JP6392103B2 - 吸音装置、遠心圧縮機、および過給機 - Google Patents
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Description
特許文献1には、2枚の円板間に形成される吸入空気の流路を、両円板の円周方向に間隔を隔てて配置された複数の吸音スプリッタで細分化することにより、吸音量を増加するようにしたサイレンサが開示されている。また、特許文献1では、吸音スプリッタを2つの屈曲部を有するZ形とすることにより、基本周波数より高い周波数の音波の通り抜けを防止している。
また、基本周波数より高い周波数の音波の通り抜けを防止できるものの、多様な周波数の騒音を効果的に吸音することができなかった。
本発明の一態様に係る吸音装置は、圧縮機に吸入される吸入流体の吸入口に取り付けられる円筒状の吸音装置であって、前記圧縮機が配置される軸線と同軸に配置されるとともに前記吸入口に取り付けられる開口部が形成された第1円板部材と、前記軸線と同軸に配置されるとともに前記第1円板部材と平行に配置される第2円板部材と、前記第2円板部材に取り付けられるとともに前記第2円板部材から前記吸入口に向けて突出する錐台状の錘台部材と、前記第1円板部材および前記第2円板部材の互いに対向する一対の面と前記錘台部材の外周面とにより形成される前記吸入流体の流路に取り付けられる吸音部材とを備え、前記第2円板部材と前記錘台部材とで形成される閉空間が仕切部材によって複数の空間に分割されており、前記錘台部材には、前記複数の空間のそれぞれと前記流路とを連通させる複数の連通穴が形成されており、前記複数の空間と前記複数の連通穴とにより複数対の共鳴器が形成されるとともに、該複数対の共鳴器が2以上の異なる共鳴周波数を有する。
このようにすることで、多様な周波数の騒音を効果的に吸音しつつ製造コストを低減した遠心圧縮機を提供することができる。
本発明の一態様に係る過給機は、上記のいずれかに記載の吸音装置と、吸入流体の吸入口に前記吸音装置が取り付けられるとともに前記吸入流体を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機に連結されるタービンとを備える。
このようにすることで、多様な周波数の騒音を効果的に吸音しつつ製造コストを低減した過給機を提供することができる。
本構成によれば、内側スクロールケーシングと案内筒との間に円筒部材が配置され、この円筒部材によって閉空間が形成される。そのため、案内筒の外周面は、渦形室から連通穴を介して複数の空間に流入する比較的高温の圧縮流体と直接的に接触することがない。そのため、圧縮流体が案内筒の外周面に直接的に接触し、案内筒が熱膨張する不具合が抑制される。
このようにすることで、内側スクロールケーシングと案内筒との間に別途の円筒部材を配置することなく、内側スクロールケーシングと案内筒との間を閉空間として仕切部材を設けることにより、複数の空間を形成することができる。
このようにすることで、多様な周波数の騒音を効果的に吸音しつつ製造コストを低減した過給機を提供することができる。
第1実施形態の過給機100について、図面を参照して説明する。
本実施形態の過給機100は、吸入した気体を圧縮し、エンジンに送り込む装置である。気体は通常空気であるが、他の流体あるいは気体と混合されている場合もある。
図1に示すように、本実施形態の過給機100は、タービン(図示略)と、遠心圧縮機10と、サイレンサ15(吸音装置)とを備える。タービンと遠心圧縮機10とは、それぞれロータ軸30に連結されている。ロータ軸30は、軸受台20の軸受部20bによって軸線X回りに回転可能な状態で支持されている。
遠心圧縮機10は、羽根車11と、案内筒12と、スクロール部13とを備える。
ディフューザ13aは、羽根車11の吐出口11bの下流側に配置される翼形の部材であり、吐出口11bから渦形室13dに圧縮空気を導く流路を形成する。ディフューザ13aは、羽根車11の全周に設けられる圧縮空気の吐出口11bを囲むように設けられている。
図1に示すように、外側スクロールケーシング13bは、締結ボルト16によって軸受台20のフランジ部20aに締結されるとともに締結ボルト18によってサイレンサケーシング15aに締結されている。
また、図1に示すように、内側スクロールケーシング13cは、締結ボルト17によって案内筒12の吸入口12a側の端部に締結されるとともに締結ボルト18によってサイレンサケーシング15aに締結されている。
