JP6411065B2 - ブロイラー用飼料およびブロイラーの肉質改良方法 - Google Patents

ブロイラー用飼料およびブロイラーの肉質改良方法 Download PDF

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Description

本発明は、ブロイラー用飼料およびブロイラーの肉質改良方法に関する。
短期間で急速に成長する改良鶏として、約3ヶ月の飼育により3kg程度に体重が増加するブロイラーがあり、採肉用鶏として大量に飼育されている。通常、大規模な密閉型の鶏舎の中に高い飼養密度で収容され、養鶏用飼料を給餌され、オールイン、オールアウトで養鶏されている。
ブロイラー用の飼料として、4重量%未満のゼオライトAを含有する飼料添加物を含む、ブロイラーの肉/脂肪比を改善する家禽用飼料組成物がある(特許文献1)。ゼオライトAは合成品であり、組成やX線パターンが天然のゼオライトと異なる。ゼオライトAを添加すると、飼料の消費を低減させることなく、ブロイラー鶏の赤味肉/脂肪比を有意に改善しうるという。
また、炭素数8〜10の中鎖脂肪酸のトリグリセライドを0.5〜10重量%含有せしめたことを特徴とするブロイラー用飼料もある(特許文献2)。皮下脂肪が多い鶏肉は見た目が悪く、購買意欲を失わせる一因となる。ブロイラーの飼料の中に特定量の中鎖脂肪酸トリグリセライドを配合すると、ブロイラーの生体重の増加には影響を与えることなく、体脂肪の形成のみを抑制することができるという。上記特許文献1、特許文献2は、いずれも肉質を改良するものであり、特に脂肪含有率を低減しうる養鶏用飼料を提案するものである。
一方、食品を美味しく感じる要因として、歯ごたえがある。食品のテクスチャーは、硬さ・凝集性・粘度・弾性・粘着性等の力学的特性、粒子の大きさや形状とその会合状態が関係する幾何学的特性、および水分や脂肪含量が関係する表面特性などが影響する、食品の組織と構造とによって生み出される味である(非特許文献1)。固体系の食品では、力学的特性や会合状態などの物理的要因の寄与が大きく影響する。粘性率、動的粘弾性などのレオロジー的性質を測定する粘弾性測定装置や、試料を圧縮したり引張してその際に変化する応力を測定するクリープメーターなどによって、「食感」の相異が評価されている(非特許文献2)。非特許文献2には、クリープメーターで蒟蒻ゼリーと寒天ゼリーのテクスチャーを測定した結果が示されている。これを図7に示す。直径5mmの円柱型の治具を1mm/secの均等速度で押し付けた際の治具に係る力を示したものであり、各曲線の最初のピーク点は、各ゼリー表面が破断した点を示すという。蒟蒻は約70%の歪率で破断し、歪率30%で破断する寒天と比較して餅のように伸びて、破断しにくい性質であることが判る。寒天はもろく、壊れるときのつぶつぶ間が波打つ曲線で表されている。
食肉を構成する骨格筋は、筋線維とよばれる細胞と、それを包む筋膜で構成されている(非特許文献3)。前記筋膜には、個々の筋線維を包む筋内膜と、筋線維が数十本〜数百本の束になった筋束を包む筋周膜と、筋束が束になった筋肉全体を包む筋上膜との3種がある。筋膜は、いずれもコラーゲン線維が縦横に組み合わさって構成されたものである。前記筋周膜は、動きの激しい体部位の骨格筋で発達し、鶏の外側腸脛骨筋の筋周膜で発達して膜厚が厚くなる。前記非特許文献3は、ブロイラーの前広背筋では、後広背筋に比較して極端に厚く発達した筋内膜が観察されたと報告している。食肉が適度な噛み応えや良い食感をもつには適度なコラーゲン含有量が必要である。筋周膜が発達する筋肉ではコラーゲン含有量が多くなり、食肉としての硬さに繋がる可能性が示唆されている。
