JP6393173B2 - 位置推定方法及び位置推定システム - Google Patents

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Description

本発明は、計測結果を他の画像に合成する際の位置合わせに用いられる磁場発生装置の位置推定方法及び位置推定システムの技術に関する。
心臓の電気生理学的活動を非侵襲に評価する検査装置として、心磁計が開発されている。そして、この心磁計が、近年、臨床現場での生理機能検査に使用されている。心磁計とは、心臓の電気生理学的活動に伴う心起電力(電流双極子)により生じた微弱な磁場(心磁)を非接触で計測する装置である。複数の磁気センサによって心磁を同時計測することにより、心磁計では空間分解能に優れた評価が可能となる。この心磁の時間変化及び空間分布を画像化したものは心磁図と呼ばれる。生体内の透磁率は、ほぼ真空の透磁率と等しいため、心磁図は、心電図と比べて心臓の周辺臓器(骨や肺等)の影響を受けにくい。そのため、心磁図は、心臓の電気生理学的活動に伴う電流を高感度に反映可能である。この心磁図の利点を生かし、心房粗動や心房細動の心房内異常電流の画像化、脚ブロックの心室内異常電流の画像化、ブルガダ症候群の心室内異常電流の画像化等が報告され、心磁図の臨床的な有効性が示されている。
これらの報告において、心臓の電気生理学的活動に伴う電流の画像化に、電流アロー図法がしばしば用いられている。電流アロー図は、胸壁に垂直な法線方向の心磁から解析的に接線方向の心磁を算出し、この接線方向の心磁を擬似的な電流ベクトルとして胸壁面に平行な2次元平面状に表示したものである。
また、近年、逆問題解析に基づいて、心磁図信号から3次元電流分布を推定し、この3次元電流分布の画像とX線CT(Computed Tomography)、又は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)から再構成した心臓形態画像とを合成表示する技術が提案されている。この画像合成技術では、心臓の電気生理学的な情報と解剖学的な情報とを3次元で表示することができ、心疾患による異常電流が、解剖学的に心臓のどこの部位で生じているのかを特定することができる。
この画像合成を高い精度で実現するためには、逆問題解析により3次元電流分布を高精度に推定することに加え、心磁図信号からの3次元電流分布画像と、X線CTや、MRIによる心臓形態画像とを高精度に合成することが必要である。このような3次元電流分布画像と心臓形態画像との画像合成には基準点を用いた技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この技術において、心磁計の基準点は被検者胸部の所定の位置に位置推定用の磁場発生コイルを載せ、この磁場発生コイルから生じた磁場を心磁計で計測し、測定磁場から磁場発生コイルの位置を推定したり、被検者胸部所定の位置を、デジタイザを用いて計測したりすることで得ることができる。そして、位置推定用の磁場発生コイルから生じた磁場を心磁計で計測した結果を用いて、磁場発生コイルの位置を推定する際に、最適化法(準ニュートン法等)を用いる方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
一方、X線CTやMRIの基準点は、被検者胸部において、位置推定用の磁場発生コイルと同じ位置にX線CT、又は、MRIに映るマーカを載せ、再構成画像からマーカの位置を抽出することで得ることができる。
そして、推定された位置推定用の磁場発生コイルの位置と、マーカの位置とを合わせることで、3次元電流分布の画像と、心臓形態画像とが合成される。
心磁計と同じ原理により脳から発生する磁場を計測する脳磁計の画像合成に用いられる位置推定用の磁場発生コイルとしては、頭部における任意の位置に配置するものや、脳磁計の器具に固定されるもの等がある(例えば、非特許文献3参照)。
T. Maekelae, J. Loetjoenen, O. Sipilae, K. Lauerma, J. Nenonen, T. Katila and IE. Magnin, "Error analysis of registering of anatomical and functional cardiac data using external markers," Proc. 13th Int. Conf. on Biomagnetism, pp.842-845, Jena, Germany, 20021. 小山 大介,足立 善昭,樋口 正法,河合 淳,宮本 政和,小林 宏一郎,上原 弦,"脳磁図用リアルタイム頭部位置観測装置の開発",Journal of the Magnetics Society of Japan,Vol.36,pp.345-351,2012. P. Adjamian, GR. Barnes, A. Hillebrand, IE. Holliday, KD. Singh, PL. Furlong, E. Harrington, CW. Barclay and PJ. Route, Co-registration of magnetoencephalography with magnetic resonance imaging using bite-bar-based fiducial and surface matching, Clinical Neurophysiology, vol.115, pp.691-698, 2004.
