JP6402531B2 - 欠陥検出装置、欠陥検出方法及びプログラム - Google Patents

欠陥検出装置、欠陥検出方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、溶接鋼管の管軸方向に沿って形成された溶接面に存在する欠陥を検出する欠陥検出装置及び欠陥検出方法、当該欠陥検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。なお、本明細書においては、管径が5インチ以下、管厚みが7.5mm以下の小径の電縫鋼管について欠陥検出を行う場合を想定した例を説明するが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えばアーク溶接鋼管などの他の溶接鋼管を欠陥検出の対象とするものであってもよい。
まず、電縫鋼管の一般的な製造方法について説明する。
図18は、一般的な電縫鋼管の製造方法の一例を示す模式図である。図18(a)に示すように、一般的な電縫鋼管の製造方法においては、帯状の鋼板(帯鋼)201を、方向202に向かって連続的に搬送しながら、多数のロール群(図示せず)により管状に成形し、その突合せ端面203を高周波コイル204による誘導加熱又はコンタクトチップ(図示せず)による直接通電加熱により溶融するとともに、スクイズロール205により押圧を加えることで、突合せ端面203を溶接して溶接部210を形成する。このようにして、図18(b)に示すように、溶接部210(溶接面)が管軸方向220に沿って形成された電縫鋼管200が製造される。なお、本明細書において、溶接面とは、オープ管状に成形された熱延鋼板端部が、加熱され、溶融し、溶融部が押圧を加えることによって排出されて接合が完了した時の接合面をいう。この溶接面は、溶接衝合面と称される場合もある。
電縫鋼管200では溶接部210(溶接面)の品質が非常に重要であり、電縫鋼管200の製造工程においては、一般に超音波斜角探傷によって溶接部210(溶接面)に欠陥が存在するか否かのオンライン探傷が行われている。
図19は、従来の斜角探傷法の一例を示す模式図である。図19には、図18(b)に示した電縫鋼管200の断面(より詳細には、電縫鋼管200の断面のうちの溶接部210(溶接面)付近)が示されている。そして、超音波ビームの送受信を行うアレイ探触子250は、電縫鋼管200の外表面200Gの外側に設置されている。このような状態で、図19に示す従来の斜角探傷法では、アレイ探触子250から、電縫鋼管200の外表面200Gに対して超音波ビームを出力し、当該超音波ビームを電縫鋼管200の内表面200Nで一度反射させて溶接部210(溶接面)に照射し、反射した超音波ビームをアレイ探触子250で受信し、受信した超音波ビームを解析して溶接部210(溶接面)に欠陥が存在するか否かを検出する。
また、従来、下記の特許文献1には、超音波ビームの送信用と受信用とで別のアレイ探触子を設ける、いわゆるタンデム探傷法の技術が開示されている。
また、従来、下記の特許文献2には、超音波探傷子から電縫鋼管の溶接部(溶接面)に直射で超音波ビームを送信し、反射した超音波ビームを当該超音波探傷子で受信して、受信した超音波ビームを解析して溶接部(溶接面)に欠陥が存在するか否かを検出する技術が開示されている。
また、従来、下記の特許文献3には、フェイズドアレイ探傷子を用いて、当該フェイズドアレイ探傷子を構成する複数の超音波探傷子のうちの一部または全部を含む超音波探傷子群から、電縫鋼管の溶接部(溶接面)に直射で超音波ビームを送信し、反射した超音波ビームを当該超音波探傷子群で受信して、受信した超音波ビームを解析して溶接部(溶接面)に欠陥が存在するか否かを検出する技術が開示されている。
特許第4544240号公報 特開2006−47026号公報 国際公開第2014/007023号
しかしながら、上述した図19に示す従来の斜角探傷法では、超音波ビームを電縫鋼管200の内表面200Nで一度反射させて溶接部210(溶接面)に照射しているため、溶接部210(溶接面)に対して略垂直に超音波ビームを照射することができず、その結果、溶接部210(溶接面)に欠陥が存在する場合、アレイ探触子250に届く当該欠陥からの正反射の超音波ビームが弱くなる。このため、例えば、ペネトレータのような微小欠陥(0.3mm程度)の検出は困難となるという問題があった。
また、上述した特許文献1の技術では、比較的厚みの薄い(7.5mm程度以下)管径が5インチ以下の小径の電縫鋼管に対して探傷を行う場合には、溶接部(溶接面)に存在する欠陥からの反射超音波ビームに係るSN比が低下するという問題があった。
また、上述した特許文献2の技術では、超音波探傷子から送信する超音波ビームの集束技術は開示させておらず、このため、溶接部(溶接面)に存在する欠陥からの反射超音波ビームに係るSN比が低下するという問題があった。
また、上述した特許文献3の技術では、フェイズドアレイ探傷子から電縫鋼管の溶接部(溶接面)に超音波ビームを送信して欠陥探傷を行う際に、当該超音波ビームの集束点を考慮して欠陥探傷を行うことは開示されておらず、このため、溶接部(溶接面)に存在する欠陥の検出精度を向上させることが困難であるという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、微小欠陥の検出も可能であり、且つ、比較的厚みの薄い小径の溶接鋼管であっても欠陥の検出精度の向上を実現する仕組みを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
本発明の欠陥検出装置は、溶接鋼管の管軸方向に沿って形成された溶接面に存在する欠陥を検出する欠陥検出装置であって、前記溶接鋼管の外表面の外側に設置され、複数の超音波振動子が配列されたフェイズドアレイ探触子と、前記フェイズドアレイ探触子を構成する前記複数の超音波振動子のうちの一部の超音波振動子からなる探傷用超音波振動子群から、前記溶接鋼管の外表面から前記溶接鋼管内に入射した探傷用超音波ビームが前記溶接鋼管の内表面で反射することなく前記溶接面に対して略垂直に直接入射し且つ前記溶接面に収束するように、前記探傷用超音波ビームを送信する送信手段と、前記溶接鋼管の管厚みと、前記溶接面における前記探傷用超音波ビームの有効ビーム径とに基づいて、前記溶接面における前記管厚みの方向の領域の区分数Nを設定する区分数設定手段と、実測または3次元シミュレーション解析により予め導出された、前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波ビームの前記溶接鋼管の円周方向における最大音圧位置に係る情報と前記探傷用超音波振動子群の中央位置との関係に基づいて、前記フェイズドアレイ探触子と前記溶接鋼管との位置関係を固定した状態で、前記区分数Nに分けられた領域ごとに、前記探傷用超音波ビームの前記最大音圧位置と前記溶接面の位置とが一致するように前記探傷用超音波振動子群の中央位置を移動させることで前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波振動子群を設定する超音波振動子群設定手段と、前記送信手段を制御して、前記区分数Nに分けられた各領域に対して、前記超音波振動子群設定手段において前記区分数Nに分けられた領域ごとに設定された前記探傷用超音波振動子群から前記探傷用超音波ビームを順次送信させる制御手段と、反射したそれぞれの前記探傷用超音波ビームを、当該探傷用超音波ビームを送信した前記探傷用超音波振動子群を介して順次受信する受信手段と、前記受信手段で順次受信した前記探傷用超音波ビームに基づいて、前記溶接面に欠陥が存在するか否かを判定する欠陥判定手段と、を有する。
本発明の欠陥検出方法は、溶接鋼管の外表面の外側に設置され、複数の超音波振動子が配列されたフェイズドアレイ探触子と、前記フェイズドアレイ探触子を構成する前記複数の超音波振動子のうちの一部の超音波振動子からなる探傷用超音波振動子群から、前記溶接鋼管の外表面から前記溶接鋼管内に入射した探傷用超音波ビームが前記溶接鋼管の内表面で反射することなく前記溶接鋼管の管軸方向に沿って形成された溶接面に対して略垂直に直接入射し且つ前記溶接面に収束するように、前記探傷用超音波ビームを送信する送信手段とを備え、前記溶接面に存在する欠陥を検出する欠陥検出装置による欠陥検出方法であって、前記溶接鋼管の管厚みと、前記溶接面における前記探傷用超音波ビームの有効ビーム径とに基づいて、前記溶接面における前記管厚みの方向の領域の区分数Nを設定する区分数設定ステップと、実測または3次元シミュレーション解析により予め導出された、前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波ビームの前記溶接鋼管の円周方向における最大音圧位置に係る情報と前記探傷用超音波振動子群の中央位置との関係に基づいて、前記フェイズドアレイ探触子と前記溶接鋼管との位置関係を固定した状態で、前記区分数Nに分けられた領域ごとに、前記探傷用超音波ビームの前記最大音圧位置と前記溶接面の位置とが一致するように前記探傷用超音波振動子群の中央位置を移動させることで前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波振動子群を設定する超音波振動子群設定ステップと、前記送信手段を制御して、前記区分数Nに分けられた各領域に対して、前記超音波振動子群設定ステップにおいて前記区分数Nに分けられた領域ごとに設定された前記探傷用超音波振動子群から前記探傷用超音波ビームを順次送信させる制御ステップと、反射したそれぞれの前記探傷用超音波ビームを、当該探傷用超音波ビームを送信した前記探傷用超音波振動子群を介して順次受信する受信ステップと、前記受信ステップで順次受信した前記探傷用超音波ビームに基づいて、前記溶接面に欠陥が存在するか否かを判定する欠陥判定ステップと、を有する。
