JP6398700B2 - 筒内噴射式エンジン - Google Patents

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Description

この発明は、シリンダ内に燃料を直接噴射する筒内噴射式エンジンに関する。
シリンダ内に燃料を直接噴射する筒内噴射弁を備えた筒内噴射式ガソリンエンジンでは、例えば、高負荷領域では、シリンダ内に均質な空燃比の混合気を導入して均質燃焼を行い、低負荷領域では、シリンダ内を燃料の濃い可燃混合気層と、燃料の薄いあるいは殆ど空気だけの希薄混合気層とに分けて、成層希薄燃焼(成層燃焼)を行う制御を行うものがある。
成層燃焼時には、ピストンの下降に伴うシリンダ内の気流等を利用し、ガソリンと空気が均一に交じり合うことを防ぎ、可燃混合気層が圧縮行程後期に点火プラグ周辺に、希薄混合気層がピストン頂面に近い側に集まるように気流を制御している。
ところで、特許文献1には、ピストン頂面のうち吸気弁側へ偏心した位置に、平面視真円形の凹部(ボウル)を形成する技術が開示されている。ピストンが上死点付近にあるときに、シリンダ内に臨む筒内噴射弁の噴霧軸線が、この凹部を指向するようになっている。
このピストンでは、均質燃焼時には、一つの気筒が備える対の吸気ポートからシリンダ内へ新気が導入され、強い縦回りの渦であるタンブル流が生成される。燃料は吸気行程中にシリンダ内に噴射され、その燃料は、タンブル流によってシリンダ内で拡散され、シリンダ内の混合気の均質化が図られる。
また、成層希薄燃焼時には、ポート内に設けた空気制御弁の制御により、対の吸気ポートのうち一方の吸気ポートのみからシリンダ内に新気が導入され、タンブル流の成分が相対的に弱められるとともに、水平方向に沿う渦であるスワール流が強められる。
そして、圧縮行程の後半に、筒内噴射弁からピストン頂部の凹部へ向けて噴射された燃料は、凹部内のスワール流に乗って燃焼室頂部の点火プラグ側へ移動し、点火プラグ周辺に着火容易な可燃混合気層を形成している。
特開平11−210551号公報
上記の例のように、筒内噴射式ガソリンエンジンでは、筒内噴射弁から噴射された燃料を点火プラグ周辺に円滑に導き、その点火プラグ周辺に着火容易な混合気を形成する必要がある。
しかし、筒内噴射弁による燃料の噴射領域は、筒内噴射弁の噴口からピストンの軸心(平面視中心)方向に向かって徐々に拡がる扇形状であるのに対し、上記のように凹部が平面視真円形であると、その燃料の噴射領域が凹部内に収まらず、凹部の外縁よりも外側に及んでしまう場合がある。
このような場合、燃料が凹部よりも外径側へ逃げてしまい、点火プラグ周辺に必要な燃料が集まらない。このため、ノッキングを生じさせたり、あるいは、デポジットの増加等によりプレイグニッションを生じさせる原因となるので好ましくない。
また、燃料の噴射領域に対応して凹部の範囲を無条件に広げることは、ピストン剛性の低下に繋がる。また、その剛性低下を補うために、トップランド、すなわち、トップリング溝からピストン頂面までの部分を厚くすると、ピストンの重量増につながってしまう。
そこで、この発明の課題は、ピストンの剛性低下や重量増を抑制しつつ、筒内噴射弁から噴射される燃料をピストン頂面に形成した凹部内に効率的に取り込み、点火プラグ周辺に必要な燃料を集めることである。
上記の課題を解決するために、この発明は、シリンダ内に収容されたピストンと、前記シリンダ内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁と、前記シリンダのヘッド側に配置された点火プラグと、前記ピストン頂面に形成され前記筒内噴射弁から噴射される燃料が指向する凹部とを備え、前記ピストンの凹部は、ピストンの軸心を挟んで前記筒内噴射弁が位置する一方側の凹部始端部と他方側の凹部終端部との間に設けられ、前記凹部における前記凹部始端部と前記凹部終端部とを結び前記軸心を通る始終端中心線に直交する方向への幅が最も広い最大幅部は、前記始終端中心線に沿って前記軸心よりも前記凹部始端部側に位置し、前記始終端中心線に沿って前記最大幅部から前記凹部終端部までの距離は、前記軸心から前記凹部始端部までの距離よりも短く設定される筒内噴射式エンジンを採用した。
前記ピストンの凹部は、前記凹部始端部側の端縁に沿って始端側曲線区間を、前記凹部終端部側の端縁に沿って前記始端側曲線区間よりも相対的に曲線半径が大きい終端側曲線区間を備える構成とすることができる。
これらの各構成において、前記終端側曲線区間は、前記凹部始端部と前記凹部終端部との間の距離の2分の1よりも長い半径の部分を有し、前記始端側曲線区間は、前記凹部始端部と前記凹部終端部との間の距離の2分の1よりも短い半径の部分を有する構成とすることができる。
さらに、これらの各構成において、前記終端側曲線区間の両端に、前記終端側曲線区間よりも相対的に曲線半径が小さい側方曲線区間がそれぞれ接続される構成とすることができる。