脳磁計において、磁場を計測するための磁気センサは被検者の頭部を覆うように、球形状に配置されるのに対して、心磁計において、磁気センサは、被検者胸部に並行な(x,y)座標位置に2次元に配置される。このように磁気センサを2次元に配置し、位置推定用の磁場発生コイルから生じる磁場を磁気センサで計測した結果を基に、位置推定用の磁場発生コイルの位置を推定すると、磁場発生コイルと磁気センサの位置関係によっては、推定された位置推定用の磁場発生コイルにズレが生じる場合がある。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、磁場発生装置の位置推定精度を向上させることを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、磁場を発生する磁場発生部を平面上に3つ以上有する磁場発生装置において、それぞれの前記磁場発生部からの距離が既知である基準点が設定されており、前記磁場発生装置の位置及び角度を推定する演算装置が、前記基準点の位置及び前記平面の角度を設定し、計測用磁気センサによって実際に計測された前記それぞれの磁場発生部からの磁場と、設定された前記基準点の位置及び前記平面の角度を基に、前記それぞれの磁場発生部の位置及び角度から推定される磁場と、の差を算出し、それぞれの前記差の和が所定の値以下となる前記基準点の位置及び前記平面の角度を算出することで、前記基準点の位置及び前記平面の角度を推定し、推定された前記基準点の位置及び前記平面の角度を基に、前記それぞれの磁場発生部の位置及び角度を算出することで、前記磁場発生装置の位置及び角度を推定することを特徴とする。
なお、他の解決手段については、実施形態中において記載する。
本発明によれば、磁場発生装置の位置推定精度を向上させることができる。
本実施形態に係る位置推定用の磁場発生装置の一例を示す図である。 本実施形態で用いる心磁計測システムの全体構成例を示す概略図である。 クライオスタットの構成例を示す図である。 心磁計測システムで用いられる計測用磁気センサの配列及び被検者に対する配置の一例を説明するための図である。 本実施形態に係る演算装置の構成例を示す図である。 本実施形態に係る磁場発生装置を用いた位置推定処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態に係る磁場発生装置の配置例を示す図である。 胸骨上に磁場発生装置を配置したときにおける、磁場発生装置の位置を推定する処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態に係る磁場発生装置による位置推定結果を表示する画面の一例を示す図である。 シミュレーションに用いた計測用磁気センサと、磁場発生装置との関係を示す図である。 シミュレーション条件を示す表である。 磁場発生装置のz座標が−30mmのときの位置推定誤差の分布を示す図である。 磁場発生装置のz座標が−40mmのときの位置推定誤差の分布を示す図である。 磁場発生装置のz座標が−50mmのときの位置推定誤差の分布を示す図である。 磁場発生装置のz座標が−30mmのときの位置推定結果の斜視図である。 磁場発生装置のz座標が−30mmのときの位置推定結果のxy平面図である。 磁場発生装置のz座標が−40mmのときの位置推定結果の斜視図である。 磁場発生装置のz座標が−40mmのときの位置推定結果のxy平面図である。 磁場発生装置のz座標が−50mmのときの位置推定結果の斜視図である。 磁場発生装置のz座標が−50mmのときの位置推定結果のxy平面図である。 本実施形態に係る磁場発生装置の変形例を示す図(その1)である。 本実施形態に係る磁場発生装置の変形例を示す図(その2)である。 本実施形態に係る磁場発生装置の変形例を示す図(その3)である。 本実施形態に係る磁場発生装置の変形例を示す図(その4)である。
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(磁場発生装置の構成)
図1は、本実施形態に係る位置推定用の磁場発生装置の一例を示す図である。
第1実施形態では、計測対象と計測用磁気センサ31(図4)との位置関係を取得するための位置推定用の磁場発生装置(以下、磁場発生装置1と称する)として、正方形の平面基板12上に4個の1軸の円形コイル(磁場発生部)11(11a〜11d)が、xy方向に対して、等間隔に配置されている。また、各円形コイル11間のxy方向(計測用磁気センサ31の配置方向に平行な方向)の間隔A1,A2は、計測用磁気センサ31の間隔以上であることが望ましい。なお、計測用磁気センサ31の間隔とは、図4におけるxy方向に対する間隔である。
なお、間隔A1,A2の長さは、計測用磁気センサ31の間隔以上であれば、互いに異なっていてもよい。
そして、平面基板12には基準点13が設定されている。この基準点13の座標(x,y,z)から各円形コイル11の中心14の座標(x,y,z)(i=1,2,3,4)までの距離(Δx,Δy,Δz)は予め計測され、既知となっている。ここで、「i」は、4つの円形コイル11にふられる番号である。
磁場発生装置1の外部から各円形コイル11に接続されるケーブル15は、平面基板12上に配線される。なお、ケーブル15が、平面基板12内に配線されるようにしてもよい。
なお、本実施形態の磁場発生装置1において、複数の円形コイル11が、平面を形成するよう、かつ、計測用磁気センサ31の間隔以上離して配列されることに特徴を有している。そのため、磁場発生装置1として、円形コイル11の個数が3つ以上であり、その配置として、すべての円形コイル11が直線状に配置されていなければ(平面を形成するよう配置されていれば)、適宜適用することができる。
そして、本実施形態の磁場発生装置1における円形コイル11は、1軸以上であればよい。
また、各円形コイル11における巻き線の向きは、紙面から見て右巻きでも左巻きでもよい。そして、各円形コイル11において、巻き線の向きを揃えてもよいし、揃えなくてもよい。