本発明のプログラムは、溶接鋼管の外表面の外側に設置され、複数の超音波振動子が配列されたフェイズドアレイ探触子と、前記フェイズドアレイ探触子を構成する前記複数の超音波振動子のうちの一部の超音波振動子からなる探傷用超音波振動子群から、前記溶接鋼管の外表面から前記溶接鋼管内に入射した探傷用超音波ビームが前記溶接鋼管の内表面で反射することなく前記溶接鋼管の管軸方向に沿って形成された溶接面に対して略垂直に直接入射し且つ前記溶接面に収束するように、前記探傷用超音波ビームを送信する送信手段とを備え、前記溶接面に存在する欠陥を検出する欠陥検出装置による欠陥検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記溶接鋼管の管厚みと、前記溶接面における前記探傷用超音波ビームの有効ビーム径とに基づいて、前記溶接面における前記管厚みの方向の領域の区分数Nを設定する区分数設定ステップと、実測または3次元シミュレーション解析により予め導出された、前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波ビームの前記溶接鋼管の円周方向における最大音圧位置に係る情報と前記探傷用超音波振動子群の中央位置との関係に基づいて、前記フェイズドアレイ探触子と前記溶接鋼管との位置関係を固定した状態で、前記区分数Nに分けられた領域ごとに、前記探傷用超音波ビームの前記最大音圧位置と前記溶接面の位置とが一致するように前記探傷用超音波振動子群の中央位置を移動させることで前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波振動子群を設定する超音波振動子群設定ステップと、前記送信手段を制御して、前記区分数Nに分けられた各領域に対して、前記超音波振動子群設定ステップにおいて前記区分数Nに分けられた領域ごとに設定された前記探傷用超音波振動子群から前記探傷用超音波ビームを順次送信させる制御ステップと、反射したそれぞれの前記探傷用超音波ビームを、当該探傷用超音波ビームを送信した前記探傷用超音波振動子群を介して順次受信する受信ステップと、前記受信ステップで順次受信した前記探傷用超音波ビームに基づいて、前記溶接面に欠陥が存在するか否かを判定する欠陥判定ステップと、をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、微小欠陥の検出も可能であり、且つ、比較的厚みの薄い小径の溶接鋼管であっても欠陥の検出精度の向上を実現することができる。
本発明の実施形態に係る欠陥検出装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、図1に示す探傷用超音波ビームの送受信の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、図1に示す音響レンズの一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、図1に示すフェイズドアレイ探触子の概略図である。 本発明の実施形態を示し、図1に示す探傷用超音波ビームの焦点での有効ビーム径の解析モデル及びその解析結果を示す図である。 探傷予備実験に用いる電縫鋼管を示す模式図である。 図6に示す電縫鋼管に対して、フェイズドアレイ探触子の或る探傷用超音波振動子群を用いて探傷を行う際の探傷条件を示す図である。 図6に示す電縫鋼管に対して、図7に示すフェイズドアレイ探触子の或る探傷用超音波振動子群を用いて行った探傷予備実験の結果を示す図である。 図7に示すフェイズドアレイ探触子の探傷用超音波振動子群が、周波数10MHzの探傷用超音波ビームを送信し、ピッチ0.25mm、開口径8mmの場合の探傷波形を示す図である。 本発明の実施形態を示し、2次元シミュレーションによる探傷用超音波ビームの音圧分布を示す図である。 本発明の実施形態を示し、図7に示す探傷状態に対して図10(a)に示すT軸負方向に電縫鋼管を1°刻みで回転させた際のφ0.2mmの平底穴のS/Nを示す図である。 本発明の実施形態を示し、図1の超音波振動子群設定部において探傷用超音波振動子群を設定する際の処理のイメージを示す図である。 本発明の実施形態を示し、図1の超音波振動子群設定部において探傷用超音波振動子群を設定する際の処理のイメージを示す図である。 本発明の実施形態を示し、図6に示す電縫鋼管に対して、図1の超音波振動子群設定部により各径路ごとに位置の最適化を実施した後の探傷用超音波振動子群を用いて行った探傷実験の結果を示す図である。 本発明の実施形態を示し、図6に示す電縫鋼管に対して、図1の超音波振動子群設定部により各径路ごとに位置の最適化を実施する前と後の探傷用超音波振動子群を用いて行った探傷実験の結果を示す図である。 本発明の実施形態を示し、図1に示す電縫鋼管の回転角度と欠陥(きず)の反射エコーの振幅との関係について、3次元シミュレーション解析による結果、2次元シミュレーション解析による結果、及び、実験結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る欠陥検出装置による欠陥検出方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 一般的な電縫鋼管の製造方法の一例を示す模式図である。 従来の斜角探傷法の一例を示す模式図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る欠陥検出装置100の概略構成の一例を示す図である。この欠陥検出装置100は、溶接鋼管の一種である電縫鋼管200の管軸方向(図18(b)の220)に沿って形成された溶接部210(溶接面)に存在する欠陥を検出するための装置である。また、図1には、図18(b)に示した電縫鋼管200の断面(より詳細には、電縫鋼管200の断面のうちの溶接部210付近)が示されている。
本実施形態に係る欠陥検出装置100は、図1に示すように、音響レンズ110と、フェイズドアレイ探触子120と、制御処理装置140を有して構成されている。また、制御処理装置140は、被検体条件入力部141と、送受信条件設定部142と、最大音圧位置情報記憶部143と、送受信制御部144と、送信部145−1と、受信部145−2と、受信信号処理部146と、欠陥判定部147と、水判定部148と、記録・表示部149を有して構成されている。
音響レンズ110は、フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200の外表面200Gとの間にフェイズドアレイ探触子120に対応して設けられている。音響レンズ110は、フェイズドアレイ探触子120から出力される探傷用超音波ビーム131を前記管軸方向に集束させるための集束レンズである。ここで、探傷用超音波ビーム131は、電縫鋼管200の溶接部210(溶接面)に欠陥が存在する場合に、当該欠陥を検出するために送信されるものである。
フェイズドアレイ探触子120は、電縫鋼管200の外表面200Gの外側に設置され、複数の超音波振動子121が配列されて形成されている。本実施形態におけるフェイズドアレイ探触子120には、探傷用超音波ビーム131を出力する探傷用超音波振動子群と、カップリングチェック用超音波ビーム(水判定用超音波ビーム)132を出力するカップリングチェック用超音波振動子群(水判定用超音波振動子群)とが設けられている。この際、本実施形態においては、探傷用超音波振動子群は、フェイズドアレイ探触子120を構成する複数の超音波振動子のうちの一部の複数の超音波振動子121からなるものである。また、本実施形態においては、この探傷用超音波振動子群は、カップリングチェック用超音波振動子群の超音波振動子とは異なる超音波振動子から構成されていても、また、カップリングチェック用超音波振動子群の超音波振動子と同じ超音波振動子から構成されていてもよい。
フェイズドアレイ探触子120(厳密に言えば音響レンズ110)と電縫鋼管200の外表面200Gとの間には、探傷用超音波ビーム131を効率的に伝播させるための媒体として水が存在している。カップリングチェックとは、フェイズドアレイ探触子120(厳密に言えば音響レンズ110)と電縫鋼管200の外表面200Gとの間が空気等なく水で満たされていて探傷用超音波ビーム131の送受信を正常に行える環境であるかを確認するための処理である。
被検体条件入力部141は、被検体である電縫鋼管200の条件(被検体条件)を入力する処理を行う。例えば、被検体条件入力部141は、ユーザにより操作入力された被検体条件を制御処理装置140内に入力する処理を行う。ここで、被検体条件としては、例えば、電縫鋼管200の外径や管厚み、電縫鋼管200の管厚み方向の内部の変位分布、管軸方向220の長さ、造管速度などが挙げられる。
送受信条件設定部142は、被検体条件入力部141により入力された被検体条件に基づいて、送受信条件を設定する処理を行う。ここで、送受信条件としては、例えば、探傷用超音波ビーム131やカップリングチェック用超音波ビーム132の送受信タイミングや、これらの超音波ビームの送信周波数、これらの超音波ビームの送受信に使用する超音波振動子121(以降、必要に応じて「チャネル(ch)」と呼ぶ)、送信する探傷用超音波ビーム131の溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域に対する区分数N、区分数Nに分けられた領域ごとに探傷用超音波ビーム131が溶接部210(溶接面)で集束するように探傷用超音波振動子群の各チャネルの送信タイミングの遅延時間などが挙げられる。
この送受信条件設定部142は、区分数設定部1421と、超音波振動子群設定部1422を含み構成されている。
区分数設定部1421は、被検体条件入力部141により入力された電縫鋼管200の管厚みと、溶接部210(溶接面)における探傷用超音波ビーム131の有効ビーム径とに基づいて、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域の区分数Nを設定する。また、区分数設定部1421は、電縫鋼管200の管厚みを前記有効ビーム径で割った値について小数第1位以下を切り上げた値を、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域の区分数Nとして設定する。