特公平3−54543号公報 特許第2584474号公報
"おいしさを科学する テクスチャー"、[online]、平成17年11月、ニッスイ、[平成25年5月14日検索]、インターネット〈URL:http://www.nissui.co.jp/academy/taste/08/taste_vol08.pdf〉 大澤克己、"食品のテクスチャー測定"、[online]、長野県工業技術総合センター 食品技術部門 加工食品部、[平成25年5月14日検索]、インターネット〈URL:http://www.gitc.pref.nagano.lg.jp/pdf/gijutujoho252.pdf〉 中村好徳、他3名、"分析機器解説シリーズ(80)"、[online]、平成15年4月25日、九州大学中央分析センターニュース、[平成25年5月13日検索]、インターネット〈URL:http://www.bunseki.cstm.kyushu-u.ac.jp/F/80.pdf〉
ブロイラーは、短期間で急速に成長する改良鶏であり、高い飼養密度で飼養されるためその肉質は柔軟である。一方、昨今の食の多様化により、地鶏に近い食感が望まれる場合もある。地鶏はブロイラーとは鶏種が異なるが、ブロイラーよりも低い飼養密度で飼育され、かつ飼養期間もブロイラーより長期間に亘るなどの養鶏環境も異なる。一般に、地鶏はブロイラーより締まった肉質となっている。
しかしながら、ブロイラーの肉質を地鶏に近づけるため飼養密度を低下させると、単位面積当たりのブロイラーの生産性が低下し、または飼料消費量が増加し、1羽あたりのブロイラーの生産コストが上昇する。従って、ブロイラーの生産性を低下させず、かつ地鶏に近い肉質に改善する方法が求められる。
上記現状に鑑み、本発明は、ブロイラーの肉質を改善しうるブロイラー用飼料を提供することを目的とする。
また本発明は、生産性を低下させず、ブロイラーの肉質改善方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、骨格筋組織を詳細に検討した結果、筋周膜には、筋線維を束ねる薄い筋周膜と、更にこれらを束ねる厚い筋周膜とがあり、厚い筋周膜が発達すると肉質の硬度が増加すること、所定量のコラーゲンペプチドを含有する飼料をブロイラーに給餌すると、厚い筋周膜が発達し、地鶏に近い食感に改善されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、コラーゲンペプチドを0.2〜0.5質量%の範囲で含有し、肉の破断歪率を増加させることを特徴とする、ブロイラー用飼料を提供するものである。
また本発明は、ブロイラーに、コラーゲンペプチドを0.2〜0.5質量%の範囲で含有する養鶏用飼料を給餌し、肉の破断歪率を増加させることを特徴とする、ブロイラーの肉質改良方法を提供するものである。
本発明によれば、市販の養鶏用飼料にコラーゲンペプチドを添加し、0.01〜0.8質量%の範囲に調整して給餌するだけで、生産性を低下させることなくブロイラーの肉質を改良することができる。
核媒染、筋線維染色を行った筋肉の光学顕微鏡像であり、厚い筋周膜と薄い筋周膜とを説明する図である。 クリープメーターによる筋肉の物理的解析結果を説明する図である。 実施例2のムネ肉とモモ肉において、コラーゲンペプチドを添加した群と添加しない対照群とのクリープメーターによる破断応力の結果を示す図である。 実施例2のムネ肉とモモ肉において、コラーゲンペプチドを添加した群と添加しない対照群とのクリープメーターによるもろさ応力の結果を示す図である。 実施例2のムネ肉とモモ肉において、コラーゲンペプチドを添加した群と添加しない対照群とのクリープメーターによる破断歪率の結果を示す図である。 実施例2のムネ肉とモモ肉において、コラーゲンペプチドを添加した群と添加しない対照群とのクリープメーターによる全体エネルギーの結果を示す図である。 非特許文献2に記載される、蒟蒻ゼリーと寒天ゼリーのクリープメーターによる測定結果を示す図である。
