[1]第1の実施の形態
以下、本発明の第1の実施の形態に係る立体ディスプレイについて図面を参照しながら説明する。
(1)立体ディスプレイの構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る立体ディスプレイの模式的断面図である。図2は、図1の立体ディスプレイの模式的平面図である。
図1に示すように、立体ディスプレイは光線発生器2、制御装置3、記憶装置4、回転モジュール6、光線制御子7および複数のカメラ8により構成される。制御装置3は、例えばパーソナルコンピュータからなる。記憶装置4は、例えばハードディスク、メモリカード等からなる。記憶装置4には、立体画像300を提示するための立体形状データが記憶される。
図1および図2の立体ディスプレイを構成する構成物は、テーブル5の下方に設けられる。テーブル5は、円形の天板51および複数の脚52からなる。天板51は中心に円形の孔部51hを有する。孔部51hの形状は円形に限らず、三角形もしくは四角形等の多角形、楕円またはその他の形状であってもよい。また、テーブル5の孔部51hに透明の板が嵌め込まれてもよい。テーブル5の周囲にいる観察者10は、テーブル5の天板51の斜め上方から天板51の中心近傍を観察することができる。
テーブル5の下方には、回転モジュール6が設けられる。回転モジュール6は、モータ61、回転軸62、回転台63、信号伝送装置64および回転量計測器65により構成される。回転軸62は、鉛直方向に延びる中心軸Z上に位置するようにモータ61に取り付けられる。
回転軸62には、回転台63が水平姿勢で取り付けられる。回転軸62と回転台63との間には信号伝送装置64が設けられる。信号伝送装置64は、静止体と回転体との間で電力または信号を伝送するための装置である。信号伝送装置64としては、例えばスリップリングまたは光ロータリジョイント等を用いることができる。
また、回転軸62には、回転量計測器65が設けられる。回転量計測器65は、回転軸62の回転位置を検出するために用いられる。回転量計測器65としては、例えばロータリエンコーダ等を用いることができる。モータ61は、制御装置3により制御される。モータ61がステッピングモータ等の回転量を厳密に制御可能な機構である場合には、回転量計測器65は必ずしも必要ではない。
回転台63上には、光線発生器2が固定される。光線発生器2は、例えば走査型プロジェクタである。光線発生器2は、光線を出射するとともにその光線を水平面内および垂直面内で偏向させることができる。それにより、光線発生器2は、光線で光線制御子7の後述する光透過拡散層72の入出射面を走査することができる。ここで、光線とは、拡散しない直線で表される光をいう。光線発生器2は、外方かつ斜め上方に複数の光線からなる光線群を出射するように設けられる。
光線発生器2は、空間光変調器および複数のレンズからなるレンズアレイ等の投影系を備えた一般的なプロジェクタであってもよい。ここで、投影系のアパーチャ(開口)が十分に小さい場合には、走査型プロジェクタと同様に光線群を形成することができる。空間光変調器は、例えばDMD(Digital Micromirror Device)、LCD(Liquid Crystal Display)またはLCOS(Liquid Crystal on Silicon)である。
図3(a)〜(e)は、図1の立体ディスプレイにおける光線制御子7の構成および機能を説明するための図である。図3(a)は光線制御子7の斜視図であり、図3(b)は光線制御子7の光透過拡散層72の縦断面図であり、図3(c)は光線制御子7の光透過拡散層72の横断面図である。図3(d)は光線制御子7の縦断面図であり、図3(e)は光線制御子7の横断面図である。
図3(a)に示すように、光線制御子7は、円筒形状の光反射層71の内面に光透過拡散層72が積層された構成を有する。本例では、光反射層71は内面に反射面を有するミラーである。光反射層71は、シート状部材または板状部材であってもよく、あるいは光透過拡散層72の一面に塗料を塗布することにより形成された反射膜であってもよい。光透過拡散層72は、レンチキュラシートであってもよいし、ホログラフィックスクリーンであってもよい。光透過拡散層72は、透光性を有する平坦なシート状部材の表面上に、微小な光拡散材料を含む樹脂層が形成された構成を有してもよい。この場合、微小な光拡散材料は、例えば楕円形状または繊維形状を有する。
光透過拡散層72は、互いに直交する第1の方向Xおよび第2の方向Yにおいて異なる構成を有するように形成されている。本例では、第1の方向Xは光透過拡散層72の稜線方向であり、第2の方向Yは光透過拡散層72の周方向である。ここで、第1の方向Xに沿って光透過拡散層72に交差する面を第1の面FXと呼び、第2の方向Yに沿って光透過拡散層72に交差する面を第2の面FYと呼ぶ。光透過拡散層72に入射した光線は、図3(b)に示すように、第1の面FX内で第1の方向Xにおいて大きく拡散して透過し、図3(c)に示すように、第2の面FY内でわずかに拡散つつほぼ直進して透過する。
このように、光透過拡散層72を透過した光線の第2の方向Yにおける拡散角は、第1の方向Xにおける拡散角よりも小さい。第2の方向Yにおける拡散角は、第1の方向Xにおける拡散角の1/10以下であってもよい。例えば、第1の方向Xにおける拡散角よりも小さい。本実施の形態においては、第1の方向Xにおける拡散角は例えば60度であり、第2の方向Yにおける拡散角は例えば1度である。第2の方向Yにおける拡散角は、これに限定されず、例えば1度より小さくてもよい。
