(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るロッカーシステム1の外観を模式的に示す説明図であり、図2は、本実施形態に係るロッカーシステム1の制御系を主体とした構成を示す説明図である。本実施形態に係るロッカーシステム1は、複合商業施設の化粧室に配置され、その従業員が使用するためのものである。このロッカーシステム1は、化粧室をなす壁面へ埋め込むように配置され、その前面(利用者の対面)に所要のシートを貼り付けることで、施設の内装との一体性を持たせたデザインを採用している。
ロッカーシステム1は、ロッカー装置10と、読取装置20と、記憶部30と、制御装置40とを備えている。
ロッカー装置10は、荷物の預け入れ及び取り出しを行うものであり、1つ以上のロッカーユニットで構成されている。本実施形態のロッカー装置10は、横方向に並べられた3つのロッカーユニット10A,10B,10Cから構成されている。このロッカー装置10は、ロッカーユニット単位で増設することが可能であり、利用者の数などに応じてロッカーユニットの数を設定することができる。
ロッカーユニット10Aは、複数のロッカーボックス11と、複数の電気錠12と、ロック制御部13とを主体に構成されている。
複数のロッカーボックス11は、ロッカーユニット10Aの本体筐体内の空間を小部屋状に区分けして形成されており、マトリクス状に配置されている。このマトリクス状の配置により、複数のロッカーボックス11は、縦方向に並ぶ複数のロッカーボックス11を同一の属性とする列と、横方向に並ぶロッカーボックス11を同一の属性とする段とで定義される。本実施形態において、ロッカーユニット10Aは、3列7段からなる21個のロッカーボックス11から構成されている。
ロッカーユニット10Aに属する各ロッカーボックス11には、制御装置40が個々のロッカーボックス11を識別するためのロッカー番号(ボックスNo)が付与されている。また、個々の列には、制御装置40が列を識別するための番号、例えば左から順番に「1,2,3」といった番号が付与されており、同様に、個々の段には、制御装置40が段を識別するための番号、例えば上から順番に「1,2,3・・・,7」といった番号が付与されている。
なお、ロッカーユニット10Aは、他のロッカーユニット10B,10Cとは異なり、ロッカーボックス11が配置される1つの位置(例えば3列3段目のロッカーボックスの位置)に、読取装置20が配置されている。そのため、ロッカーユニット10Aが備えるロッカーボックス11の数は、3列7段の21個よりも1つ少ない、20個となっている。
個々のロッカーボックス11の前面には、扉11aが開閉可能に配設されている。
複数の電気錠12は、ロッカーユニット10Aが備える複数のロッカーボックス11に対応して設けられている。個々の電気錠12は、ロッカーボックス11の扉11aの施解錠を行う。例えば、電気錠12は、扉11aが押し閉められると自動で扉11aの施錠を行い、荷物の取り出しの際には、扉11aを解錠して手前側に自動でポップアップして扉11aを開く構成となっている。個々の電気錠12は、ロック制御部13と電気的に接続されており、その動作状態はロック制御部13により制御される。
ロック制御部13は、制御装置40からの制御信号や扉11aの開閉状態に基づいて、ロッカーユニット10Aに属する全ての電気錠12の動作をそれぞれ制御する。このロック制御部13は、個々のロッカーボックス11について単独で扉11aの解錠を行うことができる。また、ロック制御部13は、特定の列に属する全てのロッカーボックス11、特定の段に属する全てのロッカーボックス11、ロッカーユニットに属する全てのロッカーボックス11といった纏まった単位のロッカーボックス11について、扉11aの解錠を一括で行うことができる。
ロッカーユニット10Aの本体筐体における最下段の領域は、ロック制御部13や、制御装置40を収納するための収納スペース14として利用されており、その前面はカバー14aにより閉塞されている。
また、この収納スペース14内には、ロッカーボックス11の扉11aを機械的に解錠するために電気錠12と接続する手動解錠機構が設けられており、この手動解錠機構はレバーなどにより手動操作が可能となっている。この手動解錠機構により、例えば停電時といったロッカーユニット10Aが正常に動作しないようなシーンにおいてロッカーボックス11の扉11aの解錠を行うことができる。手動解錠機構による扉11aの解錠は、特定の列に属する全てのロッカーボックス11といったように、纏まった単位で行うことができる。
ロッカーユニット10B,10Cは、複数のロッカーボックス11と、複数の電気錠12と、ロック制御部13とを主体に構成されており、これらの要素の詳細は、ロッカーユニット10Aのそれと同様である。なお、各ロッカーユニット10A,10B,10Cには、制御装置40が個々のロッカーユニット10A,10B,10Cを識別するためのユニット番号(ロッカーユニットNo)が付与されている。
読取装置20は、非接触通信を利用してICカード100を読み取る装置である。例えば、読取装置20は、RFID(Radio Frequency Identifier)に準拠したICカード100から情報を読み取る装置である。ここで、RFIDとは、13.56MHz帯の周波数において電磁誘導技術を用いてICカード100内の情報を近距離通信により受信して受け付けるものであり、Felica(登録商標)やMifare(登録商標)がその代表例として挙げられる。
ICカード100は、固有のカードID(識別子)が記録されたICタグ101(記録媒体)を内蔵するカードであり、ロッカーボックス11の利用者、又は、ロッカーシステム1の管理者が所持している。ロッカーボックス11の利用者が所持するICカード100には、専用のカードを用意することもできるが、ICタグ101を備えたICカード型の社員証を利用することもできる。また、ICカード100以外にも、ICタグ101を備えたスマートフォンや携帯電話を利用することも可能である。
なお、以下の説明では、利用者が所持するICカード100を利用者用カード100aという。利用者用カード100aは、ロッカーシステム1の利用者たる商業施設の従業員によりそれぞれ所持される。一方、管理者が所持するICカード100を管理者用カード100bという。管理者用カード100bは、ロッカーシステム1の管理者により所持され、ロッカー装置10を構成するロッカーユニットの個数に対応して用意される。すなわち、本実施形態では、3つのロッカーユニット10A,10B,10Cに対応して、3枚の管理者用カード100bが用意されている。
