JP6408242B2 - コーティング剤の量の測定方法 - Google Patents
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Description
[2]近赤外光の吸収の測定が、前記コーティング剤のコーティング処理中に行われる、[1]に記載の測定方法。
[3]近赤外光の吸収の測定が、前記コーティング処理中に連続的又は断続的に行われる、[2]に記載の測定方法。
[4]長鎖炭化水素基を有する化合物が、テトラデカノール、セタノール、オクタデカノール、エイコサノール、ヘキサデカン、又はラウリル硫酸ナトリウムの少なくともいずれかを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の測定方法。
[5]長鎖炭化水素基を有する化合物が、セタノール、又はラウリル硫酸ナトリウムの少なくともいずれかを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の測定方法。
[6]測定された1600nm〜1800nmの波長域のピーク吸光度に基づいて、コーティング剤の量を算出する、[1]〜[5]のいずれかに記載の測定方法。
[7]測定されたピーク吸光度の前後の波長の吸光度であって、前記ピーク吸光度に影響されない吸光度に基づいて、ピーク吸光度のベースラインを補正し、当該補正されたベースラインに対するピーク吸光度に基づいてコーティング剤の量を算出する、[1]〜[6]のいずれかに記載の測定方法。
[8]固形製剤が、顆粒剤または錠剤である[1]〜[7]に記載の測定方法。
[9]固形製剤にコーティングされたコーティング剤の量を測定する装置であって、コーティング液には、炭素数6〜24の長鎖炭化水素基を有する化合物と、水が含まれており、1600nm〜1800nmの波長域の近赤外光の前記化合物による吸収または散乱を測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づいてコーティング剤の量を算出する算出部と、を有する測定装置。
[10]前記近赤外光の吸収の測定が、前記コーティング剤のコーティング処理中に行われる、[9]に記載の測定装置。
[11]前記近赤外光の吸収の測定が、前記コーティング処理中に連続的又は断続的に行われる、[10]に記載の測定装置。
[12]長鎖炭化水素基を有する化合物が、テトラデカノール、セタノール、オクタデカノール、エイコサノール、ヘキサデカンまたはラウリル硫酸ナトリウムである[9]〜[11]のいずれかに記載の測定装置。
[13]前記化合物は、セタノール、又はラウリル硫酸ナトリウムの少なくともいずれかを含む、[9]〜[12]のいずれかに記載の測定装置。
[14]前記算出部は、測定された1600nm〜1800nmの波長域の一つのピーク吸光度に基づいて、コーティング剤の量を算出する、[9]〜[13]のいずれかに記載の測定装置。
[15]前記算出部は、測定されたピーク吸光度の前後の波長の吸光度であって、前記ピーク吸光度に影響されない吸光度に基づいて、ピーク吸光度のベースラインを補正し、当該補正されたベースラインに対するピーク吸光度に基づいてコーティング剤の量を算出する、[9]〜[14]のいずれかに記載の測定装置。
[16]固形製剤が、顆粒剤または錠剤である[9]〜[15]のいずれかに記載の測定装置。
[17]固形製剤のコーティングを行うコーティング装置であって、[9]〜[16]のいずれかに記載の固形製剤のコーティング剤の量の測定装置を備えた、コーティング装置。
[18]コーティング前の固形製剤を収容するチャンバと、前記チャンバ内の固形製剤にコーティング液を噴霧する噴霧部と、を有し、前記チャンバには、前記測定装置の測定部による前記コーティング剤による近赤外光が透過する窓が設けられている、[17]に記載の装置。
[19]前記噴霧部により前記固形製剤にコーティング液を噴霧している間、連続的又は断続的に前記測定装置の算出部にコーティング剤の量を算出させ、前記算出部により算出されたコーティング剤の量が所定のコーティング剤の量になったときに、前記噴霧部によるコーティング液の噴霧を停止させる制御部を、さらに有する、[18]に記載の装置。
[20][17]〜[19]のいずれかに記載の装置によってコーティングされた固形製剤。
[21][17]〜[19]のいずれかに記載の装置によってコーティングされた固形製剤の製造方法。
