JP6404821B2 - インターロイキン10産生促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、免疫抑制作用を有するインターロイキン10(以下、「IL-10」)の産生促進方法に関する。また本発明は、IL-10の産生を促進するIL-10産生促進剤に関し、さらに本発明はIL-10産生促進剤を有効成分として含む免疫抑制剤に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願、特願2013−189897号優先権を請求する。
インターロイキン(Interleukin)とは一群のサイトカインで、白血球によって分泌され、細胞間コミュニケーションの機能を果たすものをいい、ILと略される。現在、インターロイキンに属するサイトカインとしては30種類以上が知られている。その一つであるIL-10は、強力な抗炎症作用とB細胞の増殖と分化の役割を担うサイトカインとして広く知られている。
IL-10は、主に2型ヘルパーT細胞(Th2)、単球、マクロファージ(Mφ)、B-1細胞、マスト細胞(肥満細胞)、ケラチノサイトなど、多くの細胞から産生される。その生物活性は多岐にわたり、例えば、IL-10は主に単球系細胞に作用して炎症性サイトカインの産生を始めとする免疫機能を抑制性に制御する他、リンパ球に対しても単球系細胞を介して間接的に抑制作用を示す。より具体的には、Th1細胞からのインターフェロン-γ(IFN-γ)産生を抑制する、マクロファージからのIL-1、IL-6、IL-12、TNF-αの産生を抑制する、MφのT細胞活性化補助機能も抑制する、及びT細胞のMHCクラスII分子や補助受容体の発現や、MφのCD80/CD86の発現を抑制する、などの抑制性機能を有する。IL-10の抑制性サイトカインとしての性格は、疾患との関連においても極めて注目されている。炎症性疾患では潰瘍性大腸炎、Crohn病、敗血症、脳性マラリアなどにIL-10の血清中濃度が低下していたとの報告がある。IL-10ファミリーの機能は多岐にわたり、抗腫瘍活性、抗ウイルス活性、抗炎症作用、炎症促進作用、造血系の発達、及び細胞の生存などに関わる。
これらの作用があることにより、IL-10は自己免疫疾患、炎症性腸疾患、アレルギー、乾癬、臓器移植時の拒絶反応、ウイルス感染、腫瘍など、多くの疾患の予防、治療に利用可能になるものと期待されている。
IL-10の産生促進物質・産生促進方法などに関しては、従来プロバイオティクスにより誘導する方法(特許文献1:特開2008-31153号公報、特許第5019961号公報、特許文献2:特開2004-277381号公報、特許文献3:特開2005-154387号公報)やプロバイオティクスとフコイダン含有物などのIL-10の産生促進物質(特許文献4:特開2010-235528号公報)、注射器の内側構造を免疫グロブリンGで被覆することによる誘導方法(特許文献5:特許第4038331号公報)等が報告されている。上記の技術にIL-10の産生が誘導されることが報告されているが、これらのいずれについてもIL-10の十分な産生量と免疫制御作用が得られているとはいえず、より効果的な方法が望まれている。
特開2008-31153号公報、特許第5019961号公報 特開2004-277381号公報 特開2005-154387号公報 特開2010-235528号公報 特許第4038331号公報
本発明は、免疫抑制作用を有するIL-10の産生促進方法を提供することを課題とする。また本発明は、IL-10の産生を促進するIL-10産生促進剤を提供することを課題とする。さらに、本発明はIL-10産生促進剤を有効成分として含む免疫抑制剤を提供することも課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、黄色ブドウ球菌のプロテインA(Staphylococcal protein A: 以下、「SPA」)及び免疫グロブリンG(IgG)でIL-10産生細胞を刺激することで、IL-10の産生量が促進されることを見出し、本発明を完成した。これにより、SPA及びIgGを含む配合剤は、優れたIL-10産生促進剤といえる。また、SPA及びIgGを含む配合剤は、炎症性サイトカイン及びアレルギー性サイトカインの産生を抑制し、免疫抑制剤としても有用である。
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.IL-10産生細胞を、SPA及びIgGで刺激することを特徴とする、IL-10産生細胞からのIL-10産生促進方法。