本発明の第一は、コラーゲンペプチドを0.01〜0.8質量%の範囲で含有する、ブロイラー用飼料であり、本発明の第二は、ブロイラーに、コラーゲンペプチドを0.01〜0.8質量%の範囲で含有する養鶏用飼料を給餌することを特徴とする、ブロイラーの肉質改良方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
(1)ブロイラー
本発明は、採肉用のブロイラーを対象とする。本来、生育が早いため、柔軟な肉質となりやすいブロイラーに対し、簡便な方法で肉質を改良することを目的とするからである。ブロイラーは、通常1mあたり10羽を超える密度で飼育され、3ヶ月程度で出荷しうる成長スピードの早い鶏である。現在、白色プリマスロック種の雌に白色コーニッシュ種の雄を交配したものが世界のブロイラーの大半を占めている。本発明では、ブロイラーとして、商品名チャンキー(ROSS 308, Aviagen社)、商品名コッブ、商品名アーバエーカなどを好適に対象とすることができる。
(2)ブロイラー用飼料
本発明のブロイラー用飼料は、コラーゲンペプチドを0.01〜0.8質量%、好ましくは0.05〜0.7、より好ましくは0.1〜0.6質量%、特に好ましくは0.2〜0.5質量%の範囲で含有することを特徴とする。ブロイラーの養鶏に使用される飼料は、例えば、生後第1週齢頃まで給餌する育雛用、第1〜3週齢ころまで給餌する前期用、第3週齢から出荷まで給餌する後期・仕上げ用の3タイプに大別されることがある。合理的な養鶏を行うため養鶏用飼料が給餌され、生産性をあげるためブロイラー専用の配合がなされている。例えば、育雛用は、たんぱく質やエネルギーが高く調整され、高い栄養を求める雛に適した配合となっている。また、前期用は、たんぱく質、アミノ酸、ミネラルの含有量が高く、成長が早く、栄養要求量の高いブロイラーに適した配合となっている。更に、後期・仕上げ用は、エネルギーを高め脂肪を蓄積しうる配合となっている。なお、反芻動物には、動物性タンパク質や動物性油脂の給与が規制されているが、鶏には、魚粉、チキンミール、加水分解タンパクなどの給与が許されている。本発明のブロイラー用飼料としては、例えば、市販の前期用養鶏用飼料や後期・仕上げ用養鶏用飼料と同じ配合組成の飼料に、更にコラーゲンペプチドを添加してコラーゲンペプチドの含有量を0.01〜0.8質量%に調整したものを好適に使用することができる。従って、市販の養鶏用飼料にコラーゲンペプチドを添加して調製してもよい。コラーゲンペプチド以外の配合は、ブロイラー養鶏に適するものであれば、特に制限はない。なお、上記した飼料の区分は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、日本飼養標準・家禽(2009年版)に従えば、ブロイラー用の餌は0〜21日齢(0〜3週齢)までの前期(育雛用)と21〜出荷(4週目〜出荷)までの後期飼料の2種類に大別される。この場合でも、市販の前期(育雛用)用飼料や後期飼料用飼料と同じ配合組成の飼料に、更にコラーゲンペプチドを添加してコラーゲンペプチドの含有量を0.01〜0.8質量%に調整したものを好適に使用することができる。
(3)コラーゲンペプチド
