以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る眼球測定装置100を含む眼球測定システムと、その利用形態の一例を示す図である。本実施形態に係る眼球測定システムは、眼球測定装置100とタブレット端末800を含んで構成される。
眼球測定装置100は、被測定者の右眼および左眼を撮像し、その画像データを無線通信によってタブレット端末に送信する。タブレット端末800は、受信した画像データを画像として表示する。また、タブレット端末800は、当該画像データに画像処理を施し、瞳孔径を算出する。そして、計測した瞳孔径を、対応する画像の周辺に数値として表示する。タブレット端末800は、受信した画像データを展開して画像として表示する機能と、画像処理を施して瞳孔径を算出し当該瞳孔径を数値として表示する機能とを実現するためのソフトウェアプログラムを備えている。
眼球測定システムは、眼球測定装置100とタブレット端末800で構成される小型で軽量なシステムであるので、交通事故現場や救急車内等の医療施設外の救急現場において好適に利用できる。上記のソフトウェアプログラムはデスクトップPC等のコンピュータに格納することもでき、眼球測定システムは、大規模病院や小規模クリニック等の医療施設内で利用することもできる。
図1に示す状況は、横たわる負傷者である被測定者の意識障害の有無を確認すべく、救急隊員である測定者が被測定者の瞳孔径を測定する状況を表している。測定者は、眼球測定装置100を把持し、被測定者の顔へ押し当てている。測定者あるいは補助者は、タブレット端末800の画面で撮像された画像データの画像および瞳孔径の数値を確認する。一連の作業により、救急隊員は患者の状態を把握することができる。
タブレット端末800は、連続的に画像データを受信して瞳孔径を算出することにより、瞳孔径の経時変化を表示する機能も有する。また、受信した画像データおよび算出した瞳孔径の数値データを、フラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体に記録する機能を有する。したがって、後に専門医がこれらの情報を確認してより正確な判断を下すこともできる。
次に、眼球測定装置100について詳細に説明する。図2は、眼球測定装置100の前方斜視図であり、図3は、眼球測定装置100の後方斜視図である。特に、図3は、測定者が眼球測定装置100を把持する様子を点線で示している。
眼球測定装置100は、外部から視認される主なハードウェア構成として、筐体110、接顔フレーム120、第1起動スイッチ131、第2起動スイッチ132を備える。なお、図示するように筐体110の長手方向である幅方向をX軸、短手方向である高さ方向をY軸、被測定者の視線方向である奥行き方向をZ軸方向と定める。座標系を併せて示す以降の各図も同様とする。
筐体110は、被測定者の右眼を撮像する右眼用撮像部と左眼を撮像する左眼用撮像部とを収容する収容部としての機能と、測定者が眼球測定装置100を把持するための把持部としての機能とを担う。筐体110は、右眼用撮像部に対応する右眼開口部111と左眼用撮像部に対応する左眼開口部112とを有する。右眼用撮像部を構成する右眼用撮像素子211は、右眼開口部111との間に不図示の結像光学系を介して、筐体110内に設置されている。同様に、左眼用撮像部を構成する左眼用撮像素子221は、左眼開口部112との間に不図示の結像光学系を介して、筐体110内に設置されている。それぞれの撮像素子は、例えばCMOSイメージセンサであり、結像面に結像した光学像を光電変換して画像信号を生成し、さらにAD変換を行って画像データを出力する。なお、本実施形態における撮像素子は、近赤外の波長領域の光学像を光電変換するように、光電変換素子上に光学フィルターが設けられている。
接顔フレーム120は、被測定者の顔部に押し当てて眼球測定装置100の測定位置を安定させると共に、被測定者の眼球とそれぞれの撮像素子との間隔を一定に保つ機能を担う。接顔フレーム120は、筐体110に対して着脱可能である。詳細については後述する。
第1起動スイッチ131および第2起動スイッチ132は、右眼用撮像部および左眼用撮像部を起動させるためのスイッチである。眼球測定装置100は、これらのスイッチに対する測定者による押下動作に対して、同一の処理を実行する。すなわち、測定者は、第1起動スイッチ131および第2起動スイッチ132のいずれを押しても、眼球測定装置100に対して同じ処理を実行させることができる。
