちのいずれか1つ以上から選択することができる。金属酸化物層の調整は、室温から約50℃の範囲の温度で行うことができる。いくつかの実施形態において、方法全体は、約2〜20分の範囲の時間内に行われる。
また、本発明のいくつかの実施形態は、調整の後、金属表面に結合するように構成された1つ以上の結合基及び/又は有機材料に付着するように構成された1つ以上の付着基を保持する熱的に安定した基材を備える1つ以上の有機分子に、酸化された表面を接触させるステップを備える。実施形態の例において、この1つ以上の有機分子は、表面改質剤化合物又は抑制剤化合物である。
いくつかの実施形態において、金属表面を処理して金属表面と有機材料との間の接着又は結合を促進する方法が提供され、この方法は、安定化層が金属表面上に形成されること、及び安定化層の形成が、金属酸化物と表面改質剤化合物又は抑制剤化合物との間の自己制御式反応によって制御されることを特徴とする。有意義な進歩として、本発明の実施形態によれば、酸化物層の形成とその成長の制御との両方が1つのステップで達成される。
特定の利点として、安定化層として参照される場合もある金属酸化物層は、独特かつ望ましい特徴を示す。いくつかの実施形態において、形成された安定化層は約200ナノメータ以下の厚みを有する。いくつかの実施形態において、安定化層は実質的にアモルファス構造から成るモルフォロジーを有する。
例示の実施形態において、形成された安定化層は200ナノメータ以下のサイズの粒子を有する。別の実施形態において、形成された安定化層は150ナノメータ以下のサイズの粒子を有する。いくつかの実施形態において、形成された安定化層は、実質的にランダムに配向した粒子を有する。通常は、これに限られるわけではないが、安定化層は銅酸化物と分子薬剤から成る。
安定化層の形成を始めるために、酸化の開始が金属表面を酸化剤に曝すことによって行われる。いくつかの実施形態において、酸化剤溶液は1つ以上の酸化剤を備え、1つ以上の表面改質剤を添加することができる。例示の実施形態において、1つ以上の酸化剤は、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過マンガン酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、オゾン、又はこれら物質の混合物を備える。
酸化物のいずれの好適な濃度を使用することができる。いくつかの実施形態において、酸化剤溶液は実質的に1つ以上の酸化剤を溶液中に備える。一般的には、表面改質剤は、安定化層と自己制御式反応の態様で反応する化合物から選択される。いくつかの実施形態において表面活性分子(SAM)が、金属酸化物表面と反応して金属酸化物が形成されている際に反応速度を制御するように選択され、次いで最終的には酸化反応を減速させ、停止させる。任意には、官能基グループは表面改質剤化合物に添加することができて、限定されるわけではないがエポキシ及びその種のような有機材料との追加的な接合を提供する。
一旦酸化が開始されると、酸化物が金属表面の頂面で成長し始める。この安定化層が形成されるので、表面改質化合物は、金属の表面上の構成成分を含む酸素と反応し始める。これは更なる酸化を減速させるとともに妨害し、よって酸化物形成の自己制御式反応を達成する。
また、本発明のいくつかの実施形態は、金属表面を1つ以上の有機又は無機の分子と接触させるステップを備え、これら有機又は無機の分子は、金属表面に結合するように構成された1つ以上の結合基と、無機材料に付着するように構成された1つ以上の付着基とを担持する熱安定性基部を備える表面活性分子(SAM)である。例示の実施形態において、この1つ以上の表面改質分子は表面活性部分(surface active moiety)である。
いくつかの実施形態において、金属表面を処理して金属表面と有機材料との間の接着又は結合を促進する方法が提供され、この方法は、金属表面が、安定化層をその上に形成することによって安定化され、次いでこの安定化層が還元剤によって調整されて選択的な酸化物厚みとモルフォロジーとを達成することを特徴としている。
独特な利点として、安定層として参照される場合もある金属酸化物層は、特異な特徴を示す。いくつかの実施形態において、調整後の安定化層は約200ナノメータ以下の厚みを有する。いくつかの実施形態において、金属酸化物は実質的にアモルファス構造から成るモルフォロジーを有する。
例示の実施形態において、安定化層は非常に分散した粒子構造を有し、調整の後には粒子は200ナノメータ以下のサイズを有する。別の実施形態において、安定化層は粒子を有し、調整の後にはこれら粒子は100ナノメータ以下のサイズを有する。いくつかの実施形態において、金属酸化物は粒子を有し、調整の後にはこれら粒子は実質的にランダムに配向している。通常は、これに限られるわけではないが、安定化層は銅酸化物から成る。
金属表面は、この金属表面を酸化剤に曝すことによって安定化される。例示の実施形態において、この酸化剤は、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過マンガン酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、オゾン、又はこれら物質の混合物のうちのいずれか1つ以上から選択される。金属表面を安定化するステップは、室温〜約80℃の範囲の温度において行われる。代替的に、金属表面は熱酸化及び電気化学的陽極酸化によって安定化することができる。
安定化の後、安定化層を還元剤によって調整することができる。いくつかの実施形態において、還元剤はホルムアルデヒド、チオ硫酸ナトリウム、ほう化水素酸ナトリウム、一般式BHNHRR’(R及びR’はそれぞれH、CH、CHCHから成る群から選択される)によって表されるジメチルアミンボラン(DMAB)のようなボラン還元剤、モルホリンボラン、ピリジウムボラン、ピペリジンボランのような環状ボランのうちのいずれか1つ以上から選択される。
安定化層の調整は、室温〜約50℃の範囲の温度で行うことができる。いくつかの実施形態において、方法全体は、約2〜20分の範囲の時間内に行われる。
また、本発明のいくつかの実施形態は、調整の後に、金属表面に結合するように構成された1つ以上の結合基と、PCBエポキシ及びその種のもののような有機材料に付着するように構成された1つ以上の付着基を保持する熱的に安定した基材を備える1つ以上の表面活性分子に酸化された表面を接触させるステップを備える。実施形態の例において、1つ以上の有機分子は表面活性部分である。
いずれの好適な表面活性部分を使用することができる。いくつかの実施形態において、表面改質部分は、大環状プロリガンド(macrocyclic proligand)、大環状錯体(macrocyclic complex)、サンドイッチ配位錯体(sandwich coordination complex)、及びこれら物質のポリマーから成る群から選択される。代替的に、表面改質部分はポルフィリンから構成することができる。
1つ以上の表面活性分子は、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、拡張ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、直鎖ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、ポルフィリン配列、シラン、テトラオルガノ‐シラン、アミノエチル‐アミノプロピルートリメトキシシラン、(3‐アミノプロピル)トリメトキシシラン、(1‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア)((l−[3−(Trimethoxysilyl)propyl]urea))、(3‐アミノプロピル)トリエトキシシラン、((3‐グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)、(3‐クロロプロピル)トリメトキシシラン、(3‐グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、エチルトリアセトキシシラン、トリエトキシ(イソブチル)シラン、トリエトキシ(オクチル)シラン、トリス(2‐メトキシエトキシ)(ビニル)シラン、クロロトリメチルシラン、メチルトリクロロシラン、四塩化ケイ素, テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、エチレン‐トリメトキシシラン、アミン、糖、又は以上の物質のいずれかの組み合わせの群から選択することができる。代替的に、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、タンタル酸塩、ニオブ酸塩、バナジウム酸塩、又は、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、バナジウムのイソポリ若しくはヘテロポリ酸、及び上述のいずれかの組み合わせから成るグループからの無機分子、及び上述のいずれかの組み合わせを、同じ目的のために使用することができる。
