特許文献1に開示される技術は、常用電源ライン側および非常時電源ライン側のそれぞれ備えられているライン開閉器は、電磁式の開閉器であり、一方のラインにのみ電源が供給されると、そのラインの開閉器は閉となり、同時に他方のラインを開にするものであり、双方のラインに電源供給される場合には、従前の状態が維持されるようになっている。従って、常用電源の供給が停止した場合、非常時電源を供給させることにより、非常時電源ラインのみが接続され、常用電源の供給が再開すると、非常時電源の供給を停止させることによって、常用電源に復帰するものであった。また、両ラインには、それぞれ遅延用開閉器が備えられているため、電源供給ラインが切り替えられた際、直ちに電源供給されるのではなく、一時的なタイムラグを有して電源が供給され、両者の供給電源による干渉を防止するものである。
しかしながら、上記の技術は、ブレーカボックスの契約ブレーカおよび漏電ブレーカを経由した後の常用電源ラインを切り替えるものであるため、主幹ブレーカから分岐用ブレーカとの間で機能させる構成となっていた。そのため、切替装置を配電盤に内蔵させることとなり、結果として、配電盤そのものを既存のものから交換しなければならなかった。
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、既存の配電盤を交換することなく、常用電源の供給が停止されていることを検知しつつ、電源の干渉を起こすことなく非常時電源に切り替えることができる装置を提供することである。
そこで、電源切替装置にかかる本発明は、常用電源ラインと非常時電源ラインとを切り替えるための電源切替装置であって、常用電源を配電している配電盤の主幹ブレーカのハンドルの位置を検出するセンサと、非常時電源ラインを接続または切断のいずれかの状態に切り替えられるライン開閉手段と、前記ライン開閉手段を接続状態に切り替えるための切替スイッチと、前記センサによって検知される主幹ブレーカのハンドルの位置により非常時電源への切替の可否を判定するとともに、該切替スイッチによる前記ライン開閉手段の起動を制御する制御部とを備えることを特徴とするものである。
上記構成によれば、既設の配電盤に設置されている主幹ブレーカ(契約ブレーカまたは漏電ブレーカ)のハンドルの位置を検知し、主幹ブレーカによって常用電源の供給が停止されているときにのみ非常時電源の供給を許容することができるものである。また、ラインの切り替えに使用する切替スイッチは、ライン開閉手段を作動させ、非常時電源を供給するか停止するかを操作するものであり、常用電源の供給が、主幹ブレーカの操作によって確実に停止されている場合に限り、ライン開閉手段は接続される状態となるため、誤った操作を行った場合(条件が成就しない場合)には、ライン開閉手段は切断状態となり、非常時電源は供給されないことから、負荷に供給される電源が干渉することもない。なお、主幹ブレーカのハンドル位置を検出するセンサは、従来から使用される配電盤の主幹ブレーカの両側に存在する平面部分を利用して設置することができるほか、配電盤に組み込んで設置することができる。非常時電源の供給源としては、自家発電装置、燃料電池、蓄電池またはプラグイン型ハイブリッド車のような100V電流出力可能な自動車などがあり、自家発電装置には、エンジン型発電装置のほかに再生可能エネルギを利用する発電装置などが挙げられる。また、ライン開閉手段としては、電磁開閉器を使用することができ、スイッチ操作により、電磁的にラインの開閉を作動させることができる。
上記発明においては、前記センサおよび前記制御部が、非常時電源から供給される電源により作動するものとすることができる。
上記構成の場合には、センサおよび制御部を作動させるための電源(バッテリ)などを不要にすることができる。また、常用電源の供給が停止した場合には、まず、非常用発電装置等を作動させ、電源切替装置に対して電源を供給し、センサおよび制御部を作動可能な状態としたうえで、所定の条件が整った場合にライン開閉手段を作動させることができる。このライン開閉手段の作動によって、電源供給ラインを切り替え、配電盤を介して屋内への電源供給を可能にするのである。
さらに、上記発明における制御部は、非常用発電装置が作動していることを報知する発電装置作動報知手段と、該非常時電源への切替が可能であることを報知する切替可能報知手段とを備えるように構成してもよい。