コラーゲンペプチドは、コラーゲンに由来するペプチドである。体内に取り込まれたコラーゲンは、生体内で分解された後にコラーゲンペプチドとしての機能を発揮する。コラーゲンは、親水性であるが巨大分子であってそのままでは水に溶解しない。本発明では、予め分解されたコラーゲンペプチドを使用する点に特徴がある。これにより、速やかにコラーゲンペプチドが筋周膜へ到達しうるからである。
本発明で使用するコラーゲンペプチドとしては、魚由来、豚由来、ウシ由来、その他のいずれの動物種に由来するものであってもよく、真皮、腱、骨などのいずれの組織から抽出されたものであってもよい。更に、抽出方法も、酸抽出、アルカリ抽出、酵素抽出、これらを組合せた方法などのいずれの方法で抽出されたものであってもよい。通常、コラーゲンペプチドの平均分子量は数百〜数千である。なお、コラーゲンに特徴的なアミノ酸としてヒドロキシプロリンがある。コラーゲンペプチドの含有量の算出に際しては、ヒドロキシプロリン量を基準にコラーゲンペプチド量を概算することができる。
(4)養鶏
本発明のブロイラーの肉質改良方法では、ブロイラーにコラーゲンペプチドを0.01〜0.8質量%の範囲で含有する養鶏用飼料を給餌すればよい。なお前記したように、ブロイラーの養鶏用飼料は、育雛用、前期用、後期・仕上げ用に大別される場合、本発明では、これらの全てに、コラーゲンペプチドが0.01〜0.8質量%の養鶏用飼料を給餌してもよいが、例えば、そのいずれの飼料として、上記範囲でコラーゲンペプチドを含有する飼料を給餌してもよい。なお、給餌する飼料としてコラーゲンペプチドを0.01〜0.8質量%含有するものを使用すればよく、養鶏に関するその他の条件、例えば、光照射時間、飼養面積、給水条件、飼育温度、などは従前の条件でよい。
(5)肉質
ブロイラーは、脱羽後に、モモ、ムネ、ササミ、手羽元、手羽先・中などに解体され、市販に流通する。肉質の硬度が影響する部位は、筋肉部分が多い、モモ肉やムネ肉である。これら肉質の食感は、官能試験や食感測定装置などによって評価することができる。食感測定装置としては、例えば、株式会社シロ産業のフードレオロジーテスターや、株式会社イマダの食品触感試験機フードレオロジーテスター、株式会社山電のクリープメーター物性試験システム、その他によって評価することができる。後記する実施例に示すように、コラーゲンぺプチドを0.01〜0.8質量%含有する飼料を給餌されたブロイラーのモモ肉の光学顕微鏡像を観察すると、筋周膜の膜厚が厚くなっていた。このモモ肉の物性値をクリープメーターで計測したところ、歯ごたえに対応する破断応力が上昇していた。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
ブロイラーオス(Ross 308 1日齢)50羽を、24時間点灯、水および飼料は自由摂取の条件で飼育した。
1〜7日齢までは、市販の育雛用飼料(日本配合飼料株式会社製、プレスターターC)を与え、育雛器(株式会社フランキ製)内で飼育した。7日齢の時に、体重に有意差が生じないように45羽を選択して15羽ずつの3群とし、更に9個の縦横各1mの木製個別ゲージに各群5羽ずつに区分した。区分後、8〜21日齢までは市販の育雛用飼料(コラーゲン含有量約0.7%)を、22〜50日齢までは後期用飼料(日本配合飼料株式会社製、パワーブロS、コラーゲン含有量約0.7%)を与えた。
第1群は、上記条件であり、これを比較群とした。
第2群は、8〜21日齢、および22〜50日齢の給餌した前記飼料に、それぞれコラーゲンペプチド(株式会社ニッピ製、FCP−A)を0.15質量%添加した飼料を与え、第3群は上記コラーゲンペプチドを0.3質量%添加した飼料を与えた。なお、第2群および第3群の飼料は、トウモロコシ(マルイ産業株式会社)を添加して粗タンパク質量および代謝エネルギー量が等しくなる様に調整した。
