JP6406413B2 - シート材 - Google Patents

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JP6406413B2 JP2017211578A JP2017211578A JP6406413B2 JP 6406413 B2 JP6406413 B2 JP 6406413B2 JP 2017211578 A JP2017211578 A JP 2017211578A JP 2017211578 A JP2017211578 A JP 2017211578A JP 6406413 B2 JP6406413 B2 JP 6406413B2
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本発明は、ガラス基板の両面に特定の熱硬化性樹脂組成物層が形成されたシート材、該シート材を使用して製造されるコア基板、該コア基板を使用して製造される多層プリント配線板、及び該多層プリント配線板を使用して製造される半導体装置に関する。
近年、多層プリント配線板は、高密度、高実装化さらには薄型化が求められている。ビルトアップ法により製造される多層プリント配線板において、出発材料となるコア基板としては、従来は金属箔付プリプレグの硬化物により製造されるのが主流であった。しかし、プリプレグはガラス繊維基材を有するため薄型化に限界があり、また寸法安定性や、製造歩留まりにも課題がある。他のコア基板用の材料としては、例えば特許文献1にガラス基板の使用が開示されている。本文献にはガラス基板が、平滑性、硬質性、絶縁性の面からコア基板の材料として最適であると開示されているが、ガラス基板への導体層形成は、スパッタにより窒化シリコン層と酸化シリコン層を順次形成し、さらにスパッタによりクロム層、クロム銅層及び銅層を順次形成するという非常に複雑かつコストのかかるプロセスを経る必要があった。
ガラス基板上に導体層を形成する他の方法としては、例えば特許文献2には、Cuを主成分とするターゲットに特定の添加元素を含有させ、さらにスパッタリング時に酸素ガスを導入して金属膜をガラス状に成膜する方法が開示されている。しかしながら、やはりスパッタリングの設備を必要とするなど、汎用性やコスト面で課題があった。
特開2001−44639号公報 特許第5017282号公報
本発明の課題は、ガラス基板上に、より汎用性があり、コスト的にも有利な方法で、導体層を形成でき、さらには多層プリント配線板のコア基板として用いるのに適したシート材を提供することにある。
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ガラス基板の両面に、特定の熱硬化性樹脂組成物層を形成したシート材により、上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] ガラス基板の両面に、エポキシ樹脂、硬化剤及びシラン化合物で表面処理されたシリカを必須成分とする熱硬化性樹脂組成物層を有し、該ガラス基板の25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と該熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が30ppm/℃以下であるシート材。
[2] シラン化合物で表面処理されたシリカを熱硬化性樹脂組成物中に30質量%以上含有する、請求項1に記載のシート材。
[3] シラン化合物がアミノシラン化合物及び/又はエポキシシラン化合物である、前記[1]又は[2]に記載のシート材。
[4] ガラス基板の厚さが0.01mm以上1mm以下、熱硬化性樹脂組成物層の厚さが2μm以上18μm以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のシート材。
[5] 少なくとも一つの熱硬化性樹脂組成物層上にさらに保護フィルムを有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のシート材。
[6] 保護フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム又は銅箔である、前記[5]記載のシート材。
[7] 多層プリント配線板のコア基板用である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のシート材。
[8] 前記[1]〜[7]のいずれか記載のシート材の熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して硬化物層が形成され、さらに該硬化物層上に導体層が形成されたコア基板。
[9] 前記[8]記載のコア基板を使用してビルトアップ法により製造された多層プリント配線板。
[10] 前記[9]記載の多層プリント配線板を使用して製造された半導体装置。
本発明のシート材によれば、ガラス基板上に、熱硬化性樹脂組成物の硬化物層が形成され、該硬化物層を介して簡便な方法によりガラス基板上に密着強度に優れる導体層を形成可能となる。従って、特に多層プリント配線板用のコア基板に好適なシート材が提供される。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のシート材は、ガラス基板の両面に熱硬化性樹脂組成物層を有する。
<ガラス基板>
ガラス基板としては、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、アミノシリケートガラスなどの材質のものが挙げられる。ガラス基板の厚さは、通常0.01以上1mm以下、好ましくは0.02以上0.5mm以下、より好ましくは0.03以上0.2mm以下である。厚さが小さすぎると、コア基板としたときの強度が低くなる傾向となり、大きすぎると多層プリント配線板の薄型化に不利となる。
<熱硬化性樹脂組成物>
熱硬化性樹脂組成物層を構成する熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤及びシラン化合物で表面処理されたシリカを必須成分とする。
<エポキシ樹脂>