記憶部30は、ロッカーシステム1を管理するための情報を格納するものであり、例えば半導体不揮発性メモリ等を利用することができる。記憶部30は、利用者データベース31と、管理者データベース32とを有している。ここで、図3(a)は、利用者データベース31を示す説明図であり、図3(b)は、管理者データベース32を示す説明図である。
利用者データベース31は、利用登録が完了したロッカーボックス11の利用者毎に作成されるレコードの集合であり、個々のレコードは、「カードID」、「ロッカーユニットNo」、「ボックスNo」等によって構成されている。
「カードID」は、ロッカーボックス11を利用する利用者が所持するICカード100(利用者用カード100a)に記録されたカードIDである。
「ロッカーユニットNo」は、利用者が利用するロッカーボックス11が属するロッカーユニット10A,10B,10Cを特定するユニット番号であり、ロッカーユニット10A,10B,10C毎に予め定義されている。同図(a)において、「A」は、図1に示すロッカーユニット10Aを特定するユニット番号であり、「B」は、図1に示すロッカーユニット10Bを特定するユニット番号であり、「C」は、図1に示すロッカーユニット10Cを特定するユニット番号である。
「ボックスNo」は、利用者が利用するロッカーボックス11を特定するロッカー番号であり、ロッカーボックス11毎に予め定義されている。
このような利用者データベース31により、記憶部30には、利用者用カード100aのカードIDと、その利用者が利用する特定のロッカーボックス11とを関連付けた情報が格納される。利用者データベース31をなす個々のレコードは、利用者登録を通じて追加される。また、個々のレコードは、管理者による所定の作業を通じて修正・削除をすることができる。
管理者データベース32は、管理者用カード100b毎に作成されるレコードの集合であり、「カードID」、「ロッカーユニットNo」等によって構成されている。
「カードID」は、管理者用カード100bに記録されたカードIDである。
「ロッカーユニットNo」は、管理者用カード100bに関連付けられるロッカーユニット10A,10B,10Cを特定するユニット番号である。
このような管理者データベース32により、記憶部30には、管理者用カード100bのカードIDと、特定のロッカーユニット10A,10B,10Cとを関連付けた情報が格納される。管理者データベース32をなす個々のレコードは、管理者による所定の作業を通じて追加・修正・削除をすることができる。
制御装置40は、ロッカーシステム1全体の制御を司るものであり、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。制御装置40は、各ロッカーユニット10A,10B,10Cのロック制御部13や、記憶部30と接続されている。
また、制御装置40には、利用者や管理者に情報を通知するためのスピーカー50が接続されている。制御装置40は、スピーカー50を介して所定の音声情報を出力することで、利用者や管理者に動作状態等の情報を通知することができる。
本実施形態との関係において、制御装置40は、読取装置20によるICカード100の読み取り結果と、記憶部30に格納された情報とに基づいて、ロッカー装置10をなす各ロッカーボックス11について扉11aの施解錠を制御する。制御装置40は、施解錠に係る制御モードとして、通常モードと、管理者用モードとを有している。
通常モードは、利用者用カード100aの読み取りに応じて、ロッカーボックス11を解錠するモードである。この通常モードでは、当該利用者用カード100aに関連付けられたロッカーユニット10A,10B,10Cのロッカーボックス11が解錠される。
一方、管理者用モードは、管理者用カード100bが連続的に読み取られると、当該管理者用カード100bの読み取りパターンを特定し、この読み取りパターンから定められるロッカーボックス11について扉11aの解錠をするモードである。この管理者用モードは、利用者が利用者用カード100aを忘れたり、当該カード100aを紛失、盗難されたりしたシーンにおいて、管理者が緊急的にロッカーボックス11の扉11aを解錠するためのモードである。なお、管理者用モードは、ロッカーシステム1が正常に動作している際に利用されるものであり、停電等を想定した手動解錠機構を利用する緊急解錠とは異なるものである。
この管理者用モードでは、管理者用カード100bの読み取りパターンに応じて、特定のロッカーユニット10A,10B,10Cに属する全てのロッカーボックス11、特定の列又は段に属する全てのロッカーボックス11、或いは、特定の1つのロッカーボックス11といった種々の形態で、その扉11aの解錠をすることができる。
以下、本実施形態に係るロッカーシステム1の各種の処理内容について具体的に説明する。まず、利用登録、すなわち、利用者がロッカーシステム1を利用するために、利用者用カード100aを登録する処理について説明する。換言すれば、この利用登録は、利用者データベース31に新たなレコードを追加するための処理である。
図4は、利用登録の詳細な処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、制御装置40により実行される。
まず、ステップ10(S10)において、制御装置40は、現在の動作モードが、利用者用カード100aの登録モードであるか否かを判断する。制御装置40は、上述した通常モード及び管理者用モードに加え、利用者用カード100aの登録モードを備えており、利用者用カード100aの登録モードへの切り替えは管理者により行われる。利用者用カード100aの登録モードである場合には、ステップ10において肯定判定され、ステップ11(S11)に進む。一方、利用者用カード100aの登録モードでない場合には、ステップ10において否定判定され、制御装置40は通常モードで動作する。
ステップ11において、制御装置40は、空きボックス、すなわち、利用者の登録が行われていないロッカーボックス11があるか否かを判断する。制御装置40は、記憶部30の利用者データベース31に基づいて空きボックスの有無を判断する。空きボックスがある場合には、ステップ11で肯定判定され、後述するステップ13(S13)の処理に進む。一方、空きボックスがない場合には、ステップ11で否定判定され、ステップ12(S12)の処理に進む。