例えば、図3のように測定者が筐体110を把持した場合には、その人差し指は第1起動スイッチ131の近傍に位置するので、測定者は、第1起動スイッチ131を押して計測処理を実行させる。測定者が図3とは逆に筐体110を把持した場合、すなわち人差し指が第2起動スイッチ132の近傍に位置するように把持した場合には、測定者は、第2起動スイッチ132を押して計測処理を実行させる。図の例では、右手で把持することを想定しているが、測定者が筐体110を右手で把持するか左手で把持するかは、その時の状況に依る。測定者が筐体110を左手で把持する場合であっても、第1起動スイッチ131が押しやすいのであれば第1起動スイッチ131を押せば良いし、第2起動スイッチ132が押しやすいのであれば第2起動スイッチ132を押せば良い。
第1起動スイッチ131および第2起動スイッチ132は、図示するように、筐体110の各側面のうち、右眼開口部111と左眼開口部112を結ぶ直線に対して交差する2つの側面のそれぞれに設けられている。本実施例においては、右眼開口部111と左眼開口部112は、XY平面と略平行な側面にX軸に沿って設けられており、右眼開口部111と左眼開口部112を結ぶ直線はX軸に平行である。したがって、第1起動スイッチ131および第2起動スイッチ132は、YZ平面と略並行な2つの平面にそれぞれ設けられている。
このような側面に起動スイッチをそれぞれ配設すると、緊急時にさまざまな姿勢を取り得る被測定者に対し、測定者は、状況が許す側方から眼球測定装置100を都合の良いように把持して腕を差し出し、被測定者の顔に押し当てて計測を開始することができる。特に、本実施形態に係る眼球測定装置100のように、筐体110の長手方向が右眼開口部111と左眼開口部112を結ぶ直線方向であると、測定者にとって把持がしやすく、緊急時であっても多くの状況に対応することができる。
なお、同様の起動スイッチを、さらに別の側面に設けても構わない。例えば後述する電池収容蓋160が設けられている側面や、表示パネル150が設けられている側面に設けても良い。第1起動スイッチ131および第2起動スイッチ132が設けられている側面に直交する側面にも同様の機能を担う起動スイッチが配設されていると、測定者は、より困難な状況においても眼球測定装置100による測定を実行することができる。
眼球測定装置100は、更に、右眼用調整スライダー141、左眼用調整スライダー142、表示パネル150、電池収容蓋160および通信端子170を備える。右眼用調整スライダー141は、筐体110に対して、右眼用撮像素子211を含む右眼用撮像部をX軸方向にスライドさせるための操作部材である。同様に、左眼用調整スライダー142は、筐体110に対して、左眼用撮像素子221を含む左眼用撮像部をX軸方向にスライドさせるための操作部材である。測定者は、右眼用撮像素子211と左眼用撮像素子221の間隔が、被測定者の両眼間隔と一致しない場合に、右眼用調整スライダー141、左眼用調整スライダー142を操作して調整することができる。
表示パネル150は、眼球測定装置100のステータスを表示するための表示部として機能し、例えば液晶パネルが用いられる。表示パネル150は、電源のオンオフ状態、電池の残容量、撮像実行中などを、文字やアイコンによって表示する。
電池収容蓋160は、筐体110に収容されている二次電池を交換するときに開閉される。二次電池は、眼球測定装置100の各所へ電力を供給する。二次電池は、例えばリチウムイオン電池が採用される。なお、電力の供給は、例えばDC変換アダプタを介してAC電源から行われても構わない。また、乾電池などの一次電池を採用しても良い。
通信端子170は、外部機器と有線通信を行う場合の通信インターフェースである。図1においては、無線通信を介してタブレット端末800とデータの送受信を行う例を説明したが、眼球測定装置100は、通信端子170に接続された通信ケーブルを介して、有線通信によるデータの送受信も可能である。
図4は、接顔フレーム120を取り外した眼球測定装置100の前方斜視図である。筐体110は、右眼開口部111と左眼開口部112の中間部に、接顔フレーム120の装着を受容して接顔フレーム120を支持する装着部を有する。装着部は、係止溝113とガイド溝114によって構成されている。
係止溝113は、右眼開口部111と左眼開口部112の中間部を上下から挟み込むように2箇所、それぞれが後述する接顔フレーム120の係止爪を受容する受容溝として形成されている。ガイド溝114は、右眼開口部111と左眼開口部112の中間部に上下方向(Y軸方向)に沿って設けられ、後述する接顔フレーム120のベースを嵌め込んでX軸方向のがたつきを防ぐ平溝として形成されている。