飼育終了後、各群に体重の有意差が発生しないように12羽を選別し、更に、有意差がないように6羽ずつに分け、一方を形態解析およびドリップロス測定に用い、他方を物性試験、コラーゲン含有量測定、食感測定試験用とした。なお、統計処理は、Tukey−Kramer、Bonferroni/Dunn、またはクラスカル・ウォリスによる多重比較検定とした。
(1)形態解析
脱羽後、浅胸筋(ムネ肉)、大腿二頭筋(モモ肉)を採取した。各筋肉の筋腹中央から1辺約1cmの試料を1羽あたり4ブロック採取した。
採取した試料をザンボーニ液に24時間浸漬(4℃)した後、定法に従ってパラフィン包埋し、切片採取後、ヴァイゲルト鉄ヘマトキシリンで核媒染し、ポンソーキシリジン・酸フクシン・アゾフロキシンで筋線維を染色し、アニリンブルー・オレンジGで筋膜の染色を行った。このように染色した各試料を光学顕微鏡で観察した。なお、筋周膜は、図1の光学顕微鏡像に示すように、いくつかの筋線維を束ねる薄い筋周膜(細い矢印)と更にこれらを束ねる厚い筋周膜(太い矢印)とに分類される。形態解析として、筋線維径、および厚い筋周膜の厚さを測定した。なお、筋線維径は、1ブロックにつき20ヶ所を測定した。結果を表1に示す。
筋線維径は、ムネ肉の対照群に対し、コラーゲンペプチド0.15%添加群および0.3%添加群で有意に低減したが、モモ肉ではコラーゲンペプチドの添加による統計的有意差は検出されなかった。一方、筋周膜の厚さは、ムネ肉ではいずれの群間においても統計的有意差は検出されなかったが、モモ肉では、対照群に対しコラーゲンペプチド0.3%添加群において有意に厚さが増加していた。なお、コラーゲンペプチド0.15%添加群のモモ肉は、統計的有意差は検出されなかったが、対照群に対して筋周膜の厚さが増加する傾向が観察された。
(2)ドリップロス
ムネ肉について、各筋肉の筋腹中央から約20gを切出して試料とした。重量(Wt0)測定後、キッチンペーパーで二重に包み、4℃で24時間静置した後、再度重量(Wt24)を測定し、ドリップロス(%)=100−(Wt24/Wt0)×100で算出した。結果を表2に示す。
コラーゲンペプチド0.15%添加群でドリップロスが低減する傾向が観察されたが、群間で、統計的有意差は検出されなかった。
(3)物性試験
採取し、−20℃で保存したムネ肉およびモモ肉を解凍し、縦横各10cmに切り取って試料とした。測定温度25±1℃にて、クリープメータ物性試験システム(株式会社山電製 RHONER IIシリーズ、クリープメータRE2−33005S サンプル厚さ計HC2−3305S)を使用し、直径3mm、高さ50mmの円柱プランジャーを用いて、圧縮貫入速度1.00(mm/s)の等速直線運動により測定歪率100%で圧縮破断し、圧縮破断曲線を得た。この圧縮破断曲線に基づいて、図2に示すように、破断応力(符号1:表面の硬さ、噛み切るときの硬さ、最初の歯ごたえに関連する要素)、もろさ応力(符号2:噛みきり感、ザクッと感、モチモチ感に関連する要素)、破断歪率(符号3:しなやか感、伸びる感に関連する要素)、破断エネルギー(符号4:全体の硬さ、上の歯と下の歯が接触するまでに必要なエネルギーに関連する要素)を算出した。測定は、6羽についてそれぞれ5ヶ所を計測し、それぞれの物性値を算出した。ただし、ムネ肉の対照群は、n=29である。結果を表3に示す。なお、測定値は、試料1群6羽の平均値である。