ステップ12において、制御装置40は、登録不可能を通知する。この通知は、「登録不可能です。」といった所定の音声メッセージをスピーカー50から出力することにより行われる。
ステップ13において、制御装置40は、登録可能を通知する。この通知は、「登録可能です。利用者用カードの読み取りを行って下さい。」といった所定の音声メッセージをスピーカー50から出力することにより行われる。
ステップ14(S14)において、制御装置40は、読取装置20が利用者用カード100aを読み取ったか否かを判断する。読取装置20が利用者用カード100aを読み取った場合には、ステップ14で肯定判定され、ステップ15(S15)に進む。一方、読取装置20が利用者用カード100aを読み取っていない場合には、ステップ14で否定判定され、ステップ14に再度戻る。
ステップ15において、制御装置40は、読取装置20により読み取られた利用者用カード100aのカードIDを取得すると、このカードIDと、空きボックスに該当するロッカーボックス11に関する「ロッカーユニットNo」及び「ボックスNo」とを記述したレコードを作成し、このレコードを利用者データベース31に追加する。これにより、「カードID」に、「ロッカーユニットNo」及び「ボックスNo」を関連付けられた情報が、記憶部30に格納される。
つぎに、通常モードに関する処理について説明する。通常モードに関する処理は、制御装置40により実行される。ここで、図5は、通常モードに関する処理を示すフローチャートである。
まず、ステップ20(S20)において、制御装置40は、読取装置20が利用者用カード100aを読み取ったか否かを判断する。利用者用カード100aを読み取った場合には、ステップ20において肯定判定され、ステップ21(S21)に進む。一方、利用者用カード100aではなく管理者用カード100bを読み取った場合には、ステップ20において否定判定され、制御装置40は後述する管理者用モードで動作する。
ステップ21において、制御装置40は、読取装置20が読み取った利用者用カード100aのカードIDに基づいて記憶部30の利用者データベース31を検索し、そのカードIDが利用者データベース31に登録されているか否かを判断する。カードIDが利用者データベース31に登録されている場合には、ステップ21において肯定判定され、ステップ22(S22)に進む。カードIDが利用者データベース31に登録されていない場合には、ステップ21において否定判定され、ステップ23(S23)に進む。
ステップ22において、制御装置40は、記憶部30の情報、すなわち、カードIDに対応するレコードに記述されている「ロッカーユニットNo」及び「ボックスNo」を取得する。制御装置40は、取得した「ロッカーユニットNo」及び「ボックスNo」に該当するロッカーボックス11について扉11aを解除する。具体的には、制御装置40は、「ロッカーユニットNo」に該当するするロッカーユニット10A,10B,10Cのロック制御部13に対して、そのロッカーユニット10A,10B,10Cに属する「ボックスNo」に該当するロッカーボックス11について扉11aを解錠するための制御信号を出力する。
ステップ23において、制御装置40は、登録が必要である旨を通知する。この通知は、「ICカードの登録が必要です。管理者にお問い合わせください。」といった所定の音声メッセージをスピーカー50から出力することにより行われる。
つぎに、管理者用モードに関する処理について説明する。図6及び図7は、管理者用モードに関する処理を示すフローチャートである。図8は、管理者用モードによるロッカーボックス11の解錠態様を模式的に示す説明図である。管理者用モードに関する処理は、制御装置40により実行される。
ここで、説明の便宜上、ロッカーユニット10Aに関連付けられた管理者用カード100bを「管理者用カード100b(A)」と、ロッカーユニット10Bに関連付けられた管理者用カード100bを「管理者用カード100b(B)」と、ロッカーユニット10Cに関連付けられた管理者用カード100bを「管理者用カード100b(C)」と記載する。
管理者用モードに関する処理の説明に先立ち、管理者用モードの制御概念について説明する。この説明において、管理者用モードにより解錠すべきロッカーボックス11は、ロッカーユニット10Cに属するものとする。
まず、管理者用モードでは、3枚の管理者用カード100bを用意する必要がある。この3枚の管理者用カード100bのうち、1枚は解錠すべきロッカーボックス11が属するロッカーユニット10Cに関連付けられた管理者用カード100b(すなわち、管理者用カード100b(C))である。また、残余の2枚の管理者用カード100bは、解錠すべきロッカーボックス11が属するロッカーユニット10Cに関連付けられていない管理者用カード100bであり、本実施形態の場合、管理者用カード100b(A)及び管理者用カード100b(B)が該当する。
そして、これらの3枚の管理者用カード100bを適宜の順番で読取装置20に読み取らせることで、3枚の管理者用カード100bの読み取りパターンに応じて、特定のロッカーユニット10A,10B,10Cに属する全てのロッカーボックス11、特定の列又は段に属する全てのロッカーボックス11、或いは、特定の1つのロッカーボックス11について扉11aの解錠を行うことができる。
具体的には、管理者は、1枚目の管理者用カード100bを読み取らせる。この1枚目の管理者用カード100bにより、解錠候補となるロッカーユニット10A,10B,10Cの選択を行うことができる。すなわち、管理者用カード100b(C)を1枚目の管理者用カード100bとして用いることで、3つのロッカーユニット10A,10B,10Cのなかでロッカーユニット10Cを解錠候補として選択することができる(図8の上段左側に示す状態)。
ここで、管理者が、ロッカーユニット10Cに属する全てのロッカーボックス11について扉11aの解錠を行う場合には、1枚目の管理者用カード100bである管理者用カード100b(C)を再度読み取らせる。これにより、ロッカーユニット10Cに属する全てのロッカーボックス11について扉11aの解錠が行われる(図8の上段左から2番目に示す状態)。