また、基準点13は、特別な構成を有する必要はない。そして、図1では、基準点13は円形コイル11cの紙面真下に設定されているが、各円形コイル11の中心14からの距離が既知であれば、平面基板12のどこに設定されてもよい。例えば、平面基板12の中心でもよいし、平面基板12の紙面右上の角でもよい。
(心磁計測システム)
図2は、本実施形態で用いる心磁計測システムの全体構成例を示す概略図である。
図2に示すように、心磁計測システム20の構成要素は、磁気シールドルーム21の内部と外部とに分かれて配置される。
磁気シールドルーム21の内部には、複数のSQUID磁束計(以降、計測用磁気センサ31(図3)と称する)を内部に配置して極低温に維持するクライオスタット22と、クライオスタット22を保持するガントリ23と、被検者(図示せず)が横になるベッド24が配置されている。
ベッド24は、ベッド24の短軸方向(y方向)の移動と、ベッド24の長軸方向(x方向)の移動と、ベッド24の上下方向(z方向)の移動が可能であり、被検者と計測領域との位置合わせを容易に行うことができる。
磁気シールドルーム21の外部には、クライオスタット22内に配置される複数の計測用磁気センサ31を駆動させる駆動回路25が設置されている。また、駆動回路25からの出力を増幅してフィルタをかけるアンプフィルタユニット26が設置されている。さらに、アンプフィルタユニット26からの出力信号をデータ収集し、収集されたデータを解析処理するとともに心磁計測システム20の各部の制御を行う演算装置27が設置されている。そして、演算装置27により解析処理された解析結果を表示する表示装置28が設置されている。
なお、クライオスタット22、ガントリ23及びベッド24を合わせて磁場計測装置29と称することがある。
(クライオスタットの構成)
図3は、クライオスタットの構成例を示す図である。
クライオスタット22の底部には、図3の上段に示すように、複数の計測用磁気センサ31(SQUID磁束計)が並んで配置されている。個々の計測用磁気センサ31は、ボビンに超伝導線材を巻きつけたコイルと、コイル上部において、コイルと接続されているSQUIDセンサとを有している。
個々の計測用磁気センサ31は、その底部がクライオスタット22の底部と平行になるように設置されている。そして、個々の計測用磁気センサ31は、z方向の磁場成分Bを経時的に計測する。なお、磁気の距離変化量を的確に捉えられるように、クライオスタット22内には複数の計測用磁気センサ31がx方向及びy方向に等間隔に配列されている。本実施形態では、個々の計測用磁気センサ31間のxy方向の距離が0.025mであって、その計測面32が0.175m×0.175m、計測用磁気センサ31の数が8×8のアレー状に配置した64チャンネルとなっているものとするがこのような配置に限定されるものではない。
また、本実施形態では、図示が煩雑になるのを避けるため、図3下段のように、計測用磁気センサ31を7×7のマス目(計測面32)で表現することとする。計測面32において、格子の交わる箇所(8×8)が、計測用磁気センサ31の配置場所に対応する。
(計測用磁気センサ)
図4は、心磁計測システムで用いられる計測用磁気センサの配列及び被検者に対する配置の一例を説明するための図である。
複数の計測用磁気センサ31は、クライオスタット22(図1)の底部の内壁にz方向に沿って垂設される。そして、複数の計測用磁気センサ31は、胸壁41に対して垂直なz方向の磁場成分Bを経時的に計測している。また、複数の計測用磁気センサ31は、磁場の距離変化量を的確に捉えられるように、x方向及びy方向には等間隔に配列されている。すなわち、複数の計測用磁気センサ31による計測領域は、図4に示すように、正方格子状に区画され、被検者の胸壁41に対して平行に配置された計測面32として表現することができる。前記したように、計測面32の格子の交わる箇所に計測用磁気センサ31が存在している。
なお、本実施形態で用いる心磁計測システム20(図1)には、胸壁41に対して平行なx方向の磁場成分B及びy方向の磁場成分Bを経時的に計測する複数の計測用磁気センサ31が用いられてもよい。
図4に示す計測面32の座標系においては、例えば、符号33で示す計測用磁気センサ31が胸部の剣状突起42の真上に位置するように、ユーザが計測面32の位置合わせを行う。
(演算装置)
図5は、本実施形態に係る演算装置の構成例を示す図である。
演算装置27は、メモリ101、CPU(Central Processing Unit)102、HD(Hard Disk)等の記憶装置103、キーボードや、マウス等の入力装置104及びNIC(Network Interface Card)等の送受信装置105を有している。
そして、記憶装置103に格納されているプログラムがメモリ101に展開され、CPU102によって実行されることにより、処理部111、処理部111を構成する取得部112、磁場算出部113、二乗誤差算出部114、判定部115、更新部116、決定部117及び表示処理部118が具現化している。
取得部112は、送受信装置105を介して、計測用磁気センサ31(図3)が計測した心磁信号(磁場の信号)を取得する。
磁場算出部113は、設定されている位置に磁場発生装置1があると仮定したときに、磁場発生装置1から生じる磁場を計測用磁気センサ31で計測した場合の理論的な計測値を算出する。
二乗誤差算出部114は、計測用磁気センサ31が実際に計測した計測値と、磁場算出部113が算出した理論的な計測値との二乗誤差を算出する。
判定部115は、二乗誤差算出部114が算出した二乗誤差の値が、予め設定してある閾値以下であるか否かを判定する。
更新部116は、判定部115によって、二乗誤差の値が、予め設定してある閾値より大きいと判定された場合、使用している最適化法に従って、仮定されている磁場発生装置1の位置及び角度を更新する。
決定部117は、判定部115によって、二乗誤差の値が、予め設定してある閾値以下であると判定された場合、現在設定されている磁場発生装置1の位置及び角度を最適位置及び最適角度として決定する。
