JP6408388B2 - 発破工法 - Google Patents

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Description

本発明は、発破工法に関し、特に、発破に伴う周辺の所定地点における騒音を低減する発破工法に関する。
トンネル掘削工事では、掘削対象の岩盤(切羽)が極めて堅硬な場合、発破工法が採用される。発破工法では、切羽に複数の装薬孔を穿ち、装薬孔に爆薬を装填し、同時または順次に爆薬を爆発させる。この爆発により、対象物を破砕する。近隣に重要構造物や住宅がある場合、発破工法によって生じる騒音の対策が重要になる。
下記特許文献1では、トンネルの坑内空間を閉塞するように設けられた布袋に、砂、砂礫、乾燥モルタルもしくはそれらの混合物からなる充填材が充填され、この充填材の音絶縁作用および減衰作用によって、音圧の高い低周波騒音がトンネルの外部へ放射されるのを低減している。また下記特許文献2では、トンネルの内部で発破工法による掘削工事を行う場合に、発破現場から坑口までの間の箇所に、所定間隔をおいて、少なくとも2つの仕切壁を適宜設け、これらの仕切壁に小さな断面積の開口を設けている。そして、これらの仕切壁で挟まれた空間を消音用膨張室として作用させ、坑口から放射される発破による音響パワーを低減させている。
特開平7−279599号公報 特公平4−76000号公報
上記したように、防音設備の仕様または配置によって、騒音を低減する方法が知られているが、発破対象とされる岩盤の状態に応じて騒音を低減する方法は提案されていない。そこで本発明は、発破対象とされる岩盤の状態に応じて、発破に伴う周辺の所定地点における騒音を低減することができる発破工法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る発破工法は、トンネル掘削において段発発破を複数回行って発破対象領域が移動する間に、発破対象領域に応じて段発発破の起爆秒時差を設定することで周辺の所定地点における騒音を低減する発破工法であって、第1の発破対象領域を対象とするトンネルの第1の切羽にて、第1の起爆秒時差で段発発破を行い、所定地点において、その段発発破により生じた発破音の低周波域の音圧レベルを測定する第1の発破工程と、第1の発破対象領域に連続する第2の発破対象領域を対象とする第2の切羽にて、第1の起爆秒時差と異なる第2の起爆秒時差で段発発破を行い、所定地点において、その段発発破により生じた発破音の低周波域の音圧レベルを測定する第2の発破工程と、第1の発破工程で測定される音圧レベルと第2の発破工程で測定される音圧レベルとを比較し、第1の発破工程で測定される音圧レベルが第2の発破工程で測定される音圧レベルより小さい場合には、第2の発破対象領域に連続する第3の発破対象領域を対象とする第3の切羽にて、第1の起爆秒時差で段発発破を行い、第2の発破工程で測定される音圧レベルが第1の発破工程で測定される音圧レベルより小さい場合には、第3の切羽にて、第2の起爆秒時差で段発発破を行う、第3の発破工程と、
を含むことを特徴とする。
この発破工法では、段発発破を複数回行うことで、発破対象領域が、発破工事の進行方向(たとえばトンネル掘削における掘進の方向)に移動する。その間、それぞれの段発発破において、発破対象領域に応じて起爆秒時差が設定される。すなわち、第1の発破工程では、第1の起爆秒時差で段発発破が行われ、その次の第2の発破工程では、第1の起爆秒時差と異なる第2の起爆秒時差で段発発破が行われる。それぞれの段発発破に対して、周辺の所定地点における低周波域の音圧レベルが測定される。第2の発破工程の次の第3の発破工程では、第1の発破工程と第2の発破工程のうち、低周波域の音圧レベルが小さかった方の発破工程で採用された起爆秒時差にて、段発発破が行われる。発破工事が行われる実際の岩盤では、近接する(すなわち連続する、または連続しないが互いに近い)発破対象領域において、岩盤の状態は類似すると考えられる。第1の発破工程と第2の発破工程のうち、音圧レベルが小さかった方の起爆秒時差の条件が、騒音を低減する観点で、この岩盤(第1および第2の発破対象領域に相当する岩盤)の状態に適していると考えられる。この発破工法のように、音圧レベルが小さかった方の条件に合わせることで、岩盤の状態に応じて、所定地点における騒音を低減することができる。また、第1の切羽で段発発破を行い、その次の第2の切羽で段発発破を行い、さらにその次の第3の切羽で段発発破を行う場合(トンネル掘削を行う場合)において、岩盤の状態に応じて、所定地点における騒音を低減することができる。
