本発明は、一般的なズームレンズではなく、撮像光学系として焦点距離の異なる単焦点光学系を複数配置し、夫々の光学系に対応した撮像領域を有する撮像素子によって、ズーミングを実現するようにしたものである。ここではまず、複眼撮像装置における連続的ズーム機能を実現するための手段について説明する。撮像装置で撮影された画像に対して撮影画像内の一部をトリミングし、このトリミングした範囲を所定のサイズに拡大することによって擬似的にズーミングしたのと同一の効果を得ることのできる(以下デジタルズーム)手段が知られている。例えばこの手法を応用することで、複眼撮像装置において異なる画角を有する結像光学系を備えさせ、該異なる画角間を上記のデジタルズーム技術により補間することで擬似的にズーミングしたのと同一の効果を得ることができる。ここで、連続的ズーム機能による擬似的なズーミングでは、トリミング範囲を拡大する際に線形補間(バイリニア法)等の比較的単純な処理だけでなく、超解像技術等の処理をトリミング範囲に施し、中間の画角に相当する画像を生成してもよい。画像の高解像度化に利用される超解像技術を組み込むことで、デジタルズームによる解像度の劣化を抑制することができる。
また、単純な手法として、デジタルズームにより得られる画像の一部に、望遠レンズに対応した撮像領域により得られる望遠画像を嵌め込むことで、該一部の解像度が高く、その他の部分の解像度は低いが、中間画角の画像を得ることが出来る。
まず、図2を用いて複数の結像光学系と単一の撮像素子で撮像ユニットが構成される複眼撮像装置の特性について説明する。図2(a)、(b)、(c)は、複眼撮像装置の各結像光学系が撮像素子上に像を形成する様子をモデル化したものである。撮像素子の短辺と平行な方向を縦、長辺と平行な方向を横としたとき、図2(a)は結像光学系が縦横2列ずつの4眼構成、図2(b)は結像光学系が縦横3列ずつの9眼構成、図2(c)は結像光学系が縦横4列ずつの16眼構成となっている。また、本実施例において、図2(a)、(b)、(c)の撮像装置は相対的に焦点距離の短い結像光学系Wと焦点距離が長い結像光学系Tの2タイプの結像光学系が複数配置された複眼撮像装置であるとする。図2(a)、(b)、(c)において、点線で描かれた円は各結像光学系のイメージサークル、外枠の実線の長方形は撮像素子の撮像可能な領域、各イメージサークルに内接する実線の長方形は各結像光学系の個眼撮像領域を表している。この個眼撮像領域とは、結像光学系によって形成された像の画像信号を取得する領域であり、説明の便宜上ここでは長方形の領域にしているが、イメージサークル内であればどのような範囲でも個眼撮像領域として利用できる。ここで、図2(a)、(b)、(c)に示すように撮像素子の短辺方向に各結像光学系のイメージサークル同士が外接するよう配置し、各撮像素子の撮像可能な領域の面積が等しく、尚且つ撮像素子の画素ピッチが等しい場合について考える。このような場合、図2(a)、(b)、(c)の3つの中で、眼数の少ない図2(a)のイメージサークルの直径は最も大きくなり、眼数の多い図2(c)のイメージサークルの直径は最も小さくなる。イメージサークルの直径が大きくなると個眼撮像領域も比例して拡大できるため、画素ピッチが一定であればその分、個眼撮像領域内の画素数は増加する。また、逆に個眼撮像領域が一定で画素ピッチが変数となる場合、画素ピッチを小さくすることで個眼撮像領域内の画素数を増加させることができる。また、一般的にイメージサークルが密に並ぶように結像光学系を配置した状態であれば、結像光学系の数が少ないほどイメージサークルを大きくとることができるため、その分個眼撮像領域内の画素数を増加させることができる。
次に、画質(S/N比)について着目する。画素ピッチの大きさが変数となる場合、画素の開口面積が大きいほど受光量が増加するため、画素ピッチの大きさが大きいほどS/N比は向上する。また、こうした方法以外にも本発明のように焦点距離が等しい結像光学系が複数あり同時に撮像可能な場合、撮像して得られた同じ画角の画像を用いてS/Nを向上させることができる。図2(a)の複眼雑像装置であれば結像光学系W、結像光学系Tが形成する画像をそれぞれ2つずつ取得することができ、これらの輝度値を加算することで相対的にノイズの割合を低減することができる。図2(b)、(c)についても同様であり、撮像素子の画素ピッチの大きさが等しく、露光時間等の撮像条件が同じであったとすると図2(a)、(b)、(c)の3タイプの中では加算できる枚数が多い図2(c)が最もS/N比が向上するといえる。よって複眼撮像装置において、画素ピッチの大きさを大きくするか、あるいは同じ焦点距離の結像光学系の数(同焦点数)を増やすことにより最終的に出力される画像のS/N比を向上させることができる。
また、複眼撮像装置において前述のような連続的ズーム機能を実現するためには、焦点距離が異なる結像光学系間の倍率も重要となってくる。デジタルズームにより中間画角を生成する場合、結像光学系の焦点距離の間隔を広げるとその分デジタルズームで対応する必要があるため、間隔を広げすぎると解像度低下や画質の劣化しすぎてしまう。そのため、こうした問題を抑止するには結像光学系の焦点距離の間隔をある程度狭めておく必要がある。図3は図2と同様に複眼撮像装置の各結像光学系が撮像素子上に像を形成する様子をモデル図であり、図3(a)は図2(b)と同じ構成、図3(b)は結像光学系W、Tの中間の焦点距離を有する結像光学系Mの3タイプで構成されているとする。ここで、例えば焦点距離が異なる結像光学系間の倍率が2倍までであれば解像度低下や画質の劣化を抑制しつつデジタルズームで連続的ズーム機能が実現可能であったとする。このとき、図3(a)、(b)の結像光学系Wの焦点距離が28mmであったとすれば、図3(a)の方は結像光学系Tの焦点距離を56mmまで可能であり、図3(b)の方は結像光学系Tの焦点距離を84mmまで設定することができる。このように、複眼撮像装置において、互いに異なる焦点距離の結像光学系の数(異焦点数)を増やすことで複眼撮像装置のズーム比を上げることができる。しかしながら、図3(a)、(b)のように配置する結像光学系の総数が同じ場合、異焦点数を増やそうとすると同焦点数を減らさなければならない。図3(a)では結像光学系W、Tがそれぞれ5眼、4眼配置されているが、図3(b)では結像光学系W、Tともに3眼となっており、その分前述の理由により、S/N比は下がってしまう。このように結像光学系の総数を一定とすると、異焦点数を増やすことで撮像装置のズーム比を上げることができる一方、同焦点数が減るためその分S/N比は低下してしまう。また、S/N比を上げるために同焦点数を増やすと異焦点数が減るためズーム比が下がってしまう。つまり、複眼撮像装置のズーム比を上げつつS/N比を上げるには、前提としている結像光学系の総数が一定という部分を見直す必要があり、結像光学系の総数を増やし同焦点数と異焦点数を多くすることができれば、解決することができると考えられる。結像光学系の総数を増やす方法としては、複眼撮像装置に撮像領域の面積が十分に大きい撮像素子を使用する方法と、個々の結像光学系サイズを小さくする方法の2パターンが考えられる。まず前者の方法については、撮像素子の撮像領域の大きくすることで結像光学系のサイズは変えずに多く結像光学系を配置できるものの、その分撮像装置自体が大型化するという問題が生じてしまう。特に、結像光学系を2次元的に並列に配置した場合、撮像素子の撮像面と垂直な方向に大きくなってしまい、複眼撮像装置のメリットの一つである、小型化に対して逆行することになる。一方、個々の結像光学系サイズを小さくする方法に関しては、こうした撮像装置の大型化といった問題は起こらないものの、結像光学系が形成するイメージサークルが結像光学系サイズを縮小する分、小さくなってしまう。このようにイメージサークルが小さくなってしまうと、前述のように個眼撮像領域内の画素数が減少してしまい、撮像装置の出力画像の解像度に影響を与えるという問題が生じてしまう。
このように、画質(S/N比)、画素数、複眼撮像装置のズーム比、複眼撮像装置のサイズというのは撮像素子の撮像領域の面積、画素ピッチ、結像光学系の異焦点数、同焦点数等を媒介変数として表現することができる。そのため、夫々を独立して取り扱うことはできないということが言える。
よって、より望ましい複眼撮像装置を提供するには画質(S/N比)、画素数、複眼撮像装置のズーム比、及び複眼撮像装置のサイズのバランスをとるということが重要となる。バランスをとるための手法は種々存在するが、ここでは各評価値と各変数を盛り込んだ以下の条件式(1)でバランスの評価を行う。
ここで、Sは撮像素子の撮像領域の面積[mm2]、pは撮像素子の画素ピッチ[mm]、PAVEは個眼撮像領域の画素数の平均値、Ntは結像光学系内で最も望遠側の結像光学系の数、Psumは個眼撮像領域の画素数の総和、varは異焦点数を表している。まず、式(1)の左辺側について説明する。式(1)の左辺は複眼撮像装置のS/N比制御に関する不等式であり、式(1)の左辺側を変形すると次式のように表現することができる。