超音波振動子群設定部1422は、最大音圧位置情報記憶部143に記憶されている、区分数Nに分けられた領域ごとの探傷用超音波ビーム131の電縫鋼管200の円周方向における最大音圧位置(以下、この探傷用超音波ビーム131の電縫鋼管200の円周方向における最大音圧位置を、単に、「探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置」と称する)に係る情報に基づいて、区分数Nに分けられた領域ごとに、探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置と溶接部210(溶接面)の位置とが一致するように、当該探傷用超音波ビーム131を送受信する探傷用超音波振動子群を設定する。
最大音圧位置情報記憶部143には、実測または3次元シミュレーション解析により予め導出された、区分数Nに分けられた領域ごとの探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置に係る情報が記憶されている。
送受信制御部144は、送受信条件設定部142で設定された送受信条件に基づいて、送信部145−1及び受信部145−2を制御する。特に、本実施形態では、送受信制御部144は、送信部145−1を制御して、区分数Nに分けられた各領域に対して、超音波振動子群設定部1422において区分数Nに分けられた領域ごとに設定された探傷用超音波振動子群から探傷用超音波ビーム131を順次送信させる制御を行う。
送信部145−1は、送受信制御部144による制御に基づいて、フェイズドアレイ探触子120の探傷用超音波振動子群から探傷用超音波ビーム131を送信し、フェイズドアレイ探触子120のカップリングチェック用超音波振動子群からカップリングチェック用超音波ビーム132を送信する処理を行う。具体的に、送信部145−1は、フェイズドアレイ探触子120の探傷用超音波振動子群から電縫鋼管200の外表面200Gに向けて斜角に探傷用超音波ビーム131を出力し、電縫鋼管200の外表面200Gから入射した当該探傷用超音波ビーム131が電縫鋼管200の内表面200Nで反射することなく溶接部210(溶接面)に対して略垂直に直接入射し且つ当該溶接面に集束するように探傷用超音波ビーム131を送信する。この際、送信部145−1は、送受信制御部144による制御に基づいて、区分数Nに分けられた各領域に対して、超音波振動子群設定部1422において区分数Nに分けられた領域ごとに設定された探傷用超音波振動子群から探傷用超音波ビーム131を順次送信する処理を行う。また、送信部145−1は、フェイズドアレイ探触子120のカップリングチェック用超音波振動子群から電縫鋼管200の外表面200Gに対して略垂直にカップリングチェック用超音波ビーム132を送信する。
受信部145−2は、送受信制御部144による制御に基づいて、反射したそれぞれの探傷用超音波ビーム131を、当該探傷用超音波ビームを送信した探傷用超音波振動子群を介して順次受信し、また、反射したカップリングチェック用超音波ビーム132を、当該カップリングチェック用超音波ビーム132を送信したカップリングチェック用超音波振動子群を介して受信する処理を行う。
受信信号処理部146は、受信部145−2で受信した超音波ビーム(受信信号)を処理する。
欠陥判定部147は、受信部145−2で順次受信した探傷用超音波ビーム131に基づいて、電縫鋼管200の溶接部210(溶接面)に欠陥が存在するか否かを判定する処理を行う。さらに、欠陥判定部147は、溶接部210に欠陥が存在する場合に、その位置や大きさを判定する処理も行う。
水判定部148は、受信部145−2で受信したカップリングチェック用超音波ビーム132に基づいて、フェイズドアレイ探触子120(厳密に言えば音響レンズ110)と電縫鋼管200の外表面200Gとの間が空気等なく水で満たされているか否かを判定する処理を行う。
記録・表示部149は、受信信号処理部146による処理の結果や欠陥判定部147及び水判定部148による判定結果を記録したり表示したりする処理を行う。さらに、記録・表示部149は、必要に応じて、各種のデータや各種の情報を記録したり表示したりする処理を行う。
なお、送信部145−1は、カップリングチェックの結果、カップリングチェックに問題が無かった場合(即ち、水判定部148でフェイズドアレイ探触子120(厳密に言えば音響レンズ110)と電縫鋼管200の外表面200Gとの間が水で満たされていると判定された場合)に、フェイズドアレイ探触子120の探傷用超音波振動子群から探傷用超音波ビーム131を送信する処理を行う。また、図1に示す例では、送信部145−1と受信部145−2を別構成としているが、本実施形態においては、これらの構成部をまとめて送受信部145として構成してもよい。
次に、探傷用超音波ビーム131の送受信について説明する。
図2は、本発明の実施形態を示し、図1に示す探傷用超音波ビーム131の送受信の一例を示す図である。ここで、図2では、図1に示す電縫鋼管200とフェイズドアレイ探触子120のみを図示している。
本実施形態では、上述したように、探傷用超音波ビーム131を出力する探傷用超音波振動子群122は、フェイズドアレイ探触子120を構成する複数の超音波振動子のうちの一部の複数の超音波振動子121から構成されている。そして、本実施形態では、探傷用超音波振動子群122から探傷用超音波ビーム131を送信して、この探傷用超音波ビーム131を電縫鋼管200の外表面200Gにおける入射方向に対して角度α(約70°)屈折させて、電縫鋼管200の内表面200Nで反射させることなく直接溶接部210(溶接面)に略垂直に入射させる。
また、本実施形態では、溶接部210(溶接面)に存在する欠陥211の検出感度を向上させることを目的として、溶接部210(溶接面)に略垂直に集束ビームを入射させるようにしている。これは、集束ビームを溶接部210(溶接面)に対して略垂直に入射させることで、多重反射による超音波エネルギーのロスを生じることなく正反射方向で欠陥211からの反射超音波ビームを直接受信することが可能であることによるものである。なお、通常の単一集束探触子を用いることである程度の集束ビームを形成することは可能であるが、電縫鋼管200の曲率の影響により電縫鋼管200内の狙った位置にビームを良好に集束させることは困難である。そこで、本実施形態では、電縫鋼管200の曲率の影響を受けずに電縫鋼管200内の狙った位置にビームを良好に集束させるべく、フェイズドアレイ探触子120を採用することにした。フェイズドアレイ探触子120を採用すれば、探傷用超音波振動子群122の選択や各超音波振動子による超音波送信の遅延時間制御により、電縫鋼管200の曲率を考慮した集束ビームを形成できるため、単一集束探触子よりも更に高い欠陥検出性能を実現できる。
図3は、本発明の実施形態を示し、図1に示す音響レンズ110の一例を示す図である。この音響レンズ110は、上述したように、フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200の外表面200Gとの間にフェイズドアレイ探触子120に対応して設けられている。音響レンズ110は、フェイズドアレイ探触子120から出力される探傷用超音波ビーム131を電縫鋼管200の管軸方向220に集束させる。このように、音響レンズ110を設けることにより、探傷用超音波ビーム131を、フェイズドアレイ探触子120による電縫鋼管200の管厚み方向の集束させることができるのみならず、電縫鋼管200の管軸方向220にも集束させることが可能である。
図4は、本発明の実施形態を示し、図1に示すフェイズドアレイ探触子120の概略図である。図4に示すように、フェイズドアレイ探触子120(探傷用超音波振動子群122を含む)の開口径は、隣接する超音波振動子121の中心位置の距離を示すピッチpとし、超音波振動子121の数を素子数nとすると、ほぼピッチp×素子数nとして表すことができる。また、図4では、各超音波振動子121の幅を素子サイズsとして示している。
図5は、本発明の実施形態を示し、図1に示す探傷用超音波ビーム131の焦点での有効ビーム径の解析モデル及びその解析結果を示す図である。この解析では、厚み3.4mmの溶接部210(溶接面)に欠陥211を設けず、図5(a)に示すように溶接部210(溶接面)の厚み方向に波形取得ポイントを設定して、探傷用超音波ビーム131の振動による電縫鋼管200の内部の変位分布を読み取り、−6dB幅を求めた。この際、図5(a)に示すように、探傷用超音波ビーム131の狙いは溶接部210(溶接面)の厚み方向の中央とし、また、フェイズドアレイ探触子120の仕様は、周波数が5MHz、ピッチpが0.5mm、素子数が16素子(16ch)とした。この場合の解析結果を図5(b)に示す。
図5(b)に示すように、探傷用超音波ビーム131の振動による電縫鋼管200の内部の変位の最大値を1とし、変位が0.5となる−6dB幅(即ち、当該変位が0.5以上となる範囲)として定義される有効ビーム径が1.6mmとなる結果が得られた。ここで、区分数設定部1421は、被検体条件入力部141により入力された電縫鋼管200の管厚み方向の内部の変位分布に基づいて前記有効ビーム径を決定し、被検体条件入力部141により入力された電縫鋼管200の管厚み(溶接部210(溶接面の厚み)と、当該決定した有効ビーム径とに基づいて、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域をN個(Nは1以上の整数)に区分する区分数Nを設定する。本例の場合、区分数設定部1421は、電縫鋼管200の管厚みである3.4mmを有効ビーム径である1.6mmで割った値である2.125について小数第1位以下を切り上げて、前記区分数Nとして「3」を設定する。そして、本実施形態では、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域に対して、外周面200G側から昇順で第1〜第Nの領域(本例では、第1〜第3の領域)を定義する。この際、本実施形態では、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域をN等分して、第1〜第Nの領域(本例では、第1〜第3の領域)を設定する。ここでは、上述した有効ビーム径が1.6mmである場合の例を示したが、当該有効ビーム径は、電縫鋼管200の管厚み方向の内部の変位分布や、フェイズドアレイ探触子120の仕様などによって変化するものである。