本発明のいくつかの態様に係る発破工法は、トンネルの切羽の状態を評価し、その評価結果に応じて、当該切羽に対する段発発破の発破パターンを決定するパターン決定工程を更に含んでもよい。この発破工法によれば、切羽の状態に応じて段発発破の発破パターンが決定されるため、所定地点における騒音をより一層低減することができる。
連続する2つの切羽において、パターン決定工程によって発破パターンが変わった場合に、2つの切羽のうち後段の切羽に対して第1の発破工程を実施してもよい。この発破工法によれば、トンネルの切羽の状態に応じて発破パターンが決定され、発破パターンが変わった場合に、第1の発破工程が実施される。そして、第1、第2および第3の発破工程を経ることで、新たな発破パターンに適した起爆秒時差の設定が可能になる。
所定地点はトンネルの坑口よりも明かり側に位置しており、連続する2つの発破対象領域における2つの段発発破に関し、2つの発破対象領域のうち後段の発破対象領域の段発発破により生じた発破音の所定地点における低周波域の音圧レベルが、2つの発破対象領域のうち前段の発破対象領域の段発発破により生じた発破音の所定地点における低周波域の音圧レベルよりも大きい場合には、後段の発破対象領域に連続する更に後段の発破対象領域に対して、後段の発破対象領域の段発発破で設定したのとは異なる起爆秒時差で段発発破を行ってもよい。所定地点が坑口よりも明かり側に位置する場合、切羽の進行とともに音圧レベルが小さくなると考えられる。よって、音圧レベルが大きくなった場合には、後段の発破対象領域の段発発破で設定した起爆秒時差よりも、その岩盤に適した起爆秒時差が存在すると考えられる。音圧レベルが大きくなった場合に起爆秒時差を設定し直すことにより、岩盤に適した起爆秒時差とし、所定地点における騒音を低減することができる。
本発明の発破対象とされる岩盤の状態に応じて、発破に伴う周辺の所定地点における騒音を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る発破工法が適用されたトンネル掘削現場を示す模式図である。 図1中の切羽における発破パターンすなわち起爆孔の配置例を示す正面図である。 起爆孔における爆薬および雷管の配置例を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る発破工法の実施手順を示すフロー図である。 (a)は図1のトンネル掘削現場における発破パターンを示す模式図、(b)は各発破工程における起爆秒時差を示す図である。 発破パターン変更点以降の発破工程を模式的に示す斜視図である。 切羽における発破パターンすなわち起爆孔の他の配置例を示す正面図である。 試験によって得られた、周波数帯に対応する音圧レベルを示すグラフである。 試験によって得られた、坑外距離と低周波音圧レベルとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、本実施形態の発破工法は、堅硬な岩盤からなる地層Xに対するトンネル掘削に適用される工法である。トンネル掘削は、図示矢印方向(図1の右方向)に進行する。この発破工法では、トンネル掘削が行われる際、トンネルTNLの周囲(たとえば坑口Mよりも明かり側)に位置する所定地点Sで生じる騒音を低減させる。
図2に示されるように、発破を行う際、切羽Aには、複数の起爆孔10が設けられる。複数の起爆孔10は、切羽Aにおいて、段発発破を行うための複数の起爆孔群101〜108を成している。図2に示される起爆孔10の配列パターンはあくまで一例であり、個数および配列パターンは適宜変更できる(以下、起爆孔10の個数および配列パターンを含む概念を「発破パターン」という)。複数の起爆孔10の段数および配列は、公知の方法に基づいて決定することができる。