一方、管理者が、特定の列まで解錠候補を絞り込みたいときは、1枚目の管理者用カード100bに続き、2枚目の管理者用カード100bを読み取らせる。ここで、2枚目の管理者用カード100bは、1枚目の管理者用カード100bとは異なるロッカーユニット10A,10B,10Cに関連付けられた管理者用カード100bであり、本実施形態では、管理者用カード100b(A),100b(B)が該当する。なお、以下の説明では、2枚目の管理者用カード100bを管理者用カード100b(A)とするが、順番はどちらでもよく、管理者用カード100b(B)であってもよい。
2枚目の管理者用カード100bである管理者用カード100b(A)の読み取りが行われると、ロッカーユニット10Cの中で解錠候補となる列を選択することができる(図8の中段左側に示す状態)。さらに、管理者用カード100b(A)を再び読み取らせることで、解錠候補となる列の選択を切り替えることができる(図8の中段左から2番目に示す状態)。
ここで、管理者が、現在選択されている列(例えば左から2列目)に属する全てのロッカーボックス11について扉11aの解錠を行う場合には、1枚目の管理者用カード100bである管理者用カード100b(C)を読み取らせる。これにより、ロッカーユニット10Cにおいて左から2列目に属する全てのロッカーボックス11について扉11aの解錠が行われる(図8の中段左から3番目に示す状態)。
一方、管理者が、現在選択されている列(以下「選択列」という)の中で、さらに特定の段、すなわち、単一のロッカーボックス11まで解錠候補を絞り込みたいときは、2枚目の管理者用カード100bに続き、3枚目の管理者用カード100bを読み取らせる。ここで、3枚目の管理者用カード100bは、1枚目又は2枚目の管理者用カード100bとは異なるロッカーユニット10A,10B,10Cに関連付けられた管理者用カード100bであり、本実施形態では、管理者用カード100b(B)が該当する。
3枚目の管理者用カード100bである管理者用カード100b(B)の読み取りが行われると、選択列の中で解錠候補となる段を選択することができる(図8の下段左側に示す状態)。さらに、管理者用カード100b(B)を再び読み取らせることで、解錠候補となる段の選択を切り替えることができる(図8の下段左から2番目に示す状態)。
ここで、管理者が、現在選択されている段(例えば上から2段目)に属するロッカーボックス11について扉11aの解錠を行う場合には、1枚目の管理者用カード100bである管理者用カード100b(C)を読み取らせる。これにより、ロッカーユニット10Cにおいて左から2列目、かつ上から2段目のロッカーボックス11について扉11aの解錠が行われる(図8の下段左から3番目に示す状態)。
このように管理者用モードにおいて、1枚目の管理者用カード100bは、その管理者用カード100bに関連付けられたロッカーユニット10A,10B,10Cを解錠候補となるロッカーユニット10A,10B,10Cとして選択するとともに、最終的な解錠を行うための決定を指示するカードとして機能している。また、2枚目及び3枚目の管理者用カード100bは、ロッカーユニット10A,10B,10Cのなかで解錠候補となる列又は段の選択を切り替えるカードとして機能している。そのため、制御装置40は、各管理者用カード100bの読み取りパターンを特定し、その読み取りパターンから定められるロッカーボックス11について扉11aの解錠をすることで、管理者の要求に応じた所望のロッカーボックス11の扉11aを解錠することができるのである。
このような制御概念を前提に、図6及び図7を参照し、管理者用モードに関する処理について説明する。まず、ステップ30(S30)において、制御装置40は、読取装置20が1枚目の管理者用カード100bを読み取ったか否かを判断する。1枚目の管理者用カード100bを読み取った場合には、ステップ30において肯定判定され、ステップ31(S31)に進む。一方、1枚目の管理者用カード100bを読み取っていない場合には、ステップ30において否定判定され、ステップ32(S32)に進む。
ステップ31において、制御装置40は、1枚目の管理者用カード100bのカードIDに基づいて記憶部30の管理者データベース32を検索し、そのカードIDに関連付けられるロッカーユニット10A,10B,10Cを特定する。そして、制御装置40は、特定したロッカーユニット10A,10B,10Cを解錠候補として選択する。
本実施形態において、1枚目の管理者用カード100bには、管理者用カード100b(C)が利用される。したがって、ステップ32の処理により、ロッカーユニット10Cが解錠候補として選択される。
また、ステップ31において、制御装置40は、ロッカーユニット10Cが解錠候補として選択されたことを利用者に通知する。この通知は、「ロッカーユニット10Cが選択されました。」といった所定の音声メッセージをスピーカー50から出力することにより行われる。
ステップ32において、制御装置40は、一定の期間の間に管理者用カード100bが読み取られない場合には、タイムアウトとして処理を行い、本処理を終了する(END)。
ステップ33(S33)において、制御装置40は、読取装置20が2枚目の管理者用カード100bを読み取ったか否かを判断する。本実施形態では、2枚目の管理者用カード100bには、管理者用カード100b(A)が利用される。
2枚目の管理者用カード100bを読み取っていない場合には、ステップ33において否定判定され、ステップ34(S34)に進む。
ステップ34において、制御装置40は、読取装置20が1枚目の管理者用カード100bを再び読み取ったか否かを判断する。1枚目の管理者用カード100bを再び読み取った場合には、ステップ34において肯定判定され、ステップ35(S35)に進む。一方、1枚目の管理者用カード100bを読み取っていない場合には、ステップ34において否定判定され、ステップ36(S36)に進む。
ステップ35において、制御装置40は、1枚目の管理者用カード100bである管理者用カード100b(C)が関連付けられたロッカーユニット10Cのロック制御部13に対して、当該ロッカーユニット10Cに属する全てのロッカーボックス11の扉11aを解錠するための制御信号を出力する。これにより、ロッカーユニット10Cに属する全てのロッカーボックス11について扉11aの解錠が行われる。
ステップ36において、制御装置40は、一定の期間の間に管理者用カード100bが読み取られない場合には、タイムアウトとして処理を行い、本処理を終了する(END)。