[22][1]〜[8]のいずれかに記載のコーティング剤の量の測定方法を、コンピュータに実現させるためのプログラム。
[23][9]〜[16]のいずれかに記載のコーティング剤の量を測定する装置の制御を、コンピュータに実現させるためのプログラム。
[24][17]〜[19]のいずれかに記載のコーティング装置の制御を、コンピュータに実現させるためのプログラム。
好ましくは、テトラデカノール、セタノール、オクタデカノール、エイコサノール、ヘキサデカン、ラウリル硫酸ナトリウムである。
これらの化合物を2種以上、使用してもよい。例えば、セタノールとラウリル硫酸ナトリウムは、同じ波長域で吸収特異性を示す(図2)。したがって、両者を併用することにより、その波長域で吸収特異性が顕著になり、検出感度が増大する。
コーティング装置の例としては、転動流動コーティング装置、遠心流動造粒コーティング装置、流動層造粒コーティング装置、ワースター型流動層造粒コーティング装置、複合型流動層コーティング装置、微粒子コーティング装置等を挙げることができる。
本発明のコーティング剤の量の測定は、特定の波長域の近赤外光の吸光度を測定することによって行われる。まず、コーティングされた固形製剤に電磁波を照射し、反射した電磁波を捕らえ、分光させることによって、目的とする波長域の吸光スペクトルを得る。得られた吸光スペクトルについて、後述する所定の処理を施し、予め得られている吸光度とコーティング剤の量の検量線から、コーティング剤の量を算出する。
コーティング液中には、目的とする波長域で近赤外光を吸収する物質をマーカーとして添加する。固形製剤中にマーカーと同一の物質が含まれる際には、適切に補正を行う。
別の観点による本発明は、固形製剤にコーティングされたコーティング剤の量を測定する装置である。本装置には、前記コーティング剤による近赤外光の吸収を測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づいてコーティング剤の量を算出する算出部と、を有する。
別の観点による本発明は、固形製剤のコーティングを行う装置であって、上述のコーティング剤の量の測定装置を備えた、コーティング装置である。このコーティング装置は、コーティング前の固形製剤を収容するチャンバと、前記チャンバ内の固形製剤にコーティング液を噴霧する噴霧部とを有する。前記チャンバには、近赤外光が透過する窓が設けられていることが好ましい。
別の観点による本発明は、上述のコーティング剤の量の測定方法をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
先ず、測定部30の光源からチャンバ11内の固形製剤Cの表面に電磁線が照射され、測定部30のセンサにより、固形製剤C表面のコーティング剤Dから反射する電磁線を検出する。測定部30では、この電磁線が分光され、1600nm〜1800nmの波長域の吸光スペクトルが検出される。コーティング剤D中の炭素数6〜24の長鎖炭化水素基を有する化合物は、この1600nm〜1800nmの波長域の近赤外光に特異的な吸収を示すため、コーティング剤Dの量が多くなればなるほど、当該波長域の近赤外光の吸収が多くなり、吸光度が大きくなる。具体的には、例えば図3に示すような吸光スペクトルが検出される。
A'1730nm=A1730nm-max−{A1740nm−(1740−1730)/(1740−1714)×(A1740nm−A1714nm)}
また、吸光スペクトルに、上述のベースラインの補正を施してから、これらの解析を行うと、さらに正確な測定が可能になる。
結晶セルロース粒子(セルフィアCP-102、旭化成ケミカルズ)950gに、転動流動コーティング装置(MP-01、パウレック)を使用して、10%のアセトアミノフェン及び2%ヒドロキシプロピルセルーロスを含有する水溶液500gを噴霧し、アセトアミノフェン顆粒を製造した。
核粒子、薬物を表1に示したものとした以外は、製剤例1と同様の方法で、薬物顆粒を製造した。
表2に示した処方により、均一なコーティング液を調製した。このコーティング液を製剤例1〜4の薬物顆粒に対して、転動流動コーティング装置(MP-01、パウレック)を使用して噴霧した。各薬物顆粒について、顆粒の平均重量に対するコーティング剤の量が、約2.85、5.7、8.55、11.4、14.25または17.1wt%となるまでコーティングを施した(セタノール量として、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5または3.0wt%)。なお、コーティング剤の量は、コーティング時間から算出した。