光線制御子7は、光透過拡散層72の第1の方向Xが中心軸Zに平行な垂直方向に一致しかつ第2の方向Yが水平方向に一致するように固定される。また、光線制御子7の中心軸は回転軸62および中心軸Zと一致する。図3(d)に示すように、光線制御子7の光透過拡散層72に入射した光線は、第1の面FX内で第1の方向Xにおいて大きく拡散して光透過拡散層72を透過し、光反射層71の反射面で反射される。光反射層71の反射面で反射された光線は、第1の面FX内で第1の方向Xにおいて大きく拡散して光透過拡散層72を再び透過し、光透過拡散層72の表面から出射される。
図3(e)に示すように、光線制御子7の光透過拡散層72に入射した光線は、第2の面FY内でわずかに拡散しつつほぼ直進して光透過拡散層72を透過し、光反射層71の反射面で反射される。光反射層71の反射面で反射された光線は、第2の面FY内でわずかに拡散しつつほぼ直進して光透過拡散層72を再び透過し、光透過拡散層72の表面から出射される。
光線制御子7における光透過拡散層72の内面を入出射面と呼ぶ。光透過拡散層72の入出射面は円形の水平断面を有する。光線発生器2から出射された光線群は、光線制御子7の光透過拡散層72の入出射面に入射し、光透過拡散層72により垂直方向において拡散して透過し、光反射層71により反射される。光反射層71により反射された光線群は、光反射層71により垂直方向においてさらに拡散して透過し、光透過拡散層72の入出射面から出射される。光透過拡散層72の入出射面から出射された光線群は、天板51の孔部51hを通して天板51の下方から上方に導かれる。
回転台63上の光線発生器2および回転量計測器65は、信号伝送装置64を介して制御装置3に接続される。モータ61が作動することにより、回転軸62が回転台63および光線発生器2とともに回転する。この場合、回転する光線発生器2から出射される光線群は、光線制御子7により垂直方向において拡散するとともに反射される。
制御装置3は、記憶装置4に記憶される立体形状データに基づいて光線発生器2を制御する。それにより、天板51の孔部51hの上方および下方に立体画像300が提示される。
複数のカメラ8は、テーブル5の周囲にいる観察者10の顔を撮像するように配置される。複数のカメラ8により得られる画像データは、制御装置3に与えられる。制御装置3は、複数のカメラ8から与えられる画像データに基づいて各観察者10の眼の位置(視点)を算出し、後述する視点追跡による光線群の補正を行う。
(2)光線発生器の動作
図4(a),(b)は、光線発生器2の動作を説明するための模式的平面図である。図4に示すように、光線発生器2は、レーザ光からなる光線を出射する光線出射口Pを有する。光線発生器2は、光線出射口Pから光線を出射するとともに、上記のように、その光線を水平面内および垂直面内で偏向させることができる。
光線発生器2が光線を水平面内で偏向させることにより、光透過拡散層72の入出射面を水平方向に走査することができる。また、光線発生器2が光線を垂直面内で偏向させることにより、光透過拡散層72の入出射面を垂直方向に走査することができる。それにより、光線発生器2は、光線で光透過拡散層72の入出射面を走査することができる。
また、光線発生器2は、光線の方向ごとに光線の色を設定することができる。それにより、光線発生器2は、擬似的に複数の光線からなる光線群を出射する。
図4(a)において、光線発生器2は、複数の光線L1〜L5を光線制御子7に照射する。光線L1〜L5は、それぞれ任意の色に設定される。それにより、図4(b)に示すように、それぞれ設定された色の光線L1〜L5が光線制御子7の光透過拡散層72を透過し、光反射層71の反射面の複数の位置P1〜P5で反射される。複数の位置P1〜P5で反射された複数の光線L1〜L5は再び光透過拡散層72を透過し、光線制御子7の上方に導かれる。
光透過拡散層72は、水平方向において光線L1〜L5をほとんど拡散させずにほぼ直線状に透過させるので、観察者10は、ある位置でほぼ一本の光線のみを視認することができる。また、光線制御子7は、光線L1〜L5を垂直方向において大きく拡散させて透過させるので、観察者10は、ほぼ一本の光線を上下方向の任意の位置から視認することができる。
(3)立体画像の提示方法
図5は、立体画像300の提示方法を説明するための模式的平面図である。図5においては、光線発生器2から直接出射された光線が細い線で示され、光線制御子7により反射された光線が太い線で示される。また、時刻tにおける光線発生器2およびその光線発生器2により出射された光線が実線で示される。時刻t+1における光線発生器2およびその光線発生器2により出射された光線が点線で示される。時刻t+2における光線発生器2およびその光線発生器2により出射された光線が一点鎖線で示される。
光線発生器2は、矢印の方向に移動する。なお、光線発生器2の移動方向は、図5の矢印の方向(反時計回り)に限定されず、時計回りであってもよい。例えば、天板51の孔部51hの上方または下方の位置PRに赤色の画素を提示する場合には、光線制御子7により反射される光線LR0が位置PRを通るように、時刻tで所定の方向に赤色の光線LR0を出射する。また、光線制御子7により反射される光線LR1が位置PRを通るように、時刻t+1で所定の方向に赤色の光線LR1を出射する。さらに、光線制御子7により反射される光線LR2が位置PRを通るように、時刻t+2で所定の方向に赤色の光線LR2を出射する。