一方、2枚目の管理者用カード100bを読み取った場合には、ステップ33において肯定判定され、ステップ37(S37)に進む。
ステップ37において、制御装置40は、解錠候補のロッカーユニット10Cにおいて所定の列を指定する列パラメータnを初期値である「1」にセットする。
ステップ38(S38)において、制御装置40は、ロッカーユニット10Cのn列目を解錠候補として選択する。
また、ステップ38において、制御装置40は、ロッカーユニット10Cのn列目が解錠候補として選択されたことを利用者に通知する。この通知は、「ロッカーユニット10Cのn列目が選択されました」といった所定の音声メッセージをスピーカー50から出力することにより行われる。
ステップ39(S39)において、制御装置40は、読取装置20が3枚目の管理者用カード100bを読み取ったか否かを判断する。本実施形態では、3枚目の管理者用カード100bには、管理者用カード100b(B)が利用される。
3枚目の管理者用カード100bを読み取っていない場合には、ステップ39において否定判定され、ステップ40(S40)に進む。
ステップ40において、制御装置40は、読取装置20が2枚目の管理者用カード100bを再び読み取ったか否かを判断する。2枚目の管理者用カード100bを再び読み取った場合には、ステップ40において肯定判定され、ステップ41(S41)に進む。一方、2枚目の管理者用カード100bを読み取っていない場合には、ステップ40において否定判定され、ステップ42(S42)に進む。
ステップ41において、制御装置40は、列パラメータnを更新する。この更新処理は、列パラメータnの現在値によって異なる処理が適用される。具体的には、列パラメータnがパラメータ最大値nmaxよりも小さい場合には、列パラメータnは「1」だけインクリメントされた値に更新される。一方、列パラメータnがパラメータ最大値nmaxである場合には、列パラメータnは「1」に更新される。ここで、パラメータ最大値nmaxは、ロッカーユニット10Cに属する列の個数であり、本実施形態では、「3」に該当する。
ステップ42において、制御装置40は、読取装置20が1枚目の管理者用カード100bを再び読み取ったか否かを判断する。1枚目の管理者用カード100bを再び読み取った場合には、ステップ42において肯定判定され、ステップ43(S43)に進む。一方、1枚目の管理者用カード100bを読み取っていない場合には、ステップ42において否定判定され、ステップ44(S44)に進む。
ステップ43において、制御装置40は、1枚目の管理者用カード100bである管理者用カード100b(C)が関連付けられたロッカーユニット10Cのロック制御部13に対して、当該ロッカーユニット10Cの中のn列目に属する全てのロッカーボックス11の扉11aを解錠するための制御信号を出力する。これにより、ロッカーユニット10Cのうちn列目に属する全てのロッカーボックス11について扉11aの解錠が行われる。
ステップ44において、制御装置40は、一定の期間の間に管理者用カード100bが読み取られない場合には、タイムアウトとして処理を行い、本処理を終了する(END)。
一方、3枚目の管理者用カード100bを読み取った場合には、ステップ39において肯定判定され、ステップ45(S45)に進む。
ステップ45において、制御装置40は、ロッカーユニット10Cのn列目のなかで所定の段を指定する段パラメータmを初期値である「1」にセットする。
ステップ46(S46)において、制御装置40は、ロッカーユニット10Cのn列m段目のロッカーボックス11を解錠候補として選択する。
また、ステップ46において、制御装置40は、ロッカーユニット10Cのn列m段目が解錠候補として選択されたことを利用者に通知する。この通知は、「ロッカーユニット10Cのn列m段目が選択されました」といった所定の音声メッセージをスピーカー50から出力することにより行われる。
ステップ47(S47)において、制御装置40は、読取装置20が1枚目の管理者用カード100bを読み取ったか否かを判断する。
1枚目の管理者用カード100bを読み取っていない場合には、ステップ47において否定判定され、ステップ48(S48)に進む。
ステップ48において、制御装置40は、読取装置20が3枚目の管理者用カード100bを再び読み取ったか否かを判断する。3枚目の管理者用カード100bを再び読み取った場合には、ステップ48において肯定判定され、ステップ49(S49)に進む。一方、3枚目の管理者用カード100bを読み取っていない場合には、ステップ48において否定判定され、ステップ50(S50)に進む。
ステップ49において、制御装置40は、段パラメータmを更新する。この更新処理は、段パラメータmの現在値によって異なる処理が適用される。具体的には、段パラメータmがパラメータ最大値mmaxよりも小さい場合には、段パラメータmは「1」だけインクリメントされた値に更新される。一方、段パラメータmがパラメータ最大値mmaxである場合には、段パラメータmは「1」に更新される。ここで、パラメータ最大値mmaxは、ロッカーユニット10Cに属する段の個数であり、本実施形態では、「7」に該当する。
ステップ50において、制御装置40は、一定の期間の間に管理者用カード100bが読み取られない場合には、タイムアウトとして処理を行い、本処理を終了する(END)。
一方、1枚目の管理者用カード100bを読み取った場合には、ステップ47において肯定判定され、ステップ51(S51)に進む。
ステップ51において、制御装置40は、1枚目の管理者用カード100bである管理者用カード100b(C)が関連付けられたロッカーユニット10Cのロック制御部13に対して、当該ロッカーユニット10Cの中のn列m段に属するロッカーボックス11の扉11aを解錠するための制御信号を出力する。これにより、ロッカーユニット10Cのうちn列m段目に属するロッカーボックス11について扉11aの解錠が行われる。
このように本実施形態において、ロッカーシステム1は、それぞれが扉11aを備える複数のロッカーボックス11と、固有のカードIDが記録されたICカード100を、非接触通信を利用して読み取る読取装置20と、管理者が所持するICカード100として1つ以上用意された管理者用カード100bに関する識別子情報を格納する記憶部30と、読取装置20による読み取り結果と記憶部30に格納された情報とに基づいて複数のロッカーボックス11について扉11aの施解錠を制御する制御装置40と、を有している。ここで、制御装置40は、読取装置20により読み取られる管理者用カード100bが連続的に読み取られると、その管理者用カード100bの読み取りパターンを特定し、当該管理者用カード100bの読み取りパターンから定められるロッカーボックス11について扉11aの解錠をする。