その結果、セタノールによる吸収は、1214nm付近(2倍音由来)、1730nm付近(1倍音由来)及び2310nm付近(基準振動由来)に観測された。セタノールのメチレン基による933nm付近(3倍音由来)の吸収は、明確には観測されなかった。
これらの波長域において、コーティング剤の量と2次微分スペクトルの変化との関係について、回帰分析(Regression Analysis)を行った(表4)。製剤例1〜4のいずれの場合にも、1730nm付近の波長を解析に用いた場合に、最も良い相関を示した。
一方、セタノールのメチレン基による933nm付近(3倍音由来)では、正確な測定を行うことができなかった。これはタルクの水酸基による944nm付近の近赤外光の吸収により、メチレン基による933nm付近の吸収が埋もれてしまった影響と考えられた。
以上の結果より、本発明にかかるコーティング剤の量の測定方法によって、コーティング剤の量を精度良く算出することができることが明らかになった。
表5に示した処方のコーティング液(アクアコートECD、DSP五協フード&ケミカルズ株式会社)を使用した。このコーティング液を乳糖核粒子(乳糖200M、DFE Pharma)に対して、微粒子コーティング装置(スーパーファインプロセッサSFP-10、パウレック)を使用して噴霧した。コーティング装置の窓を通して、10秒ごとに近赤外光の吸収スペクトルを測定した。コーティング剤の量が約30%となった時点で、測定を終了した。測定条件を表6に示した。なお、コーティング剤の量は、コーティング時間から算出した。
以上の結果より、コーティング処理を実施している間であっても、コーティング剤の量を経時的に測定できることが示された。
実施例2と同様の方法で、コーティング顆粒を製造した。この顆粒について、実施例2と同様の測定条件で、吸光スペクトルの測定を行った。測定時間はコーティング開始から8200秒間とし、10秒ごとに1回測定を行った。その結果、得られた吸光スペクトルを図3に示す。そのうち、約1705〜1745nmの波長域の吸光度を図4に示す。
波長(b)1730nmのピーク吸光度(A1730nm)の前後の1714nmおよび1740nmの吸光度(それぞれ、A1714nm、A1740nm)を結ぶ直線を、補正のためのベースラインとした。以下の式にしたがって、補正吸光度を算出した。
A'1730nm=A1730nm-max−{A1740nm−(1740−1730)/(1740−1714)×(A1740nm−A1714nm)}
なお、この補正を行わなかった場合の相関係数は、0.8121であった。
2個のビーカーに結晶セルロース顆粒を入れ、一方には何も加えず、もう一方には結晶セルロースが完全に浸されるまで水を入れた。また、固体状態のセタノールを別のビーカーに入れた。これらのサンプルについて、実施例1と同様の条件で近赤外光の吸収スペクトルを測定した。その2次微分スペクトルを図8に示した。
その結果、910〜970nmの波長域では、水に浸した結晶セルロースと水に浸さない結晶セルロースでは、吸光量に差が生じることが明らかになった。一方、1700〜1760nmの波長域では、両者間に差異はなかった。したがって、セタノールを指標として、近赤外光の吸光度を測定する際には、後者の波長域を使用すると、水の吸光スペクトルの影響を受けないことが明らかになった。
表8に示した処方のコーティング液(アクアコートECD、DSP五協フード&ケミカルズ株式会社)を使用した。アセトアミノフェン核粒子(イワキ株式会社)に対し、流動化剤としてアエロジル(日本アエロジル)を添加し、コーティング装置SFP-10(パウレック)を使用してコーティング液を噴霧した。コーティング装置の窓を通して、60秒ごとに近赤外光の吸収スペクトルを測定した。コーティング剤の量が約30%となった時点で、測定を終了した。測定条件を表9に示した。なお、コーティング剤の量は、サンプリングした顆粒重量(水分補正)と高速液体クロマトグラフィーより求めたアセトアミノフェン重量の差分から算出した。
また、コーティング時間と、2次微分スペクトルの変化との関係について、回帰分析を行った結果,両者には良好な相関が認められた(表11、図10)。コーティング量とコーティング時間と関係は式(数3)のとおりであった。