右眼開口部111の近傍には、被測定者の右眼を可視光で照射するLEDである右眼用可視LED212と、赤外光で照射するLEDである右眼用赤外LED213が配設されている。同様に、左眼開口部112の近傍には、被測定者の左眼を可視光で照射するLEDである左眼用可視LED222と、赤外光で照射するLEDである左眼用赤外LED223が配設されている。可視LEDは、照射される明るさに対する瞳孔位置や瞳孔径の変化を観察する場合に、輝度を調整して点灯される。赤外LEDは、撮像素子で良好な眼球画像を撮像できるよう、光量確保のために点灯される。
図5は、接顔フレーム120の前方斜視図であり、図6は、接顔フレーム120の後方斜視図である。接顔フレーム120は、例えばポリカーボネートの樹脂素材であり、全体が一体成形される。なお、接眼フレーム120は、紙素材を用いて成形することもできる。紙素材を採用する場合などにおいては、複数のパーツを組み合わせて一体化しても良い。また、熱処理や折加工等により強度を確保しても良い。
接顔フレーム120は、主に、当接部121、係止爪123、ベース124、額側支柱125、および鼻側支柱126を備える。当接部121は、被測定者の顔部と当接する要素であり、図において網点で示す曲面が被測定者の顔部と当接する当接面である。当接部121は、およそ被測定者の右眼と左眼を取り囲む円環形状を成す。このように、当接部121の全体を曲面とし、右眼と左眼を取り囲む円環形状とすることにより、被測定者の顔部に対して凸となる部分や端となる部分を排除している。このような形状を採用することにより、慌ただしい現場においても凸部や端部を被測定者の顔部に突き当てて怪我を負わせる虞がなく、安全に眼球測定を行うことができる。
係止爪123は、接顔フレーム120の額側と鼻側の2箇所に設けられており、上記の係止溝113のそれぞれに係止する爪状の係止部である。係止爪123が係止溝113に係止することにより、接顔フレーム120は筐体110に固定され、支持される。また、2つの係止爪123は、ベース124によって互いに接続されている。ベース124は、およそ平板形状であり、接顔フレーム120が筐体110に装着されたときには、上記のガイド溝114に収容される。ベース124は、接顔フレーム120において、額側と鼻側を繋ぐ骨格を成し、全体の剛性を確保する機能を担う。
額側支柱125は、額側の係止爪123と当接部121の額側である上部部位とを接続し、接顔フレーム120が筐体110に装着されたときに当接部121を支持する支持柱部として機能する。鼻側支柱126は、鼻側の係止爪123と当接部121の鼻側である下部部位とを接続し、接顔フレーム120が筐体110に装着されたときに、額側支柱125と同じく、当接部121を支持する支持柱部として機能する。鼻側支柱126は、本実施形態においては、鼻の隆起を避けるためにベース124から二股に分かれており、それぞれの先端は、当接部121と連続的かつ曲面で接続されているので、外観上両者の間に明確な境界は存在しない。
図7は、接顔フレーム120を筐体110へ装着した場合の、接顔フレーム120と筐体110の関係を示す上面概略図である。図は、接顔フレーム120と、右眼開口部111および左眼開口部112との相対的な位置関係がわかるように表している。
このような上面視において、筐体110に装着された接顔フレーム120は、一端側が右眼開口部111と左眼開口部112の中間で筐体110に支持され、他端側に被測定者の顔部と当接する当接部121が設けられていると言える。本実施形態においては、額側支柱125の方が鼻側支柱126よりも短く、剛性は大きい。
額側支柱125の長さ、すなわち当接部121を筐体110の表面から離間させる最小距離Dは、20mm以上60mm未満であることが好ましい。額側支柱125の長さがこの範囲であれば、測定者は被測定者の眼部の側方から容易に指を差し入れることができ、また、筐体110が被測定者の顔部に対して不安定になることもない。
被測定者が意識混濁や外傷により瞼を開くことができない状況においては、測定者は、眼球像を撮像するために被測定者の瞼を強制的に開いた状態にする必要がある。この場合に、測定者は、筐体110を把持する手とは反対の手を使い、接顔フレームの側方から被測定者の瞼へ向かって指を差し入れることになるが、その経路に構造物が存在すると瞼への容易なアクセスを阻害する。これに対して、本実施形態に係る接顔フレーム120は、右眼開口部111と左眼開口部112の中間のみで筐体110に支持されているので、そのような構造物は存在せず、測定者は、いずれの側方からも被測定者の瞼を容易かつ迅速に開くことができる。また、距離Dを20mm以上60mm未満としているので、測定者が指を差し入れるには十分であり、かつ眼部が筐体110から離れすぎて眼球測定が安定しないということもない。同時に、接顔フレーム120が、被測定者の眼球と筐体110に収容されている撮像部との距離を適切に保つという機能を十分発揮する。