2.IL-10産生細胞が白血球である、前項1に記載のIL-10産生促進方法。
3.白血球が、単球、顆粒球、リンパ球及び樹状細胞から選択されるいずれか1種又は複数種の細胞である、前項1に記載のIL-10産生促進方法。
4.SPA及びIgGを含む、IL-10産生促進剤。
5.SPA:IgGの配合比が、重量比に換算して、1:1〜1:100である、前項4に記載のIL-10産生促進剤。
6.前項4又は5に記載のIL-10産生促進剤を有効成分とする、免疫抑制剤。
SPA及びIgGでIL-10産生細胞を刺激することで、全く刺激しない場合、SPA単独で刺激する場合、IgG単独で刺激する場合に比べてIL-10の強い産生促進が認められた。IL-10は主に単球系細胞に作用して炎症性サイトカインの産生を始めとする免疫機能を抑制的に制御する他、リンパ球に対しても単球系細胞を介して間接的に抑制作用を示す。従って、SPA及びIgGにより、IL-10による免疫抑制効果も得られる。さらに、本発明のSPA及びIgGを含む配合剤により、培養細胞において炎症性サイトカインやアレルギーサイトカインの産生が抑制的に制御された。これにより、SPA及びIgGを含む配合剤は、優れたIL-10産生促進剤であり、炎症性サイトカイン及びアレルギー性サイトカインの産生を抑制することから、免疫抑制剤としても有用である。
ヒト単球に、SPAとIgGを添加した場合のIL-10の産生促進能を確認した結果を示す図である。(実施例1) ヒト単球に、SPAとIgGを添加した場合のIL-10の産生促進能を確認した結果を示す図である。図2(A)ではIgGの濃度を100μg/mlに固定し、SPAの濃度を変えたときの結果を示し、図2(B)ではSPAの濃度を10μg/mlに固定し、IgGの濃度を変えたときの結果を示す。(実施例2) ヒト単球に、黄色ブドウ球菌の成分のうちSPA以外の物質であるSEB又はαトキシンを添加した場合のIL-10の産生促進能を確認した結果を示す図である。(比較例1) ヒト末梢血単核細胞に、SPA及びIgGを含む配合剤(SPA/IgG配合剤)を添加したときの結核菌抗原PPD刺激によるIFN-γ産生の制御効果を確認した結果を示す図である。(実験例1) ヒト末梢血単核細胞に、SPA/IgG配合剤を添加したときのスギアレルゲンCry j 1によるIL-5産生の制御効果を確認した結果を示す図である。(実験例2) ヒト単球に、SPA/IgG配合剤を添加したときのIL-12産生に及ぼす影響を確認した結果を示す図である。(実験例3) SPA及びIgGを配合した場合の分子量について、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により確認した結果を示す図である。(実験例4) ヒト単球に、SPAの濃度を10μg/mlに固定し、IgGの濃度を変えてSPAとIgGを添加した場合のIL-10の産生促進能を確認した結果を示す図である。(実施例3)
本発明は、IL-10産生細胞を、SPA及びIgGで刺激することを特徴とする、細胞からのIL-10産生促進方法に関する。
本明細書において、「IL-10産生細胞」とはIL-10を産生しうる細胞であればよい。背景技術の欄でも言及したように、IL-10は、単球、Th2、Mφ、B-1細胞、マスト細胞、ケラチノサイトなど、多くの細胞から産生されることが公知である。本明細書において、IL-10産生細胞としては、例えば白血球が挙げられ、より具体的には、単球、顆粒球、リンパ球及び樹状細胞から選択されるいずれか1種又は複数種の細胞が挙げられる。
本明細書において、SPAとは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の細胞壁に存在するタンパク質Aをいい、IgG抗体と結合する性質を有する。本明細書においてSPAは、黄色ブドウ球菌から分離し、精製して得られたものであってもよいし、遺伝子組換えの手法により作製したものであってもよい。例えば、SVEN LOFDAHL et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol. 80, pp.697-701 (1983) に記載の手法を参照することができる。SPAの分子量は、上記SVEN LOFDAHL et al., (1983) では、約42000と報告されている。本明細書において、「SPA」とは分子量が約42000のタンパク質の他、全SPAを構成ずるSPAタンパク質を断片化したポリペプチド、SPAタンパク質の変異体、前記ポリペプチドの変異体、及びそれらを化学修飾した物質も包含される概念で使用される。