締結ボルト16,締結ボルト17,締結ボルト18と、それらに対応する締結穴は、軸線X回りの周方向の複数箇所に設けられている。
閉空間S2は、後述する複数対の共鳴器を形成するものである。共鳴器についての説明は後述する。
図1に示すように、サイレンサ15は、仕切板14(仕切部材)と、サイレンサケーシング15a(第1円板部材)と、サイレンサケーシング15b(第2円板部材)と、サイレンサコーン15cと、吸音部材15hとを備える。
仕切板14は、複数枚で構成されている。図2は4枚の例を示すもので、4枚の仕切板14a,14b,14c,14dにより構成されている。4枚の仕切板14a,14b,14c,14dは、軸線Xを中心として放射状に配置されている。仕切板14は、サイレンサケーシング15aとサイレンサケーシング15bとサイレンサコーン15cとを支持するとともに、サイレンサ15内を流通する空気を整流する整流板として機能する。
図1に示すように、サイレンサケーシング15aは、締結ボルト18によって内側スクロールケーシング13cに取り付けられている。また、内側スクロールケーシングは、締結ボルト17によって案内筒12の吸入口12a側の端部に取り付けられている。このようにして、サイレンサケーシング15aは、案内筒12の吸入口12aに取り付けられている。サイレンサケーシング15aの吸入口12aに対向する位置には、平面視が円形の開口部15fが形成されている。
サイレンサコーン15cは、サイレンサケーシング15bに取り付けられるとともにサイレンサケーシング15bから案内筒12の吸入口12aに向けて突出する円錐台状の部材である。ここでは、サイレンサコーン15cが円錐台状であるものとしたが、六角錘や八角錘などの角錘からできる角錘台状としてもよい。
図1に示すように、外部からサイレンサ15に流入する空気の流入方向は、軸線Xに直交する径方向の外側から内側に向かう方向となっている。一方、案内筒12の吸入口12aは、軸線Xに沿って空気を流入させるようになっている。そのため、サイレンサ15は、軸線Xに直交する径方向に流入する空気の流通方向を90度変更して軸線Xに沿った方向にする必要がある。
また、サイレンサコーン15cを設けることにより、過給機100の構造強度を高めるとともに、サイレンサケーシング15bから過給機100が備える他の部材に騒音が伝播することを抑制することができる。
図1に示すように、サイレンサコーン15cとサイレンサケーシング15bとで形成される閉空間S1は、円板状の仕切板15d(仕切部材)と、円板状の仕切板15e(仕切部材)により、軸線Xに沿って3分割されている。
以下、図3〜図5を用いて閉空間S1を4枚の仕切板14a,14b,14c,14dによって分割する構造について説明する。図3,図4,図5は、それぞれ図1のB−B矢視断面図,C−C矢視断面図,D−D矢視断面図である。なお、図3,図4,図5においては、吸音部材15hの図示を省略している。
仕切板14a,14b,14c,14dは、軸線X回りに90度ずつの等間隔で配置されているため、4つの共鳴空間S1a,S1b,S1c,S1dの容積は、同一のV1となっている。
仕切板14a,14b,14c,14dは、軸線X回りに90度ずつの等間隔で配置されているため、4つの共鳴空間S1e,S1f,S1g,S1hの容積は、同一のV2となっている。
仕切板14a,14b,14c,14dは、軸線X回りに90度ずつの等間隔で配置されているため、4つの共鳴空間S1i,S1j,S1k,S1lの容積は、同一のV3となっている。
図2(図1のA−A矢視断面図)に示すように、サイレンサコーン15cの外周面には、12個の共鳴空間S1a〜S1lのそれぞれと流路15gとを連通させる12個の連通穴15iが形成されている。連通穴15iの形状は同一であり、図6に示すようになっている。なお、図2においては、吸音部材15hの図示を省略している。
12個の共鳴空間S1a〜S1lのそれぞれは、各共鳴空間に形成される連通穴15iとともに12対のヘルムホルツ共鳴器を形成する。ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数fnは、以下の式(1)で表される。
ここで、Cは音速(m/s)であり、SAは連通穴15iの横断面積であり、Lは連通穴15iの長さであり、Vは共鳴空間の容積である。
V1<V2<V3 (2)