本発明に使用するエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有するのが好ましい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、耐熱性向上、絶縁信頼性向上等の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。特に、エポキシ樹脂がナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びナフチレンエーテル型エポキシ樹脂から選択される1種以上を含有することがより好ましい。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「エピコート828EL」、「YL980」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER806H」、「YL983U」)、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」、「EXA4032SS」)、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4700」、「HP4710」)、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ESN−475V」)、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」)、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、「NC3000L」、「NC3100」、三菱化学(株)製「YX4000」、「YX4000H」、「YX4000HK」、「YL6121」)、アントラセン型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX8800」)、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC(株)製「EXA−7310」、「EXA−7311」、「EXA−7311L」、「EXA7311−G3」)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製「EX711」、「EX721」、(株)プリンテック製「R540」)などが挙げられる。
エポキシ樹脂は液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂を併用することができる。液状エポキシ樹脂としては1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂が好ましく、固体状エポキシ樹脂としては1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。なお、本発明でいう芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環構造を有するエポキシ樹脂を意味する。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂を併用する場合、熱硬化性樹脂組成物の硬化物性のバランスを備えるという点から、その配合割合(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は質量比で1:0.1〜1:2の範囲が好ましく、1:0.3〜1:1.8の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:1.5の範囲が更に好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。固体状エポキシ樹脂としては、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の絶縁信頼性を向上させるという観点から、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、エポキシ樹脂の含有量は3〜40質量%であるのが好ましく、5〜35質量%であるのがより好ましく、10〜30質量%であるのが更に好ましい。
<硬化剤>
本発明に使用する硬化剤としては、特に限定されないが、フェノール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられ、フェノール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上を用いることが好ましい。これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フェノール系硬化剤としては、特に制限されないが、ビフェニル型硬化剤、ナフタレン型硬化剤、フェノールノボラック型硬化剤、ナフチレンエーテル型硬化剤、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤が好ましい。具体的には、ビフェニル型硬化剤のMEH−7700、MEH−7810、MEH−7851(明和化成(株)製)、ナフタレン型硬化剤のNHN、CBN、GPH(日本化薬(株)製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(新日鐵化学(株)製)、EXB9500(DIC(株)製)、フェノールノボラック型硬化剤のTD2090(DIC(株)製)、ナフチレンエーテル型硬化剤のEXB−6000(DIC(株)製)等が挙げられる。トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤の具体例としては、LA3018、LA7052、LA7054、LA1356(DIC(株)製)等が挙げられる。特に、ナフタレン型硬化剤、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好適である。
活性エステル系硬化剤には、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。活性エステル系硬化剤は1種又は2種以上を使用することができる。具体的には、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤等が好ましく、なかでも、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤がより好ましい。市販品としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むものとしてEXB9451、EXB9460、EXB9460S−65T、HPC8000−65T(DIC(株)製、活性基当量約223)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤としてDC808(三菱化学(株)製、活性基当量約149)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤としてYLH1026(三菱化学(株)製、活性基当量約200)、YLH1030(三菱化学(株)製、活性基当量約201)、YLH1048(三菱化学(株)製、活性基当量約245)等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、特に制限はないが、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜4500が好ましく、600〜3000がより好ましい。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。