<実測により最大音圧位置に係る情報を求めて探傷用超音波振動子群を設定する手法>
次に、区分数Nに分けられた領域ごとの探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置に係る情報を実測により予め導出して最大音圧位置情報記憶部143に記憶し、超音波振動子群設定部1422において、当該最大音圧位置に係る情報に基づいて、区分数Nに分けられた領域ごとに探傷用超音波振動子群を最適化して設定する手法について説明する。
実測により最大音圧位置に係る情報を求めて探傷用超音波振動子群を最適化して設定する手法を説明する前に、まず、探傷用超音波振動子群の最適化を行わない場合の探傷予備実験を行った。
図6は、探傷予備実験に用いる電縫鋼管200を示す模式図である。この際、電縫鋼管200としては、外径が101.6mm、管厚みが3.4mmのものを使用した。
図6(a)は、探傷予備実験に用いるサンプルの電縫鋼管200を外表面の外側から見た図である。この電縫鋼管200に切削部610を形成した。
図6(b)は、図6(a)で示した電縫鋼管200の断面(より詳細には、電縫鋼管200の断面のうちの溶接部210(溶接面)付近)を示している。図6(b)に示すように、切削部610には、電縫鋼管200の溶接部210(溶接面)から3mm離れた面(高さ3.1mm、幅50mm)612に人工きず(平底穴)611を形成した。この際、矢印620で示す方向の断面621に示すように、人工きず611は、溶接部210(溶接面)に達する平底穴として形成した。
図6(c)は、切削部610の面612に形成した人工きず(平底穴)611を示す図である。図6(c)に示すように、人工きず(平底穴)611は、穴径が、φ0.5mm、φ0.3mm、φ0.2mmで、それぞれ、管厚み方向の深さが、外表面200Gから0.6mm、中央部、内表面200Nから0.6mmの計9個作成した。以降、外表面200Gから0.6mmに形成された人工きず(平底穴)611を「外表面側平底穴」と称し、中央部に形成された人工きず(平底穴)611を「中央部平底穴」と称し、内表面200Nから0.6mmに形成された人工きず(平底穴)611を「内表面側平底穴」と称する。
図7は、図6に示す電縫鋼管200に対して、フェイズドアレイ探触子120の或る探傷用超音波振動子群122を用いて探傷を行う際の探傷条件を示す図である。この際、図7(a)に示す探傷用超音波振動子群122は、上述した超音波振動子群設定部1422による最適化がされていないものである。また、図7に示す例は、区分数設定部1421により区分数Nとして「5」が設定された場合の例である。
まず、フェイズドアレイ探触子120の中央部からの探傷用超音波ビームが電縫鋼管200の溶接部210(溶接面)に垂直に入射するように、フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200の位置を調整し、基準位置を決定した。このとき、探傷用超音波ビームの経路703で音響レンズ110の前面からの水距離を22.6mmとした。また、本例では、図7(b)に示すように、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向に探傷用超音波ビームの焦点を5点設定し(即ち、区分数Nを5に設定し)、フェイズドアレイ探触子120の中央部に位置する探傷用超音波振動子群122を用いて探傷用超音波ビームの送受信を行った。具体的に、図7(b)に示すように、図7(a)に示す経路701では、探傷用超音波ビームの焦点設定位置を外表面200Gから0.5mmの深さとし、図7(a)に示す経路702では、探傷用超音波ビームの焦点設定位置を外表面200Gから1.1mmの深さとし、図7(a)に示す経路703では、探傷用超音波ビームの焦点設定位置を外表面200Gから1.7mmの深さとし、図7(a)に示す経路704では、探傷用超音波ビームの焦点設定位置を外表面200Gから2.3mmの深さとし、図7(a)に示す経路705では、探傷用超音波ビームの焦点設定位置を外表面200Gから2.9mmの深さとした。
そして、探傷用超音波振動子群122を、周波数及びピッチ(図4に示すピッチp)に関して4通り、図4に示す開口径に関して2通り(8mm、16mm)の計8通りのものを使用して探傷予備実験を行った。その結果を図8に示す。
図8は、図6に示す電縫鋼管200に対して、図7に示すフェイズドアレイ探触子120の或る探傷用超音波振動子群122を用いて行った探傷予備実験の結果を示す図である。
図8(a)は、経路701における外表面側平底穴のS/Nを示す図である。また、図8(b)は、経路703における中央部平底穴のS/Nを示す図である。また、図8(c)は、経路705における内表面側平底穴のS/Nを示す図である。この際、S/Nの信号Sは、きずエコーの高さを用い、ノイズNはきずが無いときのゲート710内の最大ノイズとした。図8(a)〜図8(c)において、S/Nが1.0以上で検出の可否を判断した。図8(a)〜図8(c)において、「−」は、S/Nが1.0未満で検出が不可である旨を示している。また、図8(b)において、不等号は、信号Sが100%(測定のフルスケール値;後述の図9における基準高さ)以上であったことを示す。図8(a)〜図8(c)に示す探傷予備実験の結果から、外表面側平底穴及び内表面側平底穴の検出は困難であり、ほぼ中央部平底穴の検出のみとなった。また、図8(b)に示すS/Nを比較すると、周波数が10MHz、ピッチが0.25mm、開口径が8mmの場合で最もS/Nが高く、検出性能が優れていることが分かった。その際の探傷波形を図9に示す。
図9は、図7に示すフェイズドアレイ探触子120の探傷用超音波振動子群122が、周波数10MHzの探傷用超音波ビームを送信し、ピッチ0.25mm、開口径8mmの場合の探傷波形を示す図である。
図9(a)は、φ0.2mmの中央部平底穴の探傷波形である。また、図9(b)は、きずが無い場合の探傷波形である。基準高さを100%とした場合、図9(a)の白線で示すゲート710(図7(a))に相当する期間のきずエコーの高さが41%であり、図9(b)の白線で示すゲート710に相当する期間の最大ノイズの高さが14%であるため、図8(b)に示すようにS/Nは2.9となった。
また、図9(b)に示すきずが無い場合の探傷波形から、きずが無い場合でも溶接部210(溶接面)の影響と思われる微弱な信号が出る傾向が見られた。なお、従来のシミュレーション解析を行った際には、周波数が5MHzの場合が最もS/Nが良い結果が得られていたが、シミュレーション解析の結果と実験結果との違いは、探傷用超音波ビームの散乱ノイズをシミュレーション解析では模擬できていないことが主要因と思われる。
そこで、上述した探傷予備実験の条件と同等の条件で2次元超音波伝搬シミュレーションを実施した。その結果、探傷用超音波ビームの焦点設定位置と音圧の高い領域とがずれることが判明した。このため、本発明者は、探傷条件の修正を行い、探傷用超音波ビームの最大音圧位置と溶接部210(溶接面)の位置を一致させて、S/Nの向上を図ることを検討した。
図10は、本発明の実施形態を示し、2次元シミュレーションによる探傷用超音波ビームの音圧分布を示す図である。なお、図10は、フェイズドアレイ探触子120の探傷用超音波振動子群122が、周波数10MHzの探傷用超音波ビーム131を送信し、ピッチ0.25mm、開口径8mmの場合の解析結果である。
図10(a)は、経路701の探傷用超音波ビームの音圧分布を示す図である。また、図10(b)は、経路703の探傷用超音波ビームの音圧分布を示す図である。また、図10(c)は、経路705の探傷用超音波ビームの音圧分布を示す図である。図10(a)〜図10(c)においては、フェイズドアレイ探触子120(探傷用超音波振動子群122)から送信される探傷用超音波ビームの音圧が高い程、灰色の濃度を濃くして図示している。
図10(a)〜図10(c)において、計算上、焦点は溶接部210(溶接面)に設定されて溶接部210(溶接面)に探傷用超音波ビームが最集束されるはずであるが、その位置がずれており、特に、図10(a)及び図10(b)では溶接部210(溶接面)よりも手前に探傷用超音波ビームの音圧が高い領域(即ち灰色の濃度が濃い領域)が存在していることが分かる。
この位置のずれは、探傷用超音波振動子群の各チャネルにおける送信タイミングの遅延時間を直線ビームとして計算しているが、実際には探傷用超音波ビームの拡がりのために最大音圧が付与される位置がずれる現象が生じていると考えられる。
そこで、本発明者は、欠陥検出の感度向上のために、i)最大音圧の領域を溶接部21
0(溶接面)に近づけること、ii)溶接部210(溶接面)を最大音圧の領域に予め設定しおくこと、を考えた。そして、本発明者は、i)については、フェイズドアレイ探触子
120をY軸負方向に移動して調整することを考え、ii)については、図10(a)に示すように電縫鋼管200をT軸負方向に回転させて事前調整することを考えた。
本発明者が、図7に示す探傷状態に対してアライメント調整を行った結果、上述したi
)のY軸負方向の調整では、ほぼ効果は無かったが、上述したii)のT軸負方向の調整では、電縫鋼管200の管厚み方向の深さの異なる人工きず(平底穴)611でそれぞれS/Nがピークとなる位置の検出に成功した。このS/Nがピークとなる位置は、探傷用超音波ビームの最大音圧位置と見なすことができるものである。
次に、実測により最大音圧位置に係る情報を求めて探傷用超音波振動子群を設定する手法について説明する。