したがって、12個の共鳴空間S1a〜S1lと、各共鳴空間に形成される連通穴15iにより形成される12対のヘルムホルツ共鳴器は、3種類の異なる共鳴周波数を有するものとなる。
図7は、図1に示す縦断面で切断した内側スクロールケーシング13cの斜視図である。
内側スクロールケーシング13cには、6個の共鳴空間のそれぞれと渦形室13dとを連通させる6つの連通穴13eがそれぞれ形成されている。連通穴13eの形状は同一であり、図8に示すようになっている。
6個の共鳴空間のそれぞれは、各共鳴空間に形成される連通穴13eとともに6対のヘルムホルツ共鳴器を形成する。ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数fnは、前述した式(1)で表される。
なお、ここでは仕切板13gが60度の間隔で等間隔に配置されているものとしたが、他の任意の角度(例えば、30度,90度)で軸線X回りに等間隔に配置してもよい。また、例えば、仕切板13gの軸線X回りの配置間隔をそれぞれ異ならせるようにしてもよい。
したがって、式(1)から算出される6対のヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数fnは、6種類の異なる共鳴周波数を有するものとなる。
本実施形態のサイレンサ15は、サイレンサケーシング15aと平行に配置されるサイレンサケーシング15bに取り付けられるサイレンサコーン15cを有する。サイレンサコーン15cは、遠心圧縮機10の吸入口12aに向けて突出する円錐台状の部材である。そのため、サイレンサケーシング15aとサイレンサケーシング15bとで挟まれた円筒状の空間の外周側からサイレンサコーン15cへ向けて流入した空気は、サイレンサコーン15cの外周面に沿って吸入口12aに向けて導かれる。空気を吸入口12aに導く流路15gには、吸音部材15hが取り付けられているため、流路15gを流通する空気の騒音が吸音される。
次に、第2実施形態の過給機100’について、図9を参照して説明する。
第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
それに対して本実施形態の過給機100’は、遠心圧縮機10の内側スクロールケーシング13cと案内筒12との間に閉空間S3を形成するものである。
したがって、式(1)から算出される6対のヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数fnは、6種類の異なる共鳴周波数を有するものとなる。
以上の説明においては、閉空間S1を12個の共鳴空間に分割し、閉空間S2を6個の共鳴空間に分割するものとしたが、分割する個数は複数であればその他の任意の個数としてもよい。
例えば、90度以外の他の角度(例えば、30度,60度等)ずつの等間隔で複数枚の仕切板を配置するようにしてもよい。
この場合、複数枚の仕切板によって分割された空間の容積が、それぞれ異なったものとなる。このようにすることで、閉空間S1を複数枚の仕切板によって分割されるn個(nは2以上の任意の整数)の共鳴空間が、それぞれ異なった容積となる。そして、各共鳴空間を流路15gと連通させる連通穴15iの形状を同一にすることにより、n個の共鳴空間の共鳴周波数がそれぞれ異なったものとなる。そのため、多様な周波数の騒音を効果的に吸音することが可能なn対のヘルムホルツ共鳴器を形成することができる。
例えば、共鳴空間S1a,S1b,S1c,S1dに対応する4つの連通穴15iの形状をそれぞれ異なる形状としてもよい。このようにすることで、共鳴空間S1a,S1b,S1c,S1dの容積がV1で同一であっても、連通穴15iの横断面積SAおよび長さLが異なるため、各共鳴空間と連通穴15iを組み合わせて形成される4対のヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数がそれぞれ異なったものとなる。
このようにすることで、12個の共鳴空間の共鳴周波数がそれぞれ異なったものとなる。そのため、多様な周波数の騒音を効果的に吸音することが可能な12対のヘルムホルツ共鳴器を形成することができる。
11 羽根車
11a 取込口
11b 吐出口
11c ハブ
11d ブレード
11e 流路
12 案内筒
12a 吸入口
13 スクロール部
13a ディフューザ
13b 外側スクロールケーシング
13c 内側スクロールケーシング
13d 渦形室
13e 連通穴
13f 円筒部材