図3に示されるように、各起爆孔10には、たとえば孔11内に配置された複数の爆薬(いわゆる親ダイおよび増ダイ)12と、奥側の爆薬(いわゆる親ダイ)12に設けられた雷管13と、爆薬12の手前側に設けられた込め物14とが設けられている。
本実施形態の発破工法では、雷管13としては、1ms単位での起爆秒時設定が可能な電子雷管を用いる。この電子雷管は、切羽Aでの実施工に即し、起爆秒時設定を切羽Aにて任意に変更・設定できる機能を有している。この電子雷管では、たとえば1ms〜30msの範囲において、起爆秒時差を1ms単位で設定可能である。電子雷管を採用することにより、段発発破で生じる低周波音の音圧レベルをコントロール可能になっており、その結果として、所定地点Sで生じる騒音を低減することができる。
続いて、図4を参照しながら、本実施形態の発破工法の手順について説明する。以下の発破工法では、トンネル掘削が進行する間、岩盤の状態に応じて発破パターンを決定する。そして、所定の発破パターンで発破を行う間、所定地点Sにおける低周波音の音圧レベル(すなわち発破音の低周波域の音圧レベル)に応じて、続けて行う発破の起爆秒時差を設定する。なお、この場合の「低周波域」とは、周波数100Hz以下であってもよく、周波数80Hz以下であってもよい。「低周波域」は、周波数50Hz以下であってもよい。
まず、切羽A(岩盤)の状態を評価する(ステップS01)。この工程では、公知の方法にて切羽Aの状態を評価する。たとえば、圧縮強度や風化変質、割れ目の間隔、割れ目の状態、湧水量等を含む複数の観察項目について採点し、その採点の結果に応じて、複数の岩石グループのうちいずれに区分されるかを決定するいわゆる切羽評価点法が用いられ得る。切羽評価点法では、切羽Aは、たとえば硬質塊状岩盤、中硬質軟質塊状岩盤、中硬質層状岩盤、および軟質層状岩盤の4種類の岩石グループに区分され得る。なお、切羽Aの評価手法は、この切羽評価点法に限られず、これ以外の手法が用いられてもよい。
次に、切羽Aの発破パターンを決定する(ステップS02)。この工程では、ステップS01における切羽評価工程の評価結果に応じて、切羽Aに対する段発発破の発破パターンを決定する。たとえば、図2に示されるような、起爆孔群101〜109を備えた段発発破の発破パターンが決定される。発破パターンは、上記したように、起爆孔10の個数および配列パターンを含む概念であり、起爆孔10あたりの薬量(最大斉発薬量)すなわち総装薬量をも含む概念である。装薬量は、岩盤の状態および進行長(掘進長)に基づいて決められ得る。たとえば、トンネル掘進の進行長を一定として考えると、岩盤が硬い方が、装薬量が多くなる。ステップS01およびS02は、トンネルTNLの切羽Aの状態を評価し、その評価結果に応じて、切羽Aに対する段発発破の発破パターンを決定するパターン決定工程に相当する。いったん発破パターンが決定されると、次にパターン決定工程が行われて発破パターンが変更されるまで、同じ発破パターンが繰り返し採用される(図5(a)参照)。
次に、第1の起爆秒時差および第2の起爆秒時差を決定する(ステップS03)。この工程では、いかなる方法で第1および第2の起爆秒時差を決定してもよいが、たとえば、既存の知見(たとえば岩盤の状態が似ている他の現場の発破実績)に基づいて起爆秒時差を決定することができる。ここで、第2の起爆秒時差は、第1の起爆秒時差とは異ならせる。
次に、予め定めた第1の起爆秒時差で切羽A(第1の切羽)の段発発破を行い、所定地点Sにおける低周波音(発破音の低周波域)の音圧レベルL1を測定する(ステップS04;第1の発破工程)。図5(b)および図6に示されるように、第1の発破工程B1で発破対象となるのは、切羽Aと所定の進行長とに応じて定まる第1の発破対象領域R1である。本実施形態で利用され得る音圧レベル計は、たとえば「低周波音レベル計 NA−18」または「低周波音レベル計 NA−18A」(いずれもリオン社製)である。このような音圧レベル計が、所定地点Sに設置される(所定地点Sは一箇所でもよく複数箇所でもよい)。本実施形態において低周波音の音圧レベルを測定するのは、この周波数域の音圧レベルが、起爆秒時差の影響を受けやすいからである。本実施形態で測定対象とする音圧レベルは、周波数100Hz以下の音圧レベルであってもよく、周波数80Hz以下の音圧レベルであってもよい。たとえば、測定対象の音圧レベルは、周波数50Hz以下の音圧レベルであってもよい。岩盤の状態や発破パターン等に応じて、起爆秒時差の影響を受けやすい周波数域を適宜設定することができる。