図11は、本発明の実施形態を示し、図7に示す探傷状態に対して図10(a)に示すT軸負方向に電縫鋼管200を1°刻みで回転させた際のφ0.2mmの平底穴のS/Nを示す図である。この際、12°以上の回転は、電縫鋼管200の外表面エコーときずエコーとが近接して分離が難しくなるため、電縫鋼管200の回転角度は11°までとした。なお、図11は、フェイズドアレイ探触子120の探傷用超音波振動子群122が、周波数10MHzの探傷用超音波ビーム131を送信し、ピッチ0.25mm、開口径8mmの場合の解析結果である。
図11には、電縫鋼管200の各回転角度における、φ0.2mmの外表面側平底穴(経路701)のS/Nと、φ0.2mmの中央部平底穴(経路703)のS/Nと、φ0.2mmの内表面側平底穴(経路705)のS/Nが示されている。
この方法では、内表面側平底穴の検出性能が、図8(c)に示された結果と比較して飛躍的に改善されている。また、φ0.2mmの外表面側平底穴ではT−11°のときにS/Nが最大(S/N=4.0)となり、φ0.2mmの中央部平底穴ではT−9°のときにS/Nが最大(S/N=4.8)となり、φ0.2mmの内表面側平底穴ではT−7°のときにS/Nが最大(S/N=5.7)となり、初期条件の2〜3倍近いS/Nとなった。本実施形態では、図11に示すようなS/Nの実測を行って、その結果得られた区分数Nに分けられた領域ごとのS/Nが最大となる位置(図11に示す例では、経路702及び704については例示していないが、経路701であればT−11°の位置、経路703であればT−9°の位置、経路705であればT−7°の位置)を、実測により予め導出された、区分数Nに分けられた領域ごとの探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置に係る情報として最大音圧位置情報記憶部143に記憶する。
ただし、各径路においてS/Nが最大となる回転角度が異なるため、各径路の探傷ごとに電縫鋼管200を所定の回転角度で回転させることも考えられるが、この場合、電縫鋼管200の実操業の観点から不適である。そこで、本発明者は、電縫鋼管200の実操業に適用させるべく、フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200との位置関係を固定した状態で、電縫鋼管200の管厚みの全領域を高いS/Nでカバーするために、探傷用超音波ビームの焦点の補正を行うことを考えた。図12にその例を示す。
図12は、本発明の実施形態を示し、図1の超音波振動子群設定部1422において探傷用超音波振動子群を設定する際の処理のイメージを示す図である。
まず、フェイズドアレイ探触子120の中央に位置する超音波振動子群を経路703の探傷用超音波振動子群122−3とし、電縫鋼管200をT軸負方向に9°回転させて経路703の焦点位置1201−3(溶接部210(溶接面)の位置)と最大音圧位置1202−3との位置合わせを行い、この位置で、フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200との位置関係を固定する。ここで、図12に示す最大音圧位置1202は、図11に示すS/Nが最大となる位置を示す。
その上で、超音波振動子群設定部1422は、経路701については、経路701の焦点位置1201−1(溶接部210(溶接面)の位置)と最大音圧位置1202−1との位置を合わせるために、経路703の探傷用超音波振動子群122−3に対して溶接部210(溶接面)の方向に所定距離だけ移動させた位置に存在する超音波振動子群を経路701の探傷用超音波振動子群122−1として設定する。また、超音波振動子群設定部1422は、経路705については、経路705の焦点位置1201−5(溶接部210(溶接面)の位置)と最大音圧位置1202−5との位置を合わせるために、経路703の探傷用超音波振動子群122−3に対して溶接部210(溶接面)の逆方向に所定距離だけ移動させた位置に存在する超音波振動子群を経路705の探傷用超音波振動子群122−5として設定する。このようにして、超音波振動子群設定部1422は、区分数Nに分けられた領域ごとに探傷用超音波振動子群122を最適化して設定する。
また、図13は、本発明の実施形態を示し、図1の超音波振動子群設定部1422において探傷用超音波振動子群を設定する際の処理のイメージを示す図である。この図13は、図12に示す内容を別の表現形式で示したものである。
図13(a)には、開口径が16mmのフェイズドアレイ探触子120とともに、開口径が8mmの探傷用超音波振動子群122が示されている。即ち、フェイズドアレイ探触子120の全体としては開口径が16mmであるが、そのうち、実際に探傷で使用する開口径は8mm分である。したがって、図13(b)のデータは、全て、探傷用超音波振動子群122の開口径を8mmとした場合の結果である。図13(b)には、図13(a)に示す探傷用超音波振動子群122の開口の中央位置と、S/Nピーク時(S/Nが最大時)のT軸負方向の回転角度との関係が示されている。まず、各径路701、703及び705において、同じT軸負方向の回転角度でS/Nピークを与えるための条件として、図12の場合と同様に、電縫鋼管200のT軸負方向の回転角度を9°に固定して設定する。
この回転角度9°の場合、図13(b)に示すように、図12で説明した経路703の探傷用超音波振動子群122−3における開口の中央位置は8mmであり、この経路703の探傷用超音波振動子群122−3は、超音波振動子群設定部1422により、図13(a)に示す探傷用超音波振動子群122の位置に設定される。また、この回転角度9°の場合、図13(b)に示すように、図12で説明した経路701の探傷用超音波振動子群122−1における開口の中央位置は5mmであり、図13(a)において、経路701の探傷用超音波振動子群122−1は、超音波振動子群設定部1422により、上述した経路703の探傷用超音波振動子群122−3よりも左側に3mmずれた位置に設定される。また、この回転角度9°の場合、図13(b)に示すように、図12で説明した経路705の探傷用超音波振動子群122−5における開口の中央位置は11mmであり、図13(a)において、経路705の探傷用超音波振動子群122−5は、超音波振動子群設定部1422により、上述した経路703の探傷用超音波振動子群122−3よりも右側に3mmずれた位置に設定される。
図14は、本発明の実施形態を示し、図6に示す電縫鋼管200に対して、図1の超音波振動子群設定部1422により各径路ごとに位置の最適化を実施した後の探傷用超音波振動子群122を用いて行った探傷実験の結果を示す図である。この図14には、探傷用超音波振動子群122が、周波数10MHzの探傷用超音波ビームを送信し、ピッチ0.25mm、開口径8mmの場合の探傷実験の結果を示している。
図14(a)は、図6(c)と同様に、図6(b)の切削部610の面612に形成した人工きず(平底穴)611を示す図である。また、図14(b)は、各径路701、703及び705における、いわゆるCスコープ画像を模式的に示す図である。図14(b)において、白色の濃度が増す程、図14(a)に示す人工きず(平底穴)611の検出性能が高いことを示している。この図14(b)に示す探傷実験の結果から、各径路701、703及び705において、対応するφ0.2mm、φ0.3mm及びφ0.5mmの人工きず(平底穴)611の検出が可能であることが分かった。なお、φ0.3mm以上の人工きず(平底穴)611の場合には、異なる経路の探傷用超音波ビームによっても、検出可能である場合があることも分かった。
図15は、本発明の実施形態を示し、図6に示す電縫鋼管200に対して、図1の超音波振動子群設定部1422により各径路ごとに位置の最適化を実施する前と後の探傷用超音波振動子群122を用いて行った探傷実験の結果を示す図である。この図15には、探傷用超音波振動子群122が、周波数10MHzの探傷用超音波ビームを送信し、ピッチ0.25mm、開口径8mmの場合の探傷実験の結果を示している。
具体的に、図15(a)は、比較例を示しており、図1の超音波振動子群設定部1422による位置の最適化を実施する前の或る探傷用超音波振動子群122を用いて行った探傷実験の結果であるS/Nを示す図である。なお、図15(a)に示す中央部平底穴のS/Nの値において、図8(b)に示す中央部平底穴のS/Nの値と異なる部分があるが、これは再実験を行ったために生じた誤差である。
図15(b)は、本発明の実施形態を示しており、図1の超音波振動子群設定部1422により各径路ごとに位置の最適化を実施した後の探傷用超音波振動子群122を用いて行った探傷実験の結果であるS/Nを示す図である。
この図15(b)に示す探傷実験の結果から、各径路701、703及び705において、対応するφ0.2mm、φ0.3mm及びφ0.5mmの人工きず(平底穴)611の検出が高精度に行えることが分かった。即ち、図15(a)及び図15(b)に示す探傷実験の結果から、図1の超音波振動子群設定部1422において各径路(区分数Nに分けられた領域)ごとに探傷用超音波振動子群122の位置の最適化を行うことは、溶接部210(溶接面)の管厚み方向のあらゆる領域に存在する各種の大きさの欠陥211を検出する際に、大変有用であることが分かった。
<3次元シミュレーション解析により最大音圧位置に係る情報を求めて探傷用超音波振動子群を設定する手法>
次に、区分数Nに分けられた領域ごとの探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置に係る情報を3次元シミュレーション解析により予め導出して最大音圧位置情報記憶部143に記憶し、超音波振動子群設定部1422において、当該最大音圧位置に係る情報に基づいて、区分数Nに分けられた領域ごとに探傷用超音波振動子群を最適化して設定する手法について説明する。
図16は、本発明の実施形態を示し、図1に示す電縫鋼管200の回転角度と欠陥(きず)の反射エコーの振幅との関係について、3次元シミュレーション解析による結果、2次元シミュレーション解析による結果、及び、実験結果を示す図である。この図16は、図7に示す経路703でφ0.2mmの中央部平底穴の探傷を行った場合の結果である。なお、図16に示す実験結果のデータは、図11に示す実験結果のデータとは別の機会の測定データである。