本明細書において、IgGとは免疫グロブリンGであればよく、例えば抗原となり得る物質やエピトープ等については特に限定されない。IgGについては、モノクローナル抗体であってもよいし、ポリクローナル抗体であってもよい。さらに、抗体は天然物由来の抗体であってもよいし、ハイブリドーマ等の抗体産生細胞から産生されたIgGや、遺伝子組換えの手法によって作製されたIgGであってもよい。
本発明のIL-10産生促進方法は、上述の「IL-10産生細胞」をSPA及びIgGで刺激することで達成される。本発明のIL-10産生促進方法は、in vitroの系で、培養容器内に採取したIL-10産生細胞にSPA及びIgGを加えることで細胞を刺激し、さらに細胞を培養することで達成される。この場合において、SPA及びIgGの割合は、SPA:IgGが重量比に換算して、1:1〜1:100、好ましくは1:2.5〜1:80、より好ましくは1:5〜1:20の配合比より適宜至適な配合比を選択して用いることができる。例えば、細胞数2×106個/mlの単球に対して作用させる場合に、IgGを最終濃度が50〜300μg/ml、好ましくは100〜200μg/mlで、SPAを最終濃度が1〜40μg/ml、好ましくは2.5〜20μg/ml、より好ましくは5〜10μg/mlの割合で、刺激することができる。
IL-10産生細胞は、上述したように単球、Th2、Mφ、B-1細胞、マスト細胞、ケラチノサイトなどが挙げられる。in vitroの系でIL-10産生細胞を採取し、IL-10を産生促進させる場合のIL-10産生細胞の採取方法は、自体公知の方法を適用することができる。例えば、末梢血単核細胞(Peripheral Blood Mononuclear Cells; PBMCs)は単球や T細胞、B細胞、NK細胞を含むリンパ球に代表される球状の核を持つ血球細胞であるが、末梢血単核細胞を自体公知の方法を用いて採取し、得られた単核細胞をIL-10産生細胞として利用することができる。単核細胞は、ヒト末梢血から例えば比重遠心法にて分離し、単核細胞層として回収することができる。さらにCD14マイクロビーズ(Miltenyl Biotec社:http://www.miltenyibiotec.co.jp/ja-jp/products-and-services/macs-cell-separation/cell-separation-reagents/monocytes-and-macrophages/cd14-microbeads-human.aspx)を用いて単核細胞層から単球を単離することができる。培養液(例えば10%牛胎児血清(FCS)を添加したPRMI-1640)に単核細胞や単球を加え、細胞浮遊液を調製することができる。前記調製したIL-10産生細胞を含む細胞浮遊液に、上述のSPA及びIgGを加えて、刺激することができる。SPA及びIgGは各々加えてもよいし、細胞浮遊液に加える前にあらかじめ配合剤として調製したものを加えてもよい。SPA及びIgGで刺激する時間は、特に限定されないが、好ましくは12時間以上であり、より好ましくは24〜168時間であり、さらに好ましくは24〜72時間である。
本発明は、SPA及びIgGを含むIL-10産生促進剤も包含される。本発明のIL-10産生促進剤は、in vitroの系で使用することもできるし、in vivoの系でも使用することができる。本発明のIL-10産生促進剤を生体に投与して生体内のIL-10産生細胞を刺激することで、生体内のIL-10産生を促進することができる。本発明のIL-10産生促進剤は、SPA及びIgGを含む配合剤である。本発明のIL-10産生促進剤に含まれるSPA及びIgGの割合は、SPA:IgGが重量比に換算して、1:1〜1:100、好ましくは1:2.5〜1:80、より好ましくは1:5〜1:20の配合比より適宜至適な配合比とすることができる。本発明のIL-10産生促進剤に含まれるSPA及びIgGは、用時配合したものであってもよいし、予め配合したものであってもよい。