コーティング量[wt%]=定数0.27×コーティング時間[min]
10 測定装置
11 チャンバ
12 噴霧部
30 算出部
31 測定部
A、C 固形製剤
B コーティング液
D コーティング剤
Claims (17)
- 固形医薬製剤にコーティングされたコーティング剤の量を測定する方法であって、
コーティング液には、炭素数6〜24の長鎖炭化水素基を有する化合物と、水が含まれており、
1600nm〜1800nmの波長域の近赤外光の前記化合物による吸収を測定し、その測定結果に基づいてコーティング剤の量を算出する測定方法。 - 前記近赤外光の吸収の測定が、前記コーティング剤のコーティング処理中に行われる、請求項1に記載の測定方法。
- 前記近赤外光の吸収の測定が、前記コーティング処理中に連続的又は断続的に行われる、請求項2に記載の測定方法。
- 長鎖炭化水素基を有する化合物が、テトラデカノール、セタノール、オクタデカノール、エイコサノール、ヘキサデカン、又はラウリル硫酸ナトリウムの少なくともいずれかを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の測定方法。
- 長鎖炭化水素基を有する化合物が、セタノール、又はラウリル硫酸ナトリウムの少なくともいずれかを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の測定方法。
- 測定された1600nm〜1800nmの波長域のピーク吸光度に基づいて、コーティング剤の量を算出する、請求項1〜5のいずれかに記載の測定方法。
- 測定されたピーク吸光度の前後の波長の吸光度であって、前記ピーク吸光度に影響されない吸光度に基づいて、ピーク吸光度のベースラインを補正し、当該補正されたベースラインに対するピーク吸光度に基づいてコーティング剤の量を算出する、請求項1〜6のいずれかに記載の測定方法。
- 固形医薬製剤にコーティングされたコーティング剤の量を測定する装置であって、
コーティング液には、炭素数6〜24の長鎖炭化水素基を有する化合物と、水が含まれており、
1600nm〜1800nmの波長域の近赤外光の前記化合物による吸収を測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づいてコーティング剤の量を算出する算出部と、を有する測定装置。 - 前記近赤外光の吸収の測定が、前記コーティング剤のコーティング処理中に行われる、請求項8に記載の測定装置。
- 前記近赤外光の吸収の測定が、前記コーティング処理中に連続的又は断続的に行われる、請求項9に記載の測定装置。
- 前記化合物は、セタノール、又はラウリル硫酸ナトリウムの少なくともいずれかを含む、請求項10に記載の測定装置。
- 前記算出部は、測定された1600nm〜1800nmの波長域の一つのピーク吸光度に基づいて、コーティング剤の量を算出する、請求項8〜11のいずれかに記載の測定装置。
- 前記算出部は、測定されたピーク吸光度の前後の波長の吸光度であって、前記ピーク吸光度に影響されない吸光度に基づいて、ピーク吸光度のベースラインを補正し、当該補正されたベースラインに対するピーク吸光度に基づいてコーティング剤の量を算出する、請求項8〜12のいずれかに記載の測定装置。
- 固形医薬製剤のコーティングを行うコーティング装置であって、
請求項8〜13のいずれかに記載の固形医薬製剤のコーティング剤の量の測定装置を備えた、コーティング装置。 - コーティング前の固形医薬製剤を収容するチャンバと、
前記チャンバ内の固形医薬製剤にコーティング液を噴霧する噴霧部と、を有し、
前記チャンバには、前記測定装置の測定部による前記化合物による近赤外光が透過する窓が設けられている、請求項14に記載のコーティング装置。 - 前記噴霧部により前記固形医薬製剤にコーティング液を噴霧している間、連続的又は断続的に前記測定装置の算出部にコーティング剤の量を算出させ、前記算出部により算出されたコーティング剤の量が所定のコーティング剤の量になったときに、前記噴霧部によるコーティング液の噴霧を停止させる制御部を、さらに有する、請求項15に記載のコーティング装置。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング剤の量の測定方法を、コンピュータに実現させるためのプログラム。
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