上記構成によれば、非常用発電装置が作動していることを確認したうえで、電源供給ラインの切り替え操作を行うことができる。発電装置が作動していることを確認するためには、発電装置から切替装置に対する電源供給がされているか否かにより行うことができる。また、切替可能報知手段は、前記発電装置作動報知手段による報知がなされること(すなわち、非常用発電装置からの電源供給があること)に加えて、配電盤の主幹ブレーカが切断位置にあることを条件として、報知を開始するように設定されるものである。これらの報知としては、ランプの点灯によることができる。そして、上記切替可能報知手段による報知がなされる場合にのみ、ライン切り替えのための切替スイッチが作動するように制御部によって制御される。従って、ライン開閉手段が接続状態となった後の条件成就によって、電源供給が突発的に開始することがない。
また、上記各発明においては、第2の制御部を備え、この第2の制御部は、常用電源の供給状態を検知する常用電源検知手段と、この常用電源検知手段により常用電源が供給状態であることを報知する常用電源供給報知手段と、前記常用電源検出手段により常用電源が供給状態であることを条件に、前記ライン開閉手段を切断状態に作動するためのライン切断手段とを備える構成とすることができる。
上記構成によれば、第2の制御部が常用電源の供給を監視し、供給が再開されたことを報知することができるものである。このとき、常用電源の供給が再開されると同時に、ライン切断手段によって、ライン開閉手段が切断状態となるため、常用電源の復旧後は、非常時電源の供給が停止し、一時的に停電することとなる。すなわち、切替装置は、常用電源の供給停止時は非常時電源の供給に切り替えるためのものであるが、常用電源の供給再開時には非常時電源の供給を停止するとこのみを行うものである。そして、配電盤の主幹ブレーカを接続状態とすることにより、常用電源ラインが回復し、他方、非常時電源は、発電装置の作動の有無にかかわらず、配電盤への供給を終了する。なお、再度のスイッチ操作を行ったとしても、ライン開閉手段を作動させるための条件(ブレーカのハンドル位置条件)を満たしていないことから、スイッチ操作による非常時電源の供給は行われることがない。このような構成の場合には、常用電源ラインへの切り替えに際し、その前に、必ず非常時電源の供給が停止することとなり、負荷に残留する電流の消失を待って切り替え後の電源供給を可能にするものである。
さらに、上記構成による第2の制御部は、常用電源により作動するものとすることができる。
このような構成の場合、常用電源が回復されなければ第2の制御部は作動しないこととなるが、そもそも常用電源の回復がなければ作動する必要がないことから、常用電源の回復まで停止させておくことができるのである。そして、常用電源検知手段は、常用電源からの電源供給があった場合に通電するように構成すればよく、その通電によって常用電源が供給されたことを検知させることができる。また、常用電源供給報知手段は、上記通電を確認した後、ランプなどを点灯させることにより報知することができる。なお、非常時電源の供給停止が、常用電源の再開に起因するものであることを明確に報知するために、報知音を発生させる構成としてもよい。
上記構成の場合には、常用電源から第2の制御部へ供給される電源を停止するための点検用スイッチを備える構成としてもよい。
この場合、常用電源の供給を受けつつ、第2の制御部への電源供給を遮断することができることから、ライン開閉手段が切断状態に強制されることがなく、常用電源の供給が停止した状態を仮定することができる。そして、非常時電源ラインへの切替のための条件(主幹ブレーカのハンドル位置および非常時電源の供給)を満たした後、スイッチ操作によりライン開閉手段を作動させて、非常時電源が供給させることを確認することができる。この一連の確認作業は、点検として実施されるものであるので、その意味から、常用電源の供給停止を行うためのスイッチを点検用スイッチと称している。
また、上記各発明におけるセンサは、主幹ブレーカのハンドルの位置が切断状態であることのみを検出するものであることが好ましい。
