JP6406413B2 - シート材 - Google Patents
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ガラス基板上に導体層を形成する他の方法としては、例えば特許文献2には、Cuを主成分とするターゲットに特定の添加元素を含有させ、さらにスパッタリング時に酸素ガスを導入して金属膜をガラス状に成膜する方法が開示されている。しかしながら、やはりスパッタリングの設備を必要とするなど、汎用性やコスト面で課題があった。
[2] シラン化合物で表面処理されたシリカを熱硬化性樹脂組成物中に30質量%以上含有する、請求項1に記載のシート材。
[3] シラン化合物がアミノシラン化合物及び/又はエポキシシラン化合物である、前記[1]又は[2]に記載のシート材。
[4] ガラス基板の厚さが0.01mm以上1mm以下、熱硬化性樹脂組成物層の厚さが2μm以上18μm以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のシート材。
[5] 少なくとも一つの熱硬化性樹脂組成物層上にさらに保護フィルムを有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のシート材。
[6] 保護フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム又は銅箔である、前記[5]記載のシート材。
[7] 多層プリント配線板のコア基板用である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のシート材。
[8] 前記[1]〜[7]のいずれか記載のシート材の熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して硬化物層が形成され、さらに該硬化物層上に導体層が形成されたコア基板。
[9] 前記[8]記載のコア基板を使用してビルトアップ法により製造された多層プリント配線板。
[10] 前記[9]記載の多層プリント配線板を使用して製造された半導体装置。
ガラス基板としては、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、アミノシリケートガラスなどの材質のものが挙げられる。ガラス基板の厚さは、通常0.01以上1mm以下、好ましくは0.02以上0.5mm以下、より好ましくは0.03以上0.2mm以下である。厚さが小さすぎると、コア基板としたときの強度が低くなる傾向となり、大きすぎると多層プリント配線板の薄型化に不利となる。
熱硬化性樹脂組成物層を構成する熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤及びシラン化合物で表面処理されたシリカを必須成分とする。
本発明に使用するエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有するのが好ましい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明に使用する硬化剤としては、特に限定されないが、フェノール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられ、フェノール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上を用いることが好ましい。これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<シリカ>
本発明に使用するシリカとしては、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ、球状シリカ等のシリカが好ましく、球状シリカ、溶融シリカがより好ましい。これらは1種又は2種以上を使用することができる。熱硬化性樹脂組成物への充填性向上の観点から、球状溶融シリカが更に好ましい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂を熱硬化して得られる硬化物層表面にめっきより導体層を形成する場合、熱可塑性樹脂を配合することで、該硬化物層表面を酸化剤で処理し、適度な粗面を形成しやすくなる。また熱硬化性樹脂組成物層を樹脂シートをガラス基板にラミネートして形成する場合に熱硬化性樹脂組成物層にフィルム成形性を付与することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、硬化性を改善する目的で硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、及び3級アミン化合物などが挙げられる。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂と硬化剤の不揮発成分の合計を100質量%とした場合、0.01〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。硬化促進剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
本発明における熱硬化性樹脂組成物はゴム粒子を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂を熱硬化して得られる硬化物層表面にめっきより導体層を形成する場合、ゴム粒子を配合することで、該硬化物層表面を酸化剤で処理して、適度な粗面を形成しやすくなる。ゴム粒子は、例えば、熱硬化性樹脂組成物のワニスを調製する際に使用する有機溶剤にも溶解せず、必須成分であるシアネートエステル樹脂やエポキシ樹脂などとも相溶しないものである。従って、該ゴム粒子は、熱硬化性樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在する。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は難燃性を向上されるため、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のフェナントレン型リン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のTPPO、PPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルアミド化合物、大塚化学(株)社製のSPB100、SPE100、(株)伏見製薬所製FP−series等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)社製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
本発明における熱硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、ビニルベンジル化合物、アクリル化合物、マレイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物のような熱硬化性樹脂、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
ガラス基板上に熱硬化性樹脂組成物層を形成する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、有機溶剤を含む熱硬化性樹脂組成物のワニスを調製し、ガラス基板上に該熱硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥により熱硬化性樹脂組成物層を形成させることができる。乾燥条件としては、80〜120℃で3〜15分が好ましい。また、例えば、支持体となるフィルム上に熱硬化性樹脂組成物層を形成した樹脂シートをガラス基板の表面に個別または同時にラミネートすることにより形成することもできる。この場合、支持体として用いたフィルムはそのまま保護フィルムとしての機能を果たすこともできる。ラミネートによりガラス基板上に熱硬化性樹脂組成物を形成する場合、条件はラミネート温度70〜110℃、ラミネート時間5〜30秒、ラミネート圧力1〜10kgf/cm2が好ましい。