いくつかの実施形態において、1つ以上の付着基はアリール官能基グループ及び/又はアルキル付着基から成る。付着基がアリールである場合には、アリール官能基グループは、アセテート、アルキルアミノ、アリル、アミン、アミノ、ブロモ、ブロモメチル、カルボニル、カルボキシレート、カルボン酸、ジヒドロキシフォスフォニル、エポキシド、エステル、エーテル、エチニル、ホルミル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヨード、メルカプト、メルカプトメチル、Se−アセチルセレノ、Se−アセチルセレノメチル、S−アセチルチオ、S−アセチルチオメチル、セレニル、4,4,5,5−テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2−イル、2‐(トリメチルシリル)エチニル、ビニル、及びこれら基の組み合わせのうちのいずれか1つ以上から選択された官能基グループを備えることができる。
付着基がアルキルから成る場合には、アルキル付着基は、アセテート、アルキルアミノ、アリル、アミン、アミノ、ブロモ、ブロモメチル、カルボニル、カルボキシレート、カルボン酸、ジヒドロキシホスホリル、エポキシド、エステル、エーテル、エチニル、ホルミル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヨード、メルカプト、メルカプトメチル、Se−アセチルセレノ、Se−アセチルセレノメチル、S−アセチルチオ、S−アセチルチオメチル、セレニル、4,4,5,5−テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2−イル、2‐(トリメチルシリル)エチニル、ビニル、及びこれら基の組み合わせのうちのいずれか1つ以上から選択された官能基グループを備えることができる。
代替的実施形態において、少なくとも1つの付着基は、アルコール又はリン酸塩からなる。さらなる実施形態において、少なくとも1つの付着基は、アミン、アルコール、エーテル、求核試薬(nucleophile)、フェニルエチン、フェニルアリリックグループ、リン酸塩、及びこれら物質の組み合わせのいずれ改1つ以上から構成することができる。
概して、いくつかの実施形態において有機分子は、1つ以上の結合群Xと1つ以上の付着群Yを有する熱的に安定な単位又は基体を備える。所定の実施形態において、有機分子は耐熱性金属結合性分子であり、1つ以上の、関連する用途においては「酸化活性部分」又は「ReAMs」として参照される「表面活性部分」を備えることができる。本発明の1つの実施形態は、一般的に特許文献43、特許文献44、特許文献45、特許文献46、特許文献47、特許文献48、特許文献49、特許文献50、特許文献51、特許文献52、特許文献53、特許文献54、特許文献55、特許文献56、特許文献57、特許文献58、特許文献59、特許文献60、特許文献61、特許文献62、特許文献63、特許文献64、特許文献65、特許文献66、特許文献67、特許文献68、特許文献69、特許文献70、特許文献71、特許文献72、特許文献73、特許文献74、特許文献75、特許文献76、特許文献77、特許文献78、特許文献79、特許文献80、特許文献81、特許文献82、特許文献83、特許文献84、特許文献85、特許文献86、特許文献87、特許文献88、及び特許文献89に開示された表面活性部分を使用する分子成分の組成の使用を包含し、これら文献のすべては明示的にその全体が組み込まれている。直前にリストアップされた関連する用途において、耐熱性分子は「酸化活性部分」又は「ReAMs」として参照される場合があるが、例示の用途においては、表面活性部分との用語がより適切であることを付記しておく。一般的に、いくつかの実施形態において、本発明においていくつかの有益な表面活性部分があり、これらすべてが大員環及び非大員環構成成分を含む多座プロリガンド(polydentate proligands)に基づいている。多くの好適なプロリガンド及び錯体、並びに好適な置換基は、上述に引いた参照文献に概説されている。また、多くの多座プロリガンド(polydentate proligands)は、置換基(多くはこの文献及び引用された参照文献内で“R”群として参照され、置換基の群の定義のためにここで特に参照によって組み込まれている特許文献54にリストアップされている構成成分及び定義を包含する)の群を包含することができる。
好適なプロリガンドは、2つのカテゴリー:(一般的に、文献においてシグマ(a)ドナーと参照される)配位原子としての(金属イオンによって)窒素、酸素、硫黄、炭素、又はリンの原子を使用するリガンドと、(一般的に文献においてpiドナーとして参照され、特許文献54においてLmとして示された)メタロセンリガンドのような有機金属リガンドとに分類される。
また、単一の表面活性部分は、例えば特許文献54の図13Aに示されているような、2つ以上の酸化還元活性なサブユニットを有することができ、ポルフィリン及びフェロセンを使用する。
いくつかの実施形態において、表面活性な構成成分は大員環リガンドであり、大員環プロリガンド及び大環状錯体の両者を含有する。ここで「大員環プロリガンド」は、金属イオンを結合させることができるように配向された(ここで「錯体原子」として参照される場合のある)ドナー原子を含有するとともに、金属原子を取り囲むのに十分大きな環状錯体を意味する。一般的にドナー原子は、それらに限られるわけではないが窒素、酸素、及び硫黄を含有するヘテロ原子であり、窒素を含有するヘテロ原子が特に好ましい。しかし、当業者には理解されるように、異なる金属イオンは異なるヘテロ原子に選択的に結合し、よって使用されるヘテロ原子は望ましい金属イオンに依拠することができる。さらに、いくつかの実施形態において、単一の大員環は異なるタイプのヘテロ原子を含有することができる。
「大環状錯体」は、少なくとも1つの金属イオンを有する大員環プロリガンドであり、いくつかの実施形態において大環状錯体は単一の金属イオンを備えるが、後述のように、多核の大環状錯体を含む多核の錯体もまた考えられる。
多種多様な大員環リガンドが、電気的に共役した、及び電気的に共役していない大員環リガンドを含んで本発明における使用を見出される。好適な大員環リガンドの広い図式が、特許文献54の図15に示されているとともに記載されている。いくつかの実施形態において、電気的に共役された化合物を生じさせるとともに最低でも少なくとも2つの酸化状態を有するように、連鎖、化学結合、及び置換基が選択される。
いくつかの実施形態において、本発明の大員環リガンドは、ポルフィリン(特に以下に規定されたようなポルホリン誘導体)及びシクレン誘導体から成る群から選ばれる。本発明に好適な特に好ましい大員環のサブセットは、ポルフィリン誘導体を含むポルフィリンを包含する。このような誘導体は、座核を有するポルフィリンにオルトヒューズされるか、又はオルトペリヒューズされた過剰の連鎖ポルフィリンを有するポルフィリン、ポルフィリン連鎖の1つ以上の炭素原子を別の元素によって交換(骨格交換)されたポルフィリン、ポルフィリン連鎖の窒素原子を別の元素によって交換(窒素の骨格交換)された誘導体、ポルフィリンの周縁のメソ‐、3‐、又はコアの原子に配置された水素以外の置換基を有する誘導体、ポルフィリンの1つ以上の化学結合の飽和を有する誘導体(ハイドロポルフィリン、例えばクローリン、バクテリオクローリン、イソバクテリオクローリン、デカハイドロプロフィリン、コーフィン、パイロコーフィン、等)、ポルフィリン連鎖(拡張ポルフィリン)中に挿入された、ピロリック及びピロメテニルユニットを含む1つ以上の原子を有する誘導体、ポルフィリン連鎖(収縮ポルフィリン、例えばコリン(corrin)、コロール(corrole))から取り除かれた1つ以上の群を有する誘導体、及び以上の誘導体の組み合わせ(例えば、フタロシアニン、塩基性‐フタロシアニン、及びポルフィリン異性体)を包含する。更なる好適なポルフィリン誘導体は、それらに限られるわけではないが、エチオフィリン、ピロポルフィリン、ロドポルフィリン、フィロポルフィリン、フィロエリトリン、クロロフィルa及びbを含むクロロフィリル群、及びデューテロポルフィリン、デューテロヘミン、ヘミン、ヘマチン、プロトポルフィリン、メソヘミン、ヘマトポルフィリン、メソポルフィリン、コプロポルフィリン、ウロポルフィリン、及びツラシン(turacin)を含むヘモグロビン群、並びにテトラアリルアザジピロメチン(tetraarylazadipyrromethine)を包含する。