≪2次元シミュレーション解析≫
まず、2次元シミュレーション解析について説明する。
2次元シミュレーション解析を行う際に必要な設定項目を以下に示す。
・電縫鋼管200の外径及び管厚み
・フェイズドアレイ探触子120の仕様(周波数、ピッチ、素子数、素子サイズ)
・フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200の幾何学的位置関係、及び、電縫鋼管200の溶接部210(溶接面)の位置
・水の物性値(密度、縦波の音速、横波の音速)
・電縫鋼管200の鋼材の物性値(密度、縦波の音速、横波の音速)
・要素サイズ(有限要素法(FEM)等の場合のメッシュサイズ)
以下に、2次元シミュレーション解析に使用した設定値の一例を示す。
・電縫鋼管200の外径:101.6mm、管厚み:3.4mm
・フェイズドアレイ探触子120の仕様
周波数:10MHz、ピッチ:0.25mm、素子数:64ch、素子サイズ:0.2mm
・フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200の幾何学的位置関係
水距離(フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200との距離):22.6mm
・水の物性値
密度:1.0×10-6(kg/mm3)、縦波の音速:1.48×106(mm/s)、横波の音速:なし
・電縫鋼管200の鋼材の物性値
密度:7.8×10-6(kg/mm3)、縦波の音速:5.9×106(mm/s)、横波の音速:3.2×106(mm/s)
・要素サイズ(FEM等の場合のメッシュサイズ):0.01mm
≪3次元シミュレーション解析≫
次に、3次元シミュレーション解析について説明する。
3次元シミュレーション解析を行う際に必要な設定項目を以下に示す。
・電縫鋼管200の外径及び管厚み
・フェイズドアレイ探触子120の仕様(周波数、ピッチ、素子数、素子サイズ、管軸方向焦点距離)
・フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200の幾何学的位置関係、及び、電縫鋼管200の溶接部210(溶接面)の位置
・水の物性値(密度、縦波の音速、横波の音速)
・電縫鋼管200の鋼材の物性値(密度、縦波の音速、横波の音速)
・要素サイズ(有限要素法(FEM)等の場合のメッシュサイズ)
以下に、3次元シミュレーション解析に使用した設定値の一例を示す。
・電縫鋼管200の外径:101.6mm、管厚み:3.4mm
・フェイズドアレイ探触子120の仕様
周波数:10MHz、ピッチ:0.25mm、素子数:64ch、素子サイズ:0.2mm×7mm(7mmは管軸方向の奥行長さ)、管軸方向焦点距離:52mm
・フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200の幾何学的位置関係
水距離(フェイズドアレイ探触子120と電縫鋼管200との距離):22.6mm
・水の物性値
密度:1.0×10-6(kg/mm3)、縦波の音速:1.48×106(mm/s)、横波の音速:なし
・電縫鋼管200の鋼材の物性値
密度:7.8×10-6(kg/mm3)、縦波の音速:5.9×106(mm/s)、横波の音速:3.2×106(mm/s)
・要素サイズ(FEM等の場合のメッシュサイズ):0.01mm(XY面)×0.01mm(奥行)
次に、3次元シミュレーション解析の処理手順について説明する。ここでは、図7に示す経路703の場合の例について説明する。
[1]まず、図7に記載するようなモデル化を行う。
[2]続いて、溶接部210(溶接面)の管厚み方向の中央に欠陥(きず)を模擬するため、0.3mm(管厚み方向のサイズ)×0.3mm(電縫鋼管200の周方向サイズ)×0.3mm(管軸方向のサイズ)の空気部を配置する。
[3]続いて、フェイズドアレイ探触子120の中央の32素子を探傷用超音波振動子群122として用いて送受信を行うことを前提とし、その32素子からの溶接部210(溶接面)の管厚み方向の中央に探傷用超音波ビームが収束されように各素子の送信波を発生させるタイミングのずれ(遅延時間)を計算する。なお、この計算は、一般的に良く知られているレイトレース法を用いることが可能であり、超音波の送信点と到達点が幾何的に決められ、その間の物性値が既知であれば計算可能である。
[4]続いて、[3]で算出した遅延時間を送信用の32素子にそれぞれ設定して、送信波を発生させて、探傷用超音波ビームを伝播させる。ここで、フェイズドアレイ探触子120は、周波数が10MHz仕様であるため、10MHzのパルス波が送信させ、その後は波動方程式に従って、探傷用超音波ビームが水中や電縫鋼管200内を伝播する。また、電縫鋼管200と水の界面では、スネルの法則に従って超音波が屈折する。この際、時間分解能を0.005μs(周波数10MHzにより1周期が0.1μsであり、十分な時間分解能にするため、その1/20の0.005μs)と設定する。
[5]続いて、探傷用超音波ビームを送信した32素子において、反射した探傷用超音波ビームを受信する。そして、当該32素子で受信した信号(変位の振幅)を、合成(当該32素子で受信した各信号ついて同時刻の信号を加算)して1つの波形信号に変換する。
[6]続いて、きず(空気部)からの信号振幅をAとする。信号振幅Aは、きず(空気部)からの反射エコー振幅を意味するものである。
[7]続いて、モデル化した電縫鋼管200について、電縫鋼管200の中心を回転中心として1度回転させて、きず(空気部)、溶接部210(溶接面)を含めて新たな電縫鋼管200としてモデル化する。この際、回転させる方向は、溶接部210(溶接面)がフェイズドアレイ探触子120に近づく方向とする。そして、上記の[4]〜[7]の処理を繰り返し行う。
以上の処理により、図16に示すような、電縫鋼管200の回転角度と欠陥(きず)の反射エコーの振幅との関係を、3次元シミュレーション解析による結果として得ることができる。
上述したように、図16は、図7に示す経路703における結果であるが、上述した処理と同様の方法により、他の経路(701〜702、704〜705)についても、電縫鋼管200の回転角度と欠陥(きず)の反射エコーの振幅との関係について、3次元シミュレーション解析による結果等を取得することができる。
図16に示された結果から、欠陥(きず)の反射エコーの振幅が最大となる電縫鋼管200の回転角度は、実験結果(10°)に対して、2次元シミュレーション解析による結果(8°)よりも、3次元シミュレーション解析による結果(9°)の方が近いことが分かった。また、2次元シミュレーションの結果による、きずエコー高さが最大となる横軸位置(電縫鋼管の回転角度(8°))では、実験結果におけるきずエコー高さは0.33程度の低い値になってしまうため、2次元シミュレーションの結果は、適切な回転角度を示していない。しかしながら、3次元シミュレーションの結果による、きずエコー高さが最大となる横軸位置(電縫鋼管の回転角度(9°))では、実験結果におけるきずエコー高さは0.75程度の高い値を示しており、実用的に十分高い精度の値であると言える。
本発明者は、3次元シミュレーション解析による結果の方が、2次元シミュレーション解析による結果よりも、高精度である理由を以下のように考えた。
2次元シミュレーション解析では、電縫鋼管200の管軸方向(図18(b)の220)における探傷用超音波ビームの収束が全く考慮されていない。この点、実際の超音波探傷では、電縫鋼管200の管軸方向における探傷用超音波ビームの収束が行われており、例えば、図11に示すような実験データを得ている。探傷用超音波ビームの伝播は、波動方程式に基づいて、電縫鋼管200と水との界面ではスネルの法則に従い超音波が屈折する。しかしながら、2次元シミュレーション解析では、上述したように電縫鋼管200の管軸方向における探傷用超音波ビームの収束が考慮されていないため、電縫鋼管200と水との界面では正確な屈折現象をシミュレーションすることができない(3次元シミュレーション解析ではできる)。したがって、図16に示すように、3次元シミュレーション解析による結果の方が、2次元シミュレーション解析による結果よりも精度が良いと考えられる。
本実施形態では、図16に示すような欠陥(きず)の反射エコーの振幅(以下、きず反射エコー振幅)と称する)における3次元シミュレーション解析を、図7に示す経路703の場合のみならず他の経路(701〜702、704〜705)についても行って、その結果得られた区分数Nに分けられた領域ごとのきず反射エコー振幅が最大となる位置(図16に示す例では、経路701〜702及び704〜705については例示していないが、経路703であれば電縫鋼管200の回転角度が9°の位置)を、3次元シミュレーション解析により予め導出された、区分数Nに分けられた領域ごとの探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置に係る情報として最大音圧位置情報記憶部143に記憶する。
なお、上述した<実測により最大音圧位置に係る情報を求めて探傷用超音波振動子群を設定する手法>の説明では、S/Nが最大となる位置を、実測により予め導出された、区分数Nに分けられた領域ごとの探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置に係る情報として最大音圧位置情報記憶部143に記憶する例を示したが、3次元シミュレーション解析の場合と同様に、図16に示す実測を、図7に示す経路703の場合のみならず他の経路(701〜702、704〜705)についても行って、その結果得られた区分数Nに分けられた領域ごとのきず反射エコー振幅が最大となる位置(図16に示す例では、経路701〜702及び704〜705については例示していないが、経路703であれば電縫鋼管200の回転角度が10°の位置)を、実測により予め導出された、区分数Nに分けられた領域ごとの探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置に係る情報として最大音圧位置情報記憶部143に記憶する形態も適用可能である。