それにより、赤色の光線LR0,LR1,LR2の交点に点光源となる赤色の画素が提示される。この場合、観察者10の眼が位置IR0にある場合、位置IR1にある場合および位置IR2にある場合に、位置PRに赤色の画素が見える。
同様にして、天板51の孔部51hの上方または下方の位置PGに緑色の画素を提示する場合には、光線制御子7により反射される光線LG0が位置PGを通るように、時刻tで所定の方向に緑色の光線LG0を出射する。また、光線制御子7により反射される光線LG1が位置PGを通るように、時刻t+1で所定の方向に緑色の光線LG1を出射する。さらに、光線制御子7により反射される光線LG2が位置PGを通るように、時刻t+2で所定の方向に緑色の光線LG2を出射する。
それにより、緑色の光線LG0,LG1,LG2の交点に点光源となる緑色の画素が提示される。この場合、観察者10の眼が位置IG0にある場合、位置IG1にある場合および位置IG2にある場合に、位置PGに緑色の画素が見える。
このようにして、光線発生器2により時分割で異なる位置から立体画像300の各位置を通る方向に提示すべき色の光線が出射される。
回転する光線発生器2から出射される光線群が小さな角度間隔ごとに制御されることにより天板51の孔部51hの上方および下方の空間が光線が交わった状態である光点群で十分に密に満たされる。それにより、円周上のいずれの方向から天板51の孔部51hの上方および下方を観察しても位置PR,PGを通過する適切な光線が目に入射することになり、人の目はそこに点光源があるように認識する。実物体の表面にて反射または拡散した照明光を人は物体として認識するので、物体の表面は点光源の集合とみなすことができる。すなわち、物体の表面としたいある位置PR,PGの色を回転する光線発生器2から出射される光線によって適切に再現することにより、立体画像300を提示することができる。
このようにして、立体画像300を天板51の孔部51hの上方および下方の空間に提示することができる。この場合、観察者10は、円周方向における異なる位置で同一の立体画像300をそれぞれ異なる方向から視認することができる。
図6は、立体画像300の提示方法を説明するための模式的断面図である。図6に示すように、光線発生器2から出射された光線は、光線制御子7の光反射層71により反射され、光透過拡散層72で拡散角αで垂直方向において拡散される。それにより、観察者10は、拡散角αの範囲内において垂直方向の異なる位置で光線発生器2から出射される同じ色の光線を見ることができる。
例えば、観察者10が視線を基準の位置Eから上方の位置E’に移動させた場合でも、立体画像300の同じ部分を見ることができる。この場合、垂直方向における観察者10の眼の位置により観察者10が視認する立体画像300の位置が移動する。このように、光線発生器2から出射された光線が光透過拡散層72で垂直方向において拡散されるため、観察者10が視線を上下に移動させても立体画像300を観察することができる。
光線発生器2から出射される光線群の各光線の色は、記憶装置4に記憶される立体形状データに基づいて制御装置3により光線発生器2の回転位置ごとおよび光線の走査位置ごとに算出される。ここで、光線発生器2の回転位置とは、中心軸Zを中心とする基準の半径方向からの光線発生器2の回転角度をいう。
具体的には、制御装置3は、立体形状データとして予め定義される三次元の立体形状の面と各光線との交点を求め、光線に与えるべき適切な色を算出する。制御装置3は、回転量計測器65の出力信号に基づいて光線発生器2の回転位置を判定し、回転位置ごとおよび光線の走査位置ごとに算出した光線群の各光線の色に基づいて光線発生器2を制御する。それにより、天板51の孔部51hの上方および下方に立体画像300が提示されるように、光線発生器2から算出された色をそれぞれ有する光線が出射される。それにより、フリッカーが小さくかつ時間解像度が高いカラーの立体画像300を提示することができる。
この場合、制御装置3は、立体形状データに基づいて光線発生器2から出射されるべき各光線の色を色データとして回転位置ごとおよび光線の走査位置ごとに予め算出し、算出した色データを記憶装置4に記憶させてもよい。そして、立体画像300の提示の際に、回転量計測器65の出力信号に同期して記憶装置4から色データを読み出し、読み出した色データに基づいて光線発生器2を制御してもよい。あるいは、制御装置3は、光線発生器2の回転中に回転量計測器65の出力信号に同期して立体形状データに基づいて光線発生器2から出射されるべき各光線の色を色データとして算出し、算出した色データに基づいて光線発生器2を制御してもよい。
上記のようにして、本実施の形態に係る立体ディスプレイによれば、立体画像300の指向性表示が可能となる。
(4)立体画像が表示される領域
複数の観察者10が図1および図2のテーブル5の周囲に着座している場合には、複数の観察者10の眼は、中心軸Zからほぼ一定の距離でかつほぼ一定の高さの位置(基準の位置)にあるとみなすことができる。そこで、図1および図2に示すように、複数の観察者10の眼が位置する円環状の領域を円環状視域500として設定する。