当業者であれば理解するように、炭素又はヘテロ原子であろうとなかろうと不飽和部位それぞれは、ここで規定されたような1つ以上の置換基群を、システムの望ましい価数によって含むことができる。
さらに、「ポルフィリン」の定義には、ポルフィリン錯体が含まれ、ポルフィリン錯体はポルフィリンプロリガンド及び少なくとも1つの金属イオンを備える。ポルフィリン化合物のために好適な金属は、配位原子として使用されるヘテロ原子に依拠するが、一般的には遷移金属イオンから選択される。ここで使用される用語「遷移金属」は、周期表の3族〜12族の38元素を参照する。典型的な遷移金属は、これら遷移金属型の元素と結合するために使用する価電子が1つ以上の電子殻に存在し、よっていくつもの共通酸化状態(common oxidation state)を示すことが多い。所定の実施形態において、この発明の遷移金属は、限定されるわけではないが、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクテチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、パラジウム、金、水銀、ラザフォージウム、及び/又は酸化物、及び/又は窒化物、及び/又は合金、及び/又はこれら物質の混合物を包含する。
また、シクレン誘導体に基づく多くの大員環も存在する。特許文献54の図17及び13Cは、概ねシクレン/シクラム誘導体に基づく多くの大員環状プロリガンドを示しており、これら大員環プロリガンドは、独立して選択された炭素又はヘテロ原子を取り込むことによる骨格拡張を含むことができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR基は表面活性サブユニットであり、好ましくは金属と電子共役している。いくつかの実施形態において、すくなくとも1つのR基が表面活性サブユニットである場合、2つ以上の隣接するR2基はシクロ又はアリール基を形成する。本発明において、この少なくとも1つのR基は表面活性サブユニット又は表面活性部分である。
さらに、いくつかの実施形態において、大環状錯体依存性有機金属配位子が使用される。表面活性部分として使用するための純粋な有機化合物、及び複素環置換基又は環外置換基としてのドナー原子を有する8−結合有機配位子を有する様々な遷移金属配位錯体に加えて、π結合有機配位子を有する利用可能な広範囲の遷移金属有機金属化合物がある(本明細書に参照によって明示的に組み込まれる、非特許文献3の26章、非特許文献4、及び非特許文献5を参照。そのような有機金属配位子としては、シクロペンタジエニドイオン[C5H5(−1)]などの環状芳香族化合物、及びビス(シクロペンタジエイル)金属化合物(すなわちメタロセン)の部類を生じるインデニリド(−1)イオンなどの様々な環置換誘導体及び縮環誘導体が上げられる;例えば、参照により組み込まれる、非特許文献6及び非特許文献7を参照。これらのうち、フェロセン[(C5H5)2Fe]及びその誘導体は、広範囲の化学反応(参照により組み込まれる非特許文献8)及び電気化学反応(参照により組み込まれる、非特許文献9及び非特許文献10)に使用されてきた原型的な例である。他の潜在的に好適な有機金属配位子としては、ビス(アレーン)金属化合物及びそれらの環置換誘導体及び縮環誘導体(それらのうちビス(ベンゼン)クロムは原型的な例である)を生じるベンゼンなどの環状アレーンが挙げられる。アリル(−1)イオンなどの他の非環式n−結合配位子、又はブタジエンは、潜在的に好適な有機金属化合物を生じ、そのようなあらゆる配位子は他の7c−結合及び8−結合配位子と協働して、金属−炭素結合が存在する一般的部類の有機金属化合物を構成する。そのような化合物の様々な二量体及びオリゴマーで、架橋有機配位子及びさらに非架橋配位子を有するもの、並びに金属−金属結合を有するもの及び有していないものの電気化学的研究はすべて有用である。
いくつかの実施形態において、表面活性部分はサンドイッチ配位錯体である。用語「サンドイッチ配位化合物」又は「サンドイッチ配位錯体」は式L−Mn−Lの化合物を指し、式中各Lは複素環配位子(下記の通り)であり、各Mは金属であり、nは2又はそれを上回り、最も好ましくは2又は3であり、各金属は1対の配位子の間に位置し、各配位子中の1つ以上のヘテロ原子(典型的には複数、例えば2、3、4、5個のヘテロ原子)に結合している(金属の酸化状態によって決まる)。そのためサンドイッチ配位化合物は、金属が炭素原子に結合しているフェロセンなどの有機金属化合物ではない。サンドイッチ配位化合物中の配位子は一般に積み重なる方向で並んでいる(すなわち、一般に共平面的に配向し互いに軸方向に並んでいるが、それらは互いに軸の周りを回転するか又は回転しなくてもよい)(例えば、参照により組み込まれる非特許文献11を参照)。サンドイッチ配位錯体としては、限定はされないが、「ダブルデッカー型サンドイッチ配位化合物」及び「トリプルデッカー型サンドイッチ配位化合物」が挙げられる。サンドイッチ配位化合物の合成及び使用は特許文献48、特許文献49、特許文献50に詳細に記載されており、これらの分子の重合は特許文献90に記載されており、そのすべて、特にサンドイッチ錯体及び「単一大環状」錯体の両方において利用法を見いだす個々の置換基が本明細書に含まれる。
さらに、これらのサンドイッチ化合物のポリマーも有用である。これには、特許文献48、特許文献49、特許文献50に記載のような「ダイアド(dyad)」及び「トリアド(triad)」、並びに特許文献90に記載のようなこれらの分子の重合が含まれ、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれ含まれる。
非大環状キレート剤を含む表面活性部分は、金属イオンに結合して非大環状キレート化合物を形成するが、なぜならこれは金属の存在によって複数のプロリガンドが互いに結合して複数の酸化状態を生じさせることが可能になるからである。
いくつかの実施形態において、窒素供与性プロリガンドが使用される。好適な窒素供与性プロリガンドは当技術分野において良く知られており、限定はされないが、NH2;NFIR;NRR’;ピリジン;ピラジン;イソニコンチンアミド;イミダゾール;ビピリジン及びビピリジンの置換誘導体;ターピリジン(terpyridine)及び置換誘導体;フェナントロリン、特に1,10−フェナントロリン(phenと略する)及びフェナントロリンの置換誘導体、例えば4,7−ジメチルフェナントロリン及びジピリドール[3,2−a:2’,3’−c]フェナジン(dppzと略する)など;ジピリドフェナジン;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(hatと略する);9,10−フェナントレンキノンジイミン(phiと略する);1,4,5,8−テトラアザフェナントレン(tapと略する);1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(シクラムと略する)及びイソシアン化物が挙げられる。縮合誘導体を含めた置換誘導体も使用してもよい。金属イオンを配位的に飽和させず、別のプロリガンドの追加を要する大環状配位子は、この目的において非大環状であると見なされることに留意すべきである。当業者によって認識されることになるように、いくつかの「非大環状」配位子を共有付着させて配位的に飽和した化合物を得ることが可能であるが、これは環状骨格を持たない。
炭素、酸素、硫黄、及びリンを用いた好適なシグマ供与性配位子は、当技術分野において既知である。例えば好適なシグマ炭素ドナーは、参照により本明細書に組み込まれる、非特許文献12において見いだされる(例えば38頁を参照)。同様に、好適な酸素配位子としては、クラウンエーテル、水、及び他の当技術分野において既知のものが挙げられる。ホスフィン及び置換ホスフィンも好適である(非特許文献12の38頁を参照)。
酸素、硫黄、リン、及び窒素供与性配位子は、ヘテロ原子が配位原子として機能するのを可能にするように付着する。