13g 仕切板(仕切部材)
13h 仕切板(仕切部材)
14 仕切板(仕切部材)
15 サイレンサ(吸音装置)
15a サイレンサケーシング(第1円板部材)
15b サイレンサケーシング(第2円板部材)
15c サイレンサコーン(錘台部材)
15d,15e 仕切板(仕切部材)
15f 開口部
15g 流路
15h 吸音部材
15i 連通穴
16,17,18 締結ボルト
20 軸受台
20a フランジ部
30 ロータ軸
100,100’ 過給機
S1,S2 閉空間
X 軸線
Claims (9)
- 圧縮機に吸入される吸入流体の吸入口に取り付けられる円筒状の吸音装置であって、
前記圧縮機が配置される軸線と同軸に配置されるとともに前記吸入口に取り付けられる開口部が形成された第1円板部材と、
前記軸線と同軸に配置されるとともに前記第1円板部材と平行に配置される第2円板部材と、
前記第2円板部材に取り付けられるとともに前記第2円板部材から前記吸入口に向けて突出する錐台状の錘台部材と、
前記第1円板部材および前記第2円板部材の互いに対向する一対の面と前記錘台部材の外周面とにより形成される前記吸入流体の流路に取り付けられる吸音部材とを備え、
前記第2円板部材と前記錘台部材とで形成される閉空間が仕切部材によって複数の空間に分割されており、
前記錘台部材には、前記複数の空間のそれぞれと前記流路とを連通させる複数の連通穴が形成されており、
前記複数の空間と前記複数の連通穴とにより複数対の共鳴器が形成されるとともに、該複数対の共鳴器が2以上の異なる共鳴周波数を有する吸音装置。 - 前記複数対の共鳴器は、第1共鳴器と第2共鳴器とを有し、
前記第1共鳴器を形成する第1の前記連通穴の横断面積と前記第2共鳴器を形成する第2の前記連通穴の横断面積とが同一であり、
前記第1共鳴器を形成する第1の前記連通穴の長さと前記第2共鳴器を形成する第2の前記連通穴の長さとが同一であり、
前記第1共鳴器を形成する第1の前記空間の容積と前記第2共鳴器を形成する第2の前記空間の容積とが異なる請求項1に記載の吸音装置。 - 請求項1または請求項2に記載の吸音装置が取り付けられた遠心圧縮機。
- 請求項1または請求項2に記載の吸音装置と、
吸入流体の吸入口に前記吸音装置が取り付けられるとともに前記吸入流体を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機に連結されるタービンとを備える過給機。 - ロータ軸に取り付けられるとともに取込口から流入する流体を圧縮して吐出口から吐出する羽根車と、
該羽根車を収容するとともに前記ロータ軸の軸線方向に延びる筒状の案内筒と、
該案内筒よりも前記軸線方向に直交する径方向の外周側に配置されるとともに前記吐出口から吐出された流体が流入する渦形室を形成するスクロール部と、を備え、
前記スクロール部は、前記径方向の内周側に配置される内側スクロールケーシングと、前記径方向の外周側に配置される外側スクロールケーシングとを有し、
前記内側スクロールケーシングと他の部材とで形成される閉空間が、前記軸線回りに等間隔に配置された仕切部材によって複数の空間に分割されており、
前記内側スクロールケーシングには、前記複数の空間のそれぞれと前記渦形室とを連通させる複数の連通穴が形成されており、
前記複数の空間と前記複数の連通穴とにより複数対の共鳴器が形成されるとともに、該複数対の共鳴器が2以上の異なる共鳴周波数を有する遠心圧縮機。 - 前記複数対の共鳴器は、第1共鳴器と第2共鳴器とを有し、
前記第1共鳴器を形成する第1の前記連通穴の横断面積と前記第2共鳴器を形成する第2の前記連通穴の横断面積とが同一であり、
前記第1共鳴器を形成する第1の前記連通穴の長さと前記第2共鳴器を形成する第2の前記連通穴の長さとが同一であり、
前記第1共鳴器を形成する第1の前記空間の容積と前記第2共鳴器を形成する第2の前記空間の容積とが異なる請求項5に記載の遠心圧縮機。 - 前記他の部材は、前記軸線に沿って延びるとともに前記内側スクロールケーシングより前記径方向の内周側かつ前記案内筒より前記径方向の外周側に配置される円筒部材である請求項5または6に記載の遠心圧縮機。
- 前記他の部材は、前記案内筒である請求項5または6に記載の遠心圧縮機。
- 請求項5から8のいずれか1項に記載の遠心圧縮機と、
前記遠心圧縮機に連結されるタービンとを備える過給機。
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