樹脂シートを180℃で90分間硬化させ、離型PETより剥離した硬化物を幅約5mm、長さ約15mmの試験片にカットし、リガク(株)製熱機械分析装置Thermo plus TMA 8310を使用して、引張モードで熱機械分析を行い、荷重1g、昇温速度5℃/分で2回測定し、2回目の測定における25℃から150℃までの平均線膨張率を線熱膨張係数とすることができる。また、ガラス基板については、円柱状のガラス直径約5mm、長さ約10mmのサンプルを作成し、リガク(株)製熱機械分析装置Thermo plus TMA 8310を使用して、圧縮モードで熱機械分析を行った。荷重50g、昇温速度5度/分で2回測定し、2回目の測定における25℃から150℃までの平均線膨張率を線熱膨張係数とすることができる。
<熱硬化性樹脂組成物のワニスの調整、樹脂シートの作製>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「エピコート828EL」)20部と、ビフェニルジメチレン型樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000」)18部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、DIC(株)製「HP4710」)8部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」不揮発分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)とシクロヘキサノンの1:1溶液)5部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学(株)製「KS−1」不揮発分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)5部とをMEK5部、シクロヘキサノン5部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、窒素含有量約12重量%)の不揮発分60重量%のMEK溶液15部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」)の不揮発分60重量%のMEK溶液15部、反応型難燃剤(水酸基当量162、(株)三光製「HCA−HQ」、リン含有量9.5%)5部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、アミノシラン(信越化学(株)製「KBM−903」)処理)130部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。該ワニスを熱風乾燥炉を用いて室温から140℃まで昇温速度3℃/秒で昇温することで溶剤を除去し、厚さ38μmのPETフィルム(リンテック(株)製AL5)上に5μmの熱硬化性樹脂組成物層を形成させ、樹脂シートを作製した。熱硬化性樹脂組成物層の厚さは接触式層厚計((株)ミツトヨ製、MCD−25MJ)を用いて測定した。
ガラス基板(松浪硝子社製、寸法:24mmx24mmx0.5mm、線熱膨張係数(C1):7ppm/℃)に樹脂フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(商品名、名機(株)製)を用いて、ガラス基板の両面にラミネートし、コア基板用シート材を作製した。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後100℃、30秒間、圧力0.5MPaで圧着させることにより行った。その後、170℃、30分の硬化条件で熱硬化性樹脂組成物層を硬化して硬化物層を形成し、評価用基板とした。
PETフィルムをJX日鉱日石金属工業製銅箔(HLPFN18μm、光沢面のRa150nm)とした以外は、実施例1と全く同様にして評価用基板を作製した。
球形シリカを50部(アミノシラン処理あり)に置き換えたこと以外、実施例1と全く同様にして評価基板を作成した。
球形シリカをアミノシラン処理なしに置き換えたこと以外は、実施例1と全く同様にして評価用基板を作成した。
球形シリカを25部としたこと以外は、実施例1と全く同様にして評価用基板を作成した。
硬化物層を有しない、ガラス基板そのものを評価した。
保護フィルムの除去は、PETフィルムの場合は手でそれを剥離し、銅箔の場合は塩化第二鉄に浸漬させることによってそれを除去した。保護フィルムの除去後、膨潤液であるアトテックジャパン(株)のスエリングディップ・セキュリガントPに60℃で5分間浸漬した。続いて、粗化液であるアトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬した。次に、中和液であるアトテックジャパン(株)のリダクションソリューション・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。その後、下記のアトテックジャパン(株)製薬液を使用した無電解銅めっきプロセスを使用して無電解銅めっきを行い、膜厚1μmの銅層を形成した。その後、電解銅めっきを行って合計30μm厚の導体層を形成した。<リフロー耐熱性試験>
各試験用基板をリフロー装置(アントム株式会社HAS6116)にて20回加熱処理を行い、ガラス基板と硬化物層間で剥離がなかった場合は〇、あった場合は×とした。リフロー工程中の基板の最高到達温度は260℃だった。
作成した基板を高さ100cmから3mmのステンレス板上に10回落下させ、割れ・欠けが認められなかったものを〇、割れ・欠けが生じたものを×とした。
Claims (12)
- ガラス基板の両面に、エポキシ樹脂、硬化剤及びシラン化合物で表面処理されたシリカを必須成分とする熱硬化性樹脂組成物層を有し、
該ガラス基板の25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と該熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が30ppm/℃以下であり、前記のシラン化合物で表面処理されたシリカを、該熱硬化性樹脂組成物中に30質量%以上含有し、
該熱硬化性樹脂組成物層の厚さが8μm以下である、シート材。 - シラン化合物がアミノシラン化合物及び/又はエポキシシラン化合物である、請求項1に記載のシート材。
- ガラス基板の厚さが0.01mm以上1mm以下である、請求項1又は2に記載のシート材。
- 熱硬化性樹脂組成物層の厚さが2μm以上8μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート材。
- 少なくとも一つの熱硬化性樹脂組成物層上にさらに保護フィルムを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート材。
- 保護フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム又は銅箔である、請求項5記載のシート材。
- 当該シート材が、前記熱硬化性樹脂組成物層上にさらに金属箔を有し、
該金属箔は、前記熱硬化性樹脂組成物層上にめっきのための粗面を転写するための層であり、かつ、該めっきの前に除去されるべき層である、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート材。 - 多層プリント配線板のコア基板用である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート材。
- 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物上に導体層を形成するためのものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシート材。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のシート材の熱硬化性樹脂組成物層が熱硬化して硬化物層が形成され、さらに該硬化物層上に導体層が形成されたコア基板。
- 請求項10記載のコア基板を使用してビルトアップ法により製造された多層プリント配線板。
- 請求項11記載の多層プリント配線板を使用して製造された半導体装置。
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