さらに、いくつかの実施形態は多核形成性(polynucleating)配位子である多座配位子を使用し、例えばそれらは1つを超える金属イオンに結合することが可能である。これらは大環状又は非大環状であってもよい。本明細書において分子要素は上記の概要のような表面活性部分のポリマーも含んでいてもよい; 例えば、ポルフィリンポリマー(ポルフィリン錯体のポリマーを含める)、大環状錯体ポリマー、2つの表面活性サブユニットを含む表面活性部分などを使用できる。ポリマーはホモポリマー又はヘテロポリマーであってもよく、モノマー表面活性部分の様々な混合物(混和物)をいくつでも含んでいてもよく、ここで「モノマー」は2つ又はそれを超えるサブユニットを含む表面活性部分も含んでいてもよい(例えばサンドイッチ配位化合物、1つ以上のフェロセンで置換されたポルフィリン誘導体など)。表面活性部分ポリマーは特許文献90に記載されており、その全体が参照により明示的に組み込まれる。
特定の実施形態において、付着基(attachment group)Yはアリール官能基及び/又はアルキル付着基を含む。特定の実施形態において、アリール官能基は、アミノ、アルキルアミノ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチルニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、及びジヒドロキシホスホリルから成る群から選択される官能基を含む。特定の実施形態において、アルキル付着基は、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、及びジヒドロキシホスホリルから成る群から選択される官能基を含む。特定の実施形態において、付着基はアルコール又はホスホナートを含む。
いくつかの実施形態において、表面活性部分は式A(4−x)SiBYによって特徴づけられるシランであり、式中、各Aは独立に加水分解性基、例えばヒドロキシル又はアルコキシ基であり、式中、x=1〜3であり、Bは独立にアルキル又はアリール基であり、上記のような付着基Yを含有するか又は含有しなくてもよい。
本発明の実施形態は、多くの有機基板に使用するのに好適である。例示の実施形態において、有機基板は電子基板、PCB基板、半導体基板、光起電性基板、ポリマー、セラミック、炭素、エポキシ、ガラス強化エポキシ、フェノール、ポリイミド樹脂、ガラス強化ポリイミド、シアネート、エステル、テフロン(登録商標)、プラスティック、塗料、及びこれら基板の混合体のうちのいずれの1つ以上を備えてもよい。
別の特徴において、本発明の実施形態は、少なくとも1つの金属層、少なくとも1つのエポキシ層、及びこれら金属層とエポキシ層との間に形成された安定化層を備えるプリント配線板を提供する。
いくつかの実施形態において、安定化層は、約200ナノメータ以下の厚みを有する金属酸化物を備える。別の実施形態において、安定化層は、実質的にアモルファス構造を示す金属酸化物を備える。また別の実施形態において、安定化層は、150ナノメータ以下の厚みを有するとともに実質的にアモルファス構造を示す金属酸化物を備える。
一般的に、安定化層は粒子を有する安定化層を備え、これら粒子は200ナノメータ以下の粒子サイズを有する。別の実施形態において、粒子は100ナノメータ以下の粒子サイズを有する。典型的には、排他的なわけではないが、金属酸化物は銅酸化物を備える。
特定の利点に関しては、本発明の実施形態は、「滑らかな」金属基板を処理するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は滑らかな金属表面、すなわち前以て粗化されていない金属基板の使用を可能にする。銅基板の例において、このような基板は様々な源から形成することができる。例えば、本発明の方法に使用するために好適な銅基板は、限定するわけではないが、電解銅若しくは電気めっきされた銅、無電解銅、及び圧延銅を含み、これらを生成する方法によって限定されるわけではない。
いくつかの実施形態において、金属層は約0.13μmRaの粗さを有する。いくつかの実施形態において、形成された銅酸化物、又は「処理された滑らかな銅表面」として参照される表面若しくは本願発明の安定化層は、約0.14μmRaの粗さを有し、よって本発明の方法が表面をほとんど粗化しないことを証明している。
さらなる特徴において、プリント配線板はエポキシのようなポリマー材料を備えて提供され、このポリマー材料は相当量のガラス、シリカ、若しくは他の材料のようなフィラー材料を含み、限定されるわけではないが、表面を、この表面の金属に対する化学的相性を実質的に変更するポリフィリンのような化学的接着性材料によって改質されて、それによってポリマー複合体と金属層との間の強固な接着を容易にする。化学的接着層の第2の層を金属表面に適用することができ、金属表面とそれに続くポリマー(エポキシ/ガラス)層との間の接着を促進する。いくつかの実施形態において、PCBは多層の導電体構造である。
例えば1つの特徴において、プリント配線基板が提供されており、このプリント配線基板は、少なくとも1つの金属層と、この少なくとも1つの金属層に付着した有機分子の層と、この有機分子の層の上のエポキシ層と、を備える。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの金属層は、1.0Kg/cmより大きな剥離強度と、150nmより小さな表面粗さとを示す。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの金属層はさらにその上に形成されたパターニングされた金属配線を備え、このパターニングされた金属配線は25ミクロン以下の細い幅を有する。さらに、パターニングされた金属配線は、15ミクロン以下、10ミクロン、又は5ミクロンの幅を有することができる。
本発明の別の特徴において、プリント配線板は、1つ以上の金属層と、その上に形成された1つ以上のエポキシ層とを備えて提供されており、1つ以上の金属層のうちの少なくとも1つが1.0Kg/cmより大きな剥離強度と、150nmより小さな表面粗さとを示すことを特徴とする。本発明の実施形態は、非常に細い配線幅の形成を可能にする。いくつかの実施形態において、金属層は、その上に形成されたパターニングされた金属配線を備え、このパターニングされた金属配線は25ミクロン以下の幅を有する。別の実施形態において、金属層は、その上に形成されたパターニングされた金属配線を備え、パターニングされた金属配線は15ミクロン以下、さらには10ミクロン以下の幅を有する。さらなる実施形態において、パターニングされた金属配線は、その上に形成することができ、パターニングされた金属配線は5ミクロン以下の幅を有する。
別の特徴において、本発明は、アルカリ溶液及び/又は過酸化物溶液で銅表面を予備洗浄するステップと、予備洗浄された銅表面上に銅酸化物を形成することによって銅表面を安定化するステップと、この銅酸化物と、1つ以上の表面改質剤化合物又は抑制剤化合物と、の間の自己制御式反応によって銅酸化物の形成を停止するステップと、処理された銅表面を樹脂と接合するステップと、を備える、プリント配線板を製造する方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記1つ以上の分子は銅酸化物層に結合することができ、この1つ以上の有機分子は、銅酸化物表面に結合するように構成された1つ以上の結合基と、樹脂に付着するように構成された1つ以上の付着基と、を担持する熱安定性基部を備える。
図1Aを参照すると、樹脂基板104に接合された滑らかな金属表面102を備える滑らかな金属‐樹脂接合界面100Aの単純化された図から成る1つの例示の実施形態が示されている。有機層108に結合しているか又は結合していない密な酸化物層から成る安定化層106が金属の頂面に形成されて、金属表面の腐食又は化学的攻撃を防止している。いくつかの実施形態において、必要不可欠ではないが、有機分子層108で安定化層をさらに調整するか又は生成することによって化学結合を容易化して、それにより、共有結合を形成する、樹脂中の官能基グループYと反応する活性結合サイトXを形成することが望ましい場合がある。例示の実施形態において、滑らかな金属‐樹脂界面100Aは、図1Bに示された粗い銅‐樹脂界面100Bと比較して優れた接着強度と、熱、湿気、及び化学攻撃に対する耐性とを有し、粗い銅‐樹脂界面100Bは、従来技術においては主に機械的アンカーによって達成された界面結合を有するとして知られている。
図2を参照すると、本発明の特徴をさらに示すために、例示の実験的プロセスフローが図的に示されており、このプロセスフローは、4つの主なステップ:(1)表面予備処理200、(2)表面の安定化及び調整並びに任意的な機能化210、(3)任意的な表面の還元(必要に応じて)220、(4)真空ラミネーション240、及び(5)熱処理(必要に応じて)260、を備えている。特定のサブ‐ステップ及び実験データは表示目的のためにのみ示されており、本発明の技術的範囲をそのように限定するものではない。また、図2は、プロセスのどこで剥離強度試験が行われるかを示しているが、これは試験手順を表示するためのみに示されている。本発明の大まかな方法のステップは剥離試験のステップを含んでいない。