IL-10の生物活性は、背景技術の欄でも説明したように多岐にわたる。例えば、IL-10は主に単球系細胞に作用して炎症性サイトカインの産生を始めとする免疫機能を抑制性に制御する他、リンパ球に対しても単球系細胞を介して間接的に抑制作用を示す。炎症性サイトカインとして、例えばIFN-γ、IL-8、IL-12、IL-18やTNF-α、IL-1、IL-6が挙げられる。IFN-γは、細菌抗原やIL-12、IL-18などによって活性化されたヘルパーT細胞から産生され、抗ウイルス作用を高め、Mφを活性化する。IL-8は好中球の強力な遊走活性を有するケモカインである。また多くのアレルギー疾患に関与するサイトカインとしてIL-5が知られている。IL-5は、液性免疫を制御するTh2サイトカインである。本発明のSPA及びIgGを含むIL-10産生促進剤は、例えば、炎症性サイトカインの一種であると考えられるIFN-γやアレルギー疾患に関与するIL-5の産生を抑制することが確認された。また、本発明のIL-10産生促進剤による、炎症性サイトカインであるIL-12の産生は認められなかった。
上述した活性により、本発明の本発明のIL-10産生促進剤を有効成分として含む製剤は免疫抑制剤として機能し、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、抗アレルギー剤として利用することができる。炎症性疾患では潰瘍性大腸炎、Crohn病、敗血症、脳性マラリアなどにIL-10の血清中濃度が低下していたとの報告があるので、これらの疾患に対して、本発明のIL-10産生促進剤を補充療法的に使用することができる。本発明のIL-10産生促進剤を有効成分として含む製剤は、ヒトの他、哺乳動物、例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、サル、マントヒヒ、チンパンジーなどに対して使用することができる。
本発明の免疫抑制剤には、製薬学的に許容しうる担体を含めることができる。係る免疫抑制剤に用いられる薬理学的に許容しうる担体としては、例えば、賦形剤、崩壊剤若しくは崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤若しくは溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができる。本発明の免疫抑制剤は、局所的に投与しても全身的に投与してもよい。非経口投与用の製剤は、滅菌した水性の、又は非水性の溶液、懸濁液及び乳濁液を含んでいてもよい。非水性希釈剤の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えば、オリーブ油及び有機エステル組成物、例えば、エチルオレエートであり、これらは注射用に適している。水性担体には、水、アルコール性水性溶液、乳濁液、懸濁液、食塩水及び緩衝化媒体が含まれていてもよい。非経口的担体には、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、リンゲル乳酸及び結合油が含まれていてもよい。静脈内担体には、例えば、液体用補充物、栄養及び電解質(例えば、リンゲルデキストロースに基づくもの)が含まれていてもよい。本発明の免疫抑制剤はさらに、保存剤及び他の添加剤、例えば,抗微生物化合物、抗酸化剤、キレート剤及び不活性ガスなどを含むことができる。
本発明の理解を助けるために、実施例及び比較例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでないことはいうまでもない。
(実施例1)ヒト末梢血単球にSPAとIgGを添加した場合のIL-10の産生促進能(1)
本実施例では、ヒト末梢血単球についてSPA及びIgGによるIL-10産生促進作用を確認した。ヒト末梢血単球は、ヘパリン添加採血管を用いて採取した末梢血液をフィコール・ハイパック比重遠心法にて、単核細胞層を回収し、さらにCD14マイクロビーズを用いて分離し、10%FCSを添加したPRMI-1640培地に浮遊させて得た。2×106個/mlのヒト末梢血単球にSPA(10μg/ml)及びIgG(100μg/ml)を添加し、37℃で24時間刺激した。IL-10の産生量は、ELISAキット(human IL-10 DuoSet、R&D社:http://www.rndsystems.com/Products/DY217B)を用いて測定した。
その結果を図1に示した。無刺激でのIL-10の産生量(中央値:n=8)は85.5pg/mlであったのに対し、SPA単独の刺激では279.52pg/ml、IgG単独の刺激では527.5pg/mlであった。一方、SPA及びIgGで刺激した場合のIL-10の産生量は3,303pg/mlであり、無刺激での産生量の3,863%、SPAとIgGの単独添加した時に誘導される産生量の和の409%を示し、IL-10の強い産生促進作用が認められた。