一般家庭の屋内に設置される配電盤の主幹ブレーカは、大きく突出する1本のハンドルが上下の二つの位置で停止する構造になっている。通常は、ハンドルが上位にあるとき通電状態となり、下位にあるときは遮断状態となるものである。また、下位(遮断状態)に付勢されているため、遮断状態が維持され、通電状態に復帰させるためには上記付勢に抗しつつハンドルを上位へ移動させる作業が必要となるものである。そこで、上記構成によれば、主幹ブレーカが下位(遮断状態)に位置していることをセンサによって検出するものであるため、それ以外の状態では、ハンドル位置を検出できず、条件未成就の状態として処理することとなる。これは、ハンドル位置が通電状態にある場合はもちろんのこと、確実に遮断状態までハンドルが移動していない場合、または、センサの異常もしくはハンドルの破損等によって、ハンドル位置の検出不能な場合においても、条件未成就として処理することを意味する。従って、主幹ブレーカが確実に切断状態に位置し、これを正常に検知した場合にのみ非常時電源の供給を受けることができるものであるため、不用意な操作によって常用電源と非常時電源とが干渉することがないように制御されるのである。
他方、制御方法に係る本発明は、常用電源を配電している配電盤の主幹ブレーカのハンドルの位置を検出するセンサと、非常時電源ラインを接続または切断のいずれかの状態に切り替えられるライン開閉手段と、前記ライン開閉手段を接続状態に切り替えるための切替スイッチと、前記センサによって検知される主幹ブレーカのハンドルの位置により非常時電源への切替の可否を判定するとともに、該切替スイッチによる前記ライン開閉手段の起動を制御する制御部とを備える電源切替装置の制御方法であって、前記センサにより、主幹ブレーカによる常用電源の切断を確認したうえで前記切替スイッチを可動状態とし、該切替スイッチを手動操作するとき、該切替スイッチの操作により前記ライン開閉手段を接続させるように作動させることを特徴とするものである。
上記構成によれば、常用電源ラインから非常時電源ラインへの切替に際して、常用電源の供給は主幹ブレーカによって切断されていることを条件として操作されることとなり、非常時電源の供給中に常用電源が供給されても、負荷に対して常用電源による電流の流入を回避し得ることとなる。
また、制御方法に係る本発明は、常用電源を配電している配電盤の主幹ブレーカのハンドルの位置を検出するセンサと、非常時電源ラインを接続または切断のいずれかの状態に切り替えられるライン開閉手段と、前記ライン開閉手段を接続状態に切り替えるための切替スイッチと、前記センサによって検知される主幹ブレーカのハンドルの位置により非常時電源への切替の可否を判定するとともに、該切替スイッチによる前記ライン開閉手段の起動を制御する制御部と、常用電源の供給状態を検知する常用電源検知手段を有する第2の制御部とを備える電源切替装置の制御方法であって、前記センサにより、主幹ブレーカによる常用電源の切断を確認したうえで前記切替スイッチを可動状態とし、該切替スイッチを手動操作するとき、該切替スイッチの操作により前記ライン開閉手段を接続するように作動させ、常用電源の供給を検知するとき、前記ライン開閉手段を切断するように作動させることを特徴とするものである。
上記構成によれば、常用電源の供給が再開した場合において、非常時電源ラインから常用電源ラインへの切替に際し、常用電源の供給があった場合に、ライン開閉手段を切断させることから、常用電源の供給を受けるために主幹ブレーカを接続させることにより行うことができる。上記ライン開閉手段は、非常時電源ラインを切断していることから、非常時電源が供給されていても、負荷に対して両電源が同時に供給されることがない。
本発明によれば、センサを配電盤の主幹ブレーカの近傍に設置し、非常時電源から供給される電源を配電盤内の分岐線に接続することにより、設置が可能であることから、配電盤そのものを交換する必要がない。そして、常用電源の供給の停止を主幹ブレーカのハンドル位置によって検知するものであるため、仮に、主幹ブレーカの直前まで常用電源が供給されていたとしても、主幹ブレーカによって、それ以降には常用電源が供給されないことから、両電源が干渉することがない。なお、周知のとおり、主幹ブレーカは、常用電源の供給が停止した際に自動的に作動するものではなく、非常時電源の供給を開始する際に人為的に操作するものである。また、常用電源の供給が再開した場合は、主幹ブレーカを人為的に操作して、常用電源の供給を受けることとなるものである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第一の実施形態の概略を示す図である。この図に示すように、本実施形態の電源切替装置1は、既設の配電盤SEに隣接して設置され、この電源切替装置1に接続するセンサ2,3と、このセンサ2,3の検出信号の入力を受ける制御部4と、この制御部4からの信号により開閉作動する電磁開閉器(ライン開閉手段)5を備えている。