このとき、前記側方曲線区間は、前記凹部始端部と前記凹部終端部との間の距離の2分の1よりも短い半径の部分を有する構成とすることができる。
また、前記始端側曲線区間の両端に、前記凹部始端部から離れるにつれて前記始終端中心線から徐々に遠ざかる取付区間がそれぞれ接続される構成とすることができる。
これらの各構成において、前記終端側曲線区間は単一の曲線半径からなる曲線であり、前記終端側曲線区間の円弧の中心は、1サイクル中の前記筒内噴射弁による燃料の吹き始め時点における燃料の傾斜方向噴霧中心線と前記凹部の底面との交点よりも前記凹部始端部側に配置される構成とすることができる。
また、前記終端側曲線区間は単一の曲線半径からなる曲線であり、前記終端側曲線区間の円弧の中心は、前記始終端中心線に直交する噴射幅方向に対する前記筒内噴射弁による燃料の噴射領域の外縁を示す噴射外縁ラインと、前記凹部の端縁との交点よりも前記凹部始端部側に配置される構成とすることができる。
また、これらの各構成において、1サイクル中の前記筒内噴射弁による燃料の吹き始め時点における燃料の傾斜方向噴霧中心線と前記凹部の底面との交点Pを、前記最大幅部に位置させる構成とすることができる。
この発明は、ピストンヘッドに形成される凹部を、ピストンの軸心を挟んで一方側の凹部始端部と他方側の凹部終端部との間に設け、凹部における凹部始端部と凹部終端部とを結び軸心を通る始終端中心線に直交する方向への幅が最も広い最大幅部を、始終端中心線に沿って軸心よりも凹部始端部側に位置させ、始終端中心線に沿って最大幅部から凹部終端部までの距離を、軸心から凹部始端部までの距離よりも短く設定したので、ピストンヘッドの凹部の範囲が過度に大きくならず、凹部は筒内噴射弁から噴射される燃料を受けるのに必要で十分な範囲となる。
このため、ピストンの剛性低下や重量増を抑制しつつ、筒内噴射弁から噴射される燃料をピストン頂部の凹部内に効率的に取り込み、点火プラグ周辺に必要な燃料が集めるエンジンとすることができる。
この発明の一実施形態を示すピストンを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は(a)のC−C断面図である。 同実施形態のピストンの斜視図である。 同実施形態のピストンを収容したエンジンのシリンダ内を示す断面図である。 同実施形態のピストンの平面図及び筒内噴射弁との位置関係を示す正面視模式図である。 (a)〜(e)は、ピストン頂面の凹部の形状を決定する手順を示す平面図である。 (a)〜(c)は、ピストン頂面の凹部の詳細を示す平面図である。 他の実施形態のピストンを示す平面図及び筒内噴射弁との位置関係を示す正面視模式図である。 さらに他の実施形態のピストンを示す平面図及び筒内噴射弁との位置関係を示す正面視模式図である。 ピストンの要部拡大断面図である。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態は、筒内噴射式の自動車用4サイクルガソリンエンジン、及び、そのエンジンに用いられるピストンである。図1及び図2は、ピストンの詳細を示し、図3は、このエンジンが備える1つの気筒における燃焼室3の要部、及び、エンジンの構成を示すものである。図3では、この発明に直接関係する部材等のみを示し、他の部材等については図示省略している。また、図3では、一つのシリンダ1のみを示しているが、エンジンは、単気筒であってもよいし、複数のシリンダ1を備えた多気筒であってもよい。
図3に示すように、エンジンのシリンダ1内にはピストン2が収容されている。シリンダ1の内壁面、及び、ピストン2の頂面等により燃焼室3が形成されている。また、シリンダ1には、空気を燃焼室3に導く吸気ポート5、燃焼室3からの排気を送り出す排気ポート6、及び、シリンダヘッド側からシリンダの軸線、すなわち、気筒の筒軸方向に沿って下向きに配置された点火プラグ4等が備えられている。なお、点火プラグの方向はこれに限定されるものではない。
シリンダ1には、燃焼室3内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁9が備えられている。筒内噴射弁9は、燃焼室3内の上方寄りの周縁部、吸気ポート5の開口の近傍に配置されている。筒内噴射弁9の燃料の噴射方向は、図3に示すように、その噴霧中心線j0が燃焼室3の周縁部から中央に向かうにつれて、徐々にピストンヘッド(ピストン2の頂面)に近づく傾斜した方向である。この燃料の噴霧中心線j0を、以下、傾斜方向噴霧中心線j0と称する。燃料は、この傾斜方向噴霧中心線j0を中心として、筒内噴射弁9の噴口から扇形状に均等に拡がるように噴射される。