ここで、画素ピッチの二乗と画素数の積は利用する撮像領域の面積に相当するため、式(2)において、個眼撮像領域の画素数の平均値PAVEと撮像素子の撮像領域の面積Sの比は、撮像素子が画素数PAVEであった時の画素ピッチの二乗の逆数となる。また、前述のように、同焦点数が多くなるほど、S/N比が向上するため撮像素子の画素ピッチpと撮像素子が画素数PAVEであった時の画素ピッチの二乗比に積算されている。
式(2)の右辺は全体が平方根で表現されているが、本発明においてノイズは主にショットノイズに着目しており、検出する光電子数がショットノイズの平方根に相当するため、このように表現している。また、式(2)の左辺はS/N比の評価値であり、ここでは0.15と設定している。これは、経験的に算出された値であり、この値を下回るとS/Nが悪化し、S/N比の高い画像を出力可能な複眼撮像装置を提供するには、この式(2)の不等式を満たしておく必要がある。
続いて、式(1)の右辺側について説明する。式(1)の右辺は複眼撮像装置の画素数に関する不等式であり、式(1)の右辺側を変形すると次式のように表現することができる。
ここで、右辺の分母側は異焦点数varと最も望遠側の結像光学系の数Ntとで表現されており、異なる結像光学系の間で同焦点数が等しければ、これらの積の値は結像光学系の総数に等しくなる。異なる結像光学系の間で同焦点数が一致する必要はないが、同焦点数に差をつけてしまい過ぎると複眼撮像装置を用いて連続的ズーム機能を行った際に、画質に悪影響を及ぼすため、基本的には同焦点数に大きく差をつけない方が良いといえる。よって、式(3)の右辺の分母側は結像光学系の総数か、あるいはそれに近い値が理想的であるということになる。また式(3)の右辺の分子側は個眼撮像領域の画素数の総和としているため、式(3)の右辺はほぼ個眼撮像領域の画素数となる。式(3)の左辺は画素数の評価値であり、ここでは2.0×106と設定している。これは近年動画の標準的な規格として利用されているフルHDの解像度が約2.0M程度であり、撮像装置としての画素数も最低限2.0M程度は必要であり、十分な画素数を有する複眼撮像装置を提供するには、この式(3)の不等式を満たしておく必要がある。
よって、式(2)、(3)から式(1)が導かれ、式(1)で示される範囲内に最も望遠側の結像光学系の数Ntを収めることで、無駄の少ない、バランスのとれた複眼撮像装置を提供することができる。
より望ましくは以下の式を満たすとよい。
式(4)は式(1)の評価値を変化させた不等式であり、下限値についてはS/N比の評価値を0.15から0.2に引き上げている。S/N比を式(1)に対して、約1.3倍高くしており、望遠側の結像光学系の数Ntがこの下限値を上回ることでより画質の優れた画像を出力することができるようになる。一方、上限値については、画素数の評価値を2.0×106から6.7×106に引き上げており、この値を約3倍することでおおよそ20Mとなる。このように20M程度に解像度を向上させることができれば、結像光学系と撮像素子が一対一で対応する通常の撮像装置と比べて解像度の確保が難しい複眼撮像装置において、現存する最高クラスのデジタルカメラの解像度レベルまで引き上げることが可能となる。こうした解像度を高める手法は種々存在するが、本発明の複眼撮像装置においては、同じ画角の画像を複数取得することができるため、複数の画像情報を用いて解像度を高める手法が考えられる。ここで、図2や図3で示されるような複眼撮像装置で撮影を行った場合、焦点距離が等しい結像光学系間でも、配置している位置のずれ量に起因した視差があるため、それぞれの個眼撮像領域から得られる画像は視差量の分ずれることになる。こうした被写体像と画素との位置関係が相互にずれた複数の画像情報を取得し、それらの複数画像を合成することによって高解像度の画像を生成する手法というのが存在し、一般的に「画素ずらし」と呼ばれる技術として知られている。こうした技術を組み合わせることで、さらに解像度の高い、より鮮鋭な画像を生成することが可能となる。
また、式(1)、(2)、(3)、(4)では結像光学系の数にNtを使用しているが、これは基本的に本発明では異なる焦点距離の結像光学系間で同焦点数が等しいか、あるいは広角側の方が多いため、結像光学系の数Ntを使用している。前述のように中間画角の画像を生成する際に望遠画像を嵌め込むことで、その一部領域は解像度を高めることができるが、それ以外の領域、つまり望遠画像に映らないより広角側の領域については、この手法では解像度を高めることができない。こうした領域の解像度高める手法の一つとして、広角側の結像光学系の数を増やすことで望遠画像に映らないより広角側の領域の画質も確保するという方法が考えられる。本発明では、広角側から望遠側までの画質のバランスを保つため、異なる焦点距離の結像光学系間で同焦点数が等しいかあるいは広角側の眼数を多く配置している。言い換えれば、結像光学系の総眼数が異なる焦点距離の数(または、同焦点数)の整数倍にならないときは、望遠側の眼数Ntよりも広角側の眼数Nwを多くすることで、より画質の変動が少なくバランスのとれた構成を実現している。したがって、本発明の結像光学系は、任意の焦点距離を有する光学系iと該任意の焦点距離よりも長い焦点距離を有する光学系hとを有するとき、光学系iの数をNi、光学系hの数をNh、としたとき、
Ni≧Nh
なる条件を満たすようにしてもよい。
また、先に説明したように、基本的には焦点距離の異なる結像光学系間で同焦点数に大きく差をつけないように、同じ数だけ配置しようとしても、結像光学系の総数や配置方法等の制約により、同焦点数を揃えることができない場合がある。図2(b)のような構成の場合、広角と望遠の2つの焦点距離の結像光学系で9つ配置しようとすると、余数が発生する。このような場合においては上記のように、余りの1つ分を広角の結像光学系に充てることで、よりバランスのとれた複眼撮像装置を構成することができる。
式(5)は複眼撮像装置の焦点距離の異なる結像光学系間で同焦点数が同じになるよう配分しようとした際に余数が発生したときの評価を行うための不等式である。
ここで、floor(x)は、実数xに対するx以下の最大の整数で定義される床関数である。
式(5)において、Nwは結像光学系内で最も広角側の結像光学系の数である。また、y=floor(x)としたとき、yはx以下の最大の整数とする。この式(5)の不等式を満たすよう複眼撮像装置を構成することにより、結像光学系の端数を広角側に割り当てることで、望遠画像に映らないより広角側の領域の画質確保を容易に実行することができる。
より望ましくは以下の式を満たすとよい。
式(6)を満たすことで、各結像光学系群における同焦点数の配分が偏ることなくより均等になるため、よりバランスのとれた複眼撮像装置を提供することができる。
以下に本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図4は、本実施例における複眼撮像装置1のブロック図、図1は、複眼撮像装置1の撮像ユニット1100の斜視図、図5は、撮像ユニット1100の正面図である。また、図20は複眼撮像装置1の外観のイメージ図である。
複眼撮像装置1は、撮像ユニット1100、A/D変換器10、画像処理部20、システムコントローラー30、撮像制御部40、情報入力部50、画像記録媒体60、表示部70を有する。複眼撮像装置1は、レンズ一体型の撮像装置でもよいし、結像光学系(撮像光学系)を有するレンズ装置と、レンズ装置が着脱可能に装着されて撮像素子を有する撮像装置本体から構成されてもよい。
図1、図5に示すように、撮像ユニット1100は、それぞれが物体の光学像を形成する16個の結像光学系(撮像光学系)1110a、b、c、d、1120a、b、c、d、1130a、b、c、d、1140a、b、c、dと、撮像素子1200と、を有する。各結像光学系は、前群ユニット1100Fと、後群ユニット1100Rとを有し、不図示の絞りなどの他の部材も結像光学系ごとに含んでいる。前群ユニット1100F及び、後群ユニット1100Rに搭載される各結像光学系のレンズの数は一または複数である。
撮像素子1200は図7に示されるように16個に区画された個眼撮像領域1210a、b、c、d、1220a、b、c、d、1230a、b、c、d、1240a、b、c、dで構成される。
個眼撮像領域1210a、b、c、dがそれぞれ結像光学系1110a、b、c、dに対応する。個眼撮像領域1220a、b、c、dがそれぞれ結像光学系1120a、b、c、dに対応する。個眼撮像領域1230a、b、c、dがそれぞれ結像光学系1130a、b、c、dに対応する。個眼撮像領域1240a、b、c、dがそれぞれ結像光学系1140a、b、c、dに対応する。