センサ2,3は、常用電源の供給が停止していることを検出するためのものであるが、専ら、主幹ブレーカMBのハンドルHの位置を検出することにより、当該主幹ブレーカMBによって常用電源の供給を遮断していることを確認するものである。このセンサ2,3には、光電センサが使用され、一方が投光部2であり、他方が受光部3である。投光部2から照射される光を受光部で受信するものであり、投光部2から照射する光を遮断するとき、両者の中間に物体の存在を検知することができるものである。
そこで、本実施形態では、投光部2と受光部3との間に、主幹ブレーカMBのハンドルHが存在していることを検出するものである。詳細には、主幹ブレーカMBによる常用電源の供給を遮断するときのハンドルHの存在を検出するように、当該ハンドルHの位置にセンサ2,3を設置するのである。具体的には、ハンドルHが下位に停止したとき、常用電源を遮断する場合には、当該下位におけるハンドルHを検出できるようにするのである。
このような検出方法により、主幹ブレーカMBのハンドルHが、常用電源を遮断する状態となったときのみ、当該ハンドルHの存在を検知することができ、この状態をもって、常用電源の供給の有無にかかわらず、その供給が遮断されていることを確認することができるのである。なお、主幹ブレーカMBの端末側には、分岐配線SLが接続され、屋内における個々のスペースに電源が分配されるものであり、また、個々のスペースへの配線には、分岐用ブレーカ(漏電ブレーカ)B11,B12・・・,B21,B22・・・が介在されている。
制御部4は、前記センサ2,3の検知信号の入力を受け、非常時電源の供給を開始するか否かを判定するものである。ここで、この制御部4(およびセンサ2,3)は、バッテリ等を内蔵することにより独自の電源によって作動させてもよいが、本実施形態では、非常時電源を使用している。すなわち、図示せぬ自家発電等によって発電される非常時電源は、漏電ブレーカ6を介して制御部4に供給可能となっており、発電開始後に漏電ブレーカ6が作動しない限り、非常時電源が制御部4に供給され、当該制御部4を作動させることができる。
この制御部4には、非常時電源が制御部4に供給されていることを示す起動ランプ41が設けられている。制御部4に電源が供給されることにより、制御部4が起動し、この起動ランプ41を点灯させるのである。この起動ランプ41の点灯は、自家発電装置等が正常に作動していること、および発電された非常時電源が供給可能であることを確認するためのものである。その意味において、当該起動ランプ41が発電装置作動報知手段として機能するものである。なお、センサ2,3が制御部4から電源供給を受けるものである場合には、上記起動ランプ41の点灯と同時に、センシングが開始されることとなる。
また、制御部4には、電源供給の可否を判断するための制御回路(図示せず)を備えている。この制御回路は、制御部4に非常時電源が供給され、センサ2,3による入力信号が所定条件であるとき、切替スイッチ42の作動を可能にするものである。例えば、比較回路により、センサ2,3からの入力信号により異なる電圧を与え、出力を反転させるように構成とすることができる。センサ2,3からの入力信号が所定条件である場合とは、主幹ブレーカMBのハンドルHが下位に存在しているという条件である。
さらに、制御装置4には、待機ランプ43が設けられており、上記制御回路により切替スイッチ42が作動可能であると判定されたとき、これを報知できるようになっている。この意味において、この待機ランプ43が切替可能報知手段として機能している。そして、待機ランプ43が点灯する状態では、切替スイッチ42が作動可能であることから、この切替スイッチ42を操作することにより、電磁開閉器5を作動させることができる。具体的には、切替スイッチ42の操作により、電磁開閉器5に電源を供給し、接触子を電磁的に接続させ、非常時電源ラインを接続状態とするのである。ただし、切替スイッチ42が作動不可能な場合には、切替スイッチ42を操作しても電磁開閉器5に電源供給がされず、接触子が切断した状態となるのである。すなわち、電磁開閉器5は、接触子が切断するように(開の方向へ)付勢されており、電源供給により電磁石が接触子を引き寄せることで、当該接触子を接点に接続させるものであるから、そのための電源を供給するか否かによって、接続する(接触子を移動させる)か切断する(接触子を移動させない)かを選択することができるのである。