また、本実施形態で測定対象とする音圧レベルは、例えば、トンネル工事に際して設置される防音扉や防音壁の遮音効果によって、低減する必要がある低周波騒音域を便宜設定することができる。例えば、あるトンネル坑口の防音扉や防音壁の設置により周波数50Hzより上の周波数域では防音扉や防音壁の遮音効果が十分であるが、周波数域50Hz以下では遮音効果が不十分であれば、測定対象とする周波数域は50Hz以下とすればよい。あるトンネルでは、防音扉、防音壁のいずれか一つの防音設備の設置のため、周波数80Hzより上の周波数域では音圧レベルの遮音効果が十分であるが、周波数域80Hz以下では音圧レベルの遮音効果が不十分であれば、測定対象とする周波数域は80Hz以下とすればよい。このように設定される発破音の低周波域は、一般的に低周波域といわれる低周波域といわれる範囲であれば便宜設定してよい。例えば、周波数100Hz以下であれば便宜設定できる(例えば、100Hz以下、80Hz以下、50Hz以下、30Hz以下等)。
次に、予め定めた第2の起爆秒時差で切羽Aの次の切羽(第2の切羽)の段発発破を行い、所定地点Sにおける低周波音の音圧レベルL2を測定する(ステップS05;第2の発破工程)。図5(b)および図6に示されるように、第2の発破工程B2で発破対象となるのは、切羽Aの次の切羽A2と所定の進行長とに応じて定まる、第2の発破対象領域R2である。第2の発破対象領域R2は、第1の発破対象領域R1の進行方向下流側に連続している。続いて、切羽Aの段発発破で得られた音圧レベルL1と、切羽Aの次の切羽A2の段発発破で得られた音圧レベルL2とのどちらが小さいかを判断する(ステップS06)。
ステップS06において、音圧レベルL1の方が小さいと判断されると、第1の起爆秒時差で切羽A2の次の切羽(第3の切羽)の段発発破を行い、所定地点Sにおける低周波音の音圧レベルL3を測定する(ステップS07;第3の発破工程)。一方、ステップS06において、音圧レベルL2の方が小さいと判断されると、第2の起爆秒時差で切羽A2の次の切羽(第3の切羽)の段発発破を行い、所定地点Sにおける低周波音の音圧レベルL3を測定する(ステップS08;第3の発破工程)。図5(b)および図6に示されるように、第3の発破工程B3で発破対象となるのは、切羽A2の次の切羽A3と所定の進行長とに応じて定まる、第3の発破対象領域R3である。第3の発破対象領域R3は、第2の発破対象領域R2の進行方向下流側に連続している。
図5および図6を参照して上記手順の一例を説明すると、まず、トンネルTNLにおいて、切羽Aの発破を行う。このとき、第1および第2の起爆秒時差として、起爆秒時差tbおよび起爆秒時差tcが決定される(tb≠tc)。そして、起爆秒時差tbで、第1の発破対象領域R1に対して第1の発破工程B1が行われる。続いて、起爆秒時差tcで、第2の発破対象領域R2に対して第2の発破工程B2が行われる。ここで、第1の発破工程B1で得られた音圧レベルL1と、第2の発破工程B2で得られた音圧レベルL2とのどちらが小さいかが判断される。図5(b)に示す例では、第2の発破工程B2で得られた音圧レベルL2の方が小さいと判断されており、したがって、第3の発破対象領域R3に対して、起爆秒時差tcで第3の発破工程B3が行われる。
このように、本実施形態の発破工法では、段発発破を複数回行うことで、発破対象領域が、発破工事の進行方向(たとえばトンネル掘削における掘進の方向)に移動する。その間、それぞれの段発発破において、発破対象領域に応じて起爆秒時差が設定される。すなわち、第1の発破工程B1では、第1の起爆秒時差tbで段発発破が行われ、その次の第2の発破工程B2では、第1の起爆秒時差tbと異なる第2の起爆秒時差tcで段発発破が行われる。それぞれの段発発破に対して、周辺の所定地点Sにおける低周波域の音圧レベルが測定される。第2の発破工程B2の次の第3の発破工程B3では、第1の発破工程B1と第2の発破工程B2のうち、低周波域の音圧レベルが小さかった方の発破工程で採用された起爆秒時差(上記の例では起爆秒時差tc)にて、段発発破が行われる。