市販されているシアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、シアネート当量124)、ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製、BA230、シアネート当量232)、ジシクロペンタジエン構造含有シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、DT−4000、DT−7000)等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は、エポキシ樹脂のエポキシ基数を1としたときに硬化剤の反応基数が0.3〜2.0の範囲となる比率が好ましく、0.4〜1.1の範囲となる比率がより好ましい。なお熱硬化性樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂のエポキシ基数とは、各エポキシ樹脂の不揮発分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基数とは、各硬化剤の不揮発分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。
<シリカ>
本発明に使用するシリカとしては、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ、球状シリカ等のシリカが好ましく、球状シリカ、溶融シリカがより好ましい。これらは1種又は2種以上を使用することができる。熱硬化性樹脂組成物への充填性向上の観点から、球状溶融シリカが更に好ましい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
シリカの平均粒径は、絶縁信頼性向上や表面平滑性向上の点から、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.8μm以下が更に好ましく、0.6μm以下が更に一層好ましい。一方、シリカの平均粒径は、シリカの分散性向上の点から、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましい。シリカの平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、シリカの粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、シリカを超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−950等を使用することができる。
本発明においては、熱硬化性樹脂組成物中での分散性の観点、ガラス基板と熱硬化性樹脂組成物層またはその硬化物との密着性の観点から、シリカがシラン化合物で表面処理されているものを使用する。熱硬化性樹脂組成物中にシラン化合物を直接配合するインテグラルブレンド法の場合、熱硬化性樹脂組成物中でシリカがシラン化合物により表面処理される形となる。シリカを予めシラン化合物により表面処理する場合は、乾式法や湿式法が挙げられる。乾式法としては、回転ミキサーにシリカを仕込んで、攪拌しながらシラン化合物のアルコール溶液又は水溶液を滴下又は噴霧した後、さらに攪拌し、ふるいにより分級する。その後、加熱によりシラン化合物とシリカとを脱水縮合させることにより得ることができる。湿式法としては、シリカと有機溶媒とのスラリーを攪拌しながらシラン化合物を添加し、攪拌した後、濾過、乾燥及びふるいによる分級を行う。その後、加熱によりシラン化合物とシリカとを脱水縮合させることにより得ることができる。表面処理されたシリカには表面処理に関与しないシラン化合物が含まる場合があるが、ガラス基板との密着性の観点から、そのまま熱硬化性樹脂組成物に配合することができる。またシラン化合物で表面処理されたシリカを配合するのとは別に、さらに熱硬化性樹脂組成物中にシラン化合物を配合してもよい。
シラン化合物としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等のアミノシラン化合物、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、11−メルカプトウンデシルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリルシラン化合物、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルジメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルジエトキシシラン等のアクリレートシラン化合物、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン化合物、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシラン化合物、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、t-ブチルトリメトキシシラン等のシラン化合物等が挙げられる。これらのなかでもアミノシラン化合物、エポキシシラン化合物が好ましい。シラン化合物は1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。市販品としては、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
シリカは他の表面処理剤で表面処理されているシリカをさらにシラン化合物で表面処理したものを用いてもよい。他の表面処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサオクチルジシラザン、1,3−ジエチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジ−n−オクチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3−ジメチルテトラフェニルジシラザン、1,3−ジエチルテトラメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジプロピルテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラザン、テトラメチルジシラザン等のオルガノシラザン化合物、テトラ-n-ブチルチタネートダイマー、チタニウム-i-プロポキシオクチレングリコレート、テトラ−n−ブチルチタネート、チタンオクチレングリコレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等のチタネート化合物等が挙げられる。