なお、制御部4には、運転ランプ44が設けられており、上記の電磁開閉器5の接触子が接続した状態(すなわち、電磁開閉器5に電源が供給されている状態)において、運転ランプ44が点灯するように構成されている。電磁開閉器5に電流が流れることにより点灯するものであって、非常時電源ラインが接続されていることを報知するものである。また、電磁開閉器5への電源供給は、切替スイッチ42の操作によって開始するため、これを切断するための解除スイッチ7が制御部4に設けられている。さらに、漏電ブレーカ6は、自家発電装置等から供給される電流値が異常に大きい場合、または漏れ電流が大きい場合に、供給を遮断するものであるから、この漏電ブレーカ6が作動する場合にも、全ての操作がリセットされることとなる。
本実施形態の構成は上記のとおりであるから、常用電源の供給が停止された際、非常時電源への切り替え操作を極めて容易に行うことができる。自家発電装置等の発電機器の運転開始を除けば、まず、主幹ブレーカMBを操作し、常用電源の供給を停止し、待機ランプ43の点灯を待って、切替スイッチ42を操作すればよいのである。主幹ブレーカMBにより常用電源の供給は停止されていることから、常用電源の供給が再開された場合であっても、主幹ブレーカMBのハンドルHを操作しない限り、主幹ブレーカMB以降に常用電源が供給されることはないのである。
なお、常用電源の供給が再開した場合には、非常時電源の供給を停止するために、解除スイッチ7によって電磁開閉器5への電源供給を停止し、その後、主幹ブレーカMBを復帰させればよいのである。
このように、常用電源ラインから非常時電源ラインへ切り替える場合には、供給主幹ブレーカMBの操作が介在するため、常用電源の供給が確実に停止されている後であるため、残負荷もなく電源供給が干渉することがない。また、常時電源ラインから常用電源ラインへ切り替える場合には、非常時電源の供給を停止した後、供給主幹ブレーカMBの操作により常用電源を供給することから、電源供給が干渉することがなく、いずれか一方の電源のみを供給することができるものである。
次に、第二の実施形態について説明する。図2は、第二の実施形態の概略を示す図である。本実施形態は、この図に示すように、第一の実施形態に加えて、第2の制御部8を備えるものである。従って、センサ2,3、制御部4および電磁開閉器5は、基本的に第一の実施形態と同様である。なお、第2の制御部8は、常用電源の供給を受けるように、配電盤SEの主幹ブレーカMBの直前に接続されるものであり、独自の電源(バッテリなど)によって作動させてもよいが、常用電源によって作動し得るように構成してもよい。
そして、第2の制部8には、常用電源の供給を報知するための常用電源表示ランプ81が設けられ、常用電源の供給が再開し、第2の制御部8へ常用電源が供給されると、この常用電源表示ランプ81が点灯するようになっている。従って、常用電源表示ランプ81が点灯するような電源の供給をもって、常用電源の供給状態を検知することができ、その意味において、常用電源検知手段として機能するものである。これと同時に、常用電源が供給されている状態であることを報知するものである。この意味において、常用電源供給報知手段としても機能させているのである。
また、第2の制御部8には、ブザー82が設けられており、前記常用電源表示ランプ81が点灯すると同時に、当該ブザー82が作動するものである。このブザー82は、音響的に常用電源が供給されている状態であることを報知するものである。非常時電源の供給を受けて電力を消費している場合には、常用電源の供給回復に気付かない場合もあるため、音響的な方法により報知するものである。さらに、後述のように、非常時電源の供給を停止するように制御する場合には、非常時電源の供給停止の原因が常用電源の供給開始であることを報知するためでもある。いずれの場合においても、当該ブザー82は常用電源供給報知手段として機能し得るものである。なお、ブザー82は一定時間の作動により停止するように制御してもよいが、手動によってブザー82の作動を停止させるために、ブザー停止ボタン83を設けてもよい。