表示処理部118は、決定された最適位置及び最適角度に関する情報を表示装置28(図2)に表示する。表示装置28に表示される最適位置及び最適角度に関する情報については後記する。
(フローチャート)
図6は、本実施形態に係る磁場発生装置を用いた位置推定処理の手順を示すフローチャートである。適宜、図1、図3及び図5を参照する。
まず、磁場発生装置1における各円形コイル11からの磁場を各計測用磁気センサ31が計測し(S101)、取得部112が計測結果を取得する。このとき、各円形コイル11からの磁場を区別可能なように円形コイル11から磁場を発生させることが必要である。具体的には、まず、円形コイル11aが通電される。その結果、円形コイル11aから発生する磁場を各計測用磁気センサ31が測定する。次に、円形コイル11aに流していた電流を停止し、円形コイル11bが通電される。そして、各計測用磁気センサ31が、円形コイル11bから発生する磁場を計測する。同様にして、各計測用磁気センサ31は、円形コイル11c及び円形コイル11dから発生する磁場を計測する。
ここでは、円形コイル11a〜11dが、順番に通電されることで、各円形コイル11からの磁場を計測しているが、各円形コイル11からの磁場を区別できれば、これに限らない。例えば、円形コイル11a〜11dのそれぞれに対して、異なる周波数の電流を同時に流すことで、各円形コイル11からの磁場を区別できるようにしてもよい。
ステップS101において、i番目の円形コイル11から発生する磁場を、m番目の計測用磁気センサ31が計測した結果をBm,i(m=1,2,・・・,64,i=1,2,3,4)とする。
次に、入力装置104を介して、又は、所定の初期値設定演算結果に従って、基準点13の位置(x,y、z)の初期値と、平面基板12の角度(θ:平面基板12の方位角,Φ:平面基板12の仰俯角)の初期値とが設定される(S102)。初期値設定演算としては、例えば、64個の計測用磁気センサ31で計測した磁場分布における最大値に対応する座標を、基準点の位置の初期値として設定すること等が考えられる。
ステップS102で設定される値は、正確な値でなくてもよい。
次に、磁場算出部113は、現在設定されている基準点13の位置と、平面基板12の角度とが現在設定されている状態であるときに、各円形コイル11から発生する磁場を各計測用磁気センサ31で計測した理論的な計測値を算出する(S103)。つまり、磁場算出部113は、基準点13が現在設定されている位置及び平面基板12が現在設定されている角度である場合において、各円形コイル11から発生する磁場を各計測用磁気センサ31で計測したときの理論的な計測値を算出する。
具体的には、磁場算出部113は、以下のようにして、ステップS103における理論的な計測値を算出する。
現在設定されている基準点13の位置が(x,y、z)であり、平面基板12の角度が(θ,Φ)であるとする。そして、i番目の円形コイル11の中心14の位置が(x,y,z)であるとする。また、基準点13と、i番目の円形コイル11の中心14までの距離が(Δx,Δy,Δz)であるとする。前記したように、(Δx,Δy,Δz)は既知の値である。
これらの値を用いて、磁場算出部113は、i番目の円形コイル11から生じる磁場が、m番目の計測用磁気センサ3で計測されたときの計測値の理論値B m,i(x,y,z,θ,Φ)を算出する。B m,iの算出は、例えば、詳解電磁気学演習(後藤憲一、山崎修一郎共編、共立出版、p273)に記載されている手法を用いて行われる。
ここで、i番目の円形コイル11の中心14の位置は、基準点13の位置(x,y、z)と、距離(Δx,Δy,Δz)を用いて、式(1)〜(3)とすることができる。
=x +Δx ・・・ (1)
=y +Δy ・・・ (2)
=z +Δz ・・・ (3)
式(1)に基づいて、磁場B m,iは、以下のように、式(4)へ変形することができる。
m,i(x,y,z,θ,Φ)
=B m,i(x +Δx,y +Δy,z+Δz,θ,Φ) ・・・ (4)
式(4)から、磁場B m,iは、現在設定されている基準点13の位置(x,y、z)と、距離(Δx,Δy,Δz)と、平面基板12の角度(θ,Φ)から計算できることが分かる。
これより、二乗誤差算出部114は、ステップS101で計測された磁場Bm,i(実測値)と、ステップS103で算出された磁場B m,i(理論値)との二乗誤差Fを、以下の式(5)を用いて算出する(S104)。
Figure 0006393173

なお、式(5)において、分母が省略されてもよい。
次に、判定部115は、式(5)から算出される二乗誤差Fが、予め設定されている所定の閾値A以下であるか否かを判定する(S105)。閾値Aは、およそ10−3等のオーダとなる。
ステップS105の結果、二乗誤差Fが、閾値Aより大きい場合(S105→No)、更新部116は、式(5)を最小化する最適化アルゴリズムに基づいて,基準点13の位置(x,y,z)及び平面基板12の角度(θ,Φ)を更新し(S106)、処理部111はステップS103へ処理を戻す。その後、磁場算出部113が、ステップS106で更新した基準点13の位置と、平面基板12の角度を、現在設定されている値としてステップS103の処理を行う。なお、θは平面基板12の方位角であり、Φは平面基板12の仰俯角である。
なお、ここで用いられる最適化アルゴリズムは、任意のアルゴリズムが用いられてもよい。
ステップS105の結果、二乗誤差Fが、閾値A以下である場合(S105→Yes)、決定部117が、現在の基準点13の位置(x,y、z)と平面基板12の角度(θ,Φ)とを、基準点13の最適位置(x opt,y opt、z opt)及び平面基板12の最適角度(θopt,Φopt)とし(S107)、処理を終了する。
ここで、算出された基準点13の最適位置及び平面基板12の最適角度が、位置推定の結果として用いられる。
(適用例)
次に、図7及び図8を参照して、本実施形態に係る磁場発生装置1の適用例を説明する。