図7〜図9は、光線発生器2の配置および画角と立体画像300が提示される領域との関係を説明するための平面図である。なお、光線発生器2の画角とは、光線出射口Pからの光線の出射範囲を角度で表示したものであり、以下の説明では、光線発生器2の水平面内での画角を単に画角と略記する。また、光線発生器2の画角を二等分する方向に光線出射口Pから出射される光線を中心光線と呼ぶ。本実施の形態では、中心光線LCが中心軸Zを通るように光線発生器2が配置される。
円環状視域500から観察可能な光線制御子7内の領域を第1の領域(提示領域)R1と呼ぶ。第1の領域R1は、光線制御子7の形状および寸法ならびに円環状視域500により定まる。一方、光線発生器2が回転されることにより、光線制御子7の複数の位置で反射された光線で満たされる領域を第2の領域(交差領域)R2と呼ぶ。第2の領域R2は光線発生器2の位置および光線発生器2の画角により定まる。第1の領域R1と第2の領域R2との重複領域に立体画像300を提示することができる。
図7〜図9において、第1の領域R1を一点鎖線で示す。第1の領域R1は光線制御子7と同心の半径r1の円形状を有する。また、光線発生器2は、光線出射口Pが光線制御子7と同心の半径r2の円周上に位置するように配置される。
図7(a),(b)の例においては、半径r2が半径r1よりも小さくなるように光線発生器2が配置される。図7(a)に示すように、光線発生器2から所定の画角で光線が出射される。図7(a)においては、光線発生器2から直接出射された最も外側の2つの光線が細い線で示され、光線制御子7により反射された光線が太い線で示される。図8(a)および図9(a)においても同様である。以下、光線発生器2から出射される光線のうち最も外側の2つの光線を最外光線と呼ぶ。2つの最外光線の間の領域に光線群を形成することができる。
この状態で、図7(b)に示すように、光線発生器2が回転される。なお、図7(b)には、1/32回転ごとに時分割で光線制御子7により反射される最外光線が示され、光線発生器2の図示が省略される。図8(b)および図9(b)においても同様である。この場合、光線制御子7により反射された最外光線を接線とする円形状の領域が第2の領域R2となる。すなわち、光線発生器2の回転により第2の領域R2の内側に光線群を形成することができる。
図7(b)においては、第2の領域R2がハッチングパターンで示される。図7(a),(b)に示すように、半径r2が半径r1よりも小さい場合には、第2の領域R2は第1の領域R1よりも小さい。この場合、第1の領域R1内の一部の領域に立体画像300を提示することができる。
図8(a),(b)の例においては、半径r2が半径r1よりも大きくなるように光線発生器2が配置される。図8(a)に示すように、光線発生器2から所定の画角で光線が出射される。図8(a)の光線発生器2の画角は、図7(a)の光線発生器2の画角と等しい。この状態で、図8(b)に示すように、光線発生器2が回転される。この場合、光線制御子7により反射された最外光線を接線とする円形状の領域が第2の領域R2となる。
図8(b)においては、第2の領域R2がハッチングパターンで示される。図7(b)および図8(b)に示すように、半径r2を大きくすることにより、第2の領域R2を大きくすることができる。
図9(a),(b)の例においては、半径r2が半径r1よりも大きくなるように光線発生器2が配置される。図9(a)に示すように、光線発生器2から所定の画角で光線が出射される。図9(a)の半径r2は図8(a)の半径r2と等しく、図9(a)の光線発生器2の画角は図8(a)の光線発生器2の画角よりも大きい。この状態で、図9(b)に示すように、光線発生器2が回転される。この場合、光線制御子7により反射された最外光線を接線とする円形状の領域が第2の領域R2となる。
図9(b)においては、第2の領域R2がハッチングパターンで示される。図8(b)および図9(b)に示すように、光線発生器2の画角を大きくすることにより、第2の領域R2が大きくなる。したがって、図8(a),(b)に示すように、半径r2が半径r1よりも大きくかつ光線発生器2の画角が比較的大きい場合には、第2の領域R2を第1の領域R1よりも大きくすることができる。この場合、1個の光線発生器2により第1の領域R1の全体に立体画像300を提示することができる。
これらの結果、より大きな画角を有する光線発生器2を用いかつ中心軸Zから光線発生器2の光線出射口Pまでの距離を大きくした場合に、より大きな領域に立体画像300を提示することが可能となる。具体的には、光線発生器2の画角は、光線出射口Pを通りかつ第1の領域R1の外周の一点に接する第1の接線と光線出射口Pを通りかつ第1の領域R1の外周の他の点に接する第2の接線とがなす角度以上にされる。この場合、光線群の交差領域を第1の領域R1以上にすることができる。これにより、第1の領域R1の全体に立体画像300を提示することができる。
(5)両眼視差の発生原理
ここで、本実施の形態に係る立体ディスプレイにおける両眼視差の発生原理について説明する。
図10は、本実施の形態に係る立体ディスプレイにおける両眼視差の発生原理を説明するための模式的平面図である。図10には、互いに異なる4つの時点における光線発生器2に対応する光線発生器2が示される。4つの時点における光線発生器2をそれぞれ光線発生器2a,2b,2c,2dと呼ぶ。