(実施例2)ヒト末梢血単球にSPAとIgGを添加した場合のIL-10の産生促進能(2)
本実施例では、SPA及びIgGの配合比を各種変更してヒト末梢血単球に添加し、刺激した場合のIL-10産生促進作用を確認した。SPA及びIgGの配合比を変更した以外は、実施例1と同手法により確認した。
その結果を図2に示した。無刺激でのIL-10の産生量を100とした場合の相対的産生量(%)を示した(n=4)。IgGの濃度を100μg/mlに固定し、SPAの濃度を各種変更して2×106個/mlのヒト末梢血単球に添加し、刺激した場合、SPA濃度が5〜10μg/mlの場合にIL-10の産生が最も促進された(図2A)。次に、SPAの濃度を10μg/mlに固定し、IgGの濃度を各種変更した場合には、IgGの濃度が高くなるにつれて、IL-10の産生量が促進されることが確認された(図2B)。
(比較例1)ヒト末梢血単球にSPA以外の黄色ブドウ球菌成分を添加した場合のIL-10の産生促進能
本比較例では、SPA以外の黄色ブドウ球菌成分とIgGを添加したときのIL-10産生促進効果を確認した。SPA以外の黄色ブドウ球菌成分として、SPAの他黄色ブドウ球菌腸管内毒素B(SEB)及びαトキシンについて確認した。各黄色ブドウ球菌成分の添加量は、10μg/ml
とした。黄色ブドウ球菌成分を含まない系はAg(-)とした。IgGの添加量は0μg/ml又は100μg/mlとした。被検者1及び被検者2から実施例1と同手法によりヒト末梢血単球を採取し、各刺激でのIL-10の産生量を実施例1と同手法によりELISAキットを用いて測定した。
その結果を図3に示した。いずれの被験者の場合も、SPA及びIgGで刺激した場合は最も高いIL-10産生促進効果を認めたが、SEB又はαトキシンで刺激した場合は、IgGと共に刺激した場合であってもIL-10産生促進効果は低いものであった。
(実験例1)SPA及びIgGを含む配合剤によるIFN-γ産生に及ぼす影響
ヒト末梢血単核細胞を結核菌抗原(PPD)で刺激すると、炎症性サイトカインの一種であるIFN-γの産生が認められる。そこで本実験例では、SPA(10μg/ml)及びIgG(100μg/ml)を含む配合剤(SPA/IgG配合剤)をヒト末梢血単核細胞に添加した場合のIFN-γ産生に及ぼす影響を確認した。ヒト末梢血単核細胞は、ヘパリン添加採血管を用いて採取した末梢血液をフィコール・ハイパック比重遠心法にて、単核細胞層を回収して得た。
2×106個/mlのヒト末梢血単核細胞にSPA/IgG配合剤及びPPD(2μg/m)を添加し、37℃で72時間刺激した。PPD(2μg/m)の他、SPA又はIgGのいずれかを添加する系、並びにPPD(2μg/m)のみ添加し、SPA及びIgGのいずれも添加しない系と比較した。IFN-γの産生量は、ELISAキット(BD OptEIA ELISAセット、BD社:http://www.bdj.co.jp/pdf/66-006-05.pdf)を用いて測定した。
その結果を図4に示した。ヒト末梢血単核細胞にSPA又はIgGを各々単独で添加した場合、及び、何れも添加しない場合はIFN-γの産生を抑制しなかったが、SPA/IgG配合剤を添加した場合はPPD刺激によるIFN-γの産生を有意に抑制した。
(実験例2)SPA/IgG配合剤によるIL-5産生に及ぼす影響
ヒト末梢血単核細胞をスギ花粉アレルゲンCry j1で刺激すると、アレルギー性サイトカインの一種であるIL-5の産生が認められる。そこで本実験例では、SPA/IgG配合剤をヒト末梢血単核細胞に添加した場合のIL-5産生に及ぼす影響を確認した。
スギ花粉症患者より実験例1と同手法で採取した2×106個/mlの末梢血単核細胞に、SPA/IgG配合剤及びCry j1(10μg/m)を添加し、37℃で24時間刺激した。Cry j1(10μg/m)の他、SPA又はIgGのいずれかを添加する系、並びにCry j1(10μg/m)のみ添加し、SPA及びIgGのいずれも添加しない系と比較した。IL-5の産生量は、ELISAキット(BD OptEIA ELISAセット、BD社:http://www.bdj.co.jp/pdf/66-006-05.pdf)を用いて測定した。
その結果を図5に示した。ヒト末梢血単核細胞にSPA又はIgGを各々単独で添加した場合、及び、何れも添加しない場合はIL-5の産生を抑制しなかったが、SPA/IgG配合剤を添加した場合はCry j1刺激によるIL-5の産生を有意に抑制した。