図2に示す例示の方法において、表面の予備処理200は、アルカリ洗浄、リンス、ソフトエッチ、及び酸洗い並びに基板のリンス及び乾燥によって行われる。次に表面がステップ210において安定化される。この実施形態において、表面は表面酸化によって安定化される。表面酸化のステップは、金属表面を、1つ以上の酸化剤と1つ以上の表面活性部分とを備える酸化性溶液に曝すステップを備える。この1つのステップが、望ましい厚み及びモルフォロジーの安定化層を生成する。次いで、任意的な官能化を生じさせることができ、続いて基板をリンスし乾燥するステップが行われる。
必要に応じて、任意的な還元がステップ220において行われる場合がある。1つの例においてサンプルは、pHを12.6に調節された40g/Lのジメチルアミンボラン(DMAB)の還元溶液中で2分間、処理される。これは、酸化物層の緻密化を可能とし、余剰の酸化物を除去する。このとき、分子溶液を、安定化層を官能化するために使用することができる。サンプルは次いで、リンスされ高温の空気によって乾燥される。
安定化ステップ210及び任意的な還元ステップ220の後に、真空ラミネーションが、安定化された基板上に積層フィルムを取り付けるステップ、真空ラミネーションを適用するステップによって行われ、任意的な真空プレスがステップ240において適用される。
次の任意的な熱処理260は、積層されたアセンブリを硬化させるか又はアニールするために行われる。必要に応じて、剥離強度試験を次いで行うことができる。
図3A及び3Bを参照すると、本発明の2つの別々な実施形態が図に示されている。例えば図3Aでは、金属300が標準的な表面酸化によって処理されて酸化物層310を形成している。酸化物層成長は、化学的酸化又は熱酸化によるような従来の手段によって生じる。酸化物層310の形成の後、酸化物層310が還元されて本発明の安定化層320を形成する。分子薬剤が任意的に還元処理溶液に加えられて、安定化層320を形成する。図3Bは代替的な実施形態を示しており、この実施形態において金属350は、分子薬剤が酸化ステップ中に任意的に酸化剤に添加されて、酸化物層の成長を制限し、よって安定化層360を形成する。両方の場合に、後続の層の接着力が、金属表面の大幅な租化を生じることなく、安定化層320、360の存在によって強化する。
別の特徴において、本発明は多くの用途に使用することができる。1つのそのような例において、本発明の実施形態は保護コーティングを形成するために使用することができる。いくつかの実施形態において、表面を改質する分子成分が処理溶液のうちの1つ(例えば酸化浴又は還元浴)に添加される本発明の方法が提供され、この方法は金属表面の生成を大幅に単純化する。MI化学反応が他の薬剤(例えば、酸化剤又は還元剤)が存在している状態で作用するので、このプロセスはより短く、より均一な被覆と安定性を提供する。このプロセスは、表面の生成のプロセスのコストを劇的に削減することができるとともに、改質した金属表面に対して(より大きな滑らかさ及び/又は後続の層の接着力のより高い信頼性のような)追加的な特徴を提供する。改質した表面はそのまま使用することができるか、又は別の、確立された化学反応を使用してさらなる機能を提供することができる。また、本発明の実施形態は他の材料と一体となって有用であり、他の材料は、シリカ、アルミナ、又はジルコニアを含む安定な酸化物を形成する。それらに限られるわけではないが、本発明のいくつかの実施形態による用途の一覧は以下のとおりである。
アルカリ耐性及びスクラッチ耐性を有する固いコーティングと結合した基板、これら基板のためのコーティング溶液、及びこれら基板のためのポリマーカップラーをコーティングされた金属酸化物粒子の製造;
原子状酸素に対して耐性を有する有機/無機複合型ポリイミド成分;
自動車の電力ケーブル用コーティング、及び組成を作るためのプロセス;
液晶ディスプレイパネル用の表面処理された無機材料を含有する封止組成;
金属プレート用接着剤;この接着剤は高いせん断強度と高い剥離強度を有さなければならない。接着剤を使用する金属複合プレートは、大きな減衰係数を有し、減衰/消音シートに使用することができる。
車両用又は建築物の窓用のガラスプレートの撥水性コーティング;車両用又は窓ガラス用の撥水性ガラスプレートは、ガラス表面をこの表面に共有結合した撥水性コーティングによって覆うことによって製造される。
タンパク質分離用の相溶性ゼラチン‐エポキシアルミナ複合体の生成;コーティングは良好な親水性と生体適合性とを有しなければならず、多くの種類の化学的分離に広く使用することができる。
樹脂コートされた基板、プリプレグ、及び樹脂コートされた金属箔;
凝集の無い、表面処理された無機物紛体;無機物紛体は有機化合物で表面処理され、この有機化合物は極性を有する部分と極性を有さない部分とを有し、大気温度において液体である。また、紛体はカップリング剤で表面処理することができる。表面処理された無機物紛体は、EMC(エポキシモールドコンパウンド)、液体シーラント、基板材料、電子部品用接着剤、樹脂化合物、又はコーティングとしての使用のために樹脂化合物中に分散される。
持続性表面誘導体化用多機能ポリマー及びそれらの抗菌性特性;これらは共有結合性表面アンカー(covalent surface anchoring)及びポリマーの架橋結合を必要とし、ポリマーの架橋結合は反応性及び非反応性表面に長持ちするコーティングを形成することができる。反応性基を含有するポリマーは、酸化物表面に対して強固なリンクを形成し、それによって複数の点においてポリマー鎖にしっかり固定する。
実装材料用のプラスティック基板と無機層との間の良好な接着性を有する、透明なガス遮蔽フィルム;
電気的に負の物質に対して耐性を有し、バッテリー及び/又はキャパシターのための電極として使用することができる分子状カップリング剤と反応する、アルミ製の電極箔の表面;
機能的な、マイクロ粒子で変質したメルトブローン不織布;生産方法は、既存のプロセスによって溶融し押し出された樹脂薄片と組み合わされた、表面改質された機能性マイクロ粒子を必要とする。
サーマルペースト中の熱的に絶縁された固体成分として効果的である、熱的界面ペーストのためのナノ構造化された溶融金属酸化物;
鋼のシートの表面処理に有用な、クロムの無い成分であって、この成分によってコーティングされた鋼シートに、優れた耐腐食性特性、プロセス可能性、作業性、紛体コーティング特性、及び潤滑特性を付与する成分;
優れた紛体コーティング特性を有する表面処理用の成分であって、この成分は、アクリル系ウレタン樹脂、コロイド状合成体酸化物、分子状カップリング剤、シリカ及びイソシアネート架橋剤を備える成分、並びに、この成分でコーティングされたメッキされた鋼シートを生産する方法。
基板上の空孔タイプの受容層と、この受容層上に、シリカ、アルミナ、及び/又は金属でコーティングされたアルミナ水和物を含有する多孔性フィルムを使用して形成されたSiフィルムを備える半導体デバイス製造;
ひっかき傷のためのナノ/マイクロ構成複合体の表面改質及び、分散を促進するためのSAMを使用する摩擦耐性を有するポリアクリレートコーティング;
良好な潤滑特性を有する、フッ素重合体でコーティングされた亜鉛メッキ鋼プレート及びその製造;。
表面改質されたアルミニウム酸化物のナノ粒子を含有する、ひっかきに対して耐性を有するコーティング材料;改良されたひっかきに対する耐性を有するコーティング材料は、水性アクリルのような有機結合剤、2成分ポリウレタン又はUV硬化型結合剤、添加剤、及び表面改質アルミニウム酸化物ナノ粒子を含有する。
ニッケルメッキへの高い接着力を有する、改良された銅の無電解メッキ;無電解メッキ法は以下のステップ、すなわち、(1)メッキされる基板をSAMカップリング剤によって処理するステップ、(2)処理された基板を、基板の処理された表面上にNiの無電解メッキを行うためのNiメッキ浴に浸漬するステップ、及び(3)Niメッキされた基板を、Niメッキの上にCuの無電解メッキを行うための、pH<10を有するCuメッキ浴中に浸漬するステップによって行われる。Niメッキは基板に対して高い接着力を有し、CuメッキはNiメッキに対して高い接着力を有する。
アルミナのナノサイズの孔を有する膜状の表面改質剤の改良された安定性;ナノサイズの孔を有するアルミナ膜の表面へのSAMの共有結合の安定性は、固定化された分子の安定性を劇的に改善することができる。
シリカをコーティングされたTi基板への改善された樹脂の接合強度;