図10においては、光線発生器2a〜2dから直接出射された光線が細い線で示され、光線制御子7により反射された光線が太い線で示される。また、光線発生器2aおよび光線発生器2aにより出射された光線が実線で示され、光線発生器2bおよび光線発生器2bにより出射された光線が点線で示される。光線発生器2cおよび光線発生器2cにより出射された光線が一点鎖線で示され、光線発生器2dおよび光線発生器2dにより出射された光線が二点鎖線で示される。
図10において、観察者10が天板51の孔部51hの上方または下方の点P31を見た場合には、光線発生器2aから出射された光線Laが、光線制御子7により反射されて右眼100Rに入射する。同時に、光線発生器2bから出射された光線Lbが、光線制御子7により反射されて左眼100Lに入射する。
また、観察者10が天板51の孔部51hの上方または下方の点P32を見た場合には、光線発生器2cから出射された光線Lcが、光線制御子7により反射されて右眼100Rに入射する。同時に、光線発生器2dから出射された光線Ldが、光線制御子7により反射されて左眼100Lに入射する。
ここで、光線Laの色と光線Ldの色とは同じであり、光線Lbの色は光線Laの色と異なり、光線Lcの色は光線Ldの色とは異なるとする。この場合、点P31の色は見る方向により異なる。また、点P32の色も見る方向により異なる。
光線Laにより立体画像300の点Paが作られ、光線Lbにより立体画像300の点Pbが作られ、光線Lcにより立体画像300の点Pcが作られ、光線Ldにより立体画像300の点Pdが作られる。
図10の例では、立体画像300の点Paと点Pdとが同じ位置にある。すなわち、光線Laと光線Ldとの交点に立体画像300の点Pa,Pdが作られる。したがって、点Pa,Pdは、仮想的な点光源とみなすことができる。この場合、右眼100Rで点Pa,Pdを見る方向と左眼100Lで点Pa,Pdを見る方向とが異なる。すなわち、右眼100Rの視線方向と左眼100Lの視線方向との間に輻輳角がある。また、右眼100Rおよび左眼100Lで点P31,P32を見たときの点Pa〜Pdの位置関係が異なる。すなわち視差が発生する。これにより、光線群により形成される画像の立体視が可能となる。
(6)視点追跡による光線群の補正機能
制御装置3は、複数の観察者10の眼が円環状視域500にあるとみなして各光線発生器2を制御する。それにより、複数の観察者10の眼が円環状視域500にある場合に、複数の観察者10は、同じ高さに同じ形状の立体画像300を視認することができる。
図6を用いて説明したように、垂直方向における観察者10の眼の位置により観察者10が視認する立体画像300の各画素の位置が移動する。そのため、観察者10の眼が円環状視域500から外れた位置にある場合には、立体画像300が変形して見える。
そこで、本実施の形態に係る立体ディスプレイでは、カメラ8を用いた視点追跡により検出される各観察者10の眼の位置に基づいて光線発生器2から光線制御子7に照射される光線群が補正される。
図11は、観察者10の眼が円環状視域500から外れた位置にある場合の光線群の補正を説明するための図である。
図11において、円環状視域500は、中心軸Zから水平方向において距離d1でかつテーブル5の天板51から高さH1の位置にある。ここでは、立体画像300の1つの画素PIXを天板51の孔部51hの上方または下方の標準の位置PSに提示する方法について説明する。
観察者10の眼が円環状視域500上の位置I1にある場合には、立体画像300の画素PIXの色を有する光線L31が光線発生器2から光線制御子7の位置P1に照射される。位置P1に照射された光線L31は、光線制御子7により反射されるとともに垂直方向において拡散され、拡散された1本の光線が標準の位置PSを通過して位置I1にある観察者10の眼に入射する。それにより、位置I1に眼がある観察者10は、標準の位置PSに画素PIXを視認することができる。
観察者10の眼が円環状視域500よりも上方の高さH2の位置I2にある場合には、立体画像300の画素PIXの色を有する光線L32が光線発生器2から光線制御子7の位置P2に照射される。位置P2に照射された光線L32は、光線制御子7により反射されるとともに垂直方向において拡散され、拡散された1本の光線が標準の位置PSを通過して位置I2にある観察者10の眼に入射する。それにより、位置I2に眼がある観察者10は、標準の位置PSに画素PIXを視認することができる。
観察者10の眼が円環状視域500と同じ高さで水平方向において中心軸Zから距離d2の位置I3にある場合には、立体画像300の画素PIXの色を有する光線L33が光線発生器2から光線制御子7の位置P3に照射される。位置P3に照射された光線L33は、光線制御子7により反射されるとともに垂直方向において拡散され、拡散された1本の光線が標準の位置PSを通過して位置I3にある観察者10の眼に入射する。それにより、位置I3に眼がある観察者10は、標準の位置PSに画素PIXを視認することができる。
具体的には、制御装置3は、カメラ8から与えられる画像データに基づいて観察者10の眼の位置の座標を算出する。観察者10の眼の位置が円環状視域500上にある場合には、制御装置3は、眼の位置と標準の位置PSとを通る直線が光線制御子7と交差する位置P1に画素PIXの色を有する光線L31が照射されるように光線発生器2を制御する。