図5に示すように、16個の結像光学系(個眼)1110a−d、1120a−d、1130a−d、1140a−dの光軸はほぼ平行になるように配置される。同一の参照番号を付された4つの結像光学系a、b、c、d(光学系群)は同一の焦点距離を有し、異なる参照番号を付された結像光学系(1110,1120,1130,1140)は互いに異なる焦点距離を有する。本実施形態では、異なる焦点距離を有する4組の結像光学系が設けられている。結像光学系(第2光学系)1110a、b、c、d(ワイド個眼)は、16個の結像光学系の中で最も短い焦点距離を有する広角結像光学系対である。結像光学系1120a、b、c、d(ワイドミドル個眼)は結像光学系1110a、b、c、dに比べて焦点距離が長い。結像光学系1130a、b、c、d(テレミドル個眼)は結像光学系1120a、b、c、dよりも焦点距離が長い。結像光学系(第1光学系)1140a、b、c、d(テレ個眼)は結像光学系1130a、b、c、dよりも焦点距離が長く、16個の結像光学系の中で最も長い焦点距離を有する望遠結像光学系対である。
図6は、結像光学系1110a、1120a、1130a、1140aに対応する撮像イメージ1101a,1102a,1103a,1104aを示す。図6に示すように、結像光学系1110aに対応する撮像イメージ1101aが最も広い被写体空間となる。同様に、1120a、1130a、1140aに対応する撮像イメージ1102a,1103a,1104aは焦点距離に応じて撮像される被写体空間が狭くなっている。
図4に戻り本発明の複眼撮像装置1の構成について説明する。
撮像ユニット1100に含まれる図5の16個の結像光学系は複眼を構成し、16個に分割された撮像素子1200の個眼撮像領域はそれぞれ対応する結像光学系を介して撮像素子面上に到達した光学像を電気信号(アナログ信号)に変換する。
A/D変換器10は撮像ユニット1100に含まれる撮像素子1200の各個眼撮像領域から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して画像処理部20に供給する。
画像処理部20は、A/D変換器10からの各画像データに対して所定の画素補間処理や色変換処理等を行い、また、撮像した各画像データを用いて所定の演算処理が行われる。画像処理部20が処理した結果はシステムコントローラー30に送信される。
情報入力部50は、使用者が所望の撮影条件を選択して入力する情報を不図示の情報取得部によって取得してシステムコントローラー30にデータを供給する。システムコントローラー30は、送信されたデータに基づいて撮像制御部40を制御し、撮像制御部40はフォーカス移動量、各結像光学系の絞り値、露出時間、夫々に対応した撮像素子を制御することで必要な画像を取得する。
画像記録媒体60は、複数の静止画や動画を格納する他、画像ファイルを構成する場合のファイルヘッダを格納する。表示部70は、画像、状態、異常などを表示し、液晶表示素子などから構成される。
次に、図7を用いて、本実施例における撮像ユニット1100の詳細な仕様について説明する。
図7は撮像ユニット内の撮像素子1200のイメージ図である。外枠の実線で描かれた長方形は撮像素子を表しており、撮像素子サイズは長辺36mm、短辺24mm、画素ピッチが1.2μmであるとする。また、図7の点線で描かれた円は結像光学系のイメージサークル、円に内接する実線の長方形は個眼撮像領域を表している。本実施例では、短辺方向に各結像光学系のイメージサークルが外接するように配列されている構成となっており、短辺の長さが24mmであるため、各結像光学系のイメージサークルの直径の長さは約6.00mmとなる。換言すれば、複数の光学系は、そのイメージサークルが、撮像素子1200の互いに直交する辺の少なくとも一辺に沿って外接するように配置される。
次に、各結像光学系のイメージサークルに内接している個眼撮像領域について説明する。個眼撮像領域は前述のようにイメージサークルの範囲内であればどの範囲でも設定することは可能であり、また各個眼撮像領域の大きさも領域毎に異ならせることもできるが、本実施例では大きさの等しい長方形として設定している。長方形の各辺は、元の撮像素子の短辺と各個眼撮像領域の短辺が平行になるように設定し、長辺についても同様に元の撮像素子と平行になるように設定する。個眼撮像領域の各辺の長さについては長辺が約4.99mm、短辺が約3.33mmとし、短辺、長辺の比が元の撮像素子と同じ2:3になるとする。この様に各個眼撮像領域を設定すると、元の撮像素子との面積比からおおよその個眼撮像領域の画素数が見積もることができ、本実施例の各個眼撮像領域の画素数は約1154万画素となる。
また、本実施例における最も焦点距離の短い結像光学系で構成される結像光学系群Grwは、図5に示される結像光学系1110a、b、c、dで、結像光学系の数はNw=4となる。そして、本実施例における最も焦点距離の長い結像光学系で構成される結像光学系群Grtは、図5に示される結像光学系1140a、b、c、dで、結像光学系の数はNt=4となる。
本実施例における式(1)、式(4)に関連する撮像領域の面積S、画素ピッチp、個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も望遠側の結像光学系の数Nt、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表1、表2に記す。
同様に、本実施例における式(5)に関連する個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も広角側の結像光学系の数Nw、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表3に記す。
表1、2より、本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の下限値を上回っており、S/N比が十分に高い画像を出力可能な複眼撮像装置であるということがいえる。また、表1、2より本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の上限値を下回っており十分に画素数を有する画像を出力可能な複眼撮像装置の構成であるということがいえる。
また、式(5)、(6)については本実施例では焦点距離の異なる結像光学系間で同焦点数が等しい構成になっているため、式(5)、(6)の不等式も満たすことができている。
以上のことから、本実施例の複眼撮像装置は撮像素子の大きさに対し個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数のバランスがとれた構成であり、このような構成にすることで高画質且つ高解像度な画像を出力可能な異焦点複眼雑像装置を提供することができる。つまり、本発明によれば、撮像素子の大きさに対して個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数の割合を最適化することで高画質且つ高解像度な画像を出力できる小型な異焦点複眼撮像装置を提供することができる。
また、本発明の構成によってビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像装置を、薄型、高変倍比でありながら、撮影する被写体空間についての空間情報を容易に取得することができる撮像装置へと発展させることも可能となる。
本実施例における複眼撮像装置は撮像ユニット2100の結像光学系と撮像素子2200の構成のみ実施例1と異なり、他の部分の構成は同一であるため、結像光学系と撮像素子2200に関して説明する。図8は、撮像ユニット2100の正面図である。
複眼撮像装置は、それぞれが物体の光学像を形成する9個の結像光学系(撮像光学系)2110a、b、c、2120a、b、2130a、b、2140a、bと、撮像素子2200と、を有する。
各結像光学系は、不図示の絞りなどの他の部材も結像光学系ごとに含んでいる。各結像光学系は複数のレンズで構成されている。
撮像素子2200は9個に区画された個眼撮像領域2210a、b、c、2220a、b、2230a、b、2240a、bで構成される。
個眼撮像領域2210a、b、cがそれぞれ結像光学系2110a、b、cに対応し、個眼撮像領域2220a、bがそれぞれ結像光学系2120a、bに対応する。また、個眼撮像領域2230a、bがそれぞれ結像光学系2130a、bに対応し、個眼撮像領域2240a、bがそれぞれ結像光学系2140a、bに対応する。
実施例1と同様に9個の結像光学系(撮像光学系)2110a、b、c、2120a、b、2130a、b、2140a、bの光軸はほぼ平行になるように配置される。同一の参照番号を付された結像光学系(a、b、cまたはa、b)は同一の焦点距離を有し、異なる参照番号を付された結像光学系(2110,2120,2130,2140)は互いに異なる焦点距離を有する。本実施形態では、異なる焦点距離を有する4組の結像光学系が設けられている。結像光学系2110a、b、c(ワイド個眼)は、9個の結像光学系の中で最も短い焦点距離を有する広角結像光学系対である。結像光学系2120a、b(ワイドミドル個眼)は結像光学系2110a、bに比べて焦点距離が長い。結像光学系2130a、b(テレミドル個眼)は結像光学系2120a、bよりも焦点距離が長い。結像光学系2140a、b(テレ個眼)は結像光学系2130a、bよりも焦点距離が長く、9個の結像光学系の中で最も長い焦点距離を有する望遠結像光学系対である。
次に、図9を用いて、本実施例における撮像ユニット2100の詳細な仕様について説明する。