この実施形態では、一つの気筒に対し、吸気ポート5は二つ備えられる。各吸気ポート5には、それぞれ燃焼室3への開口部を開閉する吸気バルブ7が設けられている。また、一つの気筒に対し、排気ポート6は二つ備えられる。2つの排気ポート6には、それぞれ燃焼室3への開口部を開閉する排気バルブ8が設けられている。これらの吸気バルブ7及び排気バルブ8は、シリンダヘッド側に設けたカムシャフトの回転によって、所定のタイミングで吸気ポート5、排気ポート6を開閉する。
吸気バルブ7や排気バルブ8、点火プラグ4、筒内噴射弁9、その他エンジンの動作に必要な機器は、このエンジンを搭載した車両が備える電子制御ユニット(Electronic Control Unit)に備えられた制御手段によって制御される。
また、この実施形態では、吸気バルブ5を、例えば、一方の吸気バルブ5と他方の吸気バルブ5の開閉タイミングが同時になるよう、及び、互いに異なるように選択的に制御することができる。また、排気バルブ6を、例えば、一方の排気バルブ6と他方の排気バルブ6の開閉タイミングが同時になるよう、及び、互いに異なるように選択的に制御することができる。
これらのバルブ制御や燃料噴射時期の制御により、例えば、高負荷領域では、燃焼室3内に均質な空燃比の混合気を導入して均質燃焼を行い、低負荷領域では、燃焼室3内を燃料の濃い可燃混合気層と、燃料の薄いあるいは殆ど空気だけの希薄混合気層とに分けて、成層希薄燃焼(成層燃焼)を行うことができる。
筒内噴射弁9は、2つの吸気バルブ7の間に配置される。筒内噴射弁9は、少なくともピストン2が上死点付近にある状態において、ピストン2の軸心Oよりもやや筒内噴射弁9寄りの部分に対して傾斜方向噴霧中心線j0が指向するように配置される。図3に示す符号Pは、1サイクル中の筒内噴射弁9による燃料の吹き始め時点における、傾斜方向噴霧中心線j0とピストンヘッドとの交点を示している。ここで、ピストン2の軸心Oは、点火プラグ4が位置するシリンダ1の筒軸心と一致している。
ピストン2は、図1及び図2に示すように、ピストンヘッド側が円柱状あるいは円筒状を成すとともに、側方下部に対のピストンスカート2a、ピストンスカート2a間にピストンボス部2bを備える。また、周縁部には、周方向に沿って全周に亘る環状の空間であるクーリングチャンネル2cを備える。
ピストン2の外周面には、ピストンリング2dが収容される溝2eを備える。この実施形態では、3つのピストンリング2dに対応して3本の溝2eが形成されている。最もピストンヘッド側の溝2eよりも頂面側の部分がトップランドである。
ピストンヘッドには、筒内噴射弁9から噴射される燃料が指向するように凹部10が形成されている。凹部10は、ピストン頂面に設けられる。
凹部10は、ピストン2の軸心Oを挟んで一方側、すなわち、筒内噴射弁9側の凹部始端部A2と、他方側、すなわち、筒内噴射弁9の反対側の凹部終端部A1との間に設けられる。
図4に示すように、凹部始端部A2と凹部終端部A1とを結び、ピストン2の軸心Oを通り、その軸心Oと直交する始終端中心線j2に沿って、軸心Oから凹部終端部A1までの距離L1は、軸心Oから凹部始端部A2までの距離L2よりも短く設定されている。なお、始終端中心線j2は、ピストンボス部2bの軸線方向に対して平面視直交する方向である。
凹部始端部A2の位置は、筒内噴射弁9の噴口位置J’から軸心Oに沿って距離L11だけ下方に位置する直下位置Jを基準として、その直下位置Jよりも距離L3だけ軸心O側に位置する。凹部始端部A2は、筒内噴射弁9からの燃料の噴射領域が、凹部10の底面11内に収まるように設定される。なお、直下位置Jは、ピストン2の外縁から距離L4だけ内側に位置する。
凹部終端部A1の位置は、凹部10の底面11に当たった燃料が凹部終端部A1側へ導かれ、その凹部終端部A1の端壁に当たって点火プラグ4側へ方向を転換し、点火プラグ4周辺に濃い燃料の層を形成できる位置に設定される。この実施形態では、凹部終端部A1の位置は、ピストン2の軸心Oと、始終端中心線j2とピストン2の端縁との交点A3とを、概ね1:2程度に内分する点であるが、この内分比率は、ピストン2の径や燃料の噴射圧、その他、エンジンの仕様に応じて適宜決定できる。
また、ピストン2の凹部10は、凹部始端部A2側の端縁に沿って始端側曲線区間12を、凹部終端部A1側の端縁に沿って始端側曲線区間12よりも相対的に曲線半径が大きい終端側曲線区間13を備える。
終端側曲線区間13は、凹部始端部A2と凹部終端部A1との間の距離L1+L2の2分の1よりも長い半径r−1の部分を有する。また、始端側曲線区間12は、凹部始端部A2と凹部終端部A1との間の距離L1+L2の2分の1よりも短い半径r−3の部分を有する。
この実施形態では、始端側曲線区間12、終端側曲線区間13は、それぞれ単一の曲線半径r−3,r−1からなる曲線区間(R3,R1)であるが、これを途中で半径が変化するようにしてもよい。ただし、途中に折れ点等がなく、且つ、曲率に不連続な部分がなく曲率が連続的に変化することが望ましい。このとき、始端側曲線区間12は、全区間に亘って、距離L1+L2の2分の1よりも短い半径であることが望ましい。同じく、終端側曲線区間13は、全区間に亘って、距離L1+L2の2分の1よりも長い半径であることが望ましい。