発破工事が行われる実際の岩盤では、近接する(すなわち連続する、または連続しないが互いに近い)発破対象領域において、岩盤の状態は類似すると考えられる。第1の発破工程B1と第2の発破工程B2のうち、音圧レベルが小さかった方の起爆秒時差tcが、騒音を低減する観点で、この岩盤(第1および第2の発破対象領域R1,R2に相当する岩盤)の状態に適していると考えられる。この発破工法のように、音圧レベルが小さかった方の条件に合わせることで、岩盤の状態に応じて、所定地点Sにおける騒音を低減することができる。しかも、騒音を低減することを目的として総装薬量を少なくするといった方法を採る必要がなく、総装薬量を変えずに騒音を低減することができる。また、切羽の形状を変更するといった方法を採る必要がなく、切羽の形状を変更することなく低減することができる。
特に、所定地点Sにおける音圧レベルの測定では、低周波音である低周波域の音圧レベルを測定している。その結果、低周波域の音圧レベルが小さくなるような起爆秒時差が設定される。低周波域の低周波音は、防音壁等の防音設備による減衰効果が得られにくい帯域であるため、低周波音の音圧レベルを低減させることで、防音設備の機能を十分に引き出すことができる。
また、第1の発破工程B1、第2の発破工程B2および第3の発破工程B3がトンネルTNLの連続する切羽で行われるため、トンネル掘削を行う場合においても、岩盤の状態に応じて、所定地点Sにおける騒音を低減することができる。
図4に戻り、第1の発破工程B1〜第3の発破工程B3が終了すると、切羽A4(岩盤)の状態を評価し(ステップS09)、切羽A4の発破パターンを決定する。この工程は、ステップS01の工程と同様に行われるものであり、トンネルTNLの切羽A4の状態を評価し、その評価結果に応じて、切羽A4に対する段発発破の発破パターンを決定するパターン決定工程に相当する。次に、発破パターンを変更するか否かが判断され(ステップS10)、発破パターンを変更する場合は、ステップS03の第1および第2の起爆秒時差の決定工程に戻る。
このステップS10においても、切羽A4の評価結果に応じて、切羽A4に対する段発発破の発破パターンを決定する。発破パターンの変更内容としては、種々のものが考えられるが、たとえば、起爆孔10の個数の増減、配列パターンの変更、発破順序の変更(たとえば図2に示される起拱点SL(Spring Line)を基準として、上下半を連動させる、または上半から下半へと順次に行う等)等が挙げられる。たとえば、図7に示されるように、起爆孔10の個数が増やされて、これら複数の起爆孔10が段発発破を行うための複数の起爆孔群200〜208を成した発破パターンを採用してもよい。たとえば、上記した切羽評価点法を用いる場合には、切羽A4が硬質塊状岩盤であると評価された場合に、図7に示されるように総装薬量を増やすことができる。
このように、発破パターンを変更する場合には、上記した第1の発破工程B1〜第3の発破工程B3を繰り返す。図5を参照して上記手順の一例を説明すると、図5(a)に示されるように、トンネルTNL内の2箇所において、発破パターンが変更されている。図5(b)に示されるように、第1の発破パターンPaから第2の発破パターンPbへと変更されている箇所以降では、第2の発破パターンPbにて、第1の発破工程B1〜第3の発破工程B3が行われている。第2の発破パターンPbから第3の発破パターンPcへと変更されている箇所以降では、第3の発破パターンPcにて、第1の発破工程B1〜第3の発破工程B3が行われている。
本実施形態の発破工法では、切羽の評価結果に応じて発破パターンを変更すべきか否かを決定し、発破パターンを変更する場合には、上記した第1の発破工程B1〜第3の発破工程B3を繰り返す。このように、パターン決定工程において、切羽の状態に応じて段発発破の発破パターンが決定されるため、所定地点Sにおける騒音をより一層低減することができる。
また、発破パターンが変わった場合に、第1の発破工程B1が実施される。そして、第1、第2および第3の発破工程B1〜B3を経ることで、新たな発破パターンに適した起爆秒時差の設定が可能になる。