この構成によれば、管理者用カード100bを1つ以上用意することで、読取装置20に対する種々の読み取りパターンを構築することができる。これにより、管理者用カード100bの読み取りパターンを利用して、所望のロッカーボックス11について扉11aの解錠をすることができる。また、この構成によれば、管理者用カード100bを読取装置20に読み取らせる操作で足りるので、短時間で解錠作業を行うことができる。さらに、利用者が通常の解錠時に利用する読取装置20を利用して緊急解錠(管理者用モード)を行うことができるので、管理用のインターフェースを別途設ける必要もなく、必要最小限の構成で緊急解錠を行うことができる。このように、本実施形態のロッカーシステム1によれば、利用者が利用する読取装置20を用いて、管理者が緊急解錠を容易に行うことができる。
また、本実施形態において、複数のロッカーボックス11は、マトリクス状に配置され、縦方向に並ぶ複数のロッカーボックス11を同一の属性とする列と、横方向に並ぶロッカーボックス11を同一の属性とする段とで定義されるロッカーユニットを構成している。この構成において、制御装置40は、管理者用カード100bの読み取りパターンに応じて、ロッカーユニットに属する全てのロッカーボックス11、特定の列又は段に属する全てのロッカーボックス11、或いは、特定の1つのロッカーボックス11について扉11aの解錠をする。
この構成によれば、管理者用カード100bの読み取りパターンに応じて、多様な形態でロッカーボックス11の緊急解錠を行うことができる。これにより、解錠すべきロッカーボックス11の個数やその緊急の度合いに応じて、適切な解錠形態を選択することできる。また、このような多様な解錠形態が存在するため、ロッカーユニット内に属する全てのロッカーボックス11を解錠せずに、限定的にロッカーボックス11を解錠することもできる。これにより、解錠する必要ないロッカーボックス11については施錠したままとすることができるので、利用者のプライバシーを保護することができる。
また、本実施形態において、ロッカーシステム1は、第1のロッカーユニット(例えばロッカーユニット10C)を含む1つ以上のロッカーユニットで構成されている。また、1つ以上の管理者用カード100bは、ロッカーユニット10Cに関連付けられる第1の管理者用記録媒体である管理者用カード100b(C)を含む。この場合、制御装置40は、管理者用カード100b(C)が1枚目(最初)に読み取られると、ロッカーユニット10Cを解錠候補として選択している。
この構成によれば、1枚目に読み取りを行う管理者用カード100bを通じて、解錠候補となるロッカーユニット10Cを選択することができる。
また、本実施形態において、制御装置40は、管理者用カード100b(C)を読み取った後、管理者用カード100b(C)を再度読み取った場合には、ロッカーユニット10Cに属する全てのロッカーボックス11について扉11aの解錠をしている。
この構成によれば、ロッカーユニット10Cを指定した1枚目の管理者用カード100b(C)の連続的な読み取りパターンから、ロッカーユニット10Cに属する全てのロッカーボックス11を対象とする解錠を行うことができる。
また、本実施形態において、1つ以上の管理者用カード100bは、ロッカーユニット10Cに関連付けられていない第2の管理者用記録媒体である管理者用カード100b(A)をさらに含む。この場合、制御装置40は、2つの管理者用カード100b(C),100b(A)からなる読み取りパターンに基づいて、ロッカーユニット10Cのなかの特定の列に属する全てのロッカーボックス11について扉11aの解錠をする。
この構成によれば、1枚目に読み取りを行う管理者用カード100b(C)と、2枚目に読み取りを行う管理者用カード100b(A)とを組み合わせて読み取らせることで、ロッカーユニット10Cのなかで解錠候補となる列をさらに絞り込むことができる。これにより、ユニット全体のみならず、一定の列を単位とした解錠が可能となる。
特に、制御装置40は、1枚目の管理者用カード100b(C)の読み取り後に、2枚目の管理者用カード100b(A)を1回以上読み取った場合には、その読み取り動作毎にロッカーユニット10Cのなかで解錠候補となる列の選択を順次切り替える。そして、制御装置40は、2枚目の管理者用カード100b(A)の読み取り後に、1枚目の管理者用カード100b(C)を再度読み取った場合には、現在解錠候補として選択されている列に属する全てのロッカーボックス11について扉11aの解錠をする。
この構成によれば、2枚目の管理者用カード100b(A)の読み取りパターンに応じて、解錠候補となる列の選択を切り替えることができる。これにより、所望とする列について適切に解錠を行うことができる。
また、本実施形態において、1つ以上の管理者用カード100bは、ロッカーユニット10Cに関連付けられていない第3の管理者用記録媒体である管理者用カード100b(B)をさらに含む。この場合、制御装置40は、1枚目、2枚目及び3枚目の管理者用カード100b(C),100b(A),100b(B)とからなる読み取りパターンに基づいて、ロッカーユニット10Cのなかの特定の1つのロッカーボックス11について扉11aの解錠をする。
この構成によれば、1枚目に読み取りを行う管理者用カード100b(C)と、2枚目に読み取りを行う管理者用カード100b(A)と、3枚目に読み取りを行う管理者用カード100b(B)とを組み合わせて読み取らせることで、ロッカーユニット10Cの特定の列のなかで解錠候補となる段をさらに絞り込むことができる。これにより、ユニット全体、又は列全体のみならず、単一のロッカーボックス11を単位とした解錠が可能となる。
特に、制御装置40は、2枚目の管理者用カード100b(A)の読み取り後に、3枚目の管理者用カード100b(B)を一回以上読み取った場合には、その読み取り動作毎に解錠候補として選択された列のなかで解錠候補となる段の選択を順次切り替える。そして、制御装置40は、3枚目の管理者用カード100b(B)の読み取り後に1枚目の管理者用カード100b(C)を再度読み取った場合には、現在解錠候補として選択されている列及び段のロッカーボックス11について扉11aの解錠をする。