接顔フレーム120は、額側支柱125に大きな剛性を持たせて被測定者の眼球と筐体110に収容されている撮像部との距離を適切に保つ機能を担保している。一方で、鼻側支柱126は、ベース124から二股に分岐させ、それぞれの先端を当接部121と連続的かつ曲面で接続するように構成し、可撓性を有するようにその剛性を調整している。このような構造により、当接部121は、Y軸周りにある程度の範囲で揺動することができ、また、X軸周りにも多少揺動することができる。
図8は、眼球測定装置100の使用例を示す図である。測定者は、接顔フレーム120を被測定者の顔部に押し当てた状態で、筐体110を図示する矢印方向へ主に揺動させることができる。これにより、測定者は、接顔フレーム120を被測定者の顔に押し当てた後に、眼球と撮像部の相対位置を微修正することができる。例えば、補助者がタブレット端末800の眼球画像を確認しながら測定者に指示を与えることにより、測定者は右側へ傾けたり左側へ傾けたりして、適切な眼球画像が表示されるように相対位置を修正する。
また、筐体110は、被測定者の右眼が右眼開口部111に接近する場合は被測定者の左眼が左眼開口部112から遠ざかり、被測定者の左眼が左眼開口部112に接近する場合は被測定者の右眼が右眼開口部111から遠ざかるように揺動する。人の左右の眼球位置は顔の中心線に対して左右対称でない場合があり、そのような場合でも筐体110が揺動すれば、撮像部をそれぞれの眼球に対して適切に対向させることができる。この場合は、まず右眼を適切に測定し、筐体110を揺動し、次に左眼を適切に測定するなど、片眼ずつの測定を行っても良い。なお、上述のように眼球測定装置100は、被測定者の両眼間隔と一致しない場合に、右眼用調整スライダー141、左眼用調整スライダー142を操作して調整することができるが、このように筐体110を揺動させて、スライダーによる調整を省くこともできる。
次に、眼球測定装置100のシステム構成について説明する。図9は、眼球測定装置100のシステムブロック図である。眼球測定装置100の処理動作は、例えばCPUである、制御部200によって統括的に制御される。制御部200は、不揮発性メモリであるメモリ250から制御プログラムを読み出して、さまざまな処理動作を実行する。
右眼用撮像部210は、右眼用撮像素子211、右眼用可視LED212、および右眼用赤外LED213を含む。制御部200は、右眼用撮像素子211に対して撮像開始信号を与え、撮像を開始させる。右眼用撮像素子211は、撮像して生成した画像データを制御部200へ出力する。制御部200は、撮像に伴って適切なタイミングで右眼用可視LED212および右眼用赤外LED213に対して点灯信号を与える。右眼用可視LED212および右眼用赤外LED213は、点灯信号に従って点灯および消灯を実行する。
左眼用撮像部220は、左眼用撮像素子221、左眼用可視LED222、および左眼用赤外LED223を含む。制御部200は、左眼用撮像素子221に対して撮像開始信号を与え、撮像を開始させる。左眼用撮像素子221は、撮像して生成した画像データを制御部200へ出力する。制御部200は、撮像に伴って適切なタイミングで左眼用可視LED222および左眼用赤外LED223に対して点灯信号を与える。左眼用可視LED222および左眼用赤外LED223は、点灯信号に従って点灯および消灯を実行する。
第1起動スイッチ131および第2起動スイッチ132は、上述のように同一の機能を有するスイッチである。制御部200は、第1起動スイッチ131がオンにされたことを検出した場合も、第2起動スイッチ132がオンにされたことを検出した場合も、同じ処理を実行する。
これらのスイッチがオンにされたときに実行する処理は、予め制御プログラムによって設定されている。例えば、右眼用撮像部210と左眼用撮像部220の撮像処理を共に開始するように設定されていても良いし、交互に撮像処理を実行するように設定されていても良い。あるいは、例えばメニュー項目の選択により、測定者が事前に設定できるようにプログラムされていても良い。
表示パネル150は、上述のように、制御部200の表示信号にしたがってさまざまな情報を表示する。通信ユニット240は、例えば無線LANユニットであり、右眼用撮像部210と左眼用撮像部220が出力した画像データを、制御部200の指示に従ってタブレット端末800へ送信する。送信先が他の周辺機器に設定されている場合は、設定された機器へ画像データを送信する。メモリ250は、上述のように制御プログラムを格納するほか、通信ユニット240がタブレット端末800等と通信を確立できない場合に、右眼用撮像部210と左眼用撮像部220が出力した画像データを記録することもできる。なお、メモリ250は、単一のメモリ素子で構成されていなくても良く、例えば、内蔵されたROMと着脱可能なフラッシュメモリによって構成されていても良い。