本実施形態では、被検者の胸部に磁場発生装置1を載置した状態で、磁場発生装置1から生じる磁場を計測する。そのため、被検者の胸筋部や乳房部の上に磁場発生装置1を載置すると、胸筋部や乳房部が平坦でないため、被検者の体動により、磁場発生装置1がずれてしまうおそれがある。磁場発生装置1がずれると、磁場発生装置1の位置を正確に推定することができなくなってしまうおそれがある。従って、被検者の体動によって、磁場発生装置1がずれることを防ぐことが必要である。
本実施形態では、磁場発生装置1を被検者の胸壁41上に配置する際、被検者の胸骨43上に配置する。
(磁場発生装置の配置例)
図7は、本実施形態に係る磁場発生装置の配置例を示す図である。
前記したように、被検者の胸筋部や乳房部の上に磁場発生装置1を載置すると,載置場所が平坦ではないため、被検者の体動により、磁場発生装置1がずれ易くなってしまう。そこで、磁場発生装置1を、胸壁41上において平坦な領域である胸骨43(幅:約50〜70mm、長さ:鎖骨の付け根からみぞおちまで)上に固定する。このように磁場発生装置1を載置することで、磁場発生装置1をずれにくくすることができる。従って、計測用磁気センサ31が、磁場発生装置1からの磁場を安定的に計測することができる。
なお、図7に示すように、磁場発生装置1は計測用磁気センサ31が形成する計測面32(図3、図4)の内側に配置される。
(フローチャート)
図8は、図7に示す手法に従って磁場発生装置を配置したときにおける,磁場発生装置の位置を推定する処理の手順を示すフローチャートである。適宜、図2、図4、図7を参照する。
まず、被検者がベッド24に仰向けに寝る(S201)。
次に、被検者の胸骨43の上に磁場発生装置1が載置される(S202)。
次に、ベッド24が左右(図2のx方向)、前後方向(図2のy方向)に移動し、被検者の胸骨43の上に配置されている磁場発生装置1が計測用磁気センサ31の計測面32(図4)に含まれるように被検者の位置合わせが行われる(S203)。具体的には、被検者の所定の位置(例えば、剣状突起42)が、計測用磁気センサ31の所定の位置(例えば、図4の符号33)の直下となるよう、被検者の位置が合わされる。
続けて、ベッド24が上下方向(図2のz方向)に移動され、被検者の胸壁41がクライオスタット22の底部に近接させられる(S204)。これで、被検者の位置合わせが完了する。
続いて、磁場発生装置1が通電され、計測用磁気センサ31が、磁場発生装置1から発生する磁場を計測する(S205)。
そして、演算装置27が、磁場発生装置1の基準点13の位置を推定し(S206)、処理を終了する。ステップS205及びステップS206の処理は、図6で示されている処理である。
このように,磁場発生装置1を胸骨43上に配置することで、被検者に対して、磁場発生装置1がずれにくくなる。これにより、磁場発生装置1の位置推定の際に、計測用磁気センサ31と磁場発生装置1との位置関係の影響を受けにくくなり、位置推定精度を向上させることができる。
(画面例)
図9は、本実施形態に係る磁場発生装置による位置推定結果を表示する画面の一例を示す図である。適宜、図1、図3を参照する。
なお、図9に示す画面は、表示処理部118(図5)が最適位置及び最適角度に関する情報を表示装置28(図2)に表示する画面である。
図9における位置推定結果画面200は、図6で示される位置推定処理の結果が表示される画面である。
ここでは、図1に示される磁場発生装置1が用いられて位置推定が行われた場合について説明する。
位置推定結果画面200は、位置関係表示エリア210と、位置表示・補正エリア230と、位置座標表示エリア250とを有している。
位置関係表示エリア210には、図6に示す位置推定処理の結果、推定された磁場発生装置1と、計測用磁気センサ31との位置関係が模式図として示されている。符号211は計測用磁気センサ31を示し、符号212は座標系を示し、符号213は磁場発生装置1における平面基板12を示し、符号214は円形コイル11を示し、符号215は基準点13を示している。なお、符号214にふられている数字は、円形コイル11の番号を示している。
位置関係表示エリア210により、ユーザは推定された磁場発生装置1と、計測用磁気センサ31との位置関係を確認することができる。
位置表示・補正エリア230には、図6に示す位置推定処理の結果、推定された基準点13の最適位置のx座標値x opt、y座標値y opt、z座標値z optが、表示窓231〜233に表示されている。また、図6に示す位置推定処理の結果、推定された平面基板12の最適角度(θopt,Φopt)が、表示窓234,235に表示されている。
そして、補正窓236〜240には、推定された基準点13の各座標値及び平面基板12の角度の補正値が入力される。補正窓236〜240に補正値が、入力装置104を介して入力されると、この補正値が位置関係表示エリア210の画像に直ちに反映される。
さらに、位置表示・補正エリア230は、適合度を表示する適合度表示窓241を有している。適合度は、補正窓236〜240に入力された補正値に基づいて補正された円形コイル11の推定座標及び推定角度から計算された計測用磁気センサ31で計測される磁場の理論的な計測値と、実際に計測用磁気センサ31で計測された磁場との一致率である。
位置座標表示エリア250には、推定された、あるいは補正窓236〜240に入力された補正値によって補正された磁場発生装置1の基準点13の座標と、平面基板12の角度とから算出された各円形コイル11の位置座標値が座標値表示窓251〜262に表示されている。すなわち、座標値表示窓251には1番目の円形コイル11(円形コイル11a)のx座標が表示されている。同様に、座標値表示窓252には、1番目の円形コイル11(円形コイル11a)のy座標が表示され、座標値表示窓253には、1番目の円形コイル11(円形コイル11a)のz座標が表示されている。
そして、座標値表示窓254には2番目の円形コイル11(円形コイル11b)のx座標が表示されている。同様に、座標値表示窓255には、2番目の円形コイル11(円形コイル11b)のy座標が表示され、座標値表示窓256には、2番目の円形コイル11(円形コイル11b)のz座標が表示されている。