図4に戻り、ステップS10において、発破パターンを変更しない場合は、切羽A2の段発発破で得られた音圧レベルL2と、切羽A2の次の切羽A3の段発発破で得られた音圧レベルL3とのどちらが小さいかを判断する(n=2;ステップS11)。
ステップS11において、音圧レベルL2の方が小さいと判断されると、起爆秒時差を変更して切羽A4の段発発破を行い、所定地点Sにおける低周波音の音圧レベルL4を測定する(n=2;ステップS12)。一方、ステップS11において、音圧レベルL3の方が小さいと判断されると、起爆秒時差を維持して(切羽A3の発破と同じ起爆秒時差で)切羽A4の段発発破を行い、所定地点Sにおける低周波音の音圧レベルL4を測定する(n=2;ステップS13)。ステップS12またはステップS13の終了後、ステップS09に戻り、岩盤の状態評価を行う。以下、ステップS09以降の処理を行い、発破パターンを変更する場合には、第1〜第3の発破工程を行う。発破パターンを変更しない場合には、連続する2つの発破対象領域における段発発破で生じた音圧レベルを比較しながら、次の段発発破の起爆秒時差を決定していく(その場合、nの数値が1ずつ増やされる)。
このように、連続する2つの発破対象領域R2,R3における2つの段発発破B2,B3に関し、2つの発破対象領域R2,R3のうち後段の発破対象領域R3の段発発破B3により生じた発破音の所定地点における低周波音の音圧レベルL3が、前段の発破対象領域R2の段発発破B2により生じた発破音の所定地点における低周波音の音圧レベルL2よりも大きい場合には、後段の発破対象領域R3に連続する更に後段の発破対象領域R4に対して、後段の発破対象領域R3の段発発破B3で設定したのとは異なる起爆秒時差で段発発破を行う(図5(b)参照)。この場合、新たに設定される起爆秒時差は、発破対象領域R2等において既に適用された起爆秒時差であってもよいし、まだ適用されていない起爆秒時差であってもよい。
所定地点Sが坑口Mよりも明かり側に位置する場合、切羽の進行とともに音圧レベルが小さくなると考えられるが、それにも関わらず切羽の進行とともに音圧レベルが大きくなった場合には、後段の発破対象領域の段発発破で設定した起爆秒時差よりも、その岩盤に適した起爆秒時差が存在すると考えられる。よって、音圧レベルが大きくなった場合に起爆秒時差を設定し直すことにより、岩盤に適した起爆秒時差とし、所定地点における騒音を低減することができる。
本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、岩盤の状態評価を逐一行わなくてもよく、段発発破を複数回繰り返した後に、適宜のタイミングで岩盤の状態評価を行ってもよい。本発明は、トンネル掘削に限られず、他の発破工事にも適用可能である。たとえば、本発明を明かり工事に適用してもよい。騒音を低減させる地点は、坑口の明かり側に限られず、トンネルTNLの上方の地点等であってもよい。
(試験例)
トンネル掘削現場において、起爆秒時差を3段階に変化させて発破試験を行った。ケース1では、起爆孔を72孔とし、起爆孔1孔あたりの薬量を約600gとして、起爆秒時差を30msに設定した。発破順序は、上下半連動とした。切羽の位置は、坑口Mから129mであった。ケース2では、起爆孔を63孔とし、起爆孔1孔あたりの薬量を約600gとして、起爆秒時差を上半において7msに設定し、下半において21msに設定した。発破順序は、上半から下半へと順次に行う方式とした。切羽の位置は、坑口Mから131mであった。ケース3では、起爆孔を64孔とし、起爆孔1孔あたりの薬量を約600gとして、起爆秒時差を上半、下半とも17msに設定した。発破順序は、上半から下半へと順次に行う方式とした。切羽の位置は、坑口Mから133mであった。
坑外距離約70mの地点には、防音壁が設けられた。トンネル坑内の切羽付近の地点、坑外であって防音壁手前側(トンネル側)の地点、坑外であって防音壁向こう側(トンネルとは反対側)の地点、および、この地点から更に離れた地点の計4地点に音圧レベル計を設置し、騒音・低周波音圧レベルを測定した。