シラン化合物の使用量は、シリカに対して、0.01重量%以上5重量%以下が好ましく、0.1重量%以上3重量%以下がより好ましい。この範囲よりシラン化合物の量が少ないと、ガラス基板との密着性が低下する傾向にあり、多いと熱硬化性樹脂組成物層を形成する際のワニスの粘度が上昇しすぎる傾向にあり、また硬化物層の絶縁層としての機能が低下する場合がある。予め表面処理されたシリカを使用する場合、シラン化合物で表面処理されたシリカとシラン化合物の混合物を熱硬化性樹脂組成物に配合してよい。また熱硬化性樹脂組成物中にシラン化合物を直接配合し、インテグラルブレンド法にシリカを表面処理する場合も、熱硬化性樹脂組成物の配合量を上記範囲とすることができる。
シラン化合物で表面処理されたシリカの含有量はガラス基板との線熱膨張係数の差の絶対値を30ppm/℃以下に抑え、導体層のクラックを防止するという観点からは、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、通常30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上とする。シリカの配合量が多すぎると硬化物層が脆くなる傾向にあるため、上限は好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下とする。他の表面処理剤で表面処理されているシリカをさらにシラン化合物で表面処理したものを用いる場合も、上記範囲で配合することができる。インテグラルブレンド法にシリカを表面処理する場合は、熱硬化性樹脂組成物中でシリカがシラン化合物で表面処理されることになるが、シリカ量に比べシリカ表面に存在するシラン化合物の量は相対的にかなり少ないため、シラン化合物による表面処理前のシリカの含量を上記範囲に設定すればよい。シリカが他の表面処理剤で処理されたシリカにさらにテグラルブレンド法でシラン化合物を表面処理する場合も、他の表面処理剤で処理されたシリカの含量を上記範囲に設定すればよい。
シリカのシラン化合物による表面処理の程度は、シリカの単位重量当たりのカーボン量により評価することができる。「シリカの単位重量当たりのカーボン量」とは、シリカ1gに結合しているカーボン量(g)を百分率で表したものである。具体的には、溶剤として十分な量のメチルエチルケトンをシラン化合物処理シリカに添加し、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、不揮発分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いてシリカの単位重量当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。シリカの単位重量当たりのカーボン量は、シリカの熱硬化性樹脂組成物への分散性とガラス基板との密着性等の観点から、0.02%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上が更に好ましい。また樹脂ワニスの粘度上昇を防止する等の観点から、3%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましい。
<熱可塑性樹脂>
本発明における熱硬化性樹脂組成物は熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂を熱硬化して得られる硬化物層表面にめっきより導体層を形成する場合、熱可塑性樹脂を配合することで、該硬化物層表面を酸化剤で処理し、適度な粗面を形成しやすくなる。また熱硬化性樹脂組成物層を樹脂シートをガラス基板にラミネートして形成する場合に熱硬化性樹脂組成物層にフィルム成形性を付与することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は20000〜80000の範囲が好ましく、20000〜70000の範囲がより好ましく、20000〜60000の範囲が更に好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、0.5〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましく、5〜40質量%が更に好ましい。
<硬化促進剤>
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、硬化性を改善する目的で硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、及び3級アミン化合物などが挙げられる。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂と硬化剤の不揮発成分の合計を100質量%とした場合、0.01〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。硬化促進剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
<ゴム粒子>
本発明における熱硬化性樹脂組成物はゴム粒子を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂を熱硬化して得られる硬化物層表面にめっきより導体層を形成する場合、ゴム粒子を配合することで、該硬化物層表面を酸化剤で処理して、適度な粗面を形成しやすくなる。ゴム粒子は、例えば、熱硬化性樹脂組成物のワニスを調製する際に使用する有機溶剤にも溶解せず、必須成分であるシアネートエステル樹脂やエポキシ樹脂などとも相溶しないものである。従って、該ゴム粒子は、熱硬化性樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在する。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
熱硬化性熱硬化性樹脂組成物に使用され得るゴム粒子の好ましい例としては、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は2種以上を組み合わせて使用してもよい。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N、IM−401改1、IM−401改7−17(商品名、ガンツ化成(株)製)、メタブレンKW−4426(商品名、三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.2μm)(三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。
配合するゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2〜0.6μmの範囲である。本発明で使用されるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
ゴム粒子の含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。
<難燃剤>