ところで、常用電源の供給が再開されると、常用電源は当然に配電盤SEにも供給されることとなるが、主幹ブレーカMBによって供給を切断する状態となっていることから、この主幹ブレーカMBを操作して接続すれば、常用電源の供給を受けることができるものである。しかしながら、非常時電源が供給されている状態では、両電源が同時に供給されることとなる。そこで、常用電源が供給されるとき、非常時電源の供給を停止するために、非常時電源ラインを切断するライン切断手段が第2の制御部8に設けられている。
このライン切断手段は、種々の方式が考えられるが、例えば、第2の制御部8が常用電源の供給を検知すると、電磁開閉器5を逆方向(開方向)への作動を強制する方法がある。この場合、前述のとおり、電磁開閉器5の接触子は、切断するように(開の方向へ)付勢されており、電源供給により電磁石が作用して接点に接続させるものであるところ、接続状態から切断状態への作動には、当該電磁開閉器5への電源供給を停止することにより可能にすることができる。電源供給を停止させることによって、電磁石が作用せず、接触子が接点から離れるため、切断状態とし得るのである。このような構成の場合には、常用電源の供給が開始しても主幹ブレーカMBを操作しない限り、配電盤SEへの常用電源の供給は開始しない。他方、常用電源の供給開始と同時に、非常時電源の供給が停止することから、結果的に両電源のいずれもが、配電盤SEに供給されていない状態となる。つまり、屋内は停電状態となるのである。この停電状態により、利用者が状態の変化を知ることとなり、電源切替装置1の報知手段81,82を確認することにより、常用電源の回復を確実に察知することができるのである。
また、手動によって非常時電源の供給を停止させるように構成してもよい。この場合には、ブザー停止ボタン83に連動させる方法がある。ブザー停止ボタン83は、前述のとおり、常用電源が供給されていることを報知するブザー82の作動を停止させるものであるが、ブザー82の作動停止とともに、電磁開閉器5への供給電源を停止させるように構成するのである。
上記のいずれの場合においても、電磁開閉器5を作動させるための回路(電源供給回路)は、制御部4の切替スイッチ42によってのみ接続(閉状態)となるように操作できるものとし、作動条件(主幹ブレーカMBのハンドルHの位置など)が欠如した場合においては、直ちに切断(開状態)となるように制御されるものである。また、常用電源の供給が開始されない状態で非常時電源の供給を中断させる場合は、自家発電装置等の運転を停止することによる。これは、非常時電源を長期間使用可能とするために、自家発電装置等に必要な燃料等を確保するためである。非常時用電源の供給が停止すれば、非常時電源ラインの接続条件が欠如することとなるため、制御部4は非常時電源の供給を停止し、または制御部4への電源供給がされずリセットされることによる供給停止となるものである。
このように、常用電源が供給された場合に、制御的にまたは手動操作によって、非常時電源の供給が停止されることにより、常用電源ラインに切り替えた場合において、両電源が同時に供給されることを回避し得るのである。
なお、第2の制御部8には、点検用スイッチ84を設ける構成とすることができる。点検とは、非常時電源ラインへの切り替えおよび非常時電源の供給が正常に作動することを確認するための作業であり、そのための点検用スイッチ84は、常用電源が供給されている状態において、その供給が停止した状態を仮想するためのものである。具体的には、第2の制御部8に対する常用電源の供給を停止するためのものであり、常用電源表示ランプ(常用電源検知手段)81にて常用電源が検出されないようにするものである。
この点検用スイッチ84により、第2の制御部8に対し常用電源が供給されない状態を形成することにより、電磁開閉器5は、常用電源の供給に基づく切断(開状態)へ作動しないため、非常時電源ラインへの切り替えが可能となるものである。また、点検のために、主幹ブレーカMBを操作し(ハンドルHを切断位置に移動し)、常用電源の負荷への供給を停止すれば、非常時電源の供給を開始しても両電源か同時に負荷に供給されることがないのである。そして、自家発電装置等を作動させ、非常時電源を制御部4に供給することにより、ラインの切り替えを可能にする条件が成就し、切替スイッチ42を操作することにより、現実に非常時電源が負荷に供給され、そのときの状態を現出させることができるのである。従って、常用電源の供給停止の際の非常時電源ラインへの切り替え作動と、自家発電装置等の作動とを、点検することができるものである。