図9は撮像ユニット内の撮像素子2200のイメージ図である。外枠の実線で描かれた長方形は撮像素子を表しており、撮像素子サイズは長辺22.3mm、短辺14.9mm、画素ピッチが1.2μmであるとする。また、図9の点線で描かれた円は結像光学系のイメージサークル、円に内接する実線の長方形は個眼撮像領域を表している。本実施例では、短辺方向に各結像光学系のイメージサークルが外接するように配列されている構成となっており、短辺の長さが14.9mmであるため、各結像光学系のイメージサークルの直径の長さは約4.96mmとなる。換言すれば、複数の光学系は、そのイメージサークルが、撮像素子2200の互いに直交する辺の少なくとも一辺に沿って外接するように配置される。
次に、各結像光学系のイメージサークルに内接している個眼撮像領域について説明する。個眼撮像領域は前述のようにイメージサークルの範囲内であればどの範囲でも設定することは可能であり、また各個眼撮像領域の大きさも領域毎に異ならせることもできるが、本実施例では大きさの等しい長方形として設定している。長方形の各辺は、元の撮像素子の短辺と各個眼撮像領域の短辺が平行になるように設定し、長辺についても同様に元の撮像素子と平行になるように設定する。個眼撮像領域の各辺の長さについては長辺が約4.13mm、短辺が約2.75mmとし、短辺、長辺の比が元の撮像素子と同じ2:3になるとする。この様に各個眼撮像領域を設定すると、元の撮像素子との面積比からおおよその個眼撮像領域の画素数が見積もることができ、本実施例の各個眼撮像領域の画素数は約789万画素となる。
また、本実施例における最も焦点距離の短い結像光学系で構成される結像光学系群Grwは、図8に示される結像光学系2110a、b、cで、結像光学系の数はNw=3となる。そして、本実施例における最も焦点距離の長い結像光学系で構成される結像光学系群Grtは、図8に示される結像光学系2140a、bで、結像光学系の数はNt=2となる。
本実施例における式(1)、式(4)に関連する撮像領域の面積S、画素ピッチp、個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も望遠側の結像光学系の数Nt、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表1、表2に記す。
同様に、本実施例における式(5)に関連する個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も広角側の結像光学系の数Nw、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表3に記す。
表1、2より、本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の下限値を上回っており、S/N比が十分に高い画像を出力可能な複眼撮像装置であるということがいえる。また、表1、2より本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の上限値を下回っており十分に画素数を有する画像を出力可能な複眼撮像装置の構成であるということがいえる。
また、式(5)、(6)については本実施例では焦点距離の異なる結像光学系間でテレ個眼よりもワイド個眼の同焦点数の方が多い構成になっているため、式(5)、(6)の不等式も満たすことができている。
以上のことから、本実施例の複眼撮像装置は撮像素子の大きさに対し個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数のバランスがとれた構成であり、このような構成にすることで高画質且つ高解像度な画像を出力可能な異焦点複眼雑像装置を提供することができる。つまり、本発明によれば、撮像素子の大きさに対して個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数の割合を最適化することで高画質且つ高解像度な画像を出力できる小型な異焦点複眼撮像装置を提供することができる。
また、本発明の構成によってビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像装置を、薄型、高変倍比でありながら、撮影する被写体空間についての空間情報を容易に取得することができる撮像装置へと発展させることも可能となる。
本実施例における複眼撮像装置は撮像ユニット3100の結像光学系と撮像素子3200の構成のみ実施例1と異なり、他の部分の構成は同一であるため、結像光学系と撮像素子3200に関して説明する。図10は、撮像ユニット3100の正面図である。
複眼撮像装置は、それぞれが物体の光学像を形成する36個の結像光学系(撮像光学系)と、撮像素子3200と、を有する。36個の結像光学系は、結像光学系3110a、b、c、d、e、f、g、h、i、3120a、b、c、d、e、f、g、h、i、3130a、b、c、d、e、f、g、h、i、3140a、b、c、d、e、f、g、h、iを有する。
各結像光学系は、不図示の絞りなどの他の部材も結像光学系ごとに含んでいる。各結像光学系は複数のレンズで構成されている。
撮像素子3200は36個に区画された個眼撮像領域3210a、b、c、d、e、f、g、h、i、3220a、b、c、d、e、f、g、h、i、3230a、b、c、d、e、f、g、h、i、3240a、b、c、d、e、f、g、h、iで構成される。
個眼撮像領域3210a、b、c、d、e、f、g、h、iがそれぞれ結像光学系3110a、b、c、d、e、f、g、h、iに対応する。また、個眼撮像領域3220a、b、c、d、e、f、g、h、iがそれぞれ結像光学系3120a、b、c、d、e、f、g、h、iに対応する。また、個眼撮像領域3230a、b、c、d、e、f、g、h、iがそれぞれ結像光学系3130a、b、c、d、e、f、g、h、iに対応する。また、個眼撮像領域3240a、b、c、d、e、f、g、h、iがそれぞれ結像光学系3140a、b、c、d、e、f、g、h、iに対応する。
実施例1と同様に36個の結像光学系(撮像光学系)3110a−i、3120a−i、3130a−i、3140a−iの光軸はほぼ平行になるように配置される。同一の参照番号を付された9つの結像光学系a、b、c、d、e、f、g、h、iは同一の焦点距離を有し、異なる参照番号を付された結像光学系(3110,3120,3130,3140)は互いに異なる焦点距離を有する。本実施形態では、異なる焦点距離を有する4組の結像光学系が設けられている。結像光学系3110a−i(ワイド個眼)は、36個の結像光学系の中で最も短い焦点距離を有する広角結像光学系対である。結像光学系3120a−i(ワイドミドル個眼)は結像光学系3110a−iに比べて焦点距離が長い。結像光学系3130a−i(テレミドル個眼)は結像光学系3120a−iよりも焦点距離が長い。結像光学系3140a−i(テレ個眼)は結像光学系3130a−iよりも焦点距離が長く、36個の結像光学系の中で最も長い焦点距離を有する望遠結像光学系対である。
次に、図11を用いて、本実施例における撮像ユニット3100の詳細な仕様について説明する。
図11は撮像ユニット内の撮像素子3200のイメージ図である。外枠の実線で描かれた長方形は撮像素子を表しており、撮像素子サイズは長辺36mm、短辺24mm、画素ピッチが1.2μmであるとする。また、図11の点線で描かれた円は結像光学系のイメージサークル、円に内接する実線の長方形は個眼撮像領域を表している。本実施例では、36個に区画された個眼撮像領域の面積が最大になるように、各結像光学系を格子状の配置から少しずらして配置している。本実施例では、各結像光学系の隣接するイメージサークル同士が外接しており、参照番号が等しい結像光学系のイメージサークルの中心を線分で結ぶと、短辺と平行な直線となる。
本実施例における各結像光学系のイメージサークルの直径の長さは約5.12mmとなる。
次に、各結像光学系のイメージサークルに内接している個眼撮像領域について説明する。個眼撮像領域は前述のようにイメージサークルの範囲内であればどの範囲でも設定することは可能であり、また各個眼撮像領域の大きさも領域毎に異ならせることもできるが、本実施例では大きさの等しい長方形として設定している。長方形の各辺は、元の撮像素子の短辺と各個眼撮像領域の短辺が平行になるように設定し、長辺についても同様に元の撮像素子と平行になるように設定する。個眼撮像領域の各辺の長さについては長辺が約4.26mm、短辺が約2.84mmとし、短辺、長辺の比が元の撮像素子と同じ2:3になるとする。この様に各個眼撮像領域を設定すると、元の撮像素子との面積比からおおよその個眼撮像領域の画素数が見積もることができ、本実施例の各個眼撮像領域の画素数は約840万画素となる。
また、本実施例における最も焦点距離の短い結像光学系で構成される結像光学系群Grwは、図10に示される結像光学系3110a、b、c、d、e、f、g、h、iで、結像光学系の数はNw=9となる。そして、本実施例における最も焦点距離の長い結像光学系で構成される結像光学系群Grtは、図10に示される結像光学系3140a、b、c、d、e、f、g、h、iで、結像光学系の数はNt=9となる。