高い摩擦係数を有する材料を得るための、銅酸化物粒子を含有するナイロン複合材への応用;既存のプロセス法は、(1)銅酸化物粒子及びアルミニウム酸化物粒子を表面カップリング剤で処理し、乾燥し、破砕するステップと、(2)酸化のために空気中で炭素繊維を処理するステップと、(3)処理された銅酸化物粒子、アルミニウム酸化物粒子、炭素繊維、及びナイロンを、ボールミル中で6〜8時間、標準手順に従って混合するステップと、を備える。
ゾル‐ゲル法の手段によってSAM‐改質された表面の変換によって得られた網状組織(network)を備える、ランプのための改良されたコーティング;
が記載されており、そこでは酸で安定化されたコロイド状シリカの分散が実質的に網状組織中に組み込まれている。
[実験]
多くの実験が後述するように行われた。これら例は説明目的のためのみに示されており、多少なりとも本発明を限定しようとするものではない。
<実施例1:滑らかな銅基板の処理>
この実施例は、本発明のいくつかの実施形態に従って滑らかな銅基板を処理する1つの例示的方法を示す。上述したように、本発明の方法は、処理された滑らかな金属基板、すなわち前以て粗化されていない金属基板の使用を可能にする。1つの実施例において、金属表面は銅、特に滑らかな銅表面、すなわち前以て粗化されていない銅基板である。そのような銅基板は、様々な源から形成することができる。例えば、本発明の方法に使用するために好適な銅基板は、限定するわけではないが、電解銅若しくは電気メッキ銅、無電解銅、及び圧延銅を含み、これらを準備する方法に限定されることはない。この実施例1において、電解銅基板がまず、20〜40g/Lの水酸化ナトリウム溶液によって40〜60℃で2〜5分洗浄され、次いで水でリンスされた。銅基板は、1〜3重量%の過酸化水素溶液+2〜5重量%の硫酸によって室温で1〜5分さらに洗浄され、5〜20重量%の硫酸によって室温で1分洗浄され、次いで水によってリンスされた。基板は次いで、1%未満のSAMを含む10〜50g/Lの水酸化ナトリウムを有する140〜200g/Lの亜塩素酸塩中において、50〜80℃で2〜8分間、酸化することによって安定化され、次いで水によってリンスされた。サンプルは次いで、10.5〜12.5に調整されたpHを有するジメチルアミンボラン(DMAB)の還元浴中において、室温〜40℃で2〜5分、処理することができる。サンプルは次いで、リンスされ、熱風によって乾燥される。安定化層の表面モルフォロジーおよび厚みは、処理溶液の濃度、温度、及び処理時間を変化させることによって調整することができ、SEM、XRD、及びオージェ深さプロファイルによって明らかにすることができる。
図4Aは、球状粒子及び長距離秩序の結晶構造を反映する一方向性結晶成長を有する、従来の電解銅表面(すなわち、滑らかな銅表面、若しくは言い換えると粗化されていない銅表面)のモルフォロジーを示す、50,000倍の例示的SEM写真である。比較として、安定化層をその上に形成した、本発明の方法に従って処理された電解銅表面のモルフォロジーが、図4Bに示されている。非常に明確であるように、図4Bに示された、処理された銅表面上の安定化層は、より細かい、一方向性ではない結晶成長と、より大きな均一性を有するモルフォロジーを示している。対照的に、図4Cは既存の黒色酸化物表面を示し、この表面は非常に厚く、壊れやすい繊維状構造を示している。図4Dは、既存のマイクロエッチされた銅表面の例示的SEM写真であり、この表面は非常に不均一なマイクロな畝状モルフォロジーを示している。
図5の表データは、Ra及びRzの両方で示された表面粗さを比較しており、本発明の処理が、表面をかなり粗化する既存の酸化及び還元プロセスと異なり、銅表面を粗化していないことを証明している。
実施例1に従って準備された、処理された滑らかな銅表面の安定化層は、表面成分及び層の厚み分布を測定するためのオージェ電子光度計(AES)によってさらに明らかにされた。図6を参照すると、処理された滑らかな銅表面に対するAES深さプロファイルは、安定化層が銅と銅酸化物、おそらく酸化第一銅との混合物を含み、その厚みは約100nmであることを示している。対照的に、既存の黒色酸化物層は約1000nm以上の距離に延在している。安定化層の厚みは、良好な接合強度を保証するために、100〜200nmの範囲内にあることが望ましい。
<実施例2:滑らかな銅表面上の樹脂接合の強化の証明>
この実施例は、滑らかな銅表面へのエポキシの接着強度を強化する1つの例示の方法を示す。上述の処理されたCu試験ストリップが、図7に示された一時的な裏打ち上に載置された。周囲条件において少なくとも3時間安定化された大量生産されている35μm厚みのビルドアップ(BU)エポキシ(又は誘電性)積層フィルムが、図8A〜8Dに示された図示のステップによって示されているように、銅ストリップの頂面に載置された。アセンブリが次いで、100℃で、30秒間の真空引き及び3Kg/cmで30秒間プレスされて積層された。積層ステップが2回繰り返されて、合計で3プライのBUフィルムが形成された。
銅表面が、赤みがかった色から表面処理の後に薄茶色又は緑色に、次いで積層の後に黒色に変化することは注意するに値し、科学的結合反応が行われたことを示唆する。樹脂表面は、ヒドロキシル、アミン、エポキシ、及びその他の化学反応基を含み、これら反応基は化学結合を形成することによって酸素が多い銅表面と反応することができる。
接着強度を定量化するために、剛性を有する基板(スティフナー)が、図8Bに示されたようにBUフィルムの頂面に積層された。アセンブリは次いで、滞留式オーブン中において、180℃で90分、熱処理されるか、又は硬化された。
次に、アセンブリは細片に切り離されて、一時的な裏打ち基板を除去し、剥離強度試験及び高度加速ストレステスト(HAST)を使用した試験のための個々のテストクーポンに分離された。結果的に得られた積層体の接着強度は、10mm幅の剥離ストリップについて剥離試験機のフォースゲージによって90℃の剥離角度及び50mm/minの剥離速度で定量された。特に、剥離強度は当初形成されたままの基板で試験され、次いで前処理及びリフローの後に試験された。前処理は、125℃で25時間、次いで30℃及び相対湿度(RH)60%で192時間、行われた。リフローは260℃で3回行われた。その後、HAST試験が130℃及び相対湿度85%で96時間行われた。図9A及び9Bは、HAST試験後の剥離強度維持率への処理の影響を示している。本発明による安定化層の無い、滑らかな試験対照ではHAST後の剥離強度が88%低下し、従来の粗化された試験対照は40%の低下を示した。非常に対照的に、処理された滑らかな銅基板(すなわち、本発明によって形成された安定化層を有する)は、当初の高い剥離強度だけでなく、26%の低下しかしないという高い維持率を示した。また、図9Bの表データは、剥離強度の安定性の増大が表面粗度の大きな変化なしに達成されたということを示している。この結果は優れたものであり、従来技術の示唆によっては予想できるものではなかった。
重要な利点として、本発明の実施形態は、安定かつ制御可能なプロセスウインドウインドウを提供する。そのような安定したプロセスウインドウは、ロバストで再現性のあるプロセスを提供する。図10は、本発明の実施形態に従って処理されたエポキシ積層された滑らかな銅表面の5つのバッチに対する剥離強度の再現性又はロバスト性と、HAST安定性とを示している。図11A及び11Bは、HAST前後の、本発明の実施形態による安定化層を有する、積層され、かつ処理された滑らかな銅表面のSEM断面図を標準的な粗化された表面との比較で示しており、本発明の方法が銅表面をほとんど粗さないこと、およびリフロー及びHAST信頼性試験の後に剥離が生じていないことをさらに示している。
図12A及び12Bは、剥離された銅表面の典型的なSEM写真であり、銅‐樹脂界面が、滑らかな銅の試験対照ではちょうど銅表面において破壊している(図12A)のに対し、安定化層を有する処理された滑らかな銅では樹脂内で破壊している(図12B)ことを示している。この驚くべき結果は、本発明の、樹脂と処理された銅表面との間の接合強度が、バルクの樹脂材料の結合強度より強いことを示している。
<実施例3:微細配線パターニング及び電気的絶縁信頼性>
微細配線のパターニングが本発明の実施形態によって可能であることを示すためにデバイスが形成された。特に、同一の寸法を有する配線及びスペース(50/50、30/30、20/20、10/10、及び8/8μm)の櫛状パターンが実施例1及び実施例2に記載されたのと同じ手法に従って処理され、積層された。SEM断面図はこの場合もまた、本発明の方法が銅配線を粗化することがなかったこと、及びリフロー及びHAST試験の後に剥離がなかったことを確認した。電気的絶縁抵抗は、リフロー及びHASTの後において、2Vで1012オーム以上に維持され、この値は、PCB製造仕様の値より5オーダー高い。以下の表1はこの結果を要約したものである。これら構造のすべてに、従来技術への大きな発展である、本発明の処理が微細なスペースで銅配線をパターニングする能力を大幅に改善することを示す良好な結果が得られた。