観察者10の眼が円環状視域500から外れた位置にある場合には、制御装置3は、眼の位置と標準の位置PSとを通る直線が光線制御子7と交差する位置に画素PIXの色を有する光線が照射されるように光線発生器2を制御する。
このようにして、制御装置3は、観察者10の眼の位置に応じて標準の位置PSに画素PIXを提示するための光線の方向を補正する。換言すると、制御装置3は、観察者10の眼の位置に応じて画素PIXの色を有する光線が観察者10の眼に入射するように、光線発生器2から出射される光線群の各光線の色を補正する。その結果、観察者10は、眼の位置にかかわらず同一の形状を有する立体画像300を視認することができる。
なお、観察者10の眼が円環状視域500と標準の位置PSとを通る直線上にある場合には、観察者10の眼が円環状視域500から外れた位置I4にあっても、観察者10の眼が円環状視域500上にある場合と同様に、立体画像300の画素PIXの色を有する光線L31が光線発生器2から光線制御子7の位置P1に照射される。それにより、観察者10は、標準の位置PSに画素PIXを視認することができる。
このように、観察者10の眼の位置に応じて光線発生器2から出射される光線群を補正することにより観察者10の眼の位置にかかわらず立体画像300が変形することなく提示される。
本実施の形態においては、カメラ8から与えられる画像データに基づいて観察者10の眼の位置の座標が算出されるが、これに限定されない。例えば、レーダーまたはソナー等の物体探知機構が立体ディスプレイに設けられ、物体探知機構から与えられるデータに基づいて観察者10の眼の位置の座標が算出されてもよい。
また、本実施の形態においては、複数の観察者10にそれぞれ対応して複数のカメラ8が設けられるが、これに限定されない。1または複数の観察者10に対応しないように1または複数のカメラ8が設けられてもよい。例えば、1または複数の観察者10の顔を撮像するように1個のカメラ8が設けられてもよい。
(7)効果
本実施の形態においては、光線制御子7の光透過拡散層72と光反射層71とが互いに積層されるので、光透過拡散層72と光反射層71との間に光の経路が存在しない。そのため、光線発生器2が出射すべき光線群の算出において、光透過拡散層72と光反射層71との位置関係を変動パラメータから除外することができる。それにより、光線群の算出処理が単純化される。また、光透過拡散層72と光反射層71との位置関係の調整が不要となる。
また、光線制御子7を中心軸Zの周りで回転させる必要がないので、光線制御子7の回転に起因する慣性制御を行なう必要がない。それにより、立体ディスプレイの慣性制御が容易になる。これらの結果、正確な立体画像300を容易に表示することができる。
[2]第2の実施の形態
(1)光線発生器の配置
第2の実施の形態に係る立体ディスプレイについて、第1の実施の形態に係る立体ディスプレイと異なる点を説明する。図12は、第2の実施の形態における光線発生器2の配置を示す図である。
本実施の形態においては、図12に示すように、2個の光線発生器2が配置される。2個の光線発生器2をそれぞれ光線発生器2A,2Bと呼ぶ。本実施の形態では、光線発生器2A,2Bは、中心軸Zを含む垂直面に関して面対称となるように配置される。また、光線発生器2A,2Bは、光線出射口Pが光線制御子7と同心の半径r2の円周上に位置するように配置される。本例においては、半径r2は第1の領域R1の半径r1と等しい。また、光線発生器2A,2Bは、それぞれの中心光線LCa,LCbが中心軸Zから外れた位置で交差するように配置される。
図13は、第2の実施の形態における一方の光線発生器2Aの配置および画角と立体画像300が提示される領域との関係を説明するための平面図である。光線発生器2Aから所定の画角で光線が出射される。図13(a),(b)においては、光線発生器2Aから直接出射された一方の最外光線が実線で示され、他方の最外光線が点線で示される。また、光線制御子7により反射された最外光線が太い線で示される。また、図13(b)においては、光線制御子7により反射された他方の最外光線の図示および光線発生器2Aの図示を省略する。
本例においては、図13(a)に示すように、一方の最外光線は第1の領域R1の接線方向を向き、他方の最外光線は光線制御子7の中心の方向を向く。この状態で、図13(b)に示すように、光線発生器2Aが回転される。なお、図13(b)には、1/32回転ごとに時分割で光線制御子7により反射される最外光線が示される。この場合、光線制御子7により反射された最外光線を接線とする円形状の領域が光線発生器2Aによる第2の領域R2aとなる。
図13(b)においては、第2の領域R2aがハッチングパターンで示される。図13(a),(b)に示すように、第2の領域R2aは第1の領域R1と等しい大きさを有する。ここで、一方の光線発生器2Aから光反射層71に出射された光線群は、中心軸Zから最も遠い外側の光線の反射点での法線Nを挟んで反対側の領域(図13(a)にハッチングパターンで示す領域)にのみ反射する。この場合、法線Nにより区画された第1の領域R1の一方の片側半分の領域に立体画像300が提示される。そのため、観察者10は、円環状視域500の各位置において、第1の領域R1の一方の片側半分の領域に提示された立体画像300を観察することができる。