本実施例における式(1)、式(4)に関連する撮像領域の面積S、画素ピッチp、個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も望遠側の結像光学系の数Nt、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表1、表2に記す。
同様に、本実施例における式(5)に関連する個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も広角側の結像光学系の数Nw、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表3に記す。
表1、2より、本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の下限値を上回っており、S/N比が十分に高い画像を出力可能な複眼撮像装置であるということがいえる。また、表1、2より本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の上限値を下回っており十分に画素数を有する画像を出力可能な複眼撮像装置の構成であるということがいえる。
また、式(5)、(6)については本実施例では焦点距離の異なる結像光学系間で同焦点数が等しい構成になっているため、式(5)、(6)の不等式も満たすことができている。
以上のことから、本実施例の複眼撮像装置は撮像素子の大きさに対し個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数のバランスがとれた構成であり、このような構成にすることで高画質且つ高解像度な画像を出力可能な異焦点複眼雑像装置を提供することができる。つまり、本発明によれば、撮像素子の大きさに対して個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数の割合を最適化することで高画質且つ高解像度な画像を出力できる小型な異焦点複眼撮像装置を提供することができる。
また、本発明の構成によってビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像装置を、薄型、高変倍比でありながら、撮影する被写体空間についての空間情報を容易に取得することができる撮像装置へと発展させることも可能となる。
本実施例における複眼撮像装置は撮像ユニット4100の結像光学系と撮像素子4200の構成のみ実施例1と異なり、他の部分の構成は同一であるため、結像光学系と撮像素子4200に関して説明する。図12は、撮像ユニット4100の正面図である。
複眼撮像装置は、それぞれが物体の光学像を形成する4個の結像光学系(撮像光学系)4110a、b、4120a、bと、撮像素子4200と、を有する。
各結像光学系は、不図示の絞りなどの他の部材も結像光学系ごとに含んでいる。各結像光学系は複数のレンズで構成されている。
撮像素子4200は4個に区画された個眼撮像領域4210a、b、4220a、bで構成される。
個眼撮像領域4210a、bがそれぞれ結像光学系4110a、bに対応し、個眼撮像領域4220a、bがそれぞれ結像光学系4120a、bに対応する。
実施例1と同様に4個の結像光学系(撮像光学系)4110a、b、4120a、bの光軸はほぼ平行になるように配置される。同一の参照番号を付された2つの結像光学系a、bは同一の焦点距離を有し、異なる参照番号を付された結像光学系(4110,4120)は互いに異なる焦点距離を有する。本実施形態では、異なる焦点距離を有する2組の結像光学系が設けられている。結像光学系4110a、b(ワイド個眼)は、4120a、bよりも短い焦点距離を有する広角結像光学系対である。逆に結像光学系4120a、b(テレ個眼)は結像光学系4110a、bよりも長い焦点距離を有する望遠結像光学系対である。
次に、図13を用いて、本実施例における撮像ユニット4100の詳細な仕様について説明する。
図13は撮像ユニット内の撮像素子4200のイメージ図である。外枠の実線で描かれた長方形は撮像素子を表しており、撮像素子サイズは長辺6.4mm、短辺4.6mm、画素ピッチが1.0μmであるとする。また、図13の点線で描かれた円は結像光学系のイメージサークル、円に内接する実線の長方形は個眼撮像領域を表している。本実施例では、短辺方向に各結像光学系のイメージサークルが外接するように配列されている構成となっており、短辺の長さが4.6mmであるため、各結像光学系のイメージサークルの直径の長さは約2.3mmとなる。換言すれば、複数の光学系は、そのイメージサークルが、撮像素子4200の互いに直交する辺の少なくとも一辺に沿って外接するように配置される。
次に、各結像光学系のイメージサークルに内接している個眼撮像領域について説明する。個眼撮像領域は前述のようにイメージサークルの範囲内であればどの範囲でも設定することは可能であり、また各個眼撮像領域の大きさも領域毎に異ならせることもできるが、本実施例では大きさの等しい長方形として設定している。長方形の各辺は、元の撮像素子の短辺と各個眼撮像領域の短辺が平行になるように設定し、長辺についても同様に元の撮像素子と平行になるように設定する。個眼撮像領域の各辺の長さについては長辺が約1.91mm、短辺が約1.28mmとし、短辺、長辺の比は2:3になるとする。この様に各個眼撮像領域を設定すると、元の撮像素子との面積比からおおよその個眼撮像領域の画素数が見積もることができ、本実施例の各個眼撮像領域の画素数は約244万画素となる。
また、本実施例における最も焦点距離の短い結像光学系で構成される結像光学系群Grwは、図12に示される結像光学系4110a、bで、結像光学系の数はNw=2となる。そして、本実施例における最も焦点距離の長い結像光学系で構成される結像光学系群Grtは、図12に示される結像光学系4120a、bで、結像光学系の数はNt=2となる。
本実施例における式(1)、式(4)に関連する撮像領域の面積S、画素ピッチp、個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も望遠側の結像光学系の数Nt、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表1、表2に記す。
同様に、本実施例における式(5)に関連する個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も広角側の結像光学系の数Nw、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表3に記す。
表1、2より、本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の下限値を上回っており、S/N比が十分に高い画像を出力可能な複眼撮像装置であるということがいえる。また、表1、2より本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)の上限値を下回っており十分に画素数を有する画像を出力可能な複眼撮像装置の構成であるということがいえる。
また、式(5)、(6)については本実施例では焦点距離の異なる結像光学系間で同焦点数が等しい構成になっているため、式(5)、(6)の不等式も満たすことができている。
以上のことから、本実施例の複眼撮像装置は撮像素子の大きさに対し個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数のバランスがとれた構成であり、このような構成にすることで高画質且つ高解像度な画像を出力可能な異焦点複眼雑像装置を提供することができる。つまり、本発明によれば、撮像素子の大きさに対して個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数の割合を最適化することで高画質且つ高解像度な画像を出力できる小型な異焦点複眼撮像装置を提供することができる。
また、本発明の構成によってビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像装置を、薄型、高変倍比でありながら、撮影する被写体空間についての空間情報を容易に取得することができる撮像装置へと発展させることも可能となる。
本実施例における複眼撮像装置は撮像ユニット5100の結像光学系と撮像素子5200の構成のみ実施例1と異なり、他の部分の構成は同一であるため、結像光学系と撮像素子5200に関して説明する。図14は、撮像ユニット5100の正面図である。
複眼撮像装置は、それぞれが物体の光学像を形成する9個の結像光学系(撮像光学系)5110a、b、c、5120a、bと、5130a、bと、5140a、bと、撮像素子5200と、を有する。
各結像光学系は、不図示の絞りなどの他の部材も結像光学系ごとに含んでいる。各結像光学系は複数のレンズで構成されている。