次に接顔フレームの変形例についていくつか説明する。以下に説明する接顔フレームは、接顔フレーム120と同様に、いずれも筐体110に装着されるものである。接顔フレーム120と同様の要素についてはその説明を省略し、相違する要素について重点的に説明する。
図10は、第1の変形例に係る接顔フレーム320の前方斜視図である。接顔フレーム320の当接部321は、当接部121と同様に右眼と左眼を取り囲む円環形状であるが、右眼と左眼を別々の円環で取り囲んでいる点で当接部121と異なる。このような形状であっても、被測定者の顔部に対して凸となる部分や端となる部分を排除することができる。
また、当接部321は、右眼と左眼を分割する中央の梁部で、支柱325によって支持されている。支柱325は、ベース324の中央付近に立設されており、その長さは20mm以上60mm未満である。このように、当接部321がひとつの支柱325によって支持されていると、当接部321を被測定者の顔部に押しつけた場合に、筐体110を顔の横方向だけでなく、縦方向にも揺動させることができる。ここで、支柱325の少なくとも一部をゴム材などの弾性材で形成すれば、より広い範囲で揺動させることもできる。
図11は、第2の変形例に係る接顔フレーム420の前方斜視図である。接顔フレーム420の当接部421は、当接部121が円環形状であったのに対し、側方に解放している点で接顔フレーム120と異なる。このような形状であっても、被測定者の眼球と筐体110に収容されている撮像部との距離を適切かつ安定的に保つことができる。また、側方が解放されているので、測定者は被測定者の眼部の側方からより容易に指を差し入れることができる。
図12は、第3の変形例に係る接顔フレーム520の後方斜視図である。当接部521は、当接部121と同様に右眼と左眼を取り囲む円環形状であるが、ベース124に相当する要素を備えない。当接部521の額側において額側支柱525が筐体110側へ向かって伸延し、鼻側において鼻側支柱526が筐体110側へ向かって伸延している。そして、額側支柱525および鼻側支柱526のそれぞれの先端には、係止爪123の代わりに、円錐状のヒンジピン523が設けられている。
接顔フレーム520が装着される筐体110は、図4を用いて説明した構造とは若干異なり、ガイド溝114を有さず、係止溝113の代わりにヒンジピン523を受容する凹部が設けられている。測定者は、ヒンジピン523を当該凹部に嵌め込むことにより、接顔フレーム520を筐体110へ装着する。このようなヒンジ構造を採用すれば、当接部521を被測定者の顔部に押しつけた場合に、筐体110を顔の横方向により広い範囲で揺動させることができる。
以上、いくつかの変形例に係る接顔フレームを説明したが、それぞれの構成を組み合わせた接顔フレームを採用しても良い。例えば、接顔フレーム120に接顔フレーム520のヒンジ構造を採用しても構わない。また、上記に説明した以外の機構を採用することもできる。例えば、ユニバーサルジョイント機構を採用すれば、筐体110を接眼フレーム120に対してより自由に揺動させることもできる。
以上説明した本実施形態においては、接顔フレームは、筐体110に対して着脱可能なものとした。接顔フレームは構造的に破損する場合があり、破損した場合でも予備の接顔フレームがあれば、直ちに眼球測定を再開できる。また、接顔フレームは被測定者の顔と直接接するので、衛生の観点からは、被測定者ごとに新品の、あるいは消毒された接顔フレームに交換することが好ましい。また、異なるサイズの接顔フレームをそれぞれ用意しておけば、被測定者の顔に合わせて最適なものを選択することができる。
一方で、眼球測定装置100の全体をディスポーザブルな器具として扱うような場合には、接顔フレームは筐体と一体的に構成されていても良い。その場合は、被測定者の顔に合わせて最適なものが選択できるように、サイズの異なる接顔フレームを有する眼球測定装置100のバリエーションが用意されていることが好ましい。
また、以上説明した本実施形態においては、眼球測定装置100を被測定者の瞳孔径を測定する装置として説明したが、測定対象は瞳孔径に限らない。例えば、照明系や撮像素子を変更すれば、被測定者の眼底検査を行う眼球測定装置を実現することもできる。その場合は、画像データを受信する端末側のソフトウェアプログラムも、眼底検査用のものが利用される。