図14は、第2の実施の形態における他方の光線発生器2Bの配置および画角と立体画像300が提示される領域との関係を説明するための平面図である。光線発生器2Bから所定の画角で光線が出射される。光線発生器2Bの画角は、光線発生器2Aの画角と等しい。図14(a),(b)においては、光線発生器2Bから直接出射された一方最外光線が実線で示され、他方の最外光線が点線で示される。また、光線制御子7により反射された最外光線が太い線で示される。また、図14(b)においては、光線制御子7により反射された他方の最外光線の図示および光線発生器2Bの図示を省略する。
本例においては、図14(a)に示すように、一方の最外光線は第1の領域R1の接線方向を向き、他方の最外光線は光線制御子7の中心の方向を向く。この状態で、図14(b)に示すように、光線発生器2Bが回転される。なお、図14(b)には、1/32回転ごとに時分割で光線制御子7により反射される最外光線が示される。この場合、光線制御子7により反射された最外光線を接線とする円形状の領域が光線発生器2Bによる第2の領域R2bとなる。
図14(b)においては、第2の領域R2bがハッチングパターンで示される。図14(a),(b)に示すように、第2の領域R2bは第1の領域R1と等しい大きさを有する。ここで、他方の光線発生器2Bから光反射層71に出射された光線群は、中心軸Zから最も遠い外側の光線の反射点での法線Nを挟んで反対側の領域(図14(a)にハッチングパターンで示す領域)にのみ反射する。この場合、法線Nにより区画された第1の領域R1の他方の片側半分の領域に立体画像300が提示される。そのため、観察者10は、円環状視域500の各位置において、第1の領域R1の他方の片側半分の領域に提示された立体画像300を観察することができる。
このように、本実施の形態においては、2個の光線発生器2A,2Bが1組として配置される。一方の光線発生器2Aが配置されることにより、第1の領域R1の一方の片側半分の領域に立体画像300が提示される。また、他方の光線発生器2Bが光線発生器2Aと対称に配置されることにより、第1の領域R1の他方の片側半分の領域に立体画像300が提示される。これにより、第1の領域R1の全体に立体画像300を提示することができる。
具体的には、光線発生器2Aの画角は、光線発生器2Aの光線出射口Pを通りかつ第1の領域R1の外周の一点に接する接線と光線発生器2Aの光線出射口Pを通りかつ中心軸Zに交差する直線とがなす角度以上にされる。また、光線発生器2Bの画角は、光線発生器2Bの光線出射口Pを通りかつ第1の領域R1の外周の他の点に接する接線と光線発生器2Bの光線出射口Pを通りかつ中心軸Zに交差する直線とがなす角度以上にされる。この場合、第2の領域R2a,R2bの各々を第1の領域R1以上にすることができる。これにより、第1の領域R1の全体に立体画像300を提示することができる。
(2)効果
本実施の形態においては、光線発生器2Aにより出射された光線群が光線制御子7で反射および拡散されることにより、立体画像300の一部が形成される。また、光線発生器2Bにより出射された光線群が光線制御子7で反射および拡散されることにより、立体画像300の他の一部が形成される。形成された立体画像300の一部と他の一部とが重ね合わされる。この構成によれば、光線発生器2A,2Bの画角が小さくかつ半径r2が小さい場合でも、より大きな立体画像300を提示することができる。
ここで、第1の実施の形態と同様に、光線制御子7の光透過拡散層72と光反射層71とが互いに積層されるので、光透過拡散層72と光反射層71との間に光の経路が存在しない。そのため、光線発生器2が出射すべき光線群の算出において、光透過拡散層72と光反射層71との位置関係を変動パラメータから除外することができる。それにより、光線群の算出処理が単純化される。また、光透過拡散層72と光反射層71との位置関係の調整が不要となる。
また、光線制御子7を中心軸Zの周りで回転させる必要がないので、光線制御子7の回転に起因する慣性制御を行なう必要がない。それにより、立体ディスプレイの慣性制御が容易になる。これらの結果、正確な立体画像300を容易に表示することができる。
[3]他の実施の形態
(1)第1および第2の実施の形態において、光線発生器2が中心軸Zに関して光線制御子7の反射位置と反対側に配置されるが、これに限定されない。光線発生器2は、中心軸Zに関して光線制御子7の反射位置と同じ側に配置されてもよい。
(2)第1および第2の実施の形態において、光線制御子7は円筒形状を有するが、これに限定されない。光線制御子7は円錐形状を有してもよい。この場合、光線制御子7は、より上方の空間に光線群を出射することができる。
(3)第1の実施の形態において、立体ディスプレイに1個の光線発生器2が設けられるが、これに限定されない。立体ディスプレイに複数の光線発生器2が設けられてもよい。これにより、光線発生器2の回転速度が比較的低い場合でも、フリッカー(発光点のちらつき)が小さくかつ時間解像度が高い立体画像300を提示することが可能となる。
この場合において、複数の光線発生器2は、回転台63上で中心軸Zを中心とする円周上に等角度間隔で配置されてもよいし、等角度間隔で配置されなくてもよい。ここで、複数の光線発生器2が等角度間隔で配置される場合には、回転台63の回転をより安定させることができる。また、複数の光線発生器2の制御を容易にすることができる。