終端側曲線区間13の両端に、終端側曲線区間13の曲線半径r−1よりも相対的に小さい曲線半径r−2である側方曲線区間19がそれぞれ接続される。側方曲線区間19は、距離L1+L2の2分の1よりも短い半径r−2の部分を有する。
この実施形態では、側方曲線区間19の曲線半径r−2は、始端側曲線区間12の曲線半径r−3と同一に設定されている。側方曲線区間19の曲線半径r−2と、始端側曲線区間12の曲線半径r−3とを同一とすれば、製造時における加工の容易化が図られる。ただし、この曲線半径r−2と曲線半径r−3とを異なるように設定することも可能である。
また、この実施形態では、側方曲線区間19は、単一の曲線半径r−2からなる曲線区間(R2)であるが、これを途中で半径が変化するようにしてもよい。ただし、途中に折れ点等がなく、且つ、曲率に不連続な部分がなく曲率が連続的に変化することが望ましい。このとき、側方曲線区間19は、全区間に亘って、距離L1+L2の2分の1よりも短い半径であることが望ましい。
始端側曲線区間12の両端に、凹部始端部A2から離れるにつれて始終端中心線j2から徐々に遠ざかる取付区間18がそれぞれ接続される。この実施形態では、取付区間18は直線状のストレート部(U1)で構成されている。なお、取付区間18はストレート部に限定されるものではく、十分に大きな半径からなるアール状(円弧状)としてもよい。
取付区間18は、始端側曲線区間12の端部と、側方曲線区間19の端部とを結んで構成される。取付区間18は、始終端中心線j2に直交する噴射幅方向に対する筒内噴射弁9による燃料の噴射領域の外縁を示す噴射外縁ラインj1と平行である。筒内噴射弁9による燃料の噴射領域は、平面視において、図1(a)に角度αで示す噴射外縁ラインj1内の扇形状の領域である。
ただし、このストレート部からなる取付区間18を、噴射外縁ラインj1と平行とはせず、互いに僅かな角度を成すように配置してもよい。ただし、取付区間18は、噴射外縁ラインj1よりも外側であることが望ましい。また、取付区間18が噴射外縁ラインj1に沿っている限りにおいて、取付区間18の一部又は全部が、折れ点のない滑らかな曲線で構成されていてもよい。このとき、取付区間18に含まれる曲線は、燃料をスムーズに側方曲線区間19側へ誘導できるよう、その曲線半径が、始端側曲線区間12や終端側曲線区間13、側方曲線区間19よりも大きい円弧形状であることが望ましい。
この実施形態のように、終端側曲線区間13は単一の曲線半径r−1からなる曲線である場合において、終端側曲線区間13の円弧の中心O1は、1サイクル中の筒内噴射弁9による燃料の吹き始め時点(圧縮行程後期、例えば、圧縮上死点前40CA)における燃料の傾斜方向噴霧中心線j0と、凹部10の底面11との交点Pよりも、距離L8だけ凹部始端部A2側に配置される。図中の符号L5は、軸心Oと中心O1との始終端中心線j2に沿う方向の距離である。
また、終端側曲線区間13の円弧の中心O1は、噴射外縁ラインj1と凹部10の端縁との交点C同士の中点Cよりも、距離L8−L9だけ凹部始端部A2側に配置される。ここで距離L9は、交点Pと中点Cとの始終端中心線j2に沿う方向の距離である。
始端側曲線区間12が単一の曲線半径r−3からなる曲線である場合において、始端側曲線区間12の円弧の中心O3は、傾斜方向噴霧中心線j0と、凹部10の底面11との交点Pよりも、距離L8+L6だけ凹部始端部A2側に配置される。始端側曲線区間12の円弧の中心O3は、噴射外縁ラインj1と凹部10の端縁との交点C同士(図中の始終端中心線j2からの距離W3参照)の中点Cよりも。距離L8−L9+L6だけ凹部始端部A2側に配置される。ここで距離L6は、中心O1と中心O3との始終端中心線j2に沿う方向の距離である。
交点Cは、側方曲線区間19と噴射外縁ラインj1との交点である。また、交点Pを通り始終端中心線j2に直交するラインを挟んで、交点Cのある側と反対側に最大幅部Wmaxが位置する。最大幅部Wmaxは側方曲線区間19内に位置し、始終端中心線j2に直交する噴射幅方向に対して、凹部10の幅が最も広い位置である。
最大幅部Wmaxは、始終端中心線j2に沿って軸心Oよりも凹部始端部A2側に位置し、始終端中心線j2に沿って、最大幅部Wmaxから凹部終端部A1までの距離は、軸心Oから凹部始端部A2までの距離よりも短く設定される。
図中の符号B1は、終端側曲線区間13と側方曲線区間19との接続点、符号B2は最大幅部Wmaxとなる地点、符号B3は側方曲線区間19と取付区間18との接続点、符号B4は、取付区間18と始端側曲線区間12との接続点である。各接続点を挟む両側の区間の線形同士は、互いの接続点での接線方向が一致しており、折れ点なく滑らかに接続されている。