本実施形態は、上記のような構成であるから、その作動態様は、第一の実施形態に加えて、常用電源の供給開始の際の第2の制御部8が作動するものであり、上述のとおり、常用電源の供給開始を検知し、これを報知し、電磁開閉器を切断させるものである。
ここで、第二の実施形態における制御部4および第2の制御部8による制御方法を簡単に説明する。図3は、制御方法の概略を示すフローである。
まず、制御開始により、常用電源の供給がされているか否かが判断され(S11)、供給停止の場合には、自家発電装置等の作動状態および非常時電源のスイッチ操作により非常時電源の供給の可否が判断される(S12)。自家発電装置等が正常に作動し、非常時電源が供給できる状態となっている場合には、次に、主幹ブレーカのハンドルの位置を検出し、常用電源からの供給を切断する位置になっているかが判断される(S13)。主幹ブレーカのハンドル位置が所定の位置(切断位置)に存在することが確認された場合には、待機ランプを点灯させ、準備完了であることが報知される(S14)。この待機ランプの点灯後に、手動によって切替スイッチを操作することによって、電磁開閉器を作動させ(S15)、非常時電源の供給が開始し(S16)、非常時電源が配電盤の分岐配線に供給される。
非常時電源が供給された後も、常用電源の供給の有無、自家発電装置等の作動状態および主幹ブレーカのハンドル位置は適宜確認される(S11,S12,S13)。そして、常用電源の供給が再開された場合(S21)は、電磁開閉器を停止して非常時電源の供給を停止する(S32,S33)。また、主幹ブレーカのハンドルが何らかの原因により移動した場合(S31)においても、電磁開閉器を切断するように作動させ(S32)、非常時電源の供給を停止するものである(S33)。
このように、非常用電源ラインが接続される場合には、常用電源ラインが切断されており、また、常用電源の供給が再開された場合、または、非常時電源の供給条件が解除された場合には、非常時電源ラインが切断されることから、負荷に対して同時に両電源が供給され、干渉することが回避されるように制御されるものである。
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、これらは一例であって、本発明が実施形態に限定されるものではない。従って、例示した実施形態を適宜変更することができるものである。
例えば、センサ2,3は、光電センサの投光部2と受光部3とで構成したものを例示したが、主幹ブレーカMBのハンドルHの位置を検知できるものであれば、その種類を限定するものではない。そして、光電センサを使用する場合においても、一方2に投光および受光機能を持たせ、他方3をミラーで構成するようにしてもよい。
なお、前述の実施形態では、主幹ブレーカMBのハンドルHの位置を検知し、当該ハンドルHが常用電源を遮断する位置に存在することを条件としていることから、当該ハンドルHが何らかの原因により破損した場合など、通常のハンドルHとは異なる場合には、これを検出することができないものとしている。これは、安全性を優先するため、上記のような場合を含めて確実に常用電源が主幹ブレーカMBで遮断されていることを確認するためである。
また、運転ランプ44は、切替スイッチ42の操作により電磁開閉器5が閉状態となった際に点灯するものであるが、この運転ランプ44の機能を切替スイッチ42に持たせ、両者を一体として構成してもよい。すなわち、切替スイッチ42を点灯可能にし、その操作により電磁開閉器5が閉状態となるとき切替スイッチ42を点灯させるように構成するものである。
さらに、非常用電源の供給により制御部4を作動させるようにしているが、これは操作時の安全性の観点によるものである。すなわち、使用者において操作方法が不明である場合、または、常用電源ラインへの切替に不安がある場合には、単純に非常時電源の供給を中断すること(自家発電装置等の停止、または漏電ブレーカ6の作動による切断)により、切替を可能にしているのである。そのために、制御部4は、非常時電源の供給が中断されると、リセットされるようにしている。これにより、使用者は躊躇なく主幹ブレーカMBを操作することができ、これによって電源ラインの切替を可能にしている。