さらに、座標値表示窓257には3番目の円形コイル11(円形コイル11c)のx座標が表示されている。同様に、座標値表示窓258には、3番目の円形コイル11(円形コイル11c)のy座標が表示され、座標値表示窓259には、3番目の円形コイル11(円形コイル11c)のz座標が表示されている。
また、座標値表示窓260には4番目の円形コイル11(円形コイル11d)のx座標が表示されている。同様に、座標値表示窓261には、4番目の円形コイル11(円形コイル11d)のy座標が表示され、座標値表示窓262には、4番目の円形コイル11(円形コイル11d)のz座標が表示されている。
なお、位置表示・補正エリア230及び位置座標表示エリア250における各座標値は、位置関係表示エリア210における座標系212に基づく。
(比較例)
次に、図10〜図14を参照して、一般的な磁場発生装置による位置推定誤差を磁場発生シミュレーションによって示す。
図10は、本シミュレーションに用いた計測用磁気センサと、磁場発生装置との関係を示す図である。
1軸の磁場発生装置51で生じ、計測用磁気センサ31で計測される磁場を、図10のモデルを用いて磁場シミュレーションを行った結果を図12〜図14に示す。
ここで、磁場シミュレーションにおける各構成の計算条件を図11に示す。
すなわち、計測用磁気センサ31の半径rは9.0mmであり、図10に示す座標系のz方向の磁気成分を計測するように、8×8の格子状に計測用磁気センサ31が配置される。そして、計測面33の大きさは、175×175mmである。
計測用磁気センサ31の間隔は25mmである。また、磁場発生装置51のコイル半径rpは3.0mmである。磁場発生装置51を配置した位置は、計測用磁気センサ31の直下のz座標向きに−30mm、−40mm及び−50mmとする。磁場発生装置51が、計測用磁気センサ31に対して−30mmに位置しているときの磁場シミュレーション結果が図12に示される。同様に、磁場発生装置51が、計測用磁気センサ31に対して−40mmに位置しているときの磁場シミュレーション結果が図13に示される。また、磁場発生装置51が、計測用磁気センサ31に対して−50mmに位置しているときの磁場シミュレーション結果が図14に示される。
さらに、磁場発生装置51は、計測面33のxy方向において、x座標が0〜175mmの間の6.25mm間隔、及び、y座標が0〜175mmの間の6.25mm間隔毎に配置される。
これらの各位置に配置された磁場発生装置51と、計測用磁気センサ31とを用いて、本実施形態の図6に示す処理と同様の処理を行うことにより、磁場発生装置51の位置推定が行われる。
最適化については、NelderとMeadによる滑降シンプレックス法を用いた。
図12〜図14は、磁場発生装置のz座標が−30mm、−40mm及び−50mmのときの位置推定誤差の分布を示す図である。適宜、図1を参照する。
図12〜図14は、計測面33を上方向からみた図である。図12〜図14における格子は磁場発生装置51が配置される位置を示している。また、白丸301は計測用磁気センサ31(8×8)を示している。
図12〜図14における格子において、白の領域302は、推定された磁場発生装置51の位置誤差が1.66mm以下である箇所を示している。また、ドットの領域303は、推定された磁場発生装置51の位置誤差が1.67mm以上、3.33mm以下である箇所を示している。さらに、斜線の領域304は推定された磁場発生装置51の位置誤差が3.34mm以上、4.99mm以下である箇所を示している。そして、黒の領域305は推定された磁場発生装置51の位置誤差が5.00mm以上である箇所を示している。
図12〜図14によると、計測面33(図10)の紙面左右端付近の領域に、位置推定誤差が5mm以上となる箇所の多くが存在していることが分かる。一方、計測面33の紙面左右端以外の領域では、位置推定誤差が5mm以上となる領域はないことが分かる。これらの結果から、計測用磁気センサ31と磁場発生装置51との位置関係によって、磁場発生装置51の位置推定精誤差が5mm以上となる場合があることが分かる。すなわち、磁場発生装置51の設置場所によって、位置推定に誤差が生じることがわかる。
(対比)
次に、図15〜図20を参照して、本実施形態に係る位置推定処理と、比較例に係る位置推定方法の対比を行う。
つまり、本実施形態に係る位置推定処理及び比較例に係る位置推定方法のそれぞれを磁場シミュレーションの結果から算出し、対比を行う。
本実施形態に係るシミュレーションは、図10の磁場発生装置51と同様の位置に、磁場発生装置1を仮定する。そして、磁場発生装置1における4つの円形コイル11から生じる磁場を計測用磁気センサ31で計測した場合の計測値をシミュレーションした。
図15〜図20は、比較例及び本実施形態に基づく4つのコイルの位置推定結果の斜視図及びxy平面図を、それぞれ示す。
図15〜図20において、黒丸401は計測用磁気センサ31の位置を示している。白丸は、設定した磁場発生装置1,51の位置(真の位置:真値)を示している。そして、三角は、本実施形態の磁場発生装置1における4つの円形コイル11の位置推定結果を示している。また、十字は、比較例の磁場発生装置51の位置推定結果を示している。比較例の手法において、磁場発生装置51の設定位置は、本実施形態に係る磁場発生装置1における円形コイル11の位置としている。つまり、本実施形態の手法では、位置推定処理を1回しか行っていないが、比較例の手法では、本実施形態に係る磁場発生装置1における円形コイル11の各位置に磁場発生装置51を配し、計4回の位置推定を行っている。
図15は、磁場発生装置の設定深さをz=−30mmとしたときにおける位置推定結果の斜視図であり、図16は、磁場発生装置の設定深さをz=−30mmとしたときにおける位置推定結果の上面図である。
図15及び図16に示される位置推定結果から、十字411,412が真値から大きくずれていることがわかる。十字411,412のズレ値は10mm以上である。