(実験例3)SPA/IgG配合剤によるIL-12産生に及ぼす影響
本実験例では、SPA/IgG配合剤をヒト末梢血単球に添加した場合のIL-12産生に及ぼす影響を確認した。IL-12は、未分化なT細胞(ナイーブT細胞)に、IFN-γとともに作用し、ヘルパーT細胞へと分化誘導する炎症性サイトカインのひとつといわれている。実施例1と同手法で採取した2×106個/mlのヒト末梢血単球にSPA/IgG配合剤を添加し、37℃で24時間刺激した。SPA又はIgGのいずれかを添加する系、及びSPA及びIgGのいずれも添加しない系と比較した。IL-12の産生量は、ELISAキット(BD OptEIA ELISAセット、BD社:http://www.bdj.co.jp/pdf/66-006-05.pdf)を用いて測定した。
その結果を図6に示した。本実験例では、何れの場合にもIL-12の産生が認められなかった。
(実験例4)SPA及びIgGを配合した場合の分子量について
本実験例では、SPA(10μg/ml)及びIgG(100μg/ml)を配合した場合の、タンパク質の分子量の変化を、ポリアクリミルアミドゲル電気泳動により確認した。配合後1分、30分、1時間及び4時間の場合の分子量を確認した。
その結果を図7に示した。配合後の時間の経過とともに分子量の増加が認められ、SPAとIgGが複合体を形成していることが確認された。このことから、SPAとIgGが複合体を形成し、IL-10産生促進効果を発揮しているものと考えられた。
(実施例3)ヒト末梢血単球にSPAとIgGを添加した場合のIL-10の産生促進能(3)
本実施例では、SPAの濃度を10μg/mlに固定し、IgGの濃度を25、50、100、200、400及び800μg/mlの各濃度に変更して配合したものを2×106個/mlのヒト末梢血単球に添加して刺激した場合のIL-10産生能を、無刺激でのIL-10の産生量を100とした場合のIL-10の相対的産生量(%)により確認した(n=3)。SPA及びIgGの配合比を変更した以外は、実施例2と同手法により確認した。
その結果を図8に示した。SPAを10μg/mlで固定した場合、IgGの濃度は100〜200μg/mlでIL-10産生量が最も高く、IgGの濃度が400μg/mlを超えると、IL-10産生量は横ばい又はやや下降化傾向を示した。
以上詳述したように、SPA及びIgGでIL-10産生細胞を刺激することで、IL-10の強い産生促進能を示した。本発明の方法により、従来のIL-10産生誘導方法に比べてIL-10の十分な産生量が得られた。
IL-10は主に単球系細胞に作用して炎症性サイトカインの産生を始めとする免疫機能を抑制的に制御する他、リンパ球に対しても単球系細胞を介して間接的に抑制作用を示す。従って、SPA及びIgGにより、IL-10による免疫抑制効果も得られる。さらに、本発明のSPA及びIgGを含む配合剤により、培養細胞において炎症性サイトカインやアレルギーサイトカインの産生が抑制的に制御された。これにより、SPA及びIgGを含む配合剤は、優れたIL-10産生促進剤であり、炎症性サイトカイン及びアレルギー性サイトカインの産生を抑制することから、免疫抑制剤としても有用である。

Claims (9)

  1. IL−10産生細胞を、培養容器内で黄色ブドウ球菌プロテインA(SPA)及び免疫グロブリンG(IgG)で刺激することを特徴とする、培養容器内でのIL−10産生細胞からのIL−10産生促進方法。
  2. IL−10産生細胞が白血球である、請求項に記載のIL−10産生促進方法。
  3. 白血球が、単球、顆粒球、リンパ球及び樹状細胞から選択されるいずれか1種又は複数種の細胞である、請求項に記載のIL−10産生促進方法。
  4. 白血球が、ヒト末梢血単球である、請求項に記載のIL−10産生促進方法。
  5. SPA及びIgG(グルタルアルデヒド処理されたIgGではない)を含む、IL−10産生促進剤。
  6. SPA:IgG(グルタルアルデヒド処理されたIgGではない)の配合比が、重量比に換算して、1:1〜1:100である、請求項5に記載のIL−10産生促進剤。
  7. 請求項又はに記載のIL−10産生促進剤を有効成分とする、免疫抑制剤。
  8. 請求項又はに記載のIL−10産生促進剤を有効成分とする、IFN−γ産生抑制剤。
  9. 請求項又はに記載のIL−10産生促進剤を有効成分とする、IL−5産生抑制剤。
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