Figure 0006415424
<実施例4:エポキシ積層されたCu表面のレーザドリリング及びビアの洗浄/メッキの互換性>
レーザビアを有するデバイスが形成され、さらにプロセス互換性を示すためにプロセスされた。特に、滑らかな銅基板が、実施例1及び実施例2に記載されたのと同じ手法に従って処理され、積層された。30、40、50、75、100、150、及び200μmの直径のビア列が、COレーザ及びUVレーザのドリリングによって準備された。ビア構造は次いで、ソフトエッチ及び酸洗い、又はデスメアプロセスにかけられ、次いで無電解銅メッキ、次いで電解メッキにかけられた。図13は、本発明の実施形態に従って形成された、積層された滑らかな処理された銅表面に形成されたレーザビアのSEM断面を示し、デスメア及びメッキプロセス後にアンダーカット及び剥離が無いことを示している。
<実施例5:滑らかな銅表面上へのソルダーレジストの接合の強化の実証>
この実施例は、滑らかな銅基板上へのソルダーレジストの接着を強化するための1つの例示的方法を示している。滑らかな銅の試験ストリップが、実施例1に記載されたのと同じ手法に従って試験され、図7に示されたような一時的な裏打ち上に載置された。30μmの厚みの商業的に入手可能なソルダーレジスト(SR)積層フィルムが環境条件で3時間、安定化された後、図8Aによって示されているように銅のストリップの頂面上に載置された。このアセンブリが次いで、75℃において30秒間の真空引き及び60秒間の1Kg/cmの圧力によって真空積層された。このアセンブリは次いで、400mJ/cmのUV露光にかけられ、その後、滞留式オーブン中において150℃で60分間硬化され、1000mJ/cmで事後UV硬化された。
接着強度を定量化するために、堅固な裏打ち基板(スティフナー)が図8Bのステップ2によって示されたようなSRフィルムの頂面上に積層された。このアセンブリが次いで、ダイシングされて一時的な裏打ち基板を除去され、その後、剥離強度試験及び高度加速ストレス試験(HAST)のための個々の試験片に分離された。特に、剥離強度は形成された当初の基板に対して試験され、次いで、前処理、リフロー、及びHASTの後に試験された。図14A及び14Bは、HAST試験後の剥離強度の保持率への本発明の処理方法の影響を図示している。処理をしなかった滑らかな試験対照ではHAST後の剥離強度が87%低下し、従来の粗化された試験対照では69%の低下がみられた。非常に対照的に、本発明の実施形態に従って形成された、処理された滑らかな銅表面は、より高い当初の剥離強度だけでなく22%の低下しかないという剥離強度の高い保持率を示した。また、図14Bの表データは、剥離強度の安定性の増大が表面粗化度の大幅な変化無しに達成されたことを示している。
<実施例6:SRを積層されたCu表面のUVパターニングおよびビアの洗浄/メッキの両立性の証明>
ビア列及び銅配線から成るデバイスが形成され、次いでさらにプロセスされて、プロセスの両立性を証明した。特に、滑らかな銅基板が、実施例5に記載されたのと同じ手法に従って処理され、積層された。80〜440μmに亘る底部径及び62〜500μm幅の銅配線から成るビア列がUV露光及び現像を介して形成された。図15Aは銅配線パターン及びビア列を示し、図15Bはボールグリッドアレイ(BGA)パターンを示している。パターニングされた構造は次いでソフトエッチ及び酸洗い、又はデスメアプロセスにかけられ、続いて無電解Niメッキが行われ、次いでAuエマージョンデポジション(emersion deposition)が行われた。図16は、デスメアおよびメッキプロセス後に剥離がないことを証明する、積層された滑らかな銅上に形成されたSRビアのSEM断面像である。これらすべての構造において、本発明の処理方法が、当業における大きな進歩である、微細スペースのSRをパターニングする能力を大幅に改善することを示唆する良好な結果が得られた。
要約すると、多くの発明実施形態がここに提供されている。いくつかの実施形態において、金属表面を処理して金属表面と有機材料との間の接着を促進する方法が提供されており、この方法は、金属酸化物層が金属表面に形成され、この金属酸化物層の形成が金属酸化物と表面改質化合物との間の自己制御式反応によって制御される。金属酸化物層の形成は、金属酸化物層が約200ナノメータ以下の厚み、又は任意に約100ナノメータ〜200ナノメータの範囲の厚みを有するように制御することができる。金属酸化物層の形成は、金属酸化物層が実質的にアモルファス構造を備えるように制御することができる。いくつかの実施形態において、金属酸化物層は250ナノメータ以下、又は任意に200ナノメータ以下の粒子サイズを有する。これら粒子は調整の後には実質的に不規則に配向させることができる。金属酸化物層は銅酸化物を備えることができる。
いくつかの実施形態において、金属酸化物層は、金属表面を酸化剤に曝すことによって形成される。酸化剤は、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過マンガン酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、オゾン、又はこれら物質の混合物のうちの1つ以上から選択することができる。
いくつかの実施形態において、表面改質化合物は、金属酸化物の表面と反応して、金属酸化物が形成される際に反応速度を制御する化合物から選択される。表面改質化合物は、この化合物が最終的に酸化反応を減速させ、停止させるように選択することができる。この方法は、室温〜約80℃の範囲の温度で行うことができる。いくつかの実施形態において、自己制御式反応は2〜15分後に安定となる。
別の特徴において、金属表面を処理して金属表面と有機材料との間の接着を促進する方法が提供され、この方法は、金属表面を酸化して金属表面上に金属酸化物層を形成するステップと、金属酸化物層の成長を、金属酸化物層と表面改質化合物との間の自己制御式反応によって停止させるステップと、を備える。いくつかの実施形態において、酸化するステップと酸化を停止させるステップとは、金属表面を、酸化剤及び表面改質化合物を備える溶液に曝すステップをさらに備える。任意に、この方法は、金属表面に結合するように構成された1つ以上の結合基と、有機材料に付着するように構成された1つ以上の付着基と、を担持する熱安定性基部を備える1つ以上の有機材料に金属表面を接触させるステップをさらに含む。
いくつかの実施形態において、1つ以上の有機分子は表面活性部分又は分子である。いくつかの実施形態において、1つ以上の表面有機分子は、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、拡張ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、直鎖ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、又はポルフィリン配列の群から選択される。表面活性部分は、大環状プロリガンド、大環状錯体、サンドイッチ配位錯体、及びそれらのポリマーから成る群から選択してもよい。
付着基はアリール官能基及び/又はアルキル付着基を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、アリール官能基は、アセタート、アルキルアミノ、アリル、アミン、アミノ、ブロモ、ブロモメチル、カルボニル、カルボキシラート、カルボン酸、ジヒドロキシホスホリル、エポキシド、エステル、エーテル、エチニル、ホルミル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヨード、メルカプト、メルカプトメチル、Se−アセチルセレノ、Se−アセチルセレノメチル、S−アセチルチオ、S−アセチルチオメチル、セレニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、2−(トリメチルシリル)エチニル、ビニル、及びそれらの組み合わせのうち任意の1つ以上から選択される官能基を含む。いくつかの実施形態において、アルキル付着基は、アセタート、アルキルアミノ、アリル、アミン、アミノ、ブロモ、ブロモメチル、カルボニル、カルボキシラート、カルボン酸、ジヒドロキシホスホリル、エポキシド、エステル、エーテル、エチニル、ホルミル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヨード、メルカプト、メルカプトメチル、Se−アセチルセレノ、Se−アセチルセレノメチル、S−アセチルチオ、S−アセチルチオメチル、セレニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、2−(トリメチルシリル)エチニル、ビニル、及びそれらの組み合わせのうち任意の1つ以上から選択される官能基を含む。一例において、少なくとも1つの付着基は、アルコール又はホスホナートを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの付着基は、アミン、アルコール、エーテル、他の求核試薬、フェニルエチン、フェニルアリル基、ホスホナート、及びそれらの組み合わせのうち任意の1つ以上を含む。