なお、交点Pと中点C、最大幅部Wmaxの位置は、始終端中心線j2の方向に沿って互いに一致していてもよい。例えば、3つの点のうち、交点Pと中点Cの位置が始終端中心線j2の方向に沿って一致している態様、最大幅部Wmaxと交点Pの位置が始終端中心線j2の方向に沿って一致している態様、最大幅部Wmaxと中点Cの位置が始終端中心線j2の方向に沿って一致している態様、あるいは、3つの点の位置が始終端中心線j2の方向に沿ってすべて一致している態様が考えられる。ただし、噴射された燃料を限られた面積である凹部10内に効率的に捕捉する観点から、交点Pの位置と最大幅部Wmaxの位置とは、始終端中心線j2の方向に沿って一致していることが望ましい。
また、ピストン2は、図1及び図2に示すように、凹部10の周囲に吸排気バルブ7,8との干渉を防ぐための凹状のリセス21,23を備える。また、ピストン2は、吸気バルブ7側の周縁に沿って始端側周縁部22を、排気バルブ8側の周縁に沿って終端側周縁部24を備える。
また、ピストン2の前記噴射幅方向への周縁には、傾斜した側方頂面25と、軸心に垂直な面方向である側方周縁部26を備える。側方周縁部26は、シリンダ1の上壁面と対向して、燃料を燃焼室3内の周縁部から中央へと送り出すスキッシュエリアを形成する。
凹部10とリセス23との間、凹部10と側方頂面25との間には、軸心Oに垂直な面方向であるピストン頂面27を備える。なお、仕様によっては、ピストン頂面27を設けなくともよい。
凹部10の端縁は、図9の断面図に示すように、凹部終端部A1側においては、ピストン頂面27から底面11に向かって順に、面取り部14、垂直部15、終端側アール部16を備える。この構成は、終端側曲線区間13と側方曲線区間19の全区間に採用される。終端側アール部16は、底面11と垂直部15とを結ぶように中心角α1(α1=90°)、高さBの範囲で設けられる。垂直部15は、図9の断面図に示すように、軸心Oに平行な任意の断面において、軸心Oに平行に形成されている。
図9において、符号Q1は、凹部10の底面11と終端側アール部16との接続点である。この接続点Q1では、底面11のフラット面と終端側アール部16の曲面とが折れ点のないよう滑らかに接続されている。符号Q2は、終端側アール部16と垂直部15との接続点である。この接続点Q2も、垂直部15の円筒状面と終端側アール部16の曲面とが折れ点のないよう滑らかに接続されている。符号Q3及び符号Q4は、横寸法C1、縦寸法C2からなる面取り部14の始終点である。この横寸法C1、縦寸法C2は、垂直部15の高さAを充分に確保できる限りにおいて自由に設定できる。
筒内噴射弁9から噴射された燃料は、凹部10の底面11に当たった後、終端側曲線区間13に至る。あるいは、取付区間18や側方曲線区間19に至り、その取付区間18や側方曲線区間19に沿って移動し、終端側曲線区間13に至る。ここで、燃料は、フラットな底面11に滑らかに接側された終端側アール部16を駆け上がり、垂直部15に沿って軸心Oに平行な方向へ案内され、点火プラグ4側へ円滑に誘導される。
ここで、図9に示すように、始端側周縁部22の上面と終端側周縁部24の上面とを結ぶピストン2の中立線f1を境として、凹部10の底面11が下方(クランク側)に、ピストン頂面27が上方(シリンダヘッド側)に位置する。終端側アール部16は、中立線f1よりも上方の位置で垂直部15に接続されている。中立線f1は、コンプレッションハイト(ピストンボス部2bの中心、すなわち、ピストンピンの中心からピストン2の肩部までの距離)算出の基準面である。終端側アール部16と垂直部15とを、中立線f1よりも上方の位置で接続したので、終端側アール部16の曲線半径R1をより大きくでき、点火プラグ4側への円滑な燃料の誘導が可能となる。
中立線f1からピストン頂面27までの高さh2は、中立線f1から凹部10の底面11までの高さh3よりも低く設定されている。凹部10の底面11からピストン頂面27までの高さh1は、高さh2と高さh3の和である。
垂直部15とピストン頂面27との間の稜線部をアール状とせず、その稜線部をC面からなる面取り部14で構成したので、垂直部15をピストン2の軸心に沿ってより広い領域とできる。仮に、稜線部をアール状とすれば、垂直部15の長さ(軸心方向への長さ)を十分に確保できないからである。また、稜線部をアール状とすることで、そのアール状部の円弧に沿って気流が流れるが、C面からなる面取り部14とすることで、気流が剥離しプラグ近傍へ供給されやすくなる。
また、稜線部を面取り部14で構成したことにより、凹部10の深さ(前記高さh1に相当)を浅くすることができ、トップランドを厚くする等、剛性を確保するための種々の対策を不要とできる。また、凹部10が浅ければ、クーリングチャンネル2cとの離隔も充分に確保できる。
なお、凹部始端部A2側や取付区間18側においては、凹部10の端縁は、底面11と始端側周縁部22やリセス21とを結ぶ始端側アール部17で構成される、始端側アール部17は、中心角α2(α2<90°)の範囲で設けられる。