図2に示すように、破断応力ともろさ応力とは、共に最初のピーク点に関連する応力であり、強い相関性が推察される。各群の平均値に基づけば、表3に示すように、破断応力およびもろさ応力の双方で、コラーゲンペプチド0.3%添加群のムネ肉が最高値を示し、破断応力およびもろさ応力の双方で、0.15%添加群のモモ肉が最高値を示した。このような相関は、破断歪率と全体エネルギーにおいても存在し、コラーゲンペプチド0.3%添加群のムネ肉は、破断歪率および全体エネルギーの双方で、最高値を示し、コラーゲンペプチド0.15%添加群のモモ肉は、破断歪率および全体エネルギーの双方で、最高値を示した。
一方、統計学的有意差を検出すると、ムネ肉では、コラーゲンペプチド0.3%添加群は対照群に対して有意に破断応力が増加した。ただし、もろさ応力、破断歪率、全体エネルギーに関しては、群間に有意差は検出されなかった。また、モモ肉は、コラーゲンペプチド0.3%添加群で対照群に対して破断応力が増加し、0.15%添加群では有意差をもって破断応力が増加した。加えて、破断歪率は、コラーゲンペプチド0.15%添加群および0.3%添加群の双方で対照群に対して有意に増加した。破断歪率の増加は、弾性力の増加を意味し、破断応力の増加は硬度の増加を意味する。コラーゲンペプチドの添加により、破断歪率、破断応力で評価される食感が変化した。
(4)コラーゲン含有量
上記(3)により物性試験を終了した試料を用い、筋肉の最外層にある筋上膜を除去して約10gを切出し、コラーゲン測定用試料とした。この試料に含まれるヒドロキシプロリン量を測定し、コラーゲン含有量の変動に近似させた。結果を表4に示す。ムネ肉およびモモ肉の双方において、コラーゲン含有量に関する群間の有意差は検出されなかった。
(5)歯ごたえ
採取し、4℃で24〜48時間保存した試料から、試料重量に有意差がないように各群2羽ずつを選別した。各ブロイラーからムネ肉およびモモ肉を採肉し、それぞれを一辺1.5cmのさいころ状に刻み、オーブントースターにて1200W、8分加熱調理した。この加熱調理した試料の歯ごたえについて感応試験を行った。評価方法は、上記3群の加熱調理試料を食した被検者に、歯ごたえの順に1点、2点、3点で評価させた。歯ごたえが同順の場合は同順の試料に、共に、評価値の平均値を付与させた。なお、ムネ肉とモモ肉とは別個に評価した。なお、ムネ肉に被験者は33人、モモ肉の被験者は24人であった。結果を表5に示す。
ムネ肉において、対照群に対してコラーゲンペプチド0.15%添加群および0.3%添加群において、有意に歯ごたえの増加が観察された。一方、モモ肉では対照群とコラーゲンペプチド添加群との間に有意差は検出されなかったが、歯ごたえが増加される傾向が観察された。
(実施例2)
ブロイラーオス(Ross 308 1日齢)60羽を15羽ずつ4群に区分し、24時間点灯、水および飼料は自由摂取の条件で飼育した。
1〜7日齢までは、市販の育雛用飼料(日本配合飼料株式会社製、プレスターターC)を与え、育雛器(株式会社フランキ製)内で飼育した。8〜21日齢までは市販の育雛用飼料(コラーゲン含有量約0.7%)を、22〜49日齢までは後期用飼料(日本配合飼料株式会社製、パワーブロS、コラーゲン含有量約0.7%)を与えた。
第1群は、上記条件であり、これを比較群とした。
第2群は、8〜21日齢、および22〜49日齢に、前記飼料にコラーゲンペプチド(株式会社ニッピ製、FCP−A)を0.15%添加した飼料を与え、第3群は上記コラーゲンペプチドを0.3%添加した飼料を与え、第4群は、上記コラーゲンペプチドを0.6%添加した試料を与えた。なお、第2群から第4群の飼料は、トウモロコシ(マルイ産業株式会社)を添加して粗タンパク質量および代謝エネルギー量が等しくなる様に調整した。
飼育終了後、各群の体重上位の12羽を選抜し、体重を測定し、実施例1と同様にして筋周膜の厚さを測定し、物性試験および食感を評価した。なお、統計処理は、Tukey−KramerまたはBonferroni/Dunnによる多重比較検定とした。