いくつかの実施形態において、金属表面にコーティングを形成する方法が提供され、これら方法は、金属酸化物層が金属表面に形成され、この金属酸化物の形成は金属酸化物と表面改質化合物との間の自己制御式反応によって制御されることを特徴としている。
別の実施形態において、金属表面にコーティングを形成する方法が提供され、これら方法は金属表面を酸化して金属表面上に金属酸化物層を形成するステップと、金属酸化物層の成長を金属酸化物層と表面改質化合物との間の自己制御式反応によって停止させるステップと、を備える。
さらに、金属表面にコーティングを形成する方法が提供され、これら方法は金属表面を安定化させるステップと、この安定化された表面を調整するステップと、を備える。
本発明の別の特徴において、少なくとも1つの金属層と、少なくとも1つのエポキシ層と、これら金属層とエポキシ層との間に形成された安定化層と、を備えるプリント配線板が提供される。安定化層は、約200ナノメータ以下の厚みを有する金属酸化物を備えることができる。いくつかの実施形態において、安定化層は、実質的にアモルファス構造を示す金属酸化物を備える。いくつかの実施形態において、安定化層は、約200ナノメータ以下の厚みを有するとともに実質的にアモルファス構造を示す金属酸化物を備える。この安定化層は、粒子を有する金属酸化物層をさらに備えることができ、これら粒子は250ナノメータ以下、又は任意に200ナノメータ以下の粒子サイズを有する。いくつかの実施形態において、金属酸化物は銅酸化物を備える。金属層は、約0.14μmまでの粗さを有することができ、金属酸化物は約0.14μまでの粗さを有することができる。
いくつかの実施形態において、金属層は、この金属層上に形成された、パターニングされた金属配線をさらに備え、このパターニングされた金属配線は約25ミクロン以下の幅を有し、任意に、パターニングされた金属配線は約15ミクロン以下の幅を有し、任意に、パターニングされた金属配線は約10ミクロン以下の幅を有し、さらに任意に、パターニングされた金属配線は約5ミクロン以下の幅を有する。
別の特徴において、プリント配線板を製造する方法が提供され、この方法は、銅表面をアルカリ及び/又は過酸化物溶液で予備洗浄するステップと、この銅表面を、この銅表面上に銅酸化物層を形成することによって安定化するステップと、銅酸化物の形成を銅酸化物と1つ以上の表面改質化合物との間の自己制御式反応によって停止させるステップと、処理された銅表面を樹脂と接合するステップと、を備える。
いくつかの実施形態において、金属の表面上の酸化物層の成長を制御する方法が提供され、この方法は、酸化物層の成長を、酸化物層と1つ以上の表面改質化合物との間の自己制御式反応によって停止させるステップを備える。
本発明の実施形態は酸化剤組成をさらに提供し、この酸化剤組成は1つ以上の酸化剤及び1つ以上の表面改質化合物を備える。いくつかの実施形態において、表面改質化合物は、上述のような1つ以上の表面活性分子(SAMs)から選択される。
さらに、金属表面と有機材料との間の接着又は結合を促進するために金属表面を処理する方法が提供され、金属表面上に金属酸化物層を形成することによって金属表面を安定化させ、次いで選択的な酸化物の厚み及びモルフォロジーを得るために金属酸化物層を還元剤によってコンディショニングすることを特徴とする。いくつかの実施形態において、還元剤は、ホルムアルデヒド、チオ硫酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、一般式: BHNHRR’(式中、R及びR’はそれぞれ、H、CH、及びCHCHから成る群から選択される)から成るボラン還元剤、例えば環状ボラン、モルホリンボラン、ピリジウムボラン、ピペリジンボラン、又はジメチルアミンボラン(DMAB)などのうち、任意の1つ以上から選択される。
いくつかの実施形態において、金属表面を安定化するステップは、室温〜約80℃の温度範囲において、又は任意に室温〜50℃の温度範囲において行われる。いくつかの実施形態において、方法は2〜20分の時間で行われる。
別の特徴において、金属表面を処理して、金属表面と有機材料との間の接着を促進する方法が提供され、この方法は、金属表面を安定化するステップと、安定化された金属表面を調整するステップとを備えている。1つの実施例において、金属表面を安定化するステップは、この金属表面上に金属酸化物層を形成するステップを備える。1つの実施例において、金属表面を調整するステップは、金属酸化物層を還元剤で還元するステップを備える。いくつかの実施形態において、調整後の金属酸化物層は、約200ナノメータ以下の厚みを有する。いくつかの実施形態においては、調整後の金属酸化物は、実質的にアモルファス構造を備える。金属酸化物層は粒子を有し、調整の後にはこれら粒子は250ナノメータ以下又は任意に200ナノメータ以下のサイズを有する。いくつかの実施形態において、粒子は調整後には実質的に不規則に配向するようになる。1つの実施例において、金属酸化物層は、銅酸化物を備えている。
1つの特徴において、調整の後、金属表面は、金属表面に結合するように構成された1つ以上の結合基と、有機材料に付着するように構成された付着基とを担持する熱安定性基部を備える1つ以上の有機分子に接触させられる。いくつかの実施形態において、有機材料は、電子基板、PCB基板、半導体基板、光起電基板、ポリマー、セラミック、カーボン、エポキシ、ガラス強化エポキシ、フェノール、ポリイミド樹脂、ガラス強化ポリイミド、シアネート、エステル、テフロン(登録商標)、プラスティック、及びこれら材料の混合物のうちの1つ以上を備える。
更なる特徴において、プリント配線板を製造する方法が提供され、この方法は、アルカリ及び/又は過酸化物溶液で銅表面を予備洗浄するステップと、銅表面上に銅酸化物を形成することによって銅表面を安定化するステップと、この銅酸化物層を還元剤で調整するステップと、処理された銅表面を樹脂に接合するステップと、を備える。また、1つ以上の分子を銅酸化物層にカップリングするステップがさらに提供され、これら1つ以上の有機分子は、銅表面に結合するように構成された1つ以上の結合基と、有機材料に付着するように構成された付着基とを担持する熱安定性基部を備える。
上述の方法、装置、及び記載は例示を意図されている。ここに提供された教示を考慮して、別の方法が当業者には明白であり、そのような方法は本発明の技術的範囲内に入るように意図されている。

Claims (5)

  1. 少なくとも1つの銅層と、
    少なくとも1つのエポキシ層と、
    前記銅層と前記エポキシ層との間に形成された銅酸化物層と、
    を備えるプリント配線板であって、
    前記銅酸化物層は、200ナノメータ以下の厚さと、0.14μmRa以下の粗さと、250ナノメータ以下の粒子サイズを有する粒子と、を有し、
    前記銅層は、1.0Kg/cmより大きな前記エポキシ層に対する剥離強度と、140nmまでの表面粗さと、を備え、
    前記銅層は、前記プリント配線板上に形成された、パターニングされた銅配線をさらに備え、前記パターニングされた銅配線は約25ミクロン以下の幅を有する、プリント配線板。
  2. 前記パターニングされた銅配線は、約15ミクロン以下の幅を有することを特徴とする請求項に記載のプリント配線板。
  3. 前記パターニングされた銅配線は、約10ミクロン以下の幅を有することを特徴とする請求項に記載のプリント配線板。
  4. 前記パターニングされた銅配線は、約5ミクロン以下の幅を有することを特徴とする請求項に記載のプリント配線板。
  5. 前記銅酸化物層は、実質的にアモルファス構造を示すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリント配線板。
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