図8は、試験によって得られた、周波数帯に対応する音圧レベルを示すグラフである。図8に示されるように、全体の騒音レベル(図8中において「F」で示された騒音レベル)は、起爆秒時差が異なる各ケースでほぼ同じであった。このことから、秒時間隔の調整によって全体の騒音レベルを低減させるのは難しいことがわかる。一方、起爆秒時差を17msに設定したケース3では、起爆秒時差を30msに設定したケース1に比して、低周波数成分(周波数16Hz付近)が減少しており、高周波数成分(周波数8kHz付近)が増加していることがわかる。このように、起爆秒時差を17msに設定することで、低周波音の音圧レベルが減少することがわかった。このように、起爆秒時差を調整することで、音の周波数帯を高周波数側にシフトさせることができる。
図9は、試験によって得られた、坑外距離と低周波音圧レベルとの関係を示すグラフである。図9に示されるように、起爆秒時差を7msに設定したケース2よりも起爆秒時差を30msに設定したケース1の方が、低周波音成分を低減できており、起爆秒時差を30msに設定したケース1よりも起爆秒時差を17msに設定したケース3の方が、低周波音成分を更に低減できていることがわかる。防音設備が得意とする高周波数帯に音の高さをシフトさせることにより、防音設備を用いた場合の全体の騒音レベルを低減できることがわかる。
10…起爆孔、12…爆薬、13…雷管、A…切羽(発破対象領域)、A2…第2の切羽、A3…第3の切羽、B1…第1の発破工程、B2…第2の発破工程、B3…第3の発破工程、R1…第1の発破対象領域、R2…第2の発破対象領域、R3…第3の発破対象領域、S…所定地点、TNL…トンネル。

Claims (4)

  1. トンネル掘削において段発発破を複数回行って発破対象領域が移動する間に、発破対象領域に応じて段発発破の起爆秒時差を設定することで周辺の所定地点における騒音を低減する発破工法であって、
    第1の発破対象領域を対象とするトンネルの第1の切羽にて、第1の起爆秒時差で段発発破を行い、前記所定地点において、その段発発破により生じた発破音の低周波域の音圧レベルを測定する第1の発破工程と、
    前記第1の発破対象領域に連続する第2の発破対象領域を対象とする第2の切羽にて、第1の起爆秒時差と異なる第2の起爆秒時差で段発発破を行い、前記所定地点において、その段発発破により生じた発破音の低周波域の音圧レベルを測定する第2の発破工程と、
    前記第1の発破工程で測定される音圧レベルと前記第2の発破工程で測定される音圧レベルとを比較し、
    前記第1の発破工程で測定される音圧レベルが前記第2の発破工程で測定される音圧レベルより小さい場合には、前記第2の発破対象領域に連続する第3の発破対象領域を対象とする第3の切羽にて、前記第1の起爆秒時差で段発発破を行い、
    前記第2の発破工程で測定される音圧レベルが前記第1の発破工程で測定される音圧レベルより小さい場合には、前記第3の切羽にて、前記第2の起爆秒時差で段発発破を行う、第3の発破工程と、
    を含むことを特徴とする発破工法。
  2. 前記トンネルの切羽の状態を評価し、その評価結果に応じて、当該切羽に対する段発発破の発破パターンを決定するパターン決定工程を更に含む
    ことを特徴とする請求項に記載の発破工法。
  3. 連続する2つの切羽において、前記パターン決定工程によって発破パターンが変わった場合に、前記2つの切羽のうち後段の切羽に対して前記第1の発破工程を実施する
    ことを特徴とする請求項に記載の発破工法。
  4. 前記所定地点は前記トンネルの坑口よりも明かり側に位置しており、
    連続する2つの発破対象領域における2つの段発発破に関し、前記2つの発破対象領域のうち後段の発破対象領域の段発発破により生じた発破音の前記所定地点における低周波域の音圧レベルが、前記2つの発破対象領域のうち前段の発破対象領域の段発発破により生じた発破音の前記所定地点における低周波域の音圧レベルよりも大きい場合には、前記後段の発破対象領域に連続する更に後段の発破対象領域に対して、前記後段の発破対象領域の段発発破で設定したのとは異なる起爆秒時差で段発発破を行う
    ことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の発破工法。
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