この実施形態では、終端側アール部16の曲線半径R1と、始端側アール部17の曲線半径R2とを同一としているが、ピストンの部材の剛性確保の観点から、始端側アール部17の曲線半径R2は、終端側アール部16の曲線半径R1よりも小さく設定されることが望ましい。なお、曲線半径R1と曲線半径R2の数値や大小関係は、これらの実施形態に限定されるものではない。
図9において、符号Q5は、凹部10の底面11と始端側アール部17との接続点である。この接続点Q5では、底面11のフラット面と始端側アール部17の曲面とが折れ点のないよう滑らかに接続されている。符号Q6は、始端側アール部17と始端側周縁部22との接続点である。符号Q7は、始端側アール部17を中心角α2=90°となるまで延長した仮想点である。符号Q6で示す始端側アール部17と始端側周縁部22との接続点の稜線部に、C面からなる面取り部を設けてもよい。
凹部終端部A1の位置は、凹部10の底面11に当たった燃料が、その凹部終端部A1の端壁に当たって点火プラグ4側へ方向を転換し、点火プラグ4周辺に濃い燃料の層を形成できる位置であれば、自由に設定できる。
凹部終端部A1側の端壁に、垂直部15や終端側アール部16、面取り部14を設けたことによる効果は、上記の実施形態の凹部10の平面形状には限定されず、凹部10の端壁によって、筒内噴射弁9から噴射された燃料を、点火プラグ4寄りの空間にスムーズに導く必要がある各種のピストン2において発揮することができる。例えば、平面視真円状の凹部10を有するピストン2においても採用可能である。
以上のように、ピストンヘッドに形成される凹部10を、ピストン2の軸心Oを挟んで一方側の凹部始端部A2と他方側の凹部終端部A1との間に設け、軸心Oから凹部終端部A1までの距離L1を、軸心Oから凹部始端部A2までの距離L2よりも短くし、且つ、凹部始端部A2側の端縁に沿って始端側曲線区間12を、凹部終端部A1側の端縁に沿って始端側曲線区間12よりも相対的に曲線半径が大きい終端側曲線区間13を備えたので、ピストンヘッドの凹部10の範囲を過度に大きくすることなく、凹部10は筒内噴射弁9から噴射される燃料を受けるのに必要で十分な範囲とすることができる。終端側曲線区間13の半径を相対的に大きく、始端側曲線区間12の半径を相対的に小さくしたからである。
また、終端側曲線区間13の両側に、その終端側曲線区間13よりも相対的に曲線半径が小さい側方曲線区間19を備えたので、点火プラグ4の直下付近において、凹部10の範囲をより広く確保でき、筒内噴射弁9からの燃料を効率的に捕捉することができる。
さらに、始端側曲線区間12の両側に、噴射外縁ラインj1に沿う取付区間18を備え、その取付区間18を噴射外縁ラインj1の外側としたので、筒内噴射弁9からの燃料を凹部10外に逃すことなくその燃料を効率的に捕捉し、燃料を、取付区間18、側方曲線区間19を経て、終端側曲線区間13に誘導することができる。
このため、凹部10の範囲を必要最小限にとどめ、ピストン2の剛性低下や重量増を抑制しつつ、筒内噴射弁9から噴射される燃料をピストン2の凹部10内に効率的に取り込み、点火プラグ4周辺に必要な燃料が集めることができる。
また、凹部10の範囲を必要最小限にとどめたことから、トップランドの厚さを増大させる必要がない。この点においても、ピストン2の剛性低下や重量増を抑制することができる。また、凹部10の端縁と、ピストン2の外縁との離隔を十分に確保できるので、クーリングチャンネル2cを設けた部分の剛性低下も抑制できる。
図5及び図6は、この発明における凹部10の設計手順及び作用効果を示す模式図である。
まず、図5(a)に示すピストンヘッドの平面視において、筒内噴射弁9の直下位置Jと、燃料の吹き始め時点における傾斜方向噴霧中心線j0とピストンヘッドとの交点Pはエンジンの仕様によって決定される。
凹部10は、図5(b)に示すように、ピストン2の軸心Oを挟んで筒内噴射弁9側の凹部始端部A2と、筒内噴射弁9の反対側の凹部終端部A1との間に設けられる。ここで、図5(b)に示すように、凹部10の形状を従来のように真円形(曲線半径r−0)とすると、その真円の半径は、凹部始端部A2と凹部終端部A1との間の距離の2分の1である。しかし、凹部10が真円形であると、図5(b)に示す領域S1が広い範囲で凹部10外となってしまう。また、噴射外縁ラインj1から外側にはみ出る領域S2の存在が、凹部10の面積を無駄に広くしており非効率である。
そこで、この発明では、図5(c)に示すように、凹部終端部A1側の曲線半径(終端側曲線区間13の曲線半径r−1)を、凹部始端部A2と凹部終端部A1との間の距離の2分の1よりも大きくしたのである。これにより、上記領域S1を、領域S1’のように縮小できる。