撮像素子5200は9個に区画された個眼撮像領域5210a、b、c、5220a、b、5230a、b、5240a、bで構成される。
個眼撮像領域5210a、b、cがそれぞれ結像光学系5110a、b、cに対応し、個眼撮像領域5220a、bがそれぞれ結像光学系5120a、bに対応する。また、個眼撮像領域5230a、bがそれぞれ結像光学系5130a、bに対応し、個眼撮像領域5240a、bがそれぞれ結像光学系5140a、bに対応する。
実施例1と同様に9個の結像光学系(撮像光学系)5110a、b、c、5120a、b、5130a、b、5140a、b、の光軸はほぼ平行になるように配置される。同一の参照番号を付された結像光学系(a、b、cまたはa、b)は同一の焦点距離を有し、異なる参照番号を付された結像光学系(5110,5120,5130,5140)は互いに異なる焦点距離を有する。本実施形態では、異なる焦点距離を有する4組の結像光学系が設けられている。結像光学系5110a、b、c(ワイド個眼)は、9個の結像光学系の中で最も短い焦点距離を有する広角結像光学系対である。結像光学系5120a、b(ワイドミドル個眼)は結像光学系5110a、bに比べて焦点距離が長い。結像光学系5130a、b(テレミドル個眼)は結像光学系5120a、bよりも焦点距離が長い。結像光学系5140a、b(テレ個眼)は結像光学系5130a、bよりも焦点距離が長く、9個の結像光学系の中で最も長い焦点距離を有する望遠結像光学系対である。
次に、図15を用いて、本実施例における撮像ユニット5100の詳細な仕様について説明する。
図15は撮像ユニット内の撮像素子5200のイメージ図である。外枠の実線で描かれた長方形は撮像素子を表しており、撮像素子サイズは長辺36mm、短辺24mm、画素ピッチが1.2μmであるとする。また、図15の点線で描かれた円は結像光学系のイメージサークル、一点鎖線で描かれた円は結像光学系の外径、円に内接する実線の長方形は個眼撮像領域を表している。結像光学系の外径よりもイメージサークルの方が大きい場合は、イメージサークルが接するように各結像光学系を配置できるが、イメージサークルよりも結像光学系の外径の方が大きい場合は結像光学系同士が干渉しないように配置する必要がある。本実施例における各結像光学系の外形を表した円同士が外接しているものとし、外形の円の直径はイメージサークルの直径の1.5倍ほど大きいものとする。具体的には、結像光学系の直径が8mm、イメージサークルの直径が5.33mmとなる。換言すれば、複数の光学系は、該複数の光学系のイメージサークルよりも該複数の光学系の外径を表した円の方が大きい場合は、該円が撮像素子5200の互いに直交する辺の少なくとも一方の辺に沿って外接するように配置される。
次に、各結像光学系のイメージサークルに内接している個眼撮像領域について説明する。個眼撮像領域は前述のようにイメージサークルの範囲内であればどの範囲でも設定することは可能であり、また各個眼撮像領域の大きさも領域毎に異ならせることもできるが、本実施例では大きさの等しい長方形として設定している。長方形の各辺は、元の撮像素子の短辺と各個眼撮像領域の短辺が平行になるように設定し、長辺についても同様に元の撮像素子と平行になるように設定する。個眼撮像領域の各辺の長さについては長辺が約4.43mm、短辺が約2.96mmとし、短辺、長辺の比が元の撮像素子と同じ2:3になるとする。この様に各個眼撮像領域を設定すると、元の撮像素子との面積比からおおよその個眼撮像領域の画素数が見積もることができ、本実施例の各個眼撮像領域の画素数は約911万画素となる。
また、本実施例における最も焦点距離の短い結像光学系で構成される結像光学系群Grwは、図14に示される結像光学系5110a、b、cで、結像光学系の数はNw=3となる。そして、本実施例における最も焦点距離の長い結像光学系で構成される結像光学系群Grtは、図14に示される結像光学系5140a、bで、結像光学系の数はNt=2となる。
本実施例における式(1)、式(4)に関連する撮像領域の面積S、画素ピッチp、個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和PSUM、最も望遠側の結像光学系の数Nt、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表1、表2に記す。
同様に、本実施例における式(5)に関連する個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和PSUM、最も広角側の結像光学系の数Nw、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表3に記す。
表1、2より、本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)の下限値を上回っており、S/N比が十分に高い画像を出力可能な複眼撮像装置であるということがいえる。また、表1、2より本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の上限値を下回っており十分に画素数を有する画像を出力可能な複眼撮像装置の構成であるということがいえる。
また、式(5)、(6)については本実施例では焦点距離の異なる結像光学系間でテレ個眼よりもワイド個眼の同焦点数の方が多い構成になっているため、式(5)、(6)の不等式も満たすことができている。
以上のことから、本実施例の複眼撮像装置は撮像素子の大きさに対し個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数のバランスがとれた構成であり、このような構成にすることで高画質且つ高解像度な画像を出力可能な異焦点複眼雑像装置を提供することができる。つまり、本発明によれば、撮像素子の大きさに対して個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数の割合を最適化することで高画質且つ高解像度な画像を出力できる小型な異焦点複眼撮像装置を提供することができる。
また、本発明の構成によってビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像装置を、薄型、高変倍比でありながら、撮影する被写体空間についての空間情報を容易に取得することができる撮像装置へと発展させることも可能となる。
本実施例における複眼撮像装置は撮像ユニット6100の結像光学系と撮像素子6200の構成のみ実施例1と異なり、他の部分の構成は同一であるため、結像光学系と撮像素子6200に関して説明する。図16は、撮像ユニット6100の正面図である。
複眼撮像装置は、それぞれが物体の光学像を形成する12個の結像光学系(撮像光学系)6110a、b、c、d、6120a、b、c、d、6130a、b、c、dと、撮像素子6200と、を有する。
各結像光学系は、不図示の絞りなどの他の部材も結像光学系ごとに含んでいる。各結像光学系は複数のレンズで構成されている。
撮像素子6200は12個に区画された個眼撮像領域6210a、b、c、d、6220a、b、c、d、6230a、b、c、dで構成される。
個眼撮像領域6210a、b、c、dがそれぞれ結像光学系6110a、b、c、dに対応し、個眼撮像領域6220a、b、c、dがそれぞれ結像光学系6120a、b、c、dに対応する。また、個眼撮像領域6230a、b、c、dがそれぞれ結像光学系6130a、b、c、dに対応する。
実施例1と同様に12個の結像光学系(撮像光学系)6110a、b、c、d、6120a、b、c、d、6130a、b、c、dの光軸はほぼ平行になるように配置される。同一の参照番号を付された4つの結像光学系a、b、c、dは同一の焦点距離を有し、異なる参照番号を付された結像光学系(6110,6120,6130)は互いに異なる焦点距離を有する。本実施形態では、異なる焦点距離を有する3組の結像光学系が設けられている。結像光学系6110a、b、c、d(ワイド個眼)は、12個の結像光学系の中で最も短い焦点距離を有する広角結像光学系対である。結像光学系6120a、b、c、d(ミドル個眼)は結像光学系6110a、b、c、dに比べて焦点距離が長い。結像光学系6130a、b、c、d(テレ個眼)は結像光学系6120a、b、c、dよりも焦点距離が長く、12個の結像光学系の中で最も長い焦点距離を有する望遠結像光学系対である。
次に、図17を用いて、本実施例における撮像ユニット6100の詳細な仕様について説明する。
図17は撮像ユニット内の撮像素子6200のイメージ図である。外枠の実線で描かれた長方形は撮像素子を表しており、撮像素子サイズは長辺22.3mm、短辺14.9mm、画素ピッチが1.4μmであるとする。また、図17の点線で描かれた円は結像光学系のイメージサークル、円に内接する実線の長方形は個眼撮像領域を表している。本実施例では、長辺方向に各結像光学系のイメージサークルが外接するように配列されている構成となっており、長辺の長さが22.3mmであるため、各結像光学系のイメージサークルの直径の長さは約5.57mmとなる。図17に示すような構成の場合、隣り合う個眼撮像領域同士の間隔は長辺方向よりも短辺方向の方が広くなる。本実施例では結像光学系の外形の径の大きさが短辺方向に隣り合うイメージサークルの中心の間隔より小さく、尚且つイメージサークルが一部重なるように構成することで、各個眼撮像装置の面積をより広く取れるように構成している。換言すれば、複数の光学系は、該複数の光学系の外径を表した円よりも該複数の光学系のイメージサークルの方が大きい場合は、該イメージサークルの一部が撮像素子6200の互いに直交する辺の少なくとも一方の辺に沿って重なるように配置される。