(1)体重
飼育終了時の体重を測定した。結果を表6に示す。Bonferroni/Dunnによる多重比較検定では、対照群とコラーゲンペプチド添加群との間に有意差は検出されなかったが、コラーゲン投与濃度の増加に伴い体重が増加する傾向が観察された。
(2)形態解析
各群12羽から体重に有意差が生じないように6羽を選抜した。実施例1と同様にして大腿二頭筋(モモ肉)を採取し、染色後、光学顕微鏡で観察した。1羽あたり64ヶ所の薄い筋周膜と厚い筋周膜との厚さを測定した。測定結果を表7に示す。
表7に示すように、薄い筋周膜および厚い筋周膜の双方で、対照群とコラーゲンペプチド0.3%添加群との間に有意差が認められた。
(3)物性試験
各群12羽から体重に有意差が生じないように4羽を選抜した。浅胸筋(ムネ肉)、大腿二頭筋(モモ肉)を採取し、4℃で24時間保存した。縦横各10cmに切り取って物性測定用試料とした。測定温度25±1℃にて、クリープメータ物性試験システム(株式会社山電製 RHONER IIシリーズ、クリープメータRE2−33005S サンプル厚さ計HC2−3305S)を使用し、直径3mm、高さ50mmの円柱プランジャーを用いて、圧縮貫入速度1.00(mm/s)の等速直線運動により測定歪率100%で圧縮破断し、圧縮破断曲線を得た。1試料について5ヶ所を計測し、得られた圧縮破断曲線から、破断応力、もろさ応力、破断歪率、破断エネルギーを算出した。結果を表8、図3〜図6に示す。
表8および図3、図4の結果に示すように、ムネ肉では、破断応力、もろさ応力、破断歪率、および全体エネルギーの全てにおいて、対照群とコラーゲンペプチド添加群との間に統計的有意差は検出されなかった。一方、モモ肉では、対照群に対しコラーゲンペプチド0.3%添加群は統計的有意差をもって破断歪率が高値を示した。また、破断応力、もろさ応力、全体エネルギーは、コラーゲンペプチド0.15〜0.6%添加群の全てにおいて対照群よりも高値を示した。特に、破断応力、破断歪率、全体エネルギーは、コラーゲンペプチド0.3%添加群で何れも最高値を示した。
(総合評価)
実施例1および実施例2の双方において、ブロイラーの体重に関し、対照群とコラーゲンペプチド添加群との間に統計的有意差は検出されなかった。
一方、表3、表8に示すように、コラーゲンペプチドの添加により、破断応力、もろさ応力、破断歪率、全体エネルギーが増加する傾向が観察された。前記したように、表3に示すように、ムネ肉では、コラーゲンペプチド0.3%添加群において対照群に対して有意に破断応力が増加し、モモ肉は、コラーゲンペプチド0.3%添加群で対照群に対して破断応力が増加し、0.15%添加群では有意差をもって破断応力が増加している。さらに、モモ肉の破断歪率は、コラーゲンペプチド0.15%添加群および0.3%添加群の双方で対照群に対して有意に増加している。また、表8に示すように、ムネ肉では対照群とコラーゲンペプチド添加群との間に統計的有意差は検出されなかったが、モモ肉では、対照群に対しコラーゲンペプチド0.3%添加群は統計的有意差をもって破断歪率が高値を示した。

Claims (2)

  1. コラーゲンペプチドを0.2〜0.5質量%の範囲で含有し、肉の破断歪率を増加させることを特徴とする、ブロイラー用飼料。
  2. ブロイラーに、コラーゲンペプチドを0.2〜0.5質量%の範囲で含有する養鶏用飼料を給餌し、肉の破断歪率を増加させることを特徴とする、ブロイラーの肉質改良方法。
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