しかし、この曲線半径r−1によれば、凹部10の側方において、ピストン2の外縁との離隔T1が小さくなってしまう。このため、終端側曲線区間13の両側に、その終端側曲線区間13よりも相対的に小さい曲線半径r−2である側方曲線区間19を設けたのである。これにより、図5(d)に示すように、離隔T1を、離隔T1’のように広く確保できる。
ここで、終端側曲線区間13と側方曲線区間19との接続点B1は、始終端中心線j2から距離W1を確保するものとし、ピストンの軸心O付近においては、始終端中心線j2から距離W2(W2>W0)を確保するものとする。
つぎに、図5(e)に示すように、凹部始端部A2側の曲線半径(始端側曲線区間12の曲線半径r−3)を、凹部始端部A2と凹部終端部A1との間の距離の2分の1よりも小さくしたのである。結果、終端側には相対的に曲線半径が大きい終端側曲線区間13を、始端側には相対的に曲線半径が小さい始端側曲線区間12が配置される。
そして、側方曲線区間19の端部と始端側曲線区間12の端部とを、筒内噴射弁9による燃料の噴射領域の外縁を示す噴射外縁ラインj1に沿う、取付区間18で結んだのである。
これにより、図6(a)に示すように、従来のように真円形の凹部を採用した場合と比較して、交点Pよりも凹部終端部A1側では凹部10を領域V1だけ広くすることができ、交点Pよりも凹部始端部A2側では凹部10を領域V2だけ狭くすることができる。
また、図6(b)に示すように、燃料の吹き始め時点における傾斜方向噴霧中心線j0とピストンヘッドとの交点Pを、符号B2地点間を結ぶ最大幅部Wmaxに位置させることで、燃料を効率的に凹部10内に捕捉することができる。
さらに、図6(c)に示すように、噴射外縁ラインj1と凹部10の端縁との交点C同士を結ぶ線分と、凹部始端部A2と凹部終端部A1とを結ぶ線分を対角線とする四角形を考えた場合、終端側の内角α1が始端側の内角α2よりも大きくなっている点も、燃料を効率的に凹部10内に捕捉する上で有効な要素となっている。
これは、符号B2地点間を結ぶ最大幅部Wmaxの線分と、凹部始端部A2と凹部終端部A1とを結ぶ線分を対角線とする四角形を考えた場合も同様である。
最大幅部Wmaxは、始終端中心線j2に沿って軸心Oよりも凹部始端部A2側に位置し、始終端中心線j2に沿って、最大幅部Wmaxから凹部終端部A1までの距離は、軸心Oから凹部始端部A2までの距離よりも短く設定されているので、符号B2地点間を結ぶ最大幅部Wmaxの線分と、凹部始端部A2と凹部終端部A1とを結ぶ線分を対角線とする四角形を考えた場合、図6(c)の例と同様に、終端側の内角α1が始端側の内角α2よりも大きくなる。
他の実施形態を図7、さらに他の実施形態を図8に示す。
図7の実施形態では、凹部始端部A2側の始端側曲線区間12の曲線半径r−3を、側方曲線区間19の曲線半径r−2よりも小さく設定したものである。ここでは、噴射外縁ラインj1と凹部10の端縁との交点C同士の中点Cは、交点Pに一致しているが、中点Cと交点Pとの一致、不一致は自由に設定できる。
また、図8の実施形態では、凹部始端部A2側の始端側曲線区間12の曲線半径r−3を、図7の実施形態よりもやや大きくして、取付区間18の向きを、噴射外縁ラインj1に対して傾斜する方向に配置したものである。取付区間18と噴射外縁ラインj1とは交差しないが、その延長線は、凹部10外の領域で薄い角度で交差する。このような取付区間18の態様によっても、燃料の側方曲線区間19への誘導は可能である。ただし、凹部始端部A2側から凹部終端部A1側へ向かって、取付区間18と噴射外縁ラインj1とが徐々に狭まることが望ましい。
これらの実施形態では、筒内噴射弁9による燃料の噴射形態が、傾斜方向噴霧中心線j0回りに均等であること、また、傾斜方向噴霧中心線j0と始終端中心線j2とが平面視一致していることを前提とし、凹部10を含むピストン2の形状を、始終端中心線j2を挟んで対象としたが、燃料噴射の形態、筒内噴射弁9の位置によっては、凹部10を含むピストン2の形状を、始終端中心線j2を挟んで非対象とする実施形態も考えられる。
1 シリンダ
2 ピストン
2a ピストンスカート
2b ピストンボス部
2c クーリングチャンネル
3 燃焼室
4 点火プラグ
5 吸気ポート
6 排気ポート
7 吸気バルブ
8 排気バルブ
9 筒内噴射弁
10 凹部
11 底面
12 始端側曲線区間
13 終端側曲線区間
14 面取り部
15 垂直部
16 終端側アール部
17 始端側アール部
18 ストレート部(取付区間)
19 側方曲線区間
21,23 リセス
22 始端側周縁部
24 終端側周縁部
25 側方頂面
26 側方周縁部
27 ピストン頂面

Claims (8)

  1. シリンダ内に収容されたピストンと、
    前記シリンダ内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁と、
    前記シリンダのヘッド側に配置された点火プラグと、
    前記ピストン頂面に形成され前記筒内噴射弁から噴射される燃料が指向する凹部とを備え、