その後、3次元シミュレーション解析による場合も、上述した<実測により最大音圧位置に係る情報を求めて探傷用超音波振動子群を設定する手法>において図12や図13を用いて説明した場合と同様に、最大音圧位置情報記憶部143に記憶した最大音圧位置に係る情報に基づいて、超音波振動子群設定部1422が、区分数Nに分けられた領域ごとに探傷用超音波振動子群122を最適化して設定を行う。
<欠陥検出装置による処理手順>
次に、本実施形態に係る欠陥検出装置100による欠陥検出方法の処理手順について説明する。
図17は、本発明の実施形態に係る欠陥検出装置100による欠陥検出方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。この図17に示すフローチャートの説明においては、図1に示す欠陥検出装置100の構成を用いて説明を行う。また、この図17におけるフローチャートの処理を行う際には、最大音圧位置情報記憶部143に、予め、実測または3次元シミュレーション解析により予め導出された、各領域ごとの探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置に係る情報が記憶されているものとする。
まず、ステップS1において、被検体条件入力部141は、被検体である電縫鋼管200の条件(被検体条件)を入力する処理を行う。例えば、被検体条件入力部141は、ユーザにより操作入力された被検体条件(例えば、電縫鋼管200の外径や管厚み、電縫鋼管200の管厚み方向の内部の変位分布、管軸方向220の長さ、造管速度など)を制御処理装置140内に入力する処理を行う。
続いて、ステップS2において、送受信条件設定部142は、ステップS1で入力された被検体条件に基づいて、送受信条件を設定する処理を行う。ここで、送受信条件として、例えば、探傷用超音波ビーム131やカップリングチェック用超音波ビーム132の送受信タイミングや、これらの超音波ビームの送信周波数、これらの超音波ビームの送受信に使用する超音波振動子121、送信する探傷用超音波ビーム131の溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域に対する区分数N、区分数Nに分けられた領域ごとに探傷用超音波ビーム131が溶接部210(溶接面)で集束するように探傷用超音波振動子群の各チャネルの送信タイミングの遅延時間などを設定する。
本実施形態では、送受信条件設定部142の区分数設定部1421は、被検体条件入力部141により入力された電縫鋼管200の管厚みと、溶接部210(溶接面)における探傷用超音波ビーム131の有効ビーム径とに基づいて、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域の区分数Nを設定する。具体的に、送受信条件設定部142の区分数設定部1421は、被検体条件入力部141により入力された電縫鋼管200の管厚み方向の内部の変位分布に基づいて前記有効ビーム径を決定し、被検体条件入力部141により入力された電縫鋼管200の管厚み(溶接部210(溶接面の厚み)と、当該決定した有効ビーム径とに基づいて、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域をN個(Nは1以上の整数)に区分する区分数Nを設定する。この際、送受信条件設定部142の区分数設定部1421は、電縫鋼管200の管厚みを前記有効ビーム径で割った値について小数第1位以下を切り上げた値を、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域の区分数Nとして設定する。
また、本実施形態では、送受信条件設定部142の超音波振動子群設定部1422は、最大音圧位置情報記憶部143に記憶されている、区分数Nに分けられた領域ごとの探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置に係る情報に基づいて、区分数Nに分けられた領域ごとに、探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置と溶接部210(溶接面)の位置とが一致するように、当該探傷用超音波ビーム131を送受信する探傷用超音波振動子群を設定する。
続いて、ステップS3において、送信部145−1は、送受信制御部144の制御により、送受信条件設定部142で設定された送受信条件に基づいて、フェイズドアレイ探触子120のカップリングチェック用超音波振動子群から電縫鋼管200の外表面200Gに対して略垂直にカップリングチェック用超音波ビーム132を送信する。
続いて、ステップS4において、受信部145−2は、送受信制御部144の制御により、送受信条件設定部142で設定された送受信条件に基づいて、反射したカップリングチェック用超音波ビーム132をカップリングチェック用超音波振動子群を介して受信する。その後、受信部145−2で受信したカップリングチェック用超音波ビーム132は、受信信号処理部146で処理される。
続いて、ステップS5において、水判定部148は、ステップS4で受信したカップリングチェック用超音波ビーム132に基づいて、カップリングチェックが問題なしか否かを判断する。具体的に、水判定部148は、フェイズドアレイ探触子120(厳密に言えば音響レンズ110)と電縫鋼管200の外表面200Gとの間が空気等なく水で満たされているか否かを判定することで、カップリングチェックが問題なしか否かを判断する。
ステップS5の判断の結果、カップリングチェックが問題ありの場合(S5/NOの場合)には、ステップS6に進む。
ステップS6に進むと、記録・表示部149は、カップリングチェックが問題ありである旨の警告表示を行う。この警告表示を行うことで、ユーザは、設備のメンテナンスを行うことになり、設備のメンテナンス後、ユーザの操作により、図17のフローチャートの最初から処理が行われることになる。
一方、ステップS5の判断の結果、カップリングチェックが問題なし場合(S5/YESの場合)には、ステップS7に進む。カップリングチェックが問題なしである場合、溶接部210の欠陥探傷の処理が開始されることになる。
ステップS7に進むと、送信部145−1は、送受信制御部144の制御により、送受信条件設定部142で設定された送受信条件に基づいて、ステップS2で設定された或る領域(区分数設定部1421で区分数Nに分けられた領域のうちの1つの領域)に対応するフェイズドアレイ探触子120の探傷用超音波振動子群122から、電縫鋼管200の外表面200Gから電縫鋼管200内(溶接鋼管内)に入射した探傷用超音波ビーム131が電縫鋼管200の内表面200Nで反射することなく溶接部210(溶接面)に対して略垂直に直接入射し且つ当該溶接面に収束するように、探傷用超音波ビーム131を送信する。
続いて、ステップS8に進むと、受信部145−2は、送受信制御部144の制御により、送受信条件設定部142で設定された送受信条件に基づいて、反射した当該探傷用超音波ビーム131を当該探傷用超音波振動子群122を介して受信する。その後、受信部145−2で受信した探傷用超音波ビーム131は、受信信号処理部146で処理される。
続いて、ステップS9において、例えば送受信制御部144は、溶接部210(溶接面)の深さ方向(管厚み方向)について全て欠陥探傷を行ったか否かを判断する。即ち、ここでは、ステップS2において区分数設定部1421で区分数Nに分けられた領域のうちの全ての領域について欠陥探傷を行ったか否かを判断する。
ステップS9の判断の結果、溶接部210(溶接面)の深さ方向について未だ全ての欠陥探傷については行っていない場合(S9/NOの場合)には、未だ欠陥探傷を行っていない溶接部210(溶接面)の深さ方向の欠陥探傷を行うべく、ステップS7に戻る。即ち、ステップS2において区分数設定部1421で区分数Nに分けられた領域のうちの全ての領域については未だ欠陥探傷を行っていない場合には、未だ欠陥探傷を行っていない領域について欠陥探傷を行うべく、ステップS7に戻る。
一方、ステップS9の判断の結果、溶接部210(溶接面)の深さ方向について全て欠陥探傷を行った場合(S9/YESの場合)には、ステップS10に進む。即ち、ステップS2において区分数設定部1421で区分数Nに分けられた領域のうちの全ての領域について欠陥探傷を行った場合には、ステップS10に進む。
ステップS10に進むと、例えば送受信制御部144は、電縫鋼管200の管軸方向220について全て欠陥探傷を行ったか否かを判断する。
ここで、本実施形態では、上述したように、音響レンズ110による管軸方向220の超音波ビームの集束により、管軸方向ビーム集束径が一般的な1mmであるとする。一方、ステップS1において管軸方向220の長さが入力されている。
そこで、本実施形態では、ステップS10において、これらの情報に基づいて、電縫鋼管200の管軸方向220について全て欠陥探傷を行ったか否かを判断することになる。
ステップS10の判断の結果、電縫鋼管200の管軸方向220について未だ全ての欠陥探傷については行っていない場合(S10/NO)には、未だ行っていない電縫鋼管200の管軸方向220の位置の欠陥探傷を行うべく、ステップS7に戻る。
一方、ステップS10の判断の結果、電縫鋼管200の管軸方向220について全て欠陥探傷を行った場合(S10/YESの場合)には、ステップS11に進む。
続いて、ステップS11において、欠陥判定部147は、ステップS8で受信した探傷用超音波ビーム131に基づいて、電縫鋼管200の溶接部210に欠陥が存在するか否かを判定する処理を行う。さらに、欠陥判定部147は、溶接部210に欠陥が存在する場合に、その位置や大きさを判定する処理も行う。
なお、この欠陥判定部147による欠陥判定の前段階において、例えば受信信号処理部146が、受信した探傷用超音波ビーム131の波形に対して、正の最大振幅をA、負の最大振幅をB(Bは負の値)としてそれぞれを検出し、A−Bをその波形検出位置での信号Cとして処理を行う。