これに対して、図15及び図16において、三角で示される、本実施形態に基づく磁場発生装置1の円形コイル11の位置は、すべて、概ね真値に一致している。ちなみに、三角で示される円形コイル11のズレ値は1mm以下である。
図17は、磁場発生装置の設定深さをz=−40mmとしたときにおける位置推定結果の斜視図であり、図18は、磁場発生装置の設定深さをz=−40mmとしたときにおける位置推定結果の上面図である。
図17及び図18に示される位置推定結果から、十字421が真値からずれていることがわかる。十字421のズレ値は5mm以上である。
これに対して、図17及び図18において、三角で示される、本実施形態に基づく磁場発生装置1の円形コイル11の位置は、概ね真値に一致している。三角で示される円形コイル11のズレ値は1mm以下である。
図19は、磁場発生装置の設定深さをz=−50mmとしたときにおける位置推定結果の斜視図であり、図20は、磁場発生装置の設定深さをz=−50mmとしたときにおける位置推定結果の上面図である。
図19及び図20に示される位置推定結果から、十字431,432が真値からずれていることがわかる。特に、十字431のズレが大きい。十字432のズレ値は1mm以上であり、十字431のズレ値は10mm以上である。
これに対して、三角で示される、本実施形態に基づく磁場発生装置1の円形コイル11の位置は、概ね真値に一致している。三角で示される円形コイル11のズレ値は1mm以下である。
(効果)
図12〜図14で示したように、磁場発生装置51を使用した位置推定では、計測面32の紙面左右端付近において誤差が生じる。しかしながら、図15〜図20に示すように、本実施形態に係る磁場発生装置1を用いると、計測面32の紙面左右端付近でも精度の高い位置推定が可能となる。
図15〜図20の結果から、図1で示す磁場発生装置1の位置を、図6で示す位置推定処理に従って推定することで、計測用磁気センサ31と磁場発生装置1との位置関係の影響を受けにくく、安定的に、高い位置精度で磁場発生装置1の位置を推定できることがわかる。すなわち、本実施形態では、円形コイル11から生じる磁場の実際の計測値と、設定された位置に基準点13があると仮定したときの、円形コイル11から生じる磁場の理論的な計測値との差(本実施形態では二乗誤差)が所定の値以下となったときの基準点13の位置を推定された基準点13の位置とする。このようにすることで、計測用磁気センサ31と磁場発生装置1との位置関係の影響を受けにくく、安定的に、高い位置精度で磁場発生装置1の位置を推定できる。
図1のように、平面基板12上に、3つ以上(図1では、4つ)の円形コイル11を、計測用磁気センサ31のxy方向(図3、図4参照)の間隔以上離して配列することで、仮に、ある1つの円形コイル11が計測用磁気センサ31の端の領域(位置誤差が5mm以上となる位置)に配置されたとしても、他の円形コイル11は位置誤差が5mm以下となる位置に配置できる可能性を高めることができる。また、円形コイル11を、計測用磁気センサ31の間隔以上離して配列することで、それぞれの円形コイル11が発生する、ある計測用磁気センサ31における磁場分布を大きく変えることができる。そのため、ある円形コイル11が発生する磁場分布によって位置推定した結果、ズレが生じても、他の円形コイル11が発生する磁場分布によって、ズレの補正が行われる。
従って、ある円形コイル11の推定位置が真の位置からずれていても、他の円形コイル11でズレが解消される。その結果、図1に示す磁場発生装置1を用いると、位置推定の精度を向上させることができる。
さらに、図1に示すように、基準点13から各円形コイル11の中心14までの距離が既知であるため、磁場発生装置1における各円形コイル11の中心14の位置を一つ一つ推定しなくても、基準点13の位置を推定することで、すべての円形コイル11の中心14の位置を得ることができる。このようにすることで、推定する未知数を減少でき、各円形コイル11の中心14の位置を推定したときと比べて、位置誤差を低減できる。
また、3つ以上の円形コイル11が平面を形成するように配置されることにより、平面基板12の方位角及び仰俯角の位置推定が可能となる。
(変形例)
図21〜図24は、本実施形態に係る磁場発生装置の変形例を示す図である。
図21に示される磁場発生装置1aでは、T字型の平面基板12a上に3つの1軸の円形コイル11が、x方向又はy方向に、計測用磁気センサ31(図3)の間隔以上離されて配列されている。すなわち、図21における間隔A3,A4のそれぞれが、計測用磁気センサ31のxy方向(図3、図4参照)の間隔以上となっている。なお、間隔A3,A4の長さは、計測用磁気センサ31の間隔以上であれば、互いに異なっていてもよい。
ケーブル15は、平面基板12aの上、あるいは、平面基板12a内に配線されている。また、平面基板12aには基準点13を設定し、この基準点13の座標(x,y,z)から各円形コイル11の中心14の座標(x,y,z)(i=1,2,3)までの距離(Δx,Δy,Δz)は予め計測されており、既知となっている。
また、図22に示すように、磁場発生装置1bが、L字型の平面基板12bに3つの1軸の円形コイル11が配置されたものであってもよい。
磁場発生装置1bでは、平面基板12b上に3個の1軸の円形コイル11が、x方向又はy方向に、計測用磁気センサ31のxy方向(図3、図4参照)の間隔以上離して配列されている。すなわち、図22における間隔A5,A6のそれぞれが、計測用磁気センサ31のxy方向(図3、図4参照)の間隔以上となっている。なお、間隔A5,A6の長さは、計測用磁気センサ31(図3)の間隔以上であれば、互いに異なっていてもよい。
ケーブル15は、平面基板12b上、あるいは、平面基板12b内に配線されている。また、平面基板12bには基準点13を設定し、この基準点13の座標(x,y,z)から3個の1軸の円形コイル11の中心14の座標(x,y,z)(i=1,2,3)までの距離(Δx,Δy,Δz)は予め計測されており、既知となっている。