    前記ピストンの凹部は、ピストンの軸心を挟んで前記筒内噴射弁が位置する一方側の凹部始端部と他方側の凹部終端部との間に設けられ、
    前記凹部における前記凹部始端部と前記凹部終端部とを結び前記軸心を通る始終端中心線に直交する方向への幅が最も広い最大幅部は、前記始終端中心線に沿って前記軸心よりも前記凹部始端部側に位置し、
    前記始終端中心線に沿って前記最大幅部から前記凹部終端部までの距離は、前記軸心から前記凹部始端部までの距離よりも短く設定され、
    前記ピストンの凹部は、前記凹部始端部側の端縁に沿って始端側曲線区間を、前記凹部終端部側の端縁に沿って前記始端側曲線区間よりも相対的に曲線半径が大きい終端側曲線区間を備え、
    前記終端側曲線区間は単一の曲線半径からなる曲線であり、
    前記終端側曲線区間の円弧の中心は、1サイクル中の前記筒内噴射弁による燃料の吹き始め時点における燃料の傾斜方向噴霧中心線と前記凹部の底面との交点よりも前記凹部始端部側に配置される筒内噴射式エンジン。
  2. シリンダ内に収容されたピストンと、
    前記シリンダ内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁と、
    前記シリンダのヘッド側に配置された点火プラグと、
    前記ピストン頂面に形成され前記筒内噴射弁から噴射される燃料が指向する凹部とを備え、
    前記ピストンの凹部は、ピストンの軸心を挟んで前記筒内噴射弁が位置する一方側の凹部始端部と他方側の凹部終端部との間に設けられ、
    前記凹部における前記凹部始端部と前記凹部終端部とを結び前記軸心を通る始終端中心線に直交する方向への幅が最も広い最大幅部は、前記始終端中心線に沿って前記軸心よりも前記凹部始端部側に位置し、
    前記始終端中心線に沿って前記最大幅部から前記凹部終端部までの距離は、前記軸心から前記凹部始端部までの距離よりも短く設定され、
    前記ピストンの凹部は、前記凹部始端部側の端縁に沿って始端側曲線区間を、前記凹部終端部側の端縁に沿って前記始端側曲線区間よりも相対的に曲線半径が大きい終端側曲線区間を備え、
    前記終端側曲線区間は単一の曲線半径からなる曲線であり、
    前記終端側曲線区間の円弧の中心は、前記始終端中心線に直交する噴射幅方向に対する前記筒内噴射弁による燃料の噴射領域の外縁を示す噴射外縁ラインと、前記凹部の端縁との交点よりも前記凹部始端部側に配置される筒内噴射式エンジン。
  3. 前記終端側曲線区間は、前記凹部始端部と前記凹部終端部との間の距離の2分の1よりも長い半径の部分を有し、前記始端側曲線区間は、前記凹部始端部と前記凹部終端部との間の距離の2分の1よりも短い半径の部分を有する
    請求項1又は2に記載の筒内噴射式エンジン。
  4. 前記終端側曲線区間の両端に、前記終端側曲線区間よりも相対的に曲線半径が小さい側方曲線区間がそれぞれ接続される
    請求項1から3の何れか1項に記載の筒内噴射式エンジン。
  5. 前記側方曲線区間は、前記凹部始端部と前記凹部終端部との間の距離の2分の1よりも短い半径の部分を有する
    請求項4に記載の筒内噴射式エンジン。
  6. 前記始端側曲線区間の両端に、前記凹部始端部から離れるにつれて前記始終端中心線から徐々に遠ざかる取付区間がそれぞれ接続される
    請求項1から5の何れか1項に記載の筒内噴射式エンジン。
  7. 1サイクル中の前記筒内噴射弁による燃料の吹き始め時点における燃料の傾斜方向噴霧中心線と前記凹部の底面との交点Pを、前記最大幅部に位置させる
    請求項1からの何れか1項に記載の筒内噴射式エンジン。
  8. シリンダ内に収容されたピストンと、
    前記シリンダ内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁と、
    前記シリンダのヘッド側に配置された点火プラグと、
    前記ピストン頂面に形成され前記筒内噴射弁から噴射される燃料が指向する凹部とを備え、
    前記ピストンの凹部は、ピストンの軸心を挟んで前記筒内噴射弁が位置する一方側の凹部始端部と他方側の凹部終端部との間に設けられ、
    前記凹部における前記凹部始端部と前記凹部終端部とを結び前記軸心を通る始終端中心線に直交する方向への幅が最も広い最大幅部は、前記始終端中心線に沿って前記軸心よりも前記凹部始端部側に位置し、
    前記始終端中心線に沿って前記最大幅部から前記凹部終端部までの距離は、前記軸心から前記凹部始端部までの距離よりも短く設定され、
    1サイクル中の前記筒内噴射弁による燃料の吹き始め時点における燃料の傾斜方向噴霧中心線と前記凹部の底面との交点Pを、前記最大幅部に位置させる筒内噴射式エンジン。
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