続いて、ステップS12において、記録・表示部149は、ステップS11による欠陥判定結果を表示する処理を行う。例えば、記録・表示部149は、欠陥判定結果として、例えば、x軸方向を管軸方向220の位置、y軸方向を溶接部210の深さ位置とし、上記信号Cの2次元マップを作成し表示を行う。
ステップS12の処理が終了すると、図17におけるフローチャートの処理が終了する。
本実施形態に係る欠陥検出装置100によれば、溶接部210(溶接面)における管厚みの方向の領域を区分数Nに分けた領域ごとに、探傷用超音波ビーム131の最大音圧位置と溶接部210(溶接面)の位置とが一致するように制御を行うようにしたので、微小欠陥の検出も可能であり、且つ、比較的厚みの薄い小径の溶接鋼管(例えば、管径が5インチ以下、管厚みが7.5mm以下の小径の電縫鋼管)であっても欠陥の検出精度の向上を実現することができる。
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。
即ち、上述した本発明の実施形態の制御処理装置140の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明に含まれる。
なお、上述した本発明の実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100:欠陥検出装置、110:音響レンズ、120:フェイズドアレイ探触子、121:超音波振動子、131:探傷用超音波ビーム、132:カップリングチェック用超音波ビーム(水判定用超音波ビーム)、140:制御処理装置、141:被検体条件入力部、142:送受信条件設定部、1421:区分数設定部、1422:超音波振動子群設定部、143:最大音圧位置情報記憶部、144:送受信制御部、145−1:送信部、145−2:受信部、146:受信信号処理部、147:欠陥判定部、148:水判定部、149:記録・表示部、200:電縫鋼管、200G:外表面、200N:内表面、210:溶接部

Claims (7)

  1. 溶接鋼管の管軸方向に沿って形成された溶接面に存在する欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
    前記溶接鋼管の外表面の外側に設置され、複数の超音波振動子が配列されたフェイズドアレイ探触子と、
    前記フェイズドアレイ探触子を構成する前記複数の超音波振動子のうちの一部の超音波振動子からなる探傷用超音波振動子群から、前記溶接鋼管の外表面から前記溶接鋼管内に入射した探傷用超音波ビームが前記溶接鋼管の内表面で反射することなく前記溶接面に対して略垂直に直接入射し且つ前記溶接面に収束するように、前記探傷用超音波ビームを送信する送信手段と、
    前記溶接鋼管の管厚みと、前記溶接面における前記探傷用超音波ビームの有効ビーム径とに基づいて、前記溶接面における前記管厚みの方向の領域の区分数Nを設定する区分数設定手段と、
    実測または3次元シミュレーション解析により予め導出された、前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波ビームの前記溶接鋼管の円周方向における最大音圧位置に係る情報と前記探傷用超音波振動子群の中央位置との関係に基づいて、前記フェイズドアレイ探触子と前記溶接鋼管との位置関係を固定した状態で、前記区分数Nに分けられた領域ごとに、前記探傷用超音波ビームの前記最大音圧位置と前記溶接面の位置とが一致するように前記探傷用超音波振動子群の中央位置を移動させることで前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波振動子群を設定する超音波振動子群設定手段と、
    前記送信手段を制御して、前記区分数Nに分けられた各領域に対して、前記超音波振動子群設定手段において前記区分数Nに分けられた領域ごとに設定された前記探傷用超音波振動子群から前記探傷用超音波ビームを順次送信させる制御手段と、
    反射したそれぞれの前記探傷用超音波ビームを、当該探傷用超音波ビームを送信した前記探傷用超音波振動子群を介して順次受信する受信手段と、
    前記受信手段で順次受信した前記探傷用超音波ビームに基づいて、前記溶接面に欠陥が存在するか否かを判定する欠陥判定手段と、
    を有することを特徴とする欠陥検出装置。
  2. 前記溶接鋼管は、管径が5インチ以下、管厚みが7.5mm以下の小径の電縫鋼管であることを特徴とする請求項1に記載の欠陥検出装置。
  3. 前記区分数設定手段は、前記溶接鋼管の管厚み方向の内部の変位分布に基づいて前記有効ビーム径を決定し、前記溶接鋼管の管厚みと、当該決定した有効ビーム径とに基づいて、前記区分数Nを設定することを特徴とする請求項1または2に記載の欠陥検出装置。
  4. 前記区分数設定手段は、前記溶接鋼管の管厚みを前記有効ビーム径で割った値について小数第1位以下を切り上げた値を、前記区分数Nとして設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の欠陥検出装置。
  5. 前記有効ビーム径は、前記探傷用超音波ビームの振動による前記溶接鋼管の内部の変位の最大値を1とした場合に、当該変位が0.5以上となる範囲に対応していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の欠陥検出装置。
  6. 溶接鋼管の外表面の外側に設置され、複数の超音波振動子が配列されたフェイズドアレイ探触子と、前記フェイズドアレイ探触子を構成する前記複数の超音波振動子のうちの一部の超音波振動子からなる探傷用超音波振動子群から、前記溶接鋼管の外表面から前記溶接鋼管内に入射した探傷用超音波ビームが前記溶接鋼管の内表面で反射することなく前記溶接鋼管の管軸方向に沿って形成された溶接面に対して略垂直に直接入射し且つ前記溶接面に収束するように、前記探傷用超音波ビームを送信する送信手段とを備え、前記溶接面に存在する欠陥を検出する欠陥検出装置による欠陥検出方法であって、
    前記溶接鋼管の管厚みと、前記溶接面における前記探傷用超音波ビームの有効ビーム径とに基づいて、前記溶接面における前記管厚みの方向の領域の区分数Nを設定する区分数設定ステップと、
    実測または3次元シミュレーション解析により予め導出された、前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波ビームの前記溶接鋼管の円周方向における最大音圧位置に係る情報と前記探傷用超音波振動子群の中央位置との関係に基づいて、前記フェイズドアレイ探触子と前記溶接鋼管との位置関係を固定した状態で、前記区分数Nに分けられた領域ごとに、前記探傷用超音波ビームの前記最大音圧位置と前記溶接面の位置とが一致するように前記探傷用超音波振動子群の中央位置を移動させることで前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波振動子群を設定する超音波振動子群設定ステップと、
    前記送信手段を制御して、前記区分数Nに分けられた各領域に対して、前記超音波振動子群設定ステップにおいて前記区分数Nに分けられた領域ごとに設定された前記探傷用超音波振動子群から前記探傷用超音波ビームを順次送信させる制御ステップと、
    反射したそれぞれの前記探傷用超音波ビームを、当該探傷用超音波ビームを送信した前記探傷用超音波振動子群を介して順次受信する受信ステップと、
    前記受信ステップで順次受信した前記探傷用超音波ビームに基づいて、前記溶接面に欠陥が存在するか否かを判定する欠陥判定ステップと、
    を有することを特徴とする欠陥検出方法。
  7. 溶接鋼管の外表面の外側に設置され、複数の超音波振動子が配列されたフェイズドアレイ探触子と、前記フェイズドアレイ探触子を構成する前記複数の超音波振動子のうちの一部の超音波振動子からなる探傷用超音波振動子群から、前記溶接鋼管の外表面から前記溶接鋼管内に入射した探傷用超音波ビームが前記溶接鋼管の内表面で反射することなく前記溶接鋼管の管軸方向に沿って形成された溶接面に対して略垂直に直接入射し且つ前記溶接面に収束するように、前記探傷用超音波ビームを送信する送信手段とを備え、前記溶接面に存在する欠陥を検出する欠陥検出装置による欠陥検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記溶接鋼管の管厚みと、前記溶接面における前記探傷用超音波ビームの有効ビーム径とに基づいて、前記溶接面における前記管厚みの方向の領域の区分数Nを設定する区分数設定ステップと、
    実測または3次元シミュレーション解析により予め導出された、前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波ビームの前記溶接鋼管の円周方向における最大音圧位置に係る情報と前記探傷用超音波振動子群の中央位置との関係に基づいて、前記フェイズドアレイ探触子と前記溶接鋼管との位置関係を固定した状態で、前記区分数Nに分けられた領域ごとに、前記探傷用超音波ビームの前記最大音圧位置と前記溶接面の位置とが一致するように前記探傷用超音波振動子群の中央位置を移動させることで前記区分数Nに分けられた領域ごとの前記探傷用超音波振動子群を設定する超音波振動子群設定ステップと、
    前記送信手段を制御して、前記区分数Nに分けられた各領域に対して、前記超音波振動子群設定ステップにおいて前記区分数Nに分けられた領域ごとに設定された前記探傷用超音波振動子群から前記探傷用超音波ビームを順次送信させる制御ステップと、
    反射したそれぞれの前記探傷用超音波ビームを、当該探傷用超音波ビームを送信した前記探傷用超音波振動子群を介して順次受信する受信ステップと、
    前記受信ステップで順次受信した前記探傷用超音波ビームに基づいて、前記溶接面に欠陥が存在するか否かを判定する欠陥判定ステップと、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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