本発明における熱硬化性樹脂組成物は難燃性を向上されるため、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のフェナントレン型リン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のTPPO、PPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルアミド化合物、大塚化学(株)社製のSPB100、SPE100、(株)伏見製薬所製FP−series等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)社製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
<その他の成分>
本発明における熱硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、ビニルベンジル化合物、アクリル化合物、マレイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物のような熱硬化性樹脂、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記成分を適宜混合し、また、必要に応じて三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練手段、あるいはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の撹拌手段により混練または混合することにより、樹脂ワニスとして製造することができる。
ガラス基板の両面に形成された熱硬化性樹脂組成物層は、多層プリント配線板の薄型化と表面平滑性、めっき形成や絶縁性を両立させるなどの観点から2μm以上18μm以下が好ましい。下限値は3μm以上がより好ましく、4μm以上が更に好ましい。上限値は16μm以下が好ましく、14μm以下がより好ましく、12μm以下が更に好ましく、10μm以下が更に一層好ましく、8μm以下が殊更好ましい。
ガラス基板上に熱硬化性樹脂組成物層を形成する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、有機溶剤を含む熱硬化性樹脂組成物のワニスを調製し、ガラス基板上に該熱硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥により熱硬化性樹脂組成物層を形成させることができる。乾燥条件としては、80〜120℃で3〜15分が好ましい。また、例えば、支持体となるフィルム上に熱硬化性樹脂組成物層を形成した樹脂シートをガラス基板の表面に個別または同時にラミネートすることにより形成することもできる。この場合、支持体として用いたフィルムはそのまま保護フィルムとしての機能を果たすこともできる。ラミネートによりガラス基板上に熱硬化性樹脂組成物を形成する場合、条件はラミネート温度70〜110℃、ラミネート時間5〜30秒、ラミネート圧力1〜10kgf/cm2が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物の樹脂ワニスを調製する際に用いられる有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテートなどの酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、等を挙げることができる。これらの有機溶剤は2種以上を併用することもできる。
本発明のコア基板において、ゴミ等の付着防止、多層プリント配線板の製造に用いる際の取り扱い等の観点から、熱硬化性樹脂組成物層の外面が保護フィルムで保護されているのが好ましい。
本発明の保護フィルムとしては、プラスチックフィルムや金属箔が挙げられる。具体的に、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、アクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、特に安価なポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔などが挙げられ、特に銅箔が好ましい。プラスチックフィルムを使用する場合、剥離性を向上させるために、樹脂層の被形成面が離型処理された支持体を使用するのが好ましい。離型処理に使用する離型剤としては、樹脂層が支持体から剥離可能であれば特に限定されず、例えば、シリコン系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。なお、市販されている離型層付きプラスチックフィルムを用いてもよく、好ましいものとしては、例えば、アルキッド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムであるSK−1、AL−5、AL−7(リンテック(株)製)などが挙げられる。また、プラスチックフィルムはマット処理、コロナ処理を施してあってもよく、当該処理面上に離型層を形成してもよい。一方、金属箔は硬化物層を形成した後でエッチング溶液により除去することができ、これにより硬化物層上にめっきにより導体層が形成可能な適度な粗面を形成することができる。また金属箔は、除去せずに導体層として利用してもよい。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、3〜150μmの範囲が好ましく、3〜50μmの範囲がより好ましい。
本発明のシート材においては、ガラス基板の25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が30ppm/℃以下とする。25ppm/℃以下が更に好ましく、20ppm/℃以下が更に好ましく、15ppm/℃以下が特に好ましい。線熱膨張係数の差の絶対値が30ppm/℃を超えると、リフロー耐熱性試験においてガラス基板と硬化物層間が剥離しやすい傾向となり、半導体装置の信頼性低下を引き起こす場合がある。一般にはガラス基板の線熱膨張係数が熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の線熱膨張係数より低い傾向にあるため、通常、線熱膨張係数の差の絶対値は熱硬化性樹脂組成物層の線熱膨張係数を低下させることにより調整される。熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の線熱膨張係数を低くするには、エポキシ樹脂がナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びナフチレンエーテル型エポキシ樹脂等の剛直な構造のエポキシ樹脂を採用する、シリカ等の無機充填剤の配合量を大きくする、液状エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム粒子等の一般に線熱膨張係数を増大させる傾向にある成分の配合量を低く設定する等、適宜配合成分を組み合わせて調整することができる。