この構成によれば、3枚目の管理者用カード100b(B)の読み取りパターンに応じて、解錠候補となる段の選択を切り替えることができる。これにより、所望とする列及び段のロッカーボックス11、すなわち、特定の1つのロッカーボックス11について適切に解錠を行うことができる。
このように本実施形態によれば、3枚の管理者用カード100bを用いるのみで、ロッカーユニット10Cに属する全てのロッカーボックス11、特定の列に属する全てのロッカーボックス11、或いは、特定の列及び段に属するロッカーボックス11(1つのロッカーボックス11)について、緊急解錠が可能となる。
特に、制御装置40は、1枚目の管理者用カード100b(C)以外の管理者用カード100b、すなわち、2枚目及び3枚目の管理者用カード100b(A),100b(B)の読み取り動作毎に、ロッカーユニット10Cのなかで解錠候補となる列又は段の選択を切り替えている。
この構成によれば、所望とする列と段の選択が可能となり、所望とするロッカーボックス11について扉11aの解錠をすることができる。
また、本実施形態において、ロッカーシステム1は、制御装置40に制御されて所定の情報を通知するユーザーインターフェースとしてのスピーカー50をさらに有している。そして、制御装置40は、スピーカー50を通じて解錠候補の切り替えを通知する。
この構成によれば、スピーカー50からの通知を通じて、解錠候補として選択された列や段を認識することができる。これにより、所望とするロッカーボックス11を適切に解錠することができる。特に、本実施形態によれば、ロッカー装置10は、デザイン性の観点から、個々のロッカーボックス11を識別するためのローカー番号などが表記されていない。しかしながら、本実施形態によれば、ロッカー番号などの表記がなくても、段と列とを認識することでロッカーボックス11を認識することができる。これにより、デザイン的な要求を十分に満たすことができる。
なお、解錠候補の切り替えを通知するユーザーインターフェースには、スピーカー50を用いる以外にも、LED等のランプや液晶パネルといった表示手段を利用することもできる。もっとも、表示手段を利用した場合には、外観のデザインに影響を及ぼすものであるため、可能な限りデザイン上の工夫を施すことが好ましい。例えば、表示手段を直接露出させるのではなく、扉11aの背面側から透過させて表示を行うといった如くである。
また、本実施形態において、2枚目の管理者用カード100b(A)は、ロッカーユニット10Aに関連付けられており、3枚目の管理者用カード100b(B)は、ロッカーユニット10Bに関連付けられている。
上述した実施形態によれば、緊急解錠には3枚の管理者用カード100bが必要となる。この場合、他のロッカーユニット10A,10Bに関連付けられた2枚の管理者用カード100b(A),100b(B)を互いに流用することで、上述の緊急解錠を行うことができる。これにより、ロッカーシステム1全体で、膨大な管理者用カード100bを用意する必要もなく、管理が容易となる。
また、本実施形態によれば、2枚目以降の管理者用カード100bを読み取らせる場合に、管理者用カード100b(A),100b(B)のいずれを先に読み取らせてもよい。このように、管理者用カード100bの読み取り順序について制約が少ないので、管理者にとって利用しやすいシステムを提供することができる。
なお、本実施形態では、3つのロッカーユニット10A,10B,10Cで構成されているため、緊急解錠に利用する3枚の管理者用カード100bは、これらのロッカーユニット10A,10B,10Cに関連付けられた管理者用カード100bとなる。
しかしながら、ロッカー装置10は、4つ以上のロッカーユニットで構成してもよい。緊急解錠には、解錠対象となるロッカーユニットに関連付けられた管理者用カード100bが必要となるが、残余の2枚の管理者用カード100bについては、いかなるロッカーユニットに関連付けられたものであってもよい。このように、管理者用カード100bの組み合わせに大きな制約がないため、管理者にとって利用しやすいシステムを提供することができる。
さらに、ロッカー装置10は、1つのロッカーユニット又は2つのロッカーユニットで構成してもよい。緊急解錠には、3つの管理者用カード100bが必要となることから、不足する数に応じた管理者用カード100bを緊急解錠用として別途用意しておくことが好ましい。
また、上述した実施形態では、解錠候補を選択する場合、列を先行して選択し、その後に段を選択している。しかしながら、列と段の関係は逆でもよく、段を先行して選択し、その後に列を選択するものであってもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、管理者用カード100bを読み取らせて解錠候補を切り替える構成であるため、ロッカーボックス11の数が膨大の場合には、所望とするロッカーボックス11を選択するまでに、管理者にとって数多くの読取操作が必要となる虞がある。一方で、本実施形態のロッカーシステム1では、ロッカーユニットを単位として、又は、列若しくは段を単位としての解錠が可能であるため、このような方法により、読取操作の回数を減らすことができる。
一方、ロッカーユニット、又は、列若しくは段を対象として解錠を行った場合には、本来解錠すべきロッカーボックス11以外のロッカーボックス11も解錠されてしまう可能性がある。特に、ロッカーボックス11の扉11aがポップアップ式に開放される場合には、ロッカーボックス11の中身が外部から見えてしまう虞がある。
そこで、ロッカー装置10において、個々のロッカーボックス11の扉11aは、利用者の押下操作を受けて開閉されるプッシュ式のもので構成することが好ましい。この場合、制御装置40が解錠指令を行った場合でも、ロッカーボックス11の扉11aが自動的に開くことがなく、利用者のプライバシーを配慮することができる。また、制御装置40は、一定時間経過後に施錠指令を行うことで、解錠した扉11aについて施錠を行うことも可能となる。
以上、本実施形態に係るロッカーシステムを説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。例えば、上述した実施形態では、複合商業施設の化粧室を前提に説明を行ったが、シンプルなデザインを要求されるような場所で使用されるロッカーシステムとして広く適用可能である。