次に、各結像光学系のイメージサークルに内接している個眼撮像領域について説明する。個眼撮像領域は前述のようにイメージサークルの範囲内であればどの範囲でも設定することは可能であり、また各個眼撮像領域の大きさも領域毎に異ならせることもできるが、本実施例では大きさの等しい長方形として設定している。長方形の各辺は、元の撮像素子の短辺と各個眼撮像領域の短辺が平行になるように設定し、長辺についても同様に元の撮像素子と平行になるように設定する。個眼撮像領域の各辺の長さについては長辺が約4.63mm、短辺が約3.09mmとし、短辺、長辺の比が元の撮像素子と同じ2:3になるとする。この様に各個眼撮像領域を設定すると、元の撮像素子との面積比からおおよその個眼撮像領域の画素数が見積もることができ、本実施例の各個眼撮像領域の画素数は約731万画素となる。
また、本実施例における最も焦点距離の短い結像光学系で構成される結像光学系群Grwは、図16に示される結像光学系6110a、b、c、dで、結像光学系の数はNw=4となる。そして、本実施例における最も焦点距離の長い結像光学系で構成される結像光学系群Grtは、図16に示される結像光学系6130a、b、c、dで、結像光学系の数はNt=4となる。
本実施例における式(1)、式(4)に関連する撮像領域の面積S、画素ピッチp、個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も望遠側の結像光学系の数Nt、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表1、表2に記す。
同様に、本実施例における式(5)に関連する個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も広角側の結像光学系の数Nw、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表3に記す。
表1、2より、本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の下限値を上回っており、S/N比が十分に高い画像を出力可能な複眼撮像装置であるということがいえる。また、表1、2より本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の上限値を下回っており十分に画素数を有する画像を出力可能な複眼撮像装置の構成であるということがいえる。
また、式(5)、(6)については本実施例では焦点距離の異なる結像光学系間で同焦点数が等しい構成になっているため、式(5)、(6)の不等式も満たすことができている。
以上のことから、本実施例の複眼撮像装置は撮像素子の大きさに対し個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数のバランスがとれた構成であり、このような構成にすることで高画質且つ高解像度な画像を出力可能な異焦点複眼雑像装置を提供することができる。つまり、本発明によれば、撮像素子の大きさに対して個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数の割合を最適化することで高画質且つ高解像度な画像を出力できる小型な異焦点複眼撮像装置を提供することができる。
また、本発明の構成によってビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像装置を、薄型、高変倍比でありながら、撮影する被写体空間についての空間情報を容易に取得することができる撮像装置へと発展させることも可能となる。
本実施例における複眼撮像装置は撮像ユニット7100の結像光学系と撮像素子7200の構成のみ実施例1と異なり、他の部分の構成は同一であるため、結像光学系と撮像素子7200に関して説明する。図18は、撮像ユニット7100の正面図である。
複眼撮像装置は、それぞれが物体の光学像を形成する7個の結像光学系(撮像光学系)7110a、b、c、d、7120a、b、cと、撮像素子7200と、を有する。
各結像光学系は、不図示の絞りなどの他の部材も結像光学系ごとに含んでいる。各結像光学系は複数のレンズで構成されている。
撮像素子7200は7個に区画された個眼撮像領域7210a、b、c、d、7220a、b、cで構成される。
個眼撮像領域7210a、b、c、dがそれぞれ結像光学系7110a、b、c、dに対応し、個眼撮像領域7220a、b、cがそれぞれ結像光学系7120a、b、cに対応する。
実施例1と同様に7個の結像光学系(撮像光学系)7110a、b、c、d、7120a、b、cの光軸はほぼ平行になるように配置される。同一の参照番号を付された結像光学系(a、b、c、dまたはa、b、c)は同一の焦点距離を有し、異なる参照番号を付された結像光学系(7110,7120)は互いに異なる焦点距離を有する。本実施形態では、異なる焦点距離を有する2組の結像光学系が設けられている。結像光学系7110a、b、c、d(ワイド個眼)は、7120a、b、cよりも短い焦点距離を有する広角結像光学系対である。逆に結像光学系7120a、b、c(テレ個眼)は結像光学系7110a、b、c、dよりも長い焦点距離を有する望遠結像光学対である。
次に、図19を用いて、本実施例における撮像ユニット7100の詳細な仕様について説明する。
図19は撮像ユニット内の撮像素子7200のイメージ図である。外枠の実線で描かれた長方形は撮像素子を表しており、撮像素子サイズは長辺36mm、短辺24mm、画素ピッチが2.0μmであるとする。また、図19の点線で描かれた円は結像光学系のイメージサークル、一点鎖線で描かれた円は結像光学系の外径、円に内接する実線の長方形は個眼撮像領域を表している。結像光学系の外径よりもイメージサークルの方が大きい場合は、イメージサークルが接するように各結像光学系を配置できるが、イメージサークルよりも結像光学系の外径の方が大きい場合は結像光学系同士が干渉しないように配置する必要がある。結像光学系7110a、b、c、dはイメージサークルと結像光学系の外形が等しいか、あるいはイメージサークルよりも結像光学系の外形の方が小さいものとする。結像光学系7120a、b、cは外形の円の直径はイメージサークルの直径の1.5倍ほど大きいものとし、結像光学系7110a、b、c、dのイメージサークルと結像光学系7120a、b、cの外形が外接しているとする。換言すれば、複数の光学系は、その一部の光学系が該一部の光学系のイメージサークルよりも該一部の光学系の外径を表した円の方が大きい場合は、該一部の光学系の外径を表した円と他の光学系のイメージサークルとが外接するように配置される。また、イメージサークルの大きさは、結像光学系7110a、b、c、d、結像光学系7120a、b、cともに直径が約4.70mmとし、結像光学系7120a、b、cの外形の大きさは直径が約7.05mmとする。
次に、各結像光学系のイメージサークルに内接している個眼撮像領域について説明する。個眼撮像領域は前述のようにイメージサークルの範囲内であればどの範囲でも設定することは可能であり、また各個眼撮像領域の大きさも領域毎に異ならせることもできるが、本実施例では大きさの等しい長方形として設定している。長方形の各辺は、元の撮像素子の短辺と各個眼撮像領域の短辺が平行になるように設定し、長辺についても同様に元の撮像素子と平行になるように設定する。個眼撮像領域の各辺の長さについては長辺が約7.81mm、短辺が約5.21mmとし、短辺、長辺の比は2:3になるとする。この様に各個眼撮像領域を設定すると、元の撮像素子との面積比からおおよその個眼撮像領域の画素数が見積もることができ、本実施例の各個眼撮像領域の画素数は約1018万画素となる。
また、本実施例における最も焦点距離の短い結像光学系で構成される結像光学系群Grwは、図18に示される結像光学系7110a、b、c、dで、結像光学系の数はNw=4となる。そして、本実施例における最も焦点距離の長い結像光学系で構成される結像光学系群Grtは、図18に示される結像光学系7120a、b、cで、結像光学系の数はNt=3となる。
本実施例における式(1)、式(4)に関連する撮像領域の面積S、画素ピッチp、個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も望遠側の結像光学系の数Nt、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表1、表2に記す。