第1の実施の形態においては、回転台63の回転速度は、図2に示すように、光線発生器2の数が1個の場合には1秒間に30回転以上であることが好ましい。回転台63の回転速度は、光線発生器2の数が2個の場合には1秒間に15回転以上であることが好ましく、光線発生器2の数が3個の場合には1秒間に10回転以上であることが好ましい。
回転台63の回転速度は、光線発生器2の数が4個の場合には1秒間に7.5回転以上であることが好ましく、光線発生器2の数が6個の場合には1秒間に5回転以上であることが好ましい。すなわち、回転台63の回転速度は、光線発生器2の数がn個(nは自然数)の場合には、1秒間に30/n回転以上であることが好ましい。
また、立体ディスプレイに複数の光線発生器2が設けられる場合において、複数の光線発生器2は、回転対称に配置されなくてもよいし、水平方向における光線の中心が光線制御子7の中心を通るように設けられなくてもよい。例えば、出射する光線群の少なくとも一部が光線制御子7の中心を通るように光線発生器2が配置されてもよい。これらの場合、立体ディスプレイにより提示される立体画像300の解像度および輝度を増加させることができる。
また、回転台63上の同一の位置に、それぞれ異なる方向に光線を出射する2個以上の光線発生器2が配置されてもよい。この場合、光線発生器2の画角を実質的に大きくすることができる。ここで、回転台63上の同一の位置にそれぞれ異なる方向に光線を出射する2個の光線発生器2を配置した構成は、第2の実施の形態において、回転台63上の同一の位置に光線発生器2A,2Bを配置した構成と等価である。
同様に、第2の実施の形態において、立体ディスプレイに1組の光線発生器2A,2Bが設けられるが、これに限定されない。立体ディスプレイに複数組の光線発生器2A,2Bが設けられてもよい。また、3個以上の光線発生器2が1組として設けられてもよいし、光線発生器2の数が組ごとに異なってもよい。第2の実施の形態においては、回転台63の回転速度は、光線発生器2A,2Bがm組(mは自然数)設けられる場合には、1秒間に30/m回転以上であることが好ましい。
(4)第1の実施の形態において、光線発生器2から光線制御子7の光透過拡散層72に直接光線が出射されるが、これに限定されない。図15は、他の実施の形態における光線発生器の配置を示す平面図である。図15に示すように、光線制御子7の光線出射口Pと光線制御子7の光透過拡散層72との間にミラー73が配置されてもよい。この場合、光線制御子7から出射された光線がミラー73により反射され、反射された光線が光透過拡散層72に導かれる。
この構成は、ミラー73の反射面に関して光線発生器2と面対称となるように点線で示す仮想的な光線発生器2が配置される構成と等価である。この構成によれば、仮想的な半径r2を半径r1よりも容易に大きくすることができる。そのため、比較的画角が小さい光線発生器2を用いた場合でも、第2の領域R2を第1の領域R1以上にすることができる。
同様に、第2の実施の形態において、光線発生器2A,2Bから光線制御子7の光透過拡散層72に直接光線が出射されるが、これに限定されない。光線発生器2A,2Bからミラーを介して光線制御子7の光透過拡散層72に直接光線が出射されてもよい。
また、第1および第2の実施の形態において、光路上に2個以上のミラー73が配置されてもよい。この場合、光線の光路をより長くすることができる。そのため、画角がより小さい走査型プロジェクタ2,2A,2Bを用いて大きい立体画像300を提示することができる。また、光線の走査範囲をより小さくすることができるので、光線発生器2,2A,2Bの制御を容易にすることができる。さらに、光線発生器2,2A,2Bの配置の自由度を増加させることができる。
(5)第2の実施の形態において、光線発生器2A,2Bが中心軸Zを含む垂直面に関して面対称となるように配置されるが、これに限定されない。光線発生器2A,2Bは、中心軸Zを含む垂直面を挟んで配置されてもよい。
(6)第2の実施の形態において、光線発生器2A,2Bは、光線出射口Pが第1の領域R1の外周上に位置するように配置されるが、これに限定されない。光線発生器2A,2Bは、光線出射口Pが第1の領域R1よりも外方に位置するように配置されてもよい。この場合、第2の領域R2a,R2bを大きくすることができる。そのため、より小さい画角を有する光線発生器2A,2Bを用いて第1の領域R1の全体に立体画像300を提示することができる。
一方、光線発生器2A,2Bは、光線出射口Pが第1の領域R1よりも内方に位置するように配置されてもよい。この場合、第1の領域R1内の一部の領域に立体画像300を提示することができる。
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、立体画像300が立体画像の例であり、光線出射口Pが光線出射部の例であり、光線発生器2が光線発生器の例であり、光線発生器2A,2Bがそれぞれ第1および第2の光線発生器の例である。光透過拡散層72が光透過拡散層の例であり、光反射層71が光反射層の例であり、中心軸Zが回転中心軸の例であり、光線制御子7が光線制御子の例であり、回転モジュール6が回転機構の例であり、制御装置3が制御部の例である。円環状視域500が視域の例であり、第1の領域R1が提示領域の例であり、第2の領域R2が円形状の領域の例であり、第2の領域R2a,R2bがそれぞれ第1および第2の円形状の領域の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。