図21や、図22に示す磁場発生装置1a,1bが用いられた場合でも、図1に示される磁場発生装置1が用いられた場合と同様の効果を得ることができ、磁場発生装置1a,1bの位置推定の精度を向上させることができる。
なお、図21や、図22のように、円形コイル11の数を3つとすることで、4つ以上の円形コイル11としたときよりも、コストを低減することができる。
図21や、図22では、それぞれ円形コイル11がT字型や、L字型に配置されているが、円形コイル11間におけるxy方向の間隔が計測用磁気センサ31のxy方向(図3、図4参照)の間隔以上であれば、これに限らない。
例えば、図23に示すように円形コイル11がひし形に配置された磁場発生装置1cとしてもよいし、図24に示すように円形コイル11が台形に配置された磁場発生装置1dとしてもよい。
図23に示すように、平面基板12cの上に円形コイル11の中心14がひし形に配置されている磁場発生装置1cの場合、対向した中心14を結ぶ対角線の半分の長さA7,A8がともに、計測用磁気センサ31のxy方向(図3、図4参照)の間隔よりも長い。なお、長さA7,A8は、計測用磁気センサ31のxy方向(図3、図4参照)の間隔以上であれば、互いに異なっていてもよい。
また、図24に示すように、平面基板12dの上に円形コイル11の中心14が台形に配置されている磁場発生装置1dの場合、長さA9〜A12がいずれも計測用磁気センサ31のxy方向(図3、図4参照)間隔よりも長い。なお、長さA9〜A12は、計測用磁気センサ31のxy方向(図3、図4参照)間隔以上であれば、互いに異なっていてもよい。
なお、図23及び図24において、基準点13は、図1、図21及び図22と同様であるので説明を省略する。
本発明は前記した実施形態又は変形例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態又は変形例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。
また、前記した各構成、機能、各部111〜118、記憶装置103等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図5に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
1,1a〜1d 磁場発生装置
11,11a〜11d 円形コイル(磁場発生部)
12 平面基板
13 基準点
14 中心
20 心磁計測システム(位置推定システム)
27 演算装置
31 計測用磁気センサ
32 計測面
43 胸骨
111 処理部
112 取得部
113 磁場算出部
114 二乗誤差算出部
115 判定部
116 更新部
117 決定部
118 表示処理部

Claims (7)

  1. 磁場を発生する磁場発生部を平面上に3つ以上有する磁場発生装置において、
    それぞれの前記磁場発生部からの距離が既知である基準点が設定されており、
    前記磁場発生装置の位置及び角度を推定する演算装置が、
    前記基準点の位置及び前記平面の角度を設定し、
    計測用磁気センサによって実際に計測された前記それぞれの磁場発生部からの磁場と、設定された前記基準点の位置及び前記平面の角度を基に、前記それぞれの磁場発生部の位置及び角度から推定される磁場と、の差を算出し、それぞれの前記差の和が所定の値以下となる前記基準点の位置及び前記平面の角度を算出することで、前記基準点の位置及び前記平面の角度を推定し、
    推定された前記基準点の位置及び前記平面の角度を基に、前記それぞれの磁場発生部の位置及び角度を算出することで、前記磁場発生装置の位置及び角度を推定する
    ことを特徴とする位置推定方法。
  2. 記計測用磁気センサの配置方向に平行な方向における前記磁場発生部の間隔は、前記計測用磁気センサの間隔以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の位置推定方法。
  3. 前記磁場発生部は、被検者の胸骨上に載置される
    ことを特徴とする請求項1に記載の位置推定方法。
  4. 前記演算装置は、
    前記推定された磁場発生装置の位置及び角度に関する情報を表示部に表示させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の位置推定方法。
  5. 磁場を発生する磁場発生部が、平面上に3つ以上設けられている磁場発生装置と、
    計測用磁気センサによって、前記それぞれの磁場発生部から生じた磁場を計測した結果を基に、前記磁場発生装置の位置及び角度を推する演算装置と、
    を有し、
    前記磁場発生装置において、前記それぞれの磁場発生部からの距離が既知である基準点が設定されており、
    前記演算装置が、
    前記基準点の位置及び前記平面の角度を設定し、
    前記計測用磁気センサによって実際に計測された前記それぞれの磁場発生部からの磁場と、設定された前記基準点の位置及び前記平面の角度を基に、前記それぞれの磁場発生部の位置及び角度から推定される磁場と、の差を算出し、それぞれの前記差の和が所定の値以下となる前記基準点の位置及び前記平面の角度を算出することで、前記基準点の位置及び前記平面の角度を推定し、
    推定された前記基準点の位置及び前記平面の角度を基に、前記それぞれの磁場発生部の位置及び角度を算出することで、前記磁場発生装置の位置及び角度を推定する
    とを特徴とする位置推定システム。
  6. 記計測用磁気センサの配置方向に平行な方向における前記磁場発生部の間隔は、前記計測用磁気センサの間隔以上である
    ことを特徴とする請求項に記載の位置推定システム。
  7. 前記磁場発生部は、被検者の胸骨上に載置される
    ことを特徴とする請求項に記載の位置推定システム。
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