同様に、本実施例における式(5)に関連する個眼撮像領域の画素数の平均値PAVE、画素数の総和Psum、最も広角側の結像光学系の数Nw、異焦点数varを整理したものをそれぞれ表3に記す。
表1、2より、本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の下限値を上回っており、S/N比が十分に高い画像を出力可能な複眼撮像装置であるということがいえる。また、表1、2より本実施例では最も望遠側の結像光学系の数Ntが式(1)、(4)の上限値を下回っており十分に画素数を有する画像を出力可能な複眼撮像装置の構成であるということがいえる。
また、式(5)、(6)については本実施例では焦点距離の異なる結像光学系間でテレ個眼よりもワイド個眼の同焦点数の方が多い構成になっているため、式(5)、(6)の不等式も満たすことができている。
以上のことから、本実施例の複眼撮像装置は撮像素子の大きさに対し個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数のバランスがとれた構成であり、このような構成にすることで高画質且つ高解像度な画像を出力可能な異焦点複眼雑像装置を提供することができる。つまり、本発明によれば、撮像素子の大きさに対して個眼のサイズや総数、異焦点数と同焦点数の割合を最適化することで高画質且つ高解像度な画像を出力できる小型な異焦点複眼撮像装置を提供することができる。
本実施例における複眼撮像装置は2つの撮像ユニット8101、8102と2つの撮像素子8201、8202を有しており、実施例1の撮像ユニット及び撮像素子が一つの複眼撮像装置内に2組並んで配置される構成となっている。図21は、撮像ユニット8101、8102の斜視図、図22は、撮像ユニット8101,8102の正面図である。図22に示すように、撮像ユニット8101は、それぞれが物体の光学像を形成する16個の結像光学系(撮像光学系)8111a、b、c、d、8121a、b、c、d、8131a、b、c、d、8141a、b、c、dと、撮像素子8201と、を有する。同様に、撮像ユニット8102は、それぞれが物体の光学像を形成する16個の結像光学系(撮像光学系)8112a、b、c、d、8122a、b、c、d、8132a、b、c、d、8142a、b、c、dと、撮像素子8202と、を有する。
撮像ユニット8101の各結像光学系は、前群ユニット8101Fと、後群ユニット8101Rとを有し、不図示の絞りなどの他の部材も結像光学系ごとに含んでいる。各結像光学系は複数のレンズで構成されている。撮像ユニット8102の各結像光学系は、前群ユニット8102Fと、後群ユニット8102Rとを有し、不図示の絞りなどの他の部材も結像光学系ごとに含んでいる。各結像光学系は複数のレンズで構成されている。
撮像素子8201は16個に区画された個眼撮像領域8211a、b、c、d、8221a、b、c、d、8231a、b、c、d、8241a、b、c、dで構成される。同様に、撮像素子8202は16個に区画された個眼撮像領域8212a、b、c、d、8222a、b、c、d、8232a、b、c、d、8242a、b、c、dで構成される。
個眼撮像領域8211a、b、c、dがそれぞれ結像光学系8111a、b、c、dに対応し、個眼撮像領域8212a、b、c、dがそれぞれ結像光学系8112a、b、c、dに対応する。個眼撮像領域8221a、b、c、dがそれぞれ結像光学系8121a、b、c、dに対応し、個眼撮像領域8222a、b、c、dがそれぞれ結像光学系8122a、b、c、dに対応する。個眼撮像領域8231a、b、c、dがそれぞれ結像光学系8131a、b、c、dに対応し、個眼撮像領域8232a、b、c、dがそれぞれ結像光学系8132a、b、c、dに対応する。個眼撮像領域8241a、b、c、dがそれぞれ結像光学系8141a、b、c、dに対応し、個眼撮像領域8242a、b、c、dがそれぞれ結像光学系8142a、b、c、dに対応する。
図22に示すように、32個の結像光学系(個眼)8111a−d、8121a−d、8131a−d、8141a−d、8112a−d、8122a−d、8132a−d、8142a−dの光軸はほぼ平行になるように配置される。
本実施例において、撮像ユニット8101と8102、撮像素子8201と8202はそれぞれ構成が同様であるため、以降撮像ユニット8101と撮像素子8201のみ詳細に説明する。
同一の参照番号を付された4つの結像光学系a、b、c、dは同一の焦点距離を有し、異なる参照番号を付された結像光学系(8111,8121,8131,8141)は互いに異なる焦点距離を有する。本実施形態では、撮像ユニットそれぞれに異なる焦点距離を有する4組の結像光学系が設けられている。結像光学系(第2光学系)8111a、b、c、d(ワイド個眼)は、16個の結像光学系の中で最も短い焦点距離を有する広角結像光学系対である。結像光学系8121a、b、c、d(ワイドミドル個眼)は結像光学系8111a、b、c、dに比べて焦点距離が長い。結像光学系8131a、b、c、d(テレミドル個眼)は結像光学系8121a、b、c、dよりも焦点距離が長い。結像光学系(第1光学系)8141a、b、c、d(テレ個眼)は結像光学系8131a、b、c、dよりも焦点距離が長く、16個の結像光学系の中で最も長い焦点距離を有する望遠結像光学系対である。撮像ユニット8102についても同様の構成となるため説明は省略する。
次に、図21、図23を用いて、本実施例における撮像ユニット8100の詳細な仕様について説明する。図21に示すように、本実施例では撮像ユニット8100が2つの撮像ユニット8101、8102で構成されている。
図23は撮像ユニット内の撮像素子8201、8202のイメージ図である。外枠の実線で描かれた長方形は撮像素子を表しており、撮像素子サイズは長辺36mm、短辺24mm、画素ピッチが1.2μmであるとする。また、図23の点線で描かれた円は結像光学系のイメージサークル、円に内接する実線の長方形は個眼撮像領域を表している。本実施例では、短辺方向に各結像光学系のイメージサークルが外接するように配列されている構成となっており、短辺の長さが24mmであるため、各結像光学系のイメージサークルの直径の長さは約6.00mmとなる。換言すれば、複数の光学系は、そのイメージサークルが、撮像素子8201、8202の互いに直交する辺の少なくとも一辺に沿って外接するように配置される。
次に、各結像光学系のイメージサークルに内接している個眼撮像領域について説明する。個眼撮像領域は前述のようにイメージサークルの範囲内であればどの範囲でも設定することは可能であり、また各個眼撮像領域の大きさも領域毎に異ならせることもできるが、本実施例では大きさの等しい長方形として設定している。長方形の各辺は、元の撮像素子の短辺と各個眼撮像領域の短辺が平行になるように設定し、長辺についても同様に元の撮像素子と平行になるように設定する。個眼撮像領域の各辺の長さについては長辺が約4.99mm、短辺が約3.33mmとし、短辺、長辺の比は2:3になるとする。この様に各個眼撮像領域を設定すると、元の撮像素子との面積比からおおよその個眼撮像領域の画素数が見積もることができ、本実施例の各個眼撮像領域の画素数は約1154万画素となる。
また、本実施例の撮像ユニット8101における最も焦点距離の短い結像光学系で構成される結像光学系群Grwは、図22に示される結像光学系8111a、b、c、dで、結像光学系の数はNw=4となる。そして、本実施例における最も焦点距離の長い結像光学系で構成される結像光学系群Grtは、図22に示される結像光学系8141a、b、c、dで、結像光学系の数はNt=4となる。撮像ユニット8102についても、撮像ユニット8101と同様の構成となるため、Nw=4、Nt=4となる。
前述のように、本実施例の撮像ユニット8100は2つの撮像ユニット8101、8102で構成されており、撮像ユニット8101、8102はいずれも実施例1の撮像ユニット1100と同様の構成となる。よって、本実施例における式(1)−(6)については、実施例1と同様になるため、詳細説明は割愛する。なお、本実施例では、2つの撮像ユニット8101、8102を備えた複眼撮像装置について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば3つ以上(すなわち、複数)の撮像ユニットを備えた複眼撮像装置を構成してもよい。また、複眼撮像装置が有する複数の撮像ユニットの種類は、実施例1の撮像ユニット1100に限定されず、上述した他の実施例の撮像ユニットであってもよいし、上述した実施例1−7の撮像ユニットの種類を組み合わせてもよい。換言すれば、本発明の複眼撮像装置は、上述した実施例1−7の撮像ユニットを複数備えてもよい。
本発明の構成によってビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像装置を、薄型、高変倍比でありながら、撮影する被写体空間についての空間情報を容易に取得することができる撮像装置へと発展させることも可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。