本発明のシート材は、熱硬化性樹脂組成物層を加熱硬化することで硬化物層とし、該硬化物層上に導体層を形成しコア基板を製造することができる。シート材が保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、加熱硬化することもできるし、保護フィルムが離型処理されている場合は、保護フィルムを有したまま加熱硬化した後に、形成された硬化物層より剥離することができる。保護フィルムを剥離せずに熱硬化することで、熱硬化中のごみや埃等の異物付着を防止することができる。保護フィルムがプラスチックフィルムの場合は、剥離は手動または自動剥離装置により機械的に除去することによって行うことができる。また、保護フィルムが金属箔の場合は、エッチング液などにより金属箔を溶解して、金属箔を剥離、除去することができる。熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分〜180分、より好ましくは160℃〜210℃で30〜120分の範囲で選択される。
硬化物層上に導体層を形成する方法としては、特に限定されないが、めっきにより形成する方法が好適に用いられる。また保護フィルムとして銅箔等を用いた場合は、銅箔をエッチアウトにより除去することで、硬化物層に銅箔の粗面が転写される形で粗化を行うこともできる。めっきにより導体層を形成する場合、まず硬化物層表面を粗化処理する工程を経る。乾式の粗化処理の場合はプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理の場合は膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
膨潤液による膨潤処理は、硬化物層を50〜80℃で5〜20分間(好ましくは55〜70℃で8〜15分間)、膨潤液に浸漬させることで行われる。膨潤液としてはアルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)等を挙げることができる。
酸化剤による粗化処理は、硬化物層を60〜80℃で10〜30分間(好ましくは70〜80℃で15〜25分間)、酸化剤溶液に浸漬させることで行われる。酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等を挙げることができる。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5〜10重量%とするのが好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP、ドージングソリューション セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
中和液による中和処理は、30〜50℃で3〜10分間(好ましくは35〜45℃で3〜8分間)、中和液に浸漬させることで行われる。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューシン・セキュリガントPが挙げられる。
粗化処理後の硬化物層表面にメッキして導体層を形成する工程により、硬化物層表面に導体層を形成することができる。メッキ形成の方法として、乾式メッキ又は湿式メッキにより硬化物層上に導体層を形成することが挙げられる。乾式メッキとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式メッキとしては、粗化処理後に無電解メッキと電解メッキとを組み合わせて導体層を形成する方法、導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成する方法、等が挙げられる。その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
上述の一連の工程を経て、コア基板上に回路が形成された内層回路基板が作成される。その後、接着フィルムやプリプレグによる硬化物層(絶縁層)形成、めっきによる導体層形成、サブトラクティブ法、セミアディティブ法による回路形成のプロセスを繰り返す公知の方法により、ビルドアップ層を多段に積層した多層プリント配線板を製造することができる。
本発明の方法により製造された多層プリント配線板を用いることで半導体装置を製造することができる。本発明の多層プリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより半導体装置を製造することができる。「導通箇所」とは、「多層プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載中の「部」は「質量部」を意味する。
<線熱膨張係数の測定方法>
樹脂シートを180℃で90分間硬化させ、離型PETより剥離した硬化物を幅約5mm、長さ約15mmの試験片にカットし、リガク(株)製熱機械分析装置Thermo plus TMA 8310を使用して、引張モードで熱機械分析を行い、荷重1g、昇温速度5℃/分で2回測定し、2回目の測定における25℃から150℃までの平均線膨張率を線熱膨張係数とすることができる。また、ガラス基板については、円柱状のガラス直径約5mm、長さ約10mmのサンプルを作成し、リガク(株)製熱機械分析装置Thermo plus TMA 8310を使用して、圧縮モードで熱機械分析を行った。荷重50g、昇温速度5度/分で2回測定し、2回目の測定における25℃から150℃までの平均線膨張率を線熱膨張係数とすることができる。
<実施例1>
<熱硬化性樹脂組成物のワニスの調整、樹脂シートの作製>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「エピコート828EL」)20部と、ビフェニルジメチレン型樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000」)18部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、DIC(株)製「HP4710」)8部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」不揮発分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)とシクロヘキサノンの1:1溶液)5部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学(株)製「KS−1」不揮発分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)5部とをMEK5部、シクロヘキサノン5部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、窒素含有量約12重量%)の不揮発分60重量%のMEK溶液15部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」)の不揮発分60重量%のMEK溶液15部、反応型難燃剤(水酸基当量162、(株)三光製「HCA−HQ」、リン含有量9.5%)5部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、アミノシラン(信越化学(株)製「KBM−903」)処理)130部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。該ワニスを熱風乾燥炉を用いて室温から140℃まで昇温速度3℃/秒で昇温することで溶剤を除去し、厚さ38μmのPETフィルム(リンテック(株)製AL5)上に5μmの熱硬化性樹脂組成物層を形成させ、樹脂シートを作製した。熱硬化性樹脂組成物層の厚さは接触式層厚計((株)ミツトヨ製、MCD−25MJ)を用いて測定した。