また、1枚の管理者用カードを用いて、その管理者用カードに関連付けられたロッカーユニットに属する全てのロッカーボックスについて扉の解錠をする手法、2枚の管理者用カードを用いて、1枚目の管理者用カードに関連付けられたロッカーユニットに属する全てのロッカーボックス、又は、2枚目の管理者用カードによって切り替えられる特定の列又は段に属する全てのロッカーボックスについて扉の解錠をする手法についても、本発明の一部として機能する。
(付記)
(付記1)
それぞれが扉を備える複数のロッカーボックスと、
固有の識別子が記録された記録媒体を、非接触通信を利用して読み取る読取装置と、
管理者が所持する記録媒体として1つ以上用意された管理者用記録媒体に関する識別子情報を格納する記憶部と、
前記読取装置による読み取り結果と、前記記憶部に格納された情報とに基づいて、前記複数のロッカーボックスについて扉の施解錠を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記読取装置により前記管理者用記録媒体が連続的に読み取られると、前記管理者用記録媒体の読み取りパターンを特定し、当該管理者用記録媒体の読み取りパターンから定められるロッカーボックスについて扉の解錠をすることを特徴とするロッカーシステム。
(付記2)
前記複数のロッカーボックスは、マトリクス状に配置され、縦方向に並ぶ複数のロッカーボックスを同一の属性とする列と、横方向に並ぶロッカーボックスを同一の属性とする段とで定義されるロッカーユニットを構成しており、
前記制御装置は、前記管理者用記録媒体の読み取りパターンに応じて、前記ロッカーユニットに属する全てのロッカーボックス、特定の列又は段に属する全てのロッカーボックス、又は、特定の1つのロッカーボックスについて扉の解錠をすることを特徴とする付記1に記載のロッカーシステム。
(付記3)
前記ロッカーシステムは、第1のロッカーユニットを含む1つ以上のロッカーユニットを備えており、
前記1つ以上の管理者用記録媒体は、前記第1のロッカーユニットに関連付けられる第1の管理者用記録媒体を含み、
前記制御装置は、前記第1の管理者用記録媒体が最初に読み取られると、前記第1のロッカーユニットを解錠候補として選択することを特徴とする付記2に記載されたロッカーシステム。
(付記4)
前記制御装置は、前記第1の管理者用記録媒体を読み取った後、前記第1の管理者用記録媒体を再度読み取った場合には、前記第1のロッカーユニットに属する全てのロッカーボックスについて扉の解錠をすることを特徴とする付記3に記載されたロッカーシステム。
(付記5)
前記1つ以上の管理者用記録媒体は、前記第1のロッカーユニットに関連付けられていない第2の管理者用記録媒体をさらに含み、
前記制御装置は、前記第1の管理者用記録媒体と前記第2の管理者用記録媒体とからなる読み取りパターンに基づいて、前記第1のロッカーユニットのなかの特定の段に属する全てのロッカーボックス、又は、前記第1のロッカーユニットのなかの特定の列に属する全てのロッカーボックスについて扉の解錠をすることを特徴とする付記3又は4に記載されたロッカーシステム。
(付記6)
前記1つ以上の管理者用記録媒体は、前記第1のロッカーユニットに関連付けられていない第3の管理者用記録媒体をさらに含み、
前記制御装置は、前記第1の管理者用記録媒体と前記第2の管理者用記録媒体と前記第3の管理者用記録媒体とからなる読み取りパターンに基づいて、前記第1のロッカーユニットのなかの特定の列及び段のロッカーボックスについて扉の解錠をすることを特徴とする付記5に記載されたロッカーシステム。
(付記7)
前記制御装置は、前記第1の管理者用記録媒体以外の管理者用記録媒体の読み取り動作毎に、前記第1のロッカーユニットのなかで解錠候補となる列又は段の選択を切り替えることを特徴とする付記3から6のいずれかに記載されたロッカーシステム。
(付記8)
前記1つ以上の管理者用記録媒体は、前記第1のロッカーユニットに関連付けられていない第2の管理者用記録媒体をさらに含み、
前記制御装置は、前記第1の管理者用記録媒体を読み取った後に、前記第2の管理者用記録媒体を1回以上読み取った場合には、その読み取り動作毎に前記第1のロッカーユニットのなかで解錠候補となる列の選択を順次切り替えるとともに、前記第2の管理者用記録媒体を読み取った後に前記第1の管理者用記録媒体を読み取った場合には、現在解錠候補として選択されている列に属する全てのロッカーボックスについて扉の解錠をすることを特徴とする付記3又は4に記載されたロッカーシステム。
(付記9)
前記1つ以上の管理者用記録媒体は、前記第1のロッカーユニットに関連付けられていない第3の管理者用記録媒体をさらに含み、
前記制御装置は、前記第2の管理者用記録媒体を読み取った後に、前記第3の管理者用記録媒体を1回以上読み取った場合には、その読み取り動作毎に前記解錠候補として選択された列のなかで解錠候補となる段の選択を順次切り替えるとともに、前記第3の管理者用記録媒体の読み取り後に前記第1の管理者用記録媒体を読み取った場合には、現在解錠候補として選択されている列及び段のロッカーボックスについて扉の解錠をすることを特徴とする付記8に記載されたロッカーシステム。
(付記10)
前記制御装置に制御されて所定の情報を通知するユーザーインターフェースをさらに有し、
前記制御装置は、ユーザーインターフェースを通じて前記解錠候補の切り替えを通知することを特徴とする付記7から9のいずれかに記載されたロッカーシステム。
(付記11)
前記ロッカーシステムは、第2のロッカーユニット及び第3のロッカーユニットをさらに備えており、
前記第2の管理者用記録媒体は、前記第2のロッカーユニットに関連付けられ、
前記第3の管理者用記録媒体は、前記第3のロッカーユニットに関連付けられることを特徴とする付記6又は9のいずれかに記載されたロッカーシステム。
(付記12)
前記記憶部は、ロッカーボックスの利用者が所持する記録媒体である利用者用記録媒体に関する識別子と当該利用者が利用する特定のロッカーボックスとを関連付けた情報をさらに格納し、
前記制御部は、前記読取装置により前記利用者用記録媒体を読み取った場合には、前記記憶部を検索して、前記読取装置により読み取った前記利用者用記録媒体の識別子と関連付けられたロッカーボックスを特定し、当該特定したロッカーボックスについて扉の解錠をすることを特徴とする付記1から11のいずれかに記載されたロッカーシステム。