<コア基板用シート材の作製>
ガラス基板(松浪硝子社製、寸法:24mmx24mmx0.5mm、線熱膨張係数(C1):7ppm/℃)に樹脂フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(商品名、名機(株)製)を用いて、ガラス基板の両面にラミネートし、コア基板用シート材を作製した。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後100℃、30秒間、圧力0.5MPaで圧着させることにより行った。その後、170℃、30分の硬化条件で熱硬化性樹脂組成物層を硬化して硬化物層を形成し、評価用基板とした。
<実施例2>
PETフィルムをJX日鉱日石金属工業製銅箔(HLPFN18μm、光沢面のRa150nm)とした以外は、実施例1と全く同様にして評価用基板を作製した。
<実施例3>
球形シリカを50部(アミノシラン処理あり)に置き換えたこと以外、実施例1と全く同様にして評価基板を作成した。
<比較例1>
球形シリカをアミノシラン処理なしに置き換えたこと以外は、実施例1と全く同様にして評価用基板を作成した。
<比較例2>
球形シリカを25部としたこと以外は、実施例1と全く同様にして評価用基板を作成した。
<比較例3>
硬化物層を有しない、ガラス基板そのものを評価した。
<銅配線形成>
保護フィルムの除去は、PETフィルムの場合は手でそれを剥離し、銅箔の場合は塩化第二鉄に浸漬させることによってそれを除去した。保護フィルムの除去後、膨潤液であるアトテックジャパン(株)のスエリングディップ・セキュリガントPに60℃で5分間浸漬した。続いて、粗化液であるアトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬した。次に、中和液であるアトテックジャパン(株)のリダクションソリューション・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。その後、下記のアトテックジャパン(株)製薬液を使用した無電解銅めっきプロセスを使用して無電解銅めっきを行い、膜厚1μmの銅層を形成した。その後、電解銅めっきを行って合計30μm厚の導体層を形成した。<リフロー耐熱性試験>
各試験用基板をリフロー装置(アントム株式会社HAS6116)にて20回加熱処理を行い、ガラス基板と硬化物層間で剥離がなかった場合は〇、あった場合は×とした。リフロー工程中の基板の最高到達温度は260℃だった。
<落下試験>
作成した基板を高さ100cmから3mmのステンレス板上に10回落下させ、割れ・欠けが認められなかったものを〇、割れ・欠けが生じたものを×とした。
Figure 0006406413
表1の結果から、本発明のシート材を使用したコア基板は、硬化物層とガラス基板の密着性が良好で、リフロー耐熱性に優れ、また耐衝撃性にも優れる。一方、シラン化合物未処理のシリカを使用した比較例1、線熱膨張係数差の絶対値が高い比較例2はいずれもガラス基板のリフロー耐熱性に問題が生じる結果となった。
本発明のシート材は、多層プリント配線板用のコア基板や層間絶縁層等の絶縁層形成に有用であり、特に多層プリント配線板用のコア基板用のシート材として有用である。

Claims (12)

  1. ガラス基板の両面に、エポキシ樹脂、硬化剤及びシラン化合物で表面処理されたシリカを必須成分とする熱硬化性樹脂組成物層を有し、
    該ガラス基板の25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と該熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が30ppm/℃以下であり、前記のシラン化合物で表面処理されたシリカを、該熱硬化性樹脂組成物中に30質量%以上含有し、
    該熱硬化性樹脂組成物層の厚さが8μm以下である、シート材。
  2. シラン化合物がアミノシラン化合物及び/又はエポキシシラン化合物である、請求項1に記載のシート材。
  3. ガラス基板の厚さが0.01mm以上1mm以下である、請求項1又は2に記載のシート材。
  4. 熱硬化性樹脂組成物層の厚さが2μm以上8μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート材。
  5. 少なくとも一つの熱硬化性樹脂組成物層上にさらに保護フィルムを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート材。
  6. 保護フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム又は銅箔である、請求項5記載のシート材。
  7. 当該シート材が、前記熱硬化性樹脂組成物層上にさらに金属箔を有し、
    該金属箔は、前記熱硬化性樹脂組成物層上にめっきのための粗面を転写するための層であり、かつ、該めっきの前に除去されるべき層である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート材。
  8. 多層プリント配線板のコア基板用である、請求項1〜のいずれか1項に記載のシート材。
  9. 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物上に導体層を形成するためのものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシート材。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のシート材の熱硬化性樹脂組成物層が熱硬化して硬化物層が形成され、さらに該硬化物層上に導体層が形成されたコア基板。
  11. 請求項10記載のコア基板を使用してビルトアップ法により製造された多層プリント配線板。
  12. 請求項11記載の多層プリント配線板を使用して製造された半導体装置。
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